説明

無線タグ通信装置

【課題】通信に先立っての搬送波の検出や送信側からの回り込み信号のキャンセル制御に関する信号強度の検出を好適に行い得る無線タグ通信装置を提供する。
【解決手段】質問波Fcの搬送波の周波数と等しい第1の周波数の発振出力を行う第1発振部18と、その第1の周波数とは異なる第2の周波数の発振出力を行う第2発振部20と、前記第1の周波数又は第2の周波数に基づいて検波を行うミキサ36と、前記第1発振部18及び第2発振部20のうち何れか一方の発振回路からの出力が前記ミキサ36に入力されるように回路を切り替える回路切替部50とを、備えたものであることから、対象となる信号に応じて前記第1の周波数に基づくホモダイン検波と、前記第2の周波数に基づく周波数変換とを使い分けることで、種々の信号乃至その信号強度を適宜好適に検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線にて情報の書き込みや読み出しができる無線タグとの間で通信を行う無線タグ通信装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の情報が記憶された小型の無線タグ(応答器)から所定の無線タグ通信装置(質問器)により非接触にて情報の読み出しを行うRFID(Radio Frequency Identification)システムが知られている。このRFIDシステムは、無線タグが汚れている場合や見えない位置に配置されている場合であっても無線タグ通信装置との通信によりその無線タグに記憶された情報を読み出すことが可能であることから、商品管理や検査工程等の様々な分野において実用が期待されている。
【0003】
斯かる無線タグ通信装置の一態様として、上記無線タグから返信される応答波を検波するためにホモダイン検波回路(直交検波回路)を備えたものが知られている。例えば、特許文献1に記載された無線通信装置がそれである。この技術によれば、簡単且つ実用的な周波数変換回路であるホモダイン検波回路により、上記無線タグから返信される応答波を好適に検波することができる。
【0004】
【特許文献1】特開2005−328382号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記無線タグ通信装置による無線タグとの間の情報通信では、他の装置との混信を回避するために、その通信に先立って搬送波の検出(キャリアセンス)を行い、通信チャンネルが未使用状態であることを予め確認する必要がある。また、送信側からの回り込み信号を抑制するためのキャンセル回路が備えられている場合、その送信側からの回り込み信号やキャンセル信号の信号強度を検出することが考えられる。前述したような従来の技術では、上記搬送波の検出やキャンセル制御に関する信号強度の検出を、前記ホモダイン検波回路を用いて行っていた。しかし、前記ホモダイン検波回路を用いて上記搬送波の検出やキャンセル制御に関する信号強度の検出を行う場合、信号の直流成分を検出する必要があるが、斯かる直流成分の検出はノイズを除去し難く、信号が安定するまでに時間を要する等の問題があり、好適な検出が行われないおそれがあった。このため、通信に先立っての搬送波の検出や送信側からの回り込み信号のキャンセル制御に関する信号強度の検出を好適に行い得る無線タグ通信装置の開発が求められていた。
【0006】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、通信に先立っての搬送波の検出や送信側からの回り込み信号のキャンセル制御に関する信号強度の検出を好適に行い得る無線タグ通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
斯かる目的を達成するために、本発明の要旨とするところは、無線タグに向けて質問波を送信用アンテナから送信すると共に、その質問波に応じて前記無線タグから返信される応答波を受信用アンテナにより受信することでその無線タグとの間で通信を行う無線タグ通信装置であって、前記質問波の搬送波の周波数と等しい第1の周波数の発振出力を行う第1の発振回路と、その第1の周波数とは異なる第2の周波数の発振出力を行う第2の発振回路と、前記第1の周波数又は第2の周波数に基づいて検波を行う周波数変換回路と、前記第1の発振回路及び第2の発振回路のうち何れか一方の発振回路からの出力が前記周波数変換回路に入力されるように回路を切り替える回路切替部とを、備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
このようにすれば、前記質問波の搬送波の周波数と等しい第1の周波数の発振出力を行う第1の発振回路と、その第1の周波数とは異なる第2の周波数の発振出力を行う第2の発振回路と、前記第1の周波数又は第2の周波数に基づいて検波を行う周波数変換回路と、前記第1の発振回路及び第2の発振回路のうち何れか一方の発振回路からの出力が前記周波数変換回路に入力されるように回路を切り替える回路切替部とを、備えたものであることから、対象となる信号に応じて前記第1の周波数に基づくホモダイン検波と、前記第2の周波数に基づく周波数変換とを使い分けることで、種々の信号乃至その信号強度を適宜好適に検出することができる。すなわち、通信に先立っての搬送波の検出や送信側からの回り込み信号のキャンセル制御に関する信号強度の検出を好適に行い得る無線タグ通信装置を提供することができる。
【0009】
ここで、好適には、前記第1の発振回路からの出力は、前記質問波の搬送波として用いられるものである。このようにすれば、装置の構成を簡単なものとすることができる。
【0010】
また、好適には、前記受信用アンテナにより受信される受信信号に含まれる送信側からの回り込み信号を抑制するためのキャンセル信号を出力させるキャンセル回路と、そのキャンセル回路から出力されるキャンセル信号と前記受信用アンテナにより受信される受信信号とを合成するキャンセル信号合成部とを、備えたものである。このようにすれば、前記受信信号に含まれる送信側からの回り込み信号を抑制でき、前記無線タグとの間で好適な通信を実現することができる。
【0011】
また、好適には、前記受信用アンテナと周波数変換回路との間の信号伝達経路に増幅部を備えたものである。このようにすれば、前記受信用アンテナにより受信される受信信号を増幅することで、前記無線タグとの間で好適な通信を実現することができる。
【0012】
また、好適には、前記増幅部は、増幅率を変更し得る可変増幅部である。このようにすれば、前記キャンセル信号の信号強度の検出等に際しては前記可変増幅部の増幅率を1とすることで、斯かる信号強度を好適に検出することができる。
【0013】
また、好適には、前記増幅部を経由する信号伝達経路とその増幅部を経由しない信号伝達経路とを切り替える第2の回路切替部を備えたものである。このようにすれば、前記キャンセル信号の信号強度の検出等に際しては前記増幅部を経由しない回路とすることで、斯かる信号強度を好適に検出することができる。
【0014】
また、好適には、前記無線タグからの応答波に含まれる変調信号の周波数帯域の中心周波数が前記第1の周波数と第2の周波数との差となるようにその第2の周波数が設定されたものである。このようにすれば、前記第1の周波数に基づくホモダイン検波出力信号と、前記第2の周波数に基づいて定められる周波数変換回路の出力信号とで同一のバンドパスフィルタを使用することができる。
【0015】
また、好適には、前記第1の周波数と第2の周波数との差を中心周波数とするバンドパスフィルタを備えたものである。このようにすれば、前記第2の周波数に基づいて定められる周波数変換回路の出力信号に対応する周波数帯域の抽出を行うことができる。また、前記無線タグからの応答波に含まれる変調信号の周波数帯域が前記第1の周波数と第2の周波数との差を中心周波数とするものである場合には、前記第1の周波数に基づくホモダイン検波に対応する周波数帯域の抽出をそのバンドパスフィルタにより併せて行うことができる。
【0016】
また、好適には、前記バンドパスフィルタとは別に、前記無線タグからの応答波に含まれる変調信号の周波数帯域に対応する第2のバンドパスフィルタを備えたものである。このようにすれば、前記無線タグからの応答波に含まれる変調信号の周波数帯域の中心周波数が、前記第1の周波数と第2の周波数との差からずれる場合であっても、前記第1の周波数に基づくホモダイン検波及び第2の周波数に基づいて定められる周波数変換回路の出力信号に対応する周波数帯域の抽出を行うことができる。
【0017】
また、好適には、前記周波数変換回路から供給される信号の信号強度を検出するための信号強度検出部を備えたものである。このようにすれば、送信側からの回り込み信号のキャンセル制御に関する種々の信号強度の検出を行うことができる。
【0018】
また、好適には、前記回路切替部による回路の切り替えを制御する回路切替制御部を備え、その回路切替制御部は、前記無線タグからの応答波の処理に際しては前記第1の発振回路からの出力が前記周波数変換回路に入力されるように回路を切り替えるものである。このようにすれば、前記無線タグからの応答波の処理に際しては前記第1の周波数に基づくホモダイン検波を行うことで、その無線タグとの間で好適な通信を実現することができる。
【0019】
また、好適には、前記回路切替制御部は、前記受信用アンテナにより受信される受信信号に含まれる送信側からの回り込み信号の信号強度の検出に際しては前記第2の発振回路からの出力が前記周波数変換回路に入力されるように回路を切り替えるものである。このようにすれば、前記送信側からの回り込み信号の信号強度の検出に際しては前記第2の周波数に基づいて定められる周波数変換回路の出力信号の信号強度を測定することで、その回り込み信号の信号強度を好適に検出することができる。
【0020】
また、好適には、前記回路切替制御部は、前記キャンセル回路から出力されるキャンセル信号の信号強度の検出に際しては前記第2の発振回路からの出力が前記周波数変換回路に入力されるように回路を切り替えるものである。このようにすれば、前記キャンセル信号の信号強度の検出に際しては前記第2の周波数に基づいて定められる周波数変換回路の出力信号の信号強度を測定することで、そのキャンセル信号の信号強度を好適に検出することができる。
【0021】
また、好適には、前記回路切替制御部は、前記キャンセル信号合成部から出力される受信信号及びキャンセル信号の合成信号の信号強度の検出に際しては前記第2の発振回路からの出力が前記周波数変換回路に入力されるように回路を切り替えるものである。このようにすれば、前記受信信号及びキャンセル信号の合成信号の信号強度の検出に際しては前記第2の周波数に基づいて定められる周波数変換回路の出力信号の信号強度を測定することで、その合成信号の信号強度を好適に検出することができる。
【0022】
また、好適には、前記第2の発振回路を制御する発振回路制御部を備え、その発振回路制御部は、前記無線タグからの応答波の処理に際しては前記第2の発振回路の作動を停止させるものである。このようにすれば、無線タグからの応答信号を受信する際に前記第2の発振回路の発振信号成分が雑音として回り込むことが無くなり、無線タグとの間で好適な通信を実現することができる。
【0023】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0024】
図1は、本発明が好適に適用される無線タグ通信システム10について説明する図である。この無線タグ通信システム10は、本発明の一実施例である無線タグ通信装置12と、その無線タグ通信装置12の通信対象である単数乃至は複数(図1では単数)の無線タグ14とから構成される所謂RFID(Radio Frequency Identification)システムであり、上記無線タグ通信装置12はそのRFIDシステムの質問器として、上記無線タグ14は応答器としてそれぞれ機能する。すなわち、上記無線タグ通信装置12から質問波F(送信信号)が上記無線タグ14に向けて送信されると、その質問波Fを受信した上記無線タグ14において所定のコマンド(送信データ)によりその質問波Fが変調され、応答波F(返信信号)として上記無線タグ通信装置12に向けて返信されることで、その無線タグ通信装置12と無線タグ14との間で情報の通信が行われる。この無線タグ通信システム10は、例えば、所定の通信領域内における物品の管理等に用いられるものであり、上記無線タグ14は、好適には、管理対象である物品に貼られる等してその物品と一体的に設けられている。
【0025】
図2は、上記無線タグ通信装置12の構成を説明する図である。この図2に示すように、本実施例の無線タグ通信装置12は、上記無線タグ14に対する情報の読み書きや、その無線タグ14の方向検知等を実行するためにその無線タグ14との間で情報の通信を行うものであり、送信データをディジタル信号として出力したり、上記無線タグ14からの返信信号を復調する等のディジタル信号処理を実行するDSP(Digital Signal Processor)16と、上記送信信号の搬送波に対応する第1の周波数の発振出力を行う第1の発振回路である第1発振部18と、その第1発振部18から出力される周波数とは異なる第2の周波数の発振出力を行う第2の発振回路である第2発振部20と、上記第1発振部18から出力される搬送波に上記DSP16から供給される送信データを乗せて出力する送信アンプ22と、その送信アンプ22から供給される信号を質問波Fとして送信するための送信用アンテナ24と、前記無線タグ14からの応答波Fを受信するための受信用アンテナ26と、その受信用アンテナ26により受信される受信信号に含まれる送信側からの回り込み信号を抑制するためのキャンセル信号を出力させるキャンセル回路28と、そのキャンセル回路28から出力されるキャンセル信号と上記受信用アンテナ26により受信される受信信号とを合成するキャンセル信号合成部30と、そのキャンセル信号合成部30から出力される信号を増幅する可変増幅部32と、その可変増幅部32から出力される信号のうち所定の周波数帯域の信号のみを通過させるバンドパスフィルタ(Band Pass Filter)34と、上記第1の周波数又は第2の周波数に基づいて上記バンドパスフィルタ34から供給される信号の検波を行う周波数変換回路としてのミキサ36と、そのミキサ36から出力されるI相信号(同相成分)のうち所定の周波数帯域の信号のみを通過させるI相バンドパスフィルタ38と、そのI相バンドパスフィルタ38から供給される信号を増幅させるI相増幅部40と、そのI相増幅部40から供給される信号をディジタル信号に変換して上記DSP16へ供給するI相A/D変換部42と、上記ミキサ36から出力されるQ相信号(直交成分)のうち所定の周波数帯域の信号のみを通過させるQ相バンドパスフィルタ44と、そのQ相バンドパスフィルタ44から供給される信号を増幅させるQ相増幅部46と、そのQ相増幅部46から供給される信号をディジタル信号に変換して上記DSP16へ供給するQ相A/D変換部48と、前記第1発振部18及び第2発振部20のうち何れか一方の発振回路からの出力が前記ミキサ36に入力されるように回路を切り替える回路切替部50とを、備えて構成されている。
【0026】
上記キャンセル回路28は、上記第1発振部18から供給される搬送波の振幅を増幅する可変増幅器であるキャンセル振幅制御部52と、そのキャンセル振幅制御部52から供給される信号の位相を制御する可変移相器であるキャンセル位相制御部54とを、備えており、それらキャンセル振幅制御部52及び/又はキャンセル位相制御部54により上記第1発振部18から供給される搬送波の振幅及び/又は位相を制御してキャンセル信号として上記キャンセル信号合成部30へ供給する。
【0027】
前記DSP16は、中央演算処理装置であるCPU、読出専用メモリであるROM、及び随時書込読出メモリであるRAM等を備え、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行う所謂マイクロコンピュータシステムであり、送信データ生成部56、発振回路制御部58、回路切替制御部60、キャンセル信号制御部62、信号強度検出部64、及び可変増幅部制御部66を機能的に備えている。
【0028】
上記送信データ生成部56は、前記無線タグ14への送信データを生成して前記送信アンプ22へ供給する。この送信データとは、例えば所定のコマンドビット列等であり、前記送信アンプ22は、この送信データ生成部56から供給される送信データを前記第1発振部18から供給される搬送波に乗せて前記送信用アンテナ24から前記無線タグ14へ向けて送信する。
【0029】
前記発振回路制御部58は、前記第1発振部18及び第2発振部20による周波数の発振出力を選択的に制御する。すなわち、前記第1発振部18及び/又は第2発振部20から前記発振出力が行われるようにそれら第1発振部18及び第2発振部20の作動(オン・オフ)を制御する。また、好適には、前記無線タグ14からの応答波Frの処理に際しては前記第2発振部20の作動を停止させる。
【0030】
前記回路切替制御部60は、前記回路切替部50の作動を制御することで回路の切り替えを制御する。すなわち、前記第1発振部18及び第2発振部20のうち何れか一方の発振回路からの出力が前記ミキサ36に入力されるように回路の切り替えを制御する。この回路切替制御部60により前記回路切替部50が図2に示す端子a、bの何れかに接続されることにより、前記第1発振部18及び第2発振部20からの発振出力が選択的に(端子aでは第1発振部18からの出力が、端子bでは第2発振部20からの出力が)前記ミキサ36へ入力される。ここで、図2に示すように、前記第1発振部18からの発振出力は、前記回路切替部50の切替に関係なく前記送信アンプ22へ供給され、前記質問波Fcの搬送波として用いられる。このため、前記第1発振部18からの発振出力が前記ミキサ36に入力される場合、そのミキサ36ではホモダイン検波が行われ、前記第2発振部20からの発振出力が前記ミキサ36に入力される場合、そのミキサ36では周波数変換が行なわれる。
【0031】
前記キャンセル信号制御部62は、前記キャンセル回路28から出力されるキャンセル信号の振幅及び/又は位相を制御する。具体的には、前記キャンセル振幅制御部52における増幅率を制御することでキャンセル信号の振幅を制御すると共に、前記キャンセル位相制御部54における移相量を制御することでキャンセル信号の位相を制御する。好適には、前記受信用アンテナ26により受信される送信側からの回り込み信号と前記キャンセル回路28から出力されるキャンセル信号とが等しい信号強度で且つ逆相となるようにそのキャンセル信号の振幅及び/又は位相を制御する。また、好適には、前記信号強度検出部64により検出される受信信号の信号強度が可及的に小さくなるように前記キャンセル回路28から出力されるキャンセル信号の振幅及び/又は位相を制御する。
【0032】
前記信号強度検出部64は、前記ミキサ36から供給される信号の信号強度を検出する。好適には、前記I相A/D変換部42から供給されるI相信号及び/又はQ相A/D変換部48から供給されるQ相信号に基づいて、例えばそれらI相信号、Q相信号それぞれの二乗の和の平方根を算出すること等によりその信号強度を検出する。この信号強度検出部64により、前記受信用アンテナ26により受信された受信信号の信号強度、その受信用アンテナ26における送信側からの回り込み信号の信号強度、前記キャンセル回路28から出力されるキャンセル信号の信号強度、前記キャンセル信号合成部30から出力される受信信号(回り込み信号)及びキャンセル信号の合成信号の信号強度等が検出される。
【0033】
前記可変増幅部制御部66は、前記可変増幅部32の増幅率を制御する。好適には、前記信号強度検出部64による検出対象である信号の種類に応じて前記可変増幅部32の増幅率を制御する。すなわち、前記無線タグ14からの応答波Frの処理、周囲の無線タグ通信装置のキャリア検出、及び前記キャンセル信号合成部30から出力される合成信号の信号強度検出等に際しては前記可変増幅部32を所定の増幅率とすることで信号を増幅する一方、前記受信用アンテナ26における送信側からの回り込み信号の信号強度検出及び前記キャンセル回路28から出力されるキャンセル信号の信号強度検出に際しては前記可変増幅部32の増幅率を略1とすることでその可変増幅部32による増幅が行われないようにする。また、好適には、前記可変増幅部32のオン/オフ、すなわち動作開始/動作停止を制御する。
【0034】
ここで、前記回路切替制御部60は、好適には、前記無線タグ14からの応答波Frの処理に際しては前記第1発振部18からの出力が前記ミキサ36に入力されるように前記回路切替部50を介して回路を切り替える。換言すれば、前記無線タグ14からの応答波Frの処理に際しては、前記ミキサ36においてホモダイン検波が行われるようにそのミキサ36へ前記第1発振部18の発振出力を供給するように回路を切り替える。
【0035】
また、前記回路切替制御部60は、好適には、前記信号強度検出部64における前記受信用アンテナ26により受信される受信信号に含まれる送信側からの回り込み信号の信号強度の検出に際しては前記第2発振部20からの出力が前記ミキサ36に入力されるように回路を切り替える。換言すれば、前記受信用アンテナ26により受信される受信信号に含まれる送信側からの回り込み信号の信号強度の検出に際しては、前記ミキサ36において周波数変換が行われるようにそのミキサ36へ前記第2発振部20の発振出力を供給するように回路を切り替える。
【0036】
また、前記回路切替制御部60は、好適には、前記キャンセル回路28から出力されるキャンセル信号の信号強度の検出に際しては前記第2発振部20からの出力が前記ミキサ36に入力されるように回路を切り替える。換言すれば、前記キャンセル回路28から出力されるキャンセル信号の信号強度の検出に際しては、前記ミキサ36において周波数変換が行われるようにそのミキサ36へ前記第2発振部20の発振出力を供給するように回路を切り替える。
【0037】
また、前記回路切替制御部60は、好適には、前記キャンセル信号合成部30から出力される受信信号(回り込み信号)及びキャンセル信号の合成信号の信号強度の検出に際しては前記第2発振部20からの出力が前記ミキサ36に入力されるように回路を切り替える。換言すれば、前記受信信号及びキャンセル信号の合成信号を可及的に小さくするためにキャンセル信号を制御する際のその合成信号の信号強度検出に際しては、前記ミキサ36において周波数変換が行われるようにそのミキサ36へ前記第2発振部20の発振出力を供給するように回路を切り替える。
【0038】
図3は、前記無線タグ14に備えられた無線タグ回路素子72の構成を説明する図である。この図3に示すように、上記無線タグ回路素子72は、前記無線タグ通信装置12との間で信号の送受信を行うためのアンテナ部74と、そのアンテナ部74により受信された信号を処理するためのIC回路部76とを、備えて構成されている。そのIC回路部76は、上記アンテナ部74により受信された前記無線タグ通信装置12からの質問波Fを整流する整流部78と、その整流部78により整流された質問波Fのエネルギを蓄積するための電源部80と、上記アンテナ部74により受信された搬送波からクロック信号を抽出して制御部88に供給するクロック抽出部82と、所定の情報信号を記憶し得る情報記憶部として機能するメモリ部84と、上記アンテナ部74に接続されて信号の変調及び復調を行う変復調部86と、上記整流部78、クロック抽出部82、及び変復調部86等を介して上記無線タグ回路素子72の作動を制御するための制御部88とを、機能的に含んでいる。この制御部88は、前記無線タグ通信装置12と通信を行うことにより上記メモリ部84に上記所定の情報を記憶する制御や、上記アンテナ部74により受信された質問波Fを上記変復調部86において上記メモリ部84に記憶された情報信号に基づいて変調したうえで応答波Fとして上記アンテナ部74から反射返信する制御等の基本的な制御を実行する。
【0039】
図4は、前記無線タグ通信装置12と無線タグ14との間の情報通信に用いられる信号及びその無線タグ14による変調信号について説明する図である。この図4に示すように、上記無線タグ回路素子72から反射返信される応答波Frに含まれる変調信号すなわち上記変復調部86における変調信号の周波数帯域は、好適には、前記第1発振部18の発振出力に対応する第1の周波数f1と第2発振部20の発振出力に対応する第2の周波数f2との差(=f1−f2)を中心周波数とするものである。また、前記I相バンドパスフィルタ38及びQ相バンドパスフィルタ44は、好適には、何れも前記第1の周波数と第2の周波数との差を中心周波数とする周波数帯域faの信号を通過させるものであり、これにより、前記ミキサ36における前記第1の周波数に基づくホモダイン検波と、前記第2の周波数に基づく周波数変換とで共通のバンドパスフィルタ38、44を使用することができる。
【0040】
図5は、前記無線タグ通信装置12のDSP16による無線タグ通信制御の要部を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
【0041】
先ず、ステップ(以下、ステップを省略する)S1において、前記第2発振部20からの出力が前記ミキサ36に入力されるように前記回路切替部50が端子bに接続される。次に、S2において、前記可変増幅部32(LNA)の増幅率が所定の値とされてその可変増幅部32の増幅率が大きく設定とされると共に、前記第2発振部20による発振出力が開始させられ、周囲に置かれた他の無線タグ通信装置の出力信号を検出するキャリア検出が開始される。次に、S3において、キャリアの検出が終了したか否かが判断される。このS3の判断が否定されるうちは、S3の判断が繰り返されることにより待機させられるが、S3の判断が肯定される場合には、S3Aにおいて、周囲に置かれた他の無線タグ通信装置の出力が検出されたかが判断される。このS3Aの判断が肯定される場合には、S3Bにおいて、他の無線タグ通信装置が利用を希望するチャネルを使用していると判断され、使用するチャネルを切り替えるように第1発信回路18及び第2発信回路20の出力周波数を変更した後、S3以下の処理が再び実行されるが、SA3の判断が否定される場合には S4において、前記第1発振部18による発振出力が開始させられ、前記送信用アンテナ24から搬送波の送信が開始される。次に、S5において、前記可変増幅部32の増幅率が略1となるようにその可変増幅部32のゲインが小さくされ、また、前記キャンセル回路の出力が小さくなるよう前記キャンセル信号振幅制御部52が制御され、前記送信アンプ22が起動されて前記送信アンテナ24からキャリアが送信された状態で前記受信用アンテナ26により受信される受信信号に含まれる送信側からの回り込み信号の信号強度の検出が行われる。次に、S5Aにおいて、前記送信アンプ22が停止されて前記送信アンテナ24から送信されるキャリアが小さくされた状態で、S6において、前記可変増幅部32のゲインが小さくされたまま、前記キャンセル回路28から出力されるキャンセル信号の信号強度がS5にて検出された回り込み信号と信号強度が略等しく且つ位相が逆になるよう前記キャンセル回路28の調整が行われる。次に、S6Aにおいて、前記送信アンプ22が起動されて前記送信アンテナ24からキャリアが送信される状態とし、S7において、前記可変増幅部32の増幅率が所定の値とされてその可変増幅部32が設定され、前記キャンセル信号合成部30から出力される受信信号(回り込み信号)及びキャンセル信号の合成信号の信号強度の検出が行われる。次に、S8において、キャンセル信号が収束したか否か、すなわち前記キャンセル信号合成部30から出力される合成信号の信号強度が所定の値以下に収束したか否かが判断される。このS8の判断が否定される場合には、S8Aにおいて、前記キャンセル回路28の出力信号の振幅又は位相が微調整された後、S7以下の処理が再び繰り返されるが、S8の判断が肯定される場合には、S8Bにおいて、前記第2発振部20による発振出力が停止させられた後、S9において、前記発振回路制御部58によって前記第1発振部18からの出力が前記ミキサ36に入力されるように前記回路切替部50が端子aに接続される。次に、S10において、前記可変増幅部32の増幅率が所定の値とされた状態で、前記送信データ生成部56で生成された送信データが送信され、前記無線タグ14との間で情報の通信が行われて前記受信用アンテナ26により受信される受信信号のホモダイン検波(直交復調)及びデータ解釈等が行われた後、本ルーチンが終了させられる。以上の制御において、S2、S3B、及びS8Bが前記発振回路制御部58の動作に、S1及びS9が前記回路切替制御部60の動作に、S5、S8及びS8Aが前記キャンセル信号制御部62の動作に、S2、S5、S6、S7、及びS10が前記信号強度検出部64及び可変増幅部制御部66の動作にそれぞれ対応する。
【0042】
このように、本実施例によれば、前記質問波Fcの搬送波の周波数と等しい第1の周波数の発振出力を行う第1の発振回路である第1発振部18と、その第1の周波数とは異なる第2の周波数の発振出力を行う第2の発振回路である第2発振部20と、前記第1の周波数又は第2の周波数に基づいて検波を行う周波数変換回路としてのミキサ36と、前記第1発振部18及び第2発振部20のうち何れか一方の発振回路からの出力が前記ミキサ36に入力されるように回路を切り替える回路切替部50とを、備えたものであることから、対象となる信号に応じて前記第1の周波数に基づくホモダイン検波と、前記第2の周波数に基づく周波数変換とを使い分けることで、種々の信号乃至その信号強度を適宜好適に検出することができる。すなわち、通信に先立っての搬送波の検出や送信側からの回り込み信号のキャンセル制御に関する信号強度の検出を好適に行い得る無線タグ通信装置12を提供することができる。
【0043】
また、前記第1発振部18からの出力は、前記質問波Fcの搬送波として用いられるものであるため、装置の構成を簡単なものとすることができる。
【0044】
また、前記受信用アンテナ26により受信される受信信号に含まれる送信側からの回り込み信号を抑制するためのキャンセル信号を出力させるキャンセル回路28と、そのキャンセル回路28から出力されるキャンセル信号と前記受信用アンテナ26により受信される受信信号とを合成するキャンセル信号合成部30とを、備えたものであるため、前記受信信号に含まれる送信側からの回り込み信号を抑制でき、前記無線タグ14との間で好適な通信を実現することができる。
【0045】
また、前記受信用アンテナ26とミキサ36との間の信号伝達経路に可変増幅部32を備えたものであるため、前記受信用アンテナ26により受信される受信信号を増幅することで、前記無線タグ14との間で好適な通信を実現することができる。
【0046】
また、前記可変増幅部32は、増幅率を変更し得る可変ゲインアンプであるため、前記キャンセル信号の信号強度の検出等に際してはその可変増幅部32の増幅率を1とすることで、斯かる信号強度を好適に検出することができる。
【0047】
また、前記無線タグ14からの応答波Frに含まれる変調信号の周波数帯域は、前記第1の周波数と第2の周波数との差を中心周波数とするものであるため、前記第1の周波数に基づくホモダイン検波と、前記第2の周波数に基づく周波数変換とで同一のバンドパスフィルタ38、44を使用することができる。
【0048】
また、前記第1の周波数と第2の周波数との差を中心周波数とするバンドパスフィルタ38、44を備えたものであるため、前記第2の周波数に基づく周波数変換に対応する周波数帯域の抽出を行うことができることに加え、前記第1の周波数に基づくホモダイン検波に対応する周波数帯域の抽出をそのバンドパスフィルタ38、44により併せて行うことができる。
【0049】
また、前記ミキサ36から供給される信号の信号強度を検出するための信号強度検出部64(S2、S5、S6、S7、及びS10)を備えたものであるため、送信側からの回り込み信号のキャンセル制御に関する種々の信号強度の検出を行うことができる。
【0050】
また、前記回路切替部50による回路の切り替えを制御する回路切替制御部60(S1及びS9)を備え、その回路切替制御部60は、前記無線タグ14からの応答波Frの処理に際しては前記第1発振部18からの出力が前記ミキサ36に入力されるように回路を切り替えるものであるため、前記無線タグ14からの応答波Frの処理に際しては前記第1の周波数に基づくホモダイン検波を行うことで、その無線タグ14との間で好適な通信を実現することができる。
【0051】
また、前記回路切替制御部60は、前記受信用アンテナ26により受信される受信信号に含まれる送信側からの回り込み信号の信号強度の検出に際しては前記第2発振部20からの出力が前記ミキサ36に入力されるように回路を切り替えるものであるため、前記送信側からの回り込み信号の信号強度の検出に際しては前記第2の周波数に基づく周波数変換を行うことで、その回り込み信号の信号強度を好適に検出することができる。
【0052】
また、前記回路切替制御部60は、前記キャンセル回路28から出力されるキャンセル信号の信号強度の検出に際しては前記第2発振部20からの出力が前記ミキサ36に入力されるように回路を切り替えるものであるため、前記キャンセル信号の信号強度の検出に際しては前記第2の周波数に基づく周波数変換を行うことで、そのキャンセル信号の信号強度を好適に検出することができる。
【0053】
また、前記回路切替制御部60は、前記キャンセル信号合成部30から出力される受信信号及びキャンセル信号の合成信号の信号強度の検出に際しては前記第2発振部20からの出力が前記ミキサ36に入力されるように回路を切り替えるものであるため、前記受信信号及びキャンセル信号の合成信号の信号強度の検出に際しては前記第2の周波数に基づく周波数変換を行うことで、その合成信号の信号強度を好適に検出することができる。
【0054】
また、前記発振回路制御部58(S2、S3B、及びS8B)は、前記無線タグ14からの応答波Frの処理に際して前記第2発振回路20を停止するものであるため、前記無線タグ14からの応答波Frの処理時に前記第2発振回路20によるノイズの発生を好適に抑圧することができる。
【0055】
続いて、本発明の他の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明において、実施例相互に共通する部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0056】
図6は、前記無線タグ通信システム10に好適に用いられる、本発明の他の実施例である無線タグ通信装置90の構成を説明する図である。この図6に示すように、本実施例の無線タグ通信装置90は、前記ミキサ36から出力されるI相信号(同相成分)のうち所定の周波数帯域の信号のみを通過させる第2のI相バンドパスフィルタ38′と、そのI相バンドパスフィルタ38′から供給される信号を増幅させる第2のI相増幅部40′と、そのI相増幅部40′から供給される信号をディジタル信号に変換して上記DSP16へ供給する第2のI相A/D変換部42′と、前記ミキサ36から出力されるQ相信号(直交成分)のうち所定の周波数帯域の信号のみを通過させる第2のQ相バンドパスフィルタ44′と、そのQ相バンドパスフィルタ44′から供給される信号を増幅させる第2のQ相増幅部46′と、そのQ相増幅部46′から供給される信号をディジタル信号に変換して上記DSP16へ供給する第2のQ相A/D変換部48′とを、備えて構成されている。
【0057】
上記I相バンドパスフィルタ38′、Q相バンドパスフィルタ44′は、前述したI相バンドパスフィルタ38、Q相バンドパスフィルタ44とは異なる周波数帯域に対応するフィルタであり、それらI相バンドパスフィルタ38′、Q相バンドパスフィルタ44′が通過させる周波数帯域は、前記無線タグ14からの応答波Frに含まれる変調信号の周波数帯域に対応する。また、斯かる構成の無線タグ通信装置90により通信を行う無線タグ通信システム10では、前記無線タグ14からの応答波Frに含まれる変調信号の周波数帯域は、必ずしも前記第1の周波数と第2の周波数との差を中心周波数とするものでなくともよい。
【0058】
このように、本実施例によれば、前記バンドパスフィルタ38、44とは別に、前記無線タグ14からの応答波Frに含まれる変調信号の周波数帯域に対応する第2のバンドパスフィルタ38′、44′を備えたものであるため、前記無線タグ14からの応答波Frに含まれる変調信号の周波数帯域の中心周波数が、前記第1の周波数と第2の周波数との差からずれる場合であっても、前記第1の周波数に基づくホモダイン検波及び第2の周波数に基づく周波数変換に対応する周波数帯域の抽出を行うことができる。
【0059】
図7は、前記無線タグ通信システム10に好適に用いられる、本発明の更に別の実施例である無線タグ通信装置92の構成を説明する図である。この図7に示すように、本実施例の無線タグ通信装置92は、前記可変増幅部32の代替として、増幅率が固定である増幅部94を、前記受信用アンテナ26とミキサ36との間の信号伝達経路に備えている。また、その増幅部94を経由する信号伝達経路とその増幅部を経由しない信号伝達経路とを切り替える第2の回路切替部96を備えると共に、前記DSP16の制御機能としてその回路切替部96による回路の切り替えを制御する第2回路切替制御部98を備えている。この第2回路切替制御部98により上記回路切替部96が図7に示す端子a、bの何れかに接続されることにより、上記増幅部94を経由する信号伝達経路とその増幅部を経由しない信号伝達経路とが(端子aでは経由する経路、端子bでは経由しない経路に)選択的に成立させられる。
【0060】
このように、本実施例によれば、上記増幅部94を経由する信号伝達経路とその増幅部94を経由しない信号伝達経路とを切り替える第2の回路切替部96を備えたものであるため、前記キャンセル信号の信号強度の検出等に際しては前記増幅部94を経由しない回路とすることで、斯かる信号強度を好適に検出することができる。
【0061】
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
【0062】
例えば、前述の実施例において、前記発振回路制御部58、回路切替制御部60、キャンセル信号制御部62、及び信号強度検出部64等は、何れも前記DSP16に機能的に備えられたものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、それらの制御機能を有する制御装置がそれぞれ個別に備えられたものであってもよい。また、それらの制御は、ディジタル信号処理であるとアナログ信号処理であるとを問わない。
【0063】
また、前述の実施例では、前記無線タグ14に向けて送信信号を送信するための送信用アンテナ24と、その送信信号に応じて前記無線タグ14から返信される返信信号を受信するための受信用アンテナ26とがそれぞれ個別に備えられた無線タグ通信装置12等について説明したが、前記無線タグ14に向けて送信信号を送信すると共に、その送信信号に応じて前記無線タグ14から返信される返信信号を受信するための送受信共用のアンテナを備えた無線タグ通信装置にも本発明は好適に適用される。また、複数の送信アンテナ及び/又は受信アンテナを備え、それらを選択的及び/又は同時に利用する無線タグ通信装置にも本発明は好適に適用される。
【0064】
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明が好適に適用される無線タグ通信システムについて説明する図である。
【図2】本発明の一実施例である無線タグ通信装置の構成を説明する図である。
【図3】図2の無線タグ通信装置の通信対象である無線タグに備えられた無線タグ回路素子の構成を説明する図である。
【図4】図2の無線タグ通信装置と図3の無線タグとの間の情報通信に用いられる信号及びその無線タグによる変調信号について説明する図である。
【図5】図2の無線タグ通信装置のDSPによる無線タグ通信制御の要部を説明するフローチャートである。
【図6】本発明の他の実施例である無線タグ通信装置の構成を説明する図である。
【図7】本発明の更に別の実施例である無線タグ通信装置の構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0066】
12、90、92:無線タグ通信装置
14:無線タグ
18:第1発振部(第1の発振回路)
20:第2発振部(第2の発振回路)
24:送信用アンテナ
26:受信用アンテナ
28:キャンセル回路
30:キャンセル信号合成部
32:可変増幅部
36:ミキサ(周波数変換回路)
38:I相バンドパスフィルタ
38′:第2のI相バンドパスフィルタ
44:Q相バンドパスフィルタ
44′:第2のQ相バンドパスフィルタ
50:回路切替部
60:回路切替制御部
64:信号強度検出部
94:増幅部
96:第2の回路切替部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグに向けて質問波を送信用アンテナから送信すると共に、該質問波に応じて前記無線タグから返信される応答波を受信用アンテナにより受信することで該無線タグとの間で通信を行う無線タグ通信装置であって、
前記質問波の搬送波の周波数と等しい第1の周波数の発振出力を行う第1の発振回路と、
該第1の周波数とは異なる第2の周波数の発振出力を行う第2の発振回路と、
前記第1の周波数又は第2の周波数に基づいて周波数の変換を行う周波数変換回路と、
前記第1の発振回路及び第2の発振回路のうち何れか一方の発振回路からの出力が前記周波数変換回路に入力されるように回路を切り替える回路切替部と
を、備えたものであることを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項2】
前記第1の発振回路からの出力は、前記質問波の搬送波として用いられるものである請求項1の無線タグ通信装置。
【請求項3】
前記受信用アンテナにより受信される受信信号に含まれる送信側からの回り込み信号を抑制するためのキャンセル信号を出力させるキャンセル回路と、
該キャンセル回路から出力されるキャンセル信号と前記受信用アンテナにより受信される受信信号とを合成するキャンセル信号合成部と
を、備えたものである請求項1又は2の無線タグ通信装置。
【請求項4】
前記受信用アンテナと周波数変換回路との間の信号伝達経路に増幅部を備えたものである請求項1から3の何れかの無線タグ通信装置。
【請求項5】
前記増幅部は、増幅率を変更し得る可変増幅部である請求項4の無線タグ通信装置。
【請求項6】
前記増幅部を経由する信号伝達経路と該増幅部を経由しない信号伝達経路とを切り替える第2の回路切替部を備えたものである請求項4又は5の無線タグ通信装置。
【請求項7】
前記無線タグからの応答波に含まれる変調信号の周波数帯域の中心周波数が前記第1の周波数と第2の周波数との差となるように該第2の周波数が設定されたものである請求項1から6の何れかの無線タグ通信装置。
【請求項8】
前記第1の周波数と第2の周波数との差を中心周波数とするバンドパスフィルタを備えたものである請求項1から7の何れかの無線タグ通信装置。
【請求項9】
前記バンドパスフィルタとは別に、前記無線タグからの応答波に含まれる変調信号の周波数帯域に対応する第2のバンドパスフィルタを備えたものである請求項8の無線タグ通信装置。
【請求項10】
前記周波数変換回路から供給される信号の信号強度を検出するための信号強度検出部を備えたものである請求項1から9の何れかの無線タグ通信装置。
【請求項11】
前記回路切替部による回路の切り替えを制御する回路切替制御部を備え、該回路切替制御部は、前記無線タグからの応答波の処理に際しては前記第1の発振回路からの出力が前記周波数変換回路に入力されるように回路を切り替えるものである請求項1から10の何れかの無線タグ通信装置。
【請求項12】
前記回路切替制御部は、前記受信用アンテナにより受信される受信信号に含まれる送信側からの回り込み信号の信号強度の検出に際しては前記第2の発振回路からの出力が前記周波数変換回路に入力されるように回路を切り替えるものである請求項11の無線タグ通信装置。
【請求項13】
前記回路切替制御部は、前記キャンセル回路から出力されるキャンセル信号の信号強度の検出に際しては前記第2の発振回路からの出力が前記周波数変換回路に入力されるように回路を切り替えるものである請求項11又は12の無線タグ通信装置。
【請求項14】
前記回路切替制御部は、前記キャンセル信号合成部から出力される受信信号及びキャンセル信号の合成信号の信号強度の検出に際しては前記第2の発振回路からの出力が前記周波数変換回路に入力されるように回路を切り替えるものである請求項11から13の何れかの無線タグ通信装置。
【請求項15】
前記第2の発振回路を制御する発振回路制御部を備え、該発振回路制御部は、前記無線タグからの応答波の処理に際しては前記第2の発振回路の作動を停止させるものである請求項1から14の何れかの無線タグ通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−67318(P2008−67318A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−245983(P2006−245983)
【出願日】平成18年9月11日(2006.9.11)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】