説明

無端ベルト及び無端ベルトユニット

【課題】外表面に圧接するクリーニングブレードを折曲させることなく走行可能な無端ベルト及び無端ベルトの表面に圧接するクリーニングブレードが長期間にわたって折曲しにくい無端ベルトユニットを提供すること。
【解決手段】ポリアミドイミド樹脂とシリコーン界面活性剤とを含有し、表面にクリーニングブレードが圧接する樹脂層を備えて成ることを特徴とする無端ベルト1、及び、複数の回転体に巻回されて無限軌道を走行するこの無端ベルト1と、この無端ベルト1の外表面に圧接するクリーニングブレードとを備えてなる無端ベルトユニット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無端ベルト及び無端ベルトユニットに関し、さらに詳しくは、外表面に圧接するクリーニングブレードを折曲させることなく走行可能な無端ベルト及び無端ベルトの外表面に圧接するクリーニングブレードが長期間にわたって折曲しにくい無端ベルトユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザープリンター及びビデオプリンター等のプリンター、複写機、ファクシミリ、これらの複合機等には、電子写真方式を利用した各種の画像形成装置が採用されている。このような画像形成装置には各種の無端ベルトが装備されている。このような無端ベルトとしては、例えば、搬送途中で現像剤が転写される記録体を外表面に保持して搬送する転写搬送ベルト、二次転写型画像形成装置における中間転写ベルト、定着装置の定着ローラに巻回される定着ベルト等が挙げられる。
【0003】
これらの無端ベルトは、通常、無限軌道を1回転走行するごとに所期の機能を奏し、前記無限軌道を繰り返して走行することによって所期の機能を繰り返し奏するように構成されている。この無端ベルトは、走行中に現像剤に接触し、又は、接触する可能性があるから、無端ベルトの外表面に現像剤が付着して汚染されることがある。前記転写搬送ベルトを例にして具体的に説明する。転写搬送ベルトで搬送される記録体は、例えば、その搬送途中で、現像剤像を担持する像担持体例えば感光体から現像剤が転写される。このとき、前記像担持体に担持された現像剤又は記録体に転写された現像剤が飛散して、その一部が転写搬送ベルトの外表面に付着することがある。また一方で、前記像担持体の回転と転写搬送ベルトの走行とが正確に同期していないと、前記像担持体等に担持された現像剤が記録体に転写されずに、転写搬送ベルトの外表面に転写されることがある。
【0004】
そこで、画像形成装置は、通常、無端ベルトの外表面に付着した現像剤を除去するクリーニング手段を備えている。このクリーニング手段は、例えば、無端ベルトの外表面に圧接するクリーニングブレードを有し、無端ベルトが1回転するまでに、このクリーニングブレードで無端ベルトの外表面に付着した現像剤を掻き落とすように、構成されている。
【0005】
無端ベルトのクリーニング手段の一例を図4に示す。図4(a)に示されるように、無端ベルト102に圧接して無端ベルト102に付着した現像剤を除去するクリーニングブレード101は、通常、無端ベルト102の外表面であって、無端ベルト102の無限軌道中で無端ベルト102が所定の機能を奏しない軌道中すなわち復路軌道中にあるときの外表面104(以下、非機能外表面と称する。)に、すなわち、無端ベルト102が機能を奏しない軌道(復路軌道)の途中に、その一端部又は一端縁が無端ベルト102の走行方向(図4(a)において矢印Aが示す方向)に対して上流側に、他端部又は他端縁が無端ベルト1の走行方向に対して下流側に配置された状態で、無端ベルト102に対して所定の角度及び所定の押圧荷重で圧接するように、配置されている。
【0006】
このようなクリーニング手段における「クリーニングブレードの磨耗を防止すること」を目的の1つとして、特許文献1には、「画像形成装置において像担持体よりトナー像を転写される転写ベルトであって、マトリックス樹脂に鎖状シリコーンを含んでなり、マトリックス樹脂に対するシリコーンの含有量が0.5〜10重量%であり、鎖状シリコーンの平均分子量が10万以上であることを特徴とする転写ベルト」が記載されている。
【0007】
ところが、クリーニングブレード101が無端ベルト102に圧接しているから、無端ベルト102が走行すると、無端ベルト102との摩擦等によって、図4(b)に示されるように、クリーニングブレード101が無端ベルト102の走行方向(図4において矢印Aの方向)に折れ曲がって又は反り返って捲れ返り、クリーニングブレード101として十分に機能しなくなってしまうことがある。このようなクリーニングブレード101の折曲は、クリーニングブレード101の磨耗を防止できても生じることがあり、クリーニングブレード101の磨耗とは異なる問題である。そして、クリーニングブレード101の折曲は、特に、印刷速度すなわち無端ベルト102の走行速度が高速化された画像形成装置において、無端ベルト102の走行時に無端ベルト102を圧接するクリーニングブレード101の一端部又は一端縁に過大な負荷がかかるので、より一層生じやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3925508号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は、外表面に圧接するクリーニングブレードを折曲させることなく走行可能な無端ベルトを提供することを、目的とする。
【0010】
また、この発明は、無端ベルトの表面に圧接するクリーニングブレードが長期間にわたって折曲しにくい無端ベルトユニットを提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するための手段として、
請求項1は、ポリアミドイミド樹脂とシリコーン界面活性剤とを含有し、外表面にクリーニングブレードが圧接する樹脂層を備えて成ることを特徴とする無端ベルトであり、
請求項2は、前記シリコーン界面活性剤は、前記ポリアミドイミド樹脂100質量部に対して0.1〜2質量部の割合で前記樹脂層に含有されていることを特徴とする請求項1に記載の無端ベルトであり、
請求項3は、複数の回転体に巻回されて無限軌道を走行する、請求項1又は2に記載の前記無端ベルトと、この無端ベルトの外表面に圧接するクリーニングブレードとを備えてなる無端ベルトユニットである。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係る無端ベルトは、外表面にクリーニングブレードが圧接する樹脂層がポリアミドイミド樹脂とシリコーン界面活性剤とを含有しているから、無端ベルトの走行によってクリーニングブレードへの過大な負荷及び過大な振動を与えることなく、クリーニングブレード上を円滑に通過することができる。その結果、この発明に係る無端ベルトは、たとえ、走行速度が高速であっても長期間にわたってクリーニングブレード上を円滑に走行して、例えば図4(b)に示されるように初期の機能が損なわれるほどクリーニングブレードを大きく折曲させることがない。したがって、この発明によれば、外表面に圧接するクリーニングブレードを折曲させることなく走行可能な無端ベルトを提供することができる。
【0013】
また、この発明によれば、この発明に係る無端ベルトユニットはこの発明に係る無端ベルトとクリーニングブレードとを備えてなるから、無端ベルトの表面に圧接するクリーニングブレードが長期間にわたって折曲しにくい無端ベルトユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、この発明に係る無端ベルトの一実施例である無端ベルトを示す概略斜視図である。
【図2】図2は、この発明に係る無端ベルトユニットを備えた画像形成装置の一例であるタンデム型カラー画像形成装置を示す概略図である。
【図3】図3は、この発明に係る無端ベルトユニットにおけるクリーニングブレードを示す図であり、図3(a)はこの発明に係る無端ベルトユニットにおけるクリーニングブレードを示す正面図であり、図3(b)はこの発明に係る無端ベルトユニットにおけるクリーニングブレードを示す側面図である。
【図4】図4は、無端ベルトユニットにおける無端ベルトとクリーニングブレードとの圧接状態を説明する説明図であり、図4(a)は無端ベルトユニットにおける無端ベルトとクリーニングブレードとの初期の圧接状態を説明する説明図であり、図4(b)は無端ベルトユニットにおいてクリーニングブレードが捲れ返った状態を説明する説明図である。
【図5】図5は、無端ベルトの滑り角を測定する滑り角測定装置の一例を示す概略正面図である。
【図6】図6は、無端ベルトのトルク及びトルク変動量を測定するトルク測定装置の一例を示す概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明に係る無端ベルトは、画像形成装置等に装着されて無端ベルトユニットを構成するときに、外表面にクリーニングブレードが圧接する樹脂層を備えており、この樹脂層のみから成る単層構造とされていてもよく、最外層として樹脂層を備えて成る複層構造とされていてもよい。そして、この発明に係る無端ベルトは、樹脂層がポリアミドイミド樹脂とシリコーン界面活性剤とを含有している。ポリアミドイミド樹脂及びシリコーン界面活性剤については後述する。このような特徴を有する、この発明に係る無端ベルトは、前記したように、外表面に圧接したクリーニングブレード上を、このクリーニングブレードを折り曲げることなく、換言すると、反り返らせることなく、捲れ上げることなく、円滑に走行できる。
【0016】
この発明に係る無端ベルトの一例である無端ベルトを図面に基づいて説明する。無端ベルト1は、図1に示されるように、後述するポリアミドイミド樹脂組成物によって環状に形成された樹脂層のみから成る単層構造とされている。したがって、この無端ベルト1において無端ベルト1と樹脂層とは同義である。無端ベルト1の厚さは、特に限定されないが、通常、例えば、0.03〜1mmであるのが好ましく、0.05〜0.2mmであるのがより好ましく、0.07〜0.14mm程度であるのが特に好ましい。無端ベルト1の厚さが0.03mm未満であると無端ベルト1の機械的強度が低下することがあり、一方、1mmを超えると無端ベルト1の可撓性が低下し、耐久性に劣ることがある。無端ベルト1の幅及び内周径は適宜設定される。その一例を挙げると、例えば、無端ベルト1の幅は200〜350mmであり、周長は200〜2,500mmである。
【0017】
無端ベルト1は、後述するポリアミドイミド樹脂と後述するシリコーン界面活性剤とを含有している。換言すると、無端ベルト1はシリコーン界面活性剤を含有するポリアミドイミド樹脂成形体である。無端ベルト1がポリアミドイミド樹脂とシリコーン界面活性剤とを含有していると、後述するように無端ベルト1自体の機械的特性等が優れると共に外表面の滑り角を大きく低下させることができる。したがって、無端ベルト1がシリコーン界面活性剤を含有していると、無端ベルト1はクリーニングブレードを折り曲げることなくクリーニングブレード上を円滑に走行できる。
【0018】
無端ベルト1に含有されるシリコーン界面活性剤の含有量は、無端ベルト1を構成するポリアミドイミド樹脂100質量部に対して、0.1〜2質量部であるのが好ましく、0.1〜1質量部の割合であるのが特に好ましい。前記範囲内で無端ベルト1にシリコーン界面活性剤が含有されていると、無端ベルト1がクリーニングブレード上をより一層円滑に走行できる。無端ベルト1に含有されるシリコーン界面活性剤の含有量は無端ベルト1を光電子分光装置(ESCA)で元素分析することによって測定できる。通常、無端ベルト1におけるシリコーン界面活性剤の含有量は、無端ベルト1を形成するポリアミドイミド樹脂組成物に含有される樹脂100質量部に対するシリコーン界面活性剤の含有量とほぼ一致する。無端ベルト1に含有されるシリコーン界面活性剤は1種でもよく、また、2種以上であってもよい。
【0019】
無端ベルト1は、ポリアミドイミド樹脂及びシリコーン界面活性剤に加えて後述する各種添加剤等を含有していてもよいが、フッ素化合物は実質的に無含有である。ここで「実質的に無含有」とは、フッ素化合物を積極的に含有していないことを意味しており、例えば、不純物等の不可避成分としてのフッ素化合物を含有する場合をも包含するものではない。
【0020】
無端ベルト1は、下記測定方法における滑り角が10〜20°であるのが好ましく、12〜18°であるのが特に好ましい。下記測定方法における滑り角は、無端ベルト1がその外表面に圧接したクリーニングブレードを折り曲げることなくその上を円滑に走行できることを評価する1つの指標として、静摩擦係数、動摩擦係数及び接触角等よりも有効であることを見出し、無端ベルト1の滑り角が前記範囲内にあると、走行する無端ベルト1がクリーニングブレードに過大な負荷及び過大な振動を与えることなくクリーニングブレード上を円滑に走行して、クリーニングブレードを折曲させることを実質的に防止できる。換言すると、無端ベルト1の滑り角が前記範囲内にあると、無端ベルト1はクリーニングブレードとの初期の圧接状態を長期間にわたって維持できる。
【0021】
この滑り角は、例えば図5に示される滑り角測定装置60を用いて測定される。この滑り角測定装置60は、一端部が軸支されこの一端部を中心に回転可能なステージ61と、ステージ61の回転量すなわち回転角度を測定する測定器62とを備えていればよく、さらに回転したステージ61を固定する固定部63を備えている。この滑り角測定装置60において、ステージ61は平坦な表面を有する板状部材であり、測定器62は分度器である。固定部63は、図5に示されるように、一端部が滑り角測定装置60の基台に連結された第1支持棒64と、一端部が第1支持棒64の他端部に回転自在に枢支され、他端部がステージ61の下部に連結された第2支持棒65とを備えて成り、ステージ61の回転量に応じて第1支持棒64と第2支持棒65との枢支部が回動して、ステージ61をその下方から支持固定する。図5に示される滑り角測定装置60はステージ61が略水平となる初期状態が示されている。
【0022】
無端ベルト1の滑り角は次のようにして測定する。24℃、相対湿度50%の環境下で、無端ベルト1から長手方向30mm×周方向150mmに切り出した試験片66(厚さは問わない。十点平均粗さRzを0.18μmに調整)を、滑り角測定装置60のステージ61上に粘着テープ、例えば、商品名「カプトンフィルム粘着テープ」(株式会社寺岡製作所製)で、試験片66の長手方向がステージ61の長手方向すなわちその一端部から自由端部に沿う方向に略平行になるように、貼着して固定する。次いで、この試験片66上に、縦40mm×横100mm×厚さ1.5mm(質量約4.0g)の接触部材67を、その縦方向が試験片66の長手方向に略平行になるように、載置する。この接触部材67は、メラミン樹脂製であり、試験片66に接触する表面はその十点平均粗さRzが0.94μm、静摩擦係数が0.465、動摩擦係数が0.225に調整されている。次いで、ステージ61の表面と水平面との成す角度が徐々に大きくなるように一端部を中心にしてステージ61を徐々に回動させ、接触部材67が試験片66上を滑り始めたときの角度を測定器62で測定する。この測定を複数回例えば3回行い、測定値の算術平均値を無端ベルト1の滑り角とする。なお、試験片66及び接触部材67の十点平均粗さRz(μm)は、JIS B 0601−1984に準じ、先端半径2μmの測定プローブを備えた表面粗さ計(商品名「590A」、株式会社東京精密製)に、試験片66又は接触部材67をセットし、測定長2.4mm、カットオフ波長0.8mm、カットオフ種別ガウシアンにより、試験片66又は接触部材67の外表面をその周方向に沿って少なくとも3点の粗さを測定し、これらの算術平均値とする。
【0023】
無端ベルト1は、下記測定方法におけるトルクが0.01〜0.20N・mであるのが好ましく、0.03〜0.15N・mであるのが特に好ましい。下記測定方法におけるトルクは、無端ベルト1がその外表面に圧接したクリーニングブレードを折り曲げることなくクリーニングブレード上を円滑に走行できることを評価する1つの指標として、静摩擦係数、動摩擦係数及び接触角等よりも有効であることを見出し、無端ベルト1のトルクが前記範囲内にあると、走行する無端ベルト1がクリーニングブレードに過大な負荷及び過大な振動を与えることなくクリーニングブレード上を円滑に走行して、クリーニングブレードを折曲させることを実質的に防止できる。
【0024】
無端ベルト1は、前記範囲のトルクに加えて、下記測定方法におけるトルク変動量が0.01〜0.05N・mであるのが好ましく、0.01〜0.03N・mであるのが特に好ましい。下記測定方法におけるトルク変動量は、無端ベルト1がその外表面に圧接したクリーニングブレードを折り曲げることなくクリーニングブレード上を円滑に走行できることを評価する1つの指標として、静摩擦係数、動摩擦係数及び接触角等よりも有効であることを見出し、無端ベルト1のトルク変動量が前記範囲内にあると、走行する無端ベルト1がクリーニングブレードに過大な負荷及び過大な振動を与えることなくクリーニングブレード上をより一層円滑に走行して、クリーニングブレードを折曲させることを実質的に防止できる。
【0025】
無端ベルト1のトルク及びトルク変動量は、例えば図6に示されるトルク測定装置70を用いて測定される。このトルク測定装置70は、無端ベルト1(図6において破線で示す。)を張架する張架部71と、張架部71を回転させる駆動部72と、張架部71を回転させる間のトルクを測定する測定部73とを備えている。張架部71は、軸体の両端部が支持体71cに回転可能に軸支され、互いに近接又は離間可能に並列配置された一対のローラ71a及び71bを備え、所定の張力例えば60Nで無端ベルト1が張架されるように構成されている。ローラ71bはその軸体に駆動部72が接続されて回転し、ローラ71aはローラ71bに張架された無端ベルト1を介してローラ71aと共に従動回転する。この駆動部72は通常モータが採用され、張架部71を所定速度例えば17.8cm/sで回転させる。測定部73は、駆動部72に接続され、駆動部72が回転駆動している間の回転トルクを経時的に測定する装置であり、具体的には、制御回路を備えている。このトルク測定装置70は、ローラ71a及び71bに張架された無端ベルト1に圧接するようにクリーニングベルトを装着する装着部74(図6において破線で示す。)が、ローラ71a及び71bの軸線に平行となるように、設けられている。
【0026】
無端ベルト1のトルク及びトルク変動量は次のようにして測定する。まず、図6に示されるように、無端ベルト1を所定の張力でトルク測定装置70のローラ71a及び71bに張架する。次いで、駆動部72及び測定部73をそれぞれ起動して駆動部72の回転トルクを測定部73で測定しつつ張架部71を駆動部72で所定速度となるように回転させる。張架部71の回転開始と共に駆動部72の回転トルクを測定して記録する。このとき回転トルクの測定は、無端ベルト1の回転速度が所定速度に到達した後、通常2〜40秒後に、例えば0.1秒毎に行う。このようにして測定された回転トルクのうち無端ベルト1の回転速度が所定速度に到達した後(から60秒間まで)の最高値を無端ベルト1のトルクとする。一方、無端ベルト1の回転速度が所定速度に到達した後に無端ベルト1が20秒間走行したときの駆動部72の最大トルクと最小トルクとの差分を駆動部72のトルク変動量として複数求め、複数のトルク変動量の算術平均値を無端ベルト1のトルク変動量とする。
【0027】
この無端ベルト1は、下記測定方法における静摩擦係数が0.3〜0.8の範囲内にあるのが好ましく、0.4〜0.8の範囲内にあるのが特に好ましく、下記測定方法における動摩擦係数が0.2〜0.7の範囲内にあるのが好ましく、0.3〜0.7の範囲内にあるのが特に好ましい。無端ベルト1の静摩擦係数及び動摩擦係数の少なくとも一方が前記範囲内にあると、クリーニングブレード上をより一層円滑に走行することができる。
【0028】
無端ベルト1の静摩擦係数及び動摩擦係数は、無端ベルト1を周方向の長さ200mm、幅方向の長さ100mmに切断した試験用シートを用いて次のようにして測定できる。すなわち、試験用シートを表面性測定器(商品名:14FW、新東科学株式会社製)にセットし、図2に具体的に示されるように、クリーニングブレードがセットされていないと仮定したときの試験用シートの表面とクリーニングブレード51との接触角θが23°、押圧荷重Pが1MPaとなるように、クリーニングブレード51における先端部の一端縁を試験用シートに圧接させる(このとき、クリーニングブレード51は、その一端縁が試験用シートの走行方向に対して上流側に、他端縁が試験用シートの走行方向に対して下流側に配置される。)。この状態で、試験用シートを10mm/秒の速度で一方向に走行させて、走行中におけるクリーニングブレード51に加わる抵抗力を計測し、計測された抵抗力から、「抵抗力/押圧荷重」より求められる数値により、静摩擦係数及び動摩擦係数が求められる。ここで、静摩擦係数を算出するときの前記計算式における「押圧荷重」は、試験用シートを走行させて抵抗力を測定するときにおける「測定開始初期のピーク押圧荷重」であり、動摩擦係数を算出するときの前記計算式における「押圧荷重」は、試験用シートを走行させて抵抗値を測定するときにおける「測定開始初期のピーク押圧荷重を除いた平均押圧荷重、すなわち、試験用シートの走行時における平均押圧荷重」である。なお、クリーニングブレード51は、図3に示されるように、厚み2.0mm、幅20mm、長さ250mmのウレタン弾性体が、その幅10mm×長さ方向250mmの表面が重畳するように、厚み1.0mm、幅20mm、長さ250mmの鉄製の板状部55に接着されて成り、前記ウレタン弾性体は、後述する測定方法における、JIS A硬度が70、引張永久歪特性が50%及び摩耗量が50mgに調整される。
【0029】
無端ベルト1は、n−ドデカンの接触角が10〜40°であることが好ましく、15〜40°であることがより好ましい。無端ベルト1におけるn−ドデカンの接触角が前記範囲内にあると、クリーニングブレード上をより一層円滑に走行することができる。無端ベルト1におけるn−ドデカンの接触角は接触角計(商品名「CA‐DT型」、協和界面化学株式会社製)を用いて測定できる。無端ベルト1を約10mm角に切り出した試料を接触角計にセットし試料上に液滴径2mmのn−ドデカンの液滴を付着させる。接触角の計測は試料と液滴の接点と液滴頂点部でなす角度を接触角計に内蔵された角度目盛りで読み取り2倍に換算して求められる。
【0030】
無端ベルト1は、静摩擦係数、動摩擦係数及びn−ドデカンの接触角のいずれかが前記範囲内にあるのが好ましく、静摩擦係数及び動摩擦係数のいずれか一方とn−ドデカンの接触角とがそれぞれ前記範囲内にあるのがより一層好ましく、静摩擦係数、動摩擦係数及びn−ドデカンの接触角がそれぞれ前記範囲内にあるのが特に好ましい。
【0031】
無端ベルト1は、表面抵抗率が1×1010〜1×1015Ω/□の範囲にあるのが好ましく、1×1012〜1×1014Ω/□の範囲にあるのが特に好ましい。無端ベルト1の表面抵抗率が前記範囲内にあると、無端ベルト1を画像形成装置に使用した場合に高品質の画像を形成することができる。この表面抵抗率はJIS C2151(1990)に記載の表面抵抗率の測定方法に準拠して測定することができる。
【0032】
無端ベルト1は、体積抵抗率が1×10〜1×1013Ω・cmの範囲にあるのが好ましく、1×10〜1×1012Ω・cmの範囲にあるのが特に好ましい。無端ベルト1の体積抵抗率が前記範囲内にあると、無端ベルト1を画像形成装置に使用した場合に高品質の画像を形成することができる。この体積抵抗率はJIS C2151(1990)に準拠して測定することができる。
【0033】
無端ベルト1は、ヤング率が2,000〜4,000MPaの範囲にあるのが好ましく、3,000〜4,000MPaの範囲にあるのが特に好ましい。無端ベルト1のヤング率が前記範囲内にあると、画像形成装置に装着したときに、駆動力が無端ベルト1に加わっても無端ベルト1に伸び等の寸法変化が生じて、色ずれ等の画像不良が起こることを効果的に防止することができる。このヤング率はJIS K7113(1995)に準拠して測定することができる。
【0034】
無端ベルト1は、耐柔試験が50,000〜200,000回の範囲にあるのが好ましく、80,000〜200,000回の範囲にあるのが特に好ましい。無端ベルト1の耐柔試験が前記範囲内にあると、無端ベルト1を画像形成装置に装着して走行させても、支持ローラ等の通過時等における屈曲動作による疲労を受けにくくなる。この耐柔試験は「ISO耐折回数」と基本的に同様であり、チャック先端R3.0mmを使用し荷重1kg、JIS P8115(2001)に準拠して測定することができる。
【0035】
無端ベルト1は、引張強度が100〜180MPaの範囲にあるのが好ましく、120〜160MPaの範囲にあるのが特に好ましい。無端ベルト1の引張強度が前記範囲内にあると、摩耗性が向上し高耐久という効果が得られる。この引張強度はJIS K7113(1995)に準拠して測定することができる。
【0036】
無端ベルト1は、引張伸度が10〜50%の範囲にあるのが好ましく、12〜40%の範囲にあるのが特に好ましい。無端ベルト1の引張伸度が前記範囲内にあると、無端ベルト1の端部が損傷しても、損傷部分を起点として無端ベルト1が破断することを抑えることができるという効果が得られる。この引張伸度はJIS K7113(1995)に準拠して測定することができる。
【0037】
無端ベルト1は、引裂強度が0.1〜1.0kg/mmの範囲にあるのが好ましく、0.2〜0.8kg/mmの範囲にあるのが特に好ましい。無端ベルト1の引裂強度が前記範囲内にあると、切欠部から引き裂けを抑えることができるという効果が得られる。この引裂強度はJIS K7128−1(1998)に準拠して測定することができる。
【0038】
無端ベルト1は、難燃性がUL94 5VA〜UL94 V−2であるのが好ましく、UL94 5VA〜UL94 V−0であるのが特に好ましい。この難燃性はUL規格に準拠して測定することができる。
【0039】
無端ベルト1は、後述するポリアミドイミド樹脂組成物によって樹脂層を環状に形成して、製造される。すなわち、この無端ベルト1は、後述するポリアミドイミド樹脂組成物を硬化して、製造される。
【0040】
無端ベルト1すなわち樹脂層は、ポリアミドイミド樹脂組成物によって形成される。このポリアミドイミド樹脂組成物は、ポリアミドイミド樹脂又はその構成モノマーとシリコーン界面活性剤と所望により各種添加剤とを含有し、フッ素化合物を実質的に無含有である。ここで、「実質的に無含有」とは、フッ素化合物を積極的に含有していないことを意味しており、例えば、不純物等の不可避成分としてのフッ素化合物を含有する場合をも包含するものではない。
【0041】
前記ポリアミドイミド樹脂は、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂及びポリアミド樹脂等が挙げられる。特に、芳香族ポリアミドイミド樹脂は、強度、可撓性、寸法安定性及び耐熱性等の機械的特性がバランスよく優れている点で、好ましい。
【0042】
前記芳香族ポリアミドイミド樹脂は、トリカルボン酸無水物とジイソシアネート化合物とを反応させるジイソシアネート法により製造することができ、ジイソシアネート法は原料の入手、反応性及び副生成物が少ない等の点で優れている。ジイソシアネート法で製造される芳香族ポリアミドイミド樹脂の他にも、重縮合反応を好適に進めることができるのであれば、ジイソシアネート化合物に代えてジアミン化合物を用いて製造される芳香族ポリアミドイミド樹脂も、好ましい。ジアミン化合物を用いて得られる芳香族ポリアミドイミド樹脂は、ヤング率が高く、無端ベルト1を形成するポリアミドイミド樹脂組成物に含まれる樹脂として好適である。また、トリカルボン酸無水物の一部をテトラカルボン酸二無水物に代えてイミド結合を増加させた芳香族ポリアミドイミド樹脂は、耐湿性に優れている。芳香族ポリアミドイミド樹脂は、適宜の溶媒中で、常圧下、及び、常温下又は加熱下で反応させることにより、容易に合成することができる。
【0043】
前記トリカルボン酸無水物としては、芳香族トリカルボン酸無水物が好ましく、例えば、トリメリット酸無水物、3,4,4’−ジフェニルエーテルトリカルボン酸無水物、3,4,4’−ベンゾフェノントリカルボン酸無水物、2,3,5−ピリジントリカルボン酸無水物、ナフタレントリカルボン酸無水物、及びこれらの誘導体等が挙げられる。これらの酸無水物は一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
【0044】
トリカルボン酸無水物の一部に代えて用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物、及びこれらの誘導体等が挙げられる。これらのテトラカルボン酸二無水物は一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
【0045】
前記ジイソシアネート化合物としては、芳香族ジイソシアネート化合物を好ましく挙げることができる。また、ジイソシアネート化合物として、芳香族ジイソシアネート化合物と共に、又は芳香族ジイソシアネート化合物に代えて、脂肪族ジイソシアネート化合物及び/又は脂環式ジイソシアネート化合物を、又はこれらの誘導体であるアミン類を使用することもできる。
【0046】
芳香族ジイソシアネート化合物として、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネートジフェニルエーテル、4,4’−ジイソシアネートジフェニルスルホン、4,4’−ジイソシアネートビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアネートビフェニル、2,4−トルエンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。また、これらの芳香族ジイソシアネート化合物の誘導体であるジアミン類も原料として利用できる。脂肪族ジイソシアネート化合物としては、例えば、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。脂環式ジイソシアネート化合物としては、例えば、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。これらのジイソシアネート化合物の中でも、無端ベルト1の耐熱性、機械的特性及び溶解性等を考慮すると、使用する全ジイソシアネート化合物中の60質量%以上、好ましくは70質量%以上を、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアネートビフェニル、イソホロンジイソシアネート又はこれらの誘導体であるジアミン類とすることが好ましい。さらに、無端ベルト1の寸法安定性を考慮すると、使用する全ジイソシアネート化合物中の70質量%以上をジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート又はこの誘導体である4,4’−ジアミノジフェニルメタンとすることがより好ましい。
【0047】
芳香族ポリアミドイミド樹脂を合成する重縮合反応に使用される溶媒としては、溶解性の点で極性溶媒が好ましく、反応性を考慮すると非プロトン性極性溶媒が特に好ましい。非プロトン性極性溶媒として、例えば、N,N−ジアルキルアミド類としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、及び、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド等のN,N−ジアルキルアミド類が挙げられる。また、極性溶媒として、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン等も好ましい。これらの溶媒は、一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
【0048】
前記ポリアミドイミド樹脂は、ポリアミドイミド樹脂の一部又は全部に代えて、ポリアミドイミド樹脂を形成する原料、例えば、前記多価カルボン酸、前記多価アミン、前記多価イソシアネート等を含有していてもよい。すなわち、無端ベルト1に含有されるポリアミドイミド樹脂は、環状に成形したときに、ポリアミドイミド樹脂となる成分であればよい。
【0049】
前記シリコーン界面活性剤は、前記芳香族ポリアミドイミド樹脂を合成する際に用いられる溶媒、後述するポリアミドイミド樹脂組成物の粘度を調整する際に用いられる溶媒との相溶性に優れる点で、末端に水酸基を有する反応性ポリシロキサン、シリコーン表面調整剤、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサンと称されるシリコーン界面活性剤等が好ましい。
【0050】
末端に水酸基を有する反応性ポリシロキサンとしては、例えば、ポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、シリコーンオイルの末端をカルビノールで変性し、末端にカルビノール由来の水酸基を有するシリコーンオイル(カルビノール変性シリコーンオイルと称する。)、ヒドロキシカルボニル基を含有する化合物例えばアシロインでシリコーンオイルの末端を変性し、ヒドロキシカルボニル基を含有する化合物由来の水酸基を末端に有するシリコーンオイル(カルボキシ変性シリコーンオイルと称する。)、ヒドロキシ基を2個含有するジオール化合物例えばエチレングリコールでシリコーンオイルの末端を変性し、ジオール化合物由来の水酸基を末端に有するシリコーンオイル(ジオール変性シリコーンオイルと称する。)等が挙げられる。
【0051】
シリコーン界面活性剤は、無端ベルト1の表面張力を低下させるのにより優れる点で、ポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサンが好ましく、ポリエーテルポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサンがさらに好ましい。
【0052】
前記末端に水酸基を有する反応性ポリシロキサンは、末端に水酸基を有していれば特に限定されず、種々の反応性ポリシロキサンが挙げられる。具体的には、前記ポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサンとしては、例えば、商品名「BYK−370」(ビックケミー社製)等が挙げられ、前記ポリエーテルポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサンとしては、例えば、商品名「BYK−375」(ビックケミー社製)、等が挙げられ、前記カルビノール変性シリコーンオイルとしては、例えば、商品名「KF‐6001」(信越化学工業株式会社製)等が挙げられ、前記カルボキシル変性シリコーンオイルとしては、例えば、商品名「X‐22‐162C」(信越化学工業株式会社製)等が挙げられ、前記ジオール変性シリコーンオイルとしては、例えば、商品名「X−22‐176DX」(信越化学工業株式会社製)等が挙げられる。また、シリコーン表面調整剤としては、「シリコーン表面調整剤」(商品名「BYK UV3500」、「BYK UV3510」及び「BYK UV3570」、いずれもビックケミー社製)等が挙げられ、ポリエステル変性ジメチルシロキサンとしては、商品名「BYK−313」(ビックケミー社製)等が挙げられる。
【0053】
なお、本願発明におけるシリコーン界面活性剤は、界面活性剤として機能する点で、界面活性剤として機能しない特許文献1の「鎖状シリコーン」と相違する。
【0054】
シリコーン界面活性剤は、ポリアミドイミド樹脂100質量部に対して、0.1〜2質量部の割合で含有されているのが好ましく、0.1〜1質量部の割合で含有されているのが特に好ましい。前記範囲内でシリコーン界面活性剤が含有されていると、無端ベルト1がクリーニングブレード上をより一層円滑に走行できる。
【0055】
なお、無端ベルト1に実質的に無含有のフッ素化合物としては、分子内にパーフルオロアルキル基(−C2n+1)を有する化合物が挙げられ、前記パーフルオロアルキル基は、炭素数が1〜6のパーフルオロアルキル基、特に、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基等が挙げられる。このようなフッ素化合物として、例えば、フッ素界面活性剤が挙げられ、より具体的には、低分子化合物のフッ素界面活性剤及びオリゴマーのフッ素界面活性剤が挙げられる。
【0056】
前記ポリアミドイミド樹脂組成物は、この発明の目的を阻害しない限り、種々の添加剤を含有してもよい。このような添加剤分としては、例えば、導電性付与剤、カップリング剤、滑剤、酸化防止剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤、老化防止剤、補強性充填材、反応助剤、反応抑制剤等の各種添加剤等が挙げられる。また、このポリアミドイミド樹脂組成物は、この発明の目的を阻害しない限り、他の樹脂が含有されていてもよい。これら他の成分の前記ポリアミドイミド樹脂組成物における含有量は、これら他の成分の添加により前記ポリアミドイミド樹脂組成物に発現させる特性に応じて適宜に決定されることが、できる。これらの添加剤は、適宜の含有量でポリアミドイミド樹脂組成物に含有される。
【0057】
前記導電性付与剤として、例えば、導電性粉末及びイオン導電性物質等を挙げることができる。導電性粉末としては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボンの他に、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン類、また酸化チタン、酸化亜鉛、ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属、さらには金属酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマー、ナノ粒子等を挙げることができる。イオン導電性物質としては、例えば、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸カルシウム、塩化リチウム等の無機イオン性導電物質等を挙げることができる。これらの中でも、導電性カーボン及びゴム用カーボン類等が好ましく、カーボンブラックが特に好ましい。導電性付与剤は、前記各種物質をその一種を単独で使用することができ、また二種以上を併用することもできる。導電性付与剤の好ましい形状は、球状又は不定形である。球状又は不定形をなす導電性付与剤の粒子のサイズは、一次粒子径として0.01〜10μm程度が好ましい。導電性付与剤がカーボンブラックの場合、そのBET比表面積は、一次粒子径との相関性が強く、50〜300m/gであることが好ましく、100〜200m/gがより好ましい。
【0058】
ポリアミドイミド樹脂組成物における導電性付与剤の含有量は、導電性付与剤の導電性及び粒径、並びに、無端ベルト1に要求される導電特性等により、適宜調整すればよいが、通常、ポリアミドイミド樹脂組成物と導電性付与剤との全質量100%に対して、1〜25質量%であるのが好ましく、5〜20質量%であるのがより好ましく、10〜20質量%であるのが特に好ましい。導電性付与剤の添加量が1質量%より少ないと、導電性物質同士の距離が離れすぎて無端ベルト1における導電性の発現が悪くなることがあり、一方、導電性付与剤の添加量が25質量%を超えると、無端ベルト1の機械的強度が低下することがある。導電性付与剤を樹脂に分散させるには、公知の方法を適宜選択することができ、公知の方法として、例えば、ミキシングロール、加圧式ニーダー、押出機、三本ロール、ホモジナイザー、ボールミル、ポットミル及びビーズミル等を用いた混合方法が挙げられる。
【0059】
無端ベルト1は、前記ポリアミドイミド樹脂、前記シリコーン界面活性剤、所望により各種添加剤を、通常の方法で、均一に分散して、得られるポリアミドイミド樹脂組成物を硬化・成形して、得られる。すなわち、無端ベルト1は、ポリアミドイミド樹脂組成物を公知の成形方法によって環状に成形して、製造される。
【0060】
例えば、単層構造の無端ベルト1は、準備したポリアミドイミド樹脂組成物を公知の成形方法によって環状に成形して、作製される。無端ベルト1を形成するポリアミドイミド樹脂組成物に含有される樹脂として熱可塑性樹脂を選択した場合には、遠心成形、押出成形、射出成形等により、一方、樹脂として熱硬化性樹脂を選択した場合には、遠心成形、RIM成形等により、無端ベルト1を成形することができる。これらの成形方法の中でも、材料を問わずに適用可能であり、かつ厚さ精度に優れる等の点で、遠心成形が好ましい。
【0061】
無端ベルト1を遠心成形によって成形する場合には、前記ポリアミドイミド樹脂組成物は、その成形時の粘度を50,000mPa・s以下に調整するのが好ましい。粘度が50,000mPa・sを超えると、厚さの均一な無端ベルト1を製造するのが困難になることがある。ポリアミドイミド樹脂組成物の粘度の下限については、特に限定されるものではないが、10mPa・s以上であるのが好ましい。ポリアミドイミド樹脂組成物の粘度が上記範囲を外れる場合は、前記溶媒の添加量等を調節することにより、ポリアミドイミド樹脂組成物の粘度を前記範囲内に調整することができる。溶媒としては、前記芳香族ポリアミドイミド樹脂を合成する重縮合反応に使用される溶媒が挙げられる。
【0062】
遠心成形によると、溶媒を含有することにより流動性を発現したポリアミドイミド樹脂組成物を円筒形の金型に注入し、金型を回転させて遠心力で金型内周面にポリアミドイミド樹脂組成物の層を均一に展開し、ポリアミドイミド樹脂組成物の層から溶媒を乾燥除去して、無端成形基体が製造される。金型は各種金属管を用いることができ、例えば、内周面が鏡面研磨された金属管を好適に挙げることができる。この金型は、形成した無端成形基体が内周面から容易に脱型できるように、その内周面がフッ素樹脂やシリコーン樹脂等の離型剤により離型処理されていてもよい。離型処理された金型を用いる場合には、この発明に係る無端ベルトは離型処理された金型を用いて成形された無端ベルトということもできる。
【0063】
ところで、金型の内周面を離型処理すると製造される無端ベルトの表面に離型剤が残存し、表面特性にある程度の影響を与える場合がまれに生じる。特に離型剤が表面に均一に残存していないと、無端ベルトの表面特性も不均一になり、例えば、クリーニングブレードを折れ曲げてしまう場合がある。これに対して、この発明に係る無端ベルトは、そもそも自身の内部にシリコーン界面活性剤を含有しているから、金型の内周面が離型処理されていなくてもよく、したがって、離型剤の残存による表面特性の不均一性等の問題を回避できる。このように離型処理されていない金型を用いて成形されるこの発明に係る無端ベルトはその外表面に離型剤を有していない無端ベルトということもできる。
【0064】
なお、上述した遠心成形による他に、ポリアミドイミド樹脂の原料であるトリカルボン酸無水物とジイソシアネート化合物とが一部重合したポリアミド酸の溶液を、金型の内周面や外周面に浸漬方式、遠心方式、塗布方式等によってコートし、又は前記ポリアミド酸の溶液を注形型に充填する等の適宜な方式で筒状に展開し、その展開層を乾燥製膜してベルト形に成形し、その成形物を加熱処理してポリアミド酸をイミドに転化して型より回収する公知の方法(特開昭61−95361号公報、特開昭64−22514号公報、特開平3−180309号公報等)等により、無端成形基体を製造することもできる。
【0065】
金型内周面に展開されたポリアミドイミド樹脂組成物の層から溶媒を除去して、無端成形基体が製造される。ここで、除去される溶媒は、金型内周面に展開されたポリアミドイミド樹脂組成物の層に含有された溶媒であり、例えば、ポリアミドイミド樹脂組成物の粘度を調整する際に使用される溶媒の他に、前記芳香族ポリアミドイミド樹脂を合成する際に使用される溶媒等が挙げられる。金型内周面に展開されたポリアミドイミド樹脂組成物の層から溶媒を除去する処理として、加熱処理を挙げることができるが、溶媒を除去するには、以下の一次溶媒除去工程及び二次溶媒除去工程からなる溶媒除去処理を行うのが好ましい。
【0066】
前記一次溶媒除去工程は、金型を回転して金型内周面に展開されたポリアミドイミド樹脂組成物の層から溶媒を除去しつつ成形し、ポリアミドイミド樹脂組成物の層をフィルム状成形体とする。一次溶媒除去工程は、金型を回転したまま5〜60分間、40〜150℃の熱風を金型内に通過させることにより、溶媒が除去される。熱風温度が150℃を超えると、及び/又は、加熱時間が60分を超えると、成形されるフィルム状成形体が酸化されることがある。
【0067】
二次溶媒除去工程は、一次溶媒除去工程で成形されたフィルム状成形体を金型ごと遠心成形機から取り出し、金型ごと加熱して、フィルム状成形体から溶媒を除去し、無端成形基体とする。例えば、熱風乾燥器、オーブン等の加熱器を用いる場合には、フィルム状成形体を金型ごと、200〜300℃で1〜3時間加熱すればよく、また、過熱水蒸気炉を用いる場合には、フィルム状成形体を金型ごと、200〜260℃の過熱水蒸気で、0.5〜3時間加熱すればよい。なお、フィルム状成形体の変形等を防止することができれば、金型からフィルム状成形体を脱型し、フィルム状成形体を前記条件で加熱することもできる。
【0068】
このようにして溶媒が除去された無端成形基体を作製した後、無端成形基体を金型から取り出し、放冷する。なお、金型ごと無端成形基体を放冷すると、金型と無端成形基体との熱膨張率の差により、無端成形基体を脱型することができる。
【0069】
このようにして無端成形基体を脱型した後、環状の無端成形基体における両側端部を除去して所定幅に裁断する。無端成形基体を切断する切断機は、無端成形基体の切断開始点と切断終了点とが略一致するように、切断することができる装置であればよい。このようにして、樹脂層のみからなる単層構造の無端ベルト1が製造される。
【0070】
このようにして製造される無端ベルト1は、ポリアミドイミド樹脂とシリコーン界面活性剤を含有し、無端ベルト1の走行によってクリーニングブレードへの過大な負荷及び過大な振動を与えることなく、クリーニングブレード上を円滑に通過することができる。その結果、無端ベルト1は、たとえ、走行速度が高速であっても長期間にわたって無限軌道を円滑に走行してクリーニングブレードとの初期の圧接状態を維持することができる。換言すると、無端ベルト1は、クリーニングブレードの捲れ返りを長期間にわたって防止することができる。このように、この発明によれば、外表面に圧接するクリーニングブレードを折曲させることなく走行可能な無端ベルトを提供することができる。
【0071】
この発明に係る無端ベルトは、前記した実施例に限定されることはなく、本願発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。例えば、無端ベルト1は単層構造の樹脂層から構成されているが、この発明において、無端ベルトは二以上の層を積層した多層構造とされてもよい。この場合に、各層の間には接着剤層又はプライマー層等が形成されてもよい。
【0072】
前記多層構造を有する無端ベルトは、前記樹脂層の外表面又は内表面に形成された他の層を備え、クリーニングブレードとの初期の圧接状態を維持することができる点で、前記樹脂層の内表面に形成された他の層を備えているのが好ましい。前記他の層としては、例えば、基層、コート層、表面層、弾性層等が挙げられる。このような多層構造を有する無端ベルトは、例えば、前記のようにして環状に形成した樹脂層の外表面又は内表面に他の層を形成することによって、製造される。具体的には、例えば、樹脂層の外表面に他の層を備えた多層構造の無端ベルトを製造するには、前記無端ベルト1と同様にして環状に形成された樹脂層の外表面に前記他の層を形成する方法が採用される。ここで、他の層を形成する材料は、他の層に要求される特性に応じて適宜選択され、例えば、他の層がコート層である場合には所望の樹脂組成物が選択され、他の層が弾性層である場合には所望のゴム組成物又はエラストマー組成物等が選択される。そして、これらの材料を、ディップ法、スプレー法、ロールコータ法、ドクターブレードコート法等によって、樹脂層の外周面に塗布して、硬化させて、他の層を樹脂層の外表面に形成することができる。
【0073】
一方、樹脂層の内表面に他の層を備えた多層構造の無端ベルトを製造するには、前記無端ベルト1と同様にして環状に形成された他の層の内表面に前記樹脂層を形成する方法が採用される。ここで、他の層を形成する材料は、他の層に要求される特性に応じて適宜選択され、例えば、他の層が弾性層である場合には、ゴム組成物又はエラストマー組成物等が選択される。そして、他の層の内表面に樹脂層を形成するには、前記材料を他の層の内表面に、ディップ法、スプレー法、ロールコータ法、ドクターブレードコート法等によって、塗布して、硬化させる方法を選択することができる。
【0074】
また、この発明において、無端ベルトは、所望により、無端ベルトの内周面であって無端ベルトにおける軸線方向の少なくとも一端部に、弾性材料で形成された紐状又は帯状の細長いガイド部材が設けられてもよい。このガイド部材は無端ベルトの走行中の横ぶれ防止用のガイドとして機能する。ガイド部材の材料としては、適度なゴム弾性と耐摩耗性とを有する弾性材料、例えば、ウレタン系エラストマー、シリコーン系エラストマー、フッ素系樹脂エラストマー、スチレン系エラストマー等が挙げられる。これらの中でも、耐摩耗性に優れる、JIS K 6253−1997によるA硬度が30以上95以下のウレタン系エラストマーが好適である。ガイド部材は、好ましくは、無端ベルト基体における軸線方向の両端部に無端ベルト基体の内周面を一巡するように設けられる。
【0075】
この発明に係る無端ベルトは、クリーニングブレードとの初期の圧接状態を長期間にわたって維持することができるから、クリーニングブレードが圧接するように画像形成装置に装着される。すなわち、この発明に係る無端ベルトは、その外表面に一端部又は一端縁が圧接されるクリーニングブレードを備えた画像形成装置に好適に用いられて、このクリーニングブレードと共に無端ベルトユニットを構成する。この発明に係る無端ベルトユニットの一実施例の無端ベルトユニット50は、図2に示されるように、複数の回転体例えば支持ローラ42に巻回されて無限軌道を走行する無端ベルト1と、この無端ベルト1の外表面に圧接するクリーニングブレード51とを備えてなる。この発明に係る無端ベルトユニットを構成する無端ベルトは前記無端ベルト1と基本的に同様であるので説明を省略する。この発明に係る無端ベルトユニットを構成するクリーニングブレードは、後述するように、通常、無端ベルトに付着又は転写された現像剤を除去する。
【0076】
前記クリーニングブレード51は、無端ベルト1の外表面に圧接する弾性体53を備えていればよく、例えば、その一例として、図2及び図3に示されるように、支持体52と弾性体53と備えている。
【0077】
支持体52は、図3に示されるように、一方向に延在する板状部55と、板状部55の長手方向の一端縁に沿ってこの一端縁から板状部55に対して略垂直に延在するように形成された取付部56とで形成されている。すなわち、支持体52は長手方向に垂直な断面における断面形状が略L字型をなす板状部材に形成されている。この支持体52は、後述する弾性体53を支持し、無端ベルト1に弾性体53を所望の押圧荷重で当接させる。したがって、支持体52は、弾性体53を支持することができれる材料例えば金属材料等で形成される。支持体52は、通常、50〜250μmの厚さを有しているのが好ましく、80〜120μmの厚さを有しているのが特に好ましい。支持体52は、その全面にわたって均一な厚さを有していることが好ましい。支持体52は、その長手方向の長さが無端ベルト1の軸線方向長さよりも長くなるように調整されている。
【0078】
弾性体53は、任意の形状に形成されることができ、例えば、図2及び図3に示されるように、所定の厚さを有する長方形の板状又は直方体に形成される。この弾性体53は、その一端部又は一端縁54A(先端圧接部と称する。)が無端ベルト1に所望の押圧荷重で当接して、無端ベルト1の非機能外表面6(図2参照。)上を摺動する。このように弾性体53の先端圧接部54Aが非機能外表面6を摺動することによって、非機能外表面6に付着した現像剤等を効果的に除去することができる。ここで、非機能外表面6は、無端ベルト1の外表面であって、無端ベルト1の無限軌道中で無端ベルト1が機能を奏しない軌道中(換言すると、復路軌道中)にあるときの外表面をいう。例えば、図2における無端ベルト1においては、記録体16を定着装置30に搬送した後の、記録体16を保持搬送しない外表面をいう。
【0079】
弾性体53は、無端ベルト1を傷付けないように、弾性を有する弾性材料、例えば、ウレタンゴム、シリコーンゴム等で形成される。ウレタンゴムとしては、例えば、熱可塑性ウレタンゴムが挙げられ、より具体的には、ポリオール成分として、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオール等を用いたウレタンゴム、イソシアネート成分として、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、及びヘキサメチレンジイソシアネート等を用いたウレタンゴム等が挙げられる。シリコーンゴムとしては、シリコーンゴムとしては、例えば、HTVゴム(高温硬化型ミラブルシリコーンゴム等)、液状シリコーンゴム(LTV、RTV等)等が挙げられる。
【0080】
弾性体53の厚さは、任意の厚さに調整され、具体的には、0.1〜3mmである。弾性体53は、その全面にわたって均一な厚さを有していることが好ましい。また、弾性体53は、支持体52と同様に、その長手方向の長さが、無端ベルト1の軸線方向長さよりも長くなるように調整されているのが好ましく、弾性体53の長手方向に垂直な方向の長さすなわち幅は、特に限定されず、例えば、10〜30mm程度に調整される。
【0081】
弾性体53は、無端ベルト1に圧接するから、JIS A硬度(JIS K 6253−1997)が40〜90の範囲にあるのが好ましく、50〜80の範囲にあるのが特に好ましい。また、弾性体53は、無端ベルト1に圧接するから、JIS K6262による引張永久歪特性(25%歪、70℃、22時間)が50%以下であるのが好ましい。
【0082】
弾性体53は、無端ベルト1の非機能外表面6を摺動して無端ベルト1の外表面に付着した現像剤を除去するものであるから、JIS−K7311(荷重1Kg,摩耗輪H−22;1000回転)で測定される摩耗量が50mg以下であるのが好ましい。
【0083】
クリーニングブレード51は、支持体52及び弾性体53をそれぞれ前記材料で公知の方法により作製し、所望により、支持体52に接着剤を塗布し、塗布された接着剤上に弾性体53を重ね合わせ、接着剤を公知の方法で硬化させて、製造することができる。
【0084】
図2に示されるように、無端ベルトユニット50は、前記無端ベルト1と前記クリーニングブレード51とを備えてなり、クリーニングブレード51が無端ベルト1に巻回された、無限軌道の走行方向下流側に位置する支持ローラ42の下流方向近傍に配置されている。すなわち、クリーニングブレード51は、無端ベルト1が記録体を保持搬送して定着装置に移送する往路軌道後の復路軌道中に、往路軌道から復路軌道へと変換する支持ローラ42の下流側近傍に配置されている。そして、このクリーニングブレード51は、無端ベルト1が記録体16を保持搬送しているときの外表面5(記録体搬送外表面と称することがある。)が記録体16を解放して定着装置に移送した後の非機能外表面6に、画像形成装置10の現像ユニットY側に対して押圧するように、圧接している。このとき、クリーニングブレード51は、その先端圧接部54Aが非機能外表面6に圧接していればよく、その先端圧接部54Aの長さ方向が無端ベルト1の軸線に沿って換言すると無端ベルト1の走行方向に対して略垂直になるように、無端ベルト1の非機能外表面6に圧接しているのが好ましい。特に、クリーニングブレード51は、図2に示されるように、先端圧接部54Aが無端ベルト1の走行方向(図2において矢印Aが示す方向)に対して上流側に、先端圧接部54Aの幅方向の他端縁54Bが無端ベルト1の走行方向に対して下流側に配置されているのが、好ましい。クリーニングブレード51がこのように配置されていると、無端ベルト1の走行方向に対して逆方向から先端圧接部54Aが無端ベルト1の非機能外表面6に圧接するから、非機能外表面6に付着した現像剤を高度に除去することができる。
【0085】
クリーニングブレード51は、図2に示されるように、弾性体53の幅方向の仮想線(図2及び図3に図示しない。)と、クリーニングブレード51が当接していない状態における無端ベルト1の仮想走行面とのなす圧接角θが15°〜25°の範囲となるように、無端ベルト1の非機能外表面6に圧接されているのが特に好ましい。クリーニングブレード51の非機能外表面6への圧接荷重Pは、圧接角θが前記範囲となるときに、0.2〜2MPaであるのが好ましい。クリーニングブレード51が前記圧接角θ及び圧接荷重Pとなるように非機能外表面6に圧接していると、無端ベルト1との圧接状態を長期間にわたって維持することができると共に、無端ベルト1の外表面に付着した現像剤を所望のように除去することができる。
【0086】
この無端ベルトユニット50は無端ベルト1とクリーニングブレード51とを備えてなるから、無端ベルト1はクリーニングブレード51の弾性体53に過大な負荷及び過大な振動を与えることなく、クリーニングブレード51の弾性体53上を円滑に走行し通過することができる。その結果、無端ベルトユニット50は、たとえ、無端ベルト1を高速で走行させても無端ベルト1とクリーニングブレード51との初期の圧接状態を長期間にわたって維持することができる。このように、この発明によれば、無端ベルトとクリーニングブレードとの初期の圧接状態を長期間にわたって維持することのできる無端ベルトユニットを提供することができる。
【0087】
この発明に係る無端ベルトユニットは、前記した実施例に限定されることはなく、本願発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。例えば、無端ベルトユニット1は1つのクリーニングブレード51を備えているが、この発明において、無端ベルトユニットは複数のクリーニングブレードを備えていてもよい。
【0088】
この発明に係る無端ベルト及び無端ベルトユニットは、前記したように、画像形成装置に装着される。特に、この発明に係る無端ベルト及び無端ベルトユニットは、無端ベルトとクリーニングブレードとの初期の圧接状態を長期間にわたって維持することができるから、印刷速度すなわち無端ベルトの走行速度が高速化された画像形成装置に好適に用いられる。そして、この発明に係る無端ベルトユニットはクリーニングブレードを備えているから、画像形成装置に装着されるこの発明の無端ベルトは、画像形成装置において現像剤が付着し又は転写されるベルトとして装着されるのがよい。このようなベルトとしては、例えば、搬送途中で現像剤が転写される記録体を外表面に保持して搬送する転写搬送ベルト、二次転写型画像形成装置の中間転写ベルト、定着装置の定着ローラに巻回され、現像剤を記録体に定着させるための定着ベルト等が挙げられる。
【0089】
この発明に係る無端ベルト1及びこの発明に係る無端ベルトユニット50を備えた画像形成装置の一例を、図を参照して、説明する。この画像形成装置10は、図2に示されるように、各色の現像ユニットB、C、M及びYに装備された複数の像担持体11B、11C、11M及び11Yを無端ベルト1上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置であり、したがって、現像ユニットB、C、M及びYが無端ベルト1上に直列に配置されている。
【0090】
このタンデム型カラー画像形成装置10においては、図2に示されるように、この発明の無端ベルト1は、搬送途中で現像剤が転写される記録体を外表面に保持して搬送する転写搬送ベルト1として、その外周面がクリーニングブレード51に圧接されるように、装着されている。すなわち、この画像形成装置10は、図2に示されるように、複数の回転体例えば支持ローラ42に巻回されて無限軌道を図2における矢印Aの方向に走行する転写搬送ベルト1と、前記無限軌道の走行方向下流側に配置され、記録体16を解放した後の転写搬送ベルト1の外表面に圧接するクリーニングブレード51とを有する無端ベルトユニット50を備えている。なお、クリーニングブレード51は、前記したように、先端圧接部54Aが前記範囲の圧接角θ及び圧接荷重Pとなるように、転写搬送ベルト1の非機能外表面6に圧接している。
【0091】
なお、二本の支持ローラ42に巻回されて走行する転写搬送ベルト1の外表面のうち、記録体16を保持して、後述する現像ユニットB、C、M及びYが配置された側(往路軌道側)を走行する転写搬送ベルト1の外表面を記録体搬送外表面5と称し、保持した記録体16を解放して、現像ユニットB、C、M及びYが配置されていない側(復路軌道側)を走行する転写搬送ベルト1の外表面を非機能外表面6と称する。
【0092】
画像形成装置10における現像ユニットBは、図2に示されるように、像担持体11B例えば感光体(感光ドラムとも称される。)と、帯電手段12B例えば帯電ローラと、露光手段13Bと、現像手段20Bと、転写搬送ベルト1を介して像担持体11Bに当接する転写手段14B例えば転写ローラと、像担持体用クリーニング手段15Bとを備えている。前記現像手段20Bは、一成分非磁性の現像剤22Bを収容する筐体21Bと、現像剤22Bを像担持体11Bに供給する現像剤担持体23B例えば現像ローラと、現像剤22Bの厚みを調整する現像剤量調節手段24B例えばブレードとを備えて成る。現像ユニットC、M及びYは現像ユニットBと基本的に同様に構成されている。定着装置30は、現像ユニットYの下流側に配置され、図2にその断面が示されるように、記録体16を通過させる開口35を有する筐体34内に、定着ローラ31と、定着ローラ31の近傍に配置された無端ベルト支持ローラ33と、定着ローラ31及び無端ベルト支持ローラ33に巻き掛けられた定着ベルト36と、定着ローラ31と対向配置された加圧ローラ32とを備え、定着ベルト36を介して定着ローラ31と加圧ローラ32とが、互いに当接又は圧接するように、回転自在に支持されて成る圧力熱定着装置である。画像形成装置10の底部には記録体16を収容するカセット41が設置されている。
【0093】
画像形成装置10に使用される現像剤22B、22C、22M及び22Yはそれぞれ、摩擦により帯電可能な現像剤であれば、乾式現像剤でも湿式現像剤でもよく、また、非磁性現像剤でも磁性現像剤でもよい。各現像ユニットの筐体21B、21C、21M及び21Y内には、一成分非磁性の、黒色現像剤22B、シアン現像剤22C、マゼンタ現像剤22M及び黄色現像剤22Yが収納されている。
【0094】
この画像形成装置10に使用される記録体16は、現像剤を定着できる記録体16であれば特に限定されず、例えば、通常の枚葉紙、上質紙、中質紙等が挙げられる。この画像形成装置10には、この発明に係る無端ベルトの一実施例である無端ベルト1が転写搬送ベルトとして装着されているから、現像剤が付着しやすく、除去しにくい更紙であっても、所望のように、付着した現像剤を除去することができる。
【0095】
画像形成装置10は、以下のようにして記録体16にカラー画像を形成する。まず、現像ユニットBにおいて、帯電手段12により帯電された像担持体11Bの表面に露光手段13Bにより静電潜像が形成され、現像剤担持体23Bにより供給された現像剤22Bで黒色の静電潜像が現像される。そして、記録体16が転写手段14Bと像担持体11Bとの間を通過する際に黒色の静電潜像が記録体16Bの表面に転写される。次いで、現像ユニットBと同様にして、現像ユニットC、M及びYによって、静電潜像が黒像に顕像化された記録体16に、それぞれシアン像、マゼンタ像及び黄色像が重畳され、カラー像が顕像化される。次いで、カラー像が顕像化された記録体16は、定着手段30によりカラー像が永久画像として記録体16に定着される。このようにして、記録体16にカラー画像を形成することができる。
【0096】
この画像形成装置10においては、前記したように、各現像ユニットB、C、M及びYで現像剤22B、22C、22M及び22Yが記録体16に転写されるとき等に現像剤22B、22C、22M及び22Yが飛散等して転写搬送ベルト1上に付着することがある。ところが、画像形成装置10はこの発明に係る無端ベルトユニット50を備えているから、無端ベルト1の外周面に付着した現像剤を長期間にわたって所望のように除去することができる。したがって、この発明によれば、無端ベルトとクリーニングブレードとの初期の圧接状態を長期間にわたって維持することができると共に、高品質の画像を形成することができる画像形成装置を提供することができる。
【0097】
前記画像形成装置10は、例えば、複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置とされる。この画像形成装置10は、電子写真方式の画像形成装置とされているが、この発明において、画像形成装置は、電子写真方式には限定されず、例えば、静電方式の画像形成装置であってもよい。また、この発明に係る無端ベルト及びこの発明に係る無端ベルトユニットが装着される画像形成装置は、各色の現像ユニットを備えた複数の像担持体を転写搬送ベルト上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置10に限られず、例えば、単一の現像ユニットを備えたモノクロ画像形成装置、像担持体上に担持された現像剤像を無端ベルトに順次一次転写を繰り返す4サイクル型カラー画像形成装置等であってもよい。また、画像形成装置10に用いられる現像剤は、一成分非磁性現像剤とされているが、この発明においては、一成分磁性現像剤であってもよく、二成分非磁性現像剤であっても、また、二成分磁性現像剤であってもよい。
【実施例】
【0098】
(実施例1)
反応容器中に、N−メチル−2−ピロリドンと、トリメリット酸無水物と、これと当量のジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートと、反応原料(トリメリット酸無水及びジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート)の合計モル数に対して2mol%のフッ化カリウム(触媒)とを加え、撹拌しながら30分間かけて室温から150℃に昇温後、同温度を5時間保持して、反応物濃度(実質的全閉環のポリアミドイミド樹脂)20質量%の芳香族ポリアミドイミド溶液を得た。この溶液に、N−メチル−2−ピロリドンをさらに加え、反応物濃度15質量%のポリアミドイミド溶液を調製した。
【0099】
このようにして得られたポリアミドイミド溶液に、ポリアミドイミド樹脂とカーボンブラックとの合計100質量%に対してカーボンブラック(商品名「スペシャルブラック4」、Degussa社製)を15質量%の割合となるように加え、さらに、ポリアミドイミド樹脂(固形分)100質量部に対してポリエーテルポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン(商品名「BYK375」、ビックケミー社製)を0.5質量部の割合となるように加え、ビーズミルで24時間混合分散してポリアミドイミド樹脂組成物を調製した。なお、このポリアミドイミド樹脂組成物にはフッ素化合物を添加していない。
【0100】
一方、内径226mm、外径246mm、軸線長さ400mmの大きさを有し、金型内面がポリッシングにより鏡面研磨されている円筒状金型の両端開口部にリング状の蓋(内径170mm、外径250mm)を嵌合して円筒状金型を閉塞し、成形金型を準備した。なお、金型内面には離型剤としてのシリコーン樹脂による離型処理はしていない。
【0101】
調製したポリアミドイミド樹脂組成物を1,000rpmの速度で回転する成形金型内周に190g注入した。次いで、成形金型を同速度で30分間回転させて成形金型内周面にポリアミドイミド樹脂組成物の層を均一に展開した。次いで、成形金型を同速度で回転させつつ、熱風乾燥機により成形金型周囲の温度を80℃に保ち、この状態を30分間保持し、フィルム状成形体を成形した。その後、成形金型の回転を停止し、フィルム状成形体を成形金型ごと遠心成形機から取り出し、250℃に調節された過熱水蒸気炉で2時間過熱水蒸気処理した後、室温で放冷して、無端成形基体とした。成形金型ごと無端成形基体を冷却して、成形金型と無端成形基体との熱膨張率の差により無端成形基体を剥離して、無端成形基体を成形金型から脱型した。脱型した無端成形基体の両端部をそれぞれ切断し、周長約710mm、幅240mm、厚さ100μmの大きさに切り出し、無端ベルトを製造した。
【0102】
(実施例2)
前記ポリエーテルポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン(商品名「BYK375」)に代えてポリエステル変性ポリジメチルシロキサン(商品名「BYK313」、ビックケミー社製)をポリアミドイミド樹脂(固形分)100質量部に対して0.3質量部の割合となるように添加したこと以外は実施例1と同様にして無端ベルトを製造した。
【0103】
(比較例1)
前記ポリエーテルポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン(商品名「BYK375」)を添加しないこと以外は実施例1と同様にして無端ベルトを製造した。
【0104】
(クリーニングブレードの作製)
ビーカー中にポリエステルポリオール(商品名「デスモフェン1652」、住化バイエルウレタン株式会社製)と当量のヘキサメチレンジイソシアネート系ポリイソシアネート(商品名「スミジュールN3300」、住化バイエルウレタン株式会社製)を計量混合してウレタン原料を調製した。一方、内径226mm、外径246mm、軸線長さ400mmの大きさを有し、金型内面がポリッシングにより鏡面研磨されている円筒状金型の両端開口部に、リング状の蓋(内径170mm、外径250mm)を嵌合して、円筒状金型を閉塞して、成形金型を準備した。調製したウレタン原料を1,000rpmの速度で回転する成形金型内周に乾燥後の厚さが2mmとなるように注入した。次いで、成形金型を同速度で回転させつつ、熱風乾燥機により成形金型周囲の温度を150℃に保ち、この状態を30分間保持し、円筒状のウレタン成形体を成形した。その後、成形金型の回転を停止し、円筒状のウレタン成形体を成形金型ごと遠心成形機から取り出して冷却した後に、裁断機にて裁断し、厚み2.0mm、(前記成形金型の周方向に一致する方向の)幅20mm、(前記成形金型の軸線方向に一致する方向の)長さ250mmに裁断し、前記幅方向に沿ってわずかに湾曲した略板状のウレタン弾性体を作製した。
【0105】
このようにして作製したウレタン弾性体を、厚み1.0mm、幅20mm、長さ250mmの鉄製の支持体52に接着して、クリーニングブレード51を作製した。なお、ウレタン弾性体は、図3に示されるように、その幅10mm×長さ方向250mmの表面が重畳するように、支持体52に接着した。前記ウレタン弾性体は、前記測定方法における、JIS A硬度が70、引張永久歪特性が50%及び摩耗量が50mgであった。
【0106】
(無端ベルトとウレタンブレードの摩擦係数の測定)
実施例及び比較例で製造した各無端ベルトから、周方向の長さ200mm、軸線方向の長さ100mmに切り出した試験用シートと表面性測定器(商品名「14FW」、新東科学株式会社製)とを準備し、作製した前記クリーニングブレードを用いて前記測定方法に従って試験用シートの静摩擦係数及び動摩擦係数それぞれを複数回測定し、その算術平均値を各試験用シートの静摩擦係数及び動摩擦係数として求めた。得られた値を無端ベルトの静摩擦係数及び動摩擦係数とした。その結果を第1表に示す。
【0107】
(無端ベルトの物性)
実施例及び比較例で製造した各無端ベルトの滑り角、トルク、トルク変動量、n−ドデカンの接触角、表面抵抗率、体積抵抗率、ヤング率、耐柔試験、引張強度、引張伸度、引裂強度及び難燃性を前記方法に従って測定した結果を第1表に示す。
【0108】
(無端ベルトにおけるシリコーン界面活性剤の含有量)
実施例及び比較例で製造した各無端ベルトを光電子分光装置(ESCA)(商品名「1600S」、PHI社製)により分析した。その結果、各無端ベルトに含有されていたシリコーン界面活性剤の含有量は各無端ベルトを形成するポリアミドイミド樹脂組成物におけるシリコーン界面活性剤の含有量とほぼ一致していた。なお、シリコーン界面活性剤と同様にして各無端ベルトを光電子分光装置(ESCA)分析したところ、いずれの無端ベルトにもフッ素化合物の存在は認められなかった。
【0109】
(ウレタンブレードの折曲評価)
図2に示される画像形成装置(例えば、商品名「MicroLine C5800n」、株式会社沖データ製)と同様の無端ベルトユニット試験装置、例えば図6に示されるトルク測定装置70等を組立て、前記摩擦係数の測定方法と同条件(すなわち、各無端ベルトとクリーニングブレード51との接触角θが23°、押圧荷重Pが1MPaとなるようにクリーニングブレード51における先端部の一端縁を無端ベルト1に圧接させた。クリーニングブレード51は作製したクリーニングブレードを用いた。)で各無端ベルトを10分間にわたって15rpmで走行させた。この走行試験を各無端ベルトについて10回繰り返し行い、無端ベルトの走行中にクリーニングブレードが捲れ返った回数を計数して、クリーニングブレードの捲れ割合(%)を算出した。評価は、実際上許容できる範囲である10%未満の捲れ割合(%)であった場合を「合格」、10%を超えた捲れ割合(%)であった場合を「不合格」とした。その結果を第1表に示す。
【0110】
【表1】

【符号の説明】
【0111】
1 無端ベルト(転写搬送ベルト)
5 記録体搬送外表面
6 非機能外表面
10 画像形成装置
11、11B、11C、11M、11Y 像担持体
12、12B、12C、12M、12Y 帯電手段
13、13B、13C、13M、13Y 露光手段
14、14B、14C、14M、14Y 転写手段
15B、15C、15M、15Y 像担持体用クリーニングブレード
16 記録体
20B、20C、20M、20Y 現像手段
21B、21C、21M、21Y 筐体
22B、22C、22M、22Y 現像剤
23B、23C、23M、23Y 現像剤担持体
24B、24C、24M、24Y 現像剤量調節手段
30 定着装置
31 定着ローラ
32 加圧ローラ
33 定着ベルト支持ローラ
34 筐体
35 開口部
36 定着ベルト
41 カセット
42 支持ローラ
50 無端ベルトユニット
51 クリーニングブレード
52 支持体
53 弾性体
54A 先端圧接部
54B 他端縁
55 板状部
56 取付部
B、C、M、Y 現像ユニット
【0112】
60 滑り角測定装置
61 ステージ
62 測定器
63 固定部
64 第1支持棒
65 第2支持棒
66 試験片
67 接触部材
70 トルク測定装置
71 張架部
71a、71b ローラ
71c 支持体
72 駆動部
73 測定部
74 装着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミドイミド樹脂とシリコーン界面活性剤とを含有し、外表面にクリーニングブレードが圧接する樹脂層を備えて成ることを特徴とする無端ベルト。
【請求項2】
前記シリコーン界面活性剤は、前記ポリアミドイミド樹脂100質量部に対して0.1〜2質量部の割合で前記樹脂層に含有されていることを特徴とする請求項1に記載の無端ベルト。
【請求項3】
複数の回転体に巻回されて無限軌道を走行する、請求項1又は2に記載の前記無端ベルトと、この無端ベルトの外表面に圧接するクリーニングブレードとを備えてなる無端ベルトユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−68558(P2012−68558A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214866(P2010−214866)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】