説明

無線通信システム及び無線端末装置

【課題】 携帯電話事業者のシステムを改変することなく、またホストの構成を大きく改変することなく、主にターミナルの対応でホストからの要求を処理できる無線通信システム及び無線端末装置を提供する。
【解決手段】 ホスト1でイベントが発生すると、ホスト1は、ターミナル3に特定のパケットを送信し、ターミナル3は、その特定のパケットを契機としてホスト1に問い合わせのリクエストを行い、ホスト1がそのリクエストに対してデータの要求を返信すると、ターミナル3は、その要求を解析して対応するデータをリクエストでホスト1に送信する無線通信システム及び無線端末装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに係り、例えば、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)を利用してホストからの要求に必要なデータを送信する無線通信システム及び無線端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
現在、無線通信を用いたデータ通信は、様々な分野で利用されている。
例えば、自動販売機の商品管理、売上管理、販売動向管理等に、また、GPS(Global Positioning System)と組み合わせたタクシーの配車管理、バスロケーションの管理、トラックの運行管理等の位置管理に、更に、電力監視、エレベータ監視等の監視系に利用されている。
上記データ通信では、ターミナル側となる個々の機器とホストとの間で通信を行い、ホスト側でデータの管理を行っている。
【0003】
データ通信を行うには、プロトコルと呼ばれる通信手順が必要である。現在、最も一般的なプロトコルに、HTTPがある。HTTPは、リクエスト−レスポンス型のデータ通信方式である。
【0004】
リクエスト−レスポンス型のデータ通信は、ターミナル側からのリクエストによって開始され、リクエストを受け取ったホストがそのリクエストに対するレスポンスを返すことで通信が完了する。
すなわち、ホスト側は、ターミナルからのリクエストを常時待っており、ターミナルからのリクエストを受け取って、その処理を行うだけで、ホスト側からは一切通信を開始することができない仕様となっていた。
【0005】
現在、上記無線通信で利用されているアプリケーションとして、ターミナルで発生したイベントを通知する機能が挙げられる。例えば、自動販売機で在庫商品の売り切れが発生した場合に、ホストにその情報を通知して商品の補充を求める機能や、バスロケーションで停留所に到着したことをホストに通知する機能である。
これらは、ターミナルで発生したイベントをホストに通知しており、ホストは受動的な動作で運用できるものである。
【0006】
[従来のシーケンス例1:図7]
上記の従来の通信シーケンスについて図7を参照しながら説明する。図7は、従来のシーケンス例1を示す図である。
図7に示すように、ターミナル(HTTPクライアント)3でイベントが発生した場合に、ホスト(HTTPサーバ)1に基地局2を介してデータを送信するシーケンスとなっている。
【0007】
ターミナル3は、イベント発生により基地局2と無線接続を実施し、接続完了後にHTTPリクエストデータをホスト1に送信する。ホスト1がHTTPリクエストデータを受信すると、HTTPレスポンス(OK)を、基地局2を介してターミナル3に送信する。
上記の場合、ターミナル3にはHTTPクライアント機能が、ホスト1にはHTTPサーバ機能が必要となる。
ここで、HTTPクライアント機能とは、HTTPによりサーバであるホストへリクエストを送信し、ホストからの応答を受けてリクエストに応じた処理を行う機能をいう。また、HTTPサーバ機能とは、HTTPによりクライアントであるターミナルからリクエストを受け付け、応答をターミナルに返すとともに、そのリクエストに応じた処理を行う機能をいう。
【0008】
しかしながら、例えば、ホストから自動販売機の現時点での在庫数を調べたい場合や、バスロケーションで現在のバスの位置を調べたい場合には、ホストからターミナルに対して要求を行う必要があるため、上記シーケンス例1では、ホストからターミナルに対するリアルタイムの監視を行うことができないものとなっていた。
【0009】
そこで、携帯電話網を使用したシステムでは、ショートメッセージサービス(SMS:Short Message Service)を利用した方法や制御信号を利用した方法で、ホスト側の要求をターミナルに通知し、ターミナル側の要求に置き換える方法が実現されている。
【0010】
[従来のシーケンス例2:図8]
SMSを利用した通信シーケンスについて図8を参照しながら説明する。図8は、従来のシーケンス例2を示す図である。
図8に示すように、ホスト1で発生したイベントをターミナル3に伝え、ターミナル3からのリクエストに置き換えてホスト1にリクエストデータを送信するシーケンスである。
【0011】
具体的には、ホスト1でイベントが発生すると、ホスト1は、基地局2にリクエスト要求を送信し、基地局2はSMSによりそのリクエスト要求をターミナル3に送信する。
ターミナル3は、SMSを解析し、ターミナル3からのリクエストとして要求されたデータを、基地局2を介してホスト1に送信する。
この場合、ターミナル3には、HTTPサーバ機能を実装する必要はなく、ターミナル側で発生したイベントと同じ構成で実現している。
【0012】
しかしながら、従来のシーケンス例2では、実現方法が大掛かりなものであり、携帯電話業者の協力がないと実現が難しいものとなっていた。
そこで、例えば、ターミナル側の自動販売機やバス側にもホスト(サーバ)機能を持たせ、ホスト側にもクライアント機能を持たせることで、双方から通信を開始できる方法も実現されている。
【0013】
[従来のシーケンス例3:図9]
ターミナル3にHTTPサーバ機能を設け、ホスト1にHTTPクライアント機能を設けて、ホスト1で発生したイベントをターミナル3に要求し、その応答でデータをもらうシーケンスである。図9は、従来のシーケンス例3を示す図である。
具体的には、図9に示すように、ホスト1でイベントが発生すると、ホスト1は、基地局2にリクエスト要求を送信する。基地局2は、受信したリクエスト要求を保持し、ターミナル3と接続処理を行い、リクエストデータをターミナル3に送信する。ターミナル3は、リクエストデータに対して要求されたデータをレスポンス(OK)で基地局2を介してホスト1に送信する。
【0014】
上記従来のシーケンス例3では、ホスト、ターミナル共に、HTTPサーバ機能とHTTPクライアント機能の両方を実装する必要があり、ホストとターミナルでソフトウェアが増大し、特にホストは組み込み機器であることからメモリやCPU(Central Processing Unit)性能の制約を受けることになっていた。
【0015】
[関連技術]
尚、関連する先行技術として、特開2010−098405号公報「無線通信端末」(株式会社日立国際電気)[特許文献1]がある。
特許文献1には、第1の通信速度群を記憶する第1のメモリテーブルと、第2の通信速度群を記憶する第2のメモリテーブルと、第1,2のメモリテーブルを選択して通信モードを制御する制御部と、第1,2のメモリテーブルに記憶された通信速度群から通信速度を設定する操作部とを有する無線通信端末が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2010−098405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、上記従来の無線通信システムにおけるシーケンス例1では、ホストからターミナルに必要なデータを要求することができず、ホストがターミナルをリアルタイムに監視することができないという問題点があった。
【0018】
また、上記無線通信システムにおけるシーケンス例2では、SMSを利用してホストがターミナルに要求を出して、ターミナルがSMSを解析してリクエストデータをホストに送信するものであるため、システムが大掛かりとなり、携帯電話事業者の協力が必要になるという問題点があった。
【0019】
また、上記無線通信システムにおけるシーケンス例3では、ホストとターミナルに、HTTPサーバ機能とHTTPクライアント機能の両方を実装する必要があり、ホストとターミナルの双方でソフトウェアが増大し、ホストがメモリとCPU特性の制約を受けるという問題点があった。
【0020】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、携帯電話事業者のシステムを改変することなく、またホストの構成を大きく改変することなく、ホストからの要求を処理できる無線通信システム及び無線端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、ホストと、無線端末装置とを備え、無線端末装置から送信されたデータをホストで管理する無線通信システムであって、ホストが、イベント発生により特定のデータを無線端末装置に送信し、無線端末装置からの問い合わせのリクエストに対してデータの要求を返信するものであり、無線端末装置が、特定のデータを契機としてホストに問い合わせのリクエストを行い、ホストからのデータの要求を受信し、当該要求に対応するデータをホストに送信することを特徴としている。
【0022】
また、本発明は、ホストと通信を行う無線端末装置であって、ホストから特定のデータを受信すると、当該特定のデータを契機としてホストに問い合わせのリクエストを行い、ホストからそのリクエストに対するデータの要求を受信すると、当該要求を解析して対応するデータをホストに送信することを特徴としている。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ホストが、イベント発生により特定のデータを無線端末装置に送信し、無線端末装置からの問い合わせのリクエストに対してデータの要求を返信するものであり、無線端末装置が、特定のデータを契機としてホストに問い合わせのリクエストを行い、ホストからのデータの要求を受信し、当該要求に対応するデータをホストに送信するので、ホストの構成を大きく改変することなく、主に無線端末装置の対応でホストからの要求を処理できる効果がある。
【0024】
また、本発明によれば、無線端末装置が、ホストからの特定のデータを受信すると、当該特定のデータを契機としてホストに問い合わせのリクエストを行い、ホストからそのリクエストに対するデータの要求を受信すると、当該要求を解析して対応するデータをホストに送信するので、無線端末装置のアプリケーションの対応で、ホストからの要求を処理できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態に係る無線通信システムの構成ブロック図である。
【図2】ターミナル(無線端末アダプタ)の構成ブロック図である。
【図3】スタックの構成を示す概略図である。
【図4】実施の形態のシーケンス例を示す図である。
【図5】レスポンス要求対応テーブルの概略図である。
【図6】ターミナルでの処理を示すフローチャートである。
【図7】従来のシーケンス例1を示す図である。
【図8】従来のシーケンス例2を示す図である。
【図9】従来のシーケンス例3を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る無線通信システムは、ホストと、無線端末装置(本例では外部装置(DTE:Data Terminal Equipment)と接続される無線端末アダプタ)とを備え、無線端末装置から送信されたデータをホストで管理するものであり、ホストは、イベント発生により、無線端末装置に特定のデータ(本例ではPING等のパケット)を送信し、無線端末装置からの問い合わせのリクエストに対してデータの要求を返信し、無線端末装置は、特定のデータを契機としてホストに問い合わせのリクエストを行い、ホストからのデータの要求に対応するデータをホストに送信するようにしているので、ホストの構成を大きく改変することなく、主に無線端末装置の対応でホストからの要求を処理できるものである。
【0027】
本発明の実施の形態に係る無線端末装置(本例では無線端末アダプタ)は、ホストから特定のデータ(本例ではPING等のパケット)を受信すると、その特定のデータを契機としてホストに問い合わせのリクエストを行い、ホストからそのリクエストに対するデータの要求を受信すると、当該要求を解析して対応するデータをホストに送信するものであり、無線端末装置のアプリケーションの対応で、ホストからの要求を処理できるものである。
【0028】
[無線通信システム:図1]
本発明の実施の形態に係る無線通信システムについて図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムの構成ブロック図である。
本発明の実施の形態に係る無線通信システム(本システム)は、図1に示すように、ホスト(HTTPサーバ)1と、基地局2と、無線端末装置であるターミナル(HTTPクライアント)3と、交換機5と、通信網6とを基本的に有している。
【0029】
図1では、一つの基地局2に、2組のターミナル3が無線接続しているが、基地局2に3組以上のターミナル3等が接続する構成でもよいし、また、基地局2が複数設けられていてもよい。
【0030】
ホスト1は、通信網6を介して交換機5に接続し、交換機5は基地局2に接続する。
基地局2は、無線通信によりターミナル3に接続している。
そして、ホスト1とターミナル3との間は、通信網6,交換機5、基地局2を経由してデータの送受信を行う。
【0031】
[本システムの各部]
本システムの各部について具体的に説明する。
ホスト(HTTPサーバ)1は、ターミナル3から送信されたリクエストデータを受信し、当該データの管理を行う。尚、管理とは少なくともデータを受信し保持することをいう。
また、ホスト1は、本実施形態の特徴として、イベントが発生すると、パケット(例えばPING)をターミナル3に送信し、そのパケット受信をトリガにターミナル3からリクエスト(問い合わせ)を受信すると、ターミナル3にレスポンス(要求)を送信し、そのレスポンスに対してターミナル3からリクエスト(データ)を受信し、レスポンス(OK)をターミナル3に返信する。リクエスト(データ)は、ホスト1で管理される。
【0032】
基地局2は、ターミナル3からの接続要求で、接続処理を行い、ホスト1からのパケット受信によりターミナル3との接続処理を行う。
ターミナル3は、イベントが発生すると、後述する無線通信部4を介して基地局2に接続し、リクエスト(データ)をホスト1に送信する。
また、ターミナル3は、基地局2からの接続処理後にパケットを受信すると、そのパケットをトリガにホスト1にリクエスト(問い合わせ)を送信し、ホスト1からレスポンス(要求)を受信すると、その要求に基づいて対応するリクエスト(データ)をホスト1に送信する。
【0033】
交換機5は、ホスト1と基地局2と接続制御を行うものである。
通信網6は、ホスト1と基地局2と接続する通信路となる通信ネットワークである。
【0034】
[ターミナル(無線端末アダプタ):図2]
次に、ターミナル3の具体的な構成について図2を参照しながら説明する。図2は、ターミナル(無線端末アダプタ)の構成ブロック図である。
ターミナル(無線端末アダプタ)3は、図2に示すように、無線通信部4とアダプタ部30とで構成される。アダプタ部30は、制御部31と、記憶部としてフラッシュ(Flash) ROM(Read Only Memory)32、RAM(Random Access Memory)33と、入出力処理部34とを有している。
尚、アダプタ部30は、インターフェイス(図示せず)を介して例えば自動販売機などのDTEに接続されており、ターミナル3は、DTEからのデータを無線通信部4、基地局2等を介してホスト1に送信する。
【0035】
無線通信部4は、基地局2と無線通信によりデータの送受信を行う。
制御部31は、例えばCPU(Central Processing Unit)で、データ通信用の無線端末の各種制御や、TCP/IP,HTTPのスタック処理を行う。
フラッシュROM32は、無線通信端末を動作させるプログラムを格納する。
RAM33は、制御部31のワークメモリや取得したデータを保存する。
入出力処理部34は、無線通信部4と制御部31との入出力を制御する。
【0036】
ターミナル3の制御部31は、フラッシュROM32からアプリケーションプログラム(処理プログラム)を読み込み、図4のシーケンス、図6の処理を実行する。
また、RAM33には、図5のレスポンス要求対応テーブルを記憶している。
【0037】
[スタックの構成:図3]
次に、スタックの構成について図3を参照しながら説明する。図3は、スタックの構成を示す概略図である。
HTTPを扱うための一般的なスタック構成であるが、アプリケーションは呼制御と呼ばれる発着信の処理から着信のイベントを受け取ることができる構成となっている。
この着信イベントをトリガにアプリケーションが動作する。
【0038】
スタックは、図3に示すように、データリンク層にPPP(Point-to-Point Protocol)/MAC(Media Access Control)が、ネットワーク層にIP(Internet Protocol)、ICMP(Internet Control Message Protocol)が、トランスポート層にTCP(Transmission Control Protocol)、UDP(User Datagram Protocol)が、アプリケーション層にHTTPがある。
【0039】
ここで、ICMPは、インターネット制御通知プロトコルであり、ICMPを利用したツールにPING等がある。
PINGは、ネットワーク疎通を確認したいホストがIPパケットを発行して、そのパケットが正しく届いて返答が行われるかを確認するためのコマンドである。
【0040】
本実施例では、ホスト1からターミナル3に送信する特定のパケットとして、一例として、PINGを用いている。従って、ターミナル3は、PINGによる着信をトリガにリクエストをホスト1に送信し、ホスト1がどのようなデータを要求しているのか問い合わせを行うものである。
【0041】
[実施の形態のシーケンス例:図4]
次に、本システムにおけるシーケンスの例について図4を参照しながら説明する。図4は、実施の形態のシーケンス例を示す図である。
ホスト1でイベントが発生する(S1)と、ターミナル3に対してコールバックを要求する着信を発生させるため、基地局2にパケットを送信する(S2)。ここで、ホスト1でのイベントとは、例えば管理者がDTEの現状のデータを収集したいなど、能動的にデータを収集する契機である。
【0042】
尚、送信するパケットとして、着信をトリガとするPINGがアプリケーションの変更を小さくできるため望ましいが、PING以外ではUDP、TCP等であってもよい。
【0043】
基地局2は、PING等のパケットを受信するとターミナル3への接続処理を行い(S3)、そして、PING等のパケットをターミナル3に送信する(S4)。
ターミナル3は、PING等のパケットによる着信をソフトウェア処理(アプリケーション)で検知し、その着信をトリガとして、リクエストとして問い合わせを、基地局2を介してホスト1に送信する(S5)。
【0044】
ターミナル3からの問い合わせを受信したホスト1は、基地局2を介してターミナル3にレスポンス(要求)を返信する(S6)。
リクエスト(問い合わせ)に対するレスポンスは、ホスト1で発生したイベントに対応する情報を要求するもので、ホスト1がイベントに対してどのような情報を要求しているのかを示すものである。
【0045】
そして、ターミナル3は、ホスト1からのレスポンス(要求)を受信すると、その要求に対応するデータをリクエストとして、基地局2を介してホスト1に送信する(S7)。
リクエスト(データ)を受信したホスト1は、基地局2を介してターミナル3にデータ受け取りを示すレスポンス(OK)を、基地局2を介してターミナル3に送信する(S8)。
【0046】
[レスポンス要求対応テーブル:図5]
本システムにおいて、ターミナル3とホスト1での処理を実現するためには、ターミナル3とホスト1でレスポンス要求対応テーブルを記憶しておく必要がある。
レスポンス要求対応テーブルについて図5を参照しながら説明する。図5は、レスポンス要求対応テーブルの概略図である。
レスポンス要求対応テーブルは、図5に示すように、ホスト1からのレスポンス(要求)の番号(No.)又は識別子と、その番号等に対応するリクエスト(データ)の種類を記憶している。
【0047】
つまり、ホスト1は、内部に記憶するレスポンス要求対応テーブルを参照し、発生したイベントに対応して要求(リクエスト)するデータの種類に対応するレスポンス(要求)の番号等を読み取り、その番号等をレスポンス(要求)に含めてターミナル3に送信する。
【0048】
また、ターミナル3は、ホスト1から受信したレスポンス(要求)を解析し、含まれるレスポンス(要求)の番号等を読み取り、内部に記憶するレスポンス要求対応テーブルを参照し、読み取った番号等に対応するデータの種類を読み取り、その種類のデータをリクエスト(データ)としてホスト1に送信する。
【0049】
[ターミナルでの処理フロー:図6]
本システムのターミナル3での処理フローについて図6を参照しながら説明する。図6は、ターミナルでの処理を示すフローチャートである。尚、図6では、ホスト1からのパケットはPINGを用いている。
ターミナル3の制御部31は、着信があったか否かを判定し(S11)、着信がなかった場合(Noの場合)、他の処理、例えば終了処理に移行し(S14)、着信があった場合(Yesの場合)、特定のホストからの着信のみを受け付けるか否かを判定する(S12)。
【0050】
ホストの指定がなく、全ての着信を受け付ける設定の場合(Noの場合)、この着信をトリガにHTTPリクエストの送信処理を開始する(S15)。
また、特定のホストからの着信のみを受け付ける設定(ホスト指定)の場合(Yesの場合)、指定されたホストからの着信であるか否かの判定を行う(S13)。指定された特定のホストからの着信である場合(Yesの場合)、この着信をトリガにHTTPリクエストの送信処理を開始する(S15)。
指定された特定のホストからの着信でなかった場合(Noの場合)、他の処理、例えば、通常の着信処理に移行する(S16)。
【0051】
[実施の形態の効果]
本システムによれば、HTTPサーバ機能を有するホスト1でイベントが発生すると、ホスト1は、HTTPクライアント機能を有するターミナル3に特定のパケットを送信し、ターミナル3は、その特定のパケットを契機としてホスト1に問い合わせのリクエストを行い、ホスト1がそのリクエストに対してデータの要求を返信すると、ターミナル3は、その要求に対応するデータをリクエストでホスト1に送信するようにしているので、ホストの構成を大きく改変することなく、主にターミナルの対応でホストからの要求を処理できる効果がある。
【0052】
また、本システムにおけるターミナル3は、HTTPクライアント機能を有し、HTTPサーバ機能を有するホスト1からの特定パケットを受信すると、その特定のパケットを契機としてホスト1に問い合わせのリクエストを行い、ホスト1からそのリクエストに対するデータの要求を受信すると、当該要求を解析して対応するデータをリクエストでホスト1に送信するものであり、ターミナル3のアプリケーションの対応で、ホストからの要求を処理できる効果がある。
【0053】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々変更して実施することができる。例えば、上述した実施形態では、HTTPによりホスト1とターミナル3とが通信を行い、特定のデータ、リクエスト、応答などを送受信するように構成したが、ホスト1とターミナル3とのプロトコルはHTTPに限定されるものではなく、当然他のプロトコルが用いられてもよい。この場合であっても上述した実施形態と同様に、ターミナル3はホスト1から受信した特定のデータに基づいて、ホスト1にリクエスト(問い合わせ)を行い、ホスト1からのトリガでホスト1がターミナル3と所望のデータ通信を行う。これにより、上述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、携帯電話事業者のシステムを改変することなく、またホストの構成を大きく改変することなく、主にターミナルの対応でホストからの要求を処理できる無線通信システム及び無線端末装置に好適である。
【符号の説明】
【0055】
1...ホスト(HTTPサーバ)、 2...基地局、 3...ターミナル(HTTPクライアント)、 4...無線通信部、 5...交換機、 6...通信網、 30...アダプタ部、 31...制御部、 32...フラッシュROM、 33...RAM、 34...入出力処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホストと、無線端末装置とを備え、前記無線端末装置から送信されたデータを前記ホストで管理する無線通信システムであって、
前記ホストが、イベント発生により特定のデータを前記無線端末装置に送信し、前記無線端末装置からの問い合わせのリクエストに対してデータの要求を返信するものであり、
前記無線端末装置が、前記特定のデータを契機として前記ホストに問い合わせのリクエストを行い、前記ホストからのデータの要求を受信し、当該要求に対応するデータを前記ホストに送信することを特徴とする、無線通信システム。
【請求項2】
ホストと通信を行う無線端末装置であって、
前記ホストから特定のデータを受信すると、当該特定のデータを契機として前記ホストに問い合わせのリクエストを行い、前記ホストからそのリクエストに対するデータの要求を受信すると、当該要求を解析して対応するデータを前記ホストに送信することを特徴とする、無線端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−42421(P2013−42421A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178929(P2011−178929)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】