説明

無線通信システム、移動局および基地局

【課題】移動局から基地局へのランダムアクセスの処理効率を向上させる。
【解決手段】無線通信システムは、移動局と基地局とを備える。移動局は、第1事象が発生した場合に基地局から指定される個別ランダムアクセス信号を基地局に送信することで上りの同期を取る第1ランダムアクセス手続と、第2事象が発生した場合に移動局が選択する非個別ランダムアクセス信号を基地局に送信することで上りの同期を取る第2ランダムアクセス手続とを同時に行わない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信システム、移動局および基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、無線基地局と移動局との間で無線通信を行う移動通信システムが広く利用されている。移動通信システムでは、無線基地局から移動局への通信(下り通信)および移動局から無線基地局への通信(上り通信)の両方について、無線基地局が無線リソース(周波数リソースや時間リソースなど)を管理することが可能である。この場合、移動局は無線基地局から上り無線リソースの割り当てを受け、割り当てられた上り無線リソースを用いて上りデータ送信などを行う。
【0003】
このような移動通信システムでは、一部の上り無線リソースが予めランダムアクセスチャネルに割り当てられていることがある。移動局は、リソース割り当てを受けていない状態でも、ランダムアクセスチャネルにて信号(ランダムアクセス信号)を送信することができる。このとき、複数の移動局からのランダムアクセス信号の衝突に備えて、ランダムアクセスチャネルのプリアンブル部で送信すべき信号(プリアンブル信号)を無線基地局が各移動局に個別に指定することもある。ランダムアクセスチャネルの用途としては、例えば、以下のようなものが考えられる(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
無線基地局が移動局に対し下りデータ送信を行う場合の例を考えると、無線基地局は、まず使用を許可するプリアンブル信号を指定する。移動局は、指定されたプリアンブル信号をランダムアクセスチャネルで送信する。無線基地局は、移動局から受信したランダムアクセス信号(無線基地局が指定したプリアンブル信号)に基づいてタイミングのずれを測定し、タイミング調整を移動局に指示する。移動局は、送信タイミングの補正を行う。その後、無線基地局は、移動局に対し下りデータ送信を行う。移動局は、補正後のタイミングで、データの受信結果を示すACK(ACKnowledgement)/NACK(Negative ACKnowledgement)を無線基地局に送信する。このように、下りデータ通信の際、ランダムアクセスチャネルを用いて上りタイミングの同期をとることができる。
【0005】
また、移動局が無線基地局に対して上りデータ送信を行う場合の例を考えると、移動局は、まず乱数に基づいて複数の候補からプリアンブル信号を選択し、ランダムアクセスチャネルで送信する。無線基地局は、移動局からランダムアクセス信号(無線基地局の指定でないプリアンブル信号)を受信すると、制御データ用の上り無線リソースを移動局に割り当てる。移動局は、割り当てられた上り無線リソースにより、データ送信要求(例えば、BSR:Buffer Status Report)を送信する。無線基地局は、移動局からのデータ送信要求に応じたサイズの上り無線リソースを割り当てる。その後、移動局は、無線基地局に対し上りデータ送信を行う。このように、ランダムアクセスチャネルを用いて、移動局が上りデータ送信を開始することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献1】3rd Generation Partnership Project, "Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA) and Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network (E-UTRAN); Overall description; Stage 2 (Release 8)", 3GPP TS36.300, 2008-03 V8.4.0.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記のようなランダムアクセス方法では、ランダムアクセスの発生要因毎に独立に手続きが実行され、処理が非効率であるという問題がある。すなわち、下りデータ通信の際のランダムアクセスでは、上りタイミング同期がとれればよいため、上り無線リソースの割り当ては不要であると判断されてしまう。このため、下りデータ通信の際、移動局が制御データの送信も行いたい場合(例えば、上りデータ通信を開始する場合)には、上り無線リソースの割り当てのために別途ランダムアクセスの手続きが必要になる。
【0008】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、ランダムアクセスの処理効率を向上させることができる無線通信システム、移動局および基地局を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの態様では、基地局と、移動局と、を備える無線通信システムが提供される。移動局は、第1事象が発生した場合に基地局から指定される個別ランダムアクセス信号を基地局に送信することで上りの同期を取る第1ランダムアクセス手続と、第2事象が発生した場合に移動局が選択する非個別ランダムアクセス信号を基地局に送信することで上りの同期を取る第2ランダムアクセス手続とを同時に行わない。
【0010】
また、1つの態様では、送信部と制御部とを備える移動局が提供される。送信部は、基地局に信号を送信する。制御部は、第1事象が発生した場合に基地局から指定される個別ランダムアクセス信号を送信部から基地局に送信させることで上りの同期を取る第1ランダムアクセス手続と、第2事象が発生した場合に自局が選択する非個別ランダムアクセス信号を送信部から基地局に送信させることで上りの同期を取る第2ランダムアクセス手続とを同時に行わないよう送信部を制御する。
【0011】
また、1つの態様では、受信部を備える基地局が提供される。受信部は、第1事象が発生した場合に基地局が指定する個別ランダムアクセス信号を基地局に送信することで上りの同期を取る第1ランダムアクセス手続と、第2事象が発生した場合に移動局が選択する非個別ランダムアクセス信号を基地局に送信することで上りの同期を取る第2ランダムアクセス手続とを同時に行わない移動局から、個別ランダムアクセス信号または非個別ランダムアクセス信号を受信する。
【発明の効果】
【0012】
上記無線通信システム、移動局および基地局によれば、ランダムアクセスの処理効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】無線通信システムの概要を示す図である。
【図2】無線通信システムのシステム構成を示す図である。
【図3】無線基地局のブロック構成を示す図である。
【図4】移動局のブロック構成を示す図である。
【図5】無線フレーム構造を示す図である。
【図6】下り通信チャネルを示す図である。
【図7】上り通信チャネルを示す図である。
【図8】プリアンブル信号の種類を示す図である。
【図9】RAレスポンス後に伝送されるデータの構造を示す図である。
【図10】無線基地局のRA制御を示すフローチャートである。
【図11】移動局のRA制御を示すフローチャートである。
【図12】下りデータ通信を示すシーケンス図である。
【図13】上りデータ通信を示すシーケンス図である。
【図14】上りおよび下りデータ通信を示す第1のシーケンス図である。
【図15】上りおよび下りデータ通信を示す第2のシーケンス図である。
【図16】ハンドオーバ処理を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、無線通信システムの概要を示す図である。この無線通信システムは、無線基地局1および移動局2を有する。無線基地局1と移動局2との間では、下り方向(無線基地局1から移動局2)および上り方向(移動局2から無線基地局1)の無線通信を行うことができる。
【0015】
無線基地局1は、受信部1aおよび送信部1bを有する。受信部1aは、上りデータチャネルや上り制御チャネルを介して、制御データを含む各種データを移動局2から受信する。また、受信部1aは、ランダムアクセスチャネルを介して、ランダムアクセス信号を受信する。送信部1bは、下りデータチャネルや下り制御チャネルを介して、制御データを含む各種データを移動局2に送信する。
【0016】
移動局2は、受信部2aおよび送信部2bを有する。受信部2aは、下りデータチャネルや下り制御チャネルを介して、制御データを含む各種データを無線基地局1から受信する。送信部2bは、上りデータチャネルや上り制御チャネルを介して、制御データを含む各種データを無線基地局1に送信する。また、送信部2bは、ランダムアクセスチャネルを介して、ランダムアクセス信号を無線基地局1に送信する。
【0017】
ここで、無線基地局1から移動局2への下りデータ通信を行う場合、無線基地局1の送信部1bは、移動局2に使用を許可するランダムアクセス信号の指定情報を送信する。指定情報には、例えば、プリアンブル信号の種類を示す番号が含まれる。移動局2の送信部2bは、指定されたランダムアクセス信号を無線基地局1に送信する。
【0018】
無線基地局1は、受信部1aで受信したランダムアクセス信号(例えば、プリアンブル信号)に基づいて、上り通信タイミングのずれを測定する。また、無線基地局1は、移動局2に上り無線リソースを割り当てる。ランダムアクセス信号を受けて割り当てる上り無線リソースは、ランダムアクセスの発生要因に拘わらず、全て所定のサイズ(リソース量)に統一してもよい。そして、無線基地局1の送信部1bは、ランダムアクセス信号の応答として、タイミング調整情報と上り無線リソースの割当情報とを移動局2に送信する。
【0019】
移動局2は、受信部2aで受信したタイミング調整情報に基づいて、上り送信タイミングを補正する。そして、移動局2の送信部2bは、割り当てられた上り無線リソースを用いて制御データを送信する。送信する制御データとしては、例えば、同期完了報告、データ送信要求(例えば、BSR)、接続制御に関するRRC(Radio Resource Control)メッセージなどが考えられる。
【0020】
同期完了報告は、他に送信すべき制御データがある場合は、送信を省略してもよい。また、割り当てられた上り無線リソースのサイズ内であれば、複数種類の制御データを同時に送信することもできる。一方、送信したい制御データの量が割当サイズを超える場合には、一部の制御データと残りデータ量の情報とを送信することが考えられる。
【0021】
その後、無線基地局1の送信部1bは、移動局2に対し下りデータ送信を行う。このとき、無線基地局1は、受信部1aで制御データ(同期完了報告または同期完了報告に代えて送信される他の種類の制御データ)が受信されることで、移動局2とタイミング同期がとれたことを知ることができる。また、無線基地局1は、受信部1aでデータ送信要求や残りデータ量の情報が制御データとして受信された場合には、それらの内容に応じたサイズの上り無線リソースを更に移動局2に割り当てる。
【0022】
このような無線通信システムによれば、無線基地局1から移動局2への下りデータ通信の際、無線基地局1の送信部1bにより、移動局2にランダムアクセス信号の指定情報が送信される。移動局2の送信部2bにより、指定されたランダムアクセス信号が無線基地局1に送信される。無線基地局1の送信部1bにより、ランダムアクセス信号の受信結果に基づくタイミング調整情報と、制御データの送信に用いられる上り無線リソースの割当情報とが、移動局2に送信される。
【0023】
これにより、ランダムアクセスの処理効率が向上する。すなわち、下りデータ通信の際のタイミング同期を目的としたランダムアクセスにおいても、移動局2に上り無線リソースが割り当てられる。このため、移動局2は、下りデータ通信と共に制御データの送信も行いたい場合、割り当てられた上り無線リソースを使用することができ、別途のランダムアクセスを行わずに済む。また、タイミング調整情報を含むランダムアクセス応答後に、移動局2が無線基地局1に対して何らかの制御データを送信することで、無線基地局1はタイミング同期に成功したことを早期に確実に知ることができる。
【0024】
以下、本実施の形態の具体的内容を説明する。
図2は、無線通信システムのシステム構成を示す図である。図2に示す無線通信ステムは、無線基地局100,100aおよび移動局200,200aを有する。
【0025】
無線基地局100,100aは、それぞれの電波到達範囲内に存在する無線端末装置と通信可能な無線通信装置である。無線基地局100,100aは、図示しない上位局を介して互いに通信が可能である。移動局200,200aは、無線基地局100,100aと通信可能な無線端末装置であり、例えば、携帯電話機である。
【0026】
無線基地局100,100aと移動局200,200aとは、双方向通信(上り通信および下り通信)が可能である。このとき、無線通信で用いる無線リソースは、無線基地局100,100a側で管理される。すなわち、移動局200,200aは、無線基地局100,100aから上り無線リソースの割り当てを受けることで、上りデータ送信を行うことができる。
【0027】
図3は、無線基地局のブロック構成を示す図である。無線基地局100は、アンテナ110、受信部120、データ処理部130、送信バッファ140、制御部150および送信部160を有する。無線基地局100aも、無線基地局100と同様の構成によって実現できる。
【0028】
アンテナ110は、送信・受信共用のアンテナである。アンテナ110は、移動局200,200aから受信した無線信号を受信部120に出力する。また、アンテナ110は、送信部160から取得した送信信号を無線出力する。なお、送信用アンテナと受信用アンテナとを別々に設けてもよい。
【0029】
受信部120は、アンテナ110から取得した受信信号を復調・復号し、上りデータチャネルに含まれるユーザデータ(例えば、音声データ、電子メールのデータ、画像データなど)と、上りデータチャネルや上り制御チャネルに含まれる制御データとを抽出する。また、受信部120は、ランダムアクセスチャネルの信号(ランダムアクセス信号)を抽出する。そして、受信部120は、抽出したユーザデータをデータ処理部130に出力する。また、抽出した制御データおよびランダムアクセス信号を制御部150に出力する。
【0030】
データ処理部130は、受信部120から取得したユーザデータおよび他の無線基地局から上位局経由で取得したユーザデータを処理する。例えば、データ処理部130は、ユーザデータの種類に応じた処理を実行する。そして、データ処理部130は、無線基地局100の電波到達範囲内に存在する移動局宛てに送信するユーザデータを、送信バッファ140に出力する。
【0031】
送信バッファ140は、ユーザデータを一時的に保持するバッファメモリである。送信バッファ140は、データ処理部130から取得したユーザデータを保持する。また、送信バッファ140は、制御部150からの指示に応じてユーザデータを送信部160に出力する。このとき、送信バッファ140は、ユーザデータをその宛先や種類毎に分類して保持しておき、制御部150から指示された特定の宛先および種類のユーザデータを優先して出力することも可能である。
【0032】
制御部150は、無線基地局100の無線通信処理を制御する。制御部150は、タイミング測定部151、UL(UpLink)リソース割当部152、送信制御部153およびプリアンブル番号指定部154を有する。
【0033】
タイミング測定部151は、受信部120から取得したランダムアクセス信号に基づいて、無線基地局100が期待する受信タイミングと移動局200,200aからの実際の受信タイミングとのずれを測定する。タイミング測定には、プリアンブル部の信号(プリアンブル信号)を用いることができる。そして、タイミング測定部151は、タイミング補正のための同期コマンドを生成し、送信部160に出力する。また、タイミング測定部151は、ランダムアクセス信号を受信した旨をULリソース割当部152に通知する。
【0034】
ULリソース割当部152は、タイミング測定部151からランダムアクセス信号を受信した旨の通知があると、ランダムアクセス信号の送信元に、上りデータチャネルとして所定サイズの上り無線リソースを割り当てる。ランダムアクセス信号を受けて割り当てる上り無線リソースのサイズは、例えば、BSRのデータ量程度とすることが考えられる。
【0035】
また、ULリソース割当部152は、受信部120から制御データを取得すると、制御データの送信元に、制御データの内容に応じたサイズの上り無線リソースを割り当てる。上り無線リソースの割り当て後、ULリソース割当部152は、割当情報(UL grant)を生成し、送信部160に出力する。割当情報には、割当サイズの情報(例えば、ビット数やブロック数)が含まれる。
【0036】
送信制御部153は、ランダムアクセスに対する応答(ランダムアクセスレスポンス)が行われた後に、移動局200,200aからの制御データを取得すると、送信バッファ140に対し、移動局200,200a宛てのユーザデータを出力するよう指示する。このとき取得する制御データとしては、例えば、同期完了報告、同期完了報告に代えて送信されるBSRやRRCメッセージなどが考えられる。
【0037】
プリアンブル番号指定部154は、送信バッファ140へのユーザデータの到着状況を監視する。移動局200,200a宛てのユーザデータが到着すると、プリアンブル番号指定部154は、予め用意された複数の候補から移動局200,200aにそれぞれ使用させるプリアンブルを指定する。指定したプリアンブルは、その後所定時間は他の移動局には使用させない。そして、プリアンブル番号指定部154は、指定したプリアンブルを示すプリアンブル番号を送信部160に出力する。
【0038】
送信部160は、送信バッファ140から取得したユーザデータと制御部150から取得した各種制御データ(同期コマンド、割当情報、プリアンブル番号など)とを符号化・変調し、下りデータチャネルおよび下り制御データチャネルの送信信号を生成する。そして、送信部160は、生成した送信信号をアンテナ110に出力する。
【0039】
図4は、移動局のブロック構成を示す図である。移動局200は、アンテナ210、受信部220、データ処理部230、送信バッファ240、制御部250および送信部260を有する。移動局200aも、移動局200と同様の構成によって実現できる。
【0040】
アンテナ210は、送信・受信共用のアンテナである。無線基地局100,100aから受信した無線信号を受信部220に出力する。また、アンテナ210は、送信部260から取得した送信信号を無線出力する。なお、送信用アンテナと受信用アンテナとを別々に設けてもよい。
【0041】
受信部220は、アンテナ210から取得した受信信号を復調・復号し、下りデータチャネルに含まれるユーザデータと、下りデータチャネルや下り制御チャネルに含まれる制御データとを抽出する。そして、受信部220は、抽出したユーザデータをデータ処理部230に出力する。また、抽出した制御データを制御部250に出力する。
【0042】
データ処理部230は、受信部220から取得したユーザデータを、その種類に応じて処理する。例えば、データ処理部230は、テキストや画像の表示処理や音声再生処理などを実行する。また、データ処理部230は、無線基地局100に対して送信するユーザデータを生成し、送信バッファ240に出力する。
【0043】
送信バッファ240は、ユーザデータを一時的に保持するバッファメモリである。送信バッファ240は、データ処理部230から取得したユーザデータを保持する。また、送信バッファ240は、制御部250から指示された量のユーザデータを送信部260に出力する。
【0044】
制御部250は、移動局200の無線通信処理を制御する。制御部250は、タイミング補正部251、プリアンブル生成部252、送信制御部253および制御データ生成部254を有する。
【0045】
タイミング補正部251は、受信部220から制御データとして同期コマンドを取得すると、同期コマンドに基づいて上り送信タイミングを補正する。そして、タイミング補正部251は、タイミング補正が完了した旨を制御データ生成部254に通知する。
【0046】
プリアンブル生成部252は、受信部220から制御データとしてプリアンブル番号を取得すると、プリアンブル番号が示すプリアンブルの信号列(シーケンス)を生成し、送信部260に出力する。指定された個別のプリアンブル信号を生成する場合としては、例えば、下りデータ通信の開始時やハンドオーバ時などが考えられる。
【0047】
また、プリアンブル生成部252は、プリアンブル番号が指定されていない状況で制御データの送信が必要な場合、乱数によりプリアンブル番号を選択し、選択したプリアンブル番号に対応するプリアンブル信号を生成する。指定されていない非個別のプリアンブル信号を生成する場合としては、例えば、電源投入後の初期接続やコネクション切断に伴う再接続時、上りデータ送信の開始時などが考えられる。
【0048】
なお、プリアンブル生成部252は、プリアンブル番号とプリアンブル信号の種類との対応関係を、予め無線基地局100,100aと合意しておく。この対応関係は固定であってもよいし、通信開始時に無線基地局100,100aから対応関係の情報を取得してもよい。また、無線基地局毎に対応関係が異なってもよい。
【0049】
送信制御部253は、受信部220から制御データとして取得した上り無線リソースの割当情報(UL grant)に基づいて、ユーザデータおよび制御データの送信を制御する。送信制御部253は、ユーザデータを送信する場合、送信可能なユーザデータの量を送信バッファ240に通知する。制御データを送信する場合、送信可能な制御データの量を制御データ生成部254に通知する。
【0050】
制御データ生成部254は、各種制御データを生成し、送信制御部253からの通知に応じて送信部260に出力する。例えば、制御データ生成部254は、送信バッファ240へのユーザデータの到着状況を監視し、ユーザデータの量を示すBSRを生成する。また、無線基地局100,100aへの初期接続や再接続、ハンドオーバの際に、RRCメッセージを生成する。また、無線基地局100,100aからデータを受信した際に、ACK/NACKを生成する。
【0051】
また、制御データ生成部254は、タイミング補正部251からタイミング補正の完了通知を受けたとき、送信すべき制御データが特にない場合は、同期完了報告を生成する。一方、上り無線リソースの割当サイズが送信すべき制御データの量より小さい場合は、送信すべき制御データの一部を送信部260に出力すると共に、残りデータ量を示し制御データを生成して送信部260に出力する。
【0052】
送信部260は、送信バッファ240から取得したユーザデータと制御部250から取得した制御データとを符号化・変調し、上りデータチャネルおよび上り制御チャネルの送信信号を生成する。また、送信部260は、制御部250から取得したプリアンブルをランダムアクセスチャネルのプリアンブル部の送信信号とする。そして、送信部260は、得られた送信信号をアンテナ210に出力する。
【0053】
図5は、無線フレーム構造を示す図である。本実施の形態では、多重通信方式として、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)やSC−FDM(Single Carrier - Frequency Division Multiplexing)を採用することができる。無線基地局100,100aと移動局200,200aとの間では、例えば、図5に示すような無線フレームが送受信される。この例では、1フレームの時間幅は10ms(ミリ秒)である。1フレームは複数のサブフレームを含む。1サブフレームの時間幅は1msである。
【0054】
各サブフレームでは、周波数リソース×時間リソースが細分化されて管理が行われる。周波数軸方向の最小単位はサブキャリアと呼ばれる。時間軸方向の最小単位はシンボルと呼ばれる。1サブキャリア・1シンボルで特定される最小単位はリソースエレメントと呼ばれる。無線リソースの割り当ては、複数のサブキャリア(例えば、12サブキャリア)に跨るリソースブロックという単位で行われる。なお、サブフレームの1msの時間幅のうち前半0.5msおよび後半0.5msはそれぞれスロットと呼ばれる。
【0055】
このような無線リソースの一部が、それぞれ、下りデータチャネル(PDSCH:Physical Downlink Shared CHannel)、下り制御チャネル(PDCCH:Physical Downlink Control CHannel)、上りデータチャネル(PUSCH:Physical Uplink Shared CHannel)、上り制御チャネル(PUCCH:Physical Uplink Control CHannel)およびランダムアクセスチャネル(RACH:Random Access CHannel)として用いられる。
【0056】
図6は、下り通信チャネルを示す図である。無線基地局100,100aから移動局200,200aへの下り通信では、例えば、各サブフレームで図6に示すような通信チャネルが形成される。下り通信チャネルには、下り制御チャネルおよび下りデータチャネルが含まれる。
【0057】
下り制御チャネルには、サブフレームの先頭から所定のシンボル長(例えば、1〜3シンボル)の無線リソースが割り当てられる。複数の下り制御チャネルは、周波数多重される。移動局200,200aは、自局宛ての制御データの伝送に用いられる可能性のある下り制御チャネルを、無線基地局100,100aから通知されている。移動局200,200aは、通知された下り制御チャネルを監視し、自局宛ての下り制御データを検出する。下り制御チャネルでは、各種制御データ(例えば、移動局200,200a宛てのデータが含まれている下りデータチャネルの位置情報、上り無線リソースの割当情報など)が伝送される。
【0058】
下りデータチャネルには、下り制御チャネルに用いられる無線リソース以外の無線リソースの一部が割り当てられる。複数の下りデータチャネルは、周波数多重される。また、下りデータチャネルは、下り制御チャネルと時間多重される。各下りデータチャネルで使用される無線リソースの量は可変である。移動局200,200aは、下り制御チャネルで取得した制御データに基づいて、自局宛てのデータが含まれる下りデータチャネルを特定する。下りデータチャネルでは、ユーザデータおよび一部の制御データ(例えば、ランダムアクセスレスポンスなど)が伝送される。
【0059】
図7は、上り通信チャネルを示す図である。移動局200,200aから無線基地局100,100aへの上り通信では、例えば、各サブフレームで図7に示すような通信チャネルが形成される。上り通信チャネルには、上り制御チャネル、上りデータチャネルおよびランダムアクセスチャネルが含まれる。
【0060】
上り制御チャネルには、無線基地局100,100aが使用可能な全周波数帯域(システム帯域)の両端から所定の周波数幅の無線リソースが割り当てられる。各上りサブフレームは2つの制御チャネルを含む。1つ目の制御チャネル(上り制御チャネルi)は、前半スロットの高周波数側と後半スロットの低周波数側とに割り当てられる。2つ目の制御チャネル(上り制御チャネルj)は、前半スロットの低周波数側と後半スロットの高周波数側とに割り当てられる。
【0061】
各上り制御チャネルでは、複数の移動局分のデータが符号多重されて伝送される。移動局200,200aは、上り制御チャネルi,jの一方を用いて、ACK/NACKなどの所定の種類の制御データを送信することができる。ただし、上りデータチャネルの割り当てを受けている場合、移動局200,200aは、上り制御チャネルを使用せずに上りデータチャネルを使用する。無線基地局100,100aが収容する移動局が多い場合、上り制御チャネルi,jの内側に更に別の上り制御チャネルを設けることもできる。
【0062】
上りデータチャネルには、上り制御チャネルに用いられる周波数帯域以外の周波数帯域の一部が割り当てられる。複数の上りデータチャネルは、周波数多重される。移動局200,200aは、下り制御チャネルで受信した割当情報に基づいて、自局に割り当てられた上りデータチャネルを特定する。上りデータチャネルでは、ユーザデータおよび各種制御データ(例えば、BSRやRRCメッセージ、ACK/NACKなど)が伝送される。
【0063】
ランダムアクセスチャネルには、上り制御チャネルに用いられる周波数帯域以外の周波数帯域の一部が割り当てられる。ランダムアクセスチャネルは、必ずしも全てのサブフレームに含まれているわけではない。ランダムアクセスチャネルは、例えば、1フレームに少なくとも1つ設けられる。ランダムアクセスチャネルの位置は、無線基地局100,100aと移動局200,200aとの間で合意しておく。
【0064】
ランダムアクセスチャネルでは、プリアンブル部を含むランダムアクセス信号が伝送される。無線基地局100,100aは、プリアンブル信号の種類が互いに異なれば(プリアンブル番号が異なれば)、同一のランダムアクセスチャネルで受信した複数の信号を個々に識別することができる。一方、プリアンブル信号の種類が同一のランダムアクセス信号は個々に識別することができない。この場合、そのランダムアクセスは失敗となる。
【0065】
図8は、プリアンブル信号の種類を示す図である。無線基地局100,100aは、それぞれ、プリアンブルとして第1番から第N番(1<N)までのN種類のプリアンブル信号列(シーケンス)を用意している。このうち、第1番から第K番(1<K<N)までのプリアンブルが、個別割当用として予約されている。第K+1番から第N番までのプリアンブルが、個別割当なしに移動局200,200aが使用可能である。
【0066】
すなわち、第1番から第K番までのプリアンブルは、無線基地局100,100aによって使用許可の管理が行われる。従って、これらのプリアンブルを用いた場合、ランダムアクセスの衝突を防止できる。一方、第K+1番から第N番までのプリアンブルは、使用許可の管理が行われず、移動局200,200aの判断で使用される。従って、これらのプリアンブルを用いた場合、ランダムアクセスが衝突により失敗する可能性がある。なお、個別割当用に予約するプリアンブルは、必ずしも図8に示したように番号の小さいものとする必要はなく、任意の番号のプリアンブルを選択することが可能である。
【0067】
図9は、RAレスポンス後に伝送されるデータの構造を示す図である。移動局200,200aは、無線基地局100,100aからランダムアクセスレスポンスを受信したとき、例えば、図9に示すようなフォーマットで制御データを送信する。このフォーマットは、ヘッダ部と情報部とを有する。ヘッダ部には、制御データの種類を示す識別子(Logical Channel ID)が含まれる。情報部には、制御データの内容が含まれる。
【0068】
複数の制御データを一時に送信する場合、ヘッダ部と情報部とにそれぞれ複数の項目が設けられる。図9の例では、ヘッダ#1と情報#1、ヘッダ#2と情報#2、ヘッダ#Nと情報#Nとがそれぞれ対応する。例えば、移動局200,200aは、ヘッダ#Nとして残りデータ量の制御データであることを示す識別子を送信し、情報#Nとして残りデータ量を示す数値(例えば、ビット数)を送信することができる。無線基地局100,100aは、ヘッダ部を参照することで、受信した制御データそれぞれの種類を認識し、制御データの種類に応じた処理を実行することができる。
【0069】
次に、以上のような無線通信システムにおいて実行される処理の詳細を説明する。
図10は、無線基地局のRA制御を示すフローチャートである。ここでは、無線基地局100と移動局200とが無線通信を行う場合を考える。以下、図10に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0070】
[ステップS11]プリアンブル番号指定部154は、移動局200に送信するユーザデータがあるか判断する。送信するユーザデータがある場合、処理をステップS12に進める。送信するユーザデータがない場合、処理をステップS13に進める。
【0071】
[ステップS12]プリアンブル番号指定部154は、個別割当用のプリアンブルの中から移動局200aなどの他の移動局に割り当てていないものを1つ選択し、移動局200に割り当てる。送信部160は、プリアンブル番号を、下りデータチャネルで移動局200に送信する。
【0072】
[ステップS13]受信部120は、ステップS12で指定したプリアンブルまたは移動局200が選択したプリアンブルを含むランダムアクセス信号を、ランダムアクセスチャネルで移動局200から受信する。
【0073】
[ステップS14]タイミング測定部151は、ステップS13で受信したランダムアクセス信号のプリアンブル信号に基づいて、期待する受信タイミングと実際の受信タイミングのずれを測定する。そして、タイミング測定部151は、送信タイミングを補正するための同期コマンドを生成する。
【0074】
[ステップS15]ULリソース割当部152は、ランダムアクセスの発生要因に依存しない固定サイズ(例えば、BSRのデータ量相当のサイズ)の上り無線リソースを、上りデータチャネルとして移動局200に割り当てる。そして、ULリソース割当部152は、上り無線リソースの割当情報を生成する。
【0075】
[ステップS16]送信部160は、ステップS14で生成された同期コマンドとステップS15で生成された割当情報とを含むランダムアクセスレスポンスを、下りデータチャネルで移動局200に送信する。
【0076】
[ステップS17]受信部120は、制御データを、ステップS15で割り当てた上り無線リソース(上りデータチャネル)で移動局200から受信する。ここで受信する制御データとしては、例えば、同期完了報告、BSR、RRCメッセージ、残りデータ量の情報などが考えられる。また、複数の制御データを受信する場合もある。
【0077】
[ステップS18]ULリソース割当部152は、ステップS17で受信した制御データに、残りデータ量の情報が含まれているか判断する。これは、例えば、受信データのヘッダ部に含まれている識別子に基づいて判断することができる。残りデータ量の情報が含まれている場合、処理をステップS19に進める。残りデータ量の情報が含まれていない場合、処理をステップS20に進める。
【0078】
[ステップS19]ULリソース割当部152は、残りデータ量に応じたサイズの上り無線リソースを、上りデータチャネルとして移動局200に割り当てる。そして、ULリソース割当部152は、上り無線リソースの割当情報を生成する。送信部160は、生成された割当情報を、下り制御チャネルで移動局200に送信する。
【0079】
[ステップS20]制御部150は、ステップS17で受信した制御データに応じた制御処理を実行する。例えば、BSRを受信した場合、BSRに応じたサイズの上り無線リソースを、上りデータチャネルとして移動局200に割り当てる。また、RRCメッセージを受信した場合、RRCメッセージの内容に応じて、初期接続や再接続、ハンドオーバなどの接続制御を行う。また、ステップS11で送信データがあると判断された場合、送信部160は、ユーザデータを下りデータチャネルで移動局200に送信する。
【0080】
このようにして、無線基地局100は、ランダムアクセスチャネルでプリアンブル信号を受信すると、ランダムアクセスの発生要因に依存しない所定サイズの上り無線リソースを移動局200に割り当てる。そして、割当情報を含むランダムアクセスレスポンスを移動局200に送信する。その後、無線基地局100は、割り当てた上り無線リソースで制御データを受信し、制御データに応じた処理を実行する。このとき、移動局200に未送信の制御データがある場合には、追加で上り無線リソースを割り当てる。
【0081】
なお、上記のステップS14のタイミング測定とステップS15のリソース割当とは、処理の順序を逆にしてもよい。また、上記では割当情報をランダムアクセスレスポンスに含めて送信するとしたが、ランダムアクセスレスポンスとは別のタイミングで送信してもよい。また、上記ではプリアンブル番号およびランダムアクセスレスポンスを下りデータチャネルで送信するとしたが、下り制御チャネルで送信してもよい。同様に、上記ではランダムアクセスレスポンスを除く割当情報を下り制御チャネルで送信するとしたが、下りデータチャネルで送信してもよい。
【0082】
図11は、移動局のRA制御を示すフローチャートである。ここでは、移動局200と無線基地局100とが無線通信を行う場合を考える。以下、図11に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0083】
[ステップS21]プリアンブル生成部252は、無線基地局100からプリアンブル番号を受信したか判断する。個別のプリアンブルの指定を受ける場合としては、例えば、下りデータ通信の開始時やハンドオーバ時などが考えられる。プリアンブル番号を受信した場合、処理をステップS22に進める。プリアンブル番号を受信していない場合、処理をステップS23に進める。
【0084】
[ステップS22]プリアンブル生成部252は、無線基地局100から個別に指定されたプリアンブルの信号列を生成する。送信部260は、生成されたプリアンブル信号をランダムアクセスチャネルで無線基地局100に送信する。その後、処理をステップS26に進める。
【0085】
[ステップS23]プリアンブル生成部252は、無線基地局100に送信する制御データがあるか判断する。個別のプリアンブルの指定がない状況で制御データの送信を行う場合としては、例えば、無線基地局100への初期接続時や再接続時、上りデータ送信の開始時(送信バッファ240へのユーザデータの到着を制御データ生成部254が検出したとき)などが考えられる。送信する制御データがある場合、処理をステップS24に進める。送信する制御データがない場合、処理をステップS21に進める。
【0086】
[ステップS24]プリアンブル生成部252は、乱数により、移動局200の判断で使用できるプリアンブルの番号を1つ選択する。そして、プリアンブル生成部252は、選択した番号のプリアンブルの信号列を生成する。送信部260は、生成されたプリアンブル信号をランダムアクセスチャネルで無線基地局100に送信する。
【0087】
[ステップS25]プリアンブル生成部252は、ステップS24のランダムアクセスが成功したか判断する。これは、所定時間内に無線基地局100からランダムアクセスレスポンスを受けたか否かで判断することができる。ランダムアクセスが成功した場合、処理をステップS26に進める。ランダムアクセスが失敗した場合、処理をステップS21に進める。
【0088】
[ステップS26]タイミング補正部251は、無線基地局100から受信したランダムアクセスレスポンスに含まれる同期コマンドに基づいて、上りタイミングを補正する。
[ステップS27]制御データ生成部254は、無線基地局100に送信する制御データがあるか判断する。送信する制御データがある場合、処理をステップS28に進める。送信する制御データがない場合、処理をステップS32に進める。なお、送信する制御データとしては、例えば、BSRやRRCメッセージなどが考えられる。送信する制御データが複数ある場合も考えられる。また、ステップS23の判断後に制御データを送信する必要が生じる場合もあるため、ここでの判断結果とステップS23の判断結果とが異なることも考えられる。
【0089】
[ステップS28]制御データ生成部254は、無線基地局100から受信したランダムアクセスレスポンスに含まれる割当情報に基づいて、送信する制御データのデータ量と上り無線リソースの割当量とを比較する。送信量が割当量より大きい場合、処理をステップS29に進める。送信量が割当量以下である場合、処理をステップS31に進める。
【0090】
[ステップS29]制御データ生成部254は、最初に送信する制御データ(例えば、割当量から残りデータ量の情報分を差し引いた量の制御データ)を選択する。また、制御データ生成部254は、残りデータ量の情報を生成し、最初に送信する制御データに追加する。送信部260は、これらの制御データを割り当てられた上りデータチャネルで無線基地局100に送信する。
【0091】
[ステップS30]送信部260は、ステップS29で選択されなかった残りの制御データを、ステップS29の後に無線基地局100から追加で割り当てられた上りデータチャネルで無線基地局100に送信する。
【0092】
[ステップS31]送信部260は、制御データを無線基地局100から割り当てられた上りデータチャネルで無線基地局100に送信する。
[ステップS32]制御データ生成部254は、上りタイミングの補正が完了したことを示す同期完了報告を制御データとして生成する。送信部260は、生成された同期完了報告を、無線基地局100から割り当てられた上りデータチャネルで無線基地局100に送信する。
【0093】
[ステップS33]制御部250は、ランダムアクセスの発生要因に応じた制御処理を実行する。例えば、無線基地局100からユーザデータを受信した場合、ACK/NACKを生成する。ACK/NACKは、上りデータチャネルまたは上り制御チャネルで送信される。また、BSRを送信後に上り無線リソースの割り当てを受けた場合、送信バッファ240に保持されたユーザデータを出力させる。また、RRCメッセージを送信した場合、初期接続や再接続、ハンドオーバなどの接続制御を行う。
【0094】
このようにして、移動局200は、無線基地局100から指定された個別のプリアンブルまたは乱数で選択したプリアンブルの信号を、ランダムアクセスチャネルで送信する。そして、割当情報を含むランダムアクセスレスポンスを無線基地局100から受信する。その後、移動局200は、割り当てられた固定サイズの上り無線リソースで制御データを送信する。このとき、特段の送信する制御データがない場合、同期完了報告を送信する。一方、割当量よりも多くの送信する制御データがある場合、残りデータ量の情報も合わせて送信し、無線基地局100から追加の割り当てを受ける。
【0095】
なお、上記では他に送信する制御データがない場合に同期完了報告を送信するとしたが、他に送信する制御データがある場合も同期完了報告を合わせて送信してもよい。
次に、無線基地局100と移動局200との間の通信の流れの具体例を説明する。
【0096】
図12は、下りデータ通信を示すシーケンス図である。以下、図12に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS41]無線基地局100は、移動局200に送信するユーザデータが到着すると、移動局200に個別のプリアンブル番号を割り当てる。そして、無線基地局100は、プリアンブル番号を下りデータチャネルで移動局200に送信する。
【0097】
[ステップS42]移動局200は、ステップS41で指定されたプリアンブル番号のプリアンブル信号を、ランダムアクセスチャネルで無線基地局100に送信する。なお、個別のプリアンブルの割り当ては所定時間だけ有効である。このため、移動局200は、プリアンブル番号の通知を受けてから所定時間の何れかのランダムアクセスで送信する。
【0098】
[ステップS43]無線基地局100は、移動局200から受信したランダムアクセス信号(プリアンブル信号)に基づいて、上り通信タイミングを測定する。また、所定のサイズの上り無線リソース(上りデータチャネル)を移動局200に割り当てる。そして、無線基地局100は、同期コマンドと割当情報とを含むランダムアクセスレスポンスを、下りデータチャネルで移動局200に送信する。
【0099】
[ステップS44]移動局200は、ランダムアクセスレスポンスに含まれる同期コマンドに基づいて、上りタイミングを補正する。そして、移動局200は、ランダムアクセスレスポンスに含まれる割当情報が示す上りデータチャネルで、同期完了報告を無線基地局100に送信する。
【0100】
[ステップS45]無線基地局100は、移動局200から同期完了報告を受信すると、移動局200宛てのユーザデータを、下りデータチャネルで移動局200に送信する。
[ステップS46]移動局200は、無線基地局100からの下りデータチャネルの受信状況に応じて、ACK/NACKを上りデータチャネルまたは上り制御チャネルで無線基地局100に送信する。
【0101】
このようにして、無線基地局100から移動局200への下りデータ通信のみを行う場合、移動局200は、ランダムアクセスレスポンスで割り当てられた上り無線リソースを用いて同期完了報告を送信する。無線基地局100は、移動局200から同期完了報告を受信すると、下りデータ送信を開始することができる。
【0102】
図13は、上りデータ通信を示すシーケンス図である。以下、図13に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS51]移動局200は、無線基地局100に送信するユーザデータが到着すると、ランダムにプリアンブル番号を選択する。そして、移動局200は、選択したプリアンブル番号のプリアンブル信号を、ランダムアクセスチャネルで無線基地局100に送信する。なお、非個別のプリアンブルは移動局200aなどの他の移動局と衝突する可能性がある。衝突により送信に失敗した場合、移動局200は、成功するまで繰り返し送信を行う。
【0103】
[ステップS52]無線基地局100は、移動局200から受信したランダムアクセス信号(プリアンブル信号)に基づいて、上り通信タイミングを測定する。また、所定のサイズの上り無線リソース(上りデータチャネル)を移動局200に割り当てる。そして、無線基地局100は、同期コマンドと割当情報とを含むランダムアクセスレスポンスを、データチャネルで移動局200に送信する。
【0104】
[ステップS53]移動局200は、ランダムアクセスレスポンスに含まれる同期コマンドに基づいて、上りタイミングを補正する。そして、移動局200は、ランダムアクセスレスポンスに含まれる割当情報が示す上りデータチャネルで、BSR(データ量を含むデータ送信要求)を無線基地局100に送信する。
【0105】
[ステップS54]無線基地局100は、移動局200から受信したBSRが示すデータ量相当の上り無線リソース(上りデータチャネル)を移動局200に割り当てる。そして、無線基地局100は、割当情報を下り制御チャネルで移動局200に送信する。
【0106】
[ステップS55]移動局200は、無線基地局100から受信した割当情報が示す上りデータチャネルで、ユーザデータを無線基地局100に送信する。
[ステップS56]無線基地局100は、移動局200からの上りデータチャネルの受信状況に応じて、ACK/NACKを下りデータチャネルで移動局200に送信する。
【0107】
このようにして、移動局200から無線基地局100への上りデータ通信のみを行う場合、移動局200は、ランダムアクセスレスポンスで割り当てられた上り無線リソースを用いてBSRを送信する。無線基地局100は、移動局200からBSRを受信すると、BSRに応じたサイズの上り無線リソースを移動局200に割り当てる。その後、移動局200は、上りデータ送信を開始することができる。
【0108】
図14は、上りおよび下りデータ通信を示す第1のシーケンス図である。以下、図14に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS61]無線基地局100は、移動局200に送信するユーザデータが到着すると、移動局200に個別のプリアンブル番号を割り当てる。そして、無線基地局100は、プリアンブル番号を下りデータチャネルで移動局200に送信する。
【0109】
[ステップS62]移動局200は、ステップS61で指定されたプリアンブル番号のプリアンブル信号を、ランダムアクセスチャネルで無線基地局100に送信する。
[ステップS63]無線基地局100は、移動局200から受信したランダムアクセス信号(プリアンブル信号)に基づいて、上り通信タイミングを測定する。また、所定のサイズの上り無線リソース(上りデータチャネル)を移動局200に割り当てる。そして、無線基地局100は、同期コマンドと割当情報とを含むランダムアクセスレスポンスを、下りデータチャネルで移動局200に送信する。
【0110】
[ステップS64]移動局200は、ランダムアクセスレスポンスに含まれる同期コマンドに基づいて、上りタイミングを補正する。ここで、移動局200は、無線基地局100に送信するユーザデータが到着していることを検知し、ランダムアクセスレスポンスに含まれる割当情報が示す上りデータチャネルで、BSRを無線基地局100に送信する。このBSRは、同期完了報告の意味も兼ねている。
【0111】
[ステップS65]無線基地局100は、移動局200から受信したBSRが示すデータ量相当の上り無線リソース(上りデータチャネル)を移動局200に割り当てる。そして、無線基地局100は、割当情報を下り制御チャネルで移動局200に送信する。
【0112】
[ステップS66]無線基地局100は、移動局200からのBSRを受けて、移動局200宛てのユーザデータを下りデータチャネルで移動局200に送信する。すなわち、無線基地局100は、BSRの受信により、上りタイミング補正が完了したと判断する。
【0113】
[ステップS67]移動局200は、無線基地局100からの下りデータチャネルの受信状況に応じて、ACK/NACKを上りデータチャネルまたは上り制御チャネルで無線基地局100に送信する。
【0114】
[ステップS68]移動局200は、ステップS65で受信した割当情報が示す上りデータチャネルで、ユーザデータを無線基地局100に送信する。
[ステップS69]無線基地局100は、移動局200からの上りデータチャネルの受信状況に応じて、ACK/NACKを下りデータチャネルで移動局200に送信する。
【0115】
このようにして、無線基地局100から移動局200への下りデータ通信開始時に、移動局200から無線基地局100への上りデータ通信も行う場合、移動局200は、下りデータ通信の際のランダムアクセスレスポンスで割り当てられた上り無線リソースを流用してBSRを送信する。無線基地局100は、移動局200からBSRを受信すると、BSRに応じたサイズの上り無線リソースを移動局200に割り当てる。これにより、無線基地局100は、下りデータ送信を開始することができ、移動局200は、上りデータ送信を開始することができる。
【0116】
なお、上記のステップS65以後の上りデータ通信に関するメッセージと下りデータ通信に関するメッセージとは、独立に送受信することができ、上記と異なる送信順序になることも考えられる。例えば、無線基地局100は、上りユーザデータの受信後に下りユーザデータの送信を開始することもできるし、下りユーザデータの送信完了後に上りユーザデータの受信のためのリソース割当を行うこともできる。
【0117】
また、移動局200は、上記ステップS67のACK/NACKを、ステップS68のユーザデータと合わせて同じ上りデータチャネルで送信することも可能である。また、上記では下りデータ通信開始時に割り当てられた上り無線リソースでBSRを送信する(上りユーザデータの送信を開始する)例を挙げたが、BSRに代えてまたはBSRと共にRRCメッセージを送信することも可能である。
【0118】
図15は、上りおよび下りデータ通信を示す第2のシーケンス図である。以下、図15に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS71]移動局200は、無線基地局100に送信するユーザデータが到着すると、ランダムにプリアンブル番号を選択する。そして、移動局200は、選択したプリアンブル番号のプリアンブル信号を、ランダムアクセスチャネルで無線基地局100に送信する。
【0119】
[ステップS72]移動局200は、移動局200aなどの他の移動局との衝突により、ステップS71のランダムアクセス信号の送信に失敗したことを検知すると、ステップS71で選択したプリアンブル番号のプリアンブル信号を再送信する。このとき、移動局200は、再度衝突する確率を減らすため、前回の送信から適切な間隔を空けて再送信する。無線基地局100から送信間隔を指定された場合は、指定された間隔を空けて再送信する。
【0120】
[ステップS73]無線基地局100は、移動局200に送信するユーザデータが到着すると、移動局200に個別のプリアンブル番号を割り当てる。そして、無線基地局100は、プリアンブル番号を下りデータチャネルで移動局200に送信する。
【0121】
[ステップS74]移動局200は、ステップS72以後まだランダムアクセスに成功しない場合、ステップS71で選択したプリアンブル番号からステップS73で指定されたプリアンブル番号に変更して、プリアンブル番号を無線基地局100に送信する。
【0122】
[ステップS75]無線基地局100は、移動局200から受信したランダムアクセス信号(プリアンブル信号)に基づいて、上り通信タイミングを測定する。また、所定のサイズの上り無線リソース(上りデータチャネル)を移動局200に割り当てる。そして、無線基地局100は、同期コマンドと割当情報とを含むランダムアクセスレスポンスを、下りデータチャネルで移動局200に送信する。
【0123】
[ステップS76]移動局200は、ランダムアクセスレスポンスに含まれる同期コマンドに基づいて、上りタイミングを補正する。そして、移動局200は、ランダムアクセスレスポンスに含まれる割当情報が示す上りデータチャネルで、BSRを無線基地局100に送信する。このBSRは、同期完了報告の意味も兼ねている。
【0124】
[ステップS77]無線基地局100は、移動局200から受信したBSRが示すデータ量相当の上り無線リソース(上りデータチャネル)を移動局200に割り当てる。そして、無線基地局100は、割当情報を下り制御チャネルで移動局200に送信する。
【0125】
[ステップS78]移動局200は、無線基地局100から受信した割当情報が示す上りデータチャネルで、ユーザデータを無線基地局100に送信する。
[ステップS79]無線基地局100は、移動局200からの上りデータチャネルの受信状況に応じて、ACK/NACKを下りデータチャネルで移動局200に送信する。
【0126】
[ステップS80]無線基地局100は、移動局200宛てのユーザデータを下りデータチャネルで移動局200に送信する。
[ステップS81]移動局200は、無線基地局100からの下りデータチャネルの受信状況に応じて、ACK/NACKを上りデータチャネルまたは上り制御チャネルで無線基地局100に送信する。
【0127】
このようにして、移動局200から無線基地局100へのランダムアクセスが失敗しているときに、無線基地局100から個別プリアンブルが指定されると、移動局200は、送信するプリアンブル信号を指定されたものに変更する。そして、移動局200は、割り当てられた上り無線リソースを流用してBSRを送信する。これにより、無線基地局100は、下りデータ送信を開始することができ、移動局200は、上りデータ送信を開始することができる。
【0128】
なお、上記のステップS77以後の上りデータ通信に関するメッセージと下りデータ通信に関するメッセージとは、独立に送受信することができ、上記と異なる送信順序になることも考えられる。例えば、無線基地局100は、下りユーザデータの送信完了後に上りユーザデータの受信のためのリソース割当を行うこともできる。また、上記では上り無線リソースでBSRを送信する(上りユーザデータの送信を開始する)例を挙げたが、BSRに代えてまたはBSRと共にRRCメッセージを送信することも可能である。
【0129】
また、上記ステップS74の送信は、ステップS71,S72の送信間隔(例えば、無線基地局100から指定された送信間隔)を引き継いだタイミングで行ってもよいし、ステップS71,S72の送信間隔と無関係のタイミングで行ってもよい。また、上記ステップS72では最初に選択したプリアンブル番号のプリアンブルを用いるとしたが、改めてプリアンブル番号をランダムに選択してもよい。
【0130】
図16は、ハンドオーバ処理を示すシーケンス図である。ここでは、移動局200が無線基地局100aから無線基地局100へとハンドオーバを行う場合を考える。以下、図16に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0131】
[ステップS91]無線基地局100aは、無線基地局100へのハンドオーバが必要と判断すると、プリアンブル番号を下りデータチャネルで移動局200に送信する。このプリアンブル番号は、例えば、無線基地局100が無線基地局100aからのハンドオーバ開始通知を受けて移動局200のために割り当てたものである。
【0132】
[ステップS92]移動局200は、ステップS91で指定されたプリアンブル番号のプリアンブル信号を、ランダムアクセスチャネルで無線基地局100に送信する。
[ステップS93]無線基地局100は、移動局200から受信したランダムアクセス信号(プリアンブル信号)に基づいて、上り通信タイミングを測定する。また、所定のサイズの上り無線リソース(上りデータチャネル)を移動局200に割り当てる。そして、無線基地局100は、同期コマンドと割当情報とを含むランダムアクセスレスポンスを、下りデータチャネルで移動局200に送信する。
【0133】
[ステップS94]移動局200は、ランダムアクセスレスポンスに含まれる同期コマンドに基づいて、上りタイミングを補正する。ここで、移動局200は、送信するRRCメッセージのデータ量が割当量より大きいことを検知し、割り当てられた上りデータチャネルでRRCメッセージの一部と残りデータ量の情報とを無線基地局100に送信する。
【0134】
[ステップS95]無線基地局100は、移動局200から受信した残りデータ量の情報に基づいて、上り無線リソース(上りデータチャネル)を移動局200に割り当てる。そして、無線基地局100は、割当情報を下り制御チャネルで移動局200に送信する。
【0135】
[ステップS96]移動局200は、無線基地局100から受信した割当情報が上りデータチャネルで、RRCメッセージの残りを無線基地局100に送信する。
このようにして、移動局200は、無線基地局100aから無線基地局100へハンドオーバを行う場合、ハンドオーバ元の無線基地局100aから受信したプリアンブル番号のプリアンブル信号を、ハンドオーバ先の無線基地局100に送信する。その後、移動局200は、RRCメッセージを無線基地局100に送信する。
【0136】
ここで、移動局200は、ランダムアクセスレスポンスで割り当てられる無線リソースでは、RRCメッセージの一部と残りデータ量の情報とを送信し、その後に追加で割り当てられる上り無線リソースで、RRCメッセージの残りを送信する。このように、ハンドオーバ時のRRCメッセージのようにデータ量の大きい制御データ(例えば、BSRよりデータ量の大きい制御データ)も、無線基地局100に円滑に送信することができる。
【0137】
以上のような無線通信システムによれば、下りデータ通信の際のタイミング同期を目的としたランダムアクセスでも、移動局200,200aに上り無線リソースが割り当てられる。このため、移動局200,200aは、送信する制御データが発生した場合、ランダムアクセスレスポンスで割り当てられた上り無線リソースを流用することができ、別途ランダムアクセスを行わずに済む。特に、個別に割り当てられたプリアンブルを用いてリソース割当を受けることができるため、乱数で選択したプリアンブルを用いた場合に生じるアクセス衝突を回避することができる。
【0138】
また、無線基地局100,100aは、ランダムアクセスレスポンス後に移動局200,200aから何らかの制御データ(同期完了報告または同期完了報告に代えて送信される他の種類の制御データ)を受信することで、上りタイミング同期が完了したことを早期に確実に知ることができる。このため、より早いタイミングでその後の通信(例えば、下りデータ送信)を開始することができる。
【0139】
また、無線基地局100,100aは、ランダムアクセスの発生要因に非依存な固定サイズの上り無線リソースを割り当てるようにすることで、ランダムアクセスの処理負担が軽減される。この場合、移動局200,200aは、残りデータ量の情報を付加することで、上り無線リソースの追加の割り当てを受けることもできる。このため、例えば、ランダムアクセス時の割当サイズをBSRのデータ量程度に固定しても、BSRよりデータ量が大きくなりやすいハンドオーバ時のRRCメッセージを円滑に送信できる。
【0140】
なお、上記のランダムアクセス制御は、図2に示したものと異なるシステム構成の無線通信システムにも応用可能である。また、図5〜7に示したものと異なる多重通信方式、多元接続方式およびチャネル構成を有する無線通信システムにも応用可能である。
【0141】
また、上記の無線通信システムでは、ランダムアクセスの発生要因に非依存な固定サイズの上り無線リースを割り当てたが、割当サイズを完全に統一しなくてもよい。例えば、個別に割り当てたプリアンブル信号の場合とランダムに選択された非個別のプリアンブル信号の場合とで、割当サイズに差を設けてもよい。また、上記の無線通信システムでは、ランダムアクセスレスポンスで指定された上り無線リソースにおいて種々の制御データを送信できるとしたが、制御データと共に上りユーザデータも送信するようにしてもよい。
【0142】
以上の実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1) 移動局への下りデータ送信を行う際に、前記移動局にランダムアクセス信号を指定し、指定したランダムアクセス信号を前記移動局から受信する無線基地局であって、
前記ランダムアクセス信号の受信結果に基づくタイミング調整情報と、前記移動局による制御データの送信に用いられる上り無線リソースの割当情報とを、前記移動局に送信する送信部、
を有することを特徴とする無線基地局。
【0143】
(付記2) 前記送信部は、ハンドオーバの際に、下りデータ送信の際と同サイズの上り無線リソースの割当情報を前記移動局に送信することを特徴とする付記1記載の無線基地局。
【0144】
(付記3) 前記送信部は、前記移動局からの再接続要求の際に、下りデータ送信の際と同サイズの上り無線リソースの割当情報を前記移動局に送信することを特徴とする付記1記載の無線基地局。
【0145】
(付記4) 前記送信部は、指定したランダムアクセス信号の受信に応答して前記移動局に送信する全ての割当情報について、上り無線リソースの割当サイズを同一とすることを特徴とする付記1記載の無線基地局。
【0146】
(付記5) 前記制御データとして前記移動局からデータ送信要求を受信する受信部を更に有し、
前記送信部は、前記受信部で受信した前記データ送信要求に応じた上り無線リソースの割当情報を前記移動局に送信する、
ことを特徴とする付記1記載の無線基地局。
【0147】
(付記6) 前記制御データとして前記移動局から同期完了報告を受信する受信部を更に有することを特徴とする付記1記載の無線基地局。
(付記7) 残りデータ量の情報を含んだ前記制御データを受信する受信部を更に有し、
前記送信部は、前記受信部で受信した前記残りデータ量に応じた上り無線リソースの割当情報を前記移動局に送信する、
ことを特徴とする付記1記載の無線基地局。
【0148】
(付記8) 下りデータ受信を行う際に、無線基地局からランダムアクセス信号の指定を受け、指定されたランダムアクセス信号を前記無線基地局に送信する移動局であって、
前記無線基地局における前記ランダムアクセス信号の受信結果に基づくタイミング調整情報と、上り無線リソースの割当情報とを、前記無線基地局から受信する受信部と、
前記受信部で受信した前記割当情報が示す上り無線リソースを用いて制御データを前記無線基地局に送信する送信部と、
を有することを特徴とする移動局。
【0149】
(付記9) 前記送信部は、前記制御データとしてデータ送信要求を送信することを特徴とする付記8記載の移動局。
(付記10) 前記送信部は、前記受信部で受信した前記タイミング調整情報に基づく同期完了報告を前記制御データとして送信することを特徴とする付記8記載の移動局。
【0150】
(付記11) 前記送信部は、前記同期完了報告の他に送信する制御データがあるときは、前記同期完了報告の送信を省略することを特徴とする付記10記載の移動局。
(付記12) 前記送信部は、前記割当情報が示す上り無線リソースを用いて複数種類の制御データを送信することを特徴とする付記8記載の移動局。
【0151】
(付記13) 前記送信部は、前記割当情報が示す上り無線リソースの割当サイズが送信する制御データ量より小さいとき、残りデータ量の情報を含めて送信することを特徴とする付記8記載の移動局。
【0152】
(付記14) 前記送信部は、前記残りデータ量の情報が含まれていることを示すヘッダ情報を前記制御データに含めることを特徴とする付記13記載の移動局。
(付記15) 無線基地局が、移動局への下りデータ送信を行う際に、前記移動局にランダムアクセス信号を指定し、
前記移動局が、指定されたランダムアクセス信号を前記無線基地局に送信し、
前記無線基地局が、前記ランダムアクセス信号の受信結果に基づくタイミング調整情報と、前記移動局による制御データの送信に用いられる上り無線リソースの割当情報とを、前記移動局に送信する、
ことを特徴とする通信方法。
【0153】
(付記16) 移動局が、無線基地局への上りデータ送信を行う際に、前記無線基地局から指定されていない非個別のランダムアクセス信号を前記無線基地局に送信し、
前記無線基地局が、前記移動局への下りデータ送信を行う際に、前記移動局に個別のランダムアクセス信号を指定し、
前記移動局が、前記非個別のランダムアクセス信号の送信失敗時、前記非個別のランダムアクセス信号に代えて前記個別のランダムアクセス信号を前記無線基地局に送信し、
前記無線基地局が、前記個別のランダムアクセス信号の受信結果に基づくタイミング調整情報と、上り無線リソースの割当情報とを、前記移動局に送信する、
ことを特徴とする通信方法。
【0154】
(付記17) 前記移動局が、前記無線基地局から受信した前記割当情報が示す上り無線リソースを用いて、データ送信要求を送信することを特徴とする付記16記載の通信方法。
【符号の説明】
【0155】
1 無線基地局
1a 受信部
1b 送信部
2 移動局
2a 受信部
2b 送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局と、移動局と、を備え、
前記移動局は、第1事象が発生した場合に前記基地局から指定される個別ランダムアクセス信号を前記基地局に送信することで上りの同期を取る第1ランダムアクセス手続と、第2事象が発生した場合に前記移動局が選択する非個別ランダムアクセス信号を前記基地局に送信することで上りの同期を取る第2ランダムアクセス手続とを同時に行わない、
無線通信システム。
【請求項2】
基地局に信号を送信する送信部と、
第1事象が発生した場合に前記基地局から指定される個別ランダムアクセス信号を前記送信部から前記基地局に送信させることで上りの同期を取る第1ランダムアクセス手続と、第2事象が発生した場合に自局が選択する非個別ランダムアクセス信号を前記送信部から前記基地局に送信させることで上りの同期を取る第2ランダムアクセス手続とを同時に行わないよう前記送信部を制御する制御部と、
を備える移動局。
【請求項3】
基地局であって、
第1事象が発生した場合に前記基地局が指定する個別ランダムアクセス信号を前記基地局に送信することで上りの同期を取る第1ランダムアクセス手続と、第2事象が発生した場合に移動局が選択する非個別ランダムアクセス信号を前記基地局に送信することで上りの同期を取る第2ランダムアクセス手続とを同時に行わない前記移動局から、前記個別ランダムアクセス信号または前記非個別ランダムアクセス信号を受信する受信部、
を備える基地局。
【請求項4】
基地局からの指示に応じてランダムアクセスプリアンブルを送信する移動局であって、
前記基地局から前記ランダムアクセスプリアンブルに応じて送信される応答信号を受信する受信部と、
あるタイミングに起動するランダムアクセスは1つのみとなるように前記ランダムアクセスプリアンブルの送信制御を行う送信部と、
を備える移動局。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−34257(P2013−34257A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−248788(P2012−248788)
【出願日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【分割の表示】特願2008−114778(P2008−114778)の分割
【原出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】