無線システム
【課題】 複数のユーザに対応できるサブキャリアマッピングを行い、かつ、CP伝送を不要とすることで電力効率と周波数利用効率を低下させることがないSC−FDMA方式の無線システムを提供する。
【解決手段】 送信装置において、符号化部11が送信データを符号化し、インタリーバ12がインタリーブし、変調部13が変調し、K−FFT部14がKポイントで離散フーリエ変換し、サブキャリアマッピング部15が、S/P変換部141でシリアル/パラレル変換し、K−FFT部142でKポイントで離散フーリエ変換し、サブキャリアマッピング処理部143でサブキャリアにマッピングする処理を行い、M−IDFT部144でKポイントより大きい数のMポイントで逆離散フーリエ変換し、P/S変換部145でパラレル/シリアル変換し、M−IFFT部16がMポイントで逆離散フーリエ変換する無線システムである。
【解決手段】 送信装置において、符号化部11が送信データを符号化し、インタリーバ12がインタリーブし、変調部13が変調し、K−FFT部14がKポイントで離散フーリエ変換し、サブキャリアマッピング部15が、S/P変換部141でシリアル/パラレル変換し、K−FFT部142でKポイントで離散フーリエ変換し、サブキャリアマッピング処理部143でサブキャリアにマッピングする処理を行い、M−IDFT部144でKポイントより大きい数のMポイントで逆離散フーリエ変換し、P/S変換部145でパラレル/シリアル変換し、M−IFFT部16がMポイントで逆離散フーリエ変換する無線システムである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)方式の無線システムに係り、特に、CP(Cyclic Prefix)を伝送しないターボ等化を行う無線システムに関する。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
電力効率の良いシングルキャリア伝送方式を広帯域移動通信環境で用いるために、マルチパスチャネルに起因した符号間干渉歪(送信されたシンボル同士が互いに影響しあうために生じる歪)を除去するための技術として、等化器が研究されてきた。
【0003】
特に、ターボ原理を広帯域シングルキャリア移動通信における等化に用いる試みが行われ、ターボ等化のためのアルゴリズムを時間軸上のスライディング処理からフレーム単位の一括処理とし、更に、これを周波数領域に変換することで処理量を大幅に低減できる周波数領域ターボ等化アルゴリズム(FD/SC−MMSE:Frequency Domain Soft Cancellation and Minimum Mean Square Error)が考えられた。
【0004】
この周波数領域ターボ等化アルゴリズムは、等化のための演算量は符号間干渉の長さに依存せず、フレームの長さの対数のオーダーに比例するもので、広帯域シングルキャリア移動通信における等化処理を現実的なものとした。
【0005】
ただし、周波数領域ターボ等化アルゴリズムは、フレームを一括して周波数領域変換するために、等価的なチャネル行列が巡回性を満たすよう、送信側で予め送信フレームの最後尾から符号間干渉長に相当するシンボル数をコピーし、これをフレームの先頭に配置(CP)することが必要であり、そのため、伝送効率が劣化する。
【0006】
また、シングルキャリア方式の欠点の一つに、与えられた帯域幅を一人のユーザが独占して用い、受信側の処理が帯域毎に行われるため、各ユーザの伝送速度に対応するサービスクオリティに応じにくい点があった。
【0007】
この点を改良するために、受信側で一括して処理が行われる一方、送信側では各ユーザが要求する伝送速度に応じて、用いられていない周波数に帯域を割り当て直すシングルキャリア周波数分割多重アクセス(SC−FDMA)方式が検討されている。
【0008】
SC−FDMA方式は、周波数帯域の再割り当てのためには時間軸上の信号を離散フーリエ変換によって周波数領域に変換し、サブキャリアマッピング行列によって、用いる周波数帯域を再割り当てした後、時間領域に再変換する。この際、再割り当て前の離散フーリエ変換ポイント数は再割り当て後の離散フーリエ変換ポイント数よりも小さく選ばれ、再割り当て後の離散フーリエ変換ポイント数は、受信側で一括処理のための離散フーリエ変換ポイント数に等しく選ばれる。
これにより、受信側での符号間干渉の等化処理が各ユーザに対して一括して行うことが可能となる。
【0009】
[関連技術]
尚、関連する先行技術として、下記の非特許文献1〜7がある。
非特許文献1には、FD/SC−MMSEにおけるターボ等化器について記載され、非特許文献2には、IBI(Inter-block interference)を回避するためのガードインターバル(GI)としてCPをSC−FDMA方式と直交周波数分割多重アクセス(OFDMA:Orthogonal Frequency Division Multiple Access)方式に用いることが記載されている。
【0010】
また、非特許文献3〜5には、ブロック伝送においてPCを用いない技術が提案されている。
更に、非特許文献6には、シングルキャリアシステムに対する周波数領域ターボ等化器が、非特許文献7には、MMSE MIMO(Multiple Input Multiple Output)のターボ等化器に対するEXIT(Extrinsic Information Transfer)チャートによる解析方法が、発明者等によって提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Kansanen and T. Matsumoto, "A computationally efficient MIMO turbo equalizer," in IEEE VTC-Spring, Korea, vol. 1, 2003, pp. 277-281.
【非特許文献2】H. Sari, G. Karam, and I. Jeanclaude, "Transmission techniques for digital terrestrial TV broadcasting," in IEEE Comm. Magazine, Feb. 1995, pp. 100-109.
【非特許文献3】Z. Chen, Y. Chang, F. Liu, J. Zhou, and D. Yang, "A turbo FDE technique for OFDM system without cyclic prefix," in IEEE VTC-Fall 2009, Sept. 2009.
【非特許文献4】H. Lee, Y. Lee, K. Ann, and H. Park, "Interference cancellation for single carrier frequency domain equalizer without cyclic prefix," in IEEE VTC-Spring 2010, May 2010.
【非特許文献5】D. Wang, Z. Pan, X. You, C. H. Kyu, J. B. Jang, and J. Ha, "Low-complexity turbo equalization for single-carrier systems without cyclic prefix," in IEEE ICCS 2008, Nov. 2008, pp. 632-636.
【非特許文献6】K. Anwar, H. Zhou, and T. Matsumoto, "Chained turbo equalization for block transmission without guard interval," in IEEE VTC-Spring 2010, May 2010.
【非特許文献7】K. Kansanen and T. Matsumoto, "An analytical method for MMSE MIMO turbo equalizer EXIT chart computation," IEEE Trans. Commun., vol. 6, No. pp. 59-63, Jan. 2007.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、従来のSC−FDMA方式の無線システムでは、周波数領域ターボ等化が有効であることは明らかであるが、電力効率と周波数利用効率を低下させることがなく、複数のユーザ(マルチユーザ)に対応可能なサブキャリアマッピングを行うことが難しいという問題点があった。
【0013】
つまり、マルチユーザに対応可能なサブキャリアマッピングを行う従来のSC−FDMA方式は、等価的チャネル行列に巡回性を持たせるために、CPを伝送する必要があるため、電力効率と周波数利用効率の低下を招くものとなっていた。
【0014】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、複数のユーザに対応できるサブキャリアマッピングを行い、かつ、CP伝送を不要とすることで、電力効率と周波数利用効率を低下させることがないSC−FDMA方式の無線システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、SC−FDMA方式の無線システムであって、送信装置が、送信データを符号化する符号化部と、符号化されたデータをインタリーブするインタリーバと、インタリーブされたデータを変調する変調部と、変調されたデータをKポイントで離散フーリエ変換する第1のK−FFT部と、第1のK−FFT部から出力されたデータをサブキャリアマッピングするサブキャリアマッピング部と、サブキャリアマッピングされたデータを、Kポイントより大きい数のMポイントで逆離散フーリエ変換する第1のM−IFFT部とを備え、サブキャリアマッピング部が、変調されたデータをシリアル/パラレル変換するS/P変換部と、シリアル/パラレル変換されたデータをKポイントで離散フーリエ変換する第2のK−FFT部と、第2のK−FFT部からの出力をサブキャリアにマッピングする処理を行うサブキャリアマッピング処理部と、サブキャリアマッピング処理されたデータを、Kポイントより大きい数のMポイントで逆離散フーリエ変換する第2のM−IFFT部と、第2のM−IFFT部からの出力をパラレル/シリアル変換するP/S変換部とを有することを特徴としている。
【0016】
本発明は、SC−FDMA方式の無線システムであって、受信装置が、受信した信号を巡回行列に変換するためにJ行列を乗算する第1のJ行列乗算部と、第1のJ行列乗算器からの出力から、現在のフレームに対して過去と未来のフレームに対応する対数尤度を用いてソフトシンボルを作成し、当該ソフトシンボルを減算する第1の加減算器と、第1の加減算器からの出力データをMポイントで離散フーリエ変換するM−FFT部と、M−FFT部からの出力をチャネル毎に復調する復調部と、復調部からの出力を現在、過去、未来のフレームについてサブキャリアデマッピングするサブキャリアデマッピング部と、サブキャリアデマッピング部からの出力データを、現在、過去、未来のフレームについてMポイントより小さい数のKポイントで逆離散フーリエ変換するK−IFFT部と、K−IFFT部からの出力をデインタリーブするデインタリーバと、デインタリーバからの出力データを復号化する復号化部と、復号化されたデータからデインタリーブされたデータを減算する第2の加減算部と、第2の加減算部からの出力をインタリーブするインタリーバと、インタリーバからの出力を変調する変調部と、変調部からの出力をKポイントで離散フーリエ変換するK−FFT部と、K−FFT部からの出力をサブキャリアマッピングするサブキャリアマッピング部と、サブキャリアマッピングされたデータをKポイントより大きい数のMポイントで逆離散フーリエ変換するM−IFFT部と、チャネルを推定し、チャネル行列とするための行列式を出力するチャネル推定部と、M−IFFT部からの出力とチャネル推定部からの行列式を乗算し、チャネル行列を出力する乗算器と、乗算器から出力されたチャネル行列を巡回行列に変換するために、J行列を乗算し、ソフトシンボルとして第1の加減算器に減算用として出力する第2のJ行列乗算器とを有することを特徴としている。
【0017】
本発明は、上記無線システムにおいて、受信装置において、サブキャリアマッピング部は、請求項1記載の送信装置のサブキャリアマッピング部と同様の構成とし、サブキャリアデマッピング部が、復調されたデータをシリアル/パラレル変換するS/P変換部と、シリアル/パラレル変換されたデータをMポイントで離散フーリエ変換するM−FFT部と、M−FFT部からの出力をサブキャリアにマッピングする処理を行うサブキャリアマッピング処理部と、サブキャリアマッピング処理されたデータを、Mポイントより小さい数のKポイントで逆離散フーリエ変換するK−IFFT部と、K−IFFT部からの出力をパラレル/シリアル変換するP/S変換部とを有することを特徴とする。
【0018】
本発明は、上記無線システムにおいて、サブキャリアデマッピング部が、無線信号における現在のフレームに対して過去と未来のフレームの対数尤度比を取得し、当該対数尤度比を用いてソフトシンボルを作成し、当該ソフトシンボルを第1の加減算器に出力することを特徴とする。
【0019】
本発明は、上記無線システムにおいて、サブキャリアデマッピング部が、サブキャリアマッピング行列がチャネル行列の周波数領域構成において変化しないために対角行列を保持できる性質を利用し、チャネル行列に等価な等価チャネル行列を巡回行列として演算することを特徴とする。
【0020】
本発明は、SC−FDMA方式の無線システムにおける送信方法であって、送信装置が、符号化、インタリーブ、変調を行い、Kポイントで離散フーリエ変換してサブキャリアマッピング処理を行い、Kポイントより大きい数字のMポイントで逆離散フーリエ変換することを特徴とする。
【0021】
本発明は、SC−FDMA方式の無線システムにおける受信方法であって、受信装置が、Mポイントで離散フーリエ変換して復調処理を行い、復調されたデータをサブキャリアデマッピング処理し、前記Mポイントより小さい数字のKポイントで逆離散フーリエ変換し、逆離散フーリエ変換されたデータをデインタリーブして、復号化し、復号化データとデインタリーブされたデータとの差分をインタリーブし、インタリーブされたデータを変調して、Kポイントで離散フーリエ変換し、離散フーリエ変換されたデータをサブキャリアマッピングして、前記Kポイントより大きい数字のMポイントで逆離散フーリエ変換し、推定されたチャネルのチャネル行列になるよう行列式を乗算し、乗算されたデータをソフトシンボルとして受信信号から減算することを特徴とする。
【0022】
本発明は、上記受信方法において、受信装置が、サブキャリアデマッピング処理において、無線信号の現在のフレームに対して過去のフレームと未来のフレームの対数尤度比を取得し、当該対数尤度比を用いてソフトシンボルを作成し、当該ソフトシンボルを受信信号から減算することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、送信装置において、符号化部が送信データを符号化し、インタリーバが符号化されたデータをインタリーブし、変調部がインタリーブされたデータを変調し、第1のK−FFT部が変調されたデータをKポイントで離散フーリエ変換し、サブキャリアマッピング部が第1のK−FFT部から出力されたデータをサブキャリアマッピングし、第1のM−IFFT部がサブキャリアマッピングされたデータを、Kポイントより大きい数のMポイントで逆離散フーリエ変換し、当該サブキャリアマッピング部が、S/P変換部で変調されたデータをシリアル/パラレル変換し、第2のK−FFT部でシリアル/パラレル変換されたデータをKポイントで離散フーリエ変換し、サブキャリアマッピング処理部で第2のK−FFT部からの出力をサブキャリアにマッピングする処理を行い、第2のM−IFFT部でサブキャリアマッピング処理されたデータを、Kポイントより大きい数のMポイントで逆離散フーリエ変換し、P/S変換部で第2のM−IFFT部からの出力をパラレル/シリアル変換するSC−FDMA方式の無線システムとしているので、CP伝送を不要にして、複数のユーザに対応でき、電力効率と周波数利用効率を低下させない効果がある。
【0024】
本発明によれば、受信装置において、第1のJ行列乗算部が受信した信号を巡回行列に変換するためにJ行列を乗算し、第1の加減算器が第1のJ行列乗算器からの出力から、現在のフレームに対して過去と未来のフレームに対応する対数尤度を用いてソフトシンボルを作成し、当該ソフトシンボルを減算し、M−FFT部が第1の加減算器からの出力データをMポイントで離散フーリエ変換し、復調部がM−FFT部からの出力をチャネル毎に復調し、サブキャリアデマッピング部が復調部からの出力を現在、過去、未来のフレームについてサブキャリアデマッピングし、K−IFFT部がサブキャリアデマッピング部からの出力データを、現在、過去、未来のフレームについてMポイントより小さい数のKポイントで逆離散フーリエ変換し、デインタリーバがK−IFFT部からの出力をデインタリーブし、復号化部がデインタリーバからの出力データを復号化し、第2の加減算部が復号化されたデータからデインタリーブされたデータを減算し、インタリーバが第2の加減算部からの出力をインタリーブし、変調部がインタリーバからの出力を変調し、K−FFT部が変調部からの出力をKポイントで離散フーリエ変換し、サブキャリアマッピング部がK−FFT部からの出力をサブキャリアマッピングし、M−IFFT部がサブキャリアマッピングされたデータをKポイントより大きい数のMポイントで逆離散フーリエ変換し、チャネル推定部がチャネルを推定し、チャネル行列とするための行列式を出力し、乗算器がM−IFFT部からの出力とチャネル推定部からの行列式を乗算し、チャネル行列を出力し、第2のJ行列乗算器が乗算器から出力されたチャネル行列を巡回行列に変換するために、J行列を乗算し、ソフトシンボルとして第1の加減算器に減算用として出力するSC−FDMA方式の無線システムとしているので、CP伝送を不要にして、複数のユーザに対応でき、電力効率と周波数利用効率を低下させない効果がある。
【0025】
本発明によれば、送信装置が、符号化、インタリーブ、変調を行い、Kポイントで離散フーリエ変換してサブキャリアマッピング処理を行い、Kポイントより大きい数字のMポイントで逆離散フーリエ変換するSC−FDMA方式の無線システムにおける送信方法としているので、CP伝送を不要にして、複数のユーザに対応でき、電力効率と周波数利用効率を低下させない効果がある。
【0026】
本発明によれば、受信装置が、Mポイントで離散フーリエ変換して復調処理を行い、復調されたデータをサブキャリアデマッピング処理し、Mポイントより小さい数字のKポイントで逆離散フーリエ変換し、逆離散フーリエ変換されたデータをデインタリーブして、復号化し、復号化データとデインタリーブされたデータとの差分をインタリーブし、インタリーブされたデータを変調して、Kポイントで離散フーリエ変換し、離散フーリエ変換されたデータをサブキャリアマッピングして、Kポイントより大きい数字のMポイントで逆離散フーリエ変換し、推定されたチャネルのチャネル行列になるよう行列式を乗算し、乗算されたデータをソフトシンボルとして受信信号から減算するSC−FDMA方式の無線システムにおける受信方法としているので、CP伝送を不要にして、複数のユーザに対応でき、電力効率と周波数利用効率を低下させない効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態に係る無線通信システムの概略図である。
【図2】送信装置の構成ブロック図である。
【図3】サブキャリアマッピング部の概略構成図である。
【図4】受信装置の構成ブロック図である。
【図5】本実施の形態に係るターボ等化器の構成ブロック図である。
【図6】CHATUEアルゴリズムのEXITチャートを示す図である。
【図7】共分散行列の形状を示す図である。
【図8】BER特性を示す図である。
【図9】パラメータ設定テーブルを示す図である。
【図10】CHATUE−SC−FDMAのBER特性を示す図である。
【図11】本システムと従来のシステムにおけるブロック長比較図である。
【図12】DFT/IDFTサイズパラメータテーブルを示す図である。
【図13】誤り特性の比較図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係るSC−FDMA方式の無線システムは、マルチユーザシングルインプットシングルアウトプット(MU−SISO:Multi-User Single-Input Single-Output)システムに用いられるものであり、ターボ等化のアルゴリズムを用い、CPを伝送することなく、複数ユーザのデータ送信を可能とし、ユーザの受信データについて隣接するフレームからの対数尤度比を用いてソフトシンボルを作成し、当該ソフトシンボルにより隣接するフレームからの干渉成分を除去することができるものである。
【0029】
[無線システムの概略:図1]
本発明の実施の形態に係るSC−FDMA方式の無線システムの概略について図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムの概略図である。
本発明の実施の形態に係る無線システム(本システム)は、図1に示すように、複数の移動端末(User)が周波数帯域のチャネル(Hi)で基地局装置(Base Station)に無線接続している。
【0030】
ここで、移動端末(User)と周波数帯域チャネル(Hi)は、以下のように表される。
【数1】
【0031】
従って、本実施の形態では、複数の移動端末が複数のユーザに対応する送信装置であり、基地局装置が受信装置となっている。
【0032】
[送信装置:図2]
本システムにおける送信装置について図2を参照しながら説明する。図2は、送信装置の構成ブロック図である。
送信装置は、符号化部(Ci:Encoder)11と、インタリーバ(Πi:Interleaver)12と、変調部(Mod:Modulator)13と、Kポイント離散フーリエ変換部(K−FFTi)14と、サブキャリアマッピング(SM:Subcarrier Mapping)部15と、Mポイント逆離散フーリエ変換部(M−IFFTi)16と、アンテナ17とを備えている。
図2では、i番目のユーザ(i-th user)の送信装置を示しているが、1〜n番目までのユーザの送信装置が本システムでは存在している。
【0033】
[送信装置の各部]
符号化部11は、送信データを符号化し、インタリーバ12は、符号化されたデータをインタリーブし、変調部13は、インタリーブされたデータを変調し、K−FFT14は、インタリーブされたデータをKポイントで離散フーリエ変換し、SM部15は、Kポイントで離散フーリエ変換されたデータをサブキャリアマッピングし、M−IFFT16は、サブキャリアマッピングされたデータをMポイント(K<M)で逆離散フーリエ変換する。
符号化部11、インタリーバ12、変調部13は、従来のものと同様の構成である。
【0034】
[サブキャリアマッピング(SM)部15:図3]
次に、SM部15の構成について図3を参照しながら説明する。図3は、サブキャリアマッピング部の概略構成図である。
SM部15は、図3に示すように、シリアル/パラレル変換部(S/P)141と、Kポイント離散フーリエ変換部(FK:K−FFT)142と、サブキャリアマッピング処理部(D:Subcarrier Mapping)143と、Mポイント逆離散フーリエ変換部(FHM:M−IFFT)144と、パラレル/シリアル変換部(P/S)145とを備えている。
【0035】
[SM部15の各部]
S/P141は、i番目のユーザの変調データ源(Mod. Data Source)を入力し、シリアル信号をパラレル信号に変換し、K−FFT142に出力する。
K−FFT142は、S/P141からの出力をKポイントで離散フーリエ変換し、サブキャリアマッピング処理部143に出力する。尚、後述するように、複数ユーザに対応するために、Kポイント数は、Mポイント数より少なくなくてはならない。
【0036】
サブキャリアマッピング処理部143は、K−FFT142で離散フーリエ変換された信号をサブキャリアマッピング処理し、M−IFFT144に出力する。
M−IFFT144は、サブキャリアマッピング処理部143からの出力をMポイントで逆離散フーリエ変換し、P/S145に出力する。
P/S145は、M−IFFT144からの出力をパラレル信号からシリアル信号に変換して出力する。P/S145からの出力は、チャネルとして送信される。
SM部15における具体的な処理は、後述する。
【0037】
[受信装置:図4]
次に、本システムにおける受信装置の構成について図4を参照しながら説明する。図4は、受信装置の構成ブロック図である。
受信装置は、図4に示すように、アンテナ21と、J行列乗算部(J)22と、加減算器23と、Mポイント離散フーリエ変換部(M−FFT)24と、復調部(DeMod,MMSE)25と、サブキャリアデマッピング部(Subcarrier De-Mapping)26と、Kポイント逆離散フーリエ変換部(K−IFFT)27と、ユーザデータ記憶部(user)28と、デインタリーバ(Πi-1:Deinterleaver)29と、復号化部(Decoder)30と、加減算器31と、インタリーバ(Πi)32と、変調部(Mod)33と、Kポイント離散フーリエ変換部(K−FFT)34と、サブキャリアマッピング部(Subcarrier Mapping)35と、Mポイント逆離散フーリエ変換部(M−IFFT)36と、チャネル推定部(channel estimator)37と、乗算器38と、J行列乗算部(J)39とから構成されている。
【0038】
サブキャリアデマッピング26は、現在、過去、未来に対応してサブキャリアデマッピング(Subcarrier De-Mappingi)26cと、サブキャリアデマッピング(Subcarrier De-Mappingi-1)26aと、サブキャリアデマッピング(Subcarrier De-Mappingi+1)26bとを備えている。
同様に、K−IFFT27とuser28も、現在、過去、未来に対応して設けられている。
尚、加算器23,M−FFT24、復調部25、サブキャリアデマッピング部26、K−FFT34、サブキャリアマッピング部35、M−IFFT36、チャネル推定部37、乗算器38、J行列乗算部39を「SC−FDMA方式の連結ターボ等化器(CHATUE SC−FDMA)」と称する。
【0039】
復号化部30は、図中では、以下のように表している。
【数2】
【0040】
[受信装置の各部]
アンテナ21は、送信装置からの信号を受信する。
J行列乗算部(J)22は、受信した信号についてチャネル行列Hを巡回行列に変換するためにJ行列を乗算する。受信されたフレームの全シンボルのサンプル値から構成されるベクトルに対してJ行列を乗算すると、等価的にチャネルに巡回性を持たせることが可能となる。
【0041】
加減算器23は、過去のLLR(対数尤度比:Log-Likelihood Ratio)と未来のLLRを加減算して、過去と未来フレームを構成する各ビットのLLRをフィードバックし、過去と未来フレームからの干渉成分を除去する。
例えば、第1のユーザについて未来のLLR'i+1、現在のLLR'i、過去のLLR'i-1が入力され、第2のユーザについて未来のLLR"i+1、現在のLLR"i、過去のLLR"i-1が入力され、ユーザ毎に受信処理が為されるようになっている。
また、加減算器23は、J行列乗算部39からの出力を入力し、J行列乗算部22からの出力から減算する処理も行う。
【0042】
M−FFT24は、加減算器23からの出力をMポイントで離散フーリエ変換し、復調部25に出力する。
復調部25は、チャネル推定部37で推定された回線毎(ユーザ毎)に復調処理を行い、サブキャリアデマッピング部26に出力する。
【0043】
サブキャリアデマッピング部26は、送信装置で為されたサブキャリアマッピングとは逆のサブキャリアデマッピングを行い、ユーザ毎に現在、過去、未来のフレーム信号を出力する。
つまり、サブキャリアデマッピング部26は、S/P変換部、Mポイント離散フーリエ変換部、サブキャリアデマッピング処理部、Kポイント逆離散フーリエ変換部、P/S変換部を備えており、サブキャリアデマッピング処理がサブキャリアにマッピングしたデータを元に戻す処理となる。尚、ポイント数は、K<Mの関係である。
サブキャリアデマッピング部26では、後述するように、オリジナルなCHATUEアルゴリズムをSC−FDMA方式に改良したアルゴリズムを用いる。
【0044】
K−IFFT27は、現在、過去、未来のフレーム信号を入力し、各々逆離散フーリエ変換を行い、ユーザ記憶部28に出力する。
ユーザ記憶部28は、逆離散フーリエ変換されたデータを現在、過去、未来毎に記憶して、デインタリーバ29に出力する。
【0045】
各ユーザのフレームで生じる符号間干渉は、それらに対するターボループから構成されるデコーダから出力される、現在のフレームを構成する各ビットの事後対数尤度比からそれら期待値を求め、これにチャネル行列を乗算することで推定できる。
【0046】
デインタリーバ29は、ユーザ記憶部28に記憶された現在、過去、未来のデータを入力し、デインタリーブを行い、復号化部30と加減算器31に出力する。
復号化部30は、デインタリーバ29からのデータを復号し、加減算器31に出力する。
加減算器31は、復号化部30からのデータからデインタリーバ29からの出力データを減算し、インタリーバ32に出力する。
【0047】
インタリーバ32は、加減算器31からの出力をインタリーブし、変調部33に出力する。
変調部33は、インタリーブされたデータを変調し、K−FFT34に出力する。
K−FFT34は、復調されたデータをKポイント(M>K)で離散フーリエ変換を行い、サブキャリアマッピング部35に出力する。
サブキャリアマッピング部35は、K−FFT34からの出力をサブキャリアマッピングしてM−IFFT36に出力する。
M−IFFT36は、サブキャリアマッピング部35からの出力をMポイントで逆離散フーリエ変換して乗算器38に出力する。
【0048】
チャネル推定部(Channel Estimator)37は、チャネル(回線)を推定し、サブキャリアマッピング部35でサブキャリアマッピングされ、Mポイント逆離散フーリエ変換されたデータをチャネルH行列とするための行列式を乗算器38に出力する。
乗算器38は、M−IFFT36からの出力とチャネル推定部37からの行列式を乗算し、J行列乗算部(J)39に出力する。
J行列乗算部(J)39は、乗算器38から出力されたチャネルH行列にJ行列を乗算し、加減算器23に出力する。
【0049】
[連結ターボ等化(Chained turbo equalization):図5]
次に、受信装置で為される処理を明確に具体化したのが図5のターボ等化の構成である。本実施の形態に係るターボ等化の構成について図5を参照しながら説明する。図5は、本実施の形態に係るターボ等化器の構成ブロック図である。
図5に示すのは、SC−FDMA方式に対する連結ターボ等化処理(Chained Turbo Equalization:CHATUE)を実現するターボ等化器である。
【0050】
図5のターボ等化器は、過去、現在、未来に対応する3つの等化器Ei,t-1,Ei,t,Ei,t+1と、3つの復号器C-1i,t-1,C-1i,t,C-1i,t+1と、2つの遅延部(τ)と、現在のフレームにおいて1つの加減算器を備えている。
【0051】
遅延部(τ)により、受信信号を現在と過去のフレームに分離し、復号化器からのフィードバックのデータを同じフレームの等化器だけでなく、隣接する等化器にもフィードバックすることで、隣接するフレーム(過去と未来のフレーム)を構成する各ビットの事後LLRを用いて、それらから発生するブロック間干渉を推定し、隣接するフレームからのブロック間干渉成分を現在のフレームから除去する。
【0052】
[送信装置の動作]
次に、本システムの送信装置における処理動作について説明する。
送信装置では、情報ビットが符号化部11で符号化され、インタリーバ12でインタリーブされ、変調部13で変調され、信号ベクトルを取得する。
ここで、信号ベクトルは、以下のように表され、iは、ユーザインデックスであり、tは、現在のブロックを表している。
【0053】
【数3】
【0054】
そして、SM部15で行列Diによるサブキャリアマッピングを行うと、情報ビットは、周波数選択性のある準静的なレイリー(Rayleigh)マルチパスフェージングチャネルで伝送される。
行列Jを掛け合わせることにより、等価的ブロック表現を用いた場合の現在チャネル行列Hi,tのテプリッツ(Toeplitz)構造は、巡回行列JHi,tに変換することができる。
受信コンポジット信号は、以下の式(1)のように表すことができる。
【0055】
【数4】
【0056】
ここで、rは、以下の式(2)で表され、iはユーザインデックスを、Uはユーザの数を意味している。
【数5】
【0057】
サブキャリアマッピングなしで、等価的な信号ベクトルは、過去、現在、未来のシンボルと、行列Jの構成と同様に対応する等価的ブロックに関するチャネル行列に伝送される。
ここで、過去、現在、未来のシンボルとチャネル行列は、以下のように表される。
【0058】
【数6】
【0059】
SC−FDMA方式の本システムは、各ユーザのサービスの質(QoS)の要求とチャネルの周波数特性に応じて、周波数割り当て行列Diの次元とその構造を変化させる。各ユーザのQoS要求は、複数ブロック間で変化しないので、Diは、過去、現在、未来のブロックと同じであると仮定することには妥当性がある。
【0060】
MポイントIFFT144で用いられる行列FMは、サイズがKポイントFFT142で用いられる行列FKより大きいものである。FFTの行列FMは、ユニタリ行列である。ここで、(・)Hは、行列エルミート演算を示し、nは、共分散σ2におけるゼロ平均の複素付加白色ガウス雑音ベクトルである。
ユニタリ行列で表すと、以下のようになる。
【0061】
【数7】
【0062】
[CHATUEアルゴリズム]
本システムで採用されているSC−FDMA方式に対するCHATUEアルゴリズムについて、ソフトキャンセレーションと等化器出力の観点から説明する。
[ソフトキャンセレーション]
受信信号のソフトレプリカを組み立てて、過去、現在、未来のシンボルそれぞれのソフトウェアによる評価(ソフト評価)を以下の式(3)のように行う。
【0063】
【数8】
【0064】
上述のように、チャネル行列と割り当て行列は、受信装置で既知であると仮定することには妥当性がある。
ユーザiに対する現在、過去、未来におけるk番目のシンボルのソフト評価は、以下の式(4)、式(5)、式(6)で与えられる。
【0065】
【数9】
【数10】
【数11】
【0066】
この場合、BPSK(Binary Phase Shift Keying)変調が用いられる。
図5に示したように、過去と未来の等化器に対する事前LLRは、過去と未来のブロックの復号器の事後LLRとそれぞれ等価であることに注目すべきである。
ここで、過去と未来の等化器と、過去と未来のブロックは、以下のように表される。
【0067】
【数12】
そして、以下の式(7)の関係になる。
【0068】
【数13】
【0069】
ISI(Inter-Symbol Interference)とIBI(Inter-Block-Interference)コンポーネントのソフトキャンセレーションを実行したことで、その残りは、以下の式(8)となる。
【数14】
【0070】
ISIとIBIのコンポーネントの残りは、後述する最小二乗誤差(MMSE)アルゴリズムによって更に抑制される。
【0071】
受信装置において、サブキャリアデマッピングの実行によって、i番目のユーザの信号は、以下の式(9)のように分離される。
【数15】
【0072】
ユーザiに焦点を当てると、現在のシンボルの残りは、以下の式(10)で与えられる。
【数16】
【0073】
上述したように、JHi,tは、巡回行列である。それ故に、以下の式(11)とすることができる。
【数17】
【0074】
つまり、サブキャリアマッピング行列Diは直交行列、行列FMJHi,tFMHは対角行列であるので、チャネル行列の周波数領域の構造は変化しない。このため、行列Φは、対角行列になる。
最終的には、等価チャネル行列−Hi,t(「−」はバーを表している)は、巡回行列であり、それ故に、FD/SC−MMSE等化アルゴリズムの有益な点として利用できる。
【0075】
ソフトキャンセレーションの後に、以下の式(12)のように、k番目のシンボルに対する復元項が追加される。
【数18】
ここで、等価チャネル行列とk番目の列ベクトルは、以下のように表される。
【0076】
【数19】
【0077】
[等化器出力]
等化結果は、以下の式(13)のベクトルzの形で得られる。
【数20】
【0078】
ここで、Γは、以下の式(14)で表される。
【数21】
【0079】
更に、Si,tは、以下の式(15)のとおりである。
【数22】
【0080】
周波数領域の共分散行列Xは、以下の式(16)のとおりである。
【数23】
ここで、σは、ノイズコンポーネントが追加された残留干渉の共分散行列である。
【0081】
[EXIT解析]
EXITチャートが、等化器と復号器から構成されるターボ等化の収束特性を解析するために用いられている。過去と未来のシンボルからLLRを提供する効果について研究を行った。
【0082】
[EXITチャート:図6]
EXIT解析について図6を参照しながら説明する。図6は、CHATUEアルゴリズムのEXITチャートを示す図である。
EXITチャートは、図6に示すように、「0」か「1」を出力する過去と未来のデコーダからフィードバックされた相互情報量(MI:Mutual Information)を設定することで、EXIT曲線の下限と上限が、それぞれ求められる。
【0083】
図6には、過去と未来のデコーダから相互情報量をフィードバックすることで、現在のフレームに対するEXIT曲線のスタックを避けるために等化器のEXITカーブが上昇できることが示されている。隣接ブロックからのLLRフィードバックがなければ、ポイントPで交差が起こり、LLRフィードバックがあれば、ポイントQまで上昇でき、従って、性能が改善する。
【0084】
[複雑さ低減アルゴリズム]
式(13)における逆行列X-1に対する複雑さ低減アルゴリズムについて説明する。
行列Xは、行列Aと行列Bの2つに分けることができる。ここで、行列Aは、現在のブロックにおける残留干渉の共分散行列を意味し、行列Bは、過去と未来のコンポーネントのそれぞれにおけるノイズからの残留干渉コンポーネントの共分散行列を意味している。
【0085】
[共分散行列の形状:図7]
一般的なFD/SC−MMSEは、図7におけるAの巡回行列特性を引き出すものであるが、図7におけるBは構造化されていない。最初に、図7に示すBの密度を観察する。図7は、共分散行列の形状を示す図である。
【0086】
行列Aは、以下のXが以下のYに近似することを利用して対角行列で近似される。
【0087】
【数24】
【0088】
行列Bの中央部分と見なされる対角及び近似する対角部分は、図7に示す密度を考慮して最も重要な情報を含んでいる。それ故に、ブロック毎に行列反転を用いることで、帯行列(Band Matrix)近似を用いて行列Bを近似することを提案できる。以下の式(17)のようになる。
【0089】
【数25】
【0090】
[BER特性:図8]
行列A-1とB-1が得られると、X-1=(A+B)-1は行列反転の補助定理を用いることで容易に計算できる。
BER(Bit Error Rate)の特性について図8を参照しながら説明する。図8は、BER特性を示す図である。図8では、現実のものと行列X-1で近似したものについてのBER特性が示されている。
【0091】
図8に示すように、複雑さと性能はトレードオフの関係にある。対角行列(diag(B))のみが用いられる場合のケースに対応した「バンド0」、対角と低い側及び高い側の1オフ対角線のみが用いられるケースに対応した「バンド1」があり、「バンド2」は同様に定義される。
【0092】
[パラメータ設定テーブルI:図9]
近似の正確性を証明するために、図9に示すテーブルIに示すパラメータによって、性能のシミュレーションが為された。図9は、パラメータ設定テーブルを示す図である。
BER曲線が、図8に示すように、シミュレーションの結果として得られた。バンド0と近似なし(exact)との差は非常に小さい(0.6dB)から、バンド0(対角)近似のみを用いて、以下の性能比較を説明する。
【0093】
[性能比較]
シミュレーションでは、100万情報ビットが伝送されることを検討した。SNRが以下の式(18)で与えられることに注目すべきである。
【数26】
【0094】
ここで、MとKは、図3に示したFFT/IFFTのサイズであり、Lは、パス長である。CP伝送に注目すると、CP長は、Lと等しく設定されることが予測できる。更に、CHATUEアルゴリズムを用いる場合、CPは伝送されず、故にLはゼロに設定される。
【0095】
[CHATUEのBER特性:図10]
SC−FDMA方式に対するCHATUEアルゴリズム(CHATUE−SC−FDMA)のBER特性について図10を参照しながら説明する。図10は、CHATUE−SC−FDMAのBER特性を示す図である。図10では、2ユーザの例で説明している。
CHATUE−SC−FDMAは、FD/SC−MMSE等化において、従来のCP伝送を行うSC−FDMA方式(CP−SC−FDMA)とほぼ同様の性能を達成することができる。
【0096】
提案されたCHATUEアルゴリズムは、SC−FDMAにおけるIBIを完全に消去することができる。従来のCP−SC−FDMAシステムでは、シミュレーションによると、CP長が64であり、ブロック長が512である。しかしながら、低いレートの符号を用いて、誤り保護に対してより冗長なビットを伝送するために、CP使用時間を用いるならば、CHATUEアルゴリズムは、L/M(CP長/ブロック長)の比率をゼロに、電力効率を改善できる。
【0097】
[ブロック長比較:図11]
次に、本システムのCHATUE−SC−FDMAと従来のCP−SC−FDMAのブロック長の比較について図11を参照しながら説明する。図11は、本システムと従来のシステムにおけるブロック長比較図である。
FD/SC−MMSEにおける従来のCP−SC−FDMAと本システムのCHATUE−SC−FDMAは、図11に示すように、同じブロック長で性能を評価できる。
【0098】
CHATUE−SC−FDMAと同様に情報ビットレートを維持するために、同じメモリ長にCP伝送を用いたFD/SC−MMSEに対するパンクチャード符号化を行うと、以下の式(19)が導き出される。
【数27】
ここで、Nは、符号化の前のデータのサイズを示している。そして、パンクチュアリングパターンPは以下の式(20)を用いる。
【0099】
【数28】
【0100】
[FFT/IFFTサイズパラメータテーブルII:図12]
次に、CP−SC−FDMAFDとCHATUE−SC−FDMAにおけるFFT/IFFTのサイズに関するパラメータについて図12を参照しながら説明する。図12は、FFT/IFFTサイズパラメータテーブルを示す図である。図12において、CP比は1/8としている。
【0101】
図12に示すように、CP−SC−FDMAFDのFFT/IFFTサイズは、K=224、M=448であり、CHATUE−SC−FDMAのFFT/IFFTサイズは、K=256、M=512である。
また、パンクチュアリングパターンPは、図12のテーブルIIに示すケースに対応する上記2つのスキームの情報ビットレートを調整するためのものである。
【0102】
CHATUE−SC−FDMAの有益な点は、CP伝送する必要なく、利用可能な使用時間を活用することにより、より低いレートの符号化(強い符号)を利用することができることである。
【0103】
[誤り特性:図13]
次に、CHATUE SC−FDMAのアルゴリズムとFD−SC/MMSEを用いたSC−FDMAとを、誤り特性で比較する。図13は、誤り特性の比較図である。図13において反復数は2である。
図13に示すように、本システムのCHATUE SC−FDMAは、CP−SC−FDMAFDに比べて、同じ情報レートを維持するのであれば、良好な性能を得ることができる。
【0104】
補足として、SC−FDMA MMSEに対するMMSEアルゴリズムについて説明を追加しておく。SC−FDMA MMSEの重みは、以下の式(21)により与えられる。
【数29】
【0105】
偏導関数をとることで、式(22)が得られる。
【数30】
【0106】
ここで、キャリアレベル共分散行列は、以下の式(23)によって与えられる。
【数31】
【0107】
FD/SC−MMSE z(k)の出力は、以下の式(24)で表される。
【数32】
ここで、γ(k)は、以下の式(25)に、Σは、以下の式(26)になる。
【数33】
【数34】
【0108】
ベクトルzについてkでz(k)を解くと、シンボルに関するzは、以下の式(27)で表される。
【数35】
このzに式(11)を再現すると、式(28)となる。
【数36】
【0109】
[実施の形態の効果]
本システムによれば、本来のCHATUEアルゴリズムに重要な変更を加えることで、SC−FDMA方式にCHATUEコンセプトを適用したものである。
これにより、CHATUEアルゴリズムが、厳しい計算上の複雑さの要求なしに、優れたISIとIBIのキャンセレーションの性能を達成できることが示された。
【0110】
SC−FDMA方式に対するCHATUEとCP伝送の比較は、BERとSNRの対比に関して、同等の性能を備えることが確認された。
これは、情報ビットレートを一定に保つのであれば、電力効率における改善が、CP伝送の必要性を排除することで達成できることを示している。
【0111】
逆に、更なる情報シンボルを伝送するために、CPを除去したことで利用可能となった使用時間を使用するのであれば、提案した技術でより高いスペクトラム効率が期待できる効果がある。
また、本システムは、SC−FDMA方式をアップリンクで採用する次世代無線通信システムにも有効に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、複数のユーザに対応できるサブキャリアマッピングを行い、かつ、CP伝送を不要とすることで電力効率と周波数利用効率を低下させることがないSC−FDMA方式の無線システムに好適である。
【符号の説明】
【0113】
11…符号化部(Ci)、 12…インタリーバ(Πi)、 13…変調部(Mod)、 14…Kポイント離散フーリエ変換部(K−FFT)、 15…サブキャリアマッピング(SM:Subcarrier Mapping)部、 16…Mポイント逆離散フーリエ変換部(M−IFFT)、 17…アンテナ、 21…アンテナ、 22…J行列乗算部(J)、 23…加減算器、 24…Mポイント離散フーリエ変換部(M−FFT)、 25…復調部(DeMod,MMSE)と、26…サブキャリアデマッピング部(Subcarrier De-Mapping)、 27…Kポイント逆離散フーリエ変換部(K−IFFT)、 28…ユーザデータ記憶部(user)、29…デインタリーバ(Πi-1)、 30…復号化部(Ci-1)、 31…加減算器、 32…インタリーバ(Πi)、 33…変調部(Mod)、 34…Kポイント離散フーリエ変換部(K−FFT)、 35…サブキャリアマッピング部(Subcarrier Mapping)、 36…Mポイント逆離散フーリエ変換部(M−IFFT)、 37…チャネル推定部(channel estimator)、 38…乗算器、 39…J行列乗算部(J)、 141…シリアル/パラレル変換部(S/P)、 142…Kポイント離散フーリエ変換(FK:K−FFT)、 143…サブキャリアマッピング処理部(D: Subcarrier Mapping)、 144…Mポイント逆離散フーリエ変換部(FHM:M−IFFT)、 145…パラレル/シリアル変換部(P/S)
【技術分野】
【0001】
本発明は、SC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)方式の無線システムに係り、特に、CP(Cyclic Prefix)を伝送しないターボ等化を行う無線システムに関する。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
電力効率の良いシングルキャリア伝送方式を広帯域移動通信環境で用いるために、マルチパスチャネルに起因した符号間干渉歪(送信されたシンボル同士が互いに影響しあうために生じる歪)を除去するための技術として、等化器が研究されてきた。
【0003】
特に、ターボ原理を広帯域シングルキャリア移動通信における等化に用いる試みが行われ、ターボ等化のためのアルゴリズムを時間軸上のスライディング処理からフレーム単位の一括処理とし、更に、これを周波数領域に変換することで処理量を大幅に低減できる周波数領域ターボ等化アルゴリズム(FD/SC−MMSE:Frequency Domain Soft Cancellation and Minimum Mean Square Error)が考えられた。
【0004】
この周波数領域ターボ等化アルゴリズムは、等化のための演算量は符号間干渉の長さに依存せず、フレームの長さの対数のオーダーに比例するもので、広帯域シングルキャリア移動通信における等化処理を現実的なものとした。
【0005】
ただし、周波数領域ターボ等化アルゴリズムは、フレームを一括して周波数領域変換するために、等価的なチャネル行列が巡回性を満たすよう、送信側で予め送信フレームの最後尾から符号間干渉長に相当するシンボル数をコピーし、これをフレームの先頭に配置(CP)することが必要であり、そのため、伝送効率が劣化する。
【0006】
また、シングルキャリア方式の欠点の一つに、与えられた帯域幅を一人のユーザが独占して用い、受信側の処理が帯域毎に行われるため、各ユーザの伝送速度に対応するサービスクオリティに応じにくい点があった。
【0007】
この点を改良するために、受信側で一括して処理が行われる一方、送信側では各ユーザが要求する伝送速度に応じて、用いられていない周波数に帯域を割り当て直すシングルキャリア周波数分割多重アクセス(SC−FDMA)方式が検討されている。
【0008】
SC−FDMA方式は、周波数帯域の再割り当てのためには時間軸上の信号を離散フーリエ変換によって周波数領域に変換し、サブキャリアマッピング行列によって、用いる周波数帯域を再割り当てした後、時間領域に再変換する。この際、再割り当て前の離散フーリエ変換ポイント数は再割り当て後の離散フーリエ変換ポイント数よりも小さく選ばれ、再割り当て後の離散フーリエ変換ポイント数は、受信側で一括処理のための離散フーリエ変換ポイント数に等しく選ばれる。
これにより、受信側での符号間干渉の等化処理が各ユーザに対して一括して行うことが可能となる。
【0009】
[関連技術]
尚、関連する先行技術として、下記の非特許文献1〜7がある。
非特許文献1には、FD/SC−MMSEにおけるターボ等化器について記載され、非特許文献2には、IBI(Inter-block interference)を回避するためのガードインターバル(GI)としてCPをSC−FDMA方式と直交周波数分割多重アクセス(OFDMA:Orthogonal Frequency Division Multiple Access)方式に用いることが記載されている。
【0010】
また、非特許文献3〜5には、ブロック伝送においてPCを用いない技術が提案されている。
更に、非特許文献6には、シングルキャリアシステムに対する周波数領域ターボ等化器が、非特許文献7には、MMSE MIMO(Multiple Input Multiple Output)のターボ等化器に対するEXIT(Extrinsic Information Transfer)チャートによる解析方法が、発明者等によって提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Kansanen and T. Matsumoto, "A computationally efficient MIMO turbo equalizer," in IEEE VTC-Spring, Korea, vol. 1, 2003, pp. 277-281.
【非特許文献2】H. Sari, G. Karam, and I. Jeanclaude, "Transmission techniques for digital terrestrial TV broadcasting," in IEEE Comm. Magazine, Feb. 1995, pp. 100-109.
【非特許文献3】Z. Chen, Y. Chang, F. Liu, J. Zhou, and D. Yang, "A turbo FDE technique for OFDM system without cyclic prefix," in IEEE VTC-Fall 2009, Sept. 2009.
【非特許文献4】H. Lee, Y. Lee, K. Ann, and H. Park, "Interference cancellation for single carrier frequency domain equalizer without cyclic prefix," in IEEE VTC-Spring 2010, May 2010.
【非特許文献5】D. Wang, Z. Pan, X. You, C. H. Kyu, J. B. Jang, and J. Ha, "Low-complexity turbo equalization for single-carrier systems without cyclic prefix," in IEEE ICCS 2008, Nov. 2008, pp. 632-636.
【非特許文献6】K. Anwar, H. Zhou, and T. Matsumoto, "Chained turbo equalization for block transmission without guard interval," in IEEE VTC-Spring 2010, May 2010.
【非特許文献7】K. Kansanen and T. Matsumoto, "An analytical method for MMSE MIMO turbo equalizer EXIT chart computation," IEEE Trans. Commun., vol. 6, No. pp. 59-63, Jan. 2007.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、従来のSC−FDMA方式の無線システムでは、周波数領域ターボ等化が有効であることは明らかであるが、電力効率と周波数利用効率を低下させることがなく、複数のユーザ(マルチユーザ)に対応可能なサブキャリアマッピングを行うことが難しいという問題点があった。
【0013】
つまり、マルチユーザに対応可能なサブキャリアマッピングを行う従来のSC−FDMA方式は、等価的チャネル行列に巡回性を持たせるために、CPを伝送する必要があるため、電力効率と周波数利用効率の低下を招くものとなっていた。
【0014】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、複数のユーザに対応できるサブキャリアマッピングを行い、かつ、CP伝送を不要とすることで、電力効率と周波数利用効率を低下させることがないSC−FDMA方式の無線システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、SC−FDMA方式の無線システムであって、送信装置が、送信データを符号化する符号化部と、符号化されたデータをインタリーブするインタリーバと、インタリーブされたデータを変調する変調部と、変調されたデータをKポイントで離散フーリエ変換する第1のK−FFT部と、第1のK−FFT部から出力されたデータをサブキャリアマッピングするサブキャリアマッピング部と、サブキャリアマッピングされたデータを、Kポイントより大きい数のMポイントで逆離散フーリエ変換する第1のM−IFFT部とを備え、サブキャリアマッピング部が、変調されたデータをシリアル/パラレル変換するS/P変換部と、シリアル/パラレル変換されたデータをKポイントで離散フーリエ変換する第2のK−FFT部と、第2のK−FFT部からの出力をサブキャリアにマッピングする処理を行うサブキャリアマッピング処理部と、サブキャリアマッピング処理されたデータを、Kポイントより大きい数のMポイントで逆離散フーリエ変換する第2のM−IFFT部と、第2のM−IFFT部からの出力をパラレル/シリアル変換するP/S変換部とを有することを特徴としている。
【0016】
本発明は、SC−FDMA方式の無線システムであって、受信装置が、受信した信号を巡回行列に変換するためにJ行列を乗算する第1のJ行列乗算部と、第1のJ行列乗算器からの出力から、現在のフレームに対して過去と未来のフレームに対応する対数尤度を用いてソフトシンボルを作成し、当該ソフトシンボルを減算する第1の加減算器と、第1の加減算器からの出力データをMポイントで離散フーリエ変換するM−FFT部と、M−FFT部からの出力をチャネル毎に復調する復調部と、復調部からの出力を現在、過去、未来のフレームについてサブキャリアデマッピングするサブキャリアデマッピング部と、サブキャリアデマッピング部からの出力データを、現在、過去、未来のフレームについてMポイントより小さい数のKポイントで逆離散フーリエ変換するK−IFFT部と、K−IFFT部からの出力をデインタリーブするデインタリーバと、デインタリーバからの出力データを復号化する復号化部と、復号化されたデータからデインタリーブされたデータを減算する第2の加減算部と、第2の加減算部からの出力をインタリーブするインタリーバと、インタリーバからの出力を変調する変調部と、変調部からの出力をKポイントで離散フーリエ変換するK−FFT部と、K−FFT部からの出力をサブキャリアマッピングするサブキャリアマッピング部と、サブキャリアマッピングされたデータをKポイントより大きい数のMポイントで逆離散フーリエ変換するM−IFFT部と、チャネルを推定し、チャネル行列とするための行列式を出力するチャネル推定部と、M−IFFT部からの出力とチャネル推定部からの行列式を乗算し、チャネル行列を出力する乗算器と、乗算器から出力されたチャネル行列を巡回行列に変換するために、J行列を乗算し、ソフトシンボルとして第1の加減算器に減算用として出力する第2のJ行列乗算器とを有することを特徴としている。
【0017】
本発明は、上記無線システムにおいて、受信装置において、サブキャリアマッピング部は、請求項1記載の送信装置のサブキャリアマッピング部と同様の構成とし、サブキャリアデマッピング部が、復調されたデータをシリアル/パラレル変換するS/P変換部と、シリアル/パラレル変換されたデータをMポイントで離散フーリエ変換するM−FFT部と、M−FFT部からの出力をサブキャリアにマッピングする処理を行うサブキャリアマッピング処理部と、サブキャリアマッピング処理されたデータを、Mポイントより小さい数のKポイントで逆離散フーリエ変換するK−IFFT部と、K−IFFT部からの出力をパラレル/シリアル変換するP/S変換部とを有することを特徴とする。
【0018】
本発明は、上記無線システムにおいて、サブキャリアデマッピング部が、無線信号における現在のフレームに対して過去と未来のフレームの対数尤度比を取得し、当該対数尤度比を用いてソフトシンボルを作成し、当該ソフトシンボルを第1の加減算器に出力することを特徴とする。
【0019】
本発明は、上記無線システムにおいて、サブキャリアデマッピング部が、サブキャリアマッピング行列がチャネル行列の周波数領域構成において変化しないために対角行列を保持できる性質を利用し、チャネル行列に等価な等価チャネル行列を巡回行列として演算することを特徴とする。
【0020】
本発明は、SC−FDMA方式の無線システムにおける送信方法であって、送信装置が、符号化、インタリーブ、変調を行い、Kポイントで離散フーリエ変換してサブキャリアマッピング処理を行い、Kポイントより大きい数字のMポイントで逆離散フーリエ変換することを特徴とする。
【0021】
本発明は、SC−FDMA方式の無線システムにおける受信方法であって、受信装置が、Mポイントで離散フーリエ変換して復調処理を行い、復調されたデータをサブキャリアデマッピング処理し、前記Mポイントより小さい数字のKポイントで逆離散フーリエ変換し、逆離散フーリエ変換されたデータをデインタリーブして、復号化し、復号化データとデインタリーブされたデータとの差分をインタリーブし、インタリーブされたデータを変調して、Kポイントで離散フーリエ変換し、離散フーリエ変換されたデータをサブキャリアマッピングして、前記Kポイントより大きい数字のMポイントで逆離散フーリエ変換し、推定されたチャネルのチャネル行列になるよう行列式を乗算し、乗算されたデータをソフトシンボルとして受信信号から減算することを特徴とする。
【0022】
本発明は、上記受信方法において、受信装置が、サブキャリアデマッピング処理において、無線信号の現在のフレームに対して過去のフレームと未来のフレームの対数尤度比を取得し、当該対数尤度比を用いてソフトシンボルを作成し、当該ソフトシンボルを受信信号から減算することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、送信装置において、符号化部が送信データを符号化し、インタリーバが符号化されたデータをインタリーブし、変調部がインタリーブされたデータを変調し、第1のK−FFT部が変調されたデータをKポイントで離散フーリエ変換し、サブキャリアマッピング部が第1のK−FFT部から出力されたデータをサブキャリアマッピングし、第1のM−IFFT部がサブキャリアマッピングされたデータを、Kポイントより大きい数のMポイントで逆離散フーリエ変換し、当該サブキャリアマッピング部が、S/P変換部で変調されたデータをシリアル/パラレル変換し、第2のK−FFT部でシリアル/パラレル変換されたデータをKポイントで離散フーリエ変換し、サブキャリアマッピング処理部で第2のK−FFT部からの出力をサブキャリアにマッピングする処理を行い、第2のM−IFFT部でサブキャリアマッピング処理されたデータを、Kポイントより大きい数のMポイントで逆離散フーリエ変換し、P/S変換部で第2のM−IFFT部からの出力をパラレル/シリアル変換するSC−FDMA方式の無線システムとしているので、CP伝送を不要にして、複数のユーザに対応でき、電力効率と周波数利用効率を低下させない効果がある。
【0024】
本発明によれば、受信装置において、第1のJ行列乗算部が受信した信号を巡回行列に変換するためにJ行列を乗算し、第1の加減算器が第1のJ行列乗算器からの出力から、現在のフレームに対して過去と未来のフレームに対応する対数尤度を用いてソフトシンボルを作成し、当該ソフトシンボルを減算し、M−FFT部が第1の加減算器からの出力データをMポイントで離散フーリエ変換し、復調部がM−FFT部からの出力をチャネル毎に復調し、サブキャリアデマッピング部が復調部からの出力を現在、過去、未来のフレームについてサブキャリアデマッピングし、K−IFFT部がサブキャリアデマッピング部からの出力データを、現在、過去、未来のフレームについてMポイントより小さい数のKポイントで逆離散フーリエ変換し、デインタリーバがK−IFFT部からの出力をデインタリーブし、復号化部がデインタリーバからの出力データを復号化し、第2の加減算部が復号化されたデータからデインタリーブされたデータを減算し、インタリーバが第2の加減算部からの出力をインタリーブし、変調部がインタリーバからの出力を変調し、K−FFT部が変調部からの出力をKポイントで離散フーリエ変換し、サブキャリアマッピング部がK−FFT部からの出力をサブキャリアマッピングし、M−IFFT部がサブキャリアマッピングされたデータをKポイントより大きい数のMポイントで逆離散フーリエ変換し、チャネル推定部がチャネルを推定し、チャネル行列とするための行列式を出力し、乗算器がM−IFFT部からの出力とチャネル推定部からの行列式を乗算し、チャネル行列を出力し、第2のJ行列乗算器が乗算器から出力されたチャネル行列を巡回行列に変換するために、J行列を乗算し、ソフトシンボルとして第1の加減算器に減算用として出力するSC−FDMA方式の無線システムとしているので、CP伝送を不要にして、複数のユーザに対応でき、電力効率と周波数利用効率を低下させない効果がある。
【0025】
本発明によれば、送信装置が、符号化、インタリーブ、変調を行い、Kポイントで離散フーリエ変換してサブキャリアマッピング処理を行い、Kポイントより大きい数字のMポイントで逆離散フーリエ変換するSC−FDMA方式の無線システムにおける送信方法としているので、CP伝送を不要にして、複数のユーザに対応でき、電力効率と周波数利用効率を低下させない効果がある。
【0026】
本発明によれば、受信装置が、Mポイントで離散フーリエ変換して復調処理を行い、復調されたデータをサブキャリアデマッピング処理し、Mポイントより小さい数字のKポイントで逆離散フーリエ変換し、逆離散フーリエ変換されたデータをデインタリーブして、復号化し、復号化データとデインタリーブされたデータとの差分をインタリーブし、インタリーブされたデータを変調して、Kポイントで離散フーリエ変換し、離散フーリエ変換されたデータをサブキャリアマッピングして、Kポイントより大きい数字のMポイントで逆離散フーリエ変換し、推定されたチャネルのチャネル行列になるよう行列式を乗算し、乗算されたデータをソフトシンボルとして受信信号から減算するSC−FDMA方式の無線システムにおける受信方法としているので、CP伝送を不要にして、複数のユーザに対応でき、電力効率と周波数利用効率を低下させない効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態に係る無線通信システムの概略図である。
【図2】送信装置の構成ブロック図である。
【図3】サブキャリアマッピング部の概略構成図である。
【図4】受信装置の構成ブロック図である。
【図5】本実施の形態に係るターボ等化器の構成ブロック図である。
【図6】CHATUEアルゴリズムのEXITチャートを示す図である。
【図7】共分散行列の形状を示す図である。
【図8】BER特性を示す図である。
【図9】パラメータ設定テーブルを示す図である。
【図10】CHATUE−SC−FDMAのBER特性を示す図である。
【図11】本システムと従来のシステムにおけるブロック長比較図である。
【図12】DFT/IDFTサイズパラメータテーブルを示す図である。
【図13】誤り特性の比較図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係るSC−FDMA方式の無線システムは、マルチユーザシングルインプットシングルアウトプット(MU−SISO:Multi-User Single-Input Single-Output)システムに用いられるものであり、ターボ等化のアルゴリズムを用い、CPを伝送することなく、複数ユーザのデータ送信を可能とし、ユーザの受信データについて隣接するフレームからの対数尤度比を用いてソフトシンボルを作成し、当該ソフトシンボルにより隣接するフレームからの干渉成分を除去することができるものである。
【0029】
[無線システムの概略:図1]
本発明の実施の形態に係るSC−FDMA方式の無線システムの概略について図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムの概略図である。
本発明の実施の形態に係る無線システム(本システム)は、図1に示すように、複数の移動端末(User)が周波数帯域のチャネル(Hi)で基地局装置(Base Station)に無線接続している。
【0030】
ここで、移動端末(User)と周波数帯域チャネル(Hi)は、以下のように表される。
【数1】
【0031】
従って、本実施の形態では、複数の移動端末が複数のユーザに対応する送信装置であり、基地局装置が受信装置となっている。
【0032】
[送信装置:図2]
本システムにおける送信装置について図2を参照しながら説明する。図2は、送信装置の構成ブロック図である。
送信装置は、符号化部(Ci:Encoder)11と、インタリーバ(Πi:Interleaver)12と、変調部(Mod:Modulator)13と、Kポイント離散フーリエ変換部(K−FFTi)14と、サブキャリアマッピング(SM:Subcarrier Mapping)部15と、Mポイント逆離散フーリエ変換部(M−IFFTi)16と、アンテナ17とを備えている。
図2では、i番目のユーザ(i-th user)の送信装置を示しているが、1〜n番目までのユーザの送信装置が本システムでは存在している。
【0033】
[送信装置の各部]
符号化部11は、送信データを符号化し、インタリーバ12は、符号化されたデータをインタリーブし、変調部13は、インタリーブされたデータを変調し、K−FFT14は、インタリーブされたデータをKポイントで離散フーリエ変換し、SM部15は、Kポイントで離散フーリエ変換されたデータをサブキャリアマッピングし、M−IFFT16は、サブキャリアマッピングされたデータをMポイント(K<M)で逆離散フーリエ変換する。
符号化部11、インタリーバ12、変調部13は、従来のものと同様の構成である。
【0034】
[サブキャリアマッピング(SM)部15:図3]
次に、SM部15の構成について図3を参照しながら説明する。図3は、サブキャリアマッピング部の概略構成図である。
SM部15は、図3に示すように、シリアル/パラレル変換部(S/P)141と、Kポイント離散フーリエ変換部(FK:K−FFT)142と、サブキャリアマッピング処理部(D:Subcarrier Mapping)143と、Mポイント逆離散フーリエ変換部(FHM:M−IFFT)144と、パラレル/シリアル変換部(P/S)145とを備えている。
【0035】
[SM部15の各部]
S/P141は、i番目のユーザの変調データ源(Mod. Data Source)を入力し、シリアル信号をパラレル信号に変換し、K−FFT142に出力する。
K−FFT142は、S/P141からの出力をKポイントで離散フーリエ変換し、サブキャリアマッピング処理部143に出力する。尚、後述するように、複数ユーザに対応するために、Kポイント数は、Mポイント数より少なくなくてはならない。
【0036】
サブキャリアマッピング処理部143は、K−FFT142で離散フーリエ変換された信号をサブキャリアマッピング処理し、M−IFFT144に出力する。
M−IFFT144は、サブキャリアマッピング処理部143からの出力をMポイントで逆離散フーリエ変換し、P/S145に出力する。
P/S145は、M−IFFT144からの出力をパラレル信号からシリアル信号に変換して出力する。P/S145からの出力は、チャネルとして送信される。
SM部15における具体的な処理は、後述する。
【0037】
[受信装置:図4]
次に、本システムにおける受信装置の構成について図4を参照しながら説明する。図4は、受信装置の構成ブロック図である。
受信装置は、図4に示すように、アンテナ21と、J行列乗算部(J)22と、加減算器23と、Mポイント離散フーリエ変換部(M−FFT)24と、復調部(DeMod,MMSE)25と、サブキャリアデマッピング部(Subcarrier De-Mapping)26と、Kポイント逆離散フーリエ変換部(K−IFFT)27と、ユーザデータ記憶部(user)28と、デインタリーバ(Πi-1:Deinterleaver)29と、復号化部(Decoder)30と、加減算器31と、インタリーバ(Πi)32と、変調部(Mod)33と、Kポイント離散フーリエ変換部(K−FFT)34と、サブキャリアマッピング部(Subcarrier Mapping)35と、Mポイント逆離散フーリエ変換部(M−IFFT)36と、チャネル推定部(channel estimator)37と、乗算器38と、J行列乗算部(J)39とから構成されている。
【0038】
サブキャリアデマッピング26は、現在、過去、未来に対応してサブキャリアデマッピング(Subcarrier De-Mappingi)26cと、サブキャリアデマッピング(Subcarrier De-Mappingi-1)26aと、サブキャリアデマッピング(Subcarrier De-Mappingi+1)26bとを備えている。
同様に、K−IFFT27とuser28も、現在、過去、未来に対応して設けられている。
尚、加算器23,M−FFT24、復調部25、サブキャリアデマッピング部26、K−FFT34、サブキャリアマッピング部35、M−IFFT36、チャネル推定部37、乗算器38、J行列乗算部39を「SC−FDMA方式の連結ターボ等化器(CHATUE SC−FDMA)」と称する。
【0039】
復号化部30は、図中では、以下のように表している。
【数2】
【0040】
[受信装置の各部]
アンテナ21は、送信装置からの信号を受信する。
J行列乗算部(J)22は、受信した信号についてチャネル行列Hを巡回行列に変換するためにJ行列を乗算する。受信されたフレームの全シンボルのサンプル値から構成されるベクトルに対してJ行列を乗算すると、等価的にチャネルに巡回性を持たせることが可能となる。
【0041】
加減算器23は、過去のLLR(対数尤度比:Log-Likelihood Ratio)と未来のLLRを加減算して、過去と未来フレームを構成する各ビットのLLRをフィードバックし、過去と未来フレームからの干渉成分を除去する。
例えば、第1のユーザについて未来のLLR'i+1、現在のLLR'i、過去のLLR'i-1が入力され、第2のユーザについて未来のLLR"i+1、現在のLLR"i、過去のLLR"i-1が入力され、ユーザ毎に受信処理が為されるようになっている。
また、加減算器23は、J行列乗算部39からの出力を入力し、J行列乗算部22からの出力から減算する処理も行う。
【0042】
M−FFT24は、加減算器23からの出力をMポイントで離散フーリエ変換し、復調部25に出力する。
復調部25は、チャネル推定部37で推定された回線毎(ユーザ毎)に復調処理を行い、サブキャリアデマッピング部26に出力する。
【0043】
サブキャリアデマッピング部26は、送信装置で為されたサブキャリアマッピングとは逆のサブキャリアデマッピングを行い、ユーザ毎に現在、過去、未来のフレーム信号を出力する。
つまり、サブキャリアデマッピング部26は、S/P変換部、Mポイント離散フーリエ変換部、サブキャリアデマッピング処理部、Kポイント逆離散フーリエ変換部、P/S変換部を備えており、サブキャリアデマッピング処理がサブキャリアにマッピングしたデータを元に戻す処理となる。尚、ポイント数は、K<Mの関係である。
サブキャリアデマッピング部26では、後述するように、オリジナルなCHATUEアルゴリズムをSC−FDMA方式に改良したアルゴリズムを用いる。
【0044】
K−IFFT27は、現在、過去、未来のフレーム信号を入力し、各々逆離散フーリエ変換を行い、ユーザ記憶部28に出力する。
ユーザ記憶部28は、逆離散フーリエ変換されたデータを現在、過去、未来毎に記憶して、デインタリーバ29に出力する。
【0045】
各ユーザのフレームで生じる符号間干渉は、それらに対するターボループから構成されるデコーダから出力される、現在のフレームを構成する各ビットの事後対数尤度比からそれら期待値を求め、これにチャネル行列を乗算することで推定できる。
【0046】
デインタリーバ29は、ユーザ記憶部28に記憶された現在、過去、未来のデータを入力し、デインタリーブを行い、復号化部30と加減算器31に出力する。
復号化部30は、デインタリーバ29からのデータを復号し、加減算器31に出力する。
加減算器31は、復号化部30からのデータからデインタリーバ29からの出力データを減算し、インタリーバ32に出力する。
【0047】
インタリーバ32は、加減算器31からの出力をインタリーブし、変調部33に出力する。
変調部33は、インタリーブされたデータを変調し、K−FFT34に出力する。
K−FFT34は、復調されたデータをKポイント(M>K)で離散フーリエ変換を行い、サブキャリアマッピング部35に出力する。
サブキャリアマッピング部35は、K−FFT34からの出力をサブキャリアマッピングしてM−IFFT36に出力する。
M−IFFT36は、サブキャリアマッピング部35からの出力をMポイントで逆離散フーリエ変換して乗算器38に出力する。
【0048】
チャネル推定部(Channel Estimator)37は、チャネル(回線)を推定し、サブキャリアマッピング部35でサブキャリアマッピングされ、Mポイント逆離散フーリエ変換されたデータをチャネルH行列とするための行列式を乗算器38に出力する。
乗算器38は、M−IFFT36からの出力とチャネル推定部37からの行列式を乗算し、J行列乗算部(J)39に出力する。
J行列乗算部(J)39は、乗算器38から出力されたチャネルH行列にJ行列を乗算し、加減算器23に出力する。
【0049】
[連結ターボ等化(Chained turbo equalization):図5]
次に、受信装置で為される処理を明確に具体化したのが図5のターボ等化の構成である。本実施の形態に係るターボ等化の構成について図5を参照しながら説明する。図5は、本実施の形態に係るターボ等化器の構成ブロック図である。
図5に示すのは、SC−FDMA方式に対する連結ターボ等化処理(Chained Turbo Equalization:CHATUE)を実現するターボ等化器である。
【0050】
図5のターボ等化器は、過去、現在、未来に対応する3つの等化器Ei,t-1,Ei,t,Ei,t+1と、3つの復号器C-1i,t-1,C-1i,t,C-1i,t+1と、2つの遅延部(τ)と、現在のフレームにおいて1つの加減算器を備えている。
【0051】
遅延部(τ)により、受信信号を現在と過去のフレームに分離し、復号化器からのフィードバックのデータを同じフレームの等化器だけでなく、隣接する等化器にもフィードバックすることで、隣接するフレーム(過去と未来のフレーム)を構成する各ビットの事後LLRを用いて、それらから発生するブロック間干渉を推定し、隣接するフレームからのブロック間干渉成分を現在のフレームから除去する。
【0052】
[送信装置の動作]
次に、本システムの送信装置における処理動作について説明する。
送信装置では、情報ビットが符号化部11で符号化され、インタリーバ12でインタリーブされ、変調部13で変調され、信号ベクトルを取得する。
ここで、信号ベクトルは、以下のように表され、iは、ユーザインデックスであり、tは、現在のブロックを表している。
【0053】
【数3】
【0054】
そして、SM部15で行列Diによるサブキャリアマッピングを行うと、情報ビットは、周波数選択性のある準静的なレイリー(Rayleigh)マルチパスフェージングチャネルで伝送される。
行列Jを掛け合わせることにより、等価的ブロック表現を用いた場合の現在チャネル行列Hi,tのテプリッツ(Toeplitz)構造は、巡回行列JHi,tに変換することができる。
受信コンポジット信号は、以下の式(1)のように表すことができる。
【0055】
【数4】
【0056】
ここで、rは、以下の式(2)で表され、iはユーザインデックスを、Uはユーザの数を意味している。
【数5】
【0057】
サブキャリアマッピングなしで、等価的な信号ベクトルは、過去、現在、未来のシンボルと、行列Jの構成と同様に対応する等価的ブロックに関するチャネル行列に伝送される。
ここで、過去、現在、未来のシンボルとチャネル行列は、以下のように表される。
【0058】
【数6】
【0059】
SC−FDMA方式の本システムは、各ユーザのサービスの質(QoS)の要求とチャネルの周波数特性に応じて、周波数割り当て行列Diの次元とその構造を変化させる。各ユーザのQoS要求は、複数ブロック間で変化しないので、Diは、過去、現在、未来のブロックと同じであると仮定することには妥当性がある。
【0060】
MポイントIFFT144で用いられる行列FMは、サイズがKポイントFFT142で用いられる行列FKより大きいものである。FFTの行列FMは、ユニタリ行列である。ここで、(・)Hは、行列エルミート演算を示し、nは、共分散σ2におけるゼロ平均の複素付加白色ガウス雑音ベクトルである。
ユニタリ行列で表すと、以下のようになる。
【0061】
【数7】
【0062】
[CHATUEアルゴリズム]
本システムで採用されているSC−FDMA方式に対するCHATUEアルゴリズムについて、ソフトキャンセレーションと等化器出力の観点から説明する。
[ソフトキャンセレーション]
受信信号のソフトレプリカを組み立てて、過去、現在、未来のシンボルそれぞれのソフトウェアによる評価(ソフト評価)を以下の式(3)のように行う。
【0063】
【数8】
【0064】
上述のように、チャネル行列と割り当て行列は、受信装置で既知であると仮定することには妥当性がある。
ユーザiに対する現在、過去、未来におけるk番目のシンボルのソフト評価は、以下の式(4)、式(5)、式(6)で与えられる。
【0065】
【数9】
【数10】
【数11】
【0066】
この場合、BPSK(Binary Phase Shift Keying)変調が用いられる。
図5に示したように、過去と未来の等化器に対する事前LLRは、過去と未来のブロックの復号器の事後LLRとそれぞれ等価であることに注目すべきである。
ここで、過去と未来の等化器と、過去と未来のブロックは、以下のように表される。
【0067】
【数12】
そして、以下の式(7)の関係になる。
【0068】
【数13】
【0069】
ISI(Inter-Symbol Interference)とIBI(Inter-Block-Interference)コンポーネントのソフトキャンセレーションを実行したことで、その残りは、以下の式(8)となる。
【数14】
【0070】
ISIとIBIのコンポーネントの残りは、後述する最小二乗誤差(MMSE)アルゴリズムによって更に抑制される。
【0071】
受信装置において、サブキャリアデマッピングの実行によって、i番目のユーザの信号は、以下の式(9)のように分離される。
【数15】
【0072】
ユーザiに焦点を当てると、現在のシンボルの残りは、以下の式(10)で与えられる。
【数16】
【0073】
上述したように、JHi,tは、巡回行列である。それ故に、以下の式(11)とすることができる。
【数17】
【0074】
つまり、サブキャリアマッピング行列Diは直交行列、行列FMJHi,tFMHは対角行列であるので、チャネル行列の周波数領域の構造は変化しない。このため、行列Φは、対角行列になる。
最終的には、等価チャネル行列−Hi,t(「−」はバーを表している)は、巡回行列であり、それ故に、FD/SC−MMSE等化アルゴリズムの有益な点として利用できる。
【0075】
ソフトキャンセレーションの後に、以下の式(12)のように、k番目のシンボルに対する復元項が追加される。
【数18】
ここで、等価チャネル行列とk番目の列ベクトルは、以下のように表される。
【0076】
【数19】
【0077】
[等化器出力]
等化結果は、以下の式(13)のベクトルzの形で得られる。
【数20】
【0078】
ここで、Γは、以下の式(14)で表される。
【数21】
【0079】
更に、Si,tは、以下の式(15)のとおりである。
【数22】
【0080】
周波数領域の共分散行列Xは、以下の式(16)のとおりである。
【数23】
ここで、σは、ノイズコンポーネントが追加された残留干渉の共分散行列である。
【0081】
[EXIT解析]
EXITチャートが、等化器と復号器から構成されるターボ等化の収束特性を解析するために用いられている。過去と未来のシンボルからLLRを提供する効果について研究を行った。
【0082】
[EXITチャート:図6]
EXIT解析について図6を参照しながら説明する。図6は、CHATUEアルゴリズムのEXITチャートを示す図である。
EXITチャートは、図6に示すように、「0」か「1」を出力する過去と未来のデコーダからフィードバックされた相互情報量(MI:Mutual Information)を設定することで、EXIT曲線の下限と上限が、それぞれ求められる。
【0083】
図6には、過去と未来のデコーダから相互情報量をフィードバックすることで、現在のフレームに対するEXIT曲線のスタックを避けるために等化器のEXITカーブが上昇できることが示されている。隣接ブロックからのLLRフィードバックがなければ、ポイントPで交差が起こり、LLRフィードバックがあれば、ポイントQまで上昇でき、従って、性能が改善する。
【0084】
[複雑さ低減アルゴリズム]
式(13)における逆行列X-1に対する複雑さ低減アルゴリズムについて説明する。
行列Xは、行列Aと行列Bの2つに分けることができる。ここで、行列Aは、現在のブロックにおける残留干渉の共分散行列を意味し、行列Bは、過去と未来のコンポーネントのそれぞれにおけるノイズからの残留干渉コンポーネントの共分散行列を意味している。
【0085】
[共分散行列の形状:図7]
一般的なFD/SC−MMSEは、図7におけるAの巡回行列特性を引き出すものであるが、図7におけるBは構造化されていない。最初に、図7に示すBの密度を観察する。図7は、共分散行列の形状を示す図である。
【0086】
行列Aは、以下のXが以下のYに近似することを利用して対角行列で近似される。
【0087】
【数24】
【0088】
行列Bの中央部分と見なされる対角及び近似する対角部分は、図7に示す密度を考慮して最も重要な情報を含んでいる。それ故に、ブロック毎に行列反転を用いることで、帯行列(Band Matrix)近似を用いて行列Bを近似することを提案できる。以下の式(17)のようになる。
【0089】
【数25】
【0090】
[BER特性:図8]
行列A-1とB-1が得られると、X-1=(A+B)-1は行列反転の補助定理を用いることで容易に計算できる。
BER(Bit Error Rate)の特性について図8を参照しながら説明する。図8は、BER特性を示す図である。図8では、現実のものと行列X-1で近似したものについてのBER特性が示されている。
【0091】
図8に示すように、複雑さと性能はトレードオフの関係にある。対角行列(diag(B))のみが用いられる場合のケースに対応した「バンド0」、対角と低い側及び高い側の1オフ対角線のみが用いられるケースに対応した「バンド1」があり、「バンド2」は同様に定義される。
【0092】
[パラメータ設定テーブルI:図9]
近似の正確性を証明するために、図9に示すテーブルIに示すパラメータによって、性能のシミュレーションが為された。図9は、パラメータ設定テーブルを示す図である。
BER曲線が、図8に示すように、シミュレーションの結果として得られた。バンド0と近似なし(exact)との差は非常に小さい(0.6dB)から、バンド0(対角)近似のみを用いて、以下の性能比較を説明する。
【0093】
[性能比較]
シミュレーションでは、100万情報ビットが伝送されることを検討した。SNRが以下の式(18)で与えられることに注目すべきである。
【数26】
【0094】
ここで、MとKは、図3に示したFFT/IFFTのサイズであり、Lは、パス長である。CP伝送に注目すると、CP長は、Lと等しく設定されることが予測できる。更に、CHATUEアルゴリズムを用いる場合、CPは伝送されず、故にLはゼロに設定される。
【0095】
[CHATUEのBER特性:図10]
SC−FDMA方式に対するCHATUEアルゴリズム(CHATUE−SC−FDMA)のBER特性について図10を参照しながら説明する。図10は、CHATUE−SC−FDMAのBER特性を示す図である。図10では、2ユーザの例で説明している。
CHATUE−SC−FDMAは、FD/SC−MMSE等化において、従来のCP伝送を行うSC−FDMA方式(CP−SC−FDMA)とほぼ同様の性能を達成することができる。
【0096】
提案されたCHATUEアルゴリズムは、SC−FDMAにおけるIBIを完全に消去することができる。従来のCP−SC−FDMAシステムでは、シミュレーションによると、CP長が64であり、ブロック長が512である。しかしながら、低いレートの符号を用いて、誤り保護に対してより冗長なビットを伝送するために、CP使用時間を用いるならば、CHATUEアルゴリズムは、L/M(CP長/ブロック長)の比率をゼロに、電力効率を改善できる。
【0097】
[ブロック長比較:図11]
次に、本システムのCHATUE−SC−FDMAと従来のCP−SC−FDMAのブロック長の比較について図11を参照しながら説明する。図11は、本システムと従来のシステムにおけるブロック長比較図である。
FD/SC−MMSEにおける従来のCP−SC−FDMAと本システムのCHATUE−SC−FDMAは、図11に示すように、同じブロック長で性能を評価できる。
【0098】
CHATUE−SC−FDMAと同様に情報ビットレートを維持するために、同じメモリ長にCP伝送を用いたFD/SC−MMSEに対するパンクチャード符号化を行うと、以下の式(19)が導き出される。
【数27】
ここで、Nは、符号化の前のデータのサイズを示している。そして、パンクチュアリングパターンPは以下の式(20)を用いる。
【0099】
【数28】
【0100】
[FFT/IFFTサイズパラメータテーブルII:図12]
次に、CP−SC−FDMAFDとCHATUE−SC−FDMAにおけるFFT/IFFTのサイズに関するパラメータについて図12を参照しながら説明する。図12は、FFT/IFFTサイズパラメータテーブルを示す図である。図12において、CP比は1/8としている。
【0101】
図12に示すように、CP−SC−FDMAFDのFFT/IFFTサイズは、K=224、M=448であり、CHATUE−SC−FDMAのFFT/IFFTサイズは、K=256、M=512である。
また、パンクチュアリングパターンPは、図12のテーブルIIに示すケースに対応する上記2つのスキームの情報ビットレートを調整するためのものである。
【0102】
CHATUE−SC−FDMAの有益な点は、CP伝送する必要なく、利用可能な使用時間を活用することにより、より低いレートの符号化(強い符号)を利用することができることである。
【0103】
[誤り特性:図13]
次に、CHATUE SC−FDMAのアルゴリズムとFD−SC/MMSEを用いたSC−FDMAとを、誤り特性で比較する。図13は、誤り特性の比較図である。図13において反復数は2である。
図13に示すように、本システムのCHATUE SC−FDMAは、CP−SC−FDMAFDに比べて、同じ情報レートを維持するのであれば、良好な性能を得ることができる。
【0104】
補足として、SC−FDMA MMSEに対するMMSEアルゴリズムについて説明を追加しておく。SC−FDMA MMSEの重みは、以下の式(21)により与えられる。
【数29】
【0105】
偏導関数をとることで、式(22)が得られる。
【数30】
【0106】
ここで、キャリアレベル共分散行列は、以下の式(23)によって与えられる。
【数31】
【0107】
FD/SC−MMSE z(k)の出力は、以下の式(24)で表される。
【数32】
ここで、γ(k)は、以下の式(25)に、Σは、以下の式(26)になる。
【数33】
【数34】
【0108】
ベクトルzについてkでz(k)を解くと、シンボルに関するzは、以下の式(27)で表される。
【数35】
このzに式(11)を再現すると、式(28)となる。
【数36】
【0109】
[実施の形態の効果]
本システムによれば、本来のCHATUEアルゴリズムに重要な変更を加えることで、SC−FDMA方式にCHATUEコンセプトを適用したものである。
これにより、CHATUEアルゴリズムが、厳しい計算上の複雑さの要求なしに、優れたISIとIBIのキャンセレーションの性能を達成できることが示された。
【0110】
SC−FDMA方式に対するCHATUEとCP伝送の比較は、BERとSNRの対比に関して、同等の性能を備えることが確認された。
これは、情報ビットレートを一定に保つのであれば、電力効率における改善が、CP伝送の必要性を排除することで達成できることを示している。
【0111】
逆に、更なる情報シンボルを伝送するために、CPを除去したことで利用可能となった使用時間を使用するのであれば、提案した技術でより高いスペクトラム効率が期待できる効果がある。
また、本システムは、SC−FDMA方式をアップリンクで採用する次世代無線通信システムにも有効に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、複数のユーザに対応できるサブキャリアマッピングを行い、かつ、CP伝送を不要とすることで電力効率と周波数利用効率を低下させることがないSC−FDMA方式の無線システムに好適である。
【符号の説明】
【0113】
11…符号化部(Ci)、 12…インタリーバ(Πi)、 13…変調部(Mod)、 14…Kポイント離散フーリエ変換部(K−FFT)、 15…サブキャリアマッピング(SM:Subcarrier Mapping)部、 16…Mポイント逆離散フーリエ変換部(M−IFFT)、 17…アンテナ、 21…アンテナ、 22…J行列乗算部(J)、 23…加減算器、 24…Mポイント離散フーリエ変換部(M−FFT)、 25…復調部(DeMod,MMSE)と、26…サブキャリアデマッピング部(Subcarrier De-Mapping)、 27…Kポイント逆離散フーリエ変換部(K−IFFT)、 28…ユーザデータ記憶部(user)、29…デインタリーバ(Πi-1)、 30…復号化部(Ci-1)、 31…加減算器、 32…インタリーバ(Πi)、 33…変調部(Mod)、 34…Kポイント離散フーリエ変換部(K−FFT)、 35…サブキャリアマッピング部(Subcarrier Mapping)、 36…Mポイント逆離散フーリエ変換部(M−IFFT)、 37…チャネル推定部(channel estimator)、 38…乗算器、 39…J行列乗算部(J)、 141…シリアル/パラレル変換部(S/P)、 142…Kポイント離散フーリエ変換(FK:K−FFT)、 143…サブキャリアマッピング処理部(D: Subcarrier Mapping)、 144…Mポイント逆離散フーリエ変換部(FHM:M−IFFT)、 145…パラレル/シリアル変換部(P/S)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SC−FDMA方式の無線システムであって、
送信装置が、送信データを符号化する符号化部と、前記符号化されたデータをインタリーブするインタリーバと、前記インタリーブされたデータを変調する変調部と、前記変調されたデータをKポイントで離散フーリエ変換する第1のK−FFT部と、前記第1のK−FFT部から出力されたデータをサブキャリアマッピングするサブキャリアマッピング部と、前記サブキャリアマッピングされたデータを、前記Kポイントより大きい数のMポイントで逆離散フーリエ変換する第1のM−IFFT部とを備え、
前記サブキャリアマッピング部が、
前記変調されたデータをシリアル/パラレル変換するS/P変換部と、
前記シリアル/パラレル変換されたデータをKポイントで離散フーリエ変換する第2のK−FFT部と、
前記第2のK−FFT部からの出力をサブキャリアにマッピングする処理を行うサブキャリアマッピング処理部と、
前記サブキャリアマッピング処理されたデータを、前記Kポイントより大きい数のMポイントで逆離散フーリエ変換する第2のM−IFFT部と、
前記第2のM−IFFT部からの出力をパラレル/シリアル変換するP/S変換部とを有することを特徴とする無線システム。
【請求項2】
SC−FDMA方式の無線システムであって、
受信装置が、
受信した信号を巡回行列に変換するためにJ行列を乗算する第1のJ行列乗算部と、
前記第1のJ行列乗算器からの出力から、現在のフレームに対して過去と未来のフレームに対応する対数尤度を用いてソフトシンボルを作成し、当該ソフトシンボルを減算する第1の加減算器と、
前記第1の加減算器からの出力データをMポイントで離散フーリエ変換するM−FFT部と、
前記M−FFT部からの出力をチャネル毎に復調する復調部と、
前記復調部からの出力を現在、過去、未来のフレームについてサブキャリアデマッピングするサブキャリアデマッピング部と、
前記サブキャリアデマッピング部からの出力データを、現在、過去、未来のフレームについて前記Mポイントより小さい数のKポイントで逆離散フーリエ変換するK−IFFT部と、
前記K−IFFT部からの出力をデインタリーブするデインタリーバと、
前記デインタリーバからの出力データを復号化する復号化部と、
前記復号化されたデータから前記デインタリーブされたデータを減算する第2の加減算部と、
前記第2の加減算部からの出力をインタリーブするインタリーバと、
前記インタリーバからの出力を変調する変調部と、
前記変調部からの出力をKポイントで離散フーリエ変換するK−FFT部と、
前記K−FFT部からの出力をサブキャリアマッピングするサブキャリアマッピング部と、
前記サブキャリアマッピングされたデータを前記Kポイントより大きい数のMポイントで逆離散フーリエ変換するM−IFFT部と、
チャネルを推定し、チャネル行列とするための行列式を出力するチャネル推定部と、
前記M−IFFT部からの出力と前記チャネル推定部からの行列式を乗算し、チャネル行列を出力する乗算器と、
前記乗算器から出力されたチャネル行列を巡回行列に変換するために、J行列を乗算し、ソフトシンボルとして前記第1の加減算器に減算用として出力する第2のJ行列乗算器とを有することを特徴とする無線システム。
【請求項3】
受信装置において、サブキャリアマッピング部は、請求項1記載の送信装置のサブキャリアマッピング部と同様の構成とし、
サブキャリアデマッピング部は、
復調されたデータをシリアル/パラレル変換するS/P変換部と、
前記シリアル/パラレル変換されたデータをMポイントで離散フーリエ変換するM−FFT部と、
前記M−FFT部からの出力をサブキャリアにマッピングする処理を行うサブキャリアマッピング処理部と、
前記サブキャリアマッピング処理されたデータを、前記Mポイントより小さい数のKポイントで逆離散フーリエ変換するK−IFFT部と、
前記K−IFFT部からの出力をパラレル/シリアル変換するP/S変換部とを有することを特徴とする請求項2記載の無線システム。
【請求項4】
サブキャリアデマッピング部は、無線信号における現在のフレームに対して過去と未来のフレームの対数尤度比を取得し、当該対数尤度比を用いてソフトシンボルを作成し、当該ソフトシンボルを第1の加減算器に出力することを特徴とする請求項2又は3記載の無線システム。
【請求項5】
サブキャリアデマッピング部は、サブキャリアマッピング行列がチャネル行列の周波数領域構成において変化しないために対角行列を保持できる性質を利用し、チャネル行列に等価な等価チャネル行列を巡回行列として演算することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか記載の無線システム。
【請求項6】
SC−FDMA方式の無線システムにおける送信方法であって、
送信装置が、符号化、インタリーブ、変調を行い、Kポイントで離散フーリエ変換してサブキャリアマッピング処理を行い、前記Kポイントより大きい数字のMポイントで逆離散フーリエ変換することを特徴とする送信方法。
【請求項7】
SC−FDMA方式の無線システムにおける受信方法であって、
受信装置が、Mポイントで離散フーリエ変換して復調処理を行い、復調されたデータをサブキャリアデマッピング処理し、前記Mポイントより小さい数字のKポイントで逆離散フーリエ変換し、逆離散フーリエ変換されたデータをデインタリーブして、復号化し、復号化データとデインタリーブされたデータとの差分をインタリーブし、インタリーブされたデータを変調して、Kポイントで離散フーリエ変換し、離散フーリエ変換されたデータをサブキャリアマッピングして、前記Kポイントより大きい数字のMポイントで逆離散フーリエ変換し、推定されたチャネルのチャネル行列になるよう行列式を乗算し、乗算されたデータをソフトシンボルとして受信信号から減算することを特徴とする受信方法。
【請求項8】
受信装置は、サブキャリアデマッピング処理において、無線信号の現在のフレームに対して過去のフレームと未来のフレームの対数尤度比を取得し、当該対数尤度比を用いてソフトシンボルを作成し、当該ソフトシンボルを受信信号から減算することを特徴とする請求項7記載の受信方法。
【請求項1】
SC−FDMA方式の無線システムであって、
送信装置が、送信データを符号化する符号化部と、前記符号化されたデータをインタリーブするインタリーバと、前記インタリーブされたデータを変調する変調部と、前記変調されたデータをKポイントで離散フーリエ変換する第1のK−FFT部と、前記第1のK−FFT部から出力されたデータをサブキャリアマッピングするサブキャリアマッピング部と、前記サブキャリアマッピングされたデータを、前記Kポイントより大きい数のMポイントで逆離散フーリエ変換する第1のM−IFFT部とを備え、
前記サブキャリアマッピング部が、
前記変調されたデータをシリアル/パラレル変換するS/P変換部と、
前記シリアル/パラレル変換されたデータをKポイントで離散フーリエ変換する第2のK−FFT部と、
前記第2のK−FFT部からの出力をサブキャリアにマッピングする処理を行うサブキャリアマッピング処理部と、
前記サブキャリアマッピング処理されたデータを、前記Kポイントより大きい数のMポイントで逆離散フーリエ変換する第2のM−IFFT部と、
前記第2のM−IFFT部からの出力をパラレル/シリアル変換するP/S変換部とを有することを特徴とする無線システム。
【請求項2】
SC−FDMA方式の無線システムであって、
受信装置が、
受信した信号を巡回行列に変換するためにJ行列を乗算する第1のJ行列乗算部と、
前記第1のJ行列乗算器からの出力から、現在のフレームに対して過去と未来のフレームに対応する対数尤度を用いてソフトシンボルを作成し、当該ソフトシンボルを減算する第1の加減算器と、
前記第1の加減算器からの出力データをMポイントで離散フーリエ変換するM−FFT部と、
前記M−FFT部からの出力をチャネル毎に復調する復調部と、
前記復調部からの出力を現在、過去、未来のフレームについてサブキャリアデマッピングするサブキャリアデマッピング部と、
前記サブキャリアデマッピング部からの出力データを、現在、過去、未来のフレームについて前記Mポイントより小さい数のKポイントで逆離散フーリエ変換するK−IFFT部と、
前記K−IFFT部からの出力をデインタリーブするデインタリーバと、
前記デインタリーバからの出力データを復号化する復号化部と、
前記復号化されたデータから前記デインタリーブされたデータを減算する第2の加減算部と、
前記第2の加減算部からの出力をインタリーブするインタリーバと、
前記インタリーバからの出力を変調する変調部と、
前記変調部からの出力をKポイントで離散フーリエ変換するK−FFT部と、
前記K−FFT部からの出力をサブキャリアマッピングするサブキャリアマッピング部と、
前記サブキャリアマッピングされたデータを前記Kポイントより大きい数のMポイントで逆離散フーリエ変換するM−IFFT部と、
チャネルを推定し、チャネル行列とするための行列式を出力するチャネル推定部と、
前記M−IFFT部からの出力と前記チャネル推定部からの行列式を乗算し、チャネル行列を出力する乗算器と、
前記乗算器から出力されたチャネル行列を巡回行列に変換するために、J行列を乗算し、ソフトシンボルとして前記第1の加減算器に減算用として出力する第2のJ行列乗算器とを有することを特徴とする無線システム。
【請求項3】
受信装置において、サブキャリアマッピング部は、請求項1記載の送信装置のサブキャリアマッピング部と同様の構成とし、
サブキャリアデマッピング部は、
復調されたデータをシリアル/パラレル変換するS/P変換部と、
前記シリアル/パラレル変換されたデータをMポイントで離散フーリエ変換するM−FFT部と、
前記M−FFT部からの出力をサブキャリアにマッピングする処理を行うサブキャリアマッピング処理部と、
前記サブキャリアマッピング処理されたデータを、前記Mポイントより小さい数のKポイントで逆離散フーリエ変換するK−IFFT部と、
前記K−IFFT部からの出力をパラレル/シリアル変換するP/S変換部とを有することを特徴とする請求項2記載の無線システム。
【請求項4】
サブキャリアデマッピング部は、無線信号における現在のフレームに対して過去と未来のフレームの対数尤度比を取得し、当該対数尤度比を用いてソフトシンボルを作成し、当該ソフトシンボルを第1の加減算器に出力することを特徴とする請求項2又は3記載の無線システム。
【請求項5】
サブキャリアデマッピング部は、サブキャリアマッピング行列がチャネル行列の周波数領域構成において変化しないために対角行列を保持できる性質を利用し、チャネル行列に等価な等価チャネル行列を巡回行列として演算することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか記載の無線システム。
【請求項6】
SC−FDMA方式の無線システムにおける送信方法であって、
送信装置が、符号化、インタリーブ、変調を行い、Kポイントで離散フーリエ変換してサブキャリアマッピング処理を行い、前記Kポイントより大きい数字のMポイントで逆離散フーリエ変換することを特徴とする送信方法。
【請求項7】
SC−FDMA方式の無線システムにおける受信方法であって、
受信装置が、Mポイントで離散フーリエ変換して復調処理を行い、復調されたデータをサブキャリアデマッピング処理し、前記Mポイントより小さい数字のKポイントで逆離散フーリエ変換し、逆離散フーリエ変換されたデータをデインタリーブして、復号化し、復号化データとデインタリーブされたデータとの差分をインタリーブし、インタリーブされたデータを変調して、Kポイントで離散フーリエ変換し、離散フーリエ変換されたデータをサブキャリアマッピングして、前記Kポイントより大きい数字のMポイントで逆離散フーリエ変換し、推定されたチャネルのチャネル行列になるよう行列式を乗算し、乗算されたデータをソフトシンボルとして受信信号から減算することを特徴とする受信方法。
【請求項8】
受信装置は、サブキャリアデマッピング処理において、無線信号の現在のフレームに対して過去のフレームと未来のフレームの対数尤度比を取得し、当該対数尤度比を用いてソフトシンボルを作成し、当該ソフトシンボルを受信信号から減算することを特徴とする請求項7記載の受信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−70196(P2012−70196A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212899(P2010−212899)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(304024430)国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学 (169)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(304024430)国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学 (169)
【Fターム(参考)】
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