説明

無線端末

【課題】ユーザーが意図しない電話番号での発着呼の発生を抑えることができる無線端末を提供する。
【解決手段】無線端末は、着信契機で位置情報を取得し、取得した位置情報と設定した動作情報ポリシーに従った着信動作を自動表示し、それを実行できるようにし、さらに一定時間内の間は表示した動作をユーザーが変更できるようにする。発信時は、位置情報を取得し、取得した位置情報に従い、発信電話番号を自動表示し、さらに、それをユーザーが変更できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線端末に係り、特に、発着信を制御する無線端末に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、複数の電話番号を利用可能な携帯端末において、ユーザーが手動で利用可能電話番号を切替える技術を開示する。また、特許文献1は、端末の位置情報を元にプレゼンス情報(個人の所在や状態に関する情報)を取得する技術も開示する。
【0003】
特許文献2は、携帯端末が現在位置を正確に推定するための実施方法を開示する。この実施方法は、GPS信号を捕捉できない場所でも、複数の基地局ID情報を利用して正確に位置を推定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−100132号公報
【特許文献2】特開2009−010638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の電話番号を利用可能な携帯端末において、ユーザーが手動で利用可能電話番号を切り替える場合、ユーザーが切り替えを忘れる場合がある。このような場合、ユーザーが会社にいて業務用の連絡に個人用電話番号を使ったり、逆に自宅にて個人用の連絡に業務用電話番号を使ったりと無意識に用途と異なる電話番号での発着信が行なわれる可能性がある。
【0006】
特許文献1の技術により、発呼者側が着呼者側のプレゼンス情報を取得し、その情報を元に発呼者にて切り替え忘れによる発呼を回避することは可能であるが、発呼者側にその意思が無い場合は、着呼者側には用途と異なる番号、つまり、業務用連絡であるにもかかわらず個人用電話番号を使用、または、個人用連絡であるにもかかわらず業務用電話番号での着呼が発生することは避けられない。
【0007】
また、特許文献1の技術を使用する為には、サーバの設置が必要であり、その設置、運用コストおよびサーバ・端末間のプレゼンス情報送受信に伴うネットワーク負荷が発生する。
【0008】
また、無線端末の現在位置を推定するには一般的に、GPS信号を用いた位置推定を行なう。しかし、GPS信号が見えない場合には、特許文献2のような技術で現在位置を推定可能である。しかし、位置情報サーバなどの設置が必要であり、その設置、運用コストおよびサーバ・端末間の基地局ID情報送信に伴うネットワーク負荷が発生する。
【0009】
本発明は、上記事情を鑑みて成したものであり、本発明の目的は、複数の電話番号を利用可能な携帯端末において、ユーザーが番号の切り替え操作をしなかった場合に発生しうる用途と異なる番号を使用した発着呼抑制を、サーバ等の設置をせず、無線端末の処理追加だけで実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題は、着信を契機にGPS信号または無線基地局からの報知情報を元に検索した位置情報と、発信元電話番号と、に基づいて、着信時動作を実施する無線端末により、達成できる。
【0011】
また、発信前にGPS信号を用いた位置情報を検索し、位置情報と、発信先電話番号と、電話帳に登録された属性に基づいて、複数の電話番号のうちどの電話番号で発信するかを表示する無線端末により、達成できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の無線基地局によれば、複数の電話番号を利用可能な携帯端末において、ユーザーが用途と異なる電話番号を使用した発着呼の発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】移動体通信システムの構成を説明するブロック図である。
【図2】無線端末の機能ブロック図である。
【図3】無線端末の位置登録の動作を説明するフローチャートである。
【図4】自宅圏位置情報エリアのデータ配列である。
【図5】会社圏位置情報エリアのデータ配列である。
【図6】無線端末の着信時の動作を説明するフローチャートである。
【図7】在エリアの特定方法を説明するフローチャートである。
【図8】無線端末の電話帳登録の動作を説明するフローチャートである。
【図9】無線端末の発信時の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、実施例を用い図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実質同一部位には同じ参照番号を振り、説明は繰り返さない。
【0015】
図1を参照して、移動体通信システムの構成を説明する。図1において、移動体通信システム100は、複数の基地局300と、無線端末600とから構成されている。
【0016】
無線端末600は、位置情報を取得するためGPS衛星500からの位置情報と基地局の報知情報に含まれる識別コードを利用する。自宅圏内200においては基地局300−1の電界強度が最も強くなっていて、続いて基地局300−2、基地局300−3が存在している。また、会社圏内250においては基地局300−6の電界強度が最も強くなっていて、続いて基地局300−7、基地局300−8が存在している。
【0017】
無線端末は、発信時および着信時にGPS衛星500により位置を測定するか、基地局IDを観測して位置を推定するかで在エリアを判定し、エリアに従った動作を行なう。
【0018】
図2を参照して、無線端末の構成を説明する。図2において、無線端末600は、無線部610と、ユーザインタフェース部620と、GPS信号受信部630と、CPU640と、メモリー部650と、プログラム格納部660とから構成される。無線部610は、アンテナ部611と、無線信号送受信部612と、電界強度測定部613とから構成される。ユーザインタフェース部620は、位置登録ボタン621と、表示部622と、電話ボタン623とから構成される。メモリー部650は、自宅圏位置情報エリア651と、会社圏位置情報エリア652と、電話帳情報エリア653と、業務用電話番号エリア654と、個人用電話番号エリア655と、着信時動作情報エリア656とから構成される。
【0019】
無線部610は、基地局からの電波を処理する。ユーザインタフェース部620は、携帯電話のインタフェースである。GPS信号受信部630は、GPS信号を受信し緯度経度を取得する。CPU640は、プログラムを実行するプロセッサである。メモリー部650は、RAMである。プログラム格納部660は、ソフトウェアを格納しているROMである。アンテナ部611は、基地局から/への電波を送受信する。無線信号送受信部612は、アンテナ部611からの電波をデジタル信号に変換する。無線信号送受信部612は、デジタル信号をRF信号に変換し、アンテナ部611へ送出する。電界強度測定部613は、デジタル信号から電波の強さを測定する。
【0020】
位置登録ボタン621は、位置登録のためのボタンである。表示部622は、携帯電話のディスプレイである。電話ボタン623は、通話、終話ボタンである。自宅圏位置情報エリア651は、自宅エリアの位置情報を格納するメモリ部である。会社圏位置情報エリア652は、会社エリアの位置情報を格納するメモリ部である。電話帳情報エリア653は、電話帳情報を格納するメモリ部である。業務用電話番号エリア654は、業務用の電話番号を格納するメモリ部である。個人用電話番号エリア655は、個人用の電話番号を格納するメモリ部である。着信時動作情報エリア656は、着信時の動作を記録しておくメモリ部である。
【0021】
図3を参照して、発信時および着信時の処理に必要となる位置情報の設定について説明する。図3において、自宅圏内か会社圏内かの登録は、ユーザインタフェース部620に搭載される位置登録ボタン621の押下によって開始される。無線端末600は、位置登録ボタン621の押下を受け付ける(S101)。無線端末600は、GPS衛星500からの電波を受信し、位置情報(緯度・経度)を取得する(S102)。無線端末600は、さらに、電界強度の最も強い上位3局の基地局報知情報に含まれる基地局識別情報(基地局ID)を取得する(S103)。無線端末600は、取得した場所について、自宅または会社の選択を受け付ける(S104)。無線端末600は、さらに、自宅圏または会社圏エリアの半径を設定する(S105)。無線端末600は、メモリー部650に、自宅圏情報または会社圏情報を格納する(S106)。無線端末600は、着信時の動作として、留守番電話、着信転送、着信拒否とするかの選択を行ない、メモリー部650の着信時動作情報エリア656に格納する(S107)。
【0022】
図4および図5を参照して、自宅圏位置情報エリア651と会社圏位置情報エリア652とのデータ配列を説明する。図4および図5において、自宅圏位置情報エリア651と会社圏位置情報エリア652とのデータ配列は、GPSより取得された緯度、経度と、ユーザ入力された半径と、電界強度一位の基地局IDと、電界強度二位の基地局IDと、電界強度三位の基地局IDとを保持する。
【0023】
図6を参照して、無線端末の着信時の処理を説明する。図6において、無線端末600は、着信をトリガーとして、GPS衛星500から位置情報の取得を試みる(S202)。無線端末600は、GPSで情報取得可能だったか判定する(S203)。YESのとき、無線端末600は、在宅エリアを特定する(S205)。自宅圏のとき、無線端末600は、着信電話番号が自宅用電話帳に存在するか判定する(S206)。自宅用のとき、無線端末600は、呼び出しする(S212)。
【0024】
ステップ206で自宅用以外のとき、無線端末600は、着信時動作(留守電、転送、拒否)を一定時間表示する(S208)。無線端末600は、この期間中にユーザ選択を受け付けたか判定する(S209)。操作ありのとき、無線端末600は、ユーザー選択動作(留守電、転送、拒否)を実施する(S210)。ステップ209で、操作なしのとき、無線端末600は、着信動作設定(留守電、転送、拒否)を実施する(S211)。
【0025】
ステップ205で会社圏のとき、無線端末600は、着信電話番号が業務用電話帳に存在するか判定する(S207)。業務用のとき、無線端末600は、ステップ212に遷移する。ステップ207で業務用以外のとき、無線端末600は、ステップ208に遷移する。
【0026】
ステップ205でその他のとき、無線端末600は、ステップ212に遷移する。ステップ203でNOのとき、無線端末600は、電界強度の強い上位10局分の基地局情報を取得して(S204)、ステップ205に遷移する。
【0027】
図7を参照して、図6のステップ205の在エリアの特定方法を説明する。図7において、無線端末600は、GPS情報があるか判定する(S901)。GPS情報があるとき、無線端末600は、自宅位置とGPS取得位置の距離差が半径以下か判定する(S902)。YESのとき、無線端末600は、在エリアを自宅に設定する(S903)。
【0028】
ステップ902でNOのとき、無線端末600は、会社位置とGPS取得位置の距離差が半径以下か判定する(S904)。YESのとき、無線端末600は、在エリアを会社に設定する(S905)。ステップ904でNOのとき、無線端末600は、在エリアをその他に設定する(S906)。
【0029】
ステップ901でGPS情報がないとき、無線端末600は、自宅情報に記憶している基地局IDがすべて取得した基地局情報に含まれるか判定する(S907)。YESのとき、無線端末600は、在エリアを自宅に設定する(S908)ステップ907でNOのとき、無線端末600は、会社情報に記憶している基地局IDがすべて取得した基地局情報に含まれるか判定する(S909)。YESのとき、無線端末600は、在エリアを会社に設定する(S910)ステップ909でNOのとき、無線端末600は、在エリアをその他に設定する(S911)。 図8を参照して、発信時の相手先電話番号の判別に必要となる電話帳登録について説明する。図8において、無線端末600は、電話帳への登録を受け付ける(S301)。無線端末600は、登録種別入力を受け付ける(S302)。無線端末600は、ステップ302で受け付けた登録種別を判定して(S303)、業務用であれば、業務用として、電話帳に登録する(S304)。ステップ303で個人用であれば、無線端末600は、個人用として電話帳に登録する(S305)。
【0030】
図9を参照して、無線端末の発信時の動作について説明する。図9において、無線端末600は、発信先候補のダイヤル番号を電話帳表示し、選択を受け付ける(S401)。無線端末600は、発信先が業務用か個人用かを判定する(S402)。業務用であれば、無線端末600は、使用する自電話番号として、業務用電話番号654に記憶されている番号を表示する(S407)。無線端末600は、ユーザ選択を受け付ける(S409)。業務用を選択されたとき、無線端末600は、業務用として発信する(S410)。ステップ409で、個人用を選択されたとき、無線端末600は、個人用として発信する(S411)。
【0031】
ステップ402で、個人用であれば、無線端末600は、使用する自電話番号として個人用電話番号655に記憶されている番号を表示して(S408)、ステップ409に遷移する。ステップ402で、発信先が業務用でも個人用でもなければ、無線端末600は、GPS衛星500より位置情報の取得を試みる(S403)。無線端末600は、GPSによる位置情報取得ができたか判定する(S404)。YESのとき、無線端末600は、在エリアを特定する(S406)。自宅圏のとき、無線端末600は、ステップ408に遷移する。ステップ406で自宅圏以外は、ステップ407に遷移する。ステップ404でNOのとき、無線端末600は、電界強度の強い上位10局分の基地局情報を取得して(S405)、ステップ406に遷移する。
【0032】
上述した説明から明らかなように、着信時の動作(転送・着信拒否・留守番電話応答)を自動選択し、さらに着信中に動作を手動で選択できるようすることで、ユーザーが意図する着信動作が可能となる。また、発信時の使用電話番号(業務用・個人用)は優先される番号を自動表示するが、ユーザーが表示された番号を選択可能とすることで、意図しない番号での発信を防止することができるようになる。
【符号の説明】
【0033】
100…移動体通信システム、300…複数の基地局、500…GPS衛星、600…無線端末、610…無線部、620…ユーザインタフェース部、630…GPS信号受信部、640…CPU、650…メモリー部、660…プログラム格納部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信システムにおいて、着信を契機にGPS信号または無線基地局からの報知情報を元に検索した位置情報と、発信元電話番号と、に基づいて、着信時動作を実施することを特徴とする無線端末。
【請求項2】
請求項1に記載の無線端末であって、
前記発信元電話番号が自宅用でなく、且つ業務用でないとき、設定された着信時動作を選択することを特徴とする無線端末。
【請求項3】
請求項2に記載の無線端末であって、
前記着信時動作をに表示し、操作を受け付けて、第2の着信動作を実行することを特徴とする無線端末。
【請求項4】
移動通信システムにおいて、発信前にGPS信号を用いた位置情報を検索し、位置情報と、発信先電話番号と、電話帳に登録された属性に基づいて、複数の電話番号のうちどの電話番号で発信するかを表示することを特徴とする無線端末。
【請求項5】
請求項4に記載の無線端末であって、
選択した電話番号(第1の電話番号)をユーザーに表示し、操作を受け付けて、第2の電話番号で発信することを特徴とする無線端末。
【請求項6】
請求項1または請求項4に記載の無線端末であって、
自宅圏内か会社圏内かを位置情報と半径とを利用して、在エリアの広さを調整することを特徴とする無線端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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