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無機繊維不織布用バインダー
説明

無機繊維不織布用バインダー

【課題】 従来の粉末状バインダーでは、無機繊維不織布に十分な機械的強度を付与するためには多量の粉末状バインダーの散布が必要であり、また、バインダー散布時の歩留まり率も低かったため、バインダー散布時の歩留まり率に優れ、低散布量、低付着量でも均一で優れた機械的強度の無機繊維不織布を与える無機繊維不織布用粉末状バインダーを提供する。
【解決手段】 体積平均粒子径Dvが20〜75μmで、75μm以下の粒子径を有する粒子の全粒子に対する割合が60重量%以上である樹脂粒子を含有してなる無機繊維不織布用粉末状バインダー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無機繊維不織布用粉末状バインダーに関する。さらに詳しくはバインダー散布時の歩留まり率に優れ、均一で優れた機械的強度の無機繊維不織布を与える無機繊維不織布用粉末状バインダーに関する。
【背景技術】
【0002】
無機繊維不織布は通常、以下の方法で得られる。
(1)数10〜数100本の無機単繊維(繊維径約10μm)をサイジング剤で集束させ無機繊維ストランドを得る。
(2)該ストランドを所定の長さに切断して無機繊維チョップドストランドを得る。
(3)該無機繊維チョップドストランドを、一定速度で進退稼動する搬送用ネット上に方向を無秩序に散布、分散させて積層体とする。
(4)該積層体の上面側から粉末状バインダーを散布したものをオーブンチャンバーで加熱することにより、融着したバインダーで無機繊維チョップドストランド同士を結合させ、さらにプレスすることにより無機繊維不織布(以下においては無機繊維チョップドストランドマットまたは単にマットということがある)を得る。なお、無機繊維不織布の目付量(1m2当たりの無機繊維重量、以下同じ。)は低〜高目付量の通常40〜950g/m2である。
【0003】
従来、無機繊維不織布用の粉末状バインダーとしては、機械粉砕により粉末化された不飽和ポリエステル樹脂(例えば特許文献1、2参照)が知られており、エンボス加工されたローラー付きの散布機から無機繊維積層体上に、目付量に応じて調整される量のバインダーが散布されている。散布されたバインダーは、得られる無機繊維不織布の機械的強度(引張り強さ等、以下同じ。)に通常はそのすべてが寄与するわけではなく、無機繊維チョップドストランドの交点に付着したものが主として寄与し、該交点へのバインダーの付着が重要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭57−55931号公報
【特許文献2】特開2003−301035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の粉末状バインダーでは、無機繊維不織布に十分な機械的強度を付与するためには、多量の粉末状バインダーの散布が必要になること、また、バインダー散布時の歩留まり率が低く、該積層体から落下したバインダーの回収、再利用工程が必要になること等、種々問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、無機繊維不織布の製造において、バインダー散布時の歩留まり率に優れ、低散布量、低付着量でも優れた機械的強度の無機繊維不織布を与える無機繊維不織布用粉末状バインダーを提供することにある。なお、本発明において歩留まり率は、無機繊維積層体への粉末状バインダーの散布重量に基づく該積層体に付着した粉末状バインダー重量の割合(重量%)と定義されるものである。
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、体積平均粒子径Dvが20〜75μmで、75μm以下の粒子径を有する粒子の全粒子に対する割合が60重量%以上である樹脂粒子(A)を含有してなる無機繊維不織布用粉末状バインダーである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の無機繊維不織布用粉末状バインダーは、下記の効果を奏する。
(1)無機繊維積層体へのバインダー散布時の歩留まり率に優れる。
(2)低散布量でも均一で優れた機械的強度の無機繊維不織布を与える。
(3)低付着量でも均一で優れた機械的強度の無機繊維不織布を与える。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[樹脂粒子(A)を構成する樹脂]
樹脂粒子(A)を構成する樹脂としては、ポリエステル樹脂(PS)、ポリウレタン樹脂(PU)、ポリアミド樹脂(PA)およびポリ酢酸ビニル樹脂(PV)からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらのうち、無機繊維ストランド間の結合性および貯蔵安定性の観点から好ましいのは、PS、PU、PA、特に好ましいのはPSである。
【0010】
[ポリエステル樹脂(PS)]
ポリエステル樹脂粒子を構成するポリエステル樹脂(PS)には、ポリ(2〜4またはそれ以上)カルボン酸(エステル形成性誘導体も含む)(a1)と低分子ポリオール(a2)との重縮合物、カルボキシル基と水酸基を同一分子内に有する化合物(a3)の自己縮合物、およびラクトン(a4)の開環重縮合物等が含まれる。
該ポリエステル樹脂の官能基数は、ブロッキング防止および加熱溶融時の粘度の観点から好ましくは2〜5、さらに好ましくは2〜3、とくに好ましくは2である。
【0011】
ポリカルボン酸(a1)としては、脂肪族[炭素数(以下Cと略記)2〜30で2〜3価、例えばシュウ酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、トリカルバリル酸]、芳香族[C8〜30で2〜4価、例えばオルト−、イソ−およびテレフタル酸、テトラブロムフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸]、および脂環含有ポリカルボン酸[C6〜50で2〜3価、例えば1,3−シクロブタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−および1,4−ジカルボキシメチルシクロヘキサン、ジシクロヘキシル−4,4’−ジカルボン酸、ダイマー酸];これらのポリカルボン酸のエステル形成性誘導体〔酸無水物(無水マレイン酸、無水フタル酸等)、低級アルキル(C1〜4)エステル[ジメチルエステル(テレフタル酸ジメチル等)、ジエチルエステル(マレイン酸ジエチル等)等]、酸ハライド(テレフタル酸ジクロライド等)等〕;およびこれら2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち、ポリエステル樹脂の着色防止の観点から好ましいのは、脂肪族ポリカルボン酸である。
【0012】
低分子ポリオール(a2)としては、水酸基当量〔水酸基1個当たりの数平均分子量[以下Mnと略記。測定は後述の条件でのゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法による]〕が300未満(好ましくは分子量31以上かつMn250以下)の2価〜10価またはそれ以上(好ましくは2〜3価)のポリオールが使用できる。
(a2)としては、2価アルコール(a21)、3価〜10価またはそれ以上の多価アルコール(a22)、およびこれらのアルコールまたは多価(2価〜3価またはそれ以上)フェノールのアルキレンオキサイド(以下AOと略記。C2〜10)低モル(2〜10モル。以下同じ。)付加物(a23)、並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0013】
AOとしては、エチレンオキサイド(以下EOと略記)、プロピレンオキサイド(以下POと略記)、1,2−、1,3−および2,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン(以下THFと略記)、スチレンオキサイド、C5〜10またはそれ以上のα−オレフィンオキサイド、エピクロルヒドリン、およびこれらの2種以上の併用(ブロックおよび/またはランダム付加)が挙げられる。
これらのAOのうち、後述する無機繊維不織布の機械的強度、および繊維強化プラスチック(FRP)への適用におけるスチレンモノマー等の無機繊維不織布への浸透性の観点から好ましいのは、EO、PO、およびこれらの併用である。
【0014】
2価アルコール(a21)としては、脂肪族アルコール〔直鎖アルコール[エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール(以下それぞれEG、DEG、1,3−PG、1,4−BD、1,5−PD、1,6−HDと略記)]等〕;分岐鎖を有するアルコール[1,2−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール(以下それぞれ1,2−PG、NPGと略記)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−および2,3−ブタンジオール等];および環を有するアルコール〔脂環含有アルコール[1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン等]、芳香脂肪族アルコール(m−およびp−キシリレングリコール等)等〕が挙げられる。
【0015】
3価〜10価またはそれ以上の多価アルコール(a22)の具体例としてはアルカンポリオール[C3〜10、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール(以下それぞれGR、TMP、PE、SOと略記)]、該アルカンポリオールの分子間もしくは分子内脱水物[ジPE、ポリGR(重合度2〜8)、ソルビタン等]、糖類およびその誘導体(配糖体)(ショ糖、メチルグルコシド等)が挙げられる。
上記(a21)、(a22)のうち無機繊維不織布の機械的強度の観点から好ましいのは脂肪族アルコール、さらに好ましいのは、1,4−BDおよびNPGである。
【0016】
前記AO付加物(a23)の具体例としては、上記(a21)、(a22)のAO低モル付加物、および環を有する多価(2価〜3価またはそれ以上)フェノールのAO低モル付加物が挙げられる。
該多価フェノールには、C6〜18の2価フェノール、例えば単環2価フェノール(ハイドロキノン、カテコール、レゾルシノール、ウルシオール等)、ビスフェノール化合物(ビスフェノールA、−F、−C、−B、−ADおよび−S、4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−ブタン等)、ジヒドロキシビフェニル、および縮合多環2価フェノール[ジヒドロキシナフタレン(1,5−ジヒドロキシナフタレン等)、ビナフトール等];並びに3価またはそれ以上の多価フェノール、例えば単環多価フェノール(ピロガロール、フロログルシノール等)、および1価もしくは2価フェノール(フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール等)とアルデヒド(ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド等)もしくはケトン(アセトン等)との縮合物(フェノールもしくはクレゾールノボラック樹脂、レゾール中間体、フェノールとグリオキザールもしくはグルタルアルデヒドとの縮合反応で得られるポリフェノール、レゾルシンとアセトンとの縮合反応で得られるポリフェノール等)が含まれる。
【0017】
前記カルボキシル基と水酸基を同一分子内に有する化合物(a3)の具体例としては、C2〜10、例えば乳酸、グリコール酸、β−ヒドロキシル酪酸、ヒドロキシピバリン酸、ヒドロキシ吉草酸;およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0018】
前記ラクトン(a4)にはC3〜20(好ましくは4〜12)のラクトン、例えばβ−ラクトン(β−プロピオラクトン等)、γ−ラクトン(γ−ブチロラクトン等)、δ−ラクトン(δ−バレロラクトン等)、ε−ラクトン(ε−カプロラクトン等)、大環状ラクトン(エナントラクトン、ウンデカノラクトン、ドデカラクトン等)]、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち無機繊維不織布の機械的強度の観点から好ましいのはγ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、およびこれらの混合物である。
【0019】
上記のポリエステル樹脂(PS)のうち迅速な重縮合反応の観点およびFRP等への適用における無機繊維不織布へのスチレン等の浸透性の観点から好ましいのは、ポリカルボン酸(a1)と低分子ポリオール(a2)との重縮合物、さらに好ましいのはポリカルボン酸(a1)と前記AO低モル付加物(a23)との重縮合物、とくに好ましいのは脂肪族ポリカルボン酸と環を有する多価フェノールもしくは芳香脂肪族アルコールのAO低モル付加物との重縮合物である。
【0020】
上記の(a1)と(a2)の重縮合時の反応温度は、通常100〜300℃、好ましくは130〜220℃である。該重縮合反応は通常常圧または減圧(例えば40kPa以下)で行われる。また、該反応は得られるポリエステル樹脂の着色防止の観点から窒素等の不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。
該重縮合反応時の(a1)と(a2)の反応当量比(カルボキシル基/水酸基の当量比)は、迅速な重縮合反応および得られるポリエステル樹脂の安定性の観点から好ましくは0.85〜1.4、さらに好ましくは0.9〜1.2である。
該製造後のポリエステル樹脂の酸価(mgKOH/g。以下においては数値のみを示す。測定方法はJIS K0070に準じる。)は、耐水性の観点から好ましくは20以下、さらに好ましくは0〜15である。
【0021】
該重縮合反応は、無触媒でも、エステル化触媒を使用してもいずれでもよい。
エステル化触媒としては、プロトン酸(リン酸等)、金属(アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、2B、4A、4Bおよび5B族金属等)含有化合物[カルボン酸(C2〜4)塩、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酸化物、塩化物、水酸化物、アルコキシド等]が挙げられる。
これらのうち反応性の観点から好ましいのはカルボン酸金属塩[2B、4A、4Bおよび5B族金属のカルボン酸(C2〜4)塩]、酸化物、およびアルコキシド、得られるポリエステル樹脂の着色防止の観点からさらに好ましいのは酢酸亜鉛、酢酸ジルコニル、テトラブチルチタネート、ビス〔2,2’−[(2−ヒドロキシエチル)イミノ−κN]−ビス[エタノレート−κO]〕チタネート、三酸化アンチモンおよびジブチルスズオキサイドである。
エステル化触媒の使用量は、(a1)と(a2)の合計重量に基づいて、反応性および着色防止の観点から好ましくは0.005〜3%、さらに好ましくは0.01〜1%である。
【0022】
また、該反応を促進するため、有機溶剤を加えて還流させることもできる。反応終了後、有機溶剤は除去するのが望ましい。
有機溶剤としては、水酸基のような活性水素を有しないもの、例えば炭化水素(トルエン、キシレン等)、ケトン(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)が挙げられる。
【0023】
前記(a3)の自己縮合反応、および(a4)の開環重縮合反応は、上記(a1)と(a2)との重縮合反応における反応条件に準じて実施することができる。
【0024】
(PS)の重量平均分子量(以下Mwと略記。測定は後述の条件でのGPC法による。)は、無機繊維不織布の機械的強度および加熱溶融時の粘度の観点から好ましくは5,000〜90,000、さらに好ましくは10,000〜55,000、また、Mnは同様の観点から好ましくは400〜9,000、さらに好ましくは800〜6,000である。
【0025】
前記GPCの測定条件は次のとおりである。
<GPC測定条件>
[1]装置 :HLC−8220[東ソー(株)製]
[2]カラム :TSKgel SuperMultiporeHZ−M
[東ソー(株)製]
[3]溶離液 :テトラヒドロフラン
[4]基準物質:ポリスチレン
[5]注入条件:サンプル濃度2.5mg/ml、カラム温度40℃
【0026】
(PS)の軟化点[測定は環球法(JIS K2207、「石油アスファルト」の「6.4軟化点試験法」)に準拠。以下同じ。]は、無機繊維不織布の粘着性の発現防止とバインダーによる無機繊維ストランド間の結合性の観点、および後加工の作業性(後述のFRPへの適用における型へのフィット性等を指し、無機繊維不織布の柔軟性ということがある。以下同じ。)の観点から好ましくは60〜150℃、さらに好ましくは80〜130℃である。
【0027】
(PS)の示差熱分析法によるガラス転移温度(以下Tgと略記。測定はJIS K7121、「プラスチックの転移温度測定方法」に準拠。以下同じ。)は、バインダー貯蔵時のブロッキング防止とバインダーによる無機繊維ストランド間の結合性の観点、および後加工の作業性の観点から好ましくは40〜60℃、さらに好ましくは45〜55℃である。
【0028】
本発明における(PS)粒子は、上記ポリエステル樹脂(PS)を、例えば分級スクリーン(0.2〜3mmφ丸穴)を装着した防音ケース付き高速衝撃式粉砕機[商品名「MIKRO−PULVERIZER」、型番「AP−BL」、ホソカワミクロン(株)製。以下高速ハンマーミルと表記。]を用いてフィード量11.4〜13.8g/minで連続投入しながら、回転数10,000〜20,000rpmで粉砕し、該分級スクリーンを通過してきた粒子を、目開きの異なる篩を組み合わせる等で篩い分けることにより得ることができる。
【0029】
[ポリウレタン樹脂(PU)]
ポリウレタン樹脂粒子を構成するポリウレタン樹脂(PU)としては、ポリ(2〜3またはそれ以上)イソシアネート(b1)と活性水素含有化合物(b2)との重付加物が含まれる。
【0030】
ポリイソシアネート(以下PIと略記することがある)(b1)には、ジイソシアネート(以下DIと略記)、3官能イソシアネート(以下TIと略記)3官能を越える多官能イソシアネート[C(但し、NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族PI;C2〜18の脂肪族PI;C6〜15の脂環式PI;C8〜15の芳香脂肪族PI]、これらのPIの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基またはオキサゾリドン基含有変性物等)およびこれらの2種以上の混合物が含まれる。
【0031】
芳香族PIとしては、例えば1,3−および/または1,4−フェニレンDI、2,4−および/または2,6−トリレンDI(以下TDIと略記)、粗製TDI、2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンDI(以下MDIと略記)、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、粗製MDI〔粗製ジアミノジフェニルメタン[ホルムアルデヒドとアニリンとの縮合生成物で、ジアミノジフェニルメタンと少量の(例えば5〜20重量%)3官能以上のポリアミンとの混合物]のホスゲン化物、一般的にポリアリールPI(以下PAPIと略記)と称する。〕、1,5−ナフチレンDI、4,4’,4’’−トリフェニルメタンTI、m−およびp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートが挙げられる。
【0032】
脂肪族PIとしては、例えばエチレンDI、テトラメチレンDI、ヘキサメチレンDI(以下HDIと略記)、ドデカメチレンDI、1,6,11−ウンデカンTI、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンDI、リジンDI(2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート)、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートが挙げられる。
【0033】
脂環式PIとしては、例えばイソホロンDI(以下IPDIと略記)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’および/または2,4’−DI(以下水添MDIと略記)、シクロヘキシレンDI、メチルシクロヘキシレンDI、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−および/または2,6−ノルボルナンDIが挙げられる。
【0034】
芳香脂肪族PIとしては、例えばm−および/またはp−キシリレンDI、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンDIが挙げられる。
【0035】
PIの変性物としては、変性MDI(ウレタン、カルボジイミドおよびトリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等)、ウレタン変性TDI、ビューレット変性HDI、イソシアヌレート変性HDI、イソシアヌレート変性IPDI等のPIの変性物およびこれらの2種以上の混合物[例えば変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート基含有プレポリマー)との併用]が含まれる。これらのうち得られるポリウレタン樹脂の経時変色が少ない観点から好ましいのは、脂肪族および脂環式ポリイソシアネート、とくに好ましいのはHDI、IPDI、水添MDIである。
【0036】
活性水素含有化合物(b2)としては、低分子多官能活性水素含有化合物(b21)および高分子ポリオール(b22)が挙げられる。
(b21)には、低分子ポリオールおよび低分子ポリアミンが挙げられる。
【0037】
低分子ポリオールとしては、前記低分子ポリオール(a2)が使用できる。該低分子ポリオールのうち溶融粘度の観点から好ましいのは2価アルコール、さらに好ましいのは2価の脂肪族アルコール、とくに好ましいのは1,4−BDおよびNPGである。
【0038】
低分子多官能活性水素含有化合物のうち低分子ポリアミンには、アミノ基に含まれる活性水素1個当たりのMnが300未満(好ましくは分子量30以上かつMn250以下)のジアミンおよび3官能またはそれ以上のポリアミンが挙げられ、前記(b1)のイソシアネート基がアミノ基に置き換わったものが含まれる。
【0039】
ジアミンとしては、脂肪族(エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等)、脂環式(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシル、ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン等)、芳香族(ジエチルトルエンジアミン等)、芳香脂肪族(キシリレンジアミン、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジアミン等)および複素環ジアミン(ピペラジン等)が挙げられる。
【0040】
3官能またはそれ以上のポリアミンとしてはポリアルキレン(C2〜6)ポリアミン(ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等)、ポリフェニルメタンポリアミン(ホルムアルデヒドとアニリンとの縮合生成物等)、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
これらの低分子ポリアミンのうち後述する無機繊維不織布の機械的強度の観点から好ましいのは脂肪族および脂環式ジアミン、さらに好ましいのはヘキサメチレンジアミンおよびイソホロンジアミンである。
【0041】
活性水素含有化合物(b2)のうち、高分子ポリオールとしては、水酸基当量がMn300以上の2価〜4価またはそれ以上(好ましくは2〜3価)のポリオールが使用できる。
高分子ポリオールには、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、およびこれら2種以上の混合物が含まれる。高分子ポリオールの水酸基当量は、無機繊維不織布の柔軟性および機械的強度の観点から好ましくは300〜10,000、さらに好ましくは500〜5,000、とくに好ましくは800〜3,000である。
【0042】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、縮合系ポリエステルポリオール(ポリオールとポリカルボン酸との重縮合物)、ポリラクトンポリオール(ポリオールを開始剤とするラクトンモノマーの開環重合物)、ポリカーボネートポリオール[ポリオールとアルキレン(C2〜4)カーボネート(エチレンカーボネート等)との反応物、ポリオールと、ホスゲン化カーボネートもしくはジフェニルカーボネートとのエステル交換反応物]、前記のカルボキシル基と水酸基を同一分子内に有する化合物(a3)の自己縮合物;およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0043】
ポリエステルポリオールを構成するポリオールとしては前記低分子ポリオールおよび/またはポリエーテルポリオール(後述)が使用できる。
【0044】
縮合系ポリエステルポリオールを構成するポリカルボン酸としては、前記ポリカルボン酸(a1)およびそのエステル形成性誘導体が挙げられる。これらのポリカルボン酸のうち無機繊維間の接着性の観点から好ましいのは、脂肪族ポリカルボン酸である。
ポリラクトンポリオールを構成するラクトンモノマーとしては前記ラクトン(a4)が挙げられる。これらのうち無機繊維不織布の機械的強度の観点から好ましいのはγ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、およびこれらの混合物である。
【0045】
高分子ポリオールのうち、ポリエーテルポリオールには、2個〜3個またはそれ以上の活性水素原子を有する化合物のAO付加物が含まれる。
2個〜3個またはそれ以上の活性水素原子を有する化合物としては、低分子ポリオール(前記)、多価フェノール(前記)、アミン[1級モノアミン、例えばアルキルもしくはアルケニルアミン(C1〜20)、芳香族アミン(アニリン等)、アルカノールアミン(ヒドロキシルアルキル基がC2〜4)、低分子ポリアミン(前記)、複素環ポリアミン、例えばピペラジン、アミノアルキル(C2〜4)ピペラジン(アミノエチルピペラジン等)]等が挙げられる。
【0046】
本発明におけるポリウレタン樹脂(PU)のうち、無機繊維不織布の柔軟性、機械的強度および経時変色が少ない観点から好ましいのは、脂肪族および/または脂環式ポリイソシアネートと高分子ポリオールとの重付加物であり、さらに好ましいのは脂環式ポリイソシアネートとポリエステルポリオールとの重付加物である。
【0047】
ポリウレタン樹脂(PU)の製造は、通常の方法で行うことができる。すなわち、ポリイソシアネート(b1)と活性水素含有化合物(b2)とをすべて一括反応させる方法(ワンショット法)、およびこれらの反応成分の一部を予め反応させてイソシアネート基もしくは水酸基末端ウレタンプレポリマーを経由して多段反応させる方法(プレポリマー法)等が挙げられる。これらのうち加熱溶融時の粘度およびブロッキング防止の観点から好ましいのはイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと前記低分子多官能活性水素含有化合物(ここでは伸長剤および/または架橋剤として使用)を反応させる方法である。
【0048】
ワンショット法における(b1)と(b2)の当量比(NCO/活性水素)は、通常、0.7〜1.3当量、加熱溶融時の粘度の観点から好ましくは0.8〜1.2である。
【0049】
また、プレポリマー法におけるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーは、好ましくはポリイソシアネート(b1)と高分子ポリオール(b22)、および必要により前記低分子多官能活性水素含有化合物(b21)との反応により形成される。その際の(b1)と(b22)および(b21)の当量比(NCO/活性水素)は、(b1)1当量に対し、(b22)は通常0.1〜0.6当量、好ましくは0.2〜0.5当量、(b21)は通常0〜0.2当量、好ましくは0.05〜0.10当量である。
また、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーのイソシアネート基含量は、通常0.5〜10重量%、好ましくは1.5〜6重量%である。
【0050】
伸長剤としては、前記の、2価アルコール(脂肪族アルコール、環を有するもの等)、ジアミン(脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族および複素環ジアミン等)、これらジアミンのケチミン化合物[ジアミンと、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン(以下MIBKと略記)等のケトンとのケチミン等]、および水が挙げられる。これらのうちポリウレタン樹脂(PU)の無機繊維ストランド間の結合性の観点から好ましいのはケチミン化合物である。
【0051】
(PU)の製造においては、必要に応じて、分子量を調整するための末端封止剤を使用することができる。末端封止剤としては、低分子モノオール、低分子モノアミン等を挙げることができる。
低分子モノオールとしては、C1〜10のもの、例えば脂肪族アルコール(メタノール、エタノール、n−およびi−プロパノール、n−ブタノール、2−エチルヘキサノール、1−オクタノール等)、芳香脂肪族アルコール(ベンジルアルコール等);低分子モノアミンとしては、C1〜18のもの、例えば脂肪族モノアミン[モノアルキルアミン(メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、n−ブチルアミン等)等]が挙げられる。
【0052】
また、(PU)のMwは、無機繊維不織布の機械的強度および加熱溶融時の粘度の観点から、好ましくは10,000〜100,000、さらに好ましくは15,000〜60,000、また、Mnは同様の観点から好ましくは1,500〜25,000、さらに好ましくは2,000〜15,000である。
【0053】
(PU)の軟化点は、バインダーによる無機繊維ストランド間の結合性の観点および後加工の作業性の観点から好ましくは60〜150℃、さらに好ましくは80〜130℃である。
【0054】
(PU)のTgは、バインダー貯蔵時のブロッキング防止の観点、および後加工の作業性の観点から好ましくは−40〜50℃、さらに好ましくは−20〜45℃である。
【0055】
本発明における(PU)粒子は、上記ポリウレタン樹脂(PU)を、前記(PS)の場合と同様の処理をして得ることができる。
【0056】
[ポリアミド樹脂(PA)]
ポリアミド樹脂粒子を構成するポリアミド樹脂(PA)としては、ポリ(2〜4またはそれ以上)カルボン酸(エステル形成性誘導体も含む)(c1)と低分子ポリアミン(c2)との重縮合物、カルボキシル基とアミノ基を同一分子内に有する化合物(c3)の自己縮合物、およびラクタム(c4)の開環重縮合物等が含まれる。該ポリアミド樹脂の官能基数は、ブロッキング防止および加熱溶融時の粘度の観点から好ましくは2〜5、さらに好ましくは2〜3、とくに好ましくは2である。
【0057】
ポリカルボン酸(c1)としては、前記ポリカルボン酸(a1)と同じものが挙げられる。
【0058】
低分子ポリアミン(c2)としては、アミノ基1個当たりのMnが300未満(好ましくは分子量30以上かつMn250以下)の2価〜4価またはそれ以上(好ましくは2〜3価)のポリアミンが使用できる。(c2)には、2価アミン(c21)、3価〜4価またはそれ以上のポリアミン(c22)、並びにこれらの2種以上の混合物が含まれる。
【0059】
2価アミン(c21)としては、脂肪族ジアミン[直鎖アミン(エチレンジアミン、1
,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン等)];
分岐鎖を有するジアミン[3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,2−ジエチル−
1,3−プロパンジアミン、1,2−、1,3−および2,3−ブタンジアミン等];脂
環含有ジアミン[(1,4−ビス)ジアミノメチルシクロヘキサン、ダイマージアミン、
イソホロンジアミン(以下IPDAと略記)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’および/または2,4’−ジアミン(以下PACMと略記)等];および芳香脂肪族ジアミン[ジフェニルメタン−4,4’および/または2,4’−ジアミン等]が挙げられる。
【0060】
3価〜4価またはそれ以上のポリアミン(c22)としてはアルカンポリアミン[C4〜10、例えば3,3’−ジアミノジプロピルアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミン等]が挙げられる。
上記(c21)、(c22)のうち無機繊維不織布の機械的強度および(PA)樹脂の着色防止の観点から好ましいのは脂肪族ジアミン、脂環含有ジアミン、さらに好ましいのは、エチレンジアミン、IPDA、PACM、ダイマージアミンである。
【0061】
カルボキシル基とアミノ基を同一分子内に有する化合物(c3)の自己縮合物としては、C2〜C10、例えばグリシン、アラニン、グルタミン酸、γ−アミノ酪酸等のアミノ酸の自己縮合物が挙げられる。これらのうち無機繊維不織布の機械的強度および(PA)樹脂の着色防止の観点から好ましいのはグリシンおよびアラニンである。
【0062】
ラクタム(c4)としては、C3〜20(好ましくは4〜12)のラクタム、例えばβ−ラクタム(β−プロピオラクタム等)、γ−ラクタム(γ−ブチロラクタム等)、δ−ラクタム(δ−バレロラクタム等)、ε−ラクタム(ε−カプロラクタム等)、大環状ラクタム(エナントラクタム、ウンデカノラクタム、ラウロラクタム等)]、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち無機繊維不織布の機械的強度の観点から好ましいのはγ−ブチロラクタムおよびε−カプロラクタムである。
【0063】
上記ポリアミド樹脂(PA)のうち、重縮合反応時の迅速性および後述するFRP等への適用における無機繊維不織布へのスチレン等の浸透性および溶融粘度の観点から好ましいのはポリカルボン酸(c1)と低分子ポリアミン(c2)との重縮合物、さらに好ましいのは、脂環含有ポリカルボン酸と脂環含有ポリアミンの重縮合物である。
【0064】
(PA)製造の際、重縮合時の反応温度は、通常100〜300℃、好ましくは130〜220℃である。該重縮合反応は通常常圧で反応させた後、必要により減圧(例えば40kPa以下)で行われる。また該反応は(PA)の着色防止の観点から窒素等の不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。
(c1)と(c2)の重縮合反応時の反応当量比(カルボキシル基/アミノ基の当量比)は、迅速な重縮合反応および得られる(PA)の安定性の観点から好ましくは0.6〜1.4、さらに好ましくは0.7〜1.2である。
得られる(PA)の酸価は、耐水性の観点から好ましくは10以下、さらに好ましくは0〜3である。
【0065】
また、該重縮合反応では、反応促進のため、有機溶剤を加えて還流させることもできる。
有機溶剤としては、水酸基およびアミノ基のような活性水素基を有しないもの、例えば、炭化水素(トルエン、キシレン等)、ケトン(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)が挙げられる。
有機溶剤の使用量は、(c1)と(c2)の合計重量に基づいて通常50%以下、生産性および安全性の観点から好ましくは5〜25%である。有機溶剤は無機繊維不織布生産の観点から反応終了後は除去することが望ましい。
【0066】
(PA)は、通常次のようにして製造することができる。まず、冷却管、撹拌棒、温度計および窒素導入管を備えた反応容器中に、前記のアミン成分および酸成分を仕込み、窒素雰囲気下で加熱し通常130〜220℃で4〜6時間反応させ、その後、必要により5〜40kPaの減圧下でさらに通常1〜3時間反応させ、酸価が10以下となった後、取り出すことでポリアミド樹脂を得ることができる。
また、前記(c3)の自己縮合反応、および(c4)の開環重縮合反応は、上記(c1)と(c2)との重縮合反応における反応条件に準じて実施することができる。
【0067】
(PA)のMwおよびMnは無機繊維不織布の機械的強度、(PA)の機械粉砕性および樹脂の溶融粘度の観点から、Mwは好ましくは4,000〜60,000、さらに好ましくは6,000〜25,000、Mnは好ましくは2,000〜15,000、さらに好ましくは3,000〜8,000である。
【0068】
(PA)の軟化点は、無機繊維不織布の粘着性の発現防止とバインダーによる無機繊維ストランド間の結合性の観点、および後加工の作業性(後述のFRP等への適用における型へのフィット性等、以下同じ。)の観点から好ましくは60〜150℃、さらに好ましくは80〜130℃である。
【0069】
(PA)のTgは、バインダー貯蔵時のブロッキング防止とバインダーによる無機繊維ストランド間の結合性の観点、および後加工の作業性の観点から好ましくは30〜60℃、さらに好ましくは45〜55℃である。
【0070】
本発明における(PA)粒子は、上記ポリアミド樹脂(PA)を、前記(PS)の場合と同様の処理をして得ることができる。
【0071】
[ポリ酢酸ビニル樹脂(PV)]
ポリ酢酸ビニル樹脂(PV)には、公知の酢酸ビニルの重合物、またはエチレン−酢酸ビニルの共重合物が含まれる。該(共)重合物は、原料モノマーを(共)重合させて製造しても、また該(共)重合物の市販品を使用してもいずれでもよい。
上記(共)重合物の市販品のうち、酢酸ビニルの重合物としては、「デンカサクノール
SN−17A」[商品名、電気化学工業(株)製]等、また、エチレン−酢酸ビニルの共重合物としては、「EVAFLEX 550」[商品名、三井デュポン・ポリケミカル(株)製]等が挙げられる。
【0072】
ポリ酢酸ビニル樹脂(PV)のMwは、無機繊維不織布の強度および加熱溶融時の粘度の観点から、好ましくは10,000〜500,000、さらに好ましくは20,000〜400,000、また、Mnは同様の観点から好ましくは5,000〜100,000、さらに好ましくは10,000〜70,000である。
【0073】
(PV)の軟化点は、バインダーによる無機繊維ストランド間の結合性の観点および該バインダーを用いた無機繊維不織布の柔軟性の観点から好ましくは30〜90℃、さらに好ましくは40〜80℃である。
【0074】
(PV)のTgは、バインダー貯蔵時のブロッキング防止の観点、および該バインダーを用いた無機繊維不織布の柔軟性の観点から好ましくは−40〜30℃、さらに好ましくは−30〜20℃である。
【0075】
本発明における(PV)粒子は、上記ポリ酢酸ビニル樹脂(PV)を、前記(PS)の場合と同様の処理をして得ることができる。
【0076】
[樹脂粒子(A)]
本発明における樹脂粒子(A)は、前記のとおり(PS)粒子について述べた方法と同様の方法で、(PU)、(PA)および(PV)の粒子についても製造することができる。
(A)の体積平均粒子径Dvは、20〜75μm、好ましくは30〜60μmである。Dvが20μm未満では粉体流動性が悪化し、発塵性も高く、歩留まり率が悪化する。また、75μmを超えると無機繊維積層体を通過する量が多くなり、歩留まり率の悪化により、後述する無機繊維不織布の機械的強度が低下する。
また、該(A)は、75μm以下の粒子径を有する粒子の全粒子に対する割合(重量%)(以下75μm以下の粒子含量と略記)が60%以上であり、好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上である。該75μm以下の粒子含量が60%未満では、バインダー散布時の歩留り率が悪く、無機繊維不織布の機械的強度が不十分となる。
ここにおいて、Dvおよび75μm以下の粒子含量はレーザー回折散乱法により求めることができ、測定装置としては、例えば粒度分布測定器[商品名「マイクロトラックMT3000II 粒度分析計」、日機装(株)製](以下マイクロトラックと略記)が挙げられる。
【0077】
樹脂粒子(A)には、必要に応じて、ブロッキング防止剤(B1)、滑剤(B2)および親水性付与剤(B3)からなる群から選ばれる1種または2種以上の添加剤(B)を含有させることができる。これらの添加剤(B)は、通常樹脂を粉砕し、篩い分けした後に添加される。
(B)の合計の使用量は、樹脂粒子(A)の重量に基づいて通常8%以下、添加効果および無機繊維不織布の機械的強度の観点から好ましくは0.01〜5%、さらに好ましくは0.1〜3%である。
【0078】
ブロッキング防止剤(B1)としては、高級脂肪酸もしくはその塩、ケイ素もしくは金属の酸化物、ケイ素もしくは金属の炭化物、炭酸カルシウム、タルク、有機樹脂、およびこれらの混合物からなる微粒子等が挙げられる。
高級脂肪酸としては、C8〜24の脂肪酸、例えばラウリン酸、ステアリン酸;高級脂肪酸の塩としては、上記高級脂肪酸の、アルカリ金属(Li、Na、K等)、アルカリ土類金属(Mg、Ca、Ba等)、Zn、Cu、Ni、CoおよびAl等の塩;ケイ素もしくは金属の酸化物としては、二酸化ケイ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム等;ケイ素もしくは金属の炭化物としては、炭化ケイ素、炭化アルミニウム等;有機樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、シリコン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリ四フッ化エチレン樹脂、セルロースパウダー等が挙げられる。これらのうち、(A)のブロッキング防止および粉体流動性の観点から好ましいのは高級脂肪酸金属塩、およびケイ素もしくは金属の酸化物である。ケイ素酸化物の市販品としては、「AEROSIL 200」[商品名、日本アエロジル(株)製]等が挙げられる。
【0079】
(B1)の使用量は、(A)の重量に基づいて通常5%以下、バインダーのブロッキング防止および無機繊維ストランド間の結合性の観点から好ましくは0.01〜2%、さらに好ましくは0.1〜1%である。
【0080】
滑剤(B2)としては、ワックス、低分子量ポリエチレン、高級アルコール、高級脂肪酸(金属塩)、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド等が挙げられる。
ワックスとしては、カルナウバワックス等;低分子量ポリエチレンとしては、Mn1,000〜10,000のポリエチレン等;高級アルコールとしては、C10〜24、例えばステアリルアルコール等;高級脂肪酸エステルとしては、前記C8〜24の高級脂肪酸と多価(2〜4)アルコールのAO(C2〜3)付加物とのエステル(EGのEO5モル付加物のモノステアレート等);高級脂肪酸アミドとしては、C10〜40、例えばステアリン酸アミドが挙げられる。
これらのうち、(A)の粉体流動性および無機繊維ストランド間の結合性の観点から好ましいのは、高級脂肪酸と多価アルコールのAO付加物とのエステルおよび高級脂肪酸アミドである。
【0081】
(B2)の使用量は、(A)の重量に基づいて通常5%以下、(A)の粉体流動性および無機繊維ストランド間の結合性の観点から好ましくは0.01〜2%、さらに好ましくは0.1〜1%である。
【0082】
親水性付与剤(B3)としてはポリビニルアルコール(Mn1,000〜10,000)、カルボキシルメチルセルロース、アルギン酸ソーダ、ポリエチレングリコール(以下PEGと略記)(Mn200〜20,000)、PEG(Mn100〜2,000)鎖含有オルガノポリシロキサン(Mn200〜50,000)、デンプン、ポリアクリル酸ナトリウム(Mn500〜20,000)、第4級アンモニウム塩基を有する(メタ)アクリロイル基含有ポリマー等が挙げられる。
これらのうち、後述の無機繊維不織布の製造時に噴霧される水と(A)との親和性および無機繊維ストランド間の結合性の観点から好ましいのはPEGおよびPEG鎖含有オルガノポリシロキサンである。
【0083】
(B3)の使用量は、(A)の重量に基づいて通常5%以下、後述の無機繊維チョップドストランド積層体上に噴霧される水と(A)との親和性および無機繊維ストランド間の結合性の観点から好ましくは0.01〜2%、さらに好ましくは0.1〜1%である。
【0084】
[無機繊維不織布]
本発明の無機繊維不織布は、後述の無機繊維積層体中の無機繊維ストランド間を、前記樹脂粒子(A)を含有する粉末状バインダーで結合して得られる。ここにおいて無機繊維とは、石、スラグ、ガラス等の溶融物を繊維化して得られる鉱物繊維および炭素繊維等が含まれる。
【0085】
前記炭素繊維は、アクリル繊維またはピッチ(石油、石炭、コールタール等の副生成物)を原料に高温で炭化して形成される繊維であり、アクリル繊維を使った炭素繊維はポリアクリロニトリル(PAN)系、ピッチを使った炭素繊維はピッチ(PITCH)系と区分されるものである。
【0086】
これらの無機繊維のうち、FRP等への適用におけるマトリックス樹脂との接着性の観点から好ましいのはガラス繊維および炭素繊維、さらに好ましくはガラス繊維である。
【0087】
本発明の無機繊維不織布は、具体的には例えば以下の工程で製造することができる。
(1)金網上に無機繊維チョップドストランドを方向性無秩序に均一な厚みになるように散布して無機繊維積層体を得る。
(2)所定量の水を該積層体の上面または下面側から該無機繊維積層体の表面全体が濡れるように霧吹きにて噴霧する。
(3)所定量のバインダーを該無機繊維積層体の上面側から均一に散布して、付着させる。
(4)該無機繊維積層体表面の全体が湿るように霧吹きにて所定量の水を上面側から噴霧し、所定量のバインダーを均一に散布して、付着させる。
(5)上記(4)の工程は必要により、さらに1回または2回以上繰り返してもよい。
(6)上記(5)までの工程で得られたバインダー付着積層体を85〜200℃で1〜10分間加熱した後70〜230℃に温度調整した加圧成形機により0.01〜5MPaでプレス(加熱プレス成形)、または該加熱後冷却しながらロールプレス機(ロール温度は0〜30℃に温度調整しておく)により0.01〜5MPaの圧力でプレス(冷却プレス成形)してバインダーで結合された無機繊維不織布を得る。
該無機繊維不織布の目付量(1m2当たりの無機繊維重量、単位はg/m2)は、無機繊維不織布の機械的強度と無機繊維不織布の軽量化の観点から、好ましくは40〜450、さらに好ましくは100〜230である。
【0088】
上記(2)、(4)および(5)で噴霧した水の付着量は、それぞれバインダーを含まない無機繊維積層体の重量に基づいて、バインダーの付着性および後工程での乾燥容易性の観点から好ましくは10〜1,000%、さらに好ましくは20〜700%である。
【0089】
本発明のバインダーの無機繊維積層体への散布時における歩留まり率(重量%)は、無機繊維不織布製造の工業的観点から好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、とくに好ましくは90%以上である。該歩留まり率は後述の方法で測定される。
【0090】
無機繊維積層体の重量に基づくバインダーの付着割合[バインダー付着量(%)]は、不織布の機械的強度およびハンドリング性(前記後加工の作業性、無機繊維不織布の柔軟性と同義。)の観点から好ましくは1〜20%、さらに好ましくは2〜15%である。
【0091】
本発明の無機繊維不織布の引張強度の変動係数は、無機繊維不織布の柔軟性、機械的強度の均一性の観点から好ましくは50%以下、さらに好ましくは45%以下である。該変動係数は後述の方法で測定される。
【0092】
[無機繊維強化プラスチック成形品]
本発明の無機繊維強化プラスチック(FRP)成形品は、本発明の無機繊維不織布を強化材として成形してなる。該成形品の成形法については特に制限されることはなく、ハンドレイアップ法、スプレーアップ法、プリフォーム法、マッチドダイ法およびSMC法等が挙げられる。これらのうち例えばハンドレイアップ法は通常以下の手順で行われる。
(1)成形型表面に離型剤を塗布する。
(2)ローラー等を用いて均一な厚みになるよう室温(15〜25℃)でマトリックス樹脂(不飽和ポリエステル樹脂等)を成形型表面に塗布する。
(3)約40℃に温度調整した温風炉内で該樹脂をゲル化させる。
(4)無機繊維不織布を成形型表面にフィットさせ、マトリックス樹脂をスチレンモノマー等で希釈した溶液をローラー等により無機繊維不織布上に積層し、ローラーにより空気抜きを行う。
(5)積層体を温風炉内で硬化させる。
(6)型から取り出し成形品を得る。
【0093】
ハンドレイアップ法を含む前記成形法で得られる成形品のマトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂(不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、変性アクリル樹脂、フラン樹脂等)、および熱可塑性樹脂(ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリイミド樹脂等)が挙げられる。
これらのうち、例えば上記ハンドレイアップ法の場合は、熱硬化性樹脂が用いられ、成形時の作業性の観点から好ましいのは、不飽和ポリエステル樹脂およびビニルエステル樹脂である。
【実施例】
【0094】
以下実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例中の部は重量部、%は特記する場合以外は重量%を表す。
【0095】
実施例1<バインダー(X−1)の製造>
(1)ポリエステル樹脂(PS−1)の製造
反応容器中に、ビスフェノールAのEO2.2モル付加物3,365部、フマル酸1,123部、ジブチルスズオキサイド6部を仕込み、窒素雰囲気下180℃で4時間反応させた。その後、200℃まで昇温し、5〜30kPaの減圧下、同温度で6時間反応させた後、酸価16.0になったところで該樹脂を取り出した後、室温に冷却してポリエステル樹脂(PS−1)を得た。(PS−1)の、Mwは30,000、Mnは2,800、軟化点は116℃、Tgは53℃であった。
(2)樹脂粒子(A−1)の製造
(PS−1)100gを分級スクリーン(0.5mmφ丸穴)を装着した「高速ハンマーミル」を用いてフィード量11.5g/minで連続投入しながら、回転数15,000rpmで粉砕した。該分級スクリーンを通過して得られた樹脂粉末を目開き75μmの篩で篩い分け、これを通過した樹脂粉末をさらに目開き53μmの篩で篩い分けて、53μmの篩上に残った樹脂粒子(A−1)を得た。マイクロトラックによるDvは70μm、75μm以下の粒子含量は98%であった。
(3)バインダー(X−1)の製造
(A−1)10部にブロッキング防止剤[「AEROSIL 200」、商品名、日本アエロジル(株)製、以下同じ。]0.05部を加えた後、混合し、樹脂粒子(A−1)を含有してなるバインダー(X−1)を得た。
【0096】
実施例2<バインダー(X−2)の製造>
(1)樹脂粒子(A−2)の製造
(PS−1)100gを実施例1の(2)と同様に「高速ハンマーミル」を用いて粉砕した。該スクリーンを通過して得られた樹脂粉末を目開き45μmの篩で篩い分け、これを通過した樹脂粒子(A−2)を得た。マイクロトラックによるDvは23μm、75μm以下の粒子含量は100%であった。
(2)バインダー(X−2)の製造
(A−2)10部にブロッキング防止剤0.05部を加えた後、混合し、樹脂粒子(A−2)を含有してなるバインダー(X−2)を得た。
【0097】
実施例3<バインダー(X−3)の製造>
(1)樹脂粒子(A−3)の製造
(PS−1)100gを実施例1の(2)と同様に「高速ハンマーミル」を用いて粉砕した。該スクリーンを通過して得られた樹脂粉末を目開き106μmの篩で篩い分け、これを通過した粉末をさらに目開き22μmの篩で篩い分けて、22μmの篩上に残った樹脂粒子(A−3)を得た。マイクロトラックによるDvは75μm、75μm以下の粒子含量は65%であった。
(2)バインダー(X−3)の製造
(A−3)10部にブロッキング防止剤0.05部を加えた後、混合し、樹脂粒子(A−3)を含有してなるバインダー(X−3)を得た。
【0098】
実施例4<バインダー(X−4)の製造>
(1)ポリウレタン樹脂(PU−1)の製造
[ウレタンプレポリマーの製造]
反応容器に、ポリカプロラクトンジオール[商品名「プラクセル220」、ダイセル化学工業(株)製、Mn2,000]2,000部を仕込み、0.4kPaの減圧下で110℃に加熱して1時間脱水を行った。続いてIPDI 457部を仕込み、110℃で10時間反応させ、イソシアネート基含量3.6%のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(PP−1)を得た。
【0099】
[伸長剤の製造]
反応容器に、エチレンジアミン50部とMIBK50部を仕込み、50℃で1時間反応させ、(伸長剤−1)を得た。
【0100】
[ポリウレタン樹脂の製造]
反応容器に、(PP−1)1,000部、(伸長剤−1)26.9部、n−ブチルアミン29.7部を仕込み、130℃で4時間反応させ、得られたポリウレタン樹脂を取り出した後、室温に冷却してポリウレタン樹脂(PU−1)を得た。(PU−1)の、Mwは24,000、Mnは、5,100、軟化点は108℃、Tgは−15℃であった。
【0101】
(2)樹脂粒子(A−4)の製造
(PU−1)100gを液体窒素に5分間浸し、分級スクリーン(0.5mmφ丸穴)を装着した「高速ハンマーミル」を用いてフィード量11.5g/minで連続投入しながら、回転数17,500rpmで粉砕した。その後実施例1の(2)と同様にして樹脂粒子(A−4)を得た。マイクロトラックによるDvは65μm、75μm以下の粒子含量は98%であった。
【0102】
(3)バインダー(X−4)の製造
(A−4)10部にブロッキング防止剤0.05部を加えた後、混合し、樹脂粒子(A−4)を含有してなるバインダー(X−4)を得た。
【0103】
実施例5<バインダー(X−5)>
(1)ポリアミド樹脂(PA−1)の製造
反応容器に、ダイマー酸[商品名「EMPOL 1061」、コグニスジャパン(株)製]1,645部、IPDA540部を仕込み、窒素雰囲気下、160℃で2時間反応させた。その後、180℃および200℃で各2時間反応させた。次に5〜6kPaの減圧下で反応させ、酸価2になったところで取り出し、ポリアミド樹脂(PA−1)を得た。(PA−1)の、Mwは19,000、Mnは7,600、軟化点は92℃、Tgは46℃であった。
【0104】
(2)樹脂粒子(A−5)の製造
(PA−1)100gを分級スクリーン(0.5mmφ丸穴)を装着した「高速ハンマーミル」を用いてフィード量11.5g/minで連続投入しながら、回転数17,500rpmで粉砕した。その後実施例1の(2)と同様にして樹脂粒子(A−5)を得た。マイクロトラックによるDvは67μm、75μm以下の粒子含量は96%であった。
【0105】
(3)バインダー(X−5)の製造
(A−5)10部にブロッキング防止剤0.05部を加えた後、混合し、樹脂粒子(A−5)を含有してなるバインダー(X−5)を得た。
【0106】
実施例6<バインダー(X−6)の製造>
(1)樹脂粒子(A−6)の製造
エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂[商品名「EVAFLEX550」三井デュポン・ポリケミカル(株)製](PV−1)100gを液体窒素に10分間浸し、分級スクリーン(0.5mmφ丸穴)を装着した「高速ハンマーミル」を用いてフィード量11.5g/minで連続投入しながら、回転数12,500rpmで粉砕した。その後は実施例1の(2)と同様にして樹脂粒子(A−6)を得た。マイクロトラックによるDvは66μm、75μm以下の粒子含量は98%であった。
【0107】
(2)バインダー(X−6)の製造
(A−6)10部にブロッキング防止剤0.05部を加えた後、混合し、樹脂粒子(A−6)を含有してなるバインダー(X−6)を得た。
【0108】
実施例7<バインダー(X−7)の製造>
(1)樹脂粒子(A−7)の製造
(A−2)55部と(A−3)45部を混合し、樹脂粒子(A−7)を得た。マイクロトラックによるDvは46μm、75μm以下の粒子含量は83%であった。
(2)バインダー(X−7)の製造
(A−7)10部にブロッキング防止剤0.05部を加えた後、混合し、樹脂粒子(A−7)を含有してなるバインダー(X−7)を得た。
【0109】
比較例1<バインダー(X’−1)の製造>
(1)樹脂粒子(A’−1)の製造
(PS−1)100gを実施例1の(2)と同様にして「高速ハンマーミル」を用いて粉砕した。該スクリーンを通過して得られた樹脂粉末を目開き106μmの篩で篩い分け、これを通過した粉末をさらに目開き53μmの篩で篩い分けて、53μmの篩上に残った樹脂粒子(A’−1)を得た。マイクロトラックによるDvは85μm、75μm以下の粒子含量は65%であった。
(2)バインダー(X’−1)の製造
(A’−1)10部にブロッキング防止剤0.05部を加えた後、混合し、バインダー(X’−1)を得た。
【0110】
比較例2<バインダー(X’−2)の製造>
(1)樹脂粒子(A’−2)の製造
(PS−1)100gを実施例1の(2)と同様にして「高速ハンマーミル」を用いて粉砕した。該スクリーンを通過して得られた樹脂粉末を目開き22μmの篩で篩い分け、これを通過した樹脂粒子(A’−2)を得た。マイクロトラックによるDvは18μm、75μm以下の粒子含量は100%であった。
(2)バインダー(X’−2)の製造
(A’−2)10部にブロッキング防止剤0.05部を加えた後、混合し、バインダー(X’−2)を得た。
【0111】
比較例3<バインダー(X’−3)の製造>
(1)樹脂粒子(A’−3)の製造
(PS−1)100gを実施例1の(2)と同様にして「高速ハンマーミル」を用いて粉砕した。該スクリーンを通過して得られた樹脂粉末を目開き125μmの篩で篩い分け、これを通過した粉末をさらに目開き22μmの篩で篩い分けて、22μmの篩上に残った樹脂粒子(A’−3)を得た。マイクロトラックによるDvは71μm、75μm以下の粒子含量は50%であった。
(2)バインダー(X’−3)の製造
(A’−3)10部にブロッキング防止剤0.05部を加えた後、混合し、バインダー(X’−3)を得た。
【0112】
実施例8<無機繊維不織布(NW−1)の作成>
ガラスチョップドストランド用のガラスストランド(平均ストランド番手T=30tex、ガラス繊維の密度d=2.5g/cm3、ストランド直径K=123.6μm)を、ガラスチョッパー[商品名「ガラスチョッパー」、東技研(株)製]を用いて約5cm長さに切断し、ガラスチョップドストランドを得た。離型処理したタテ75cm×ヨコ40cmの平板金型内に得られたガラスチョップドストランド30gを方向性無秩序に均一厚みになるよう散布して無機繊維積層体とし、次に該積層体の上面側から霧吹きにて水を均一噴霧して、該積層体に30gの水[無機繊維積層体の重量に対して100%]を付着させた。
次に該積層体の上面側からバインダー(X−1)3.0g[無機繊維積層体重量に対して10.0%]を均一に散布した。該積層体へのバインダー付着量は2.58g[無機繊維積層体重量に対して8.6%]であった。その後、200℃の循風乾燥機内で2分間、バインダーを溶融させ、つづいて30℃に温度調整したロール型プレス機(圧力0.2MPa)により20m/分のスピードで冷却プレスし、厚さ0.21mm、目付量100g/m2の無機繊維不織布(NW−1)を得た。
【0113】
実施例9〜11<無機繊維不織布(NW−2)〜(NW−4)の作成>
実施例8において、バインダー(X−1)を(X−2)〜(X−4)に代えたこと以外は実施例8と同様にして、厚さ0.21mm、目付量100g/m2の無機繊維不織布(NW−2)〜(NW−4)を得た。
【0114】
実施例12<無機繊維不織布(NW−5)の作成>
実施例8において、ガラスチョップドストランドの散布量を135gとし、得られた積層体に135gの水[無機繊維積層体の重量に対して100%]を付着させた。
次に該積層体の上面側からバインダー(X−5)4.1g[無機繊維積層体重量に対して3.0%]を均一に散布した。該積層体へのバインダー付着量は3.51g[無機繊維積層体重量に対して2.6%]であった。その後、実施例8と同様の手順で、目付量450g/m2、厚さ0.35mmの無機繊維不織布(NW−5)を得た。
【0115】
実施例13<無機繊維不織布(NW−6)の作成>
実施例8において、ガラスチョップドストランドの散布量を15gとし、得られた積層体に15gの水[無機繊維積層体の重量に対して100%]を付着させた。
次に該積層体の上面側からバインダー(X−6)3.0g[無機繊維積層体重量に対して20%]を均一に散布した。該積層体へのバインダー付着量は2.59g[無機繊維積層体重量に対して17.3%]であった。その後、実施例8と同様の手順で、目付量50g/m2、厚さ0.10mmの無機繊維不織布(NW−6)を得た。
【0116】
実施例14<無機繊維不織布(NW−7)の作成>
実施例8において、ガラスチョップドストランドの散布量を45gとし、得られた積層体に45gの水[無機繊維積層体の重量に対して100%]を付着させた。
次に該積層体の上面側からバインダー(X−7)4.5g[無機繊維積層体重量に対して10.0%]を均一に散布した。該積層体へのバインダー付着量は4.01g[無機繊維積層体重量に対して8.9%]であった。その後、実施例8と同様の手順で、目付量150g/m2、厚さ0.26mmの無機繊維不織布(NW−7)を得た。
【0117】
実施例15<無機繊維不織布(NW−8)の作成>
実施例8において、ガラスチョップドストランドの散布量を15gとし、得られた積層体に15gの水[無機繊維積層体の重量に対して100%]を付着させた。
次に該積層体の上面側からバインダー(X−1)4.3g[無機繊維積層体重量に対して28.7%]を均一に散布した。該積層体へのバインダー付着量は3.69g[無機繊維積層体重量に対して24.6%]であった。その後、実施例8と同様の手順で、目付量50g/m2、厚さ0.10mmの無機繊維不織布(NW−8)を得た。
【0118】
実施例16<無機繊維不織布(NW−9)の作成>
実施例8において、ガラス繊維に代えて炭素繊維[商品名「パイロフィルTR30S3L」、PAN系、繊維1m当たりの重量:200mg/m、三菱レイヨン(株)製]を用いたこと以外は実施例8と同様にして、無機繊維積層体とし、該積層体に30gの水[無機繊維積層体の重量に対して100%]を付着させた。
次に該積層体の上面側からバインダー(X−1)3.0g[無機繊維積層体重量に対して10.0%]を均一に散布した。該積層体へのバインダー付着量は2.64g[無機繊維積層体重量に対して8.8%]であった。その後、実施例8と同様の手順で、目付量100g/m2、厚さ0.21mmの無機繊維不織布(NW−9)を得た。
【0119】
比較例4〜6<無機繊維不織布(NW’−1)〜(NW’−3)の作成>
実施例8においてバインダー(X−1)に代えて(X’−1)〜(X’−3)を使用したこと以外は実施例8と同様にして、目付量100g/m2、厚さ0.21mmの無機繊維不織布(NW’−1)〜(NW’−3)を得た。
【0120】
比較例7〜9<無機繊維不織布(NW’−4)〜(NW’−6)の作成>
実施例8においてバインダー(X−1)に代えて(X’−1)〜(X’−3)、バインダー散布量を3.6g[無機繊維積層体重量に対して12.0%]にしたこと以外は実施例8と同様にして、目付量100g/m2、厚さ0.21mmの無機繊維不織布(NW’−4)〜(NW’−6)を得た。
【0121】
比較例10〜12<無機繊維不織布(NW’−7)〜(NW’−9)の作成>
実施例8においてバインダー(X−1)に代えて(X’−1)〜(X’−3)、バインダーの散布量を5.5g[無機繊維積層体重量に対して18.3%]にしたこと以外は実施例8と同様にして、目付量100g/m2、厚さ0.21mmの無機繊維不織布(NW’−7)〜(NW’−9)を得た。
【0122】
上記で得られた無機繊維不織布(以下、NWと略記)について以下の方法に従って性能評価した。結果を表1、2に示す。
【0123】
<評価方法>
(1)歩留まり率(%)(バインダー散布時の歩留まり性の評価)
下記式から歩留まり率を算出する。

歩留まり率(%) = (W2/W1)×100

但し、W1:無機繊維積層体へ散布したバインダーの重量(g)
W2:無機繊維積層体に付着したバインダーの重量(g)
【0124】
(2)NWの引張強度(N)(機械的強度の評価)
各NWから、タテ150mm×ヨコ50mmの試験片を30枚ずつ切り出し、これらについてJIS R3420「ガラス繊維一般試験方法」の「7.4引張強さ」に準じて引張強度を測定し、試験片30枚の平均値を得た。
【0125】
(3)NWの引張強度の均一性(機械的強度の均一性の評価)
試験片30枚の引張強度の標準偏差(σ)を求め、引張強度の変動係数を下記式より算出し、下記の基準で評価した。

引張強度の変動係数(%)=100×σ/引張強度の平均値

<評価基準>
○:50%以下
△:50%超60%以下
×:60%超
【0126】
【表1】

【0127】
【表2】

【0128】
表1、2の結果から、本発明のバインダーは比較のものに比べ、バインダー散布時の歩留まり率が良好であり、バインダーが低散布量、低付着量でも均一で優れた機械的強度の無機繊維不織布を与えることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明の無機繊維不織布は、無機繊維強化プラスチック成形品用の強化材等として用いられ、該成形品は、自動車用部材(成形天井材等)、小型船舶(カヌー、ボート、ヨット、モーターボート等)の船体、住宅用部材(建材、バスタブ、浄化槽等)、風車のブレード等の幅広い分野に適用できることから、極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体積平均粒子径Dvが20〜75μmで、75μm以下の粒子径を有する粒子の全粒子に対する割合が60重量%以上である樹脂粒子(A)を含有してなる無機繊維不織布用粉末状バインダー。
【請求項2】
(A)を構成する樹脂が、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂およびポリ酢酸ビニル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載のバインダー。
【請求項3】
無機繊維が、鉱物繊維および炭素繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2記載のバインダー。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか記載のバインダーを用いて無機繊維積層体を結合させてなる無機繊維不織布。
【請求項5】
無機繊維積層体の重量に基づくバインダー付着量が1〜20%である請求項4記載の不織布。
【請求項6】
不織布の引張強度の変動係数が、50%以下である請求項4または5記載の不織布。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか記載の不織布を強化材として成形してなる無機繊維強化プラスチック成形品。
【請求項8】
プラスチック成形品が、自動車成形天井材、小型船舶船体、建材、バスタブ、浄化槽または風車のブレード用である請求項7記載の成形品。
【請求項9】
無機繊維積層体に水およびバインダーを散布し、加熱してバインダーを溶融後、該積層体をプレス成形して不織布を製造する方法において、請求項1〜3のいずれか記載のバインダーを用いることを特徴とする無機繊維不織布の製造方法。

【公開番号】特開2013−64218(P2013−64218A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−188592(P2012−188592)
【出願日】平成24年8月29日(2012.8.29)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】