説明

無線アクセス技術

無線アクセス技術間装置は、ワイヤレス・セルラー・ネットワーク上で通信するためのインターフェースと、複数の異なる前記無線アクセス技術によって、前記インターフェースを通した通信を制御する動作を実行するためのコードを実行するように、構成されたプロセッサとを具備する。前記プロセッサは、選択された、複数の異なるどの命令セットも実行するために動作可能であり、各セットは、各一つの無線アクセス技術によって動作を実行するように設定される。前記装置は、前記プロセッサによる実行のための対応するコードを選択することによって、かつ選択された前記コードの実行での使用のため、対応する前記命令セットを選択することによって、前記無線アクセス技術を動的に切り替えるために動作可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤレス・セルラー・ネットワーク上で、通信を制御する動作を実行するための命令セットに関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤレス・セルラー通信の分野では、近年、一層複数のトランシーバーの信号処理動作と他の関連する動作とをソフトウェアに移動するという考えへの関心が高まっている。ソフトウェア実行の傾向のあるトランシーバーは、時々、ソフトウェアモデムすなわち「ソフトモデム」と称する。ソフトウェアモデムの背景にある原理は、専用ハードウェアで実行することというよりはむしろ、一般的な、プログラム可能な、及び再構成可能なプロセッサでワイヤレス通信に必要な、前記動作の重要な部分を実行することである。
【0003】
ソフトモデム・タイプ・システムの利点は、それをプログラムするとともに、異なる無線アクセス技術(RAT)を制御するために、潜在的に再プログラムすることができるということにある。慣習上、異なる無線アクセス技術は、異なる専用ハードウェアが電話又は他の無線端末に具備することを必要とするとともに、マルチ無線アクセス技術を制御するために適合する「マルチモード」端末は、異なるタイプの専用ハードウェアを具備しなければならないことになる。この問題は、ソフトウェアモデム技術によって、解決される。この技術では、異なる無線アクセス技術によって通信する違いを、ソフトウェアで制御することができる。例えば、前記プロセッサを、2G及び3G両方のセルの規格を制御するように、プログラムすることができる。前記規格は、可能性として、例えば、GSM、UMTS、EDGE、ハイスピード・ダウンリンク・パケット・アクセス(HSDPA)、ハイスピード・アップリンク・パケット・アクセス(HSUPA)、及び3GPPロング・ターム・エボリューション(LTE)の規格のうち、1つ以上を具備している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、マルチ無線アクセス技術を制御する、従来のプロセッサの容量は、限られる。特に携帯電話などの消費者向けハンドヘルドデバイスの中に通常使用されるような低コストプロセッサの容量は限られる。マルチ無線アクセス技術を制御するプロセッサの能力を改良する方法を発見することが望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一構成によると、ワイヤレス・セルラー・ネットワーク上で通信するためのインタフェースと、複数の異なる無線アクセス技術に応じて、前記インタフェースを介した通信を制御する動作を実行するためのコードを記憶する第一記憶手段と、異なる命令セットの複数の定義を記憶する第二記憶手段と、前記コードを実行するように構成されたプロセッサと、前記プロセッサによる実行のために、対応するコードを選択することによって、かつ前記選択されたコードの実行での使用のために対応する命令セットを選択することによって、前記無線アクセス技術間を動的に切り換えるために動作可能な選択手段を具備し、各セットが各一つの無線アクセス技術によって動作を実行するために設定され、前記プロセッサは、前記第二記憶手段を参照して、選択された、どの一つの前記命令セットも使用するコードを実行するために、動作可能であることを特徴とする無線アクセス技術間装置を提供する。
【0006】
従って、本発明は、inter-RAT動作を実行するときに異なる命令を許可するため、動的にプロセッサ命令セットを切り換えることに関するメカニズムを、有利に提供する。
【0007】
実施形態で、前記選択手段は、スケジューリング・コードを具備する。前記スケジューリング・コードが実行されるとき、前記プロセッサは前記無線アクセス技術の前記動的選択を制御する。
【0008】
前記スケジューリング・コードは、実行される動作によって、前記無線アクセス技術を選択するために、設定することができる
【0009】
前記プロセッサは、前記動作のスケジューリングを求める複数の要求を生成するように、構成することができ、各要求は、関連優先順位と要求された無線アクセス技術とを有する。前記スケジューリング・コードは、無線アクセス技術の前記優先順位によって前記無線アクセス技術を選択するように、設定することができる。
【0010】
前記選択手段は、前記装置が動作する外部環境の一又は二以上の特性によって、前記無線アクセス技術を選択するように、構成することができる。前記一又は二以上の特性は、少なくとも、前記無線アクセス技術を支援するセルの能力を具備することができる。前記一又は二以上の特性は、少なくとも、前記データが通信されるワイヤレス・チャンネルのチャンネル状態の推定を具備することができる。
【0011】
前記選択手段は、一又は二以上の性能要求によって、前記無線アクセス技術を選択するように、構成することができる。
【0012】
前記選択手段は、前記プロセッサの利用可能な処理リソースによって、前記無線アクセス技術を選択するように、構成することができる。
【0013】
前記選択手段は、前記装置のユーザによる選択によって、前記要求された無線アクセス技術を選択するように、構成することができる。
【0014】
前記プロセッサは、前記複数の無線アクセス技術に共通する共通命令セットを使用するコードを実行するように、さらに設定することができる。
【0015】
本発明の他の構成によると、プロセッサで動的に無線アクセス技術を切り換える方法を提供し、前記方法は、第一無線アクセス技術に対応する第一命令セットを選択するステップと、前記第一無線アクセス技術によってワイヤレス・セルラー・ネットワーク上で通信を制御する動作を実行するために、前記第一命令セットを使用するプロセッサ上でコードを実行するステップと、第二無線アクセス技術に切り替えるステップと、前記第二無線アクセス技術に対応する第二命令セットを選択するステップと、前記第二無線アクセス技術よってワイヤレス・セルラー・ネットワーク上で通信を制御する動作を実行するために、前記第二命令セットを使用する前記プロセッサ上でコードを実行するステップとを具備する。
【0016】
本発明の他の構成によると、無線アクセス技術を動的に切り換えるためのコンピュータプログラム製品を提供する。プログラムは、プロセッサによって実行されるとき、以下のステップを実行するコードを具備する。第一無線アクセス技術に対応する第一命令セットを選択するステップと、前記第一無線アクセス技術によってワイヤレス・セルラー・ネットワーク上で通信を制御する動作を実行するために、前記第一命令セットを使用するコードを実行するステップと、第二無線アクセス技術に切り替えるステップと、前記第二無線アクセス技術に対応する第二命令セットを選択するステップと、前記第二無線アクセス技術よってワイヤレス・セルラー・ネットワーク上で通信を制御する動作を実行するために、前記第二命令セットを使用するコードを実行するステップである。
【0017】
本発明の他の構成によると、ワイヤレス・セルラー・ネットワーク上で通信するためのインタフェースと、複数の異なる無線アクセス技術によって、前記のインタフェースを介した通信を制御する動作を実行するためのコードを実行するように、構成されたプロセッサと、選択された、複数の異なるどの一つの命令セットも使用するコードを実行するために、動作可能な前記プロセッサと、各一つの前記無線アクセス技術に従って、動作を実行するように設定される各セットとを具備し、前記プロセッサによる実行のために、対応するコードを選択することによって、かつ選択された前記コードの実行での使用のために、対応する前記命令セットを選択することによって、前記装置は、前記無線アクセス技術を動的に切り換えるために、動作可能であることを特徴とする無線アクセス技術間装置を提供する。
【0018】
本発明のより良い理解のために、かつ本発明を実施することができることを示すために、一例として、ここで、添付図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、通信装置の概略ブロック図である。
【図2】図2は、実行ユニットの概略ブロック図である。
【図3】図3は、様々な命令セットを備える実行ユニットの概略ブロック図である。
【図4】図4は、命令セットの代わり構成の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、無線通信方式で信号を送受信するための装置1の概略ブロック図である。そのような装置は、複数の異なる方法で、実現することができる。しかし、図1の例では、無線周波数(RF)及び中間周波数(IF)ステージを備えるアナログ・インターフェース12の形式のトランシーバーは、一又は二以上のアンテナ14を通して、無線信号(Rx及びTx)受信し、かつ送信するように、構成する。前記アナログ・インターフェース12は、受信された前記アナログ無線信号Rxを処理するための、かつ、デジタル信号のサンプルr(k)を提供するためのコンポーネントを有する。これは、本技術分野で知られている異なる方法で、実現することができる。
【0021】
前記アナログ・インターフェース12は、データ転送エンジン10に、前記サンプルr(k)を提供するように、構成する。データ転送エンジン10は、プロセッサ2、命令メモリ4、及びメモリ6と通信するように、構成する。前記プロセッサ2は、前記サンプルr(k)を処理する機能を有する。前記プロセッサは、符号系列の形式で命令メモリ4に保持される、複数の異なる動作を実行することができる。
【0022】
前記装置1は、ソフトウェアモデム、すなわちソフトモデムと称することができる。好ましくは、前記ソフトウェアモデムは、ソフト・ベースバンド・モデムである。すなわち、受信側では、アンテナからベースバンドまでRF信号を受信するとともに、ベースバンドに向かってのミクシング・ダウンを行うすべての無線機能は、専用ハードウェアで実行される。同様に、送信側では、アンテナにRF信号を出力するまでのベースバンドからミクシング・アップを行うすべての機能は、専用ハードウェアで実行される。しかしながら、ベースバンド領域でのすべての動作は、メモリ4上に記憶されるとともに、プロセッサ2によって実行されるソフトウェアで、実施される。これが好ましい実施である一方、RF/IFステージが専用ハードウェアによって実行されない解決手段もまた予想される。
【0023】
好ましい実施形態では、前記アナログ・インターフェース12のRF/IFステージの受信部の前記専用ハードウェアは、低雑音増幅器(LNA)と、受信された前記RF/IF信号をIFにダウンコンバージョン(downconversion)するとともに、IFからベースバンドにダウンコンバージョンするためのミキサーと、RF及びIFフィルターステージと、アナログデジタル変換(ADC)ステージとを具備する。ADCは、複数の各受信ダイバーシティブランチ(diversity branch)のための各同位相と各直交位相ベースバンドブランチ(branch)で、提供される。インターフェース12の前記RF/IFステージの前記送信部の前記専用ハードウェアは、デジタルアナログ変換(DAC)ステージと、前記ベースバンド信号をIFにアップコンバージョン(upconversion)するとともに、IFからRFにアップコンバージョンするためのミキサーと、RF及びIFフィルターステージと、電力増幅器(PA)とを具備する。そのような基本的な無線機能を実行するために要求される前記バードウェアの詳細は、当業者には知られている。前記アナログ・インターフェース12のコンポーネントのいくつか、又は全ては、同様なチップ、又は前記プロセッサ2のようなハウジングで、実装される。又は、コンポーネントのいずれも、同様なチップ、又は前記プロセッサ2のようなハウジングで、実装されない。
【0024】
次いで、前記ソフトウェアは、以下のような、複数の異なる動作を実行することができる。
・ 変調及び復調
・ インターリービング及びデインターリービング
・ レートマッチング及びレートデマッチング
・ 変調及び復調
・ チャネル推定
・ イコライゼーション
・ レイク(Rake)処理
・ ビットログ尤度比率(LLR)計算
・ 送信ダイバーシティ処理
・ 受信ダイバーシティ処理
・ 多重送受信アンテナ(MIMO)処理
・ 音声コーデック
・ 電力制御又は適応変調を通したリンク・アダプテーション及びコーディング
・ セル測定
【0025】
いくつか又はすべてのそのような動作の詳細は、どの無線アクセス技術(RAT)が使用されているかに依存し、異なることになる。
【0026】
好ましい実施形態では、前記装置を実装するために使用される前記チップは、アイセラ(Icera)によって、製造されるとともに、商品名Livanto(登録商標)で、販売される。そのようなチップは、例えばWO2006/117562の中で説明される専門化されたプロセッサ・プラットフォームを有する。
【0027】
前記装置は、無線アクセス技術間(inter-RAT)装置として、構成される。すなわち、第一に、前記プログラム・メモリ4は、複数の異なる無線アクセス技術、言い換えると、異なる通信規格によって、信号処理動作及び他の関連動作を実行するためのコードの異なる部分を有する。第二に、前記装置は、一又は二以上のあるファクタ、すなわち以下で議論される例に依存する動作の間、異なる前記RAT間で動的に切り換えるために、構成される。例えば、支援される前記無線アクセス技術は、以下のうち、一又は二以上を有することができる。GSM、UMTS、EDGE、ハイスピード・ダウンリンク・パケット・アクセス(HSDPA)、ハイスピード・アップリンク・パケット・アクセス(HSUPA)、及び3GPPロング・ターム・エヴォリューション(LTE)規格。
【0028】
好ましくは、前記プロセッサは、所定の時間で、どのRATを選択するべきかをスケジューリングするための前記命令メモリ4からのスケジューリング・ソフトウェアを実行する。異なるRATは、装置の前記動作が進行している間、異なる時間に、「オンザフライに」又は「アドホックに」選択することができる点において、前記選択は動的である。
【0029】
好ましい実施形態では、前記スケジューリング・ソフトウェアは、優先システムに基づいて、前記RATを選択することができる。前記優先システムでは、異なる優先順位は、異なるメッセージ・キューに割り当てることができる。異なるメッセージ・キューでは、前記プロセッサによって実行される動作に対する異なる要求が待ち行列される。例えば、これらの異なる優先キューは、「バックグラウンド」キューと、「マルチフレーム」キューと、「フレーム」キューと、「スロット」キューとであり得る。これらの優先されたベースのメッセージキューは、スケジューリング動作を求める多重の要求を有効にするために使用される。スロット・キューは、最優先(スロットごとに実行される動作)する。前記スロット・キューの後には、「フレーム」キューが続き(フレームごとに実行される動作)、次に最も優先度が低い「バックグラウンド」(バックグラウンドで実行される動作)を用いて、「マルチフレーム」(フレームごとに一度未満、実行された動作)が続く。。優先度の高い動作は、たとえ優先度の低い動作が既に動作しているとしても、優先度の低い動作に、常に優先することになる。スケジューリング要求をキューを介して行うとき、要求機能は、必要とされる前記RATを指定するか、又はどの特定の前記RATも必要としないことを指定する。動作が実行されると予定されるとき、スケジューラ(必要な場合)は、必要な前記RATで切り替わる。前記動作が完了したとき、ベースRATは、現在の前記RATと異なる場合、元に戻してもよい。従って、前記RATの前記選択は、一動作ごとを基準にして、実行することができる。
【0030】
例えば、前記「スロット」優先カテゴリでの動作は、データ・サンプルの収集するステップを有することができる。前記「フレーム」優先カテゴリでの動作は、サンプルを処理するステップを有することができる。「マルチフレーム」カテゴリでの動作は、処理結果を報告するステップを有することができる。「バックグラウンド」カテゴリでの動作は、暗号化するステップを有することができる。
【0031】
代わりに、又は加えて、前記スケジューリング・ソフトウェアは、チャンネル状態に基づいて、前記RATを選択することができる。例えば、あるRATは、低い信号対ノイズ比(SNR)及び/又は信号対干渉比(SIR)の状態で、選択することができ、及び/又は、あるRATは、あるマルチ・パス条件で選択することができるなどである。
【0032】
さらに、前記スケジューリング・ソフトウェアは、ビット誤り率に対するある上限は、超えてはならないといった例えば品質目標のような、一又は二以上のある性能要件に基づいて、前記RATを選択することができる。異なるRATは、異なるチャンネル状態の下で、異なる性能を提供する。
【0033】
さらに、前記スケジューリング・ソフトウェアは、処理リソースの有用性に基づいて、前記RATを選択することができる。異なるRATは、異なるチャンネル状態で異なる処理コストを招くことになる。従って、例えば、現在の状況下での、各RATの前記コストは、考慮に入れられる必要がある。及び/又は、各RATの前記コストは、前記プロセッサによって実行される、他の同時発生のタスクによって消費された前記処理リソースに対して、バランスをとる必要がある。
【0034】
さらに、前記スケジューリング・ソフトウェアは、セルの能力に基づいて、前記RATを選択することができる。例えば、どんな3Gセルも利用可能でない場合、前記ソフトウェアは、2G RATを選択しなければならないことがあり得る。この能力は、例えば、3Gセルからの信号強度が低過ぎる場合、2Gセルが選択されなければならないことになるように、近傍のセルからのセル測定を考慮に入れることもまたできる。
【0035】
例として、下記は、2G規格のGSM及び3G規格のUMTSを切り換えるための無線アクセス技術間装置に関して、説明される。しかし、本発明の原理は、どんな異なるRATにも適用することができるということが理解される。
【0036】
図2に図式的に示されるように、前記プロセッサ2は、命令バッファ16及びデコード・ロジック2を有する実行ユニット8を具備する。前記命令バッファ16は、複数のビット18(例えば16ビット)を具備する。前記命令のオプコードを保持するそれらは、前記デコード・ロジック20に接続される。さらに、前記デコード・ロジック8は、命令定義のテーブル20にアクセスするように、構成する。それらは、例えば、データ・メモリ6及び命令メモリ4などのメモリに、又は前記プロセッサ2(図示せず)上のレジスタに格納されることができる。
【0037】
動作中では、前記プロセッサは、前記命令メモリ4から前記実行ユニット3の前記命令バッファ16の中へ命令語を取得する。前記デコード・ロジック8は、前記命令バッファ16のオプコードの各ビットを読み込むとともに、前記命令を実行する方法を決定するために、前記設定テーブル20を参照する。すなわち、前記設定テーブル20は、前記実行ユニット3によって運実行される動作において、前記命令バッファに現れる命令値(オプコード)をマッピングする。従って、前記テーブルは、メーカーが、前記プロセッサが意図されている、アプリケーションに適切なように、命令セットを定義することができる「設定可能な命令」の使用を可能にする。好ましくは、前記命令セットは完全に設定可能あるために、すべての命令は、設定テーブルで設定される。それにもかかわらず、前記設定可能な命令に加えてハードコード化される、いくつかの基本的な命令の可能性は、除かれる。
【0038】
Inter-RAT処理のために、支援される各特定のRATに対して特定の動作を実行するために、例えば、GSM動作に対して特定のある命令とUMTS動作に対して特定の他の命令などの異なる命令を設定することが望ましい。
【0039】
しかしながら、前記設定テーブルのエントリー数は限られる。望ましいRATのすべてを制御するのに(又は、少なくとも、必要に応じて効率的に、それらを制御するために)利用可能であるが十分ではない設定可能な命令があるという理由で、これは、Inter-RAT処理に関して問題がある。例えば、GSMなどのベースRATとUMTSなどの追加のinter-RATの両方を制御するために、十分ではない設定可能な命令がある。
【0040】
この問題を克服する本発明の実施形態は、現在、図3に関して説明される。ここで、前記コード・ロジック8は、二つの別個の設定テーブル20a・20bにアクセスする。前記二つの各設定テーブルは、特定の対応するRAT(この例ではGSMとUMTSの各々)に、明確に合わせた各命令定義セットを具備する。一方、前記テーブルは、データ・メモリ6及び命令メモリ4などのメモリに、又は前記プロセッサ2(図示せず)上のレジスタに記憶することができる。
【0041】
動作中に、実行している前記スケジューリング・ソフトウェアが特定のRATを選択する場合、これによって、前記デコード・ロジック8は、どのRATが前記スケジューリング・ソフトウェアによって選択されるかに依存し、第一テーブル20a・20b、あるいは第二テーブル20a・20bのいずれかで定義される方法で、前記命令メモリ4からのコードを実行する。例えば、これは、所定の記憶位置から前記テーブルを読み込むために、前記デコード・ロジックを並べ替えることによって、かつ異なる前記テーブルをその記憶位置に、必要とされるように読み込むために、前記スケジューリング・ソフトウェアを設定することによって、実行することができる。すなわち、それは、前記デコード・ユニットの、特定のスイッチング・ロジックを提供することによって、実行することができる。例えば、前記スイッチング・ロジックは、スケジューリング・ソフトウェアによってレジスタに書き込まれたある値に依存して、テーブルを切り換えることができる。又は、もう一つの方法として、前記スイッチング・ロジックは、前記デコード・ロジック8で直接動作する、新しい専用の命令によって制御されることができる。
【0042】
言及されるように、好ましくは、RATの前記選択は、一動作ごとを基準にする。そのため、複数の命令セットテーブル20a・20bを用い、前記装置は、そのときに実行される特定の動作によって、対応する前記命令セット20a又は20bで切り換わるように、構成される。しかし、どんな基準で前記スケジューリング・ソフトウェアが前記RATを選択したとしても、前記装置は、適切な前記テーブルに「アドホックに」自動的に切り換わるように、構成される。
【0043】
二つのテーブル20a・20bのみが、二つの各RAT命令セットを定義するために、ここに図示されるが、どのテーブルであってもどのRATでも制御することが可能なように構成し得るということが理解されることに留意すべきである。
【0044】
追加の、設定可能な前記プロセッサの命令がなければ、前記inter-RAT測定は、前記プロセッサ2の能力を完全には引き出さない準最適コードを使用し、実行されなければならないことになる。さらに、すべての前記inter-RATコードは、設定可能な命令セットを使用することができる、最適化されたベースRATコードと同様の測定機能を、すべての支援されるRATが実行するために、複製されなければならないことになる。
【0045】
しかしながら、追加の、構成可能な前記命令テーブル又は複数のテーブルを用いて、以下の利点は、実現することができる。
・それにより、どんな数Nの無線アクセス技術でも支援することができる。各無線アクセス技術は、専用命令セットを使用することができる。これは、準最適コードを使用する、あるいはMが既存テーブルのサイズであるNxM設定テーブルを作成するいずれの必要性も回避する。
・それにより、どんな数の、動作の特定の設定テーブルが、使用される実際の前記RATにかかわらず、読み込むことができる。すなわち、3GPP測定ではなく、例えば、JPEG圧縮アルゴリズム、MPEG2デコードなどである動作は、実行されなければならない可能性がある。
・それにより、設定テーブルは、これらの動作のスケジューリングの優先度を考慮に入れても、動作ごとに基づいて、内外で動的に切り換わることができる。
【0046】
命令セットの前記切り換えは、異なる命令セットが、前記プロセッサ2の、機能が進行している間、その時々において選択することができるという点で、動的である。単一テーブル又はおそらくFPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)が、命令を定義するために使用される場合、異なるRATを収容するために、当然、命令セットは再構成することができる。しかし、これは、前記装置を停止するとともに、それを再プログラムすることをともなうことになる。それは、「オンザフライに」実行することができない。ところが一方、本ケースでは、いずれかの所定時間での使用のために選択された前記RATに適切なように、停止又は再プログラムする必要性がなく、潜在的に、ユーザは、何が動作しているのかに関するどんな認識もする必要性がなく、前記装置は自動的に命令セットを切り換えることができる。
【0047】
本発明の特に有利な実施形態は、今、図4に関して説明される。図3に関して説明された上記の例では、事実上、各設定テーブルは、RAT特有命令定義と両RATに共通命令定義の両方を具備する必要がある。従って、図3の例では、これらの共通命令定義は、両方のテーブルに複製される。これは、リソースの効率の悪い使用である。
【0048】
従って、図4の実施形態では、二つの前記テーブル20a・20bは、二つの、より小さいRAT特定設定テーブル22a・22b(例えば、それぞれGSMとUMTS)と一つの共通RAT設定テーブル24で置き換えられる。又は、前記RAT特定テーブルのように、前記共通テーブル24は、好ましくは、メモリに記憶された命令定義の設定可能なセットでもある。
【0049】
次いで、前記共通定義を使用する共通命令を常に実行するように、前記デコード・ロジック8が構成される。しかし、それは、異なるRATがスケジューリング・ソフトウェアによって選択されるとき、上記した方法で、前記RAT特定テーブル22a・22bを切り換える。
【0050】
上述の実施形態は、単なる例示としてのみ説明されるとともに、他の変形例、又は本発明の応用は、本明細書に開示された技術分野の当業者には明らかである。例えば、いくつもの異なる無線アクセス技術を制御するために、いくつもの異なる命令セットを支援されることができることが理解される。さらに、上記は、設定可能な命令テーブルに関して説明される。しかし、より好ましくない実施形態では、異なる前記命令セットは、ハードウェア・デコード・ロジックの異なる部分で異なる命令セットを実装することができる。本発明の範囲は、上述によって限定されるのではなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0051】
2・・・プロセッサ
4・・・命令メモリ
6・・・メモリ
8・・・デコード・ロジック
10・・・データ転送エンジン
12・・・アナログ・インタフェース
14・・・アンテナ
16・・・命令バッファ
18・・・ビット
20a、20b・・・テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線アクセス技術間装置において、
ワイヤレス・セルラー・ネットワーク上で通信するためのインターフェースと、
複数の異なる無線アクセス技術によって、前記インターフェースを介した通信を制御する動作を実行するためのコードを記憶する第一記憶手段と、
複数の異なる命令セットの定義を記憶する第二記憶手段と、
前記コードを実行するように構成されたプロセッサと、
前記プロセッサによって、実行のため、対応するコードを選択することによって、かつ選択された前記コードの実行での使用のため、対応する前記命令セットを選択することによって、前記無線アクセス技術を動的に切り替えるために動作可能な選択手段とを具備し、
各前記セットは前記無線アクセス技術のそれぞれ一つに応じて、動作を実行するように設定され、
前記プロセッサは、前記第二記憶手段を参照することによって選択された、どの一つの前記命令も使用するコードを実行するために動作可能である
ことを特徴とする、無線アクセス技術装置。
【請求項2】
前記選択手段は、実行されるときにプロセッサが前記無線アクセス技術の動的な前記選択を制御するスケジューリング・コードを具備することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記スケジューリング・コードは、実行される動作によって、前記無線アクセス技術を選択するように設定されることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記動作のスケジューリングの、複数の要求を生成するように構成され、
各要求は関連した優先順位と要求された無線アクセス技術を有し、
前記スケジューリング・コードは、前記要求された無線アクセス技術の優先順位によって前記無線アクセス技術を選択するように、設定されることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記選択手段は、前記装置が動作する外部環境の一又は二以上の特性によって、前記無線アクセス技術を選択するように、構成されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記一又は二以上の特性は、前記無線アクセス技術を支援するセルの少なくとも能力であることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記一又は二以上の特性は、少なくとも、前記データが通信されるワイヤレス・チャンネルのチャンネル状態の推定であることを特徴とする請求項5または6に記載の装置。
【請求項8】
前記選択手段は、一又は二以上の実行要求によって、前記無線アクセス技術を選択するように、構成されることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記選択手段は、前記プロセッサの利用可能な処理リソースによって、前記無線アクセス技術を選択するように、構成されることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記選択手段は、前記装置のユーザによる選択によって、要求された前記無線アクセス技術を選択するように、構成されることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、前記複数の無線アクセス技術に共通する共通命令セットを使用するコードを実行するように、さらに構成されることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
プロセッサでの無線アクセス技術を動的に切り換える方法であって、
第一無線アクセス技術に対応する第一命令セットを選択するステップと、
前記第一無線アクセス技術によって、ワイヤレス・セルラー・ネットワーク上での通信を制御する動作を実行するように、前記第一命令セットを使用するプロセッサ上でコードを実行するステップと、
第二無線アクセス技術に切り換えるステップと、
前記第二無線アクセス技術に対応する第二命令セットを選択するステップと、
前記第二無線アクセス技術によって、ワイヤレス・セルラー・ネットワーク上での通信を制御する動作を実行するように、前記第二命令セットを使用する前記プロセッサ上でコードを実行するステップと
を具備することを特徴とする方法。
【請求項13】
前記無線アクセス技術の前記動的選択は、前記プロセッサ上で実行されるスケジューリング・コードによって制御されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
実行される前記動作によって前記無線アクセス技術を選択するように、前記スケジューリング・コードを使用するステップを具備することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記動作のスケジューリングの、複数の要求を生成するステップを具備し、
各要求は、関連する優先順位と要求された無線アクセス技術を有し、
前記要求された無線アクセス技術の優先順位によって、前記無線アクセス技術を選択するように、前記スケジューリング・コードを使用するステップを具備することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記方法は、
前記装置が動作する外部環境の一又は二以上の特性によって、前記無線アクセス技術を選択するステップを具備することを特徴とする請求項12から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記一又は二以上の特性が、少なくとも、前記無線アクセス技術を支援するセルの能力であることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記一又は二以上の特性が、少なくとも、前記データが通信されるワイヤレス・チャンネルのチャンネル状態の推定であることを特徴とする請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
一又は二以上の実行要求によって、前記無線アクセス技術を選択するステップを具備することを特徴とする請求項12から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記プロセッサの利用可能な処理リソースによって、前記無線アクセス技術を選択するステップを具備することを特徴とする請求項12から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記装置のユーザによる選択によって、前記無線アクセス技術を選択するステップを具備することを特徴とする請求項12から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記複数の無線アクセス技術に共通する共通命令セットを使用する前記プロセッサ上のコードを実行するステップを具備することを特徴とする請求項12から21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
無線アクセス技術を動的に切り換えるためのコンピュータプログラム製品であって、プログラムは、プロセッサによって実行されるとき、
第一無線アクセス技術に対応する第一命令セットを選択するステップと、
前記第一無線アクセス技術によって、ワイヤレス・セルラー・ネットワーク上での通信を制御する動作を実行するように、前記第一命令セットを使用するコードを実行するステップと、
第二無線アクセス技術に切り換えるステップと、
前記第二無線アクセス技術に対応する第二命令セットを選択するステップと、
前記第二無線アクセス技術によって、ワイヤレス・セルラー・ネットワーク上での通信を制御する動作を実行するように、前記第二命令セットを使用するコードを実行するステップと
を実行するコードを具備することを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【請求項24】
ワイヤレス・セルラー・ネットワーク上で通信するためのインターフェースと、
複数の異なる前記無線アクセス技術によって、前記インターフェースを介した通信を制御する動作を実行するためのコードを実行するように、構成されたプロセッサとを具備し、
前記プロセッサは、選択された、複数の異なるどの命令セットも実行するために動作可能であり、各セットは、各一つの無線アクセス技術によって動作を実行するように設定され、
前記プロセッサによる実行のための、対応するコードを選択することによって、かつ選択された前記コードの実行での使用のため、対応する前記命令セットを選択することによって、前記無線アクセス技術を動的に切り替えるために動作可能であることを特徴とする無線アクセス技術間装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−518447(P2011−518447A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537353(P2010−537353)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【国際出願番号】PCT/EP2008/065420
【国際公開番号】WO2009/074420
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(510002349)イセラ・インコーポレーテッド (17)
【Fターム(参考)】