説明

無線通信システム、携帯情報端末及び無線通信方法

【課題】短距離間無線通信を利用することにより、通信会社が提供するサービスを利用することなく原稿を忘れたユーザに対して容易に報知を行うことが可能な無線通信システム及び画像形成装置への画像記録媒体取り忘れ防止方法を提供すること。
【解決手段】画像形成装置の使用前に、ユーザの携帯するPDAや携帯電話等の携帯情報端末と複合機との間で短距離間無線通信を確立させておく。画像形成装置は短距離間無線通信を介して画像記録媒体のセット状況を送信する。これを受信した携帯情報端末はこの情報を記憶しておく。携帯情報端末を携帯したユーザが画像形成装置に画像記録媒体を置いたまま、短距離間無線通信の通信領域から出て、短距離間無線通信が切断されたとき(画像記録媒体を取り忘れたとき)に、携帯情報端末側で警告を行い、これを報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置と、一又は複数の携帯情報端末とを含む無線通信システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンビニエンスストア、小売店などにおいて、デジタル複合機またはカラーデジタル複合機を利用したコピーサービスから提供されており、一般の利用者が手軽に利用できるようになっている。
【0003】
それらデジタル複合機の画像読取部は、読取面にセットされた原稿の上からカバーが被せられた状態で読取動作が行われるようになっている。そのため利用者から原稿が見えなくなり、日頃使い慣れていない利用者は原稿を取り忘れてしまうという問題が生じている。コンビニエンスストアや小売店等で提供されているコピーサービスでは、免許証や保険証のような重要であるとともに個人情報の記載された書面が原稿としてコピーされることも多く、こうした原稿の取り忘れは大きな問題となるおそれがある。
【0004】
また近年、コンビニエンスストアを中心に、デジタルカメラで撮影したデータをデジタル複合機でプリントアウトするサービスも提供されている。この場合は記録メディアを介してデジタル複合機にデータを入力するため、記録メディアを読取口に入れたまま忘れてしまうという問題が起こりうる。
【0005】
このような問題に対応するため、原稿の読取後、一定時間が経過すると警告音を鳴らしたり、管理者のパーソナルコンピュータへ通知したりすることで、ユーザや管理者に原稿の取り忘れを知らせるようにした画像形成装置(例えば、特許文献1参照)や、ユーザを識別できる場合は登録されている連絡先にPHS回線を介して所定のメッセージを送信するような画像形成装置(例えば、特許文献2)が提案されている。
【特許文献1】特開昭58−30772号公報
【特許文献2】特開平11−338317号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した警告音による取り忘れの防止は、構成がシンプルで実現は容易であるが、警告音が鳴った時には既にユーザが離れてしまっている場合が多く、また、周囲が騒がしい場合などに効果が期待できないといった問題点があった。音量を大きくするという解決策が考えられるが、ユーザ含め周囲に驚きを与えるため、コンビニエンスストア等の公共の場では特に相応しくない。
【0007】
また、PHS回線等を介して所定のメッセージを送信するという方法は前述の問題の解決にはなるが、通信会社が提供するサービスへの加入が必要であり、費用、設備面の問題がある。予めユーザ情報の登録が必要であるため、コンビニエンスストア等のように不特定多数のユーザが利用するような場面では現実的に利用することはできなかった。
【0008】
本発明では上記現状を鑑み、短距離間無線通信を利用することにより、通信会社が提供するサービスを利用することなく原稿を忘れたユーザに対して容易に報知を行うことが可能な無線通信システム及び画像形成装置への画像記録媒体取り忘れ防止方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題に鑑み、本発明の無線通信システムは、画像形成装置と、一又は複数の携帯情報端末とを含む無線通信システムにおいて、前記画像形成装置は、前記携帯情報端末を認証し、短距離間無線通信にて接続する携帯情報端末接続手段と、画像記録媒体を読み取る読取手段と、前記読取手段における画像記録媒体のセット状態を検知する検知手段と、前記検知手段により検知されたセット状態を、前記接続されている携帯情報端末に送信するためのセット状態送信手段と、を有し、前記携帯情報端末は、前記画像形成装置から認証され、短距離間無線通信にて接続する接続手段と、前記画像形成装置における画像記録媒体のセット状態を受信するセット状態受信手段と、前記画像形成装置との短距離間無線通信が切断された際に、前記セット状態により前記画像形成装置に画像記録媒体がセットされていると判定された場合には、前記セット状態を報知する報知手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の無線通信システムにおいて、前記検知手段は、前記読取手段における画像記録媒体のセット状態を定期的に検知し、前記セット状態送信手段は、前記検知手段が、セット状態が変化したことを検知する度に、前記接続されている携帯情報端末にセット状態を送信することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の無線通信システムにおいて、前記短距離間無線通信はBluetooth通信に基づくものであることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の無線通信システムにおいて、前記読取手段にセットされる画像記録媒体は、読み取るべき画像を記録した紙原稿又は画像データを電子的に記録したメモリ媒体であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の無線通信システムにおいて、前記携帯情報端末接続手段は、短距離間無線通信により接続するときに必要な情報を、他の近距離無線通信にて前記携帯情報端末と送受信し、前記接続手段は、前記近距離無線通信にて、前記画像形成装置から、短距離間無線通信により接続するときに必要な情報を送受信することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の無線通信システムにおいて、前記報知手段は、音、振動、表示装置への表示のいずれか、あるいは組み合わせであることを特徴とする。
【0015】
本発明の携帯情報端末は、画像形成装置と、短距離間無線通信にて接続可能な携帯情報端末において、前記画像形成装置から認証され、短距離間無線通信にて接続する接続手段と、前記画像形成装置における画像記録媒体のセット状態を受信するセット状態受信手段と、前記画像形成装置との短距離間無線通信が切断された際に、前記セット状態により前記画像形成装置に画像記録媒体がセットされていると判定された場合には、セット状態を報知する報知手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の無線通信方法は、画像形成装置と、一又は複数の携帯情報端末とを含む無線通信システムにおける無線通信方法において、前記画像形成装置は、前記携帯情報端末を認証し、短距離間無線通信にて接続するステップと、画像記録媒体を読み取るステップと、
前記画像記録媒体のセット状態を検知するステップと、前記検知されたセット状態を、前記接続されている携帯情報端末に送信するステップと、を有し、前記携帯情報端末は、
前記画像形成装置から認証され、短距離間無線通信にて接続するステップと、前記画像形成装置における画像記録媒体のセット状態を受信するステップと、前記画像形成装置との短距離間無線通信が切断された際に、前記セット状態により前記画像形成装置に画像記録媒体がセットされていると判定された場合には、セット状態を報知するステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
このように本実施形態によれば、携帯情報端末により認証と画像記録媒体の取り忘れ防止機能とを同時に実現することができ、また、画像記録媒体を取り忘れたまま画像形成装置から離れてしまった場合にも効果的にその旨を報知できる。
【0018】
また、構内PHS設備を設けたり、通信会社が提供するサービスを利用することなく原稿を忘れたユーザに対して報知を行うための通信システム及び画像形成装置への画像記録媒体取り忘れ防止方法を提示するため、多大な費用を必要とすることなく、また、通知するための携帯電話番号などの個人情報を画像形成装置に送信したり入力したりする必要もなくセキュリティ面でも安心することができる。
【0019】
また、画像形成装置と、携帯情報端末とを認証して接続する場合に、短距離間無線通信で接続するのに必要な情報を、短距離間無線通信とは異なる通信方式である近距離無線通信で行うため、容易に認証及び接続を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0021】
[1.装置構成]
図1は本発明を適用した通信システム5を形成する画像形成装置1と携帯情報端末2のそれぞれの構成を説明するブロック図である。なお、本発明の説明に不要なモジュールについては省略している。
【0022】
画像形成装置1はオフィスや、コンビニエンスストアで使用されるコピー機能、外部メモリに保存された画像データの印字機能等を備えるデジタル複合機であり、CPUを中心に構成される制御部100と、バス190を介して該制御部100に接続される各種ハードウェアをもつ。短距離間無線通信であるBluetooth(登録商標)通信を行うためのBluetooth通信部110に加え、数センチから数十センチの極めて近距離での通信を行うためのNFC通信部120を備える。ユーザは操作部130から画像形成装置1の操作を行う。画像読取部170にセットされた原稿や、外部メモリ165がセットされているかどうかの検知は各種センサで構成される検知部140で行う。記憶部150は主記憶装置(例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等のメモリ)と、補助記憶装置(例えば、HDD(Hard Disk Drive))とを含む。ROM160にはデジタル複合機の制御プログラム(ファームウェア)が予め格納されている。本発明を実現するプログラムは記憶部150のHDDに格納されるものでも、ROM160に格納されるものでも構わない。いずれの場合も制御部100が該プログラムを記憶部150のメモリに展開し、実行する。
【0023】
画像読取部170は、セットされた原稿(画像記録媒体)を画像データとして読み取るための機能部である。画像読取部170により読み取られた画像データは、一度記憶部150に記憶されたあと、画像形成部180に出力され、印画紙に印刷されることにより画像が形成される。また、外部メモリ165は、画像データが記憶されている記憶媒体であり、例えばSDメモリカードや、コンパクトフラッシュ(登録商標)、CD−R等の各種記録媒体で構成されている。外部メモリ165に記録されている画像データに基づいて、画像形成部180は、印画紙に印刷し、画像が形成されることになる。
【0024】
携帯情報端末2はユーザが各々所持するようなPDAやスマートフォン、携帯電話のような小型機器であり、画像形成装置1と同様に、制御部200がバス290を介して接続されている各種ハードウェアを制御する。通信についても画像形成装置1と同様で、Bluetooth通信部210とNFC通信部220をもつ。ユーザは操作部230から携帯情報端末2の操作を行う。原稿の取り忘れを検知した際のユーザへの報知は、表示部240と音声出力部245を通して行う。記憶部250はメモリ(主記憶装置)とフラッシュメモリ(補助記憶装置)とを含む。携帯情報端末側では、本発明を実現するプログラムはユーザが任意にインストールするアプリケーションの形態で、記憶部250のフラッシュメモリに格納されるものと想定する。ROM260には携帯情報端末の制御プログラムが予め格納されている。
【0025】
また、記憶部250には、画像形成装置1から受信されるセット情報252が記憶されている。図2にセット情報252の構成の一例を示すと、画像記録媒体の種類(例えば、「原稿」)と、当該画像記録媒体の有無を示すセット状態(例えば、「あり」)とが対応づけて記憶されている。制御部200は、セット情報252を参照することにより、画像形成装置1における画像記録媒体の有無を判定することが出来る。
【0026】
ここで、通常、2台のBluetooth端末の間で通信を確立させるには、2台の端末の間で保護されたパスキーを交換するペアリングという手順を踏む必要がある。この手順はユーザにいくらかの手間を強いることになり、利便性が高いとは言えない。Bluetoothにおけるペアリングの煩雑さを解消するため、NFCを利用する。
【0027】
NFC(Near Field Communication)は近距離無線通信規格であり、FeliCa(登録商標)、MIFARE(登録商標)をはじめとした複数の規格が含まれる。FeliCaは日本で、MIFAREは欧州で広く普及し、デジタル機器やICカードに使用されている。NFCの無線通信は低速で通信可能な距離は10cm程度であるが、一方の端末をもう一方の端末にかざすだけで通信が確立され、データの転送・交換が容易に行えるという特徴がある。この特徴を活用し、Bluetooth通信のペアリングに必要な情報のやり取りを手間のかからないNFCで行うことで、ペアリングの煩雑さが解消される。ペアリングに成功すればあとはBluetoothによる高速でもう少し距離の長い通信が行える。
【0028】
NFCは社員証や電子マネー(クレジット)として利用されている実績があり、オフィスにおいてはユーザ認証、コンビニエンスストア等では代金の決裁に使用できる。これと併せてBluetooth通信のペアリングを同時に行うことで、ユーザに対してペアリングの手続きを意識させずにBluetooth通信を確立させることが可能である。
【0029】
NFCを介して、端末内の特定機能を起動する技術もあり、これを利用すれば携帯情報端末2に格納されている本発明を実現するプログラムの呼び出しも可能となる。
【0030】
[2.処理の流れ]
[2.1 画像形成装置]
続いて、本実施形態における処理の流れについて説明する。まず、図3を用いて画像形成装置1における処理の概要を示す。ここではオフィスで使用される画像形成装置を想定し、携帯情報端末によるユーザ認証(ログイン処理)を行った場合の画像記録媒体の取り忘れ防止についての説明を行う。
【0031】
画像形成装置1のような据え置きの端末ではBluetooth通信やNFC通信は常時有効ですぐに使用できる状態にあるのが一般的であるが、無効に設定されている場合はユーザが初めに操作部130からの操作でBluetooth通信部110、NFC通信部120が有効に動作できる状態にしておく。図2のフローチャートではこの手順の記載を省略している。
【0032】
まず、NFC通信部120は接続要求コマンドを送信する(ステップS10)。送信した接続要求に対して応答が返ってこなければ、一定の時間が経過するのを待ち、再び接続要求を送信する(ステップS12;No→ステップS10)。したがって、一定周期で接続要求を繰り返すことになる。NFC対応端末やカードが所定の位置(リーダ)にかざされればNFC通信部120に接続応答が返り、通信が確立する(ステップS12;Yes)。
【0033】
通信が確立すると、NFC通信部120はユーザ情報を要求する(ステップS14)。所定の時間内に有効なユーザ情報が受信でき認証に成功すれば(ステップS16;Yes)、Bluetooth通信のペアリングを行い(ステップS18)、Bluetooth通信を確立する。以後はNFC通信を行う必要はなく、ユーザは携帯情報端末2を画像形成装置1にかざすのをやめてもよい。
【0034】
なお、ステップS16において、認証が失敗した場合は、認証失敗処理が実行され、この場合、ユーザは画像形成装置1を利用することは出来なくなる(ステップS16;No→ステップS30)。
【0035】
ユーザが携帯情報端末2を画像形成装置1にかざすのをやめるとNFC通信が切断される。この時点でNFC通信部120は再び一定周期で接続要求コマンドを送信し続ける状態に戻る。すなわち、NFC通信部120はステップS10の処理に戻り、ステップS20以降の処理は制御部100とBluetooth通信部110が主体となって行う。図2のフローチャートでは説明を簡単にするため、この点は記載していない。
【0036】
つづいて、Bluetooth通信が成功した場合(ステップS20;Yes)、検知部140により検知された画像記録媒体のセット状態(画像記録媒体の有無)に基づいてセット情報を生成し、携帯情報端末2にセット情報として送信する(ステップS22)。なお、ステップS20において、通信が失敗した場合には、接続失敗処理が実行され、この場合、ユーザは画像形成装置1を利用することは出来るが、取り忘れを防止する機能(すなわち携帯情報端末による報知機能)は利用することが出来なくなる(ステップS20;No→ステップS32)。
【0037】
ここで、検知部140は常に一定周期で画像記録媒体のセット状態(有無)を検知しており、検知したセット状態を例えばレジスタに保持する。セット状態に変化があった場合には(ステップS24;Yes)、レジスタを書き換えることによりセット状態を更新し、制御部100に対して割り込みをかけて、その旨を通知する。制御部100は、割り込みに応じて、Bluetooth通信部110を介して携帯情報端末2にセット情報を送信する(ステップS26)。なお、検知部140の具体的な処理については、説明を簡単にするため図2のフローチャートでは省略している。
【0038】
携帯情報端末2を携帯するユーザが画像形成装置1から離れて行けば(Bluetoothの在圏エリアから外れしまえば)Bluetoothの通信は切断される(ステップS28;Yes)。この場合、終了処理で不要データのクリア等を行う(ステップS34)。このタイミングでユーザのログアウト処理等を行っても良いが、画像記録媒体取り忘れ防止に関連して何かを行う必要はない。
【0039】
なお、画像形成装置1の近くにユーザの座席がある場合など、十分な距離を離れることがなく、Bluetoothの通信が切断されない可能性がある。そこで、一定時間ユーザからの入力がなければ、Bluetooth通信の切断を行うこととしてもよい。
【0040】
また、携帯情報端末2と画像形成装置1との間でBluetooth通信が有効なとき(通信中)に、別の携帯情報端末によるユーザ認証がNFC通信部120で行われる可能性がある。これは携帯情報端末2を携帯するユーザが画像形成装置1の使用を終えてから、続けざまに別のユーザが画像形成装置1の使用を開始するような状況で起こる。そこで前のユーザが使用する携帯情報端末2と画像形成装置1とのBluetooth通信を切断するか、画像記録媒体のセット状態が変化しても、新たに認証を行った方の携帯情報端末にのみにその旨を送信し、携帯情報端末2に対しては送信しないようにすればよい。
【0041】
[2.2 携帯情報端末]
つづいて、携帯情報端末2における処理について、図4のフローチャートを用いて説明する。なお、処理の実行前に、ユーザは操作部230からの操作で、本発明を実現するプログラムを予め起動させているものとする。
【0042】
ユーザが携帯情報端末2を画像形成装置1の所定の位置にかざすと、NFC通信部220は画像形成装置1側のNFC通信部120から送信された接続要求コマンドを受信し、これに対して応答を送信することにより、NFC通信が確立される(ステップS50)。
【0043】
NFC通信が確立されると、ユーザ情報が続いて要求されるので記憶部250に格納されているユーザ情報を読み出し、これをNFC通信部220から送信する(ステップS52)。画像形成装置1側でユーザ認証に成功すれば(ステップS54;Yes)、Bluetooth通信についてもペアリングを行う(ステップS56)。
【0044】
なお、ステップS54において、認証が失敗した場合には、認証失敗処理の処理が実行される(ステップS54;No→ステップS74)。すなわち、ユーザは画像形成装置1を利用することが出来ないこととなる。
【0045】
また、ステップS56においてBluetoothのペアリング処理を実行したが、通信を失敗した場合には(ステップS58;No)、接続失敗処理が実行される(ステップS76)。すなわち、ユーザは画像形成装置1は利用出来るが、取り忘れを防止する機能は利用出来ないこととなる。
【0046】
Bluetooth通信のペアリングに成功し接続が確立すると(ステップS58;Yes)、Bluetooth通信部210により画像形成装置1からセット情報252が受信され(ステップS60;Yes)、受信されたセット情報252を記憶部250に記憶する(ステップS62)。以後、画像形成装置1側で画像記録媒体のセット状況が変化する度に情報が送信されてくるので、その都度、記憶部250に格納しているセット情報252が更新されることとなる。
【0047】
ユーザが携帯情報端末2を携帯して画像形成装置1から離れると(例えば、Bluetoothの在圏エリアとなる10m以上)、Bluetooth通信は切断される(ステップS64;Yes)。なお、通信が切断される原因としては、別のユーザが認証を行うか、一定時間画像形成装置1の操作を行わない場合を想定しても良い。
【0048】
この時、記憶部250に記憶されているセット情報252を照会する(ステップS66)。原稿又は外部メモリのセット状態が「あり」となっている場合には(ステップS68;Yes)、ユーザが原稿等を取り忘れたとみなし、音声出力部245から警告音を出し、表示部240には取り忘れている旨を表示するなどして報知する(ステップS70)。ユーザがこれを確認して、操作部230から所定の入力があれば、警告を止め、表示も消して該プログラムを終了する(ステップS72)。記憶部250に記憶されているセット情報252が、原稿も外部メモリもセットされていない(なし)というものであれば、すぐに終了処理を行う。
【0049】
このように、本実施形態の処理によれば、画像形成装置1と、携帯情報端末2との間で確立されている短距離間無線通信が切断された場合に、画像記録媒体のセット状態が「あり」となっている場合には、利用者に対して報知が行われることになる。
【0050】
したがって、利用者は、携帯情報端末2の報知により、原稿等の画像記録媒体がセットしたままの状態(すなわち、原稿等の画像記録媒体を取り忘れている状態等)であることがわかるため、画像記録媒体がセットされたままであったり、原稿を置いたままであったりといった状態を防止することが出来る。
【0051】
[3.動作例]
続いて、本発明を適用した場合における、携帯情報端末2の動作例について説明する。図5は、携帯情報端末2の概観を示した図である。Bluetooth通信部210を介して、画像形成装置1と確立されていた通信が切断された場合の様子を示す図である。
【0052】
通信が切断されると、セット情報252を参照し画像記録媒体の有無が判定される。そして、画像記録媒体が「あり」となっている場合は、表示部240及び音声出力部245からその旨が報知される。
【0053】
図5においては、表示部240において、領域R10に「通信が切断されました」「原稿が残っています」と報知される。また、併せて音声出力部245より「原稿が残っています」と音声出力により報知されている。
【0054】
これにより、利用者が画像形成装置1から離れた場合に、画像形成装置1に画像記録媒体を残している(忘れてしまっている)ことが容易に把握することが可能となり、原稿の取り忘れを防ぐことが可能となる。
【0055】
[4.変形例]
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
【0056】
なお、上述した実施形態においては、画像形成装置1と、携帯情報端末2との通信にBluetooth通信を利用することとして説明したが、他の規格の短距離無線通信を利用しても良い。例えば、ZigBee(登録商標)、Wibree、UWB、WiFi等の他の規格の短距離無線通信を利用しても同様のことが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】画像形成装置と携帯情報端末との装置構成を説明するためのブロック図である。
【図2】セット情報のデータ構成の一例を示す図である。
【図3】画像形成装置における動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】携帯情報端末における動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】携帯情報端末における動作例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0058】
1 画像形成装置
110 Bluetooth通信部
120 NFC通信部
130 操作部
140 検知部
150 記憶部
160 ROM
165 外部メモリ
170 画像読取部
180 画像形成部
2 携帯情報端末
200 制御部
210 Bluetooth通信部
220 NFC通信部
230 操作部
240 表示部
245 音声出力部
250 記憶部
252 セット情報
260 ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置と、一又は複数の携帯情報端末とを含む無線通信システムにおいて、
前記画像形成装置は、
前記携帯情報端末を認証し、短距離間無線通信にて接続する携帯情報端末接続手段と、
画像記録媒体を読み取る読取手段と、
前記読取手段における画像記録媒体のセット状態を検知する検知手段と、
前記検知手段により検知されたセット状態を、前記接続されている携帯情報端末に送信するためのセット状態送信手段と、
を有し、
前記携帯情報端末は、
前記画像形成装置から認証され、短距離間無線通信にて接続する接続手段と、
前記画像形成装置における画像記録媒体のセット状態を受信するセット状態受信手段と、
前記画像形成装置との短距離間無線通信が切断された際に、前記セット状態により前記画像形成装置に画像記録媒体がセットされていると判定された場合には、前記セット状態を報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記検知手段は、前記読取手段における画像記録媒体のセット状態を定期的に検知し、
前記セット状態送信手段は、前記検知手段が、セット状態が変化したことを検知する度に、前記接続されている携帯情報端末にセット状態を送信することを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記短距離間無線通信はBluetooth通信に基づくものであることを特徴とする請求項1及び2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記読取手段にセットされる画像記録媒体は、読み取るべき画像を記録した紙原稿又は画像データを電子的に記録したメモリ媒体であることを特徴とする請求項1及び2に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記携帯情報端末接続手段は、短距離間無線通信により接続するときに必要な情報を、他の近距離無線通信にて前記携帯情報端末と送受信し、
前記接続手段は、前記近距離無線通信にて、前記画像形成装置から、短距離間無線通信により接続するときに必要な情報を送受信することを特徴とする請求項1又は2に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記報知手段は、音、振動、表示装置への表示のいずれか、あるいは組み合わせであることを特徴とする請求項1又は2に記載の無線通信システム。
【請求項7】
画像形成装置と、短距離間無線通信にて接続可能な携帯情報端末において、
前記画像形成装置から認証され、短距離間無線通信にて接続する接続手段と、
前記画像形成装置における画像記録媒体のセット状態を受信するセット状態受信手段と、
前記画像形成装置との短距離間無線通信が切断された際に、前記セット状態により前記画像形成装置に画像記録媒体がセットされていると判定された場合には、セット状態を報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする携帯情報端末。
【請求項8】
画像形成装置と、一又は複数の携帯情報端末とを含む無線通信システムにおける無線通信方法において、
前記画像形成装置は、
前記携帯情報端末を認証し、短距離間無線通信にて接続するステップと、
画像記録媒体を読み取るステップと、
前記画像記録媒体のセット状態を検知するステップと、
前記検知されたセット状態を、前記接続されている携帯情報端末に送信するステップと、
を有し、
前記携帯情報端末は、
前記画像形成装置から認証され、短距離間無線通信にて接続するステップと、
前記画像形成装置における画像記録媒体のセット状態を受信するステップと、
前記画像形成装置との短距離間無線通信が切断された際に、前記セット状態により前記画像形成装置に画像記録媒体がセットされていると判定された場合には、セット状態を報知するステップと、
を有することを特徴とする無線通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−154030(P2010−154030A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327812(P2008−327812)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】