説明

無機EL素子およびこれを用いた無機EL表示装置

【課題】 低い駆動電圧で良好な発光効率が得られる無機EL素子と、高品質のフルカラー表示が可能な無機EL表示装置を提供する。
【解決手段】 無機EL表示装置を、蛍光体層を誘電体層で挟持してなる無機EL発光層と該無機EL発光層の誘電体層上に配設された電極とを有する無機EL素子と、無機EL素子の一方の面に貼り合わされたカラーフィルタとを備えたものとし、誘電体層の厚みを5〜50μmの範囲内、比誘電率を100以上とし、カラーフィルタを、透明基材上に形成されたカラーフィルタ層とブラックマトリックスと複数のスペーサ用粒体を有するものとし、カラーフィルタ層の外側領域にて複数の貼り合せ用粒体を介して無機EL素子にカラーフィルタを固着し、貼り合せ用粒体の平均粒径D、カラーフィルタ層の厚みt、スペーサ用粒体の平均粒径dとの間にD≧d+tの関係を設け、上記電極のうち少なくとも蛍光体層よりもカラーフィルタ側に位置する電極を透明電極とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機エレクトロルミネッセンス(EL)素子と無機EL表示装置に係り、特にフルカラー表示が可能な無機EL素子と無機EL表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無機EL素子は蛍光管に代わる新光源や自発光型ディスプレイ等として開発が進んでおり、また、車載用モニターや、航空機、特殊車両、海底探査潜水艇のような外部振動が多く、高圧・高温・多湿の劣悪な環境下において使用可能なディスプレイとしても期待がもたれている。このような無機EL素子は、分散型薄膜電界型と薄膜誘電体積層型との2つに区分され、例えば、交流薄膜EL素子の構造は非特許文献1、特許文献1に記載されている。
一方、カラーディスプレイとしてパソコン用、TV用、その他の表示用に対応するためには、無機EL素子のカラー化が必要不可欠である。現在のところ、無機EL素子の発光層は、赤色発光蛍光体としてZnS:SmやCaS:Euを含むもの、緑色発光蛍光体としてZnS:TbやCaS:Ceを含むもの、青色発光蛍光体としてSrS:CeやZnS:Tmを含むもの等が提案されている。しかし、青色発光蛍光体としてSrS:Ceは、比較的高い輝度が得られるが、色度が緑側にシフトするので青色成分としては不十分であり、例えば、バリウムチオアルミネートによる青色発光層をBaS:Eu材料とAlS材料の共蒸着により作成した青色発光蛍光体等が開発されている(特許文献2)。
【非特許文献1】Tornqvist,R.O.著、“Thin-Film Electroluminescent Displays”,Society for Information Display, 1989, International Symposium Seminar Lecture Notes
【特許文献1】米国特許第4857802号公報
【特許文献2】特開2002−180038号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
無機EL素子では、蛍光体層が1組の電極間に配設され、電極と蛍光体層は誘電体層(絶縁層)で分離されており、発光輝度を上げるためには、蛍光体層を通過する電界強度が高いことが要求され、従来の無機EL表示装置では、誘電体層(絶縁層)は薄膜状態とされている。しかし、薄膜状態の誘電体層(絶縁層)は製造コストの低減に限界があり、また、非常に小さな欠陥も故障の原因になるという問題があった。また、薄膜誘電体層を備えた従来の無機EL表示装置は、例えば、300〜450Vの高電圧で駆動されるため、電極間の絶縁破壊を生じ易いという問題もあった。このため、絶縁耐圧の高い厚膜誘電体層を使用した無機EL素子が要望されているが、従来の無機EL表示装置では、低い駆動電圧で良好な発光効率を得るに至っていないという問題があった。
【0004】
また、従来の赤色、緑色、青色の3原色に発光する蛍光体は、発光輝度、効率、色純度が未だ不十分である。このため、フルカラーの無機EL表示装置を可能とするためには、色補正あるいは色純度を飛躍的に向上させるためのカラーフィルタ層が必要である。しかし、上述にような厚膜誘電体層を使用した無機EL素子では、表面段差が大きく、直接カラーフィルタ層を形成することは困難であるという問題があった。
本発明は、上記のような実情に鑑みてなされたものであり、低い駆動電圧で良好な発光効率が得られる無機EL素子と、高品質のフルカラー表示が可能な無機EL表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的を達成するために、本発明は、蛍光体層を誘電体層で挟持してなる無機EL発光層と該無機EL発光層の誘電体層上に配設された電極とを少なくとも有する無機EL素子において、前記誘電体層は、厚みが5〜50μmの範囲内、比誘電率が100以上であり、前記電極のうち少なくとも一方の電極は透明電極であるような構成とした。
本発明の他の態様として、一方の誘電体層に配設された電極は複数のストライプ形状のX電極であり、他方の誘電体層上に配設された電極は前記X電極とマトリクスをなすようにストライプ形状に配設されたY電極であるような構成とした。
本発明の他の態様として、フライバック昇圧回路とフルブリッジ・スイッチング回路とを組み合わせた駆動回路を備えているような構成とした。
【0006】
また、本発明は、蛍光体層を誘電体層で挟持してなる無機EL発光層と該無機EL発光層の誘電体層上に配設された電極とを有する無機EL素子と、該無機EL素子の一方の面に貼り合わされたカラーフィルタと、を備えた無機EL表示装置において、前記無機EL素子は上述の本発明の無機EL素子であり、前記カラーフィルタは、透明基材と、該透明基材上に形成されたカラーフィルタ層とを備え、該カラーフィルタ層は所定の繰返し順序でストライプ状に配設された複数色の着色層と、所望の着色層間に配されたブラックマトリックスとを有し、該ブラックマトリックスと直交するように前記カラーフィルタ層上に複数の帯状領域を画定し、ブラックマトリックス上および/または帯状領域上には複数のスペーサ用粒体が配設され、前記カラーフィルタ層の外側領域の複数の所定箇所にはカラーフィルタ層を囲むように貼り合せ用粒体が配設され、該貼り合せ用粒体を介して前記無機EL素子に前記カラーフィルタが固着されており、前記貼り合せ用粒体の平均粒径Dと、前記カラーフィルタ層の厚みt、前記スペーサ用粒体の平均粒径dとの間には、D≧d+tの関係があるような構成とした。
【0007】
本発明の他の態様として、前記無機EL素子の一方の誘電体層に配設された電極は複数のストライプ形状のX電極であり、他方の誘電体層上に配設された電極は前記X電極とマトリクスをなすようにストライプ形状に配設されたY電極であり、前記カラーフィルタの前記スペーサ用粒体はX電極とY電極とが交差する部位には位置しないような構成とした。
本発明の他の態様として、前記貼り合せ用粒体の平均粒径Dは40〜100μmの範囲内であり、前記スペーサ用粒体の平均粒径dは20〜40μmの範囲内であるような構成とした。
本発明の他の態様として、粒体の最大直径aと最小直径bとの比(a/b)を扁平率としたときに、前記貼り合せ用粒体および前記スペーサ用粒体の扁平率は1〜1.1の範囲内であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記スペーサ用粒体が配設されている前記帯状領域は、貼り合せ対象の無機EL素子の走査線および/またはデータ線に平行であるとともに、走査線とデータ線との交差部位から外れるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記貼り合せ用粒体は光硬化性樹脂により被覆されており、前記貼り合せ用粒体を前記無機EL素子の前記電極が配設された領域の外側の部位に当接させた状態で、カラーフィルタを構成する透明基材側から光照射を行って、前記貼り合せ用粒体を被覆する光硬化性樹脂を硬化させて前記無機EL素子に固着したものであるような構成とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明の無機EL素子は、誘電体層の厚みが5〜50μmの範囲内で比誘電率が100以上であるため、蛍光体層を誘電体層で挟持してなる無機EL発光層を通過する放電が阻止され、かつ、低い駆動電圧で良好な発光効率が得られる。また、駆動回路として、フライバック昇圧回路とフルブリッジ・スイッチング回路とを組み合わせた駆動回路を備える場合には、より低い駆動電圧で良好な発光効率を得ることができる。
本発明の無機EL素子装置は、外力が作用しても、貼り合せ用粒体によって外力が分散され、スペーサ用粒体が過度に無機EL素子に接触することがなく電極破損等の無機EL素子の損傷が防止されるとともに、スペーサ用粒体によってカラーフィルタ層と無機EL素子とが近接した状態で維持され、隣接する画素からの光漏れを抑制することができ、さらに、カラーフィルタによる色補正や色純度の向上がなされ、これにより、電極破損等の欠陥が発生し難く、信頼性に優れ高彩色の表示が可能であるとともに、薄型化も可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[無機EL素子]
図1は、本発明の無機EL素子11の一実施形態を示す斜視図である。図1に示されるように、無機EL素子11は、基板12上に、複数のストライプ形状のX電極13、誘電体層14、蛍光体層15、誘電体層16、X電極13とマトリックスをなすように配設された複数のストライプ形状のY電極18を備え、蛍光体層15とこれを挟持する誘電体層14,16で無機EL発光層17が構成されている。
基板12は、例えば、金属材料、ガラス材料、樹脂材料、または、これらの複合材料からなるもの等が用いられる。また、基板12に光透過性を具備させる場合には、例えば、ガラス材料、樹脂材料、または、これらの複合材料からなるもの、例えば、ガラス板に保護プラスチックフィルムもしくは保護プラスチック層を設けたもの等を用いることができる。基板12の厚さは、通常、100μm〜5mm程度とし、最適には複屈折を伴なう視認性確保を考慮し、可視領域において透明な300μm〜3mmの厚さとすることが好ましい。
【0010】
X電極13は、透明、不透明いずれであってもよく、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化第二スズ等の導電材料、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリアルキルチオフェン誘導体、ポリシラン誘導体等の導電性高分子、MgAg等のマグネシウム合金、AlLi、AlCa、AlMg等のアルミニウム合金、Li、Ca等のアルカリ金属やアルカリ土類金属等を使用して形成することができる。
また、Y電極18は、蛍光体層15よりもカラーフィルタ21側に位置しているため、透明電極とする。透明電極としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化第二スズ等の導電材料を使用して形成することができる。
X電極13、Y電極18の形成方法には特に制限はなく、スパッタリング法、真空蒸着法等の真空成膜法や、所望の組成の塗布液を塗布して形成する方法等を用いることができる。
【0011】
この無機EL素子11では、X電極13、Y電極18の一方を走査線とし他方をデータ線とし、データ線と走査線とでマトリクス(X行Y列)を構成する。この電極構成では、データ線と走査線とに時系列的に電圧(信号)をかけていくと、ある時刻では選択されたデータ線と走査線との交差する場所のみの無機EL発光層17(蛍光体層15と誘電体層14,16)に電圧がかかる(電流が流れる)ことになり、このアドレス(データ線と走査線との交差部)の蛍光体層15に励起されたエネルギーにより発光する。このような、データ線と走査線との交差部のみが発光する点順次駆動方式では、発光時間が短いため所望の輝度を保つことができない。発光時間を長くするためには、走査線につながっている1ラインの画素すべてが同時に発光する線順次駆動方式を用いることができる。この線順次駆動方式では、目的画素の発光期間において走査線に電圧がかかっているすべての発光画素が点灯するため、点順次駆動方式に比較すれば、データ線数倍の発光時間を保持できる。しかし、発光輝度が1/走査線数になり小さいため、所望の輝度を保つには大きなデータ電圧(電流)が必要となる。
【0012】
本発明では、低圧電源から、無機EL発光層17(蛍光体層15と誘電体層14,16)を点灯させるために必要な200〜300Vまでインバータ回路により昇圧する駆動回路を用いることが好ましい。さらに、無機EL素子11の駆動周波数は200Hzから2kHzという低い周波数にあるため、中・小型電力の点灯回路として、フライバック昇圧回路とフルブリッジ・スイッチング回路とを組み合わせた構成の駆動回路を用いることが好ましい。図2は、このような駆動回路を示す図である。この駆動回路41は、DC/DCコンバータ42、インダクタ43、ダイオード44、トランジスタ45、ブリッジ回路を構成するトランジスタ46a,46b,46c,46d、スイッチ回路47からなっている。そして、インダクタ43とトランジスタ45により昇圧回路が構成され、この昇圧回路で得た高電圧を、フルブリッジ型のスイッチング回路でスイッチングすることにより、無機EL素子11に交流電圧を印加するものである。尚、海外向け製品や、電源の効率改善、周波数特性の調整のために、交流電源が用いられる場合がある。この場合、DC/DCコンバータ42において、AC/DCコンバータおよび平滑回路(複数のコンデンサーを組み合わせた)を加える。
【0013】
誘電体層14、16は、蛍光体層15を挟持するように配設され、蛍光体層15の発光効率を向上させるものである。このような誘電体層14、16として用いられる材料は、例えば、Y23、Al23、Ta25、SiO2、Si34等の非晶質酸化物、BaTiO3、PbTiO3等の強誘電体、SiNx、SiOF、SiOC、Pb(Zr,Ti)O3、(Pb、La)(Zr,Ti)O3、Bi4Ti312、さらにはぺロブスカイト型強誘電体、タングステン・ブロンズ型強誘電体、ビスマス層状構造強誘電体等を挙げることができる。さらに、π電子系の酸−塩基二成分型有機物を利用した有機強誘電体、例えば、クロラニク酸、ブロマニル酸等のような強い酸性度(H+(プロトン)の供与能)の水酸基を有するジヒドロキシ−p−ベンゾキノン類、あるいは、クロラニル酸を酸として、ベンゼン環にプロトン受容基の窒素原子を組み入れたフェナジン(Phz)を塩基として作用させ、1:1の分子化合物としたもの等、さらに、分子間で水素結合を形成して一次元のネットワークを形成したこれらの集合構造分子も使用することができる。本発明では、誘電体層14、16を厚膜誘電体層とする。すなわち、誘電体層14、16の厚みを5〜50μmの範囲とし、誘電体層全体(誘電体層14、16の厚みの合計)の厚みを50〜70μmの範囲とする。
【0014】
ここで、誘電体層の比誘電率(ε)について考える。誘電体層は、無機EL素子を構成する上で絶縁耐圧を維持しなければならないので、最低膜厚(d)として数μm以上を要する。その最低膜厚にて素子を構成した場合の素子の静電容量Cについて、薄膜絶縁層で素子を構成した場合と比較して考える。素子の静電容量Cは、構成材料の比誘電率εに比例し、膜厚dに反比例することから、C∝ε/d と表すことができる。一般に無機EL素子では蛍光体層中を電流は流れない。要するに電界発光素子である。そのため誘電体層は非常に大きな役割を果たす。すなわち、電流が蛍光体層に流れ込まないようにするための絶縁層の役割を果たす。実際の無機EL素子では実効的に100〜200V程度の交流電源を用い、素子厚みは全体で最大1mm程度であることから、その電界強度は1kV/cm以上と考えられる。
【0015】
高誘電厚膜を採用した場合に、薄膜による構成、例えば、ε(Si34とSiO2の積層型;〜7)/d(0.2μm)に対して、少なくとも同じ静電容量を有するためには、dmin>3μmを規定すると、ε>105が算出される。したがって、本発明では、誘電体層14、16の比誘電率(ε)を100以上、好ましくは100〜8000の範囲とする。このように誘電体層14、16を比誘電率100以上である高誘電材料で形成した厚膜誘電体層とすることにより、無機EL素子11の絶縁耐圧を大幅に向上させることができる。
このような誘電体層14、16の厚膜の形成方法は、特に限定されず、上記の膜厚で成膜することが容易な方法を用いることができ、例えば、ゾルゲル法、印刷焼成法などが好ましい。印刷焼成法による場合には、材料の粒度を適当に揃え、バインダーと混合して適当な粘度のペーストとする。このペーストを基板上にスクリーン印刷法により形成し、乾燥してグリーンシートとし、このグリーンシートを適当な温度で焼成して、誘電体層とする。 さらに、得られた誘電体層の表面が、凹凸や穴が1μm以上と大きく平坦性が悪い場合、必要に応じて研磨、または、平坦化層をその上に形成して平坦性を向上させることが好ましい。
【0016】
蛍光体層15は、所望の発光色の発光蛍光体を用いて形成されたものであり、後述する本発明の無機EL表示装置の実施形態では、蛍光体層15は、赤色発光層15R、緑色発光層15G、青色発光層15Bがストライプ状に繰り返し配列されている。
赤色発光蛍光体としては、ZnS、Mn/CdSSe等を挙げることができ、緑色発光蛍光体としては、ZnS:TbOF、ZnS:Tb等を挙げることができ、青色発光蛍光体としては、SrS:Ce、(SrS:Ce/ZnS)n、CaGa24:Ce、Sr2Ga25:Ceを挙げることができる。また、白色発光蛍光体として、SrS:Ce/ZnS:Mn等が挙げられる。これらの蛍光体を適宜選択して、赤色発光層15R、緑色発光層15G、青色発光層15Bを構成することができる。
【0017】
このような本発明の無機EL素子11は、誘電体層14、16の厚みが5〜50μmの範囲内で比誘電率が100以上であるため、蛍光体層15を誘電体層14、16で挟持してなる無機EL発光層17を通過する放電が阻止され、かつ、低い駆動電圧で良好な発光効率が得られる。また、駆動回路として、図2に示されるようなフライバック昇圧回路とフルブリッジ・スイッチング回路とを組み合わせた駆動回路を備える場合には、より低い駆動電圧で良好な発光効率を得ることができる。
上述の無機EL素子の実施形態は例示であり、本発明の無機EL素子はこれに限定されるものではない。例えば、無機EL素子11を構成する基板12が導電性の金属材料である場合、誘電体層(絶縁層)を基板上に形成した後、X電極13を形成し、これらを被覆するように誘電体層を設けたものであってもよい。
【0018】
また、無機EL発光層17の駆動回路として、上述の駆動回路41にサージ電流回避のためのサージ保護回路を組み入れた駆動回路を用いてもよい。図3は、このような駆動回路を示す図であり、この駆動回路51は、駆動回路41と同様に、DC/DCコンバータ52、インダクタ53、ダイオード54、トランジスタ55、ブリッジ回路を構成するトランジスタ56a,56b,56c,56d、スイッチ回路57からなり、インダクタ53とトランジスタ55により昇圧回路が構成されている。そして、インダクタ53と、ダイオード54、トランジスタ55との間に、サージ保護回路を構成するヒューズ58とサージ保護素子59が設けられている。サージ保護素子59としては、例えば、ローパスフィルタやサージアブソーバを使用することができる。また、サージ保護回路は、DC/DCコンバータ52と電源との間、あるいは、ダイオード54とブリッジ回路との間に設けてもよい。
【0019】
[無機EL表示装置]
図4は本発明の無機EL表示装置の一実施形態を示す部分断面図である。図4において、本発明の無機EL表示装置1は、本発明の無機EL素子にカラーフィルタを配設したものである。本実施形態では、無機EL表示装置1を構成する本発明の無機EL素子として、上述の無機EL素子11を用いた例である。そして、本発明の無機EL表示装置1を構成するカラーフィルタ21は、貼り合せ用粒体27を無機EL素子11のY電極18が配設された領域(表示領域)の外側の部位に当接させた状態で、無機EL素子11に固着されている。そして、無機EL素子11を構成する蛍光体層15の赤色発光層15R、緑色発光層15G、青色発光層15Bは、それぞれ、カラーフィルタ21の赤色着色層24R、緑色着色層24G、青色着色層24Bに対応するように位置している。
【0020】
図5は無機EL表示装置1を構成するカラーフィルタ21の一例を示す平面図であり、図6は図5に示されるカラーフィルタのI−I線における部分拡大断面図であり、図1に示される断面に相当し、また、図7は図58示されるカラーフィルタのII−II線における部分拡大断面図であり、図7は図5に示されるカラーフィルタの円で囲まれた部位の拡大図である。図5〜図8において、カラーフィルタ21は、透明基材22と、この透明基材22上に形成されたカラーフィルタ層23と、カラーフィルタ層23上に配設された複数のスペーサ用粒体26と、カラーフィルタ層23の外側領域31にカラーフィルタ層23を囲むように配設された複数の貼り合せ用粒体27とを備えている。尚、図5では、カラーフィルタ層23を一点鎖線で囲んで示しており、図が煩雑になるのを避けるために、カラーフィルタ層23が設けられている領域については、スペーサ用粒体26のみを示している。
【0021】
カラーフィルタ層23は、無機EL表示装置において無機EL素子からの光を色補正したり、色純度を高めるものであり、所定の繰返し順序でストライプ状に配設された複数色の着色層24と、所望の着色層間に配されたブラックマトリックス25とを有している。図示例では、着色層24は赤色着色層24R、緑色着色層24G、青色着色層24Bで構成されており、ブラックマトリックス25は各色の着色層24R、24G、24B間に配設されている。
【0022】
カラーフィルタ層23を構成する着色層24(赤色着色層24R、緑色着色層24G、青色着色層24B)は、無機EL素子の発光特性に応じて適宜材料を選択することができ、例えば、バインダー樹脂に無機顔料、有機顔料等を含有したものとすることができる。使用する無機顔料としては、例えば、金属酸化物や金属錯塩のような金属化合物であり、具体的には、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン等の金属の酸化物または複合金属酸化物が挙げられる。また、有機顔料としては、例えば、カラーインデックス(C.I.)においてピグメントに分類されている下記の有機顔料群から選択される1種または2種以上の組み合わせで使用することができる。
・ C.I.ピグメントイエロー20,24,31,53,83,86,93,94,109,110,117,125,137,138,139,147,148,150,153,154,166および173
・ C.I.ピグメントオレンジ13,31,36,38,40,42,43,51,55,59,61,64,65および71
・ C.I.ピグメントレッド9,97,105,122,123,144,149,166,168,176,177,180,192,215,216,224,242および254
・ C.I.ピグメントバイオレット14,19,23,29,32,33,36,37および38
・ C.I.ピグメントブルー15(15:3,15:4,15:6),21,22,28,60および64
・ C.I.ピグメントグリーン7,10,15,25,36および47
・ C.I.ピグメントブラウン28
・ C.I.ピグメントブラック1および7
【0023】
例えば、青色発光蛍光体としてSrS:Ceを使用する場合、色度が緑色側にシフトするので、これを考慮して青色着色層24BにC.I.ピグメントブルー15:3とC.I.ピグメントバイオレット23の混合物(重量比=100:5)を使用することにより、十分に強い青色成分を得ることができる。
このような着色層24の厚みは、各着色層の材料、無機EL素子の発光特性等に応じて適宜設定することができ、例えば、1〜20μm程度の範囲で設定することができる。
また、カラーフィルタ層23を構成するブラックマトリックス25は、例えば、クロム等の金属薄膜パターン、あるいは、カーボン微粒子等の遮光性粒子を含有した樹脂層パターン等、いずれであってもよい。
【0024】
複数のスペーサ用粒体26は、カラーフィルタ21が無機EL素子11に接触して無機EL素子に絶縁破壊等の損傷が生じることを防止するための部材であり、ブラックマトリックス25と直交するようにカラーフィルタ層23上に画定した複数の帯状領域32(図8に鎖線で示される領域)に所定のピッチで一列に配設されている。図6および図7では、カラーフィルタ21が無機EL素子11に固着される前の状態を示しているので、スペーサ用粒体26は光硬化性樹脂28によって被覆されている。帯状領域32は、カラーフィルタが貼り合される無機EL素子11の走査線および/またはデータ線に平行であるとともに、走査線とデータ線との交差部位から外れるように画定することができる。例えば、図1に示される無機EL素子11において、X電極13(走査線)および/またはY電極18(データ線)に平行であるとともに、X電極13(走査線)とY電極18(データ線)との交差部位から外れるように帯状領域32を画定することができる。したがって、図8に示される例では、帯状領域32をX電極13(走査線)と平行にその間隙部位に設定し、ブラックマトリックス25をY電極18(データ線)と平行にその間隙部位に設定することができ、また、これとは逆の組み合わせで設定してもよい。
【0025】
尚、図示例では、スペーサ用粒体26が帯状領域32上であって、かつ、ブラックマトリックス25上に位置するように配設されているが、スペーサ用粒体26の配設はこれに限定されるものではない。例えば、ブラックマトリックス25上であれば、帯状領域32から外れる箇所にスペーサ用粒体26が位置してもよく、また、帯状領域32内であれば、ブラックマトリックス25上ではない箇所にスペーサ用粒体26が位置してもよい。
【0026】
一方、貼り合せ用粒体27は、カラーフィルタ21を無機EL素子11に貼合するための部材であるとともに、無機EL素子11に貼り合わせた後に作用した外力を吸収分散して、スペーサ用粒体26に外力が集中することを防止する部材である。この貼り合せ用粒体27は、カラーフィルタ層23の外側領域31にカラーフィルタ層23を囲むように所定のピッチで一列に配設されている。図6および図7では、カラーフィルタ21が無機EL素子11に固着される前の状態を示しているので、貼り合せ用粒体27は光硬化性樹脂29によって被覆されている。貼り合せ用粒体27の配置ピッチは、例えば、100μm〜30mmの範囲で適宜設定することができる。そして、スペーサ用粒体26の平均粒径d、貼り合せ用粒体27の平均粒径Dは、カラーフィルタ層23の厚みtとの間に、D≧d+tの関係が成立するように設定されている。ここで、本発明における粒体の平均粒径は、画像法により測定したものである。すなわち、画像のデジタライズ、粒体像の輪郭強調、粒体像の二値化、粒体像の輪郭抽出、粒体像のエッジトレース、編集用画像メモリーへのコピー、編集画像データの処理を行い測定したものである。尚、カラーフィルタ層23の厚みtは、最大厚みを意味している。
【0027】
カラーフィルタ21を構成する透明基材22としては、ガラス材料、樹脂材料、または、これらの複合材料からなるもの、例えば、ガラス板に保護プラスチックフィルムもしくは保護プラスチック層を設けたもの等が用いられる。
上記の樹脂材料、保護プラスチック材料としては、例えば、フッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエステル、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、液晶性ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリオキシメチレン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアクリレート、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、シリコーン樹脂、非晶質ポリオレフィン等が挙げられる。この他の樹脂材料であっても、透明性が確保され、無機EL表示装置用として使用できる高分子材料であれば、使用可能である。透明基材22の厚さは、通常、150μm〜5mm程度とすることができる。
【0028】
スペーサ用粒体26と貼り合せ用粒体27の材質は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフロオロエチレン、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルフォン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール等の線状または架橋高分子、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジビニルベンゼン重合体、ジビニルベンゼン−スチレン共重合体、ジビニルベンゼン−アクリル酸エステル共重合体、ジアリルフタレート重合体、トリアリルイソシアヌレート重合体、ベンゾグアナミン重合体等の網目構造を有する樹脂を使用することができる。また、スペーサ用粒体26と貼り合せ用粒体27は、ガラス等の無機材料からなるものであってもよい。このようなスペーサ用粒体26と貼り合せ用粒体27は、同じ材質であってもよく、また、異なる材質であってもよい。さらに、スペーサ用粒体26と貼り合せ用粒体27は、光透過性であっても、遮光性であってもよい。但し、スペーサ用粒体26については、無機EL素子の画素内に相当する部位に誤って存在する場合の画像品質の低下を考慮すると、光透過性であることが好ましい。
【0029】
スペーサ用粒体26の平均粒径dは、例えば、20〜40μmの範囲内、貼り合せ用粒体27の平均粒径Dは、例えば、40〜100μmの範囲内で、カラーフィルタ層23の厚みtを考慮して、上記関係式(D≧d+t)を満足するように適宜設定することができる。
また、粒体の最大直径aと最小直径bとの比(a/b)を扁平率としたときに、スペーサ用粒体26と貼り合せ用粒体27の扁平率は1〜1.1の範囲内であることが好ましい。扁平率が1.1を超えると、上記関係式(D≧d+t)から外れる粒体が存在する場合があり、無機EL素子11との貼り合せに際して、複数のスペーサ用粒体26の一部のみに無機EL素子に接触するものが出現して、無機EL素子に損傷を生じる場合があり好ましくない。尚、この扁平率も、上述の画像法により測定する。
【0030】
このようなカラーフィルタ21は、カラーフィルタ層23の外側領域31に複数配設された貼り合せ用粒体27が、上述のように、光硬化性樹脂29により被覆されているので、無機EL素子11との貼り合わせに際し、カラーフィルタ21を構成する透明基材22側から光照射を行うことで、簡易かつ確実に無機EL素子11に貼り合せることができる。図4に示される無機EL表示装置1では、このように無機EL素子11にカラーフィルタ21が配設されているので、貼り合せ用粒体27を被覆する光硬化性樹脂29が硬化されて樹脂部材29′となっている。また、スペーサ用粒体26を被覆する光硬化性樹脂28も硬化されて樹脂部材28′となっている。
【0031】
本実施形態の無機EL表示装置1では、無機EL素子11を構成するX電極13および/またはY電極18(走査線および/またはデータ線)に平行であるとともに、X電極13とY電極18との交差部位から外れるように、カラーフィルタ21のスペーサ用粒体26が位置している。このため、カラーフィルタ21による色補正や色純度の向上がスペーサ用粒体26によって阻害されることがなく、高彩色の表示が可能である。また、貼り合せ用粒体27の大きさがスペーサ用粒体26、カラーフィルタ層23の厚みと所定の関係(D≧d+t)を満足するので、無機EL表示装置1に外力が作用しても、貼り合せ用粒体27へ外力が分散され、スペーサ用粒体26が過度に無機EL素子11に接触することが防止され、Y電極18の破損等の欠陥が発生し難く、信頼性が極めて高いものである。さらに、スペーサ用粒体26と貼り合せ用粒体27の大きさの調整によって、カラーフィルタ層23と無機EL素子11とを近接させて保持させることができ、隣接する画素からの光漏れを抑制することができる。
【0032】
上述の無機EL表示装置の実施形態は例示であり、本発明の無機EL表示装置はこれに限定されるものではない。例えば、蛍光体層15は、赤色発光層15R、緑色発光層15G、青色発光層15Bに限定されず、所望の発光色の蛍光体層とカラーフィルタとを組み合わせて使用することができる。
また、上述の実施形態では、貼り合せ用粒体27はカラーフィルタ層23の外側領域31にカラーフィルタ層23を囲むように所定のピッチで一列に複数配設されているが、二列以上となるように配設してもよい。
【実施例】
【0033】
次に、具体的な実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
[実施例1]
<無機EL素子の作製>
まず、無機EL素子を以下のように作製した。
アルミナ基板(双信電機(株)製 Ag−Pd導体付き印刷厚膜基板)のAg−Pd導体をパターニングしてストライプ形状のX電極を形成した。このX電極は、上記のカラーフィルタのストライプ状ブラックマトリックスの線間に位置するものであり、X電極の幅は70μm(赤色発光用)、180μm(緑色発光用)、110μm(青色発光用)の繰り返しとした。次いで、X電極を被覆するようにBaTiO3 系の誘電体材料(比誘電率5000)をスクリーン印刷してグリーンシートとし、同時に焼成した。焼成後、表面を研磨し、30μm厚の誘電体層(下側)をX電極上に形成した基板を得た。
【0034】
次に、この誘電体層上に、EL蒸着パターンマスクをセットし、基板温度を200℃とし、EB蒸着法によりZnS:Mn蛍光体層(赤色発光層、厚み0.6μm、線幅70μm)を線幅70μmのX電極に対応させて形成した。同様に、ZnS:Tb蛍光体層(緑色発光層、厚み0.6μm、線幅180μm)を線幅180μmのX電極に対応させて形成し、SrS:Ce蛍光体層(青色発光層、厚み0.6μm、線幅110μm)を線幅110μmのX電極に対応させて形成した後、基板全体を、600℃、真空中で10分間アニールした。
また、ポリイミド前駆体ワニス(Aldrich(株)製 ポリイミド前駆体RC−5057)100重量部に対して、酸化タンタル粉末(平均粒子径0.7μm)15重量部を配合し、混練、分散して誘電体ペーストを調製した。この誘電体ペーストの粘度は120P(ポアズ)であった。次いで、この誘電体ペーストを使用し、350メッシュのスクリーン印刷版を用いて蛍光体層を被覆するように印刷し、乾燥後300℃において2時間加熱してイミド化を進めることにより、膜厚27μmの誘電体層(上側)を形成した。この誘電体層の比誘電率は500であった。
【0035】
さらに、この誘電体層上にITO酸化物ターゲットを用いRFマグネトロンスパッタリング法により、基板温度250℃で、膜厚200nm、幅180μmのITO透明電極(Y電極)を、X電極と直交するように240μmピッチで形成し、無機EL素子を作製した。
作製した無機EL素子に、図2に示したような駆動回路を取り付け、電圧100V、150V、200Vで、それぞれ60Hz、100Hz、270Hzの交流を印加したときの輝度を測定して、下記の表1に示した。表1に示されるように、各電圧、周波数で良好な輝度が得られることが確認された。
【0036】
<カラーフィルタの作製>
次に、以下のようにして、カラーフィルタを作製した。
透明基材として、厚み0.7mmの両面研磨済みディスプレイ用ガラス板(コーニング社製 1737ガラス)を準備した。
【0037】
(ブラックマトリックスの形成)
上記の透明基材の一方の面にスパッタリング法によりクロム薄膜(厚み1500Å)を成膜した。次に、このクロム薄膜上に感光性レジスト(シップレー社製 AZ1350SF)をスライドコート法により6000Åの膜厚で塗布し、90℃、5分間の加熱処理を施した。次いで、所定のパターンを介して感光性レジスト膜を露光し、現像して、ブラックマトリックス形成用のレジストパターンを形成した。この透明基材を1%硫酸セリウムアンモニウム水溶液中に浸漬してクロム薄膜をエッチングし、その後、レジストパターンを剥離して、透明基材上にストライプ状のブラックマトリックス(線幅60μm、線間距離は70μm(赤色着色層用)、180μm(緑色着色層用)、110μm(青色着色層用)の繰り返し)を形成した。このように、各色用の画素幅(ストライプパターン)が異なるのは、無機EL素子を構成する蛍光体層R,G,Bの各発光強度が異なり、白色バランスを最適化しRGBのカラー調整を行うためである。
【0038】
(着色層の形成)
下記の組成の着色感光性樹脂組成物を調製した。
(赤色感光性樹脂組成物)
・感光性樹脂 … 35重量部
・C.I.ピグメントレッドI77とC.I.ピグメントイエロー83
の混合物(重量比=100:20) … 10重量部
・エチルセロソルブアセテート … 55重量部
(緑色感光性樹脂組成物)
・感光性樹脂 … 25重量部
・C.I.ピグメントグリーン36とC.I.ピグメントイエロー83
の混合物(重量比=100:10) … 15重量部
・エチルセロソルブアセテート … 60重量部
(青色感光性樹脂組成物)
・感光性樹脂 … 30重量部
・C.I.ピグメントブルー15:3とC.I.ピグメントバイオレット23
の混合物(重量比=100:5) … 12重量部
・エチルセロソルブアセテート … 58重量部
【0039】
尚、感光性樹脂は、下記の組成のものを使用した。
(感光性樹脂の組成)
・ベンジルメタクリレート・メタクリル酸共重合体 … 35重量部
(モル比=77:23)
・ペンタエリスリトールテトラアクリレート …10.7重量部
・4−(p−N,N−ジ〔エトキシカルボニルメチル〕−2,6−
ジ(トリクロロメチル)−S−トリアジン … 0.3重量部
・ハイドロキノンモノメチルエーテル …0.01重量部
・エチルセロソルブアセテート … 54重量部
【0040】
そして、透明基材のブラックマトリックス間(線間距離が70μmのストライプ状領域)に、赤色感光性樹脂組成物(粘度18000cps)を用いてストライプ状にスクリーン印刷(膜厚は3μm)を行い、プリベーク(70℃、5分間)を行った。次いで、2kW超高圧水銀灯を備えたプロキシミティ露光機により、露光量300mJ/cm2の露光(プロキシミティギャップ量=100μm)を行い、その後、ポストベーク(180℃、5分間)を行って、赤色着色層を形成した。同様に、ブラックマトリックスの線間距離が180μmのストライプ状領域に、緑色感光性樹脂組成物を用いて緑色着色層を形成し、ブラックマトリックスの線間距離が110μmのストライプ状領域に、青色感光性樹脂組成物を用いて青色着色層を形成した。
これにより、ストライプ状の赤色着色層、緑色着色層、青色着色層が繰返し配列され、各着色層間にブラックマトリックスが配置されたカラーフィルタ層を形成した。このカラーフィルタ層の外形は200mm×200mmの正方形であった。
【0041】
(孔版の作製)
鞘材としての二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムと、芯材としてのポリエステル紗(PET繊維15μmよりなる)とを溶融貼り合せすることにより、芯鞘構造繊維とした。この芯鞘構造繊維は、一辺が45μmの矩形開口を60μmのピッチで有する芯材を鞘材で被覆した芯鞘構造である。
次に、この芯鞘構造繊維の200mm×200mmの内側領域(上記のカラーフィルタのカラーフィルタ層に相当)内に、開口幅が40μmの小開口部を複数形成した。すなわち、熱転写プリンター((株)日立製作所製 VY−50)の感熱ヘッドを使用し、40mJ/mrrfの印字エネルギーで芯鞘構造繊維の裏面(鞘材側)からロール送りにより連続的に穿孔させた。このような小開口部は一辺が45μmの矩形開口内に形成され、かつ、上記のカラーフィルタのブラックマトリックス上に位置するように120μmピッチで形成されている。また、小開口部の形状は矩形に近いものであり、上記の開口幅40μmは最短開口長を意味し、以下に記載する開口幅も最短開口長を意味する。
【0042】
次いで、芯鞘構造繊維において、小開口部を形成した200mm×200mmの内側領域の外側に幅50mmで外側領域を設定し、この外側領域の外側寄りの幅5mmをのりしろ部として設定した。そして、外側領域の内側から10mmの距離となる一辺220μmの正方形線部上に、開口幅が60μmの大開口部を300μmピッチで複数形成した。すなわち、熱転写プリンター((株)日立製作所製 VY−50)の感熱ヘッドを使用し、70mJ/mrrfの印字エネルギーで芯鞘構造繊維の裏面(鞘材側)からロール送りにより連続的に穿孔させた。このような大開口部は一辺が45μmの矩形開口の鞘材と共に周囲の芯材も溶融することによって形成され、形状は矩形に近いものであった。
上記のように小開口部、大開口部を形成した芯鞘構造繊維の上記の外側領域ののりしろ部に、幅30mmの厚紙(ケント紙、厚さ1mm)を接着剤で貼り合わせて周囲を補強し、孔版(300mm×300mm)とした。
【0043】
(樹脂組成物の調製)
まず、バインダー、多官能アクリルモノマー、光重合開始剤、溶剤を含有する下記組成の光硬化性樹脂組成物を調製した。
(光硬化性樹脂組成物)
・エポキシアクリレート系樹脂(バインダー) … 3.0重量部
(日本触媒(株)製 DCR−83)
・トリメチロールプロパントリアクリレート … 7.0重量部
(日本化薬(株)製)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート … 2.0重量部
(日本化薬(株)製)
・ポリエチレングリコールモノメチルエチルアセテート … 38.0重量部
【0044】
この光硬化性樹脂組成物に平均粒子径27μm、扁平率1.02のスペーサ用粒体(綜研化学(株)製 MXシリーズ)を含有(含有率77重量%)させて、樹脂組成物A(粘度5900cps)を調製した。また、光硬化性樹脂組成物に平均粒子径47μm、扁平率1.02の貼り合せ用粒体(根上工業(株)製 真球ウレタンアクリル微粒子)を含有(含有率67重量%)させて、樹脂組成物B(粘度4100cps)を調製した。
尚、粒体の平均粒径、扁平率は、以下の画像法により測定した。
すなわち、まず、被検体の粒体の表面を直接観察した。その後、スパッタステージ固定冶具に導電性粘着テープを用いて、被検体の粒体を点接触となるように固定した。スパッタリング法により金を20秒間成膜して被検体の粒体の半分を被覆した。次いで、導電性粘着テープから被検体の粒体を取り外し、今度は金薄膜で被覆された半球側を導電性粘着テープに点接触となるように固定し、スパッタリング法により金を20秒間成膜して被検体の粒体の残りの半分を被覆した。これにより、被検体の粒体の全面を金薄膜で被覆した。次に、SEM(走査型電子顕微鏡)で被検体の粒体表面を観察し、画像をパソコンに取り込んだ。画像処理用ソフト(テックジャム(株)製 画像寸法計測ソフト Pixs2000)を用いて被検体の粒体表面の画像を処理し、画像中の面積および粒子径をキャリブレーション後に測定し、画像面積に対する粒子直径および扁平率を算出した。
【0045】
(スペーサ用粒体と貼り合せ用粒体の配置)
上記の孔版をスクリーン版として使用し、まず、大開口部をマスキングテープ(コクヨ(株)製 両面テープ)でマスキングし、200mm×200mmの正方形の領域内に形成された小開口部のみを使用できる状態とした。そして、孔版の該正方形領域を、外形が200mm×200mmの正方形であるカラーフィルタ層に位置合わせし、スペーサ用粒体を含有した樹脂組成物Aでスクリーン印刷を行った。このスクリーン印刷は、小型電動アオリ式卓上スクリーン印刷機((株)セリテック製 A2020型)にゴムスキージを取り付けて行い、印刷運転条件はカラーフィルタと孔版とのギャップ距離0mm、印圧0.1kgf、印刷速度20cm/秒とした。
【0046】
次に、孔版の大開口部をマスキングしているマスキングテープを剥がした後、全自動型スクリーン印刷機(ニューロング(株)製 LS−77A型)にて、貼り合せ用粒体を含有した樹脂組成物Bを使用してスクリーン印刷を行った。このスクリーン印刷は、孔版とカラーフィルタを直接テーブルに上記マスキングテープで固定し、孔版の大開口部よりも外側をマスキングテープで保護して行った。印刷運転条件は、カラーフィルタと孔版とのギャップ距離0mm、印圧0.1kgf、印刷速度3cm/秒とした。
このようなスクリーン印刷が完了し、孔版を剥がした後、透明基材(1737ガラス)側より背面露光装置により紫外線を5mJ/cm2照射した。これによりスペーサ粒体と貼り合せ用粒体が仮り止めされた状態(カラーフィルタから落下しないが指で軽く押すと少しずれを生じ、かつ粒体表面は粘着性が残っていた)となった。これにより、カラーフィルタを作製した。
【0047】
<無機EL表示装置の作製>
次いで、上記のように作製した無機EL素子とカラーフィルタを対向させ重ねた後、カラーフィルタの透明基板面より紫外線を照射(300mJ/cm2)して樹脂組成物を完全硬化させ貼り合せた。これにより無機EL表示装置を得た。この無機EL表示装置において、無機EL素子からのカラーフィルタ通過後のB,G、Rの発光ピーク波長を測定して、下記の表1に示した。表1から明らかなように、本発明の無機EL表示装置は、フルカラー表示が可能であることが確認された。
また、この無機EL表示装置をホットプレス機に挟み10kg/cm2の圧力を150℃、30分間加え、その後、実体顕微鏡下で観察した。その結果、ITO透明電極(Y電極)に傷、欠け等の欠陥は見られず、また、カラーフィルタを構成するガラス基板の損傷も見られなかった。
【0048】
[実施例2]
ポリイミド前駆体ワニス(Aldrich(株)製 ポリイミド前駆体RC−5057)に代えて、ポリイミド前駆体ワニス(Aldrich(株)製 ポリイミド前駆体RC−5019)を使用して下記のように蛍光体層を被覆する誘電体層を形成した他は、実施例1と同様にして、無機EL素子、および、無機EL表示装置を作製した。すなわち、誘電体層の形成は、このポリイミド前駆体ワニス100重量部に対して、チタン酸ストロンチウム粉末(平均粒子径1.2μm)15重量部を配合し、混練、分散して誘電体ペーストを調製した。この誘電体ペーストの粘度は70P(ポアズ)であった。次いで、この誘電体ペーストを使用し、350メッシュのスクリーン印刷版を用いてX電極を被覆するように印刷し、乾燥後300℃において2時間加熱してイミド化を進めることにより、膜厚27μmの誘電体層を形成した。この誘電体層の比誘電率は100であった。
【0049】
このように作製した無機EL素子について、実施例1と同様に、電圧100V、150V、200Vで、それぞれ60Hz、100Hz、270Hzの交流を印加したときの輝度を測定して、下記の表1に示した。表1に示されるように、各電圧、周波数で良好な輝度が得られることが確認された。
また、無機EL表示装置について、無機EL素子からカラーフィルタ通過後のB,G、Rの発光ピーク波長を測定し、下記の表1に示した。表1から明らかなように、フルカラーの無機EL表示装置であることが確認された。
また、この無機EL表示装置をホットプレス機に挟み10kg/cm2の圧力を150℃、30分間加え、その後、実体顕微鏡下で観察した。その結果、ITO透明電極(Y電極)に傷、欠け等の欠陥は見られず、また、カラーフィルタを構成するガラス基板の損傷も見られなかった。
【0050】
[実施例3]
ポリイミド前駆体ワニス(Aldrich(株)製 ポリイミド前駆体RC−5057)に代えて、ポリイミド前駆体ワニス(Aldrich(株)製 ポリイミド前駆体RC−5097)を使用して下記のように蛍光体層を被覆する誘電体層を形成した他は、実施例1と同様にして、無機EL素子、および、無機EL表示装置を作製した。すなわち、誘電体層の形成は、このポリイミド前駆体ワニス100重量部に対して、チタン酸ストロンチウム粉末(平均粒子径1.2μm)15重量部を配合し、混練、分散して誘電体ペーストを調製した。この誘電体ペーストの粘度は70P(ポアズ)であった。次いで、この誘電体ペーストを使用し、350メッシュのスクリーン印刷版を用いてX電極を被覆するように印刷し、乾燥後300℃において2時間加熱してイミド化を進めることにより、膜厚27μmの誘電体層を形成した。この誘電体層の比誘電率は2000であった。
【0051】
このように作製した無機EL素子について、実施例1と同様に、電圧100V、150V、200Vで、それぞれ60Hz、100Hz、270Hzの交流を印加したときの輝度を測定して、下記の表1に示した。表1に示されるように、各電圧、周波数で良好な輝度が得られることが確認された。
また、無機EL表示装置について、無機EL素子からカラーフィルタ通過後のB,G、Rの発光ピーク波長を測定し、下記の表1に示した。表1から明らかなように、フルカラーの無機EL表示装置であることが確認された。
また、この無機EL表示装置をホットプレス機に挟み10kg/cm2の圧力を150℃、30分間加え、その後、実体顕微鏡下で観察した。その結果、ITO透明電極(Y電極)に傷、欠け等の欠陥は見られず、また、カラーフィルタを構成するガラス基板の損傷も見られなかった。
【0052】
[実施例4]
X電極を被覆する誘電体層(比誘電率は5000)の厚みを45μmとし、蛍光体層を被覆する誘電体層(比誘電率は500)の厚みを5μmとした他は、実施例1と同様にして、無機EL素子、および、無機EL表示装置を作製した。
このように作製した無機EL素子について、実施例1と同様に、電圧100V、150V、200Vで、それぞれ60Hz、100Hz、270Hzの交流を印加したときの輝度を測定して、下記の表1に示した。表1に示されるように、各電圧、周波数で良好な輝度が得られることが確認された。
また、無機EL表示装置について、無機EL素子からカラーフィルタ通過後のB、G、Rの発光ピーク波長を測定し、下記の表1に示した。表1から明らかなように、フルカラーの無機EL表示装置であることが確認された。
また、この無機EL表示装置をホットプレス機に挟み10kg/cm2の圧力を150℃、30分間加え、その後、実体顕微鏡下で観察した。その結果、ITO透明電極(Y電極)に傷、欠け等の欠陥は見られず、また、カラーフィルタを構成するガラス基板の損傷も見られなかった。
【0053】
[比較例1]
ポリイミド前駆体ワニス(Aldrich(株)製 ポリイミド前駆体RC−5057)に代えて、ポリイミド前駆体ワニス(Aldrich(株)製 製品番号646970(N−メチルピロリドンとエタノールの1:1混合液に溶解済み))を使用して蛍光体層を被覆する誘電体層(比誘電率は50)を形成した他は、実施例1と同様にして、無機EL素子を作製した。
作製した無機EL素子について、実施例1と同様に、電圧100V、150V、200Vで、それぞれ60Hz、100Hz、270Hzの交流を印加したときの輝度を測定して、下記の表1に示した。表1に示されるように、実施例1〜4に比べて輝度の大幅な低下が確認された。
【0054】
[比較例2]
X電極を被覆する誘電体層(比誘電率は5000)の厚みを50μmとし、蛍光体層を被覆する誘電体層(比誘電率は500)の厚みを3μmとした他は、実施例1と同様にして、無機EL素子を作製した。
作製した無機EL素子について、実施例1と同様に、電圧100V、150V、200Vで、それぞれ60Hz、100Hz、270Hzの交流を印加したところ、電圧200Vにおいて電極間の絶縁破壊が生じた。
【0055】
[比較例3]
X電極を被覆する誘電体層(比誘電率は5000)の厚みを30μmとし、蛍光体層を被覆する誘電体層(比誘電率は500)の厚みを3μmとした他は、実施例1と同様にして、無機EL素子を作製した。
作製した無機EL素子について、実施例1と同様に、電圧100V、150V、200Vで、それぞれ60Hz、100Hz、270Hzの交流を印加したところ、電圧150Vにおいて電極間の絶縁破壊が生じた。
【0056】
[比較例4]
孔版を使用して、スペーサ用粒体を含有した樹脂組成物Aでスクリーン印刷を行うまでの工程を実施例1と同様に行って、無機EL表示装置用カラーフィルタを作製した。したがって、このカラーフィルタは、スペーサ用粒体が光硬化性樹脂で被覆され、また、貼り合せ用粒体を備えていないものであった。
このカラーフィルタを用いて、実施例1と同様に無機EL表示装置を作製し、ホットプレス機に挟み10kg/cm2の圧力を150℃、30分間加え、その後、実体顕微鏡下で観察した。その結果、電極の直線両端部に凹みが数箇所あるのが確認された。
【0057】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、信頼性に優れ、高彩色で薄型の無機EL表示装置の製造に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の無機EL素子の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の無機EL素子が備える駆動回路の一例を示す図である。
【図3】本発明の無機EL素子が備える駆動回路の他の例を示す図である。
【図4】本発明の無機EL表示装置の一実施形態を示す部分断面図である。
【図5】本発明の無機EL表示装置を構成するカラーフィルタの一例を示す平面図である。
【図6】図5に示されるカラーフィルタのI−I線における部分拡大断面図である。
【図7】図5に示されるカラーフィルタのII−II線における部分拡大断面図である。
【図8】図5に示されるカラーフィルタの円で囲まれた部位の拡大図である。
【符号の説明】
【0060】
1…無機EL表示装置
11…無機EL素子
13,18…電極
14,16…誘電体層
15…蛍光体層
17…無機EL発光層
21…カラーフィルタ
23…カラーフィルタ層
24(24R,24G,24B)…着色層
25…ブラックマトリックス
26…スペーサ用粒体
27…貼り合せ用粒体
31…外側領域
32…帯状領域
41,51…駆動回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光体層を誘電体層で挟持してなる無機EL発光層と該無機EL発光層の誘電体層上に配設された電極とを少なくとも有す無機EL素子において、
前記誘電体層は、厚みが5〜50μmの範囲内、比誘電率が100以上であり、前記電極のうち少なくとも一方の電極は透明電極であることを特徴とする無機EL素子。
【請求項2】
一方の誘電体層に配設された電極は複数のストライプ形状のX電極であり、他方の誘電体層上に配設された電極は前記X電極とマトリクスをなすようにストライプ形状に配設されたY電極であることを特徴とする請求項1に記載の無機EL素子。
【請求項3】
フライバック昇圧回路とフルブリッジ・スイッチング回路とを組み合わせた駆動回路を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の無機EL素子。
【請求項4】
蛍光体層を誘電体層で挟持してなる無機EL発光層と該無機EL発光層の誘電体層上に配設された電極とを有する無機EL素子と、該無機EL素子の一方の面に貼り合わされたカラーフィルタと、を備えた無機EL表示装置において、
前記無機EL素子は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の無機EL素子であり、
前記カラーフィルタは、透明基材と、該透明基材上に形成されたカラーフィルタ層とを備え、該カラーフィルタ層は所定の繰返し順序でストライプ状に配設された複数色の着色層と、所望の着色層間に配されたブラックマトリックスとを有し、該ブラックマトリックスと直交するように前記カラーフィルタ層上に複数の帯状領域を画定し、ブラックマトリックス上および/または帯状領域上には複数のスペーサ用粒体が配設され、前記カラーフィルタ層の外側領域の複数の所定箇所にはカラーフィルタ層を囲むように貼り合せ用粒体が配設され、該貼り合せ用粒体を介して前記無機EL素子に前記カラーフィルタが固着されており、前記貼り合せ用粒体の平均粒径Dと、前記カラーフィルタ層の厚みt、前記スペーサ用粒体の平均粒径dとの間には、D≧d+tの関係があることを特徴とする無機EL表示装置。
【請求項5】
前記無機EL素子の一方の誘電体層に配設された電極は複数のストライプ形状のX電極であり、他方の誘電体層上に配設された電極は前記X電極とマトリクスをなすようにストライプ形状に配設されたY電極であり、前記カラーフィルタの前記スペーサ用粒体はX電極とY電極とが交差する部位には位置しないことを特徴とする請求項4に記載の無機EL表示装置。
【請求項6】
前記貼り合せ用粒体の平均粒径Dは40〜100μmの範囲内であり、前記スペーサ用粒体の平均粒径dは20〜40μmの範囲内であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の無機EL表示装置。
【請求項7】
粒体の最大直径aと最小直径bとの比(a/b)を扁平率としたときに、前記貼り合せ用粒体および前記スペーサ用粒体の扁平率は1〜1.1の範囲内であることを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれかに記載の無機EL表示装置。
【請求項8】
前記スペーサ用粒体が配設されている前記帯状領域は、貼り合せ対象の無機EL素子の走査線および/またはデータ線に平行であるとともに、走査線とデータ線との交差部位から外れることを特徴とする請求項4乃至請求項7のいずれかに記載の無機EL表示装置。
【請求項9】
前記貼り合せ用粒体は光硬化性樹脂により被覆されており、前記貼り合せ用粒体を前記無機EL素子の前記電極が配設された領域の外側の部位に当接させた状態で、カラーフィルタを構成する透明基材側から光照射を行って、前記貼り合せ用粒体を被覆する光硬化性樹脂を硬化させて前記無機EL素子に固着したものであることを特徴とする請求項4乃至請求項8のいずれかに記載の無機EL表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−301974(P2009−301974A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−157506(P2008−157506)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】