説明

無線受信装置、無線通信システム、無線送信装置、送信アンテナ数検出方法およびプログラム

【課題】送信アンテナ毎の固有シンボルの受信情報レベルを測定し、その受信情報レベルから送信アンテナ数を推定し、推定された送信アンテナ数を利用して、送信アンテナ数検出までの時間を短縮する無線受信装置等を提供すること。
【解決手段】送信ダイバーシティを有する無線通信システムにおける無線受信装置は、無線送信装置からの送信の送信アンテナ毎の固有シンボルごとの受信情報レベルを測定し、その受信情報レベルから送信アンテナ数を推定し、推定された送信アンテナ数に対する復調を優先的に行い、CRCマスクパターンを使ってCRC検査を行い、送信アンテナ数を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信ダイバーシティを有する無線通信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
関連する無線通信システムについて図5を参照して説明する。図5において、無線受信装置は受信部、復調部、復号部、CRC検査部からなり、復調部は無線送信装置からの送信の送信アンテナ数に応じた伝送路推定、送信ダイバーシティにおけるデコード処理等の復調処理を行う。
【0003】
ただし無線受信装置側は送信アンテナ数を知らないので、可能性のある送信アンテナ数候補の中から送信アンテナ数を仮決めして、復調を行う。復号部は復調部の復調結果の復号を行い、復号部の復号結果はさらにCRC検査部に送られ、CRC検査部では送信アンテナ数に対応したCRCマスクパターンでCRC検査を行い、復号データのCRC判定および送信アンテナ数検出を行う。
【0004】
送信アンテナ数に対応する複数のCRCマスクパターンに対し、CRC結果がO.KとなったCRCマスクパターンの送信アンテナ数を送信アンテナ検出結果として無線受信装置に返す。
【0005】
関連技術として、空間分割多重に起因する干渉及び符号分割多重に起因する干渉を低減し、伝送レートの低下を極力抑えることのできる最適な送信アンテナ数と拡散率を決定する技術が提案されている。その構成は、送信装置が、各送信アンテナに対応する各信号に、当該信号が送信される送信アンテナを識別するための既知シンボル列を挿入して各送信アンテナから送信し、受信装置が、各受信アンテナで受信した各受信信号から、既知シンボル列の各既知シンボルを加算および減算することにより、受信アンテナと送信アンテナにより特定される各伝搬経路に対応する各既知シンボル信号を抽出して、各既知シンボル信号間の干渉の大きさと、各既知シンボル信号が受ける干渉の大きさとを測定し、これらを含む受信状態情報を送信し、送信装置が、受信された受信状態情報を基に、送信アンテナの数、符号拡散する際の拡散率を決定する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−287551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の関連技術における、送信ダイバーシティを有する無線通信システムで、端末側は未知である送信アンテナ数の検出を複数のCRCマスクパターンによるCRC検査結果から行う無線受信装置では、可能性のある送信アンテナ数候補に対し、総当り的に送信アンテナ数に応じた伝送路推定、送信ダイバーシティにおけるデコード処理等の復調処理、復号処理からCRC検査を行い、送信アンテナ数検出を行っていた。
【0008】
しかし、この方法では最悪、送信アンテナ数候補のうち最後に行った送信アンテナ数に対するCRC検査結果で送信アンテナ検出が決まる場合があり、送信アンテナ数検出までに時間がかかってしまう。
【0009】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、送信アンテナ毎の固有シンボルの受信情報レベルを測定し、その受信情報レベルから送信アンテナ数を推定し、推定された送信アンテナ数を利用して、送信アンテナ数検出までの時間を短縮する無線受信装置、無線通信システム、無線送信装置、送信アンテナ数検出方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の無線受信装置は、送信ダイバーシティを有する無線通信システムにおいて用いられ、受信部、復調部、復号部及びCRC検査部を含む無線受信装置であって、該無線受信装置は、受信情報レベル測定部及び送信アンテナ数推定部をさらに備え、
前記受信情報レベル測定部は、前記受信部で受けた受信情報のうち、送信アンテナ毎の識別情報のみを抜き出し、送信アンテナ毎の識別情報のみの受信レベルを測定し、
前記送信アンテナ数推定部は、前記受信情報レベル測定部が測定した結果から送信アンテナ数を推定し、
前記復調部は、前記送信アンテナ数推定部が推定した送信アンテナ数に対する復調を優先的に行い、
前記復号部は、前記復調部の復調結果を復号し、
前記CRC検査部は、前記復号部の復号データからCRCマスクパターンを使ってCRC検査を行って、送信アンテナ数を検出することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の無線通信システムは、複数のアンテナを備える無線送信装置と、受信部、復調部、復号部及びCRC検査部を備える無線受信装置とを含み、
前記無線受信装置は、受信情報レベル測定部及び送信アンテナ数推定部をさらに備え、
前記受信情報レベル測定部は、前記受信部で受けた受信情報のうち、送信アンテナ毎の識別情報のみを抜き出し、送信アンテナ毎の識別情報のみの受信レベルを測定し、
前記送信アンテナ数推定部は、前記受信情報レベル測定部が測定した結果から送信アンテナ数を推定し、
前記復調部は、前記送信アンテナ数推定部が推定した送信アンテナ数に対する復調を優先的に行い、
前記復号部は、前記復調部の復調結果を復号し、
前記CRC検査部は、前記復号部の復号データからCRCマスクパターンを使ってCRC検査を行って、送信アンテナ数を検出することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の送信アンテナ数検出方法は、送信ダイバーシティを有する無線通信システムにおいて用いられる無線受信装置の
受信情報レベル測定部が、受信部で受けた受信情報のうち、送信アンテナ毎の識別情報のみを抜き出し、送信アンテナ毎の識別情報のみの受信レベルを測定するステップと、
送信アンテナ数推定部が、前記受信情報レベル測定部が測定した結果から送信アンテナ数を推定するステップと、
復調部が、前記送信アンテナ数推定部が推定した送信アンテナ数に対する復調を優先的に行うステップと、
復号部が、前記復調部の復調結果を復号するステップと、
CRC検査部が、前記復号部の復号データからCRCマスクパターンを使ってCRC検査を行って、送信アンテナ数を検出するステップと
を有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明のプログラムは、送信ダイバーシティを有する無線通信システムにおいて用いられる無線受信装置に、
受信情報レベル測定部により、受信部で受けた受信情報のうち、送信アンテナ毎の識別情報のみを抜き出し、送信アンテナ毎の識別情報のみの受信レベルを測定する処理と、
送信アンテナ数推定部により、前記受信情報レベル測定部が測定した結果から送信アンテナ数を推定する処理と、
復調部により、前記送信アンテナ数推定部が推定した送信アンテナ数に対する復調を優先的に行う処理と、
復号部により、前記復調部の復調結果を復号する処理と、
CRC検査部により、前記復号部の復号データからCRCマスクパターンを使ってCRC検査を行って、送信アンテナ数を検出する処理と
を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、送信アンテナ数候補に対し、総当り的に行うのに比べて、送信アンテナ数検出までの時間を短くできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第一の実施の形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の第一の実施の形態に係る無線通信システムの動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の他の実施の形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。
【図4】本発明の他の実施の形態に係る無線通信システムの動作を示すフローチャートである。
【図5】関連する無線通信システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の第一の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1に示す本実施の形態における無線通信システムは、無線送信装置と、無線受信装置とから構成されている。図1において、本実施の形態の無線受信装置は受信部、復調部、復号部、CRC検査部および受信情報レベル測定部、送信アンテナ数推定部から構成される。
【0017】
受信部は、無線送信装置からの送信情報を受信する。
復調部は、送信アンテナ数推定部が推定した送信アンテナ数に対する復調を優先的に行う。
復号部は、復調部の復調結果を復号する。
CRC検査部は、復号部の復号データからCRCマスクパターンを使ってCRC検査を行い、送信アンテナ数を検出する。
受信情報レベル測定部は、受信部で受けた受信情報のうち、送信アンテナ毎の識別情報のみを抜き出し、送信アンテナ毎の識別情報のみの受信レベルを測定する。
送信アンテナ数推定部は、受信情報レベル測定部が測定した結果から送信アンテナ数を推定する。
【0018】
ここで、推定された送信アンテナ数に対する復調を優先的に行う理由を説明する。
送信アンテナ数により変調が異なるため、送信アンテナ数により復調方法を変えなければならない場合がある。
従って、送信アンテナ数に対応した復調方法のうち、どれを使うのかに対して複数ある復調方法を順番に行って行く事は、場合によって時間の無駄となるため、推定される送信アンテナ数に対応した復調方法から行った方が効率的である。
また、復調については、送信アンテナ数により変調が異なるため、送信アンテナ数により復調方法を変えなければならない場合がある。
【0019】
なお、ここでは、復調とは無線周波数帯域からベースバンドにまで落としてきた後の処理の事を前提とする。
送信アンテナ数に対応した変調については、例えば、
http://www.3gpp.org/ftp/Specs/latest/Rel-8/36_series/36211-850.zip
6.3.4.3章などを参照のこと。
【0020】
上記より、送信アンテナ数を検出する際の復調から復号処理において、推定される送信アンテナ数に対応する復調方法を用いる必要がある。
【0021】
送信アンテナが複数の場合の復調方法の例
Si・・・送信複素シンボル
Ri・・・受信複素シンボル
Di・・・復調複素シンボル(=Si)
ここで、iはシンボルの順番を表す。
【0022】
無線送信装置の各送信アンテナから伝送路を通って来た事により、受信までの間に送信複素シンボルSは、外乱を受ける。
【0023】
ここでは位相変調を考え、位相情報への影響として送信アンテナ1からの送信複素シンボルSに伝送路に依存する複素数Aを掛ける事でモデル化する。
【0024】
なお、よりわかり易いにするためA×A*=|A|^2=1とする。
A*は複素数Aの複素共役を表す。
【0025】
送信複素シンボルSにAがかかる事により、送信複素シンボルSはAの持つ位相だけSの位相が回転される事になる。
位相変調の場合、復調時に伝送路によるこの位相回転を元に戻す必要がある。
【0026】
同様に送信アンテナ2、3、4からの送信複素シンボルSには、それぞれ複素数B、C、Dを掛ける事でモデル化する。
同様にB×B*=|B|^2=1、C×C*=|C|^2=1、D×D*=|D|^2=1とする。
【0027】
一般には各送信アンテナからの伝送路が異なるため、A≠B≠C≠Dとなる。
【0028】
受信側は、送信アンテナ1からのみ送信され、その位相があらかじめ決まっているシンボルの受信シンボルからAを求める事ができる。
同様に、送信アンテナ2、3、4からのみ送信され、その位相があらかじめ決まっているシンボルに対する各受信シンボルからB、C、Dを求める事ができる。
【0029】
(1)送信アンテナ数1の時
送信アンテナ1:S0、S1、S2、S3・・・
受信:R0=S0×A、R1=S1×A、R2=S2×A、R3=S3×A
復調はAを求め、受信シンボルRiにA*を掛ける。
【0030】
D0=R0×A*=S0×A×A*=S0×|A|^2=S0
D1=R1×A*=S1×A×A*=S1×|A|^2=S1
D2=R2×A*=S2×A×A*=S2×|A|^2=S2
D3=R3×A*=S3×A×A*=S3×|A|^2=S3
【0031】
(2)送信アンテナ数2の時
送信アンテナ1:S0、S1、S2、S3
送信アンテナ2:-S1*、S0*、-S3*、S2*
受信:R0=S0×A−S1*×B、R1=S1×A+S0*×B、R2=S2×A−S3*×B、R3=S3×A+S2*×B
復調はA、Bを求め、以下のように受信シンボルR0、R1にAおよびA*、BおよびB*
を使う。
【0032】
D0=R0×A*+R1*×B=(S0×A−S1*×B)×A*+(S1*×A*+S0×B*)×B
=S0×A×A*−S1*×B×A*+S1*×A*×B+S0×B*×B
=S0×|A|^2−S1*×B×A*+S1*×A*×B+S0×|B|^2
=2S0
D1=−R0*×B+R1×A*=−(S0*×A*−S1×B*)×B +(S1×A+S0*×B)×A*
=−S0*×A*×B+S1×B×B*+S1×A×A*+S0*×B×A*
=−S0*×A*×B+S1×|B|^2+S1×|A|^2+S0*×B×A*
=2S1
D2=R2×A*+R3*×B=(S2×A−S3*×B)×A* +(S3*×A*+S2×B*)×B
=S2×A×A*−S3*×B×A*+S3*×A*×B+S2×B*×B
=S2×|A|^2−S3*×B×A*+S3*×A*×B+S2×|B|^2
=2S2
D3=−R3*×B+R1×A*=−(S2*×A*−S3×B*)×B+(S3×A+S2*×B)×A*
=−S2*×A*×B+S3×B×B*+S3×A×A*+S2*×B×A*
=−S2*×A*×B+S3×|B|^2+S3×|A|^2+S2*×B×A*
=2S3
【0033】
(3)送信アンテナ数4の時( '0'は送信がない事を表す。)
送信アンテナ数4の時
送信アンテナ1:S0、S1、 0、0
送信アンテナ2:-S1*、S0*、0、0
送信アンテナ1:0、0、S2、S3
送信アンテナ2:0、0、-S3*、S2*
受信:R0=S0×A−S1*×B、R1=S1×A+S0*×B、R2=S2×C−S3*×D、
R3=S3×C+S2*×D
【0034】
復調は、以下のように
受信シンボルR0、R1にAおよびA*、BおよびB*を使う。
受信シンボルR2、R3にCおよびC*、DおよびD*を使う。
【0035】
D0=R0×A*+R1*×B=(S0×A−S1*×B)×A* +(S1*×A*+S0×B*)×B
=S0×A×A*−S1*×B×A*+S1*×A*×B+S0×B*×B
=S0×|A|^2−S1*×B×A*+S1*×A*×B+S0×|B|^2
=2S0
D1=−R0*×B+R1×A*=−(S0*×A*−S1×B*)×B+(S1×A+S0*×B)×A*
=−S0*×A*×B+S1×B×B*+S1×A×A*+S0*×B×A*
=−S0*×A*×B+S1×|B|^2+S1×|A|^2+S0*×B×A*
=2S1
【0036】
D2=R2×C*+R3*×D=(S2×C−S3*×D)×C*+(S3*×C*+S2×D*)×D
=S2×C×C*−S3*×D×C*+S3*×C*×D+S2×D*×D
=S2×|C|^2−S3*×D×C*+S3*×C*×D+S2×|D|^2
=2S2
D3=−R3*×D+R1×C*=−(S2*×C*−S3×D*)×D+(S3×C+S2*×D)×C*
=−S2*×C*×D+S3×D×D*+S3×C×C*+S2*×D×C*
=−S2*×C*×D+S3×|D|^2+S3×|C|^2+S2*×D×C*
=2S3
【0037】
以上のように、送信アンテナ数4の時の復調方法は、送信アンテナ数2の時と同様であるが、S2、S3への復調にはC、Dが必要で、A、Bの他にC、Dを求める必要がある。
したがって、送信アンテナ数2の時の復調方法(A、Bを求めて)で送信アンテナ数4の時は正しく復調できない。(A=C、B=Dなら結果的には、正しい復調結果が得られる。)
【0038】
逆に送信アンテナ2の時に送信アンテナ4の時の方法では、求めたC、Dが正しくない(そもそも送信アンテナ3、4が存在しない)ので、この場合も正しく復調できない。
なお、送信アンテナ数1の時は、送信アンテナ数2の時の復調において、B=0とした時と同じになるので、理想的な場合(送信アンテナ数1の時にBを求めた結果B=0)、送信アンテナ数2の時の復調方法で、送信アンテナ数1の時も復調する事ができる。
【0039】
しかし、一般には、OFDM通信において「送信アンテナ2からのみ送信され、その位相があらかじめ決まっているシンボル」がマッピングされているサブキャリア周波数が、送信アンテナ2が存在しない時に、そのサブキャリア周波数が使われず、何も送信しないとは限らない。別の送信シンボルを詰めてくる場合がある。
また、送信アンテナ2がない時に、そのサブキャリア周波数を空けて、何も送信しないとしても、ドップラー効果等による周波数オフセットのため周波数がずれ、隣接のサブキャリア周波数のシンボルからの影響がある場合がある。
【0040】
次に、本実施の形態の無線通信システムの動作を説明する。
図2を参照すると、無線受信装置は、無線送信装置からの送信の送信アンテナ数に応じた伝送路推定、送信ダイバーシティにおけるデコード処理等の復調、復号および送信アンテナ数に対応したCRCマスクパターンでのCRC検査を行う際、まず、受信部から送信アンテナ毎の固有シンボルの受信情報を抜き出し、受信情報レベル測定部において送信アンテナ毎に受信情報レベル測定を行う(S201)。
【0041】
送信アンテナ推定部では、以下の処理を行う。送信アンテナ数をNとし、送信アンテナk(1≦k≦N)に対する受信情報レベル測定結果をPkとすれば、送信アンテナ1は必ず存在するので、これを基準とし、Pk/P1>判定しきい値を満足すれば、送信アンテナkからの送信ありと推定する(S202)。送信アンテナ数候補の中から、送信ありと推定された送信アンテナの組に最も近いものを探し、送信アンテナ数を決定する(S203)。例えば、送信アンテナ数の候補が{1、2(送信アンテナ1、2)、4(送信アンテナ1、2、3、4)}であるとして、受信情報レベルからは送信アンテナ1、3、4からの送信ありという結果が得られたとする。受信情報レベルからは送信アンテナ2からの送信なしという結果であっても、送信アンテナ数候補の中で、最も近い送信アンテナ数4と推定する。
【0042】
そして、送信アンテナ推定結果を復調部に送る(S204)。
復調部では送信アンテナ推定部からの送信アンテナ数に従い、送信アンテナ数に応じた伝送路推定および送信ダイバーシティにおけるデコード処理等の復調処理を行う(S205)。
復調されたデータは復号部に送られ復号処理が行われ、復号結果はCRC検査部へと送られる(S206)。
CRC検査部では復号データを使ってCRC計算を行う(S207)。
CRC結果がO.Kであれば、復号データとともに送信アンテナ数検出結果を無線受信装置に返す(S208)。
【0043】
以上説明したように、本実施の形態においては、以下に記載するような効果を奏する。
送信アンテナ毎の固有シンボルの受信情報レベル測定を行い、その測定結果から送信アンテナ数の推定を行い、その結果にしたがって送信アンテナ数に応じた伝送路推定および送信ダイバーシティにおけるデコード処理等の復調処理を優先的に行うため、送信アンテナ数候補に対し、総当り的に行うこれまでの手法に比べて、送信アンテナ数検出までの時間を短くできることである。
【0044】
本発明の他の実施の形態の無線通信システムとして、その基本的構成は上記の第一の実施の形態通りであるが、無線受信装置は、送信アンテナ推定部からの送信アンテナ推定結果を復調部だけでなく、CRC検査部にも送り、送信アンテナ数に応じたCRCマスクパターンによるCRC検査に送信アンテナ推定部からの送信アンテナ推定結果を使うものが考えられる。
【0045】
その構成を図3に示す。図3において、構成要素は上記の第一の実施の形態と同じであるが、送信アンテナ数推定部からの送信アンテナ数推定結果は復調部だけではなく、CRC検査部にも送られる。
【0046】
次に、本実施の形態の無線通信システムの動作を説明する。
図4を参照すると、無線受信装置は、無線送信装置からの送信の送信アンテナ数に応じた伝送路推定、送信ダイバーシティにおけるデコード処理等の復調、復号および送信アンテナ数に対応したCRCマスクパターンでのCRC検査を行う際、まず、受信部から送信アンテナ毎の固有シンボルの受信情報を抜き出し、受信情報レベル測定部において送信アンテナ毎に受信情報レベル測定を行う(S401)。
【0047】
送信アンテナ推定部では、以下の処理を行う。送信アンテナ数をNとし、送信アンテナk(1≦k≦N)に対する受信情報レベル測定結果をPkとすれば、送信アンテナ1は必ず存在するので、これを基準とし、Pk/P1>判定しきい値を満足すれば、送信アンテナkからの送信ありと推定する(S402)。送信アンテナ数候補の中から、送信ありと推定された送信アンテナの組に最も近いものを探し、送信アンテナ数を決定する(S403)。例えば、送信アンテナ数の候補が{1、2(送信アンテナ1、2)、4(送信アンテナ1、2、3、4)}であるとして、受信情報レベルからは送信アンテナ1、3、4からの送信ありという結果が得られたとする。受信情報レベルからは送信アンテナ2からの送信なしという結果であっても、送信アンテナ数候補の中で、最も近い送信アンテナ数4と推定する。
【0048】
そして、送信アンテナ推定結果を復調部およびCRC検査部に送る(S404)。
復調部では送信アンテナ推定部からの送信アンテナ数に従い、送信アンテナ数に応じた伝送路推定および送信ダイバーシティにおけるデコード処理等の復調処理を行う(S405)。
復調されたデータは復号部に送られ復号処理が行われ、復号結果はCRC検査部へと送られる(S406)。
CRC検査部では復号データおよび送信アンテナ推定部からの送信アンテナ数に対応するCRCマスクパターンを使ってCRC計算を行う(S407)。
CRC結果がO.Kであれば、復号データとともに送信アンテナ数検出結果を無線受信装置に返す(S408)。
【0049】
一つの復号データに対して、複数のCRCマスクパターンに対してCRC検査結果がO.Kとなる事はないので、あるCRCマスクパターンでCRC検査結果がO.Kとなった時点で、ほかのCRCマスクパターンに対するCRC検査結果を行う必要はなくなる。したがって推定される送信アンテナ数に対応したCRCマスクパターンから優先的にCRC検査を行っていく方が送信アンテナ数検出には効率的であり、CRC検査における処理時間も短縮することできるという効果が得られる。
【0050】
なお、上述する各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更実施が可能である。
本発明は、3GPP LTEにおける端末側の送信アンテナ数検出処理に適用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信ダイバーシティを有する無線通信システムにおいて用いられ、受信部、復調部、復号部及びCRC検査部を含む無線受信装置であって、該無線受信装置は、受信情報レベル測定部及び送信アンテナ数推定部をさらに備え、
前記受信情報レベル測定部は、前記受信部で受けた受信情報のうち、送信アンテナ毎の識別情報のみを抜き出し、送信アンテナ毎の識別情報のみの受信レベルを測定し、
前記送信アンテナ数推定部は、前記受信情報レベル測定部が測定した結果から送信アンテナ数を推定し、
前記復調部は、前記送信アンテナ数推定部が推定した送信アンテナ数に対する復調を優先的に行い、
前記復号部は、前記復調部の復調結果を復号し、
前記CRC検査部は、前記復号部の復号データからCRCマスクパターンを使ってCRC検査を行って、送信アンテナ数を検出することを特徴とする無線受信装置。
【請求項2】
前記送信アンテナ毎の識別情報は、送信アンテナ毎の固有シンボルであることを特徴とする請求項1記載の無線受信装置。
【請求項3】
前記送信アンテナ数推定部から推定した送信アンテナ数の推定結果を前記復調部だけではなく、前記CRC検査部にも送り、前記CRC検査部は、推定された送信アンテナ数に対応したCRCマスクパターンから優先的にCRC検査を行って、送信アンテナ数を検出することを特徴とする請求項1または2記載の無線受信装置。
【請求項4】
複数のアンテナを備える無線送信装置と、受信部、復調部、復号部及びCRC検査部を備える無線受信装置とを含み、
前記無線受信装置は、受信情報レベル測定部及び送信アンテナ数推定部をさらに備え、
前記受信情報レベル測定部は、前記受信部で受けた受信情報のうち、送信アンテナ毎の識別情報のみを抜き出し、送信アンテナ毎の識別情報のみの受信レベルを測定し、
前記送信アンテナ数推定部は、前記受信情報レベル測定部が測定した結果から送信アンテナ数を推定し、
前記復調部は、前記送信アンテナ数推定部が推定した送信アンテナ数に対する復調を優先的に行い、
前記復号部は、前記復調部の復調結果を復号し、
前記CRC検査部は、前記復号部の復号データからCRCマスクパターンを使ってCRC検査を行って、送信アンテナ数を検出することを特徴とする無線通信システム。
【請求項5】
前記無線受信装置は、前記送信アンテナ数推定部から推定した送信アンテナ数の推定結果を前記復調部だけではなく、CRC検査部にも送り、前記CRC検査部は、推定された送信アンテナ数に対応したCRCマスクパターンから優先的にCRC検査を行って、送信アンテナ数を検出することを特徴とする請求項4記載の無線通信システム。
【請求項6】
請求項4または5に記載の無線通信システムに用いられることを特徴とする無線送信装置。
【請求項7】
送信ダイバーシティを有する無線通信システムにおいて用いられる無線受信装置の
受信情報レベル測定部が、受信部で受けた受信情報のうち、送信アンテナ毎の識別情報のみを抜き出し、送信アンテナ毎の識別情報のみの受信レベルを測定するステップと、
送信アンテナ数推定部が、前記受信情報レベル測定部が測定した結果から送信アンテナ数を推定するステップと、
復調部が、前記送信アンテナ数推定部が推定した送信アンテナ数に対する復調を優先的に行うステップと、
復号部が、前記復調部の復調結果を復号するステップと、
CRC検査部が、前記復号部の復号データからCRCマスクパターンを使ってCRC検査を行って、送信アンテナ数を検出するステップと
を有することを特徴とする送信アンテナ数検出方法。
【請求項8】
前記送信アンテナ数推定部から推定した送信アンテナ数の推定結果を前記復調部だけではなく、前記CRC検査部にも送り、前記CRC検査部が、推定された送信アンテナ数に対応したCRCマスクパターンから優先的にCRC検査を行って、送信アンテナ数を検出することを特徴とする請求項7記載の送信アンテナ数検出方法。
【請求項9】
送信ダイバーシティを有する無線通信システムにおいて用いられる無線受信装置に、
受信情報レベル測定部により、受信部で受けた受信情報のうち、送信アンテナ毎の識別情報のみを抜き出し、送信アンテナ毎の識別情報のみの受信レベルを測定する処理と、
送信アンテナ数推定部により、前記受信情報レベル測定部が測定した結果から送信アンテナ数を推定する処理と、
復調部により、前記送信アンテナ数推定部が推定した送信アンテナ数に対する復調を優先的に行う処理と、
復号部により、前記復調部の復調結果を復号する処理と、
CRC検査部により、前記復号部の復号データからCRCマスクパターンを使ってCRC検査を行って、送信アンテナ数を検出する処理と
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
前記送信アンテナ数推定部から推定した送信アンテナ数の推定結果を前記復調部だけではなく、前記CRC検査部にも送り、前記CRC検査部により、推定された送信アンテナ数に対応したCRCマスクパターンから優先的にCRC検査を行って、送信アンテナ数を検出する処理を実行させることを特徴とする請求項9記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−166348(P2010−166348A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−7281(P2009−7281)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】