説明

無停電電源システム及びプログラム

【課題】2つのUPSとSTSとを備えた2重化構成を持つ無停電電源システムにおいて、2系に共通の制御部を備えることなく、同期を確保する。
【解決手段】実施形態に係る無停電電源システム1は、第1及び第2の電源系統とSTSとを備える。第1及び第2の電源系統は、それぞれがバイパスとUPSとのうちのいずれかから電力を供給する。第1のUPSは、第1のバイパス及び第2のバイパスと電気的に接続されている。第1のUPSは、第1のバイパスから電力が供給される場合に、第1のUPSから供給される電力を、第1のバイパスから供給される電力に同期させる。第1のUPSは、第1のバイパスから電力が供給されず、かつ、第2のバイパスから電力が供給される場合に、第1のUPSから供給される電力を、第2のバイパスから供給される電力に同期させる。第1のUPSは、第1のバイパスから電力が供給されず、かつ、第2のバイパスから電力が供給されない場合に、自走運転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、複数の電源系統を備えた無停電電源システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばデータセンターなどの設備においては、高信頼の電源を実現するために、無停電電源システムが用いられ、2つの無停電電源系統と、この2つの電源系統を無瞬断で切り換える双方向無瞬断切換装置(以下、STSという)とが備えられる。
【0003】
2つの電源系統のそれぞれは、バイパス部と無停電電源装置(以下、UPSという)とを含む。
【0004】
STSは、2つの電源系統の負荷側に設置される。STSは、2つの電源系統から供給される電力の双方が同期している場合(2つの電源系統が同期動作している場合)には、2つの電源系統を無瞬断で切換可能である。しかしながら、一方の電源系統が故障等により停止し、片方停電が発生した場合、2つの電源系統のSTS側が非同期となり、STSが停電した電源系統から健全な電源系統へ無瞬断で切換を行うことは、困難になる。
【0005】
片方停電が発生した場合であっても2つの電源系統の同期を確保するために、2つの電源系統を同期制御する同期制御部を備える無停電電源システムが存在する。しかしながら、このような同期制御部は、2つの電源系統に対する共通の制御部であるため、無停電電源システムの二重化構成を維持することが困難になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4327060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の実施形態は、複数の電源系統に対する共通の制御部を備えることなく、ある電源系統に停電が発生した場合に複数の電源系統の同期を確保し、正常な電源系統へ無瞬断切換が可能な無停電電源システム及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の実施形態によれば、無停電電源システムは、第1の電源系統、第2の電源系統、双方向無瞬断切換装置を具備する。
【0009】
第1の電源系統は、第1のバイパスと第1の無停電電源装置とのうちのいずれか一方から第1の電力を供給する。
【0010】
第2の電源系統は、第2のバイパスと第2の無停電電源装置とのうちのいずれか一方から第2の電力を供給する。
【0011】
双方向無瞬断切換装置は、第1の電力と第2の電力とが同期している場合に、無瞬断切換を行う。
【0012】
第1の無停電電源装置は、第1のバイパス及び第2のバイパスと電気的に接続されており、第1のバイパスから電力が供給される場合に、第1の無停電電源装置から供給される電力を、第1のバイパスから供給される電力に同期させ、第1のバイパスから電力が供給されず、かつ、第2のバイパスから電力が供給される場合に、第1の無停電電源装置から供給される電力を、第2のバイパスから供給される電力に同期させ、第1のバイパスから電力が供給されず、かつ、第2のバイパスから電力が供給されない場合に、自走運転する。
【0013】
第2の無停電電源装置は、第1のバイパス及び第2のバイパスと電気的に接続されており、第2のバイパスから電力が供給される場合に、第2の無停電電源装置から供給される電力を、第2のバイパスから供給される電力に同期させ、第2のバイパスから電力が供給されず、かつ、第1のバイパスから電力が供給される場合に、第2の無停電電源装置から供給される電力を、第1のバイパスから供給される電力に同期させ、第2のバイパスから電力が供給されず、かつ、第1のバイパスから電力が供給されない場合に、自走運転する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態に係る無停電電源システムの構成の一例を示すブロック図。
【図2】第1の実施形態に係る無停電電源システムに備えられているA系の同期制御部の処理の一例を示すフローチャート。
【図3】第1の実施形態に係る無停電電源システムに備えられているB系の動機制御部の処理の一例を示すフローチャート。
【図4】同期制御部の構成の一例を示すブロック図。
【図5】第1の実施形態に係る無停電電源システムの同期制御状態の一例を示すテーブル。
【図6】第1の実施形態に係る無停電電源システムの構成の変形例を示すブロック図。
【図7】従来の電源システムの第1の例を示すブロック図。
【図8】従来の電源システムの第2の例を示すブロック図。
【図9】従来の電源システムの同期制御状態の一例を示すテーブル。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の各実施の形態について説明する。なお、以下の説明において、略または実質的に同一の機能および構成要素については、同一符号を付し、必要に応じて説明を行う。
【0016】
(第1の実施形態)
本実施形態においては、2つの電源系統の間で独立構成を実現しつつ、同期を行う無停電電源システムについて説明する。ここで、同期とは、複数の電圧及び電流の周期が整合していることをいうとする。
【0017】
図1は、本実施形態に係る無停電電源システムの構成の一例を示すブロック図である。
【0018】
無停電電源システム1は、A系の電源系統2A、B系の電源系統2B、STS3を具備する。
【0019】
A系の電源系統2Aは、A系のバイパス部4A、蓄電機能を含むA系のUPS5A、切換部6Aを含む。A系のバイパス部4AとA系のUPS5Aとは、並列に備えられている。A系のバイパス部4Aの入力端は、商用電源7に接続されている。A系のバイパス部4Aの出力端とA系のUPS5Aの出力端とは、それぞれA系の切換部6Aの第1及び第2の入力端と接続されている。A系の切換部6Aの出力端は、STS3の第1の入力端に接続されている。切換部6Aは、A系のバイパス部4Aからの電力の供給が正常の場合に、A系のバイパス部4Aからの電力をSTS4の第1の入力端に供給する。A系の切換部6Aは、A系のバイパス部4Aからの電力供給が停止された場合に、A系のUPS5Aからの電力をSTS4の第1の入力端に供給する。
【0020】
B系の電源系統2Bも、A系と同様の構成を持つ。具体的に説明すると、B系の電源系統2Bは、B系のバイパス部4B、蓄電機能を含むB系のUPS5B、切換部6Bを含む。B系のバイパス部4BとB系のUPS5Bとは、並列に備えられている。B系のバイパス部4Bの入力端は、商用電源7に接続されている。B系のバイパス部BAの出力端とB系のUPS5Bの出力端とは、それぞれB系の切換部6Bの第1及び第2の入力端と接続されている。B系の切換部6Bの出力端は、STS3の第2の入力端に接続されている。切換部6Bは、B系のバイパス部4Bからの電力の供給が正常の場合に、B系のバイパス部4Bからの電力をSTS4の第2の入力端に供給する。B系の切換部6Bは、B系のバイパス部4Bからの電力供給が停止された場合に、B系のUPS5Bからの電力をSTS4の第2の入力端に供給する。
【0021】
STS3は、A系の電源系統2Aから供給される電力と、B系の電源系統2Bから供給される電力とが同期する場合、A系の電源系統2Aから供給される電力と、B系の電源系統2Bから供給される電力とを無瞬断で切換可能である。そして、STS3は、A系の電源系統2Aから供給される電力と、B系の電源系統2Bから供給される電力とのうちのいずれかを、負荷8に供給する。
【0022】
本実施形態において、A系のUPS5Aは、コンバータ51A、インバータ52A、同期制御部53Aを具備する。
【0023】
同期制御部53Aは、A系の電源系統2AとB系の電源系統2Bとの間で同期を確保するために、コンバータ51Aとインバータ52Aとのうちの少なくともインバータ52Aを制御する。
【0024】
同期制御部53Aは、A系のバイパス部4A及びB系のバイパス部4Bと電気的に接続されている。この同期制御部53Aにおける同期動作は、下記の図2にて詳細に説明する。
【0025】
本実施形態において、B系のUPS5Bは、上記のA系のUPS5Aと同様の構成を持つ。具体的に説明すると、B系のUPS5Bは、コンバータ51B、インバータ52B、同期制御部53Bを具備する。
【0026】
同期制御部53Bは、A系の電源系統2AとB系の電源系統2Bとの間で同期を確保するために、コンバータ51Bとインバータ52Bとのうちの少なくともインバータ52Bを制御する。
【0027】
同期制御部53Bは、A系のバイパス部4A及びB系のバイパス部4Bと電気的に接続されている。この同期制御部53Bにおける同期動作は、下記の図3にて詳細に説明する。
【0028】
図2は、本実施形態に係る無停電電源システム1に備えられているA系の同期制御部53Aの処理の一例を示すフローチャートである。
【0029】
ステップA1において、同期制御部53Aは、A系のバイパス部4Aから電力が供給されているか否か判断する。
【0030】
A系のバイパス部4Aから電力が供給されている場合、ステップA2において、同期制御部53Aは、A系のUPS5Aから供給される電力と、A系のバイパス部4Aから供給される電力とを同期させる。その後処理は、ステップA6に移動する。
【0031】
A系のバイパス部4Aから電力が供給されていない場合、ステップA4において、同期制御部53Aは、B系のバイパス部4Bから電力が供給されているか否か判断する。
【0032】
A系のバイパス部4Aから電力が供給されず、かつ、B系のバイパス部4Bから電力が供給されている場合、ステップA4において、同期制御部53Aは、A系のUPS5Aから供給される電力と、B系のバイパス部4Bから供給される電力とを同期させる。その後処理は、ステップA6に移動する。
【0033】
A系のバイパス部4A及びB系のバイパス部4Bの双方から電力が供給されない場合、ステップA5において、同期制御部53Aは、自走運転を行う。その後処理はステップA6に移動する。
【0034】
ステップA6において、同期制御部53Aは、処理を継続するか否か判断する。処理継続の場合には、この処理はステップA1に戻る。処理停止の場合には、終了する。
【0035】
図3は、本実施形態に係る無停電電源システム1に備えられているB系の同期制御部53Bの処理の一例を示すフローチャートである。このB系の同期制御部53Bの処理は、上記の図2のA系の同期制御部53Aの処理と同様である。以下に具体的に説明する。
【0036】
ステップB1において、同期制御部53Bは、B系のバイパス部4Bから電力が供給されているか否か判断する。
【0037】
B系のバイパス部4Bから電力が供給されている場合、ステップB2において、同期制御部53Bは、B系のUPS5Bから供給される電力と、B系のバイパス部4Bから供給される電力とを同期させる。その後処理は、ステップB6に移動する。
【0038】
B系のバイパス部4Bから電力が供給されていない場合、ステップB4において、同期制御部53Bは、A系のバイパス部4Aから電力が供給されているか否か判断する。
【0039】
B系のバイパス部4Bから電力が供給されず、かつ、A系のバイパス部4Aから電力が供給されている場合、ステップB4において、同期制御部53Bは、B系のUPS5Bから供給される電力と、A系のバイパス部4Aから供給される電力とを同期させる。その後処理は、ステップB6に移動する。
【0040】
B系のバイパス部4B及びA系のバイパス部4Aの双方から電力が供給されない場合、ステップB5において、同期制御部53Bは、自走運転を行う。その後処理はステップB6に移動する。
【0041】
ステップB6において、同期制御部53Bは、処理を継続するか否か判断する。処理継続の場合には、この処理はステップB1に戻る。処理停止の場合には、終了する。
【0042】
図4は、A系の同期制御部53Aの構成の一例を示すブロック図である。
【0043】
例えば、同期制御部53Aは、プロセッサ9と記憶装置10とを具備する。プロセッサ9は、記憶装置10に記憶されているプログラムPを実行する。このプログラムPにしたがって、上記図2の処理が実行される。
【0044】
なお、B系の同期制御部53Bは、このA系の同期制御部53Aと同様の構成を持つとしてもよい。
【0045】
同期制御部53A,53Bは、ハードウェアにより実装されるとしてもよい。
【0046】
図5は、本実施形態に係る無停電電源システム1の同期制御状態の一例を示すテーブルである。
【0047】
A系及びB系のバイパス部4A,4Bの電力供給が正常の場合、A系のUPS5AはA系のバイパス部4Aに同期し、B系のUPS5BはB系のバイパス部4Bに同期する。
【0048】
A系のバイパス部4Aの電力供給が異常であり、B系のバイパス部4Bの電力供給が正常の場合、A系のUPS5AはB系のバイパス部4Bに同期し、B系のUPS5BはB系のバイパス部4Bに同期する。
【0049】
A系のバイパス部4Aの電力供給が正常であり、B系のバイパス部4Bの電力供給が異常の場合、A系のUPS5AはA系のバイパス部4Aに同期し、B系のUPS5BはA系のバイパス部4Aに同期する。
【0050】
A系及びB系のバイパス部4A,4Bの電力供給が異常の場合、A系及びB系のUPS5A,5Bは自動運転する。
【0051】
図6は、本実施形態に係る無停電電源システムの構成の変形例を示すブロック図である。
【0052】
この無停電電源システム11において、A系の電源系統2Aは、バイパス4Aと複数のUPS5Aとが並列に備えられている。切換部6Aは、バイパス部4Aと複数のUPS5Aとのうちのいずれかからの電力をSTS3の第1の入力端に供給する。複数のUPS5Aのそれぞれは、A系のバイパス部4A及びB系のバイパス部4Bと接続されている。
【0053】
B系の電源系統2Bについては、A系の電源系統2Bと同様の構成を持つ。
【0054】
無停電電源システム11は、A系の電源系統2A及びB系の電源系統2Bに加えて、さらに1以上の電源系統を具備するとしてもよい。
【0055】
無停電電源システム11は、複数のSTS3を備えるとしてもよい。
【0056】
以上説明した本実施形態においては、A系の電源系統2AとB系の電源系統2Bとの間に、共通の制御部を備える必要がない。したがって、A系の電源系統2AとB系の電源系統2Bとの独立性を確保することができ、二重化構成を実現させることができる。
【0057】
本実施形態においては、A系のバイパス部4AとB系のバイパス部4Bとのうち少なくとも一方からの電力供給が正常であれば、A系の電源系統2AとB系の電源系統2Bとの間で同期を確保することができ、無瞬断で電源系統の切換を行うことができる。
【0058】
(第2の実施形態)
本実施形態においては、上記第1の実施形態に係る無停電電源システム1と、従来の電源システムとの相違点について説明する。なお、無停電電源システム11と従来の電源システムとの相違点についても同様である。
【0059】
図7は、従来の電源システムの第1の例を示すブロック図である。
【0060】
この従来の電源システム12は、UPS13A,13Bの出力端がSTS3の第1の入力端及び第2の入力端に接続されている。
【0061】
この従来の電源システム12は、UPS13A,13Bによって二重化されている。故障等により一方のUPS13Aの停電などが発生すると、UPS13Bが自走運転する。この場合、STS3の入力側でUPS13A,13Bは非同期となる。したがって、UPS13BからSTS3を経由して給電される負荷8において、瞬断が発生する可能性が高い。
【0062】
これに対して、上記第1の実施形態に係る無停電電源システム1では、A系及びB系の電源系統2A,2Bのうちの一方からの給電が停止した場合であっても、STS3に対する同期状態が確保され、負荷8に無瞬断で給電を行うことができる。
【0063】
図8は、従来の電源システムの第2の例を示すブロック図である。
【0064】
従来の電源システム14は、A系の電源系統、B系の電源系統、共通制御部15、STS3、負荷8を具備する。
【0065】
A系の電源系統は、バイパス部4A、UPS16A、切換部6Aを具備する。UPS16Aの同期制御部17Aは、共通制御部15から供給された電力(信号)に基づいて、同期制御を行う。
【0066】
B系の電源系統は、A系の電源系統と同様の構成である。
【0067】
共通制御部15は、バイパス部4Aからの電力供給が正常な場合、このバイパス部4Aからの電力を同期制御部17Aに供給する。また、共通制御部15は、バイパス部4Aからの電力供給が停止した場合、B系の電源系統又はB系のUPS16Bの出力電力を同期制御部17Aに供給する。
【0068】
さらに、共通制御部15は、バイパス部4Bからの電力供給が正常な場合、このバイパス部4Bからの電力を同期制御部17Bに供給する。また、共通制御部15は、バイパス部4Bからの電力供給が停止した場合、A系の電源系統又はA系のUPS16Aの出力電力を同期制御部17Bに供給する。
【0069】
このように、従来の電源システム14は、A系の電源系統とB系の電源系統との間に共通制御部15が備えられる。このように2つの系に共通の装置が備えられた場合、2重化構成を実現することが困難となる。
【0070】
図9は、従来の電源システム14の同期制御状態の一例を示すテーブルである。
【0071】
A系及びB系のバイパス部4A,4Bの電力供給が正常の場合、A系のUPS16AはA系のバイパス部4Aに同期し、B系のUPS16BはB系のバイパス部4Bに同期する。
【0072】
A系のバイパス部4Aの電力供給が異常であり、B系のバイパス部4Bの電力供給が正常の場合、A系のUPS16AはB系の電源系統の出力又はB系のUPS16Bの出力に同期し、B系のUPS16BはB系のバイパス部4Bに同期する。
【0073】
A系のバイパス部4Aの電力供給が正常であり、B系のバイパス部4Bの電力供給が異常の場合、A系のUPS16AはA系のバイパス部4Aに同期し、B系のUPS16BはA系の電源系統の出力又はA系のUPS16Aの出力に同期する。
【0074】
A系及びB系のバイパス部4A,4Bの電力供給が異常の場合、設定に依存するが、例えば、A系UPS16Aは自動運転し、B系のUPS16BはA系の電源系統の出力又はA系のUPS16Aに同期する。
【0075】
上記の図8及び図9で説明された従来の電源システム14に対し、上記第1の実施形態に係る無停電電源システム1では、共通制御部15を備える必要がなく、A系及びB系の双方が独立の構成及び独立の同期制御処理により無瞬断切換を行う。
【0076】
上記第1の実施形態において、全ての入力電源(商用電源7)が停電した場合には、全てのUPS5A,5Bがバッテリ運転を行う。この場合、負荷8の容量によってバックアップ時間が異なるが、いつかはシステム停電となる。そこで、上記第1の実施形態においては、2つの電源系統2A,2Bのうちの一方の入力電源の停電を同期制御対象とし、一方の入力電源が停電した場合に、正常な他方の入力電源に同期するよう、一方の電源系統における同期制御対象を変更する。
【0077】
上記第1の実施形態の同期制御部53A,53Bは、同期制御対象の電力(信号)として、自系のバイパス入力電圧と他系のバイパス入力電圧とを取得し、この同期制御対象の電力を切換可能である。上記第1の実施形態において、例えば、A系停電時、A系の同期制御部53Aは、B系のバイパス入力電圧を取得する。例えば、B系停電時、B系の同期制御部53Bは、A系のバイパス入力電圧を取得する。
【0078】
従来の電源システム14のように、同期制御部17A,17Bが他系のUPS出力側電圧を取得する場合、A系及びB系の双方で停電が発生すると、A系の制御とB系の制御とがハンチングする。
【0079】
これに対して、上記第1の実施形態においては、同期制御部53A,53Bが他系のUPS出力側電圧ではなくバイパス入力電圧を取得する。上記第1の実施形態において、A系及びB系の双方で停電が発生すると、同期制御対象がなくなり、同期制御部53A,53Bは自動運転する。この結果、上記第1の実施形態においては、ハンチングの発生を防止することができる。
【0080】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0081】
1,11…無停電電源システム、2A…A系の電源系統、2B…B系の電源系統、3…双方向無瞬断切換装置、4A,4B…バイパス部、5A,5B…無停電電源装置、51A,51B…コンバータ、52A,52B…インバータ、53A,53B…同期制御部、6A,6B…切換部、7…商用電源、8…負荷、9…プロセッサ、10…記憶装置、P…プログラム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のバイパスと第1の無停電電源装置とのうちのいずれか一方から第1の電力を供給する第1の電源系統と、
第2のバイパスと第2の無停電電源装置とのうちのいずれか一方から第2の電力を供給する第2の電源系統と、
前記第1の電力と前記第2の電力とが同期している場合に、無瞬断切換を行う双方向無瞬断切換装置と
を具備し、
前記第1の無停電電源装置は、
前記第1のバイパス及び前記第2のバイパスと電気的に接続されており、
前記第1のバイパスから電力が供給される場合に、前記第1の無停電電源装置から供給される電力を、前記第1のバイパスから供給される電力に同期させ、
前記第1のバイパスから電力が供給されず、かつ、前記第2のバイパスから電力が供給される場合に、前記第1の無停電電源装置から供給される電力を、前記第2のバイパスから供給される電力に同期させ、
前記第1のバイパスから電力が供給されず、かつ、前記第2のバイパスから電力が供給されない場合に、自走運転し、
前記第2の無停電電源装置は、
前記第1のバイパス及び前記第2のバイパスと電気的に接続されており、
前記第2のバイパスから電力が供給される場合に、前記第2の無停電電源装置から供給される電力を、前記第2のバイパスから供給される電力に同期させ、
前記第2のバイパスから電力が供給されず、かつ、前記第1のバイパスから電力が供給される場合に、前記第2の無停電電源装置から供給される電力を、前記第1のバイパスから供給される電力に同期させ、
前記第2のバイパスから電力が供給されず、かつ、前記第1のバイパスから電力が供給されない場合に、自走運転する
ことを特徴とする無停電電源システム。
【請求項2】
請求項1記載の無停電電源システムにおいて、
前記第1の電源系統は、前記第1のバイパスと複数の前記第1の無停電電源装置とを並列に備え、前記第1のバイパスと複数の前記第1の無停電電源装置とのうちのいずれかから前記第1の電力を供給する
ことを特徴とする無停電電源システム。
【請求項3】
第1の電源系統と第2の電源系統とを含む無停電電源システムを制御するプログラムにおいて、
前記第1の電源系統は、第1のバイパスと第1の無停電電源装置とのうちのいずれか一方から第1の電力を供給し、
前記第2の電源系統は、第2のバイパスと第2の無停電電源装置とのうちのいずれか一方から第2の電力を供給し、
前記無停電電源システムは、前記第1の電源系統と、前記第2の電源系統と、前記第1の電力と前記第2の電力とが同期している場合に無瞬断切換を行う双方向無瞬断切換装置とを具備し、
前記第1の無停電電源装置及び前記第2の無停電電源装置とは、それぞれ前記第1のバイパス及び前記第2のバイパスと電気的に接続されており、
前記第1の無停電電源装置及び前記第2の無停電電源装置のそれぞれに、
自系のバイパスから電力が供給される場合に、自系の無停電電源装置から供給される電力を、前記自系のバイパスから供給される電力に同期させる機能、
前記自系のバイパスから電力が供給されず、かつ、他系のバイパスから電力が供給される場合に、前記自の無停電電源装置から供給される電力を、前記他系のバイパスから供給される電力に同期させる機能、
前記自系のバイパスから電力が供給されず、かつ、前記他系のバイパスから電力が供給されない場合に、自走運転させる機能
を実現させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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