説明

無機固体粒子フリーの腐食保護性及び電気伝導性組成物、並びに金属シートの表面処理方法

腐食及び電気伝導性保護組成物、並びに有機ポリマー及び無機化合物を含有する水性組成物よる金属シートの表面処理方法であり、組成物は、少量の過酸化水素又は他の過酸化物も含有し、本方法の本質的な特徴は、被覆表面が、使用される液体組成物が伝導性無機固体粒子を含有していなくても、被覆表面の良好な耐食性及び良好な電気伝導性を有することである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来技術のポリマー及び無機化合物を含有する組成物により可能であった良好な腐食性能及び他の望ましい特性の他に、処理した金属表面の良好な電気伝導性も可能にする、水性組成物で金属表面を被覆する方法に関する。この望ましい電気伝導性は、水溶液又は水エマルションとして相乗的に作用するある特定の添加剤を、既に既知の水性有機−無機組成物に導入することによって得られる。
【0002】
この金属表面を被覆する方法のための組成物は、有機皮膜形成ポリマーミックス及び無機化合物を含有する水性組成物である。アニオンとして、以下のカチオンの、アルミニウム、リチウム、カリウム、ナトリウム、チタン、三価クロム、バナジウム及び亜鉛の、グリコーレート、ラクテート、オキサレート、ホスフェート、クロリド、スルフェート及びタータレートを有する。最終的に、ホウ素、チタン、ジルコニウム及びケイ素のヘキサフルオロ錯体塩も有する。特に、処理金属表面に電気伝導性を与えるために、幾つかの非常にまれな添加剤を有する。しかし本方法の本質的な特徴は、被覆表面が、被覆表面の良好な耐食性及び良好な電気伝導性の両方を得ることである。使用される液体組成物が、従来技術において示唆されているように、追加的な伝導性無機固体粒子を含有しない場合でもそうである。
【0003】
本方法に使用される組成物は、伝導性固体無機粒子の代わりに、溶解した添加剤として、通常と異なる非常に高い含有量の水溶性無機金属ホスフェートを、また、非常に高く通常と異なる含有量の、エトキシル化リン酸アルキル、エトキシル化硫酸アルキル又はエチレン及び/若しくはプロピレンに基づいたポリエーテル、グリコールのような、水溶性有機化合物を含有する。相乗的に作用するので、無機と有機の両方の水溶性添加剤が好ましい。本発明は、対応する水性組成物及び本発明の方法により被覆される金属基材の使用に関する。
【背景技術】
【0004】
金属(とりわけ金属シートの)表面を処理する多くの方法は、金属耐食性を増加するために、大昔から六価クロム(クロムVI化合物)の使用に基づいている。そのような効果は、金属表面不動態化として知られている。最近になって、ポリマー及び他の補助剤と関連した六価クロムの使用は、耐食性を更に増加し、また、乾燥滑性及び更なる前処理なしの直接的な塗料接着のような他の興味深い特性を金属表面に導入している。そのような生成物の例は、これも水性であり、米国特許第4,006,041号に記載されている。
【0005】
市場における使用では、薄膜を含有するそのようなポリマーは、金属表面に適用されたとき、多くの場合に通常の取り扱いで金属表面に残る永久的な指紋を示さなかった。この特徴は、美観の理由から市場において最も望ましいと見られている。
【0006】
六価クロムに関連する毒性及び環境リスク、並びにその使用に対する法的制限の可能性対する懸念は、水性方法及び六価クロムのない組成物を含むが、代替的な無機金属表面不動態系を有するポリマーへの興味を高めた。また、他の多機能的な表面特性、腐食及び指紋からの保護、塗布可能性及び滑性も、そのような方法において求められた。例えば、欧州特許公報第0,694,593号は、方法、並びにポリマー、過酸化水素、酸及び幾つかの無機不動態化化合物を含有するが、六価クロムのない組成物を記載する。最終的に電気伝導性固体顔料の使用も記載されている。
【0007】
しかし、通常は、電気伝導性顔料の使用は被覆表面を曇らせ、一部の顔料は表面に色も付ける。
【0008】
後の特許出願の国際公開公報第02/24975A1は、前者と非常に類似しており、これも、ポリマー、本質的に同じ元素を含有する不動態化化学薬品、リン酸及び/又は金属酸化物、水素化物若しくは炭酸塩と存在する成分Aの一部との反応により作製される成分(G)を含有し、六価クロムのない組成物を教示する。この成分Aは、フルオロメタレートアニオンとして記載されている。本出願は、欧州特許公報第0,694,593号と重要な類似性を有し、ポリマー、幾つかの金属、リン酸、フルオロ金属アニオン及び過酸化物も存在することによって、本方法と同一性を有する。
【0009】
しかし、これらの特許のうち、本特許において提案されている一連の添加剤を記載しているものはない。電気亜鉛被覆シート適用について、表面処理を含むそのようなポリマーの適用と関連する問題に触れているものもない。その理由の一部には、国際公開公報第02/24975A1は、非常に厚い有機被覆が通常は導電性にできないので、塗料への接着を改善することだけを対象としているからである。そして、欧州特許公報第0,694,593号において設定された下限を少し下回る500mg/m未満の乾燥膜の処理を選択している。
【0010】
しかし、欧州特許公報第0,694,593号による組成物は、許容可能な電気伝導性と同時に良好な耐食性の組み合わせという妥協に対する可能性がほとんどない。したがって、相当な研究努力が、そのような特性の妥協を、この手順によって処理された表面に付与する方法を見出すために費やされてきた。見出された添加剤及びそれらの相乗効果は、この努力の結果である。
【0011】
十分な耐食性のある油フリーの金属シート表面で、少なくとも一方の面に容易に塗布することができ、型出し及び軽度の加圧作業に十分の滑性も提供し、通常の取り扱いで指紋を付けない感じの良い表面も有するものが、電気及び電子産業によっても求められている。しかし、現在、電気及び電子機器への金属シートの適用は、追加的に表面処理が表面に十分な電気伝導性を残すことも必要としている。しかし、圧倒的に多くの有機ポリマーは固有的に非伝導性である。電気伝導性は、機器の電気接地が要求される場合に重要である。また、今日の電子回路部品は非常に小さな電流を使用するので、非常に小さい自然発生的な静荷重電気火花を避けることも重要である。伝導性は、そのような鋭敏なデジタル回路を周囲に存在する電磁波から保護しなければならないときにも重要である。この最後の効果は、通常、鋭敏な電子機器、例えばコンピューターを、内側の機器を外側の電磁場から遮断するファラデー箱のような閉鎖した電気伝導性金属箱の中に完全に密封することによって実施される。そのような箱の全ての要素は、全て伝導性でなければならず(これらは金属性である)、また、電気的に接触していなければならないので、金属表面処理された表面が伝導性とすることが要求される。
【0012】
ほとんどの有機ポリマーが固有的に非伝導性であるので、伝導性顔料若しくはあらゆる種類の伝導性粒子、又は他の調合物を全く用いない場合、乾燥表面膜厚における非常に狭い妥協しか見出すことができない。処理方法により製造される有機膜が0.7g/mよりも薄い場合、そして表面粗さが余裕十分な金属表面に適用される場合、必要十分な微視的金属頂上の表面がポリマーに覆われないで残り、十分に足りる伝導性がまだ測定される。しかしそのような多孔性は、腐食性能をより低くするか又は低くしすぎる。処理膜が1g/mより厚い場合、十分に足りる腐食性能を確保することができる。しかし必要十分な電気伝導性はない。この特性の平衡は、有機膜の厚さという狭い「窓」次第である。厚さの正確なモニタリングは、今存在する工業プラントではほぼ可能ではない。
【0013】
前記に記述したように、電気伝導性を、ポリマー膜がポリマー及び不動態化化学薬品ばかりでなく、電気伝導性固体顔料又は固体充填剤も含有する場合に、ポリマー膜に付与することができる。次に、これらを伝導性固体粒子として一般的に記載する。そのような原則は、特殊な伝導性塗料における大量のプラスチック片について、また表面処理において、長きにわたって広範囲に使用されてきた。伝導性粒子は、微粉砕金属から、グラファイト又は同様の伝導性炭素粒子から、幾つかの伝導性又は半伝導性塩及び酸化物から作製することができる。
【0014】
ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロールのような極めて珍しい伝導性有機ポリマー粒子も文献から知られており、限定された工業用途を有するが、そのような広範囲の表面ではかなり高価なものになる。伝導性無機固体粒子を含む、そのような薄い有機膜処理の例、さらにポリマーの例及びそれらの適用は、米国特許出願公報第2004/0054044号において見ることができる。
【0015】
固体無機伝導性粒子を液体表面処理組成物に使用する場合、表面処理又は被覆を、それらが1.3g/mよりも厚くても伝導性にすることができる。そのような表面は、非常に低い多孔性を有し、良好な耐食性を達成することができる。表面は色が付き、伝導性粒子により曇るので、これはごくわずかな場合でのみ重要視されない欠点である。例えば、全ての表面が後で塗料により覆われる場合の米国特許出願公報第2004/0054044号においては問題ではない。
【0016】
そのような珍しい伝導性有機ポリマーの幾つかの制限は、大幅に低減することができ、それらの使用は、顔料又は固体粒子としてではなくそのような伝導性有機ポリマーの水エマルションとして使用する場合にのみ、本特許出願において提案されている添加剤と適合性がある。しかし固体が3%を超える理にかなった技術的効果を得る妥当な濃度の純粋な伝導性有機ポリマー水性エマルションは、安定性がほとんどない。
【0017】
適切な重合技術により、従来のポリマーエマルションから作製された膜の伝導性を実質的に増強することは実現可能であることが知られている。これは、例としてはポリアニリン、ポリピロール又はポリチオフェンのような異種の電気伝導性ポリマーの極めて薄いシェルを、そのような非伝導性有機ポリマーエマルションのミセルの表面に、その場で直接重合することによって行うことができる。組成物におけるそのような異種のポリマーの量は、非常に少量であるので、膜は、その透明性及び光輝を失わず、処理の費用も著しく変わることがなく、最終組成物において固体材料を摩砕又は分散する必要もない。ここでも、相乗効果は、本出願で提案された他の添加剤と組み合わせた増強された伝導性を有するこの種類のシェル−コア有機ポリマーを使用することによって、達成することができる。
【0018】
そのような有機ポリマー改質は、提案される他のあらゆる添加剤とのあらゆる割合において組み合わせ使用することもできる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の目的の方法及び処理液体組成物は、必要十分な腐食保護を確実にするのに十分に足りる乾燥膜厚を有するポリマー膜処理表面に、伝導性無機固体粒子フリーの組成物を使用するものの、十分に足りる電気伝導性を提供する。
【0020】
したがって、無機固体を粉砕して極めて微細な粒径とすること、粒子凝集塊の成長を回避すること及び適用装置内でのそのような無機粒子の沈降を制御することに関する問題及び費用を回避できる。
【0021】
更に、この組成物で被覆した表面は、元来の感じのよい金属表面の金属色及び光輝を保持する。多くの場合、コンピューターの筐体におけるように、処理された金属シートは、機器の外側に残される、シートの面の一方でのみ伝導性処理に重ねて塗布される。大部分の塗料は電気伝導性ではなく、外観に対する要求は少なく、塗料は高価であるので、内側の表面は通常塗布されていない。
【0022】
この利点は、本特許に記載されている方法により、特に、アルミニウム、マグネシウム、スズ、亜鉛又はそれの六価クロム無含有組成物との合金により被覆された鋼鉄の金属表面を処理する方法により、追加被覆の前の前処理として又は単独の完全な処理として達成される。処理されている金属部分は、多くの場合にシート形態であるか又はそのような処理シートから製造されている。
【0023】
無機固体粒子フリーの腐食保護性及び電気伝導性組成物は、少なくとも下記を含む:
a/有機ポリマーの、液体、水ベース、溶液又はエマルション。
b/ポリマー液体溶液又はエマルションに含有されている固体の少なくとも3%を、カチオンとしての溶解亜鉛として含有する、酸性水に基づく無機溶液。
c/そのようなポリマー液体溶液又はエマルションに含有されている固体の少なくとも10%を、溶解リン酸として又は酸性リンに基づく塩として含有する、そのような水溶液。
d/最終的に少量で存在する、チタン、ジルコニウム、ケイ素及びホウ素のアセチルアセトネート、グリコレート、ラクテート、オキサレート、タータレート及びヘキサフルオロ錯体塩のような、他のアニオン。
アルミニウム、リチウム、ナトリウム、マンガン、モリブデン、カリウム、チタン、三価クロム、バナジウムのような存在する他のカチオンは、酸化物、水酸化物又は塩として添加される。最後にアニオンにより調整すると、亜鉛及び他のカチオンが全て存在する含有物は溶液に完全に溶解する。この酸性無機溶液は、完全に透明であり、粒子が存在しないことを保証する。
e/溶液中の幾つかの無機又は有機過酸化物。
f/場合により、アンモニア、リチウム、ナトリウム若しくはカリウムで中和しているエトキシル化硫酸アルキル若しくはエトキシル化リン酸アルキル、又はそのような化合物と前者との混合物も含むポリオキシエチレンコポリマーのような、処理固形分で計算された2%を超える濃度の幾つかの水溶性有機界面活性剤。
g/最終的に、接着促進剤、架橋剤又は疎水性剤として幾つかに液体シラン又はシランミックスを使用することもできる。
h/場合により、ポリアニリン、ポリピロール及びポリチオフェンのような幾つかの電気伝導性有機ポリマーのエマルション。
【0024】
前記に記載された幾つかの有機ポリマーエマルションの少なくとも一部を改質することによって、乳化ミセルのコアの周りに、伝導性有機ポリマーの薄いシェルを重合して、乾燥膜の電気伝導性を増強することが可能である。
【0025】
無機固体粒子フリーの溶液又はエマルションを、清浄な金属表面に湿潤膜として適用し、その後、高温空気流により又は金属シートの誘導加熱により又はIR、UV若しくは電子ビームのような放射線により、40〜240℃の範囲の温度で乾燥又は硬化する。温度を、接触式熱電対により金属表面で測定し、組成物を追加の水で希釈して最終乾燥膜厚を調整する。
【0026】
金属表面は、アルミニウム、マグネシウム、スズ及び亜鉛、並びにこれらの合金であり、ほとんどの場合にこれらの合金は鋼鉄シート上の被覆である。
【0027】
そのような乾燥は、金属表面に0.4〜5g/mの光学的に透明な乾燥膜を残す。好ましくは、0.7〜1.3g/mである。
【0028】
乾燥した後、組成物における無機物質の高い含有量にもかかわらず、乾燥膜は引き続き鮮やかであり、明澄であり、そして透明である。粒子は乾燥膜の中には認められない。
【0029】
金属表面の乾燥滑性が望ましい場合、乾燥膜重量により計算して最大8%の固体ろう潤滑剤を添加することもできる。そのような固体ろう状物質は、明らかに非伝導性であり、そのように低下したレベルでは、膜の電気特性に感知しうる変化をもたらさない。多くの異なる種類のろうエマルションは、産業界において広く使用されている。
【0030】
亜鉛被覆鋼鉄シートへのこの種類の表面処理の適用は、現在、化学薬品の液体溶液又はエマルションを、長い走行金属鋼鉄ストリップの表面に、ローラー系により、より詳細には、ケム、コーター又はロール、塗布機により連続的に被覆することにより行われる。その後、適切な乾燥機がシートを数秒間加熱し、水溶媒又は希釈剤を蒸発させ、非常に薄い硬化された固体多目的膜を金属表面に残す。最後に、金属ストリップを巻き取る。
【0031】
ほとんどの場合、そのような被覆及び乾燥機器は、連続シート亜鉛めっきラインの最後のセクションに設置され、鋼鉄が亜鉛若しくはアルミニウム又はそれらの合金の層で被覆されると直ぐに処理を適用する。
【0032】
近代的なラインに求められる明白な経済的要件は、より速くということである。120m/分を越えるラインは、現在、一般的である。180m/分に近い近代的なラインも既に稼働しており、現在、土建会社の設計段階において一般的である。
【0033】
しかし、被覆される部分の設計に従って、浸漬、噴霧、流し塗り、遠心分離のような他の技術の適用も可能である。
【0034】
そのような広範囲の適用技術は、濃度、粘度、表面張力、pH及び乾燥特性がそれぞれの場合において適用設備に適合しなければならないことを要求する。これらの二次的変化は、当業者には一般的に知られている。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本質的に非伝導性の薄膜で被覆されている表面の伝導性測定は、試験の客観性及び再現性を得ることが大変難しい。常に、試験は、値の範囲を予測するために、表面の異なる地点で数回繰り返さなければならない。幾つかの非常に逸脱している変則的な値が一般的であり、除外しなければならない。これは、多くの場合に、表面伝導性が、被覆の連続性における欠陥又は特異点により変えられていて不規則だからである。
【0036】
測定ヘッド接触形状又は圧力の小さな変化が、読取値を変える場合がある。また、測定に使用される電流は、非常に低く、オーム計の感度は、最大でなければならない。被覆の平均厚でさえも注意深く制御しなければならない。
【0037】
そのような薄い被覆の厚さ値は、本特許ではg/mで示される。これらの値は、被覆された表面積及び処理前後の試験片の重量差から重量的に測定される。これは、ミクロンで示される値よりもはるかに正確であり、現実的である。表面処理に関する文献におけるミクロンの値は、ほとんどの場合、推測するしかない薄乾燥膜の比重量を推定した重量測定値から再計算されている。更に、基礎物質の粗さが推測平均被覆厚と近いので、被覆の実際の厚さは、地点毎に大きく変動する。したがって、ミクロン値は、現実的な物理的意味がない。しかし、g/mの値は、実際に、物理的意味を有する。
【0038】
実施例では、熱浸漬亜鉛めっき及び電解亜鉛めっき鉄鋼シートのみを記載する。それは、これらの金属基材は、現在、表面伝導性が重要な、はるかに重要な金属表面だからである。
【0039】
腐食性能は、暴露表面の5%が白さびを示すまでの塩噴霧処理の時間で示す。塩噴霧処理は、ASTM B−117規格により定義されている。
【0040】
伝導性測定は、下記により実施した:
A/精密4本ワイヤ電子 Lutron Mo-2001 MilliOhmeterを用いる。そのようなシステムは、非常に小さな電流を2本のワイヤに送り、同時に他の2本のワイヤ接点内の電圧の差を測定する。円形研磨表面銅接触電極を使用する。電極の表面を、それぞれの一連の測定の前に注意深く磨く。電極と金属表面との間の高い接触圧を避ける。その後、測定領域を腐食に対して管理して、測定が塩噴霧において早期白さびスポットとして示される表面欠損をもたらさないことを確実にする。
このシステムは、電極を毎秒毎に走査し、伝導性を測定する。デジタルディスプレーの読取値は、結局強く変動するので、一連の読取値を得る。
このOhmeterには、幾つかの測定範囲がある。最も代表的であり有用な範囲は、0〜2000ミリオームである。
B/最新の測定機器が数社の電子機器製造者によって採用されている。三菱電機は、測定される表面と接触するときに低い制御された圧力を与える丸い先端を有する、4本の金めっき薄針を含む測定ヘッドに基づく4本ワイヤの電子MilliOhmmetersを販売している。そのようなLoresta GP機器は、デジタルマイクロプロセッサーを有し、極めて正確であるが、測定ヘッドの形状が異なるので、前者と非常に異なる読取値を示す。このシステムは、1オームの10−3乗から10+7乗の異なる測定範囲を有する。ディスプレーは、正しい測定範囲を自動的に選択する。10+7を超える値は、ディスプレーに「過負荷」と示される。これらの読取値は、現在、電子産業界に十分に受け入れられている。
【0041】
このシステムも、2本のワイヤが電流を送り、2本のワイヤが電圧を測定するという、4本ワイヤの原理に従っている。測定値を毎秒探索するが、数回又は多くの走査の後、光学パネルディスプレーは、読取を行うのに最適な値に安定化する。
【0042】
実施例1
酸化亜鉛粉末14部と水30部のスラリーを作製した。次に、水酸化アルミニウム0.5部を加え、スラリーを注意深く混合した。
【0043】
次にスラリーを、75%オルトリン酸水溶液55.5部に加えた。最後に混合物を液体が完全に明澄になるまで撹拌した。
【0044】
実施例2
酸化亜鉛粉末14部と水30部のスラリーを作製した。次に五酸化バナジウム0.5部を加え、スラリーを注意深く混合した。
【0045】
次にスラリーを、75%オルトリン酸水溶液55.5部に加えた。最後に混合物を液体が完全に明澄になるまで撹拌した。
【0046】
実施例3
酸化亜鉛粉末14部と水30部のスラリーを作製した。次に水酸化リチウム一水和物0.5部を加え、スラリーを注意深く混合した。
【0047】
次にスラリーを、75%オルトリン酸水溶液55.5部に加えた。最後に混合物を液体が完全に明澄になるまで撹拌した。
【0048】
実施例4
酸化亜鉛粉末14部と水30部のスラリーを作製した。次にスラリーを注意深く混合した。
【0049】
次にスラリーを、50%濃度の三価塩化クロム水溶液5部と混合した75%オルトリン酸51部に加えた。最後に混合物を液体が完全に明澄になるまで撹拌した。
【0050】
実施例5
水酸化リチウム一水和物の粉末16部と水30部のスラリーを作製した。次にスラリーを注意深く混合した。
【0051】
次にスラリーを、75%オルトリン酸水溶液54部に加えた。最後に混合物を液体が完全に明澄になるまで撹拌した。
【0052】
実施例6
コア−シェル添加ポリマーエマルションを以下の方法で調製した。
水620mlを撹拌反応器に導入し、メチルメタクリレート160gを、不活性雰囲気下でドデシルベンゼンスルホン塩10gの助けを借りて分散した。分散物を70℃で加熱し、次に水10gで希釈した過硫酸アンモニウム4gを加えた。浴を、撹拌下で70℃に3時間保持した。このようにして、ポリメチルメタクリレートのコポリマーエマルションを調製され、これはミセルのコアになる。
そのようなポリメチルメタクリレートエマルション300mlを再び反応器に入れ、エチレンジオキシチオフェン(EDOT)2.4gを加えた。30分間撹拌した後、再び過硫酸アンモニウム6.1gを混合物に30℃で加え、浴を撹拌下で20時間放置した。このようにして、伝導性ポリマーの薄いシェルをコアミセルの周りに作られた。
【0053】
生成物を室温で放置して冷却し、次に透析バッグを使用して精製し、最後に100ミクロンメッシュフィルターにより濾過した。
【0054】
実施例7a及び7b
Procoat Tecnologias SLのBrugal GM4-SRFの組成物を含有する慣用のクロムとアクリルのコポリマーを、希釈浴への浸漬により適用して、0.6g/mの乾燥膜厚を確保し、75℃PMC(金属表面への接触式熱電対で測定した最高金属温度)で乾燥した。
【0055】
六価クロムは不動態化するのに非常に効果的であるので、腐食性能は乾燥膜が極めて薄くても良好である。また、膜が非常に薄く、視認できない表面欠陥が多く、電気伝導性は適切である。
【0056】
実施例8a、8b及び8c
Procoat Tecnologias SLのBrugal 661/4-SRFの組成物を含有する、クロムフリーであるがヘキサフルオロチタン錯体不動態化の含有に基づくアクリルコポリマーも、希釈浴への浸漬により適用して、異なる被覆重量でパネルを被覆した。乾燥も75℃PMTで実施した。
【0057】
この処理は、溶解ホスフェートを含有しなかった。薄さが十分な膜は、伝導性は良好であったが、腐食に対しては良好ではなかった。より厚い膜は、腐食に対しては良好であったが、伝導性試験には不合格であった。この組成物は、欧州特許公報第0,694,593号によるものであった。
【0058】
実施例9a、9b及び9c
処理濃縮物は下記を混合して作製した:
−30℃のガラス移転温度及び低pHに適合する乳化剤パッケージのアクリルコポリマーエマルション35部。このエマルションは乾燥固形分を42%有する。
−ラクテート錯体として8%チタン溶液を10部。例えば、Du Pont社からのTyzor LA。
−35%過酸化水素溶液1部。
−実施例1に記載されたホスフェート溶液28部。
−脱イオン水21部。
−エトキシル化リン酸アルキル5部。
【0059】
次にこの濃縮物を希釈して、浸漬により付着した量を調整し、垂直にして過剰生成物を30秒間したたり落とした。
【0060】
したたり落とした後、電気亜鉛めっきシートをオーブンによりPMT75℃で乾燥した。
【0061】
異なる重量のパネルを得た。
【0062】
0.6g/mでは腐食保護性は低すぎるが、0.8及び1.2g/mでは腐食保護性は合格であった。伝導性は全て合格であった。
【0063】
実施例10、11、12及び13
実施例9と同じ手順に従ったが、実施例1のホスフェート溶液の添加を、実施例2、3、4及び5の溶液に変えた。
【0064】
膜重量を1g/mに調整した。
【0065】
実施例10は、実施例2のホスフェート溶液を使用した。
【0066】
実施例11は、実施例3のホスフェート溶液を使用した。
【0067】
.
実施例12は、実施例4のホスフェート溶液を使用した。
【0068】
実施例13は、実施例5のホスフェート溶液を使用した。
【0069】
実施例14
処理濃縮物は下記を混合して作製した:
−30℃のガラス移転温度及び低pHに適合する乳化剤パッケージのアクリルコポリマーエマルション35部。このエマルションは乾燥固形分を42%有する。
−ラクテート錯体として8%チタン溶液を10部。例えば、Du Pont社からのTyzor LA。
−35%過酸化水素溶液1部。
−実施例1に記載されたホスフェート溶液28部。
−脱イオン水21部。
−エトキシル化リン酸アルキル5部。
【0070】
次にこの濃縮物を希釈して、浸漬により付着した量を調整し、垂直にして過剰生成物を30秒間したたり落とした。
【0071】
したたり落とした後、溶融亜鉛めっきシートをオーブンによりPMT75℃で乾燥した。
【0072】
乾燥膜重量を0.8g/mに調整した。腐食及び伝導性は両方とも良好であった。
【0073】
実施例15
処理濃縮物は下記を混合して作製した:
−30℃のガラス移転温度及び低pHに適合する乳化剤パッケージのアクリルコポリマーエマルション35部。このエマルションは乾燥固形分を42%有する。
−ラクテート錯体として8%チタン溶液を10部。例えば、Du Pont社からのTyzor LA。
−35%過酸化水素溶液1部。
−実施例4に記載されたホスフェート溶液28部。
−部分的に加水分解され、エタノール安定化された、シランの20%脱イオン水溶液21部。
−エトキシル化リン酸アルキル5部。
【0074】
次にこの濃縮物を希釈して、浸漬により付着した量を調整し、垂直にして過剰生成物を30秒間したたり落とした。
【0075】
したたり落とした後、電気亜鉛めっきシートをオーブンによりPMT75℃で乾燥した。
【0076】
乾燥膜重量を0.8g/mに調整した。腐食及び伝導性は両方とも良好であった。
【0077】
実施例16
処理濃縮物は下記を混合して作製した:
−30℃のガラス移転温度及び低pHに適合する乳化剤パッケージのアクリルコポリマーエマルション35部。このエマルションは乾燥固形分を42%有する。
−ラクテート錯体として8%チタン溶液を10部。例えば、Du Pont社からのTyzor LA。
−35%過酸化水素溶液1部。
−実施例4に記載されたホスフェート溶液28部。
−脱イオン水21部。
−エトキシル化リン酸アルキル5部。
【0078】
次にこの濃縮物を希釈して、浸漬により付着した量を調整し、垂直にして過剰生成物を30秒間したたり落とした。
【0079】
したたり落とした後、電気亜鉛めっきシートをオーブンによりPMT75℃で乾燥した。
【0080】
乾燥膜重量を0.8g/mに調整した。腐食及び伝導性は両方とも良好であった。
【0081】
実施例17
処理濃縮物は下記を混合して作製した:
−30℃のガラス移転温度及び低pHに適合する乳化剤パッケージのアクリルコポリマーエマルション35部。このエマルションは乾燥固形分を42%有する。
−ラクテート錯体として8%チタン溶液を10部。例えば、Du Pont社からのTyzor LA。
−35%過酸化水素溶液1部。
−実施例4に記載されたホスフェート溶液28部。
−脱イオン水26部。
【0082】
次にこの濃縮物を希釈して、浸漬により付着した量を調整し、垂直にして過剰生成物を30秒間したたり落とした。
【0083】
したたり落とした後、電気亜鉛めっきシートをオーブンによりPMT75℃で乾燥した。
【0084】
乾燥膜重量を0.8g/mに調整した。腐食は良好であったが、伝導性は感知できるほど低下した。
【0085】
実施例16と比較して、この実施例は、エトキシル化リン酸アルキル添加剤とリン酸亜鉛溶液成分の相乗効果を示した。リン酸亜鉛の代わりにリン酸リチウムをエトキシル化リン酸アルキルと共に使用した、実施例13も参照すること。伝導性もかなり悪かった。
【0086】
実施例18
処理濃縮物は下記を混合して作製した:
−30℃のガラス移転温度及び低pHに適合する乳化剤パッケージのアクリルコポリマーエマルション30部。このエマルションは固形分を42%有する。
−50%フルオロチタン酸水溶液5部。
−35%過酸化水素溶液1部。
−実施例1に記載されたホスフェート溶液20部。
−エトキシル化リン酸アルキル帯電防止剤5部。
−コアミセルとして24%のアクリルコポリマー及びミセルのシェルとして追加の0.8%のポリチオフェンを含有するコアシェルコポリマーエマルション20部。これは実施例6に記載されたものである。
−水19部。
【0087】
次にこの濃縮物を希釈して、浸漬により付着した量を調整し、垂直にして過剰生成物を30秒間したたり落とした。
【0088】
したたり落とした後、電気亜鉛めっきパネルをオーブンによりPMT75℃で乾燥した。
【0089】
異なる重量のパネルを得た。
【0090】
0.8g/mを超える乾燥膜を金属表面に適用すると、腐食保護は合格であった。電気伝導性は1.5g/mで非常に良好であった。3g/mまででも良好であった。
【0091】
実施例19
処理濃縮物は下記を混合して作製した:
−30℃のガラス移転温度及び低pHに適合する乳化剤パッケージのアクリルコポリマーエマルション40部。このエマルションは固形分を42%有する。
−50%フルオロチタン酸水溶液5部。
−35%過酸化水素溶液1部。
−実施例1に記載されたホスフェート溶液28部。
−エトキシル化リン酸アルキル帯電防止剤5部。
−水21部。
【0092】
次にこの濃縮物を希釈して、浸漬により付着した量を調整し、垂直にして過剰生成物を30秒間したたり落とした。
【0093】
したたり落とした後、電気亜鉛めっきパネルをオーブンによりPMT75℃で乾燥した。
【0094】
異なる重量のパネルを得た。
【0095】
0.8g/mを超えても腐食保護は合格であった。伝導性は1.5g/mまで良好であった。
【0096】
実施例のまとめ:
【0097】
【表1】


/この方法では、600ミリオームを超える電気伝導性の読取値のものは、不十分であると考えられる。
**/48時間に達しない塩噴霧測定のものは、不十分であると考えられる。
【表2】


/この方法では、100ミリオームを超える電気伝導性の読取値のものは、不十分であると考えられる。
**/48時間に達しない塩噴霧測定のものは、不十分であると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、
皮膜形成性ポリマーの、液体、水ベース、溶液又はエマルションと、
ポリマー液体溶液又はエマルションに含有されている固体の少なくとも3%を、カチオンとしての溶解亜鉛として含有する、酸性水に基づく無機溶液と、
そのようなポリマー液体溶液又はエマルションに含有されている固体の少なくとも10%を、溶解リン酸として又は酸性リンに基づく塩として含有する、そのような水溶液と、
アンモニア、リチウム、ナトリウム若しくはカリウムで中和しているエトキシル化硫酸アルキル若しくはリン酸アルキル、又はそのような種類の化合物と前者との混合物も含むポリオキシエチレンのような、処理固形分に基づき計算された2%を超える濃度の、帯電防止性電荷保護を与える有機界面活性剤(ここで、これらの異なる成分は、b/及びc/と相乗的に作用して、表面処理に電気伝導性を与える)と、
酸化物、水酸化物又は塩として添加される、アルミニウム、カルシウム、リチウム、三価クロム、マンガン、モリブデン、カリウム、ナトリウム、チタン、バナジウムのようなカチオンとしての他の金属(これらのカチオンは、組成物に含有されているアニオンにより調整されるので、存在する全ての亜鉛及びカチオンは組成物に完全に溶解している)と、
溶液中の幾つかの無機又は有機過酸化物と
を含む、無機固体粒子フリーの腐食保護性及び電気伝導性組成物。
【請求項2】
乳化したミセルのコアの周りに、伝導性ポリマーの薄いシェルを重合することにより添加される、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
伝導性有機ポリマーがポリピロール、ポリアニリン又はポリチオフェンである、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
金属表面処理の方法であって、請求項1〜3のいずれか1項記載の適切な量の組成物を、清浄な金属表面に湿潤膜として適用し、40℃〜240℃の温度範囲で乾燥又は硬化して、金属表面に、0.7〜5g/mの光学的の透明な乾燥膜を残すことを含む方法。
【請求項5】
温度を、接触式熱電対により金属表面で測定し、組成物を追加の水で希釈して最終乾燥膜厚を調整する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
乾燥又は硬化が、高温空気流により又は金属シートの誘導加熱により又はIR、UV若しくは電子ビームのような放射線により行われる、請求項4記載の方法。

【公表番号】特表2010−528178(P2010−528178A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508707(P2010−508707)
【出願日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際出願番号】PCT/EP2007/004616
【国際公開番号】WO2008/141666
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(509323288)プロコート・テクノロジアス・エセエレ (1)
【氏名又は名称原語表記】PROCOAT TECNOLOGIAS,S.L.
【Fターム(参考)】