説明

無線リモートユニットのリンク自己適応方法及び装置

【課題】従来技術においてRRUトポロジー構造の信頼性が低いといった問題を解決することができる無線リモートユニットリンク自己適応方法などの技術を提供すること。
【解決手段】本発明に係る無線リモートユニットのリンク自己適応方法は、無線リモートユニット(Radio Remote Unit :RRU)が、自身のポートを介して識別子取得要求情報を定期的に放送することと、前記RRUが、前記識別子取得要求情報の応答情報を受信することと、前記応答情報が、ベースバンドユニット(Base Band Unit :BBU)からの識別子割り当て応答情報である場合、前記RRUが、当該応答情報に含まれる割り当て識別子に応じて、上位層リンクを確立することとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信分野に関し、特に、無線リモートユニットのリンク自己適応方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
共通公衆無線インターフェイス(Common Public Radio Interface: CPRI)は、基地局において、ベースバンドユニット(Base Band Unit: BBU)と無線リモートユニット(Radio Remote Unit:RRU)との間のインターフェイスを実現する規格である。このインターフェイスは、基地局における分散型の機器構成の実現をサポートしている。従来の基地局における無線制御部(Radio Equipment Control: REC)及び無線部(Radio Equipment: RE)は、一体的に構成されているので、多くの欠点を有していた。一方で、分散型基地局では、REとRECとが分離されて構成されており、中心となる1つのRECが複数のREを管理及び設定することができる。これにより、基地局において、高速かつ柔軟な機器構成及びネットワーキングが実現され、オペレーターの資本支出及び運営支出が低減され、また、サービスの拡大を実現することが可能となった。CPRIプロトコルがサポートするネットワーキング方式は、チェーン型のネットワーキング、リング型のネットワーキング、ツリー型のネットワーキングを含む。
【0003】
REの分散型構成を実現するために、REとRECの間には、制御情報及び同期情報を伝送する必要があり、また、REとRECの間には、デジタルベースバンドに対応するデジタルインターフェイスを用いる必要がある。CPRIは、このインターフェイスの物理層及びデータリンク層を定義している。物理層については、接続媒介(光ファイバーによるインターフェイス)と、アダプティブ速度(3タイプのREに対応する、641.4Mbps、1228.8Mbps、2457.6Mbpsの3種類の速度をサポート)と、クロック回復と、データ符号化のフォーマットとを規定している。データリンク層については、遅延修正方式と時分割多重化方式(フレームフォーマット)を規定している。ネットワーキングを実現するために、データのホームREが構成され、また、交換層が定義される。これにより、異なるRE間のデータ交換、並びにRE及びREC間のデータ交換が実現される。マッピング層では、異なるユーザデータプレーンへのフレームマッピングが実現され、フレームマッピング方法は、ユーザにより柔軟に設定することができる。
【0004】
現在のRRUのカスケードには、静的なトポロジー構造が採用されおり、このトポロジー構造は、BBUにより静的に構成され、動的に変化させることができない。従って、トポロジー構造の柔軟性が制限され、RRUに動的かつランダムにアクセスすることができない。従って、RRUとBBUの間のリンクが一度切れてしまったり、或る特定のRRUが損傷してしまったりすると、下位の各RRUが通常どおり動作することができなくなってしまい、ネットワーク全体の信頼性に影響を及ぼしてしまう。
【0005】
上記のRRUトポロジー構造に静的な構成が採用されているために、ネットワークの信頼性が下がってしまうという課題について、関連技術において効果的な解決方案は、未だ提案されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主な目的は、従来技術においてRRUトポロジー構造の信頼性が低いといった問題を解決することができる無線リモートユニットリンク自己適応方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の技術的解決法は以下のように実現される。
【0008】
本技術に係る無線リモートユニットのリンク自己適応方法は、
無線リモートユニット(Radio Remote Unit :RRU)が、自身のポートを介して識別子取得要求情報を定期的に放送することと、
前記RRUが、前記識別子取得要求情報の応答情報を受信することと、
前記応答情報が、ベースバンドユニット(Base Band Unit :BBU)からの識別子割り当て応答情報である場合、前記RRUが、当該応答情報に含まれる割り当て識別子に応じて、上位層リンクを確立することとを含む。
【0009】
前記RRUによって受信された応答情報が、前記RRUの上位RRUからの確認情報である場合、当該方法は、
前記RRUが、複数の前記上位RRUからの確認情報を受信した場合、前記複数の上位RRUのうち、識別子情報が最小であるRRUに二次ハンドシェーク識別子取得要求情報を送信し、または、前記RRUが、1つの前記上位RRUからの確認情報を受信した場合、二次ハンドシェーク識別子取得要求情報を前記上位RRUに送信することと、
前記RRUが、前記上位RRUを介して前記BBUからの識別子割り当て応答情報を受信し、且つ前記応答情報に含まれる割り当て識別子に応じて、上位層リンクを確立することとを更に含んでいてもよい。
【0010】
前記RRUが、自身のポートを介して識別子取得要求情報を送信する前に、当該方法は、
前記RRUが、自身の物理ポート情報を取得することを更に含んでいてもよい。
【0011】
当該方法は、
前記RRUが、前記RRUの下位RRUからの識別子取得要求情報を受信することと、
前記RRUが、当該識別子取得要求情報の確認情報を前記RRUの下位RRUに送信することとを更に含んでいてもよい。
【0012】
当該方法は、
前記RRUが、前記RRUの下位RRUからの二次ハンドシェーク識別子取得要求情報を受信することと、
前記RRUが、前記二次ハンドシェーク識別子取得要求情報を前記BBUに転送することと、
前記RRUが、前記BBUからの識別子割り当て応答情報を受信した後に、前記識別子割り当て応答情報を前記RRUの下位RRUに転送することとを更に含んでいてもよい。
【0013】
当該方法は、
前記BBUが、前記RRUからの識別子取得要求情報を受信し、識別子を前記RRUに割り当て、前記識別子を前記RRUに送信することと、
前記BBUが、ネットワークトポロジー構造を更新することとを更に含んでいてもよい。
【0014】
本技術に係る無線リモートユニット(Radio Remote Unit :RRU)のリンク自己適応実行装置は、
ポートを介して識別子取得要求情報を定期的に放送する第1の送信モジュールと、
前記識別子取得要求情報の応答情報を受信する第1の受信モジュールと、
前記第1の受信モジュールによって受信された応答情報が、ベースバンドユニット(Base Band Unit :BBU)からの識別子割り当て応答情報である場合に、前記応答情報に含まれる割り当て識別子に応じて、上位層リンクを確立する確立モジュールとを含む。
【0015】
当該装置は、
前記第1の受信モジュールによって受信された応答情報が、複数の上位RRUからの確認情報である場合に、前記複数の上位RRUのうち、識別子情報が最小であるRRUに二次ハンドシェーク識別子取得要求情報を送信し、前記第1の受信モジュールによって受信された応答情報が、1つの上位RRUからの確認情報である場合に、二次ハンドシェーク識別子取得要求情報を前記上位RRUに送信する第2の送信モジュールと、
前記上位RRUを介して前記BBUからの識別子割り当て応答情報を受信する第2の受信モジュールとを更に含んでいてもよい。
【0016】
当該装置は、
物理ポート情報を取得する取得モジュールを更に含んでいてもよい。
【0017】
当該装置は、
前記識別子取得要求情報を受信する第3の受信モジュールと、
前記第3の受信モジュールが、下位RRUからの識別子取得要求情報を受信した場合に、前記識別子取得要求情報の確認情報を前記下位RRUに送信し、前記第3の受信モジュールが下位RRUからの二次ハンドシェーク識別子取得要求情報を受信した場合に、前記二次ハンドシェーク識別子取得要求情報を前記BBUに転送する第3の送信モジュールとを更に含んでいてもよい。
【0018】
本発明の上記の技術的解決法によれば、RRUによりIDの要求が主体的に開始され、BBUによりトポロジー構造が動的に更新され、トポロジー構造が動的に確立される。これにより、ネットワーキングが更に柔軟になり、REC及びREのネットワーキングの柔軟性を十分に発揮させることができる。また、下位RRUと、上位RRUとの間で複数の物理パスが確立されるので、或る特定のRRUが損傷してしまったり、或る特定の位置で光ファイバーが切れてしまったりしても、下位RRUが影響を受けない。これにより、ネットワーキングの信頼性が向上し、運営・メンテナンスのコストを節約することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る無線リモートユニットのリンク自己適応方法のフローチャートである。
【図2】本発明の実施形態に係るID要求制御ワードフォーマットの定義の模式図である。
【図3】本発明の実施形態に係るRRUがIDを取得するときの処理を示す模式図である。
【図4】本発明の実施形態に係るトポロジー構造が確立されるときの処理を示す模式図である。
【図5】本発明の実施形態に係る無線リモートユニットのリンク自己適応実行装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の目的、技術解決法及び利点を更に明らかにするために、図面及び具体的な実施形態を参照して本発明を更に詳しく説明する。
【0021】
本発明の実施形態によれば、無線リモートユニットのリンク自己適応方法が提供される。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る無線リモートユニットのリンク自己適応方法のフローチャートである。図1に示すように、当該方法は、以下のステップを含む。
【0023】
ステップ102:RRUは、自身のポートを介して識別子(ID)取得要求情報を定期的に放送する。
【0024】
ステップ104:RRUは、識別子(ID)取得要求情報の応答情報を受信する。
【0025】
ステップ106:RRUによって受信された応答情報が、BBUからの識別子割り当て応答情報である場合、RRUは、当該応答情報に含まれる割り当て識別子に応じて、上位層リンクを確立する。
【0026】
さらに、CPRIプロトコルを用いて、無線通信基地局におけるBBUとRRUの接続が確立される。具体的に、上記の各処理は、以下のステップを更に含んでいてもよい。
【0027】
ステップ1:光ファイバがRRUに接続され、電源がオンとなった後に、物理層(CPRI)が自動的に接続される。
【0028】
ステップ2:物理層が接続された後に、RRUが自身の物理ポート番号を取得する。
【0029】
ステップ3: RRUは、ポート番号(NextP)を結合し、ID取得要求情報の送信を主体的に開始する。
【0030】
ステップ4:上位RRUは、下位RRUのID取得要求情報を受信した後に、ポート番号を確認し、下位RRUにポート番号確認情報を返信する。
【0031】
ステップ5:IDを要求したRRUは、上位RRUからのポート番号確認情報に応答し、上位RRUは、この応答を受信した後に、さらに上位RRUにID取得要求情報を転送する。同じレベルのRRUによってID取得要求転送情報が受信された場合、この転送情報は、上位のRRUに直接的に転送される。
【0032】
ステップ6:BBUは、RRUのID取得要求情報を受信し、RRUにIDを割り当て、トポロジー構造を動的に更新する。
【0033】
ステップ7:RRUは、IDを取得した後に、上位層リンクを確立し、コンフィギュレーションを取得する。
【0034】
CPRIプロトコルでは、256個のBFが、マルチフレームとよばれる基本シグナルユニットとされており、このマルチフレームは、カスタムフィールド(vendor specific)を含む。制御フィールド内の各データブロックの定義が表1に示されている。
【0035】
【表1】

【0036】
本発明の実施形態では、表1のようなVendor specific空間に共通制御チャネルのパケットのフォーマットが定義される。図2を参照して、CC_WORD(Common Control Word)は、チャネルポインタであり、このチャネルポインタは、制御フィールドタイプを識別し、また、2バイト (Byte) の情報を含む。2バイトの情報のうち、第1のバイト(Local_ID)は、ローカルのRRU_IDを識別し、第2のバイト(ID_RQ)は、下位要求識別子を識別し、0xFFは、ID取得要求識別子を示す。ID_Indexは、IDのレベル関係を示し、後続のIDフィールド位置を示し、2バイトの情報を含む。2バイトの情報のうち、第1のバイト(Local_Index) は、ローカルのID_Indexを識別し、第2のバイト(Next_Index)は、下位ID_Indexを識別する。ID_WORDは、RRU_ID、LocalP及びNextPを含む。ID_WORDにおいて、ID番号は1つのバイトを占有し、LocalP及びNextPは、それぞれ上位ポート番号及び下位ポート番号を示し、それぞれ4ビットを占有する。0xFは、無効であることを示す。表1に示す3つのカスタムフィールドの位置は、ただの例示であり、具体的な状況に応じて選択可能である。ここで、一例として線速度が1228.8Mであり、線速度が高いような場合、バイトの大きさはそれに応じて、調節することができる。
【0037】
RRUは、マルチフレーム全体の受信が完了した後、CC_WORDの値に応じて、どのように処理を行うかを判断する。複数のポートから有効なマルチフレームが同時に受信された場合、RRUは、マルチフレームを記憶(キューイング)し、記憶されたマルチフレームをアイドル時に処理する必要がある。
【0038】
以下、図3と図4を参照して本発明の実施形形態を詳しく説明する。図4では、実線は、物理的に接続され、かつ、物理的に構成されたリンクを示しており、破線は、単に物理的に接続されただけのリンクを示している。また、RRUにおける4方向の光ポ?ト番号は、それぞれ0、1、2、3と定義される。図4におけるRRU番号は、RRU_IDと設定されている。
【0039】
実施形態1
ステップ1:RRUは、起動後の初期状態であるか、あるいはIDが割り当てられていない状態にある。あるいは、RRUは、IDを再び割り当てる必要がある状態にある。このときRRU_IDは0xFFであり、RRUは、いかなるポート情報も転送しない。
【0040】
ステップ2:当該RRUは、すべての既知のポートにID取得要求パケットを定期的に放送する。対応するパケットにおけるフィールドの内容は、CC_WORD=0xFF、ID_Index=0xFFである。ID_WORDの内容は、RRU_ID=0xFF、LocalP=port number L=0xFであり、これは、最初の開始要求を示しており、また、NextP=port number N=0、1、2、3であり、これは、要求側のポート番号を示す。
【0041】
ステップ3:初期状態のRRUは、ID要求パケットを処理せずに、ID要求パケットを、直接破棄する。
【0042】
ステップ4:第1レベルのRRU(RRU0)は、要求パケットをBBUに送信する。このときのパケットのフォーマットが以下に示されている。
【0043】
【表2】

【0044】
ステップ5:BBUは、動的なネットワーキング状況に応じて、トポロジー構造が当該RRU0と確立されていないと判断し、要求に応答して応答パケットをRRU0に返信する。このとき返信されるパケットのフォーマットが以下に示されている。
【0045】
【表3】

【0046】
ステップ6:RRU0は、応答パケットを受信した後に、Local_ID=0、ID_RQ≠0xFFに応じて、このパケットがBBUの応答パケットであると判断し、RRU_ID=RRU0=ID_RQに応じて、ここが終端であると判断し、RRU_ID=RRU0を取得する。RRU0は、Local_Index=0、Next_Index=1に応じて、RRU0が第1レベルのRRUであると判断し、ID_Index、ID_WORDを記録する。また、RRU0は、状態を通常状態に切り替え、BBUによって割り当てられた識別子に応じて、上位層リンクの確立を開始する。
【0047】
上記のステップ4〜6は、第1レベルのRRUが、アクセス後に、上位層リンクを確立するときの処理を示している。
【0048】
ステップ7:RRU1によって送信されたID要求パケットが、通常状態にあるRRU0に到着する。このときの具体的なパケットのフォーマットが以下に示されている。
【0049】
【表4】

【0050】
ステップ8:RRU0は、この要求パケットを受信すると、CC_WORD=0xFF、ID_Index=0xFF、RRU_ID=0xFF、LocalP=0xFに応じて、この要求が初期要求であると判断する。RRU0は、この要求に応答し、自己のLocal_IDを追加し、ID_RQを0x00に書き換え、また、Local_Indexと、Next_Index(=Local_Index+1)と、LocalPとの書き込みを行う。RRU_IDとNextPの値は変更されない。この応答時の具体的なパケットのフォーマットが以下に示されている。
【0051】
【表5】

【0052】
ステップ9:RRU1は、このRRU0からの応答パケットを受信すると、応答情報を記録し、ID_RQを0xFFに再び書き換え、要求パケットをRRU0に再送信する。この要求パケットの具体的なフォーマットが以下に示されている。
【0053】
【表6】

【0054】
ステップ10:RRU0は、この要求パケットを受信すると、ID_RQ=RRU_ID=0xFFに応じて、このパケットが要求パケットであると判断し、また、RRU0は、他のフィールドが0xFFではないことから、この要求パケットが、二次ハンドシェーク識別子取得要求パケットと呼ばれる二次確認パケットであると判断する。RRU0は、Local_ID、Local_Index、Next_Index及びLocalPのそれぞれがマッチングするかどうかを判断し、マッチングしない場合、要求パケットを直接破棄し、一方、マッチングする場合、要求パケットを上位層に転送する。
【0055】
ステップ11:BBUは、この要求パケットを受信すると、ID_RQ=0xFFとRRU_ID=0xFFに応じて、IDを要求するRRUが存在していると判断する。BBUは、RRU0の有効性をチェックし、マッチングする場合、ID応答パケットを返信して、IDを割り当て、一方、マッチングしない場合、要求パケットに応答しない。応答パケットでは、BBUは、Local_ID値を0に書き換え、ID_RQの値をRRU0に書き換え、BBUの応答パケットであることを示す。また、BBUは、RRU_IDをRRU1に書き換え、新たなIDを割り当て、RRU0に応答パケットを送信する。このパケットの具体的なフォーマットが以下に示されている。
【0056】
【表7】

【0057】
ステップ12:RRU0は、応答パケットを受信すると、CC_WORDの値に応じて、このパケットがBBUによって送信されたID要求応答パケットであると判断する。また、RRU0は、ID_RQの値に応じて、このパケットが自己の下位RRUのID割り当て応答パケットであると判断し、ポート番号を判断して、このパケットをLocalPポートに転送する。
【0058】
ステップ13:RRU1は、応答パケットを受信すると、CC_WORDの値に応じて、このパケットが、BBU(Local_ID=0x00)によって送信されたID要求応答パケット(ID_RQ≠0xFF)であると判断し、ID_Index、ID_WORDを記録する。
【0059】
上記のステップ7〜13は、第2レベルのRRUが、アクセス後に、上位層リンクを確立するときの処理を示している。
【0060】
ステップ14:RRU4は、アクセスの後に、各ポートにID要求パケットを定期的に放送する。このID要求パケットは、RRU0及びRRU1からの要求パケットと類似しており、単に、異なるポート番号に応じて、NextPの値が変更されている。この要求パケットが、RRU1、RRU3及びRRU6に到着する。これらのうち、RRU6は、IDが割り当てられないので、この要求パケットに応答せず、RRU1及びRRU3が応答パケットをRRU4に返信する。RRU4は、十分に長い時間待ち、応答パケット全体の受信を完了する。RRU4は、複数の応答パケットが受信された場合、Local_Indexの値を比較し、識別子情報が最小である(つまりLocal_Index値が最小である)応答パケットを選択し、要求パケット(即ち二次ハンドシェーク識別子取得要求パケット)を再送する。このパケットのフォーマットは、RRU1からRRU0に再送される要求パケットのフォーマットと類似している。上記の例によれば、Local_Indexが最小であるRRUはRRU1である(このリンクが最短である)。再送要求パケットのフォーマットが以下に示されている。
【0061】
【表8】

【0062】
ステップ15:RRU1は、二次ハンドシェーク識別子取得要求パケットを受信すると、ステップ10と同様に、この二次ハンドシェーク識別子取得要求パケットが再送要求パケットであると判断し、この二次ハンドシェーク識別子取得要求パケットを有効な上位ポートに対応するRRUに転送する(本実施形態では、RRU0のみが使用可能であるが、この処理は、他のケースにも適用可能である)。この二次ハンドシェーク識別子取得要求パケットがBBUに到達するまで、同様の処理が実行される。
【0063】
ステップ16:BBUは、この要求パケットを受信すると、ID_RQ=0xFF且つRRU_ID=0xFFに応じて、IDを要求するRRUが存在していると判断する。BBUは、RRU1の有効性をチェックし、マッチングする場合、ID応答パケットを返信して、IDを割り当てる。一方、マッチングしない場合、BBUは、要求パケットに応答しない。応答パケットでは、BBUは、Local_IDの値を0に書き換え、ID_RQの値をRRU1に書き換え、このパケットがBBUからの応答パケットであることを示す。また、BBUは、RRU_IDをRRU4に書き換え、新たなIDを割り当てて、既に確立されたトポロジー構造に応じて、応答パケットをRRU1に送信する。このパケットの具体的フォーマットが以下に示されている。
【0064】
【表9】

【0065】
ステップ17:RRU1は、応答パケットを受信すると、CC_WORDの値に応じて、このパケットがBBUからのID要求応答パケットであると判断する。また、RRU1は、ID_RQの値に応じて、このパケットが自己の下位RRUのID割り当て応答パケットであると判断し、ポート番号を判断して、この応答パケットをLocalPポートに転送する。
【0066】
ステップ18:RRU4は、応答パケットを受信すると、CC_WORDに応じて、このパケットがBBUによって送信されたID応答パケットであると判断し、ID_Indexと、ID_WORDとを記録し、上位層リンクの確立を開始する。
【0067】
上記のステップ14〜18は、第3レベルのRRUが、アクセス後に、上位層リンクを確立するときの処理を示している。
【0068】
ステップ19:他のRRUがIDを要求・取得する処理は、上記した処理と同様であり、従って、ここで繰り返して説明はしない。
【0069】
実施形態2
ステップ1:RRU4を一例として、RRU4及びRRU1の間のリンクが切断されて回復することができない場合、RRU4の物理接続は、リンクが切断されるときに、リンクの切断を検出することができる。このとき、RRU4は、使用可能なポートのそれぞれにID要求パケットを定期的に送信することを再び試みる。しかしながら、このパケットの制御ワードフォーマットは、最初にトポロジー構造が確立されるときの要求パケットの制御ワードフォーマットと異なっており、ID_RQの値が変更されている。このパケットのフォーマットが以下に示されている。
【0070】
【表10】

【0071】
ステップ2:RRU3は、この要求パケットを受信すると、ID_RQ=RRU4、Local_ID=0xFF、Local_Index=0xFF、Next_Index=0xFF、RRU_ID=0xFF、LocalP=0xFに応じて、この要求パケットが、リンクを再び確立することを要求するRRU4の再要求パケットであると判断する。RRU3は、Local_ID、ID_Index、及びLocalPの値を書き換え、NextPを通じてこの要求パケットをRRU4に送信する。この要求パケットのフォーマットが以下に示されている。
【0072】
【表11】

【0073】
ステップ3:RRU4は、RRU3からの応答パケットを受信すると、CC_WORD及びRRU_IDの値に応じて、この応答パケットがRRU3からの応答パケットであると判断する。そして、RRU4は、ID_RQの値を書き換えず、直接この応答パケットをRRU3に再送信する(リンクの再確立時の処理であるため)。
【0074】
ステップ4:RRU3は、このパケットを受信した後、CC_WORD及びRRU_IDの値に応じて、このパケットは、二次ハンドシェーク確認パケットであると判断し、ID_INDEXとLocalPが有効であると判断した後に、このパケットをBBUに転送する。
【0075】
ステップ5:BBUは、このパケットを受信すると、ID_RQ及びRRU_IDの値に応じて、このパケットがRRU4からのリンクの再確立要求パケットであると判断し、Local_ID、ID_INDEX、及びLocalP|NextPの値に応じて、トポロジー構造を再び更新する。BBUは、RRU_IDをRRU4に書き換え、Local_IDを0x00に書き換え、ID_RQをRRU3に書き換え、このパケットをRRU3に送信する。このパケットのフォーマットが以下に示されている。
【0076】
【表12】

【0077】
ステップ6:RRU3は、応答パケットを受信すると、CC_WORDの値に応じて、このパケットがBBUからのID要求応答パケットであると判断する。また、RRU3は、ID_RQの値に応じて、このパケットが自己の下位RRUのID割り当て応答パケットであると判断し、ポート番号を判断して、この応答パケットをLocalPポートに転送する。
【0078】
ステップ7:RRU4は、応答パケットを受信すると、CC_WORDの値に応じて、このパケットがBBUによって送信されたID応答パケットであると判断し、ID_Indexと、ID_WORDとを記録し、上位層リンクの再確立を開始する。
【0079】
上記のステップ1〜7では、リンクを再び確立するときの処理について説明した。
【0080】
装置の実施形態
同一の発明の要旨に基づいて、本発明の実施形態では、無線リモートユニットのリンク自己適応実行装置が更に提供される。当該装置は、上記の方法を実現することが可能であり、上記問題を解決するための当該装置の原理は、無線リモートユニットリンク自己適応方法と同様であるため、当該装置の実施形態について、無線リモートユニットリンク自己適応方法の実施形態を参照することが可能であり、従って、重復する部分については説明しない。
【0081】
図5は、本発明の実施形態に係る無線リモートユニットのリンク自己適応実行装置のブロック図である。図5に示すように、当該装置は、第1の送信モジュール10と、第1の受信モジュール20と、確立モジュール30とを含む。
【0082】
第1の送信モジュール10は、ポートを介して識別子取得要求情報を定期的に放送する。
【0083】
第1の受信モジュール20は、識別子取得要求情報の応答情報を受信する。
【0084】
確立モジュール30は、第1の受信モジュール20に接続され、前記第1の受信モジュール20によって受信された応答情報が、BBUからの識別子割り当て応答情報である場合に、前記応答情報に含まれる割り当て識別子に応じて、上位層リンクを確立する。
【0085】
当該装置は、第2の送信モジュール(図示せず)と、第2の受信モジュール(図示せず)とをさらに含んでいてもよい。
【0086】
第2の送信モジュールは、第1の受信モジュール20によって受信された応答情報が、そのRRUの上位RRUからの確認情報である場合において、複数の上位RRUからの確認情報を受信した場合、複数の上位RRUのうち、識別子情報が最小であるRRUに二次ハンドシェーク識別子取得要求情報を送信し、また、1つの上位RRUからの確認情報を受信した場合、二次ハンドシェーク識別子取得要求情報を当該上位RRUに送信する。
【0087】
第2の受信モジュールは、当該上位RRUを介してBBUからの識別子割り当て応答情報を受信する。
【0088】
当該装置は、物理ポート情報を取得する取得モジュール(図示せず)を更に含んでいてもよい。
【0089】
当該無線リモートユニットが上位RRUとして動作する場合、前記装置は、第3の受信モジュール(図示せず)と、第3の送信モジュール(図示せず)とをさらに含んでいてもよい。
【0090】
第3の受信モジュールは、そのRRUの下位RRUからの識別子取得要求情報を受信する。第3の送信モジュールは、第3の受信モジュールが、最初の当該下位RRUの識別子取得要求情報を受信した場合に、当該識別子取得要求情報の確認情報をそのRRUの下位RRUに送信する。ここで、確認情報にはRRUの識別子情報が含まれる。さらに、第3の送信モジュールは、第3の受信モジュールが、そのRRUの下位RRUからの二次ハンドシェーク識別子取得要求情報を受信した場合に、二次ハンドシェーク識別子取得要求情報をBBUに転送してもよい。
【0091】
具体的な実施形態では、上記の第1の受信モジュールと、第2の受信モジュールと、第3の受信モジュールとは一体的に構成することが可能であり、上記の第1の送信モジュール、第2の送信モジュール、及び第3の送信モジュールも一体的に構成することが可能である。
【0092】
以上の通り、本発明の上記の技術的解決法によれば、RRUによりIDの要求が主体的に開始され、BBUによりトポロジー構造が動的に更新され、トポロジー構造が動的に確立される。これにより、ネットワーキングが更に柔軟になり、REC及びREのネットワーキングの柔軟性を十分に発揮させることができる。また、下位RRUと、上位RRUとの間で複数の物理パスが確立されるので、或る特定のRRUが損傷してしまったり、或る特定の位置で光ファイバーが切れてしまったりしても、下位RRUが影響を受けない。これにより、ネットワーキングの信頼性が向上し、運営・メンテナンスのコストを節約することができる。
【0093】
上記のものは本発明の好適な実施形態に過ぎず、本発明はこれに限定されず、種々の変更形態および変形形態が当業者によって可能である。また、特許請求の範囲に規定される本発明の精神及び範囲に逸脱しない限り、あらゆる変更、均等な置換、および改良が可能であることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線リモートユニット(Radio Remote Unit :RRU)が、自身のポートを介して識別子取得要求情報を定期的に放送することと、
前記RRUが、前記識別子取得要求情報の応答情報を受信することと、
前記応答情報が、ベースバンドユニット(Base Band Unit :BBU)からの識別子割り当て応答情報である場合、前記RRUが、当該応答情報に含まれる割り当て識別子に応じて、上位層リンクを確立することと
を含む無線リモートユニットのリンク自己適応方法。
【請求項2】
前記RRUによって受信された応答情報が、前記RRUの上位RRUからの確認情報である場合、
当該方法は、
前記RRUが、複数の前記上位RRUからの確認情報を受信した場合、前記複数の上位RRUのうち、識別子情報が最小であるRRUに二次ハンドシェーク識別子取得要求情報を送信し、または、前記RRUが、1つの前記上位RRUからの確認情報を受信した場合、二次ハンドシェーク識別子取得要求情報を前記上位RRUに送信することと、
前記RRUが、前記上位RRUを介して前記BBUからの識別子割り当て応答情報を受信し、且つ前記応答情報に含まれる割り当て識別子に応じて、上位層リンクを確立することと
を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記RRUが、自身のポートを介して識別子取得要求情報を送信する前に、当該方法は、
前記RRUが、自身の物理ポート情報を取得することを更に含む
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
当該方法は、
前記RRUが、前記RRUの下位RRUからの識別子取得要求情報を受信することと、
前記RRUが、当該識別子取得要求情報の確認情報を前記RRUの下位RRUに送信することと
を更に含む請求項2に記載の方法。
【請求項5】
当該方法は、
前記RRUが、前記RRUの下位RRUからの二次ハンドシェーク識別子取得要求情報を受信することと、
前記RRUが、前記二次ハンドシェーク識別子取得要求情報を前記BBUに転送することと、
前記RRUが、前記BBUからの識別子割り当て応答情報を受信した後に、前記識別子割り当て応答情報を前記RRUの下位RRUに転送することと
を更に含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
当該方法は、
前記BBUが、前記RRUからの識別子取得要求情報を受信し、識別子を前記RRUに割り当て、前記識別子を前記RRUに送信することと、
前記BBUが、ネットワークトポロジー構造を更新することと
を更に含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ポートを介して識別子取得要求情報を定期的に放送する第1の送信モジュールと、
前記識別子取得要求情報の応答情報を受信する第1の受信モジュールと、
前記第1の受信モジュールによって受信された応答情報が、ベースバンドユニット(Base Band Unit :BBU)からの識別子割り当て応答情報である場合に、前記応答情報に含まれる割り当て識別子に応じて、上位層リンクを確立する確立モジュールと
を含む無線リモートユニット(Radio Remote Unit :RRU)のリンク自己適応実行装置。
【請求項8】
当該装置は、
前記第1の受信モジュールによって受信された応答情報が、複数の上位RRUからの確認情報である場合に、前記複数の上位RRUのうち、識別子情報が最小であるRRUに二次ハンドシェーク識別子取得要求情報を送信し、前記第1の受信モジュールによって受信された応答情報が、1つの上位RRUからの確認情報である場合に、二次ハンドシェーク識別子取得要求情報を前記上位RRUに送信する第2の送信モジュールと、
前記上位RRUを介して前記BBUからの識別子割り当て応答情報を受信する第2の受信モジュールと
を更に含む請求項7に記載の装置。
【請求項9】
当該装置は、
物理ポート情報を取得する取得モジュールを更に含む
請求項7に記載の装置。
【請求項10】
当該装置は、
前記識別子取得要求情報を受信する第3の受信モジュールと、
前記第3の受信モジュールが、下位RRUからの識別子取得要求情報を受信した場合に、前記識別子取得要求情報の確認情報を前記下位RRUに送信し、前記第3の受信モジュールが下位RRUからの二次ハンドシェーク識別子取得要求情報を受信した場合に、前記二次ハンドシェーク識別子取得要求情報を前記BBUに転送する第3の送信モジュールと
を更に含む請求項7に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−509751(P2013−509751A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535596(P2012−535596)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【国際出願番号】PCT/CN2010/074784
【国際公開番号】WO2010/145611
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(511207729)ゼットティーイー コーポレイション (78)
【Fターム(参考)】