説明

無線基地局、移動局及び測定方法

【課題】下りリンクにおけるセルスループットの低下を最小限に抑えてPRSを送信する。
【解決手段】本発明に係る無線基地局eNBは、配下のセル#1乃至#3において、PRSを送信するように構成されているPRS送信部12と、セル#1乃至#3において、PRSを送信する場合に、PRS-RNTIを用いてPDCCH信号を生成して送信するように構成されているPDCCH信号送信部10とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線基地局、移動局及び測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LTE(Long Term Evolution)-Rel.9方式の仕様策定作業では、LCS(Location Service)において移動局UEが複数のセル間の伝搬遅延差を測定するために、CRS(Common Reference Signal)よりも高密度に送信することが可能なPRS(Positioning Reference Signal)を導入することについての検討がなされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】3GPP寄書、R1-092854
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、LTE-Rel.9方式の移動通信システムにおいて、PRSが送信されるサブフレーム内のリソースブロックでは、PDSCH信号(下りリンクデータ信号)が送信できないため、無線基地局eNBが、PRSを常時送信した場合、下りリンクにおけるセルスループットが低下してしまうという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、下りリンクにおけるセルスループットの低下を最小限に抑えてPRSを送信することができる無線基地局、移動局及び測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の特徴は、無線基地局であって、配下のセルにおいて、移動局における伝搬遅延差測定用の参照信号を送信するように構成されている参照信号送信部と、前記配下のセルにおいて、前記参照信号を送信する場合に、特定識別子を用いて下りリンク制御チャネル信号を生成して送信するように構成されている下りリンク制御チャネル信号送信部とを具備することを要旨とする。
【0007】
本発明の第2の特徴は、移動局であって、セルにおいて、移動局における伝搬遅延差測定用の参照信号を受信するように構成されている参照信号受信部と、在圏セルにおいて、特定識別子を用いて生成されている下りリンク制御チャネル信号を受信ように構成されている下りリンク制御チャネル信号受信部とを具備し、前記在圏セルにおいて、前記下りリンク制御チャネル信号受信部が、前記下りリンク制御チャネル信号を受信した場合に、前記参照信号受信部は、前記参照信号が送信されていると判断するように構成されていることを要旨とする。
【0008】
本発明の第3の特徴は、移動局が、複数のセルから受信した参照信号に基づいて、該複数のセルからの伝送遅延差を測定する測定方法であって、無線基地局が、前記複数のセルにおいて、参照信号を送信する場合に、特定識別子を用いて下りリンク制御チャネル信号を生成して送信するステップと、前記移動局が、在圏セルにおいて、前記特定識別子を用いて生成されている下りリンク制御チャネル信号を受信した場合に、前記参照信号を受信するステップと、前記移動局が、前記複数のセルから受信した参照信号に基づいて、該複数のセルからの伝搬遅延差を測定するステップと、前記移動局が、測定した前記伝搬遅延差を、前記無線基地局に送信するステップとを有することを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明によれば、下りリンクにおけるセルスループットの低下を最小限に抑えてPRSを送信することができる無線基地局、移動局及び測定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの全体構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る無線基地局の機能ブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る無線基地局によって送信されるPDCCH信号のフォーマットの一例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る無線基地局によって送信されるPDCCH信号のフォーマットの一例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る無線基地局によって送信されるPRSの一例を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る移動局の機能ブロック図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る移動局の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの構成)
図1乃至図6を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの構成について説明する。
【0012】
本実施形態に係る移動通信システムは、LTE-Rel.9方式の移動通信システムであり、図1に示すように、本実施形態に係る移動通信システムでは、移動局UEが、複数のセル#1乃至#3から、それぞれ、PRS#1乃至#3を受信することができるように構成されている。
【0013】
また、本実施形態に係る移動通信システムでは、LCSを提供するにあたって、測位方式として「OTDOA(Observed Time Difference Of Arrival)方式」が用いられるように構成されている。
【0014】
OTDOA方式では、移動局UEは、無線基地局eNBから指定された複数のセルからの伝搬遅延差を測定し、当該測定結果を無線基地局eNB#1に報告し、無線基地局eNB#1は、無線基地局eNB#1乃至eNB#3の上位ノードであるE-SMLC(Evolved Serving Mobile Location Center)に前記報告を転送し、E-SMLCが、かかる伝搬遅延差に基づいて、移動局UEの位置情報を算出するように構成されている。
【0015】
OTDOA方式では、3セル以上の伝搬遅延差に基づいて、移動局UEの位置情報を算出することができる。
【0016】
ここで、本実施形態に係る移動通信システムでは、上述のように、複数のセルからの伝搬遅延差を用いるため、セル間で同期が取られていることが好ましいが、セル間で同期が取られていなくてもよい。
【0017】
なお、本実施形態では、移動局UEは、セル#1への接続が完了し、セル#1に在圏しており、無線基地局eNB#1は、移動局UEに対して、セル#1とセル#2との間の伝搬遅延差及びセル#1とセル#3との間の伝搬遅延差を測定させ、かかる伝搬遅延差を無線基地局eNBへと報告させるものとして説明を行う。
【0018】
なお、セル#1乃至3は、同一の無線基地局eNBによって管理されていてもよいし、図1に示すように、複数の無線基地局eNB#1乃至eNB#3によって管理されていてもよい。以下、本実施形態では、セル#1乃至3が同一の無線基地局eNBによって管理されているものとして説明を行う。
【0019】
図2に示すように、無線基地局eNBは、PDCCH信号送信部10と、上位レイヤ情報送信部11と、PRS送信部12とを具備している。
【0020】
PDCCH信号送信部10は、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)信号を生成して送信するように構成されている。
【0021】
例えば、PDCCH信号送信部10は、セル#1乃至#3において各移動局UEに対して割り当てられているC-RNTI(Cell-Radio Network Temporary Identity)を用いて、PDCCH信号として各移動局UE宛ての下りリンク制御信号を生成して送信するように構成されている。
【0022】
具体的には、PDCCH信号送信部10は、各移動局UEに対して割り当てられているC-RNTIがマスキングされているCRC(Cyclic Redundancy Check)ビットを付加することによって、各移動局UE宛ての下りリンク制御信号を生成するように構成されている。
【0023】
例えば、各移動局UE宛ての下りリンク制御信号には、「DL scheduling information」や「UL scheduling grant」等が含まれる。
【0024】
また、PDCCH信号送信部10は、P-RNTI(Paging-Radio Network Temporary Identity)を用いて、PDCCH信号を生成して送信するように構成されている。
【0025】
具体的には、PDCCH信号送信部10は、P-RNTIがマスキングされているCRCビットを付加することによって、上述のPDCCH信号を生成するように構成されている。
【0026】
このように、PDCCH信号送信部10は、P-RNTIを用いて生成されたPDCCH信号を送信することによって、かかるPDCCH信号が送信されるサブフレームと同じサブフレームにおいてページング信号が送信されることを通知することができる。
【0027】
また、PDCCH信号送信部10は、SI-RNTI(System Information-Radio Network Temporary Identity)を用いて、PDCCH信号を生成して送信するように構成されている。
【0028】
具体的には、PDCCH信号送信部10は、SI-RNTIがマスキングされているCRCビットを付加することによって、上述のPDCCH信号を生成するように構成されている。
【0029】
このように、PDCCH信号送信部10は、SI-RNTIを用いて生成されたPDCCH信号を送信することによって、かかるPDCCH信号が送信されるサブフレームと同じサブフレームにおいて報知情報(SI)が送信されることを通知することができる。
【0030】
また、PDCCH信号送信部10は、PRS-RNTIを用いて、PDCCH信号を生成して送信するように構成されている。
【0031】
具体的には、PDCCH信号送信部10は、PRS-RNTIがマスキングされているCRCビットを付加することによって、上述のPDCCH信号を生成するように構成されている。
【0032】
ここで、PRS-RNTIとして、3GPP仕様のTS36.321でリザーブされている「FFF4」-「FFFD」等を用いてもよい。
【0033】
このように、PDCCH信号送信部10は、PRS-RNTIを用いて生成されたPDCCH信号を送信することによって、かかるPDCCH信号が送信されるサブフレームと同じサブフレーム或いは当該PDCCH信号が送信されるサブフレームよりも所定数だけ後ろのサブフレームにおいてPRSが送信されることを通知することができる。
【0034】
なお、PDCCH信号送信部10は、PRS-RNTIを用いて生成されたPDCCH信号を送信することによって、かかるPDCCH信号が送信されるサブフレームと同じサブフレーム或いは当該PDCCH信号が送信されるサブフレームよりも所定数だけ後ろのサブフレームにおいてPRSが送信されないことを通知してもよい。
【0035】
或いは、PDCCH信号送信部10は、PRS-RNTIを用いて生成されたPDCCH信号を送信することによって、かかるPDCCH信号が送信されるサブフレームと同じサブフレーム或いは当該PDCCH信号が送信されるサブフレームよりも所定数だけ後ろのサブフレームにおいて、かかるセルにおける伝搬遅延差を報告するように指示することができる。
【0036】
また、PDCCH信号送信部10は、PRS-RNTIを用いて生成されたPDCCH信号を送信することによって、かかるPDCCH信号が送信されるサブフレームと同じサブフレーム或いは当該PDCCH信号が送信されるサブフレームよりも所定数だけ後ろのサブフレームにおいて、かかるセルにおける伝搬遅延差を報告しないように指示することができる。
【0037】
また、PRS-RNTIを用いて生成されたPDCCH信号のDCIフォーマットとしては、図3に示す「DCI format 1A」を用いられてもよいし、図4に示す「DCI format 1C」を用いられてもよい。
【0038】
ここで、PDCCH信号送信部10は、PRS-RNTIを用いて生成されたPDCCH信号のDCIフォーマットとして用いる「DCI format 1A」又は「DCI format 1C」内の全てのビットにおいて、「0」を送信してもよいし、「1」を送信してもよい。
【0039】
「DCI format 1A」又は「DCI format 1C」内の全てのビットを定義しておくことで、PRSが送信されていることを見逃す、若しくは、PRSが存在しないのに誤ってPRSの検出処理を行うことを避けることができる。
【0040】
上位レイヤ情報送信部11は、移動局UEに対して、報知情報や移動局UE個別シグナリング等のRRCメッセージを用いて、配下のセル#1乃至#3に割り当てられているPCI(Physical Cell ID)や、セル#1乃至#3におけるPRSの送信タイミングや、PRSの送信を行うリソースブロック(周波数帯域幅)等を送信するように構成されている。
【0041】
また、上位レイヤ情報送信部11は、移動局UEに対して、伝搬遅延差の送信対象のセル、すなわち、PRSの受信対象のセルを指定するように構成されていてもよい。
【0042】
PRS送信部12は、PRS-RNTIを用いて生成されたPDCCH信号が送信されるサブフレームと同じサブフレームにおいて、PRSを送信するように構成されていてもよい。
【0043】
或いは、PRS送信部12は、PRS-RNTIを用いて生成されたPDCCH信号が送信されるサブフレームよりも所定数(例えば、N)だけ後ろに送信されるサブフレームにおいて、PRSを送信するように構成されていてもよい。
【0044】
例えば、図5(a)及び図5(b)に示すように、PRS送信部12は、各リソースブロック内の各リソースエレメントに対して、PRSの系列をマッピングするように構成されていてもよい。
【0045】
ここで、図5(a)は、「Normal CP」が用いられている場合のPRSの送信パターンの一例を示し、図5(b)は、「Extended CP」が用いられている場合のPRSの送信パターンの一例を示す。
【0046】
なお、PRS送信部12によってPRSが送信されるリソースブロックでは、PDSCH(Physical Downlink Shanred Channel)信号(下りリンクデータ信号)が送信されないように構成されていてもよい。その結果、PRSのタイミング検出精度を向上させることができる。
【0047】
図6に示すように、移動局UEは、PDCCH信号受信部20と、上位レイヤ情報受信部21と、PRS受信部22と、PRSレプリカ生成部23と、伝搬遅延差測定部24と、伝搬遅延差送信部25とを具備している。
【0048】
PDCCH信号受信部20は、無線基地局eNBによって送信されたPDCCH信号を受信するように構成されている。
【0049】
ここで、PDCCH信号受信部20は、移動局UEに対して割り当てられているC-RNTIを用いて生成されているPDCCH信号や、P-RNTIを用いて生成されているPDCCH信号や、SI-RNTIを用いて生成されているPDCCH信号や、PRS-RNTIを用いて生成されているPDCCH信号が存在するか否かについて監視しており、これらのPDCCH信号が存在する場合、かかるPDCCH信号の受信処理を継続するように構成されている。
【0050】
例えば、PDCCH信号受信部20は、移動局UEに対して割り当てられているC-RNTIを用いて生成されているPDCCH信号が存在する場合、かかるPDCCH信号を、移動局UE宛ての下りリンク制御信号として受信するように構成されている。
【0051】
また、PDCCH信号受信部20は、P-RNTIを用いて生成されているPDCCH信号が存在する場合、かかるPDCCH信号が送信されているサブフレームと同じサブフレームにおいて、ページング信号が送信されることを認識するように構成されている。
【0052】
また、PDCCH信号受信部20は、SI-RNTIを用いて生成されているPDCCH信号が存在する場合、かかるPDCCH信号が送信されているサブフレームと同じサブフレームにおいて、報知情報(SI)が送信されることを認識するように構成されている。
【0053】
さらに、PDCCH信号受信部20は、PRS-RNTIを用いて生成されているPDCCH信号が存在する場合、かかるPDCCH信号が送信されているサブフレームと同じサブフレームにおいて、或いは、当該PDCCH信号が送信されるサブフレームよりも所定数だけ後ろのサブフレームにおいて、PRSが送信されること(或いは、PRSが送信されないこと)を認識するように構成されている。
【0054】
逆に、PDCCH信号受信部20は、PRS-RNTIを用いて生成されているPDCCH信号が存在しない場合、かかるPDCCH信号が送信されているサブフレームと同じサブフレームにおいて、或いは、当該PDCCH信号が送信されるサブフレームよりも所定数だけ後ろのサブフレームにおいて、PRSが送信されないこと(或いは、PRSが送信されること)を認識するように構成されていてもよい。
【0055】
上位レイヤ情報受信部21は、報知情報や移動局UEへの個別シグナリング等のRRCメッセージを介して、無線基地局eNBから、セル#1乃至#3に割り当てられているPCIや、セル#1乃至#3におけるPRSの送信タイミングや、PRSの送信を行うリソースブロック(周波数帯域幅)等を受信するように構成されている。
【0056】
また、上位レイヤ情報受信部21は、無線基地局eNBから、伝搬遅延差の測定対象のセルを指定する情報、すなわち、PRSの受信対象のセルを指定する情報を受信するように構成されていてもよい。
【0057】
PRS受信部22は、セル#1乃至#3におけるPRSを受信するように構成されている。具体的には、PRS受信部22は、セル#1乃至#3において、PRS-RNTIを用いて生成されているPDCCH信号が受信された場合、かかるPDCCH信号が送信されているサブフレームと同じサブフレームにおいて、或いは、当該PDCCH信号が送信されるサブフレームよりも所定数だけ後ろのサブフレームにおいて、セル#1乃至#3におけるPRSを受信するように構成されている。
【0058】
PRSレプリカ生成部23は、受信したPCIを用いて、セル#1乃至#3におけるPRSレプリカを生成するように構成されている。
【0059】
伝搬遅延情報測定部24は、PRS受信部22によって受信されたPRSと、PRSレプリカ生成部23によって生成されたセル#1乃至#3におけるPRSレプリカとに基づいて、セル#1乃至#3におけるPRSを検出し、セル#1とセル#2との間の伝搬遅延差及びセル#1とセル#3との間の伝搬遅延差を算出するように構成されている。
【0060】
なお、伝搬遅延情報測定部24は、無線基地局eNBによって指定されているセルからのPRSを用いるだけではなく、その他のセルからのPRSも含め、精度良く検出できたセルのPRSとセル#1のPRS#1との間の伝搬遅延差を測定するように構成されていてもよい。
【0061】
また、伝搬遅延情報測定部24は、無線基地局eNBに対して、測定した伝搬遅延差及び当該伝搬遅延差を測定したセルのPCIを送信するように構成されている。
【0062】
なお、伝搬遅延情報測定部24は、伝搬遅延送信部24は、無線基地局eNBによって指定されているセル#1乃至#3以外のセルにおける所定条件を満たす伝搬遅延差を送信するように構成されていてもよい。
【0063】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作)
図7及び図8を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作について説明する。
【0064】
第1に、図7に示すように、移動局UEは、ステップS101において、在圏しているセル又は通信中のセルにおいて、PRS-RNTIを用いて生成されているPDCCH信号を受信した場合にのみ、ステップS102において、かかるセル及び周辺セルにおいて、PRSが送信されていると判断して、かかるPRSの受信を試みる。
【0065】
第2に、図8に示すように、無線基地局eNBは、ステップS1000Aにおいて、セル#1において、PRS-RNTIを用いて生成したPDCCH信号を送信し、ステップS1000Bにおいて、セル#2において、PRS-RNTIを用いて生成したPDCCH信号を送信し、ステップS1000Cにおいて、セル#3において、PRS-RNTIを用いて生成したPDCCH信号を送信する。
【0066】
移動局UEは、ステップS1000Aにおいて在圏セル#1によって送信されているPRS-RNTIを用いて生成されているPDCCH信号を受信したため、ステップS1001において、PRSが送信されているリソースブロックに基づいて、セル#1乃至#3において送信されているPRSを受信する。
【0067】
その後、移動局UEは、セル#1乃至#3から受信したPRSに基づいて、セル#1とセル#2との間の伝搬遅延差及びセル#1とセル#3との間の伝搬遅延差を算出し、ステップS1002において、在圏セルであるセル#1を介して、かかる伝搬遅延差を無線基地局eNBに対して送信する。
【0068】
ステップS1003において、無線基地局eNBは、セル#1を介して受信したセル#1とセル#2との間の伝搬遅延差及びセル#1とセル#3との間の伝搬遅延差を、E-SMLCに対して送信し、E-SMLCは、かかる伝搬遅延差に基づいて、移動局UEの位置情報を算出する。
【0069】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの作用・効果)
本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムによれば、無線基地局eNBは、配下のセルに在圏する移動局UEが、かかるセルにおける伝搬遅延差を測定する必要がある場合にのみ、RRCでシグナリングすることなく、かかるセルにおいてPRSを送信することができるので、セル全体の無線リソースの使用効率を向上することができる。
【0070】
すなわち、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムによれば、周辺セルに在圏する移動局UEが、かかるセルにおける伝搬遅延差を測定する必要がない場合には、かかるセルにおいてPRSを送信しないため、PRSを送信するために確保していたサブフレームの無線リソースにおいて、PDSCH信号を送信することができるため、セル全体の無線リソースの使用効率を向上することができる。
【0071】
また、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムによれば、無線基地局eNBが、各セルにおいて、全ての移動局UEに対してページング信号を送信した後に通知する必要がある報知情報(上位レイヤの信号の一種)を変更することによって、PRSが送信されているか否かについて通知する必要がないため、手順の複雑化及び不要な信号の送信処理及び受信処理を低減することができる。
【0072】
また、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムによれば、無線基地局eNBが、個別のRRCメッセージ(上位レイヤの信号の一種)によって、PRSが送信されているか否かについて通知する必要がないため、手順の複雑化及び不要な信号の送信を低減することができる。
【0073】
すなわち、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムによれば、無線基地局eNBが、複数の移動局UEに対して共通のPRS-RNTIを割り当て、かかるPRS-RNTIを用いて生成したPDCCH信号を送信することによって、PRSが送信されているか否かについて通知するため、手順の複雑化及び不要な信号の送信を低減することができる。
【0074】
以上に述べた本実施形態の特徴は、以下のように表現されていてもよい。
【0075】
本実施形態の第1の特徴は、無線基地局eNBであって、配下のセルにおいて、PRS(移動局UEにおける伝搬遅延差測定用の参照信号)を送信するように構成されているPRS送信部12(参照信号送信部)と、配下のセルにおいて、PRSを送信する場合に、PRS-RNTI(特定識別子)を用いてPDCCH信号(下りリンク制御チャネル信号)を生成して送信するように構成されているPDCCH信号送信部10(下りリンク制御チャネル信号送信部)とを具備することを要旨とする。
【0076】
本実施形態の第1の特徴において、PDCCH信号送信部10は、PRS送信部12によってPRSが送信されるサブフレームと同じサブフレームにおいて、PRS-RNTIを用いて生成したPDCCH信号を送信するように構成されていてもよい。
【0077】
本実施形態の第1の特徴において、PDCCH信号送信部10は、PRS送信部12によってPRSが送信されるサブフレームよりも所定数だけ前に送信されるサブフレームにおいて、PRS-RNTIを用いて生成したPDCCH信号を送信するように構成されていてもよい。
【0078】
本実施形態の第2の特徴は、移動局UEであって、セルにおいて、PRSを受信するように構成されているPRS受信部22(参照信号受信部)と、在圏セルにおいて、PRS-RNTIを用いて生成されているPDCCH信号を受信するように構成されているPDCCH信号受信部20(下りリンク制御チャネル信号受信部)とを具備し、かかるセルにおいて、PDCCH信号受信部20が、PRS-RNTIを用いて生成されているPDCCH信号を受信した場合に、PRS受信部22は、PRSが送信されていると判断するように構成されていることを要旨とする。
【0079】
本実施形態の第2の特徴において、PRS受信部22は、PDCCH信号受信部20によってPRS-RNTIを用いて生成されているPDCCH信号が受信されたサブフレームと同じサブフレームにおいて、PRSを受信するように構成されていてもよい。
【0080】
本実施形態の第2の特徴において、PRS受信部22は、PDCCH信号受信部20によってPRS-RNTIを用いて生成されているPDCCH信号が受信されたサブフレームより所定数だけ後のサブフレームにおいて、PRSを受信するように構成されていてもよい。
【0081】
本実施形態の第2の特徴において、複数のセルから受信したPRS#1乃至PRS#3に基づいて、セル#1とセル#2との間の伝搬遅延差及びセル#1とセル#3との間の伝搬遅延差を測定するように構成されている伝搬遅延差測定部24と、複数のセルからの伝搬遅延差を送信するように構成されている伝搬遅延差送信部25とを具備してもよい。
【0082】
本実施形態の第2の特徴において、伝搬遅延送信部24は、無線基地局eNBによって指定されているセル#1乃至#3以外のセルのPRSであっても、所定条件を満たしていれば、無線基地局eNBに対して伝搬遅延差を送信するように構成されていてもよい。かかる所定条件は、PRSやセル共通の参照信号や同期信号の受信レベルに関する条件であってもよい。
【0083】
本実施形態の第3の特徴において、移動局UEが、複数のセル#1乃至#3から受信したPRSに基づいて、セル#1とセル#2との間の伝搬遅延差及びセル#1とセル#3との間の伝搬遅延差を測定する測定方法であって、無線基地局eNBが、配下のセル#1乃至#3において、PRSを送信する場合に、PRS-RNTIを用いてPDCCH信号を生成して送信するステップと、移動局UEが、在圏セルにおいて、PRS-RNTIを用いて生成されているPDCCH信号を受信した場合に、PRSを受信するステップと、移動局UEが、セル#1乃至#3から受信した参照信号に基づいて、セル#1とセル#2との間の伝搬遅延差及びセル#1とセル#3との間の伝搬遅延差を測定するステップと、移動局UEが、測定した伝搬遅延差を無線基地局eNBに送信するステップとを有することを要旨とする。
【0084】
なお、上述の無線基地局eNB及び移動局UEの動作は、ハードウェアによって実施されてもよいし、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって実施されてもよいし、両者の組み合わせによって実施されてもよい。
【0085】
ソフトウェアモジュールは、RAM(Random Access Memory)や、フラッシュメモリや、ROM(Read Only Memory)や、EPROM(Erasable Programmable ROM)や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)や、レジスタや、ハードディスクや、リムーバブルディスクや、CD-ROMといった任意形式の記憶媒体内に設けられていてもよい。
【0086】
かかる記憶媒体は、プロセッサが当該記憶媒体に情報を読み書きできるように、当該プロセッサに接続されている。また、かかる記憶媒体は、プロセッサに集積されていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ASIC内に設けられていてもよい。かかるASICは、無線基地局eNB及び移動局UE内に設けられていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ディスクリートコンポーネントとして無線基地局eNB及び移動局UE内に設けられていてもよい。
【0087】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0088】
eNB…無線基地局
10…PDCCH信号送信部
11…上位レイヤ情報送信部
12…PRS送信部
UE…移動局
20…PDCCH信号受信部
21…上位レイヤ情報受信部
22…PRS受信部
23…PRSレプリカ生成部
24…伝搬遅延差測定部
25…伝搬遅延差送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配下のセルにおいて、移動局における伝搬遅延差測定用の参照信号を送信するように構成されている参照信号送信部と、
前記配下のセルにおいて、前記参照信号を送信する場合に、特定識別子を用いて下りリンク制御チャネル信号を生成して送信するように構成されている下りリンク制御チャネル信号送信部とを具備することを特徴とする無線基地局。
【請求項2】
前記下りリンク制御チャネル信号送信部は、前記参照信号送信部によって前記参照信号が送信されるサブフレームと同じサブフレームにおいて、前記下りリンク制御チャネル信号を送信するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の無線基地局。
【請求項3】
前記下りリンク制御チャネル信号送信部は、前記参照信号送信部によって前記参照信号が送信されるサブフレームよりも所定数だけ前に送信されるサブフレームにおいて、前記下りリンク制御チャネル信号を送信するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の無線基地局。
【請求項4】
セルにおいて、移動局における伝搬遅延差測定用の参照信号を受信するように構成されている参照信号受信部と、
在圏セルにおいて、特定識別子を用いて生成されている下りリンク制御チャネル信号を受信ように構成されている下りリンク制御チャネル信号受信部とを具備し、
前記在圏セルにおいて、前記下りリンク制御チャネル信号受信部が、前記下りリンク制御チャネル信号を受信した場合に、前記参照信号受信部は、前記参照信号が送信されていると判断するように構成されていることを特徴とする移動局。
【請求項5】
前記参照信号受信部は、前記下りリンク制御チャネル信号受信部によって前記下りリンク制御チャネル信号が受信されたサブフレームと同じサブフレームにおいて、前記参照信号を受信するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の移動局。
【請求項6】
前記参照信号受信部は、前記下りリンク制御チャネル信号受信部によって前記下りリンク制御チャネル信号が受信されたサブフレームより所定数だけ後のサブフレームにおいて、前記参照信号を受信するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の移動局。
【請求項7】
複数のセルから受信した参照信号に基づいて、前記在圏セルと該複数のセルとの間の伝搬遅延差を測定するように構成されている伝搬遅延差測定部と、
前記複数のセルからの伝搬遅延差を送信するように構成されている伝搬遅延差送信部とを具備することを特徴とする請求項4に記載の移動局。
【請求項8】
前記伝搬遅延送信部は、前記無線基地局によって指定されているセル以外のセルであっても、所定条件を満たす参照信号が受信できた場合は、該参照符号と前記在圏セルの参照信号との間の伝搬遅延差を送信するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の移動局。
【請求項9】
移動局が、複数のセルから受信した参照信号に基づいて、在圏セルと該複数のセルとの間の伝送遅延差を測定する測定方法であって、
無線基地局が、前記複数のセルにおいて、参照信号を送信する場合に、特定識別子を用いて下りリンク制御チャネル信号を生成して送信するステップと、
前記移動局が、前記在圏セルにおいて、前記特定識別子を用いて生成されている下りリンク制御チャネル信号を受信した場合に、前記参照信号を受信するステップと、
前記移動局が、前記複数のセルから受信した参照信号に基づいて、前記在圏セルと該複数のセルとの間の伝搬遅延差を測定するステップと、
前記移動局が、測定した前記伝搬遅延差を、前記無線基地局に送信するステップとを有することを特徴とする測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−49904(P2011−49904A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197465(P2009−197465)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】