説明

無細胞のアポトーシス性核酸または胎児核酸を単離するための方法

本発明は、無細胞核酸、例えばアポトーシス性(apoptotic)核酸または胎児核酸を単離するための方法、および、新生物細胞を検出するまたは胎児の遺伝的組成を同定する方法を提供する。また本発明は、抗DNA抗体を含む磁性粒子、および該磁性粒子を含むキットも提供する。


【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
出生前検査またはスクリーニングは通常、妊娠中に胎児の性別を判定するためまたは胎児における遺伝病および/または染色体異常を検出するために実施されている。今日現在、1つまたは複数の欠陥遺伝子に起因する4000種超の遺伝病が認められている。いくつかの例としては、嚢胞性線維症、ハンチントン病、βサラセミア、筋緊張性ジストロフィー、鎌状赤血球貧血、ポルフィリン症、および脆弱X染色体症候群が挙げられる。染色体異常は、染色体数の異常、染色体物質の重複または欠損、および染色体構造の欠陥によって引き起こされる。染色体異常の例としては、トリソミー、例えば最初の三半期における流産の主な原因である16トリソミー、21トリソミー(ダウン症候群)、13トリソミー(パトー症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、クラインフェルター症候群(47, XXY)、(47, XYY)、および(47, XXX);染色体の欠損(モノソミー)、例えばターナー症候群(45, XO);染色体の転座、欠失、および/または微小欠失、例えば、ロバートソン転座、アンジェルマン症候群、ディジョージ症候群、およびウォルフ・ヒルシュホーン症候群が挙げられる。
【0002】
現在利用可能な出生前遺伝子検査は、通常、侵襲的手法を伴う。例えば、妊娠10〜12週前後の妊婦に対して実施する絨毛採取(CVS)および14〜16週前後で実施する羊水穿刺はすべて、胎児における染色体異常の検査用の試料を得るための侵襲的手法を含む。通常、これらの試料採取手法によって得られた胎児細胞を、細胞遺伝学的解析法または蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)解析法を用いて染色体異常に関して検査する。
【0003】
これらの手法は染色体異常を検出するのに有用であり得るが、流産のリスクを伴うことが示されている。したがって、羊水穿刺またはCVSは、高齢出産の女性(>35歳)、母体血清スクリーニング異常の女性、または胎児染色体異常の既往を有する女性を含む、リスクが高いことが認められた女性にしか提案されない。これらの検査の結果として、ダウン症候群などの染色体異常をもつ乳児を出産する35歳超の女性の割合は劇的に減少している。しかし、適切なまたは比較的安全な出生前検査またはスクリーニングを大多数の妊婦に対して行わないことにより、ダウン症候群の乳児の約80%を、35歳未満の女性が産むこととなっている。
【0004】
したがって、非侵襲性のスクリーニング検査、特に、胎児染色体異常に加えてその他の遺伝的変異、障害、または疾患の同定に向けた検査を妊婦母集団に対して行う必要がある。これには、出生前遺伝子スクリーニングに使用可能な胎児核酸の単離のための非侵襲的技術が必要である。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、試料中の細胞を溶解させたり除去することなしに、無細胞核酸、例えばアポトーシス細胞もしくは壊死細胞由来の核酸または胎児核酸を生物試料から単離することができるとの発見に一部基づくものである。したがって本発明は、無細胞核酸、例えばアポトーシス性(apoptotic)核酸または胎児核酸を単離するための方法、および、胎児の遺伝的組成を同定する方法を提供する。また本発明は、抗DNA抗体を含む磁性粒子、および該磁性粒子を含むキットも提供する。
【0006】
本発明の一態様において、胎児核酸を単離する方法が提供される。本方法は、単離の前に細胞成分を処理することなく、細胞成分および無細胞核酸を含む母体ホスト(maternal host)の生物試料から、無細胞核酸を単離する工程を含む。
【0007】
本発明の別の態様において、胎児の遺伝的組成を同定する方法が提供される。本方法には、本発明の方法に従って胎児核酸を単離する工程、および単離された胎児核酸に基づいて胎児の遺伝的組成を同定する工程が含まれる。
【0008】
本発明のさらに別の態様において、磁性粒子が提供される。本磁性粒子は、その表面上に抗DNA抗体を含む。
【0009】
本発明のさらに別の態様において、本発明の磁性粒子を含むキットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ストレプトアビジンでコーティングした磁性粒子に抗DNA抗体を付着させるプロセスにおける例示的段階を示す。
【図2】ストレプトアビジンDynabeads M-280にプロテインGを介して抗DNA抗体を付着させるプロセスにおける例示的段階を示す。
【図3】アミノ化Dynabeadsに抗DNA抗体を付着させるプロセスにおける例示的段階を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明の詳細な説明
本発明は、試料中の細胞を溶解させたり除去することなしに、無細胞核酸、例えばアポトーシス性核酸または胎児核酸を生物試料から単離することができるとの発見に一部基づくものである。本発明の一局面によると、アポトーシス性核酸または胎児核酸を単離する方法が提供される。本方法は、例えば被験者または母体ホストの生物試料から無細胞核酸を単離する工程を含む。本明細書で用いる「無細胞核酸」という用語は、循環核酸または浮動性(free-floating)核酸を指しかつこれらと互換的に使用される。一態様において、無細胞核酸とは、任意の無傷のまたは部分的に無傷の細胞の外側に存在する核酸を含む。別の態様において、無細胞核酸は、任意の無傷のまたは部分的に無傷の細胞の外側であるが、細胞成分または細胞様成分の内部に、例えば膜構造、ミトコンドリア様構造、脂質膜小胞の内部に存在する、核酸を含む。
【0012】
一般に、「母体ホスト」という用語は、胎児を有する、すなわち妊娠中である、女性被験者を指す。母体ホストの任意の適切な生物試料、例えば胎児核酸を含む試料を、本発明の方法において使用することができる。生物試料の例には、全血、血漿、血清、尿、頸管粘液、羊水、または絨毛膜絨毛試料が含まれるが、これらに限定されるわけではない。一態様において、母体生物試料は全血である。別の態様において、生物試料は、水性媒体中に保存した頸管粘液試料または尿試料である。さらに別の態様において、生物試料は、1つまたは複数の頸管粘液試料または尿試料から抽出した核酸を含む媒体、例えば水性媒体の試料である。水性媒体は、頸管粘液試料または尿試料の保存に適した任意の媒体、例えば水性緩衝液であってよい。
【0013】
一般に生物試料、例えば母体生物試料には細胞成分および無細胞核酸が含まれ、該無細胞核酸は、単離の前に該細胞成分を処理することなく単離される。例えば細胞成分は細胞を含んでもよく、あるいは例えば血漿または血清の場合には、細胞因子もしくはマトリクス因子、またはタンパク質を含んでもよい。
【0014】
本明細書で用いる「単離」という用語は、分離、捕捉、隔離などを指しかつこれらと互換的に使用される。無細胞核酸の単離は、生物試料から核酸を単離するための現在公知であるかまたは今後発見される任意の手段によって、実施可能である。一態様において、無細胞核酸は、核酸に対するリガンドを備えた固体表面に生物試料を接触させることによって単離される。リガンドは、直接的にまたは間接的に、例えばリンカーを介して、固体表面にコーティングまたは固定化することができる。リガンドを固体表面に付着させる方法は当業者に周知であり、現在公知であるかまたは今後発見される任意の方法を用いることができる。一態様において、固体表面は磁性粒子、樹脂カラムなどのカラム内に含めた粒子、マイクロチャネル、マイクロウェル、プレート、フィルター、膜、またはスライドガラスの表面である。
【0015】
別の態様において、マイクロフロー装置などの装置の表面上にリガンドをコーティングすることができる。例示的なマイクロフロー装置は、注入手段、排出手段、および、注入手段と排出手段の間にわたるマイクロチャネル機構(arrangement)を備える。マイクロチャネル機構とは、生物試料に対してランダム化された流路を提供することができる任意のマイクロチャネルでありうる。例えば、マイクロチャネル機構は、マイクロチャネルの底面と一体化しかつそこから突出した横方向のセパレータポスト(separator post)を複数含むことができる。ポストは通常、ランダム化された流路を提供できるパターンで配置されている。マイクロフロー装置の例は米国特許出願第11/458,668号および第11/331,988号に記載されており、どちらもその全文が本明細書に組み入れられる。マイクロフロー装置のマイクロチャネル機構の表面を、リガンドによって部分的または全体的にコーティングすることができる。
【0016】
例示的なリガンドには、4’,6’-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)、アクリジン、ジスタマイシン、エチジウムブロミド、8-メトキシソラレン、ジアミノ-ビステトラヒドロフラン、アンチセンスオリゴヌクレオチド、2’-デオキシリボヌクレオチドもしくは2’-リボヌクレオチド、天然オリゴヌクレオチドもしくは改変オリゴヌクレオチド、PNA、LNA、2’-メトキシ-、ホスホロチオエート、メチルホスホン酸、またはこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されるわけではない。一態様において、単離される核酸はDNAであり、リガンドは、以下を非限定的に含むDNA結合物質である:抗DNA抗体、例えばポリクローナル抗DNA抗体またはモノクローナル抗DNA抗体;DNA結合タンパク質;DNA結合核酸;およびDNA結合有機分子。
【0017】
核酸に対するリガンドを、直接的にまたはリンカーを介して、固体表面に付着させることができる。任意の適切なリンカー、例えば親水性または疎水性のポリマーを使用することができる。リンカーの例には、IgG、プロテインG、プロテインA、ストレプトアビジン、アビジン、およびNHS-R-マレイミド(式中、Rは(CH2CH2O)n、n=1〜100);ポリヌクレオチド、ポリペプチド、ポリスチレン、ポリエチレンイミン等が含まれるが、これらに限定されるわけではない。一態様において、リンカーは約2〜約50、75、100、125、150、200、または250個の原子、例えばC、N、S、P、および/またはO原子を含む。別の態様において、リンカーは、様々な長さの親水性ポリマー、例えばポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等を含む。
【0018】
本発明の方法により、単離の前に細胞成分を処理することなく、無細胞核酸が単離される。一態様において、単離の前に細胞成分中の細胞を溶解させることも、溶解させるための手段を用いることなく、無細胞核酸が単離される。そのような手段には、細胞内から生物試料中へと核酸が放出されるように細胞を手作業で溶解させることまたはさもなくば死滅させることや破壊すること等に関して公知である任意の手段が含まれる。溶解手段の例には、溶解剤、洗浄剤、または界面活性剤によって生物試料を処理すること;細胞を含む生物試料を加熱すること;細胞を含む生物試料のpHが例えばpH4、5、もしくは6未満またはpH8、9、もしくは10超となるように、pHを変更することが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0019】
別の態様において、単離の前に、例えば濾過や遠心分離等によって細胞成分、すなわち細胞または細胞因子またはタンパク質を除去することなく、無細胞核酸が単離される。
【0020】
概して、本発明の方法を用いて、少なくとも0.00001パーセント(1×10-5%)のアポトーシス性核酸または胎児核酸を含む無細胞核酸を単離することができる。別の態様において、上記無細胞核酸は、少なくとも0.00005パーセント(5×10-5%)のアポトーシス性核酸または胎児核酸を含む。さらに別の態様において、上記無細胞核酸は、少なくとも0.0001パーセント(1×10-4%)のアポトーシス性核酸または胎児核酸を含む。さらに別の態様において、上記無細胞核酸は、約0.01%、0.1%、1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%のアポトーシス性核酸または胎児核酸を含む。
【0021】
本発明の方法はさらに、単離された無細胞核酸から約250、300、350、400、450、500、550、または600ヌクレオチド長未満の核酸を単離する工程を含むことができる。
【0022】
本発明の別の局面によると、胎児の遺伝的組成を同定する方法が提供される。本方法には、本発明の方法に従って胎児核酸を単離する工程、および単離された胎児核酸に基づいて胎児の遺伝的組成を同定する工程が含まれる。
【0023】
胎児の遺伝的組成は、胎児の性別の指標または胎児の状態や障害の指標となりうる。一態様において、本発明の方法によって単離された無細胞核酸を直接用いて、胎児の性別を判定することができる。別の態様において、無細胞核酸から胎児核酸が単離され、単離された該胎児核酸に基づいて胎児の遺伝的組成が同定される。胎児核酸は、任意の公知の手段によって無細胞核酸から単離することができる。
【0024】
例示的な態様において、サイズ分画によって無細胞核酸から胎児核酸が単離される。例えば約600、550、500、450、400、350、300、または250ヌクレオチド長未満の核酸が、無細胞核酸から単離される。サイズ分画のための任意の公知の手段、例えばゲル電気泳動(例えばPAGE)、HPLC、TLC、またはカラムに基づくサイズ分画を用いて、胎児核酸を単離することができる。
【0025】
一態様において、単離された胎児核酸に基づいて胎児の遺伝的組成が同定される。上記遺伝的組成は、胎児の状態や障害の指標となりうる。状態または障害の例には以下が含まれるが、これらに限定されるわけではない:嚢胞性線維症、鎌状赤血球貧血、β-サラセミア、軟骨無形成症、子癇前症、フェニルケトン尿症、テイ・サックス病、副腎過形成症、ファンコニー貧血、脊髄性筋萎縮症、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ハンチントン病、βサラセミア、筋緊張性ジストロフィー、脆弱X染色体症候群、ダウン症候群、エドワーズ症候群、パトー症候群、クラインフェルター症候群、トリプルX症候群、XYY症候群、8トリソミー、16トリソミー、ターナー症候群、ロバートソン転座、アンジェルマン症候群、ディジョージ症候群、ウォルフ・ヒルシュホーン症候群、RhD症候群、結節性硬化症、毛細血管拡張性運動失調症、およびプラダーウィリー症候群。
【0026】
本発明のさらに別の局面によると、被験者において新生物細胞、新生物核酸、または、腫瘍細胞などの新生物細胞の遺伝子マーカーを検出する方法が提供される。本方法には、本発明の方法に従って無細胞核酸を単離する工程、および、単離された該無細胞核酸に基づいて新生物核酸の有無、例えば腫瘍細胞などの新生物細胞の遺伝子マーカーの有無を検出する工程が含まれる。
【0027】
本発明のさらに別の局面において、磁性粒子が提供される。磁性粒子は、その表面上に抗DNA抗体を含む。抗DNA抗体はモノクローナル抗体でもポリクローナル抗体でもよい。一態様において、磁性粒子は常磁性コアを含む。別の態様において、磁性粒子は、ガラス、ポリスチレン、ポリエチレン、シリカ、ナイロン、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、アガロース、セラミックのセファデックス、およびセファロース等を非限定的に含む物質で囲まれた、コア、例えば常磁性コアを含む。抗DNA抗体を直接的に、または間接的に、すなわちリンカーを介して、磁性粒子に付着させることができる。
【0028】
本発明のさらに別の局面によると、本発明の磁性粒子を含むキットが提供される。
【実施例】
【0029】
以下の実施例は、本発明を例示することを意図しており、明示的にも暗黙的にも、何らかの様式、形状、または形態に限定することを意図するものではない。これらは使用されるものに典型的であるが、当業者に知られているその他の手順、方法論、または技術を代替的に用いてもよい。
【0030】
実施例1:DNA結合ビーズの調製
図1、2、および3はそれぞれ、IgG、プロテインG、およびNHS-PEG-マレイミドを介して抗DNA抗体に結合した磁性ビーズの調製に関わる段階を概説している。
【0031】
実施例2:母体血液から胎児DNAを単離するための手法
母体血液2 mlを、抗DNA抗体でコーティングされたビーズ6(図1)、12(図2)、または18(図3)で処理した。少なくとも100μgの抗DNA抗体を備えた十分なビーズを用いた。試料を室温で15分間ゆっくりと回転させ、ビーズと血液が完全に混合することを確実にした。その後、試料を磁気分離器に1〜2分間入れて、上清を除去した。次にビーズを2 M NaCl、10 mM トリスHCl、1 mM EDTA(pH 7.0)で3回洗浄した。次に、100 mM NaCl、10 mM トリスHCl、25 mM EDTA、1% SDS(pH 8.0)を含む緩衝液200μl中のプロテイナーゼKで、55℃で1時間ビーズを消化した。プロテイナーゼKを95℃で10分間不活性化させた後、2容量の無水エタノールを添加して試料を-80℃で20分間冷却することにより、上清をエタノール沈降させた。DNAペレットを90%エタノールで1回濯いだ。
【0032】
実施例3:性別判定
PCRにおいてプライマーおよびプローブを用いて胎児の性別を判定するための鋳型として、実施例2由来のDNAを用いた。90%エタノールで濯いだ後、DNAペレットを乾燥させ、水80μlに溶解させて、PCRにより胎児の性別を解析した。1種または複数種のTaqManプローブ、すなわち5'端にレポーターフルオロフォアを有し3'端にクエンチャーフルオロフォアを有する二重標識された18〜22塩基のオリゴヌクレオチドプローブであるプローブ、および、Y染色体配列マーカーに対する1種または複数種のプライマーを用いて、Y染色体配列を検出した。
【0033】
ヒトおよびその他の霊長類に存在するY染色体上の性決定遺伝子を標的とするために、SRY(性決定領域Y)プライマーを用いた。SRY遺伝子は、SRYタンパク質とも称される精巣決定因子をコードする。Y染色体上の別の共通マーカーを標的とするために、FCYプライマーを用いた。全DNA中に存在するハウスキーピング遺伝子であるβヘモグロビン遺伝子を、全PCR反応における内部対照として用いた。後述するように、全5例の試験試料を、一致データにより確認した。
【0034】
PCR反応のために、以下の対照を用いた:
女性DNA(陰性対照):
5μl中に200 ng
対照男性ゲノムDNA(陽性対照):
5μl中に対照DNA 0 pg;
5μl中に対照DNA 7 pg;
5μl中に対照DNA 40 pg;
μl中に100 pg;
μl中に200 pg。
【0035】
PCR反応のために、1〜11例の試料に対して96マイクロウェルプレート構成を用いた。全ての対照(陽性対照としての男性DNA、陰性対照としての女性DNA、およびβグロビン)および試料に関する反応は、各マーカーについて2つ組で実施した。
【0036】

【0037】
PCR実施条件:

【0038】
妊婦(妊娠期間7〜12週)の母体血液2ml由来の全血からの性別検査の結果を、表1に示す。
【0039】
【表1】

【0040】
本発明は、現在好ましい態様を参照して説明されているが、当業者に明らかであるように、本発明の精神から逸脱することなく多種多様な変化および修正を加えることができることを理解されたい。したがって、本発明は添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
母体ホスト(maternal host)の生物試料から無細胞核酸を単離する工程
を含む、胎児核酸を単離する方法であって、
該生物試料が細胞成分および無細胞核酸を含み、かつ、無細胞核酸の単離が、該単離の前に該細胞成分を処理することなく実施される、方法。
【請求項2】
生物試料が全血である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
生物試料が、水性媒体中に保存された頸管粘液試料である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
生物試料が、水性媒体中に保存された尿試料である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
無細胞核酸が、DNA結合物質を含む固体表面に生物試料を接触させることによって単離される、請求項1記載の方法。
【請求項6】
固体表面が磁性粒子、マイクロチャネル、マイクロウェル、プレート、フィルター、膜、またはスライドガラスの表面である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
DNA結合物質が抗DNA抗体、DNA結合タンパク質、核酸、またはDNA結合有機分子である、請求項5記載の方法。
【請求項8】
DNA結合物質が、アクリジン、エチジウムブロミド、およびDAPIからなる群より選択されるDNA結合有機分子である、請求項5記載の方法。
【請求項9】
DNA結合物質をリンカーを介して固体表面に付着させる、請求項5記載の方法。
【請求項10】
リンカーが、IgG、プロテインG、プロテインA、ストレプトアビジン、アビジン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、およびNHS-R-マレイミドからなる群より選択される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
リンカーが親水性または疎水性のポリマーである、請求項9記載の方法。
【請求項12】
前記Rが、(CH2CH2O)nでありn=1〜100であるか;ポリヌクレオチド;ポリペプチド;ポリスチレン;またはポリエチレンイミンである、請求項10記載の方法。
【請求項13】
無細胞核酸の単離が、単離の前に細胞成分中の細胞を溶解させるための手段を用いることなく行われる、請求項1記載の方法。
【請求項14】
単離された無細胞核酸が、単離の前に細胞成分を除去することなく行われる、請求項1記載の方法。
【請求項15】
単離された無細胞核酸が少なくとも0.0001パーセントの胎児核酸を含む、請求項1記載の方法。
【請求項16】
単離された無細胞核酸から500ヌクレオチド長未満の核酸を単離する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項17】
単離された無細胞核酸から300ヌクレオチド長未満の核酸を単離する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項18】
請求項1記載の方法に従って胎児の胎児核酸を単離する工程、および
単離された該胎児核酸に基づいて該胎児の遺伝的組成を同定する工程
を含む、胎児の遺伝的組成を同定する方法。
【請求項19】
遺伝的組成が胎児の性別の指標となる、請求項18記載の方法。
【請求項20】
胎児核酸を単離する工程が、単離された無細胞核酸から500ヌクレオチド長未満の核酸を単離することをさらに含む、請求項18記載の方法。
【請求項21】
遺伝的組成が胎児における状態または障害の指標となる、請求項20記載の方法。
【請求項22】
遺伝的組成が、以下からなる群より選択される疾患または障害の指標となる、請求項20記載の方法:
嚢胞性線維症、鎌状赤血球貧血、フェニルケトン尿症、テイ・サックス病、副腎過形成症、ファンコニー貧血、脊髄性筋萎縮症、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ハンチントン病、筋緊張性ジストロフィー、βサラセミア、脆弱X染色体症候群、ダウン症候群、クラインフェルター症候群、エドワーズ症候群、パトー症候群、トリプルX症候群、XYY症候群、8トリソミー、16トリソミー、ターナー症候群、ロバートソン転座、アンジェルマン症候群、ディジョージ症候群、ウォルフ・ヒルシュホーン症候群、RhD症候群、結節性硬化症、毛細血管拡張性運動失調症、およびプラダーウィリー症候群。
【請求項23】
表面上に抗DNA抗体を含む、磁性粒子。
【請求項24】
抗DNA抗体がモノクローナル抗体である、請求項23記載の磁性粒子。
【請求項25】
請求項23記載の磁性粒子を含む、キット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2011−511644(P2011−511644A)
【公表日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−546840(P2010−546840)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【国際出願番号】PCT/US2009/033375
【国際公開番号】WO2009/102632
【国際公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】