説明

無圧加硫のための自己付着性のシリコーン組成物

【課題】種々の基材に対して良好に自己付着する、技術水準に記載される組成物の欠点を有さず、あるいは前記の要求プロフィールを満たすシリコーンエラストマー組成物を提供する。
【解決手段】架橋に適した有機基を有するシロキサン含有ポリマーと、熱分解シリカもしくは沈降シリカと、シリケート塩又は低分子シリケート化合物を含む群から選択されるシリケートと、直鎖構造を有する樹脂形成性モノマーもしくはオリゴマーと、ペルオキシドに誘導される架橋もしくは貴金属錯体に触媒される付加架橋を含む群から選択される架橋系とを含有するシリコーンエラストマー組成物によって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己付着性のシリコーン組成物並びに該組成物から製造されるシリコーンエラストマー及び複合材料に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコーンエラストマーの付着性は、プラスチック、金属及びガラスなど数多くの基材に対するシリコーン(シロキサン)ポリマーの不活性特性に基づき低いことが知られている。従って、シリコーンエラストマー材料を基材上に塗布し、引き続き架橋させる場合に、生ずるシリコーンエラストマーは、一般に問題なく、従って少ない引張力を用いて基材表面から剥がすことができる。それどころか、しばしば、シリコーンエラストマーの基材からの自発的な剥離が確認される。その付着性は、付加架橋性のシリコーンエラストマーの場合に、その上更に低下する。しかしながら、数多くの用途において、シリコーンエラストマーの固く持続的な基材付着性は決定的な重要性を持つので、基材とシリコーンエラストマーとの間の固い結合を達成するために、特定の多くの措置が提案されている。
【0003】
基本的に、シリコーンエラストマー−基材複合体の付着強度は、基材もしくは基材表面の化学的及び/又は物理的な性質を、付加架橋性のシリコーンエラストマー組成物の施与前に、適切に変更することによって高めることができる。これは、例えば、基材表面を付着媒介性添加剤(いわゆるプライマー)で前処理すること、基材表面のプラズマ処理などによって行うことができる。これらの措置は、とりわけ、付加的な方法工程が必要となる、又は基材の性質に特定の要求を課さねばならないという欠点を有する。
【0004】
更に、シリコーンエラストマー−基材複合体の付着強度は、シリコーンエラストマー材料の化学的及び/又は物理的な性質を狙い通りに変更することによって高めることができる。未架橋のシリコーン材料を混合して、得られたシリコーンエラストマーの様々な基材上への自己付着を引き起こす多くの付着媒介性添加剤が公知である。これには、高反応性の官能基、例えばアルコキシ、エポキシ、カルボキシ、アミノなどを有する化合物であって、大部分が付着媒介剤が基材ともシリコーンエラストマー成分とも反応しうるように前記基が選択された化合物が該当する。確かに、係る付着媒介剤によって基材の前処理を場合により省くことができるが、達成される付着強度は、しばしば課された要求に相当しない。また、前記の付着媒介剤のより高い含量による付着強度の向上は、条件付きでのみ可能であるにすぎない。それというのも、そこに含まれる高反応性の基は、そのうえ、使用特性、例えば貯蔵安定性、架橋特性(抑制)、毒性学的安全性などにますます悪い結果をもたらし、この理由からむしろ付着媒介剤の含量はできる限り低く保持することに関心が持たれているからである。
【0005】
EP0686671号A2は、特定の付着媒介剤を用いない自己付着性の付加架橋性材料を記載している。それというのも、付着媒介性成分は、1分子当たり平均して、少なくとも2個のSiH基を有し、かつその一価のSi結合される基が少なくとも12モル%までが芳香族環を有する炭化水素基からなるオルガノハイドロジェンポリシロキサンであるか、又は1分子当たり平均して、少なくとも1個のSiH基を有し、かつ2個の芳香族環からなる1個の基を含み、その両方の芳香族環が−R1314Si−、−R1314SiO−、−OR1314SiO−もしくは−R1314SiOR1314Si−によって互いに隔てられており、かつ基R13及びR14が一価の炭化水素基である係る化合物であるか、のいずれかだからである。従って、該付着媒介性成分は、同時にシリコーンエラストマー材料の架橋剤であってよい。前記の組成物では、有機プラスチック(とりわけABS)への良好な付着性が達成される一方で、同時に金属製の加硫型(クロムもしくはニッケルで被覆された鋼型もしくはアルミニウム合金からなる型)からの容易な離型可能性が指摘される。しかしながら、SiH含有の付着媒介性成分における12モル%より多い高い芳香族環含有率を有する基は、付加架橋性のシリコーンエラストマー材料のその他の成分とのかなりの不相容性を引き起こす。これは、一方で、貯蔵の間の部分的な分離(浸出)をもたらし、これは前記成分を含有する成分の繰り返しの均質化を使用前に要求することとなる。未架橋の材料の乳濁で既に明らかな前記の不相容性は、前記材料から製造されたシリコーンエラストマー部材の明らかに低下した透明性においても明らかになる。付着媒介性成分が同時にシリコーンエラストマー組成物の架橋剤として機能する場合に、その不相容性は、加硫の妨害をもたらし、それは、不均一な網目形成と不十分な機械的な加硫特性に導く。前記の加硫の妨害を回避するために、付着媒介性のSiH含有成分に加えて、シリコーンエラストマー材料と完全に相容性のSiH含有の架橋剤を使用せねばならないが、これは別の欠点(例えば高められた値の圧縮永久歪;付着媒介性成分の高められた浸出傾向)をもたらす。SiH含有の付着媒介性成分における12モル%より多い、芳香族環を含む基の高い含有率は、シリコーンエラストマー材料の甚大な構造粘度及びチキソトロピーを引き起こし、これは多くの用途(例えば液状シリコーンゴムの射出成形)において望ましくない。結局、前記組成物の金属への付着性も不十分である。
【0006】
EP0875536号A2は、自己付着性の付加架橋性のシリコーンゴム混合物であって、
a)SiH−架橋剤が少なくとも20個のSiH基を有すること(他の基は、脂肪族で飽和の基である)、
b)エポキシ官能性のアルコキシシラン及び/又はアルコキシシロキサンが含まれていること、
c)場合によりペルオキシド
を特徴とするシリコーンゴム混合物を記載している。
【0007】
特に、その際に、グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(グリモ)の使用が好ましい。EP0875536号A2に記載されるシリコーンゴム混合物は、特に、シリコーンエラストマーと有機プラスチックとからなる複合部材の製造のために適している。しかしながら、EP0875536号A2に記載される組成物は、非常にSiHが豊富な、平均して少なくとも20個のSiH基を1分子当たりに有する架橋剤を使用する場合にのみ、十分な付着強度を達成できるに過ぎないという欠点を有する。その実施例においては、1分子当たりに30個のSiH基を有する架橋剤が使用される。そのように高官能性の架橋剤の使用は、付加架橋性のシリコーンゴム混合物の貯蔵安定性をかなり低下させる。すなわち、流動性は、激しく損なわれ、これは材料の引き締まりまでをもたらすことがあり、それによって、例えば射出成形における材料の目的にかなった加工は、もはや不可能である。さらに、高い付着強度を達成するために、比較的多量のエポキシ官能性アルコキシシラン/シロキサンを使用せねばならず、それによって架橋速度は、かなり低下する。確かに、これは部分的に、EP0875536号A2に記載されるようにペルオキシドの使用によって補償することができるが、これについては、必然的に低い架橋温度(有機プラスチックの軟化)のため、低い開始温度を有するペルオキシド、例えば記載される2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシドのみが該当する。それらは、一方で、遊離される分解生成物と反応生成物のため毒性学的に非常に懸念すべきであり(PCB問題)、他方で、該材料の貯蔵安定性を更に悪化させる。
【0008】
従って、商慣習のペルオキシド架橋性もしくは付加架橋性のシリコーンエラストマー組成物はどれも、例えば複合部材の製造のために又は電機部品/電子部品の封止のために使用されることが望ましい自己付着性のシリコーンエラストマー材料に課される要求:
a)良好な流動性及び貯蔵安定性
b)比較的低い温度での高い架橋速度
c)有機プラスチック、金属及びガラスに対する高い付着強度
d)加硫型からの簡単な離型可能性
e)毒性学的な安全性
f)高い水準の使用特性(透明性、非腐蝕性、機械的特性プロフィール)
を十分に満たさない。
【0009】
EP1106662号B1は、上述の欠点の大部分を好適な架橋剤分子の使用によってもはや示さない、付加架橋性のシリコーンエラストマーを記載している。しかし、EP1106662号B1及び更なる上述の技術水準において全体的に挙げられるシリコーン組成物は、基材への付着性の構築と同時に圧力(型内圧、圧力)の存在での申し分ない加硫のために指示されている。すなわち、それは、純粋な成形材料、射出成形材料又は一般的に表現すると、成形物品材料である。
【0010】
しかしながら、複合物品分野における大部分の使用は、成形法の断続的な工程を経過するだけでなく、押出及び類似のカレンダ加工もしくは被覆のように連続的な完成工程を経過する。前記工程で共通することは、加硫を非常に短時間で無圧で行わねばならないことである。従って、連続的な工程に使用するシリコーン組成物への高められた要求、例えば
a)未加硫状態の形状を保持するための高められた安定性(粘度)
b)迅速な加硫
c)最大限に低減された気泡形成傾向
d)低い押出膨化
が存在する。
【0011】
要求b)を除いて、技術水準による添加剤は、全体の特性に悪影響を及ぼし、従って申し分のない連続的な部材製造を最初から不可能にする。さらに、押出された部材での気泡形成、粗い表面及び変形を受け入れた場合でさえ、付着性の構築は、無圧の連続的な製造条件下ではゆっくりと起こるため、満足のいく複合は起こらない。さらに、界面での気泡は、付着作用を大きく低下させる。従って、自己付着性の押出可能な又はカレンダ加工可能な材料に課される以下の付加的な要求:
e)非常に迅速な初期付着性の構築
f)高い等級の搬送付着性(Transporthaftung)の迅速な構築、もしくは有利には最終付着性に近いもしくはそれと同等の付着力の早急な構築
g)後処理なくしての高い絶対最終付着性値
h)付着改変による材料の機械的特性及び化学機械的特性への影響のなさ
i)付着改変による加工関連特性(安定性、押出膨化、気泡形成傾向)への影響のなさ
は、技術水準に記載される材料によっては、不十分にしかもしくは全く満たされない。
【特許文献1】EP0686671号A2
【特許文献2】EP0875536号A2
【特許文献3】EP1106662号B1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の課題は、種々の基材、例えば有機プラスチック、繊維/織物、金属、ガラス、セラミックに対して良好に自己付着するペルオキシド架橋性もしくは付加架橋性のシリコーンエラストマー組成物であって、技術水準に記載される組成物の欠点を有さず、あるいは前記の要求プロフィールを満たすシリコーンエラストマー組成物を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の対象は、シリコーンエラストマー組成物であって、
(A)架橋に適した有機基を有する少なくとも1種のシロキサン含有ポリマー、
(B)少なくとも1種の処理されたもしくは未処理の熱分解シリカもしくは沈降シリカ、
(C)シリケート塩又は低分子シリケート化合物を含む群から選択される、熱的にもしくは加水分解的に開裂可能な離脱基O−R2[式中、R2は、H、有機基を意味するか、又は離脱基としてO−R2の代わりにハロゲンを意味する]を有する少なくとも1種のシリケート、
(D)直鎖構造を有するが、但し、シリケートを含まない、少なくとも1種の樹脂形成性モノマーもしくはオリゴマー、
(E)ペルオキシドに誘導される架橋もしくは貴金属錯体に触媒される付加架橋を含む群から選択される、少なくとも1種の好適な架橋系
を含有する、シリコーンエラストマー組成物である。
【0014】
本発明による組成物は、一成分材料でも多成分材料であってもよい。後者の場合には、本発明による組成物の成分は、全ての成分を任意の組合せで含有してよい。
【0015】
驚くべきことに、全ての前記の項目a)〜i)の要求は、本発明による組成物によって満たされ、前記組成物は、従来のようにポリマー/オリゴマーと添加剤もしくは架橋剤の組み合わせによって基材に結合するのではなく、充填剤(B)を介して結合することが示された。
【0016】
好ましくは、化合物(A)の架橋に適した有機基は、脂肪族の炭素−炭素多重結合である。
【0017】
有利には、成分(A)は、脂肪族不飽和の有機ケイ素化合物であり、その際、今まで架橋性材料中で使用されていた全ての脂肪族不飽和の有機ケイ素化合物を、例えばまた尿素セグメントを有するシリコーン−ブロックコポリマー、アミドセグメント及び/又はイミド−セグメント及び/又はエステル−アミド−セグメント及び/又はポリスチレン−セグメント及び/又はシラリーレン(Silarylen)−セグメント及び/又はカルボラン−セグメントを有するシリコーン−ブロックコポリマー並びにエーテル基を有するシリコーン−グラフトコポリマーを使用することもできる。
【0018】
成分(A)の分子量は、例えば102〜106g/molの間で広範囲に変化することができる。ここで、成分(A)は例えば比較的低分子量のアルケニル官能性オリゴシロキサン、例えば1,2−ジビニルテトラメチルジシロキサンであってよいが、例えば105g/モルの分子量を有する(NMRを用いて測定した数平均)鎖内又は末端のSi結合したビニル基を介して提供される高分子量のポリジメチルシロキサンであってもよい。成分(A)を形成する分子の構造は確定しておらず;特に高分子量の、つまりオリゴマー又はポリマーのシロキサンの構造は直鎖、環式、分枝鎖又は樹脂状、網目状であってよい。直鎖状の及び環状のポリシロキサンは、有利には式R3SiO1/2、R12SiO1/2、R1RSiO2/2及びR2SiO2/2[式中、R、R1は、任意の有機置換基もしくは無機置換基であってよく、有利にはハロゲン置換及び/又は有機置換された1〜10個のSi−O単位を有する直鎖状の及び分枝鎖状のシロキサン、特に有利には有機置換された、離脱基によって飽和された末端の及び側部のOH官能基を有するシロキサンであってよい]で示される単位から構成される。分枝鎖の及び網目状のポリシロキサンは、付加的に三官能性及び/又は四官能性の単位を有し、その際、式RSiO3/2、R1SiO3/2及びSiO4/2の単位が好ましい。当然のように、シロキサンに対する成分(A)の基準を満たす種々の混合物を使用してもよい。
【0019】
特に成分(A)として、それぞれ25℃で、0.01〜500000Pa・s、特に有利に0.1〜100000Pa・sの粘度を有するビニル官能性の、主に直鎖状のポリジオルガノシロキサンを使用するのが好ましい。
【0020】
本発明による架橋可能な材料における成分(A)の含有率は、40〜90質量%、有利には55〜85質量%の範囲にある。
【0021】
充填剤(B)としては、今までもシリコーン含有材料中で使用されていたシリカの群からの全ての充填剤を使用することができる。例えば、少なくとも50m2/gのBET表面積を有する熱分解シリカもしくは沈降シリカであり、その際、少なくとも50m2/gのBET表面積を有する熱分解シリカ及び沈降シリカが好ましい。
【0022】
上述のシリカ充填剤(B)は、親水特性を有してよく、又は公知法により疎水化されていてよい。親水性の充填剤を混入させる場合には、疎水化剤を添加することが必要である。
【0023】
特に成分(B)としては、なおも部分的に親水性の基を有するシリカ、従って覆われていないOH基又はオルガノシリル樹脂で置換されたOH基を有し、従ってなおも部分的に親水性特性を有するシリカもしくは有機離脱基、例えば−OMe、−OEt及び−OAcの離脱によってその場で親水性基を形成しうるシリカが好ましい。
【0024】
本発明による架橋可能な材料における活性の補強性充填剤(B)の含有率は、0.5〜70質量%、有利には5〜50質量%の範囲である。
【0025】
本発明により使用される成分(A)及び(B)は市販製品であるか若しくは当該化学分野において慣用の方法により製造可能である。
【0026】
シリケート(C)は、熱的にもしくは加水分解的に開裂可能なO−R2[式中、R2は、上述の意味を有する]結合を有する、シリケート塩又は直鎖状のもしくは分枝鎖状の低分子のシリケート化合物であってよい。
【0027】
好ましくは、一般式(1)
34SiR56 (1)
[式中、R3、R4、R5、R6は、有機基もしくは無機基又は構造−O−R7で示される置換基又はハロゲン基であってよく、その際、R7は、H又は任意の有機基を意味する]で示されるシリケート(C)が好ましい。特に好ましくは、基R3、R4、R5、R6は、事前に形成された小さく、かつ容易に開裂可能な離脱基、例えば−OMe、−OEt、−OAc又は反応性ハロゲン、例えば−Cl、−Brを意味する。
【0028】
更なる一実施態様においては、基R3、R4、R5もしくはR6の少なくとも1つは、−O−によって交換されていてよく、こうしてシリケートの四面体構造の低分子の三次元的接続(Fortfuehrung)をもたらす。有利には、低分子のシリケート化合物は、100個までのSi−O単位からなる。
【0029】
本発明による架橋可能な材料における成分(C)の含有率は、0.3〜30質量%、有利には1〜10質量%の範囲にある。
【0030】
本発明により使用される原材料(C)は、当業者に公知であり、一部は購入することができる。
【0031】
樹脂形成剤(D)としては、直鎖構造を有するモノマーもしくはオリゴマーが使用されるが、但し、シリケートは含まれない。
【0032】
(D)としては、一般式(2)
89(R10O)Si−OR11 (2)
[式中、R8、R9は、任意の有機置換基もしくは無機置換基であってよく、有利にはハロゲン置換及び/又は有機置換された1〜10個のSi−O単位を有する直鎖状の及び分枝鎖状のシロキサン、特に有利には有機置換された、離脱基によって飽和された末端の及び側部のOH官能基を有するシロキサンであってよい]で示される全ての化合物が好ましい。R10及びR11は、同様に任意の有機化合物又は無機化合物であってよいが、但し、両者の少なくとも一方は、事前に形成された離脱基を有し、例えば置換基−CH3、−CH2CH3、−C(O)CH3などを有する。従って、基R10、R11としては、短鎖の有機化合物、特に有利にはメチル基、エチル基もしくはアセチル基が好ましい。
【0033】
本発明により使用される原材料(D)は、当業者に公知であり、一部は購入することができる。
【0034】
本発明による架橋可能な材料における成分(D)の含有率は、0.1〜20質量%、有利には0.5〜5質量%の範囲にある。
【0035】
架橋剤系(E)としては、今までに技術水準において知られている全てのペルオキシドに誘導される又は貴金属錯体に触媒される付加架橋性の系を使用することができる。
【0036】
本発明による組成物の架橋をフリーラジカルによって行うのであれば、架橋剤として、フリーラジカル源として用いられる有機ペルオキシドが使用される。有機ペルオキシドのための例は、アシルペルオキシド、例えばジベンゾイルペルオキシド、ビス(4−クロロベンゾイル)ペルオキシド、ビス(2,4−ジクロロベンゾイル)ペルオキシド及びビス(4−メチルベンゾイル)ペルオキシド;アルキルペルオキシド及びアリールペルオキシド、例えばジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、ジクミルペルオキシド及び1,3−ビス(t−ブチルペルオキシ−イソプロピル)ベンゼン;ペルケタール、例えば1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;ペルエステル、例えばジアセチルペルオキシジカーボネート、t−ブチルペルベンゾエート、t−ブチルペルオキシ−イソプロピルカーボネート、t−ブチルペルオキシ−イソノナノエート、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート及び2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジペルベンゾエートである。
【0037】
1種の有機ペルオキシドを使用してもよく、少なくとも2種の異なる種類の有機ペルオキシドの混合物を使用してもよい。
【0038】
Si結合された水素の脂肪族多重結合への付加を促進する触媒としては、本発明による方法の場合でも、今までにもSi結合された水素の脂肪族多重結合への付加の促進に使用できたのと同じ触媒を使用することができる。該触媒は、有利には、白金族金属からの金属又は白金族金属からの化合物又は錯体である。かかる触媒のための例は、金属の微粉砕された白金であって、担体、例えば二酸化ケイ素、酸化アルミニウム又は活性炭素上に存在してよい白金、白金の化合物又は錯体、例えば白金ハロゲン化物、例えばPtCl4、H2PtCl6*6H2O、Na2PtCl4*4H2O、白金−オレフィン錯体、白金−アルコール錯体、白金−アルコレート錯体、白金−エーテル錯体、白金−アルデヒド錯体、白金−ケトン錯体、例えばH2PtCl6*6H2Oとシクロヘキサノンとからの反応生成物、白金−ビニルシロキサン錯体、例えば白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラ−メチル−ジシロキサン錯体であって、検出可能な無機的に結合されたハロゲンを有する又は有さない錯体、ビス(ガンマ−ピコリン)白金二塩化物、トリメチレンジピリジン白金二塩化物、ジシクロペンタジエン白金二塩化物、ジメチルスルホキシドエチレン白金(II)二塩化物、シクロオクタジエン−白金二塩化物、ノルボルナジエン−白金二塩化物、ガンマ−ピコリン−白金二塩化物、シクロペンタジエン−白金二塩化物並びに四塩化白金とオレフィン及び第一級アミンもしくは第二級アミンもしくは第一級と第二級のアミンとの反応生成物、例えば1−オクテン中に溶解された四塩化白金とs−ブチルアミンとの反応生成物又はアンモニウム−白金錯体である。
【0039】
成分(A)ないし(E)の他に、本発明による組成物は、なおも、今までにもシリコーン含有材料の製造のために使用されていた全ての他の物質、例えば付着性の向上のために使用されていた物質を含有してよい。
【0040】
本発明によるシリコーン含有組成物は、選択的に、成分(F)として、10質量%までの割合で、有利には0.0001〜4質量%の割合で、O−R結合の分解反応及び縮合反応のための触媒、助触媒もしくは開始剤として作用しうる更なる添加剤、例えば
− 金属錯体もしくは貴金属錯体、有利には四有機置換された錯体、特に有利には四有機置換されたスズ錯体、チタン錯体及びジルコニウム錯体;
− 酸性もしくは塩基性のイオン性及び非イオン性の化合物、例えば有機及び無機の酸及び塩基のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩、有利には酢酸塩、スルホン酸塩、硫酸塩及びリン酸塩もしくはアンモニウム塩;
− O−R結合を脱安定化でき、分解でき、又はその分解もしくは脱安定化を触媒できる、あらゆる更なる無機化合物及び有機化合物
を含有してよい。
【0041】
本発明によるシリコーン含有組成物は、選択的に、成分(G)として、他の添加剤を、70質量%までの割合で、有利には0.0001〜40質量%の割合で含有してよい。これらの添加剤は、例えば不活性の充填剤、樹脂様のポリオルガノシロキサンであってシロキサン(A)、(C)、(D)とは異なるもの、分散助剤、溶剤、定着剤、顔料、着色剤、可塑剤、有機ポリマー、熱安定剤などであってよい。これには、添加剤、例えば石英、珪藻土、クレー、白亜、リトポン、カーボンブラック、グラファイト、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、炭酸の金属塩、金属粉、繊維、例えばガラス繊維、カーボン繊維、プラスチック粉末、金属粉、着色剤、顔料などが該当する。
【0042】
更に、本発明による組成物の加工時間、開始温度及び架橋速度を狙い通りに調整することを担う添加剤(H)が含まれていてよい。
【0043】
本発明によるオルガノシロキサン材料は、必要な場合に、液体中に、溶解、分散、懸濁又は乳化されてよい。本発明による組成物は、特に成分の粘度並びに充填剤含有率に応じて、低粘度及び注型可能であってよく、ペースト状の粘稠性を有してよく、粉末状であってよく、又はしなやかで高粘度の材料であってもよく、例えば、公知のように、業界においてしばしば、RTV−1、RTV−2、LSR及びHTVとして呼称される材料がそういったものである。架橋された本発明によるシリコーン材料の弾性特性に関しては、同様に、極めて軟質なシリコーンゲルに始まって、ゴム状材料をつうじ、ガラス状挙動を有する高架橋されたシリコーンまでの全範囲を含む。
【0044】
本発明によるシリコーンエラストマー組成物から複合部材を製造するための方法は、例えば同時押出、カレンダ加工及び重ね成形(Ueberformen)によって、圧力を作用させて、圧力を作用させずに行うことができる。
【0045】
特に、押出、カレンダ加工及び被覆の方法で加工が可能な材料、すなわち一般に、固形シリコーンあるいはHTVもしくはHCRとして公知の材料、あるいは被覆のためには、RTVもしくはLSRとして公知の材料も好ましい。
【0046】
本発明によるシリコーン含有組成物の製造は、公知法に従って、例えば個々の成分(A)〜(E)と、場合により更なる成分(F)〜(H)とを均一に混合することによって実施することができる。その際に、順序は任意である。その混合は、その際に、(A)の粘度に応じて、例えば撹拌機をもって、溶解機中で、圧延機において又は混練機中で実施される。充填剤(B)、シリケート(C)及び樹脂形成剤(D)は、また、有機のサーモプラストもしくは熱可塑性シリコーン樹脂中に封入することができるが、但し、該粒子の表面では、更にO−R結合の分解のための基が到達可能になっている。
【0047】
本発明により使用される成分(A)〜(H)は、それぞれのかかる成分の個々の種類、例えばかかる成分の種々異なる種類の少なくとも2種からなる混合物であってよい。
【0048】
本発明による組成物は、架橋可能な基が存在する場合に、今までに知られる架橋可能な組成物と同様に架橋(加硫)させることができる。この場合、有利には40〜220℃の温度、特に好ましくは100〜190℃の温度であり、かつ無圧又は900〜1100hPaの圧力下である。しかしながら、より高い又はより低い温度及び圧力を適用することもできる。架橋は、エネルギー線、例えば短波長を有する可視光及びUV光により光化学的にも実施でき、又は熱的励起と光化学的励起との組み合わせをもって実施することもできる。
【0049】
本発明の更なる対象は、本発明による組成物の架橋により製造された押出物及び成形体である。
【0050】
本発明にかかる組成物並びに本発明により該組成物から製造される架橋生成物は、経済的な、十分に自動化された、連続的な、及び欠陥が最小限となる複合部材製造の利点を伴って、今までにもエラストマーへと架橋可能なオルガノポリシロキサン組成物もしくはエラストマーが使用されていた全ての目的のために使用することができる。これには、例えば任意の基材のシリコーン被覆あるいは含浸、成形部材の製造、例えば射出成形法、真空押出法、押出法、鋳造成形及び加圧成形、造形における成形部材の製造、並びに封止組成物、包埋組成物及び注形組成物、接着剤などとしての使用が含まれる。特に、プライマーなしで機械的(例えばアンダーカット又は切欠による)でなく引き起こされる複合を特徴とする、押出物、カレンダ加工された物品及び被覆物品が好ましい。
【0051】
本発明による組成物は、容易に入手できる出発材料を使用して簡単な方法で、ひいては経済的に製造できるという利点を有する。
【0052】
本発明による組成物は、同様に、該組成物を貴金属触媒によってもペルオキシドでの誘導によっても架橋させられるという利点を有する。それというのも、付着性の構築のために必要な添加剤は、ペルオキシドに対して十分に非感受性であるからである。
【0053】
本発明による組成物は、更に、該組成物が、前処理、プライマー塗布又は機械的補助手段を使用せずに基材上に付着するという利点を有する。
【0054】
本発明による組成物は、更に、前記付着性が非常に迅速に、ヒータラインからの剥離のない排出のために、あるいは複合部材の搬送のために必要な、いわゆる搬送付着性のために、一般に分単位で構築されるという利点を有する。
【0055】
本発明による組成物は、更に、前記の搬送付着性が、部分的に複合相手の引裂強さ又は破壊荷重の範囲で既に非常に高いという利点を有する。
【0056】
本発明による組成物は、更に、その付着性が、経時的に、主に貯蔵もしくは熱処理によって更に強化するという利点を有する。
【0057】
本発明による組成物は、更に、その付着性が、材料の劣化とともに減衰しない、すなわち複合物の材料に先立つ劣化が生じないという利点を有する。
【0058】
本発明による組成物は、更に、その付着性が無圧で構築される、すなわち複合物は、加圧もしくは更なる労力を要する方法工程なく実現されるという利点を有する。
【0059】
本発明による組成物は、更に、架橋された組成物が、エラストマー最終製品で高い割合の成分(C)、(D)及び(F)であっても、自己付着性に調整されていない組成物と比較して、実質的に機械的特性又は別の物理特性の悪化を示さないという利点を有する。これは、不利な副作用又は分離作用を引き起こさない、シリコーン系の添加剤(A)と(B)との形態学的類似性によって説明することができる。
【0060】
本発明による組成物は、更に、その架橋された加硫物が、添加剤を好適に選択した場合に、食品との直接的な接触において使用できるので、直接的な接触を回避するために費用のかかる付加的な被覆もしくは担体を使用する必要がなく、かつ該組成物自体が、食品に適さない基材の食品に容認される被覆として役立ちうるという利点を有する。
【0061】
以下に記載される実施例では、部と百分率の全ての表記は、特段の記載がない限りは、質量に対するものである。特に記載がない限り、以下の実施例は、周囲大気の圧力で、従って約1000hPaで、かつ室温で、従って約20℃で、もしくは反応物を室温で追加の加熱又は冷却をせずに合する場合に生ずる温度で実施される。
【実施例】
【0062】
基材
本発明によるシリコーンエラストマーの付着性を、以下の基材上で試験した:
a)ポリアミド(PA):Ultramid(登録商標)A3EG6(BASF AG)
b)アルミニウム(工業品質;プライマー塗装されていない、アルマイト加工されていない)
c)鋼:V2A鋼(工業品質)
d)銅(工業品質)
【0063】
実施例1:本発明による材料の製造並びに同時押出での付着のシミュレーション
29Si−NMRによって測定された平均鎖長800Si−O単位を有するポリ(ジメチル−メチルビニル)シロキサン(Wacker Chemie AG社)1000グラムを、初充填し、そして少しずつ、BET表面積約300m2/gを有する親水性シリカ(Waker Chemie AG社、ミュンヘン)240グラムと、シグマ型混練機中で120℃において均質に混合する。室温に冷却した後に、テトラエチルシリケートと、メチルトリエトキシシランと、ジメチルジエトキシシランからなる3:1:1混合物(全てがWacker Chemie AG社、ミュンヘン)50グラムを100mlのエタノール中に溶かして添加し、そして真空中で40℃において、エタノールが完全に蒸発するまで更に混練する。生ずる配合物に、ここで圧延機で室温において、第2表に示されるように、加硫のために架橋添加剤を供給し、そして以下に記載される試験片上にストリップとして塗布し、そして以下に記載されるように加硫させ、該試験片を試験する。分離力を、第1表に示す。該材料は、平均ショアA最終硬度70を有し、かつ無圧で気泡なく加硫される。
【0064】
同時押出をシミュレートする試験片(実施例1に従って製造された)の付着性の特徴付け
付着強度の特徴付けのために、以下の実施例において製造されたエラストマー材料100.0gを、約6mm厚の層として、事前にアセトンで浄化した基材表面(試験片サイズは約20×60mmであり、両端部でそれぞれ約10mmをマスクすることで、この位置での複合形成を抑える)上に、粘度に応じてドクターブレードで塗布するか又は予備成形されたストリップとして置く。生ずる複合体を、ここで温度200℃において5分間にわたり循環空気乾燥炉中で加硫させ、その際、エラストマー材料の完全な架橋が行われ、引き続き室温に冷却する。引張歪装置(Zugdehnungsmaschine)によって、次いで、エラストマー体と基材体とを完全に互いに分離するために、すなわち付着複合を解くために、剥離試験において必要な最大応力を測定する。分離力の測定は、DIN53531に従って行い、N/mmで示される。例ごとに、5つの試験片を測定し、破壊応力(Abrissspannung)を平均値として測定し、凝集破壊の割合をパーセントで測定する。0%の凝集破壊は、シリコーンエラストマーが完全にかつ残留せずに基材表面から剥離されたことを意味する。100%の凝集破壊(理想的な場合)は、分離が、専ら、シリコーンエラストマー又は基材の内部の亀裂成長によって起こったことを意味する。
【0065】
実施例2:金属ストリップ上での同時押出の場合の付着性
実施例1に従って製造された、自己付着性に調整されたシリコーン材料10kgを、工業的に慣用の押出機に供給し、そして約10mm幅で約6mm厚の矩形断面として、それぞれ4cmの間隔で2cmマスクされた約0.05mm厚の金属バンド上に押し出す。こうして生ずる粗製複合物を、6メートルの熱気ライン(Heissluftkanal)中で230℃の効果的な温度で3分間の滞留時間で加硫させる。最終複合物を冷却した後に、これを、それぞれマスクされた範囲の中央で切り分け、こうして生ずる試験体を、実施例1でのように試験機で引き裂く。結果を、第1表に示す。
【0066】
実施例3:低いショアA硬度を有する本発明による材料の製造
29Si−NMRによって測定された平均鎖長800Si−O単位を有するポリ(ジメチル−メチルビニル)シロキサン(Wacker Chemie AG社)1000グラムを、初充填し、そして少しずつ、BET表面積約300m2/gを有する親水性シリカ(Waker Chemie AG社)200グラムと、シグマ型混練機中で120℃において均質に混合する。室温に冷却した後に、続けて5グラムのテトラエチルシリケート及び5グラムのメチルトリエトキシシラン(全てはWacker Chemie AG社)を添加し、そして高い剪断速度で70℃で1時間にわたり更に混練する。生ずる配合物に、ここで圧延機で室温において、加硫のために、0.02グラムのブチルチタネート(Merck KgAA)及び1グラムのグリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(Degussa AG)並びに第2表に示される架橋添加剤を供給し、そして前記のように加硫させる。該材料は、平均ショアA最終硬度45を有し、かつ無圧で気泡なく加硫される。
【0067】
第1表:(分離力[N/mm];凝集破壊の割合[%]);使用される実施例1及び3による本発明による組成物は白金触媒により付加架橋される
【表1】

【0068】
第1表に示される値は、本発明による付加架橋されたシリコーンエラストマーと有機プラスチックもしくは金属とからなる同時押出物の高い付着強度を裏付けている。特に強調されるべきことは、シミュレートされた同時押出物も実際の同時押出物も、既に新鮮な状態、すなわちまだ温かい状態で測定されて、一貫して表中に示される最終付着性の約80%を示すことであり、従って優れた搬送付着性と、冷却直後に、最終付着性が達成されることである。
【0069】
本発明による組成物の典型的な機械的特性を、同じ架橋系を有する標準的シリコーンと比較して、第2表に示す。第2表に示される例1a〜3bSについては、架橋を、更に以下に示されるように、貴金属触媒及び少なくとも2個のS−H基を少なくとも10個のSi−O単位のSi−O主鎖に有するH−シロキサンによる付加架橋によるか、又は2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシドによりペルオキシド的に実施した。
【0070】

例1aは、実施例1による本発明による材料であって、白金触媒により付加架橋される
例1aSは、標準的なシリコーン材料であって、白金触媒により付加架橋される
例1bは、実施例1による本発明による材料であって、ペルオキシドの誘導により架橋される
例1bSは、標準的なシリコーン材料であって、ペルオキシドの誘導により架橋される
例3aは、実施例3による本発明による材料であって、白金触媒により付加架橋される
例3aSは、標準的なシリコーン材料であって、白金触媒により付加架橋される
例3bは、実施例1による本発明による材料であって、ペルオキシドの誘導により架橋される
例3bSは、標準的なシリコーン材料であって、ペルオキシドの誘導により架橋される
【0071】
第2表:自己付着性のシリコーン組成物の、自己付着性でないシリコーンと比較した機械的特性プロフィール
【表2】

【0072】
機械的比較の結果は、自己付着性を達成するために本発明による組成物中に使用された添加剤が、機械的特性に誤差の限界内で悪影響を及ぼさないことが裏付けられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーンエラストマー組成物であって、
(A)架橋に適した有機基を有する少なくとも1種のシロキサン含有ポリマー、
(B)少なくとも1種の処理されたもしくは未処理の熱分解シリカもしくは沈降シリカ、
(C)シリケート塩又は低分子シリケート化合物を含む群から選択される、熱的にもしくは加水分解的に開裂可能な離脱基O−R2[式中、R2は、H、有機基を意味するか、又は離脱基としてO−R2の代わりにハロゲンを意味する]を有する少なくとも1種のシリケート、
(D)直鎖構造を有するが、但し、シリケートを含まない、少なくとも1種の樹脂形成性モノマーもしくはオリゴマー、
(E)ペルオキシドに誘導される架橋もしくは貴金属錯体に触媒される付加架橋を含む群から選択される、少なくとも1種の好適な架橋系
を含有する、シリコーンエラストマー組成物。
【請求項2】
請求項1に記載のシリコーンエラストマー組成物であって、化合物(A)の架橋に適した有機基が、脂肪族の炭素−炭素多重結合であることを特徴とする、シリコーンエラストマー組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシリコーンエラストマー組成物であって、シリカ(B)が、なおも部分的に親水性の基を有することを特徴とする、シリコーンエラストマー組成物。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載のシリコーンエラストマー組成物であって、シリケート(C)が、一般式(1)
34SiR56 (1)
[式中、R3、R4、R5、R6は、有機基もしくは無機基又は構造−O−R7で示される置換基又はハロゲン基であってよく、その際、R7は、H又は任意の有機基を意味する]に相当することを特徴とする、シリコーンエラストマー組成物。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載のシリコーンエラストマー組成物であって、樹脂形成性のモノマーもしくはオリゴマー(D)が、一般式(2)
89(R10O)Si−OR11 (2)
[式中、R8、R9は、任意の有機基、無機基又はハロゲン置換及び/又は有機置換された直鎖状の及び分枝鎖状の1〜10個のSi−O単位を有するシロキサンを意味し、R10及びR11は、任意の有機化合物もしくは無機化合物を意味するが、但し、両者の少なくとも一方が、事前に形成された離脱基を有する]に相当することを特徴とする、シリコーンエラストマー組成物。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載のシリコーンエラストマー組成物の製造方法において、成分(A)〜(E)を、互いに均一に混合することを特徴とする、シリコーンエラストマー組成物の製造方法。
【請求項7】
請求項1から5までのいずれか1項に記載のシリコーンエラストマー組成物から複合成形部材を製造するための方法において、圧力を作用させて、圧力を作用させずに、同時押出、カレンダ加工及び重ね成形によって行う製造方法。
【請求項8】
請求項1から5までのいずれか1項に記載のシリコーンエラストマー組成物の架橋により製造される押出物又は成形部材。

【公開番号】特開2008−214636(P2008−214636A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−58719(P2008−58719)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】