説明

無線タグ通信装置及び無線タグ通信システム

【課題】通信対象である無線タグ回路素子のIC回路部のブロックサイズが不明である場合であっても、円滑に無線タグ回路素子との情報送受信を行う。
【解決手段】リーダライタ1は、無線タグ回路素子Toと無線通信を行うための装置アンテナ13を有し、IC回路部150のメモリの1ブロックに記憶された情報を取得するための1ブロック読み取り指令を生成し、生成した1ブロック読み取り指令を装置アンテナ13を介し無線通信により無線タグ回路素子Toに送信し、送信した1ブロック読み取り指令に応じ無線タグ回路素子Toから送信された、1ブロックの記憶データを受信し、受信した1ブロックの記憶データのデータ長を検出し、検出したデータ長に基づき、1ブロックを構成するバイト数を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部と情報送受信可能な無線タグと通信を行う無線タグ通信装置及びこれを用いた無線タグ通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
外部と情報送受信可能な小型の無線タグを対象物に設け、対象物の探索や管理を行うことが広く行われている。無線タグに設けられる無線タグ回路素子は、情報を記憶するIC回路部と情報を送受信するタグアンテナとを備えており、無線タグ通信装置と非接触で情報の送受信を行うことができる。無線タグ回路素子には、それぞれ識別情報(識別子)が付されており、無線タグ通信装置からの問いかけ信号を受信した無線タグ回路素子は、上記識別情報を含む応答信号を無線タグ通信装置に対して返信する。
【0003】
ここで、無線タグ回路素子には既にいくつかの規格が提唱されている。各規格においては、IC回路部における情報の更新は、ブロック単位での更新しか許されていない。このため、IC回路部の内部メモリをブロック単位で管理し、無線タグ通信装置からはそのブロック単位に対応したコマンドを用いて、情報読み取りや情報書き込みを行う必要がある。
【0004】
現状、IC回路部における1ブロックを構成するメモリのバイト数は複数種類が存在しており、例えば1ブロックが4バイトの無線タグ、8バイトの無線タグが存在する。そこで、このような複数種類のメモリのバイト数に対応できる従来技術として、例えば特許文献1記載のものが既に提唱されている。
【0005】
この従来技術では、使用される無線タグ回路素子のIC回路部のメモリの1ブロックのバイト数を予めブロックサイズ保持部に登録しておく。そして、無線タグ回路素子のIC回路部に対する情報読み取り(又は情報書き込み)の際には、ブロックサイズ保持部に登録した1ブロックあたりのバイト数を参照し、対応する問いかけ信号等を用いて無線タグ回路素子へアクセスするようになっている。
【特許文献1】特開2007−94887号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術は、IC回路部の1ブロックあたりバイト数が既知である複数種類の無線タグ回路素子があった場合に、各種類における1ブロックあたりバイト数(登録済み)に応じてコマンドの態様を切り替え、これによっていずれの種類の無線タグ回路素子に対しても円滑に情報送受信を行えるようにしたものである。しかしながら、IC回路部の1ブロックあたりバイト数が事前に不明であった場合には配慮されていない。したがってこのような場合は、無線タグ回路素子に対して円滑に情報送受信を行うのは困難であった。
【0007】
本発明の目的は、通信対象である無線タグ回路素子のIC回路部のブロックサイズが不明である場合であっても、円滑に無線タグ回路素子との情報送受信を行える無線タグ通信装置及び無線タグ通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1の発明は、情報を記憶するIC回路部及び情報を送受信するタグアンテナを備えた無線タグ回路素子と無線通信を行うための装置アンテナと、前記IC回路部のメモリの1ブロックに記憶された情報を取得するための1ブロック読み取り指令を生成する指令生成手段と、前記指令生成手段で生成した前記1ブロック読み取り指令を、前記装置アンテナを介し無線通信により前記無線タグ回路素子に送信する指令送信手段と、前記指令送信手段から送信した前記1ブロック読み取り指令に応じ前記無線タグ回路素子から送信された、前記1ブロックの記憶データを受信する情報受信手段と、前記情報受信手段で受信した前記1ブロックの記憶データのデータ長を検出する第1データ長検出手段と、前記第1データ長検出手段で検出したデータ長に基づき、前記1ブロックを構成するバイト数を算出する第1ブロックサイズ算出手段とを有することを特徴とする。
【0009】
本願第1発明の無線タグ通信装置においては、指令生成手段で生成した1ブロック読み取り指令を指令送信手段が装置アンテナを介し無線タグ回路素子へ送信する。これにより、1ブロック読み取り指令を受信した無線タグ回路素子は、IC回路部のメモリの1ブロックに記憶された情報データを応答信号として返すので、情報受信手段でその1ブロックの記憶データを受信する。そして第1データ長検出手段が当該記憶データのデータ長を検出することで、その検出されたデータ長に基づき、第1ブロックサイズ算出手段でIC回路部のメモリの1ブロックを構成するバイト数(=ブロックサイズ)を算出することができる。
【0010】
以上のようにして、本願第1発明においては、通信対象である無線タグ回路素子のIC回路部のブロックサイズが不明である場合であっても、1ブロック読み取り指令を送信するだけで、簡易な手法でブロックサイズを算出することができる。この結果、装置側から無線タグ回路素子への情報送受信の円滑化を図ることができる。
【0011】
第2発明は、上記第1発明において、前記第1ブロックサイズ算出手段で算出した前記1ブロックのバイト数に対応した態様で、前記IC回路部に書き込むための書き込みデータを生成する第1書き込みデータ生成手段と、前記第1書き込みデータ生成手段で生成した前記書き込みデータを、前記装置アンテナを介し無線通信により前記無線タグ回路素子に送信する書き込みデータ送信手段とを有することを特徴とする。
【0012】
本願第2発明においては、上述のようにして無線タグ回路素子のIC回路部のブロックサイズを予め算出し、そのサイズ(バイト数)に応じた態様で書き込みデータを生成し送信する。これにより、書き込みエラー等の不都合の発生を防止し、円滑な書き込みを確実に行うことができる。
【0013】
第3発明は、上記第2発明において、操作者が操作可能な操作手段と、前記操作手段により所定の情報を無線タグ回路素子に書き込むための書き込み操作が行われた場合、前記所定の情報に対応した前記書き込みデータの送信に先立ち、前記1ブロック読み取り指令を生成して前記無線タグ回路素子に送信し、前記1ブロックの記憶データのデータ長に基づき1ブロックを構成するバイト数を算出するように、前記指令生成手段、前記指令送信手段、前記情報受信手段、前記第1データ長検出手段、前記第1ブロックサイズ算出手段、前記第1書き込みデータ生成手段、及び、前記書き込みデータ送信手段を連携して制御する、第1連携制御手段とを有することを特徴とする。
【0014】
本願第3発明においては、操作者が所定の情報の書き込み操作を行うと、第1連携制御手段の制御により、自動的に無線タグ回路素子のIC回路部のブロックサイズの検出が予め行われた後、情報書き込みが行われる。すなわち、操作者は、(ブロックサイズ検出のための別途の操作を特に行う必要が無く)単に情報書き込みの操作だけを行えば足りる。この結果、操作労力の負担増大を防止しつつ円滑な書き込みを確実に行うことができ、利便性を向上することができる。
【0015】
上記目的を達成するために、第4発明は、情報を記憶するIC回路部及び情報を送受信するタグアンテナを備えた無線タグ回路素子と無線通信を行うための装置アンテナを有する無線タグ通信装置と、前記無線タグ通信装置に接続され、前記無線タグ通信装置を操作可能な操作端末とを有する無線タグ通信システムであって、前記無線タグ通信装置は、前記IC回路部のメモリの1ブロックに記憶された情報を取得するための1ブロック読み取り指令を生成する指令生成手段と、前記指令生成手段で生成した前記1ブロック読み取り指令を、前記装置アンテナを介し無線通信により前記無線タグ回路素子に送信する指令送信手段と、前記指令送信手段から送信した前記1ブロック読み取り指令に応じ前記無線タグ回路素子から送信された、前記1ブロックの記憶データを受信する情報受信手段とを有し、前記操作端末は、前記無線タグ通信装置の前記情報受信手段で受信した前記1ブロックの記憶データのデータ長を検出する第2データ長検出手段と、前記第2データ長検出手段で検出したデータ長に基づき、前記1ブロックを構成するバイト数を算出する第2ブロックサイズ算出手段とを有することを特徴とする。
【0016】
本願第4発明の無線タグ通信システムは、無線タグ通信装置と、操作端末とを有している。無線タグ通信装置の指令生成手段で生成した1ブロック読み取り指令は、指令送信手段により装置アンテナを介し無線タグ回路素子へ送信される。これにより、1ブロック読み取り指令を受信した無線タグ回路素子は、IC回路部のメモリの1ブロックに記憶された情報データを応答信号として返すので、無線タグ通信装置の情報受信手段でその1ブロックの記憶データを受信する。そして、操作端末において、第2データ長検出手段が当該記憶データのデータ長を検出することで、その検出されたデータ長に基づき、第2ブロックサイズ算出手段でIC回路部のメモリの1ブロックを構成するバイト数(=ブロックサイズ)を算出することができる。
【0017】
以上のようにして、本願第4発明においては、通信対象である無線タグ回路素子のIC回路部のブロックサイズが不明である場合であっても、1ブロック読み取り指令を送信するだけで、簡易な手法でブロックサイズを算出することができる。この結果、無線タグ通信装置と無線タグ回路素子との情報送受信の円滑化を図ることができる。
【0018】
第5発明は、上記第4発明において、前記操作端末は、前記操作端末の前記第2ブロックサイズ算出手段で算出した前記1ブロックのバイト数に対応した態様で、前記IC回路部に書き込むための書き込みデータを生成する第2書き込みデータ生成手段を有し、前記無線タグ通信装置は、前記第2書き込みデータ生成手段で生成した前記書き込みデータを、前記装置アンテナを介し無線通信により前記無線タグ回路素子に送信する書き込みデータ送信手段を有することを特徴とする。
【0019】
本願第5発明においては、上述のようにして操作端末において無線タグ回路素子のIC回路部のブロックサイズを予め算出し、そのサイズ(バイト数)に応じた態様で書き込みデータを生成し無線タグ通信装置より送信する。これにより、書き込みエラー等の不都合の発生を防止し、円滑な書き込みを確実に行うことができる。
【0020】
第6発明は、上記第5発明において、前記操作端末において操作者により所定の情報を無線タグ回路素子に書き込むための書き込み操作が行われた場合、前記所定の情報に対応した前記書き込みデータの送信に先立ち、前記1ブロック読み取り指令を生成して前記無線タグ回路素子に送信し、前記1ブロックの記憶データのデータ長に基づき1ブロックを構成するバイト数を算出するように、前記無線タグ通信装置の前記指令生成手段、前記指令送信手段、前記情報受信手段、及び、前記書き込みデータ送信手段と、前記操作端末の前記第2データ長検出手段、前記第2ブロックサイズ算出手段、及び、前記第2書き込みデータ生成手段とを、連携して制御する、第2連携制御手段とを有することを特徴とする。
【0021】
本願第6発明においては、操作者が操作端末において所定の情報の書き込み操作を行うと、第2連携制御手段の制御により、自動的に無線タグ回路素子のIC回路部のブロックサイズの検出が予め行われた後、情報書き込みが行われる。すなわち、操作者は、(ブロックサイズ検出のための別途の操作を特に行う必要が無く)単に情報書き込みの操作だけを行えば足りる。この結果、操作労力の負担増大を防止しつつ円滑な書き込みを確実に行うことができ、利便性を向上することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、通信対象である無線タグ回路素子のIC回路部のブロックサイズが不明である場合であっても、円滑に無線タグ回路素子との情報送受信を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0024】
図1に、本実施形態の無線タグ通信装置であるリーダライタ1の外観構造を示す。また図2に、リーダライタ1の蓋4を取り外した状態を示す(煩雑防止のため図2ではケーブル6の図示を省略している)
【0025】
これら図1及び図2に示すように、リーダライタ1は、機器外郭を構成する小型の筐体2を備え、使用者が適宜の設置面に設置(定置)して使用可能に構成されている(設置面に載置した状態で筐体2を手で把持して使用することも可能)。
【0026】
筐体2は、前端側が幅方向に開口した長方形の浅い皿状の下ケース3と、この下ケース3上に取り付けられる長方形の平板状の蓋4とを備えている。また、筐体2内には、制御基板12と、制御基板12に電気的に接続された装置アンテナ13とが設けられている。制御基板12は、高周波回路131(後述の図3参照)等の電子回路を実装した四角形状の電子回路基板である。
【0027】
装置アンテナ13は、アンテナ導体13aが矩形状のループコイルをなすように設けられた長方形状の板体で、制御基板12よりも上方の高さ位置に制御基板12と平行に設置されている。
【0028】
また、筐体2外部から引き込まれるケーブル6は、その先端に設けられたコネクタ15(後述の図3参照)及び制御基板12の後辺部左側の位置に設けられた基板側コネクタ135(後述の図3参照)を介して、制御基板12に接続されている。
【0029】
図3に、本実施形態の無線タグ通信システムの機能的構成を示す。なお、図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0030】
この図3に示すように、無線タグ通信システムSは、装置アンテナ13を有するリーダライタ1と、リーダライタ1に接続され、このリーダライタ1を操作可能なサーバ140(操作端末)とから構成されている。
【0031】
リーダライタ1は、筺体2内に、上記制御基板12と、通信対象である上記無線タグ回路素子To(例えば無線タグラベルや無線タグカード等からなる無線タグ(図示省略)に備えられている)との間で無線通信により情報の送受を行う上記装置アンテナ13とを備えている。無線タグ回路素子Toは、情報を記憶するIC回路部150及び情報を送受信するタグアンテナ151を備えている。制御基板12には、上記装置アンテナ13により、上記無線タグ回路素子Toのタグアンテナ151を介しIC回路部150へ無線通信によりアクセスすると共に、その無線タグ回路素子Toから読み出された信号を処理する高周波回路131と、上記基板側コネクタ135とを有している。なお、ケーブル6の他端はサーバ140に接続され、リーダライタ1はケーブル6を介しサーバ140から電源供給される。
【0032】
サーバ140は、ケーブル6を介しリーダライタ1との通信の制御を行うインターフェース部142と、CPU(中央演算装置)144と、例えばRAMやROM等からなる記憶部146と、各種操作入力を行う操作部148とを有している。
【0033】
CPU144は、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行い、無線タグ回路素子Toの検出処理やそれらに記憶されている無線タグ情報の読み取りと書き込み、さらに対応する情報の管理処理等を行うようになっている。
【0034】
無線タグ回路素子Toは、上述したようにリーダライタ1の装置アンテナ13と非接触で信号の送受信を行う上記タグアンテナ151と、このタグアンテナ151に接続され、タグアンテナ151により受信された所定の情報信号を記憶し得るメモリ部(メモリ)155を備えた上記IC回路部150とを有している。
【0035】
ここで、本実施形態の最も大きな特徴は、リーダライタ1への無線タグ回路素子Toの応答内容よりIC回路部150の記憶データのデータ長を検出し、そのデータ長に基づきメモリ部155の1ブロックを構成するバイト数を算出することである。以下、その詳細を順次説明する。なお、本実施形態では、国際標準化機構ISO(International Organization for Standardization)15693規格に準拠した無線タグ回路素子Toに対して、読み取り及び書き込みを行う場合を例にとって説明するが、本発明は、上記ISO15693規格に準拠した無線タグ回路素子Toに対して、読み取り及び書き込みを行う場合に限定するものではない。
【0036】
図4に、本実施形態において、サーバ140とリーダライタ1と無線タグ回路素子Toとの間で送受される信号のタイムチャートの一例を示す。この例では、メモリ部155の1ブロックを構成するバイト数を算出することが効果的な典型的な例として、上記のIC回路部150に対し所望のデータ書き込みを行う場合を例にとって説明する。
【0037】
なお、図中では左側から右側に向かって時系列変化するよう示している。また、サーバ140とリーダライタ1との間に記載されている矢印はケーブル6を介した信号の出力方向を示しており、リーダライタ1と無線タグ回路素子Toとの間に記載されている矢印は無線通信による信号の送信方向を示している。なお、リーダライタ1と無線タグ回路素子Toとの間において、送信相手が不特定である場合には破線で示し、送信相手が特定されている場合には実線で示している。
【0038】
この図4において、サーバ140は、まず最初にリーダライタ1に対して、無線タグ回路素子Toへのデータ(以下適宜、「初期データ」と記載する。この例では、初期データの総数D=18[バイト]とする)の書き込みの指示信号を出力する。そして、この書き込み指示信号を入力したリーダライタ1は、無線タグ回路素子Toに対して問い合わせ信号としてのインベントリコマンド(後述の図5(a)参照)を送信する。
【0039】
図5(a)は、リーダライタ1から無線タグ回路素子Toへ送信される上記インベントリコマンドのフレームの構成の一例を示す図である。このフレームは、図5(a)に示すように、順に「SOF」、「フラグ」、「インベントリ」、「オプションAFI」、「マスク長」、「マスク値」、「CRC16」、「EOF」の各部によって構成されている。なお、図中の各格子に示した各バイトは、対応するデータ列のデータ量を表している。例えば、図5(a)では、「フラグ」は1バイト、「インベントリ」は1バイト、「オプションAFI」は1バイト、「マスク長」は1バイト、「マスク値」は2バイト、「CRC16」は2バイトのデータ量を含んでいる。
【0040】
「SOF」(Start Of Frame)は、フレームの開始を表すコード(データ列)である。「フラグ」は、動作を設定するためのコードである。「インベントリ」は、無線タグ回路素子Toから後述する「UID」を取得するためのコマンドコードである。「オプションAFI」(オプションApplication Family Identifier)は、設定したアプリケーションの種類を表すコードである。
【0041】
「マスク長」は、後述の「マスク値」のデータ長をビットで表すコードである。「マスク値」は、データのマスク値を表すコードである。「CRC16」(Cyclic Redundancy Check16)は、データが正しく転送されたかを検出するエラー検出コードである。「EOF」(End Of Frame)は、フレームの終了を表すコードである。
【0042】
図4に戻り、このインベントリコマンドを受信した無線タグ回路素子Toは、このインベントリコマンドに対応した内容で、タグ識別情報である「UID」を含んだレスポンス(=応答信号。後述の図5(b)参照)をリーダライタ1に対して送信する(図中では1つの無線タグ回路素子Toのみを示している)。
【0043】
図5(b)は、上記インベントリコマンドに対応して、無線タグ回路素子Toから送信されるレスポンスのフレームの構成の一例を示す図である。このフレームは、図5(b)に示すように、順に「SOF」、「フラグ」、「DSFID」、「UID」、「CRC16」、「EOF」の各部によって構成されている。この例では、「フラグ」は1バイト、「DSFID」は1バイト、「UID」は8バイト、「CRC16」は2バイトのデータ量を含んでいる。
【0044】
「DSFID」(Data Storage Format Identifier)は、無線タグ回路素子Toのメモリ部155内のデータ構成情報を表すコードである。「UID」(Unique Identifier)は、無線タグ回路素子Toの固有の識別情報(タグID)を表すコードである。
【0045】
再度図4に戻り、上記のような無線タグ回路素子Toから送信された「UID」を含んだレスポンスを受信すると、リーダライタ1は、無線タグ回路素子Toのメモリ部155の1ブロックに記憶された記憶データを取得するための単独ブロック読み取りコマンド(=1ブロック読み取り指令。後述の図6(a)参照)を生成する。そして、無線タグ回路素子Toに対して上記生成した単独ブロック読み取りコマンドを送信する。
【0046】
図6(a)は、リーダライタ1から無線タグ回路素子Toへ送信される上記単独ブロック読み取りコマンドのフレームの構成の一例を示す図である。このフレームは、図6(a)に示すように、順に「SOF」、「フラグ」、「単独ブロック読み取り」、「UID」、「ブロック番号」、「CRC16」、「EOF」の各部によって構成されている。この例では、「フラグ」は1バイト、「単独ブロック読み取り」は1バイト、「UID」は8バイト、「ブロック番号」は1バイト、「CRC16」は2バイトのデータ量を含んでいる。
【0047】
「単独ブロック読み取り」は後述する「ブロック番号」で指定された無線タグ回路素子Toのメモリ部155の1ブロックに含まれる情報(記憶データ)を読み出すためのコマンドコードである。「ブロック番号」は、無線タグ回路素子Toのメモリ部155のブロック番号を指定するコードである。
【0048】
再度図4に戻り、上記のような単独ブロック読み取りコマンドを受信した無線タグ回路素子Toは、この単独ブロック読み取りコマンドに対応した内容で、上記メモリ部155の1ブロックに記憶された記憶データを含むレスポンス(後述の図6(b)参照)をリーダライタ1に対して送信する。
【0049】
図6(b)は、上記図6(a)で示した単独ブロック読み取りコマンドに対応して、無線タグ回路素子Toから送信されるレスポンスのフレームの構成の一例を示す図である。このフレームは、図6(b)に示すように、順に「SOF」、「フラグ」、「ブロックセキュリティ状況」、「記憶データ」、「CRC16」、「EOF」の各部によって構成されている。この例では、「フラグ」は1バイト、「ブロックセキュリティ状況」は1バイト、「記憶データ」は4バイト、「CRC16」は2バイトのデータ量を含んでいる。
【0050】
「ブロックセキュリティ状況」は、無線タグ回路素子Toのメモリ部155の指定されたブロックのセキュリティ状況を表すコードである。「記憶データ」は、無線タグ回路素子Toのメモリ部155の指定された1ブロックに含まれる記憶データである。
【0051】
再度図4に戻り、リーダライタ1は、上記したような、1ブロックに記憶された記憶データを含んだレスポンスを無線タグ回路素子Toから受信する。具体的には、リーダライタ1は、まず最初にフレームの開始を表す「SOF」を受信すると、次に1バイト単位ずつ「フラグ」→「ブロックセキュリティ状況」→「記憶データ」の順に受信する。その後、データが正しく転送されたかを検出する「CRC16」を受信し、最後にフレームの終わりを表す「EOF」を受信する。そして、リーダライタ1は、サーバ140に対して上記「フラグ」、「ブロックセキュリティ状況」、「記憶データ」のデータ列を含んだ信号を出力する。
【0052】
次に、サーバ140は、リーダライタ1から出力された、上記「フラグ」、「ブロックセキュリティ状況」、「記憶データ」を入力すると、これらより「フラグ」、「ブロックセキュリティ状況」を差し引き(これらのバイト数は既知であるとする)、「記憶データ」を検出する。すなわち、この例では「フラグ」、「ブロックセキュリティ状況」のバイト数は2であるので、「記憶データ」のバイト数は6−2=4となる。すなわち、これが1ブロックの記憶データのデータ長(この例では、4バイト)となる。サーバ140は、この検出した1ブロックの記憶データのデータ長に基づき、無線タグ回路素子Toのメモリ部155のブロックサイズBS(1ブロックを構成するバイト数)を算出する。すなわち、この例では、ブロックサイズBSは4[バイト]となる。
【0053】
そして、サーバ140は、この算出したブロックサイズBSに対応した態様で、無線タグ回路素子ToのIC回路部150のメモリ部155に書き込むための書き込みデータを生成する。具体的には、上記初期データの総数DをブロックサイズBSで割った商をBm、余りをKmとする。そして、Km=0の場合(DがBSで割り切れる場合)は初期データを上記メモリ部155に書き込むブロック数bをb=Bmとし、Km=0でない場合(DがBSで割り切れない場合)はb=Bm+1とする。
【0054】
前述の例では、初期データの総数D=18[バイト]、ブロックサイズBS=4[バイト]なので、
Bm=4
Km=0.5
となり(DがBSで割り切れない)、初期データを上記メモリ部155に書き込むブロック数bは、
b=4+1=5
となる。
【0055】
したがって、サーバ140は、上記メモリ部155に書き込む初期データを上記算出した書き込みブロック数b(この例では、b=5)に分割して、ブロックサイズBSに応じた態様で書き込みデータを生成し、この生成した上記書き込みデータを含む信号を、リーダライタ1に出力する。
【0056】
次に、リーダライタ1は、サーバ140から出力された、上記書き込みデータを含む信号を入力すると、無線タグ回路素子Toに対して、上記書き込みデータを含む単独ブロック書き込みコマンド(図7(a)参照)を複数回(上記書き込みブロック数bの数の分。この例では5回)送信する。このとき、単独ブロック書き込みコマンドに含まれる「ブロック番号」で、書き込みを行うブロックを指定する(例えば、0ブロック目〜4ブロック目等)。これにより、この単独ブロック書き込みコマンドを受信した無線タグ回路素子Toのメモリ部155に、この単独ブロック書き込みコマンドに対応した内容で、書き込みデータの書き込みが行われ、無線タグ回路素子Toは、レスポンス(図7(b)参照)をリーダライタ1に対して送信する。
【0057】
図7(a)は、リーダライタ1から無線タグ回路素子Toへ送信される上記単独ブロック書き込みコマンドのフレームの構成の一例を示す図である。このフレームは、図7(a)に示すように、順に「SOF」、「フラグ」、「単独ブロック書き込み」、「UID」、「ブロック番号」、「書き込みデータ」、「CRC16」、「EOF」の各部によって構成されている。この例では、「フラグ」は1バイト、「単独ブロック書き込み」は1バイト、「UID」は8バイト、「ブロック番号」は1バイト、「書き込みデータ」は4バイト、「CRC16」は2バイトのデータ量を含んでいる。
【0058】
「単独ブロック書き込み」は、「ブロック番号」で無線タグ回路素子Toのメモリ部155の指定された1ブロックに「書き込みデータ」を書き込むためのコマンドコードである。
【0059】
図7(b)は、上記図7(a)で示した単独ブロック書き込みコマンドに対応して、無線タグ回路素子Toから送信されるレスポンスのフレームの構成の一例を示す図である。このフレームは、図6(b)に示すように、順に「SOF」、「フラグ」、「CRC16」、「EOF」の各部によって構成されている。この例では、「フラグ」は1バイト、「CRC16」は2バイトのデータ量を含んでいる。
【0060】
図8に、本実施形態においてサーバ140のCPU144により実行される制御手順を示す。この例では、サーバ140の電源の投入後、このフローが開始される(「START位置」)。
【0061】
まずステップS10で、操作者により操作部148を介して所定の情報(上記初期データ)を無線タグ回路素子Toに書き込むための書き込み操作が行われたか否かを判定する。上記書き込み操作が行われるまでループして待機し、書き込み操作が行われた場合、判定が満たされ、次のステップS15へ移る。
【0062】
ステップS15では、上記ステップS10で操作者により操作部148を介して入力された初期データを取得し、次のステップS20へ移る。
【0063】
ステップS20では、ケーブル6及びインターフェース部142を介し、リーダライタ1に対し無線タグ回路素子Toへコマンドを送信するよう指示信号を出力し、次のステップS30へ移る。
【0064】
ステップS30では、ケーブル6及びインターフェース部142を介し、リーダライタ1より上記単独ブロック読み取りコマンドに対応したレスポンスに含まれる、「フラグ」、「ブロックセキュリティ状況」、「記憶データ」のデータ列の入力があったか否かを判定する。上記データ列の入力があるまでループして待機し、上記データ列の入力があった場合、判定が満たされ、次のステップS40へ移る。
【0065】
ステップS40では、前述したように上記ステップS30で入力した上記「フラグ」、「ブロックセキュリティ状況」、「記憶データ」のデータ列から「フラグ」、「ブロックセキュリティ状況」ぶんのバイト数を差し引くことにより、1ブロックの記憶データのデータ長を検出する(第2データ長検出手段としての機能)。
【0066】
次のステップS50では、上記ステップS40で検出した1ブロックの記憶データのデータ長に基づき、上記ブロックサイズBSを算出し(第2ブロックサイズ算出手段としての機能)、次のステップS60へ移る。
【0067】
ステップS60では、上記ステップS50で算出したブロックサイズBSに対応した態様で、無線タグ回路素子ToのIC回路部150に書き込むための書き込みデータを生成する書き込みデータ生成処理を行う(第2書き込みデータ生成手段としての機能。後述の図9参照)。
【0068】
次のステップS70では、ケーブル6及びインターフェース部142を介し、リーダライタ1に対し上記ステップS60で生成した上記書き込みデータを含む信号を出力する。そして、本フローを終了する。
【0069】
なお、上記フローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0070】
図9に、上記図8のステップS60の詳細手順を示す。
【0071】
まず、ステップS62では、前述したようにKm=mod(D/BS)、つまり初期データの総数DをブロックサイズBSで割った余りKmを算出する。
【0072】
次のステップS63では、前述したようにBm=round(D/BS)、つまり初期データの総数DをブロックサイズBSで割った商Bmを算出する。
【0073】
次のステップS64では、Kmの値が0であるか否か、すなわち上記初期データの総数DがブロックサイズBSで割り切れたか否かを判定する。Kmの値が0でない場合、判定が満たされず、ステップS66において初期データを無線タグ回路素子Toのメモリ部155に書き込むブロック数bをBm+1に設定して、ステップS67に移る。
【0074】
一方、Kmの値が0である場合、判定が満たされ、ステップS65においてb=Bmに設定して、ステップS67に移る。
【0075】
ステップS67では、無線タグ回路素子Toのメモリ部155に書き込む初期データを、上記ステップS65又はステップS66に基づき設定した、書き込みブロック数bに分割して、ブロックサイズBSに応じた態様で書き込みデータを生成する。そして、本ルーチンを終了する。
【0076】
なお、上記フローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0077】
図10に、サーバ140の制御に基づき、リーダライタ1の高周波回路131及びアンテナ13が実行する動作内容を示す。この例では、ケーブル6及びインターフェース部142を介して、サーバ140より無線タグ回路素子Toへのインベントリコマンドの送信指示信号の入力があると(上記ステップS20参照)、このフローが開始される(「START位置」)。
【0078】
まず、ステップS110において、高周波回路131が、HF帯(例えば13.56MHz)の搬送波を発生するとともに発生した搬送波を変調・増幅し、装置アンテナ13を介し、無線タグ回路素子ToのIC回路部150に対してインベントリコマンド(図5(a)参照)を送信する。
【0079】
次のステップS120では、高周波回路131が、装置アンテナ13を介して、上記インベントリコマンドを送信した無線タグ回路素子ToのIC回路部150より、上記インベントリコマンドに対応したレスポンス(図5(b)参照)を受信する(タグIDを取得する)。その後、次のステップS130へ移る。
【0080】
ステップS130では、高周波回路131が、上記ステップS120でタグIDを取得した無線タグ回路素子Toのメモリ部155の1ブロックに記憶された記憶データを取得するための単独ブロック読み取りコマンド(図6(a)参照)を生成する(指令生成手段としての機能)。
【0081】
次のステップS140では、高周波回路131が、装置アンテナ13を介し、上記ステップS120でタグIDを取得した無線タグ回路素子Toに対し、上記ステップS130で生成した単独ブロック読み取りコマンドを送信する(指令送信手段としての機能)。
【0082】
次のステップS150では、高周波回路131が、上記ステップS140で送信した単独ブロック読み取りコマンドに応じ、上記無線タグ回路素子Toから送信された、上記1ブロックの記憶データを含んだレスポンス(図6(b)参照)を受信するデータ受信処理を行う(情報受信手段としての機能。詳細は後述の図11参照)。
【0083】
次のステップS160では、高周波回路からケーブル6及びインターフェース部142を介して、サーバ140に対し、上記ステップS150で受信したレスポンスに含まれる、「フラグ」、「ブロックセキュリティ状況」、「記憶データ」のデータ列を出力する。
【0084】
次のステップS170では、ケーブル6及びインターフェース部142を介して、サーバ140より書き込みデータ(上記図8のステップS60参照)を含む信号を入力する。その後、次のステップS180へ移る。
【0085】
ステップS180では、高周波回路131が、装置アンテナ13を介し、上記無線タグ回路素子Toに対し、上記ステップS170で入力した上記書き込みデータを送信するデータ書き込み処理を行う(書き込みデータ送信手段としての機能。詳細は後述の図12参照)。そして、本フローを終了する。
【0086】
なお、上記フローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0087】
図11に、上記ステップS150の詳細手順を示す。
【0088】
まず、装置アンテナ13が、上記ステップS140で単独ブロック読み取りコマンドを送信した無線タグ回路素子Toより、上記単独ブロック読み取りコマンドに対応したレスポンスの受信開始通知(「SOF」)を受信すると、ステップS152から次のステップS153へ移る。
【0089】
ステップS153では、装置アンテナ13を介し、高周波回路131が、上記無線タグ回路素子ToのIC回路部150より、上記「フラグ」、「ブロックセキュリティ状況」、「記憶データ」のデータ列のうち1バイト分を受信する。
【0090】
その後、装置アンテナ13を介し、高周波回路131が、無線タグ回路素子ToのIC回路部150より上記単独ブロック読み取りコマンドに対応したレスポンスの受信終了通知(「EOF」)を受信するまでは、ステップS155からステップS153に戻り、上記「フラグ」、「ブロックセキュリティ状況」、「記憶データ」のデータ列のうちさらに1バイト分を受信する。上記無線タグ回路素子ToのIC回路部150からレスポンスの受信終了通知(「EOF」)を受信した場合、ステップS155が完了し、本ルーチンを終了する。
【0091】
なお、上記フローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0092】
図12に、上記図10のステップS180の詳細手順を示す。
【0093】
まずステップS182で、上記ステップS170でケーブル6を介しサーバ140より入力した書き込みデータを含んだ、単独ブロック書き込みコマンド(図7(a)参照)を生成する。なお、この単独ブロック書き込みコマンドに含まれる「ブロック番号」は、無線タグ回路素子Toのメモリ部155のブロック番号を指定する。そして、高周波回路131及び装置アンテナ13を介し、無線タグ回路素子Toに対し、上記単独ブロック書き込みコマンドを送信する。
【0094】
その後、まだ単独書き込みコマンドを送信していないブロックが残っていたらステップS184からステップS182に戻り、再度単独ブロック書き込みコマンドを送信する。これにより、IC回路部150のうち未書き込みのブロックごとに、順次データ書き込みが行われる。
【0095】
上記単独ブロック書き込みコマンドによるデータ書き込みを繰り返し、単独書き込みコマンドを送信していないブロックがなくなったら、ステップS184を完了し、このルーチンを終了する。
【0096】
なお、上記フローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0097】
以上において、上記図8〜図11に示すフロー全体が、特許請求の範囲各項記載の、操作端末において操作者により所定の情報を無線タグ回路素子に書き込むための書き込み操作が行われた場合、所定の情報に対応した書き込みデータの送信に先立ち、1ブロック読み取り指令を生成して無線タグ回路素子に送信し、1ブロックの記憶データのデータ長に基づき1ブロックを構成するバイト数を算出するように、無線タグ通信装置の指令生成手段、指令送信手段、情報受信手段、及び、書き込みデータ送信手段と、操作端末の第2データ長検出手段、第2ブロックサイズ算出手段、及び、第2書き込みデータ生成手段とを、連携して制御する第2連携制御手段を構成する。
【0098】
以上説明したように、本実施形態においては、リーダライタ1において無線タグ回路素子Toのメモリ部155の1ブロックに記憶された記憶データを取得するための単独ブロック読み取りコマンドを生成し(ステップS130)、無線タグ回路素子Toへ送信する(ステップS140)。これに応じて、無線タグ回路素子Toは、メモリ部155の1ブロックに記憶された記憶データを含んだレスポンス(応答信号)をリーダライタ1に送信し、リーダライタ1において、その1ブロックの記憶データを含んだレスポンスを受信する(ステップS150)。そして、サーバ140において、当該記憶データのデータ長を検出することで(ステップS40)、その検出されたデータ長に基づき、無線タグ回路素子Toのメモリ部155のブロックサイズBSを算出することができる(ステップS50)。
【0099】
これにより、通信対象である無線タグ回路素子Toのメモリ部155のブロックサイズBSが不明である場合であっても、リーダライタ1が単独ブロック読み取りコマンドを送信するだけで、前述したような簡易な手法でブロックサイズBSを算出することができる。この結果、リーダライタ1と無線タグ回路素子Toとのデータ送受信の円滑化を図ることができる。
【0100】
また、本実施形態では特に、無線タグ回路素子Toへの情報書き込みを行う際、サーバ140において無線タグ回路素子Toのメモリ部155のブロックサイズBSを予め算出し、そのメモリ部155のサイズ(バイト数)に応じた態様で書き込みデータを生成し(ステップS60)、リーダライタ1を介して無線タグ回路素子Toに送信する(ステップS70)。これにより、書き込みエラー等の不都合の発生を防止し、円滑な書き込みを確実に行うことができる。
【0101】
また、本実施形態では特に、操作者がサーバ140において操作部148により初期データの書き込み操作を行うと、自動的に無線タグ回路素子Toのメモリ部155のブロックサイズBSの検出が予め行われた後、データ書き込みが行われる(ステップS180)。すなわち、操作者は、(ブロックサイズBS検出のための別途の操作を特に行う必要が無く)単に初期データの書き込みの操作だけを行えば足りる。この結果、操作労力の負担増大を防止しつつ円滑な書き込みを確実に行うことができ、利便性を向上することができる。
【0102】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0103】
(1)リーダライタにおいてデータ長の検出、ブロックサイズの算出及び書き込みデータの生成処理を行う場合
上記実施形態においては、サーバ140が、無線タグ回路素子Toのメモリ部155の1ブロックの記憶データのデータ長の検出、上記メモリ部155のブロックサイズBSの算出、及び、上記ブロックサイズBSに対応した態様でIC回路部150に書き込むための書き込みデータの生成を行っていた。しかし、これに限られず、リーダライタ1において、上記データ長の検出、ブロックサイズBSの算出及び書き込みデータの生成の全てを行ってもよい。
【0104】
図13に、本変形例における無線タグ通信装置であるリーダライタ1の外観構造を示す。なお、この図13は、上記実施形態の図1に対応する図であり、図1と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略又は簡略化する。
【0105】
この図13に示すように、本変形例においては、リーダライタ1が、操作者が所定の情報(初期データ)を無線タグ回路素子Toに書き込むための書き込み操作を行うことができる操作部136(操作手段)を新たに備えている。
【0106】
図14に、本変形例のリーダライタ1の機能的構成を示す。上記図3と同等の部分には同一の符号を付している。図14において、本変形例では、高周波回路131を含むリーダライタ1全体の制御を行う制御回路133と、情報が記憶されるメモリ134とが新たに設けられている。
【0107】
図15に、本変形例においてリーダライタ1の上記制御回路133により実行される制御手順を示す。
【0108】
まず、ステップS200で、操作者により操作部136を介して所定の情報(初期データ)を無線タグ回路素子Toに書き込むための書き込み操作が行われたか否かを判定する。上記書き込み操作が行われるまでループして待機し、書き込み操作が行われた場合、判定が満たされ、次のステップS210へ移る。
【0109】
ステップS210では、操作部136により入力された上記初期データを取得し、次のステップS220へ移る。
【0110】
ステップS220では、高周波回路131に制御信号を出力し、HF帯(例えば13.56MHz)の搬送波を発生させ、制御信号に基づいて発生した搬送波を変調・増幅させ、装置アンテナ13を介し、無線タグ回路素子ToのIC回路部150に対してインベントリコマンドを送信させる。
【0111】
次のステップS230では、装置アンテナ13を介して、上記インベントリコマンドを送信した無線タグ回路素子ToのIC回路部150より、上記インベントリコマンドに対応したレスポンスを受信した否か(タグIDを取得したか否か)を判定する。応答信号を受信しなかった場合には、判定が満たされずに上記ステップS220に戻る。一方、上記無線タグ回路素子ToのIC回路部150から、上記インベントリコマンドに対応したレスポンスが受信した場合(タグIDを取得した場合)には、判定が満たされて次のステップS240へ移る。
【0112】
ステップS240では、上記ステップS230でタグIDを取得した無線タグ回路素子Toのメモリ部155の1ブロックに記憶された記憶データを取得するための単独ブロック読み取りコマンドを生成する(指令生成手段としての機能)。
【0113】
次のステップS250では、高周波回路131及び装置アンテナ13を介し、上記ステップS230でタグIDを取得した無線タグ回路素子Toに対し、上記ステップS240で生成した単独ブロック読み取りコマンドを送信する(指令送信手段としての機能)。
【0114】
次のステップS260では、上記ステップS250で送信した単独ブロック読み取りコマンドに応じ、上記無線タグ回路素子Toから送信された、上記1ブロックの記憶データを含むレスポンスを受信するデータ受信処理を行う(情報受信手段としての機能。前述の図11と同様の手順で足りるので、詳細な説明を省略)。
【0115】
ステップS270では、サーバ140が実行する前述の図8のステップS40と同様、上記ステップS260で受信したレスポンスに含まれる上記「フラグ」、「ブロックセキュリティ状況」、「記憶データ」のデータ列から「フラグ」、「ブロックセキュリティ状況」ぶんのバイト数を差し引くことにより、1ブロックの記憶データのデータ長を検出する(第1データ長検出手段としての機能)。
【0116】
次のステップS280では、サーバ140が実行する前述の図8のステップS50と同様、上記ステップS270で検出した1ブロックの記憶データのデータ長に基づき、上記ブロックサイズBSを算出し、次のステップS290へ移る(第1ブロックサイズ算出手段としての機能)。
【0117】
ステップS290では、サーバ140が実行する前述の図8のステップS60と同様、上記ステップS280で算出したブロックサイズBSに対応した態様で、無線タグ回路素子ToのIC回路部150に書き込むための書き込みデータを生成する書き込みデータ生成処理を行う(第1書き込みデータ生成手段としての機能。前述の図9と同様の手順で足りるので、詳細な説明は省略)。
【0118】
ステップS300では、前述の図10のステップS180と同様、高周波回路131及び装置アンテナ13を介し、上記無線タグ回路素子Toに対し、上記ステップS290で生成した上記書き込みデータを送信するデータ書き込み処理を行う(書き込みデータ送信手段としての機能。詳細手順は前述の図12と同様)。そして、本フローを終了する。
【0119】
以上において、上記図15に示すフロー全体が、操作手段により所定の情報を無線タグ回路素子に書き込むための書き込み操作が行われた場合、所定の情報に対応した書き込みデータの送信に先立ち、1ブロック読み取り指令を生成して無線タグ回路素子に送信し、1ブロックの記憶データのデータ長に基づき1ブロックを構成するバイト数を算出するように、指令生成手段、指令送信手段、情報受信手段、第1データ長検出手段、第1ブロックサイズ算出手段、書き込みデータ生成手段、及び、第1書き込みデータ送信手段を連携して制御する、第1連携制御手段を構成する。
【0120】
なお、上記フローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0121】
以上説明した変形例によれば、リーダライタ1において、無線タグ回路素子Toから送信された記憶データのデータ長を検出することで(ステップS270)、その検出されたデータ長に基づき、無線タグ回路素子Toのメモリ部155のブロックサイズBSを算出することができる(ステップS280)。これにより、サーバ140等を用意しなくても、リーダライタ1単独で、無線タグ回路素子Toへのデータ送受信の円滑化を図ることができる。
【0122】
また、以上すでに述べた以外にも、上記の各実施形態による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0123】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本発明の一実施形態に係るリーダライタを示す平面図である。
【図2】リーダライタの蓋を取り外した状態の平面図である。
【図3】本実施形態の無線タグ通信システムの機能的構成を示す図である。
【図4】サーバとリーダライタと無線タグ回路素子との間で送受される信号のタイムチャートの一例を表す図である。
【図5】リーダライタと無線タグ回路素子との間で送受信される信号のフレーム単位での構成の一例を示す図である。
【図6】リーダライタと無線タグ回路素子との間で送受信される信号のフレーム単位での構成の一例を示す図である。
【図7】リーダライタと無線タグ回路素子との間で送受信される信号のフレーム単位での構成の一例を示す図である。
【図8】サーバのCPUにより実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図9】書き込みデータ生成処理の詳細手順を表すフローチャートである。
【図10】リーダライタにより実行される動作内容を表すフローチャートである。
【図11】データ受信処理の詳細手順を表すフローチャートである。
【図12】データ書き込み処理の詳細手順を表すフローチャートである。
【図13】リーダライタにおいてデータ長の検出、ブロックサイズの算出及び書き込みデータの生成処理を行う場合の変形例におけるリーダライタを示す平面図である。
【図14】リーダライタの機能的構成を示す図である。
【図15】リーダライタの制御回路により実行される制御内容を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0125】
1 リーダライタ(無線タグ通信装置)
6 ケーブル
13 装置アンテナ
131 高周波回路
136 操作部(操作手段)
140 サーバ(操作端末)
150 IC回路部
151 タグアンテナ
155 メモリ部(メモリ)
S 無線タグ通信システム
To 無線タグ回路素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を記憶するIC回路部及び情報を送受信するタグアンテナを備えた無線タグ回路素子と無線通信を行うための装置アンテナと、
前記IC回路部のメモリの1ブロックに記憶された情報を取得するための1ブロック読み取り指令を生成する指令生成手段と、
前記指令生成手段で生成した前記1ブロック読み取り指令を、前記装置アンテナを介し無線通信により前記無線タグ回路素子に送信する指令送信手段と、
前記指令送信手段から送信した前記1ブロック読み取り指令に応じ前記無線タグ回路素子から送信された、前記1ブロックの記憶データを受信する情報受信手段と、
前記情報受信手段で受信した前記1ブロックの記憶データのデータ長を検出する第1データ長検出手段と、
前記第1データ長検出手段で検出したデータ長に基づき、前記1ブロックを構成するバイト数を算出する第1ブロックサイズ算出手段と
を有することを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項2】
請求項1記載の無線タグ通信装置において、
前記第1ブロックサイズ算出手段で算出した前記1ブロックのバイト数に対応した態様で、前記IC回路部に書き込むための書き込みデータを生成する第1書き込みデータ生成手段と、
前記第1書き込みデータ生成手段で生成した前記書き込みデータを、前記装置アンテナを介し無線通信により前記無線タグ回路素子に送信する書き込みデータ送信手段と
を有することを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項3】
請求項2記載の無線タグ通信装置において、
操作者が操作可能な操作手段と、
前記操作手段により所定の情報を無線タグ回路素子に書き込むための書き込み操作が行われた場合、前記所定の情報に対応した前記書き込みデータの送信に先立ち、前記1ブロック読み取り指令を生成して前記無線タグ回路素子に送信し、前記1ブロックの記憶データのデータ長に基づき1ブロックを構成するバイト数を算出するように、前記指令生成手段、前記指令送信手段、前記情報受信手段、前記第1データ長検出手段、前記第1ブロックサイズ算出手段、前記第1書き込みデータ生成手段、及び、前記書き込みデータ送信手段を連携して制御する、第1連携制御手段と
を有することを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項4】
情報を記憶するIC回路部及び情報を送受信するタグアンテナを備えた無線タグ回路素子と無線通信を行うための装置アンテナを有する無線タグ通信装置と、
前記無線タグ通信装置に接続され、前記無線タグ通信装置を操作可能な操作端末と
を有する無線タグ通信システムであって、
前記無線タグ通信装置は、
前記IC回路部のメモリの1ブロックに記憶された情報を取得するための1ブロック読み取り指令を生成する指令生成手段と、
前記指令生成手段で生成した前記1ブロック読み取り指令を、前記装置アンテナを介し無線通信により前記無線タグ回路素子に送信する指令送信手段と、
前記指令送信手段から送信した前記1ブロック読み取り指令に応じ前記無線タグ回路素子から送信された、前記1ブロックの記憶データを受信する情報受信手段とを有し、
前記操作端末は、
前記無線タグ通信装置の前記情報受信手段で受信した前記1ブロックの記憶データのデータ長を検出する第2データ長検出手段と、
前記第2データ長検出手段で検出したデータ長に基づき、前記1ブロックを構成するバイト数を算出する第2ブロックサイズ算出手段と
を有することを特徴とする無線タグ通信システム。
【請求項5】
請求項4記載の無線タグ通信システムにおいて、
前記操作端末は、
前記操作端末の前記第2ブロックサイズ算出手段で算出した前記1ブロックのバイト数に対応した態様で、前記IC回路部に書き込むための書き込みデータを生成する第2書き込みデータ生成手段を有し、
前記無線タグ通信装置は、
前記第2書き込みデータ生成手段で生成した前記書き込みデータを、前記装置アンテナを介し無線通信により前記無線タグ回路素子に送信する書き込みデータ送信手段
を有することを特徴とする無線タグ通信システム。
【請求項6】
請求項5記載の無線タグ通信システムにおいて、
前記操作端末において操作者により所定の情報を無線タグ回路素子に書き込むための書き込み操作が行われた場合、前記所定の情報に対応した前記書き込みデータの送信に先立ち、前記1ブロック読み取り指令を生成して前記無線タグ回路素子に送信し、前記1ブロックの記憶データのデータ長に基づき1ブロックを構成するバイト数を算出するように、前記無線タグ通信装置の前記指令生成手段、前記指令送信手段、前記情報受信手段、及び、前記書き込みデータ送信手段と、前記操作端末の前記第2データ長検出手段、前記第2ブロックサイズ算出手段、及び、前記第2書き込みデータ生成手段とを、連携して制御する、第2連携制御手段と
を有することを特徴とする無線タグ通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−79330(P2010−79330A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−243503(P2008−243503)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】