説明

無線タグのマルチリード方法およびマルチリード装置

【課題】 管理対象に貼付された無線タグと管理情報を格納した無線タグとを同一のリーダライタで同時に読み取り、無線タグの読み取り抜けを検出できる手段を提供すること。
【解決手段】 マルチリード装置が、第1の無線タグおよび第2の無線タグに格納された情報を読み取る読取手順と、読取手順で読み取られた各無線タグの情報の識別情報に続けて格納された情報が、第2の無線タグの識別情報であるかダミーの識別情報であるかによって、第1の無線タグの情報または第2の無線タグの情報であるかを区別して、それぞれ記憶部に格納する格納手順と、記憶部に格納した第1の無線タグの情報から、管理対象の個数を算出する算出手順と、記憶部に格納した第2の無線タグの情報に含まれる管理対象の個数と、算出手順で算出した管理対象の個数とを比較して、一致するか否かを判定する判定手順とを含んで実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の管理対象に貼付される無線タグと、管理情報を格納した無線タグとを同時に読み取り、管理対象に貼付された無線タグの読み取り抜けを防止できるマルチリード方法およびマルチリード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ装置など複数の部品を組み合わせて構成される物品の製造において、組み立てのチェックや作業の進捗などを管理する作業管理では、組み立ての工程毎に組み付けられた部品のチェックを行う必要がある。
このような工程において、従来は、例えば、各部品に貼付されたバーコードを用いて組み立てのチェックが行われていた。この場合、部品毎に貼付されたバーコードを、バーコードリーダを用いて個別に読み取る必要があった。
【0003】
そこで、バーコードに代わり、無線タグを用いることで、個々の部品の読み取りを行うことなく、一度に複数の無線タグを読み取るマルチリードが可能となり、読み取りの煩雑さを解消することができる。しかし、従来では、無線タグのマルチリードにおいて、すべての部品に取り付けた無線タグの読み取りが完全に行われたか否かを検出する手段がないため、読み取り抜けがあるか否かを判定することができなかった。
【0004】
このような問題を解決するために、特許文献1には、容器内に収容された複数の郵便物に無線タグを貼付して、この容器に貼付された荷札に郵便物の個数をバーコードや2次元コードを用いて記録しておき、無線タグをマルチリードした際に、読み取られた郵便物に貼付された無線タグの数と、荷札に記録された郵便物の個数とを比較することで、すべての無線タグが読み取られたか否かを判定する査数対査方法が開示されている。
【特許文献1】特開2004−115214号公報(段落0011〜0019、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の査数対査方法では、郵便物に貼付された無線タグをマルチリードするものの、郵便物が収容された容器に貼付した荷札は、別途、バーコードリーダなどを用いて別途読み取る必要があり煩雑であった。また、容器に貼付された荷札を無線タグに置き換えた場合であっても、無線タグに格納された情報に合わせて、特許文献1に記載のように異なる読取アルゴリズムを有する2台の無線タグリーダを準備するか、無線タグリーダの読取アルゴリズムを変更して2回読み取りを行う必要があり、やはり煩雑であった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、管理対象に貼付された無線タグと管理情報を格納した無線タグとを同一のリーダライタで同時に読み取ることが可能であり、無線タグの読み取り抜けを検出できる手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するために、本発明は、複数の管理対象にそれぞれ貼付され、一意な識別情報および当該管理対象の種類を特定する個別情報を含んで格納した第1の無線タグと、一意な識別情報および管理対象を管理するための管理情報を含んで格納した第2の無線タグとを含む無線タグに格納された情報を読み取り、第1の無線タグおよび第2の無線タグの読み抜けを検出するマルチリード装置が実行するマルチリード方法であって、第1の無線タグには、識別情報に続けて第2の無線タグの識別情報がさらに格納され、第2の無線タグには、識別情報に続けてダミーの識別情報がさらに格納され、管理情報には、第2の無線タグが管理する管理対象の個別情報および個別情報ごとの管理対象の個数の情報が含まれ、マルチリード装置が、第1の無線タグおよび第2の無線タグに格納された情報を読み取る読取手順と、読取手順で読み取られた各無線タグの情報のうち、識別情報に続けて格納された情報が、第2の無線タグの識別情報であるかダミーの識別情報であるかによって、当該無線タグの情報が、第1の無線タグの情報または第2の無線タグの情報であるかを区別して、それぞれマルチリード装置の記憶部に格納する格納手順と、記憶部に格納した第1の無線タグの情報から、個別情報ごとの管理対象の個数を算出する算出手順と、記憶部に格納した第2の無線タグの管理情報と、算出手順で算出した個別情報ごとの管理対象の個数とを比較して、一致するか否かを判定する判定手順とを含んで実行することを特徴としている。
【0008】
本発明によると、第1の無線タグおよび第2の無線タグに格納される情報の順序であるフォーマットを統一することで、1台のマルチリード装置で、異なる用途の無線タグを読み取ることができる。また、第1の無線タグと第2の無線タグに格納された情報を比較判定することで、無線タグの読み取り抜けがあるか否かを判定することができる。
また、本発明の他の形態については後記する実施の形態の中で詳しく説明する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、管理対象に貼付される無線タグと、管理対象の数を含む管理情報を記憶した無線タグとを同時に読み取り、読み取り抜けを検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付した図面を参照しつつ、本発明の好適な実施の形態について詳しく説明する。
【0011】
(装置構成)
本実施の形態は、ケースに複数の基板を組み付けて構成されるコンピュータ装置の組み立て作業に、本発明に係るマルチリード方法およびマルチリード装置を適用した例である。
ここで、図1は、本実施の形態のマルチリードシステムの構成例を示す構成図である。図1に示すように、本実施の形態のマルチリードシステムは、管理対象である1以上の種類からなる複数のプリント基板2と、各プリント基板2に貼付された第1無線タグ1と、コンピュータ装置10のケース4と、ケース4に貼付された第2無線タグ3と、第1無線タグ1および第2無線タグ3に格納された情報の読み取りを行うリーダライタ5とから構成される。
【0012】
ここで、第1無線タグ1および第2無線タグ3は、それぞれに固有なタグIDを、例えば、製造時に格納された無線タグである。また、第1無線タグ1および第2無線タグ3は、リーダライタ5から受信した電波を電力に変換して動作し、第1無線タグ1および第2無線タグ3の図示しない記憶部に格納された情報のリーダライタ5への送信およびリーダライタ5から受信した情報の記憶部への格納を実行可能に構成されている。
【0013】
また、特許請求の範囲のマルチリード装置に相当するリーダライタ5は、第1無線タグ1および第2無線タグ3と無線通信により情報の送受信が可能な構成を有している。また、リーダライタ5は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、さまざまな情報を表示する表示部51などを含むコンピュータを合わせて構成され、このROMに格納された、後記するマルチリード方法を実行するプログラムコードをCPUが実行することで、第1無線タグ1および第2無線タグ3から受信した情報を処理する本実施の形態のリーダライタ5として動作する。なお、リーダライタ5は、第1無線タグ1および第2無線タグ3と無線通信により情報の送受信を行う構成と、コンピュータの構成とを別体とすることも可能であり、その場合、コンピュータは、ノート型のパーソナルコンピュータや、PDA(Personal Digital Assistant)端末などにより具現される。
【0014】
(無線タグに格納された情報)
次に、第1無線タグ1および第2無線タグ3に格納される情報について詳しく説明する。コンピュータ装置10の組立工程では、顧客などの要求に応じて、異なった組み合わせでプリント基板2を実装することがあり、例えば、ネットワークボードのように、同一機能のプリント基板2を複数実装する場合がある。したがって、プリント基板2は、コンピュータ装置10内において、複数種類を複数枚組み合わせて構成されることがある。
このため、プリント基板2に貼付される第1無線タグ1には、特許請求の範囲の「管理対象の種類を特定する情報」に相当する、各プリント基板2の型式を識別可能な個別情報、および、この第1無線タグ1を管理する無線タグのタグIDである管理用タグIDを含んだ情報が格納され、第2無線タグ3には、コンピュータ装置10のケース4に組み付けられるプリント基板2の形式を示す個別情報およびその個数の情報を含んだ管理情報が格納されている。
【0015】
ここで、図2は、プリント基板2に貼付された第1無線タグ1およびケース4に貼付された第2無線タグ3のデータフォーマットを示す図面であり、図2(a)は、第1無線タグ1に格納された情報のデータフォーマットを示している。図2(a)に示すように、第1無線タグ1に格納された情報は、先頭から、この第1無線タグ1に固有のタグID101、この第1無線タグ1の上位に対応付けされる管理用の無線タグのタグIDを格納する管理用タグID102と、この第1無線タグ1が貼付されたプリント基板2の型式の情報を格納する個別情報103と、進捗情報などを格納するトレース情報104とを含んで構成される。
なお、タグID101は、この第1無線タグ1に固有な情報であるため、この第1無線タグ1が貼付されたプリント基板2に固有なIDとして用いることができる。
【0016】
そして、図2(b)は、管理用の無線タグである第2無線タグ3に格納された情報のデータフォーマットを示している。図2(b)に示すように、第2無線タグ3に格納された情報は、先頭から、この第2無線タグ3に固有のタグID201と、この第2無線タグの上位に対応付けされる管理用の無線タグのタグIDを格納する管理用タグID202と、このケース4内に配置される複数のプリント基板2の種類に応じた管理情報203とを含んで構成される。さらに、各管理情報203は、各プリント基板2(第1無線タグ1)の個別情報204およびプリント基板2(第1無線タグ1)の個数205から構成される。
なお、タグID201は、この第2無線タグ3に固有な情報であるため、この第2無線タグ3が貼付されたケース4に固有なIDとして用いることができる。
また、本実施の形態において、第2無線タグ3に格納される管理用タグID202は、上位に対応付けされる管理用の無線タグが存在しないため(最上位の無線タグであるため)、このことを示すために、無効な情報(例えば、すべてのビットが‘0’など)が格納される。
【0017】
次に、図3には、図2に示した第1無線タグ1および第2無線タグ3に格納される情報のフォーマットにしたがって、第1無線タグ1および第2無線タグ3に格納された情報の例を示す図面である。図3に示した例は、図1に示したコンピュータ装置10に対応するものであり、4枚のプリント基板2に貼付された4枚の第1無線タグ1と、ケース4に貼付された1枚の第2無線タグ3から構成される場合の例を示している。
図3(a)に示した第1無線タグ1に格納された情報は、タグID101が‘100100’である第1無線タグ1に格納された情報100aと、タグID101が‘100101’である第1無線タグ1に格納された情報100bと、タグID101が‘100102’である第1無線タグ1に格納された情報100cと、タグID101が‘100103’である第1無線タグ1に格納された情報100dとから構成され、各第1無線タグ1に格納された情報(100a〜100d)の管理用タグID102には、すべて、図3(b)に示す第2無線タグ3のタグID201である‘200100’が格納されており、4枚の第1無線タグ1が、第2無線タグ3により管理されることを示している。
【0018】
また、符号100aおよび符号100bで示した第1無線タグ1に格納された情報の個別情報103には、プリント基板2の型式を示す例として‘CIF100’が、符号100cで示した第1無線タグ1に格納された情報の個別情報103には、別の型式を示す‘MB120’が格納され、符号100dで示した第1無線タグ1に格納された情報の個別情報103には、別の型式を示す‘VD300’が格納されている。
なお、図3(a)に示した例では、符号100aないし符号100dで示した各第1無線タグに格納された情報のトレース情報104はブランクであり、この時点では何も情報が格納されていないことを示している。
【0019】
一方、図3(b)の符号200で示した第2無線タグ3に格納された情報の管理用タグID202は、上位に対応付けされた管理用の無線タグがないこと、すなわち、最上位の無線タグであることを示す‘000000’が格納されている。また、管理情報203aには、符号100aおよび符号100bで示した第1無線タグ1に格納された情報の個別情報204aとして‘CIF100’と、その個数205aとして‘2’が格納されており、次の管理情報203bには、符号100cで示した第1無線タグ1に格納された情報の個別情報204bとして‘MB120’とその個数205bとして‘1’が、次の管理情報203cには符号100dで示した第1無線タグ1に格納された情報の個別情報204cとして‘VD300’とその個数205cとして‘1’が格納されている。
さらに、次の管理情報203dには、管理対象の情報がこれ以上ないこと示すために、個別情報204dとして‘000000’とその個数205dとして‘0’が格納されている。
このようにして、第1無線タグ1に格納された情報(100a〜100d)は、第2無線タグ3に格納された情報200と対応付けられている。
【0020】
なお、前記した第1無線タグ1および第2無線タグ3に格納された情報のうち、タグID(101,201)は、無線タグを製造する際に付された固有な情報であり、その他の情報は、第1無線タグ1および第2無線タグ3をそれぞれ、プリント基板2およびケース4に貼付する際などに、コンピュータ装置10の仕様書などにもとづいて、予め書き込まれたものである。
【0021】
(マルチリード方法)
次に、図3(a)の4枚の第1無線タグ1に格納された符号100aないし符号100dで示した情報と、図3(b)の1枚の第2無線タグ3に格納された符号200で示した情報とをマルチリードする際に、リーダライタ5において行われる処理について、図4に示したフローチャートを参照しつつ説明する。
なお、以下、図3(a)の符号100aないし符号100dで示した情報が格納された第1無線タグ1を、説明のために、それぞれ第1無線タグ100aないし第1無線タグ100dと称し、図3(b)の符号200で示した情報を格納した第2無線タグ3を、説明のために、第2無線タグ200と称す。
また、第1無線タグ100aないし第1無線タグ100dおよび第2無線タグ200を総称して、単に無線タグと称す。
【0022】
コンピュータ装置10に組み付けられたプリント基板2が適正であるか否かをチェックするチェック工程において、チェックを行う作業員は、まず、リーダライタ5を、プリント基板2およびケース4に貼付された第1無線タグ1および第2無線タグ3にかざして、無線タグの読み取りをおこなう。
この作業員の作業により無線タグのマルチリードが開始されると、リーダライタ5は、通信可能範囲にある無線タグへの応答要求を送信する(ステップS10)。このとき、リーダライタ5と通信可能な無線タグは、ステップS10で送信された応答要求に呼応して応答を行い、その無線タグに格納された情報を送信し、リーダライタ5は、各無線タグに格納された情報を格納する「データ読取」を行う(ステップS11)。
【0023】
ここで、ステップS11の「データ読取」の処理について、その詳細を図5のフローチャートに示す。図5に示したフローチャートを参照しつつ、ステップS11の「データ読取」の処理を詳しく説明する。
【0024】
リーダライタ5と通信可能な、いずれかの無線タグに格納された情報を取得した(ステップS20)リーダライタ5は、取得した情報に含まれる図3に示した管理用タグID(102,202)が有効か否かを判定して(ステップS21)、取得した無線タグの情報が、第1無線タグ(100a〜100d)のものであるか、第2無線タグ200のものであるかを判別する。
すなわち、図3(a)に示すように、第1無線タグ(100a〜100d)には、有効な管理用タグID102である‘200100’が格納されているので、これを第1無線タグ(100a〜100d)と判別し、図3(b)に示すように、第2無線タグ200には、無効な管理用タグID202である‘000000’が格納されているので、これを第2無線タグ200と判別することができる。
【0025】
ステップS21において、管理用タグID(102,202)が有効な場合は(ステップS21において‘Yes’の場合)、その無線タグは第1無線タグ(100a〜100d)であるとして、リーダライタ5は、この無線タグから取得した情報を、リーダライタ5のRAMなどの記憶部内に記憶領域が設けられた個別情報テーブルに格納し(ステップS22)、図4に示したステップS11へ戻って、次のステップに進む。
また、ステップS21において、管理用タグID(102,202)が無効な場合は(ステップS21において‘No’の場合)、その無線タグは第2無線タグ200であるとして、この無線タグから取得した情報を同じく記憶部内に記憶領域が設けられた管理情報テーブルに格納し(ステップS23)、図4に示したステップS11に戻って、次のステップに進む。
【0026】
ここで、図6(a)は、ステップS22において、リーダライタ5の記憶部内に格納された個別情報テーブル含まれる情報の例を示し図面である。図6(a)に示すように、個別情報テーブル300には、各第1無線タグ(100a〜100d)の情報がレコードごとに格納されており、タグID301と、管理用タグID302と、個別情報303と、トレース情報304とから構成されることがわかる。
また、図6(b)は、ステップS22において、リーダライタ5の記憶部内に格納された管理情報テーブルに含まれる情報の例を示した図面である。図6(b)に示すように、管理情報テーブル400には、図3(b)に示した第2無線タグ200の管理情報(203a〜203c)の数に応じたレコードから構成されており、当該第2無線タグ3のタグID401と、管理情報(203a〜203c)を構成するプリント基板2の個別情報404とその個数405とから構成されることがわかる。
【0027】
無線タグからの情報の取得(ステップS20)から、個別情報テーブル300または管理情報テーブル400への取得した情報の格納(ステップS22またはステップS23)までの一連の処理では、無線タグに格納された管理用タグID(102、202)に応じて処理を切り換えており、第1無線タグ(100a〜100d)および第2無線タグ200の個数や管理情報の個数がさらに多くなった場合においても、同様に処理が可能である。
【0028】
個別情報テーブル300または管理情報テーブル400へ情報の格納(ステップS22またはステップS23)が終了すると、図4に戻って、他の無線タグからの応答があるか否かを判定する(ステップS12)。ここで、他の無線タグからの応答がある場合は(ステップS12で‘Yes’の場合)、ステップS11に戻って、他の無線タグから取得される情報の処理を行う。
また、他の無線タグからの応答がない場合は(ステップS13で‘No’の場合)、読み取り可能な無線タグとの通信が終了したとして、リーダライタ5は、個別情報テーブル300に格納された情報と管理情報テーブル400に格納された情報が一致するか否かを判定する「比較判定」の処理を実行する(ステップS13)。
【0029】
ここで、ステップS13の「比較判定」の処理について、その詳細を図7のフローチャートに示す。図7に示したフローチャートを参照しつつ、ステップS13の「比較判定」の処理を詳しく説明する(適宜、図6参照のこと)。
【0030】
まず、リーダライタ5は、管理情報テーブル400にレコードがあるか否かを判定し(ステップS30)、レコードが存在しない場合は(ステップS30で‘No’の場合)、第2無線タグ200の読み取り失敗と判断して「不一致」を出力して、図4に示したステップS13に戻る。管理情報テーブル400にレコードが存在する場合は(ステップS30で‘Yes’の場合)、管理情報テーブル400に格納された情報から1レコード分の情報を抽出し(ステップS31)、タグID401と個別情報404とを検索キーとして、個別情報テーブル300に格納された各レコードから、一致する管理用タグID302と個別情報303とを有するレコードを検索して、検索されたレコードの数を算出することで、個別情報テーブル300のレコードから一致するレコードの数を算出する(ステップS32)。
【0031】
そして、ステップS32で算出したレコードの数と、管理情報テーブル400の当該レコードに格納された個数405の項目とが一致するか否かを判定し(ステップS33)、一致していない場合は(ステップS33で‘No’の場合)、第1無線タグ(100a〜100d)の読み取り失敗と判断して「不一致」を出力して、図4に示したステップS13に戻る。
また、一致している場合は(ステップS33で‘Yes’の場合)、管理情報テーブル400のすべてのレコードを抽出したか否かを判定する(ステップS34)。すべてのレコードを抽出していない場合は(ステップS34で‘No’の場合)、ステップS31に戻って、次のレコードを抽出する。また、すべてのレコードを抽出した場合は(ステップS34で‘Yes’の場合)、個別情報テーブル300と管理情報テーブル400との情報の整合がとれたと判断して「一致」を出力して、図4に示したステップS13に戻る。
【0032】
図4に戻って、ステップS30またはステップS33の判定手順において(図7参照のこと)、「一致」となった場合には(ステップS13で‘一致’の場合)、そのまま、読み取りが正常に行われたこと、つまり、プリント基板2の組み付けが適正であることを示す表示をリーダライタ5の表示部51などに表示して処理を終了する(正常終了)。
そして、正常終了した場合には、リーダライタ5の処理は、例えば、図2(a)に示した第1無線タグ1のトレース情報104の更新などの後段側の処理へ引き継がれる。
【0033】
また、ステップS30またはステップS33の判定手順において(図7参照のこと)、「不一致」となった場合には(ステップS13で‘不一致’の場合)、ステップS11の「データ読取」の手順の実行回数が、所定の異常終了回数であるか否かを判定する(ステップS14)。
【0034】
ここで、「データ読取」の手順の実行回数が異常終了回数でなければ(ステップS14で‘No’の場合)、ステップS11の「データ読取」の手順のリトライが行われる。この異常終了回数とは、リーダライタ5に予め格納された所定の回数である。
また、「データ読取」の手順の実行回数が異常終了回数となった場合は(ステップS14で‘Yes’の場合)、読み取りが異常終了したこと、つまり、第1無線タグ1、第2無線タグ3またはリーダライタ5の故障や作業内容の誤りなどがあるとして、管理装置6は、異常終了したことをリーダライタ5の表示部51などに表示して処理を終了する(異常終了)。
【0035】
以上、説明した本実施の形態によると、第1無線タグ1および第2無線タグ3のデータフォーマットが共通であるため、1台のリーダライタ5を用いて用途の異なる無線タグのマルチリードを行なうことができる。
また、管理用の無線タグである第2無線タグ3に、管理対象に貼付された無線タグである第1無線タグ1の種類を識別する個別情報204およびその個数205が格納されていることで、無線タグのマルチリードが確実に行われたか否かを判定することができる。
また、管理用の無線タグである第2無線タグ3の読み取りを失敗した場合には、読み取りのリトライを行なうことで、マルチリードの信頼性を向上させることが可能となる。
【0036】
また、前記した実施の形態は、コンピュータ装置10の製造におけるチェック工程に本発明を適用した例について説明したが、本発明は、他のさまざまな工程に適用可能である。例えば、電化製品や制御盤などの複数の部品を組み合わせて製品を製造する製造工程や検査工程などで、各部品に個別情報を格納した無線タグを貼付し、電化製品や制御盤の外郭などに管理用の無線タグを貼付して、これらの無線タグをマルチリードする場合にも適用可能である。
また、複数個の部品を移送する場合に、この部品のそれぞれに個別情報を格納した無線タグを貼付し、ラックやコンテナなどの移送を行う運搬機材に管理用の無線タグを貼付することで、同様に適用可能である。
【0037】
さらに、前記した実施の形態では、第1無線タグ1に格納された情報の上位に管理用の無線タグである第2無線タグ3に格納された情報が対応付けされた2階層からなる形態を示したが、例えば、第2無線タグ3のさらに上位に、コンピュータ装置10を複数収納するコンテナに貼付される第3の管理用の無線タグに格納された情報を対応付けることにより3階層からなるマルチリードの形態や、リーダライタ5の読取範囲内であれば、さらに多階層からなるマルチリード方法を具現することも可能である。
【0038】
したがって、本発明は、前記した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想により定められる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】マルチリードシステムの構成図である。
【図2】図2(a)は、第1無線タグに格納された情報のフォーマットを示す図面であり、図2(b)は、第2無線タグに格納された情報のフォーマットを示す図面である。
【図3】図3(a)は、第1無線タグに格納された情報の例を示す図面であり、図3(b)は第2無線タグに格納された情報の例を示す図面である。
【図4】リーダライタにおける処理手順を示すフローチャートである。
【図5】データ読取の手順を詳細に示すフローチャートである。
【図6】リーダライタに格納されたテーブル情報を示す図面であり、(a)は、個別情報テーブルを示す図面であり、(b)は、管理情報テーブルを示す図面である。
【図7】比較判定の処理手順を詳細に示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0040】
1 第1無線タグ
2 プリント基板
3 第2無線タグ
4 ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の管理対象にそれぞれ貼付され、一意な識別情報および当該管理対象の種類を特定する個別情報を含んで格納した第1の無線タグと、一意な識別情報および前記管理対象を管理するための管理情報を含んで格納した第2の無線タグとを含む無線タグに格納された情報を読み取り、前記第1の無線タグおよび前記第2の無線タグの読み取り抜けを検出するマルチリード装置が実行するマルチリード方法であって、
前記第1の無線タグには、前記識別情報に続けて前記第2の無線タグの前記識別情報がさらに格納され、
前記第2の無線タグには、前記識別情報に続けてダミーの識別情報がさらに格納され、前記管理情報には、前記第2の無線タグが管理する前記管理対象の前記個別情報および前記個別情報ごとの前記管理対象の個数の情報が含まれ、
前記マルチリード装置が、
前記第1の無線タグおよび前記第2の無線タグに格納された情報を読み取る読取手順と、
前記読取手順で読み取られた各無線タグの情報のうち、前記識別情報に続けて格納された情報が、前記第2の無線タグの前記識別情報であるかダミーの識別情報であるかによって、当該無線タグの情報が、前記第1の無線タグの情報または前記第2の無線タグの情報であるかを区別して、それぞれ前記マルチリード装置の記憶部に格納する格納手順と、
前記記憶部に格納した前記第1の無線タグの情報から、前記個別情報ごとの前記管理対象の個数を算出する算出手順と、
前記記憶部に格納した前記第2の無線タグの前記管理情報と、前記算出手順で算出した前記個別情報ごとの前記管理対象の個数とを比較して、一致するか否かを判定する判定手順とを含んで実行すること、
を特徴とする無線タグのマルチリード方法。
【請求項2】
前記格納手順において、前記第2の無線タグに格納された情報が前記記憶部に格納されない場合は、前記記憶部に格納されるまで、前記読取手順を所定回数実行すること、
を特徴とする請求項1に記載の無線タグのマルチリード方法。
【請求項3】
前記判定手順において、前記算出手順で算出した前記個別情報ごとの前記管理対象の個数と、前記第2の無線タグの前記管理情報に含まれる前記個別情報ごとの前記管理対象の個数の情報とが、一致しない場合は、一致するまで、前記読取手順を所定回数実行すること、
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の無線タグのマルチリード方法。
【請求項4】
複数の管理対象にそれぞれ貼付され、一意な識別情報および当該管理対象の種類を特定する個別情報を含んで格納した第1の無線タグと、一意な識別情報および前記管理対象を管理するための管理情報を含んで格納した第2の無線タグとを含む無線タグに格納された情報を読み取り、前記第1の無線タグおよび前記第2の無線タグの読み取り抜けを検出するマルチリード装置であって、
前記第1の無線タグには、前記識別情報に続けて、前記管理情報を格納した前記第2の無線タグの前記識別情報がさらに格納され、
前記第2の無線タグには、前記識別情報に続けて、ダミーの識別情報がさらに格納され、前記管理情報には、前記第2の無線タグが管理する前記管理対象の個別情報および前記個別情報ごとの前記管理対象の個数の情報が含まれ、
前記マルチリード装置は、
前記第1の無線タグおよび前記第2の無線タグに格納された情報を読み取り、
各無線タグの情報のうち、前記識別情報に続けて格納された情報が、前記第2の無線タグの前記識別情報であるかダミーの識別情報であるかによって、当該無線タグの情報が、前記第1の無線タグの情報または前記第2の無線タグの情報であるかを区別し、
それぞれ前記マルチリード装置の記憶部に格納し、この格納した前記第1の無線タグの情報から、前記個別情報ごとの前記管理対象の個数を算出して、
前記記憶部に格納した前記第2の無線タグの前記管理情報と、前記算出した前記個別情報ごとの前記管理対象の個数とを比較して、一致するか否かを判定すること、
を特徴とする無線タグのマルチリード装置。
【請求項5】
前記マルチリード装置が算出した前記個別情報ごとの前記管理対象の個数と、前記第2の無線タグの前記管理情報に含まれる前記個別情報ごとの前記管理対象の個数の情報とが一致しない場合、および、前記第2の無線タグに格納された情報が前記記憶部に格納されない場合は、
所定回数、前記第1の無線タグおよび前記第2の無線タグに格納された情報の読み取りを行うこと、
を特徴とする請求項4に記載の無線タグのマルチリード装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−331205(P2006−331205A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−155925(P2005−155925)
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】