説明

無線通信システム、リピータ装置、無線通信端末および接続先関係付け方法

【課題】リピータ装置の数を増やすことなく、それぞれの無線通信システムに属する無線通信端末が、自機が属する無線通信システムに接続できるようにする。
【解決手段】リピータ装置2は、第1の無線通信部210を通じて複数の無線ネットワークのアクセスポイント装置と通信路を接続し、それらのアクセスポイント装置の識別情報を端末情報管理部238のメモリで管理する。第2の無線通信部220を通じて通信路を接続した無線通信端末から提供される情報に基づいて、AP情報制御部236が、端末情報管理部238のメモリのアクセスポイント装置の識別情報に対して、当該無線通信端末の識別情報を関係付け、これら関係付けた機器間のデータを中継する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、リピータ装置を用いて構成される無線通信システム、当該システムで用いられるリピータ装置、無線通信端末及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、無線LAN(Local Area Network)システムでは、無線通信端末とアクセスポイント装置との間で送受されるべき電波が、図24において点線矢印で示すように、パーティションや通路の角(通路の壁)などにより遮られる場合がある。また、図24に示したように障害物により電波が遮断される場合だけでなく、無線通信端末とアクセスポイント装置との間における通信が可能な距離を目的に合致するように確保したい場合もある。
【0003】
このような、無線通信端末とアクセスポイント装置との間における通信品質向上や通信距離の問題の解決のため、図24に示したように、無線通信端末とアクセスポイント装置との間にリピータ(Repeater)装置が設置されることがある。この場合のリピータ装置は、無線LANにおいて伝送される信号を中継するものであるが、単に中継するだけなく、伝送信号を再生する処理(増幅など再活性化する処理)を行なったりする場合もある。
【0004】
そして、リピータ装置については、種々の提案がなされている。例えば、後に記す特許文献1には、閉空間における不感知領域対策として設置されるリピータ装置において、設置コストが低く、かつ、処理遅延の小さい低コストの閉空間用リピータ装置に関する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−324383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年においては、無線LANシステムを利用し、ユーザが携帯型の無線通信端末を用いて電話通信を行うことができるようにした電話システム(無線ネットワークシステム)が、会社などにおいて構築されるようになってきている。無線LANシステムを利用した電話システムの場合、電話システム毎にアクセスポイント装置に割り当てられるIPアドレスやSSID(Service Set Identifier)等の接続情報(設定情報)が異なる。
【0007】
このため、立地的に離れている、例えばA棟とB棟とで別々の電話システムを構築している会社などの場合、リピータ装置を設けようとすれば、A棟に構築された電話システム用のものと、B棟に構築された電話システム用のものとを設ける必要がある。特に、A棟、B棟のそれぞれに構築された電話システムのそれぞれの無線通信端末が、自機が属する電話システムに接続可能な場所を形成する場合には、それぞれのシステム用のリピータ装置を設置する必要がある。より厳密に言えば、各電話システムのそれぞれのアクセスポイント装置毎に、リピータ装置を設ける必要が生じる場合がある。
【0008】
しかしこれでは、いたずらにリピータ装置の数が増え、各無線電話システムの構成が複雑になって管理し難くなるし、柔軟性のある電話システム(無線ネットワークシステム)を低コストで構築できない。
【0009】
以上のことに鑑み、この発明は、リピータ装置の数を増やすことなく、それぞれの無線通信システムに属する無線通信端末が、自機が属する無線通信システムに接続できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の無線通信システムは、
1以上の無線通信端末と無線接続されるリピータ装置を備えた無線通信システムであって、
前記リピータ装置は、
1以上の中継機器との間に通信路を接続して通信を行う第1の無線通信手段と、
前記第1の無線通信手段を通じて通信路を接続している1以上の前記中継機器のそれぞれから提供される前記中継機器の識別情報を記憶する接続先記憶手段と、
1以上の前記無線通信端末との間に通信路を接続して通信を行う第2の無線通信手段と、
前記第2の無線通信手段を通じて通信路を接続した前記無線通信端末からの当該無線通信端末が直前に通信路を接続していた前記中継機器の識別情報である前接続先情報を受け付ける受付手段と、
前記接続先記憶手段の記憶情報と、前記無線通信端末からの当該無線通信端末の識別情報と、受け付けた前記前接続先情報とに基づいて、通信路を接続した当該無線通信端末と接続先となるべき前記中継機器とを関係付ける関係付け手段と、
前記関係付け手段により関係付けられた前記無線通信端末と中継機器との間で通信を行うように制御する無線通信制御手段と
を備え、
前記無線通信端末は、
前記中継機器あるいは前記リピータ装置との間で通信を行うための無線通信手段と、
前記無線通信手段を通じて通信を行うようにしている前記中継機器の識別情報を保持し、前記無線通信手段を通じて新たに通信路を接続した場合に、当該通信路の接続先に前記前接続先情報を提供する提供手段と
を備えることを特徴とする。
【0011】
この請求項1に記載の発明の無線通信システムによれば、無線通信端末においては、無線通信手段を通じて、中継機器やリピータ装置との間で通信路が接続される。無線通信端末においては、当該無線通信端末が直前に通信路を接続していた中継機器の識別情報である前接続先情報が保持するようにされており、これが通信路を接続した相手先に対して、提供手段を通じて提供される。
【0012】
一方、リピータ装置においては、第1の無線通信手段を通じて通信路を接続した1以上の中継機器の識別情報が接続先記憶手段に記憶されている。リピータ装置において、第2の無線通信手段を通じて無線通信端末との間に通信路が接続されると、当該無線通信端末から提供される前接続先情報が、受付手段を通じて受け付けられる。そして、接続先記憶手段の記憶情報と、無線通信端末からの当該無線通信端末の識別情報と、受け付けられた前接続先情報とに基づいて、関係付け手段により、通信路を接続した当該無線通信端末と接続先となるべき中継機器とが関係付けられる。この後、関係付けられた当該無線通信端末と所定の通信先との間で通信を行うことができるように、無線通信制御手段により制御が行われる。
【0013】
これにより、1つのリピータ装置を介して、1以上の無線通信端末と1以上の中継機器とのそれぞれが、相互に適切な相手先との間で通信を行うことができるようにされる。したがって、リピータ装置を増やすことなく、異なる無線通信システムの通信エリアが重なり合う部分においても、それぞれの無線通信システムに属する無線通信端末が、適切に自機が属する無線通信システムに接続し、通信を行うことができるようにされる。
【0014】
また、請求項3に記載の発明の無線通信システムは、
1以上の無線通信端末と無線接続されるリピータ装置を備えた無線通信システムであって、
前記リピータ装置は、
1以上の中継機器との間に通信路を接続して通信を行う第1の無線通信手段と、
1以上の前記無線通信端末との間に通信路を接続して通信を行う第2の無線通信手段と、
1以上の前記中継機器のそれぞれと1以上の前記無線通信端末のそれぞれとを関係付けるためのそれぞれの識別情報を含む関係付け情報を予め記憶する設定情報記憶手段と、
前記第2の無線通信手段を通じて前記無線通信端末が通信路を接続した場合に、当該無線通信端末からの当該無線通信端末の識別情報と前記設定情報記憶手段の記憶情報とに基づいて、当該無線通信端末と前記中継機器とを関係付ける関係付け手段と、
前記関係付け手段により関係付けられた前記無線通信端末と前記中継機器との間で通信を行うように制御する無線通信制御手段と
を備え、
前記無線通信端末は、
前記中継機器あるいは前記リピータ装置との間で通信を行うための無線通信手段と、
前記無線通信手段を通じて前記中継機器あるいは前記リピータ装置との間に通信路を接続する場合に、自機の識別情報を通信路の接続先に提供する情報提供手段と
を備えることを特徴とする。
【0015】
この請求項3に記載の発明の無線通信システムによれば、無線通信端末においては、無線通信手段を通じて、中継機器やリピータ装置との間で通信路が接続される。この場合に、情報提供手段を通じて、自機の識別情報が通信路を接続した相手先に対して提供される。
【0016】
一方、リピータ装置においては、第1の無線通信手段を通じて接続可能な1以上の中継機器との間に通信路を接続することができると共に、第2の無線通信手段を通じて、1以上の無線通信端末との間にも通信路を接続することができるようにされる。そして、リピータ装置においては、自機に接続可能な1以上の中継機器のそれぞれと1以上の無線通信端末のそれぞれとを関係付けるためのそれぞれの識別情報を含む関係付け情報が予め設定情報記憶手段に記憶(設定)される。
【0017】
リピータ装置において、第2の無線通信手段を通じて無線通信端末との間に通信路が接続されると、当該無線通信端末から提供される当該無線通信端末の識別情報と、設定情報記憶手段の記憶情報とに基づいて、関係付け手段により、当該無線通信端末と中継機器とが関係付けられる。この後、無線通信制御手段により、当該無線通信端末と、これに関係付けられる中継機器との間で通信を行うことができるように中継が制御される。
【0018】
これにより、1つのリピータ装置を介して、1以上の無線通信端末と1以上の中継機器とのそれぞれが、相互に適切な相手先との間で通信を行うことができるようにされる。したがって、リピータ装置を増やすことなく、異なる無線通信システムの通信エリアが重なり合う部分においても、それぞれの無線通信システムに属する無線通信端末が、適切に自機が属する無線通信システムに接続し、通信を行うことができるようにされる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、リピータ装置の数を増やすことなく、それぞれの無線通信システムに属する無線通信端末を、その無線通信端末が属する無線通信システムに適切に接続することができる。構成が単純で管理のしやすい無線ネットワークシステムを構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施の形態の電話システムの構成例を説明する説明するためのブロック図である。
【図2】実施の形態の電話システムで用いられるアクセスポイント装置1を説明するためのブロック図である。
【図3】実施の形態の電話システムで用いられるリピータ装置2を説明するためのブロック図である。
【図4】実施の形態の電話システムで用いられる無線通信端末3を説明するためのブロック図である。
【図5】無線通信端末3Aが、アクセスポイント装置1Aからリピータ装置2にローミングする場合を説明するためのシーケンス図である。
【図6】アクセスポイント装置1Aにおいて通信路を接続する相手先が変わる毎に更新される端末情報管理部118のメモリの設定情報を説明するための図である。
【図7】リピータ装置2において通信路を接続する相手先が変わる毎に更新される端末情報管理部238のメモリの設定情報を説明するための図である。
【図8】無線通信端末3Aがローミングする場合の無線通信端末3Aにおける各機器についてアドレス設定を説明するための図である。
【図9】無線通信端末3Bが、アクセスポイント装置1Bからリピータ装置2にローミングする場合を説明するための図5に続くシーケンス図である。
【図10】アクセスポイント装置1Bにおいて通信路を接続する相手先が変わる毎に更新される端末情報管理部118のメモリの設定情報を説明するための図である。
【図11】リピータ装置2において通信路を接続する相手先が変わる毎に更新される端末情報管理部118、238のメモリの設定情報を説明するための図である。
【図12】無線通信端末3Aが最初にリピータ装置2に接続された場合について説明するためのシーケンス図である。
【図13】アクセスポイント装置1A、1Bにおいて通信路を接続する相手先が変わる毎に更新される端末情報管理部118のメモリの設定情報を説明するための図である。
【図14】リピータ装置2において通信路を接続する相手先が変わる毎に更新される端末情報管理部238のメモリの設定情報を説明するための図である。
【図15】無線通信端末3において、電源投入直後に実行される接続処理を説明するためのフローチャートである。
【図16】無線通信端末3において、次の接続先を探す場合に実行するローミング処理を説明するためのフローチャートである。
【図17】リピータ装置2において実行される処理を説明するためのフローチャートである。
【図18】第2の実施の形態のアクセスポイント装置1A、1B、無線通信端末3A、3B、リピータ装置2のそれぞれに設定される接続情報について説明するための図である。
【図19】第2の実施の形態の無線通信端末3Aが、アクセスポイント装置1Aからリピータ装置2にローミングする場合を説明するためのシーケンス図である。
【図20】第2の実施の形態の無線通信端末3Bが、アクセスポイント装置1Bからリピータ装置2にローミングする場合を説明するための図19に続くシーケンス図である。
【図21】第2の実施の形態のリピータ装置2において実行される処理を説明するためのフローチャートである。
【図22】リピータ装置2に接続される機器毎に接続情報等が異なる場合の第1の例について説明するための図である。
【図23】リピータ装置2に接続される機器毎に接続情報等が異なる場合の第2の例について説明するための図である。
【図24】従来の無線LANシステムの構成例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図を参照しながら、この発明のシステム、装置、方法の一実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態においては、無線LANを用いて形成される電話システムに、この発明のシステム、装置、方法を適用した場合を例にして説明する。また、以下に説明する電話システムにおいて用いられる無線LANは、例えば、IEEE802.11a、同802.11b/g規格に対応することができるもの、あるいは、その後継規格に対応することができるものである。
【0022】
[電話システムの概要]
図1は、以下に説明する実施の形態の電話システムの構成例を説明する説明するためのブロック図である。以下に説明する実施の形態の電話システムは、図1において点線で囲んで示したように、無線ネットワークAと無線ネットワークBとからなるものである。無線ネットワークAは、サーバ10に対し、ハブHBを介してアクセスポイント装置(図1ではAPと記載。)1Aが接続されて形成された部分である。また、無線ネットワークBは、サーバ10に対し、ハブHBおよびルータ20を介してアクセスポイント装置(図1ではAPと記載。)1Bが接続されて形成された部分である。
【0023】
サーバ10は、図1には図示しないが、他のIP(Internet Protocol)網に接続されており、無線ネットワークAのデフォルトゲートウェイとして用いられるものである。デフォルトゲートウェイは、所属するネットワークの外へアクセスする際に使用される「出入り口」の代表となる機能を実現するものである。すなわち、サーバ10は、無線ネットワークAから他のネットワークへアクセスする際の出入り口となるものである。
【0024】
ハブHBは、無線ネットワークにおけるいわゆる集線装置である。また、ルータ20は、無線ネットワークBを流れる信号を他の無線ネットワーク(この実施の形態においては無線ネットワークA)に中継する機器である。したがって、図1に示した電話システムの場合、ルータ20は、無線ネットワークBのデフォルトゲートウェイとして機能するものである。
【0025】
また、無線ネットワークAのアクセスポイント装置1A、および、無線ネットワークBのアクセスポイント装置1Bのそれぞれは、無線端末装置との間で通信を行うことにより、無線端末装置を各アクセスポイント装置が属する無線ネットワークに接続するためのものである。すなわち、アクセスポイント装置1A、1Bのそれぞれは、自機が属する無線ネットワークと無線端末装置とを接続する中継機器(電波中継機器)としての機能を実現するものである。
【0026】
また、無線端末装置3A、3Bは、詳しくは後述もするが、電話通信を可能にするための携帯型の音声端末装置として機能するものである。図1に示したように、無線通信端末3Aは、無線ネットワークAのアクセスポイント装置1Aに対して接続可能にされたものである。また、無線通信端末3Bは、無線ネットワークBのアクセスポイント装置1Bに対して接続可能にされたものである。
【0027】
そして、図1に示すように、この例において、サーバ10のIPアドレスは「192.168.1.1」であり、ハブHBを介してサーバ10に接続されるアクセスポイント装置1AのIPアドレスは、「192.168.1.XXX」となる。また、アクセスポイント装置1Aを通じて無線ネットワーク1に接続される無線端末装置3AのIPアドレスもまた、「192.168.1.XXX」となる。また、この実施の形態において、アクセスポイント装置1AのMAC(Media Access Control)アドレスは、「00:00:00:00:11」であり、無線通信端末3AのMACアドレスは、「00:00:00:00:AA」である。
【0028】
また、図1に示すように、ルータ20のIPアドレスは「192.168.2.1」であり、ルータ20に接続されるアクセスポイント装置1BのIPアドレスは、「192.168.2.XXX」となる。さらに、アクセスポイント装置1Bを通じて無線ネットワーク1に接続される無線端末装置3BのIPアドレスも「192.168.2.XXX」となる。そして、図1に示した例において、アクセスポイント装置1BのMACアドレスは、「00:00:00:00:22」であり、無線通信端末3BのMACアドレスは、「00:00:00:00:BB」である。
【0029】
なお、上述のIPアドレスの「XXX」の部分は、アクセスポイント装置や無線端末装置によって変えられることになる。また、図1において、アクセスポイント装置1AのIPアドレス「192.168.1.XXX」の下側とアクセスポイント装置1BのIPアドレス「192.168.2.XXX」の下側に示した文字列「255.255.255.0」は、アクセスポイントのサブネットマスクを示している。
【0030】
この例のサブネットマスクは、IPアドレスの内、前方24ビットをネットワークアドレスとして認識し、後方8ビットをホストアドレスとして認識するようにするものである。したがって、アクセスポイント1Aの場合を例にとれば、IPアドレスである「192.168.1.XXX」の内、前方24ビットの「192.168.1」部分までがネットワークアドレスであり、後方8ビットの「XXX」部分がホストアドレスとして認識するようにされる。
【0031】
また、図1において、点線のブロックで示したように、無線ネットワーク毎にDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバを設け、これによって、アクセスポイント装置や無線端末装置に対してIPアドレス等の情報を付与することもできる。DHCPサーバは、ネットワークに一時的に接続する機器に、IPアドレスなどの必要な情報を自動的に割り当てる機能を有するサーバ装置である。しかし、この実施の形態の電話システムにおいては、説明を簡単にするため、DHCPサーバは用いずに、例えば、サーバ10やルータ20によって、予め用意されているIPアドレスがアクセスポイント装置や無線端末装置に付与されるものとして説明する。
【0032】
そして、以下に説明する実施の形態の電話システムにおいては、図1に示したように、無線ネットワークAと無線ネットワークBとで共用可能なリピータ装置2を設けている。通常、無線ネットワークに用いられるリピータ装置は、無線ネットワーク毎に設けられ、当該無線ネットワークに属するアクセスポイント装置と無線通信端末との間の通信を可能にする。
【0033】
しかし、この実施の形態のリピータ装置2は、図1に示すように、無線ネットワークAのアクセスポイント装置1A及び無線ネットワークBのアクセスポイント装置1Bとの間で無線による通信路の接続が可能なものである。そして、リピータ装置2は、アクセスポイント装置1Aとの間で通信路の接続が可能にされた無線ネットワークAの無線通信端末3Aとの間で通信路を接続し、アクセスポイント装置1Aと無線通信端末3Aとの間の中継を行えるようにする。さらに、リピータ装置2は、アクセスポイント装置1Bとの間で通信路の接続が可能にされた無線ネットワークBの無線通信端末3Bとの間で通信路を接続し、アクセスポイント装置1Bと無線通信端末3Bとの間の中継も行えるようにしている。
【0034】
このように、この実施の形態のリピータ装置2は、異なる無線ネットワークの複数のアクセスポイント装置と、異なる無線ネットワークの複数の無線通信端末とのそれぞれと無線による通信路をする。そして、同じ無線ネットワークに属するアクセスポイント装置と無線通信端末とを関係付けて、それらの間で通信を行えるようにすることができるようにしている。
【0035】
そして、無線LANシステムにおいては、ある無線ネットワークのアクセスポイント装置に対して、これとは異なる無線ネットワークの無線通信端末が無制限に接続されることを防止する必要がある。このため、各アクセスポイント装置や無線通信端末には、所定の接続情報が予め設定され、同じ接続情報を有する機器間においてのみ通信路を接続することができるようにしている。なお、接続情報は、SSID、セキュリティ情報(暗号化方式を示す情報)、暗号キーなどからなるものである。
【0036】
したがって、図1に示した無線ネットワークAと無線ネットワークBとでは、SSID等の接続情報は異なるものとされる。しかし、無線ネットワークA内のアクセスポイント装置1Aと無線通信端末3Aには、同じSSID等からなる同じ接続情報が設定される。また、無線ネットワークB内のアクセスポイント装置1Bと無線通信端末3Bには、同じSSID等からなる同じ接続情報が設定される。さらに、リピータ装置2には、無線ネットワークA及び無線ネットワークBに接続可能にするため、無線ネットワークAで用いられるSSID等の接続情報と無線ネットワークBで用いられるSSID等の接続情報との両方が設定される。
【0037】
以下に、図1を用いて説明した電話システムを構成する、アクセスポイント装置1A、1B、リピータ装置2、無線通信端末3A、3Bの構成と基本的な動作について説明する。なお、図1に示した電話システムにおいて、アクセスポイント装置1A、1Bのそれぞれは、同様の構成を有し、同様の機能を実現するものである。このため、以下においては、特に区別して示す場合を除き、アクセスポイント装置1A、1Bを総称してアクセスポイント装置1と言う。同様に、無線通信端末3A、3Bのそれぞれは、同様の構成を有し、同様の機能を実現するものである。このため、以下においては、特に区別して示す場合を除き、無線通信端末3A、3Bを総称して無線通信端末3と言う。
【0038】
[アクセスポイント装置1の構成と動作概要]
まず、アクセスポイント装置1の構成例と動作について説明する。アクセスポイント装置1は、上述もしたように、無線通信端末を自機が属する無線ネットワークに接続する中継機器としての機能を実現するものである。
【0039】
図2は、この実施の形態の電話システムで用いられるアクセスポイント装置1を説明するためのブロック図である。図2に示すように、この実施の形態のアクセスポイント装置1は、デフォルトゲートウェイ(サーバ10やルータ20)に接続された有線LANへの接続端子101と、有線LANインターフェース(以下、有線LANI/Fと略称する。)102と、送信用処理回路103と、受信用処理回路104と、送信アンプ105と、受信アンプ106と、アンテナ共用器107と、送受信アンテナ108と、制御部110とを備えている。
【0040】
接続端子101は有線LANへの接続端部を構成するものである。有線LANI/F102は、有線LANを通じて供給され、接続端子101を通じて受け付けた自機宛ての信号を、自機において処理可能な形式の信号に変換し、これを制御部110に供給する。また、有線LANI/F102は、制御部110から供給される送信すべき信号を、有線LANに送出する形式の信号に変換し、これを有線LANに送出する。
【0041】
送受信アンテナ108は、無線接続される無線通信端末3との間でパケットの送受を行なうためのものである。また、アンテナ共用器107は、自機から送信する信号と自機が受信する信号とが影響を及ぼし合うことがないようにするためのものである。受信アンプ106は、受信したパケットを所定のレベルにまで増幅し、これを受信用処理回路104に供給するものである。受信用処理回路104は、受信したパケットを自機において処理可能な形式のパケットに変換し、これを制御部110に供給するものである。また、送信用処理回路103は、制御部110からのパケットから実際に送信する形式の送信用パケットを形成する。送信アンプ105は、送信用パケットを所定のレベルにまで増幅するものである。
【0042】
アクセスポイント装置1では、接続端子101および有線LANI/F102を通じて得たサーバ10からの送信用パケットを、制御部110の制御に応じて送信系が機能し、無線通信端末3に対して無線送信する。ここで、送信系は、送信用処理回路103、送信アンプ105、アンテナ共用器107、送受信アンテナ108からなる部分である。
【0043】
また、無線通信端末3等からの信号は、このアクセスポイント装置1の受信系を通じて受信され、制御部110に供給される。ここで、受信系は、送受信アンテナ108、アンテナ共用器107、受信アンプ106、受信用処理回路104からなる部分である。制御部110は、受信したパケットを、有線LANI/F102及び接続端子101を通じて有線LANに送出し、サーバ10やルータ20に送信する。
【0044】
制御部110は、マイクロコンピュータにより構成されるもので、例えば、図2に示すような構成とされる。すなわち、システムバス111を介して、CPU(Central Processing Unit)112に対し、ROM(Read only Memory)113と、RAM(Random Access Memory)114と、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)115と、パケット分解/生成部116と、設定情報管理部117と、端末情報管理部118と、有線接続I/F119とが接続されている。なお、有線接続I/F119は、外部接続端子120に接続されている。
【0045】
ここで、CPU112は、ROM113に記憶保持されているプログラムを実行することにより、各部を制御するための制御信号を生成して各部に供給したり、各部からの情報を処理したりするものである。ROM113は、上述のように、CPU112で実行される種々のプログラムや処理に必要となる種々のデータを記憶保持しているものである。
【0046】
また、RAM114は、処理の途中結果を一時記憶するなど、主に、作業領域として用いられるものである。また、EEPROM115は、いわゆる不揮発性メモリであり、電源が落とされても保持しておくべきデータ、例えば、種々の設定パラメータや機能アップのために提供された新たなプログラムなどについても記憶保持することができるようにされている。
【0047】
パケット分解/生成部116は、接続端子101および有線LANI/F102を通じて受信した自機宛てのパケットや受信系を通じて受信した自機宛てのパケットを分解して、制御部110や後述する端末情報管理部118等において利用できるようにする。また、パケット分解/生成部116は、自機から送出するデータをパケット化して送出するパケットを生成する機能を有する。なお、サーバ10と無線通信端末3との間で送受されるパケットについては、基本的にはパケットの分解や生成等を行うことなく、そのまま中継するようにされる。
【0048】
設定情報管理部117は、不揮発性メモリを備え、SSID、暗号化方式などを示すセキュリティ情報、暗号化や復号化に用いられる暗号キー等からなる接続情報、その他、通信に関する種々の設定情報を記憶保持して管理する。なお、設定情報自体は例えばEEPROM115に記憶して、これを設定情報管理部117が管理するように構成することも可能である。
【0049】
端末情報管理部118は、メモリを備え、当該アクセスポイント装置1との間で通信路を接続するようにしている機器のMACアドレス等を記憶保持して管理する。具体的に端末情報管理部118は、リピータ装置2等の接続機器や無線通信端末3等の配下端末となる機器が、当該アクセスポイント装置1との間に通信路を接続した場合に、これらの各機器のMACアドレス等の識別情報を管理する。
【0050】
有線接続I/F119及び接続端子120は、当該アクセスポイント装置1に対して、直接に外部機器を有線接続するためのものである。すなわち、有線接続I/F119は、接続端子120を通じて接続された外部機器からのデータを自機において処理が可能な形式に変換して取り込んだり、自機が当該外部機器に送信すべきデータを当該外部機器に送信する形式のデータに変換して当該外部機器に提供したりする。そして、制御部110の制御により、上述した有線LANI/F102等を通じてサーバ10と外部機器との間で通信を行ったり、上述した送信系や受信系を通じて無線通信端末3と外部機器との間で通信を行ったりすることもできるようにされる。
【0051】
その他の機能として、制御部110は、受信したパケットがマルチキャストか、ユニキャストかを判別したり、受信したパケットの種別(音声情報、データ、制御情報等)を判別したりして、それぞれのデータを適切に処理することができるようにしている。
【0052】
そして、アクセスポイント装置1は、直接に、あるいは、後述するリピータ装置2を介して、配下の無線通信端末3と通信路を接続し、当該無線通信端末3とサーバ10やルータ20との間の通信を中継する機能を実現する。
【0053】
[リピータ装置2の構成と動作概要]
次に、リピータ装置2の構成例と動作について説明する。リピータ装置2は、上述もしたように、異なる無線ネットワークの複数のアクセスポイント装置と、異なる無線ネットワークの複数の無線通信端末とのそれぞれと無線による通信路をする。そして、同じ無線ネットワークに属するアクセスポイント装置と無線通信端末とを関係付けて、それらの間で通信を行えるように中継することができるものである。このように、リピータ装置2は、アクセスポイント装置1と無線通信端末3との間を中継するものであるが、アクセスポイント装置1とは区別するために、リピータ装置と呼んでいる。
【0054】
なお、リピータ装置2は、アクセスポイント装置1及び無線通信端末3と無線により通信路を接続する。このためリピータ装置2は、送信系と受信系とからなる1つの無線通信部を備えることにより、アクセスポイント装置1とも、また、無線通信端末3とも通信路を接続することが可能である。しかし、以下においては、説明を簡単にするため、リピータ装置2は、アクセスポイント装置1と無線通信を行うための第1の無線通信部210と、無線通信端末3と無線通信を行うための第2の無線通信部220とを有するものとして説明する。
【0055】
図3は、以下に説明する実施の形態の電話システムで用いられるリピータ装置2を説明するためのブロック図である。図3に示すように、リピータ装置2は、アクセスポイント装置1と無線通信を行う第1の無線通信部210と、無線通信端末3と無線通信を行う第2の無線通信部220と、制御部230とを備えている。
【0056】
第1の無線通信部210は、送信用処理回路211と、受信用処理回路212と、送信アンプ213と、受信アンプ214と、アンテナ共用器215と、送受信アンテナ216を備えている。第2の無線通信部220は、送信用処理回路221と、受信用処理回路222と、送信アンプ223と、受信アンプ224と、アンテナ共用器225と、送受信アンテナ226を備えている。
【0057】
第1の無線通信部210の送受信アンテナ216は、無線接続されるアクセスポイント装置1との間でパケットの送受を行なうためのものである。第2の無線通信部220の送受信アンテナ226は、無線接続される無線通信端末3との間でパケットの送受を行なうためのものである。そして、第1の無線通信部210と第2の無線通信部220の対応する部分は、それぞれ同様の機能を実現する。
【0058】
すなわち、アンテナ共用器215、225は、自機から送信する信号と自機が受信する信号とが影響を及ぼし合うことがないようにするためのものである。受信アンプ214、224は、受信したパケットを所定のレベルにまで増幅し、これを対応する受信用処理回路212、222に供給するものである。受信用処理回路212、222は、受信したパケットを自機において処理可能な形式のパケットに変換し、これを制御部230に供給するものである。また、送信用処理回路211、221は、制御部230からのパケットから実際に送信する形式の送信用パケットを形成する。送信アンプ213、223は、送信用パケットを所定のレベルにまで増幅するものである。
【0059】
そして、第1の無線通信部210において、送信用処理回路211、送信アンプ213、アンテナ共用器215、送受信アンテナ216からなる部分が、第1の無線通信部の送信系を構成する。また、送受信アンテナ216、アンテナ共用器215、受信アンプ214、受信用処理回路212からなる部分が、第1の無線通信部210の受信系を構成する。同様に、第2の無線通信部220において、送信用処理回路221、送信アンプ223、アンテナ共用器225、送受信アンテナ226からなる部分が、第2の無線通信部の送信系を構成する。また、送受信アンテナ226、アンテナ共用器225、受信アンプ224、受信用処理回路222からなる部分が、第2の無線通信部220の受信系を構成する。
【0060】
そして、リピータ装置2では、第1の無線通信部210の受信系を通じて得たアクセスポイント装置1からの送信用パケットを、制御部230の制御に応じて、第2の無線通信部220の送信系が機能し、無線通信端末3に対して無線送信する。また、リピータ装置2では、第2の無線通信部220の受信系を通じて得た無線通信端末3からの送信用パケットを、制御部230の制御に応じて、第1の無線通信部210の送信系が機能し、アクセスポイント装置1に対して無線送信する。
【0061】
制御部230は、マイクロコンピュータにより構成されるもので、例えば、図3に示すような構成とされる。すなわち、システムバス231を介して、CPU232に対し、ROM233と、RAM234と、EEPROM235と、AP(Access Point)情報制御部236と、設定情報管理部237と、端末情報管理部238と、有線接続I/F239とが接続されている。なお、有線接続I/F239は外部接続端子240に接続される。
【0062】
ここで、CPU232は、ROM233に記憶保持されているプログラムを実行することにより、各部を制御するための制御信号を生成して各部に供給したり、各部からの情報を処理したりするものである。ROM233は、上述のように、CPU232で実行される種々のプログラムや処理に必要となる種々のデータを記憶保持しているものである。
【0063】
また、RAM234は、処理の途中結果を一時記憶するなど、主に、作業領域として用いられるものである。また、EEPROM235は、いわゆる不揮発性メモリであり、電源が落とされても保持しておくべきデータ、例えば、種々の設定パラメータや機能アップのために提供された新たなプログラムなどについても記憶保持することができるようにされている。
【0064】
AP情報制御部236は、後述する第1の実施の形態と第2の実施の形態とで異なる機能を実現する。すなわち、AP情報制御部236は、詳しくは後述するが、第1の実施の形態においては、無線通信端末3から送信されてくる当該無線通信端末3が直前に接続していたアクセスポイント装置1の識別情報である前AP情報に基づいて、当該無線通信端末3とアクセスポイント装置1との関係付けを行う。
【0065】
また、AP情報制御部236は、詳しくは後述するが、第2の実施の形態においては、当該リピータ装置2に設定されているアクセスポイント装置1と無線通信端末3とを関係付けるための設定情報と、無線通信端末3から提供される識別情報とに基づいて、当該無線通信端末3とアクセスポイント装置1との関係付けを行う。
【0066】
設定情報管理部237は、不揮発性メモリを備え、SSID、暗号化方式などを示すセキュリティ情報、暗号化や復号化に用いられる暗号キー等からなる接続情報、その他、通信に関する種々の設定情報を記憶保持して管理する。なお、設定情報自体は例えばEEPROM235に記憶して、これを設定情報管理部237が管理するように構成することも可能である。
【0067】
端末情報管理部238は、メモリを備え、当該リピータ装置2との間で通信路を接続するようにしている機器のMACアドレス等を記憶保持して管理する。具体的に端末情報管理部238は、アクセスポイント装置1等の接続機器や無線通信端末3等の配下端末が、当該リピータ装置2との間に通信路を接続した場合に、これらの各機器のMACアドレス等の識別情報を管理する。
【0068】
有線接続I/F239及び接続端子240は、当該リピータ装置2に対して、直接に外部機器を有線接続するためのものである。すなわち、有線接続I/F239は、接続端子240を通じて接続された外部機器からのデータを自機において処理が可能な形式に変換して取り込んだり、自機が当該外部機器に送信すべきデータを当該外部機器に送信する形式のデータに変換して当該外部機器に提供したりする。そして、制御部230の制御により、上述した第1の無線通信部210を通じてアクセスポイント装置1と外部機器との間で通信を行ったり、上述した第2の無線通信部220を通じて無線通信端末3と外部機器との間で通信を行ったりすることもできるようにされる。
【0069】
このような構成を有するリピータ装置2は、アクセスポイント装置1と無線通信端末3との間の通信を中継する。そして、リピータ装置2は、主にAP情報制御部236の機能により、図1を用いて説明したように、異なる無線ネットワークシステムに属する複数の無線通信端末3を、それら無線通信端末3が属する無線ネットワークシステムのアクセスポイント装置1に対して適切に接続することができるようにしている。
【0070】
[無線通信端末3の構成と動作概要]
次に、無線通信端末3の構成例と動作について説明する。図4は、以下に説明する実施の形態の電話システムで用いられる無線通信端末3を説明するためのブロック図である。図4に示すように、無線通信端末3は、アクセスポイント装置1やリピータ装置2との間で通信を行う部分として、送受信アンテナ301、アンテナ共用器302、受信アンプ303、受信処理回路304、送信処理回路305、送信アンプ306を備えている。
【0071】
ここで、アンテナ共用器302は、自機から送信する信号と自機が受信する信号とが影響を及ぼし合うことがないようにするためのものである。受信アンプ303は、送受信アンテナ301及びアンテナ共用器302を通じて受信したパケットを所定のレベルにまで増幅し、これを受信用処理回路304に供給するものである。受信用処理回路304は、受信アンプ303からのパケットを自機において処理可能な形式のパケットに変換し、これを制御部320に供給するものである。
【0072】
また、送信用処理回路305は、制御部320からのパケットから実際に送信する形式の送信用パケットを形成し、これを送信アンプ306に供給する。送信アンプ306は、送信用処理回路305からの送信用パケットを所定のレベルにまで増幅する。送信アンプ306で増幅されたパケットは、アンテナ共用器302及び送受信アンテナ301を通じて送信されることになる。
【0073】
また、無線通信端末3は、ユーザが通話を行う部分として、音声データ入出力インターフェース(以下、音声データ入出力I/Fと略称する。)307、受話アンプ308、受話器(スピーカ)309、送話器(マイクロホン)310、送話アンプ311を備えている。
【0074】
さらに、無線通信端末3は、制御部320を備えている。制御部320は、マイクロコンピュータにより構成されるもので、例えば、図4に示すような構成とされる。すなわち、システムバス321を介して、CPU322に対し、ROM323と、RAM324と、EEPROM325と、パケット分解/生成部326と、設定情報管理部327と、前AP情報送信処理部328とが接続されている。
【0075】
CPU322は、ROM323に記憶保持されているプログラムを実行することにより、各部を制御するための制御信号を生成して各部に供給したり、各部からの情報を処理したりするものである。ROM323は、上述のように、CPU322で実行される種々のプログラムや処理に必要となる種々のデータを記憶保持しているものである。また、RAM324は、処理の途中結果を一時記憶するなど、主に、作業領域として用いられるものである。
【0076】
EEPROM325は、いわゆる不揮発性メモリであり、電源が落とされても保持しておくべきデータ、例えば、種々の設定パラメータや機能アップのために提供された新たなプログラムなどについても記憶保持することができるようにされている。
【0077】
パケット分解/生成部326は、受信系を通じて受信した自機宛てのパケットを分解して、制御部320等において利用できるようにする。ここで、受信系は、送受信アンテナ301、アンテナ共用器302、受信アンプ303、受信用処理回路304からなる部分である。また、パケット分解/生成部326は、自機からパケット化して送出するパケットを生成する機能を有する。
【0078】
設定情報管理部327は、不揮発性メモリを備え、SSID、暗号化方式などを示すセキュリティ情報、暗号化や復号化に用いられる暗号キー等からなる接続情報、その他、通信に関する種々の設定情報を記憶保持して管理する。なお、設定情報自体は例えばEEPROM325に記憶して、これを設定情報管理部327が管理するように構成することも可能である。
【0079】
前AP情報送信処理部328は、メモリを備え、直前に接続していたアクセスポイント装置1の識別情報(MACアドレス)である前AP情報を記憶保持し、新たにアクセスポイント装置1やリピータ装置2と接続した場合に、これを通知するメッセージを形成する。当該メッセージは、パケット分解/生成部362においてパケット化され、送信系を通じて通信路の接続先に送信される。ここで、送信系は、送信用処理回路305、送信アンプ306、アンテナ共用器302、送受信アンテナ301からなる部分である。なお、後述する第2の実施の形態の場合には、前AP情報は用いないものであるので、図4において点線で囲んで示した前AP情報送信処理部328を無線通信端末3に設ける必要はないようにされる。
【0080】
また、制御部320には、ユーザインターフェイスを構成する部分として、キー操作部331、LED(Light Emitting Diode)制御部332、LCD(Liquid Crystal Display)制御部334、音声処理部336が接続されている。そして、LED制御部332にはLED群333が、LCD制御部334にはLCD335が、また、音声処理部336にはスピーカ337が接続されている。
【0081】
ここで、キー操作部331は、いわゆるテンキー(数字キー)や複数のファンクションキーなどを備え、ユーザからの操作入力を受け付けるものである。LED群333は、複数のLEDを備え、LED制御部332の制御に応じて、オフフック状態、サーバ10に収容された外線の利用状態、その他の種々の状態を示すためのものである。LCD335は、LCD制御部334の制御に応じて、着信時に相手先の電話番号を表示したり、発信時に相手先の電話番号を表示したり、通話時間を表示したりする。また、LCD335は、LCD制御部334の制御に応じて、待ち受け状態にある場合には、図示しない時計回路が提供する現在時刻を表示するなど、種々の情報を表示するものである。スピーカ337は、音声処理部336で処理されたアナログ音声信号の供給を受けて、これに応じた音声(着信音やアラーム音)を放音するなどのことができるものである。
【0082】
そして、アクセスポイント装置1やリピータ装置2からのパケットは、受信系を通じて制御部320に供給される。制御部320は、アクセスポイント装置1やリピータ装置2からのパケットをパケット分解/生成部326において分解し、その内容を把握する。アクセスポイント装置1やリピータ装置2からのパケットが通信の相手先からの音声データである場合には、制御部320は、これを音声データ入出力I/F307に供給する。
【0083】
音声データ入出力I/F307は、これに供給された音声データからアナログ音声信号を形成し、これを受話アンプ308を通じてスピーカ309に供給する。これにより、相手先からの音声データに応じた音声がスピーカ309から放音され、無線通信端末3のユーザがこれを聴取することができるようにされる。
【0084】
一方、無線通信端末3のユーザが発する音声は、マイクロホン310により集音され、これがアナログ音声信号として、送話アンプ311を通じて音声データ入出力I/Fに供給される。音声データ入出力I/F307は、これに供給されたアナログ音声信号をデジタル音声データに変換して、これを制御部320に供給する。
【0085】
制御部320は、音声データ入出力I/F307からの音声データをパケット分解/生成部326においてパケット化し、これを送信系を通じてアクセスポイント装置1やリピータ装置2に送信する。これにより、当該音声パケットは、アクセスポイント装置1から、あるいは、リピータ装置2及びアクセスポイント装置1からサーバ10に送信され、サーバ10を通じて通話の相手先に送信される。
【0086】
また、上述したように、自機において受信され、制御部320のパケット分解/生成部326において分解されたパケットが、自機宛ての制御情報である場合には、制御部320は、当該制御情報に応じて各部を制御する。例えば、アクセスポイント装置1やリピータ装置2からの当該制御情報が、サーバ10の外線の使用状況の通知である場合には、制御部320は、LED制御部332を制御し、使用されている外線に対応するLEDを点灯させるなどの処理を行う。また、アクセスポイント装置1やリピータ装置2からの当該制御情報が、自機への着信を通知するものである場合には、制御部320は、LCD制御部334を制御して、LCD335に発呼元の電話番号を表示したり、音声処理部336に着信音データを供給して、スピーカ337から着信音を放音させたりする。
【0087】
そして、自機に着信がある場合に、ユーザがキー操作部331を通じてオフフック操作した時には、制御部320は、応答メッセージを形成する。この応答メッセージは、パケット分解/生成部326において、パケット化され、これが、送信系を通じてアクセスポイント装置1やリピータ装置2を通じてアクセスポイント装置1に送信される。そして、当該応答メッセージは、アクセスポイント装置1からサーバ10に送信され、サーバ10から発信元の端末に送信されて、通信回線が接続するようにされ、上述したように、音声パケットの送受が行われて通話が行うようにされる。
【0088】
また、キー操作部331を通じて相手先の電話番号を入力し、自機から発呼を行うようにした場合には、制御部320は、当該相手先の電話番号を含む発呼メッセージを生成する。この発呼メッセージは、パケット分解/生成部326において、パケット化され、これが、送信系を通じてアクセスポイント装置1に、あるいは、リピータ装置2を通じてアクセスポイント装置1に送信される。
【0089】
当該発呼メッセージは、アクセスポイント装置1からサーバ10に送信され、サーバ10から目的とする相手先の端末に送信される。そして、相手先のユーザがオフフック操作を行って着信に応答するようにしたときには、応答メッセージが送信されてくる。これに応じて、無線通信端末3及びアクセスポイント装置1は、さらには無線通信端末3とアクセスポイント装置1との間にリピータ装置2を介在させて、通信回線を接続するようにする。これにより、上述したように、音声パケットの送受が行われて通話が行うようにされる。
【0090】
このように、制御部320は、自機の状態を管理して、通話や発着信などを制御する端末状態管理部としての機能と、LED(ランプ)制御、LCDへの表示制御、アラーム音や音声メッセージの出力制御などを行う端末制御部としての機能をも実現している。
【0091】
そして、この実施の形態の無線通信端末3が、当該無線通信端末3を持つユーザが移動するなどして、別のアクセスポイント装置1やリピータ装置2にローミングするようにしたとする。この場合、以下に説明する第1の実施の形態の無線通信端末3は、直前に通信路を接続していたアクセスポイント装置1の識別情報である前AP情報を新たな接続先に送信して、接続先がリピータ装置2である場合に、接続先となるべきアクセスポイント装置1を通知する。また、以下に説明する第2の実施の形態の無線通信端末3は、自機の識別情報(MACアドレス等)を新たな接続先に送信し、接続先がリピータ装置2である場合に、当該リピータ装置2において、当該リピータ装置2の設定情報を考慮して、接続先となるべきアクセスポイント装置1を特定することができるようにしている。
【0092】
以下に、より具体的な実施の形態として、第1、第2の実施の形態について説明する。以下に説明する第1、第2の実施の形態においては、図1に示したように、電話システムである無線ネットワークシステムA、Bが隣接して形成され、それぞれに属する無線通信端末3A、3Bが、アクセスポイント装置1A、1Bからリピータ装置2にローミングする場合を例にして説明する。なお、ローミングは、無線通信端末3が通信路を接続するアクセスポイント装置1やリピータ装置2を変更すること、すなわち、無線通信端末3が同じシステム内のアクセスポイント装置1間を渡り歩けるようにする機能を意味する。
【0093】
そして、以下に説明する第1、第2の実施の形態においては、基本的に、アクセスポイント装置1、リピータ装置2、無線通信端末3は、図2〜図4を用いて説明した構成を有するものである。しかし、以下に後述するが、第2の実施の形態における無線通信端末3は、図4において、点線で囲んで示した前AP情報送信処理部328は備えないものである。
【0094】
[第1の実施の形態](図5〜図17)
まず、この発明の第1の実施の形態について説明する。この第1の実施の形態は、リピータ装置2が、無線通信端末3から提供される当該無線通信端末3が直前に接続していたアクセスポイント装置1の識別情報である前AP情報に基づいて、当該無線通信端末3とアクセスポイント装置1との関係付けを行うようにするものである。
【0095】
以下においては、まず、図5〜図8を用いて、無線ネットワークシステムAに属する無線通信端末3Aが、アクセスポイント装置1Aからリピータ装置2にローミングする場合を説明する。この後、図9〜図11を用いて、無線ネットワークシステムBに属する無線通信端末3Bが、アクセスポイント装置1Bからリピータ装置2にローミングする場合を説明する。
【0096】
[無線通信端末3Aのローミング]
図5は、この第1の実施の形態において、無線ネットワークシステムAに属する無線通信端末3Aが、アクセスポイント装置1Aからリピータ装置2にローミングする場合を説明するためのシーケンス図である。図6、図7は、アクセスポイント装置1A、リピータ装置2において通信路を接続する相手先が変わる毎に更新される端末情報管理部118、238のメモリに設定される設定情報(接続先情報)を説明するための図である。また、図8は、無線通信端末3Aがローミングする場合の無線通信端末3Aにおける各機器についてアドレス設定を説明するための図である。
【0097】
この第1の実施の形態においては、図5の左上端側に示すように、まず、アクセスポイント装置1Aとリピータ装置2との間が無線接続状態となるようにされる。この場合のアクセスポイント装置1Aの端末情報管理部118のメモリには、図6(a)の設定A−1に示すように接続機器として、通信路を接続したリピータ装置2の識別情報(MACアドレス)が設定される。また、リピータ装置2の端末情報管理部238のメモリには、図7(a)の設定2−1に示すように接続されたアクセスポイント装置を示す中継機器(AP)情報としてアクセスポイント装置1AのMACアドレス(00:00:00:00:11)が設定される。
【0098】
なお、この明細書においては、説明を簡単にするため、リピータ装置2の処理等を説明する場合には、図7に示すように、リピータ装置2に接続される機器の実際のMACアドレスとその機器の略称を用いる。ここで機器の略称は、例えば、アクセスポイント装置1Aは「AP1A」と、無線通信端末3Aは「端末3A」と示すものである。また、アクセスポイント装置1A、1Bにおける処理等を説明する場合には、例えば、図6に示すように、リピータ装置2や無線通信端末3の実際のMACアドレスの記載は省略し、その機器の名称や略称のみを示すこととする。
【0099】
さらに、図5の右上端側に示すように、アクセスポイント装置1Bとリピータ装置2との間も無線接続状態となるようにされる。この場合における、アクセスポイント装置1Bの端末情報管理部118のメモリには、後述もするが、図6(a)に示したアクセスポイント装置1Aの場合と同様に、接続機器として、通信路を接続したリピータ装置2の識別情報(MACアドレス)が設定される。また、リピータ装置2の端末情報管理部238のメモリには、図7(b)の設定2−2に示すように接続されたアクセスポイント装置を示す中継機器(AP)情報としてアクセスポイント装置1BのMACアドレス(00:00:00:00:22)が、既に無線通信状態となっているアクセスポイント装置1AのMACアドレスに加えて設定される。
【0100】
図7(b)の設定2−2に示したように、リピータ装置2には、異なる無線ネットワークA、Bそれぞれのアクセスポイント装置1A、1Bが接続され、これらの機器との間で無線接続状態になっていることが、端末情報管理部238の機能により管理される。
【0101】
なお、アクセスポイント装置1A、1Bとリピータ装置2との間の接続処理は、後述するアクセスポイント装置1Aと無線通信端末3Aとの間で通信路を接続する場合と同様の接続シーケンスを経て接続される。その詳細は後述するが、基本的に、通信路を接続する機器のそれぞれに対して予め設定されるSSID等の接続情報を用い、相互に接続可能な機器か否かの認証を取り合って通信路が接続される。
【0102】
また、別の接続方法として、通信路を接続可能にする機器間にお互いのMACアドレスを登録しておくようにし、当該MACアドレスを用いて接続可能な機器か否かの認証を取り合って、通信路を接続するようにすることも可能である。しかし、この明細書においては、説明を簡単にするため、SSID等の接続情報を用いて通信路を接続する前者の方法が用いられて、各機器間で通信路が接続され、無線接続状態になるものとする。
【0103】
そして、図5の左上側に示すように、無線通信端末3Aとアクセスポイント装置1Aとの間で所定の接続シーケンスを実行し、無線通信端末3Aとアクセスポイント装置1Aとの間が無線接続状態になったとする。この場合の所定の接続シーケンスは、まずクライアントである無線通信端末3Aが、自機に設定されているSSID等を含むプローブリクエスト(Probe Request)を送信し、周辺に位置する同じSSID等が設定されたアクセスポイント装置からの応答を求める。これに対して、同じSSID等の接続情報を有するアクセスポイント装置1Aが、プローブレスポンス(Probe Response)を送信することにより、無線通信端末3Aは周辺に位置する接続可能なアクセスポイント装置1Aの存在を認識することができる。
【0104】
この後、プローブリクエストを送信した無線通信端末3Aとプローブレスポンスを送信してきたアクセスポイント装置1Aとの間で、SSID等の接続情報を含む情報の送受を行って相互に認証(Authentication)を取るようにする。当該認証処理の概要を示せば、無線通信端末3Aとアクセスポイント装置1Aとが同じSSIDを有し、無線通信端末3Aとアクセスポイント装置1Aとが接続可能か否かを相互に判別するものである。
【0105】
相互に認証が取れると、無線通信端末3Aは、SSID等を含む接続要求(Association Request)をアクセスポイント装置1Aに送信する。これに応じて、アクセスポイント装置1Aが、無線通信端末3Aの接続を許可する場合には、SSID等を含む接続応答(Association Response)を無線通信端末3Aに送信する。これにより、アクセスポイント装置1Aと無線通信端末3Aとの間に通信路が接続され、無線接続状態となる。このように、プローブ(Probe)→オーセンティケーション(Authentication)→アソシエイション(Association)という一連の接続処理(接続手続)を、この明細書においては、所定の接続シーケンスという。
【0106】
このようにして、アクセスポイント装置1Aと無線通信端末3Aとが無線接続状態になると、アクセスポイント装置1Aの端末情報管理部118のメモリには、図6(b)の設定A−2に示すように接続機器として、通信路を接続した無線通信端末3Aの識別情報(MACアドレス)が設定される。したがって、アクセスポイント装置1Aは、リピータ装置2との間で通信路が接続されると共に、無線通信端末3Aとの間においても通信路が接続されたことを把握し、これを管理することができる。
【0107】
そして、アクセスポイント装置1Aとの間で無線接続状態になった無線通信端末3Aにおけるアドレス設定は、図8(a)のアドレス設定1に示すように設定される。すなわち、宛先アドレスは、通信の相手先となる実際の宛先のアドレス(IPアドレス等)となる。また、送信元アドレスは、当該無線通信端末3Aのアドレス(IPアドレス等)となる。また、BSSIDは、無線通信端末3Aが無線接続されることにより、当該無線通信端末3AとBSS(Basic Service Set)を構成するアクセスポイント装置1Aのアドレス(MACアドレス)となる。なお、宛先アドレスと送信元アドレスとは、送信元と宛先とで反対になる。
【0108】
そして、この場合に、無線通信端末3Aは、BSSID(ここでは、アクセスポイント装置1AのMACアドレス)を前AP情報(前接続先情報)として、例えば、前AP情報送信処理部328内のメモリに保持する。すなわち、図5において、無線通信端末3Aのブロックの横に「前AP」として示したように、無線通信端末3Aにおいて、現在、無線接続されているアクセスポイント装置は、アクセスポイント装置1Aであることが把握され、管理される。このようにして、前AP情報送信処理部328内のメモリに保持される前AP情報が、無線通信端末3Aがアクセスポイント装置1Aとの通信路を切断した直後においては、直前に通信路を接続していたアクセスポイント装置1を示す(特定する)情報となる。
【0109】
この後、図5に示すように、無線通信端末3Aを持つユーザが移動し、無線通信端末3Aが、アクセスポイント装置1Aと通信可能な範囲からはずれ(アクセスポイント装置1Aの通信圏外となり)、リピータ装置2と通信可能なエリア(リピータ装置2の通信圏内)に移動したとする。
【0110】
この場合、無線通信端末3Aがアクセスポイント装置1Aから離れるにしたがって、通信路を接続していた無線通信端末3Aとアクセスポイント装置1Aとの間の通信感度が徐々に低下していく。そして、無線通信端末3Aは、通信感度(例えば、受信電界強度)が所定値以下になった場合にローミングを行うが、このときに、通信切断メッセージ(Deauthentication)をアクセスポイント装置1Aに送信する。これにより、アクセスポイント装置1Aと無線通信端末3Aとの間の通信路が切断される。そして、アクセスポイント装置1Aの端末情報管理部118のメモリには、図6(c)の設定A−3に示すように接続機器として設定されていた無線通信端末3Aの識別情報(MACアドレス)が削除される。したがって、この場合に、アクセスポイント装置1Aとの間で通信路が接続されているのは、リピータ装置2だけとなる。
【0111】
この後、リピータ装置2の通信圏内に入った無線通信端末3Aが、プローブリクエスト(Probe Request)を送信すると、リピータ装置2がプローブレスポンス(Probe Response)を送信してくることになる。したがって、無線通信端末3Aは、図5の右下側に示すように、今度は、リピータ装置2との間で上述した所定の接続シーケンスを実行し、リピータ装置2との間に通信路を接続して、無線接続状態となる。
【0112】
そして、リピータ装置2の端末情報管理部238のメモリには、図7(c)の設定2−3に示すように接続された無線通信端末3Aを示す端末情報として無線通信端末3AのMACアドレス(00:00:00:00:AA)が、既に無線通信状態となっているアクセスポイント装置1A、1BのMACアドレスに加えて設定される。この場合、リピータ装置2においては、無線通信端末3Aはアクセスポイント装置ではなく、接続端末として端末情報によって管理される。
【0113】
すなわち、リピータ装置2は、自機との間に通信路を接続した相手先が、アクセスポイント装置か無線通信端末かを区別して管理することができる。当該区別は、自機からプローブリクエストを送信して通信路を接続した相手先はアクセスポイント装置などのサーバ側の機器であり、自機がプローブリクエストを受信して通信路を接続した相手先はクライアント側の無線通信端末であるとして区別することができる。
【0114】
また、別の区別方法として、送受されるデータに機器の種別を示す情報が含まれている場合には、当該機器の種別を示す情報によって区別することもできる。また、各機器のMACアドレスと機器の種別とを予めリピータ装置2に設定しておくことにより、当該設定情報と、通信路を接続した機器から送信されてくるMACアドレスとによって、機器の種別を判別するように構成することもできる。
【0115】
そして、リピータ装置2との間で無線接続状態になった無線通信端末3Aにおけるアドレス設定は、図8(b)のアドレス設定2に示すように設定される。すなわち、宛先アドレスは、通信の相手先となる実際の宛先のアドレス(IPアドレス等)となる。また、送信元アドレスは、当該無線通信端末3Aのアドレス(IPアドレス等)となる。また、BSSIDは、無線通信端末3Aが無線接続されることにより、当該無線通信端末3AとBSS(Basic Service Set)を構成するリピータ装置2のアドレス(MACアドレス)となる。なお、宛先アドレスと送信元アドレスとは、送信元と宛先とで反対になる。
【0116】
そして、図5を用いて上述したように、リピータ装置2は、無線ネットワークAのアクセスポイント装置1Aとも、また、無線ネットワークBのアクセスポイント装置1Bとも無線接続状態になっている。このため、このままでは、リピータ装置2は、無線接続状態になった無線通信端末3Aを、アクセスポイント装置1Aに接続するのか、アクセスポイント装置1Bに接続するのかを特定することができない。
【0117】
そこで、この第1の実施の形態において、無線通信端末3Aは、自機がローミングを行って、通信路の接続先を替えた場合に、前AP情報送信処理部328は、自己のメモリに保持している前AP情報をリピータ装置2に送信するようにする。すなわち、無線通信端末3Aは、リピータ装置2との間に通信路を接続し、無線接続状態となると、図5において二重線の矢印で示したように、前AP情報(この場合はアクセスポイント装置1AのMACアドレス)をリピータ装置2に送信する。これによって、リピータ装置2は、自機との間で無線接続状態になった無線通信端末3Aが直前に通信路を接続していたアクセスポイント装置1は、無線ネットワークAのアクセスポイント装置1Aであることを特定(認識)することができる。
【0118】
この場合、リピータ装置2は、AP情報制御部236が機能し、特定したアクセスポイント装置1Aと無線通信端末3Aとを関係付ける。具体的に、AP情報制御部236は、端末情報管理部238を制御し、図7(d)の設定2−4に示すように、アクセスポイント装置1Aの配下の端末として無線通信端末3Aを関係付けるように設定を変える。すなわち、AP情報制御部236は、図7(c)に示した設定2−3の状態から図7(d)に示した設定2−4の状態に、端末情報管理部238のメモリの設定情報を変更する。
【0119】
これにより、リピータ装置2においては、リピータ装置2との間で新たに無線接続状態になった無線通信端末3Aは、無線ネットワークAのアクセスポイント装置1Aの配下の端末として認識することができる。そして、リピータ装置2は、端末情報管理部238の図7(d)に示した端末情報に基づいて、図5の下端側に示すように、無線通信端末3Aから送信されたデータは、アクセスポイント装置1Aに送信するように中継制御することができるようにされる。
【0120】
この場合、アクセスポイント装置1Aの端末情報管理部118のメモリには、リピータ装置2からの通知情報に基づいて、図6(d)の設定A−4に示すように配下の無線通信端末3Aの識別情報(MACアドレス)が設定される。これにより、アクセスポイント装置1Aにおいても、リピータ装置2を介して配下の無線通信端末3Aが接続されたことが把握される。
【0121】
そして、アクセスポイント装置1Aと無線通信端末3Aとを関係付けたリピータ装置2におけるアドレス設定は、図8(c)のアドレス設定3に示すように設定される。すなわち、宛先アドレスは、通信の相手先となる実際の宛先のアドレス(IPアドレス等)となる。また、送信元アドレスは、当該無線通信端末3Aのアドレス(IPアドレス等)となる。そして、中継機器の宛先はアクセスポイント装置1Aのアドレス(MACアドレス)となり、中継機器の送信元がリピータ装置2のアドレス(MACアドレス)となる。
【0122】
このように、この第1の実施の形態のリピータ装置2は、アクセスポイント装置1Aとの間で通信路が接続されていると共に、アクセスポイント装置1Bとの間でも無線接続状態になっている場合に、ローミングしてきて無線通信端末3Aを適切にアクセスポイント装置1Aに接続するようにすることができる。そして、リピータ装置2は、アクセスポイント装置1Aと無線通信端末3Aとの間で送受されるデータを適切に中継処理することができるようにされる。
【0123】
[無線通信端末3Bのローミング]
次に、上述したように、無線通信端末3Aがアクセスポイント装置1Aからリピータ装置2にローミングした後に、今度は、無線通信端末3Bが、アクセスポイント装置1Bからリピータ装置2にローミングする場合について説明する。
【0124】
図9は、この第1の実施の形態において、無線ネットワークシステムBに属する無線通信端末3Bが、アクセスポイント装置1Bからリピータ装置2にローミングする場合を説明するためのシーケンス図であり、図5に示したシーケンス図に続くものである。図10、図11は、アクセスポイント装置1B、リピータ装置2において通信路を接続する相手先が変わる毎に更新される端末情報管理部118、238のメモリに設定される設定情報(接続先情報)を説明するための図である。
【0125】
図5を用いて説明したように、無線通信端末3Aがアクセスポイント装置1Aからリピータ装置2にローミングするようにした後、今度は、図9の右上側に示すように、無線ネットワークBの無線通信端末3Bがアクセスポイント装置1Bに対して所定の接続シーケンスを開始したとする。この場合、アクセスポイント装置1Bは無線ネットワークBに属するものであるので、アクセスポイント装置1Bと無線通信端末3Bとの間には通信路が接続され、無線接続状態となる。
【0126】
また、図5を用いて上述したように、リピータ装置2とアクセスポイント装置1Bとの間にも既に通信路が接続されており、両機器間も既に無線接続状態となっている。このため、上述もし、また、図10(a)の設定B−1に示すように、アクセスポイント装置1Bの端末情報管理部118のメモリには、接続機器として、リピータ装置2の識別情報(MACアドレス)が設定されている。そして、今度は、アクセスポイント装置1Bと無線通信端末3Bとが無線接続状態となった。このため、アクセスポイント装置1Bの端末情報管理部118のメモリには、図10(b)の設定B−2に示すように接続機器として、通信路を接続した無線通信端末3Bの識別情報(MACアドレス)が設定される。これにより、アクセスポイント装置1Bは、リピータ装置2との間で通信路が接続されると共に、無線通信端末3Bとの間においても通信路が接続されたことを把握し、これを管理することができる。
【0127】
そして、アクセスポイント装置1Bとの間で無線接続状態になった無線通信端末3Bにおけるアドレス設定は、図8(a)に示したアドレス設定1と同じような態様で設定されるが、具体的には、以下のようになる。この場合、宛先アドレスは、通信の相手先となる実際の宛先のアドレス(IPアドレス等)、送信元アドレスは、当該無線通信端末3Bのアドレス(IPアドレス等)、BSSIDは、無線通信端末3Bが無線接続されたアクセスポイント装置1Bのアドレス(MACアドレス)となる。なお、宛先アドレスと送信元アドレスとは、送信元と宛先とで反対になる。
【0128】
したがって、無線通信端末3Bにおいては、BSSID(ここでは、アクセスポイント装置1BのMACアドレス)を前AP情報(前接続先情報)として、例えば、前AP情報送信処理部328内のメモリに保持する。すなわち、図9において、無線通信端末3Bのブロックの横に「前AP」として示したように、無線通信端末3Bにおいて、現在、無線接続されているアクセスポイント装置は、アクセスポイント装置1Bであることが把握され、管理される。このようにして、前AP情報送信処理部328内のメモリに保持される前AP情報が、無線通信端末3Bがアクセスポイント装置1Bとの通信路を切断した直後においては、直前に通信路を接続していたアクセスポイント装置1を示す(特定する)情報となる。
【0129】
この後、図9に示すように、無線通信端末3Bを持つユーザが移動し、無線通信端末3Bが、アクセスポイント装置1Bと通信可能な範囲からはずれ(アクセスポイント装置1Bの通信圏外となり)、リピータ装置2と通信可能なエリア(リピータ装置2の通信圏内)に移動したとする。
【0130】
この場合、上述した無線通信端末3Aの場合と同様に、無線通信端末3Bは、通信感度(例えば、受信電界強度)が所定値以下になった場合にローミングを行うが、このときに、通信切断メッセージ(Deauthentication)をアクセスポイント装置1Bに送信する。これにより、アクセスポイント装置1Bと無線通信端末3Bとの間の通信路が切断される。そして、アクセスポイント装置1Bの端末情報管理部118のメモリには、図10(c)の設定B−3に示すように接続機器として設定されていた無線通信端末3Aの識別情報(MACアドレス)が削除される。したがって、この場合に、アクセスポイント装置1Bとの間で通信路が接続されているのは、リピータ装置2だけとなる。
【0131】
この後、無線通信端末3Bがプローブリクエスト(Probe Request)を送信すると、無線通信端末3Bは、リピータ装置2の通信圏内に入ったので、リピータ装置2がプローブレスポンス(Probe Response)を送信してくることになる。したがって、無線通信端末3Bは、図9の左下側に示すように、今度は、リピータ装置2との間で上述した所定の接続シーケンスを実行し、リピータ装置2との間に通信路を接続して、無線接続状態となる。
【0132】
そして、リピータ装置2の端末情報管理部238のメモリには、図11(a)の設定2−5に示すように接続された無線通信端末3Bを示す端末情報として無線通信端末3BのMACアドレス(00:00:00:00:BB)が、既に無線通信状態となっているアクセスポイント装置1A、1B及び無線通信端末3AのMACアドレスに加えて設定される。この場合、上述したように、アクセスポイント装置1Aと無線通信端末3Aとは既に関係付けられて管理されている。そして、リピータ装置2においては、無線通信端末3Aの場合と同様に、無線通信端末3Bはアクセスポイント装置ではなく、接続端末として端末情報によって管理される。
【0133】
そして、リピータ装置2との間で無線接続状態になった無線通信端末3Bにおけるアドレス設定は、図8(b)のアドレス設定2と同じような態様で設定されるが、具体的には、以下のようになる。すなわち、宛先アドレスは、通信の相手先となる実際の宛先のアドレス(IPアドレス等)、送信元アドレスは、当該無線通信端末3Bのアドレス(IPアドレス等)、BSSIDは、無線通信端末3Bが無線接続されたリピータ装置2のアドレス(MACアドレス)となる。なお、宛先アドレスと送信元アドレスとは、送信元と宛先とで反対になる。
【0134】
そして、無線通信端末3Bにおいても、上述した無線通信端末3Aの場合と同様に、自機がローミングを行って、通信路の接続先を替えた場合に、前AP情報送信処理部328は、自己のメモリに保持されている前AP情報をリピータ装置2に送信するようにする。すなわち、無線通信端末3Bは、リピータ装置2との間に通信路を接続し、無線接続状態となると、図9において二重線の矢印で示したように、前AP情報(この場合はアクセスポイント装置1BのMACアドレス)をリピータ装置2に送信する。これによって、リピータ装置2は、自機との間で無線接続状態になった無線通信端末3Bが直前に接続していたアクセスポイント装置は無線ネットワークBのアクセスポイント装置1Bであることを特定(認識)することができる。
【0135】
この場合、リピータ装置2は、AP情報制御部236が機能し、特定したアクセスポイント装置1Bと無線通信端末3Bとを関係付ける。具体的に、AP情報制御部236は、端末情報管理部238を制御し、図11(b)の設定2−6に示すように、アクセスポイント装置1Bの配下の端末として無線通信端末3Bを関係付けるように設定を変える。すなわち、AP情報制御部236は、図11(a)に示した設定2−5の状態から図11(b)に示した設定2−6の状態に、端末情報管理部238のメモリの設定情報を変更する。
【0136】
これにより、リピータ装置2においては、リピータ装置2と間で新たに無線接続状態になった無線通信端末3Bは、無線ネットワークBのアクセスポイント装置1Bの配下の端末として認識することができる。そして、リピータ装置2は、図9の下端側に示すように、無線通信端末3Bから送信されたデータは、アクセスポイント装置1Bに送信するように中継制御することができるようにされる。
【0137】
この場合、アクセスポイント装置1Bの端末情報管理部118のメモリには、リピータ装置2からの通知情報に基づいて、図10(d)の設定B−4に示すように配下の無線通信端末3Bの識別情報(MACアドレス)が設定される。これにより、アクセスポイント装置1Bにおいても、リピータ装置2を介して配下の無線通信端末3Bが接続されたことが把握される。
【0138】
そして、アクセスポイント装置1Bと無線通信端末3Bとを関係付けたリピータ装置2におけるアドレス設定は、図8(c)のアドレス設定3と同様の態様で設定される。すなわち、宛先アドレスは、通信の相手先となる実際の宛先のアドレス(IPアドレス等)となる。また、送信元アドレスは、当該無線通信端末3Bのアドレス(IPアドレス等)となり、中継機器の宛先はアクセスポイント装置1Bのアドレス(MACアドレス)となり、中継機器の送信元がリピータ装置2のアドレス(MACアドレス)となる。
【0139】
このように、この第1の実施の形態のリピータ装置2は、アクセスポイント装置1Aとアクセスポイント装置1Bとの間で無線接続状態になっている場合に、ローミングしてきて無線通信端末3Bを適切にアクセスポイント装置1Bに接続することができる。そして、リピータ装置2は、アクセスポイント装置1Bと無線通信端末3Bとの間で送受されるデータを適切に中継処理することができるようにされる。
【0140】
なお、この第1の実施の形態においては、リピータ装置2が、2つの異なる無線ネットワークで共用されるものとして説明したが、これに限るものではない。リピータ装置2は、2つ以上の複数の異なる無線ネットワークで共用されるものとすることができる。
【0141】
[無線通信端末3が最初にリピータ装置2に接続される場合]
ところで、この第1の実施の形態の電話システムの場合、無線通信端末3からリピータ装置2に対して前AP情報を送信することにより、リピータ装置2において、自機に接続してきた無線通信端末3の接続先を判別することができるものである。このため、適切でない前AP情報を用いることがないように、無線通信端末3の電源が切られ、再度投入された場合などにおいては、前AP情報を例えばイニシャライズ等して、古い前AP情報を実質的に送信しないようにする。あるいは、無線通信端末3の電源投入直後においては、無線通信端末3は、前AP情報を送信しないようにする。
【0142】
このため、無線通信端末3が電源投入後、最初にリピータ装置2に接続してきた場合には、前AP情報自体が存在しないことになるので、リピータ装置2において、当該無線通信端末3の接続先を判別することができない。そこで、この第1の実施の形態のリピータ装置2は、自機との間で通信路を接続した無線通信端末3から前AP情報が送信されてこないときには、当該無線通信端末3からのデータを自機と無線接続状態になっている全てのアクセスポイント装置1に対して送信する。そして、最初に応答してきたアクセスポイント装置1を、当該無線通信端末3の接続先として特定するようにしている。
【0143】
図12は、無線通信端末3Aが最初にリピータ装置2に接続された場合について説明するためのシーケンス図である。図13、図14は、アクセスポイント装置1A、1B、リピータ装置2において通信路を接続する相手先が変わる毎に更新される端末情報管理部118、238のメモリに設定される設定情報を説明するための図である。
【0144】
ここでも、図12に示すように、リピータ装置2とアクセスポイント装置1Aとの間、および、リピータ装置2とアクセスポイント装置1Bとの間には、既に通信路が接続され、無線接続状態になっているものとする。この場合、アクセスポイント装置1Aの端末情報管理部118のメモリには、図13(a)の設定A−1Aに示すように接続機器として、通信路を接続したリピータ装置2の識別情報(MACアドレス)が設定される。同様に、アクセスポイント装置1Bの端末情報管理部118のメモリには、図13(c)の設定B−1Aに示すように接続機器として、通信路を接続したリピータ装置2の識別情報(MACアドレス)が設定される。
【0145】
また、この場合、リピータ装置2の端末情報管理部238のメモリには、図14(a)の設定2−1Aに示すように接続されたアクセスポイント装置を示す中継機器(AP)情報としてアクセスポイント装置1A、1BのMACアドレスが設定される。なお、この実施の形態において、アクセスポイント装置1AのMACアドレスは「00:00:00:00:11」であり、アクセスポイント装置1BのMACアドレス「00:00:00:00:22」である。
【0146】
そして、無線通信端末3Aに電源が投入され、無線通信端末3Aが上述した所定の接続シーケンスを実行するようにした場合に、無線通信端末3Aの近隣にはリピータ装置2しかなく、リピータ装置2と無線通信端末3Aとが無線接続状態となったとする。したがって、リピータ装置2の端末情報管理部238のメモリには、図14(b)に示すように、アクセスポイント装置1A、1BのMACアドレスに加えて、端末情報として無線通信端末3AのMACアドレスが登録される。
【0147】
この場合、無線通信端末3Aは、電源の投入後、最初にリピータ装置2との間で無線接続状態となったために、上述したように、前AP情報を送信しない。したがって、図14(b)に示したように、リピータ装置2において、無線通信端末3Aと、本来無線通信端末3Aの接続先となるアクセスポイント装置1Aとを関係付けられない。このため、リピータ装置2は、自機と無線接続状態になっているアクセスポイント装置1A、1Bのそれぞれに対して、無線通信端末3Aからのデータを送信する。当該データには、無線通信端末3Aに設定されているSSIDや無線通信端末3AのMACアドレス等の情報も含まれる。
【0148】
アクセスポイント装置1Aは、リピータ装置2を介して供給される無線通信端末3Aからのデータを受信すると、自機の端末情報管理部118のメモリに図13(b)に示すように、配下端末として無線通信端末3AのMACアドレスを登録する。同様に、アクセスポイント装置1Bは、リピータ装置2を介して供給される無線通信端末3Aからのデータを受信すると、自機の端末情報管理部118のメモリに図13(d)に示すように、配下端末として無線通信端末3AのMACアドレスを登録する。
【0149】
そして、無線通信端末3Aからのデータには、無線ネットワークAにおいて用いられているSSIDが含まれるので、アクセスポイント装置1Aにおいては同じ無線ネットワークに属する端末であると判別することができる。このため、アクセスポイント装置1Aは、無線通信端末3Aからのデータに対して応答することができるようにされる。このため、アクセスポイント装置1Aは、図12に示すように、無線通信端末3Aに宛てたデータをリピータ装置2に送信(返信)する。一方、アクセスポイント装置1Bは、無線通信端末3Aからのデータに含まれるSSIDは、自機に設定されているSSIDとは異なるために、無線通信端末3Aからのデータに対して応答することはできない。
【0150】
このため、リピータ装置2においては、図14(d)に示すように、AP情報制御部236が機能し、端末情報管理部238のメモリの設定情報を、データを返信してきたアクセスポイント装置1Aに対して、無線通信端末3Aを関係付ける。そして、リピータ装置2は、アクセスポイント装置1Aからの無線通信端末3A宛のデータを無線通信端末3Aに対して送信する。この後、リピータ装置2は、端末情報管理部238のメモリで設定されている図14(d)に示した設定情報に基づいて、制御部230が機能し、アクセスポイント装置1Aと無線通信端末3Aとの間のデータの送受を中継することができるようにされる。
【0151】
なお、図13(d)を用いて説明したように、無線ネットワークBのアクセスポイント装置1Bの端末情報管理部118のメモリにも、配下端末として、無線通信端末3AのMACアドレスが設定される。しかし、アクセスポイント装置1Bと無線通信端末3Aとの間で通信が所定時間行われなかった場合には、アクセスポイント装置1Bの端末情報管理部118のメモリにおける無線通信端末3AのMACアドレスは削除(消去)される。
【0152】
このように、この第1の実施の形態においては、無線通信端末3が電源投入直後など、適切な前AP情報をリピータ装置2に送信できない状態で、リピータ装置2に最初に接続してきた場合には、リピータ装置2が、当該無線通信端末3と通信可能なアクセスポイント装置1を検索する。そして、最初に応答してきたアクセスポイント装置1を、無線接続状態となったが前AP情報を送信してこない無線通信端末3と対応付けることによって、無線接続状態となった当該無線通信端末3を適切なアクセスポイント装置1と関係付けることができる。
【0153】
なお、この例の場合、無線通信端末3Aにおけるリピータ装置2と無線通信端末3Aとの間のアドレス設定は、図8(b)に示した状態となるため、この場合の前AP情報はリピータ装置2のMACアドレスとなる。このため、リピータ装置2において、自機と無線接続状態にあるアクセスポイント装置1のMACアドレスが前AP情報として送信されてこない場合に、図12〜図14を用いて説明した処理を行うことによって、リピータ装置2との間で無線接続状態になった無線通信端末3に対して、適切なアクセスポイント装置1を検索して関係付けることができるようにされる。
【0154】
[第1の実施の形態の無線通信端末3の処理(動作)のまとめ]
次に、この第1の実施の形態の無線通信端末3が行う処理について、図15、図16のフローチャートを用いて説明する。図15は、この第1の実施の形態の無線通信端末3において、電源投入直後に実行される接続処理を説明するためのフローチャートである。また、図16は、この第1の実施の形態の無線通信端末3において、無線接続状態となっていた相手先と通信を行うことができなくなった場合に、次の接続先を探す場合に実行するローミング処理を説明するためのフローチャートである。
【0155】
[無線通信端末3における接続処理]
まず、図15のフローチャートを用いて、無線通信端末3において電源投入直後に行われる接続処理について説明する。図15のフローチャートに示す処理は、無線通信端末3の制御部320において実行される処理である。この場合、無線通信端末3の制御部320は、まず、設定情報管理部327で管理されているSSID等の接続情報を用い、所定の接続シーケンスを実行する(ステップS101)。このステップS101の処理は、上述したように、プローブ(Probe)→オーセンティケーション(Authentication)→アソシエーション(Association)からなる所定の接続シーケンスを実行する処理である。
【0156】
ステップS101の処理により、接続先となるアクセスポイント装置1またはリピータ装置2が検索され、接続可能な接続先との間に通信路が接続されて無線接続状態となると、制御部320は各部を制御し、接続先を介して、データ等の送受信を開始する(ステップS102)。この後、この図15に示す接続処理を終了し、メインルーチンに戻り、状況に応じてローミング処理をおこなったり、ユーザからの指示に応じた処理を行ったりすることができるようにされる。
【0157】
そして、この接続処理においては、図15に示したように、無線通信端末3からは、前AP情報は送信されない。このため、無線通信端末3の最初の接続先がリピータ装置2である場合には、当該リピータ装置2においては、図12を用いて説明したように、接続先のリピータ装置2を検索し、無線通信端末3と関係付ける処理を行うことになる。
【0158】
[無線通信端末3におけるローミング処理]
次に、図16のフローチャートを用いて、無線通信端末3が接続先と無線通信を行いことができなくなった場合に行われるローミング処理について説明する。図16のフローチャートに示す処理は、無線通信端末3の制御部320において実行される処理である。
【0159】
無線通信端末3の制御部320は、上述した送信系と受信系とからなる無線通信を行う部分を通じて、無線接続状態となっていたアクセスポイント装置1やリピータ装置2との間での通信がし難くなってくると、図16に示すローミング処理を実行する。この場合、制御部320は、まず、前AP情報送信処理部328を制御して、無線接続状態となっている接続先のMACアドレスを前AP情報として保持するようにする(ステップS201)。もちろん、これより先に、無線接続状態となっている接続先のMACアドレスを前AP情報として保持しておくようにしてもよい。
【0160】
この後、制御部320は、通信切断メッセージ(Deauthentication)を形成し、これをパケット分解/生成部326でパケット化し、送信系を通じて接続先に送信して、接続していた通信路を切断するようにする(ステップS202)。そして、制御部320は、パケット分解/生成部326、送信系及び受信系を制御し、上述した所定の接続シーケンスを実行する(ステップS203)。
【0161】
ステップS203の処理により、新たな接続先と通信路を接続し、無線接続状態となると、制御部320は、前AP情報送信処理部328、パケット分解/生成部326及び送信系を制御して、新たな接続先に対して、前AP情報を送信する(ステップS204)。そして、制御部320は、各部を制御し、新たな接続先を通じて、データの送受信を開始する(ステップS205)。この後、この図16に示すローミング処理を終了し、メインルーチンに戻り、状況に応じてローミング処理をおこなったり、ユーザからの指示に応じた処理を行ったりすることができるようにされる。
【0162】
そして、ローミング処理においては、無線通信端末3は、前AP情報を新たな接続先に送信する。このため、新たな接続先がリピータ装置2であり、当該AP情報が既にリピータ装置2との間で無線接続状態になっているアクセスポイント装置1のMACアドレスと同じ場合に、そのアクセスポイント装置を当該無線通信端末3の接続先として関係付けることができる。
【0163】
[第1の実施の形態のリピータ装置2の処理(動作)のまとめ]
次に、この第1の実施の形態のリピータ装置2が行う処理について、図17のフローチャートを用いて説明する。図17は、この第1の実施の形態のリピータ装置2において実行される処理を説明するためのフローチャートである。この図17に示す処理は、リピータ装置2の制御部230において実行される処理である。
【0164】
リピータ装置2の制御部230においては、起動後、周囲の無線ネットワークのアクセスポイント装置1との間で通信路を接続して無線接続状態になった後、図17に示す処理を開始する。まず、制御部230は、無線通信端末3からの要求を受信するようにし(ステップS301)、受信した要求がプローブリクエストか否かを判別する(ステップS302)。ステップS302の判別処理において、プローブリクエストではないと判別したときには、制御部320は、受信した要求に応じた処理を実行し(ステップS303)、ステップS301からの処理を繰り返すようにする。ステップS303においては、受信した要求に応じて、例えば、データの中継処理、通信路の切断処理など、通信路の接続処理以外の種々の処理が行われる。
【0165】
ステップS302の判別処理において、受信した要求はプローブリクエストであると判別したときには、制御部230は接続処理を実行する(ステップS304)。このステップS304の接続処理は、上述した所定の接続シーケンスを行うようにする処理である。このステップS304の処理において、プローブリクエストの送信元である無線通信端末3と当該リピータ装置2との間で通信路が接続されると、制御部230の端末情報管理部238は、自己のメモリに、通信路を接続した無線通信端末3の識別情報を設定する(ステップS305)。具体的にステップS305の処理においては、図7(c)を用いて説明したように、端末情報管理部238が、通信路を接続した無線通信端末3のMACアドレスを、自己のメモリの端末情報に追加する。
【0166】
この後、制御部230は、通信路を接続した無線通信端末3からの前AP情報を受信するようにし(ステップS306)、前AP情報を受信したか否かを判別する(ステップS307)。ステップS307の判別処理において、前AP情報を受信したと判別したときには、AP情報制御部236が端末情報管理部238を制御して、通信路を接続した無線通信端末3を前AP情報により特定されるアクセスポイント装置1の配下の端末となるように接続情報を更新する(ステップS308)。すなわち、ステップS308において、AP情報制御部236は、図7(c)の状態にある端末情報管理部238のメモリの情報を、図7(d)に示したように、通信路を接続した無線通信端末3を前AP情報が示すアクセスポイント装置1の配下の端末となるように設定情報を更新する。この場合、アクセスポイント装置1は、リピータ装置2との間で無線接続状態になっているものに限られる。
【0167】
このようにして、制御部230は、通信路を接続した無線通信端末3と、当該無線通信端末3が直前に通信路を接続していたアクセスポイント装置1とを関係付けた後、それらの機器間での情報(データ)の中継を開始する(ステップS309)。そして、ステップS301からの処理を繰り返すようにする。
【0168】
一方、ステップS307の判別処理において、通信路を接続した無線通信端末3からの前AP情報を受信してないと判別したときには、制御部230は、当該無線通信端末3からのデータを、リピータ装置2と無線接続状態にある全アクセスポイント装置1に送信する(ステップS310)。そして、制御部230のAP情報制御部236は、当該データの送信に対して最初に応答してきたアクセスポイント装置1を、当該無線通信端末3の接続先として特定して、端末情報管理部238の設定情報を更新する(ステップS311)。すなわち、ステップS311において、AP情報制御部236は、図14(b)の状態にある端末情報管理部238のメモリの情報を、図14(c)に示したように、通信路を接続した無線通信端末3を、応答を送信してきたアクセスポイント装置1の配下の端末となるように設定情報(接続先情報)を更新する。
【0169】
このようにして、制御部230は、通信路を接続した無線通信端末3と、当該無線通信端末3と通信を行うべきアクセスポイント装置1とを関係付けた後、それらの機器間での情報(データ)の中継を開始する(ステップS309)。そして、ステップS301からの処理を繰り返すようにする。
【0170】
[第1の実施の形態の効果]
このように、この第1の実施の形態の電話システムにおいては、リピータ装置2が近隣の複数の無線ネットワークにおいて共用されるものとして位置付けられる。そして、リピータ装置2は、基本的には、無線通信端末3からの前AP情報に基づいて、当該無線通信端末3の接続先となるアクセスポイント装置を適切に特定して関係付け、それらの機器間でデータの送受を行うようにすることができる。また、リピータ装置2は、無線通信端末3が電源投入後に最初にリピータ装置2に接続してきたものである場合には、適切なアクセスポイント装置1を検索して、無線通信端末3と関係付けることができる。
【0171】
したがって、リピータ装置2の数を増やすことなく、異なる無線通信システムの通信エリアが重なり合う部分においても、それぞれの無線通信システムに属する無線通信端末が、当該無線通信端末が属する無線通信システムに接続できるようにすることができる。すなわち、複数の無線ネットワークを隣接して構築する場合に、システムの構成が複雑になることもなく、より安価にシステムを構築することができる。
【0172】
[第2の実施の形態](図18〜図21)
次に、第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態の電話システムもまた、図1を用いて説明したように構成される。そして、アクセスポイント装置1、リピータ装置2、無線通信端末3もまた、図2〜図4を用いて説明したものと同様に構成される。しかし、この第2の実施の形態においては、無線通信端末3は、前AP情報は送信しないものである。このため、この第2の実施の形態で用いられる無線通信端末3は、図4において点線で囲んで示した前AP情報送信処理部328は備えないものである。
【0173】
そして、この第2の実施の形態においては、アクセスポイント装置1A、1Bや無線通信端末3A、3Bとの間で通信路を接続するために、リピータ装置2に設定される接続情報を利用して、無線通信端末3とアクセスポイント装置1との関係付けを行う。以下、この第2の実施の形態について具体的に説明する。
【0174】
図18は、この第2の実施の形態において、アクセスポイント装置1A、1B、無線通信端末3A、3B、リピータ装置2のそれぞれに設定される接続情報について説明するための図である。上述もしたように、無線LANシステムにおいては、同じ接続情報を有する機器間でしか通信路を接続することができないようにして、各無線LANシステムにおけるセキュリティを確保することができるようにしている。
【0175】
このため、図18(a)に示すように、アクセスポイント装置1Aと無線通信端末3Aとには、例えば、SSIDを「ABCDEF」、セキュリティ情報(暗号化方式)を「WPA−PSK」、暗号キーを「123456789」とする同じ接続情報が予め設定される。また、図18(b)に示すように、アクセスポイント装置1Bと無線通信端末3Bとには、例えば、SSIDを「uvwxyz」、セキュリティ情報(暗号化方式)を「WEP64bit」、暗号キーを「12345(ASCII)」とする同じ接続情報が予め設定される。なお、接続情報は、アクセスポイント装置1においては、設定情報管理部117に設定され、無線通信端末3においては、設定情報管理部327に設定される。
【0176】
そして、この第2の実施の形態においても、リピータ装置2は、無線ネットワークAと無線ネットワークBとで共用される。このため、リピータ装置2の設定情報管理部237には、無線ネットワークAで用いられる接続情報と無線ネットワークBで用いられる接続情報との両方が予め設定される。すなわち、リピータ装置2の設定情報管理部237には、図18(a)、(b)に示した接続情報の両方が接続されるが、各接続情報は、どの機器に対して設定されたものと同じであるかを識別するための機器IDとして、例えば対応する機器のMACアドレスも付加して設定する。
【0177】
図18(c)は、リピータ装置2の設定情報管理部237に予め設定される接続情報の例を説明するための図である。図18(c)に示すように、リピータ装置2の設定情報管理部237には、アクセスポイント装置1Aの機器ID(MACアドレス)とアクセスポイント装置1Aに設定される接続情報とからなる情報が設定される。また、アクセスポイント装置1Bの機器ID(MACアドレス)とアクセスポイント装置1Bに設定される接続情報とからなる情報が設定される。
【0178】
また、図18(c)に示すように、リピータ装置2の設定情報管理部237には、無線通信端末3Aの機器ID(MACアドレス)と無線通信端末3Aに設定される接続情報とからなる情報が設定される。同様に、無線通信端末3Bの機器ID(MACアドレス)と無線通信端末3Bに設定される接続情報とからなる情報が設定される。
【0179】
リピータ装置は、図18(c)に示したように、設定情報管理部237に予め設定される接続情報に基づいて、アクセスポイント装置1A、1Bとの間や無線通信端末3A、3Bとの間に通信路を接続して無線接続状態になることができる。また、リピータ装置2は、自機に接続可能な各機器は、どのような接続情報を用いるものであるかをも把握することができる。
【0180】
そして、無線通信端末3から送信される要求やデータには、無線通信端末3の端末IDとしてMACアドレスも付加されている。そこで、リピータ装置2の制御部230は、いずれかの無線通信端末3との間に新たに通信路を接続した場合に、当該無線通信端末3からの要求やデータに付加されているMACアドレスに基づいて、設定情報管理部237の図18(c)に示した接続情報を参照する。そして、制御部230は、当該無線通信端末3のMACアドレスにより特定される接続情報と同じ接続情報を有するアクセスポイント装置1のMACアドレスを特定する。
【0181】
この後、制御部230のAP情報制御部236は、端末情報管理部238を制御し、新たに通信路を接続した当該無線通信端末3のMACアドレスを、特定したアクセスポイント装置1のMACアドレスに対応付けるようにして管理する。これにより、端末情報管理部238において、リピータ装置2との間に新たに通信路を接続した無線通信端末3と、これに対応するアクセスポイント装置1との対応付けがされる。そして、リピータ装置2は、端末情報管理部238における対応付け情報に基づいて、適切に同じ無線ネットワークに属する無線通信端末3とアクセスポイント装置1との間でデータの送受を行うようにする。
【0182】
なお、リピータ装置2の設定情報管理部237で管理される接続情報は、図18(c)に示した態様で管理するものに限るものではない。例えば、図18(d)に示すように、接続情報毎に、当該接続情報が設定される機器の機器ID(MACアドレス)を対応付けるようにしてもよい。図18(d)に示した例の場合には、SSIDが「ABCDEF」、セキュリティ情報(暗号化方式)が「WPA−PSK」、暗号キーが「123456789」である接続情報は、アクセスポイント装置1Aと無線通信端末3Aにおいて用いられることが示されている。また、SSIDが「uvwxyz」、セキュリティ情報(暗号化方式)が「WEP64bit」、暗号キーが「12345(ASCII)」である接続情報は、アクセスポイント装置1Aと無線通信端末3Aにおいて用いられることが示されている。
【0183】
図18(d)に示したように、接続情報とこれを用いる機器の機器IDとを対応付けて管理しておくことにより、無線通信端末3の端末ID(MACアドレス)が分かれば、即座に対応するアクセスポイント装置1のMACアドレスを特定することができる。
【0184】
なお、基本的には、図18(c)、(d)に示した接続情報の全部を、リピータ装置2の設定情報管理部237のメモリに対して事前に設定する。しかし、これに限るものではない。例えば、SSID、セキュリティ情報、暗号キーは予め設定する。そして、端末IDとして用いられるMACアドレスは、通信路の接続時において、同じSSIDなどの接続情報を用いるようにした機器のMACアドレスを、設定情報管理部237のメモリの設定情報に対して更新するようにしてもよい。このようにすれば、機器のMACアドレスが不明な場合などにおいて、ユーザの手間を簡略化することができる。
【0185】
なお、ここでは、通信路を接続した無線通信端末3からの識別情報であるMACアドレスを用いて、図18(c)、あるいは、図18(d)の予め設定される接続情報を参照し、同じ接続情報のアクセスポイント装置1を見つけるようにしたが、これに限るものではない。無線通信端末3からの例えばSSIDや接続情報自体を識別情報として用いて、同じSSIDや接続情報を用いるアクセスポイント装置1を当該無線通信端末3の接続先として特定するようにしてもよい。
【0186】
次に、この第2の実施の形態において、無線通信端末3A、3Bが、自己が属する無線ネットワークのアクセスポイント装置1A、1Bに接続されている状態から、リピータ装置2にローミングする場合について説明する。ここでは、図19、図20のシーケンス図に加えて、第1の実施の形態でも用いた図6〜図8、図10、図11をも参照しながら、具体的に説明する。
【0187】
図19は、この第2の実施の形態において、無線ネットワークシステムAに属する無線通信端末3Aが、アクセスポイント装置1Aからリピータ装置2にローミングする場合を説明するためのシーケンス図である。図19と第1の実施の形態の説明で用いた図5とを比較すると分かるように、図19に示した処理と、図5に示した処理とは、ほぼ同様に行われる。ただ、図5の下側において無線通信端末3Aからリピータ装置2への二重線の矢印で示した前AP情報通知が、図19においては行われないようになっている。
【0188】
すなわち、この第2の実施の形態においても、図19に示すように、リピータ装置2とアクセスポイント装置1Aとの間、及び、リピータ装置2とアクセスポイント装置1Bとの間において、通信路が接続され、無線接続状態になっているものとする。この場合に、アクセスポイント装置1Aの端末情報管理部118のメモリには、図6(a)に示した設定A−1と同じ設定がなされる。また、アクセスポイント装置1Bの端末情報管理部118のメモリには、図10(a)に示した設定B−1と同じ設定がなされる。そして、リピータ装置2の端末情報管理部238のメモリには、図7(a)、(b)に示した設定2−1、2−2が順次になされる。
【0189】
そして、図19の左上側に示すように、無線通信端末3Aとアクセスポイント装置1Aとの間において、所定の接続シーケンスが行われて無線接続状態になったとする。この場合、アクセスポイント装置1Aの端末情報管理部118のメモリには、図6(b)に示した設定A−2と同じ設定がなされる。この場合のアクセスポイント装置1Aと無線通信端末3A間におけるアドレス設定は、図8(a)に示したアドレス設定1となる。
【0190】
この後、無線通信端末3Aが移動し、アクセスポイント装置1Aとの通信路が切断され、リピータ装置2にローミングしたとする。この場合、無線通信端末3Aとアクセスポイント装置1Aとの間の通信路は切断されるので、アクセスポイント装置1Aの端末情報管理部118のメモリには、図6(c)に示した設定A−3と同じ設定がなされる。そして、無線通信端末3Aとリピータ装置2との間においても、図19の右下側に示すように、所定の接続シーケンスが実行され、通信路が接続され、無線接続状態となる。この場合のリピータ装置2と無線通信端末3A間におけるアドレス設定は、図8(b)に示したアドレス設定2となる。
【0191】
この場合、リピータ装置2の設定情報管理部237には、例えば、図18(c)に示した機器IDと接続情報からなる設定情報が予め設定されている。このため、リピータ装置2の制御部230は、無線通信端末3Aから提供された要求等の送信情報に付加されている無線通信端末3AのMACアドレスに基づいて、無線通信端末3Aの接続情報を特定し、当該接続情報と同じ接続情報のアクセスポイント装置1を特定する。したがって、図18(c)に示したように、無線通信端末3Aと同じ接続情報を有するのは、アクセスポイント装置1Aであるので、無線通信端末3Aの接続先は、アクセスポイント装置1Aであることが特定される。
【0192】
そこで、リピータ装置2のAP情報制御部236は、端末情報管理部238を制御し、端末情報管理部238のメモリの設定情報を、図7(d)に示したように更新する。すなわち、端末情報管理部238は、AP情報制御部236の制御に応じて、自己のメモリの端末設定を、図7(d)に示したように、アクセスポイント装置1AのMACアドレスに対して、無線通信端末3AのMACアドレスを関係付けるように更新する。これにより、リピータ装置2に対して通信路を接続した無線通信端末3Aは、アクセスポイント装置1Aの配下の端末として関係付けられる。したがって、この第2の実施の形態においては、リピータ装置2の端末情報管理部238のメモリの端末情報が、図7(c)に示した状態になることはない。
【0193】
そして、リピータ装置2の制御部230は、端末情報管理部238のメモリの図7(d)に示した態様の端末情報を参照し、無線通信端末3Aからのデータを、当該データに含まれる無線通信端末3AのMACアドレスにより関係付けられるアクセスポイント装置1に対して送信することができる。また、逆に、リピータ装置2の制御部230は、端末情報管理部238のメモリの図7(d)に示した態様の端末情報を参照し、アクセスポイント装置1Aからのデータを、当該データに含まれるアクセスポイント装置1AのMACアドレスにより関係付けられる無線通信端末3Aに対して送信することができる。この場合のアクセスポイント装置1Aとリピータ装置2間におけるアドレス設定は、図8(c)に示したアドレス設定3となる。
【0194】
図20は、この第2の実施の形態において、図19に続くシーケンス図であって、無線ネットワークシステムBに属する無線通信端末3Bが、アクセスポイント装置1Bからリピータ装置2にローミングする場合を説明するためのシーケンス図である。図20と第1の実施の形態の説明で用いた図9とを比較すると分かるように、図20に示した処理と、図9に示した処理とは、ほぼ同様に行われる。ただ、図9の下側において無線通信端末3Bからリピータ装置2への二重線の矢印で示した前AP情報通知が、図20においては行われないようになっている。
【0195】
そして、図20の右上側に示すように、無線通信端末3Bとアクセスポイント装置1Bとの間において、所定の接続シーケンスが行われて無線接続状態になったとする。この場合、アクセスポイント装置1Bの端末情報管理部118のメモリには、図10(b)に示した設定B−2と同じ設定がなされる。この場合のアクセスポイント装置1Bと無線通信端末3B間におけるアドレス設定は、図8(a)に示したアドレス設定1において、端末3Aが端末3Bとなり、アクセスポイント装置1Aがアクセスポイント装置1Bとなったものとなる。
【0196】
この後、無線通信端末3Bが移動し、アクセスポイント装置1Bとの通信路が切断され、リピータ装置2にローミングしたとする。この場合、無線通信端末3Bとアクセスポイント装置1Bとの間の通信路は切断されるので、アクセスポイント装置1Aの端末情報管理部118のメモリには、図10(c)に示した設定B−3と同じ設定がなされる。そして、無線通信端末3Aとリピータ装置2との間においても、図20の左下側に示すように、所定の接続シーケンスが実行され、通信路が接続され、無線接続状態となる。この場合のリピータ装置2と無線通信端末3B間におけるアドレス設定は、図8(b)に示したアドレス設定2において、端末3Aが端末3Bとなったものとなる。
【0197】
この場合、リピータ装置2の設定情報管理部237には、上述もしたように、図18(c)に示した機器IDと接続情報からなる設定情報が予め設定されている。このため、リピータ装置2の制御部230は、無線通信端末3Bから提供された要求等の送信情報に付加されている無線通信端末3BのMACアドレスに基づいて、無線通信端末3Bの接続情報を特定し、当該接続情報と同じ接続情報のアクセスポイント装置1を特定する。図18(c)に示したように、無線通信端末3Bと同じ接続情報を有するのは、アクセスポイント装置1Bであることが特定される。
【0198】
そこで、リピータ装置2のAP情報制御部236は、端末情報管理部238を制御し、端末情報管理部238のメモリの設定情報を、図11(b)に示したように更新する。すなわち、端末情報管理部238は、AP情報制御部236の制御に応じて、自己のメモリの端末設定を、図11(b)に示したように、アクセスポイント装置1BのMACアドレスに対して、無線通信端末3BのMACアドレスを関係付けるように更新する。
【0199】
これにより、リピータ装置2に対して通信路を接続した無線通信端末3Bは、アクセスポイント装置1Bの配下の端末として関係付けられる。また、上述もし、図11(b)にも示すように、リピータ装置2に対して通信路を接続した無線通信端末3Aは、アクセスポイント装置1Aの配下の端末として関係付けられているので、リピータ装置2は、無線通信端末3A、3Bの双方について、適切にこれらが属する無線ネットワークのアクセスポイント装置1と関係付けることができるようにされる。したがって、この第2の実施の形態においては、リピータ装置2の端末情報管理部238のメモリの端末情報が、図11(a)に示した状態になることはない。
【0200】
そして、リピータ装置2は、端末情報管理部238のメモリの図11(b)に示した態様の端末情報を参照し、無線通信端末3Bからのデータについても、当該データに含まれる無線通信端末3BのMACアドレスにより関係付けられるアクセスポイント装置1Bに対して送信することができる。また、逆に、リピータ装置2は、端末情報管理部238のメモリの図11(b)に示した態様の端末情報を参照し、アクセスポイント装置1Bからのデータを、当該データに含まれるアクセスポイント装置1BのMACアドレスにより関係付けられる無線通信端末3Bに対して送信することができる。この場合のアクセスポイント装置1Bとリピータ装置2間におけるアドレス設定は、図8(c)に示したアドレス設定3において、端末3Aが端末3Bとなり、アクセスポイント装置1Aがアクセスポイント装置1Bとなったものとなる。
【0201】
[第2の実施の形態の無線通信端末3の処理(動作)のまとめ]
この第2の実施の形態の無線通信端末3において実行される接続処理は、図15を用いて説明した第1の実施の形態の無線通信端末3が実行する接続処理と同様の処理が行われる。また、この第2の実施の形態の無線通信端末3において実行されるローミング処理は、図16を用いて説明した第1の実施の形態の無線通信端末3が実行するローミング処理において、ステップS204の前AP情報の送信処理を行わないようにした点を除けば、その他の処理(ステップS201〜ステップS203、ステップS205)は同様に行われる。このため、無線通信端末3の処理(動作)についてフローチャートを用いた説明は重複するので省略する。
【0202】
[第2の実施の形態のリピータ装置2の処理(動作)のまとめ]
次に、この第2の実施の形態のリピータ装置2が行う処理について、図21のフローチャートを用いて説明する。図21は、この第2の実施の形態のリピータ装置2において実行される処理を説明するためのフローチャートである。この図21に示す処理は、リピータ装置2の制御部230において実行される処理である。
【0203】
リピータ装置2の制御部230においては、起動後、周囲の無線ネットワークのアクセスポイント装置1との間で通信路を接続して無線接続状態になった後、図21に示す処理を開始する。まず、制御部230は、無線通信端末3から自機への要求を受信するようにし(ステップS401)、受信した要求がプローブリクエストか否かを判別する(ステップS402)。ステップS402の判別処理において、プローブリクエストではないと判別したときには、制御部320は、受信した要求に応じた処理を実行し(ステップS403)、ステップS401からの処理を繰り返すようにする。具体的に、ステップS403においては、受信した要求に応じて、例えば、データの中継処理、通信路の切断処理など、通信路の接続処理以外の種々の処理が行われる。
【0204】
ステップS402の判別処理において、受信した要求はプローブリクエストであると判別したときには、制御部230は接続処理を実行する(ステップS404)。このステップS404の接続処理は、上述した所定の接続シーケンスを行うようにする処理である。このステップS404の処理において、プローブリクエストの送信元である無線通信端末3と当該リピータ装置2との間で通信路が接続されると、制御部230は、ステップS405の特定処理を実行する(ステップS405)。
【0205】
具体的に、ステップS405においては、今回、通信路を接続した無線通信端末3からの情報に含まれるMACアドレス(接続元の情報)に基づいて、端末情報管理部238のメモリの情報(例えば、図18(c))を確認し、当該無線通信端末3に関係付けるアクセスポイント装置1を特定する。
【0206】
この後、ステップS405での特定結果に基づいて、制御部230のAP情報制御部236が端末情報管理部238を制御して、通信路を接続した無線通信端末3を特定されたアクセスポイント装置1の配下の端末となるように接続情報を更新する(ステップS406)。このステップS406においては、図7(b)の状態にある端末情報管理部238のメモリの情報を、図7(d)に示したように、通信路を接続した無線通信端末3を前AP情報が示すアクセスポイント装置1の配下の端末となるように設定情報を更新する。あるいは、図7(d)の状態にある端末情報管理部238のメモリの情報を、図11(b)に示したように、通信路を接続した無線通信端末3を前AP情報が示すアクセスポイント装置1の配下の端末となるように設定情報を更新する。この場合、アクセスポイント装置1は、リピータ装置2との間で無線接続状態になっているものに限られる。
【0207】
このようにして、制御部230は、通信路を接続した無線通信端末3と、当該無線通信端末3が直前に通信路を接続していたアクセスポイント装置1とを関係付けた後、それらの機器間での情報(データ)の中継を開始する(ステップS407)。そして、ステップS401からの処理を繰り返すようにする。
【0208】
[第2の実施の形態の効果]
この第2の実施の形態の電話システムにおいても、第1の実施の形態の場合と同様に、リピータ装置2が近隣の複数の無線ネットワークにおいて共用されるものとして位置付けられる。そして、リピータ装置2は、自機に設定される接続情報に、その接続情報を用いる機器の識別情報(MACアドレス)を対応付けて設定しておく。この設定情報を利用することによって、リピータ装置2は、通信路を接続した無線通信端末3の接続先となるアクセスポイント装置1を適切に特定して関係付け、それらの機器間でデータの送受を行うようにすることができる。
【0209】
これにより、この第2の実施の形態の場合にも、リピータ装置2の数を増やすことなく、異なる無線通信システムの通信エリアが重なり合う部分においても、それぞれの無線通信システムに属する無線通信端末が、自機が属する無線通信システムに接続できるようにすることができる。すなわち、複数の無線ネットワークを隣接して構築する場合に、システムの構成が複雑になることもなく、より安価に構築することができる。
【0210】
また、この第2の実施の形態の場合には、通信路を接続した無線通信端末3から前AP情報と言う情報の提供を受けることもないので、無線通信端末3側に変更を生じさせることもない。
【0211】
[リピータ装置2に接続される機器毎に接続情報等が異なる場合]
上述した実施の形態の電話システムにおいては、リピータ装置2は接続設定として、無線ネットワーク毎に、アクセスポイント装置1との接続設定と、無線通信端末3との接続設定を持つ。そのため、アクセスポイント装置1とリピータ装置2との間における接続設定と、リピータ装置2と無線通信端末3との間の接続設定とが異なる場合がある。このような場合であっても、この発明を適用することが可能である。以下に2つの具体例を示して説明する。
【0212】
[第1の例]
図22は、リピータ装置2に接続される機器毎に接続情報等が異なる場合の第1の例について説明するための図である。図22(a)に示すように、上述した実施の形態の電話システムの場合、アクセスポイント装置1とリピータ装置2との間、リピータ装置2と無線通信端末3との間、アクセスポイント装置1と無線通信端末3との間においては、相互に通信路を接続することができるようにされる。これらの各機器間で用いられる通信方式は、図22(a)に示したように、IEEE802.11b/gであるとする。
【0213】
この場合に、アクセスポイント装置と各機器との間に通信路を接続する場合に用いられる接続情報と、リピータ装置2と無線通信端末3との間に通信路を接続する場合に用いられる接続情報とを異ならせることが可能である。この場合の各機器に設定される接続情報の例を図22(b)に示す。なお、接続情報には、SSID、セキュリティ情報(暗号化方式)、暗号キー等があるが、図22(b)においては、説明を簡単にするため、暗号キー等についての記載を省略している。
【0214】
そして、図22(b)に示すように、アクセスポイント装置1に設定される接続情報が、SSIDを「ABC」とし、セキュリティ情報を「WEP128bit」とするものであるとする。この場合、アクセスポイント装置1との間に通信路を接続可能にするため、リピータ装置2には、アクセスポイント装置1側(AP側)の接続設定として、SSIDを「ABC」とし、セキュリティ情報を「WEP128bit」とする情報が設定される。同様に、アクセスポイント装置1との間に通信路を接続可能にするため、無線通信端末3にも、アクセスポイント装置1側(AP側)の接続設定として、SSID−1を「ABC」とし、セキュリティ情報を「WEP128bit」とする情報が設定される。
【0215】
一方、図22(b)に示すように、リピータ装置2と無線通信端末3との間に通信路を接続するための接続設定は、SSIDを「DEF」とし、セキュリティ情報を「WPA−PSK」とするものであるとする。この場合、リピータ装置2には、無線通信端末3側(端末側)の接続設定として、SSIDを「DEF」とし、セキュリティ情報を「WPA−PSK」とする情報が設定される。同様に、無線通信端末3にも、リピータ装置2側の接続設定として、SSID−2を「DEF」とし、セキュリティ情報を「WPA−PSK」とする情報が設定される。
【0216】
このような場合であっても、上述の第1の実施の形態の場合には、無線通信端末3側からリピータ装置2に送信される前AP情報として直前に通信路を接続していたアクセスポイント装置1のMACアドレスが送信される。当該前AP情報により、リピータ装置2おいて当該無線通信端末3の接続先となるアクセスポイント装置1を適切に特定できるので、図22に示したような接続情報を用いる状態となっていても、何らの不都合を生じさせることもない。
【0217】
また、図22(b)から分かるように、アクセスポイント装置1と無線通信端末3との間で用いられる接続情報は同じであり、アクセスポイント装置1と無線通信端末3とは直接に通信路の接続が可能な同じ無線ネットワークに属するものである。そこで、図22に示したように接続情報が設定されている場合において、上述した第2の実施の形態で説明した発明を適用する場合には、実際に用いる接続情報の設定とは別に、無線通信端末3とアクセスポイント装置1との対応付けを行うための対応付け情報を別に用意する。
【0218】
具体的には、図18(c)あるいは図18(d)に示したように、アクセスポイント装置1と無線通信端末3とに同じ接続情報が設定され、通信路の接続が可能な機器同士であることを示す対応付け情報を予めリピータ装置2に設定しておく。そして、リピータ装置2への無線通信端末3の接続時に当該対応付け情報を参照することにより、当該無線通信端末3の接続先となるアクセスポイント装置1を特定することができる。
【0219】
なお、図22に示した例の場合、通信方式が全てIEEE802.11b/gのため、リピータ装置2と無線通信端末3との間の接続設定を、アクセスポイント装置1で用いるものに統一するようにすることも可能である。
【0220】
[第2の例]
図23は、リピータ装置2に接続される機器毎に接続情報等が異なる場合の第2の例について説明するための図である。図23(a)と図22(a)とを比較すると分かるように、この第2の例の場合には、アクセスポイント装置1とリピータ装置2との間で用いられる通信方式が、IEEE802.11aであることを除けば、図22(a)を用いて説明した第1の例の場合と同様である。また、図23(b)と図22(b)とを比較すると分かるように、各機器に設定される接続情報は、第1、第2の例において同じである。
【0221】
このように、リピータ装置2は、アクセスポイント装置1と無線通信端末3とで別々の通信方式で接続することももちろんできるようにされる。そして、この第2の例の場合にも、各機器間で適用される通信方式に左右されることなく、第1の実施の形態で説明した発明を適用することができるし、第2の実施の形態で説明した発明を適用することもできる。
【0222】
また、図22、図23に示した例の他にも、各機器間で用いる無線方式を異ならせるようにすることなど、種々の態様が考えられるが、その場合においても、この発明を適用することができる。
【0223】
[この発明の方法]
なお、上述した実施の形態において、図5、図9、図12、図19、図20のシーケンス図や図15〜図17、図21のフローチャートを用いて説明した無線LANシステムの処理や、無線LANシステムを構成する装置で行われる処理が、この発明による方法が適用されて実現されたものである。
【0224】
[実施の形態の装置や回路部と、請求項の装置や手段との対応]
また、上述した実施の形態のアクセスポイント装置1、1A、1Bが特許請求の範囲における中継機器に相当する。また、上述した実施の形態のリピータ装置2がリピータ装置に相当し、無線通信端末3、3A、3Bが無線通信端末に相当する。また、実施の形態における前AP情報が、特許請求の範囲における前接続先情報に相当する。
【0225】
そして、リピータ装置2における第1の無線通信部210が、第1の無線通信手段としての機能を実現し、端末情報管理部238が、接続先記憶手段としての機能を実現し、第2の無線通信部220が、第2の無線通信手段としての機能を実現している。また、AP情報制御部236が、受付手段、関係付け手段としての機能を実現し、制御部230が、無線通信制御手段、データ提供制御手段、データ受付手段としての機能を実現している。また、設定情報管理部237が、設定情報記憶手段としての機能を実現している。
【0226】
また、無線通信端末3における送受信アンテナ301、アンテナ共用器302、受信アンプ303、受信処理回路304、送信処理回路305、送信アンプ306からなる部分が、無線通信手段としての機能を実現し、前AP情報送信処理部328が、提供手段としての機能を実現している。また、無線通信端末3における制御部320が情報提供手段としての機能を実現している。
【0227】
[その他]
なお、上述した実施の形態においては、各機器の識別情報として、MACアドレスを用いるようにした。しかしこれに限るものではない。例えば、各機器の固有の製造番号などを用いるようにするなどのことも可能である。しかし、各機器に固有に割り当てられているMACアドレスを用いることが、識別情報の重複を確実に排除できるので好ましい。
【0228】
また、上述した実施の形態においては、無線ネットワークAと無線ネットワークBとの2つの異なる無線ネットワークでリピータ装置2を共用するようにしたが、これに限るものではない。リピータ装置2は、2以上の複数の異なる無線ネットワークで共用するようにすることが可能である。
【0229】
また、上述した実施の形態においては、この発明を無線LANを用いて形成される電話システムに適用した場合を例にして説明したが、これに限るものではない。電話システムに限らず、種々の無線LANシステムにこの発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0230】
1、1A、1B…アクセスポイント装置、101…接続端子、102…有線LANI/F、103…送信用処理回路、104…受信用処理回路、105…送信アンプ、106…受信アンプ、107…アンテナ共用器、108…送受信アンテナ、110…制御部、111…システムバス、112…CPU、113…ROM、114…RAM、115…EEPROM、116…パケット分解/生成部、117…設定情報管理部、118…端末情報管理部、119…有線接続I/F119、120…接続端子(外部接続端子)、2…リピータ装置、210…第1の無線通信部、211…送信用処理回路、212…受信用処理回路、213…送信アンプ、214…受信アンプ、215…アンテナ共用器、216…送受信アンテナ、220…第2の無線通信部、221…送信用処理回路、222…受信用処理回路、223…送信アンプ、224…受信アンプ、225…アンテナ共用器、226…送受信アンテナ、230…制御部、231…システムバス、232…CPU、233…ROM、234…RAM、235…EEPROM、236…AP情報制御部、237…設定情報管理部、238…端末情報管理部、239…有線接続I/F、240…接続端子(外部接続端子)、3、3A、3B…無線通信端末、301…送受信アンテナ、302…アンテナ共用器、303…受信アンプ、304…受信処理回路、305…送信処理回路、306…送信アンプ、307…音声データ入出力I/F、308…受話アンプ、309…受話器(スピーカ)、310…送話器(マイクロホン)、311…送話アンプ、320…制御部、321…システムバス、322…CPU、323…ROM、324…RAM、325…EEPROM、326…パケット分解/生成部、327…設定情報管理部、328…前AP情報送信処理部、331…キー操作部、332…LED制御部、333…LED群、334…LCD制御部、335…LCD、336…音声処理部、337…スピーカ、10…サーバ、20…ルータ、HB…ハブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の無線通信端末と無線接続されるリピータ装置を備えた無線通信システムであって、
前記リピータ装置は、
1以上の中継機器との間に通信路を接続して通信を行う第1の無線通信手段と、
前記第1の無線通信手段を通じて通信路を接続している1以上の前記中継機器のそれぞれから提供される前記中継機器の識別情報を記憶する接続先記憶手段と、
1以上の前記無線通信端末との間に通信路を接続して通信を行う第2の無線通信手段と、
前記第2の無線通信手段を通じて通信路を接続した前記無線通信端末からの当該無線通信端末が直前に通信路を接続していた前記中継機器の識別情報である前接続先情報を受け付ける受付手段と、
前記接続先記憶手段の記憶情報と、前記無線通信端末からの当該無線通信端末の識別情報と、受け付けた前記前接続先情報とに基づいて、通信路を接続した当該無線通信端末と接続先となるべき前記中継機器とを関係付ける関係付け手段と、
前記関係付け手段により関係付けられた前記無線通信端末と中継機器との間で通信を行うように制御する無線通信制御手段と
を備え、
前記無線通信端末は、
前記中継機器あるいは前記リピータ装置との間で通信を行うための無線通信手段と、
前記無線通信手段を通じて通信を行うようにしている前記中継機器の識別情報を保持し、前記無線通信手段を通じて新たに通信路を接続した場合に、当該通信路の接続先に前記前接続先情報を提供する提供手段と
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の無線通信システムであって、
前記リピータ装置は、
前記第2の無線通信手段を通じて通信路を接続した前記無線通信端末から、前記前接続先情報が提供されなかった場合に、前記第1の無線通信手段を通じて通信路が接続されている1以上の前記中継機器のそれぞれに対して、前記無線通信端末からのデータを提供するように制御するデータ提供制御手段と、
前記第1の無線通信手段を通じて通信路を接続した1以上の前記中継機器からの当該接続先の識別情報を含むデータを受け付けるようにするデータ受付手段と
を備え、
前記関係付け手段は、前記接続先記憶手段の記憶情報と、前記無線通信端末からの当該無線通信端末の識別情報と、前記データ受付手段を通じて受け付けたデータの送信元の識別情報とに基づいて、通信路を接続した当該無線通信端末と接続先となるべき前記中継機器とを関係付けるものであり、
前記無線通信端末において、
前記提供手段は、直前に通信路を接続していた中継機器が存在しない場合には、前記前接続先情報を、通信路を接続した相手先に提供しない
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
1以上の無線通信端末と無線接続されるリピータ装置を備えた無線通信システムであって、
前記リピータ装置は、
1以上の中継機器との間に通信路を接続して通信を行う第1の無線通信手段と、
1以上の前記無線通信端末との間に通信路を接続して通信を行う第2の無線通信手段と、
1以上の前記中継機器のそれぞれと1以上の前記無線通信端末のそれぞれとを関係付けるためのそれぞれの識別情報を含む関係付け情報を予め記憶する設定情報記憶手段と、
前記第2の無線通信手段を通じて前記無線通信端末が通信路を接続した場合に、当該無線通信端末からの当該無線通信端末の識別情報と前記設定情報記憶手段の記憶情報とに基づいて、当該無線通信端末と前記中継機器とを関係付ける関係付け手段と、
前記関係付け手段により関係付けられた前記無線通信端末と前記中継機器との間で通信を行うように制御する無線通信制御手段と
を備え、
前記無線通信端末は、
前記中継機器あるいは前記リピータ装置との間で通信を行うための無線通信手段と、
前記無線通信手段を通じて前記中継機器あるいは前記リピータ装置との間に通信路を接続する場合に、自機の識別情報を通信路の接続先に提供する情報提供手段と
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
1以上の無線通信端末と無線接続されるリピータ装置を備えた無線通信システムの前記リピータ装置であって、
1以上の中継機器との間に通信路を接続して通信を行う第1の無線通信手段と、
前記第1の無線通信手段を通じて通信路を接続している1以上の前記中継機器のそれぞれから提供される前記中継機器の識別情報を記憶する接続先記憶手段と、
1以上の前記無線通信端末との間に通信路を接続して通信を行う第2の無線通信手段と、
前記第2の無線通信手段を通じて通信路を接続した前記無線通信端末からの当該無線通信端末が直前に通信路を接続していた前記中継機器の識別情報である前接続先情報を受け付ける受付手段と、
前記接続先記憶手段の記憶情報と、前記無線通信端末からの当該無線通信端末の識別情報と、受け付けた前記前接続先情報とに基づいて、通信路を接続した当該無線通信端末と接続先となるべき前記中継機器とを関係付ける関係付け手段と、
前記関係付け手段により関係付けられた前記無線通信端末と中継機器との間で通信を行うように制御する無線通信制御手段と
を備えることを特徴とするリピータ装置。
【請求項5】
請求項4に記載のリピータ装置であって、
前記第2の無線通信手段を通じて通信路を接続した前記無線通信端末から、前記前接続先情報が提供されなかった場合に、前記第1の無線通信手段を通じて通信路が接続されている1以上の前記中継機器のそれぞれに対して、前記無線通信端末からのデータを提供するように制御するデータ提供制御手段と、
前記第1の無線通信手段を通じて通信路を接続した1以上の前記中継機器からの当該接続先の識別情報を含むデータを受け付けるようにするデータ受付手段と
を備え、
前記関係付け手段は、前記接続先記憶手段の記憶情報と、前記無線通信端末からの当該無線通信端末の識別情報と、前記データ受付手段を通じて受け付けたデータの送信元の識別情報とに基づいて、通信路を接続した当該無線通信端末と接続先となるべき前記中継機器とを関係付けるものである
ことを特徴とするリピータ装置。
【請求項6】
1以上の無線通信端末と無線接続されるリピータ装置を備えた無線通信システムの前記リピータ装置であって、
1以上の中継機器との間に通信路を接続して通信を行う第1の無線通信手段と、
1以上の前記無線通信端末との間に通信路を接続して通信を行う第2の無線通信手段と、
1以上の前記中継機器のそれぞれと1以上の前記無線通信端末のそれぞれとを関係付けるためのそれぞれの識別情報を含む関係付け情報を予め記憶する設定情報記憶手段と、
前記第2の無線通信手段を通じて前記無線通信端末が通信路を接続した場合に、当該無線通信端末からの当該無線通信端末の識別情報と前記設定情報記憶手段の記憶情報とに基づいて、当該無線通信端末と前記中継機器とを関係付ける関係付け手段と、
前記関係付け手段により関係付けられた前記無線通信端末と前記中継機器との間で通信を行うように制御する無線通信制御手段と
を備えることを特徴とするリピータ装置。
【請求項7】
1以上の無線通信端末と無線接続されるリピータ装置を備えた無線通信システムの前記無線通信端末であって、
前記リピータ装置は、通信路を接続している1以上の中継機器の識別情報を接続先記憶手段に記憶し、通信路を接続した前記無線通信端末からの直前に通信路を接続していた中継機器の識別情報である前接続先情報を受け付け、前記接続先記憶手段の記憶情報と、前記無線通信端末からの当該無線通信端末の識別情報と、受け付けた前記前接続先情報とに基づいて、前記無線通信端末と接続先となるべき前記中継機器とを関係付け、関係付けた前記無線通信端末と中継機器との間で通信を行うように制御するものであり、
前記中継機器あるいは前記リピータ装置との間で通信を行うための無線通信手段と、
前記無線通信手段を通じて通信を行うようにしている前記中継機器の識別情報を保持し、前記無線通信手段を通じて新たに通信路を接続した場合に、当該通信路の接続先に前記前接続先情報を提供する提供手段と
を備えることを特徴とする無線通信端末。
【請求項8】
請求項7に記載の無線通信端末であって、
前記提供手段は、直前に通信路を接続していた中継機器が存在しない場合には、前記前接続先情報を、通信路を接続した相手先に提供しない
ことを特徴とする無線通信端末。
【請求項9】
1以上の無線通信端末と無線接続されるリピータ装置を備えた無線通信システムで用いられる接続先関係付け方法あって、
前記リピータ装置においては、
第1の無線通信手段を通じて1以上の中継機器との間に通信路を接続する第1の通信路接続工程と、
前記第1の通信路接続工程において通信路を接続した1以上の前記中継機器のそれぞれから提供される前記中継機器の識別情報を接続先記憶手段に記録する接続先記録工程と、
第2の無線通信手段を通じて、1以上の前記無線通信端末との間に通信路を接続する第2の通信路接続工程と、
前記第2の通信路接続工程において通信路を接続した前記無線通信端末からの当該無線通信端末が直前に通信路を接続していた前記中継機器の識別情報である前接続先情報を、受付手段を通じて受け付ける受付工程と、
前記接続先記憶手段の記憶情報と、前記無線通信端末からの当該無線通信端末の識別情報と、受け付けた前記前接続先情報とに基づいて、関係付け手段が、通信路を接続した当該無線通信端末と接続先となるべき前記中継機器とを関係付ける関係付け工程と、
前記関係付け工程において関係付けられた前記無線通信端末と中継機器との間で通信を行うように無線通信制御手段が制御する無線通信制御工程と
を有し、
前記無線通信端末においては、
無線通信手段を通じて、前記中継機器あるいは前記リピータ装置との間に通信路を接続するようにする通信路接続工程と、
提供手段が、前記無線通信手段を通じて通信を行うようにしている前記中継機器の識別情報を保持し、前記無線通信手段を通じて新たに通信路を接続した場合に、当該通信路の接続先に前記前接続先情報を提供する提供工程と
を有することを特徴とする接続先関係付け方法。
【請求項10】
請求項9に記載の接続先関係付け方法であって、
前記リピータ装置においては、
前記第2の無線通信手段を通じて通信路を接続した前記無線通信端末から、前記前接続先情報が提供されなかった場合に、前記第1の無線通信手段を通じて通信路が接続されている1以上の前記中継機器のそれぞれに対して、データ提供制御手段の制御により前記無線通信端末からの前記データを提供するデータ提供工程と、
前記第1の無線通信手段を通じて通信路を接続した1以上の前記中継機器からの当該中継機器の識別情報を含むデータを、データ受付手段を通じて受け付けるデータ受付工程と、
前記接続先記憶手段の記憶情報と、前記無線通信端末からの当該無線通信端末の識別情報と、前記データ受付手段を通じて受け付けたデータの送信元の識別情報とに基づいて、前記関係付け手段が通信路を接続した当該無線通信端末と接続先となるべき前記中継機器とを関係付ける第2の関係付け工程と
を有し、
前記無線通信端末の前記提供工程においては、
直前に通信路を接続していた中継機器が存在しない場合には、前記提供手段を通じて前記前接続先情報を、通信路を接続した相手先に提供しない
ことを特徴とする接続先関係付け方法。
【請求項11】
1以上の無線通信端末と無線接続されるリピータ装置を備えた無線通信システムで用いられる接続先関係付け方法あって、
前記リピータ装置は、1以上の中継機器のそれぞれと1以上の前記無線通信端末のそれぞれとを関係付けるためのそれぞれの識別情報を含む関係付け情報を予め記憶する設定情報記憶手段を備え、
前記リピータ装置においては、
第1の無線通信手段を通じて1以上の中継機器との間に通信路を接続する第1の通信路接続工程と、
第2の無線通信手段を通じて前記無線通信端末との間に通信路を接続する第2の通信路接続工程と、
前記第2の通信路接続工程において前記無線通信端末が通信路を接続した場合に、当該無線通信端末からの当該無線通信端末の識別情報と前記設定情報記憶手段の記憶情報とに基づいて、関係付け手段が、当該無線通信端末と前記中継機器とを関係付ける関係付け工程と、
前記関係付け工程において関係付けた前記無線通信端末と前記中継機器との間で通信を行うように無線通信制御手段が制御する無線通信制御工程と
を有し、
前記無線通信端末においては、
無線通信手段を通じて、前記中継機器あるいは前記リピータ装置との間に通信路を接続するようにする通信路接続工程と、
前記通信路接続工程において前記中継機器あるいは前記リピータ装置との間に通信路を接続した場合に、情報提供手段が自機の識別情報を通信路の接続先に提供する情報提供工程と
を有することを特徴とする接続先関係付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−147185(P2012−147185A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3148(P2011−3148)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【Fターム(参考)】