説明

無断ベルト

【課題】本発明は、パラフィン系炭化水素(パラフィンワックスとも呼ぶ)、その異性体またはエステル化合物のうちで選択される少なくとも1種の物を含む離型性コーティング層を含む画像形成装置用ベルトを開示する。
【解決手段】本発明の一具現例による無断ベルトの持続使用温度の向上を考慮して、離型性コーティング層のうちで含まれる化学式1乃至2で表示されるパラフィン系炭化水素、その異性体またはエステル化合物のうちで選択される少なくとも1種の物は沸点が少なくとも300℃であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の中間転写ベルトまたは定着ベルトなどで使用することができる無断ベルトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コピー機、ファクシミリ、プリンターなどの画像形成装置に使用される画像形成装置において、例えば、転写部で使用される中間転写ベルト、定着部で使用される定着ベルトなどの画像形成装置用ベルトには、一般的に高密度駆動の必要性からポリイミド樹脂で作製された樹脂剤の円筒体や金属製の円筒体が定着ベルトで使用されている。
【0003】
定着ベルトは、定着温度に対する耐熱性やトナーに対する離型性が要求される。このために定着ベルトは外面(トナーと接触する面)がフッ素樹脂などの耐熱性異形被膜に覆われている。定着ベルトは、また30〜40枚/分の速度で10万枚程度のコピーに耐えることができる耐久性も要求される。このために定着ベルトは、基材層と離型層の強固な接着性が要求される。
【0004】
このような定着ベルトは、一般的に極性重合溶媒のうちでテトラカルボン酸二無水物類とジアミン類を反応させて得られるポリイミド前駆体溶液から円筒体を成形して乾燥させて、延いては、その円筒体にプライマーを塗布して乾燥させた後、延いてはそのプライマー層上にフッ素樹脂分散液を塗布して乾燥して、最後に高温下でポリイミド前駆体をイミド化するとともにふっ素樹脂を塑性する方法や、金属材料を円筒体で加工して、その円筒体にプライマーを塗布して乾燥した後、そのプライマー層上にフッ素樹脂分散液を塗布して乾燥、塑性する方法などによって得ることができる。ポリイミド前駆体溶液から円筒体を製造する方法としては、例えば、成形金型の外面や内面に所定の厚さでポリイミド前駆体溶液を成形した後、加熱あるいは化学的にイミド化させて金型から分離してポリイミド円筒体を得る方法が提案されている。
【0005】
ところで離型性樹脂層の主要材料であるフッ素樹脂の場合は変形温度が280℃程度であるので、このような離型性樹脂層を含む転写ベルトや定着ベルトの場合、持続使用温度が280℃を超すことができないという限界があり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一具現例では、耐熱特性が向上された離型層を含む無断ベルトを提供しようとする。
【0007】
本発明の一具現例では次の化学式1乃至2で表示されるパラフィン系炭化水素、その異性体またはエステル化合物のうちで選択される少なくとも1種の物を含む離型性コーティング層を含む無断ベルトを提供する。
[化学式1]
2n+2
前記式で、nは20以上の整数である。
[化学式2]
RCOOR’
前記式で、RはC2m+1であり、R’はC2p+1であり、m及びpはそれぞれ整数であり、その和であるm+pは20以上の整数である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一具現例による無断ベルトの持続使用温度の向上を考慮するとき、離型性コーティング層のうちで含まれる化学式1乃至2で表示されるパラフィン系炭化水素、その異性体またはエステル化合物のうちで選択される少なくとも1種の物は沸点が少なくとも300℃であることが望ましい。
【0009】
また、本発明の一具現例による無断ベルトにおいて、パラフィン系炭化水素またはその異性体は精製の限界によって前記化学式1乃至2で炭素数が特定数であることは難しいところ、nが20以上であるものまたはm+pの数が20以上であるものが良く、これら化合物は、離型性コーティング層の重量に対して少なくとも50重量%で含まれることが離型性と防汚性、耐熱性、そして表面特性を満足する側面で望ましい。
【0010】
このような離型性コーティング層は、溶解性の面で溶剤としてナフサ(Naphtha)、ソルベントナフサ(Solvent Naphtha)、四塩化炭素(Carbon Tetrachloride)、ベンゼン(Benzene)、クロロホルム(Chloroform)、ジクロロメタン(Dichloromethane)、ジクロロエタン(Dichloroethane)、リグロイン(Ligroin)、石油エーテル(Petroleum Ether)、イソブチルエーテル、エーテル、ペンタン(Pentane)、ヘキサン(Hexane)、ヘプタン(Heptane)、オクタン(Octane)、イソデカン(Isodecane)などから構成されたものが望ましく、アルコール類(純度95%以上)、アセトン、酢酸エチルなどは溶解度が非常に微弱であるために薄膜コーティングに適用が可能であるが勧奨しない。
【0011】
また、パラフィン系炭化水素(パラフィンワックスとも呼ぶ)、またはその異性体またはエステル化合物は中間転写ベルトまたは定着ベルトを構成するポリイミド、ポリアミドなどの高分子成分との相溶性が低いところ、混合して使用することに不適切であり、離型性を発現するための点で無断ベルトの外面に形成されることが望ましいことがある。
【0012】
離型性コーティング層の厚さは、定着ベルトの場合には特別に限定する理由がないが、薄膜で形成しても十分な離型性と防汚性を示すために25.0μm以下であることが望ましく、中間転写ベルトの場合厚さが厚いと中間転写ベルトで要求する表面抵抗特性を歪曲することがあるので、厚さが0.05乃至3.0μm程度であることが望ましいことがある。
【0013】
本発明の無断ベルトは、画像形成装置の中間転写ベルトとしての用途を有することができる。
【0014】
本発明の無断ベルトは、また画像形成装置の定着ベルトとしての用途を有することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一具現例によれば、持続使用温度が少なくとも300℃である耐熱性を有しながら、防汚性を有してまた基材に対する接着力が優秀な離型性コーティング層を有する無断ベルトを提供することができ、得られる無断ベルトは中間転写ベルトまたは耐熱性を有する定着ベルトで有用であることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
このような本発明をさらに詳細に説明すれば次のようである。
【0017】
本発明の一具現例による画像形成装置用ベルトは、次の化学式1乃至2で表示されるパラフィン系炭化水素(パラフィンワックスとも呼ぶ)、その異性体またはエステル化合物のうちで選択される少なくとも1種の物を含む離型性コーティング層を含む。
[化学式1]
2n+2
前記式で、nは20以上の整数である。
[化学式2]
RCOOR’
前記式で、RはC2m+1であり、R’はC2p+1であり、m及びpはそれぞれ整数でm+pは20以上の整数である。
【0018】
化学式1で表示されるパラフィンワックスの一例としては、次の表1のような成分であることができるが、ノルマルパラフィンに限定されるわけではない。
【0019】
【表1】

【0020】
前記の表1を見ると、nの値が少なくとも20以上なら沸点が300℃以上であり、nの値が増加することによって沸点も上昇することがわかる。前記表1において沸点値を表示しない一部の化合物の場合は、工業的に生産されるものなどにおいて、その値を容易に確認しにくいか、または沸点が観察されないものなどであると理解することができ、これはnの値による沸点の変化を確認することで十分な意味を有するとするであろう。
【0021】
一方、化学式2で表示される化合物の一例では、下記構造式のようにmは15であり、pは16であるパルミチン酸ヘキサデシル(Hexadecyl Palmitate)が挙げられる。
【化1】

【0022】
また、下記構造式のようにmは21であり、pは1であるベヘン酸メチル(Methyl Behenate)であることがある。
【化2】

【0023】
前記2種の化合物を例に挙げたが、本発明で提示する化学式2に対する化合物はこれに限るものではない。
【0024】
化学式1で表示されるパラフィン系炭化水素は、イソパラフィン系炭化水素であることができ、また合成イソパラフィン系炭化水素であることができる。化学式2で表示される化合物は、直鎖型脂肪酸(Fatty Acid)のエステル化合物である。このようなパラフィン系炭化水素(パラフィンワックスとも呼ぶ)、またはその異性体またはエステル化合物は、膜形成時には基材に対する接着力を発現すると同時に表面が離型性を有して無断ベルトの最外表面に位置される場合トナーに対する離型性を発現することができる。ここで、基材は金属材または、ポリカーボネートまたはポリイミド系樹脂であることができ、それぞれの基材に対して接着力は対等な程度に現われる。
【0025】
前記化学式1で表示される有機物は、nが少なくとも18に達すると25℃(常温)で安定的な固体状態を維持することができる。本発明ではnが少なくとも20以上として、30℃以上で安定的な固体状態を維持できるようにしており、望ましくは、100℃以上で安定的な固体状態を維持することができた方が良い。
【0026】
また、この場合沸点が300℃以上を維持することができ、これで、耐熱性異形コーティング層を形成することができる。
【0027】
本発明で提示するパラフィン系炭化水素は、合成パラフィン系炭化水素混合物または石油樹脂から得られるパラフィン系炭化水素混合物から蒸溜または精製を通じて炭素数が少ない炭化水素(以下、低級炭化水素、炭素数20未満)をとり除いて得られるものであり、低級炭化水素をとり除いたパラフィン系炭化水素(以下、高級炭化水素、炭素数20以上)は炭素数が正確に知られたものだけでなく、炭素数と分子構造が正確に知られない炭化水素を含んでいる。また、高級炭化水素混合物はノルマルパラフィン系炭化水素だけでなく、複数のイソパラフィン系炭化水素が混合されて構成されている。本発明では高級炭化水素で構成された離型性コーティング層を構成するものが望ましく、さらに望ましくは、前記の高級炭化水素混合物から炭素数が20乃至70に至る高級炭化水素を減圧蒸溜を通じてとり除き、残った残留炭化水素混合物を適用した方が良い。このような残留炭化水素混合物は、溶融点が100℃以上であり、沸点が正確に知られない程度に高い水準である。但し、蒸留工程を繰り返すか、または高温/低圧の極限条件を適用して製造される高級炭化水素は、経済性の側面で費用増加の原因になるので、炭素数が20以上で構成されるパラフィン系炭化水素混合物を適用することが一番現実的である。
【0028】
したがって、離型性コーティング層はパラフィン系炭化水素(パラフィンワックスとも呼ぶ)、またはその異性体またはエステル化合物のうちで選択される1種の成分だけで構成されるものであることができるし、2種以上の混合されたものであることができる。2種以上のパラフィン系炭化水素(パラフィンワックスとも呼ぶ)、またはその異性体またはエステル化合物は化学構造及び成分において少しの差があるが、離型性、防汚性及び耐熱性において類似な水準である。
【0029】
このような高級炭化水素は、ノルマルパラフィン系炭化水素であるか、またはイソパラフィン系炭化水素で構成されて、炭素数が多くなるほど耐熱性が優れる。炭素数が多い高級炭化水素は、非常に優秀な耐熱性を発現するところ、基材表面にコーティング後高温で熱処理することで、要求される耐熱性を有する高級炭化水素被膜を含む基材を具現することができる。このような熱処理は耐熱性が低い炭化水素を揮発させてとり除いて、高級炭化水素のみで構成される被膜層を形成させるようにしてくれる。
【0030】
通常、離型性コーティング層をなす他の成分などをさらに含むことができる。
【0031】
この場合、離型性コーティング層のうちで前記化学式1乃至2で表示される成分の含量は少なくとも50重量%、好適には、70重量%になってこそ所期の目的を達成することができる。
【0032】
離型性コーティング層をなす他の成分らの一例としては、本発明の目的を害しない範囲で公知の添加剤であり、例えば充填材、染料、顔料、顔料分散剤、固体滑剤、沈降防止剤、レベリング剤、表面調節剤、水分吸収剤、ゲル化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、色分離防止剤、被膜防止剤、界面活性剤、消泡剤、抗菌剤、かび防止剤、防腐剤、増粘剤、熱伝導性付与剤などを挙げることができる。
【0033】
離型性コーティング層は、溶解性側面で溶剤としてナフサ(Naphtha)、ソルベントナフサ(Solvent Naphtha)、四塩化炭素(Carbon Tetrachloride)、ベンゼン(Benzene)、クロロホルム(Chloroform)、ジクロロメタン(Dichloromethane)、ジクロロエタン(Dichloroethane)、リグロイン(Ligroin)、石油エーテル(Petroleum Ether)、イソブチルエーテル、エーテル、ペンタン(Pentane)、ヘキサン(Hexane)、ヘプタン(Heptane)、オクタン(Octane)、イソデカン(Isodecane)などの単独あるいは2種以上の混合溶液から形成されることが望ましく、アルコール(純度95%以上)、アセトン、酢酸エチルは溶解度が微弱であるために前述した溶剤と混合した溶液に適用されることができる。
【0034】
このような離型性コーティング液を利用して定着ベルトや転写ベルトのような画像形成装置用無断ベルトで製造する場合、樹脂または金属を基材として利用することができる。
【0035】
樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂などの耐熱性樹脂であることができ、中間転写ベルト及び定着ベルトの基材として使用されることができる。また、ポリカーボネート、シリコン樹脂、ゴム樹脂などであることができるし、中間転写ベルトの基材として使用されることができる。金属としては、例えば銀、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス鋼などを挙げることができる。また、樹脂及び金属の少なくとも一面を2種以上積層したものを基材として使ってもかまわない。
【0036】
樹脂には、例えば、電気伝導性充填材、機械的物性強化充填材、顔料、顔料分散剤、固体滑剤、沈降防止剤、レベリング剤、表面調節剤、水分吸収剤、ゲル化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、色分離防止剤、被膜防止剤、界面活性剤、帯電防止剤、消泡剤、抗菌剤、かび防止剤、防腐剤、増粘剤、熱伝導性付与剤などを含むことができる。
【0037】
基材の形状は特に制限されないが、基材は円筒状、シート状またはその以外の形状でもかまわない。但し、ファクシミリ、コピー機、レーザービームプリンターなどの転写写真画像形成装置のトナー定着ベルトを製造する場合基材は円筒体であることが望ましい。
【0038】
このような基材に離型性コーティング液を塗布する方法としては、ブラシ塗り法、スピンコーティング法、スプレー法、ディスペンサー法、浸漬法、圧出法など公知の方法を利用することができ、中間転写ベルト及び定着ベルト用途にはスプレー法が一番望ましい。
【0039】
コーティング後塑性工程を経ることができるが、その条件は60℃乃至200℃であることがある。塑性工程は異形力が半永久的であることがあるようにする工程で必ず要求されるものではない。
【0040】
コーティングまたはコーティング及び塑性後離型性コーティング層は、厚さが0.05乃至25μm程度であることが十分な離型性発現のための側面で望ましいことがある。離型性コーティング層の厚さは定着ベルトの場合には特別に限定する理由がないが、薄膜で形成しても十分な離型性と防汚性を示すために25.0μm以下であるものが望ましく、中間転写ベルトの場合厚さが厚いと中間転写ベルトで要求する表面抵抗特性を歪曲することがあるので、厚さが0.05乃至3.0μm程度であることが望ましいことがある。
【0041】
離型性コーティング層は、トナーとの離型性を考慮すればベルトの最表面に位置されることが望ましいことがある。
【0042】
以下、本発明を実施例に基づいて詳しく説明すれば次のようであるところ、本発明がこれら実施例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0043】
実施例1
パラフィン系炭化水素であるヘキサコサン(Hexacosane、炭素数n=26、Tokyo Chemical Industry.,Co.Ltd)をノルマルヘキサンに固形分含量5重量%になるように溶解して離型層形成用粗液を製造した。
【0044】
得られた粗液をBPDA−ODA−PPDA基盤のポリイミド円筒体(内径185mm、厚さ65μm)、ステンレス円筒体(内径24mm、厚さ0.1mm)それぞれの外表面にスプレーコーティング法を通じてコーティングした後120℃で20分間塑性後平均厚さが0.2μmになるように塗布して最終円筒積層体を得た。
【0045】
(1)離型性コーティング層の評価
製造された無断ベルト上にカラーレーザープリンターに使用されるトナー(三星電子CLP−300用Black)を薄く振り撤いた後、振り撤かれたトナーを、接着テープ(3M社、スコッチマジックテープ(登録商標))を利用してとり除いた。この時、無断ベルト上に残るトナー有無を確認した。
【0046】
(2)印刷機器用無断ベルトとしての評価(画像の質評価)
カラーレーザープリンター(三星電子CLP−300)の中間転写ベルトまたは定着ベルトとして無断ベルトを製造した後既存の装着されたベルトと入れ替えて、入れ替え前後の印刷画像の質を肉眼で比べた。
【0047】
(3)持続使用温度の評価
定着ベルトは250℃以上の持続使用温度を要求するところ、前記(2)印刷機器用無断ベルトとしての評価において、定着ベルトに製造された無断ベルトを適用した後1000枚の印刷後に初期印刷物と最終印刷物の印刷画像を肉眼で比べた。肉眼観察結果が良好な無断ベルトに限り焼成炉を利用して350℃及び450℃で1時間熱処理した後印刷物を評価して最終的に持続使用温度を評価した。
【0048】
前記のような評価結果を次の表2に示した。
【0049】
実施例2
パラフィンワックス混合物(ミクロクリスタリンワックス、溶融点65.5〜76.6℃、炭素数n=29乃至37、(株)大明ケミカル、韓国)をイソブチルエーテルに固形分含量5重量%になるように溶解して離型層形成用粗液を製造した。
【0050】
前記実施例1と同一な方法でそれぞれの円筒体に前記の離型層形成用粗液を利用して塗布して塑性して、離型性コーティング層を有する円筒状積層体を製造した。
【0051】
これに対して前記実施例1と同一な方法で評価して、その結果を次の表2に示した。
【0052】
実施例3
パラフィンワックス混合物(ミクロクリスタリンワックス、溶融点101℃、炭素数n=60乃至70、日本精蝋(Nippon Seiro)社、日本)をソルベントナフサ(Solvent Naphtha)及びナフサ(Naphtha)に固形分含量3重量%になるように溶解して離型層形成用粗液を製造した。
【0053】
前記実施例1と同一な方法でそれぞれの円筒体に前記の離型層形成用粗液を利用して塗布して塑性して、離型性コーティング層を有する円筒状積層体を製造した。
これに対して前記実施例1と同一な方法で評価して、その結果を次の表2に示した。
【0054】
実施例4
イソブチルエーテルにヘキサコサンを5重量%になるように、そしてエステル化合物であるベヘン酸メチル(溶融点55℃、沸点393℃、Tokyo Chemical Industry.、 Co.Ltd)を5重量%になるように溶解して総固形分含量が10重量%になるように離型層形成用粗液を製造した。
【0055】
前記実施例1と同一な方法でそれぞれの円筒体に前記の離型層形成用粗液を利用して塗布して塑性して、離型性コーティング層を有する円筒状積層体を製造した。
【0056】
これに対して前記実施例1と同一な方法で評価して、その結果を次の表2に示した。
【0057】
実施例5〜6
前記実施例3において、離型層形成用粗液の固形分含量を10重量%になるようにして、離型性コーティング層の厚さを異なるようにしたことを除いて同一な方法で円筒状積層体を製造した。
【0058】
これに対して前記実施例1と同一な方法で評価して、その結果を次の表2に示した。
【0059】
実施例7〜10
前記実施例3において、離型層形成用粗液の固形分含量を10重量%になるようにして、得られた粗液をポリイミド円筒体(内径24mm、厚さ65μm)、ステンレス円筒体(内径24mm、厚さ0.1mm)それぞれの外表面にスプレーコーティング法を通じてコーティングした後120℃で20分間塑性後の厚さが5乃至25μmになるように塗布して最終円筒積層体を得た。
【0060】
これに対して前記実施例1と同一な方法で評価して、その結果を次の表2に示した。
【0061】
【表2】

【0062】
前記表2において、持続使用温度において“評価しない”は実施例1乃至6から得られるポリイミド基材の無断ベルトは中間転写ベルトの用途として考慮されるものであり、通常中間転写ベルトの場合常温で使用されるものであるので、評価が無意味で評価しないものとして理解されるであろう。
【0063】
前記表2の結果から、本発明の一具現例によるパラフィン系炭化水素(パラフィンワックスとも呼ぶ)、またはその異性体またはエステル化合物を含む離型性コーティング層を含む中間転写ベルトまたは定着ベルトは多様な基材に対する接着力が優秀でありながらトナーに対する離型性が優秀で画像特性も優秀であって、特に、定着ベルトで使用時に持続使用温度が高くなって実質的に耐久性を向上させることができることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の化学式1乃至2で表示されるパラフィン系炭化水素、その異性体またはエステル化合物のうちで選択される少なくとも1種以上の物を含む離型性コーティング層を含む無断ベルト。
[化学式1]
2n+2
(前記式で、nは20以上の整数である)
[化学式2]
RCOOR’
(前記式で、RはC2m+1であり、R’はC2p+1であり、m及びpはそれぞれ整数であり、m+pは20以上の整数である)
【請求項2】
化学式1乃至2で表示されるパラフィン系炭化水素、その異性体またはエステル化合物のうちで選択される少なくとも1種以上の物は、沸点が少なくとも300℃である請求項1に記載の無断ベルト。
【請求項3】
化学式1乃至2で表示されるパラフィン系炭化水素、その異性体またはエステル化合物のうちで選択される少なくとも1種以上の物は、離型性コーティング層重量に対して少なくとも50重量%で含まれる請求項1に記載の無断ベルト。
【請求項4】
離型性コーティング層は、溶剤としてナフサ(Naphtha)、ソルベントナフサ(Solvent Naphtha)、四塩化炭素(Carbon Tetrachloride)、ベンゼン(Benzene)、クロロホルム(Chloroform)、ジクロロメタン(Dichloromethane)、ジクロロエタン(Dichloroethane)、リグロイン(Ligroin)、石油エーテル(Petroleum Ether)、イソブチルエーテル、エーテル、ペンタン(Pentane)、ヘキサン(Hexane)、ヘプタン(Heptane)、オクタン(Octane)及びイソデカン(Isodecane)のうちで選択される単独あるいは2種以上の混合溶液を含む溶液から形成されたものである請求項1に記載の無断ベルト。
【請求項5】
離型性コーティング層は、厚さが0.05乃至25μmである請求項1に記載の無断ベルト。
【請求項6】
離型性コーティング層は、厚さが0.05乃至3.0μmである請求項1に記載の無断ベルト。
【請求項7】
離型性コーティング層が最表面に形成されるものである請求項1に記載の無断ベルト。
【請求項8】
画像形成装置の中間転写ベルトである請求項1に記載の無断ベルト。
【請求項9】
画像形成装置の定着ベルトである請求項1に記載の無断ベルト。

【公開番号】特開2011−209728(P2011−209728A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71568(P2011−71568)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(597114649)コーロン インダストリーズ インク (99)
【Fターム(参考)】