無線回線割当方法及び該方法を実行する装置
【課題】無線ノード局の最大利用帯域と最大利用電力を最大限に利用できる回線割当方法を提供する。
【解決手段】端末局から回線要求を受信し、回線要求を所定の数または一定の期間保留する。保留した回線要求に対して、保留した回線要求を満たす保留回線候補を導出し、保留回線候補毎に、ノード局の最大帯域利用率及びノード局の最大電力利用率を算出し、最大帯域利用率と最大電力利用率に基づいて、保留回線候補を選択し、選択された保留回線候補を、保留した回線要求の回線情報とし、決定した回線情報を端末局に送信する。
【解決手段】端末局から回線要求を受信し、回線要求を所定の数または一定の期間保留する。保留した回線要求に対して、保留した回線要求を満たす保留回線候補を導出し、保留回線候補毎に、ノード局の最大帯域利用率及びノード局の最大電力利用率を算出し、最大帯域利用率と最大電力利用率に基づいて、保留回線候補を選択し、選択された保留回線候補を、保留した回線要求の回線情報とし、決定した回線情報を端末局に送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末局と端末局がノード局を介して通信を行う無線通信システムにおいて、帯域と電力の有効利用を図ることを目的とした、回線割当方法及び当該方法を実行する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムにおいて端末局が通信を行うために用いる回線の割当方法に関する従来技術は以下の通りである。
【0003】
従来技術Aはシステム内の全端末局に事前に回線を割当てる。つまり、実際に端末局が通信を行なっているいないに関わらず回線が割当られる。具体的には、図1に示すように、システム運用開始直後に全端末局に割当回線を設定する。システム運用中に各端末局は割当回線を用いて通信を行うが、通信を行わない時間帯も当該割当回線を保持する。このような回線割当方法はプリアサイン方式と呼ばれ、非特許文献1および2に記載されている。
【0004】
従来技術Bは端末局の通信中のみ回線を割当てる。具体的には、図2に示すように、制御局が端末局からの回線要求信号を受信すると、未登録の空き回線の中から当該端末局に回線を割当て、それと同時に割当回線を登録する。端末局は自局に割当られた回線を用いて通信を行い、通信が終了すると制御局に回線解放信号を送信する。制御局が端末局からの回線解放信号を受信すると当該端末局へ割当ていた回線の登録を削除する。このような回線割当方法はデマンドアサイン方式と呼ばれ、非特許文献3および4に記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】橋本幸雄,山本伸一,「地球局システムの開発:通信/放送実験用端局装置,OBP用実験端局」,通信総合研究所季報,2004年,第49巻(第3,4号),pp179-184
【非特許文献2】三瓶政一,森永規彦,「ソフトウェア無線の時代に向けたインテリジェント無線伝送技術」,電子情報通信学会通信方式研究会(第12回通信方式情報伝送と信号処理ワークショップ),1999年
【非特許文献3】高橋司,今井徹,西村修司,木村敏章,「地域衛星通信ネットワーク用DAMA装置」,三菱電機技法,2003年,8月
【非特許文献4】「DAMA回線制御方式」、自治体衛星通信機構、LASCOM STD-401
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
端末局と端末局がノード局を介して通信を行う無線通信システムでは、全通信がノード局を経由する。従って、全回線の総帯域(全帯域)と全回線の総電力(全電力)はノード局が利用できる最大帯域(システム帯域)と最大電力(システム電力)以下に制約される。つまり、全電力がシステム電力に達した場合には、全帯域がシステム帯域に達しなくてもそれ以上回線を割当てられない。逆に全帯域がシステム帯域に達した場合には、全電力の合計がシステム電力に達しなくてもそれ以上回線を割当てられない。以下、この状況をリソース偏残留と呼ぶ。無線通信システムでは無線リソースが有限であるため、リソース偏残留を回避する回線割当方法を採用することが重要となる。
【0007】
以降で端末局は回線の通信方式(変復調方式と誤り訂正符号化率の組み合わせ)を自由に選択できることを前提とする。このとき、表1に示すように、ある通信方式に対して、所要C/N(雑音電力Nに対する受信電力Cの所要値)と、スペクトラム利用効率η(単位帯域あたりに伝送可能なビットレート)が一意に決まる。つまり、回線の通信方式を変えることにより、1回線に必要な帯域と電力の大きさを調整することが出来る。これを利用し、従来技術Aと従来技術Bを用いてリソース偏残留を回避する方法を以下に述べる。
【0008】
【表1】
【0009】
従来技術Aではシステム内の全端末局間で通信方式を調整することが考えられる。つまり、全端末局数Emax、選択可能な通信方式数Cのとき、全端末局間で調整可能な通信方式の組み合わせ数はCEmaxとなり、この中から最もリソース偏残留を回避できる通信方式の組み合わせを選択する。上述の選択肢の数は非常に多くなるため、リソース偏残留を回避できる可能性も高くなることが推測される。しかしながら、従来技術Aでは通信をしていない端末局にも常時回線が割当てられるため、システム帯域とシステム電力が無駄に使用される課題がある。
【0010】
次に、従来技術Bでは端末局から回線要求が発生する度に、最もリソース偏残留を回避できる可能性が高い通信方式をC個の中から選択することが考えられる。しかし選択肢数が少ないため、リソース偏残留を十分に回避できない状況が推測される。
【0011】
従って、本発明は、システム帯域とシステム電力の有効利用を図り、上記の課題を解決する回線割当方法及び当該方法を実行する装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を実現するため本発明による方法は、端末局と端末局がノード局を介して通信を行う無線通信システムにおいて、制御局が前記端末局に無線回線を割当てる方法であって、前記端末局から回線要求を受信するステップと、前記回線要求を所定の数または一定の期間保留するステップと、前記保留した回線要求に対して回線情報を決定するステップと、前記回線情報を前記端末局に送信するステップとを含む。
【0013】
また、前記回線情報を決定するステップは、前記保留した回線要求を満たす保留回線候補を導出し、前記保留回線候補毎に、前記ノード局の最大帯域利用率及び前記ノード局の最大電力利用率を算出し、前記最大帯域利用率と前記最大電力利用率に基づいて、保留回線候補を選択し、前記選択された保留回線候補を、前記保留した回線要求の回線情報とするステップであることも好ましい。
【0014】
また、前記回線情報を決定するステップは、前記保留した回線要求を順に並べた選択順序候補を求め、前記選択順序候補毎に、1番目の回線要求に対して、該回線要求を唯一の保留した回線要求と見なし、該回線要求を満たす第1の保留回線候補を導出し、該第1の保留回線候補毎に、前記ノード局の最大帯域利用率及び前記ノード局の最大電力利用率を算出し、前記最大帯域利用率と前記最大電力利用率に基づいて、第1の保留回線候補を1つ選択し、2番目の回線要求に対して、前記選択された第1の保留回線候補を割当て済みの回線と見なし、前記と同様な方法で第2の保留回線候補を導出し、第2の保留回線候補を1つ選択し、前記手順を最後の回線要求まで繰り返すことにより、最後の保留回線候補を1つ選択し、該選択された最後の保留回線候補を保留回線候補の1つとすることにより、前記選択順序候補から保留回線候補を導出し、前記保留回線候補毎に、前記ノード局の最大帯域利用率及び前記ノード局の最大電力利用率を算出し、前記最大帯域利用率と前記最大電力利用率に基づいて、保留回線候補を選択し、前記選択された保留回線候補を、前記保留した回線要求の回線情報とするステップであることも好ましい。
【0015】
また、前記保留回線候補の選択は、前記最大帯域利用率と前記最大電力利用率との差の絶対値が最も小さい保留回線候補を選択することも好ましい。
【0016】
また、前記保留回線候補を選択は、前記最大帯域利用率の2乗と前記最大電力利用率の2乗との和が最も小さい保留回線候補を選択することも好ましい。
【0017】
また、前記保留回線候補を、前記最大帯域利用率が第1のしきい値以下である、および/または前記最大電力利用率が第2のしきい値以下である保留回線候補に制限することも好ましい。
【0018】
上記目的を実現するため本発明による装置は、端末局と端末局がノード局を介して通信を行う無線通信システムにおいて、前記端末局に無線回線を割当てる制御局であって、前記端末局から回線要求を受信する、および回線情報を前記端末局に送信する制御回線モデムと、前記回線要求を所定の数または一定の期間保留するメモリと、前記保留した回線要求に対して、回線情報を決定する回線割当アルゴリズム部とを備えている。
【発明の効果】
【0019】
本発明の回線割当を実施すると、無線通信を行う端末局の通信品質と要求速度を満たしつつ、システム帯域とシステム電力を最大限まで有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】制御局がシステム内の全端末局に事前に回線を割当てる従来技術Aの方法を示す。
【図2】制御局が端末局の通信中のみ端末局に回線を割当てる従来技術Bの方法を示す。
【図3】本発明がターゲットとする無線通信システムの第1の構成例を示す。
【図4】本発明がターゲットとする無線通信システムの第2の構成例を示す。
【図5】本発明による回線割当のシーケンスを示す。
【図6】保留回線候補xを割当てた時のシステム帯域利用率とシステム電力利用率の関係を示す。
【図7】1サブキャリアの所要帯域と所要電力を図形(幅が帯域、面積が電力)で示し、本発明により回線割当を行ったイメージを示す。
【図8】1サブキャリアの所要帯域と所要電力を図形(幅が帯域、面積が電力)で示し、本発明により回線割当を行ったイメージを示す。
【図9】システム内に割当回線が増加しつづけた場合の回線割当イメージを示す。
【図10】本発明と従来技術の比較結果を示す。
【図11】本発明における制御局の装置構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を実施するための最良の実施形態について、以下では図面を用いて詳細に説明する。本発明がターゲットとする無線通信システムの構成例を図3と図4に示す。本システムの主な構成要素は端末局1、制御局2、ノード局3である。制御局2はノード局3を介して制御回線を用い端末局1に通信回線を割当てる。その後、端末局1は別の端末局1とノード局3を介して通信回線を用い通信を行う。ノード局3は図3では通信衛星、図4ではセルラ基地局となる。このとき、制御回線は固定的に設定されるが、通信回線は通信要求に応じて動的に設定される。そこで、本発明は通信回線(以降では単に回線と記する場合もある)の割当方法に関するものである。以下にノード局3の最大利用帯域(システム帯域)と最大利用電力(システム電力)を最大限に利用するための回線割当方法を述べる。
【0022】
ここで端末局1は信号を1以上のサブキャリアに分割し、サブキャリア毎に通信方式を自由に選択し送受できるものとする。ただし、選択可能な通信方式の種類は端末局1毎に異なってもよく、これらを局種別という名称で区分する。例えば、局種別Aは表1の全通信方式を自由に用いることが出来、局種別Bは1種類の通信方式(ここでは変調方式QPSK、符号化率1/2とする)のみを用いることが出来る。以上より回線割当において決定すべき回線情報は(1)サブキャリア数、(2)サブキャリア毎の通信方式、(3)サブキャリア毎の電力である。なお、実際には回線情報に周波数の情報を加える必要があるが、本発明には直接関係ないので周波数の割当方法は省略する。
【0023】
まず、発明全体に共通する部分を以下に述べる。本発明は、通信開始時に端末局1に動的に回線を割当て、通信終了時に回線を解放するDAMA(Demand Assign Multiple Access)ベースの回線割当手順を採用する。ここで端末局1の種類を以下のように定義する。
新規端末局:回線要求を行なう端末局
相手端末局:新規端末局と通信を行う相手の端末局
収容端末局:新規端末局が回線要求を行った時点で既に回線割当済みの端末局
【0024】
この時の回線割当のシーケンスを図5に示す。すなわち、
(1)新規端末局から相手端末局へ通信要求が発生する。
(2)新規端末局が制御回線を用い回線要求の信号を送信する。
(3)制御局は新規端末局からの回線要求を受信後、新規端末局と相手端末局が収容端末局でないことを確認した後、当該回線要求を一時的に保留する。その後も別の新規端末局からの回線要求を保留し続け、保留回線数がM個に達した場合、次の手順に移行する。以下では保留した1個以上の回線要求を保留要求と呼ぶ。
(4)保留要求に対し、後述する回線割当方法を用いて回線情報を決定する。
(5)制御局は制御回線を用い回線情報を該当する新規端末局と相手端末局に通知する。それと同時に、新規端末局と相手端末局を収容端末局として登録する。
(6)新規端末局と相手端末局は割当回線を用いて通信を行う。
(7)通信終了時に新規端末局または相手端末局が回線解放の信号を通信回線を用いて制御局及び通信相手の端末局に送信する。
(8)制御局は回線解放信号を受信した後、収容端末局の登録から新規端末局と相手端末局を取り除く。
である。
【0025】
次に、回線割当方法を説明する。まず、個々の端末局に対する割当回線の伝送速度が要求速度Rreq以上となるためには次式が成立する必要がある。
【数1】
Dreqは回線の所要サブキャリア数、η(k)はk番目のサブキャリアのスペクトラム利用効率、W0(k)はk番目のサブキャリア帯域幅である。式(1)を満たす通信方式の一連の組み合わせは複数存在することが考えられ、これを回線候補と呼ぶ。本発明では回線候補の中から目的に合った回線を選択し割当てる。γを大きくするほど回線候補数を増やすことができるが、一方では計算時間が増大する問題や回線に必要以上のリソース(サブキャリア数と電力)が割当てられる問題が発生する。以下では一例としてγ=1.2として説明する。ところで実際には、後述する所要電力が端末局の最大送信電力を超える回線は回線候補から取り除く必要があるが、ここでは端末局の最大送信電力の制約は無視する。
【0026】
以上を用い、W0(k)=100kHz(サブキャリアによらず一定)とし、Rreq=200kbps及びRreq=500kbpsの回線候補例を表2と表3に示す。なお、表中の通信方式の組み合わせ番号は表1で示した通信方式の番号である。このような回線候補の導出には非線形2次計画法(参考文献:田辺隆人,「非線形計画法アルゴリズムの実装と応用」,日本オペレーションズリサーチ学会,第49回シンポジュウム,Nov.2003)や局所探索法(参考文献:久保幹雄,「メタヒューリステックスの数理」,共立出版,2009)を用いる方法がある。
【0027】
【表2】
200kbpsを達成する回線候補例を示す。
【0028】
【表3】
500kbpsを達成する回線候補例を示す。
【0029】
ここでi番目の保留回線のj番目の回線候補のDreq、η(k)、W0(k)を改めてDreq(i,j)、η(i,j,k)、W0(i,j,k)と記す。また、i番目の保留回線のj番目の回線候補のk番目のサブキャリアの所要C/Nと雑音電力密度(単位帯域あたりの雑音電力)をそれぞれC/Nreq(i,j,k)、N0(i,j,k)と記す。このとき回線の所要C/Nを達成するためは、ノード局端で次式の電力Preq(i,j)が必要になる。
【数2】
なお、Gdはノード局から端末局までのダウンリンク利得である。
【0030】
M個の保留回線の中でi番目の保留回線の回線候補数をC(i)とするとき、回線候補の組み合わせ総数は次式となり、個々の組み合わせを保留回線候補と呼ぶ。
Cmax=C(1)C(2)・・・C(M) (3)
そして保留回線候補毎に次式で定義するシステム帯域利用率Dr(x)とシステム電力利用率Pr(x)を算出する。
【数3】
xは保留回線候補番号、jxはxで選択した回線候補番号j、Dsysはサブキャリア数で規格化したシステム帯域、Psysはシステム電力、Dagnは割当済み回線の全サブキャリア数、Pagnは割当済み回線の全電力である。
【0031】
ここで、保留回線候補xを割当てた時のシステム帯域利用率とシステム電力利用率の関係を図6に示す。図6より、出来るだけαが小さくなるように回線を割当てることで、システム帯域とシステム電力が最も均等に消費されるため、リソース偏残留を回避出来る可能性が高くなる。また、出来るだけβが小さくなるように回線を割当てることで、システム帯域とシステム電力の利用が総合的に少なくなり、帯域と電力を有効利用できる。
【0032】
以上より本発明の第一の方法は、保留回線に対し次式のα(x)が最小値となる保留回線候補を割当てる方法である。なお、以下では図6で示したαに対して、分母の√2を省略した。
α(x)=|Dr(x)−Pr(x)| (6)
【0033】
図7には、1サブキャリアの所要帯域と所要電力を図形(幅が帯域、面積が電力)で示し、本発明により回線割当を行ったイメージを示す。ここでは、3個の保留回線に対し、それぞれ3個×2個×3個=18個の保留回線候補がある場合を示した。各保留回線候補は、例えば1a−2a−3aのように表す。このとき、全保留回線候補の中では1c−2b−3aのα(x)が最も小さい。その結果、保留回線候補1c−2b−3aがシステム帯域上に割当てられる。このように、常にα(x)が小さい回線を割当てることで、システム帯域とシステム電力が最も均等に消費され続け、システム内に割当回線が増加しつづけた場合、図9(a)に示すように、割当総帯域と割当総電力は、同時にシステム帯域とシステム電力に達する。一方、α(x)とは無関係に回線割当を行った場合は図9(b),(c)のようにシステム帯域もしくはシステム電力が残留する。以上、第一の方法を用いることでリソース偏残留を回避することができる。
【0034】
次に、本発明の第二の方法は、保留回線に対し次式で定義するβ(x)が最小値となる保留回線候補を割当てる方法である。
β(x)=√(Dr(x)2+Pr(x)2) (7)
図8によれば、全保留回線候補の中では1b−2a−3bのβ(x)が最も小さい。このように、β(x)が小さい回線を割当てた場合、システム帯域利用率とシステム電力利用率が総合的に小さい回線が選ばれるので帯域と電力の有効活用が行われる。
【0035】
ところで、式(7)はDr(x)とPr(x)を均等に近づける条件ではないため、第二の方法はリソース偏残留を回避できるとは限らない。そこで、本発明の第三の方法はα(x)のしきい値とβ(x)のしきい値をαlim、βlimに設定する。そして、以下のいずれかの方法を用いる方法である。
【0036】
(i)α(x)≦αlimを満たす保留回線候補の中からβ(x)が最小値となる保留回線候補を新規端末局に割当てる
(ii)β(x)≦βlimを満たす保留回線候補の中からα(x)が最小値となる保留回線候補を新規端末局に割当てる
(iii)α(x)≦αlimかつβ(x)≦βlimを同時に満たす保留回線候補の中からα(x)が最小値となる保留回線候補を新規端末局に割当てる
(iv)α(x)≦αlimかつβ(x)≦βlimを同時に満たす保留回線候補の中からβ(x)が最小値となる保留回線候補を新規端末局に割当てる
【0037】
従って、第三の方法によれば、システム帯域利用率とシステム電力利用率が小さく、かつリソース偏残留を回避する回線が割当てられる。なお、上述のαlim、βlimは、回線割当毎に動的に変更してもよい。例えば、全保留回線の1番目の保留回線を一時的に全保留回線と見なし、第一の方法を用いて回線候補から唯一の回線候補番号を決定する。その後も同様に全保留回線に達するまでこれを繰り返し、最終的に得られたα、βをαlim、βlimと設定することが考えられる。なお、上述の第一〜第三の方法においてα(x)またはβ(x)が最小となるxが2個以上存在する場合は保留回線候補xを1つ、例えば、xの最も小さい保留回線候補を選択し割当てるものとする。
【0038】
第一〜第三の方法の具体例として、表4を用い割当回線数0(Wagn=Pagn=0)の時に要求速度200kbpsの2個の保留回線に回線割当を行う例を示す。
【表4】
なお、N0(i,j,k)は保留回線毎、回線候補毎、サブキャリア毎に異なる値でもよいが、以下では簡単のために一定とする。計算結果を表5に示す。
【表5】
なお、表5の回線候補番号は表2で示した番号に一致する。表5よりα(x)の最小値は保留回線候補番号24と34で得られ、ここでは保留回線候補番号24を選択したとする。つまり、第一の方法によれば1回線目の回線候補番号は4、2回線目の回線候補番号は6となる。よって、1回線目は「変調方式BPSK、符号化率1/2のサブキャリアが2個」と「変調方式QPSK、符号化率1/2のサブキャリアが1個」(以下はBPSK1/2×2+QPSK1/2×1と記す)であり、2回線目は8PSK3/4×1となる。その結果、システム電力利用率0.101、システム帯域利用率0.111となり、両者がほぼ等しくなった。
【0039】
次に、β(x)の最小値は保留回線候補番号29で得られた。従って、第二の方法によれば1回線目、2回線目とも回線候補番号は5となり、QPSK1/2×2が割当てられる。その結果、システム電力利用率0.063、システム帯域利用率0.111となり、両者が総合的に小さくなり電力と帯域が有効利用されている。さらに、第三の方法によれば、選択される保留回線候補番号24もしくは34となり、第一の方法と同じ結果となった。なお、第三の方法における(iv)を用いαlim、βlimは上述した方法で動的に設定した。
【0040】
以上述べた第一〜第三の方法では全ての保留回線候補からα(x)、β(x)の評価値を参照し、全保留回線に対する割当回線の組み合わせを1つ決定した。次に、第四の方法では保留回線を1つずつ順に選択し、個別に割当回線を決定していく。このとき、選択順序は複数あるが、全ての選択順序から評価値が最適となる選択順序を1つ決定する。つまり、保留回線数がMの時、可能なすべての選択順序数Pmaxは次式であり、個々を選択順序候補と呼ぶ。
Pmax=M! (8)
例えばM=3の時の選択順序候補は以下となる。
【表6】
【0041】
第四の方法における選択順序候補番号をx’とする。このとき、第四の方法ではx’が1番目に選択する保留回線を一時的に全保留回線と見なし、第一の方法を用いて唯一の回線候補xopt(1)を決定する。次にxopt(1)を割当済み回線を見なし、x’が2番目に選択する保留回線に対して同様にxopt(2)を決定する。その後も同様にx’の選択順序に従って、全保留回線に達するまでxopt(3)、xopt(4)、・・・xopt(Pmax)を決定する。その結果、最終的に得られたα(xopt(Pmax))を改めてα(x’)と表記する。以上を用い、第四の方法ではα(x’)が最小値となる選択順序候補で回線を割当てる。さらに、第五、第六の方法は、xをx’で置き換え、第二、第三の方法の手順で回線を割当てる方法とする。第四〜第六の方法と第一〜第三の方法の両者は類似的な効果を持つことが容易に推測される。
【0042】
第四〜第六の方法の例として、表4を用い、割当回線数0(Wagn=Pagn=0)の時に局ID1〜4に対する4つの保留回線に要求速度500kbpsの回線割当を行った。ここで、局ID1、2は表1の全通信方式を用いることが出来る局種別A、局ID3、4は1種類の通信方式(変調方式QPSK、符号化率1/2)を用いることが出来る局種別Bとする。
【0043】
表7に示す結果よりα(x’)の最少値は複数存在し、第四の方法では選択順序保留番号5を選択したする。このとき、保留回線の選択順序は局ID:4,1,2,3となり、システム電力利用率0.457、システム帯域利用率0.444がほぼ等しくなった。また複数存在するβ(x’)の最小値から第五の方法では選択順序候補番号1を選択したとする。このとき、保留回線の選択順序は局ID:4,3,2,1となり、システム電力利用率0.368、システム帯域利用率0.444は他の選択順序回線候補と比べ小さいため、電力と帯域が有効利用されている。さらに第六の方法によれば、選択される選択順序候補番号は第一の方法と同じとなる。なお、上述の選択順序候補番号5と1の回線の内容は表8と表9に示した。
【表7】
【表8】
【表9】
【0044】
次に、本発明と従来技術を定量的に比較する。比較対象の方式は(a)本発明の第三の方法、(b)本発明の第六の方法、(c)従来技術Bとする。システム帯域360、システム電力−107dBW、その他の条件は表4とし、Emax台の端末局が次々に回線要求を行う。このとき、端末局の局種別(AまたはB)と要求速度(100kbps〜1Mbps範囲で100kbpsステップ)は回線要求毎にランダムに決定した。以上の条件で回線割当を実施した結果、全回線の帯域と電力がシステム帯域かシステム電力のどちらか一方を超えた場合は呼損と判定し、Emaxに対する呼損率(呼損数/回線要求数)を求める。結果を図10に示す。図10より第三と第六の方法は従来技術Bより呼損率が小さくなることが分かる。また、保留回線数を増やすことで呼損率が低減できることが分かる。
【0045】
1個目の保留回線が発生してから保留回線数がMに達するまでの時間を「割当保留時間」と定義する。割当保留時間の間は回線割当が実行されず端末局は通信を開始できないため回線要求の発生頻度が小さい場合、第一〜第六までの方法は割当保留時間が増大する可能性がある。そこで、本発明の第七の方法は保留条件として「保留時間がTに達するまで」を用いる。また、「保留時間がTに達するか保留回線数がNに達するまで」を用いる方法とする。これより接続遅延時間をT以下に保証することが可能となる。
【0046】
また、シングルキャリアモデムを用いる場合は、式(1)においてDreq=1として扱う。また、以上の説明では、回線の割当要素を(1)サブキャリア数、(2)サブキャリア毎の通信方式、(3)サブキャリア毎の電力としたためFDMAを用いる無線通信システムに適用できる。このうちサブキャリアが端末局を分離するために用いられる割当要素であるため、これに代えて拡散符号と時間のどちらか一方、あるいはサブキャリア、拡散符号、時間を組み合わせた情報を端末固有の割当要素とすればCDMA,TDMAあるいはこれらを組み合わせた無線通信システムにも適用できる。
【0047】
最後に本発明における制御局2の装置構成を図11に示す。本発明を実現するには、各端末局1が選択できる通信方式と要求速度を制御局2が把握する必要がある。選択できる通信方式は予め知り得る端末局1固有の情報であるので、端末局ID情報と関連付けて制御局2の回線管理DB23に表10に例示すようにデータベース化する。一方、要求速度は回線要求毎に異なる。従って、図5に示す回線割当の手順において、端末局1は回線要求信号に端末局ID情報と要求速度を付与し制御回線を用いて制御局2に送信する。制御局2は、回線要求信号を一時的にメモリ25に保留する。保留回線数がM個に達した場合、または保留時間がTに達した場合、アクセス制御部22が端末局IDと要求速度を取り出し、回線割当アルゴリズム部24に通知する。回線割当アルゴリズム部24では、回線管理DB23の内容から要求速度を満たす回線を以下の手順で選択する。
1.回線管理DB23からノード局の残留帯域と残留電力を算出する。
2.本発明の回線割当方法によりサブキャリア数、サブキャリア毎の電力、サブキャリア毎の通信方式を算出する
【0048】
選択した回線情報は回線割当信号に付与し制御回線モデム21から端末局1に返信すると共に、割当済み回線として回線管理DB23の内容をアップデートする。端末局1は通信が終了すると回線解放信号に端末局IDを付与して制御回線を用いて制御局2に送信する。制御局2は制御回線モデム21から回線解放信号を受信すると、アクセス制御部22が端末局IDを取り出し、回線割当アルゴリズム部24に通知する。これに対し、回線割当アルゴリズム部24は回線管理DB23から割り当済回線の情報を消去する。
【表10】
【0049】
また、以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【符号の説明】
【0050】
1 端末局
2 制御局
3 ノード局
21 制御回線モデム
22 アクセス制御部
23 回線管理DB
24 回線割当アルゴリズム部
25 メモリ
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末局と端末局がノード局を介して通信を行う無線通信システムにおいて、帯域と電力の有効利用を図ることを目的とした、回線割当方法及び当該方法を実行する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムにおいて端末局が通信を行うために用いる回線の割当方法に関する従来技術は以下の通りである。
【0003】
従来技術Aはシステム内の全端末局に事前に回線を割当てる。つまり、実際に端末局が通信を行なっているいないに関わらず回線が割当られる。具体的には、図1に示すように、システム運用開始直後に全端末局に割当回線を設定する。システム運用中に各端末局は割当回線を用いて通信を行うが、通信を行わない時間帯も当該割当回線を保持する。このような回線割当方法はプリアサイン方式と呼ばれ、非特許文献1および2に記載されている。
【0004】
従来技術Bは端末局の通信中のみ回線を割当てる。具体的には、図2に示すように、制御局が端末局からの回線要求信号を受信すると、未登録の空き回線の中から当該端末局に回線を割当て、それと同時に割当回線を登録する。端末局は自局に割当られた回線を用いて通信を行い、通信が終了すると制御局に回線解放信号を送信する。制御局が端末局からの回線解放信号を受信すると当該端末局へ割当ていた回線の登録を削除する。このような回線割当方法はデマンドアサイン方式と呼ばれ、非特許文献3および4に記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】橋本幸雄,山本伸一,「地球局システムの開発:通信/放送実験用端局装置,OBP用実験端局」,通信総合研究所季報,2004年,第49巻(第3,4号),pp179-184
【非特許文献2】三瓶政一,森永規彦,「ソフトウェア無線の時代に向けたインテリジェント無線伝送技術」,電子情報通信学会通信方式研究会(第12回通信方式情報伝送と信号処理ワークショップ),1999年
【非特許文献3】高橋司,今井徹,西村修司,木村敏章,「地域衛星通信ネットワーク用DAMA装置」,三菱電機技法,2003年,8月
【非特許文献4】「DAMA回線制御方式」、自治体衛星通信機構、LASCOM STD-401
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
端末局と端末局がノード局を介して通信を行う無線通信システムでは、全通信がノード局を経由する。従って、全回線の総帯域(全帯域)と全回線の総電力(全電力)はノード局が利用できる最大帯域(システム帯域)と最大電力(システム電力)以下に制約される。つまり、全電力がシステム電力に達した場合には、全帯域がシステム帯域に達しなくてもそれ以上回線を割当てられない。逆に全帯域がシステム帯域に達した場合には、全電力の合計がシステム電力に達しなくてもそれ以上回線を割当てられない。以下、この状況をリソース偏残留と呼ぶ。無線通信システムでは無線リソースが有限であるため、リソース偏残留を回避する回線割当方法を採用することが重要となる。
【0007】
以降で端末局は回線の通信方式(変復調方式と誤り訂正符号化率の組み合わせ)を自由に選択できることを前提とする。このとき、表1に示すように、ある通信方式に対して、所要C/N(雑音電力Nに対する受信電力Cの所要値)と、スペクトラム利用効率η(単位帯域あたりに伝送可能なビットレート)が一意に決まる。つまり、回線の通信方式を変えることにより、1回線に必要な帯域と電力の大きさを調整することが出来る。これを利用し、従来技術Aと従来技術Bを用いてリソース偏残留を回避する方法を以下に述べる。
【0008】
【表1】
【0009】
従来技術Aではシステム内の全端末局間で通信方式を調整することが考えられる。つまり、全端末局数Emax、選択可能な通信方式数Cのとき、全端末局間で調整可能な通信方式の組み合わせ数はCEmaxとなり、この中から最もリソース偏残留を回避できる通信方式の組み合わせを選択する。上述の選択肢の数は非常に多くなるため、リソース偏残留を回避できる可能性も高くなることが推測される。しかしながら、従来技術Aでは通信をしていない端末局にも常時回線が割当てられるため、システム帯域とシステム電力が無駄に使用される課題がある。
【0010】
次に、従来技術Bでは端末局から回線要求が発生する度に、最もリソース偏残留を回避できる可能性が高い通信方式をC個の中から選択することが考えられる。しかし選択肢数が少ないため、リソース偏残留を十分に回避できない状況が推測される。
【0011】
従って、本発明は、システム帯域とシステム電力の有効利用を図り、上記の課題を解決する回線割当方法及び当該方法を実行する装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を実現するため本発明による方法は、端末局と端末局がノード局を介して通信を行う無線通信システムにおいて、制御局が前記端末局に無線回線を割当てる方法であって、前記端末局から回線要求を受信するステップと、前記回線要求を所定の数または一定の期間保留するステップと、前記保留した回線要求に対して回線情報を決定するステップと、前記回線情報を前記端末局に送信するステップとを含む。
【0013】
また、前記回線情報を決定するステップは、前記保留した回線要求を満たす保留回線候補を導出し、前記保留回線候補毎に、前記ノード局の最大帯域利用率及び前記ノード局の最大電力利用率を算出し、前記最大帯域利用率と前記最大電力利用率に基づいて、保留回線候補を選択し、前記選択された保留回線候補を、前記保留した回線要求の回線情報とするステップであることも好ましい。
【0014】
また、前記回線情報を決定するステップは、前記保留した回線要求を順に並べた選択順序候補を求め、前記選択順序候補毎に、1番目の回線要求に対して、該回線要求を唯一の保留した回線要求と見なし、該回線要求を満たす第1の保留回線候補を導出し、該第1の保留回線候補毎に、前記ノード局の最大帯域利用率及び前記ノード局の最大電力利用率を算出し、前記最大帯域利用率と前記最大電力利用率に基づいて、第1の保留回線候補を1つ選択し、2番目の回線要求に対して、前記選択された第1の保留回線候補を割当て済みの回線と見なし、前記と同様な方法で第2の保留回線候補を導出し、第2の保留回線候補を1つ選択し、前記手順を最後の回線要求まで繰り返すことにより、最後の保留回線候補を1つ選択し、該選択された最後の保留回線候補を保留回線候補の1つとすることにより、前記選択順序候補から保留回線候補を導出し、前記保留回線候補毎に、前記ノード局の最大帯域利用率及び前記ノード局の最大電力利用率を算出し、前記最大帯域利用率と前記最大電力利用率に基づいて、保留回線候補を選択し、前記選択された保留回線候補を、前記保留した回線要求の回線情報とするステップであることも好ましい。
【0015】
また、前記保留回線候補の選択は、前記最大帯域利用率と前記最大電力利用率との差の絶対値が最も小さい保留回線候補を選択することも好ましい。
【0016】
また、前記保留回線候補を選択は、前記最大帯域利用率の2乗と前記最大電力利用率の2乗との和が最も小さい保留回線候補を選択することも好ましい。
【0017】
また、前記保留回線候補を、前記最大帯域利用率が第1のしきい値以下である、および/または前記最大電力利用率が第2のしきい値以下である保留回線候補に制限することも好ましい。
【0018】
上記目的を実現するため本発明による装置は、端末局と端末局がノード局を介して通信を行う無線通信システムにおいて、前記端末局に無線回線を割当てる制御局であって、前記端末局から回線要求を受信する、および回線情報を前記端末局に送信する制御回線モデムと、前記回線要求を所定の数または一定の期間保留するメモリと、前記保留した回線要求に対して、回線情報を決定する回線割当アルゴリズム部とを備えている。
【発明の効果】
【0019】
本発明の回線割当を実施すると、無線通信を行う端末局の通信品質と要求速度を満たしつつ、システム帯域とシステム電力を最大限まで有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】制御局がシステム内の全端末局に事前に回線を割当てる従来技術Aの方法を示す。
【図2】制御局が端末局の通信中のみ端末局に回線を割当てる従来技術Bの方法を示す。
【図3】本発明がターゲットとする無線通信システムの第1の構成例を示す。
【図4】本発明がターゲットとする無線通信システムの第2の構成例を示す。
【図5】本発明による回線割当のシーケンスを示す。
【図6】保留回線候補xを割当てた時のシステム帯域利用率とシステム電力利用率の関係を示す。
【図7】1サブキャリアの所要帯域と所要電力を図形(幅が帯域、面積が電力)で示し、本発明により回線割当を行ったイメージを示す。
【図8】1サブキャリアの所要帯域と所要電力を図形(幅が帯域、面積が電力)で示し、本発明により回線割当を行ったイメージを示す。
【図9】システム内に割当回線が増加しつづけた場合の回線割当イメージを示す。
【図10】本発明と従来技術の比較結果を示す。
【図11】本発明における制御局の装置構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を実施するための最良の実施形態について、以下では図面を用いて詳細に説明する。本発明がターゲットとする無線通信システムの構成例を図3と図4に示す。本システムの主な構成要素は端末局1、制御局2、ノード局3である。制御局2はノード局3を介して制御回線を用い端末局1に通信回線を割当てる。その後、端末局1は別の端末局1とノード局3を介して通信回線を用い通信を行う。ノード局3は図3では通信衛星、図4ではセルラ基地局となる。このとき、制御回線は固定的に設定されるが、通信回線は通信要求に応じて動的に設定される。そこで、本発明は通信回線(以降では単に回線と記する場合もある)の割当方法に関するものである。以下にノード局3の最大利用帯域(システム帯域)と最大利用電力(システム電力)を最大限に利用するための回線割当方法を述べる。
【0022】
ここで端末局1は信号を1以上のサブキャリアに分割し、サブキャリア毎に通信方式を自由に選択し送受できるものとする。ただし、選択可能な通信方式の種類は端末局1毎に異なってもよく、これらを局種別という名称で区分する。例えば、局種別Aは表1の全通信方式を自由に用いることが出来、局種別Bは1種類の通信方式(ここでは変調方式QPSK、符号化率1/2とする)のみを用いることが出来る。以上より回線割当において決定すべき回線情報は(1)サブキャリア数、(2)サブキャリア毎の通信方式、(3)サブキャリア毎の電力である。なお、実際には回線情報に周波数の情報を加える必要があるが、本発明には直接関係ないので周波数の割当方法は省略する。
【0023】
まず、発明全体に共通する部分を以下に述べる。本発明は、通信開始時に端末局1に動的に回線を割当て、通信終了時に回線を解放するDAMA(Demand Assign Multiple Access)ベースの回線割当手順を採用する。ここで端末局1の種類を以下のように定義する。
新規端末局:回線要求を行なう端末局
相手端末局:新規端末局と通信を行う相手の端末局
収容端末局:新規端末局が回線要求を行った時点で既に回線割当済みの端末局
【0024】
この時の回線割当のシーケンスを図5に示す。すなわち、
(1)新規端末局から相手端末局へ通信要求が発生する。
(2)新規端末局が制御回線を用い回線要求の信号を送信する。
(3)制御局は新規端末局からの回線要求を受信後、新規端末局と相手端末局が収容端末局でないことを確認した後、当該回線要求を一時的に保留する。その後も別の新規端末局からの回線要求を保留し続け、保留回線数がM個に達した場合、次の手順に移行する。以下では保留した1個以上の回線要求を保留要求と呼ぶ。
(4)保留要求に対し、後述する回線割当方法を用いて回線情報を決定する。
(5)制御局は制御回線を用い回線情報を該当する新規端末局と相手端末局に通知する。それと同時に、新規端末局と相手端末局を収容端末局として登録する。
(6)新規端末局と相手端末局は割当回線を用いて通信を行う。
(7)通信終了時に新規端末局または相手端末局が回線解放の信号を通信回線を用いて制御局及び通信相手の端末局に送信する。
(8)制御局は回線解放信号を受信した後、収容端末局の登録から新規端末局と相手端末局を取り除く。
である。
【0025】
次に、回線割当方法を説明する。まず、個々の端末局に対する割当回線の伝送速度が要求速度Rreq以上となるためには次式が成立する必要がある。
【数1】
Dreqは回線の所要サブキャリア数、η(k)はk番目のサブキャリアのスペクトラム利用効率、W0(k)はk番目のサブキャリア帯域幅である。式(1)を満たす通信方式の一連の組み合わせは複数存在することが考えられ、これを回線候補と呼ぶ。本発明では回線候補の中から目的に合った回線を選択し割当てる。γを大きくするほど回線候補数を増やすことができるが、一方では計算時間が増大する問題や回線に必要以上のリソース(サブキャリア数と電力)が割当てられる問題が発生する。以下では一例としてγ=1.2として説明する。ところで実際には、後述する所要電力が端末局の最大送信電力を超える回線は回線候補から取り除く必要があるが、ここでは端末局の最大送信電力の制約は無視する。
【0026】
以上を用い、W0(k)=100kHz(サブキャリアによらず一定)とし、Rreq=200kbps及びRreq=500kbpsの回線候補例を表2と表3に示す。なお、表中の通信方式の組み合わせ番号は表1で示した通信方式の番号である。このような回線候補の導出には非線形2次計画法(参考文献:田辺隆人,「非線形計画法アルゴリズムの実装と応用」,日本オペレーションズリサーチ学会,第49回シンポジュウム,Nov.2003)や局所探索法(参考文献:久保幹雄,「メタヒューリステックスの数理」,共立出版,2009)を用いる方法がある。
【0027】
【表2】
200kbpsを達成する回線候補例を示す。
【0028】
【表3】
500kbpsを達成する回線候補例を示す。
【0029】
ここでi番目の保留回線のj番目の回線候補のDreq、η(k)、W0(k)を改めてDreq(i,j)、η(i,j,k)、W0(i,j,k)と記す。また、i番目の保留回線のj番目の回線候補のk番目のサブキャリアの所要C/Nと雑音電力密度(単位帯域あたりの雑音電力)をそれぞれC/Nreq(i,j,k)、N0(i,j,k)と記す。このとき回線の所要C/Nを達成するためは、ノード局端で次式の電力Preq(i,j)が必要になる。
【数2】
なお、Gdはノード局から端末局までのダウンリンク利得である。
【0030】
M個の保留回線の中でi番目の保留回線の回線候補数をC(i)とするとき、回線候補の組み合わせ総数は次式となり、個々の組み合わせを保留回線候補と呼ぶ。
Cmax=C(1)C(2)・・・C(M) (3)
そして保留回線候補毎に次式で定義するシステム帯域利用率Dr(x)とシステム電力利用率Pr(x)を算出する。
【数3】
xは保留回線候補番号、jxはxで選択した回線候補番号j、Dsysはサブキャリア数で規格化したシステム帯域、Psysはシステム電力、Dagnは割当済み回線の全サブキャリア数、Pagnは割当済み回線の全電力である。
【0031】
ここで、保留回線候補xを割当てた時のシステム帯域利用率とシステム電力利用率の関係を図6に示す。図6より、出来るだけαが小さくなるように回線を割当てることで、システム帯域とシステム電力が最も均等に消費されるため、リソース偏残留を回避出来る可能性が高くなる。また、出来るだけβが小さくなるように回線を割当てることで、システム帯域とシステム電力の利用が総合的に少なくなり、帯域と電力を有効利用できる。
【0032】
以上より本発明の第一の方法は、保留回線に対し次式のα(x)が最小値となる保留回線候補を割当てる方法である。なお、以下では図6で示したαに対して、分母の√2を省略した。
α(x)=|Dr(x)−Pr(x)| (6)
【0033】
図7には、1サブキャリアの所要帯域と所要電力を図形(幅が帯域、面積が電力)で示し、本発明により回線割当を行ったイメージを示す。ここでは、3個の保留回線に対し、それぞれ3個×2個×3個=18個の保留回線候補がある場合を示した。各保留回線候補は、例えば1a−2a−3aのように表す。このとき、全保留回線候補の中では1c−2b−3aのα(x)が最も小さい。その結果、保留回線候補1c−2b−3aがシステム帯域上に割当てられる。このように、常にα(x)が小さい回線を割当てることで、システム帯域とシステム電力が最も均等に消費され続け、システム内に割当回線が増加しつづけた場合、図9(a)に示すように、割当総帯域と割当総電力は、同時にシステム帯域とシステム電力に達する。一方、α(x)とは無関係に回線割当を行った場合は図9(b),(c)のようにシステム帯域もしくはシステム電力が残留する。以上、第一の方法を用いることでリソース偏残留を回避することができる。
【0034】
次に、本発明の第二の方法は、保留回線に対し次式で定義するβ(x)が最小値となる保留回線候補を割当てる方法である。
β(x)=√(Dr(x)2+Pr(x)2) (7)
図8によれば、全保留回線候補の中では1b−2a−3bのβ(x)が最も小さい。このように、β(x)が小さい回線を割当てた場合、システム帯域利用率とシステム電力利用率が総合的に小さい回線が選ばれるので帯域と電力の有効活用が行われる。
【0035】
ところで、式(7)はDr(x)とPr(x)を均等に近づける条件ではないため、第二の方法はリソース偏残留を回避できるとは限らない。そこで、本発明の第三の方法はα(x)のしきい値とβ(x)のしきい値をαlim、βlimに設定する。そして、以下のいずれかの方法を用いる方法である。
【0036】
(i)α(x)≦αlimを満たす保留回線候補の中からβ(x)が最小値となる保留回線候補を新規端末局に割当てる
(ii)β(x)≦βlimを満たす保留回線候補の中からα(x)が最小値となる保留回線候補を新規端末局に割当てる
(iii)α(x)≦αlimかつβ(x)≦βlimを同時に満たす保留回線候補の中からα(x)が最小値となる保留回線候補を新規端末局に割当てる
(iv)α(x)≦αlimかつβ(x)≦βlimを同時に満たす保留回線候補の中からβ(x)が最小値となる保留回線候補を新規端末局に割当てる
【0037】
従って、第三の方法によれば、システム帯域利用率とシステム電力利用率が小さく、かつリソース偏残留を回避する回線が割当てられる。なお、上述のαlim、βlimは、回線割当毎に動的に変更してもよい。例えば、全保留回線の1番目の保留回線を一時的に全保留回線と見なし、第一の方法を用いて回線候補から唯一の回線候補番号を決定する。その後も同様に全保留回線に達するまでこれを繰り返し、最終的に得られたα、βをαlim、βlimと設定することが考えられる。なお、上述の第一〜第三の方法においてα(x)またはβ(x)が最小となるxが2個以上存在する場合は保留回線候補xを1つ、例えば、xの最も小さい保留回線候補を選択し割当てるものとする。
【0038】
第一〜第三の方法の具体例として、表4を用い割当回線数0(Wagn=Pagn=0)の時に要求速度200kbpsの2個の保留回線に回線割当を行う例を示す。
【表4】
なお、N0(i,j,k)は保留回線毎、回線候補毎、サブキャリア毎に異なる値でもよいが、以下では簡単のために一定とする。計算結果を表5に示す。
【表5】
なお、表5の回線候補番号は表2で示した番号に一致する。表5よりα(x)の最小値は保留回線候補番号24と34で得られ、ここでは保留回線候補番号24を選択したとする。つまり、第一の方法によれば1回線目の回線候補番号は4、2回線目の回線候補番号は6となる。よって、1回線目は「変調方式BPSK、符号化率1/2のサブキャリアが2個」と「変調方式QPSK、符号化率1/2のサブキャリアが1個」(以下はBPSK1/2×2+QPSK1/2×1と記す)であり、2回線目は8PSK3/4×1となる。その結果、システム電力利用率0.101、システム帯域利用率0.111となり、両者がほぼ等しくなった。
【0039】
次に、β(x)の最小値は保留回線候補番号29で得られた。従って、第二の方法によれば1回線目、2回線目とも回線候補番号は5となり、QPSK1/2×2が割当てられる。その結果、システム電力利用率0.063、システム帯域利用率0.111となり、両者が総合的に小さくなり電力と帯域が有効利用されている。さらに、第三の方法によれば、選択される保留回線候補番号24もしくは34となり、第一の方法と同じ結果となった。なお、第三の方法における(iv)を用いαlim、βlimは上述した方法で動的に設定した。
【0040】
以上述べた第一〜第三の方法では全ての保留回線候補からα(x)、β(x)の評価値を参照し、全保留回線に対する割当回線の組み合わせを1つ決定した。次に、第四の方法では保留回線を1つずつ順に選択し、個別に割当回線を決定していく。このとき、選択順序は複数あるが、全ての選択順序から評価値が最適となる選択順序を1つ決定する。つまり、保留回線数がMの時、可能なすべての選択順序数Pmaxは次式であり、個々を選択順序候補と呼ぶ。
Pmax=M! (8)
例えばM=3の時の選択順序候補は以下となる。
【表6】
【0041】
第四の方法における選択順序候補番号をx’とする。このとき、第四の方法ではx’が1番目に選択する保留回線を一時的に全保留回線と見なし、第一の方法を用いて唯一の回線候補xopt(1)を決定する。次にxopt(1)を割当済み回線を見なし、x’が2番目に選択する保留回線に対して同様にxopt(2)を決定する。その後も同様にx’の選択順序に従って、全保留回線に達するまでxopt(3)、xopt(4)、・・・xopt(Pmax)を決定する。その結果、最終的に得られたα(xopt(Pmax))を改めてα(x’)と表記する。以上を用い、第四の方法ではα(x’)が最小値となる選択順序候補で回線を割当てる。さらに、第五、第六の方法は、xをx’で置き換え、第二、第三の方法の手順で回線を割当てる方法とする。第四〜第六の方法と第一〜第三の方法の両者は類似的な効果を持つことが容易に推測される。
【0042】
第四〜第六の方法の例として、表4を用い、割当回線数0(Wagn=Pagn=0)の時に局ID1〜4に対する4つの保留回線に要求速度500kbpsの回線割当を行った。ここで、局ID1、2は表1の全通信方式を用いることが出来る局種別A、局ID3、4は1種類の通信方式(変調方式QPSK、符号化率1/2)を用いることが出来る局種別Bとする。
【0043】
表7に示す結果よりα(x’)の最少値は複数存在し、第四の方法では選択順序保留番号5を選択したする。このとき、保留回線の選択順序は局ID:4,1,2,3となり、システム電力利用率0.457、システム帯域利用率0.444がほぼ等しくなった。また複数存在するβ(x’)の最小値から第五の方法では選択順序候補番号1を選択したとする。このとき、保留回線の選択順序は局ID:4,3,2,1となり、システム電力利用率0.368、システム帯域利用率0.444は他の選択順序回線候補と比べ小さいため、電力と帯域が有効利用されている。さらに第六の方法によれば、選択される選択順序候補番号は第一の方法と同じとなる。なお、上述の選択順序候補番号5と1の回線の内容は表8と表9に示した。
【表7】
【表8】
【表9】
【0044】
次に、本発明と従来技術を定量的に比較する。比較対象の方式は(a)本発明の第三の方法、(b)本発明の第六の方法、(c)従来技術Bとする。システム帯域360、システム電力−107dBW、その他の条件は表4とし、Emax台の端末局が次々に回線要求を行う。このとき、端末局の局種別(AまたはB)と要求速度(100kbps〜1Mbps範囲で100kbpsステップ)は回線要求毎にランダムに決定した。以上の条件で回線割当を実施した結果、全回線の帯域と電力がシステム帯域かシステム電力のどちらか一方を超えた場合は呼損と判定し、Emaxに対する呼損率(呼損数/回線要求数)を求める。結果を図10に示す。図10より第三と第六の方法は従来技術Bより呼損率が小さくなることが分かる。また、保留回線数を増やすことで呼損率が低減できることが分かる。
【0045】
1個目の保留回線が発生してから保留回線数がMに達するまでの時間を「割当保留時間」と定義する。割当保留時間の間は回線割当が実行されず端末局は通信を開始できないため回線要求の発生頻度が小さい場合、第一〜第六までの方法は割当保留時間が増大する可能性がある。そこで、本発明の第七の方法は保留条件として「保留時間がTに達するまで」を用いる。また、「保留時間がTに達するか保留回線数がNに達するまで」を用いる方法とする。これより接続遅延時間をT以下に保証することが可能となる。
【0046】
また、シングルキャリアモデムを用いる場合は、式(1)においてDreq=1として扱う。また、以上の説明では、回線の割当要素を(1)サブキャリア数、(2)サブキャリア毎の通信方式、(3)サブキャリア毎の電力としたためFDMAを用いる無線通信システムに適用できる。このうちサブキャリアが端末局を分離するために用いられる割当要素であるため、これに代えて拡散符号と時間のどちらか一方、あるいはサブキャリア、拡散符号、時間を組み合わせた情報を端末固有の割当要素とすればCDMA,TDMAあるいはこれらを組み合わせた無線通信システムにも適用できる。
【0047】
最後に本発明における制御局2の装置構成を図11に示す。本発明を実現するには、各端末局1が選択できる通信方式と要求速度を制御局2が把握する必要がある。選択できる通信方式は予め知り得る端末局1固有の情報であるので、端末局ID情報と関連付けて制御局2の回線管理DB23に表10に例示すようにデータベース化する。一方、要求速度は回線要求毎に異なる。従って、図5に示す回線割当の手順において、端末局1は回線要求信号に端末局ID情報と要求速度を付与し制御回線を用いて制御局2に送信する。制御局2は、回線要求信号を一時的にメモリ25に保留する。保留回線数がM個に達した場合、または保留時間がTに達した場合、アクセス制御部22が端末局IDと要求速度を取り出し、回線割当アルゴリズム部24に通知する。回線割当アルゴリズム部24では、回線管理DB23の内容から要求速度を満たす回線を以下の手順で選択する。
1.回線管理DB23からノード局の残留帯域と残留電力を算出する。
2.本発明の回線割当方法によりサブキャリア数、サブキャリア毎の電力、サブキャリア毎の通信方式を算出する
【0048】
選択した回線情報は回線割当信号に付与し制御回線モデム21から端末局1に返信すると共に、割当済み回線として回線管理DB23の内容をアップデートする。端末局1は通信が終了すると回線解放信号に端末局IDを付与して制御回線を用いて制御局2に送信する。制御局2は制御回線モデム21から回線解放信号を受信すると、アクセス制御部22が端末局IDを取り出し、回線割当アルゴリズム部24に通知する。これに対し、回線割当アルゴリズム部24は回線管理DB23から割り当済回線の情報を消去する。
【表10】
【0049】
また、以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【符号の説明】
【0050】
1 端末局
2 制御局
3 ノード局
21 制御回線モデム
22 アクセス制御部
23 回線管理DB
24 回線割当アルゴリズム部
25 メモリ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末局と端末局がノード局を介して通信を行う無線通信システムにおいて、制御局が前記端末局に無線回線を割当てる方法であって、
前記端末局から回線要求を受信するステップと、
前記回線要求を所定の数または一定の期間保留するステップと、
前記保留した回線要求に対して回線情報を決定するステップと、
前記回線情報を前記端末局に送信するステップと、
を含むことを特徴とする無線回線割当方法。
【請求項2】
前記回線情報を決定するステップは、
前記保留した回線要求を満たす保留回線候補を導出し、
前記保留回線候補毎に、前記ノード局の最大帯域利用率及び前記ノード局の最大電力利用率を算出し、
前記最大帯域利用率と前記最大電力利用率に基づいて、保留回線候補を選択し、
前記選択された保留回線候補を、前記保留した回線要求の回線情報とするステップであることを特徴とする請求項1に記載の無線回線割当方法。
【請求項3】
前記回線情報を決定するステップは、
前記保留した回線要求を順に並べた選択順序候補を求め、
前記選択順序候補毎に、1番目の回線要求に対して、該回線要求を唯一の保留した回線要求と見なし、該回線要求を満たす第1の保留回線候補を導出し、該第1の保留回線候補毎に、前記ノード局の最大帯域利用率及び前記ノード局の最大電力利用率を算出し、前記最大帯域利用率と前記最大電力利用率に基づいて、第1の保留回線候補を1つ選択し、2番目の回線要求に対して、前記選択された第1の保留回線候補を割当て済みの回線と見なし、前記と同様な方法で第2の保留回線候補を導出し、第2の保留回線候補を1つ選択し、前記手順を最後の回線要求まで繰り返すことにより、最後の保留回線候補を1つ選択し、
該選択された最後の保留回線候補を保留回線候補の1つとすることにより、前記選択順序候補から保留回線候補を導出し、
前記保留回線候補毎に、前記ノード局の最大帯域利用率及び前記ノード局の最大電力利用率を算出し、
前記最大帯域利用率と前記最大電力利用率に基づいて、保留回線候補を選択し、
前記選択された保留回線候補を、前記保留した回線要求の回線情報とするステップであることを特徴とする請求項1に記載の無線回線割当方法。
【請求項4】
前記保留回線候補の選択は、
前記最大帯域利用率と前記最大電力利用率との差の絶対値が最も小さい保留回線候補を選択することを特徴とする請求項2または3に記載の無線回線割当方法。
【請求項5】
前記保留回線候補を選択は、
前記最大帯域利用率の2乗と前記最大電力利用率の2乗との和が最も小さい保留回線候補を選択することを特徴とする請求項2または3に記載の無線回線割当方法。
【請求項6】
前記保留回線候補を、前記最大帯域利用率が第1のしきい値以下である、および/または前記最大電力利用率が第2のしきい値以下である保留回線候補に制限することを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の無線回線割当方法。
【請求項7】
端末局と端末局がノード局を介して通信を行う無線通信システムにおいて、前記端末局に無線回線を割当てる制御局であって、
前記端末局から回線要求を受信する、および回線情報を前記端末局に送信する制御回線モデムと、
前記回線要求を所定の数または一定の期間保留するメモリと、
前記保留した回線要求に対して、回線情報を決定する回線割当アルゴリズム部と、
を備えていることを特徴とする制御局。
【請求項1】
端末局と端末局がノード局を介して通信を行う無線通信システムにおいて、制御局が前記端末局に無線回線を割当てる方法であって、
前記端末局から回線要求を受信するステップと、
前記回線要求を所定の数または一定の期間保留するステップと、
前記保留した回線要求に対して回線情報を決定するステップと、
前記回線情報を前記端末局に送信するステップと、
を含むことを特徴とする無線回線割当方法。
【請求項2】
前記回線情報を決定するステップは、
前記保留した回線要求を満たす保留回線候補を導出し、
前記保留回線候補毎に、前記ノード局の最大帯域利用率及び前記ノード局の最大電力利用率を算出し、
前記最大帯域利用率と前記最大電力利用率に基づいて、保留回線候補を選択し、
前記選択された保留回線候補を、前記保留した回線要求の回線情報とするステップであることを特徴とする請求項1に記載の無線回線割当方法。
【請求項3】
前記回線情報を決定するステップは、
前記保留した回線要求を順に並べた選択順序候補を求め、
前記選択順序候補毎に、1番目の回線要求に対して、該回線要求を唯一の保留した回線要求と見なし、該回線要求を満たす第1の保留回線候補を導出し、該第1の保留回線候補毎に、前記ノード局の最大帯域利用率及び前記ノード局の最大電力利用率を算出し、前記最大帯域利用率と前記最大電力利用率に基づいて、第1の保留回線候補を1つ選択し、2番目の回線要求に対して、前記選択された第1の保留回線候補を割当て済みの回線と見なし、前記と同様な方法で第2の保留回線候補を導出し、第2の保留回線候補を1つ選択し、前記手順を最後の回線要求まで繰り返すことにより、最後の保留回線候補を1つ選択し、
該選択された最後の保留回線候補を保留回線候補の1つとすることにより、前記選択順序候補から保留回線候補を導出し、
前記保留回線候補毎に、前記ノード局の最大帯域利用率及び前記ノード局の最大電力利用率を算出し、
前記最大帯域利用率と前記最大電力利用率に基づいて、保留回線候補を選択し、
前記選択された保留回線候補を、前記保留した回線要求の回線情報とするステップであることを特徴とする請求項1に記載の無線回線割当方法。
【請求項4】
前記保留回線候補の選択は、
前記最大帯域利用率と前記最大電力利用率との差の絶対値が最も小さい保留回線候補を選択することを特徴とする請求項2または3に記載の無線回線割当方法。
【請求項5】
前記保留回線候補を選択は、
前記最大帯域利用率の2乗と前記最大電力利用率の2乗との和が最も小さい保留回線候補を選択することを特徴とする請求項2または3に記載の無線回線割当方法。
【請求項6】
前記保留回線候補を、前記最大帯域利用率が第1のしきい値以下である、および/または前記最大電力利用率が第2のしきい値以下である保留回線候補に制限することを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の無線回線割当方法。
【請求項7】
端末局と端末局がノード局を介して通信を行う無線通信システムにおいて、前記端末局に無線回線を割当てる制御局であって、
前記端末局から回線要求を受信する、および回線情報を前記端末局に送信する制御回線モデムと、
前記回線要求を所定の数または一定の期間保留するメモリと、
前記保留した回線要求に対して、回線情報を決定する回線割当アルゴリズム部と、
を備えていることを特徴とする制御局。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−40871(P2011−40871A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−184465(P2009−184465)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、総務省、「衛星通信における適応偏波多重(APDM)伝送技術の研究開発」委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、総務省、「衛星通信における適応偏波多重(APDM)伝送技術の研究開発」委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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