説明

無線通信システム、無線基地局および通信制御方法

【課題】送信電力のより大きい無線基地局が無線信号を送信するリソースを適切に制御する。
【解決手段】無線通信システム1が第1セルCmを形成する第1無線基地局100と第2セルCpを形成する第2無線基地局200と各無線基地局100,200と無線通信する移動局300とを備える。第1無線基地局100は、無線通信部110と、第1無線基地局100または第2無線基地局200の通信量に影響を与えるパラメータに応じて無線通信部110が無線通信を実行すべき第1リソースNSFおよび無線通信部110が無線通信を停止すべき第2リソースPSFの各々の個数および配置を設定するリソース設定部134と、リソース設定部134が設定した各第1リソースNSFにおいて無線通信を実行しリソース設定部134が設定した各第2リソースPSFにおいて無線通信を停止するように無線通信部110を制御する通信制御部136とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム、無線基地局および通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、送信電力(送信能力)が相異なる複数種の無線基地局(マクロ基地局、ピコ基地局、フェムト基地局、リモートラジオヘッド(Remote Radio Head)等)を重層的に設置したヘテロジーニアスネットワーク(Heterogeneous Network,HetNet)が提案されている(例えば、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Further advancements for E-UTRA physical layer aspects (Release 9); 3GPP TR 36.814 V9.0.0 (2010-03); Section 9A, Heterogeneous Deployments
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の無線信号が共通の無線リソース(時間、周波数等)を用いて送信されると、その複数の無線信号は相互に干渉する。また、送信電力が大きい無線信号ほど他の無線信号に与える干渉が大きい。非特許文献1のヘテロジーニアスネットワークにおいては、送信電力が相異なる複数種の無線基地局の各々が共通の期間および周波数を利用し得るから、送信電力のより大きい無線基地局が無線信号を送信するための無線リソースを占有し続けると、送信電力のより小さい無線基地局が送信する無線信号への干渉が過大となる可能性がある。
【0005】
以上の事情に鑑み、本発明は、送信電力(送信能力)が相異なる複数種の無線基地局を含む無線通信システムにおいて、送信電力のより大きい無線基地局からの無線信号が送信電力のより小さい無線基地局からの無線信号に与える干渉を抑制するために、送信電力のより大きい無線基地局が無線信号を送信するリソースを適切に制御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る無線通信システムは、第1セルを形成する第1無線基地局と、前記第1無線基地局と各々が接続し、接続先の第1無線基地局が形成する前記第1セル内に前記第1セルよりも面積が小さい第2セルを各々が形成する複数の第2無線基地局と、前記第1セルおよび前記第2セルのうち移動局自身が在圏する在圏セルに対応する前記第1無線基地局および前記第2無線基地局のうち少なくともいずれか1つとの間に無線接続を確立して無線通信を実行する無線通信部を各々が備える複数の移動局とを備える無線通信システムであって、前記第1無線基地局は、当該第1無線基地局が形成する第1セル内に第2セルを形成する第2無線基地局の各々と同期して無線通信を実行可能な無線通信部と、当該第1無線基地局または当該第2無線基地局の少なくともいずれかの通信量に影響を与えるパラメータに応じて、所定の時間長および所定の周波数帯域幅の少なくともいずれかを占める単位リソースに含まれる、前記無線通信部が無線通信を実行すべき第1リソースおよび前記無線通信部が無線通信を停止すべき第2リソースの各々の個数および配置を設定するリソース設定部と、前記リソース設定部が設定した前記各第1リソースにおいて無線通信を実行し、前記リソース設定部が設定した前記各第2リソースにおいて無線通信を停止するように前記無線通信部を制御する通信制御部とを備える。
【0007】
「当該第1無線基地局または当該第2無線基地局の少なくともいずれかの通信量に影響を与えるパラメータ」とは、例えば、当該第1無線基地局の通信負荷、当該第1無線基地局に無線接続された移動局の数、当該第1無線基地局が形成する第1セル内に形成された第2セルの個数、当該第1無線基地局が形成する第1セル内に形成された第2セルに対応する第2無線基地局に無線接続されている移動局の通信量、当該第1無線基地局が形成する第1セル内に形成された第2セルに対応する第2無線基地局に無線接続されている移動局の数、等であるが、以上の例に限定されるものではない。
「リソース」とは、無線通信を実行する際に使用される無線資源を意味し、時間長(例えば、サブフレームまたはタイムスロット)、周波数帯域(例えば、サブキャリア)、時間長と周波数帯域との組合せ(例えば、リソースブロック)等が例示される。
以上の構成によれば、第1無線基地局が、その第1無線基地局またはその第1無線基地局が形成する第1セル内に第2セルを形成する第2無線基地局の少なくともいずれかの通信量に影響を与えるパラメータに応じて、その第1無線基地局の無線通信部が実行する無線通信を停止するリソースを設けるので、第2無線基地局が送信する電波(無線信号)に対する第1無線基地局からの干渉が抑制される。
【0008】
本発明の好適な態様によれば、前記移動局は、前記在圏セルに対応する前記第1無線基地局および前記第2無線基地局から送信される各無線信号の受信特性値を測定する特性値測定部をさらに備え、前記第1無線基地局は、前記リソース設定部による前記単位リソースにおける前記第1リソースおよび前記第2リソースの各々の個数および配置の設定に基づいて、前記移動局が受信した前記第2無線基地局からの前記無線信号の前記受信特性値を補正する補正値を設定する補正値設定部と、前記補正値設定部が設定した前記補正値を前記移動局へ通知する補正値通知部とをさらに備え、前記移動局は、前記第1無線基地局の前記補正値通知部から通知された前記補正値を用いて、前記特性値測定部で測定された前記第2無線基地局からの前記無線信号の前記受信特性値を補正する特性値補正部をさらに備え、前記第1無線基地局または前記移動局は、前記受信特性値が最も良好である第1無線基地局または第2無線基地局を前記移動局の無線接続先として選択する。
以上の構成によれば、特性値測定部で測定された第2無線基地局からの無線信号の受信特性値を補正値を用いて補正するから、第2無線基地局に無線接続される移動局の数が増大し得る。また、単位リソースにおける第1リソースおよび第2リソースの各々の個数および配置の設定に基づいて移動局が受信した第2無線基地局からの無線信号の受信特性値を補正する補正値を設定するから、補正値(ひいては、第2セルの範囲)がより適切に設定され得る。
【0009】
本発明の好適な態様によれば、前記移動局は、前記在圏セルに対応する前記第1無線基地局および前記第2無線基地局から送信される各無線信号の受信特性値を測定する特性値測定部をさらに備え、前記第1無線基地局は、前記第1無線基地局および前記第2無線基地局の少なくともいずれかの状態に応じて、前記移動局が受信した前記第2無線基地局からの前記無線信号の前記受信特性値を補正する補正値を設定する補正値設定部と、前記補正値設定部が設定した前記補正値を前記移動局へ通知する補正値通知部とをさらに備え、前記移動局は、前記第1無線基地局の前記補正値通知部から通知された前記補正値を用いて、前記特性値測定部で測定された前記第2無線基地局からの前記無線信号の前記受信特性値を補正する特性値補正部をさらに備え、前記第1無線基地局または前記移動局が、前記受信特性値が最も良好である第1無線基地局または第2無線基地局を前記移動局の無線接続先として選択した後に、前記第1無線基地局の前記リソース設定部が、当該第1無線基地局または当該第2無線基地局の少なくともいずれかの通信量に影響を与えるパラメータに応じて所定の前記単位リソースにおける前記第1リソースおよび前記第2リソースの各々の個数および配置を設定する。
以上の構成によれば、第1無線基地局の受信特性値および補正値を用いて補正された第2無線基地局の受信特性値に基づいて移動局の無線接続先が選択された後に、リソース設定部が、第1無線基地局または第2無線基地局の少なくともいずれかの通信量に影響を与えるパラメータに応じて所定の単位リソースにおける第1リソースおよび第2リソースの各々の個数および配置を設定するので、第1リソースおよび第2リソースの各々の個数および配置がより適切に設定され得る。
【0010】
本発明の好適な態様によれば、前記第1無線基地局の前記リソース設定部は、当該第1無線基地局の通信負荷が低いほど前記単位リソースにおける前記第2リソースの個数を多く設定する。
本発明の好適な態様によれば、前記第1無線基地局の前記リソース設定部は、当該第1無線基地局に無線接続された移動局の数が少ないほど、前記単位リソースにおける前記第2リソースの個数を多く設定する。
本発明の好適な態様によれば、前記第1無線基地局の前記リソース設定部は、当該第1無線基地局に無線接続された移動局であって当該移動局自身の通信量が所定の閾値を上回る移動局の数が少ないほど、前記単位リソースにおける前記第2リソースの個数を多く設定する。
以上の構成によれば、第1無線基地局に無線接続された移動局に割り当てるべき無線リソースが少ないほど、第1無線基地局が無線通信を停止すべき第2リソースの個数を多く設定するから、第2無線基地局が送信する電波(無線信号)に対する第1無線基地局からの干渉がより抑制され得る。
【0011】
本発明の好適な態様によれば、前記第1無線基地局の前記リソース設定部は、当該第1無線基地局が形成する第1セル内に形成された第2セルの個数が多いほど、前記単位リソースにおける前記第2リソースの個数を多く設定する。
本発明の好適な態様によれば、前記第1無線基地局の前記リソース設定部は、当該第1無線基地局が形成する第1セル内に形成された第2セルであって1つ以上の前記移動局と無線接続されている第2無線基地局に対応する第2セルの個数が多いほど、前記単位リソースにおける前記第2リソースの個数を多く設定する。
以上の構成によれば、第2セルの個数(より好適には、1つ以上の移動局と無線接続されている第2無線基地局に対応する第2セルの個数)が多いほど、第1無線基地局が無線通信を停止すべき第2リソースの個数を多く設定するから、第2無線基地局が送信する電波(無線信号)に対する第1無線基地局からの干渉がより抑制され得る。
【0012】
本発明の好適な態様によれば、前記第1無線基地局の前記リソース設定部は、当該第1無線基地局が形成する第1セル内に形成された第2セルに対応する第2無線基地局に無線接続されている移動局の通信量が大きいほど、前記単位リソースにおける前記第2リソースの個数を多く設定する。
以上の構成によれば、第2無線基地局に無線接続されている移動局の通信量が多いほど、第1無線基地局が無線通信を停止すべき第2リソースの個数を多く設定するから、第2無線基地局が送信する電波(無線信号)に対する第1無線基地局からの干渉がより抑制され得る。
【0013】
本発明の好適な態様によれば、前記第1無線基地局の前記リソース設定部は、当該第1無線基地局が形成する第1セル内に形成された第2セルに対応する第2無線基地局であって当該第1無線基地局からの距離が所定の閾値を上回る第2無線基地局に無線接続されている移動局の通信量が大きいほど、前記単位リソースにおける前記第2リソースの個数を多く設定する。
以上の構成によれば、第1無線基地局の近傍に位置する第2無線基地局に無線接続されている移動局の通信量が多いほど、第1無線基地局が無線通信を停止すべき第2リソースの個数を多く設定するから、第2無線基地局が送信する電波(無線信号)に対する第1無線基地局からの干渉がより抑制され得る。
【0014】
本発明の好適な態様によれば、前記第1無線基地局の前記リソース設定部は、当該第1無線基地局が形成する第1セル内に形成された第2セルに対応する第2無線基地局に無線接続されている移動局の数が多いほど、前記単位リソースにおける前記第2リソースの個数を多く設定する。
以上の構成によれば、第2無線基地局に無線接続されている移動局の数が多いほど、第1無線基地局が無線通信を停止すべき第2リソースの個数を多く設定するから、第2無線基地局が送信する電波(無線信号)に対する第1無線基地局からの干渉がより抑制され得る。
【0015】
本発明の好適な態様によれば、前記第1無線基地局の前記リソース設定部は、当該第1無線基地局が形成する第1セル内に形成された第2セルに対応する第2無線基地局であって当該第1無線基地局からの距離が所定の閾値を上回る第2無線基地局に無線接続されている移動局の数が多いほど、前記単位リソースにおける前記第2リソースの個数を多く設定する。
以上の構成によれば、第1無線基地局の近傍に位置する第2無線基地局に無線接続されている移動局の数が多いほど、第1無線基地局が無線通信を停止すべき第2リソースの個数を多く設定するから、第2無線基地局が送信する電波(無線信号)に対する第1無線基地局からの干渉がより抑制され得る。
【0016】
本発明の好適な態様によれば、前記第1無線基地局の前記リソース設定部は、当該第1無線基地局が形成する第1セルに含まれる範囲であって当該第1無線基地局からの距離が所定の閾値を下回る範囲内に配置される第2無線基地局の数が多いほど、前記単位リソースにおける前記第2リソースの個数をより多く設定する。
以上の構成によれば、第1無線基地局の近傍に多くの第2無線基地局が配置されている場合に、第1無線基地局が無線通信を停止すべき第2リソースの個数をより多く設定するから、第2無線基地局が送信する電波(無線信号)に対する第1無線基地局からの干渉がより抑制され得る。
また、前記第1無線基地局の前記リソース設定部は、当該第1無線基地局が形成する第1セルに含まれる範囲であって当該第1無線基地局からの距離が所定の閾値を下回る範囲内に1つ以上の第2無線基地局が配置されている場合に、前記範囲内に第2無線基地局が1つも配置されていない場合と比較して、前記単位リソースにおける前記第2リソースの個数をより多く設定してもよい。
【0017】
本発明の好適な態様によれば、前記第1無線基地局において、前記単位リソースは、各々が所定の時間長および所定の周波数帯域幅のいずれか一方又は双方に対応する複数の下位単位リソースを含み、前記複数の下位単位リソースの各々には、互いに重複しない優先順位が割り当てられており、前記第1無線基地局の前記リソース設定部は、前記優先順位に従って前記第1単位リソースを配置する。
以上の構成によれば、第1無線基地局が無線通信を実行すべき第1リソースが優先順位に従って配置される。
【0018】
前記第2無線基地局は、当該第2無線基地局が接続された前記第1無線基地局における前記優先順位の逆順に従って前記下位単位リソースを選択し、選択された前記下位単位リソースを用いて前記移動局との無線通信を実行する。
以上の構成によれば、第1無線基地局が無線信号を送信しない可能性がより高い下位単位リソース(第1無線基地局からの干渉が少ない可能性がより高い下位単位リソース)に、第2無線基地局が無線通信を実行し得る。
【0019】
また、本発明に係る無線基地局は、第1セルを形成する第1無線基地局と、前記第1無線基地局と各々が接続し、接続先の第1無線基地局が形成する前記第1セル内に前記第1セルよりも面積が小さい第2セルを各々が形成する複数の第2無線基地局と、前記第1セルおよび前記第2セルのうち移動局自身が在圏する在圏セルに対応する前記第1無線基地局および前記第2無線基地局のうち少なくともいずれか1つとの間に無線接続を確立して無線通信を実行する無線通信部を各々が備える複数の移動局とを備える無線通信システムにおける第1無線基地局であって、当該第1無線基地局が形成する第1セル内に第2セルを形成する第2無線基地局の各々と同期して無線通信を実行可能な無線通信部と、当該第1無線基地局または当該第2無線基地局の少なくともいずれかの通信量に影響を与えるパラメータに応じて、所定の時間長および所定の周波数帯域幅の少なくともいずれかを占める単位リソースに含まれる、前記無線通信部が無線通信を実行すべき第1リソースおよび前記無線通信部が無線通信を停止すべき第2リソースの各々の個数および配置を設定するリソース設定部と、前記リソース設定部が設定した前記各第1リソースにおいて無線通信を実行し、前記リソース設定部が設定した前記各第2リソースにおいて無線通信を停止するように前記無線通信部を制御する通信制御部とを備える。
【0020】
また、本発明に係る通信制御方法は、第1セルを形成する第1無線基地局と、前記第1無線基地局と各々が接続し、接続先の第1無線基地局が形成する前記第1セル内に前記第1セルよりも面積が小さい第2セルを各々が形成する複数の第2無線基地局と、前記第1セルおよび前記第2セルのうち移動局自身が在圏する在圏セルに対応する前記第1無線基地局および前記第2無線基地局のうち少なくともいずれか1つとの間に無線接続を確立して無線通信を実行する無線通信部を各々が備える複数の移動局とを備える無線通信システムにおける通信制御方法であって、当該第1無線基地局が形成する第1セル内に第2セルを形成する第2無線基地局の各々と同期して無線通信を実行することと、当該第1無線基地局または当該第2無線基地局の少なくともいずれかの通信量に影響を与えるパラメータに応じて、所定の時間長および所定の周波数帯域幅の少なくともいずれかを占める単位リソースに含まれる、前記無線通信部が無線通信を実行すべき第1リソースおよび前記無線通信部が無線通信を停止すべき第2リソースの各々の個数および配置を設定することと、前記リソース設定部が設定した前記各第1リソースにおいて無線通信を実行し、前記リソース設定部が設定した前記各第2リソースにおいて無線通信を停止するように前記無線通信部を制御することとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係る無線通信システムを示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るユーザ装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るマクロ基地局の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るピコ基地局の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る無線通信システムの各通信要素間で送受信される無線フレームのフォーマットを示す図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係るセル間干渉コーディネーション(Inter-Cell Interference Coordination,ICIC)の概説図である。
【図7】本発明の第1実施形態におけるリソース配分情報の設定の様子を例示する図である。
【図8】本発明の第1実施形態におけるリソース配分情報の設定の様子を例示する図である。
【図9】本発明の第2実施形態におけるリソース配分情報の設定の様子を例示する図である。
【図10】本発明の第2実施形態におけるリソース配分情報の設定の様子を例示する図である。
【図11】本発明の第3実施形態におけるリソース配分情報の設定の様子を例示する図である。
【図12】本発明の第3実施形態におけるリソース配分情報の設定の様子を例示する図である。
【図13】本発明の第4実施形態におけるリソース配分情報の設定の様子を例示する図である。
【図14】本発明の第5実施形態に係るユーザ装置の構成を示すブロック図である。
【図15】本発明の第5実施形態に係るマクロ基地局の構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の第5実施形態に係る受信特性(受信電力)の補正の説明図である。
【図17】本発明の第5実施形態におけるリソース配分情報の設定および補正値の設定の動作フロー図である。
【図18】前記補正の有無に応じたピコセルの範囲の変化を示す図である。
【図19】本発明の第6実施形態に係るマクロ基地局の構成を示すブロック図である。
【図20】本発明の第6実施形態における補正値の設定およびリソース配分情報の設定の動作フロー図である。
【図21】前記無線フレーム内の各サブフレームに付与される優先順位の例を示す図である。
【図22】優先順位に従ったサブフレームの配置の一例を示す図である。
【図23】本発明の第8実施形態に係る無線通信システムの各通信要素間で送受信される無線フレームのフォーマットを示す図である。
【図24】本発明の第8実施形態に係るセル間干渉コーディネーションの概説図である。
【図25】本発明の第9実施形態に係る無線通信システムの各通信要素間で送受信される無線フレームのフォーマットを示す図である。
【図26】本発明の第9実施形態に係るセル間干渉コーディネーションの概説図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
第1の実施形態
図1は、本発明の第1実施形態に係る無線通信システム1のブロック図である。無線通信システム1は、マクロ基地局(マクロeNodeB(evolved Node B))100と、ピコ基地局(ピコeNodeB)200と、ユーザ装置300とを備える。マクロ基地局100とピコ基地局200とは有線または無線にて相互に接続される。マクロ基地局100は、不図示のコアネットワークにも接続される。なお、説明の簡単のため、1つのマクロ基地局100のみが図示されているが、無線通信システム1が複数のマクロ基地局100を含み得ることは当然に理解される。
【0023】
無線通信システム1内の各通信要素(マクロ基地局100、ピコ基地局200、ユーザ装置300等)は所定の無線アクセス技術(Radio Access Technology)、例えばLTE(Long Term Evolution)に従って無線通信を行う。本実施形態では、無線通信システム1がLTEに従って動作する形態を例示して説明するが、本発明の技術的範囲を限定する趣旨ではない。本発明は、必要な設計上の変更を施した上で、他の無線アクセス技術(例えば、IEEE 802.16に規定されるWiMAX)にも適用可能である。
【0024】
ユーザ装置300は、所定の受信品質を満たす電波を送信する基地局(マクロ基地局100,ピコ基地局200)と無線接続して無線通信を実行する。電波は伝搬するに従って減衰し、また、伝搬距離が長いほどフェージング等の影響も受け易くなるから、所定の受信品質が維持される範囲(ユーザ装置300が基地局と無線通信可能な範囲)は、基地局を中心とした有限の範囲内に限定される。すなわち、各基地局は、その基地局に対する無線通信可能範囲であるセルCをその周囲に形成する。マクロ基地局100が形成するセルCをマクロセルCmと称し、ピコ基地局200が形成するセルCをピコセルCpと称する。ピコセルCpは、そのピコセルCpを形成するピコ基地局200に接続されたマクロ基地局100が形成するマクロセルCm内に形成されるセルCである。1つのマクロセルCm内には、複数のピコセルCpが形成され得る。
【0025】
各基地局(マクロ基地局100,ピコ基地局200)は、その基地局自身のセルCに在圏するユーザ装置(User Equipment,UE)300との間で電波(無線信号)を送受信することにより無線通信が可能である。逆に言うと、ユーザ装置300は、ユーザ装置300自身が在圏するセルC(マクロセルCm,ピコセルCp)に対応する基地局(マクロ基地局100,ピコ基地局200)との間で電波(無線信号)を送受信することにより無線通信が可能である。
【0026】
マクロ基地局100はピコ基地局200と比較して無線送信能力(アンテナゲイン,最大送信電力,平均送信電力等)が高い。また、マクロ基地局100はピコ基地局200と比較してサイズ(幅、奥行き、および高さ)が大きく、送受信アンテナが設置される高さもピコ基地局200と比較して高い。したがって、より遠くに位置するユーザ装置300と無線通信可能である。したがって、マクロセルCmはピコセルCpよりも面積が大きい。例えば、マクロセルCmは半径数百メートルから数十キロメートル程度の大きさであり、ピコセルCpは半径数メートルから数十メートル程度の大きさである。
【0027】
以上の説明から理解されるように、無線通信システム1内のマクロ基地局100およびピコ基地局200は、送信電力(送信能力)が相異なる複数種の無線基地局が重層的に設置されたヘテロジーニアスネットワーク(Heterogeneous Network,HetNet)を構成する(3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Further advancements for E-UTRA physical layer aspects (Release 9); 3GPP TR 36.814 V9.0.0 (2010-03); Section 9A, Heterogeneous Deploymentsを参照のこと)。
【0028】
ピコセルCpがマクロセルCmの内部に重層的に形成される(オーバレイされる)ことを考慮すると、ユーザ装置300がピコセルCp内に在圏する場合、そのユーザ装置300は、そのピコセルCpを形成するピコ基地局200と、そのピコセルCpを包含するマクロセルCmを形成するマクロ基地局100との双方と無線通信が可能であると理解できる。
【0029】
なお、各基地局とユーザ装置300との間の無線通信の方式は任意である。例えば、ダウンリンクではOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)が採用され、アップリンクではSC−FDMA(Single-Carrier Frequency Division Multiple Access)が採用されてもよい。
【0030】
図2は、本発明の実施形態に係るユーザ装置300の構成を示すブロック図である。ユーザ装置300は無線通信部310と制御部330とを備える。なお、音声・映像等を出力する出力装置およびユーザからの支持を受け付ける入力装置等の図示は、便宜的に省略されている。
【0031】
無線通信部310は、基地局(マクロ基地局100,ピコ基地局200)との間に無線接続を確立して無線通信を実行するための要素であり、送受信アンテナ312と、基地局から電波を受信して電気信号に変換する受信回路と、音声信号等の電気信号を電波に変換して送信する送信回路とを含む。制御部330は、無線通信部310を含むユーザ装置300の動作を制御する要素であり、ユーザ装置300内の図示しないCPU(Central Processing Unit)が図示しない記憶部に記憶されたコンピュータプログラムを実行し、そのコンピュータプログラムに従って機能することにより実現される機能ブロックであり得る。
【0032】
図3は、本発明の実施形態に係るマクロ基地局100の構成を示すブロック図である。マクロ基地局100は、無線通信部110と基地局通信部120と制御部130と記憶部150とを備える。
【0033】
無線通信部110は、ユーザ装置300との間で無線接続を確立して無線通信を実行するための要素であり、送受信アンテナ112と、ユーザ装置300から電波を受信して電気信号に変換する受信回路と、音声信号等の電気信号を電波に変換して送信する送信回路と、無線接続されたユーザ装置300の数および無線接続されたユーザ装置300との間に生じるトラヒック量(詳細は後述される)を測定する測定部とを含む。
基地局通信部120は、他の基地局(マクロ基地局100,ピコ基地局200)と通信を実行するための要素であり、他の基地局との間で電気信号を送受信する。マクロ基地局100が他の基地局と無線にて通信を行う場合は、無線通信部110が基地局通信部120を兼ねることも可能であることは当然に理解される。
【0034】
制御部130は、リソース設定部134および通信制御部136を要素として内包する。制御部130ならびに制御部130が内包するリソース設定部134および通信制御部136は、マクロ基地局100内の図示しないCPUが、記憶部150に記憶されたコンピュータプログラムを実行し、そのコンピュータプログラムに従って機能することにより実現される機能ブロックであり得る。制御部130の動作の詳細は後述される。
記憶部150は、以上のコンピュータプログラムおよび本発明の送信制御に必要な各種の情報を記憶する記憶媒体であり、例えばRAM(Random Access Memory)である。
【0035】
図4は、本発明の実施形態に係るピコ基地局200の構成を示すブロック図である。ピコ基地局200は、無線通信部210と基地局通信部220と制御部230とを備える。
【0036】
無線通信部210は、ユーザ装置300との間で無線接続を確立して無線通信を実行するための要素であり、送受信アンテナ212と、ユーザ装置300から電波を受信して電気信号に変換する受信回路と、音声信号等の電気信号を電波に変換して送信する送信回路と、無線接続されたユーザ装置300の数および無線接続されたユーザ装置300との間に生じるトラヒック量(詳細は後述される)を測定する測定部とを含む。
基地局通信部220は、ピコ基地局200自身が接続されるマクロ基地局100と通信を実行するための要素であり、マクロ基地局100との間で電気信号を送受信する。なお、ピコ基地局200がマクロ基地局100と無線にて通信する場合には、無線通信部210が基地局通信部220を兼ねてもよい。
【0037】
ピコ基地局200は、マクロ基地局100が送信した情報を受信してユーザ装置300に転送でき、ユーザ装置300が送信した情報を受信してマクロ基地局100に転送できる。具体的には、ピコ基地局200の基地局通信部220がマクロ基地局100から受信した電気信号を、制御部230が無線通信部210に供給する。無線通信部210は、供給された電気信号を電波に変換してユーザ装置300に対して送信する。また、ピコ基地局200の無線通信部210が受信・変換して得た電気信号を、制御部230が基地局通信部220に供給する。基地局通信部220は、供給された電気信号をマクロ基地局100に対して送信する。以上の構成により、ユーザ装置300がピコ基地局200に近接しているためマクロ基地局100との無線通信が困難である場合でも、ユーザ装置300とマクロ基地局100との間で必要な情報を送受信することが可能となる。
なお、ピコ基地局200の制御部230は、ピコ基地局200内の図示しないCPUが、図示しない記憶部に記憶されたコンピュータプログラムを実行し、そのコンピュータプログラムに従って機能することにより実現される機能ブロックであり得る。
【0038】
図5は、無線通信システム1の各通信要素間で送受信される無線フレームFのフォーマットを示す図である。無線フレームFは、各通信要素(マクロ基地局100、ピコ基地局200、ユーザ装置300等)が送信する無線信号の送信単位であり、所定の時間長(例えば、10ミリ秒)および所定の帯域幅を占める。無線フレームFが連続的に送信されることにより一連の無線信号が構成される。
無線フレームFは複数のサブフレームSFを含む。サブフレームSFは、無線フレームFよりも短い時間長(例えば、1ミリ秒)を占める送信単位であり、1つの無線フレームF内において0番(#0)から昇順にナンバリングされ得る。
【0039】
図6は、本発明の第1の実施形態に係るセル間干渉コーディネーション(ICIC,Inter-Cell Interference Coordination)の概説図である。
【0040】
ICICの説明のため、マクロ基地局100およびそのマクロ基地局100が形成するマクロセルCm内にピコセルCpを形成するピコ基地局200が、同一の無線フレームタイミングおよび同一の周波数帯域にて無線信号(無線フレームF)を送信することを想定する。ここで、「同一の無線フレームタイミングで無線信号が送信される」とは、マクロ基地局100が送信する無線フレームFの送信開始時刻とピコ基地局200が送信する無線フレームFの送信開始時刻とが同時であることを意味する。すなわち、マクロ基地局100の無線通信部110とピコ基地局200の無線通信部210とは、同期して無線通信を実行し得る。
以上の場合、マクロ基地局100からの無線信号およびピコ基地局200からの無線信号は同一の周波数帯域にて送信されるから、相互に干渉し合う。特に、マクロ基地局100の送信電力はピコ基地局200の送信電力よりも大きいので、ピコ基地局200からの無線信号に対するマクロ基地局100からの無線信号の干渉は顕著に大きい。したがって、双方の無線信号が常に送信され続けると、ピコ基地局200からの無線信号をユーザ装置300が受信することが困難である。
【0041】
以上の事情を考慮して、本発明のICICにおいては、後述する様々な態様により配分されるサブフレームSFのパターンに基づいて、マクロ基地局100の無線通信部110が無線信号を間欠的にユーザ装置300へ送信する。例えば、図6に示すように、無線通信部110の通信制御部136は、1サブフレームSFごとに無線信号の送信実行と送信停止とを切り替えるように無線通信部110を制御する。マクロ基地局100による干渉からピコ基地局200の無線信号が守られる(プロテクトされる)ことから、マクロ基地局100無線信号の送信を停止するサブフレームSFをプロテクテッドサブフレーム(Protected Subframe)PSFと称し、逆に、マクロ基地局100が無線信号の送信を実行するサブフレームSFを非プロテクテッドサブフレーム(Non-Protected Subframe)NSFと称する。
他方、ピコ基地局200の無線通信部210は、無線信号を継続的に、すなわち非プロテクテッドサブフレームNSFとプロテクテッドサブフレームPSFとの双方において無線信号をユーザ装置300へ送信する。
【0042】
マクロ基地局100の無線通信部110が無線信号を送信しないプロテクテッドサブフレームPSFでは、ピコ基地局200の無線通信部210のみが無線信号を送信する。したがって、プロテクテッドサブフレームPSFにおいては、ピコ基地局200からの無線信号がマクロ基地局100からの無線信号による干渉を受けないから、マクロ基地局100が形成するマクロセルCmおよびピコ基地局200が形成するピコセルCpの双方に在圏するユーザ装置300が、ピコ基地局200からの無線信号をより品質良く受信することが可能となる。
【0043】
第1実施形態のマクロ基地局100のリソース設定部134は、マクロ基地局100のトラヒック量が少ない(通信負荷が低い)ほど、無線通信部110が送信する無線フレームF内のプロテクテッドサブフレームPSFの個数を多く設定する。
【0044】
より具体的には、リソース設定部134は、無線通信部110からトラヒック量に関する情報を取得する。トラヒック量は、マクロ基地局100の無線通信部110が送信しようとするデータ量もしくは受信しようとするデータ量、マクロ基地局100の無線通信部110の送信スループットもしくは受信スループット、又はそのマクロ基地局100の無線通信部110と無線接続する各ユーザ装置300の送信平均データレートもしくは受信平均データレートのいずれか1つ又はいずれか2つ以上の組み合わせであってよい。
【0045】
リソース設定部134は、無線通信部110から取得したトラヒック量に基づいてリソース配分情報ALを設定する。リソース配分情報ALは、各無線フレームFにおける非プロテクテッドサブフレームNSFおよびプロテクテッドサブフレームPSFの各々の個数および配置を示す情報である。リソース設定部134は、マクロ基地局100のトラヒック量が少ないほど、無線フレームF内のプロテクテッドサブフレームPSFが多くなるようにリソース配分情報ALを設定し、通信制御部136に供給する。通信制御部136は、リソース設定部134が設定したリソース配分情報ALに基づいて無線通信部110を制御する。
【0046】
また、リソース設定部134は、そのマクロ基地局100に無線接続されたユーザ装置300の数が少ないほど、各無線フレームFにおけるプロテクテッドサブフレームPSFの個数を多く設定してもよい。
例えば、図7においては、4つのユーザ装置300がマクロ基地局100に無線接続されている。ここで、ピコ基地局200に無線接続されていたユーザ装置300aが移動してマクロ基地局100との無線接続が解除され、合計で3つのユーザ装置300がマクロ基地局100に接続された状態になると、マクロ基地局100のリソース設定部134は、各無線フレームFにおけるプロテクテッドサブフレームPSFの個数が多くなるようにリソース配分情報ALを設定する。
【0047】
また、リソース設定部134は、そのマクロ基地局100に無線接続されたユーザ装置300であって、トラヒック量が所定の閾値を上回るユーザ装置300(以下、高トラヒックユーザ装置300Hと称する)の数が少ないほど、各無線フレームFにおけるプロテクテッドサブフレームPSFの個数を多く設定してもよい。
例えば、図8においては、マクロ基地局100に無線接続された4つのユーザ装置300のうち、2つが高トラヒックユーザ装置300Hである。ここで、1つの高トラヒックユーザ装置300Hが通常のユーザ装置300となり、合計で1つの高トラヒックユーザ装置300がマクロ基地局100に接続された状態になると、マクロ基地局100のリソース設定部134は、各無線フレームFにおけるプロテクテッドサブフレームPSFの個数が多くなるようにリソース配分情報ALを設定する。
【0048】
以上の構成によれば、マクロ基地局100に無線接続されたユーザ装置300に割り当てるべき無線リソースが少ないほど、マクロ基地局100のリソース設定部134が、無線通信部110が無線信号の送信を停止するプロテクテッドサブフレームPSFの個数を多くするように(すなわち、各無線フレームFにて無線通信部110が無線信号を送信する期間(リソース)が少なくなるように)通信制御部136を制御する。したがって、ピコ基地局200が送信する無線信号に対するマクロ基地局100からの干渉が抑制され得る。
【0049】
第2の実施形態
本発明の第2実施形態を以下に説明する。以下に例示する各実施形態において、作用や機能が第1実施形態と同等である要素については、以上の説明で参照した符号を流用して各々の説明を適宜に省略する。
【0050】
第2実施形態のマクロ基地局100のリソース設定部134は、基地局通信部120から、そのマクロ基地局100が形成するマクロセルCm内に形成されたピコセルCpの個数(例えば、そのマクロ基地局100と接続され、かつ動作中であるピコ基地局200の個数、またはそのマクロ基地局100と接続され、かつ動作中であるピコ基地局200のうち、制御チャネルによる通信に加えデータチャネルによる通信を行っている個数)を取得する。そして、リソース設定部134は、取得したピコセルCpの個数が多いほど、無線フレームF内のプロテクテッドサブフレームPSFが多くなるようにリソース配分情報ALを設定する。通信制御部136は、リソース設定部134が設定したリソース配分情報ALに基づいて無線通信部110を制御する。
【0051】
例えば、図9においては、網掛け枠で示された2つのピコセルCp(Cpa,Cpb)が、マクロ基地局100が形成するマクロセルCm内に存在する。したがって、マクロ基地局100のリソース設定部134は、より少ない(すなわち、1つの)ピコセルCpがマクロセルCm内に形成されている場合と比較して、無線フレームF内のプロテクテッドサブフレームPSFが多くなるようにリソース配分情報ALを設定する。
【0052】
以上の構成によれば、ピコセルCpの個数が多い、すなわちピコ基地局200に無線接続されるユーザ装置300の個数が多い可能性が高いほど、マクロ基地局100のリソース設定部134が、マクロ基地局100の無線通信部110が無線信号の送信を停止するプロテクテッドサブフレームPSFの個数を多くするように(すなわち、各無線フレームFにて無線通信部110が無線信号を送信する期間(リソース)が少なくなるように)通信制御部136を制御する。したがって、ピコ基地局200と無線接続されたユーザ装置300に送信される無線信号へのマクロ基地局100からの干渉が低減され得る。
【0053】
ところで、図9では、図面左側のピコセルCpaを形成するピコ基地局200にはユーザ装置300が1つも無線接続されていない。ピコ基地局200に無線接続されたユーザ装置300に送信される無線信号への干渉を低減する観点からは、リソース設定部134によるリソース配分情報ALの設定の際に、ピコセルCpaをカウントしない方がより好適であると理解できる。
そこで、例えば、図10に示すように、マクロ基地局100のリソース設定部134は、基地局通信部120から、そのマクロ基地局100が形成するマクロセルCm内にピコセルCpであって1つ以上のユーザ装置300と無線接続されているピコセルCp(すなわち、網掛け枠で示されたピコセルCpb)の個数(すなわち、1個)を取得し、取得されたピコセルCpの個数が多いほど、無線フレームF内のプロテクテッドサブフレームPSFが多くなるようにリソース配分情報ALを設定するとより好適である。
【0054】
以上の構成によれば、1つ以上のユーザ装置300と無線接続されたピコ基地局200に対応するピコセルCpの個数が多い、すなわちピコ基地局200に無線接続されるユーザ装置300の個数が多い可能性がより高いほど、マクロ基地局100の無線通信部110が無線信号を送信する期間(リソース)がより少なく設定される。したがって、ピコ基地局200と無線接続されたユーザ装置300に送信される無線信号へのマクロ基地局100からの干渉がより低減され得る。
【0055】
第3の実施形態
第3実施形態のマクロ基地局100のリソース設定部134は、基地局通信部120から、そのマクロ基地局100が形成するマクロセルCm内に形成されたピコセルCpに対応するピコ基地局200に無線接続されているユーザ装置300のトラヒック量を取得する。そして、リソース設定部134は、取得されたトラヒック量が多いほど、無線フレームF内のプロテクテッドサブフレームPSFが多くなるようにリソース配分情報ALを設定する。通信制御部136は、リソース設定部134が設定したリソース配分情報ALに基づいて無線通信部110を制御する。
【0056】
例えば、図11の例では、ピコセルCpaを形成するピコ基地局200aおよびピコセルCpbを形成するピコ基地局200bの各々が、各ピコ基地局200自身に無線接続された各ユーザ装置300との間におけるトラヒック量を測定し、基地局通信部220を介してマクロ基地局100に供給する。マクロ基地局100の基地局通信部120は、各ピコ基地局200(200a,200b)から取得した各ユーザ装置300のトラヒック量の合計が多いほど、無線フレームF内のプロテクテッドサブフレームPSFが多くなるようにリソース配分情報ALを設定する。
【0057】
以上の構成によれば、ピコ基地局200に無線接続されたユーザ装置300に割り当てるべき無線リソースが多いほど、マクロ基地局100のリソース設定部134が、マクロ基地局100の無線通信部110が無線信号の送信を停止するプロテクテッドサブフレームPSFの個数を多くするように(すなわち、各無線フレームFにて無線通信部110が無線信号を送信する期間(リソース)が少なくなるように)通信制御部136を制御する。したがって、ピコ基地局200が送信する無線信号に対するマクロ基地局100からの干渉が抑制され得る。
【0058】
ところで、マクロセルCmの中心近くに位置するピコ基地局200に無線接続するユーザ装置300と、マクロセルCmの中心から遠く(マクロセルCmのセル端)に位置するピコ基地局200に無線接続するユーザ装置300とでは、マクロ基地局100からの干渉の影響が相違する。セル端に位置するピコ基地局200に無線接続するユーザ装置300は、そのピコ基地局200と接続されるマクロ基地局100からの干渉に加えて、そのピコ基地局200と接続されるマクロ基地局100以外のマクロ基地局100からの干渉を受ける場合がある。したがって、セル端に位置するピコ基地局200に無線接続するユーザ装置300への干渉がより抑制されると好適であると理解できる。
【0059】
そこで、例えば、図12に示すように、マクロ基地局100のリソース設定部134は、そのマクロ基地局100が形成するマクロセルCm内に形成されたピコセルCpに対応するピコ基地局200であってそのマクロ基地局100からの距離が閾値dを上回る(すなわち、セル端に位置する)ピコ基地局200(すなわち、ピコ基地局200b)に無線接続されているユーザ装置300のトラヒック量を取得し、取得されたトラヒック量が多いほど、無線フレームF内のプロテクテッドサブフレームPSFが多くなるようにリソース配分情報ALを設定すると好適である。
【0060】
なお、マクロ基地局100のリソース設定部134は、任意の方法によりマクロ基地局100とピコ基地局200との距離を取得し得る。
例えば、マクロ基地局100自身およびそのマクロ基地局100に接続されたピコ基地局200の各々の緯度・経度を予めマクロ基地局100の記憶部150に記憶し、記憶された緯度・経度に基づいてマクロ基地局100とピコ基地局200との距離を算出してもよい。なお、各基地局の緯度・経度は、リソース設定部134が距離を取得しようとする際に、各基地局が備える不図示のGPS測位部により取得されてリソース設定部134に供給されてもよい。なお、各基地局の緯度・経度に加え、高度の情報を用いて距離を算出してもよい。
また、リソース設定部134が距離を取得しようとする際に、各ピコ基地局200がマクロ基地局100から送信される無線信号の特性値(受信電力または信号対干渉雑音比)を測定してマクロ基地局100とピコ基地局200との距離を推定し、推定した距離をマクロ基地局100のリソース設定部134に供給してもよい。なお、無線信号の送受信にかかる往復時間(RTT:Round Trip Time)、ピコ基地局200が接続しているマクロ基地局100のセクタの角度情報により距離を測定してもよい。
【0061】
以上の構成によれば、セル端に位置するピコ基地局200に無線接続されたユーザ装置300のトラヒック量が多いほど、マクロ基地局100の無線通信部110が無線信号を送信する期間(リソース)がより少なく設定される。したがって、セル端に位置するピコ基地局200と無線接続されたユーザ装置300に送信される無線信号へのマクロ基地局100からの干渉が低減され得る。
【0062】
第4の実施形態
第4実施形態のマクロ基地局100のリソース設定部134は、第3実施形態と同様の方法で、そのマクロ基地局100と、そのマクロ基地局100に接続される各ピコ基地局200との距離を基地局通信部120を介して取得し、そのマクロ基地局100が形成するマクロセルCmに含まれる範囲であってそのマクロ基地局100からの距離が所定の閾値を下回る範囲内(すなわち、マクロ基地局100の近傍に)に配置されるピコ基地局200の数を取得する。そして、リソース設定部134は、その範囲内に配置されるピコ基地局200の数が多いほどプロテクテッドサブフレームPSFの個数がより多くなるようにリソース配分情報ALを設定する。通信制御部136は、リソース設定部134が設定したリソース配分情報ALに基づいて無線通信部110を制御する。
なお、リソース配分情報ALの設定においては、マクロ基地局100が形成するマクロセルCmに含まれる範囲であってそのマクロ基地局100からの距離が所定の閾値を下回る範囲内に(すなわち、マクロ基地局100の近傍に)、1つ以上のピコ基地局200が配置されているか否かについて判定し、その範囲内に1つ以上のピコ基地局200が配置されている場合に、その範囲内にピコ基地局200が1つも配置されていない場合と比較して、プロテクテッドサブフレームPSFの個数がより多くなるようにリソース配分情報ALを設定してもよい。
【0063】
例えば、図13の例では、マクロ基地局100のリソース設定部134は、各ピコ基地局200(200a,200b)までの距離を取得し、マクロ基地局100からの距離が閾値dを下回る範囲RA内に配置されるピコ基地局200の個数(すなわち、1個)を取得する。リソース設定部134は、範囲RA内に配置されるピコ基地局200の個数に応じてリソース配分情報ALを設定する。
【0064】
マクロ基地局100の近傍にピコ基地局200が配置されている場合、そのピコ基地局200に無線接続されたユーザ装置300もマクロ基地局100の近傍(すなわち、マクロ基地局100からの干渉を強く受ける場所)に位置する可能性が高い。以上の構成によれば、マクロ基地局100の近傍に多くのピコ基地局200が配置されている場合、マクロ基地局100の無線通信部110が無線信号を送信する期間(リソース)がより少なく設定されるので、ピコ基地局200に無線接続されたユーザ装置300への干渉を抑制し得る。
【0065】
第5の実施形態
以上の各実施形態では、種々のパラメータ(マクロ基地局100のトラヒック量等)に応じてリソース配分情報ALが設定される。第5実施形態では、設定されたリソース配分情報ALに基づいてピコセルCpの範囲が可変に制御される。
【0066】
図14は、本発明の第5実施形態に係るユーザ装置300の構成を示すブロック図である。無線通信部310は、基地局(マクロ基地局100,ピコ基地局200)と無線通信を実行するための要素であり、ユーザ装置300が在圏するマクロセルCmを形成するマクロ基地局100から、補正値AMおよび接続先セル情報Tを受信するとともに、当該マクロ基地局100に対して特性値Rを送信する(詳細は後述される)。
【0067】
制御部330は、特性値測定部332、特性値補正部334、特性値報告部336、および接続部338を要素として内包する。制御部330ならびに制御部330が内包する特性値測定部332、特性値補正部334、特性値報告部336、および接続部338は、ユーザ装置300内の図示しないCPU(Central Processing Unit)が、図示しない記憶部に記憶されたコンピュータプログラムを実行し、そのコンピュータプログラムに従って機能することにより実現される機能ブロックであり得る。制御部330の動作の詳細は後述される。
【0068】
図15は、本発明の第5実施形態に係るマクロ基地局100の構成を示すブロック図である。無線通信部110は、ユーザ装置300と無線通信を実行するための要素であり、マクロ基地局100に在圏するユーザ装置300に対して補正値AMおよび接続先セル情報Tを送信するとともに、ユーザ装置300から特性値Rを受信する(詳細は後述される)。
【0069】
制御部130は、第1実施形態のリソース設定部134および通信制御部136に加え、補正値設定部138、補正値通知部140、および接続先選択部142を要素として内包する。第1実施形態と同様、制御部130が内包する補正値設定部138、補正値通知部140、および接続先選択部142も、マクロ基地局100内の図示しないCPUが、記憶部150に記憶されたコンピュータプログラムを実行し、そのコンピュータプログラムに従って機能することにより実現される機能ブロックである。制御部130の動作の詳細は後述される。
【0070】
図16を参照して、本発明の第5実施形態に係る受信特性(受信電力)の補正の詳細を説明する。図16に示すように、ユーザ装置300はマクロ基地局100およびピコ基地局200の各々から電波を受信する。ユーザ装置300の特性値測定部332は、マクロ基地局100およびピコ基地局200の各々から受信した電波の受信電力(Reference Signal Received Power,RSRP)を測定し、マクロ基地局100からの受信電力を示す特性値R1およびピコ基地局200からの受信電力を示す特性値R2を得る。図示の通り、受信電力(特性値R1および特性値R2)は各基地局から遠ざかるほど低下する。
【0071】
以下、説明のため、マクロ基地局100が配置される位置を位置L0、ピコ基地局200が配置される位置を位置L3とし、マクロ基地局100からの受信電力を示す特性値R1とピコ基地局200からの受信電力を示す特性値R2が等しい位置を位置L2とする。ユーザ装置300は、位置L2よりもマクロ基地局100に近い位置Luに位置すると想定する。
【0072】
図16に示す通り、位置Luにおいては、マクロ基地局100からの電波の受信電力をユーザ装置300が測定した特性値R1の方が、ピコ基地局200からの電波の受信電力をユーザ装置300が測定した特性値R2よりも大きい。したがって、単に受信電力の大きい電波を送信した基地局にユーザ装置300が接続する技術によれば、位置Luに位置するユーザ装置300はマクロ基地局100と無線接続すべきであると、基地局等のネットワーク側の装置またはユーザ装置300自身によって判定される。
【0073】
第5実施形態では、リソース設定部134が設定したリソース配分情報ALに応じてピコ基地局200からの受信電力(受信特性)を示す特性値R2を補正する(すなわち、ピコセルCpの範囲を変化させる)。以下、図17を参照して具体的な動作を説明する。
【0074】
前述した実施形態のいずれかに従い、マクロ基地局100のリソース設定部134がリソース配分情報ALを設定する(ステップS100)。マクロ基地局100の通信制御部136は、リソース設定部134から供給されたリソース配分情報ALに従って無線通信部110を制御する(ステップS110)。以降、マクロ基地局100の無線通信部110は、新たなリソース配分情報ALの供給があるまで、現在のリソース配分情報ALに従った無線通信を継続する。
【0075】
リソース配分情報ALは、リソース設定部134から補正値設定部138にも供給される。補正値設定部138は、供給されたリソース配分情報ALに応じて補正値AMを設定する(ステップS120)。補正値通知部140は、設定された補正値AMを無線通信部110を介してユーザ装置300に通知する(ステップS130)。
補正値AMは、ピコ基地局200からユーザ装置300が受信した電波の受信電力(受信特性)を示す特性値R2の補正に用いられる値である。補正値AMの設定方法は任意であるが、例えば、リソース配分情報ALが示すプロテクテッドサブフレームPSFの個数が多いほど(すなわち、マクロ基地局100が無線信号を送信する期間(リソース)が少ないほど)、補正値AMを高く設定する(すなわち、ピコセルCpの範囲を広げる)と好適である。
【0076】
ユーザ装置300の特性値測定部332は、各基地局(マクロ基地局100,ピコ基地局200)から送信されて無線通信部310に受信された各電波の受信電力を測定し、それぞれの特性値R1および特性値R2を得る(ステップS140)。
【0077】
そして、ユーザ装置300の特性値補正部334は、ピコ基地局200からの電波の受信電力(特性値R2)を補正値AMを用いて補正する。具体的には、特性値補正部334は、ピコ基地局200から受信した電波の受信電力を測定して得られた特性値R2に補正値AMを加算して、補正後の特性値R2’(R2’=R2+AM)を得る(ステップS150)。すなわち、図16に示すように、ピコ基地局200については、ユーザ装置300における特性値R2が補正値AMによりオフセットされて補正後の特性値R2’となる。
【0078】
マクロ基地局100に対応する特性値R1とピコ基地局200に対応する補正後の特性値R2’とが等しい位置を位置L1とする(図16参照)。ユーザ装置300は、位置L1と位置L2(特性値R1と補正前の特性値R2とが等しい位置)との間の位置Luに存在すると想定する。位置Luでは、マクロ基地局100からの実際の受信電力(特性値R1)がピコ基地局200からの実際の受信電力(特性値R2)を上回るが(R1>R2)、ピコ基地局200に対応する補正後の特性値R2’はマクロ基地局100に対応する特性値R1を上回る(R1<R2’(=R2+AM))。
【0079】
特性値測定部332から特性値R1が、特性値補正部334から補正後の特性値R2’が、特性値報告部336に供給される。特性値報告部336は、各特性値R(R1,R2’)を無線通信部310を介してマクロ基地局100に報告(送信)する(ステップS160)。
【0080】
マクロ基地局100の接続先選択部142は、ユーザ装置300の特性値報告部336から報告された特性値R(R1,R2’)のうち、受信電力が最も高い、すなわち受信特性が最も良好であることを示す特性値Rに対応する基地局を、ユーザ装置300の無線接続先として選択する(ステップS170)。
前述の通り、本実施形態では、ユーザ装置300が位置Luに位置するので、最も高い受信電力を示すのは特性値R2’(R2’>R1)であるから、マクロ基地局100の接続先選択部142は、特性値R2’に対応するピコ基地局200(ピコセルCp)をユーザ装置300の無線接続先として選択する。
接続先選択部142は、選択した無線接続先を示す接続先セル情報Tを、無線通信部110を介してユーザ装置300に通知する(ステップS180)。
【0081】
ステップS190で、ユーザ装置300の接続部338は、マクロ基地局100から受信した接続先セル情報Tが示す接続先セルに対して接続動作を実行する(既に接続先セル情報Tが示す接続先セルに接続している場合は、その接続を維持する)。例えば、ユーザ装置300がマクロセルCmに接続している場合において、ピコセルCpを接続先として指定する接続先セル情報Tを接続部338が受信すると、接続部338は、指定されたピコセルCpへとユーザ装置300自身を接続(オフロード)させる。
【0082】
以上の説明、特にステップS150およびステップS170の説明から理解されるように、特性値補正部334による特性値R2の補正(補正値AMによる増加)は、各ユーザ装置300におけるピコ基地局200からの受信電力を擬似的に上昇させることで、ピコ基地局200が形成するピコセルCpの範囲を拡張させるように作用する。
【0083】
図18は、補正値AMによる補正の有無に応じたピコセルCpの範囲の変化を示した図であり、図16に対応している。補正無しの場合(図18(A))、位置L3に配置された不図示のピコ基地局200が形成するピコセルCpは、マクロ基地局100に対応する特性値R1をピコ基地局200に対応する特性値R2が上回る範囲(位置L2を境界上の点として含む範囲)を有するから、ユーザ装置300の位置する位置Lu(位置L2よりもマクロ基地局100寄り)はピコセルCpの範囲外である。一方、補正ありの場合(図18(B))、ピコセルCpは、マクロ基地局100に対応する特性値R1をピコ基地局200に対応する補正後の特性値R2’が上回る範囲(位置L1を境界上の点として含む範囲)を有するから、ユーザ装置300の位置する位置Lu(位置L1よりもピコ基地局200寄り)はピコセルCpの範囲内となる。以上に示したように、補正値AMを用いた補正により、ピコセルCpの範囲が拡大する。
【0084】
以上の構成によれば、ピコ基地局200から受信した電波の受信電力を示す特性値R2を補正値AMで補正した特性値R2’に基づいてユーザ装置300の接続先を選択するから、そのような補正をしない構成(すなわち、単に各基地局からの電波の受信電力に応じて接続先を選択する構成)と比較して、ピコセルCpの範囲がより拡大し、ピコ基地局200に接続(オフロード)されるユーザ装置300の数がより増大する。また、リソース設定部134が設定したリソース配分情報ALに基づいて(すなわち、ICICによるリソース制御に基づいて)補正値AMを設定するので、ピコセルCpの範囲がより適切となる。
【0085】
第6の実施形態
第5実施形態では、リソース配分情報ALに基づいて、ピコセルCpの範囲を変化させる補正値AMを設定する。第6実施形態では、補正値AMにより変化したピコセルCpの範囲に基づいて選択された無線接続先にユーザ装置300が接続した後に、リソース配分情報ALが設定される。
【0086】
図19は、本発明の第6実施形態に係るマクロ基地局100の構成を示すブロック図である。概略的には図15にて示した第5実施形態のマクロ基地局100の構成に類似するので、以下に相違点のみを説明する。
【0087】
第5実施形態の補正値設定部138には、通信制御部136からリソース配分情報ALが供給された。第6実施形態の補正値設定部138には、無線通信部110、基地局通信部120、および記憶部150の少なくとも1つから、マクロ基地局100およびピコ基地局200の少なくともいずれかの状態に関する情報が供給される。補正値設定部138に供給される情報は、例えば、マクロ基地局100もしくはピコ基地局200のトラフィック量、マクロ基地局100もしくはピコ基地局200に無線接続されたユーザ装置300の個数、マクロ基地局100と各ピコ基地局200との距離、等である。
【0088】
図20を参照して、本発明の第6実施形態に係る受信特性(受信電力)の補正およびリソース配分情報ALの設定の動作フローを説明する。受信特性(受信電力)の補正の動作原理については、第5実施形態にて前述した通りである。
【0089】
マクロ基地局100の補正値設定部138が、マクロ基地局100およびピコ基地局200の少なくともいずれかの状態に関する情報を取得する(ステップS200)。補正値設定部138は、取得された状態に関する情報に応じて補正値AMを設定する(ステップS210)。補正値通知部140は、設定された補正値AMを無線通信部110を介してユーザ装置300に通知する(ステップS220)。
補正値AMの設定方法は任意であるが、例えば、ピコ基地局200に無線接続されるユーザ装置300の個数が多いほど、補正値AMを高く設定する(すなわち、ピコセルCpの範囲を広げる)方法が採用され得る。
【0090】
以下、第5実施形態のステップS140〜ステップS190と同様にして、受信電力の測定と補正値AMによる補正、無線接続先となる無線基地局の選択、および新たな無線接続先への接続動作が実行される(ステップS230〜ステップS280)。結果として、マクロ基地局100が形成するマクロセルCm内に位置する各ユーザ装置300が無線接続する無線基地局が、以上の動作(ステップS200〜ステップS280)の前後において変更され得る。したがって、以上の動作の前後において、リソース配分情報ALの設定に寄与するパラメータ(各基地局のトラヒック量、各基地局に接続中のユーザ装置300の数等)も変更され得る。
【0091】
ステップS280の後、前述した実施形態のいずれかに従い、マクロ基地局100のリソース設定部134がリソース配分情報ALを設定する(ステップS290)。マクロ基地局100の通信制御部136は、リソース設定部134から供給されたリソース配分情報ALに従って無線通信部110を制御する(ステップS300)。マクロ基地局100の無線通信部110は、リソース配分情報ALに従った無線通信を開始する。
【0092】
以上の構成によれば、補正値AMを用いて補正された受信電力に基づいてユーザ装置300の無線接続先が選択された後に、マクロ基地局100のリソース設定部134がリソース配分情報ALを設定するので、補正値AMによるピコセルCpの範囲の変化がリソース配分情報ALの設定に反映され得る。したがって、サブフレームSFの配分(すなわち、ICICによるリソース制御)がより適切となる。
【0093】
第7の実施形態
以上の各実施形態では、種々のパラメータ(マクロ基地局100のトラヒック量等)に応じて、無線フレームF内のプロテクテッドサブフレームPSFおよび非プロテクテッドサブフレームNSFの個数が定められる。第7実施形態では、無線フレームF内におけるプロテクテッドサブフレームPSFおよび非プロテクテッドサブフレームNSFの配置について例示する。
【0094】
図21は、無線フレームF内の各サブフレームSFに付与される優先順位の例を示す図である。図示の通り、サブフレームSFの各々に互いに重複しない優先順位が割り当てられる(サブフレームSF#0が第1位、サブフレームSF#4が第2位、…、サブフレームSF#7が第10位)。以上の優先順位を示す優先順位情報Pは、マクロ基地局100の記憶部150に記憶され、リソース配分情報ALを設定する際にリソース設定部134に供給される。
【0095】
第7実施形態のマクロ基地局100のリソース設定部134は、優先順位情報Pが示す優先順位に従って非プロテクテッドサブフレームNSFを配置する。具体的な配置例を図22に示す。図22(a)は、リソース設定部134が、トラヒック量等のパラメータに基づき、各無線フレームFにおいて3つのサブフレームSFを非プロテクテッドサブフレームNSFとすべきと判定した場合のサブフレームSFの配置を示す図である。リソース設定部134は、優先順位情報Pに従って3つのサブフレームSF(優先順位第1位のサブフレームSF#0、優先順位第2位のサブフレームSF#4、および優先順位第3位のサブフレームSF#8)を選択し、選択された3つのサブフレームSFを非プロテクテッドサブフレームNSFとするようにリソース配分情報ALを設定する。
【0096】
同様に、図22(b)は、1つのサブフレームSFを非プロテクテッドサブフレームNSFとすべき場合のサブフレームSFの配置を例示し、図22(c)は、8つのサブフレームSFを非プロテクテッドサブフレームNSFとすべき場合のサブフレームSFの配置を例示する。図示されるように、リソース設定部134は、優先順位情報Pが示す優先順位に従って非プロテクテッドサブフレームNSFの配置を設定する。
【0097】
なお、以上の構成において、ピコ基地局200が、優先順位情報Pが示す優先順位の逆順に従ってサブフレームSFを選択し、選択されたサブフレームSFを用いてユーザ装置300との無線通信を実行すると好適である。
前述のように、優先順位が高いサブフレームSFほどマクロ基地局100が無線信号を送信する可能性が高く、優先順位が低いサブフレームSFほどマクロ基地局100が無線信号を送信する可能性が低い。そのため、ピコ基地局200は、優先順位の逆順に従って選択したサブフレームSFで無線通信を実行することで、マクロ基地局100からの干渉が少ない可能性がより高い期間(リソース)にて無線信号を送信することが可能となる。
【0098】
第8実施形態
以上の実施形態では、マクロ基地局100およびピコ基地局200の少なくともいずれかの通信量に影響を与えるパラメータ(トラヒック量等)に応じて、無線通信部110の通信制御部136が所定の時間長ごと(1サブフレームSFごと)に無線信号の送信実行と送信停止とを切り替えるように無線通信部110を制御する。第8実施形態では、同様のパラメータに応じて、無線通信部110の通信制御部136が所定の周波数帯域幅ごと(サブキャリアSCごと)に無線信号の送信実行と送信停止とを切り替えるように無線通信部110を制御する。
【0099】
図23は、無線通信システム1の各通信要素間で送受信される無線フレームFのフォーマットを、図5とは別の観点から示す図である。前述の通り、無線フレームFは所定の時間長および所定の帯域幅を占める。無線フレームFは、周波数方向に複数のサブキャリアSCを含む。サブキャリアSCは、無線フレームFよりも狭い周波数帯域(例えば、15 kHz)を占める送信単位である。6つのサブキャリアSCのみが図示されているが、無線フレームFに含まれるサブキャリアSCの数が任意であることは当然に理解される。
なお、複数のサブキャリアSCが周波数領域において相互に直交することを示すため、図23ではサブキャリアSC同士が相互に重複しないように図示されている。実際には、サブキャリアSC同士(特に、中心周波数が隣接するサブキャリアSC同士)は、少なくとも一部の帯域において相互に重複し得る。
図23では、図5で説明したようなサブフレームSFを明示しないが、第8実施形態の無線フレームFがサブフレームSFを有さないことを意図するものではない。図23は、周波数領域の送信単位であるサブキャリアSCに注目した図であるから、サブフレームSFの図示が適宜に省略される。
【0100】
図24は、本発明の第8の実施形態に係るセル干渉コーディネーションの概説図である。無線通信部110の通信制御部136は、1サブキャリアSCごとに無線信号の送信実行と送信停止とを切り替えるように無線通信部110を制御する。マクロ基地局100による干渉からピコ基地局200の無線信号が守られる(プロテクトされる)ことから、マクロ基地局100無線信号の送信を停止するサブキャリアSCをプロテクテッドサブキャリア(Protected Subcarrier)PSCと称し、逆に、マクロ基地局100が無線信号の送信を実行するサブキャリアSCを非プロテクテッドサブキャリア(Non-Protected Subcarrier)NSCと称する。
他方、ピコ基地局200の無線通信部210は、無線信号を無線フレームF内の全ての帯域において、すなわち非プロテクテッドサブキャリアNSCとプロテクテッドサブキャリアPSCとの双方において無線信号をユーザ装置300へ送信し得る。
【0101】
マクロ基地局100の無線通信部110が無線信号を送信しないプロテクテッドサブキャリアPSCでは、ピコ基地局200の無線通信部210のみが無線信号を送信する。したがって、プロテクテッドサブキャリアPSCにおいては、ピコ基地局200からの無線信号がマクロ基地局100からの無線信号による干渉を受けないから、マクロ基地局100が形成するマクロセルCmおよびピコ基地局200が形成するピコセルCpの双方に在圏するユーザ装置300が、ピコ基地局200からの無線信号をより品質良く受信することが可能となる。
【0102】
図24では、通信制御部136が1サブキャリアSC単位で送信実行と送信停止とを切り替えたが、通信制御部136が複数のサブキャリアSC単位で送信の切替えを実行してもよい。以上の構成では、多数存在するサブキャリアSCを一組にして制御可能であるから、1サブキャリアSCごとに制御する場合と比較して構成が簡易となる。
【0103】
また、第7実施形態と同様に、無線フレームF内の複数のサブキャリアSCの各々に互いに重複しない優先順位が割り当てられ、その優先順位(すなわち、優先順位情報P)に従って、リソース設定部134が非プロテクテッドサブキャリアNSCを配置すると好適である。
以上の構成において、ピコ基地局200が、以上の優先順位の逆順に従ってサブキャリアSCを選択し、選択されたサブキャリアSCを用いてユーザ装置300との無線通信を実行するとより好適である。優先順位が高いサブキャリアSCほどマクロ基地局100が無線信号を送信する可能性が高く、優先順位が低いサブキャリアSCほどマクロ基地局100が無線信号を送信する可能性が低い。そのため、ピコ基地局200は、優先順位の逆順に従って選択したサブキャリアSCで無線通信を実行することで、マクロ基地局100からの干渉が少ない可能性がより高い帯域において無線信号を送信することが可能となるからである。
【0104】
第9実施形態
以上の実施形態では、無線通信部110の通信制御部136が所定の時間長ごと(1サブフレームSFごと)または所定の周波数帯域幅ごと(サブキャリアSCごと)に無線信号の送信実行と送信停止とを切り替えるように無線通信部110を制御する。第9実施形態では、所定の時間長ごとおよび所定の周波数帯域幅ごとに無線信号の送信実行と送信停止とを切り替えるように無線通信部110を制御する。
【0105】
図25は、無線通信システム1の各通信要素間で送受信される無線フレームFのフォーマットを、図5および図23とは別の観点から示す図である。前述の通り、無線フレームFは所定の時間長および所定の帯域幅を占める。無線フレームFは複数のリソースブロックRBを含む。リソースブロックRBは、無線フレームFよりも短い時間長(例えば、1ミリ秒)および無線フレームFよりも狭い周波数帯域(例えば、180 kHz)を占める送信単位である。1無線フレームFあたり96個のリソースブロックRBが図示されているが、無線フレームFに含まれるリソースブロックRBの数が任意であることは当然に理解される。
図25では、図5で説明したようなサブフレームSFおよび図23で説明したようなサブキャリアSCを明示しないが、第9実施形態の無線フレームFがサブフレームSFおよびサブキャリアSCを有さないことを意図するものではない。図25は、所定の時間長および所定の周波数帯域を有する送信単位であるリソースブロックRBに注目した図であるから、サブフレームSFおよびサブキャリアSCの図示が適宜に省略される。
【0106】
図26は、本発明の第9の実施形態に係るセル干渉コーディネーションの概説図である。無線通信部110の通信制御部136は、1リソースブロックRBごとに無線信号の送信実行と送信停止とを切り替えるように無線通信部110を制御する。マクロ基地局100による干渉からピコ基地局200の無線信号が守られる(プロテクトされる)ことから、マクロ基地局100無線信号の送信を停止するリソースブロックRBをプロテクテッドリソースブロック(Protected Resource Block)PRBと称し、逆に、マクロ基地局100が無線信号の送信を実行するリソースブロックRBを非プロテクテッドリソースブロック(Non-Protected Resource Block)NRBと称する。
他方、ピコ基地局200の無線通信部210は、無線信号を無線フレームF内の全てのリソースブロックRBにおいて、すなわち非プロテクテッドリソースブロックNRBとプロテクテッドリソースブロックPRBとの双方において無線信号をユーザ装置300へ送信し得る。
【0107】
マクロ基地局100の無線通信部110が無線信号を送信しないプロテクテッドリソースブロックPRBでは、ピコ基地局200の無線通信部210のみが無線信号を送信する。したがって、プロテクテッドリソースブロックPRBにおいては、ピコ基地局200からの無線信号がマクロ基地局100からの無線信号による干渉を受けないから、マクロ基地局100が形成するマクロセルCmおよびピコ基地局200が形成するピコセルCpの双方に在圏するユーザ装置300が、ピコ基地局200からの無線信号をより品質良く受信することが可能となる。
【0108】
図26では、通信制御部136が1リソースブロックRB単位で送信実行と送信停止とを切り替えたが、通信制御部136が複数のリソースブロックRB単位で送信の切替えを実行してもよい。以上の構成では、多数存在するリソースブロックRBを一組にして制御可能であるから、1リソースブロックRBごとに制御する場合と比較して構成が簡易となる。
【0109】
また、第7実施形態と同様に、無線フレームF内の複数のリソースブロックRBの各々に互いに重複しない優先順位が割り当てられ、その優先順位(すなわち、優先順位情報P)に従って、リソース設定部134が非プロテクテッドリソースブロックNRBを配置すると好適である。
以上の構成において、ピコ基地局200が、以上の優先順位の逆順に従ってリソースブロックRBを選択し、選択されたリソースブロックRBを用いてユーザ装置300との無線通信を実行するとより好適である。優先順位が高いリソースブロックRBほどマクロ基地局100が無線信号を送信する可能性が高く、優先順位が低いリソースブロックRBほどマクロ基地局100が無線信号を送信する可能性が低い。そのため、ピコ基地局200は、優先順位の逆順に従って選択したリソースブロックRBで無線通信を実行することで、マクロ基地局100からの干渉が少ない可能性がより高いリソースにて無線信号を送信することが可能となるからである。
【0110】
変形例
以上の実施の形態は多様に変形される。具体的な変形の態様を以下に例示する。以上の実施形態および以下に例示された形態から任意に選択された2以上の態様は相互に矛盾しない限り適宜に併合され得る。
【0111】
(1)変形例1
第3実施形態中の各構成において、マクロ基地局100のリソース設定部134が、ピコ基地局200に無線接続されたユーザ装置300のトラヒック量に代えて、ピコ基地局200に無線接続されたユーザ装置300の数に基づいてリソース配分情報ALを設定する構成も採用され得る。すなわち、ピコ基地局200に無線接続されたユーザ装置300の数が多いほど(好適には、マクロ基地局からの距離が閾値dを上回るピコ基地局200に無線接続されたユーザ装置300の数が多いほど)、無線フレームF内のプロテクテッドサブフレームPSFが多くなるようにリソース配分情報ALを設定する構成も採用され得る。
【0112】
(2)変形例2
マクロセルCm内のピコセルCpの個数が動的に変化する構成も採用可能である。すなわち、マクロ基地局100の稼働中に、必要に応じて、そのマクロ基地局100に対してピコ基地局200が追加または削除されてもよい。
【0113】
(3)変形例3
以上の実施の形態では、電波の受信特性は受信電力(RSRP)であったが、信号対干渉雑音比(Signal-to-Interference and Noise Ratio,SINR)、受信品質(Reference Signal Received Quality,RSRQ)等が受信特性として採用されても良い。信号対干渉雑音比など、受信特性が比で表される場合には、受信特性の特性値Rに補正値AMが乗算されて補正後の特性値R’が算出される形態(すなわち、R’=R×AM)が採用されてもよい。また、受信特性がdB(比の対数)で表される場合には、dBで表された特性値Rに対しdBで表された補正値を加算して特性値R’を算出してもよい。以上の形態は、特性値Rに補正値AMを乗算する形態の一種であることが当然に理解される。
【0114】
(4)変形例4
以上の実施の形態では、値が大きいほど受信状態が良好であることを示す特性値R(受信電力等)が採用されたが、値が小さいほど受信状態が良好であることを示す特性値Rが採用されてもよい。例えば、受信電力を示す値の逆数を特性値Rとしてもよい。以上の場合では、より小さい特性値Rに対応する基地局がユーザ装置300の無線接続先として接続先選択部142に選択される。また、以上の場合、特性値補正部334は、特性値Rから補正値AMを減算して、または特性値Rを補正値AMで除算して、補正後の特性値R’を算出してもよい。
【0115】
(5)変形例5
以上の実施の形態では、マクロ基地局100よりも送信能力の低い基地局としてピコ基地局200が例示されたが、マイクロ基地局、ナノ基地局、フェムト基地局、リモートラジオヘッド等が送信能力の低い基地局として採用されてもよい。
特に、無線通信システム1の要素として、相異なる送信能力を有する複数の基地局の組合せ(例えば、マクロ基地局、ピコ基地局、およびフェムト基地局の組合せ)が採用されてもよい。その場合、各基地局の送信能力に応じて補正値AMが個別に定められてもよい(例えば、ピコ基地局用に定められた補正値AM1が、フェムト基地局用に定められた補正値AM2と相違する)とより好適である。
【0116】
(6)変形例6
以上の実施の形態では、ユーザ装置300から報告された特性値R(R1,R2)に基づいて、マクロ基地局100(接続先選択部142)がそのユーザ装置300の接続先を選択したが、ユーザ装置300の制御部330内に設けられた接続先選択部が、ユーザ装置300自身が取得した特性値R(R1,R2)に基づいて接続先を選択してもよい。
【0117】
(7)変形例7
ユーザ装置300は、各基地局(マクロ基地局100,ピコ基地局200)と無線通信が可能な任意の装置である。ユーザ装置300は、例えばフィーチャーフォンまたはスマートフォン等の携帯電話端末でもよく、デスクトップ型パーソナルコンピュータでもよく、ノート型パーソナルコンピュータでもよく、UMPC(Ultra-Mobile Personal Computer)でもよく、携帯用ゲーム機でもよく、組み込み型の通信モジュールでもよく、その他の無線端末でもよい。
【0118】
(8)変形例8
無線通信システム1内の各要素(マクロ基地局100、ピコ基地局200、ユーザ装置300)においてCPUが実行する各機能は、CPUの代わりに、ハードウェアで実行してもよいし、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)等のプログラマブルロジックデバイスで実行してもよい。
【符号の説明】
【0119】
1……無線通信システム、100……マクロ基地局、110……無線通信部、112……送受信アンテナ、120……基地局通信部、130……制御部、134……リソース設定部、136……通信制御部、138……補正値設定部、140……補正値通知部、142……接続先選択部、150……記憶部、200……ピコ基地局、210……無線通信部、212……送受信アンテナ、220……基地局通信部、230……制御部、300……ユーザ装置、310……無線通信部、312……送受信アンテナ、330……制御部、332……特性値測定部、334……特性値補正部、336……特性値報告部、338……接続部、AL……リソース配分情報、AM……補正値、C……セル、Cm……マクロセル、Cp……ピコセル、d……閾値、F……無線フレーム、L……位置、P……優先順位情報、R……特性値、RA……範囲、SF……サブフレーム(NSF……非プロテクテッドサブフレーム、PSF……プロテクテッドサブフレーム)、T……接続先セル情報。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1セルを形成する第1無線基地局と、
前記第1無線基地局と各々が接続し、接続先の第1無線基地局が形成する前記第1セル内に前記第1セルよりも面積が小さい第2セルを各々が形成する複数の第2無線基地局と、
前記第1セルおよび前記第2セルのうち移動局自身が在圏する在圏セルに対応する前記第1無線基地局および前記第2無線基地局のうち少なくともいずれか1つとの間に無線接続を確立して無線通信を実行する無線通信部を各々が備える複数の移動局と
を備える無線通信システムであって、
前記第1無線基地局は、
当該第1無線基地局が形成する第1セル内に第2セルを形成する第2無線基地局の各々と同期して無線通信を実行可能な無線通信部と、
当該第1無線基地局および当該第2無線基地局の少なくともいずれかの通信量に影響を与えるパラメータに応じて、所定の時間長および所定の周波数帯域幅の少なくともいずれかを占める単位リソースに含まれる、前記無線通信部が無線通信を実行すべき第1リソースおよび前記無線通信部が無線通信を停止すべき第2リソースの各々の個数および配置を設定するリソース設定部と、
前記リソース設定部が設定した前記各第1リソースにおいて無線通信を実行し、前記リソース設定部が設定した前記各第2リソースにおいて無線通信を停止するように前記無線通信部を制御する通信制御部とを備える
無線通信システム。
【請求項2】
前記移動局は、
前記在圏セルに対応する前記第1無線基地局および前記第2無線基地局から送信される各無線信号の受信特性値を測定する特性値測定部をさらに備え、
前記第1無線基地局は、
前記リソース設定部による前記単位リソースにおける前記第1リソースおよび前記第2リソースの各々の個数および配置の設定に基づいて、前記移動局が受信した前記第2無線基地局からの前記無線信号の前記受信特性値を補正する補正値を設定する補正値設定部と、
前記補正値設定部が設定した前記補正値を前記移動局へ通知する補正値通知部とをさらに備え、
前記移動局は、
前記第1無線基地局の前記補正値通知部から通知された前記補正値を用いて、前記特性値測定部で測定された前記第2無線基地局からの前記無線信号の前記受信特性値を補正する特性値補正部をさらに備え、
前記第1無線基地局または前記移動局は、
前記受信特性値が最も良好である第1無線基地局または第2無線基地局を前記移動局の無線接続先として選択する
請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記移動局は、
前記在圏セルに対応する前記第1無線基地局および前記第2無線基地局から送信される各無線信号の受信特性値を測定する特性値測定部をさらに備え、
前記第1無線基地局は、
前記第1無線基地局および前記第2無線基地局の少なくともいずれかの状態に応じて、前記移動局が受信した前記第2無線基地局からの前記無線信号の前記受信特性値を補正する補正値を設定する補正値設定部と、
前記補正値設定部が設定した前記補正値を前記移動局へ通知する補正値通知部とをさらに備え、
前記移動局は、
前記第1無線基地局の前記補正値通知部から通知された前記補正値を用いて、前記特性値測定部で測定された前記第2無線基地局からの前記無線信号の前記受信特性値を補正する特性値補正部をさらに備え、
前記第1無線基地局または前記移動局が、前記受信特性値が最も良好である第1無線基地局または第2無線基地局を前記移動局の無線接続先として選択した後に、前記第1無線基地局の前記リソース設定部が、当該第1無線基地局または当該第2無線基地局の少なくともいずれかの通信量に影響を与えるパラメータに応じて所定の前記単位リソースにおける前記第1リソースおよび前記第2リソースの各々の個数および配置を設定する
請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記第1無線基地局の前記リソース設定部は、
当該第1無線基地局の通信負荷が低いほど、前記単位リソースにおける前記第2リソースの個数を多く設定する
請求項1から3のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記第1無線基地局の前記リソース設定部は、
当該第1無線基地局に無線接続された移動局の数が少ないほど、前記単位リソースにおける前記第2リソースの個数を多く設定する
請求項1から3のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記第1無線基地局の前記リソース設定部は、
当該第1無線基地局に無線接続された移動局であって当該移動局自身の通信量が所定の閾値を上回る移動局の数が少ないほど、前記単位リソースにおける前記第2リソースの個数を多く設定する
請求項1から3のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記第1無線基地局の前記リソース設定部は、
当該第1無線基地局が形成する第1セル内に形成された第2セルの個数が多いほど、前記単位リソースにおける前記第2リソースの個数を多く設定する
請求項1から3のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記第1無線基地局の前記リソース設定部は、
当該第1無線基地局が形成する第1セル内に形成された第2セルであって1つ以上の前記移動局と無線接続されている第2無線基地局に対応する第2セルの個数が多いほど、前記単位リソースにおける前記第2リソースの個数を多く設定する
請求項1から3のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項9】
前記第1無線基地局の前記リソース設定部は、
当該第1無線基地局が形成する第1セル内に形成された第2セルに対応する第2無線基地局に無線接続されている移動局の通信量が大きいほど、前記単位リソースにおける前記第2リソースの個数を多く設定する
請求項1から3のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項10】
前記第1無線基地局の前記リソース設定部は、
当該第1無線基地局が形成する第1セル内に形成された第2セルに対応する第2無線基地局であって当該第1無線基地局からの距離が所定の閾値を上回る第2無線基地局に無線接続されている移動局の通信量が大きいほど、前記単位リソースにおける前記第2リソースの個数を多く設定する
請求項1から3のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項11】
前記第1無線基地局の前記リソース設定部は、
当該第1無線基地局が形成する第1セル内に形成された第2セルに対応する第2無線基地局に無線接続されている移動局の数が多いほど、前記単位リソースにおける前記第2リソースの個数を多く設定する
請求項1から3のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項12】
前記第1無線基地局の前記リソース設定部は、
当該第1無線基地局が形成する第1セル内に形成された第2セルに対応する第2無線基地局であって当該第1無線基地局からの距離が所定の閾値を上回る第2無線基地局に無線接続されている移動局の数が多いほど、前記単位リソースにおける前記第2リソースの個数を多く設定する
請求項1から3のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項13】
前記第1無線基地局の前記リソース設定部は、
当該第1無線基地局が形成する第1セルに含まれる範囲であって当該第1無線基地局からの距離が所定の閾値を下回る範囲内に配置される第2無線基地局の数が多いほど、前記単位リソースにおける前記第2リソースの個数をより多く設定する
請求項1から3のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項14】
前記第1無線基地局の前記リソース設定部は、
当該第1無線基地局が形成する第1セルに含まれる範囲であって当該第1無線基地局からの距離が所定の閾値を下回る範囲内に1つ以上の第2無線基地局が配置されている場合に、前記範囲内に第2無線基地局が1つも配置されていない場合と比較して、前記単位リソースにおける前記第2リソースの個数をより多く設定する
請求項1から3のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項15】
前記第1無線基地局において、
前記単位リソースは、各々が所定の時間長および所定の周波数帯域幅のいずれか一方又は双方に対応する複数の下位単位リソースを含み、
前記複数の下位単位リソースの各々には、互いに重複しない優先順位が割り当てられており、
前記第1無線基地局の前記リソース設定部は、前記優先順位に従って前記第1単位リソースを配置する
請求項1から14のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項16】
前記第2無線基地局は、
当該第2無線基地局が接続された前記第1無線基地局における前記優先順位の逆順に従って前記下位単位リソースを選択し、選択された前記下位単位リソースを用いて前記移動局との無線通信を実行する
請求項15に記載の無線通信システム。
【請求項17】
第1セルを形成する第1無線基地局と、
前記第1無線基地局と各々が接続し、接続先の第1無線基地局が形成する前記第1セル内に前記第1セルよりも面積が小さい第2セルを各々が形成する複数の第2無線基地局と、
前記第1セルおよび前記第2セルのうち移動局自身が在圏する在圏セルに対応する前記第1無線基地局および前記第2無線基地局のうち少なくともいずれか1つとの間に無線接続を確立して無線通信を実行する無線通信部を各々が備える複数の移動局と
を備える無線通信システムにおける第1無線基地局であって、
当該第1無線基地局が形成する第1セル内に第2セルを形成する第2無線基地局の各々と同期して無線通信を実行可能な無線通信部と、
当該第1無線基地局および当該第2無線基地局の少なくともいずれかの通信量に影響を与えるパラメータに応じて、所定の時間長および所定の周波数帯域幅の少なくともいずれかを占める単位リソースに含まれる、前記無線通信部が無線通信を実行すべき第1リソースおよび前記無線通信部が無線通信を停止すべき第2リソースの各々の個数および配置を設定するリソース設定部と、
前記リソース設定部が設定した前記各第1リソースにおいて無線通信を実行し、前記リソース設定部が設定した前記各第2リソースにおいて無線通信を停止するように前記無線通信部を制御する通信制御部とを備える
無線基地局。
【請求項18】
第1セルを形成する第1無線基地局と、
前記第1無線基地局と各々が接続し、接続先の第1無線基地局が形成する前記第1セル内に前記第1セルよりも面積が小さい第2セルを各々が形成する複数の第2無線基地局と、
前記第1セルおよび前記第2セルのうち移動局自身が在圏する在圏セルに対応する前記第1無線基地局および前記第2無線基地局のうち少なくともいずれか1つとの間に無線接続を確立して無線通信を実行する無線通信部を各々が備える複数の移動局と
を備える無線通信システムにおける通信制御方法であって、
当該第1無線基地局が形成する第1セル内に第2セルを形成する第2無線基地局の各々と同期して無線通信を実行することと、
当該第1無線基地局および当該第2無線基地局の少なくともいずれかの通信量に影響を与えるパラメータに応じて、所定の時間長および所定の周波数帯域幅の少なくともいずれかを占める単位リソースに含まれる、前記無線通信部が無線通信を実行すべき第1リソースおよび前記無線通信部が無線通信を停止すべき第2リソースの各々の個数および配置を設定することと、
前記リソース設定部が設定した前記各第1リソースにおいて無線通信を実行し、前記リソース設定部が設定した前記各第2リソースにおいて無線通信を停止するように前記無線通信部を制御することとを備える
通信制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2013−48315(P2013−48315A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185485(P2011−185485)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】