説明

無線基地局装置及び無線基地局装置制御方法

【課題】無線基地局装置において、稼動状態のベースバンドカードの数を制御することを、課題とする。
【解決手段】複数のベースバンドカードを有する無線基地局装置であって、前記複数のベースバンドカードのそれぞれのリソース使用量を測定する測定部と、前記測定部が測定したリソース使用量に基づいて、前記複数のベースバンドカードのそれぞれに収容されるリソースのリソース収容替えを行う制御部とを備える無線基地局装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のベースバンドカードを有する無線基地局装置及び無線基地局装置制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムにおいて、加入者の増加に伴い、無線基地局の大容量化が進んでいる。また、インターネット等のIP(Internet Protocol)技術の普及により、高速データ通信に対する需要が急増している。そのため、従来の音声、低速パケット通信を主体としたサービス(以下、既存サービスという)から、より高速なデータ通信を可能とするサービスへの機能エンハンスが図られている。より高速なデータ通信を可能とするサービスとして、例えば、HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)方式やHSUPA(High Speed Uplink Packet Access)方式を適用したサービス(以下、HSサービスという)が挙げられる。HSサービス等が利用されることにより、サービスの多様化が進んでいる。
【0003】
このような加入者増、サービス多様化に対応するため、無線基地局においては、既存サービスに対応したベースバンドカードの増設およびHSサービスに対応したベースバンドカードの新設が行われている。無線基地局に実装されるベースバンドカードの増加に伴い、無線基地局の運用に要する消費電力は、増加傾向にある。
【0004】
HSサービスは、セル単位で共有するベースバンドリソースを各ユーザでシェアして使用するベストエフォート(Best Effort)方式である。このため、同一セルにてHSサービスで通信するユーザのリソースを同一のベースバンドカードに収容することが一般的である。この場合、HSサービスを行う運用セル数に応じた複数のベースバンドカードが常に実装され、各ユーザのリソースをセル単位に収容する特定セル括り付けのリソース収容方法が取られる。
【0005】
一方、既存サービスで通信するユーザのリソースは、同一セル内の他のユーザから影響を受けない固定的なリソースである。このため、ユーザが通信するセルに依存することなく、ユーザのリソースを任意のベースバンドカードに収容することが可能である。この場合、ベースバンドカードが無線基地局に少なくとも1枚実装されることで運用可能となる。通常は、トラヒック量に見合った数のベースバンドカードが無線基地局に実装され、各ベースバンドカードは、各ユーザのリソースをラウンドロビン方式で分散して収容する。さらに、特定のベースバンドカードへの負荷集中を回避するようなセルフリーのリソース収容方法が採られる。
【0006】
ここで、ベースバンドカード群1のベースバンドカードは、既存サービスで通信するユーザのリソースを収容可能でありHSサービスで通信するユーザのリソースを収容不可であるベースバンドカードであるとする。また、ベースバンドカード群2のベースバンドカードは、既存サービスに加えてHSサービスで通信するユーザのリソースも収容可能なベースバンドカードであるとする。無線基地局にベースバンドカード群1のベースバンドカード及びベースバンドカード群2のベースバンドカードが混在実装されているとする。既存サービスで通信するユーザのリソースは、ベースバンドカード群1のベースバンドカードに空きリソースが有る限り、ベースバンドカード群1のベースバンドカードに収容される。HSサービスで通信するユーザのリソースは、ベースバンドカード群2のベースバンドカードに収容される。既存サービスで通信するユーザのリソースは、ベースバンドカード群1のベースバンドカードに空きリソースがない場合、ベースバンドカード群2のベー
スバンドカードに収容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−129846号公報
【特許文献2】特開2006−191469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図1は、ベースバンドカードのリソース使用量が多い場合の例を示す図である。図2は、ベースバンドカードのリソース使用量が少ない場合の例を示す図である。ベースバンドカード群1のベースバンドカードは既存サービスで通信するユーザのリソースを収容可能でありHSサービスで通信するユーザのリソースを収容不可であるベースバンドカードである。ベースバンドカード群2のベースバンドカードは、既存サービスに加えてHSサービスで通信するユーザのリソースも収容可能なベースバンドカードである。
【0009】
リソース収容方法による負荷分散およびサービスに応じた収容先ベースバンドカードの優先度付けは、図1(例えば、日中帯)のように既存サービス、HSサービスともにリソース使用量が多い場合には効果的である。しかし、図2(例えば、夜間帯)のようにリソース使用量が下がる時間帯においては、各ベースバンドカードの使用率が低くなるため、ベースバンドカードが余剰に稼動している状態となる。
【0010】
特にオフィス街、駅、デパート構内等の日中と夜間とでリソース使用量が大きく変動するエリアをカバーする無線基地局においては、この傾向が顕著に現れる。ベースバンドカードが余剰状態のまま運用することは、無駄な電力を消費することに繋がる。
【0011】
ベースバンドカードの稼動数を最適化し余剰状態を回避する方法として、リソースが収容されていない空きベースバンドカードを運用から切り離す方法が考えられる。しかし、各ユーザの保留時間のバラツキにより空きベースバンドカードが存在するとは限らない。また、稼動状態のベースバンドカードの数を増減させる場合、呼処理に影響を与えないように考慮することが望ましい。
【0012】
開示の装置は、複数のベースバンドカードを有する無線基地局装置であって、稼動状態のベースバンドカードの数を制御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
開示の一態様は、複数のベースバンドカードを有する無線基地局装置であって、前記複数のベースバンドカードのそれぞれのリソース使用量を測定する測定部と、前記測定部が測定したリソース使用量に基づいて、前記複数のベースバンドカードのそれぞれに収容されるリソースのリソース収容替えを行う制御部とを備える無線基地局装置である。
【発明の効果】
【0014】
開示の実施形態によれば、複数のベースバンドカードを有する無線基地局装置において、稼動状態のベースバンドカードの数を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、ベースバンドカードのリソース使用量が多い場合の例を示す図である。
【図2】図2は、ベースバンドカードのリソース使用量が少ない場合の例を示す図である。
【図3】図3は、移動通信システムの構成例を示す図である。
【図4】図4は、無線基地局の構成例を示す図である。
【図5】図5は、無線基地局のタイムチャートの例を示す図である。
【図6】図6は、判定部が行う判定1の処理フローの例を示す図である。
【図7】図7は、判定部が行う判定2の処理フローの例を示す図である。
【図8】図8は、判定部が行う判定3の処理フローの例を示す図である。
【図9】図9は、ベースバンドカードの構成およびリソース使用量の例を示す図である。
【図10】図10は、判定部が行う判定11の処理フローの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。実施形態の構成は例示であり、開示の実施形態の構成に限定されない。
【0017】
〔実施形態1〕
(構成例)
図3は、移動通信システムの構成例を示す図である。移動通信システム1000は、基地局制御局100、無線基地局200、移動局(移動端末)300、及び、保守端末400を含む。
【0018】
図4は、無線基地局の構成例を示す図である。移動通信システム1000における無線基地局200は、回線処理部202、監視制御部204、ベースバンド処理部206、呼処理部208、無線部210、一次電源230、スイッチ232、アンテナ250を含む。無線基地局200は、各ベースバンドカードのリソース使用量を測定するリソース測定部222、リソース収容替えの可否を判定する判定部224、および、リソース収容替え制御および電源制御を行うカード制御部226を含む。無線基地局200は、無線基地局200の上位装置となる基地局制御局100と回線処理部202を介して接続される。無線基地局200は、無線基地局200の上位装置となる保守端末400と回線処理部202を介して接続される。
【0019】
回線処理部202は、装置間で送受信するデータの終端処理を行う。無線基地局200は、移動局300と、無線部210及びアンテナ(ANT)250を介して接続され、無線部210は移動局300と送受信する無線信号の変復調処理を行う。
【0020】
監視制御部204は、回線処理部202を介して保守端末400と通信を行う。監視制御部204は、無線基地局200内の各処理部に対する監視制御を行う。監視制御部204は、監視制御情報に基づき、ベースバンドカードに対するリソース収容替え制御およびベースバンドカードに供給される一次電源230の電源制御を行う。監視制御情報は、無線基地局200を遠隔監視制御する保守端末400から監視制御部204に通知される。
【0021】
ベースバンド処理部206は、複数のベースバンドカードを含む。ベースバンドカード処理部206は、呼処理部208やカード制御部226からの指示に従い、ベースバンドカードを制御する。
【0022】
呼処理部208は、リソース管理部209を含む。呼処理部208は、基地局制御局100からの呼設定情報に基づいて、移動局300と通信するためのハードウェアリソースをベースバンド処理部206に設定する。呼処理部208は、ベースバンド処理部206と他処理部との間のパスを設定し、移動局300との無線アクセスリンクを確立させる。呼設定情報は、新規ユーザの受付時、収容済みユーザのサービス変更の受付時に、基地局制御局100等から無線基地局200に通知される。
【0023】
リソース測定部222は、各ベースバンドカードで使用しているリソース(収容しているリソース)の量であるリソース使用量を呼処理部208内のリソース管理部209から所定時間(例えば、時間t1)毎にサンプリング収集する。リソース測定部222は、一定期間(例えば、t1×n)のサンプリング結果から算出した平均リソース使用量、および、判定部224に通知するタイミングにおける直近(最後)のリソース使用量を判定部224に通知する。
【0024】
判定部224は、リソース測定部222から通知された平均リソース使用量、及び、直近のリソース使用量から、あらかじめ設定されている目標平均使用率以下を満足できるベースバンドカードの必要最小数を算出する。稼動状態のベースバンドカードが必要最小数より多い場合は、判定部224は、リソース収容替え制御の対象とするベースバンドカードを直近のリソース使用量が小さいベースバンドカードから優先して選択する。判定部224は、リソース収容替え制御を行うためのカード制御情報をカード制御部226に通知する。
【0025】
判定部224は、受付不可発生率および各ベースバンドカードのカード状態を監視する。受付不可発生率は、呼処理部208における、所定時間(例えば、時間t2)内の、全呼設定受付回数に対する、呼設定受付時にリソース不足が原因で呼設定受付不可となった回数の割合を示す。判定部224は、あらかじめ設定されている受付不可発生率の閾値および各ベースバンドカードのカード状態に応じて、カード制御情報をカード制御部226に通知する。カード制御情報は、リソース収容替え制御もしくはベースバンドカードに供給される一次電源230の電源制御を行うための情報である。
【0026】
カード制御部226は、カード制御情報に基づき、ベースバンドカードに対するリソース収容替え制御およびベースバンドカードに供給される一次電源230の電源制御を行う。カード制御部226は、カード制御情報を、判定部224から通知される。
【0027】
スイッチ232は、監視制御部204又はカード制御部226からの指示に基づき、一次電源230からベースバンド処理部206のベースバンドカードに、電力の供給(電源オン)又は電力の供給停止(電源オフ)を行う。
【0028】
保守端末400は、無線基地局200を遠隔操作し、ベースバンド処理部206のベースバンドカードの電源制御を行うことができる。保守端末400は、無線基地局200から稼動状態のベースバンドカードの数を取得することができる。
【0029】
(動作例)
図5は、無線基地局のタイムチャートの例を示す図である。図5のタイムチャートの横軸は、時間軸である。
【0030】
図5に示されるベースバンドカードは、既存サービスに対応したベースバンドカードであり、セルフリーのリソースを収容する。ユーザ毎の個別チャネルリソースを収容可能なベースバンドカードとして#1乃至#6の計6枚が初期実装されている。
【0031】
無線基地局200が再開され運用状態に入ると、リソース測定部222はリソース管理部209から各ベースバンドカード(#1乃至#6)のリソース使用量をサンプリング周期t1毎に収集し、ベースバンドカードで使用している全リソース使用量を算出する。サンプリング数が所定のn回に達すると、リソース測定部222は、ベースバンドカードで使用している全リソース使用量、および、n回目にサンプリングした各ベースバンドカードのリソース使用量を判定部224に通知する。全リソース使用量は、全ベースバンドカ
ードの平均リソース使用量Rave、全ベースバンドカードのn回目にサンプリングしたリソース使用量(全ベースバンドカードの直近のリソース使用量)Rnowを含む。以降、無線基地局200が停止されるまで同様の処理が継続される。
【0032】
図6は、判定部が行う判定1の処理フローの例を示す図である。判定部224は、リソース測定部222からリソース使用量が通知されるタイミングで、図6に示す判定1の処理フローを開始する。
【0033】
判定部224は、リソース測定部222から平均リソース使用量Rave、及び、直近のリソース使用量Rnowを取得する。判定部224は、平均リソース使用量Raveと、直近のリソース使用量Rnowとを比較する(S102)。
【0034】
平均リソース使用量Raveが直近のリソース使用量Rnow以上である場合(S102;YES)、判定部224は、変数RにRaveを代入する(S104)。また、平均リソース使用量Raveが直近のリソース使用量Rnow未満である場合(S102;NO)、判定部224は、変数RにRnowを代入する(S106)。
【0035】
判定部224は、次の式を満たす最小の整数X´を算出する(S108)。
【0036】
【数1】

【0037】
ここで、Pは、ベースバンドカードの目標平均使用率である。rは、ベースバンドカードのカード1枚当たりの収容可能リソースである。ベースバンドカードの目標平均使用率は、ベースバンドカードの収容可能リソースに対する、無線基地局200の安定運用のために望ましいベースバンドカードの最大リソース使用量(目標平均使用量)の割合である。無線基地局200は、ベースバンドカードの使用率が目標平均使用率以下である状態で運用されることが望ましい。ここで判定部224が算出する整数X´は、稼動状態のベースバンドカードの使用率が目標平均使用率以下となる、ベースバンドカードの最小の稼動数である。
【0038】
判定部224は、現在稼動しているベースバンドカードの枚数Xと、ステップS108で算出した整数X´とを比較する(S110)。判定部224は、ベースバンド処理部206から現在稼動しているベースバンドカードの枚数Xを取得できる。
【0039】
現在稼動しているベースバンドカードの枚数Xが整数X´以下である場合(S110;NO)、判定1の処理は終了する。
【0040】
現在稼動しているベースバンドカードの枚数Xが整数X´より大きい場合(S110;YES)、判定部224は、各ベースバンドカードの直近のリソース使用量に基づいて、直近のリソース使用量の少ないカードから(X−X´)枚を選択する(S112)。判定部224は、選択したベースバンドカードに対するカード制御情報をカード制御部226に通知し(S114)、判定1の処理は終了する。選択されたベースバンドカードは、リソース収容替え制御の対象となる。このカード制御情報は、リソース収容替え制御を指示する情報を含む。また、カード制御情報は、制御対象カードおよび制御種別を制御順に含む。
【0041】
図5の場合、判定部224は、判定1においてベースバンドカードの稼働数を6枚から3枚に減少可能と判断し、ベースバンドカード#4、#5、#6の順にリソース収容替え制御を行うためのカード制御情報を、カード制御部226に通知している。
【0042】
カード制御部226は、判定部224から通知されるカード制御情報に基づいてベースバンドカードのリソース収容替え制御を行う。ベースバンドカードのリソース収容替えを行う際、リソース収容替え対象のベースバンドカードのカード状態は稼動状態から予閉塞状態に遷移する。予閉塞状態に遷移したベースバンドカードに収容されているリソースは、稼動状態の他のベースバンドカードに収容される。予閉塞状態に遷移したベースバンドカードに収容されているリソースは、稼動状態であって、リソース収容替え対象外であるベースバンドカードに収容されるようにしてもよい。予閉塞状態に遷移したベースバンドカードに収容されているすべてのリソースが、他のベースバンドカードに収容されたとき、予閉塞状態に遷移したベースバンドカードのリソース収容替えが完了する。リソース収容替えが完了したベースバンドカードは、予閉塞状態から閉塞状態に遷移する。カード制御部226は、複数のベースバンドカードに対するリソース収容替え制御を同時に行わない。カード制御部226は、1つのベースバンドカードのリソース収容替えが完了し、カード状態が予閉塞状態から閉塞状態に遷移した後、次のリソース収容替え対象のベースバンドカードのリソース収容替え制御を行う。リソースを収容しているベースバンドカードを閉塞する場合、リソース収容替えが完了するまでの間、当該ベースバンドカードのカード状態は予閉塞状態を継続し、リソース収容替えが完了した時点で、閉塞状態に遷移する。閉塞状態のベースバンドカードには、一次電源230から電力が供給されている。
【0043】
図5の場合、ベースバンドカードに収容しているリソースは任意のベースバンドカードに収容可能なセルフリーのリソースである。ベースバンドカード#4を閉塞する場合、ベースバンドカード#4に収容されているリソースは、稼働状態の他カード#1、#2、#3、#5、#6に分散して収容替えされる。同様にベースバンドカード#5を閉塞する場合、ベースバンドカード#5に収容されているリソースが稼働状態の他カード#1、#2、#3、#6に分散して収容替えされる。ベースバンドカード#6を閉塞した時の収容替えは完了できずに、ベースバンドカード#6は予閉塞状態を継続している。
【0044】
図7は、判定部が行う判定2の処理フローの例を示す図である。判定部224は、受付不可発生率を、周期t2毎に、呼処理部208から取得する。受付不可発生率は、移動局300からのリソース割当要求の回数に対する、リソースを割り当てられなかった回数の割合である。判定部224は、リソース収容替え制御を行うためのカード制御情報をカード制御部226に通知してから一定期間(電源オフガード時間:t2×m1)経過したタイミングで、図7に示す判定2の処理フローを開始する。
【0045】
判定部224は、予閉塞状態のベースバンドカードが存在しているか否かを確認する(S202)。予閉塞状態のベースバンドカードが存在している場合(S202;YES)、判定部224は、予閉塞状態のベースバンドカードに対するカード制御情報をカード制御部226に通知する。このカード制御情報は、ベースバンドカードに閉塞解除(予閉塞状態から稼動状態へ遷移すること)を指示する情報である。閉塞解除を指示されたベースバンドカードは、稼動状態に遷移する。カード制御部226は、ベースバンド処理部206に対し、予閉塞状態のベースバンドカードを稼動状態にすることを指示する。よって、電源オフガード時間内に収容替えが完了しなかったベースバンドカードは、稼動状態に遷移する。
【0046】
図5の場合、判定部224がリソース収容替え制御を行うためのカード制御情報をカード制御部226に通知してから電源オフカード時間経過後、ベースバンドカード#6は予閉塞状態である。このため、ベースバンドカード#6は稼動状態に遷移する。
【0047】
図7に戻って、判定部224は、電源オフガード時間内の受付不可発生率がすべて所定値(例えば、N%)以下であるか否かを確認する(S206)。電源オフガード時間内の受付不可発生率がすべて所定値以下である場合(S206;YES)、判定部224は、閉塞状態のベースバンドカードが存在するか否かを確認する(S208)。閉塞状態のベースバンドカードが存在する場合(S208;YES)、判定部224は、閉塞状態のベースバンドカードに対するカード制御情報をカード制御部226に通知し(S210)、判定2の処理は終了する。このカード制御情報は、ベースバンドカードに電源オフを指示する情報である。カード制御部226は、ベースバンド処理部206及びスイッチ232に対し閉塞状態のベースバンドカードを電源オフ状態にすることを指示する。スイッチ232は、閉塞状態のベースバンドカードに対する一次電源230による電力の供給を停止する。閉塞状態のベースバンドカードが存在しない場合(S208;NO)、判定2の処理は終了する。
【0048】
電源オフガード時間内の受付不可発生率が、少なくとも1回、所定値を超えている場合(S206;NO)、判定部224は、閉塞状態のベースバンドカードが存在するか否かを確認する(S212)。この場合(S206;NO)、閉塞状態のベースバンドカードを稼動状態にすることで、受付不可発生率を下げることができる。閉塞状態のベースバンドカードが存在する場合(S212;YES)、判定部224は、閉塞状態のベースバンドカードに対するカード制御情報をカード制御部226に通知し(S214)、判定2の処理は終了する。このカード制御情報は、ベースバンドカードに閉塞解除を指示する情報である。カード制御部226は、ベースバンド処理部206に対し閉塞状態のベースバンドカードを稼動状態にすることを指示する。閉塞解除を指示されたベースバンドカードは、稼動状態に遷移する。閉塞状態のベースバンドカードが存在しない場合(S212;NO)、判定2の処理は終了する。
【0049】
図8は、判定部が行う判定3の処理フローの例を示す図である。無線基地局200が運用状態に入ると、判定部224は、図8に示す判定3の処理フローを実行する。判定部224は、一定期間(電源オンガード時間:t2×m2)の受付不可発生率が所定値(例えば、N%)を超える場合、電源オフ状態のベースバンドカードを稼動状態にする。
【0050】
判定部224は、受付不可発生率を、周期t2毎に、呼処理部208から取得する(S302)。判定部224は、呼処理部208から受付不可発生率を取得すると、取得した受付不可発生率が所定値(例えば、N%)以下であるか否かを確認する(S304)。
【0051】
取得した受付不可発生率が所定値以下である場合(S304;YES)、判定部224は、変数mに、0を代入する(S306)。取得した受付不可発生率が所定値より大きい場合(S304;NO)、判定部224は、変数mに、m+1を代入する(S308)。
【0052】
判定部224は、変数mが所定値m2と等しいか否かを確認する(S310)。変数mが所定値m2と等しくない場合(S310;NO)、処理がステップS302に戻る。変数mが所定値m2と等しい場合(S310;YES)、判定部224は、電源オフ状態のベースバンドカードが存在するか否かを確認する(S312)。判定部224は、ベースバンド処理部206からカード状態を取得することにより、電源オフ状態のベースバンドカードが存在するか否かを確認できる。電源オフ状態のベースバンドカードが存在する場合(S312;YES)、判定部224は、電源オフ状態のベースバンドカードに対するカード制御情報をカード制御部226に通知する(S314)。このカード制御情報は、ベースバンドカードに電源オン(稼動状態にすること)を指示する情報である。カード制御部226は、ベースバンド処理部206及びスイッチ232に対し、電源オフ状態のベースバンドカードを稼動状態にすることを指示する。スイッチ232は、電源オフ状態の
ベースバンドカードに一次電源230による電力を供給する。電源オンを指示されたベースバンドカードは、稼動状態に遷移する。ステップS314の処理の後、判定部224は、変数mに、0を代入し(S316)、処理がステップS302に戻る。電源オフ状態のベースバンドカードが存在しない場合(S312;NO)、同様に、判定部224は、変数mに、0を代入し(S316)、処理がステップS302に戻る。
【0053】
〈動作例の作用効果〉
無線基地局200は、ベースバンドカードのリソース使用量を定期的に測定する。無線基地局200は、測定されたリソース使用量に基づいて、リソース収容替え制御を行うベースバンドカードを選択する。無線基地局200は、選択されたベースバンドカードについて、1枚ずつ、リソース収容替え制御を行う。無線基地局200によると、ベースバンドカードのリソース使用量に応じて、リソース替え制御を行うことで、稼動状態のベースバンドカードの数が適切に変更される。
【0054】
無線基地局200は、リソース収容替え制御開始から所定時間(電源オフガード時間)経過後に予閉塞状態のベースバンドカードが存在する場合、当該ベースバンドカードを予閉塞状態から稼動状態に遷移させる。無線基地局200によれば、リソース収容替え制御を行う期間を、所定期間(電源オフガード時間)に制限することができる。
【0055】
無線基地局200は、呼処理の受付不可発生率を監視する。無線基地局200は、リソース収容替え制御中に受付不可発生率が所定値を超えた場合、閉塞状態のベースバンドカードを稼動状態にする。閉塞状態のベースバンドカードを稼動状態にすることで、受付不可発生率を低下させることができる。
【0056】
無線基地局200は、受付不可発生率が、所定時間、所定の値を超えた場合、電力供給が停止されているベースバンドカードに電源供給を行う。電力供給が停止されているベースバンドカードに電源供給を行うことで、稼動状態のベースバンドカードが増加し、受付不可発生率を低下させることができる。
【0057】
無線基地局200によれば、運用中の呼処理動作への影響を抑えつつ、消費電力を削減することができる。
【0058】
(変形例)
変形例として、セルフリーのリソースを収容するサービス(例えば、既存サービス)と、特定セル括り付けのリソースを収容するサービス(例えば、HSサービス)とに対応したベースバンドカードが存在する場合を示す。この場合、図5のタイムチャートにおいて、リソース測定部222でのリソース使用量の算出方法、通知方法および判定部224での判定1の処理フローが、上記の動作例と異なる。この変形例は、上記の構成例、動作例との共通点を有する。従って、ここでは主として相違点について説明し、共通点については、説明を省略する。
【0059】
図9は、ベースバンドカードの構成およびリソース使用量の例を示す図である。
【0060】
ベースバンド部206は、ベースバンドカード群1のベースバンドカードがX1枚、ベースバンドカード群2のベースバンドカードがX2枚で、合計(X1+X2)枚のベースバンドカードを、含む。ベースバンドカード群1のベースバンドカードは、セルフリーのリソースを収容し、特定セル括り付けのリソースを収容しない。ベースバンドカード群2のベースバンドカードは、特定セル括り付けのリソースを収容する。ベースバンドカード群2のベースバンドカードは、セルフリーのリソースを収容することも可能である。特定セル括り付けのリソースは、他のベースバンドカードに収容替えすることはできない。セ
ルフリーのリソースは、通常、ベースバンドカード群1のベースバンドカードに収容される。
【0061】
リソース測定部222が周期t1で収集する各ベースバンドカードのリソース使用量は、ベースバンドカード群1のリソース(セルフリーのリソース)とベースバンドカード群2のリソース(特定セル括り付けのリソース)とを独立に収集される。判定部224に通知する全リソース使用量(平均リソース使用量、n回目にサンプリングした直近のリソース使用量)も、独立に算出して判定部224に通知される。
【0062】
特定セル括り付けのリソースを収容するベースバンドカード群2のベースバンドカードは、HSサービスを提供するために使用されるベースバンドカードである。特定セル括り付けのリソースは、他のベースバンドカードに収容替えすることはできないため、ベースバンドカード群2のX2枚のベースバンドカードで稼働する場合が無線基地局200の最小稼働状態となる。そこで、判定部224は、ベースバンドカード群1のベースバンドカードで収容するセルフリーのリソースをすべてベースバンドカード群2のX2枚のベースバンドカードに収容替えした時に目標平均使用率以下を満足できるか否かを判定する。また、判定部224は、セルフリーのリソースを収容替えした場合に特定セル括り付けの使用可能リソース量が減少することを考慮する。よって、判定部224は、ベースバンドカード2のX2枚の各カードにおけるリソース使用量がすべて許容閾値Q以下であるか否かも判定する。
【0063】
図10は、判定部が行う判定11の処理フローの例を示す図である。判定部224は、リソース測定部222からリソース使用量が通知されるタイミングで、図10に示す判定11の処理フローを開始する。図10に示す判定11は、上記の動作例における図5の判定1の代わりに実行される。
【0064】
無線基地局200が再開され運用状態に入ると、リソース測定部222は、リソース管理部209からベースバンドカード群1のベースバンドカードのリソース使用量をサンプリング周期t1毎に収集する。リソース測定部222は、ベースバンドカード群1で使用している全リソース使用量を算出する。サンプリング数が所定のn回に達すると、リソース測定部222は、ベースバンドカード群1で使用している全リソース使用量、および、n回目にサンプリングした各ベースバンドカードのリソース使用量を判定部224に通知する。ベースバンドカード群1の全リソース使用量は、全ベースバンドカードの平均リソース使用量R1ave、全ベースバンドカードのn回目にサンプリングしたリソース使用量(直近のリソース使用量)R1nowを含む。
【0065】
また、リソース測定部222はリソース管理部209からベースバンドカード群2のベースバンドカードのリソース使用量をサンプリング周期t1毎に収集し、ベースバンドカード群2で使用している全リソース使用量を算出する。サンプリング数が所定のn回に達すると、リソース測定部222は、ベースバンドカード群2で使用している全リソース使用量、および、n回目にサンプリングした各ベースバンドカードのリソース使用量を判定部224に通知する。ベースバンドカード群2の全リソース使用量は、全ベースバンドカードの平均リソース使用量R2ave、全ベースバンドカードのn回目にサンプリングしたリソース使用量(直近のリソース使用量)R2nowを含む。
【0066】
判定部224は、リソース測定部222からベースバンドカード群1の平均リソース使用量R1ave、及び、直近のリソース使用量R1nowを取得する。また、判定部224は、リソース測定部からベースバンドカード群2の平均リソース使用量R2ave、及び、直近のリソース使用量R2nowを取得する。判定部224は、R1ave+R2aveと、R1now+R2nowとを比較する(S1102)。
【0067】
R1ave+R2aveがR1now+R2now以上である場合(S1102;YES)、判定部224は、変数RにR1ave+R2aveを代入する(S1104)。また、R1ave+R2aveがR1now+R2now未満である場合(S1102;NO)、判定部224は、変数RにR1now+R2nowを代入する(S1106)。変数Rは、平均リソース使用量、及び、直近のリソース使用量のうち、大きい方である。
【0068】
判定部224は、次の式を満たすか否かを判定する(S1108)。
【0069】
【数2】

【0070】
ここで、P2は、ベースバンドカード群2のベースバンドカードの目標平均使用率である。r2は、ベースバンドカード群2のベースバンドカード1枚当たりの収容可能リソースである。この式の左辺は、ベースバンドカード群2のベースバンドカードで無線基地局200が運用されるときの目標平均使用量を示す。この目標平均使用量は、無線基地局200が、ベースバンドカード群1のベースバンドカードを使用せず、ベースバンドカード群2のベースバンドカードで安定運用できるリソース使用量である。
【0071】
上記の式を満たす場合(S1108;YES)、判定部224は、ベースバンドカード群2の各ベースバンドカードの直近のリソース使用量がすべて許容閾値Q以下であるか否かを判定する(S1110)。
【0072】
ベースバンドカード群2の各ベースバンドカードの直近のリソース使用量がすべて許容閾値Q以下である場合(S1110;YES)、判定部224は、ベースバンドカード群1のすべてのベースバンドカードに対するカード制御情報をカード制御部226に通知する(S1112)。このカード制御情報は、ベースバンドカード群1のすべてのベースバンドカードに対するリソース収容替え制御を指示する情報を含む。カード制御部226は、判定部224から通知されるカード制御情報に基づいてベースバンドカード群1のベースバンドカードのリソース収容替え制御を行う。ベースバンドカード群1のベースバンドカードに収容されるリソースは、ベースバンドカード群2のベースバンドカードに収容される。
【0073】
上記の式を満たさない場合(S1108)、ベースバンドカード群1のベースバンドカードに対して、図6の判定1を実施する(S1114)。また、ベースバンドカード群2のベースバンドカードの直近のリソース使用量のうち少なくとも1つが許容閾値Qより大きい場合(S1110;NO)、ベースバンドカード群1のベースバンドカードに対して、図6の判定1を実施する(S1114)。
【0074】
〈変形例の作用効果〉
ベースバンドカード群1及びベースバンドカード群2のベースバンドカードを含む無線基地局200は、それぞれのリソース使用量を測定する。無線基地局200は、測定されたリソース使用量に基づいて、セルフリーのリソースを収容するベースバンドカード群1のベースバンドカードから、リソース収容替え制御を行うベースバンドカードを選択する。無線基地局200は、ベースバンドカード群2のベースバンドカードのリソース使用量が所定値以下である場合、ベースバンドカード群1のベースバンドカードに収容されるリソースをベースバンドカード群2のベースバンドカードに収容できる。ベースバンドカー
ド群1のベースバンドカードのリソースをベースバンドカード群2のベースバンドカードに収容することで、ベースバンドカード群1のベースバンドカードに対する電力供給を停止することができ、消費電力を削減することができる。
【0075】
無線基地局200によれば、運用中の呼処理動作への影響を抑えつつ、消費電力を削減することができる。
【符号の説明】
【0076】
100 基地局制御局
200 無線基地局
202 回線処理部
204 監視制御部
206 ベースバンド処理部
208 呼処理部
209 リソース管理部
210 無線部
222 リソース測定部
224 判定部
226 カード制御部
230 一次電源
232 スイッチ
250 アンテナ
300 移動局
400 保守端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のベースバンドカードを有する無線基地局装置であって、
前記複数のベースバンドカードのそれぞれのリソース使用量を測定する測定部と、
前記測定部が測定したリソース使用量に基づいて、前記複数のベースバンドカードのそれぞれに収容されるリソースのリソース収容替えを行う制御部とを、
備える無線基地局装置。
【請求項2】
前記測定部が測定したリソース使用量に基づいて、前記リソース収容替えを行うベースバンドカードを選択する判定部と、
を更に備え、
前記制御部は、前記判定部が選択したベースバンドカードが収容するリソースの他のベースバンドへのリソース収容替えを行い、前記判定部が選択したベースバンドカードへの電力供給を停止する、
請求項1記載の無線基地局装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記測定部が測定したリソース使用量が小さいベースバンドカードから順に、前記リソース収容替えを行い、
前記リソース収容替え開始から所定時間後に、前記リソース収容替えが完了したベースバンドカードに対する電力供給を停止し、前記リソース収容替えが完了しないベースバンドカードに対する前記リソース収容替えを中止する、
請求項1または2に記載の無線基地局装置。
【請求項4】
前記制御部は、リソース割当要求に対するリソース割当不可の割合である受付不可発生率が、前記リソース収容替え開始後、所定時間内に、所定の値を超えた場合、前記リソース収容替えを中止し、電力供給を停止しない、
請求項1から3のいずれか1つに記載の無線基地局装置。
【請求項5】
前記複数のベースバンドカードは、リソース収容替え可能なリソースを収容可能でありリソース収容替えできないリソースを収容できない第1ベースバンドカード、及び、リソース収容替え可能なリソースとリソース収容替えできないリソースとを収容可能である第2ベースバンドカードを含み、
前記制御部は、前記第1ベースバンドカードのリソース使用量と前記第2ベースバンドカードのリソース使用量との和が第1所定値以下であり、かつ、前記第2ベースバンドカードのリソース使用量が第2所定値以下である場合、すべての前記第1ベースバンドカードに対して、前記リソース収容替えを行い、電力供給を停止する、
請求項1から4のいずれか1つに記載の無線基地局装置。
【請求項6】
前記制御部は、リソース割当要求に対するリソース割当不可の割合である受付不可発生率が、所定時間、所定の値を超えた場合、電力供給が停止されているベースバンドカードに電力供給を行う、
請求項1から5のいずれか1つに記載の無線基地局装置。
【請求項7】
複数のベースバンドカードを有する無線基地局装置において、
前記複数のベースバンドカードのそれぞれのリソース使用量を測定し、
測定されたリソース使用量に基づいて、前記複数のベースバンドカードのそれぞれに収容されるリソースのリソース収容替えを行う、
無線基地局装置制御方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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