無線基地局装置
【課題】高利得で柔軟な指向性制御が可能なアンテナビームを形成する無線基地局装置を提供すること。
【解決手段】無線基地局装置は、複数のアンテナ素子21〜24を備え、複数のアンテナ素子21〜24からそれぞれ信号を受信する複数の無線装置1−k,1−jと、複数の無線装置1−k,1−jの各アンテナ素子21〜24により受信された信号を任意の組み合わせで選択するスイッチプロセス4023と、組み合わせ毎の受信信号をもとにDBF(Digital Beam Forming)を行う複数の信号処理プロセス4021,4022とを具備する。
【解決手段】無線基地局装置は、複数のアンテナ素子21〜24を備え、複数のアンテナ素子21〜24からそれぞれ信号を受信する複数の無線装置1−k,1−jと、複数の無線装置1−k,1−jの各アンテナ素子21〜24により受信された信号を任意の組み合わせで選択するスイッチプロセス4023と、組み合わせ毎の受信信号をもとにDBF(Digital Beam Forming)を行う複数の信号処理プロセス4021,4022とを具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ビーム形成方式(DBF:Digital Beam Forming)を用いて移動局との間で無線通信を行う無線基地局装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の送受信アンテナを用いてデジタル信号処理により指向性パターンを提供する方法としてDBF(Digital Beam Forming)が知られている。このDBF方式を用いることで、妨害を受けたくない方向へ指向性を弱めたり、安定して受信したい端末の方向へ強い指向性を向けたりすることで周波数利用率の向上やエリア拡大などの利点を教授できる。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1には、DBF方式により無線基地局のアンテナの指向性を制御し、不感エリアを低減する基地局アンテナ装置が提案されている。また、特許文献2には、複数のアレイアンテナを統合的に制御する手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−308037号公報
【特許文献2】特開2001−177328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、アレイアンテナを構成する複数のアンテナ素子の間隔は、装置の設置スペース等の制限から、十数センチから1メートル前後の場合が殆どであり、この技術によって得られる指向性や利得にも限界がある。
【0006】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、高利得で柔軟な指向性制御が可能なアンテナビームを形成する無線基地局装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一態様は、複数のアンテナ素子を備え、前記複数のアンテナ素子からそれぞれ信号を受信する複数の無線装置と、前記複数の無線装置の各アンテナ素子により受信された信号を任意の組み合わせで選択する選択手段と、前記組み合わせ毎の受信信号をもとにDBF(Digital Beam Forming)を行う複数の信号処理手段とを具備することを特徴とする無線基地局装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
したがってこの発明によれば、高利得で柔軟な指向性制御が可能なアンテナビームを形成する無線基地局装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る無線基地局装置の全体構成図。
【図2】本発明の第1実施形態に係る無線基地局装置を示すブロック図。
【図3】第1実施形態の指向性パターンを示す図。
【図4】第1実施形態の変形例1を示すブロック図。
【図5】第1実施形態の変形例2を示すブロック図。
【図6】変形例2の指向性パターンを示す図。
【図7】第1実施形態の変形例3を示すブロック図。
【図8】本発明の第2実施形態に係る無線基地局装置を示すブロック図。
【図9】第2実施形態の指向性パターンを示す図。
【図10】第2実施形態に係る無線基地局装置の信号経路の一例を示す図。
【図11】第2実施形態に係る無線基地局装置の信号経路の他の例を示す図。
【図12】本発明の第3実施形態に係る無線基地局装置を示すブロック図。
【図13】第3実施形態に係る無線基地局装置の信号経路の一例を示す図。
【図14】第3実施形態に係る無線基地局装置の信号経路の他の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1に、本発明の一実施形態に係る無線基地局装置の全体構成図を示す。この無線基地局装置は、1つの変復調装置4に複数の無線装置1−nが光ファイバ3などの伝送路を介して接続される。変復調装置4は、インタフェースケーブル6を介して通信ネットワーク5に接続される。無線装置1−nは、複数のアンテナ素子から構成されるアレイアンテナ2−nを備えDBF(Digital Beam Forming)方式により、所望の指向性パターンのビームを形成して端末7との間で無線通信を行う。
【0011】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態は、複数の無線装置が有する各アンテナ素子の受信信号を任意に組み合わせてDBF処理を行うことで、従来方式より高利得で柔軟な指向性制御を実現するものである。
【0012】
図2に、第1実施形態に係る無線基地局装置のブロック図を示す。第1実施形態の無線基地局装置は、1つの変復調装置4Aに2つの無線装置1−k,1−jが接続される。無線装置1−k,1−jは、周波数変換部101と、デジタル/アナログ変換部102と、電気/光変換部103とを備える。また、無線装置1−k,1−jには、4つのアンテナ素子21,22,23,24から構成されるアレイアンテナ2−k,2−jが接続されている。
【0013】
変復調装置4Aは、2つの光/電気変換器401−1,401−2と、演算器402とを備える。演算器402にはDBF処理を行う二組の演算プロセス4021,4022が実装されており、それぞれが4本のアンテナ素子21〜24に対応したDBF演算を行なう。また、演算器402は、スイッチ部4023を備え、アレイアンテナ2−k,2−jのアンテナ素子21〜24を任意の組み合わせで受信信号を選択することができる。変復調装置4Aと無線装置1−k,1−jとの間は、電気/光変換部401−1,401−2及び電気/光変換部103によって光ファイバ3などの伝送路を介して接続される。
【0014】
次に、このように構成された第1実施形態の動作について説明する。図2、図3を用いて端末71が無線装置1−kと通信する場合を説明する。まず、図2に示すとおり、無線装置1−kのアンテナ素子21,22と無線装置1−jのアンテナ素子21,22、及び無線装置1−kのアンテナ素子23,24と無線装置1−jのアンテナ素子23,24がグループ化されている。変復調装置4Aと各アンテナ素子21〜24は、電気/光変換部103、デジタル/アナログ変換部102、周波数変換部101を経て接続されている。
【0015】
周波数変換部101は、アンテナで送受する高い周波数の無線信号を扱いやすい低い周波数である中間周波数に変換する。デジタル/アナログ変換部102は、アナログ信号である中間周波数信号をデジタル信号に変換したり、デジタル信号をアナログ信号である中間周波数信号に変換する。電気/光変換部103,401−1,401−2は、無線装置30と変復調装置4Aを光ファイバで接続するための電気信号と光信号との間の変換を行う。演算器402はDBF処理を行う演算プロセス4021,4022、及びデジタル信号のグループ化を行うスイッチプロセス4023を実行する。
【0016】
ここで、無線装置1−kのアンテナ素子21、22と無線装置1−jのアンテナ素子21、22、及び、無線装置1−kのアンテナ素子23、24と無線装置1−jのアンテナ素子23、24がグループ化されているものとする。スイッチプロセス4023は、グループ化されたアンテナに対応したデジタル信号が同じ演算プロセス4021,4022と入出力できるようにグループ化している。
【0017】
次に、端末71が無線装置1−kと通信する例を説明する。まず演算プロセス4021は、無線装置1−kのアンテナ素子21,22と無線装置1−jのアンテナ素子21,22とから入力されたデジタル信号を演算し、端末71から受信した信号レベルが最も大きくかつ安定した状態になるよう、同時に端末71以外の信号例えば端末72の受信信号レベルは最低となるよう各アンテナ素子21〜24ごとの重み付け係数を求める。
【0018】
このように制御することで、図3に示すように2セルにわたる範囲でのDBFが実現でき、端末71に対して最適な受信指向性が得られる。すなわち、指向性の強い方向から受信する信号は強められ、逆に指向性の弱い方向の信号は弱められるので、端末71から送信された信号は、無線装置1−k、1−jのアンテナ素子において高レベルで受信でき、端末72から送信された信号は、逆に受信レベルが低くなるので、端末71は端末72からの混信を避け安定した通信が可能となる。
【0019】
また、端末71へ送信する際は、受信で得られた重み付け係数を基に各アンテナ素子21〜24へ出力する信号を演算して送出する。このようにすることで、送信の際にも最適な指向性が得られる。
【0020】
なお、このとき例えば無線装置1−kのアンテナ素子21と無線装置1−jのアンテナ素子21との間の距離は、無線装置1−kのアンテナ素子21と無線装置1−kのアンテナ素子22との間の距離に比較して桁違いに大きく設計できるため、従来方式のDBFよりも高い利得が得られる。
【0021】
すなわち、第1実施形態によれば、従来方式と比較してアンテナ間隔を飛躍的に大きくすることが可能となり、その結果、従来のDBFよりも高い利得を得られる無線基地局装置を実現することができる。また、従来はDBFのアンテナ素子の組み合わせが狭い範囲で限定的であったものを、第1実施形態はDBFのアンテナ素子の組み合わせに自由度と柔軟性とを合わせて提供することが可能となる。
【0022】
(変形例1)
図4は、第1実施形態の変形例1を示すブロック図である。変形例1の無線基地局装置と上記図2の構成との違いは変復調装置4Bにある。
【0023】
変復調装置4Bは、電気/光変換器401−1,401−2と、2つの演算器402−1,402−2と、スイッチ403とを備える。各演算器402−1,402−2は、それぞれ1つの演算プロセス4021,4022を実装している。そのため、DBFを構成するアンテナ素子21〜24に対応するデジタル信号のグループ化は、演算器402−1,402−2に前置されたスイッチ403によって行われる。
【0024】
(変形例2)
図5は、第1実施形態の変形例2を示すブロック図である。上記図2では、2つの無線装置1−k,1−jにより、8本のアンテナ素子間でDBFを実現する手法を示した。図5は、4つの無線装置1−k,1−j,1−l,1−mを備え、16本のアンテナ素子間でDBFを実現する方法を示す。変復調装置4C−1、4C−2に配置される演算器402−1,402−2に前置するようにスイッチ403を配置する。これまで説明したようにDBFを構成するグループの形成をスイッチ43が行う。このように構成することで、図6に示すような4セルにわたる広範囲でのDBFが実現できる。上記図3の場合と比較して、さらにDBFのアンテナ素子の組み合わせに自由度と柔軟性とを合わせて提供することが可能となる。
【0025】
(変形例3)
図7は、第1実施形態の変形例3を示すブロック図である。上記図2では、変復調装置4と無線装置1−nとを分離した構成を示したが、図7の無線基地局装置11は、無線装置1Dを一体に構成し、無線装置1Dとアレイアンテナ2−k,2−jとの間に相当の距離をおいた例である。変復調装置4Dにおいて演算器402−1,402−2とそれに前置したスイッチ403によりDBFを提供する構成は、図4に示した変形例1と同じである。図示しないが、上記図2のように、演算器のプロセスとしてスイッチ手段を実装するようにしてもよい。このように変復調装置と無線装置とを一体化して構成した場合でも、DBFを構成するアンテナ素子が相当距離を離れて設置されれば上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0026】
(その他の変形例)
また、上記第1実施形態及び各変形例において、スイッチプロセス4023、もしくは、スイッチ403で任意の時刻に任意のグループを構成できるようにすることで、DBFの再構築を自由に行うことが可能となり、端末の移動や周波数の再利用などに柔軟に対応できる利点がある。
【0027】
(第2実施形態)
無線通信システムに供される装置は高い信頼性が必要である。装置の信頼性を高める方法の1つとして、重要な機能を冗長化する方法がある。そこで、本発明の第2実施形態は、上記第1実施形態で実現される高利得なDBFを備え、さらに変復調装置の一部の機能を冗長化するものである。
なお、第2実施形態の無線基地局装置の全体構成は、上記図1と同様であるため、図1を用いて以下の説明を行う。また、無線装置1−k,1−jは、上記第1実施形態の図2で示した構成と同一に構成される。
【0028】
図8に、第2実施形態に係る変復調装置のブロック図を示す。変復調装置は、第3スイッチ45、無線アクセス制御部42−1,42−2、第2スイッチ44、変復調部41−1,41−2,第1スイッチ43、及びインタフェース部46−1,46−2を備える。無線アクセス制御部42−1,42−2は、データの伝送制御を行うアクセス制御部421を備える。無線基地局装置は、無線アクセス制御部42を冗長化することで信頼性を向上させている。冗長化された無線アクセス制御部42−1,42−2は、第3スイッチ45及び第2スイッチ44によって経路が切り替えられる。第1スイッチ43は、DBFを形成するアンテナ素子の受信信号をグループ化して信号処理部413へ導く。
【0029】
変復調部41−1,41−2は、振り分けスイッチ412と、信号処理部413とを備える。インタフェース部46−1,46−2は、電気/光変換部461と、振り分けスイッチ462とを備える。変復調部41−1の振り分けスイッチ412は、第2のスイッチ44および第1のスイッチ43と接続され、無線アクセス制御部42、インタフェース部46、および信号処理部413との間を相互に信号を接続するもので、インタフェース部の振り分けスイッチ462は、第1スイッチ43および電気/光変換部461と接続され、変復調部41とインタフェース部46との間を相互に信号を接続する振り分けスイッチである。第2スイッチ44から入力された変調前の信号は、振り分けスイッチ412により信号処理部413へ送られる。また、信号処理部413で変調された変調後の信号は、振り分けスイッチ412により第1スイッチ43へ送られる。
【0030】
DBFはデジタル信号処理によって実現されるので、受信の場合を例にすると、アレイアンテナ2−k,2−jで受信した無線信号は、無線装置1−k,1−jの周波数変換部101でデジタル変換しやすい低い周波数(中間周波数)に変換された後、デジタル/アナログ変換部12にてアナログ信号からデジタル信号に変換される。デジタル化された信号は、電気/光変換部103、光ファイバ3を経て変復調装置4のインタフェース部46へ送られて電気/光変換部461、振り分けスイッチ462、第1スイッチ43、及び変復調部41−1,41−2の振り分けスイッチ412を経由して信号処理部413に導かれてアンテナ間のデータを演算して、例えば上記図9に示すような指向性パターンが得られる。
【0031】
指向性の強い方向から受信する信号は強められ、逆に指向性の弱い方向の信号は弱められるので、端末71の送信した信号は無線装置1−k、1−jのアンテナ端子において高レベルで受信でき、端末72の送信した信号は、逆に受信レベルが低くなるので、端末71は端末72の混信を避け安定した通信ができる。
【0032】
一方、送信の際には、信号処理部413はアンテナより所望の指向性パターンで信号が送信できるようアンテナごとに演算処理されたデジタルを送出し、受信とは逆の経路をたどり無線装置1−k,1−jのデジタル/アナログ変換部102にて中間周波数に変換し、周波数変換部101で所定の周波数へ変換した後、アレイアンテナ2−k,2−jより信号は送出される。
【0033】
受信同様に指向性の強い方向へは高いレベルで信号が送出され、指向性の弱い方向へは低いレベルで信号が送出される。
【0034】
このようにして、妨害を受けたくない方向へ指向性を弱めたり、安定して送受信したい端末の方向へ強い指向性を向けたりすることで周波数利用率の向上やエリア拡大などの利点を享受できる。
【0035】
ここで、第1スイッチ43は、DBFを形成するアンテナの信号をグループ化して信号処理プロセスへ導くためのもので、信号処理413に前置することで変復調装置に入出力される複数のアンテナ素子のデータを任意のグループに組み合わせることができ、従来と比較してDBF形成するアンテナのグループを柔軟に変更できるように構成することができる。
【0036】
次に、冗長時の信号の経路について説明する。
図10は、無線基地局装置における信号の経路を説明するものである。図10は装置の内部に不具合が一切無い正常時の送信動作における通信経路を示す。
【0037】
通信ネットワーク5から入力される変調前の信号は、第3スイッチ45、無線アクセス制御部42−1、第2スイッチ44を経由して変復調部41−1に導かれて信号処理部413にて変調され同時にDBFの演算処理が行われる。
【0038】
変調後の信号は、第1スイッチ43にてDBFの組み合わせに従いスイッチされインタフェース部46−1,46−2で電気/光信号変換され、光ファイバ3を経て無線装置1−kないし1−jへ導かれD/A変換、周波数変換が行われ所望のアンテナ素子(2−k−21/22、2−j−23/24)より出力される。
【0039】
続いて、装置の内部に故障が起きた場合の送信動作における通信経路について説明する。図11は、無線アクセス制御部42−1が故障した場合の送信動作における通信経路を示している。
【0040】
第3スイッチ45及び第2スイッチ44を操作して、故障した無線アクセス制御部42−1の代わりに無線アクセス制御部42−2を選択することで通信経路を確保している。
【0041】
通信ネットワーク5から入力される変調前の信号は、第3スイッチ45、無線アクセス制御部42−2、第2スイッチ44を経由して変復調部41−1に導かれて信号処理部413にて変調され同時にDBFの演算処理が行われる。以降は図10の場合と同様である。
【0042】
以上説明してきたように、上記第2の実施形態によれば、無線基地局装置において高機能なDBFと冗長性の両方を実現することが可能となる。
【0043】
(第3実施形態)
上記第2の実施形態によれば、高機能なDBFと冗長性の両方を備えた無線基地局装置を提供することが可能となる。その反面、スイッチ手段を多用するため、回路が複雑になる。また、回路が複雑であると、小型化や省電力化を阻害する。第3実施形態では、上記第2の実施形態の無線基地局装置の構成を一部簡略化する手法を提案する。
【0044】
すなわち、本発明の第3実施形態は、上記第2実施形態で示した図8の構成における振り分けスイッチ462、及び第1スイッチ43に相当するスイッチを省略することで、回路構成を簡易にし、装置の小型化及び省電力化を実現するものである。
【0045】
図12は、本発明の第3実施形態である変復調装置4のブロック図である。この変復調装置は、第3スイッチ45、無線アクセス制御部42−1,42−2、第2スイッチ44、および変復調部41−1,41−2を備える。無線アクセス制御部42−1,42−2は、データの伝送制御を行うアクセス制御部421を備える。冗長化された無線アクセス制御部42−1,42−2は、第3スイッチ45及び第2スイッチ44によって経路が切り替えられる。変復調部41−1,41−2は、電気/光変換部411と、振り分けスイッチ412と、信号処理部413とを備える。第2スイッチ44から入力された変調前の信号は、振り分けスイッチ412により信号処理部413へ送られる。また、信号処理部413で変調された変調後の信号は、振り分けスイッチ412により電気/光変換部411又は第2スイッチ44へ送られる。
【0046】
図13は、図12の変復調装置における信号の経路を説明するものである。図13は、変復調装置の内部に不具合が一切無い正常時の送信動作における通信経路を示す。
【0047】
通信ネットワーク5から入力された変調前の信号は、第3スイッチ45、無線アクセス制御部42−1、及び第2スイッチ44を経由して変復調部41−1に導かれて振り分けスイッチ412を経て信号処理413にて変調され同時にDBFの演算処理が行われる。
【0048】
変調後の信号は、DBFの組み合わせに従い、振り分けスイッチ412は無線装置1−kへ出力する信号は電気/光変換411側へスイッチし、無線装置1−jへ出力する信号は第2スイッチ44側へスイッチする。それぞれの変調後の信号は、無線装置1−k及び無線装置1−jへ導かれD/A変換、周波数変換が行われ所望のアンテナ素子(2−k−21/22、2−j−23/24)より送信される。
【0049】
続いて、変復調装置の内部に故障が起きた場合の送信動作における通信経路について説明する。図14は、無線アクセス制御部42−1が故障した場合の送信動作における通信経路を示している。
【0050】
第3スイッチ45及び第2スイッチ44を操作して故障した無線アクセス制御部42−1の代わりに無線アクセス制御部42−2を選択することで通信経路を確保している。
【0051】
通信ネットワーク5から入力される変調前の信号は、第3スイッチ45、無線アクセス制御部42−2、及び第2スイッチ44を経由して変復調部41−1に導かれて振り分けスイッチ412を経て信号処理413にて変調され同時にDBFの演算処理が行われる。以降は上記図13の場合と同様である。
【0052】
以上説明したように、上記第3の実施形態である図12の構成は、上記第2の実施形態である図8の構成における振り分けスイッチ462、及び第1スイッチ43に相当するスイッチが独立して存在しない。その代わりに、振り分けスイッチ412、及び第2スイッチ44間の通信帯域は、変調前信号と変調後信号が同時に通過できるだけの帯域を確保するように構成している。
【0053】
このように構成することで、振り分けスイッチ412および第2スイッチ44を経由して変調後信号9を通過させることができ、上記第2実施形態における振り分けスイッチ462、および第1スイッチ43に相当するスイッチを省略することが可能である。したがって、上記第3の実施形態によれば、上記第2実施形態と比較して少ないスイッチ構成で高度なDBFと冗長性の両者を備えた無線通信基地局を実現することができる。
【0054】
なお、この発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1−n…無線装置、2−n…アレイアンテナ、3…光ファイバ、4…変復調装置、5…通信ネットワーク、6…インタフェースケーブル、7…端末、21〜24…アンテナ素子、4A…第1実施形態の変復調装置、101…周波数変換部、102…デジタル/アナログ変換部、103…電気/光変換部、401−1,401−2…電気/光変換部、402…演算器、4021,4022…演算プロセス、4023…スイッチプロセス、4B…変形例1の変復調装置、403…スイッチ、402−1,402−2…演算器、4C−1,4C−2…変形例2の変復調装置、4D…変形例3の変復調装置、43…第1スイッチ、44…第2スイッチ、45…第3スイッチ、42−1,42−2…無線アクセス制御部、421…アクセス制御部、41−1,41−2…変復調部、46−1,46−2…インタフェース部、461…電気/光変換部、462…振り分けスイッチ、411…電気/光変換部、412…振り分けスイッチ、413…信号処理部。
【技術分野】
【0001】
この発明は、ビーム形成方式(DBF:Digital Beam Forming)を用いて移動局との間で無線通信を行う無線基地局装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の送受信アンテナを用いてデジタル信号処理により指向性パターンを提供する方法としてDBF(Digital Beam Forming)が知られている。このDBF方式を用いることで、妨害を受けたくない方向へ指向性を弱めたり、安定して受信したい端末の方向へ強い指向性を向けたりすることで周波数利用率の向上やエリア拡大などの利点を教授できる。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1には、DBF方式により無線基地局のアンテナの指向性を制御し、不感エリアを低減する基地局アンテナ装置が提案されている。また、特許文献2には、複数のアレイアンテナを統合的に制御する手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−308037号公報
【特許文献2】特開2001−177328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、アレイアンテナを構成する複数のアンテナ素子の間隔は、装置の設置スペース等の制限から、十数センチから1メートル前後の場合が殆どであり、この技術によって得られる指向性や利得にも限界がある。
【0006】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、高利得で柔軟な指向性制御が可能なアンテナビームを形成する無線基地局装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一態様は、複数のアンテナ素子を備え、前記複数のアンテナ素子からそれぞれ信号を受信する複数の無線装置と、前記複数の無線装置の各アンテナ素子により受信された信号を任意の組み合わせで選択する選択手段と、前記組み合わせ毎の受信信号をもとにDBF(Digital Beam Forming)を行う複数の信号処理手段とを具備することを特徴とする無線基地局装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
したがってこの発明によれば、高利得で柔軟な指向性制御が可能なアンテナビームを形成する無線基地局装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る無線基地局装置の全体構成図。
【図2】本発明の第1実施形態に係る無線基地局装置を示すブロック図。
【図3】第1実施形態の指向性パターンを示す図。
【図4】第1実施形態の変形例1を示すブロック図。
【図5】第1実施形態の変形例2を示すブロック図。
【図6】変形例2の指向性パターンを示す図。
【図7】第1実施形態の変形例3を示すブロック図。
【図8】本発明の第2実施形態に係る無線基地局装置を示すブロック図。
【図9】第2実施形態の指向性パターンを示す図。
【図10】第2実施形態に係る無線基地局装置の信号経路の一例を示す図。
【図11】第2実施形態に係る無線基地局装置の信号経路の他の例を示す図。
【図12】本発明の第3実施形態に係る無線基地局装置を示すブロック図。
【図13】第3実施形態に係る無線基地局装置の信号経路の一例を示す図。
【図14】第3実施形態に係る無線基地局装置の信号経路の他の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1に、本発明の一実施形態に係る無線基地局装置の全体構成図を示す。この無線基地局装置は、1つの変復調装置4に複数の無線装置1−nが光ファイバ3などの伝送路を介して接続される。変復調装置4は、インタフェースケーブル6を介して通信ネットワーク5に接続される。無線装置1−nは、複数のアンテナ素子から構成されるアレイアンテナ2−nを備えDBF(Digital Beam Forming)方式により、所望の指向性パターンのビームを形成して端末7との間で無線通信を行う。
【0011】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態は、複数の無線装置が有する各アンテナ素子の受信信号を任意に組み合わせてDBF処理を行うことで、従来方式より高利得で柔軟な指向性制御を実現するものである。
【0012】
図2に、第1実施形態に係る無線基地局装置のブロック図を示す。第1実施形態の無線基地局装置は、1つの変復調装置4Aに2つの無線装置1−k,1−jが接続される。無線装置1−k,1−jは、周波数変換部101と、デジタル/アナログ変換部102と、電気/光変換部103とを備える。また、無線装置1−k,1−jには、4つのアンテナ素子21,22,23,24から構成されるアレイアンテナ2−k,2−jが接続されている。
【0013】
変復調装置4Aは、2つの光/電気変換器401−1,401−2と、演算器402とを備える。演算器402にはDBF処理を行う二組の演算プロセス4021,4022が実装されており、それぞれが4本のアンテナ素子21〜24に対応したDBF演算を行なう。また、演算器402は、スイッチ部4023を備え、アレイアンテナ2−k,2−jのアンテナ素子21〜24を任意の組み合わせで受信信号を選択することができる。変復調装置4Aと無線装置1−k,1−jとの間は、電気/光変換部401−1,401−2及び電気/光変換部103によって光ファイバ3などの伝送路を介して接続される。
【0014】
次に、このように構成された第1実施形態の動作について説明する。図2、図3を用いて端末71が無線装置1−kと通信する場合を説明する。まず、図2に示すとおり、無線装置1−kのアンテナ素子21,22と無線装置1−jのアンテナ素子21,22、及び無線装置1−kのアンテナ素子23,24と無線装置1−jのアンテナ素子23,24がグループ化されている。変復調装置4Aと各アンテナ素子21〜24は、電気/光変換部103、デジタル/アナログ変換部102、周波数変換部101を経て接続されている。
【0015】
周波数変換部101は、アンテナで送受する高い周波数の無線信号を扱いやすい低い周波数である中間周波数に変換する。デジタル/アナログ変換部102は、アナログ信号である中間周波数信号をデジタル信号に変換したり、デジタル信号をアナログ信号である中間周波数信号に変換する。電気/光変換部103,401−1,401−2は、無線装置30と変復調装置4Aを光ファイバで接続するための電気信号と光信号との間の変換を行う。演算器402はDBF処理を行う演算プロセス4021,4022、及びデジタル信号のグループ化を行うスイッチプロセス4023を実行する。
【0016】
ここで、無線装置1−kのアンテナ素子21、22と無線装置1−jのアンテナ素子21、22、及び、無線装置1−kのアンテナ素子23、24と無線装置1−jのアンテナ素子23、24がグループ化されているものとする。スイッチプロセス4023は、グループ化されたアンテナに対応したデジタル信号が同じ演算プロセス4021,4022と入出力できるようにグループ化している。
【0017】
次に、端末71が無線装置1−kと通信する例を説明する。まず演算プロセス4021は、無線装置1−kのアンテナ素子21,22と無線装置1−jのアンテナ素子21,22とから入力されたデジタル信号を演算し、端末71から受信した信号レベルが最も大きくかつ安定した状態になるよう、同時に端末71以外の信号例えば端末72の受信信号レベルは最低となるよう各アンテナ素子21〜24ごとの重み付け係数を求める。
【0018】
このように制御することで、図3に示すように2セルにわたる範囲でのDBFが実現でき、端末71に対して最適な受信指向性が得られる。すなわち、指向性の強い方向から受信する信号は強められ、逆に指向性の弱い方向の信号は弱められるので、端末71から送信された信号は、無線装置1−k、1−jのアンテナ素子において高レベルで受信でき、端末72から送信された信号は、逆に受信レベルが低くなるので、端末71は端末72からの混信を避け安定した通信が可能となる。
【0019】
また、端末71へ送信する際は、受信で得られた重み付け係数を基に各アンテナ素子21〜24へ出力する信号を演算して送出する。このようにすることで、送信の際にも最適な指向性が得られる。
【0020】
なお、このとき例えば無線装置1−kのアンテナ素子21と無線装置1−jのアンテナ素子21との間の距離は、無線装置1−kのアンテナ素子21と無線装置1−kのアンテナ素子22との間の距離に比較して桁違いに大きく設計できるため、従来方式のDBFよりも高い利得が得られる。
【0021】
すなわち、第1実施形態によれば、従来方式と比較してアンテナ間隔を飛躍的に大きくすることが可能となり、その結果、従来のDBFよりも高い利得を得られる無線基地局装置を実現することができる。また、従来はDBFのアンテナ素子の組み合わせが狭い範囲で限定的であったものを、第1実施形態はDBFのアンテナ素子の組み合わせに自由度と柔軟性とを合わせて提供することが可能となる。
【0022】
(変形例1)
図4は、第1実施形態の変形例1を示すブロック図である。変形例1の無線基地局装置と上記図2の構成との違いは変復調装置4Bにある。
【0023】
変復調装置4Bは、電気/光変換器401−1,401−2と、2つの演算器402−1,402−2と、スイッチ403とを備える。各演算器402−1,402−2は、それぞれ1つの演算プロセス4021,4022を実装している。そのため、DBFを構成するアンテナ素子21〜24に対応するデジタル信号のグループ化は、演算器402−1,402−2に前置されたスイッチ403によって行われる。
【0024】
(変形例2)
図5は、第1実施形態の変形例2を示すブロック図である。上記図2では、2つの無線装置1−k,1−jにより、8本のアンテナ素子間でDBFを実現する手法を示した。図5は、4つの無線装置1−k,1−j,1−l,1−mを備え、16本のアンテナ素子間でDBFを実現する方法を示す。変復調装置4C−1、4C−2に配置される演算器402−1,402−2に前置するようにスイッチ403を配置する。これまで説明したようにDBFを構成するグループの形成をスイッチ43が行う。このように構成することで、図6に示すような4セルにわたる広範囲でのDBFが実現できる。上記図3の場合と比較して、さらにDBFのアンテナ素子の組み合わせに自由度と柔軟性とを合わせて提供することが可能となる。
【0025】
(変形例3)
図7は、第1実施形態の変形例3を示すブロック図である。上記図2では、変復調装置4と無線装置1−nとを分離した構成を示したが、図7の無線基地局装置11は、無線装置1Dを一体に構成し、無線装置1Dとアレイアンテナ2−k,2−jとの間に相当の距離をおいた例である。変復調装置4Dにおいて演算器402−1,402−2とそれに前置したスイッチ403によりDBFを提供する構成は、図4に示した変形例1と同じである。図示しないが、上記図2のように、演算器のプロセスとしてスイッチ手段を実装するようにしてもよい。このように変復調装置と無線装置とを一体化して構成した場合でも、DBFを構成するアンテナ素子が相当距離を離れて設置されれば上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0026】
(その他の変形例)
また、上記第1実施形態及び各変形例において、スイッチプロセス4023、もしくは、スイッチ403で任意の時刻に任意のグループを構成できるようにすることで、DBFの再構築を自由に行うことが可能となり、端末の移動や周波数の再利用などに柔軟に対応できる利点がある。
【0027】
(第2実施形態)
無線通信システムに供される装置は高い信頼性が必要である。装置の信頼性を高める方法の1つとして、重要な機能を冗長化する方法がある。そこで、本発明の第2実施形態は、上記第1実施形態で実現される高利得なDBFを備え、さらに変復調装置の一部の機能を冗長化するものである。
なお、第2実施形態の無線基地局装置の全体構成は、上記図1と同様であるため、図1を用いて以下の説明を行う。また、無線装置1−k,1−jは、上記第1実施形態の図2で示した構成と同一に構成される。
【0028】
図8に、第2実施形態に係る変復調装置のブロック図を示す。変復調装置は、第3スイッチ45、無線アクセス制御部42−1,42−2、第2スイッチ44、変復調部41−1,41−2,第1スイッチ43、及びインタフェース部46−1,46−2を備える。無線アクセス制御部42−1,42−2は、データの伝送制御を行うアクセス制御部421を備える。無線基地局装置は、無線アクセス制御部42を冗長化することで信頼性を向上させている。冗長化された無線アクセス制御部42−1,42−2は、第3スイッチ45及び第2スイッチ44によって経路が切り替えられる。第1スイッチ43は、DBFを形成するアンテナ素子の受信信号をグループ化して信号処理部413へ導く。
【0029】
変復調部41−1,41−2は、振り分けスイッチ412と、信号処理部413とを備える。インタフェース部46−1,46−2は、電気/光変換部461と、振り分けスイッチ462とを備える。変復調部41−1の振り分けスイッチ412は、第2のスイッチ44および第1のスイッチ43と接続され、無線アクセス制御部42、インタフェース部46、および信号処理部413との間を相互に信号を接続するもので、インタフェース部の振り分けスイッチ462は、第1スイッチ43および電気/光変換部461と接続され、変復調部41とインタフェース部46との間を相互に信号を接続する振り分けスイッチである。第2スイッチ44から入力された変調前の信号は、振り分けスイッチ412により信号処理部413へ送られる。また、信号処理部413で変調された変調後の信号は、振り分けスイッチ412により第1スイッチ43へ送られる。
【0030】
DBFはデジタル信号処理によって実現されるので、受信の場合を例にすると、アレイアンテナ2−k,2−jで受信した無線信号は、無線装置1−k,1−jの周波数変換部101でデジタル変換しやすい低い周波数(中間周波数)に変換された後、デジタル/アナログ変換部12にてアナログ信号からデジタル信号に変換される。デジタル化された信号は、電気/光変換部103、光ファイバ3を経て変復調装置4のインタフェース部46へ送られて電気/光変換部461、振り分けスイッチ462、第1スイッチ43、及び変復調部41−1,41−2の振り分けスイッチ412を経由して信号処理部413に導かれてアンテナ間のデータを演算して、例えば上記図9に示すような指向性パターンが得られる。
【0031】
指向性の強い方向から受信する信号は強められ、逆に指向性の弱い方向の信号は弱められるので、端末71の送信した信号は無線装置1−k、1−jのアンテナ端子において高レベルで受信でき、端末72の送信した信号は、逆に受信レベルが低くなるので、端末71は端末72の混信を避け安定した通信ができる。
【0032】
一方、送信の際には、信号処理部413はアンテナより所望の指向性パターンで信号が送信できるようアンテナごとに演算処理されたデジタルを送出し、受信とは逆の経路をたどり無線装置1−k,1−jのデジタル/アナログ変換部102にて中間周波数に変換し、周波数変換部101で所定の周波数へ変換した後、アレイアンテナ2−k,2−jより信号は送出される。
【0033】
受信同様に指向性の強い方向へは高いレベルで信号が送出され、指向性の弱い方向へは低いレベルで信号が送出される。
【0034】
このようにして、妨害を受けたくない方向へ指向性を弱めたり、安定して送受信したい端末の方向へ強い指向性を向けたりすることで周波数利用率の向上やエリア拡大などの利点を享受できる。
【0035】
ここで、第1スイッチ43は、DBFを形成するアンテナの信号をグループ化して信号処理プロセスへ導くためのもので、信号処理413に前置することで変復調装置に入出力される複数のアンテナ素子のデータを任意のグループに組み合わせることができ、従来と比較してDBF形成するアンテナのグループを柔軟に変更できるように構成することができる。
【0036】
次に、冗長時の信号の経路について説明する。
図10は、無線基地局装置における信号の経路を説明するものである。図10は装置の内部に不具合が一切無い正常時の送信動作における通信経路を示す。
【0037】
通信ネットワーク5から入力される変調前の信号は、第3スイッチ45、無線アクセス制御部42−1、第2スイッチ44を経由して変復調部41−1に導かれて信号処理部413にて変調され同時にDBFの演算処理が行われる。
【0038】
変調後の信号は、第1スイッチ43にてDBFの組み合わせに従いスイッチされインタフェース部46−1,46−2で電気/光信号変換され、光ファイバ3を経て無線装置1−kないし1−jへ導かれD/A変換、周波数変換が行われ所望のアンテナ素子(2−k−21/22、2−j−23/24)より出力される。
【0039】
続いて、装置の内部に故障が起きた場合の送信動作における通信経路について説明する。図11は、無線アクセス制御部42−1が故障した場合の送信動作における通信経路を示している。
【0040】
第3スイッチ45及び第2スイッチ44を操作して、故障した無線アクセス制御部42−1の代わりに無線アクセス制御部42−2を選択することで通信経路を確保している。
【0041】
通信ネットワーク5から入力される変調前の信号は、第3スイッチ45、無線アクセス制御部42−2、第2スイッチ44を経由して変復調部41−1に導かれて信号処理部413にて変調され同時にDBFの演算処理が行われる。以降は図10の場合と同様である。
【0042】
以上説明してきたように、上記第2の実施形態によれば、無線基地局装置において高機能なDBFと冗長性の両方を実現することが可能となる。
【0043】
(第3実施形態)
上記第2の実施形態によれば、高機能なDBFと冗長性の両方を備えた無線基地局装置を提供することが可能となる。その反面、スイッチ手段を多用するため、回路が複雑になる。また、回路が複雑であると、小型化や省電力化を阻害する。第3実施形態では、上記第2の実施形態の無線基地局装置の構成を一部簡略化する手法を提案する。
【0044】
すなわち、本発明の第3実施形態は、上記第2実施形態で示した図8の構成における振り分けスイッチ462、及び第1スイッチ43に相当するスイッチを省略することで、回路構成を簡易にし、装置の小型化及び省電力化を実現するものである。
【0045】
図12は、本発明の第3実施形態である変復調装置4のブロック図である。この変復調装置は、第3スイッチ45、無線アクセス制御部42−1,42−2、第2スイッチ44、および変復調部41−1,41−2を備える。無線アクセス制御部42−1,42−2は、データの伝送制御を行うアクセス制御部421を備える。冗長化された無線アクセス制御部42−1,42−2は、第3スイッチ45及び第2スイッチ44によって経路が切り替えられる。変復調部41−1,41−2は、電気/光変換部411と、振り分けスイッチ412と、信号処理部413とを備える。第2スイッチ44から入力された変調前の信号は、振り分けスイッチ412により信号処理部413へ送られる。また、信号処理部413で変調された変調後の信号は、振り分けスイッチ412により電気/光変換部411又は第2スイッチ44へ送られる。
【0046】
図13は、図12の変復調装置における信号の経路を説明するものである。図13は、変復調装置の内部に不具合が一切無い正常時の送信動作における通信経路を示す。
【0047】
通信ネットワーク5から入力された変調前の信号は、第3スイッチ45、無線アクセス制御部42−1、及び第2スイッチ44を経由して変復調部41−1に導かれて振り分けスイッチ412を経て信号処理413にて変調され同時にDBFの演算処理が行われる。
【0048】
変調後の信号は、DBFの組み合わせに従い、振り分けスイッチ412は無線装置1−kへ出力する信号は電気/光変換411側へスイッチし、無線装置1−jへ出力する信号は第2スイッチ44側へスイッチする。それぞれの変調後の信号は、無線装置1−k及び無線装置1−jへ導かれD/A変換、周波数変換が行われ所望のアンテナ素子(2−k−21/22、2−j−23/24)より送信される。
【0049】
続いて、変復調装置の内部に故障が起きた場合の送信動作における通信経路について説明する。図14は、無線アクセス制御部42−1が故障した場合の送信動作における通信経路を示している。
【0050】
第3スイッチ45及び第2スイッチ44を操作して故障した無線アクセス制御部42−1の代わりに無線アクセス制御部42−2を選択することで通信経路を確保している。
【0051】
通信ネットワーク5から入力される変調前の信号は、第3スイッチ45、無線アクセス制御部42−2、及び第2スイッチ44を経由して変復調部41−1に導かれて振り分けスイッチ412を経て信号処理413にて変調され同時にDBFの演算処理が行われる。以降は上記図13の場合と同様である。
【0052】
以上説明したように、上記第3の実施形態である図12の構成は、上記第2の実施形態である図8の構成における振り分けスイッチ462、及び第1スイッチ43に相当するスイッチが独立して存在しない。その代わりに、振り分けスイッチ412、及び第2スイッチ44間の通信帯域は、変調前信号と変調後信号が同時に通過できるだけの帯域を確保するように構成している。
【0053】
このように構成することで、振り分けスイッチ412および第2スイッチ44を経由して変調後信号9を通過させることができ、上記第2実施形態における振り分けスイッチ462、および第1スイッチ43に相当するスイッチを省略することが可能である。したがって、上記第3の実施形態によれば、上記第2実施形態と比較して少ないスイッチ構成で高度なDBFと冗長性の両者を備えた無線通信基地局を実現することができる。
【0054】
なお、この発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1−n…無線装置、2−n…アレイアンテナ、3…光ファイバ、4…変復調装置、5…通信ネットワーク、6…インタフェースケーブル、7…端末、21〜24…アンテナ素子、4A…第1実施形態の変復調装置、101…周波数変換部、102…デジタル/アナログ変換部、103…電気/光変換部、401−1,401−2…電気/光変換部、402…演算器、4021,4022…演算プロセス、4023…スイッチプロセス、4B…変形例1の変復調装置、403…スイッチ、402−1,402−2…演算器、4C−1,4C−2…変形例2の変復調装置、4D…変形例3の変復調装置、43…第1スイッチ、44…第2スイッチ、45…第3スイッチ、42−1,42−2…無線アクセス制御部、421…アクセス制御部、41−1,41−2…変復調部、46−1,46−2…インタフェース部、461…電気/光変換部、462…振り分けスイッチ、411…電気/光変換部、412…振り分けスイッチ、413…信号処理部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナ素子を備え、前記複数のアンテナ素子からそれぞれ信号を受信する複数の無線装置と、
前記複数の無線装置の各アンテナ素子により受信された信号を任意の組み合わせで選択する第1スイッチ手段と、
前記組み合わせ毎の受信信号をもとにDBF(Digital Beam Forming)を行う複数の信号処理手段と
を具備することを特徴とする無線基地局装置。
【請求項2】
前記DBFで対をなすアンテナ素子の組み合わせを前記第1スイッチ手段に設定する設定手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の無線基地局装置。
【請求項3】
前記DBFで対をなすアンテナ素子の組み合わせを任意の時刻に前記第1スイッチ手段に設定する設定手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の無線基地局装置。
【請求項4】
前記複数の信号処理手段の後段に配置される複数のアクセス制御手段と、
前記複数のアクセス制御手段を前記信号処理手段に選択的に接続する第2スイッチ手段とをさらに具備し、
前記第2スイッチ手段は、前記第1スイッチ手段として共通に用いられることを特徴とする請求項1記載の無線基地局装置。
【請求項1】
複数のアンテナ素子を備え、前記複数のアンテナ素子からそれぞれ信号を受信する複数の無線装置と、
前記複数の無線装置の各アンテナ素子により受信された信号を任意の組み合わせで選択する第1スイッチ手段と、
前記組み合わせ毎の受信信号をもとにDBF(Digital Beam Forming)を行う複数の信号処理手段と
を具備することを特徴とする無線基地局装置。
【請求項2】
前記DBFで対をなすアンテナ素子の組み合わせを前記第1スイッチ手段に設定する設定手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の無線基地局装置。
【請求項3】
前記DBFで対をなすアンテナ素子の組み合わせを任意の時刻に前記第1スイッチ手段に設定する設定手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の無線基地局装置。
【請求項4】
前記複数の信号処理手段の後段に配置される複数のアクセス制御手段と、
前記複数のアクセス制御手段を前記信号処理手段に選択的に接続する第2スイッチ手段とをさらに具備し、
前記第2スイッチ手段は、前記第1スイッチ手段として共通に用いられることを特徴とする請求項1記載の無線基地局装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−182195(P2011−182195A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44437(P2010−44437)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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