説明

無線装置、通信制御方法、データベース

【課題】ユーザの負担なくホワイトスペースに関する情報を獲得できるようにすること。
【解決手段】最上位データベースへのアクセス先情報をあらかじめ記憶保持し、自装置の現在位置を特定し、最上位データベースにアクセスして現在位置を送出し、最上位データベースから、現在位置を管轄する下位データベースへの再アクセス先情報を受け取り、下位データベースにアクセスして現在位置を送出し、下位データベースが現在位置に対応の利用可能チャンネルの情報を送出した場合にこれを受け取り、下位データベースがより狭領域を管轄する第2の下位データベースへの再アクセス先情報を送出した場合にこれを受け取り、第2の下位データベースにアクセスして現在位置を送出し、第2の下位データベースが現在位置に対応の利用可能チャンネルの情報を送出した場合にこれを受け取り、受け取った利用可能チャンネルを用いるべく通信機能部を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末機能を有する無線装置およびその通信制御方法、ならびに利用可能なチャンネル情報を無線装置に提供するデータベースに係り、特に、ホワイトスペースで動作するように構成された無線装置およびその通信制御方法、ならびに利用可能なチャンネル情報を無線装置に提供するデータベースに関する。
【背景技術】
【0002】
免許事業のテレビ放送と同じ周波数帯を使用する、そのような免許不要で運用できる無線通信規格が検討されている。これらの規格では、テレビ事業者を1次ユーザとして、1次ユーザの免許周波数帯が使用されていない場合に限り、その周波数帯(使用されていない免許周波数帯=ホワイトスペース)で2次ユーザが無線通信を運用することを容認する。
【0003】
そのような環境下で使用される端末は、TV信号が存在しないことを確認するため、TVチャンネルに関する情報をその専用のデータベースに問い合わせる必要がある。すなわち、端末の現在の位置情報をデータベースに送信し、データベースから、その位置で使用可能(有効)なチャンネルのリストを得ることがまず必要である。
【0004】
上記の無線通信規格によればデータベースは、インターネット上に配備されることになっており、そのため、端末とデータベースとの間であらかじめ行う通信は、インターネットプロトコルを用いてなされることになる。
【0005】
ユーザが端末を購入しこれを最初に使用するとき、インターネット上のデータベースへアクセスするひとつの方法として考えられるのは、データベースについての、例えば説明書に記載されたIPアドレス、ポート番号、トランスポートプロトコル、およびセキュリティの仕組みを端末にいちいち手入力することである。このような作業は、一般のユーザにとって面倒であり、端末を使用するユーザの期待に反していると言える。
【0006】
もうひとつの方法として考えられるのは、まず、その位置の付近で現に使用されているほかの端末と交信を行い、上記のIPアドレスなどの情報を問い合わせ、これらを取得することが考えられる。しかしこの場合、他の端末と交信できる状態が確立されていないのに、いかに他の端末からそのような情報を獲得できるのか矛盾もあると考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、端末機能を有する無線装置およびその通信制御方法、ならびに利用可能なチャンネル情報を無線装置に提供するデータベースにおいて、ユーザの負担なくホワイトスペースに関する情報を獲得できる無線装置およびその通信制御方法、ならびに利用可能なチャンネル情報を無線装置に提供するデータベースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様である無線装置は、通信機能部を有する無線装置であって、インターネット上にある最上位データベースへのアクセスに必要なアクセス先情報をあらかじめ記憶保持する第1の手段と、自装置の現在位置を特定する第2の手段と、前記アクセス先情報を用いて前記最上位データベースにアクセスして、該最上位データベースに、前記現在位置を少なくとも含む自装置情報を問合せのため送出する第3の手段と、前記自装置情報を伴う問合せで前記最上位データベースから提供される、前記現在位置を含む地理的領域を管轄する下位データベースへアクセスするための再アクセス先情報を受け取る第4の手段と、前記再アクセス先情報を用いて前記下位データベースにアクセスして、該下位データベースに、前記自装置情報を問合せのため送出する第5の手段と、前記自装置情報を伴う問合せで前記下位データベースが、前記現在位置に対応づけられ決定されている利用可能チャンネルを示す情報を少なくとも含む利用条件情報を送出した場合に、該利用条件情報を受け取る第6の手段と、前記自装置情報を伴う問合せで前記下位データベースが、前記地理的領域に内包される狭領域を管轄する下位データベースである第2の下位データベースへアクセスするための第2の再アクセス先情報を送出した場合に、該第2の再アクセス先情報を受け取る第7の手段と、前記第2の再アクセス先情報を用いて前記第2の下位データベースにアクセスして、該第2の下位データベースに、前記自装置情報を問合せのため送出する第8の手段と、前記自装置情報を伴う問合せで前記第2の下位データベースが、前記現在位置に対応づけられ決定されている利用可能チャンネルの情報を少なくとも含む利用条件情報である第2種の利用条件情報を送出した場合に、該第2種の利用条件情報を受け取る第9の手段と、前記利用条件情報または前記第2種の利用条件情報が示す前記利用可能チャンネルを用いるべく前記通信機能部を制御する第10の手段とを具備することを特徴とする。
【0009】
この無線装置は、「インターネット上にある最上位データベースへのアクセスに必要なアクセス先情報をあらかじめ記憶保持する第1の手段」を備えている。したがって、ユーザがそのような情報を入力したり、装置が何らかの手段でその情報を取得したりする必要はない。これを前提に、次に、自装置の現在位置を特定し、この現在位置を含む自装置情報を、あらかじめ記憶保持されたアクセス先情報を用いてアクセスした最上位データベースに問い合わせるため送出する。
【0010】
そして、最上位データベースから提供される、現在位置を含む地理的領域を管轄する下位データベースへアクセスするための再アクセス先情報を受け取り、続いて、現在位置を含む自装置情報を、再アクセス先情報を用いてアクセスした下位データベースに問い合わせるため送出する。下位データベースは、現在位置に対応づけられ決定されている利用可能チャンネル(=ホワイトスペース)を示す情報を少なくとも含む利用条件情報を送出するか、または、上記地理的領域に内包される狭領域を管轄する下位データベースである第2の下位データベースへアクセスするための第2の再アクセス先情報を送出する。
【0011】
後者の場合は、第2の再アクセス先情報を用いて、第2の下位データベースへの問合せを行う。以下、それぞれの下位データベースからの送出が、より狭領域を管轄する下位データベースへアクセスするための再アクセス先情報である場合は、それに従いより下位のデータベースへのアクセスを行う。これにより、いずれかの下位データベースの段階で、現在位置に対応づけられ決定されている利用可能チャンネルを示す情報を少なくとも含む利用条件情報が送出される。データベースは、そのように階層構造になって配備されていることが前提である。
【0012】
そして、どこかの段階の下位データベースから得た利用条件情報が示す利用可能チャンネルを用いるべく通信機能部が制御される。したがって、この無線装置は、ユーザの負担なくホワイトスペースに関する情報を獲得できる。
【0013】
また、本発明の別の態様である無線装置は、通信機能部を有する無線装置であって、自装置の現在位置を特定する手段と、非インターネット接続で交信可能な別の無線装置に対して、該非インターネット接続で、インターネット上にある最上位データベースへのアクセスに必要なアクセス先情報、またはインターネット上にありかつ前記現在位置を含む地理的領域を管轄する下位データベースへアクセスするための再アクセス先情報を問い合わせる手段と、前記別の無線装置から、前記アクセス先情報または前記再アクセス先情報を受け取る手段と、前記アクセス先情報を用いて前記最上位データベースにアクセスして、該最上位データベースに、前記現在位置を少なくとも含む自装置情報を問合せのため送出する手段と、前記自装置情報を伴う問合せで前記最上位データベースから提供される、前記現在位置を含む地理的領域を管轄する下位データベースである第2種の下位データベースへアクセスするための第2種の再アクセス先情報を受け取る手段と、前記再アクセス先情報または前記第2種の再アクセス先情報を用いて前記下位データベースまたは前記第2種の下位データベースにアクセスして、該下位データベースまたは該第2種の下位データベースに、前記自装置情報を問合せのため送出する手段と、前記自装置情報を伴う問合せで前記下位データベースまたは前記第2種の下位データベースが、前記現在位置に対応づけられ決定されている利用可能チャンネルを示す情報を少なくとも含む利用条件情報を送出した場合に、該利用条件情報を受け取る手段と、前記自装置情報を伴う問合せで前記下位データベースまたは前記第2種の下位データベースが、前記地理的領域に内包される狭領域を管轄する下位データベースである第2の下位データベースへアクセスするための第2の再アクセス先情報を送出した場合に、該第2の再アクセス先情報を受け取る手段と、前記第2の再アクセス先情報を用いて前記第2の下位データベースにアクセスして、該第2の下位データベースに、前記自装置情報を問合せのため送出する手段と、前記自装置情報を伴う問合せで前記第2の下位データベースが、前記現在位置に対応づけられ決定されている利用可能チャンネルの情報を少なくとも含む利用条件情報である第2種の利用条件情報を送出した場合に、該第2種の利用条件情報を受け取る手段と、前記利用条件情報または前記第2種の利用条件情報が示す前記利用可能チャンネルを用いるべく前記通信機能部を制御する手段とを具備することを特徴とする。
【0014】
この無線装置は、「非インターネット接続で交信可能な別の無線装置に対して、該非インターネット接続で、インターネット上にある最上位データベースへのアクセスに必要なアクセス先情報、またはインターネット上にありかつ現在位置を含む地理的領域を管轄する下位データベースへアクセスするための再アクセス先情報を問い合わせる手段」を備えている。したがって、ユーザがそれらの情報を入力する必要はない。これを前提に、現在位置を含む自装置情報を、得られたアクセス先情報または再アクセス先情報でアクセスされた最上位データベースまたは下位データベースに問い合わせるため送出する。
【0015】
最上位データベースに問い合わせた場合、下位データベースに問い合わせた場合、それぞれにおいて、以後の動作については上記の一態様として記載した無線装置と同じである。
【0016】
また、本発明のさらに別の態様であるデータベースは、メッシュ化された地理的領域である単位メッシュごとに情報が対応づけられており、前記単位メッシュごとの前記情報が、該単位メッシュを地理的に管轄するデータベースである下位データベースへのアクセスに必要な再アクセス先情報と、該単位メッシュの呼び緯度を示す緯度情報と、該単位メッシュの呼び経度を示す経度情報と、を含むように構造化されているデータ構造を記憶保持する手段と、無線装置の現在の位置を示す位置情報を少なくとも含む装置情報を、該無線装置から受け取る手段と、前記位置情報に基づいて、該位置情報が示す位置を前記データ構造における構造化で用いられているような呼び緯度と呼び経度とに換算して、検索鍵を生成する手段と、前記検索鍵により前記データ構造を検索して、前記検索鍵が示す呼び緯度および呼び経度を有するひとつの単位メッシュを特定し、前記データ構造から、前記ひとつの単位メッシュを地理的に管轄する下位データベースへのアクセスに必要な一揃いの再アクセス先情報を取り出す手段と、前記一揃いの再アクセス先情報を前記無線装置に送り出す手段とを具備することを特徴とする。
【0017】
このデータベースは、上記の各無線装置がアクセスを行う「最上位データベース」として好適なデータベースである。また、最上位データベースではないが階層として中間に位置するデータベースとしても好適である。ポイントとして、その有するデータ構造が、「メッシュ化された地理的領域である単位メッシュごとに情報が対応づけられており、単位メッシュごとのその情報が、該単位メッシュを地理的に管轄するデータベースである下位データベースへのアクセスに必要な再アクセス先情報と、該単位メッシュの呼び緯度を示す緯度情報と、該単位メッシュの呼び経度を示す経度情報と、を含むように構造化されている」点が挙げられる。
【0018】
このようなデータ構造によれば、無線装置から送られる現在位置をこのデータ構造で用いられている呼び緯度および呼び経度に換算して、これを検索鍵とすることができる。この検索鍵によりデータ構造を検索して、検索鍵が示す呼び緯度および呼び経度を有するひとつの単位メッシュを特定すれば、このデータ構造から、このひとつの単位メッシュを地理的に管轄する下位データベースへのアクセスに必要な一揃いの再アクセス先情報を取り出すことができる。
【0019】
したがって、このデータベースは、ユーザの負担なくホワイトスペースに関する情報を獲得できるように構成された無線装置に対する情報提供用のものとして適している。
【0020】
また、本発明のさらに別の態様であるデータベースは、メッシュ化された地理的領域である単位メッシュごとに情報が対応づけられており、前記単位メッシュごとの前記情報が、該単位メッシュに対応づけられ決定されている利用可能チャンネルを示す情報を少なくとも含む利用条件情報と、該単位メッシュの呼び緯度を示す緯度情報と、該単位メッシュの呼び経度を示す経度情報と、を含むように構造化されているデータ構造を記憶保持する手段と、無線装置の現在の位置を示す位置情報を少なくとも含む装置情報を、該無線装置から受け取る手段と、前記位置情報に基づいて、該位置情報が示す位置を前記データ構造における構造化で用いられているような呼び緯度と呼び経度とに換算して、検索鍵を生成する手段と、前記検索鍵により前記データ構造を検索して、前記検索鍵が示す呼び緯度および呼び経度を有するひとつの単位メッシュを特定し、前記データ構造から、前記ひとつの単位メッシュに対応づけられ決定されている一揃いの利用条件情報を取り出す手段と、前記一揃いの利用条件情報を前記無線装置に送り出す手段とを具備することを特徴とする。
【0021】
このデータベースは、上記の各無線装置がアクセスを行う下位データベース(最下位に位置して、利用可能チャンネルを示す情報を少なくとも含む利用条件情報を提供するデータベース)として好適なデータベースである。ポイントとして、その有するデータ構造が、「メッシュ化された地理的領域である単位メッシュごとに情報が対応づけられており、単位メッシュごとのその情報が、該単位メッシュに対応づけられ決定されている利用可能チャンネルを示す情報を少なくとも含む利用条件情報と、該単位メッシュの呼び緯度を示す緯度情報と、該単位メッシュの呼び経度を示す経度情報と、を含むように構造化されている」点が挙げられる。
【0022】
このようなデータ構造によれば、無線装置から送られる現在位置をこのデータ構造で用いられている呼び緯度および呼び経度に換算して、これを検索鍵とすることができる。この検索鍵によりデータ構造を検索して、検索鍵が示す呼び緯度および呼び経度を有するひとつの単位メッシュを特定すれば、このデータ構造から、このひとつの単位メッシュに対応づけられ決定されている一揃いの利用条件情報を取り出すことができる。
【0023】
したがって、このデータベースは、ユーザの負担なくホワイトスペースに関する情報を獲得できるように構成された無線装置に対する情報提供用のものとして適している。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、端末機能を有する無線装置およびその通信制御方法、ならびに利用可能なチャンネル情報を無線装置に提供するデータベースにおいて、ユーザの負担なくホワイトスペースに関する情報を獲得できる無線装置およびその通信制御方法、ならびに利用可能なチャンネル情報を無線装置に提供するデータベースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態である通信装置の構成を示すブロック図。
【図2】図1に示した通信装置と各データベースとの交信におけるフォーマットの例を示す図。
【図3】本発明の別の実施形態である通信装置の構成を示すブロック図。
【図4】図3に示した通信装置と別の通信装置との交信におけるフォーマットの例を示す図。
【図5】図1、図3中に示したデータベース50、61、62が有するデータの構造を示す説明図。
【図6】図1、図3中に示したデータベース61、62のうちで最下位に位置するデータベースが保持する、通信装置についての登録リストのフォーマットの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施態様として、前記利用条件情報および前記第2種の利用条件情報が、それぞれ、前記利用可能チャンネルを示す前記情報のほか、利用可能時間を示す情報、利用可最大電力を示す情報、および、2次ユーザの利用状況に関する情報を含み、前記第10の手段が、前記利用可能時間、前記利用可最大電力、および2次ユーザの前記利用状況に反しないように前記通信機能部を制御する、とすることができる。利用可能時間や利用可最大電力は、一般には変動する場合も考えられるので、その場合にはこのような構成は有用である。また、2次ユーザどうしは、一般には、スペクトラムの資源競争をする関係であるので、優先度などを含む利用状況に関する情報が送られてきた場合は、これに反しないように制御することは有用である。
【0027】
また、実施態様として、前記第2の手段が、不定期または定期的に、自装置の現在位置を最新現在位置として特定し、前記利用条件情報または前記第2種の利用条件情報が、それぞれ、前記利用可能チャンネルを示す前記情報のほか、該利用可能チャンネルが有効に利用できる地理的範囲を示す有効領域情報を含み、前記有効領域情報を記憶保持する第11の手段と、前記最新現在位置を前記有効領域情報と比較して該最新現在位置が前記有効領域情報で示される有効領域内にない場合に領域外存在である旨を知らせる第12の手段と、をさらに具備し、前記第3の手段が、さらに、前記領域外存在である旨に基づいて、前記アクセス先情報を用いて前記最上位データベースにアクセスして、該最上位データベースに、前記現在位置としての前記最新現在位置を少なくとも含む自装置情報を問合せのため送出する、とすることができる。
【0028】
この態様は、すでに無線装置が利用条件情報を得てセットアップされた状態になっていることを前提として、この無線装置が位置移動した場合にも、その位置での新たな利用条件情報を自動的に取得できるように対応したものである。そのため、第2の手段は、不定期または定期的に、自装置の現在位置を最新現在位置として特定する。また、利用条件情報または第2種の利用条件情報が、それぞれ、利用可能チャンネルを示す情報のほか、この利用可能チャンネルが有効に利用できる地理的範囲を示す有効領域情報を含んでいることを前提として、この有効領域情報を記憶保持する。
【0029】
そして、最新現在位置を有効領域情報と比較して該最新現在位置が有効領域情報で示される有効領域内にない場合に領域外存在である旨を知らせる。さらに、領域外存在である旨に基づいて、アクセス先情報を用いて最上位データベースにアクセスして、該最上位データベースに、現在位置としての最新現在位置を少なくとも含む自装置情報を問合せのため送出する。以下は、上記説明した無線装置での動作と同じである。
【0030】
以上を踏まえ、以下では本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態である通信装置の構成を示すブロック図である。同図に示すように、この通信装置10は、位置特定部11、初期アクセス先情報記憶保持部12、データベース問合せ部13、同14、制御部15、通信機能部16、有効領域情報記憶保持部17、領域外検出部18を有する。データベース問合せ部13、14は、インターネット100を通じて、それぞれ、インターネット100上に配備されたグローバル(最上位)データベース50、ローカル(下位)データベース61、62に、ホワイトスペースに関する情報を問い合わせするためのインターフェース機能部である。
【0031】
位置特定部11は、例えばGPS(global positioning system)衛星を利用して自装置の現在位置の特定を行う。特定された現在位置は、データベース問合せ部13、または場合により領域外検出部18に送られる。
【0032】
初期アクセス先情報記憶保持部12は、ホワイトスペースに関する情報を提供するデータベースのうち最上位データベース50についてのアクセス先情報を、あらかじめ(例えば無線装置10の製造段階で不揮発に)記憶保持させてある例えばメモリである。アクセス先情報は、例えば、最上位データベース50のIPアドレス、ポート番号、トランスポートプロトコルのほか、最上位データベース50へアクセスするための公開鍵情報や復号鍵情報などである。このアクセス先情報は、少なくとも、この無線装置10の製造後ユーザにより最初に電源オンとされたとき、初期アクセス先情報記憶保持部12からデータベース問合せ部13に渡されるように構成されている。
【0033】
データベース問合せ部13は、上記のアクセス先情報を用いて最上位データベース50にアクセスし、最上位データベース50に、現在位置を少なくとも含む自装置情報を問合せのため送出する。現在位置以外の自装置情報は、例えば、この無線装置10の識別子、使用者の名前、そのアドレス、電話番号、eメールアドレスなどが考えられるが、最上位データベース50が担う機能上はそれらの送出は必須ではない。
【0034】
最上位データベース50は、例えば、全世界にひとつ配備されたデータベースであり、全世界の各位置を含んでいる各地理的領域と、その地理的領域を管轄する下位データベースとを対応づけて記憶保持しているデータベースである。最上位データベース50が問合せに対してより円滑に情報提供を行うための好適なデータ構造については、後述する(図5)。
【0035】
上記の問合せに対して、最上位データベース50は、送られてきた現在位置を含む地理的領域を管轄するデータベースである下位データベースへアクセスするための再アクセス先情報を返信として送ってくる。データベース問合せ部13は、この返信を受け取る。再アクセス先情報は、上記のアクセス先情報と同様に、例えば、下位データベース61(62)のIPアドレス、ポート番号、トランスポートプロトコルのほか、下位データベース61(62)へアクセスするための公開鍵情報や復号鍵情報などである。この再アクセス先情報は、データベース問合せ部13からデータベース問合せ部14に渡されるように構成されている。
【0036】
データベース問合せ部14は、再アクセス先情報を用いて下位データベース61(62)にアクセスし、下位データベース61(62)に、現在位置を少なくとも含む自装置情報を問合せのため送出する。現在位置以外の自装置情報は、例えば、この無線装置10の識別子、使用者の名前、そのアドレス、電話番号、eメールアドレス、最大送信電力などが考えられる。
【0037】
下位データベース61(62)は、ひとつの可能性として、全世界よりは狭い地理的領域を対象として、この地理的領域を細分化した各領域と、その細分化領域を管轄する下位データベースとを対応づけて記憶保持しているデータベースである。または、下位データベース61(62)は、全世界よりは狭い地理的領域を対象として、この地理的領域を細分化した各領域と、その細分化領域で使用することができる利用可能チャンネルなどの利用条件情報とを対応づけて記憶保持しているデータベースである。下位データベース61(62)が問合せに対してより円滑に情報提供を行うための好適なデータ構造については、後述する(図5)。
【0038】
下位データベース61(62)に対する問合せに対して、下位データベース61(62)が、その管轄する地理的領域に内包される狭領域を管轄するさらに下位のデータベースへアクセスするための再アクセス先情報を返信として送ってきた場合は、データベース問合せ部14は、この返信を受け取り、以下の動作に移行する。すなわち、データベース問合せ部14は、この返信された再アクセス情報を用いてさらに下位のデータベースにアクセスし、その下位データベースに、現在位置を少なくとも含む自装置情報を問合せのため送出する。このように、データベースへの問合せに対して再アクセス先情報が返信された場合は、データベース問合せ部14は、この再アクセス情報を用いてさらに下位のデータベースへの問合せを続ける。
【0039】
下位データベース61(62)またはさらに下位のデータベースに対する問合せに対して、それらの下位データベースが、現在位置に対応づけられ決定されている利用可能チャンネルを示す情報を少なくとも含む利用条件情報を返信として送ってきた場合は、データベース問合せ部14は、この返信を受け取り、以下の動作に移行する。すなわち、データベース問合せ部14は、受け取った利用条件情報を制御部15に渡す。また、データベース問合せ部14は、利用条件情報に、上記の利用可能チャンネルが有効に利用できる地理的範囲を示す有効領域情報が含まれている場合には、この有効領域情報を、有効領域情報記憶保持部17に渡す。
【0040】
制御部15は、利用可能チャンネルを示す情報を少なくとも含む利用条件情報を取得すると、これに従って通信機能部16を動作させるようにこれを制御する。通信機能部16は、この無線装置10の本来の通信機能を担う部分であり、制御部15による制御により、ホワイトスペースでの適切な通信動作が行われることになる(=セットアップされた状態)。
【0041】
一方、有効領域情報記憶保持部17は、データベース問合せ部14から渡された、上記の有効領域情報を記憶保持する。
【0042】
位置特定部11が特定した現在位置が領域外検出部18に送られた場合は、この領域外検出部18は、以下の動作を行う。領域外検出部18は、有効領域情報記憶保持部17に記憶保持された有効領域情報を取り出し、送られた現在位置をこの有効領域情報と比較して現在位置が有効領域情報で示される有効領域内にあるか否かを判断する。そして有効領域内にない場合には領域外存在である旨を発し、その旨をデータベース問合せ部13に送る。その旨によってデータベース問合せ部13が以降行う動作はほぼすでに説明したとおりであるが、その場合にも、まず、初期アクセス先情報記憶保持部12が記憶保持しているアクセス先情報が参照される。
【0043】
領域外検出部18を設けることで、すでに無線装置10が利用条件情報を得てセットアップされた状態になっていた場合にも、この無線装置10が位置移動したとき、その位置での新たな利用条件情報を自動的に取得できる。すなわち、位置特定部11が、不定期または定期的に、自装置の現在位置を最新現在位置として特定すれば、そのたびごとに有効領域内であるか否かが判断され、有効領域内になければ、続けて、新たな利用条件情報の獲得動作が円滑になされるためである。
【0044】
位置特定部11の位置特定動作を定期的に行うには、例えば、あらかじめ決められた時間ごとに位置特定部11が機能するようにタイマーを設けておくことが考られる。また、不定期に位置特定動作を行う例としては、例えば、この無線装置10を電源オンにするたびごとに初期動作として位置特定部11を機能させたり、完全に自動的とは言えないがユーザからの指示入力で位置特定部11を機能させたりすることが考えられる。
【0045】
以上説明したように、この無線装置10によれば、位置特定部11、初期アクセス先情報記憶保持部12、およびこれらに続く各構成により、ユーザの負担なくホワイトスペースに関する情報を獲得できる。なお、上記説明における、下位データベースが送ってくる利用条件情報としては、利用可能チャンネルを示す情報のほか、(1)利用可能時間を示す情報、(2)利用可最大電力を示す情報、(3)ほかの2次ユーザの種類と、その2次ユーザがこの利用可能チャンネルをすでに使用していることを示す情報、(4)2次ユーザどうしの使用優先度を示す情報などが含まれることもあり得る。
【0046】
そのような場合には、制御部15は、これらの利用可能時間および利用可最大電力に従い、かつほかの2次ユーザに妨害を与えないように通信機能部16を制御する。利用可能時間や利用可最大電力は、一般には変動する場合も考えられるので、その場合に有用である。2次ユーザどうしは、一般には、スペクトラムの資源競争をする関係であるので、優先度などを含む利用状況に関する情報が送られてきた場合は、これに反しないように通信機能部16を制御する。
【0047】
次に、図2は、図1に示した通信装置10と各データベースとの交信におけるフォーマットの例を示す図である。図2(a)は、データベース問合せ部13から最上位データベース50への問合せにおけるフォーマット、図2(b)は、最上位データベース50からデータベース問合せ部13への返信におけるフォーマットのそれぞれ例である。
【0048】
また、図2(c)は、データベース問合せ部14から下位データベース61(62)への問合せにおけるフォーマット、図2(d)は、下位データベース61(62)のうち最下位のデータベースからデータベース問合せ部14への返信におけるフォーマットのそれぞれ例である。図2(b)は、下位データベース61(62)のうち中間のデータベースからデータベース問合せ部14への返信におけるフォーマットの例でもある。
【0049】
図2(a)に示すように、このフォーマットは、「SRC」、「DST」、「DEV ID」、「DEV TYPE」、「GEO LOCATION」、「QUERY」の各フィールドを有する。「SRC」は、発信元(この無線装置10)のIPアドレス、ポート番号などである。「DST」は、送信先(最上位データベース50)のIPアドレス、ポート番号などである。
【0050】
「DEV ID」は、この無線装置10の物理識別子や論理識別子であり、より具体的には、例えば、製造識別子、FCC識別子、MACアドレスなどとすることができる。「DEV TYPE」は、この無線装置10のタイプであり、例えば、固定局、移動局の区別、準拠するプロトコル(例えば802.11や802.22)、最大送信電力などの情報である。
【0051】
「GEO LOCATION」は、この無線装置10の現在位置であり、例えば、WGS84やNAD83などの標準システムによる緯度、経度、高さの情報である。「QUERY」は、この無線装置10を登録することおよび利用可能チャンネルの情報提供の要求を示すフィールドである。
【0052】
また、図2(b)に示すように、このフォーマットは、「SRC」、「DST」、「REG DOMAIN」、「LOCAL DB IP」、「LOCAL DB PORT」、「TRANS PROTO」、「SECURITY」の各フィールドを有する。「SRC」は、発信元(最上位データベース50か下位データベース61、62)のIPアドレス、ポート番号などである。「DST」は、送信先(無線装置10)のIPアドレス、ポート番号などである。
【0053】
「REG DOMAIN」は、送信先の無線装置(この場合、無線装置10)が従わなければならない規則範囲を示す情報である。「LOCAL DB IP」は、下位データベースのIPアドレス(=再アクセス先情報の一部)である。「LOCAL DB PORT」は、下位データベースのポート番号(=再アクセス先情報の一部)である。「TRANS PROTO」は、下位データベースにアクセスするための、例えばTCP/UDPなどのトランスポートプロトコルを示す情報である。「SECURITY」は、下位データベースにアクセスするとき使われるべきセキュリティの仕組みであり、例えば、暗号鍵情報である。
【0054】
また、図2(c)に示すように、このフォーマットは、「SRC」、「DST」、「DEV ID」、「DEV TYPE」、「GEO LOCATION」、「QUERY」の各フィールドを有する。これらの意味は、図2(a)での説明とほぼ同じであるが、この場合「DST」は、図2(b)の返信フォーマットで取得した下位データベースのIPアドレス、ポート番号などになる。
【0055】
また、図2(d)に示すように、このフォーマットは、「SRC」、「DST」、「CHANNELLIST」、「VARIDITY」の各フィールドを有する。「SRC」は、発信元(下位データベース61、62)のIPアドレス、ポート番号などである。「DST」は、送信先(無線装置10)のIPアドレス、ポート番号などである。
【0056】
「CHANNEL LIST」は、利用可能なチャンネルを示すリストの情報である。「VALIDITY」は、利用可能なチャンネルの有効範囲(例えば、その有効な領域、時間)などを示すフィールドである。
【0057】
以上のようなフォーマットによる情報通信によれば、インターネット100を介した、図1に示した通信装置10と各データベース50、61、62との間で必要される交信を所望に実現することができる。
【0058】
次に、別の実施形態である通信装置について図3を参照して説明する。図3は、別の実施形態である通信装置の構成を示すブロック図である。同図において、図1中に示した構成要素と同一のものには同一符号を付してある。その部分については加えるべき事項がない限り説明を省略する。
【0059】
この実施形態の無線装置10Aは、初期アクセス先情報記憶部12に代えて、アクセス先情報問合せ取得部19を新たに設けている。これにより、インターネット100上にある最上位データベース50へのアクセスに必要なアクセス先情報、またはインターネット100上にありかつ現在位置を含む地理的領域を管轄する下位データベース61(62)へアクセスするための再アクセス先情報を得るように構成している。
【0060】
アクセス先情報問合せ取得部19は、非インターネット接続で交信可能な別の無線装置との間で、この非インターネット接続を用いて交信し、その別の無線装置から、上記のアクセス先情報または再アクセス先情報を取得する機能を有する。非インターネット接続の例としては、例えば、MACプロトコルを用いた通信を挙げることができる。別の無線装置は、この無線装置10Aの現在位置を含む領域内ですでにセットアップされて現に動作している無線装置である。アクセス先情報問合せ取得部19は、少なくとも、この無線装置10Aの製造後ユーザにより最初に電源オンとされたとき動作する。
【0061】
アクセス先情報問合せ取得部19が取得したアクセス先情報はデータベース問合せ部13に渡される。再アクセス先情報を取得した場合にはデータベース問合せ部14に渡される。データベース問合せ部13により最上位データベース50に問い合わせた場合、データベース14により下位データベース61(62)に問い合わせた場合、それぞれにおいて、以後の動作は上記の図1を参照した実施形態の場合と同様である。よって、図1に示した実施形態の無線装置10と同様に、ユーザの負担なくホワイトスペースに関する情報を獲得できる。
【0062】
次に、図4は、図3に示した通信装置10Aと別の通信装置との交信におけるフォーマットの例を示す図である。このフォーマットは、例えばMACフレームであり、図4に示すように、少なくとも、「SRC」、「DST」、「DB IP」、「DB PORT」、「TRANS PROTO」、「SECURITY」の各フィールドを有する。
【0063】
「SRC」は、発信元の無線装置(無線装置10Aか別の無線装置)のIPアドレス、ポート番号などである。「DST」は、送信先の無線装置10(別の無線装置か無線装置10A)のIPアドレス、ポート番号などである。
【0064】
「DB IP」は、最上位データベース50または下位データベース61(62)のIPアドレスである。「DB PORT」は、最上位データベース50または下位データベース61(62)のポート番号である。「TRANS PROTO」は、最上位データベース50または下位データベース61(62)にアクセスするための、例えばTCP/UDPなどのトランスポートプロトコルを示す情報である。「SECURITY」は、最上位データベース50または下位データベース61(62)にアクセスするとき使われるべきセキュリティの仕組みであり、例えば、暗号化方法情報、暗号鍵情報である。
【0065】
以上のようなフォーマットによる情報通信によれば、非インターネット接続を介した、図3に示した通信装置10A別の通信装置との交信ができる。これにより、別の無線装置から、最上位データベース50へのアクセスに必要なアクセス先情報、または現在位置を含む地理的領域を管轄する下位データベース61(62)へアクセスするための再アクセス先情報を得ることがきる。
【0066】
次に、図5は、図1、図3中に示したデータベース50、61、62が有するデータの構造を示す説明図である。
【0067】
図5に示すように、各データベースが管轄する地理的領域は、仮想的にメッシュ化された単位メッシュになっている。単位メッシュは、経度方向にD1の刻み、緯度方向にD2の刻みになっているものとする。各単位メッシュは、経度nと緯度mとがそれぞれ呼び経度、呼び緯度となっていて、この呼び経度、呼び緯度により任意の単位メッシュを特定することができる。
【0068】
そして、最上位データベース50または中間の下位データベース61(62)のデータ構造の場合、各単位メッシュには、この単位メッシュを地理的に管轄するデータベースである下位データベースへのアクセスに必要な再アクセス先情報が対応づけられている。また、最下位の下位データベース61(62)のデータ構造の場合は、各単位メッシュに、この単位メッシュに対応づけられ決定されている利用可能チャンネルを示す情報を少なくとも含む利用条件情報が対応づけられている。
【0069】
このようなデータ構造によれば、無線装置10、10Aから送られる現在位置をこのデータ構造で用いられている呼び緯度および呼び経度に換算して、これを検索鍵とすることができる。この検索鍵によりデータ構造を検索して、検索鍵が示す呼び緯度および呼び経度を有するひとつの単位メッシュを特定すれば、このデータ構造から、このひとつの単位メッシュを地理的に管轄する下位データベース61(62)へのアクセスに必要な一揃いの再アクセス先情報(またはこのひとつの単位メッシュに対応づけられ決定されている一揃いの利用条件情報)を取り出すことができる。
【0070】
したがって、このデータベースは、ユーザの負担なくホワイトスペースに関する情報を獲得できるように構成された無線装置に対する情報提供用のものとして適している。
【0071】
なお、検索鍵は、飛び飛びの値の呼び経度、呼び緯度でなければならない一方、無線装置10、10Aから送られる現在位置(経度、緯度)は、GPSで特定される位置であるゆえにそれよりは細かく、このままでは検索鍵としては適さない。そこで、GPSで特定され、データベース50、61、62に送られてきた現在位置は、例えば、その経度をこれに最も近い呼び経度に変換し、その緯度をこれに最も近い呼び緯度に変換するなど、一定の数値変換を行えば検索鍵として使えるようになる。
【0072】
すなわち、例えば、
呼び経度=経度 DIV D1
呼び緯度=緯度 DIV D2
ここで、「DIV」は、次の条件を満たす最大整数N1、N2を見出すための方法である。
N1×D1≦経度、N2×D2≦緯度
【0073】
次に、図6は、図1、図3中に示したデータベース61、62のうちで最下位に位置するデータベースが保持する、通信装置についての登録リストのフォーマットの一例を示す図である。
【0074】
最下位に位置するデータベースは、利用可能チャンネルを含む利用条件情報を無線装置10(10A)に送り出すとともに、自身は、その無線装置10(10A)についての登録を行う。利用されている無線装置をデータベースとして把握しておくためである。
【0075】
図6(a)に示すように、無線装置10(10A)の登録は、例えば、デバイスタイプの別ごとになされている。デバイスタイプは、一例として、その無線装置の最大送信電力の違いで区別することができる。また、個々のリスト中には、図6(b)に示すように、無線装置10(10A)の登録がなされるとすることができる。
【0076】
図6(b)において「デバイスID」は、その右側欄に、無線装置から送られてきた識別子情報を「登録情報」として登録している。「ID」は、その右側欄に、無線装置から送られてきたその使用者の名前、そのアドレス、電話番号、eメールアドレスなどの情報を登録している。「位置情報」は、その右側欄に、無線装置から送られてきた経度、緯度、高さの情報を登録している。「検索鍵」は、「位置情報」から換算された呼び経度、呼び緯度の情報である。「検索鍵」に対応して、このデータベースを検索して取り出した利用可能チャンネルが登録されている。さらにほかの情報を登録するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0077】
10、10A…通信装置、11…位置特定部、12…初期アクセス先情報記憶保持部、13…データベース問合せ部、14…データベース問合せ部、15…制御部、16…通信制御部、17…有効領域情報記憶保持部、18…領域外検出部、19…アクセス先情報問合せ取得部、50…グローバル(最上位)データベース、61、62…ローカル(下位)データベース、100…インターネット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信機能部を有する無線装置であって、
インターネット上にある最上位データベースへのアクセスに必要なアクセス先情報をあらかじめ記憶保持する第1の手段と、
自装置の現在位置を特定する第2の手段と、
前記アクセス先情報を用いて前記最上位データベースにアクセスして、該最上位データベースに、前記現在位置を少なくとも含む自装置情報を問合せのため送出する第3の手段と、
前記自装置情報を伴う問合せで前記最上位データベースから提供される、前記現在位置を含む地理的領域を管轄する下位データベースへアクセスするための再アクセス先情報を受け取る第4の手段と、
前記再アクセス先情報を用いて前記下位データベースにアクセスして、該下位データベースに、前記自装置情報を問合せのため送出する第5の手段と、
前記自装置情報を伴う問合せで前記下位データベースが、前記現在位置に対応づけられ決定されている利用可能チャンネルを示す情報を少なくとも含む利用条件情報を送出した場合に、該利用条件情報を受け取る第6の手段と、
前記自装置情報を伴う問合せで前記下位データベースが、前記地理的領域に内包される狭領域を管轄する下位データベースである第2の下位データベースへアクセスするための第2の再アクセス先情報を送出した場合に、該第2の再アクセス先情報を受け取る第7の手段と、
前記第2の再アクセス先情報を用いて前記第2の下位データベースにアクセスして、該第2の下位データベースに、前記自装置情報を問合せのため送出する第8の手段と、
前記自装置情報を伴う問合せで前記第2の下位データベースが、前記現在位置に対応づけられ決定されている利用可能チャンネルの情報を少なくとも含む利用条件情報である第2種の利用条件情報を送出した場合に、該第2種の利用条件情報を受け取る第9の手段と、
前記利用条件情報または前記第2種の利用条件情報が示す前記利用可能チャンネルを用いるべく前記通信機能部を制御する第10の手段と
を具備することを特徴とする無線装置。
【請求項2】
前記利用条件情報および前記第2種の利用条件情報が、それぞれ、前記利用可能チャンネルを示す前記情報のほか、利用可能時間を示す情報、利用可最大電力を示す情報、および、2次ユーザの利用状況に関する情報を含み、
前記第10の手段が、前記利用可能時間、前記利用可最大電力、および2次ユーザの前記利用状況に反しないように前記通信機能部を制御すること
を特徴とする請求項1記載の無線装置。
【請求項3】
前記第2の手段が、不定期または定期的に、自装置の現在位置を最新現在位置として特定し、
前記利用条件情報または前記第2種の利用条件情報が、それぞれ、前記利用可能チャンネルを示す前記情報のほか、該利用可能チャンネルが有効に利用できる地理的範囲を示す有効領域情報を含み、
前記有効領域情報を記憶保持する第11の手段と、
前記最新現在位置を前記有効領域情報と比較して該最新現在位置が前記有効領域情報で示される有効領域内にない場合に領域外存在である旨を知らせる第12の手段と、をさらに具備し、
前記第3の手段が、さらに、前記領域外存在である旨に基づいて、前記アクセス先情報を用いて前記最上位データベースにアクセスして、該最上位データベースに、前記現在位置としての前記最新現在位置を少なくとも含む自装置情報を問合せのため送出すること
を特徴とする請求項1記載の無線装置。
【請求項4】
通信機能部を有する無線装置における通信制御方法であって、
インターネット上にある最上位データベースへのアクセスに必要なアクセス先情報を記憶保持し、
自装置の現在位置を特定し、
前記アクセス先情報を用いて前記最上位データベースにアクセスして、該最上位データベースに、前記現在位置を少なくとも含む自装置情報を問合せのため送出し、
前記自装置情報を伴う問合せで前記最上位データベースから提供される、前記現在位置を含む地理的領域を管轄する下位データベースへアクセスするための再アクセス先情報を受け取り、
前記再アクセス先情報を用いて前記下位データベースにアクセスして、該下位データベースに、前記自装置情報を問合せのため送出し、
前記自装置情報を伴う問合せで前記下位データベースが、前記現在位置に対応づけられ決定されている利用可能チャンネルを示す情報を少なくとも含む利用条件情報を送出した場合に、該利用条件情報を受け取り、
前記自装置情報を伴う問合せで前記下位データベースが、前記地理的領域に内包される狭領域を管轄する第2の下位データベースへアクセスするための第2の再アクセス先情報を送出した場合に、該第2の再アクセス先情報を受け取り、
前記第2の再アクセス先情報を用いて前記第2の下位データベースにアクセスして、該第2の下位データベースに、前記自装置情報を問合せのため送出し、
前記自装置情報を伴う問合せで前記第2の下位データベースが、前記現在位置に対応づけられ決定されている利用可能チャンネルの情報を少なくとも含む利用条件情報である第2種の利用条件情報を送出した場合に、該第2種の利用条件情報を受け取り、
前記利用条件情報または前記第2種の利用条件情報が示す前記利用可能チャンネルを用いるべく前記通信機能部を制御すること
を特徴とする通信制御方法。
【請求項5】
通信機能部を有する無線装置であって、
自装置の現在位置を特定する手段と、
非インターネット接続で交信可能な別の無線装置に対して、該非インターネット接続で、インターネット上にある最上位データベースへのアクセスに必要なアクセス先情報、またはインターネット上にありかつ前記現在位置を含む地理的領域を管轄する下位データベースへアクセスするための再アクセス先情報を問い合わせる手段と、
前記別の無線装置から、前記アクセス先情報または前記再アクセス先情報を受け取る手段と、
前記アクセス先情報を用いて前記最上位データベースにアクセスして、該最上位データベースに、前記現在位置を少なくとも含む自装置情報を問合せのため送出する手段と、
前記自装置情報を伴う問合せで前記最上位データベースから提供される、前記現在位置を含む地理的領域を管轄する下位データベースである第2種の下位データベースへアクセスするための第2種の再アクセス先情報を受け取る手段と、
前記再アクセス先情報または前記第2種の再アクセス先情報を用いて前記下位データベースまたは前記第2種の下位データベースにアクセスして、該下位データベースまたは該第2種の下位データベースに、前記自装置情報を問合せのため送出する手段と、
前記自装置情報を伴う問合せで前記下位データベースまたは前記第2種の下位データベースが、前記現在位置に対応づけられ決定されている利用可能チャンネルを示す情報を少なくとも含む利用条件情報を送出した場合に、該利用条件情報を受け取る手段と、
前記自装置情報を伴う問合せで前記下位データベースまたは前記第2種の下位データベースが、前記地理的領域に内包される狭領域を管轄する下位データベースである第2の下位データベースへアクセスするための第2の再アクセス先情報を送出した場合に、該第2の再アクセス先情報を受け取る手段と、
前記第2の再アクセス先情報を用いて前記第2の下位データベースにアクセスして、該第2の下位データベースに、前記自装置情報を問合せのため送出する手段と、
前記自装置情報を伴う問合せで前記第2の下位データベースが、前記現在位置に対応づけられ決定されている利用可能チャンネルの情報を少なくとも含む利用条件情報である第2種の利用条件情報を送出した場合に、該第2種の利用条件情報を受け取る手段と、
前記利用条件情報または前記第2種の利用条件情報が示す前記利用可能チャンネルを用いるべく前記通信機能部を制御する手段と
を具備することを特徴とする無線装置。
【請求項6】
メッシュ化された地理的領域である単位メッシュごとに情報が対応づけられており、前記単位メッシュごとの前記情報が、該単位メッシュを地理的に管轄するデータベースである下位データベースへのアクセスに必要な再アクセス先情報と、該単位メッシュの呼び緯度を示す緯度情報と、該単位メッシュの呼び経度を示す経度情報と、を含むように構造化されているデータ構造を記憶保持する手段と、
無線装置の現在の位置を示す位置情報を少なくとも含む装置情報を、該無線装置から受け取る手段と、
前記位置情報に基づいて、該位置情報が示す位置を前記データ構造における構造化で用いられているような呼び緯度と呼び経度とに換算して、検索鍵を生成する手段と、
前記検索鍵により前記データ構造を検索して、前記検索鍵が示す呼び緯度および呼び経度を有するひとつの単位メッシュを特定し、前記データ構造から、前記ひとつの単位メッシュを地理的に管轄する下位データベースへのアクセスに必要な一揃いの再アクセス先情報を取り出す手段と、
前記一揃いの再アクセス先情報を前記無線装置に送り出す手段と
を具備することを特徴とするデータベース。
【請求項7】
メッシュ化された地理的領域である単位メッシュごとに情報が対応づけられており、前記単位メッシュごとの前記情報が、該単位メッシュに対応づけられ決定されている利用可能チャンネルを示す情報を少なくとも含む利用条件情報と、該単位メッシュの呼び緯度を示す緯度情報と、該単位メッシュの呼び経度を示す経度情報と、を含むように構造化されているデータ構造を記憶保持する手段と、
無線装置の現在の位置を示す位置情報を少なくとも含む装置情報を、該無線装置から受け取る手段と、
前記位置情報に基づいて、該位置情報が示す位置を前記データ構造における構造化で用いられているような呼び緯度と呼び経度とに換算して、検索鍵を生成する手段と、
前記検索鍵により前記データ構造を検索して、前記検索鍵が示す呼び緯度および呼び経度を有するひとつの単位メッシュを特定し、前記データ構造から、前記ひとつの単位メッシュに対応づけられ決定されている一揃いの利用条件情報を取り出す手段と、
前記一揃いの利用条件情報を前記無線装置に送り出す手段と
を具備することを特徴とするデータベース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−175603(P2012−175603A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38023(P2011−38023)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)総務省委託「電波資源拡大のための研究開発」の一環、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(301022471)独立行政法人情報通信研究機構 (1,071)
【Fターム(参考)】