無線ネットワークシステム
【課題】無線通信の干渉が発生しない無線ネットワークシステムを実現する。
【解決手段】第１バックボーンネットワークに無線アクセスポイントを介して接続される第１無線ネットワークグループの無線機器群と、前記第１バックボーンネットワークに接続され前記無線機器群にタイムスロットを割り当てるネットワーク管理装置と、前記第１バックボーンネットワークに時間遅れを有する経路経由で接続される第２バックボーンネットワークに無線アクセスポイントを介して接続される第２無線ネットワークグループの無線機器群を備える無線ネットワークシステムにおいて、前記ネットワーク管理装置は、前記第１無線ネットワークグループの無線機器群の夫々に、第１タイムスロット情報を設定すると共に、前記第２無線ネットワークグループの無線機器群の夫々に、前記時間遅れに基づいて補正された第２タイムスロット情報を設定する。
【解決手段】第１バックボーンネットワークに無線アクセスポイントを介して接続される第１無線ネットワークグループの無線機器群と、前記第１バックボーンネットワークに接続され前記無線機器群にタイムスロットを割り当てるネットワーク管理装置と、前記第１バックボーンネットワークに時間遅れを有する経路経由で接続される第２バックボーンネットワークに無線アクセスポイントを介して接続される第２無線ネットワークグループの無線機器群を備える無線ネットワークシステムにおいて、前記ネットワーク管理装置は、前記第１無線ネットワークグループの無線機器群の夫々に、第１タイムスロット情報を設定すると共に、前記第２無線ネットワークグループの無線機器群の夫々に、前記時間遅れに基づいて補正された第２タイムスロット情報を設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、第１バックボーンネットワークに無線アクセスポイントを介して接続される第１無線ネットワークグループの無線機器群と、前記第１バックボーンネットワークに接続され前記無線機器群にタイムスロットを割り当てるネットワーク管理装置と、前記第１バックボーンネットワークに対して時間遅れを有する経路経由で接続される第２バックボーンネットワークに無線アクセスポイントを介して接続される第２無線ネットワークグループの無線機器群を備え、前記第２無線ネットワークグループの無線機器群が前記ネットワーク管理装置よりタイムスロットが割り当てられる無線ネットワークシステムに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
無線メッシュネットワークを形成する無線機器群（ノード）の夫々に、１台のネットワーク管理装置（マネージャ）より各無線機器群の通信速度能力に応じて通信を許可するタイムスロットを動的に調整し、無線機器間の通信に混信を与えないようにタイムスロット管理する技術は、特許文献１に開示されている。
【０００３】
複数の無線機器が干渉なく通信するためには、時間を一定の間隔で分割（タイムスロット）する。このタイムスロットをネットワーク管理装置が複数の無線機器に割り当て、無線機器は割り当てられたタイムスロットの範囲内でのみ通信する。これにより、多数の無線機器が互いに干渉することなく通信できる仕様となっている。
【０００４】
全ての無線機器の時刻が一定の精度で同期している場合は、各無線機器間の通信が互いに干渉することなく完了するシステムは容易に構築することができる。図５は、無線機器間の通信におけるタイムスロット管理を説明する模式図である。
【０００５】
図５（Ａ）は正常なタイムスロット管理を示す時間を模式図であり、無線機器Ａと無線機器Ｂに割り当てられたタイムスロットＴＳ１と、無線機器Ｃと無線機器Ｄに割り当てられたタイムスロットＴＳ２と、無線機器Ｅと無線機器Ｆに割り当てられたタイムスロットＴＳ３は、時間軸（横軸）上で重なることがなく、正常な通信が実行される。
【０００６】
一部の無線機器の時刻同期精度が予め想定された精度より悪い場合には、精度が悪い無線機器の通信時間が前後いずれかの無線機器の通信時間と干渉する。図５（Ｂ）は、無線機器Ｃ〜Ｆのいずれかの時刻同期精度が悪いため、タイムスロットＴＳ２とタイムスロットＴＳ３が時間軸上で重なり干渉が生じた場合を示している。
【０００７】
図６は、従来の無線ネットワークシステムの構成例を示す機能ブロック図である。第１バックボーンネットワーク１００には、無線アクセスポイント１０１を介して第１無線ネットワークグループ（Ａ）の無線機器群１０２、１０３、１０４、１０５が接続されている。
【０００８】
第１バックボーンネットワーク１００には、無線ＬＡＮアクセスポイント１０６と前記無線機器群１０２〜１０５にタイムスロットを割り当てるネットワーク管理装置１０７が接続されている。
【０００９】
第２バックボーンネットワーク２００には、無線アクセスポイント２０１を介して第２無線ネットワークグループ（Ｂ）の無線機器群２０２、２０３、２０４、２０５が接続されている。
【００１０】
第２バックボーンネットワーク２００には、無線ＬＡＮアクセスポイント２０６が接続されている。第１バックボーンネットワーク１００の無線ＬＡＮアクセスポイント１０６と第２バックボーンネットワーク２００の無線ＬＡＮアクセスポイント２０６は、時間遅れを有する経路である無線ＬＡＮ３００経由で通信している。
【００１１】
第２バックボーンネットワーク２００の無線機器群２０２〜２０５は、第１バックボーンネットワーク１００側に接続されたネットワーク管理装置１０７より、時間遅れを有する経路である無線ＬＡＮ３００経由でタイムスロットが割り当てられる。
【００１２】
前記第１無線ネットワークグループ（Ａ）の無線機器群１０２〜１０５及び前記第２無線ネットワークグループ（Ｂ）の無線機器群２０２〜２０５は、前記第１バックボーンネットワーク１００に接続されたゲートウェイ装置１０８を介して制御ネットワーク１０９に接続された上位装置１１０と通信し、階層的な通信システムを形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【００１３】
【特許文献１】特表２０１０−５０５３５２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１４】
図６に示した従来構成の無線ネットワークシステムでは、無線ＬＡＮ３００等の大きな遅延が発生する経路経由で第２無線ネットワークグループ（Ｂ）の無線機器群２０２〜２０５がネットワーク管理装置１０７に接続されるため、第１無線ネットワークグループ
（Ａ）の無線機器群１０２〜１０５に対して時刻の同期精度を上げることが難しく、図５（Ｂ）に示す干渉が生じやすいという問題がある。例えば、第１グループ（Ａ）の無線機器群と第２グループ（Ｂ）の無線機器群との間で通信を行う場合、図５（Ｂ）に示す干渉が生じうる。
【００１５】
本発明の目的は、一部の無線機器の同期精度が悪い場合でも、無線通信の干渉が発生しない無線ネットワークシステムを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１６】
このような課題を達成するために、本発明は次の通りの構成になっている。
（１）第１バックボーンネットワークに無線アクセスポイントを介して接続される第１無線ネットワークグループの無線機器群と、前記第１バックボーンネットワークに接続され前記無線機器群にタイムスロットを割り当てるネットワーク管理装置と、前記第１バックボーンネットワークに時間遅れを有する経路経由で接続される第２バックボーンネットワークに無線アクセスポイントを介して接続される第２無線ネットワークグループの無線機器群を備え、前記第２無線ネットワークグループの無線機器群が前記ネットワーク管理装置よりタイムスロットが割り当てられる無線ネットワークシステムにおいて、
前記ネットワーク管理装置は、
前記第１無線ネットワークグループの無線機器群の夫々に、第１タイムスロット情報を設定すると共に、前記第２無線ネットワークグループの無線機器群の夫々に、前記時間遅れに基づいて補正された第２タイムスロット情報を設定することを特徴とする無線ネットワークシステム。
【００１７】
（２）前記ネットワーク管理装置は、前記第２無線ネットワークグループの無線機器群が使用するタイムスロットの前後のタイムスロットを不使用とする前記第２タイムスロット情報を設定することを特徴とする（１）に記載の無線ネットワークシステム。
【００１８】
（３）前記ネットワーク管理装置は、前記第２無線ネットワークグループの無線機器群が使用するタイムスロットのタイムスロット長を動的に調整することを特徴とする（１）に記載の無線ネットワークシステム。
【００１９】
（４）前記ネットワーク管理装置は、前記第１バックボーンネットワークに接続された設定ツールを介してユーザの設定により前記第２無線ネットワークグループの無線機器群に対する要求時刻精度情報を取得することを特徴とする（１）乃至（３）のいずれかに記載の無線ネットワークシステム。
【００２０】
（５）前記ネットワーク管理装置は、前記第１バックボーンネットワークに接続されたネットワーク管理ツールを介して前記第１無線ネットワークグループの無線機器群に対する要求時刻精度情報及び前記第２無線ネットワークグループの無線機器群に対する要求時刻精度情報を取得することを特徴とする（１）乃至（３）のいずれかに記載の無線ネットワークシステム。
【００２１】
（６）前記ネットワーク管理ツールは、少なくとも前記第２無線ネットワークグループの無線機器群が出力するパケットエラーレート情報を収集するエラーレート監視手段を備え、前記パケットエラーレートが最小となる時間遅れを検出して前記ネットワーク管理装置に送信することを特徴とする（５）に記載の無線ネットワークシステム。
【００２２】
（７）前記ネットワーク管理装置は、前記エラーレート監視手段を内在することを特徴とする（６）に記載の無線ネットワークシステム。
【００２３】
（８）前記時間遅れを有する経路は、無線ＬＡＮであることを特徴とする（１）乃至（７）のいずれかに記載の無線ネットワークシステム。
【００２４】
（９）前記第１無線ネットワークグループの無線機器群及び前記第２無線ネットワークグループの無線機器群は、前記第１バックボーンネットワークに接続されたゲートウェイ装置１を介して制御ネットワークに接続された上位装置と通信することを特徴とする（１）乃至（８）のいずれかに記載の無線ネットワークシステム。
【発明の効果】
【００２５】
本発明によれば、ネットワーク管理装置４００は、要求時刻精度情報に基づき、第１ネットワークグループ（Ａ）の無線機器群及び第２ネットワークグループ（Ｂ）の無線機器群の最適なタイムスロットを決定し、各無線機器群に設定するので、グループを跨ぐ無線機器間通信においてタイムスロットが干渉するリスクを回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【００２６】
【図１】本発明を適用した無線ネットワークシステムの一実施例を示す機能ブロック図である。
【図２】本発明の動作を説明するタイムスロットの模式図である。
【図３】本発明を適用した無線ネットワークシステムの他の実施例を示す機能ブロック図である。
【図４】パケットエラーレートの特性図である。
【図５】無線機器間の通信におけるタイムスロット管理を説明する模式図である。
【図６】従来の無線ネットワークシステムの構成例を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【００２７】
以下本発明を、図面を用いて詳細に説明する。図１は、本発明を適用した無線ネットワークシステムの一実施例を示す機能ブロック図である。図６で説明した従来構成と同一要素には同一符号を付して説明を省略する。
【００２８】
図１において、本発明が適用されるネットワーク管理装置４００は、図６で示したネットワーク管理装置１０７と同様に第１バックボーンネットワーク１００に接続され、要求時刻精度保持手段４００ａを備えている。
【００２９】
無線アクセスポイント１０１に接続される第１ネットワークグループ（Ａ）の無線機器群１０２、１０３、１０４、１０５は、夫々第１タイムスロット情報保持手段１０２ａ、１０３ａ、１０４ａ、１０５ａを備えている。
【００３０】
無線アクセスポイント２０１に接続される第２ネットワークグループ（Ｂ）の無線機器群２０２、２０３、２０４、２０５は、夫々第２タイムスロット情報保持手段２０２ａ、２０３ａ、２０４ａ、２０５ａを備えている。
【００３１】
第１バックボーンネットワーク１００には、ユーザ設定Ｕを受け付けると共に、ネットワーク管理装置４００と通信できる設定ツール５００が接続されている。ユーザは、この設定ツール５００を使用して、各無線ネットワークに要求される、無線ＬＡＮ３００の時間遅れに基づく時刻精度を入力する。
【００３２】
入力された要求時刻精度情報は、第１バックボーンネットワーク１００経由でネットワーク管理装置４００に転送され、ネットワーク管理装置４００の記憶領域に形成された要求時刻精度ル保持手段４００ａに格納される。
【００３３】
ネットワーク管理装置４００は、要求時刻精度情報に基づき、第１ネットワークグループ（Ａ）の無線機器群１０２、１０３、１０４、１０５に最適な第１タイムスロットを決定し、夫々第１タイムスロット情報保持手段１０２ａ、１０３ａ、１０４ａ、１０５ａに配信して設定する。
【００３４】
同様に、ネットワーク管理装置４００は、要求時刻精度情報に基づき、第２ネットワークグループ（Ｂ）の無線機器群２０２、２０３、２０４、２０５に最適な第２タイムスロットを決定し、夫々第２タイムスロット保持手段２０２ａ、２０３ａ、２０４ａ、２０５ａに配信して設定する。各無線機器は、自己に設定されたタイムスロット情報に基づいて他の無線機器と通信する。
【００３５】
図２は、本発明の動作を説明するタイムスロットの模式図である。図２（Ａ）において、ネットワーク管理装置４００は、無線ＬＡＮ３００の時間遅れによって時刻同期精度が保障できないネットワークＢが使用するタイムスロットの前後のスロットを不使用とする。
【００３６】
これにより、図２（Ｂ）に示す通り、ネットワークＢが使用するタイムスロットの通信タイミングが前後に変動したとしても、無線が干渉するリスクを回避することが可能となる。
【００３７】
図３は、本発明を適用した無線ネットワークシステムの他の実施例を示す機能ブロック図である。図１の構成との相違点は、図１に示した設定ツール５００に代えて、ネットワーク管理ツール６００を備える構成を特徴としている。
【００３８】
図１に示した設定ツール５００は、ユーザ設定Ｕを入力する手動操作ツールであるが、図３のネットワーク管理ツール６００は、少なくとも第２無線ネットワークグループ（Ｂ）の無線機器群が出力するパケットエラーレート情報を自動的に収集するエラーレート監視手段６００ａを備え、無線機器群のパケットエラーレートが最小となる時間遅れ情報を検出して前記ネットワーク管理装置４００に送信する。
【００３９】
具体的に説明すると、図４は、パケットエラーレートの特性図である。ネットワーク管理ツール６００のエラーレート監視手段６００ａは、第２無線ネットワークグループ（Ｂ）の無線機器群の平均パケットエラーレートＰＥＲが、時間遅れに基づく時刻精度の補正により正常な値Ｒ１（許容値）になる遅延時間Ｔ１を検出してネットワーク管理装置４００に送信する。
【００４０】
ネットワーク管理装置４００は、この補正情報に基づいて決定される最適なタイムスロット情報を、第２無線ネットワークグループ（Ｂ）の無線機器群の夫々が備える第２タイムスロット情報保持手段に設定してタイムスロット長を動的に調整する。
【００４１】
図３の実施例では、エラーレート監視手段６００ａは、第２ネットワークグループ（Ｂ）の無線機器群のパケットエラーレート情報を収集する場合を説明したが、これに限定されるものではなく、ネットワークに属する全ての無線機器のパケットエラー情報を収集し、
無線機器個々に最適なタイムスロットを個別設定するための要求時間精度情報をネットワーク管理装置４００に送信する構成も可能である。
【００４２】
図３の実施例では、ネットワーク管理ツール６００がエラーレート監視手段６００ａを備える構成を示したが、エラーレート監視手段６００ａの機能をネットワーク管理装置４００の機能として内在させる構成でもよい。
【００４３】
図１、図３の実施例では、時間遅れを有する経路として無線ＬＡＮ３００を例示したがこれに限定されるものではなく、時間遅れを有するネットワーク経由の接続形態であれば本発明を有効に適用することができる。
【００４４】
図１、図３の実施例では、時間遅れを有する経路を介して第１無線ネットワークグループ（Ａ）に接続されるネットワークとして、簡単のため、第２無線ネットワークグループ（Ｂ）の１グループのみを示したが、第１無線ネットワークグループ（Ａ）に接続されるネットワークは２以上の複数並列接続ネットワークであってもよい。
【００４５】
更に、第２無線ネットワークグループ（Ｂ）の第２バックボーンネットワーク２００より時間遅れを有する経路を介して第３無線ネットワークグループ（Ｃ）等が接続される複数直列接続ネットワークであってもよい。
【符号の説明】
【００４６】
１００ 第１バックボーンネットワーク
１０１ 無線アクセスポイント
１０２〜１０５ 無線機器
１０２ａ〜１０５ａ 第１タイムスロット情報保持手段
１０６ 無線ＬＡＮアクセスポイント
１０８ ゲートウェイ装置
１０９ 制御ネットワーク
１１０ 上位装置
２００ 第２バックボーンネットワーク
２０１ 無線アクセスポイント
２０２〜２０５ 無線機器
２０２ａ〜５０５ａ 第２タイムスロット情報保持手段
２０６ 無線ＬＡＮアクセスポイント
３００ 無線ＬＡＮ
４００ ネットワーク管理装置
４００ａ 要求時刻精度保持手段
５００ 設定ツール
６００ ネットワーク管理ツール
６００ａ エラーレート監視手段
【技術分野】
【０００１】
本発明は、第１バックボーンネットワークに無線アクセスポイントを介して接続される第１無線ネットワークグループの無線機器群と、前記第１バックボーンネットワークに接続され前記無線機器群にタイムスロットを割り当てるネットワーク管理装置と、前記第１バックボーンネットワークに対して時間遅れを有する経路経由で接続される第２バックボーンネットワークに無線アクセスポイントを介して接続される第２無線ネットワークグループの無線機器群を備え、前記第２無線ネットワークグループの無線機器群が前記ネットワーク管理装置よりタイムスロットが割り当てられる無線ネットワークシステムに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
無線メッシュネットワークを形成する無線機器群（ノード）の夫々に、１台のネットワーク管理装置（マネージャ）より各無線機器群の通信速度能力に応じて通信を許可するタイムスロットを動的に調整し、無線機器間の通信に混信を与えないようにタイムスロット管理する技術は、特許文献１に開示されている。
【０００３】
複数の無線機器が干渉なく通信するためには、時間を一定の間隔で分割（タイムスロット）する。このタイムスロットをネットワーク管理装置が複数の無線機器に割り当て、無線機器は割り当てられたタイムスロットの範囲内でのみ通信する。これにより、多数の無線機器が互いに干渉することなく通信できる仕様となっている。
【０００４】
全ての無線機器の時刻が一定の精度で同期している場合は、各無線機器間の通信が互いに干渉することなく完了するシステムは容易に構築することができる。図５は、無線機器間の通信におけるタイムスロット管理を説明する模式図である。
【０００５】
図５（Ａ）は正常なタイムスロット管理を示す時間を模式図であり、無線機器Ａと無線機器Ｂに割り当てられたタイムスロットＴＳ１と、無線機器Ｃと無線機器Ｄに割り当てられたタイムスロットＴＳ２と、無線機器Ｅと無線機器Ｆに割り当てられたタイムスロットＴＳ３は、時間軸（横軸）上で重なることがなく、正常な通信が実行される。
【０００６】
一部の無線機器の時刻同期精度が予め想定された精度より悪い場合には、精度が悪い無線機器の通信時間が前後いずれかの無線機器の通信時間と干渉する。図５（Ｂ）は、無線機器Ｃ〜Ｆのいずれかの時刻同期精度が悪いため、タイムスロットＴＳ２とタイムスロットＴＳ３が時間軸上で重なり干渉が生じた場合を示している。
【０００７】
図６は、従来の無線ネットワークシステムの構成例を示す機能ブロック図である。第１バックボーンネットワーク１００には、無線アクセスポイント１０１を介して第１無線ネットワークグループ（Ａ）の無線機器群１０２、１０３、１０４、１０５が接続されている。
【０００８】
第１バックボーンネットワーク１００には、無線ＬＡＮアクセスポイント１０６と前記無線機器群１０２〜１０５にタイムスロットを割り当てるネットワーク管理装置１０７が接続されている。
【０００９】
第２バックボーンネットワーク２００には、無線アクセスポイント２０１を介して第２無線ネットワークグループ（Ｂ）の無線機器群２０２、２０３、２０４、２０５が接続されている。
【００１０】
第２バックボーンネットワーク２００には、無線ＬＡＮアクセスポイント２０６が接続されている。第１バックボーンネットワーク１００の無線ＬＡＮアクセスポイント１０６と第２バックボーンネットワーク２００の無線ＬＡＮアクセスポイント２０６は、時間遅れを有する経路である無線ＬＡＮ３００経由で通信している。
【００１１】
第２バックボーンネットワーク２００の無線機器群２０２〜２０５は、第１バックボーンネットワーク１００側に接続されたネットワーク管理装置１０７より、時間遅れを有する経路である無線ＬＡＮ３００経由でタイムスロットが割り当てられる。
【００１２】
前記第１無線ネットワークグループ（Ａ）の無線機器群１０２〜１０５及び前記第２無線ネットワークグループ（Ｂ）の無線機器群２０２〜２０５は、前記第１バックボーンネットワーク１００に接続されたゲートウェイ装置１０８を介して制御ネットワーク１０９に接続された上位装置１１０と通信し、階層的な通信システムを形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【００１３】
【特許文献１】特表２０１０−５０５３５２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１４】
図６に示した従来構成の無線ネットワークシステムでは、無線ＬＡＮ３００等の大きな遅延が発生する経路経由で第２無線ネットワークグループ（Ｂ）の無線機器群２０２〜２０５がネットワーク管理装置１０７に接続されるため、第１無線ネットワークグループ
（Ａ）の無線機器群１０２〜１０５に対して時刻の同期精度を上げることが難しく、図５（Ｂ）に示す干渉が生じやすいという問題がある。例えば、第１グループ（Ａ）の無線機器群と第２グループ（Ｂ）の無線機器群との間で通信を行う場合、図５（Ｂ）に示す干渉が生じうる。
【００１５】
本発明の目的は、一部の無線機器の同期精度が悪い場合でも、無線通信の干渉が発生しない無線ネットワークシステムを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１６】
このような課題を達成するために、本発明は次の通りの構成になっている。
（１）第１バックボーンネットワークに無線アクセスポイントを介して接続される第１無線ネットワークグループの無線機器群と、前記第１バックボーンネットワークに接続され前記無線機器群にタイムスロットを割り当てるネットワーク管理装置と、前記第１バックボーンネットワークに時間遅れを有する経路経由で接続される第２バックボーンネットワークに無線アクセスポイントを介して接続される第２無線ネットワークグループの無線機器群を備え、前記第２無線ネットワークグループの無線機器群が前記ネットワーク管理装置よりタイムスロットが割り当てられる無線ネットワークシステムにおいて、
前記ネットワーク管理装置は、
前記第１無線ネットワークグループの無線機器群の夫々に、第１タイムスロット情報を設定すると共に、前記第２無線ネットワークグループの無線機器群の夫々に、前記時間遅れに基づいて補正された第２タイムスロット情報を設定することを特徴とする無線ネットワークシステム。
【００１７】
（２）前記ネットワーク管理装置は、前記第２無線ネットワークグループの無線機器群が使用するタイムスロットの前後のタイムスロットを不使用とする前記第２タイムスロット情報を設定することを特徴とする（１）に記載の無線ネットワークシステム。
【００１８】
（３）前記ネットワーク管理装置は、前記第２無線ネットワークグループの無線機器群が使用するタイムスロットのタイムスロット長を動的に調整することを特徴とする（１）に記載の無線ネットワークシステム。
【００１９】
（４）前記ネットワーク管理装置は、前記第１バックボーンネットワークに接続された設定ツールを介してユーザの設定により前記第２無線ネットワークグループの無線機器群に対する要求時刻精度情報を取得することを特徴とする（１）乃至（３）のいずれかに記載の無線ネットワークシステム。
【００２０】
（５）前記ネットワーク管理装置は、前記第１バックボーンネットワークに接続されたネットワーク管理ツールを介して前記第１無線ネットワークグループの無線機器群に対する要求時刻精度情報及び前記第２無線ネットワークグループの無線機器群に対する要求時刻精度情報を取得することを特徴とする（１）乃至（３）のいずれかに記載の無線ネットワークシステム。
【００２１】
（６）前記ネットワーク管理ツールは、少なくとも前記第２無線ネットワークグループの無線機器群が出力するパケットエラーレート情報を収集するエラーレート監視手段を備え、前記パケットエラーレートが最小となる時間遅れを検出して前記ネットワーク管理装置に送信することを特徴とする（５）に記載の無線ネットワークシステム。
【００２２】
（７）前記ネットワーク管理装置は、前記エラーレート監視手段を内在することを特徴とする（６）に記載の無線ネットワークシステム。
【００２３】
（８）前記時間遅れを有する経路は、無線ＬＡＮであることを特徴とする（１）乃至（７）のいずれかに記載の無線ネットワークシステム。
【００２４】
（９）前記第１無線ネットワークグループの無線機器群及び前記第２無線ネットワークグループの無線機器群は、前記第１バックボーンネットワークに接続されたゲートウェイ装置１を介して制御ネットワークに接続された上位装置と通信することを特徴とする（１）乃至（８）のいずれかに記載の無線ネットワークシステム。
【発明の効果】
【００２５】
本発明によれば、ネットワーク管理装置４００は、要求時刻精度情報に基づき、第１ネットワークグループ（Ａ）の無線機器群及び第２ネットワークグループ（Ｂ）の無線機器群の最適なタイムスロットを決定し、各無線機器群に設定するので、グループを跨ぐ無線機器間通信においてタイムスロットが干渉するリスクを回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【００２６】
【図１】本発明を適用した無線ネットワークシステムの一実施例を示す機能ブロック図である。
【図２】本発明の動作を説明するタイムスロットの模式図である。
【図３】本発明を適用した無線ネットワークシステムの他の実施例を示す機能ブロック図である。
【図４】パケットエラーレートの特性図である。
【図５】無線機器間の通信におけるタイムスロット管理を説明する模式図である。
【図６】従来の無線ネットワークシステムの構成例を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【００２７】
以下本発明を、図面を用いて詳細に説明する。図１は、本発明を適用した無線ネットワークシステムの一実施例を示す機能ブロック図である。図６で説明した従来構成と同一要素には同一符号を付して説明を省略する。
【００２８】
図１において、本発明が適用されるネットワーク管理装置４００は、図６で示したネットワーク管理装置１０７と同様に第１バックボーンネットワーク１００に接続され、要求時刻精度保持手段４００ａを備えている。
【００２９】
無線アクセスポイント１０１に接続される第１ネットワークグループ（Ａ）の無線機器群１０２、１０３、１０４、１０５は、夫々第１タイムスロット情報保持手段１０２ａ、１０３ａ、１０４ａ、１０５ａを備えている。
【００３０】
無線アクセスポイント２０１に接続される第２ネットワークグループ（Ｂ）の無線機器群２０２、２０３、２０４、２０５は、夫々第２タイムスロット情報保持手段２０２ａ、２０３ａ、２０４ａ、２０５ａを備えている。
【００３１】
第１バックボーンネットワーク１００には、ユーザ設定Ｕを受け付けると共に、ネットワーク管理装置４００と通信できる設定ツール５００が接続されている。ユーザは、この設定ツール５００を使用して、各無線ネットワークに要求される、無線ＬＡＮ３００の時間遅れに基づく時刻精度を入力する。
【００３２】
入力された要求時刻精度情報は、第１バックボーンネットワーク１００経由でネットワーク管理装置４００に転送され、ネットワーク管理装置４００の記憶領域に形成された要求時刻精度ル保持手段４００ａに格納される。
【００３３】
ネットワーク管理装置４００は、要求時刻精度情報に基づき、第１ネットワークグループ（Ａ）の無線機器群１０２、１０３、１０４、１０５に最適な第１タイムスロットを決定し、夫々第１タイムスロット情報保持手段１０２ａ、１０３ａ、１０４ａ、１０５ａに配信して設定する。
【００３４】
同様に、ネットワーク管理装置４００は、要求時刻精度情報に基づき、第２ネットワークグループ（Ｂ）の無線機器群２０２、２０３、２０４、２０５に最適な第２タイムスロットを決定し、夫々第２タイムスロット保持手段２０２ａ、２０３ａ、２０４ａ、２０５ａに配信して設定する。各無線機器は、自己に設定されたタイムスロット情報に基づいて他の無線機器と通信する。
【００３５】
図２は、本発明の動作を説明するタイムスロットの模式図である。図２（Ａ）において、ネットワーク管理装置４００は、無線ＬＡＮ３００の時間遅れによって時刻同期精度が保障できないネットワークＢが使用するタイムスロットの前後のスロットを不使用とする。
【００３６】
これにより、図２（Ｂ）に示す通り、ネットワークＢが使用するタイムスロットの通信タイミングが前後に変動したとしても、無線が干渉するリスクを回避することが可能となる。
【００３７】
図３は、本発明を適用した無線ネットワークシステムの他の実施例を示す機能ブロック図である。図１の構成との相違点は、図１に示した設定ツール５００に代えて、ネットワーク管理ツール６００を備える構成を特徴としている。
【００３８】
図１に示した設定ツール５００は、ユーザ設定Ｕを入力する手動操作ツールであるが、図３のネットワーク管理ツール６００は、少なくとも第２無線ネットワークグループ（Ｂ）の無線機器群が出力するパケットエラーレート情報を自動的に収集するエラーレート監視手段６００ａを備え、無線機器群のパケットエラーレートが最小となる時間遅れ情報を検出して前記ネットワーク管理装置４００に送信する。
【００３９】
具体的に説明すると、図４は、パケットエラーレートの特性図である。ネットワーク管理ツール６００のエラーレート監視手段６００ａは、第２無線ネットワークグループ（Ｂ）の無線機器群の平均パケットエラーレートＰＥＲが、時間遅れに基づく時刻精度の補正により正常な値Ｒ１（許容値）になる遅延時間Ｔ１を検出してネットワーク管理装置４００に送信する。
【００４０】
ネットワーク管理装置４００は、この補正情報に基づいて決定される最適なタイムスロット情報を、第２無線ネットワークグループ（Ｂ）の無線機器群の夫々が備える第２タイムスロット情報保持手段に設定してタイムスロット長を動的に調整する。
【００４１】
図３の実施例では、エラーレート監視手段６００ａは、第２ネットワークグループ（Ｂ）の無線機器群のパケットエラーレート情報を収集する場合を説明したが、これに限定されるものではなく、ネットワークに属する全ての無線機器のパケットエラー情報を収集し、
無線機器個々に最適なタイムスロットを個別設定するための要求時間精度情報をネットワーク管理装置４００に送信する構成も可能である。
【００４２】
図３の実施例では、ネットワーク管理ツール６００がエラーレート監視手段６００ａを備える構成を示したが、エラーレート監視手段６００ａの機能をネットワーク管理装置４００の機能として内在させる構成でもよい。
【００４３】
図１、図３の実施例では、時間遅れを有する経路として無線ＬＡＮ３００を例示したがこれに限定されるものではなく、時間遅れを有するネットワーク経由の接続形態であれば本発明を有効に適用することができる。
【００４４】
図１、図３の実施例では、時間遅れを有する経路を介して第１無線ネットワークグループ（Ａ）に接続されるネットワークとして、簡単のため、第２無線ネットワークグループ（Ｂ）の１グループのみを示したが、第１無線ネットワークグループ（Ａ）に接続されるネットワークは２以上の複数並列接続ネットワークであってもよい。
【００４５】
更に、第２無線ネットワークグループ（Ｂ）の第２バックボーンネットワーク２００より時間遅れを有する経路を介して第３無線ネットワークグループ（Ｃ）等が接続される複数直列接続ネットワークであってもよい。
【符号の説明】
【００４６】
１００ 第１バックボーンネットワーク
１０１ 無線アクセスポイント
１０２〜１０５ 無線機器
１０２ａ〜１０５ａ 第１タイムスロット情報保持手段
１０６ 無線ＬＡＮアクセスポイント
１０８ ゲートウェイ装置
１０９ 制御ネットワーク
１１０ 上位装置
２００ 第２バックボーンネットワーク
２０１ 無線アクセスポイント
２０２〜２０５ 無線機器
２０２ａ〜５０５ａ 第２タイムスロット情報保持手段
２０６ 無線ＬＡＮアクセスポイント
３００ 無線ＬＡＮ
４００ ネットワーク管理装置
４００ａ 要求時刻精度保持手段
５００ 設定ツール
６００ ネットワーク管理ツール
６００ａ エラーレート監視手段
【特許請求の範囲】
【請求項１】
第１バックボーンネットワークに無線アクセスポイントを介して接続される第１無線ネットワークグループの無線機器群と、前記第１バックボーンネットワークに接続され前記無線機器群にタイムスロットを割り当てるネットワーク管理装置と、前記第１バックボーンネットワークに時間遅れを有する経路経由で接続される第２バックボーンネットワークに無線アクセスポイントを介して接続される第２無線ネットワークグループの無線機器群を備え、前記第２無線ネットワークグループの無線機器群が前記ネットワーク管理装置よりタイムスロットが割り当てられる無線ネットワークシステムにおいて、
前記ネットワーク管理装置は、
前記第１無線ネットワークグループの無線機器群の夫々に、第１タイムスロット情報を設定すると共に、前記第２無線ネットワークグループの無線機器群の夫々に、前記時間遅れに基づいて補正された第２タイムスロット情報を設定することを特徴とする無線ネットワークシステム。
【請求項２】
前記ネットワーク管理装置は、前記第２無線ネットワークグループの無線機器群が使用するタイムスロットの前後のタイムスロットを不使用とする前記第２タイムスロット情報を設定することを特徴とする請求項１に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項３】
前記ネットワーク管理装置は、前記第２無線ネットワークグループの無線機器群が使用するタイムスロットのタイムスロット長を動的に調整することを特徴とする請求項１に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項４】
前記ネットワーク管理装置は、前記第１バックボーンネットワークに接続された設定ツールを介してユーザの設定により前記第２無線ネットワークグループの無線機器群に対する要求時刻精度情報を取得することを特徴とする請求項１乃至３のいずれかに記載の無線ネットワークシステム。
【請求項５】
前記ネットワーク管理装置は、前記第１バックボーンネットワークに接続されたネットワーク管理ツールを介して前記第１無線ネットワークグループの無線機器群に対する要求時刻精度情報及び前記第２無線ネットワークグループの無線機器群に対する要求時刻精度情報を取得することを特徴とする請求項１乃至３のいずれかに記載の無線ネットワークシステム。
【請求項６】
前記ネットワーク管理ツールは、少なくとも前記第２無線ネットワークグループの無線機器群が出力するパケットエラーレート情報を収集するエラーレート監視手段を備え、前記パケットエラーレートが最小となる時間遅れを検出して前記ネットワーク管理装置に送信することを特徴とする請求項５に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項７】
前記ネットワーク管理装置は、前記エラーレート監視手段を内在することを特徴とする請求項６に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項８】
前記時間遅れを有する経路は、無線ＬＡＮであることを特徴とする請求項１乃至７のいずれかに記載の無線ネットワークシステム。
【請求項９】
前記第１無線ネットワークグループの無線機器群及び前記第２無線ネットワークグループの無線機器群は、前記第１バックボーンネットワークに接続されたゲートウェイ装置を介して制御ネットワークに接続された上位装置と通信することを特徴とする請求項１乃至８のいずれかに記載の無線ネットワークシステム。
【請求項１】
第１バックボーンネットワークに無線アクセスポイントを介して接続される第１無線ネットワークグループの無線機器群と、前記第１バックボーンネットワークに接続され前記無線機器群にタイムスロットを割り当てるネットワーク管理装置と、前記第１バックボーンネットワークに時間遅れを有する経路経由で接続される第２バックボーンネットワークに無線アクセスポイントを介して接続される第２無線ネットワークグループの無線機器群を備え、前記第２無線ネットワークグループの無線機器群が前記ネットワーク管理装置よりタイムスロットが割り当てられる無線ネットワークシステムにおいて、
前記ネットワーク管理装置は、
前記第１無線ネットワークグループの無線機器群の夫々に、第１タイムスロット情報を設定すると共に、前記第２無線ネットワークグループの無線機器群の夫々に、前記時間遅れに基づいて補正された第２タイムスロット情報を設定することを特徴とする無線ネットワークシステム。
【請求項２】
前記ネットワーク管理装置は、前記第２無線ネットワークグループの無線機器群が使用するタイムスロットの前後のタイムスロットを不使用とする前記第２タイムスロット情報を設定することを特徴とする請求項１に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項３】
前記ネットワーク管理装置は、前記第２無線ネットワークグループの無線機器群が使用するタイムスロットのタイムスロット長を動的に調整することを特徴とする請求項１に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項４】
前記ネットワーク管理装置は、前記第１バックボーンネットワークに接続された設定ツールを介してユーザの設定により前記第２無線ネットワークグループの無線機器群に対する要求時刻精度情報を取得することを特徴とする請求項１乃至３のいずれかに記載の無線ネットワークシステム。
【請求項５】
前記ネットワーク管理装置は、前記第１バックボーンネットワークに接続されたネットワーク管理ツールを介して前記第１無線ネットワークグループの無線機器群に対する要求時刻精度情報及び前記第２無線ネットワークグループの無線機器群に対する要求時刻精度情報を取得することを特徴とする請求項１乃至３のいずれかに記載の無線ネットワークシステム。
【請求項６】
前記ネットワーク管理ツールは、少なくとも前記第２無線ネットワークグループの無線機器群が出力するパケットエラーレート情報を収集するエラーレート監視手段を備え、前記パケットエラーレートが最小となる時間遅れを検出して前記ネットワーク管理装置に送信することを特徴とする請求項５に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項７】
前記ネットワーク管理装置は、前記エラーレート監視手段を内在することを特徴とする請求項６に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項８】
前記時間遅れを有する経路は、無線ＬＡＮであることを特徴とする請求項１乃至７のいずれかに記載の無線ネットワークシステム。
【請求項９】
前記第１無線ネットワークグループの無線機器群及び前記第２無線ネットワークグループの無線機器群は、前記第１バックボーンネットワークに接続されたゲートウェイ装置を介して制御ネットワークに接続された上位装置と通信することを特徴とする請求項１乃至８のいずれかに記載の無線ネットワークシステム。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２０１２−２２２７７９（Ｐ２０１２−２２２７７９Ａ）
【公開日】平成２４年１１月１２日（２０１２．１１．１２）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−８９９８３（Ｐ２０１１−８９９８３）
【出願日】平成２３年４月１４日（２０１１．４．１４）
【出願人】（０００００６５０７）横河電機株式会社 (4,443)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年１１月１２日（２０１２．１１．１２）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年４月１４日（２０１１．４．１４）
【出願人】（０００００６５０７）横河電機株式会社 (4,443)
【Ｆターム（参考）】
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