説明

無段昇降低床介護ベッド

【課題】非介護者がベッドから転落して骨折したり、介護者が腰痛になったりする。更にベッドフレームが高いと閉塞感があり、又頭及び足側からの介護に差し支える。それを回避すること。
【解決手段】ベッドフレーム1の中央に配置されたリニアアクチュエーター17の作動により上下するシャフト8,8’上を移動するスライド金具13,13’に接続されたパンタグラフ金具9,9’、10,10’により押されて昇降する三段伸縮脚3,3’、4,4’、5,5’の外脚の下段側面に接続されたベッド床が5cmから60cm以上まで昇降するように、伸縮脚は各々50cmの長さで三段重ねになっている。介護に容易なベッドフレーム丈を50cm以内にするには伸縮脚の長さを50cmの三段伸縮脚にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無段昇降低床介護ベッドに関するものであり、昇降機能に工夫を得ることによって低床から高床まで無段昇降を可能にしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来ある低床介護ベッドは低くは出来ても、介護時に介護者が立位の姿勢で腰に負担にならない高さまで(60cm以上)上げられるものはない。従来からある低床介護ベッドは単に転落防止を主体に柵を設置し、ベッドサイドにクッションをしいたりしているのが世界的な傾向であり、多くの介護関係者はベッドから落ちるということもあるという前提で以上のような用具の開発をしている。しかし前述のようなベッドはベッド幅以外にマットレの幅も必要とし、不便であるばかりか介護時のベッド床高が低いので介護時の介護者に負担をかけるものである。この例として、特許公開文献1に公開されているものがある。
【特許公開文献1】
特許公開2005−198797
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の介護ベッドでは落下するとベッド丈が高く、骨粗鬆症の多い高齢の非介護者が骨折したり怪我をしたりするため、ベッドに引き出し式の収納マッレスを配したり、床面にマットレスや布団を敷いたり又は防護柵を設けたりしている。しかし介護者が非介護者を介護するときマットレス高が介護者の立位の高さに達せず(図6参照)介護者が中腰になったりする為、腰に負担がかかり腰痛の原因にもなる。落下を防止し骨折等を防ぐには出来るだけ床面を低くし、介護をする時は介護者の負担にもならない高さまでベッド床を上げて、これらの不都合を解決するための無段昇降機能を備えた介護ベッドを提供することを課題とする。
【課題を解決する為の手段】
【0004】
この課題を解決する為の請求項1の発明は、ベッドフレームの為に三段伸縮脚とパンタグラフ金具を組み合わせることを特徴とし、リニアアクチュエーターの伸縮によってシャフト上を移動するスライド金具に固定されたパンタグラフ金具によって昇降する伸縮脚の側面下段にベッド床を固定することにより、低床から高床まで昇降できる無段低床介護ベッドである。この場合得られる高さはベッド床フレームの厚さから、最大パンタグラフ金具の長さの2倍以上の高さまで上げることができる。
【0005】
又請求項2の発明は、リニアアクチュエーターの代わりにボールスクリューでパンタグラフ金具を作動させて請求項1と同じくベッド床を昇降させることが出来る。
【発明の効果】
【0006】
本発明によりベッドから落下しても怪我をすることが無く、介護時にも通常の介護ベッドのように介護者の立位まで上昇し、介護者の腰の負担を軽減することが出来、又ベッドフレーム丈が低い為、頭側、足側からの介護が易しく、しかも無段昇降装置の為通常の介護ベッドとしても適宜利用可能である。ベッド床丈は5cmから通常の介護ベッド高の60cm以上あれば落下しても安全な高さであり、介護者の負担軽減につながる。本構造によってこの高さを可能にすることが出来る。
【発明を実施する為の最良の形態】
【0007】
図1はベッドフレームの伸縮脚(図1−2)を閉じた状態の断面図である。同図に示すようにリニアアクチュエーター伸縮シャフト(図1−11、11’)が縮んだ状態の時はスライド金具(図1−13、13’)がリニアアクチュエーター(図1−17)又は中央シャフト固定金具(図1−14)方向にスライドし、パンタグラフ金具(図1−9,9’,10,10’)が閉まった状態になり、その先端に接続された伸縮脚(図1−2,2’)が降りた状態になる。最下位まで降りた状態が最もベッド床が低くなる。本発明の可能な最小ベッド床(図3−20)丈はベッド床フレームの厚さである。
【0008】
図2はベッドフレームを上昇させた断面図である。本発明の主な構造は三段伸縮脚(図2−3,3’,4,4’,5,5’)にある。リニアアクチュエーター伸縮シャフト(図2−11)の上昇に伴い中央シャフト固定金具がシャフト上を外側に移動し、それに押し出されて上下左右のパンタグラフ金具(図2−9,9’,10,10’)が開くことにより、伸縮脚(図2−3,3’,4,4’)が上昇する。その時の伸縮脚は図示のごとく図2−3と図2−4、図2−4と図2−5が互いに重さならなければならない。何故三段脚で無ければならないかという理由は、ベッドフレーム(図1−2)の高さを介護が容易な高さ又は閉塞感を感じさせない高さの50cm以内にする必要があるためである。ベッドフレームが高いと頭側や足側から非介護者を介護する時、ヘッドボード、又はフットボード側からは難しくなる。しかもベッドフレームが高いと非介護者に閉塞間を与える。ベッド床を60cm以上に揚げるには外脚(図5−3)の下面の高さを60cm以上まで揚げなければならない。ベッドのいずれの側からも介護をしやすくする為にはヘッドボードを50cm以内にし、更にベッド床を60cm以上にするには三段伸縮脚が必要である。
【0009】
図3はベッドの概観断面図である。本発明は介護ベッドの昇降の構造に関わるものであり、デザインに関わるものではないので本図の詳述は省略するが、簡単に説明すると図3−18,19はヘッドボード側ベッドフレームカバーであり、図3−23はフットボード側ベッドフレームカバーである。図3−20はベッド床でその上に図3−21のマットレスがあり、ベッド床(図3−20)は床(図3−22)に付いた状態では床面よりベッド床の上部までが5cm以下であり、その上に10cmのマットレスを敷いても15cm位である。図2で説明したように三段脚が必要なわけはこの頭側、足側ベットフレームカバーとの関わりもある。非介護者の頭や足の側からの介護も多々ある。そのときベッドフレームカバーの高さが高いと手が届かないこともある。その為にはその高さは50cm前後が適当である。
その為には三段脚が必要である。
【0010】
図4はベッドフレームの斜視図である。本発明の構造で特徴は三段伸縮脚を有することである。その三段伸縮脚も中脚(図4−4)と外脚(図4−3)の形状が四角になっていることも本発明の特徴である。中脚と外脚が丸型だと中脚と外脚の間にねじれが生じやすい。しかし四角状だとねじれが緩和される。外脚の溝(図4−24)は外脚が下に降りてきた時シャフト固定金具を通すものである。
【0011】
図5はベッド床フレームと外脚との接続断面図である。ベッド床は外脚(図5−3)の側面の最下端にあるベッド床用フック(図5−25)に引っ掛けるだけでよく、ネジ等は使う必要はない。
【0012】
図6は請求項2の図で、ボールスクリューをリニアアクチュエーターに代えてパンタグラフ金具を作動させることによってベッド床を昇降させる概略図である。モーターでボールスクリューを回転させることによりパンタグラフ金具が開閉し、伸縮脚の伸縮し、ベッド床が昇降する。
【0013】
図7は特許公開文献1の概略図である。取り外しのできる落下防護柵に取り囲まれたベッド本体と、下段に収納式クッション性安全台を要する低床介護ベッドである。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明に関わる無段昇降低床介護ベッドは、工業的に量産することが可能であるため、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ベッドフレームの最下降時の断面図
【図2】ベッドフレームの最高時の断面図である。
【図3】無段昇降低床介護ベッドの概略断面図である。
【図4】三段伸縮脚の斜視図である。
【図5】ベッド床の取り付け断面図である。
【図6】ボールスクリューを利用したベッドフレームの概略図である。
【図7】特許公開2005−198797の概略図の写しである。
【符号の説明】
1 ベッドフレーム
2,2’ 伸縮脚
3,3’ 三段目伸縮脚(外脚)
4,4’ 二段目伸縮脚(中脚)
5,5’ 一段目伸縮脚(内脚)
6,6’ パンタグラフ金具上部留め金具
7,7’ シャフト固定金具
8,8’ シャフト
9,9’ 下部パンタグラフ金具
10,10’ 上部パンタグラフ金具
11,11’ アクチュエーター伸縮シャフト
12,12’ 吊金具
13,13’ スライド金具
14 央シャフト固定金具
15,15’ パンタグラフ下部固留め金具
16 フレーム土台金具
17 アクチュエーター
18 ヘッドボード側ベッドフレームカバー
19 上げ用モーターカバー
20 ベッド床
21 マットレス
22 床面
23 フットボード側ベッドフレームカバー
24,24’ シャフト固定金具用溝
25 ベッド床用フック
26 ボールスクリュー
27 ギヤー
28 モーター取り付け台
29 ベッド本体
30 収納式安全台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三段伸縮脚を有し、シリンダー状になった一段目(以下内脚という)は土台金具に固定し、二段目(以下中脚という)三段目(以下は外脚という)が昇降する無段昇降低床介護ベッドを構成するベッドフレーム昇降機能の構造に係わる技術で、ベッドフレームの中央に垂直に立てたリニアアクチュエーター伸縮シャフトの先端から下方に伸びた吊金具に固定されて連動し上下するシャフトの両端をベッド脚に相当する中脚に固定し、シャフト上を移動するスライド金具にパンタグラフ金具の一方を固定し、もう一方を、ベッド脚を固定している土台金具及び外脚の中程に固定し、その外脚の側面下部にベッド床を固定し、リニアアクチュエーターによってシャフトが上下することによりシャフト固定金具が外方向に開き、それに連れてパンタグラグ金具が開くことによって中脚及び外脚が昇降し、それに固定されたベッド床が昇降する無段昇降低床介護ベッド。
【請求項2】
リニアアクチュエーターの代わりにボールスクリューでパンタグラフ金具を作動させてベッド床を昇降させる機能。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−264444(P2008−264444A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−131051(P2007−131051)
【出願日】平成19年4月16日(2007.4.16)
【出願人】(507160218)金城通商株式会社 (2)
【Fターム(参考)】