説明

無線セルラー通信ネットワークにおいて移動端末のハンドオーバーを行わなければならないハンドオーバー先の無線通信デバイスを決定するための方法及びデバイス、並びに該方法のコンピュータープログラム

【課題】移動端末のハンドオーバーを行わなければならないハンドオーバー先の無線通信デバイスを効率良く決定する。
【解決手段】複数の無線セルラー通信デバイスは同じ物理セル識別子を移動端末へ転送する。無線セルラー通信デバイスは、少なくとも1つの測定報告を移動端末から受信し、受信された測定報告から、少なくとも別の無線通信デバイスによって転送された物理セル識別子と同じ物理セル識別子を転送する無線通信デバイスへ移動端末のハンドオーバーを行わなければならないと判断する。判断するステップにおいて、同じ物理セル識別子を転送する無線通信デバイスのリストを取得し、フィンガープリントテーブルを使用して、同じ物理セル識別子を転送する無線通信デバイスのリストを縮小し、ハンドオーバー先の無線通信デバイスを判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には、無線セルラー通信ネットワークにおいて移動端末のハンドオーバーを行わなければならないハンドオーバー先の無線通信デバイスを決定するための方法及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の無線セルラー通信ネットワークでは、各基地局は、自身のセルのそれぞれについて又は自身の1つ又は複数のセルの各セクターについて、物理セル識別子(physical cell identity)(PCID)のような識別子を有する。PCIDは、物理層における基地局のセル又はセクターを特徴付ける。
【0003】
例えば、PCIDは、2つのシーケンス、すなわち、
1次同期チャネル(Primary Sychronisation Channel)(PSC)で転送されるPSCシーケンス又は1次同期信号(Primary Synchronisation Signal)(PSS)と呼ばれる第1のシーケンスと、
2次同期チャネル(Secondary Sychronisation Channel)(SSC)で転送されるSSCシーケンス又は2次同期信号(Secondary Synchronisation Signal)(SSS)と呼ばれる第2のシーケンスとに関連付けられる。
【0004】
無線セルラー通信ネットワークでは、3つのPSCシーケンスが利用可能であり、各PSCシーケンスは良好な時間自己相関特性(time auto-correlation properties)を有する。
【0005】
PSCシーケンスは、PCID識別に加えて、粗い同期に使用することもでき、SSCシーケンスのコヒーレント検出を可能にするチャネル推定に使用することもできる。SSCシーケンスは、PCID識別に加えて、同期の微調整にも使用することができる。
【0006】
3つのPSCシーケンスは、3つの異なる同期されたセルの効率的な時間同期を確保するために準直交である。
【0007】
168個のSSCシーケンスが無線セルラー通信ネットワークで利用可能であり、各SSCシーケンスは、他のSSCシーケンスと低い相互相関を有する。
【0008】
上述した例によれば、PCIDの総数は、この場合、504に等しい。
【0009】
基地局は、PCIDに加えて、セルグローバル識別子(CGI(cell global identifier))と呼ばれる別の識別子をブロードキャストする。CGIは、無線セルラー通信ネットワークの中で基地局のセル又はセクターを一意に識別するものである。CGIがデータとして転送されるとともに完全同期及び復号を必要とすることから、CGIの取得は移動端末にとってPCIDよりも複雑である。
【0010】
実際には、隣接した基地局から受信されたPCID信号強度を移動端末において監視することにより、システムは、最良の信号強度の基地局に移動端末の通信をハンドオーバーすることを判定することができる。
【0011】
概略的に言うと、移動端末は、測定値及び対応するPCIDを、自身をサーブする基地局に報告する。基地局は、選択されたPCIDによって識別される基地局への移動端末のハンドオーバーに進むことが有益であると判定する。基地局は、ハンドオーバー要求をターゲット基地局へ転送する。ハンドオーバーが受理された場合、リソースがターゲット基地局において割り当てられ、基地局は、ターゲット基地局にハンドオーバーするように移動端末に依頼する。移動端末は、ターゲット基地局への接続を試み、成功した場合に、ソース基地局におけるリソースが解放される。パス切り替えは、移動端末を対象としたデータをターゲット基地局にリダイレクトするように行われる。
【0012】
通常のマクロセルの配備では、どのセルもその2つの隣接セルが2つの異なるPCIDを必ず有するように、PCIDの個数は十分多くある。したがって、ソース基地局は、送信されたPCID信号とターゲット基地局のセルとの間の1対1のマッピングテーブルでターゲット基地局のセルを一意に識別することができる。
【0013】
今日、無線セルラー通信ネットワークは、大規模に配備されているが、いくつかのエリアは依然として無線セルラー通信ネットワークの基地局によってカバーされていない。
【0014】
基地局によって放射された信号が減衰されすぎた場合、無線セルラー通信ネットワークへのアクセスは、建物内に位置する移動端末には可能でないことがある。
【0015】
今日、解決法が提案されている。ホーム基地局又はフェムト基地局若しくはピコ基地局のような特定の無線通信デバイスは、少なくとも建物内においてカバレッジエリアを提供する。中継器も考慮される。
【0016】
一定のカバレッジエリアサイズ縮小及びスペクトル効率増加によって、ホーム基地局及び/又は中継器の量が非常に重要となってきており、PCIDの個数が少なすぎる状況が起こるおそれがある。
【0017】
多数のホーム基地局を備える異種ネットワークでは、基地局は、自身のカバレッジエリアのもとで、いくつかのホーム基地局が同じPCIDを送信する状況に直面する場合がある。隣接関係表は、もはやPCIDとターゲット基地局又はホーム基地局のセルとの間の1対1マッピングではなくなる。この状況は、ソース基地局が、ハンドオーバー手順において、ターゲットセルをPCIDから一意に識別することができず、したがってターゲット基地局又はターゲットホーム基地局を一意に識別することができないので、PCID混乱(PCID confusion)と呼ばれる。
【0018】
この問題に対処するために、同じPCIDを共有する隣接した見込みターゲットセルの個数と同数のハンドオーバー手順を起動することが提案された。各見込みターゲットホーム基地局又は各見込みターゲット基地局においてリソースが割り当てられ、これによって、移動端末は、同じPCIDを共有するターゲットセルへデータを転送することが可能になる。見込みターゲットセルの1つを通じてデータが移動端末から受信されると、データが移動端末から受信される際に通るセルを管理するホーム基地局又は基地局が、ハンドオーバーを行わなければならないハンドオーバー先のホーム基地局又は基地局として選択される。他のホーム基地局又は基地局によって割り当てられたリソースは解放される。
【0019】
このような解決法は、実施するのに複雑であり、多くのホーム基地局のリソースが不要に割り当てられる。
【0020】
PCID混同を解決するために提案された別の解決法では、基地局又はホーム基地局は、CGIを受信して復号するように移動端末に要求する。
【0021】
これによって、追加の遅延が必要とされ、ハンドオーバー性能が減少するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】米国特許第6,285,874号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明は、ホーム基地局又は中継器のような無線通信デバイスが配備される無線セルラー通信ネットワークにおいて、より効率的なリソースの使用を可能にする解決法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
このために、本発明は、無線セルラー通信ネットワークにおいて、移動端末のハンドオーバーを行わなければならないハンドオーバー先の無線通信デバイスを決定するための方法であって、複数の無線セルラー通信デバイスが同じ物理セル識別子を移動端末へ転送し、
該方法は、
移動端末によって測定された信号に関する少なくとも1つの測定報告を受信するステップと、
少なくとも1つの測定報告から、少なくとも別の無線通信デバイスによって転送された物理セル識別子と同じ物理セル識別子を転送する無線通信デバイスへ移動端末のハンドオーバーを行わなければならないと判断するステップと、
同じ物理セル識別子を転送する無線通信デバイスのリストを取得するステップと、
フィンガープリントテーブル及び少なくとも1つの測定報告を使用して、同じ物理セル識別子を転送する無線通信デバイスのリストを縮小するステップと、
無線通信デバイスの縮小されたリストに属する少なくとも1つの無線通信デバイスへ移動端末のハンドオーバーを開始するステップと、
を含むことを特徴とする、方法に関する。
【0025】
本発明はまた、無線セルラー通信ネットワークにおいて、移動端末のハンドオーバーを行わなければならないハンドオーバー先のターゲット無線通信デバイスを決定するためのデバイスであって、複数の無線セルラー通信デバイスが同じ物理セル識別子を移動端末へ転送し、
該デバイスは、
移動端末によって測定された信号に関する少なくとも1つの測定報告を受信する手段と、
少なくとも1つの測定報告から、少なくとも別の無線通信デバイスによって転送された物理セル識別子と同じ物理セル識別子を転送する無線通信デバイスへ移動端末のハンドオーバーを行わなければならないと判断する手段と、
同じ物理セル識別子を転送する無線通信デバイスのリストを取得する手段と、
フィンガープリントテーブル及び少なくとも1つの測定報告を使用して、同じ物理セル識別子を転送する無線通信デバイスのリストを縮小する手段と、
無線通信デバイスの縮小されたリストに属する少なくとも1つの無線通信デバイスへ移動端末のハンドオーバーを開始する手段と、
を備えることを特徴とする、デバイスに関する。
【0026】
或る特定の特徴によれば、フィンガープリントは、少なくとも1つの測定報告で報告された信号の電力強度に従って順序付けられた若しくは順序付けられていない少なくとも1つの測定報告から取得された物理セル識別子のリスト、又は少なくとも1つの測定報告から取得された物理セル識別子のセットの一部である。
【0027】
したがって、端末によって通例報告される測定以外のメカニズムがなくてもフィンガープリントを取得することができる。
【0028】
或る特定の特徴によれば、フィンガープリントは、物理セル識別子と、マージン係数が適用される関連付けられたデータとを組み合わせたものである。
【0029】
したがって、フィンガープリント比較は柔軟性があり、無線パラメータの変動に適応することができる。
【0030】
或る特定の特徴によれば、少なくとも1つのフィンガープリントが1つの無線通信デバイスに関連付けられる。
【0031】
したがって、異なるロケーションから無線通信デバイスのセルに端末が近づいたときに、フィンガープリントテーブルを正確に使用することができる。
【0032】
或る特定の特徴によれば、フィンガープリントは、該フィンガープリントに含まれる無線デバイスについての更新された情報を考慮することによって、無線通信デバイスのリストを縮小した時に再評価される。
【0033】
したがって、フィンガープリントは、送信電力の変動及び隣接したトポロジの変更に動的に適応することができる。
【0034】
或る特定の特徴によれば、本方法は、ハンドオーバーの結果に応じてフィンガープリントテーブルを更新するステップをさらに含む。
【0035】
したがって、フィンガープリントテーブルは、構成の必要なく動的に構築することができ、セルラー無線通信ネットワークのダイナミクスに追従する。
【0036】
或る特定の特徴によれば、フィンガープリントテーブルの各フィンガープリントに尤度値(likelihood value)が関連付けられており、
無線通信デバイスへのハンドオーバーが成功しなかった場合、該方法は、無線通信デバイスに関連付けられたフィンガープリントに関連付けられた尤度値の信頼度値を減少させるステップをさらに含み、
無線通信デバイスへのハンドオーバーが成功した場合、該方法は、無線通信デバイスに関連付けられたフィンガープリントに関連付けられた尤度値の信頼度値を増加させるステップをさらに含む。
【0037】
したがって、フィンガープリントテーブルは、ハンドオーバー統計に基づいて、隣接したものの変更に円滑に適応する。
【0038】
或る特定の特徴によれば、フィンガープリントの各物理セル識別子は、無線通信デバイスのタイプに応じた重みに関連付けられる。
【0039】
したがって、フィンガープリントは、基地局等の基準によって提供される安定性と、無線通信デバイスという基準のより小さなセルによって与えられる精密さとを組み合わせたものである。
【0040】
或る特定の特徴によれば、ターゲット無線通信デバイスを決定するためのデバイスは、無線セルラー通信ネットワークの基地局又はアクセスゲートウェイに含まれる。
【0041】
さらに別の態様によれば、本発明は、プログラム可能なデバイスに直接ロード可能にすることができるコンピュータープログラムであって、該コンピュータープログラムは、該コンピュータープログラムがプログラム可能なデバイス上で実行されるときに、本発明による方法のステップを実施するための命令又はコードの一部を含む、コンピュータープログラムに関する。
【0042】
コンピュータープログラムに関連する特徴及び利点は、本発明による方法及び装置に関連して上記で説明したのと同じであるため、ここでは繰り返さない。
【0043】
本発明の特徴は、実施形態の一例に関する以下の説明を読むことからさらに明らかになるはずであり、その説明は、添付の図面を参照しながら行なわれる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明が実施される無線セルラー通信ネットワークを表す図である。
【図2】本発明が実施される基地局のアーキテクチャを表す図である。
【図3】本発明が実施されるアクセスゲートウェイのアーキテクチャを表す図である。
【図4】本発明の第1の実現モードによる無線通信デバイス又はアクセスゲートウェイによって実行されるアルゴリズムの一例を開示する図である。
【図5】本発明の第2の実現モードによる無線通信デバイス又はアクセスゲートウェイによって実行されるアルゴリズムの一例を開示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1は、本発明が実施される無線セルラー通信ネットワークを表す。
【0046】
図1には、2つの基地局BS1及びBS2と、無線セルラー通信ネットワークの9個の無線通信デバイスHBS1a、HBS1b、HBS1c、HBS2〜HBS7とが示されている。
【0047】
2つの基地局BS1及びBS2と9個の通信デバイスHBS1a、HBS1b、HBS1c、HBS2〜HBS7とが示されているが、本発明は、異なる個数、例えばより相当数の基地局及び/又は無線通信デバイスが無線セルラー通信ネットワークに存在する場合でも機能することを理解することができる。
【0048】
無線通信デバイスHBSは、例えば家庭に配置される。
【0049】
無線通信デバイスHBSは、例えば、ホーム基地局若しくは中継器、又は中継器及びホーム基地局を組み合わせたものとすることができる。
【0050】
各ホーム基地局は、数百平方メートルに限られたセルカバレッジを有する基地局であって、限定された個数の移動端末が無線セルラー通信ネットワークにアクセスすることを可能にすることができる基地局と同様である。
【0051】
各中継器は、その中継器に関連付けられた移動端末が、無線セルラー通信ネットワークにアクセスすることを可能にすることができる。例えば、中継器は、あたかも従来の基地局又はホーム基地局であるかのように、ダウンリンクチャネルを通じて移動端末へ信号を送信し、移動端末からアップリンクチャネルを通じて信号を受信する。しかしながら、通信ネットワークへの有線接続を有する基地局又はホーム基地局とは異なり、中継器は、基地局又はホーム基地局と無線接続しか有しておらず、通信ネットワークへの中継器の接続は、基地局又はホーム基地局を介して行われる。
【0052】
無線通信デバイスHBSは、自身がそれぞれ管理する、図1には図示しないセルに位置する移動端末によって転送された信号を受信することができる。無線通信デバイスHBSは、自身がそれぞれ管理するセルに位置する移動端末が受信して処理することができる信号を転送する。
【0053】
無線通信デバイスHBS1a、HBS1b、HBS1c、HBS2、HBS3、HBS4、HBS5、HBS6、及びHBS7は、基地局BS1によって管理されるセルAR1に配置されている。
【0054】
簡単にするために、本発明は、各基地局BS又は各無線通信デバイスHBSが単一のセルを管理する一例で説明される。本発明は、少なくとも1つの無線通信デバイスが2つ以上のセルを管理するときにも適用可能である。
【0055】
無線通信デバイスHBS1b、HBS4、及びHBS5は、基地局BS2によって管理されるセルAR2に配置されている。
【0056】
アクセスゲートウェイAGWを無線セルラー通信ネットワークに含めることができる。
【0057】
アクセスゲートウェイAGWは、無線通信デバイスHBSと、無線セルラー通信ネットワークの残りのデバイスとをインターフェースすることができる。
【0058】
アクセスゲートウェイAGWは、基地局BS1又はBS2のセルに配置されたどの無線通信デバイスHBSとハンドオーバーを実行しなければならないのかを判断することができる。
【0059】
本発明では、複数の無線通信デバイスHBSが、自身のそれぞれのセルを識別する同じPCIDを共有することができる。
【0060】
例えば、無線通信デバイスHBS1a、HBS1b、及びHBS1cは、それらのそれぞれのセルを識別する同じPCIDを共有する。
【0061】
例えば、各無線通信デバイスHBS2〜HBS7は、他の無線通信デバイスによって転送されたそれらのセルを識別するPCIDとは異なる、それらのセルを識別するPCIDを移動端末へ転送する。
【0062】
本発明の特定の実現モードによれば、無線通信デバイスHBSの少なくとも一部は、少なくとも2つの物理セル識別情報を転送する。より詳細には、物理セル識別情報の1つのみが、移動端末と交換されるデータをスクランブルするための符号を特徴付けるのに使用され、かつ隣接した無線通信デバイスHBS又は基地局BSの中で物理セル識別情報を転送する無線通信デバイスHBSのセルを識別することを目的とする。他のPCID(複数可)は、多様性をもたらしかつ無線通信デバイスHBSの識別を精緻化するために転送される。
【0063】
基地局BS1及びBS2並びにアクセスゲートウェイAGWは、図1に図示しない通信ネットワークによって互いにリンクされる。
【0064】
無線通信デバイスHBS1a、HBS1b、HBS1c、HBS2〜HBS7は、該無線通信デバイスがホーム基地局である場合に通信ネットワークによってリンクすることができる。
【0065】
この通信ネットワークは、例えば、ISDN(サービス統合デジタル網)ネットワーク等のようなPSTNネットワーク(公衆交換通信ネットワーク)又はパケット交換ネットワークである。
【0066】
本発明によれば、少なくとも1つの基地局BS若しくは少なくとも1つの無線通信デバイスHBS又はアクセスゲートウェイAGWは、
−移動端末によって測定された信号に関する少なくとも1つの測定報告を受信し、
−少なくとも1つの測定報告から、少なくとも別の無線通信デバイスによって転送された物理セル識別子と同じ物理セル識別子を転送する無線通信デバイスへ、移動端末のハンドオーバーを行わなければならないと判断し、
−同じ物理セル識別子を転送する無線通信デバイスのリストを取得し、
−フィンガープリントテーブル及び少なくとも1つの測定報告を使用して、同じ物理セル識別子を転送する無線通信デバイスのリストを縮小し、
−無線通信デバイスの縮小されたリストに属する少なくとも1つの無線通信デバイスへ移動端末のハンドオーバーを開始する。
【0067】
図2は、本発明が実施される基地局のアーキテクチャを表す図である。
【0068】
基地局BSは、たとえば、バス201によって互いに接続される構成要素と、図4又は図5において開示されるようなプログラムによって制御されるプロセッサ200とに基づくアーキテクチャを有する。
【0069】
ここで、基地局BSのアーキテクチャは、プロセッサに基づくのではなく、専用集積回路に基づくことができることに留意しなければならない。
【0070】
バス201は、プロセッサ200を、リードオンリーメモリROM202、ランダムアクセスメモリRAM203、無線インターフェース205及びネットワークインターフェース206にリンクする。
【0071】
メモリ203は、図4又は図5に開示されるようなアルゴリズムに関連するプログラムの変数及び命令を受信するように構成されるレジスタを含む。
【0072】
プロセッサ200は、ネットワークインターフェース206及び無線インターフェース205の動作を制御する。
【0073】
リードオンリーメモリ202は、図4又は図5において開示されるようなアルゴリズムに関連するプログラムの命令を含む。それらの命令は、基地局BSが起動されるときに、ランダムアクセスメモリ203に転送される。
【0074】
基地局BSは、ネットワークインターフェース206を通じて、通信ネットワークに接続され得る。たとえば、ネットワークインターフェース206はDSL(デジタル加入者線)モデム、又はISDN(統合デジタルサービス網)インターフェース等である。
【0075】
基地局BSは、ネットワークインターフェース206を通じて、他の基地局BS、又は無線通信デバイスHBS、又はアクセスゲートウェイ、又は無線セルラー通信ネットワークのコアデバイスへ、メッセージを転送することができる。
【0076】
無線インターフェース205及びネットワークインターフェース206は、基地局BSのリソースであり、移動端末が基地局BSによってサーブされるとき、すなわちリモート通信デバイスとの通信を確立又は受信又は継続するときに無線セルラー通信ネットワークにアクセスするために移動端末が使用され得る。
【0077】
無線インターフェース205は、ダウンリンク送信モジュール及びアップリンク受信モジュールを備える。
【0078】
無線通信デバイスは、図2に開示したアーキテクチャと同様のアーキテクチャを有することに留意しなければならない。
【0079】
図3は、本発明が実施されるアクセスゲートウェイのアーキテクチャを表す図である。
【0080】
アクセスゲートウェイAGWは、たとえば、バス301によって互いに接続される構成要素と、図4又は図5において開示されるようなプログラムによって制御されるプロセッサ300とに基づくアーキテクチャを有する。
【0081】
ここで、コーディネーターのアーキテクチャは、プロセッサに基づくのではなく、専用集積回路に基づくことができることに留意しなければならない。
【0082】
バス301は、プロセッサ300を、リードオンリーメモリROM302、ランダムアクセスメモリRAM303及びネットワークインターフェース306にリンクする。
【0083】
メモリ303は、図4又は図5に開示されるようなアルゴリズムに関連するプログラムの変数及び命令を受信するように構成されるレジスタを含む。
【0084】
プロセッサ300は、ネットワークインターフェース306の動作を制御する。
【0085】
リードオンリーメモリ302は、図4又は図5において開示されるようなアルゴリズムに関連するプログラムの命令を含み、それらの命令は、アクセスゲートウェイAGWが起動されるときに、ランダムアクセスメモリRAM303に転送される。
【0086】
アクセスゲートウェイAGWは、ネットワークインターフェース306を通じて、通信ネットワークに接続される。たとえば、ネットワークインターフェース306はDSLモデム、又はISDNインターフェース等である。
【0087】
ネットワークインターフェース306を通じて、アクセスゲートウェイAGWは、無線セルラー通信ネットワークの無線通信デバイス若しくは基地局BSに、又は図1に示されていない無線セルラー通信ネットワークのコアデバイスに、メッセージを転送する場合がある。
【0088】
図4は、本発明の第1の実現モードによる無線通信デバイス又はアクセスゲートウェイによって実行されるアルゴリズムの一例を開示する。
【0089】
例えば、本アルゴリズムは、移動端末MTを現在サーブしている基地局BS1のプロセッサ200によって実行されるときに開示される。
【0090】
移動端末MTは、基地局BSのリソースを通じてリモート通信デバイスとの通信を確立又は継続することができるときに基地局BSによってサーブされる。
【0091】
ステップS400において、プロセッサ200は、無線通信デバイスHBS1a、HBS1b、及びHBS1cのRAMメモリ203にフィンガープリントテーブルを作成する。
【0092】
例えば、フィンガープリントはPCIDのリストを含む。
【0093】
例えば、無線通信デバイスHBS1aのフィンガープリントは、図1にLocAで示されるロケーションに対応している。
このフィンガープリントは、
基地局BS1によって転送されかつPCIDB1で示される、基地局BS1のセルを識別するPCIDと、
無線通信デバイスHBS1aによって転送されかつPCID1で示される、無線通信デバイスHBS1aのセルを識別するPCIDと、
無線通信デバイスHBS2によって転送されかつPCID2で示される、無線通信デバイスHBS2のセルを識別するPCIDと、
無線通信デバイスHBS3によって転送されかつPCID3で示される、無線通信デバイスHBS3のセルを識別するPCIDとを含む。
【0094】
例えば、無線通信デバイスHBS1bのフィンガープリントは、図1にLocBで示されるロケーションに対応している。
このフィンガープリントは、
基地局BS1によって転送されかつPCIDB1で示される、基地局BS1のセルを識別するPCIDと、
基地局BS2によって転送されかつPCIDB2で示される、基地局BS2のセルを識別するPCIDと、
無線通信デバイスHBS1bによって転送されかつPCID1で示される、無線通信デバイスHBS1bのセルを識別するPCIDと、
無線通信デバイスHBS4によって転送されかつPCID4で示される、無線通信デバイスHBS4のセルを識別するPCIDと、
無線通信デバイスHBS5によって転送されるPCID5及びPCID5’で示される、第1のPCID及び第2のPCIDとを含む。
これらのPCIDの一方、例えばPCID5は、無線通信デバイスHBS5のセルを識別するとともに、移動端末と交換されるデータをスクランブルするための符号を特徴付けるのに使用され、他方は、フィンガープリントの測定において多様性をもたらす目的でのみ転送される。
【0095】
本発明の特定の実現モードによれば、基地局BS又は無線通信デバイスHBSは、フィンガープリントの多様性を増加させるために、所与のセルについて複数のPCIDを並列に転送することができる。
【0096】
例えば、無線通信デバイスHBS1cのフィンガープリントは、図1にLocCで示されるロケーションに対応している。
このフィンガープリントは、
基地局BS1によって転送されかつPCIDB1で示される、基地局BS1のセルを識別するPCIDと、
無線通信デバイスHBS1cによって転送されかつPCID1で示される、無線通信デバイスHBS1cのセルを識別するPCIDと、
無線通信デバイスHBS6によって転送されかつPCID6で示される、無線通信デバイスHBS6のセルを識別するPCIDと、
無線通信デバイスHBS7によって転送されかつPCID7で示される、無線通信デバイスHBS7のセルを識別するPCIDとを含む。
【0097】
各フィンガープリントに含まれるPCIDの順序は、PCIDに対応する信号の受信電力強度の点からの順序を表す場合もあるし、表さない場合もある。
【0098】
フィンガープリントテーブルは、LocA、LocB、及びLocCのフィンガープリントを含む。各フィンガープリントは、複数の測定報告に従って求められる。フィンガープリントは、基地局BS、及び/又は無線通信デバイスHBS、及び/又は移動端末によって転送された複数の測定報告を連結したものとすることができる。
【0099】
例えば、各フィンガープリントは、移動端末によって観測されたPCIDのセットを含むこともできるし、又は最も強い電力で受信されたN個のPCIDを含むこともできる。Nは所定の整数である。
【0100】
例えば、各フィンガープリントは、所与のしきい値を上回る電力で受信されたPCIDのセットを含むこともできるし、或いは受信されたPCIDのセットをその受信信号強度と共に含むこともできる。
【0101】
例えば、各フィンガープリントは、PCIDのセットを、サーブする基地局から到来する信号に対する時間同期ずれ、SINR、パスロス(path loss)及び干渉プロファイル、並びに/又はジオロケーション情報と共に含むことができる。
【0102】
例えば、各フィンガープリントは、PCIDのセットに基づく可変因子の複合体(equation)とすることができる。例えば、HBS1bのフィンガープリントは、PCIDB1 AND PCIDB2 AND PCID1 AND (PCID4 OR (PCID5 AND PCID5’))とすることができる。その例は、1つの無線通信デバイスHBS4又はHBS5が近時にインストールされる場合があるか又はその電源がオン若しくはオフされる場合があることを考慮している。測定報告の転送時に、無線通信デバイスHBS4又はHBS5の電源がオフにされている場合でも、その測定報告に対応するフィンガープリントを見つけることは可能である。
【0103】
各フィンガープリントは、各PCIDについて、そのPCIDに関連付けられたデータを含むことができる。データは、例えば、該データに対して適用されるマージン係数(margin coefficient)を有する受信信号強度、SINRである。
【0104】
例えば、各PCIDは、移動端末によって転送された測定報告とは異なる、或る通信チャネルによって取得されたその無線通信デバイスに関するデータに関連付けることができる。例えば、各PCIDは、そのセルにおいてPCIDを転送する無線通信デバイスによって使用される送信電力に関連付けることができる。
【0105】
各PCIDは、無線通信デバイスのタイプに応じた重みに関連付けることができる。例えば、基地局BS2から到来する信号がホーム基地局HBS2から到来する信号よりも高い信頼度を有することができるので、PCIDB2に関連付けられた重みは、PCID2に関連付けられた重みよりも大きくすることができる。
【0106】
各フィンガープリントは、ソース基地局から特定のターゲットセルへ行われたハンドオーバーが最後に成功した時に移動端末によって観測された状況を表すことができる。
【0107】
各フィンガープリントは、例えばハンドオーバー成功率から取得された尤度値に関連付けることができる。
【0108】
ここで、1つの無線通信デバイスが、特定のターゲットセルのフィンガープリントテーブルに複数のフィンガープリントを有することができることに留意しなければならない。
【0109】
ステップS401において、プロセッサ200は、少なくとも1つの移動端末MT及び/又は基地局BS1によって実行された測定の少なくとも1つの測定報告の、ネットワークインターフェース206を通じての受信を検出する。
【0110】
本アルゴリズムがアクセスゲートウェイAGWによって実行されるとき、少なくとも1つの測定報告は、移動端末MTをサーブする基地局BSから受信される。
【0111】
測定報告は、例えば、
所与のしきい値を上回る信号電力強度で受信された各受信PCID、
PCIDの受信信号電力強度を伴った、移動端末MTによって受信された各PCID、又は
最も強い信号電力強度で移動端末によって受信されたN個のPCIDのそれぞれを含むことができる。
【0112】
少なくとも1つの測定報告は、サーブする基地局BSが本アルゴリズムを実行するときは該基地局BSによってそのような測定報告として使用されるか、又はサーブする基地局BSによってアクセスゲートウェイAGWへ転送されるか、又はサーブする基地局BSによって処理され、この処理の結果がアクセスゲートウェイAGWへ転送される。
【0113】
図1の例によれば、移動端末MTが基地局BS1のセルAR1に位置するとともに、無線通信デバイスHBS1a、HBS2、及びHBS3の近くに位置しているので、
少なくとも1つの測定報告は、
基地局BS1から受信されたPCIDであってその受信信号強度を伴ったPCIDと、
無線通信デバイスHBS1aから受信されたPCIDであってその受信信号強度を伴ったPCIDと、
無線通信デバイスHBS2から受信されたPCIDであってその受信信号強度を伴ったPCIDと、
無線通信デバイスHBS3から受信されたPCIDであってその受信信号強度を伴ったPCIDとを含む。
【0114】
ステップS402において、プロセッサ200は、移動端末MTについてハンドオーバーを実行しなければならないか否かをチェックする。
【0115】
基地局BS1によって転送された信号の受信信号電力強度が、所定のしきい値未満でありかつ/又は別の基地局BS若しくは別の無線通信デバイスHBSによって転送された信号の受信信号強度よりも低いとき、ハンドオーバーを実行しなければならない。
【0116】
移動端末MTについてハンドオーバーを実行しなければならない場合、プロセッサ200はステップS403に移動する。そうでない場合、プロセッサ200はステップS401に戻る。
【0117】
ステップS403において、プロセッサ200は、ターゲット無線通信デバイスHBSのセルを識別する、ターゲット無線通信デバイスHBSによって転送されたPCIDを識別する。
プロセッサ200は、識別されたPCIDが、複数の無線通信デバイスHBSによって転送された複数の無線通信デバイスのセルを識別するPCIDであるか否かをチェックする。
【0118】
そのために、プロセッサ200は、複数の無線通信デバイスのセルを識別しかつ所与のエリア内の複数の無線通信デバイスによって転送されたPCIDを含むデータベース、又は隣接したセルのPCIDを記述するテーブルを閲覧することができる。
PCIDを含むデータベースは、RAMメモリ203又はアクセスゲートウェイAGW又は無線セルラー通信ネットワークのコアネットワークデバイスに記憶される。
【0119】
識別されたPCIDが、複数の無線通信デバイスのセルを識別する、複数の無線通信デバイスHBSによって転送されたPCIDである場合、プロセッサ200はステップS404に移動する。そうでない場合、プロセッサ200はステップS407に移動する。
【0120】
例えば、識別されたPCIDは、無線通信デバイスHBS1a、HBS1b、及びHBS1cによって転送された複数の無線通信デバイスHBSのセルを識別するPCIDである。
【0121】
ステップS404において、プロセッサ200は、識別されたPCIDを含む各フィンガープリントをフィンガープリントテーブルにおいて検索する。プロセッサ200は、識別されたPCIDを転送する無線通信デバイスのリストを形成する。
【0122】
ステップS405において、プロセッサ200は、必要な場合に、フィンガープリントに含まれる無線デバイスについて該プロセッサが有する情報を考慮して、フィンガープリントテーブルに含まれるフィンガープリントを変更する。
例えば、プロセッサ200が、無線通信デバイスによって使用される送信電力を知っている場合、プロセッサ200は、フィンガープリントに含まれる信号電力値をそれに応じて再評価する。
例えば、プロセッサ200が、所与の無線デバイスが現在オフにされていることに気付いている場合、プロセッサ200は、フィンガープリントにおける対応するPCIDを取り除くことによってフィンガープリントを再評価する。
好ましくは、これらの変更は一時的であるので、プロセッサ200は、フィンガープリントテーブルに含まれるフィンガープリントを変更しない。
【0123】
次のステップS406において、プロセッサ200は、フィンガープリントテーブル又は変更されたフィンガープリントを有するフィンガープリントテーブルにおいて、キーに対応し得る各フィンガープリントを検索するために、ステップS401において受信された少なくとも1つの測定報告を使用して該キーを作成する。
【0124】
そのステップにおいて、プロセッサ200は、識別されたPCIDを転送する無線通信デバイスのリストから、フィンガープリントがキーに対応しない各無線通信デバイスを取り除く。
【0125】
上述した例によれば、プロセッサ200は、ロケーションLocAに対応しかつ無線通信デバイスHBS1aを識別するフィンガープリントを見つける。無線通信デバイスHBS1aのみが、識別されたPCIDを転送する無線通信デバイスのリストに残っている。
【0126】
次のステップS407において、プロセッサ200は、無線通信デバイスHBS1aへの移動端末MTのハンドオーバーを準備する。
【0127】
次のステップS408において、プロセッサ200は、移動端末MTのハンドオーバーが成功して完了したか否かをチェックする。
【0128】
移動端末MTのハンドオーバーが成功して完了した場合、プロセッサ200はステップS411に移動する。そうでない場合、プロセッサ200はステップS409に移動する。
【0129】
ステップS409において、プロセッサ200は、選択されたフィンガープリントに関連付けられた尤度値を減少させる。
【0130】
次のステップS410において、プロセッサ200は、必要な場合にフィンガープリントテーブルを更新する。例えば、尤度値が低い場合、プロセッサ200は、選択されたフィンガープリントをフィンガープリントテーブルから取り除く。
【0131】
その後、プロセッサ200はステップS401に戻る。
【0132】
ステップS411において、プロセッサ200は、選択されたフィンガープリントに関連付けられた尤度値を増加させる。
【0133】
次のステップS412において、プロセッサ200は、必要な場合にフィンガープリントテーブルを更新する。
例えば、少なくとも1つの測定報告から形成されたフィンガープリントが、選択されたフィンガープリントといくつかの相違を有する場合、少なくとも1つの測定報告から形成されたフィンガープリントが、選択されたフィンガープリントの代わりにフィンガープリントテーブルに挿入される。
例えば、フィンガープリントテーブルが空である場合又はフィンガープリントが見つからなかった場合、少なくとも1つの測定報告から形成されたフィンガープリントがフィンガープリントテーブルに挿入される。
【0134】
その後、プロセッサ200はステップS401に戻る。
【0135】
図5は、本発明の第2の実現モードによる無線通信デバイス又はアクセスゲートウェイによって実行されるアルゴリズムの一例を開示する。
【0136】
例えば、本アルゴリズムは、移動端末MTを現在サーブしている基地局BS1のプロセッサ200によって実行されるときに開示される。
【0137】
ステップS500において、プロセッサ200は、図4のステップS400において開示されたようにRAMメモリ203にフィンガープリントテーブルを作成する。
【0138】
ステップS501において、プロセッサ200は、少なくとも1つの移動端末MT及び/又は基地局BS1によって実行された測定の少なくとも1つの測定報告の、ネットワークインターフェース206を通じての受信を検出する。
【0139】
本アルゴリズムがアクセスゲートウェイAGWによって実行されるとき、少なくとも1つの測定報告は、移動端末MTをサーブする基地局BSから受信される。
【0140】
測定報告は、図4のステップS401において開示されたものと同様である。
【0141】
ステップS502において、プロセッサ200は、移動端末MTについてハンドオーバーを実行しなければならないか否かをチェックする。
【0142】
移動端末MTについてハンドオーバーを実行しなければならない場合、プロセッサ200はステップS503に移動する。そうでない場合、プロセッサ200はステップS501に戻る。
【0143】
ステップS503において、プロセッサ200は、ターゲット無線通信デバイスHBSのセルを識別する、ターゲット無線通信デバイスHBSによって転送されたPCIDを識別する。
プロセッサ200は、識別されたPCIDが、複数の無線通信デバイスHBSによって転送された複数の無線通信デバイスのセルを識別するPCIDであるか否かをチェックする。
【0144】
そのために、プロセッサ200は、複数の無線通信デバイスのセルを識別しかつ所与のエリア内の複数の無線通信デバイスによって転送されたPCIDを含むデータベース、又は隣接したセルのPCIDを記述するテーブルを閲覧することができる。
PCIDを含むデータベースは、RAMメモリ203又はアクセスゲートウェイAGW又は無線セルラー通信ネットワークのコアネットワークデバイスに記憶される。
【0145】
識別されたPCIDが、複数の無線通信デバイスのセルを識別する、複数の無線通信デバイスHBSによって転送されたPCIDである場合、プロセッサ200はステップS504に移動する。そうでない場合、プロセッサ200はステップS509に移動する。
【0146】
ステップS504において、プロセッサ200は、識別されたPCIDを含む各フィンガープリントをフィンガープリントテーブルにおいて検索する。プロセッサ200は、識別されたPCIDを転送する無線通信デバイスのリストを形成する。
【0147】
ステップS505において、プロセッサ200は、必要な場合に、フィンガープリントに含まれる無線デバイスについて該プロセッサが有する情報を考慮して、フィンガープリントテーブルに含まれるフィンガープリントを変更する。
例えば、プロセッサ200が、無線通信デバイスによって使用される送信電力を知っている場合、プロセッサ200は、フィンガープリントに含まれる信号電力値をそれに応じて再評価する。
例えば、プロセッサ200が、所与の無線デバイスが現在オフにされていることに気付いている場合、プロセッサ200は、フィンガープリントにおける対応するPCIDを取り除くことによってフィンガープリントを再評価する。
好ましくは、これらの変更は一時的であるので、プロセッサ200は、フィンガープリントテーブルに含まれるフィンガープリントを変更しない。
【0148】
次のステップS506において、プロセッサ200は、フィンガープリントテーブル又は変更されたフィンガープリントを有するフィンガープリントテーブルにおいて、キーに対応し得る各フィンガープリントを検索するために、ステップS501において受信された少なくとも1つの測定報告を使用して該キーを作成する。
【0149】
そのステップにおいて、プロセッサ200は、識別されたPCIDを転送する無線通信デバイスのリストから、フィンガープリントがキーに対応しない各無線通信デバイスを取り除く。
【0150】
次のステップS507において、プロセッサ200は、ステップS505の結果として、PCIDを転送する唯一の無線通信デバイスHBSが、ターゲット無線通信デバイスHBSとして無線通信デバイスのリストに残っているか否かをチェックする。
【0151】
PCIDを転送する唯一の無線通信デバイスHBSが無線通信デバイスのリストに残っている場合、ステップS508においてターゲットセルのCGIを移動端末MTからさらに得る必要はなく、したがって、時間が節約される。プロセッサ200はステップS509に移動する。
【0152】
同じPCIDを転送する複数の無線通信デバイスHBSが無線通信デバイスのリストに残っている場合、又は同じPCIDを転送する無線通信デバイスHBSが無線通信デバイスのリストに残っていない場合、プロセッサ200はステップS508に移動する。
【0153】
ステップS508において、プロセッサ200は、複数の無線通信デバイスHBSによって転送されたPCIDを転送する無線通信デバイスHBSのグローバルセル識別子(Global Cell Identifier)(GCI)を取得する。
【0154】
そのために、プロセッサ200は、複数の無線通信デバイスHBSによって転送されたPCIDを転送する無線通信デバイスHBSのセルグローバル識別子(Cell Global Identifier)(CGI)を読み出すように移動端末MTに要求するメッセージを、測定報告を送信した移動端末MTへ転送することを指令する。CGIは、無線セルラー通信ネットワークにおいて無線通信デバイスHBSを一意に識別する。
【0155】
CGIによって、プロセッサ200は1つの無線通信デバイスHBSのみを識別することができる。
【0156】
次のステップS509において、プロセッサ200は、無線通信デバイスのリストで識別された無線通信デバイスHBSへの、又はCGIによって識別された無線通信デバイスHBSへの移動端末MTのハンドオーバーを準備する。
【0157】
次のステップS510において、プロセッサ200は、移動端末MTのハンドオーバーが成功して完了したか否かをチェックする。
【0158】
移動端末MTのハンドオーバーが成功して完了した場合、プロセッサ200はステップS513に移動する。そうでない場合、プロセッサ200はステップS511に移動する。
【0159】
ステップS511において、プロセッサ200は、選択されたフィンガープリントに関連付けられた尤度値を減少させる。
【0160】
次のステップS512において、プロセッサ200は、必要な場合にフィンガープリントテーブルを更新する。例えば、尤度値が低い場合、プロセッサ200は、選択されたフィンガープリントをフィンガープリントテーブルから取り除く。
【0161】
その後、プロセッサ200はステップS501に戻る。
【0162】
ステップS513において、プロセッサ200は、選択されたフィンガープリントに関連付けられた尤度値を増加させる。
【0163】
次のステップS514において、プロセッサ200は、必要な場合にフィンガープリントテーブルを更新する。
例えば、少なくとも1つの測定報告から形成されたフィンガープリントが、選択されたフィンガープリントといくつかの相違を有する場合、又は複数のフィンガープリントがステップS507において見つかった場合、少なくとも1つの測定報告から形成されたフィンガープリントが、選択されたフィンガープリントの代わりにフィンガープリントテーブルに挿入される。
例えば、フィンガープリントテーブルが空である場合、又はフィンガープリントが見つからなかった場合、少なくとも1つの測定報告から形成されたフィンガープリントがフィンガープリントテーブルに挿入される。
【0164】
その後、プロセッサ200はステップS501に戻る。
【0165】
本質的に、本発明の範囲から逸脱することなく、上記の本発明の実施形態に対して数多くの変更を行なうことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線セルラー通信ネットワークにおいて、移動端末のハンドオーバーを行わなければならないハンドオーバー先の無線通信デバイスを決定するための方法であって、複数の無線セルラー通信デバイスが同じ物理セル識別子を移動端末へ転送し、
該方法は、
移動端末によって測定された信号に関する少なくとも1つの測定報告を受信するステップと、
前記少なくとも1つの測定報告から、少なくとも別の無線通信デバイスによって転送された前記物理セル識別子と同じ物理セル識別子を転送する無線通信デバイスへ前記移動端末のハンドオーバーを行わなければならないと判断するステップと、
前記同じ物理セル識別子を転送する無線通信デバイスのリストを取得するステップと、
フィンガープリントテーブル及び前記少なくとも1つの測定報告を使用して、前記同じ物理セル識別子を転送する無線通信デバイスのリストを縮小するステップと、
前記無線通信デバイスの前記縮小されたリストに属する少なくとも1つの無線通信デバイスへ前記移動端末の前記ハンドオーバーを開始するステップと、
前記ハンドオーバーの結果に応じて前記フィンガープリントテーブルを更新するステップと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
フィンガープリントは、
前記少なくとも1つの測定報告で報告された信号の電力強度に従って順序付けられた若しくは順序付けられていない前記少なくとも1つの測定報告から取得された物理セル識別子のリスト、又は
前記少なくとも1つの測定報告から取得された物理セル識別子のセットの一部であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
フィンガープリントは、物理セル識別子と、マージン係数が適用される関連付けられたデータとを組み合わせたものであることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
各フィンガープリントは、物理セル識別子のセットを、サーブする基地局から到来する信号に対する時間同期ずれと共に、かつ/又は信号雑音プラス干渉比と共に、かつ/又はパスロス及び干渉プロファイルと共に、かつ/又はジオロケーション情報と共に含むことができることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
各フィンガープリントは、物理セル識別子のセットに基づく可変因子の複合体とすることができることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
フィンガープリントにおける各物理セル識別子は、無線通信デバイスのタイプに応じた重みに関連付けられることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
各物理セル識別子は、移動端末によって転送された前記測定報告とは異なる、通信チャネルによって取得された前記無線通信デバイスに関するデータに関連付けることができることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つのフィンガープリントは、1つの無線通信デバイスに関連付けられることを特徴とする、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
フィンガープリントは、該フィンガープリントに含まれる無線デバイスについての更新された情報を考慮することによって前記無線通信デバイスの前記リストを縮小した時に再評価されることを特徴とする、請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記フィンガープリントテーブルの各フィンガープリントに尤度値が関連付けられており、
無線通信デバイスへの前記ハンドオーバーが成功しなかった場合、前記方法は、前記無線通信デバイスに関連付けられた前記フィンガープリントに関連付けられた前記尤度値の信頼度値を減少させるステップをさらに含み、
無線通信デバイスへの前記ハンドオーバーが成功した場合、前記方法は、前記無線通信デバイスに関連付けられた前記フィンガープリントに関連付けられた前記尤度値の前記信頼度値を増加させるステップをさらに含む
ことを特徴とする、請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
無線セルラー通信ネットワークにおいて、移動端末のハンドオーバーを行わなければならないハンドオーバー先のターゲット無線通信デバイスを決定するためのデバイスであって、複数の無線セルラー通信デバイスが同じ物理セル識別子を移動端末へ転送し、
該デバイスは、
移動端末によって測定された信号に関する少なくとも1つの測定報告を受信する手段と、
前記少なくとも1つの測定報告から、少なくとも別の無線通信デバイスによって転送された前記物理セル識別子と同じ物理セル識別子を転送する無線通信デバイスへ前記移動端末のハンドオーバーを行わなければならないと判断する手段と、
前記同じ物理セル識別子を転送する無線通信デバイスのリストを取得する手段と、
フィンガープリントテーブル及び前記少なくとも1つの測定報告を使用して、前記同じ物理セル識別子を転送する無線通信デバイスのリストを縮小する手段と、
前記無線通信デバイスの前記縮小されたリストに属する少なくとも1つの無線通信デバイスへ前記移動端末の前記ハンドオーバーを開始する手段と、
前記ハンドオーバーの結果に応じて前記フィンガープリントテーブルを更新する手段と、
を備えることを特徴とする、デバイス。
【請求項12】
前記無線セルラー通信ネットワークの基地局又はアクセスゲートウェイに含まれることを特徴とする、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
プログラム可能なデバイスに直接ロード可能にすることができるコンピュータープログラムであって、該コンピュータープログラムは、該コンピュータープログラムがプログラム可能なデバイス上で実行されるときに、請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載のステップを実施するための命令又はコードの一部を含む、コンピュータープログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−109666(P2011−109666A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−257077(P2010−257077)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(503163527)ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ (175)
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
【Fターム(参考)】