説明

無線通信システム及び無線通信方法

【課題】無線通信方式が異なる複数の無線通信装置によるネットワークの形成を可能とする。
【解決手段】第1の基地局は、ソフトウェアを記憶する記憶部からソフトウェアを読み出し、ソフトウェアが対応する無線方式に基づいて、第2の基地局に対し問い合わせを行い、記憶部に記憶される全ての無線方式に基づいて問い合わせを行っても第2の基地局から応答が無い場合に、記憶部に記憶されていない無線方式のソフトウェアを無線信号処理装置から取得する。第2の基地局は、自装置が使用可能な無線方式で第1の基地局から問い合わせを受けた場合に、無線方式を用いて応答する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の無線方式に対応して無線通信を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年において、ネットワーク利用による情報収集は非常に重要視されている。しかし、災害が発生した被災地においては、ネットワーク通信用の交換機やケーブルなどが破損、故障などしてしまうことにより通信不能となる可能性が高い。このような通信不能な状況を回復するには、例えば通信会社が交換機やケーブルなどを修理、交換などする必要があり相当の時間を要する。このために、災害後において被災者がネットワークを利用して情報収集をすることができなくなるという問題が生じる。
【0003】
しかし、被災地においては、グローバルに情報を収集可能なインターネットでなくとも、ローカルエリアネットワークさえあれば情報収集には非常に役立つ。そこで、以下のように無線通信基地局装置を中心として複数の無線端末局装置とローカルエリアネットワークを形成するための構成が知られている。
【0004】
つまり、無線通信基地局装置において、当該無線通信基地局装置への接続を許可する条件を示す第1のコンフィギュレーションデータと、すべての無線端末局装置に対して接続を許可することを示す第2のコンフィギュレーションデータを記憶する。そして、無線通信基地局装置は、第2のコンフィギュレーションデータの選択を指示する開放指示を無線端末局装置から受けると、当該第2のコンフィギュレーションデータを読み出して、当該無線通信基地局装置への接続を許可する条件とするというものである(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−118861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1における構成は、無線通信基地局装置と複数の無線端末局装置の各々が同じ無線通信方式であることを前提としている。したがって、例えば無線通信基地局装置と無線通信方式が異なる無線端末局装置は、無線通信基地局装置が形成するローカルエリアネットワークに含められないことになる。被災地という状況を考慮した場合には、無線通信方式の相違に係わらずできるだけ多数の無線通信装置を1つのローカルエリアネットワークに含められるようにすることが求められる。
上記事情に鑑み、本発明は、無線通信方式が異なる複数の無線通信装置によってネットワークの形成を可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、それぞれ異なる無線方式に対応するソフトウェアを複数記憶する無線信号処理装置と、前記無線信号処理装置に接続された第1の基地局と、前記第1の基地局との間で無線通信を行う第2の基地局と、を備える無線通信システムであって、前記第1の基地局は、前記ソフトウェアを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶される前記ソフトウェアが対応する前記無線方式に基づいて、前記第2の基地局に対し問い合わせを行う問い合わせ部と、前記記憶部に記憶される全ての無線方式に基づいて前記問い合わせ部が問い合わせを行っても前記第2の基地局から応答が無い場合に、前記記憶部に記憶されていない無線方式のソフトウェアを前記無線信号処理装置から取得する取得部と、を備え、前記第2の基地局は、自装置が使用可能な無線方式で前記第1の基地局から問い合わせを受けた場合に、前記無線方式を用いて応答する応答部を備える無線通信システムである。
【0008】
本発明の一態様は、それぞれ異なる無線方式に対応するソフトウェアを複数記憶する無線信号処理装置と、前記無線信号処理装置に接続された第1の基地局と、前記第1の基地局との間で無線通信を行う第2の基地局と、を備える無線通信システムであって、前記第1の基地局は、共通の無線制御信号を用いて前記第2の基地局に対し問い合わせを行う問い合わせ部と、前記問い合わせに応じて前記第2の基地局から応答を受信し、前記応答に用いられた無線方式を前記第2の基地局が使用可能な無線方式であると判定する判定部と、を備え、前記第2の基地局は、前記共通の無線制御信号を用いた問い合わせに応じて、自装置が使用可能な無線方式を用いて応答する応答部を備える無線通信システムである。
【0009】
本発明の一態様は、それぞれ異なる無線方式に対応するソフトウェアを複数記憶する無線信号処理装置と、前記無線信号処理装置に接続された第1の基地局と、前記第1の基地局との間で無線通信を行う第2の基地局と、を備える無線通信システムが行う無線通信方法であって、前記第1の基地局が、前記ソフトウェアを記憶する記憶部から前記ソフトウェアを読み出し、前記ソフトウェアが対応する前記無線方式に基づいて、前記第2の基地局に対し問い合わせを行う問い合わせステップと、前記第1の基地局が、前記記憶部に記憶される全ての無線方式に基づいて前記問い合わせを行っても前記第2の基地局から応答が無い場合に、前記記憶部に記憶されていない無線方式のソフトウェアを前記無線信号処理装置から取得する取得ステップと、前記第2の基地局が、自装置が使用可能な無線方式で前記第1の基地局から問い合わせを受けた場合に、前記無線方式を用いて応答する応答ステップと、を有する無線通信方法である。
【0010】
本発明の一態様は、それぞれ異なる無線方式に対応するソフトウェアを複数記憶する無線信号処理装置と、前記無線信号処理装置に接続された第1の基地局と、前記第1の基地局との間で無線通信を行う第2の基地局と、を備える無線通信システムが行う無線通信方法であって、前記第1の基地局が、共通の無線制御信号を用いて前記第2の基地局に対し問い合わせを行う問い合わせステップと、前記第1の基地局が、前記問い合わせに応じて前記第2の基地局から応答を受信し、前記応答に用いられた無線方式を前記第2の基地局が使用可能な無線方式であると判定する判定ステップと、前記第2の基地局が、前記共通の無線制御信号を用いた問い合わせに応じて、自装置が使用可能な無線方式を用いて応答する応答ステップと、を有する無線通信方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、無線通信方式が異なる複数の無線通信装置によってネットワークの形成が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態において形成される無線通信システムの一構成例を示す図である。
【図2】第1の実施形態におけるローカルエリアネットワークを形成するために無線通信システムの各装置が行う動作例を示すシーケンス図である。
【図3】第1の実施形態におけるローカルエリアネットワークを形成するために無線通信システムの各装置が行う動作例を示すシーケンス図である。
【図4】第1の実施形態におけるローカルエリアネットワークを形成するために無線通信システムの各装置が行う動作例を示すシーケンス図である。
【図5】第1の実施形態におけるネットワーク制御装置の構成例を示す図である。
【図6】第1の実施形態におけるホスト無線通信装置とクライアント無線通信装置の構成例を示す図である。
【図7】第1の実施形態におけるネットワーク制御装置が実行する処理手順例を示す図である。
【図8】第1の実施形態におけるホスト無線通信装置が実行する処理手順例を示す図である。
【図9】第1の実施形態におけるクライアント無線通信装置が実行する処理手順例を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施形態において形成される無線通信システムの一構成例を示す図である。
【図11】第2の実施形態におけるローカルエリアネットワークを形成するために無線通信システムの各装置が行う動作例を示すシーケンス図である。
【図12】第2の実施形態におけるローカルエリアネットワークを形成するために無線通信システムの各装置が行う動作例を示すシーケンス図である。
【図13】第2の実施形態におけるネットワーク制御装置の構成例を示す図である。
【図14】第2の実施形態におけるホスト無線通信装置の構成例を示す図である。
【図15】第2の実施形態におけるクライアント無線通信装置の構成例を示す図である。
【図16】第2の実施形態におけるネットワーク制御装置が実行する処理手順例を示す図である。
【図17】第2の実施形態におけるホスト無線通信装置が実行する処理手順例を示す図である。
【図18】第2の実施形態におけるクライアント無線通信装置が実行する処理手順例を示す図である。
【図19】第1の変形例において形成される無線通信システムの一構成例を示す図である。
【図20】第2の変形例において形成される無線通信システムの一構成例を示す図である。
【図21】第3の変形例において形成される無線通信システムの一構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1の実施形態>
[無線通信システムの構成例]
図1は、第1の実施形態において形成される無線通信システムの一構成例を示している。この図においては、家屋10−1、10−2および10−3が示されている。これらの家屋10−1、10−2および10−3は、例えば地震などが発生した被災地に建てられていることを想定している。また、被災によってインターネットと接続するための既存の施設が破損、故障したことにより、家屋10−1、10−2および10−3のいずれにおいても、既存の施設を利用したインターネット接続が不能である状況を想定する。
【0014】
家屋10−1には、ネットワーク制御装置100とホスト無線通信装置200が備えられている。ネットワーク制御装置100は、周辺地域の無線通信装置によりローカルエリアネットワークを構築するための装置である。このネットワーク制御装置100は、災害発生前から家屋10−1に備えられているのではない。ネットワーク制御装置100は、災害が発生したことにより既存の施設がインターネット環境が使用できなくなったことに対応して、家屋10−1に備えられたものである。
【0015】
ホスト無線通信装置200は、災害発生前から家屋10−1においてユーザが既存の施設を利用してインターネット接続に使用していた無線端末である。また、ホスト無線通信装置200は、ソフトウェア無線に対応しており、これにより、ハードウェア構成はそのままでありながら、無線通信方式を切り替えることが可能とされている。そして、ホスト無線通信装置200は、ネットワーク制御装置100と接続されることにより、自己と周辺のクライアント無線通信装置300とから成るローカルエリアネットワークを構築するためのホストとして機能する。
【0016】
家屋10−2には、第1クライアント(CL)無線通信装置300−1が備えられる。この第1クライアント無線通信装置300−1は、災害発生前から家屋10−2においてユーザが既存の施設を利用してインターネット接続に使用していたものである。この第1クライアント無線通信装置300−1も、ソフトウェア無線に対応している。そのうえで、第1クライアント無線通信装置300−1は、ローカルエリアネットワークにおけるクライアント端末の1つとして機能する。
【0017】
また、家屋10−3には、第2クライアント無線通信装置300−2が備えられる。この第2クライアント無線通信装置300−2は、災害発生前から家屋10−3においてユーザが既存の施設を利用してインターネット接続に使用していたものである。この第2クライアント無線通信装置300−2も、ソフトウェア無線に対応している。そのうえで、第2クライアント無線通信装置300−2は、ローカルエリアネットワークにおけるクライアント端末の1つとして機能する。
【0018】
なお、上記ホスト無線通信装置200、第1クライアント無線通信装置300−1および第2クライアント無線通信装置300−2を具現化した装置の一例として、無線LAN(Local Area Network)アクセスポイントなどを想定することができる。
【0019】
家屋10−3における情報処理端末400は、無線LANアクセスポイントとしての第2クライアント無線通信装置300−2と宅内にて接続された端末である。この情報処理端末400は、例えばパーソナルコンピュータなどを想定することができる。
なお、以降の説明において、第1クライアント無線通信装置300−1と第2クライアント無線通信装置300−2について特に区別することなく言及する場合には、「クライアント無線通信装置300」と記載する。
【0020】
ネットワーク制御装置100は、それぞれ異なる無線通信方式に対応する無線通信ソフトウェアを記憶している。例として、ここでは無線通信方式A、B、Cのそれぞれに対応した無線通信ソフトウェアを記憶することとしている。ホスト無線通信装置200とクライアント無線通信装置300の各々は、ネットワーク制御装置100からロードした無線通信ソフトウェアの無線通信方式による通信を実行可能となる。
【0021】
なお、第1の実施形態において、ホスト無線通信装置200としての機器と、クライアント無線通信装置300としての機器は、ローカルエリアネットワーク形成に関連して共通の構成を採ることが好ましい。これにより、被災地において、任意の機器をネットワーク制御装置100に接続すれば、その機器をホスト無線通信装置200として機能させることができる。また、これ以外の無線通信装置をクライアント無線通信装置300として機能させることができる。
【0022】
図1においては、ネットワーク制御装置100により形成されたローカルエリアネットワークの構成として、以下の例が示されている。つまり、ホスト無線通信装置200は、無線通信方式Bによる無線通信を実行するようにされている。また、第1クライアント無線通信装置300−1は、無線通信方式Bと無線通信方式Aによる無線通信を実行するようにされている。また、第2クライアント無線通信装置300−2は、無線通信方式Aによる無線通信を実行するようにされている。
【0023】
上記のように、ホスト無線通信装置200とクライアント無線通信装置300の各々に無線通信方式が設定されていることで、以下のように、無線通信装置間は以下のように接続される。つまり、ホスト無線通信装置200と第1クライアント無線通信装置300−1は無線通信方式Bにより接続される。また、第1クライアント無線通信装置300−1と第2クライアント無線通信装置300−2は無線通信方式Aにより接続される。また、ホスト無線通信装置200と第2クライアント無線通信装置300−2は、第1クライアント無線通信装置300−1の中継を介して接続される。
【0024】
このように、図1においては、無線通信方式が異なる無線通信装置が存在しているのに係わらず、無線通信装置間の相互通信が可能なローカルエリアネットワークが形成されている。なお、クライアント無線通信装置300は、さらに多数存在することが想定されるが、ここでは、説明の便宜のために、第1クライアント無線通信装置300−1と第2クライアント無線通信装置300−2の2つとしている。
【0025】
[ローカルエリアネットワーク形成のための動作例]
次に、図2から図4のシーケンス図を参照して、上記図1に示したローカルエリアネットワークを形成するためにネットワーク制御装置100と、ホスト無線通信装置200と、クライアント無線通信装置300が実行する動作の具体例について説明する。
なお、ここでの説明にあたり、第1クライアント無線通信装置300−1は、プリセットにより無線通信方式Bが設定されていたものとする。また、第2クライアント無線通信装置300−2は、プリセットにより無線通信方式Aが設定されていたものとする。
【0026】
まず、図2に示すように、ネットワーク制御装置100は、ホスト無線通信装置200に対して無線通信方式Cの無線通信ソフトウェアをロードさせるためのロード制御を実行する(ステップS1)。これに応じて無線通信ソフトウェアをロードしたホスト無線通信装置200は、無線通信方式Cによる無線通信を実行可能になる。
【0027】
次に、ネットワーク制御装置100は、ホスト無線通信装置200に対して無線通信方式Cによるクライアント無線通信装置300に対する問い合わせの実行を指示する(ステップS2)。この指示に応答して、ホスト無線通信装置200は、無線通信方式Cによりブロードキャストで問い合わせを送信する(ステップS3)。
【0028】
このとき、第1クライアント無線通信装置300−1は無線通信方式Bに対応した無線通信のみが可能であり、第2クライアント無線通信装置300−2は、無線通信方式Cに対応した無線通信のみが可能である。したがって、上記無線通信方式Cによる問い合わせを受信してこれに応答することはできない。
【0029】
これにより、ホスト無線通信装置200は、ステップS3による問い合わせの送信タイミングから一定時間経過後に応答を受信しないまま、タイムアウトを検出することになる(ステップS4)。このタイムアウトの検出に応じて、ホスト無線通信装置200は、無線通信方式Cによる問い合わせに対する応答は無かったことをネットワーク制御装置100に通知する(ステップS5)。
【0030】
上記通知に応じて、ネットワーク制御装置100は、先のステップS2によりロードさせた無線通信方式Cに対応する無線通信ソフトウェアをホスト無線通信装置200から削除する(ステップS6)。そして、次に、ネットワーク制御装置100は、ホスト無線通信装置200に対して無線通信方式Cの無線通信ソフトウェアをロードさせるためのロード制御を実行する(ステップS7)。これに応じて、ホスト無線通信装置200は、無線通信方式Cに代えて、無線通信方式Bによる無線通信を実行可能となる。
【0031】
そこで、ネットワーク制御装置100は、ホスト無線通信装置200に対して無線通信方式Bによるクライアント無線通信装置300に対する問い合わせの実行を指示する(ステップS8)。この指示に応答して、ホスト無線通信装置200は、無線通信方式Bによりブロードキャストで問い合わせを送信する(ステップS9)。
【0032】
上記無線通信方式Bにより送信された問い合わせは、同じ無線通信方式Bに対応する第1クライアント無線通信装置300−1が受信する。第1クライアント無線通信装置300−1は、受信した問い合わせに対する応答を、無線通信方式Bによりホスト無線通信装置200に対して送信する(ステップS10)。この応答の送受信に応じて、ホスト無線通信装置200と第1クライアント無線通信装置300−1は無線通信方式Bによる接続を確立する。そして、ホスト無線通信装置200は、問い合わせに対する応答結果として、無線通信方式Bによる問い合わせに第1クライアント無線通信装置300−1が応答した旨をネットワーク制御装置100に対して通知する(ステップS11)。
【0033】
上記ステップS11の通知の受信に応じて、ネットワーク制御装置100は、図3に示すように、第1クライアント無線通信装置300−1に対する無線通信方式Bによる問い合わせの指示を、ホスト無線通信装置200に対して送信する(ステップS12)。ホスト無線通信装置200は、受信した上記問い合わせの指示が第1クライアント無線通信装置300−1に転送されるように中継を行う(ステップS13)。
【0034】
上記問い合わせの指示を受信した第1クライアント無線通信装置300−1は、無線通信方式Bによりブロードキャストで問い合わせを送信する(ステップS14)。このように、第1クライアント無線通信装置300−1に無線通信方式Bによる問い合わせを実行させるのは、以下のことを目的としている。つまり、ホスト無線通信装置200の通信距離内には位置していないが、第1クライアント無線通信装置300−1の通信距離内に位置している無線通信方式Bに対応の他のクライアント無線通信装置300を探索するためである。
【0035】
この場合、第2クライアント無線通信装置300−2は無線通信方式Aに対応した無線通信のみが可能である。このため、上記無線通信方式Bによる問い合わせに応答することはできない。したがって、第1クライアント無線通信装置300−1は、上記ステップS14による問い合わせの送信タイミングから一定時間経過後に応答を受信しないまま、タイムアウトを検出することになる(ステップS15)。
【0036】
上記タイムアウトの検出に応じて、第1クライアント無線通信装置300−1は、無線通信方式Bによる問い合わせに対する応答が無い旨を、ネットワーク制御装置100に対して無線通信方式Bにより通知する(ステップS16)。この際、第1クライアント無線通信装置300−1は、上記通知がネットワーク制御装置100に転送されるように中継する(ステップS17)。
【0037】
上記通知を受信したネットワーク制御装置100は、第1クライアント無線通信装置300−1に対して無線通信方式Aの無線通信ソフトウェアをロードさせるロード制御を実行する(ステップS18)。このロード制御は、ホスト無線通信装置200の中継を介して行われる(ステップS19)。第1クライアント無線通信装置300−1は、このロード制御に応じて無線通信方式Aの無線通信ソフトウェアをロードすることで、無線通信方式Bとともに無線通信方式Aによる無線通信が可能になる。
【0038】
次に、ネットワーク制御装置100は、第1クライアント無線通信装置300−1に対する無線通信方式Aによる問い合わせの指示を、ホスト無線通信装置200に対して送信する(ステップS20)。ホスト無線通信装置200は、受信した上記指示が第1クライアント無線通信装置300−1に転送されるように中継する(ステップS21)。
【0039】
上記指示を受信した第1クライアント無線通信装置300−1は、無線通信方式Aによりブロードキャストで問い合わせを送信する(ステップS22)。
上記無線通信方式Aによる問い合わせは、同じ無線通信方式Aに対応する第2クライアント無線通信装置300−2が受信する。第2クライアント無線通信装置300−2は、上記問い合わせに対する応答を、図4に示すように、問い合わせ元の第1クライアント無線通信装置300−1に送信する(ステップS23)。この応答の送受信に応じて、ホスト無線通信装置200と第1クライアント無線通信装置300−1は無線通信方式Bによる接続を確立する。
【0040】
また、第1クライアント無線通信装置300−1は、問い合わせに対する応答結果として、無線通信方式Aによる問い合わせに第2クライアント無線通信装置300−2が応答した旨をネットワーク制御装置100に対して通知する(ステップS24)。第1クライアント無線通信装置300−1は、この通知を、無線通信方式Bによりホスト無線通信装置200に対して送信する。ホスト無線通信装置200は、受信した通知をネットワーク制御装置100に転送するように中継する(ステップS25)。
【0041】
上記までの手順により、ネットワーク制御装置100は、無線通信方式A、B、Cのそれぞれに対応して自己が記憶しているすべての無線通信ソフトウェアをロードさせて端末の探索を行わせたことになる。これにより、周辺において無線通信方式A、B、Cのいずれかに対応する無線通信装置のすべてがクライアント無線通信装置300としてローカルエリアネットワークに属していることになる。
【0042】
そこで、ネットワーク制御装置100は、自己が記憶している情報ソースを読み出す(ステップS26)。なお、ここでの情報ソースとは、被災者向けに提供すべき情報となる。そして、ネットワーク制御装置100は、情報ソース転送指示を情報ソースとともにホスト無線通信装置200に対して送信する(ステップS27)。
【0043】
ホスト無線通信装置200は、上記ステップS27による情報ソース転送指示とともに受信した情報ソースを記憶する。そのうえで、ホスト無線通信装置200は、受信した情報ソース送信指示に応じて、無線通信方式Bによりブロードキャストで情報ソース転送指示を送信する(ステップS28)。この際、ホスト無線通信装置200は、情報ソース転送指示とともに情報ソースも送信する。
【0044】
上記ステップS28において無線通信方式Bにより送信された情報ソース転送指示は、同じ無線通信方式Bに対応する第1クライアント無線通信装置300−1にて受信される。第1クライアント無線通信装置300−1は、上記ステップS28による情報ソース転送指示とともに受信した情報ソースを記憶する。そのうえで、第1クライアント無線通信装置300−1は、受信した情報ソース送信指示に応じて、無線通信方式A、Bによりブロードキャストで情報ソース転送指示を送信する(ステップS29)。つまり、自己が対応する無線通信方式ごとにより情報ソース転送指示を送信する。この際にも、情報ソースは、情報ソース転送指示とともに送信される。
【0045】
上記ステップS29において無線通信方式Aにより送信された情報ソース転送指示は、第2クライアント無線通信装置300−2において受信される。図示はしていないが、第2クライアント無線通信装置300−2は、第1クライアント無線通信装置300−1と同様にして、上記情報ソース転送指示の受信に応じて情報ソースを送信する。また、自己が対応する無線通信方式Aによりブロードキャストで情報ソース転送指示を送信する。このように、本実施形態では、ローカルエリアネットワーク内において、クライアント無線通信装置300間で連鎖的に情報ソースを拡散させていくことができる。
【0046】
[ネットワーク制御装置の構成例]
図5は、第1の実施形態におけるネットワーク制御装置100の構成例を示している。この図に示すネットワーク制御装置100は、通信部101、記憶部102、ロード制御部103および問い合わせ指示部(第1の問い合わせ指示部、第2の問い合わせ指示部)104および情報ソース処理部105を備える。
【0047】
通信部101は、ホスト無線通信装置と通信する部位である。この通信部101は、例えばハードウェアの仕様によって固定的に設定された所定の無線通信方式により通信を行う部位である。なお、ここでの通信部101は有線を想定しているが無線であってもよい。また、通信部101が対応する無線通信方式については特に限定されない。
【0048】
記憶部102は、それぞれが異なる無線通信方式に対応する複数の無線通信ソフトウェアを記憶する。ここでは、図示するように、無線通信方式Aに対応する無線通信ソフトウェア121、無線通信方式Bに対応する無線通信ソフトウェア122および無線通信方式Cに対応する無線通信ソフトウェア123を記憶した例を示している。また、記憶部102は、情報ソース124を記憶している。この記憶部102に対応するハードウェアとしては、例えばフラッシュメモリなどの不揮発性の半導体記憶装置やハードディスクドライブなどを想定することができる。
【0049】
ロード制御部103は、上記記憶部102に記憶される無線通信ソフトウェア121〜123をホスト無線通信装置200またはクライアント無線通信装置300にロードさせるロード制御を行う。このロード制御の際、ロード制御部103は、ホスト無線通信装置200またはクライアント無線通信装置300に対して、ロード対象の無線通信ソフトウェアのデータを送信し、そのロードを指示する。
【0050】
問い合わせ指示部104(第1の問い合わせ指示部)は、クライアント無線通信装置300への問い合わせ(第1の問い合わせ)をホスト無線通信装置200に指示する。そして、今回の第1の問い合わせに対する応答が無かった場合には、当該今回の第1の問い合わせのときとは異なる無線通信方式の無線通信ソフトウェアをロードしたホスト無線通信装置200に、次の第1の問い合わせを指示する。
【0051】
また、問い合わせ指示部104(第2の問い合わせ指示部)は、第1の問い合わせに応答した第1のクライアント無線通信装置300−1が有った場合に、この第1のクライアント無線通信装置300−1に対して第2のクライアント無線通信装置300−2への問い合わせ(第2の問い合わせ)を指示する。そして、この第2の問い合わせに対する応答が無かった場合には、今回の第2の問い合わせのときとは異なる無線通信方式の無線通信ソフトウェアがロードされた第1のクライアント無線通信装置300−1に次の第2の問い合わせを指示する。
【0052】
ロード制御部103は、上記第1の問い合わせに対する応答が無かった場合には、この第1の問い合わせのときと異なる無線通信方式に対応する無線通信ソフトウェアをホスト無線通信装置200にロードさせる。これにより、ホスト無線通信装置200が対応する無線通信方式が変更される。これに応じて、問い合わせ指示部104は、変更後の無線通信方式により上記次の第1の問い合わせを指示する。
【0053】
また、ロード制御部103は、第2の問い合わせに対する応答が無かった場合には、この第2の問い合わせを実行させた指示対象のクライアント無線通信装置300に、上記第2の問い合わせを送信したときと異なる無線通信方式の無線通信ソフトウェアをロードさせる。これにより、上記処理対象のクライアント無線通信装置300が対応する無線通信方式が追加となる。これに応じて、問い合わせ指示部104は、追加された無線通信方式により上記次の第2の問い合わせを再度指示する。
【0054】
情報ソース処理部105は、情報ソース処理として情報ソース転送指示を行う。つまり、記憶部102に記憶されている情報ソース124を読み込み、通信部101からホスト無線通信装置200に対して、情報ソース124とともに情報ソース転送指示を送信する。また、情報ソース処理部105は、情報ソース処理として、通信部101により受信された情報ソース124のデータを記憶部102に記憶させる制御も実行する。
【0055】
[無線通信装置の構成例]
図6は、第1の実施形態におけるホスト無線通信装置200とクライアント無線通信装置300の構成例を示している。
まず、ホスト無線通信装置200の構成について説明する。ホスト無線通信装置200は、通信部(第2の通信部)201、ロード部(第1のロード部)202、無線通信処理部(第1の無線通信処理部)203、問い合わせ制御部(第1の問い合わせ制御部)204、応答制御部205および情報ソース処理部206を備える。
【0056】
通信部201は、ネットワーク制御装置100と通信する部位である。ロード部202は、ロード制御部103のロード制御に応じてネットワーク制御装置100から転送されてくる無線通信ソフトウェアをロードする。
無線通信処理部203は、ロード部202によりロードした無線通信ソフトウェアに基づく無線通信処理を実行する。
【0057】
問い合わせ制御部204は、ネットワーク制御装置100の問い合わせ指示部104による問い合わせ指示に応じて、クライアント無線通信装置300への問い合わせ(第1の問い合わせ)を上記無線通信処理部203に送信させる。また、問い合わせ制御部204は、上記第1の問い合わせに対する応答を行った第1のクライアント無線通信装置300−1と、この応答が受信された無線通信方式により接続を確立する。
【0058】
応答制御部205については、クライアント無線通信装置300の応答制御部305として後述する。ホスト無線通信装置200の場合、クライアント無線通信装置300から問い合わせを受けることはない。したがって、クライアント無線通信装置300と必ずしも共通の構成を採る必要がなければ、ホスト無線通信装置200から応答制御部205を省略することもできる。
【0059】
情報ソース処理部206は、通信部101にて受信されたネットワーク制御装置100からの情報ソース転送指示に応じた処理を実行する。
次に、同じ図6によりクライアント無線通信装置300について説明する。クライアント無線通信装置300は、通信部301、ロード部(第2のロード部)302、無線通信処理部(第2の無線通信処理部)303、問い合わせ制御部(第2の問い合わせ制御部)304および応答制御部305を備える。
【0060】
問い合わせ制御部304は、ホスト無線通信装置200により中継された問い合わせ(第2の問い合わせ)の指示に応じて第2の問い合わせを第2の無線通信処理部に送信させる。また、問い合わせ制御部304は、第2の問い合わせに対する応答を行った第2のクライアント無線通信装置300−2と、この応答が受信された無線通信方式により接続を確立する。
【0061】
ホスト無線通信装置200からの問い合わせ、または、他のクライアント無線通信装置300からの問い合わせが送信された場合には、これらの問い合わせが無線通信処理部303にて受信される。応答制御部305は、この問い合わせの受信に応じて、無線通信処理部303により問い合わせ元に対して応答を送信するための制御を実行する。
【0062】
情報ソース処理部306は、無線通信処理部203にて受信されたホスト無線通信装置200または他のクライアント無線通信装置300からの情報ソース転送指示に応じた処理を実行する。
また、ロード部302と無線通信処理部303については、上述のロード部202と無線通信処理部203と同様の構成でよい。
なお、クライアント無線通信装置300の場合、通信部301にネットワーク制御装置100を接続する必要はない。したがって、ホスト無線通信装置200と必ずしも共通の構成を採る必要がなければ、クライアント無線通信装置300から通信部301を省略することができる。
【0063】
[ネットワーク制御装置の処理手順例]
図7のフローチャートは、第1の実施形態におけるネットワーク制御装置100が実行する処理手順例を示している。この図に示す処理は、図5に示したネットワーク制御装置100の機能部のいずれかが適宜実行するものとしてみることができる。
まず、ロード制御部103は、ホスト無線通信装置200に対して1つの無線通信ソフトウェアを選択してロード制御を実行する(ステップS101)。このロード制御は、図2におけるステップS1に相当する。
【0064】
次に、問い合わせ指示部104は、ホスト無線通信装置200に対して問い合わせ(第1の問い合わせ)の指示を行う(ステップS102)。この問い合わせの指示は、図2との対応ではステップS2に相当する。次に、問い合わせ指示部104は、上記問い合わせ指示による問い合わせに対する応答が有るとの通知が受信されたか否かについて判定する(ステップS103)。
【0065】
図2のステップS4として例示したようにタイムアウトが検出されたことで上記通知が受信されないと判定した場合(ステップS103−NO)、ロード制御部103は、ホスト無線通信装置200から先のステップS101によりロードされた無線通信ソフトウェアを削除するための制御を実行する(ステップS104)。そのうえで、ホスト無線通信装置200に対して、ステップS101のときとは異なる無線通信方式の無線通信ソフトウェアをロードさせるためのロード制御を実行する(ステップS105)。そして、ステップS102に戻ることにより、先の問い合わせとは異なる無線通信方式による問い合わせをホスト無線通信装置200に再度実行させる。この2回目以降のステップS102は、図2との対応ではステップS8に相当する。
【0066】
そして、応答有りの通知が受信されると(ステップS103−YES)、問い合わせ指示部104は、以下の処理に進む。つまり、問い合わせ指示部104は、ステップS102による問い合わせに応答した第1クライアント無線通信装置300−1に対して、他のクライアント無線通信装置300への問い合わせ指示(第2の問い合わせ指示)を送信する(ステップS106)。この問い合わせ指示は、1回目の第2の問い合わせ指示であり、図3との対応ではステップS12に相当する。これに応じて、第1クライアント無線通信装置300−1は、他のクライアント無線通信装置300に対して問い合わせを行う。
【0067】
次に、問い合わせ指示部104は、上記のように行われた問い合わせに対する応答が有る旨の通知が受信されたか否かについて判定する(ステップS107)。ここで、図3のステップS15のようにタイムアウトが検出され、上記応答有りの通知が受信されないと判定した場合(ステップS107−NO)、ロード制御部103は、以下の処理を実行する。つまり、ロード制御部103は、今回の問い合わせ指示に応じた問い合わせのときとは異なる無線通信方式の無線通信ソフトウェアを第1クライアント無線通信装置300−1にロードさせるためのロード制御を実行する(ステップS108)。そして、ステップS106に戻ることにより、問い合わせ指示部104は、ステップS108にてロードされた無線通信ソフトウェアの無線通信方式による問い合わせを指示する。なお、多数のクライアント無線通信装置300が周囲に存在する場合、ステップS102の問い合わせ指示に対応して応答する第1クライアント無線通信装置300−1は複数となる可能性がある。この場合、ステップS106からS108の処理は、これら複数の第1クライアント無線通信装置300−1ごとに行う。
【0068】
そして、上記第1クライアント無線通信装置300−1による問い合わせに対して応答した他のクライアント無線通信装置300が有るとの通知が受信されると、情報ソース処理部105は、記憶部102から情報ソース124を読み込む(ステップS109)。そして、第1クライアント無線通信装置300−1に対して情報ソース124とともに情報ソース転送指示を送信する(ステップS110)。
【0069】
[ホスト無線通信装置の処理手順例]
図8のフローチャートを参照して、ホスト無線通信装置200が実行する処理手順例について説明する。この図に示す処理は、図6に示すホスト無線通信装置200における所定の機能部が適宜実行するものとしてみることができる。
【0070】
まず、ロード部202は、ネットワーク制御装置100のロード制御部103による自己(ホスト無線通信装置200)に対するロード制御が受信されたか否かについて判定する(ステップS201)。ロード制御が受信されたことを判定した場合(ステップS201−YES)、ロード部202は、ロード制御とともに送信された無線通信ソフトウェアをロードする(ステップS202)。これにより、無線通信処理部203は、ステップS202によりロードされた無線通信ソフトウェアの無線通信方式にしたがって無線通信を実行することになる。
【0071】
なお、図2においては、ロード制御に先立って、これまでロードされていた無線通信ソフトウェアの削除を行っている。この無線通信ソフトウェアの削除は、ステップS202において、無線通信ソフトウェアのロードに先だって実行することとすればよい。また、無線通信ソフトウェアを削除せずにそのまま残しておくようにすることも考えられる。
【0072】
ロード制御が受信されない場合(ステップS201−NO)、または、上記ステップS202により無線通信ソフトウェアをロードした場合、問い合わせ制御部204は、以下の処理を行う。つまり、問い合わせ制御部204は、自己(ホスト無線通信装置200)への問い合わせ(第1の問い合わせ)の指示が受信されたか否かについて判定する(ステップS203)。この問い合わせ指示は、ネットワーク制御装置100から送信され、通信部101にて受信される。
【0073】
上記問い合わせ指示が受信されるのに応じて(ステップS203−YES)、問い合わせ制御部204は、無線通信処理部203からブロードキャストにより問い合わせ(第1の問い合わせ)を送信する(ステップS204)。そして、問い合わせ制御部204は、その応答結果を、通信部101経由でネットワーク制御装置100に通知する(ステップS205)。
【0074】
上記問い合わせ指示が受信されない場合(ステップS203−NO)、または上記ステップS205により応答結果を通知したのに応じて、問い合わせ制御部204は、以下の処理を行う。つまり、ネットワーク制御装置100からクライアント無線通信装置300に対する問い合わせ指示(第2の問い合わせ指示)が受信されたか否かについて判定する(ステップS206)。この問い合わせ指示を受信した場合(ステップS206−YES)、問い合わせ制御部204は、上記問い合わせ指示を中継する(ステップS207)。
【0075】
上記問い合わせ指示が受信されない場合(ステップS206−NO)、または上記ステップS207による問い合わせ指示の中継を実行した場合、ロード部202は以下の処理を行う。つまり、ネットワーク制御装置100からクライアント無線通信装置300に対するロード制御が受信されたか否かについて判定する(ステップS208)。このロード制御が受信された場合(ステップS208−YES)、ロード部202は、このロード制御を中継する(ステップS209)。つまり、ロード部202は、このロード制御を無線通信処理部203により送信先のクライアント無線通信装置300に転送させる。
【0076】
上記ロード制御が受信されない場合(ステップS208−NO)、または、上記ステップS209によるロード制御を中継した場合、情報ソース処理部206は、以下の処理を行う。つまり、情報ソース処理部206は、通信部101にてネットワーク制御装置100からの情報ソース転送指示が受信されたか否かについて判定する(ステップS210)。
【0077】
上記情報ソース転送指示が受信されない場合には(ステップS210−NO)、ステップS102に戻る。これに対して、情報ソース転送指示が受信された場合(ステップS210−YES)、情報ソース処理部206は、情報ソース転送指示とともに送信された情報ソースを記憶する(ステップS211)。これとともに、無線通信処理部203により情報ソース転送指示をブロードキャストで送信する(ステップS212)。
【0078】
[クライアント無線通信装置の処理手順例]
図9は、第1の実施形態におけるクライアント無線通信装置300が実行する処理手順例を示している。この図に示す処理は、図6に示したクライアント無線通信装置300における所定の機能部が適宜実行するものとしてみることができる。
【0079】
まず、ロード部302は、自己に対するロード制御が無線通信処理部303にて受信されたか否かについて判定する(ステップS301)。このロード制御が受信された場合(ステップS301−YES)、ロード部302は、当該ロード制御とともに送信された無線通信ソフトウェアをロードする(ステップS302)。これにより、無線通信処理部303は、これまでにロードされた無線通信ソフトウェアの無線通信方式と、今回新たにロードした無線通信ソフトウェアの無線通信方式とによる無線通信が実行可能になる。上記ロード制御が受信されない場合には(ステップS301−NO)、上記ステップS302はスキップされる。
【0080】
次に、問い合わせ制御部304は、無線通信処理部303によりホスト無線通信装置200または他のクライアント無線通信装置300からの問い合わせが受信されたか否かについて判定する(ステップS303)。この問い合わせが受信された場合(ステップS303−YES)、問い合わせ制御部304は、問い合わせ元のホスト無線通信装置200または他のクライアント無線通信装置300に対する応答を無線通信処理部303により送信させる(ステップS304)。上記問い合わせが受信されない場合には(ステップS303−NO)、上記ステップS304はスキップされる。
【0081】
次に、情報ソース処理部306は、無線通信処理部303によりホスト無線通信装置200または他のクライアント無線通信装置300からの情報ソース転送指示が受信されたか否かについて判定する(ステップS305)。情報ソース転送指示が受信された場合(ステップS305−YES)、情報ソース処理部306は、情報ソース転送指示とともに受信した情報ソースを記憶する(ステップS306)。これとともに、情報ソース処理部306は、情報ソース転送指示をブロードキャストにより無線通信処理部303により送信させる(ステップS307)。この際には、ロードされた無線通信ソフトウェアのすべてに対応する無線通信方式により情報ソース転送指示を送信させる。この処理の後はステップS301に戻る。また、情報ソース転送指示が受信されない場合には(ステップS305−NO)、上記ステップS306およびS307をスキップしてステップS301に戻る。
【0082】
<第2の実施形態>
[無線通信システムの構成例]
図10は、第2の実施形態において形成される無線通信システムの一構成例を示している。第1実施形態におけるホスト無線通信装置200は、家屋10−1において災害前からネットワーク利用のために利用されていたものとされる。これに対して、第2実施形態におけるホスト無線通信装置200Aは、災害後においてネットワーク制御装置100Aとともに設置されることを想定している。第2実施形態においても、ホスト無線通信装置200Aとネットワーク制御装置100Aは例えば有線によって相互通信可能に接続される。
【0083】
第2実施形態において、家屋10−1、10−2および10−3には、それぞれ、第1クライアント無線通信装置300A−1、第2クライアント無線通信装置300A−2および第3クライアント無線通信装置300A−3が備えられる。これらのクライアント無線通信装置300Aは、例えば災害前においては既存の施設を利用したインターネット接続に使用していた無線端末である。このように、第2実施形態においては、各家屋に備えられる無線端末は、それぞれがクライアント無線通信装置300Aとして機能する。
【0084】
この図において、第2の実施形態におけるホスト無線通信装置200Aは、ソフトウェア無線による無線通信方式A、Bでの通信が可能とされているものとする。また、ホスト無線通信装置200Aは、共通無線通信方式にも対応しているものとする。共通無線通信方式は、ホスト無線通信装置200Aとクライアント無線通信装置300Aの各々において共通に備えられる無線通信方式である。この共通無線通信方式は、ソフトウェア無線ではなくハードウェア仕様に応じて固定とされており、例えばアナログによる所定の方式が採用されているものとする。
【0085】
また、家屋10−1における第1クライアント無線通信装置300A−1は、無線通信ソフトウェアがロードされておらず、例えば共通無線通信方式による無線通信のみが可能とされている。家屋10−2における第2クライアント無線通信装置300A−2は、無線通信ソフトウェアのロードに応じた無線通信方式Bによる無線通信と、共通無線通信方式による無線通信が可能とされている。家屋10−3における第3クライアント無線通信装置300A−3は、無線通信ソフトウェアのロードに応じた無線通信方式Aによる無線通信と共通無線通信方式による無線通信が可能とされている。なお、上記クライアント無線通信装置300Aが対応する無線通信方式は、それぞれ、災害発生前から設定されていたものとする。
また、上記の説明によると、共通無線通信方式は、ホスト無線通信装置200Aとクライアント無線通信装置300Aの各々において共通に備えられていることが分かる。この無線通信方式は、例えば災害発生時を考慮して各無線通信装置に実装されている。
【0086】
図10の例では、以下のようにローカルエリアネットワークが形成されている。つまり、ホスト無線通信装置200Aと第1クライアント無線通信装置300A−1とは共通無線通信方式により接続されている。また、ホスト無線通信装置200Aと第2クライアント無線通信装置300A−2とは無線通信方式Bにより接続されている。また、ホスト無線通信装置200Aと第3クライアント無線通信装置300A−3とは無線通信方式Aにより接続されている。つまり、第2の実施形態においては、ホスト無線通信装置200Aを中心として。無線通信方式が異なる複数のクライアント無線通信装置300Aをスター型により接続したローカルエリアネットワークが形成されている。
【0087】
[ローカルエリアネットワーク形成のための動作例]
次に、図11と図12のシーケンス図を参照して、上記図10に示したローカルエリアネットワークを形成するためにネットワーク制御装置100Aと、ホスト無線通信装置200Aと、クライアント無線通信装置300Aが実行する動作の具体例について説明する。
【0088】
まず、図11に示すように、ネットワーク制御装置100Aは、共通無線通信方式による問い合わせをホスト無線通信装置200Aに対して指示する(ステップS51)。これに応じて、ホスト無線通信装置200Aは、共通無線通信方式によりブロードキャストで問い合わせを送信する(ステップS52)。
【0089】
共通無線通信方式は前述のようにホスト無線通信装置200Aとクライアント無線通信装置300Aの各々が共通に備える。したがって、ステップS52による問い合わせは、第1クライアント無線通信装置300A−1、第2クライアント無線通信装置300A−2および第3クライアント無線通信装置300A−3の各々にて受信される。
【0090】
まず、第3クライアント無線通信装置300A−3は、上記ステップS52による問い合わせの受信に応じて、自己が対応するソフトウェア無線の無線通信方式Aにより、ホスト無線通信装置200Aに対して応答を送信する(ステップS53)。この応答の受信に応じて、ホスト無線通信装置200Aは、無線通信方式Aにより第3クライアント無線通信装置300A−3との接続を確立させる(ステップS54)。つまり、ホスト無線通信装置200Aは、応答が受信された無線通信方式により、応答送信元のクライアント無線通信装置300Aとの接続を確立する。
【0091】
また、ホスト無線通信装置200Aは、無線通信方式Aにより第3クライアント無線通信装置300A−3からの応答が送信された旨をネットワーク制御装置100Aに通知する(ステップS55)。
【0092】
また、第2クライアント無線通信装置300A−2は、先のステップS52による問い合わせの受信に応じて、自己が対応するソフトウェア無線の無線通信方式Bにより、ホスト無線通信装置200Aに対して応答を送信する(ステップS56)。この応答の受信に応じて、ホスト無線通信装置200Aは、無線通信方式Bにより第2クライアント無線通信装置300A−2との接続を確立させる(ステップS57)。また、ホスト無線通信装置200Aは、無線通信方式Bにより第2クライアント無線通信装置300A−2からの応答が送信された旨をネットワーク制御装置100Aに通知する(ステップS58)。
【0093】
また、第1クライアント無線通信装置300A−1は、先のステップS52による問い合わせの受信に応じて、図12に示すように、自己が対応する共通無線通信方式により、ホスト無線通信装置200Aに対して応答を送信する(ステップS59)。この応答の受信に応じて、ホスト無線通信装置200Aは、共通無線通信方式により第1クライアント無線通信装置300A−1との接続を確立させる(ステップS60)。また、ホスト無線通信装置200Aは、共通無線通信方式により第1クライアント無線通信装置300A−1からの応答が送信された旨をネットワーク制御装置100Aに通知する(ステップS61)。
【0094】
上記の動作により、複数のクライアント無線通信装置300Aの各々とホスト無線通信装置200Aとの接続が確立され、ホスト無線通信装置200Aを中心とするスター型のローカルエリアネットワークが形成される。
そして、ローカルエリアネットワークが形成されたことに応じて、ネットワーク制御装置100Aは、情報ソースの読み込みを行う(ステップS62)。そして、ネットワーク制御装置100Aは、情報ソース転送指示をホスト無線通信装置200Aに対して情報ソースとともに送信する(ステップS63)。
【0095】
この情報ソース転送指示の受信に応じて、ホスト無線通信装置200Aは、自己と接続が確立されているクライアント無線通信装置300Aごとにユニキャストにより情報ソースを送信する。つまり、ホスト無線通信装置200Aは、ユニキャストにより第3クライアント無線通信装置300A−3を宛先として指定して情報ソースを送信する(ステップS64)。また、ホスト無線通信装置200Aは、ユニキャストにより第2クライアント無線通信装置300A−2を宛先として指定して情報ソースを送信する(ステップS65)。また、ホスト無線通信装置200Aは、ユニキャストにより第1クライアント無線通信装置300A−1を宛先として指定して情報ソースを送信する(ステップS66)。
【0096】
[ネットワーク制御装置の構成例]
図13は、第2の実施形態におけるネットワーク制御装置100Aの構成例を示している。なお、これらの機能部において、図5と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
ネットワーク制御装置100Aは、通信部101、記憶部102、問い合わせ指示部104Aおよび情報ソース処理部105を備える。
【0097】
問い合わせ指示部104Aは、図11のステップS51として示したように、ホスト無線通信装置200Aに対して問い合わせ指示を行うにあたり、問い合わせ送信ための無線通信方式として共通無線通信方式を指定する。
【0098】
また、第2の実施形態におけるホスト無線通信装置200Aは、ソフトウェア無線として無線通信方式A、B、Cのそれぞれに対応した無線通信が可能に構成されている。これに伴い、第2の実施形態における記憶部102は、無線通信方式A、B、Cに対応する無線通信ソフトウェアをロードさせる必要はない。これに伴い、図13の記憶部102には、無線通信方式A、B、Cのそれぞれに対応する無線通信ソフトウェアは記憶されていない。また、ロード制御部103も省略されている。
【0099】
[ホスト無線通信装置の構成例]
図14は、第2の実施形態におけるホスト無線通信装置200Aの構成例を示している。なお、これらの機能部において、図6と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0100】
ホスト無線通信装置200Aは、通信部201、無線通信処理部203、居合わせ制御部204A、情報ソース処理部206Aおよび共通方式対応無線通信部(第1の共通方式対応無線通信部)207を備える。
共通方式対応無線通信部207は、共通無線通信方式に対応した通信を固定的に実行する部位である。
【0101】
問い合わせ制御部204Aは、ネットワーク制御装置100Aからの問い合わせの指示に応じて、クライアント無線通信装置300Aへの問い合わせを共通方式対応無線通信部207により送信し、問い合わせに対する応答を送信したクライアント無線通信装置300Aの各々と、これらクライアント無線通信装置からの応答が受信された無線通信方式により接続を確立する。
【0102】
情報ソース処理部206Aは、ネットワーク制御装置100Aからの情報ソース転送指示に応じて情報ソースを送信する。この際、情報ソース処理部206Aは、ソフトウェア無線の無線通信方式により接続が確立されているクライアント無線通信装置300Aに対しては、無線通信処理部203により情報ソースを送信させる。また、共通無線通信方式により接続が確立されているクライアント無線通信装置300Aに対しては、共通方式対応無線通信部207により情報ソースを送信させる。
【0103】
[クライアント無線通信装置の構成例]
図15は、第2の実施形態におけるクライアント無線通信装置300Aの構成例を示している。なお、これらの機能部において、図6と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0104】
クライアント無線通信装置300Aは、無線通信処理部303、応答制御部305A、情報ソース処理部306A、共通方式対応無線通信部(第2の共通方式対応無線通信部)307を備える。
【0105】
共通方式対応無線通信部307は、共通無線通信方式に対応した通信を固定的に実行する部位である。また、応答制御部305Aは、共通方式対応無線通信部307にて問い合わせが受信されるのに応じて、当該問い合わせに対する応答を、無線通信処理部303により送信させる。つまり、応答制御部305Aは、ソフトウェア無線による無線通信方式により応答を送信させる。
【0106】
情報ソース処理部306Aは、共通方式対応無線通信部307または無線通信処理部303にて受信した情報ソースを記憶するための処理を実行する。
【0107】
また、図15においては、共通方式対応無線通信部307と無線通信処理部303のそれぞれに対してホスト無線通信装置200Aを接続して示している。これは、1つのクライアント無線通信装置300Aは、共通無線通信方式とソフトウェア無線による無線通信方式のいずれか一方によりホスト無線通信装置200Aと接続されることを示している。
【0108】
[ネットワーク制御装置の処理手順例]
図16のフローチャートは、第2の実施形態におけるネットワーク制御装置100Aが実行する処理手順例を示している。この図に示す処理は、図13に示したネットワーク制御装置100Aにおける機能部のいずれかが適宜実行するものとしてみることができる。
【0109】
まず、問い合わせ制御部104Aは、ホスト無線通信装置200Aに対して、共通無線通信方式によるクライアント無線通信装置300Aへの問い合わせを指示する(ステップS401)。
【0110】
ホスト無線通信装置200Aは、この指示に応じて問い合わせを送信し、この問い合わせに対するクライアント無線通信装置300Aからの応答結果をネットワーク制御装置100Aに送信する。問い合わせ制御部104Aは、上記のようにホスト無線通信装置200Aから送信された応答結果を受信する(ステップS402)。
【0111】
上記応答結果の受信は、ローカルエリアネットワークが形成されたことを意味する。そこで、ネットワーク制御装置100Aは、記憶部102から情報ソース124を読み込み(ステップS403)、ホスト無線通信装置200Aに対して情報ソース転送指示を送信する(ステップS404)。
【0112】
[ホスト無線通信装置の処理手順例]
図17は、第2の実施形態におけるホスト無線通信装置200Aが実行する処理手順例を示している。この図に示す処理は、図14に示したホスト無線通信装置200Aにおける機能部のいずれかが実行するものとしてみることができる。
【0113】
まず、問い合わせ制御部204Aは、ネットワーク制御装置100Aからの問い合わせ指示が受信されたか否かについて判定する(ステップS501)。問い合わせ指示を受信した場合(ステップS501−YES)、問い合わせ制御部204Aは、共通方式対応無線通信部207からブロードキャストで問い合わせを送信する(ステップS502)。つまり、この問い合わせは、共通無線通信方式により送信される。問い合わせ指示を受信していない場合には(ステップS501−NO)、上記ステップS502はスキップされる。
【0114】
次に、問い合わせ制御部204Aは、上記ステップS502による問い合わせに対する応答が受信されたか否かについて判定する(ステップS503)。応答が受信された場合(ステップS503−YES)、問い合わせ制御部204Aは、この応答が受信された無線通信方式により、応答送信元のクライアント無線通信装置300Aの各々と接続を確立するための処理を実行する(ステップS504)。また、問い合わせ制御部204Aは、ステップS503にて受信した応答の内容を反映した応答結果をネットワーク制御装置100Aに通知する(ステップS505)。応答が受信されていない場合には、上記ステップS504およびS505はスキップされる。
【0115】
次に、情報ソース処理部206Aは、ネットワーク制御装置100Aからの情報ソース転送指示が受信されたか否かについて判定する(ステップS506)。情報ソース転送指示が受信された場合(ステップS506−YES)、情報ソース処理部206Aは、先のステップS504により接続が確立されているクライアント無線通信装置300Aごとに、ユニキャストで情報ソースを送信する(ステップS507)。この際、情報ソース処理部206Aは、共通無線通信方式により接続を確立しているクライアント無線通信装置300Aに対しては、共通方式対応無線通信部207により情報ソースを送信させる。また、情報ソース処理部206Aは、ソフトウェア無線の無線通信方式により接続を確立しているクライアント無線通信装置300Aに対しては、無線通信処理部203により情報ソースを送信させる。ステップS507を実行した後、または、情報ソース転送指示が受信されない場合は(ステップS506−NO)、ステップS501に戻る。
【0116】
[クライアント無線通信装置の処理手順例]
図18は、第2の実施形態におけるクライアント無線通信装置300Aが実行する処理手順例を示している。この図に示す処理は、図15に示したクライアント無線通信装置300Aにおける機能部のいずれかが実行するものとしてみることができる。
【0117】
まず、応答制御部305Aは、ホスト無線通信装置200Aからの問い合わせが共通方式対応無線通信部307により受信されたか否かについて判定する(ステップS601)。問い合わせが受信された場合(ステップS601−YES)、応答制御部305Aは、ソフトウェア無線に対応する無線通信方式により、受信した問い合わせに対する応答を送信する(ステップS602)。つまり、応答制御部305Aは、ホスト無線通信装置200Aを宛先とする応答を無線通信処理部303に送信させる。問い合わせが受信されない場合には(ステップS601−YES)、上記ステップS602をスキップする。
【0118】
次に、情報ソース処理部306Aは、ホスト無線通信装置200Aから送信される情報ソースが共通方式対応無線通信部307または無線通信処理部303により受信されたか否かについて判定する(ステップS603)。情報ソースが受信された場合(ステップS603−YES)、情報ソース処理部206Aは、受信した情報ソースを記憶するための処理を実行する(ステップS604)。このステップS604の処理を終了した後、または、情報ソースが受信されない場合には、ステップS601に戻る。
【0119】
<変形例>
[第1の変形例]
次に、本実施形態における変形例について説明する。図19は、第1の変形例に対応する無線通信システムの一構成例を示している。第1の変形例は、第1の実施形態を基としている。なお、図19において、図1と同一部分には同一符号を付している。
【0120】
図19においては、図1に示した構成に対して、固定方式無線通信装置500−1および500−2が追加されている。ホスト無線通信装置200およびクライアント無線通信装置300は、ソフトウェア無線により無線通信方式が設定される。これに対して、固定方式無線通信装置500−1および500−2は、ハードウェアの仕様によって、無線通信方式が固定的に設定されている。
【0121】
ここでは、固定方式無線通信装置500−1は無線通信方式Bが固定的に設定されているものとする。固定方式無線通信装置500−2は無線通信方式Aが固定的に設定されているものとする。なお、以降において、固定方式無線通信装置500−1と500−2とで特に区別する必要のない場合には、固定方式無線通信装置500と記載する。
【0122】
第1の変形例は、固定方式無線通信装置500を含めてローカルエリアネットワークを形成する。このために、ホスト無線通信装置200およびクライアント無線通信装置300は、自己が行った問い合わせに応答を返送してきた端末が固定方式無線通信装置500である場合には、その固定方式無線通信装置500と接続を確立する。
【0123】
つまり、図19の例であれば、ホスト無線通信装置200が無線通信方式Bによる問い合わせを行うのに応じて、第1クライアント無線通信装置300−1と固定方式無線通信装置500−1が応答を返送してくる。そこで、ホスト無線通信装置200は、第1クライアント無線通信装置300−1と無線通信方式Bにより通信を確立する。第1の実施形態の場合、固定方式無線通信装置500−1からの応答は無視される。しかし、変形例におけるホスト無線通信装置200は、固定方式無線通信装置500−1とも無線通信方式Bにより通信を確立する。
【0124】
同様に、第1クライアント無線通信装置300−1が無線通信方式Aによる問い合わせを行うのに応じて、第2クライアント無線通信装置300−2と固定方式無線通信装置500−2が応答を返送してくる。そこで、第1クライアント無線通信装置300−1は、第2クライアント無線通信装置300−2と無線通信方式Aにより通信を確立する。そのうえで、固定方式無線通信装置500−2とも無線通信方式Aにより通信を確立する。
このように、変形例1においては、ソフトウェア無線により通信を行うクライアント無線通信装置300だけではなく、固定方式無線通信装置500A−1、500A−2もローカルエリアネットワークに含めることができる。
【0125】
[第2の変形例]
図20は、第2の変形例に対応する無線通信システムの一構成例を示している。第2の変形例は、第2の実施形態を基としている。なお、図20において、図10および図19と同一部分には同一符号を付している。
【0126】
図20においては、図10に示した構成に対して、固定方式無線通信装置500A−1および500A−2が追加されている。固定方式無線通信装置500A−1は、固定的に設定された無線通信方式Bによる無線通信と、共通無線通信方式による無線通信も可能に構成されている。固定方式無線通信装置500A−2は、固定的に設定された無線通信方式Aによる無線通信と、共通無線通信方式による無線通信も可能に構成されている。
【0127】
そして、図20におけるホスト無線通信装置200Aは、クライアント無線通信装置300Aの各々と接続を確立している。そのうえで、固定方式無線通信装置500A−1および500A−2とも接続を確立している。これにより、図20においては、クライアント無線通信装置300Aとともに固定方式無線通信装置500A−1、500A−2もローカルエリアネットワークに含めている。
【0128】
このようにローカルエリアネットワークを形成するには、以下のようにホスト無線通信装置200Aと固定方式無線通信装置500A−1および500A−2を動作させればよい。つまり、ホスト無線通信装置200Aは、第2の実施形態と同様に共通無線通信方式によりブロードキャストで問い合わせを送信する。固定方式無線通信装置500A−1は、共通無線通信方式による無線通信により問い合わせを受信すると、固定設定された無線通信方式Bによりホスト無線通信装置200Aに対して応答を送信するようにされている。固定方式無線通信装置500A−2は、共通無線通信方式による無線通信により問い合わせを受信すると、同じく固定設定された無線通信方式Aによりホスト無線通信装置200Aに対して応答を送信するようにされている。
【0129】
そして、ホスト無線通信装置200Aは、固定方式無線通信装置500A−1からの応答を受信するのに応じて、無線通信方式Bにより接続を確立するように動作する。同様に、ホスト無線通信装置200Aは、固定方式無線通信装置500A−2からの応答を受信するのに応じて、無線通信方式Cにより接続を確立するように動作する。これにより、固定方式無線通信装置500A−1および500A−2をローカルエリアネットワークに含めることができる。
【0130】
[第3の変形例]
図21は、第3の変形例に対応する無線通信システムの一構成例を示している。第3の変形例は、第2の実施形態を基としている。なお、図21において、図10と同一部分には同一符号を付している。
【0131】
図21においては、ホスト無線通信装置200Aが省略されている。そのうえで、ネットワーク制御装置100Bがクライアント無線通信装置300Aと接続を確立している。つまり、ネットワーク制御装置100Bを中心とするローカルエリアネットワークが形成されている。
【0132】
このようにネットワーク制御装置100Bによりローカルエリアネットワークを形成させるには、ネットワーク制御装置100Bに、図14に示したホスト無線通信装置200Aの機能を与えて構成する。つまり、ネットワーク制御装置100Bは、共通無線通信方式によりブロードキャストで問い合わせを送信する。そして、ネットワーク制御装置100Bは、この問い合わせに対する応答の受信に応じて、この応答の送信元のクライアント無線通信装置300Aと接続を確立する。この際、ネットワーク制御装置100Bは、応答が受信できた無線通信方式により接続を確立する。この変形例3の場合、例えば災害発生に応じて設置すべき装置は、ネットワーク制御装置100Bの一台のみで済むことになる。
【0133】
[変形例4]
変形例4では、ネットワーク制御装置100(100A、100B)に無線通信方式の選択ポリシーを与えるように構成する。つまり、図示による説明は省略するが、ローカルエリアネットワークが形成された後において、ネットワーク制御装置100は、ホスト無線通信装置200およびクライアント無線通信装置300から受信電力などの電波受信状況の指標となる所定のパラメータを取得する。そして、ネットワーク制御装置100は、取得したパラメータに基づいて、ホスト無線通信装置200およびクライアント無線通信装置300ごとに適切な無線通信方式をロードさせて設定するというものである。
【0134】
無線通信方式設定の具体例として、例えば電波状態が良好となる周波数帯域による無線通信方式を特定し、この無線通信方式を設定することが考えられる。また、電源関係の情報もホスト無線通信装置200およびクライアント無線通信装置300から取得するようにしたうえで、バッテリにより駆動されているものに対しては、低消費電力の無線通信方式を選択してこれをロードさせるというものである。
【0135】
なお、図1における処理部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより・・・・・・を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0136】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0137】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0138】
10…家屋, 100、100A、100B…ネットワーク制御装置, 101…通信部, 102…記憶部, 103…ロード制御部, 104、104A、104B…問い合わせ指示部, 105…情報ソース処理部, 200、200A…ホスト無線通信装置, 201…通信部, 202…ロード部, 203…無線通信処理部, 204、204A…問い合わせ制御部, 205…応答制御部, 206、206A…情報ソース処理部, 207…共通方式対応無線通信部, 300、300A…クライアント無線通信装置, 301…通信部, 302…ロード部, 303…無線通信処理部, 304…問い合わせ制御部, 305、305A…応答制御部, 306、306B…情報ソース処理部, 307…共通方式対応無線通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ異なる無線方式に対応するソフトウェアを複数記憶する無線信号処理装置と、前記無線信号処理装置に接続された第1の基地局と、前記第1の基地局との間で無線通信を行う第2の基地局と、を備える無線通信システムであって、
前記第1の基地局は、
前記ソフトウェアを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶される前記ソフトウェアが対応する前記無線方式に基づいて、前記第2の基地局に対し問い合わせを行う問い合わせ部と、
前記記憶部に記憶される全ての無線方式に基づいて前記問い合わせ部が問い合わせを行っても前記第2の基地局から応答が無い場合に、前記記憶部に記憶されていない無線方式のソフトウェアを前記無線信号処理装置から取得する取得部と、
を備え、
前記第2の基地局は、自装置が使用可能な無線方式で前記第1の基地局から問い合わせを受けた場合に、前記無線方式を用いて応答する応答部を備える無線通信システム。
【請求項2】
それぞれ異なる無線方式に対応するソフトウェアを複数記憶する無線信号処理装置と、前記無線信号処理装置に接続された第1の基地局と、前記第1の基地局との間で無線通信を行う第2の基地局と、を備える無線通信システムであって、
前記第1の基地局は、
共通の無線制御信号を用いて前記第2の基地局に対し問い合わせを行う問い合わせ部と、
前記問い合わせに応じて前記第2の基地局から応答を受信し、前記応答に用いられた無線方式を前記第2の基地局が使用可能な無線方式であると判定する判定部と、
を備え、
前記第2の基地局は、前記共通の無線制御信号を用いた問い合わせに応じて、自装置が使用可能な無線方式を用いて応答する応答部を備える無線通信システム。
【請求項3】
それぞれ異なる無線方式に対応するソフトウェアを複数記憶する無線信号処理装置と、前記無線信号処理装置に接続された第1の基地局と、前記第1の基地局との間で無線通信を行う第2の基地局と、を備える無線通信システムが行う無線通信方法であって、
前記第1の基地局が、前記ソフトウェアを記憶する記憶部から前記ソフトウェアを読み出し、前記ソフトウェアが対応する前記無線方式に基づいて、前記第2の基地局に対し問い合わせを行う問い合わせステップと、
前記第1の基地局が、前記記憶部に記憶される全ての無線方式に基づいて前記問い合わせを行っても前記第2の基地局から応答が無い場合に、前記記憶部に記憶されていない無線方式のソフトウェアを前記無線信号処理装置から取得する取得ステップと、
前記第2の基地局が、自装置が使用可能な無線方式で前記第1の基地局から問い合わせを受けた場合に、前記無線方式を用いて応答する応答ステップと、
を有する無線通信方法。
【請求項4】
それぞれ異なる無線方式に対応するソフトウェアを複数記憶する無線信号処理装置と、前記無線信号処理装置に接続された第1の基地局と、前記第1の基地局との間で無線通信を行う第2の基地局と、を備える無線通信システムが行う無線通信方法であって、
前記第1の基地局が、共通の無線制御信号を用いて前記第2の基地局に対し問い合わせを行う問い合わせステップと、
前記第1の基地局が、前記問い合わせに応じて前記第2の基地局から応答を受信し、前記応答に用いられた無線方式を前記第2の基地局が使用可能な無線方式であると判定する判定ステップと、
前記第2の基地局が、前記共通の無線制御信号を用いた問い合わせに応じて、自装置が使用可能な無線方式を用いて応答する応答ステップと、
を有する無線通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−98855(P2013−98855A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241362(P2011−241362)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】