説明

無線通信システム

【課題】鉄道会社が相互に異なる方式で車両の乗り入れを行う場合、また、鉄道の設備更新等により新旧のシステムが併用する場合があり、このような場合でも無線通信システムが両方式に使用できる無線通信システムを実現する。
【解決手段】統制局と、第1の通信方式を有する少なくとも第1の基地局と、上記第1の通信方式とは異なる第2の通信方式を有する少なくとも第2の基地局と、上記第1、第2の基地局と無線回線で接続される移動局を有し、上記第1と第2の基地局は、異なる基地局識別信号を送信し、上記移動局は、上記第1の通信方式を有する第1の基地局からの識別信号を受信する第1の送受信部と、上記第2の通信方式の第2の基地局からの識別信号を受信する第2の送受信部と、上記第1の送受信部および上記第2の送受信部を制御する第1の制御部を有し、上記第1の送受信部と上記第2の送受信部を切替えるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに関し、特に、異なる通信方式の混在した列車無線システムにおける通信方式の切替可能な無線通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、無線通信システムにおいては、列車等の移動局(以下移動局と称する。)が複数の基地局ゾーンにまたがって通信を行う場合、各基地局から異なる基地局識別信号を送信し、移動局では、受信した基地局識別信号を基地局指定信号として返送するといった一連のシーケンスを使用することによって、移動局と基地局の接続を行う方式が一般的であった。この方式によれば、次のゾーンが空いている場合は、接続の継続が可能であり、また、移動局が存在するゾーンを占有することができるため、通信効率が良い利点がある。
【0003】
従来の無線通信システム(例えば、特許文献1参照)の一例を図5に示す。図5において、501、502は、電波の輻射および受信を行う漏洩同軸ケーブル(以下LCXケーブルと言う。)で、LCXケーブル501、502毎に異なる無線ゾーンを構成する。503は、LCXケーブル501に接続され、LCXケーブル501のLCXゾーン(LCXゾーンAと言う。)を構成する基地局Aである。この基地局503は、アンテナ共用器505、受信機Rx506、送信機Tx507、基地局識別信号発生器508をもって無線基地局を構成する。同様に、504は、LCXケーブル502に接続され、LCXケーブル502のLCXゾーン(LCXゾーンBと言う。)を構成する基地局Bである。この基地局504は、アンテナ共用器509、受信機Rx510、送信機Tx511、基地局識別信号発生器512をもって無線基地局を構成する。各基地局503、504は、異なる基地局識別信号を送信し、移動局530は、受信した基地局識別信号を基地局指定信号として返送する。また、各基地局は、制御装置520にそれぞれ接続され、移動局530から返送された基地局指定信号を制御装置520に供給する。制御装置520は、基地局指定信号検出器521および522で検出された基地局指定信号に基づいて、切替器523を切り替えて受信する基地局系統を選択する。同様にして切替器524は、送信基地局系統を選択する。回線接続装置525は、制御装置520と電話等の端末526、527に接続されている。
【0004】
一方、移動局530は、アンテナ531でLCXケーブル501、502からの電波が受信され、共用器532を経由して受信機Rx533で復調され、回線接続装置536に供給される。また、受信機Rx533からの出力のもう一方は、基地局識別信号検出器535に供給され、その結果が回線接続装置536に出力される。回線接続装置536からの送信出力は、基地局識別信号に応じて、基地局指定信号と合成して送信機Tx534、共用器532を経由してアンテナ531から送信される。
【0005】
次に、図5に示すシステムの動作について説明する。図5において、基地局A503内の基地局識別信号発生器508から発生した信号は、送信機507から送信され、共用器505を経由して、常時LCXケーブル501から送信される。同様に、基地局B504内の基地局識別信号発生器512から発生した信号は、送信機511から送信され、共用器509を経由して常時LCXケーブル502から送信される。これら識別信号は、LCXゾーンAとLCXゾーンBでは異なるものである。移動局530がLCXゾーンAを通過しているとき、移動局530のアンテナ531でLCXケーブル501からの電波を受信し、共用器532、受信機533を経由して基地局識別信号検出器535で基地局識別信号CC1が検出される。
【0006】
移動局530が送信する場合は、基地局指定信号としてLCXゾーンAを指定する信号を付加して送信することにより、LCXゾーンAの基地局A503と通信回線が接続される。移動局530がLCXゾーンAをはずれて隣接するLCXゾーンBに入った場合は、移動局530のアンテナ531でLCXゾーンBからの電波を受信することになり、基地局識別信号検出器535でLCXゾーンBの基地局B504の識別信号CC2を検出する。また、送信するときの基地局指定信号は、LCXゾーンBを指定することにより、LCXゾーンBの基地局B504と通信回線が接続される。上述したように移動局と複数の基地局の異なるゾーン間での通信が順次切替えられ通信がなされるように構成されている。なお、上記従来の例では、基地局A503と基地局B504の2つの基地局で説明したが、実際には複数の基地局が数Kmから数十Kmの間隔で設置されている。
【0007】
さて、最近の鉄道会社では、乗客の利便性や業務拡大あるいは乗客確保等の観点から2社、3社の鉄道会社が相互に車両の乗り入れを行う場合が発生している。また、鉄道会社内でも鉄道の設備更新は、別の通信方式の採用等の場合、全線の設備更新や別の通信方式への切替を一度に行うことはコスト面で問題があり、鉄道沿線の部分的な設備更新や別の通信方式の採用等を行う場合が発生している。このような場合、従来の方法では、例えば、通信方法が変更になる場合では、フレームを監視するとか、あるいは、列車の車輪の回転数により設備の変更されているゾーンまでの距離を求める等の方法で、例えば、方式等を切替える方法が考えられるが、フレームの監視では、フレームのタイミングを予測することが難しく、また、列車の車輪の回転数により設備の変更されているゾーンまでの距離を求める方法では、ブレーキや伝送遅延などが原因で精度のある測定はできない。また、列車無線システムの他に列車の車輪の回転数を計測する機器や、距離を計測する始点毎に個別の設定が必要となる等の問題があり、このような問題を解決できる無線通信システムの実現が望まれている。
【0008】
【特許文献1】特開2000−49683号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
鉄道会社が相互に車両の乗り入れを行う場合があり、また、同じ鉄道会社内でも鉄道の設備更新等により新旧のシステムが併存する場合があり、このような場合にも無線通信システムが両方式に使用できる無線通信システムの実現が望まれている。
【0010】
本発明の目的は、異なる方式が混在する路線でも信頼性の高い無線通信システムを提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、異なる方式が混在する路線でも方式切替がスムーズに行える無線通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の無線通信システムは、統制局と、上記統制局に接続される第1の通信方式を有する少なくとも第1の基地局と、上記統制局に接続され、上記第1の通信方式とは異なる第2の通信方式を有する少なくとも第2の基地局と、上記第1、第2の基地局と無線回線で接続される移動局を有し、上記第1と第2の基地局は、異なる基地局識別信号を送信し、上記移動局は、上記第1の通信方式を有する第1の基地局からの識別信号を受信する第1の送受信部と、上記第2の通信方式の第2の基地局からの識別信号を受信する第2の送受信部と、上記第1の送受信部および上記第2の送受信部を制御する第1の制御部を有し、上記第1の制御部は、少なくとも上記第1の基地局からの識別信号または上記第2の基地局からの識別信号のいずれかの識別信号に基づいて上記第1の通信方式と上記第2の通信方式の境界を検出し、上記検出結果に基づいて上記第1の送受信部と上記第2の送受信部を切替えるように構成される。
【0013】
また、本発明の無線通信システムにおいて、更に、上記移動局の第1の送受信部および上記第2の送受信部は、それぞれ上記第1および第2の基地局から送信される信号の電界強度を検出する機能を有し、上記第1の送受信部または上記第2の送受信部のいづれか一方が所定の電界強度以下の電界強度を検出した場合、上記第1の制御部は、上記第1の送受信部と上記第2の送受信部を切替えるように構成される。
【0014】
また、本発明の無線通信システムにおいて、上記統制局は、上記第1の基地局と上記第2の基地局を切替接続する第2の制御部を有し、上記移動局は、上記第1の基地局または上記第2の基地局に基地局指定信号を送信する機能を有し、上記第2の制御部は、上記基地局指定信号に基づいて上記第1の基地局と上記第2の基地局を切替えるように構成される。
【0015】
また、本発明の無線通信システムにおいて、上記第1の通信方式と第2の通信方式は、アナログの異なる通信方式、デジタルの異なる通信方式またはアナログとデジタルの混在する通信方式のいずれかの通信方式であることを特徴とする無線通信システム。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、異なる方式が混在する路線でも信頼性の高い無線通信システムを実現でき、また、方式切替がスムーズに行える無線通信システムが実現できる特徴がある。また、従来のように方式切替のために距離を計測する機器なしでも切替地点を自動的に認識し、切替えることができるので、ブレーキなどの要因によって生じる誤差を小さくすることができる等の特徴がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施例を図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施例の概略構成のブロック図を示す。図1において、101−Aは、アナログA方式の統制局を表す。101−Bは、アナログA方式とアナログB方式の混在する統制局を表す。また、101−Cは、アナログB方式の統制局を表す。なお、統制局を代表する場合は、統制局101と称する。102−1(図示せず。)、・・・102−(m−4)、102−(m−3)、102−(m−2)、102−(m−1)、102−mは、それぞれ基地局A1(図示せず。)、・・・基地局A(m−4)、基地局A(m−3)、基地局A(m−2)、基地局A(m−1)、基地局Amを表す。なお、アナログA方式の基地局を代表する場合は、基地局A102と称する。103−1、103−2、103−3、103−4、・・・103−n(図示せず。)は、それぞれ基地局B1、基地局B2、基地局B3、基地局B4、・・・基地局Bn(図示せず。)を表す。なお、アナログB方式の基地局を代表する場合は、基地局B103と称する。104−1(図示せず。)、・・・104−(m−4)、104−(m−3)、104−(m−2)、104−(m−1)、104−mは、それぞれ漏洩同軸ケーブル(以下LCXと略称する。)104−1(図示せず。)、・・・LCX(m−4)、LCX(m−3)、LCX(m−2)、LCX(m−1)、LCXmを表す。なお、アナログA方式のLCXを代表する場合は、LCX104と称する。105−1、105−2、105−3、105−4、・・・105−n(図示せず。)は、それぞれLCX1、LCX2、LCX3、LCX4、・・・LCXnを表す。なお、アナログB方式のLCXを代表する場合は、LCX105と称する。106は、列車等の移動局を表している。
【0018】
さて、上述した統制局101、基地局A102、基地局B103、LCX104およびLCX105は、それぞれ図1に示すように伝送路で接続され、また、通信ゾーン1(図示せず。)、・・・(m−2)、(m−1)、m、1、2、・・・n(図示せず。)毎に分かれて配置されている。LCX104、105は、例えば、鉄道の線路に沿って敷設され、これらLCX104、105を介して移動局106と基地局A102および基地局B103との間の通信が行われる。
【0019】
ここで、アナログA方式とアナログB方式について説明する。先に説明したように、鉄道会社が相互に車両の乗り入れを行う場合とか、また、同じ鉄道会社内でも鉄道の設備更新等により新旧のシステムが併存される場合があることを説明した。このような場合、アナログA方式は、例えば、LCXから放出される周波数がF1、通信信号伝送のためのフレーム構成がT1であるのに対して、アナログB方式とは、例えば、LCXから放出される周波数がF2、通信信号伝送のためのフレーム構成がT2である場合が考えられる。このように周波数や信号のフレーム構成が異なる通信方式は、当然のことながら相互に通信を行うことは不可能である。本発明は、このように通信方式の異なる場合に両方の通信方式に対して送受信できる無線通信システムを実現するものである。なお、図1において、統制局A101−Aは、アナログA方式のゾーンに位置し、統制局101−Cは、アナログB方式のゾーンに位置している。しかしながら、統制局101−Bは、アナログA方式のゾーンとアナログB方式のゾーンとが混在するゾーンに位置している。そして、基地局A102−(m−4)、基地局A102−(m−3)は、統制局A101−Aのゾーンに位置し、基地局A102−(m−2)、基地局A102−(m−1)、基地局A102−m、基地局B103−1、基地局B103−2は、統制局B101−Bのゾーンに位置し、基地局B103−3、基地局B103−4は、統制局C101−Cのゾーンに位置している。
【0020】
次に、統制局101および基地局102および103について図2および図3を用いて説明する。図2は、アナログA方式のゾーンに位置する基地局A102−(m−2)と基地局A102−(m−1)および統制局101−Bの一部分を示す概略構成のブロック図である。なお、基地局A102−1〜基地局A102−(m−3)の(m−3)個の基地局Aは、全てアナログA方式のゾーンに位置するのでその構成は、全て図2に示す構成と同じであるので、基地局A102−(m−2)と基地局A102−(m−1)で代表して説明するものとする。同様に、基地局B103−2〜基地局B103−nの(n−1)個の基地局Bは、全てアナログB方式のゾーンに位置するのでその構成は、全て図2に示す構成とほぼ同じである。異なるのは、例えば、アナログA方式か、アナログB方式かの違いのみである。従って、基地局A102−(m−2)と基地局A102−(m−1)で代表して説明するものとする。ここで、説明の都合上、アナログA方式とは、本実施例では、例えば、上述したLCXから放出される周波数がF1、通信信号伝送のためのフレーム構成がT1であるような方式であり、アナログB方式とは、本実施例では、例えば、上述したLCXから放出される周波数がF2、通信信号伝送のためのフレーム構成がT2であるような方式とするが、これに限定されるものではない。また、図2に示す実施例の構成および動作は、図5に示す従来の無線通信システムとほぼ同様であるので、ここでは簡単に説明する。
【0021】
図2において、ゾーン(M−2)を構成する基地局A102−(m−2)は、アンテナ共用器201、受信機ARx202、送信機ATx203、基地局識別信号発生器204で構成されている。同様に、基地局A102−(m−1)は、アンテナ共用器210、受信機ARx211、送信機ATx212、基地局識別信号発生器213で構成されている。ここで、各基地局A102−(m−2)、102−(m−1)は、それぞれ異なる基地局識別信号、例えば、識別IDとしてAS(m−2)、AS(m−1)を送信し、移動局106は、受信した基地局識別信号を基地局指定信号として返送する。また、各基地局は、制御部220にそれぞれ接続され、移動局106から返送された基地局指定信号を制御部220に供給する。制御部220は、基地局指定信号検出器221および222で検出された基地局指定信号に基づいて、切替器223を切替えて受信する基地局系統を選択する。同様にして切替器224は、送信基地局系統を選択する。回線接続装置225は、制御部220と電話等の端末226、227に接続されている。
【0022】
図3は、統制局Bの一部分と、基地局A102−mおよび基地局B103−1の概略構成のブロック図を示す。なお、基地局A102−mと基地局B103−1とは、アナログA方式のゾーンからアナログB方式のゾーンに切替わるゾーンに位置している。図3において、基地局A102−mは、LCX104−mに接続され、LCXゾーンmを構成する基地局A102−mである。この基地局A102−mは、アンテナ共用器301、アナログA方式受信機ARx302、アナログA方式送信機ATx303、基地局識別信号ASmを発生する基地局識別信号発生器304で構成されている。また、基地局B103−1は、LCX105−1に接続され、LCX105−1のLCXゾーン1を構成する基地局B103−1である。この基地局B103−1は、アンテナ共用器310、アナログB方式受信機BRx311、アナログB方式送信機BTx312、基地局識別信号BS1を発生する基地局識別信号発生器313をもって無線基地局を構成する。従って、各基地局A102−mおよび基地局B103−1は、異なる基地局識別信号ASmおよびBS1を送信する。
【0023】
305は、基地局A102−mを介して後述する移動局106から送られてくる基地局指定信号を検出する基地局指定信号検出部である。306は、インターフェース部(I/F部)であり、このI/F部306を介して基地局A102−mは、回線接続装置324と接続される。また、314は、基地局B103−1を介して後述する移動局106から送られてくる基地局指定信号を検出する基地局指定信号検出部である。315は、インターフェース部(I/F部)であり、このI/F部315を介して基地局B103−1は、回線接続装置324と接続される。321は、制御部(第2の制御部という。)であり、基地局指定信号検出部305および314からの基地局指定信号が入力され、この基地局指定信号に基づいてI/F部306および315が制御される。322は、カウンタ、323は、記憶部である。また、325、326は、電話等の端末装置である。
【0024】
図4は、移動局106の概略構成のブロック図を示す。図4において、401は、アナログA方式送受信部、402は、アナログB方式送受信部、403は、制御部(第1の制御部という。)、404は、回線接続装置、405、406は、電話等の端末装置である。アナログA方式送受信部401は、アンテナ411、アンテナ共用器412、アナログA方式受信部413、アナログA方式送信部414、基地局識別信号を検出する基地局識別信号検出器415、I/F部416で構成されている。また、アナログB方式送受信部402は、アンテナ421、アンテナ共用器422、アナログB方式受信部423、アナログB方式送信部424、基地局識別信号を検出する基地局識別信号検出器425、I/F部426で構成されている。また、制御部403は、カウンタ431および記憶部403を有し、基地局識別信号検出器415および424からの検出信号に基づいてI/F部416および426を制御する。
【0025】
次に、図1〜4を用いて本発明の無線通信システムの動作を説明する。まず、移動局106は、図1に示す矢印の方向に進行しているものとする。そして、この移動局106が、基地局A102−(m−2)のゾーン(m−2)を通過している場合について図2を用いて説明する。基地局A102−(m−2)内の基地局識別信号発生器204で発生された基地局識別信号AS(m−2)は、アナログA方式送信部203から送信され、共用器201を経由して、常時LCXケーブル104−(m−2)から送信される。この時のアナログA方式は、前述のように、例えば、周波数F1、通信信号伝送のためのフレーム構成がT1であるような信号が送信される。同様に、基地局A102−(m−1)内の基地局識別信号発生器213で発生された基地局識別信号AS(m−1)は、アナログA方式送信部212から送信され、共用器210を経由して常時LCXケーブル104−(m−1)から送信される。
【0026】
而して、移動局106が基地局A102−(m−2)のゾーン(m−2)を通過していると、移動局106のアナログA方式送受信部401が基地局A102−(m−2)と信号の送受信を行う。即ち、アンテナ411がLCXケーブル104−(m−2)からの電波を受信し、共用器412、アナログA方式受信部413を経由して基地局識別信号検出器415で基地局識別信号AS(m−2)を検出する。この信号を検出すると、基地局識別信号検出器415は、制御部403に基地局識別信号AS(m−2)を供給する。制御部403では、この信号を受けると、カウンタ431で基地局A102−(m−2)をカウントし、I/F部416を回線接続装置404に接続するように制御する。なお、制御部403の動作については、後述する。
【0027】
一方、基地局識別信号AS(m−2)を検出した移動局106は、基地局A102−(m−2)を指定する信号、例えば、基地局指定信号AS(m−2)を、移動局106から送信する信号に添付して送信する。移動局106から基地局指定信号AS(m−2)を添付された信号は、回線接続装置404からI/F部416、アナログA方式送信部414、共用器412、アンテナ411からLCXケーブル104−(m−2)に送信する。基地局A102−(m−2)は、LCXケーブル104−(m−2)から移動局106からの信号を受信すると、共用器201、アナログA方式受信部202を介して基地局指定信号検出部221で、基地局指定信号AS(m−2)を検出し、切替器223、224に供給する。切替器223、224は、基地局102の切替を制御する機能を有している。なお、本実施例では、切替器223、224は、基地局A102−(m−2)および基地局A102−(m−1)の切替のみ示しているが、3以上の基地局がある場合には、それぞれについて切替動作をする機能を有している。図2の場合、基地局指定信号AS(m−2)を検出しているので、切替器223、224は、移動局106がゾーン(m−2)を通過中であると判断し、回線接続装置225をアナログA方式受信部202およびアナログA方式送信部203に接続する。これによって移動局106の端末装置405、406と統制局Bの端末装置226、227が通話することができる。なお、本実施例では、基地局識別信号AS(m−2)と基地局指定信号AS(m−2)を同じ信号としているが、基地局指定信号を基地局識別信号と異なるようにすることもできる。
【0028】
同様に、移動局106が基地局A102−(m−1)のゾーン(m−1)に進入すると、移動局106のアナログA方式送受信部401が基地局A102−(m−1)と信号の送受信を行う。即ち、アンテナ411がLCXケーブル104−(m−1)からの電波を受信し、共用器412、アナログA方式受信部413を経由して基地局識別信号検出器415で基地局識別信号AS(m−1)を検出する。この信号を検出すると、基地局識別信号検出器415は、制御部403に基地局識別信号AS(m−1)を供給する。制御部403では、この信号を受けると、カウンタ431で基地局A102−(m−1)をカウントし、I/F部416を回線接続装置404に接続するように制御する。なお、制御部403の動作については、後述する。
【0029】
一方、基地局識別信号AS(m−1)を検出した移動局106は、基地局A102−(m−1)を指定する信号、例えば、基地局指定信号AS(m−1)を、移動局106から送信する信号に添付して送信する。移動局106から基地局指定信号AS(m−1)を添付された信号は、回線接続装置404からI/F部416、アナログA方式送信部414、共用器412、アンテナ411からLCXケーブル104−(m−1)に送信する。基地局A102−(m−1)は、LCXケーブル104−(m−1)から移動局106からの信号を受信すると、共用器210、アナログA方式受信部211を介して基地局指定信号検出部222で、基地局指定信号AS(m−1)を検出し、切替器223、224に供給する。切替器223、224は、前述したように基地局102の切替を制御する機能を有している。そして、図2の場合、基地局指定信号AS(m−1)を検出しているので、切替器223、224は、移動局106がゾーン(m−1)を通過中であると判断し、回線接続装置225をアナログA方式受信部211およびアナログA方式送信部212に接続する。これによって移動局106の端末装置405、406と統制局Bの端末装置226、227が通話することができる。このようにして移動局106の進行に合わせて基地局102が順次切替えられ、移動局106と基地局102が通信できるように構成されている。
【0030】
以上の説明では、同一の通信方式、即ち、上記実施例では、アナログA方式のゾーンを移動局106が通過している場合、上記の切替で順次基地局102が切替えられ、通信が継続される。しかしながら、通信方式が異なる場合、例えば、移動局106がアナログA方式のゾーンからアナログB方式のゾーンに侵入する場合、即ち、基地局A102―mから基地局B103−1に移動局106が移動する場合、上記のように切替を行うことができない。これは、基地局A102―mと基地局B103−1の通信方式が異なるため、移動局106のアナログA方式送受信部401は、基地局B103−1からの信号を受信できないことによる。
【0031】
本発明は、これを解決するものである。これについて図3、図4を用いて説明する。まず、図3および図4に示す制御部321の記憶部323および制御部403の記憶部432には、表1に示される基地局ID(または番号)とゾーン渡りカウンタNo.が記憶されている。以下、このテーブルを基地局IDテーブルと称する。
【0032】
【表1】

表1において、通信方式は、アナログA方式、アナログB方式を表し、基地局名(またはID)は、図1に示す各基地局102および103を表す。ゾーン渡りカウンタNo.は、移動局106が所定の基地局のゾーンから次の基地局のゾーンへ移るときに各制御部321のカウンタ322および制御部403のカウンタ431のカウント番号をカウントする、所謂、ゾーン渡りカウンタNo.を表している。
【0033】
さて、先に説明したように移動局106が基地局A102−(m−1)を通過中の場合、基地局指定信号AS(m−1)が切替器223および224に供給されることを説明した。これら切替器223および224の基地局指定信号AS(m−1)は、制御部321にも供給される(図示せず。)。従って、各制御部321および403では、それぞれの記憶部323および432に記憶されている表1に示される基地局IDテーブルを参照することにより移動局106がどの基地局の通信ゾーンを通過中であるかが分かる。
【0034】
次に、移動局106が基地局A102−mのゾーンmから基地局B103−1のゾーン1に移動する場合について説明する。まず、基地局A102−m内の基地局識別信号発生器303で発生された基地局識別信号ASmは、アナログA方式送信部303から送信され、共用器301を経由して、常時LCXケーブル104−mから送信される。一方、基地局B103−1内の基地局識別信号発生器313で発生された基地局識別信号BS1は、アナログB方式送信部312から送信され、共用器310を経由して常時LCXケーブル105−1から送信される。
【0035】
而して、移動局106が基地局A102−mのゾーンmを通過している間、移動局106のアナログA方式送受信部401が基地局A102−mと信号の送受信を行う。即ち、アンテナ411がLCXケーブル104−mからの電波を受信し、共用器412、アナログA方式受信部413を経由して基地局識別信号検出器415で基地局識別信号ASmを検出する。この信号を検出すると、基地局識別信号検出器415は、制御部403に基地局識別信号ASmを供給する。制御部403では、この信号を受けると、表1に示す基地局IDテーブルに基づいてカウンタ431は、ゾーン渡りカウンタNo.を1つインクリメントし、“19”とする。ここで、mは、例えば、20とする。即ち、アナログA方式の基地局が20基地局あるとした場合である。そして、ゾーン渡りカウンタNo.19は、まだ、アナログA方式の基地局であることが分かる。従って、制御部403は、I/F部416を回線接続装置404に接続するように制御する。
【0036】
一方、基地局識別信号ASmを検出した移動局106は、基地局A102−mを指定する信号、例えば、基地局指定信号ASmを、移動局106から送信する信号に添付して送信する。移動局106から基地局指定信号ASmを添付された信号は、回線接続装置404からI/F部416、アナログA方式送信部414、共用器412、アンテナ411からLCXケーブル104−mに送信する。基地局A102−mは、LCXケーブル104−mから移動局106からの信号を受信すると、共用器301、アナログA方式受信部302を介して基地局指定信号検出部305で、基地局指定信号ASmを検出する。検出された基地局指定信号ASmは、制御部321に供給される。制御部321では、この信号を受けると、表1に示す基地局IDテーブルに基づいてカウンタ322は、ゾーン渡りカウンタNo.を1つインクリメントし、“19”とする。
【0037】
制御部321では、記憶部323に記憶されている表1に示す基地局IDテーブルから、まだ、基地局A102−mを通過中であることが分かるので、制御部321は、I/F部306を制御して、回線接続装置324を基地局102−mに接続する。これによって移動局106の端末装置405、406と統制局101−Bの端末装置325、326が通話することができる。
【0038】
次に、移動局106が、更に、走行し、基地局B103−1のゾーン1に入ったとすると、移動局106のアナログA方式送受信部401は、アナログB方式の基地局B103−1と接続されているLCXケーブル105−1からの信号を受信できない。しかしながら、移動局106のアナログB方式送受信部402は、アナログB方式の基地局B103−1と接続されているLCXケーブル105−1からの信号を受信することができる。
【0039】
さて、統制局101−Bの制御部321と移動局106の制御部403では、先に説明したようにゾーン渡りカウンタNo.19をカウントすると、次のゾーン渡りカウンタNo.20では、アナログA方式のゾーンからアナログB方式のゾーンに切替わることが前もって記憶部323および403に記憶されているので、移動局106の進行する所定の時点で制御部101−Bの制御部321は、I/F部306をOFFし、I/F部315をONし、回線制御装置324をアナログB方式の基地局103−1に接続する。同様に、移動局106の制御部403は、I/F部416をOFFし、I/F部426をONし、回線接続装置404をアナログB方式送受信部402に接続する。同時に、制御部321および403のカウンタ322および431を1つインクリメントして、ゾーン渡りカウンタNo.を“20”とする。
【0040】
その結果、基地局B103−1内の基地局識別信号発生器312で発生された基地局識別信号BS1は、アナログB方式送信部312から送信され、共用器310を経由して、LCXケーブル105−1から送信される。
【0041】
従って、移動局106のアナログB方式送受信部402が基地局B103−1と信号の送受信を行う。即ち、アンテナ421がLCXケーブル105−1からの電波を受信し、共用器422、アナログB方式受信部423を経由して基地局識別信号検出器425で基地局識別信号BS1を検出する。この信号を検出すると、基地局識別信号検出器425は、制御部403に基地局識別信号BS1を供給する。これによって回線接続装置404は、送信信号に基地局指定信号BS1を添付してI/F部426、アナログB方式送信部424、共用器422、アンテナ421からLCXケーブル105−1に送信する。基地局B103−1では、移動局106からの信号を共用器310、アナログB方式受信部311、基地局指定信号検出器314に供給する。基地局指定信号検出器314では、移動局106から送信された基地局指定信号BS1を検出し、制御部321に供給する。制御部321では、基地局指定信号BS1に基づき、カウンタ322を1つインクリメントして、ゾーン渡りカウンタNo.を20とする。更に、移動局106が順次基地局103を通過するに従って、前述したアナログB方式の基地局103と順次切替わることは、アナログA方式の基地局102で説明した場合と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0042】
なお、上記実施例では、記憶部323および432に表1に示すように、例えば、列車の沿線の全基地局を記憶した場合について説明したが、表2に示すように、アナログA方式からアナログB方式に変わる統制局101−Bに所属する基地局のみを記憶することもできる。また、この方が記憶部の記憶容量や、カウンタのカウント回数も少なくすることができる。
【0043】
【表2】

表2において、通信方式は、アナログA方式、アナログB方式を表し、基地局名(またはID)は、図1に示す統制局101−Bに所属する基地局を表す。ゾーン渡りカウンタNo.は、移動局106が各基地局のゾーンをわたる場合にカウントされるカウントNo.0〜5を示している。従って、表2においては、アナログA方式からアナログB方式に変わる場合のゾーン渡りカウンタNo.は、“3”となる。
【0044】
次に、先の説明で移動局106の進行に従って基地局を順次切替える方法について説明する。まず、アナログA方式のゾーンに位置する基地局A102−1〜基地局A102−(m−1)の切替について図6を用いて説明する。各基地局ゾーンの境界でのLCXケーブルは、図6に示されるようになっている。図6において、横軸は、距離を、縦軸は、LCXケーブルから漏洩される電波の電界強度Eを示している。また、601は、LCXケーブル1からの漏洩電波の電界強度曲線、602は、LCXケーブル2からの漏洩電波の電界強度曲線を示している。そして、Lは、LCXケーブルの間隙を示し、約1mから数mの長さである。この図6から明らかなようにLCXケーブル1と2の間隙部分Lでは、電界強度が減少し、基地局ゾーンが変わることを示している。即ち、基地局指定信号が変わることに相当する。
【0045】
これについて基地局A102−(m−2)と基地局A102−(m−1)を例にして説明する。移動局106が基地局A102−(m−2)のゾーン(m−2)を移動している場合、移動局106のアナログA方式送受信部401のアナログA方式受信部413は、基地局A102−(m−2)のLCXケーブル104−(m−2)(図6に示すLCX1に相当する。)から十分なレベルの電波が受信され、これによって基地局A102−(m−2)と通信が行われている。移動局106のアンテナ411が次第にLCXケーブル1と2の間隙部分Lに近づくと、アナログA方式受信部413で受信できる漏洩電波の電界強度が電界強度曲線601で示されるように次第に減少し、遂に、閾値Eth以下に減少する。この情報は、アナログA方式受信部413から制御部403に供給される。なお、本実施例では、電界強度は、例えば、アンテナ411から入力されるアナログA方式受信部413のRF増幅部(図示せず。)の利得を検出することで計測することができる。以下の説明でも同様である。
【0046】
一方、移動局106のアナログA方式送受信部401のアナログA方式受信部413には、基地局A102−(m−1)のLCXケーブル104−(m−1)(図6に示すLCX2に相当する。)からの信号が受信され始め、移動局106の進行に従って、アナログA方式受信部413で受信できる漏洩電波の電界強度が電界強度曲線602で示されるように次第に増加し、遂に、閾値Eth以上に増加する。この情報は、アナログA方式受信部413から制御部403に供給される。従って、制御部403では、LCXケーブル104−(m−2)からの電界強度が閾値Eth以下に減少する時点(またはLCXケーブル104−(m−1)からの電界強度が閾値Eth以上に増加する時点)で、カウンタ431を1つインクリメントして、ゾーン渡りカウンタNo.を“19”とする。なお、このようにカウンタ431を1つインクリメントして、ゾーン渡りカウンタNo.を1づつ増加する方法は、他の基地局ゾーンを変更する場合も同様である。また、閾値Ethは、前もって実験的に定めておくことができる。
【0047】
次に、基地局A102−mと基地局B103−1のゾーン切替について説明する。この場合のゾーン切替は、アナログA方式の通信方式からアナログB方式の通信方式に切替が必要である。まず、移動局106が基地局A102−mのゾーンmを移動している場合、移動局106のアナログA方式送受信部401のアナログA方式受信部413は、基地局A102−mのLCXケーブル104−m(図6に示すLCX1に相当する。)から十分なレベルの電波が受信され、これによって基地局A102−mと通信が行われている。移動局106のアンテナ411が次第にLCXケーブル1と2の間隙部分Lに近づくと、アナログA方式受信部413で受信できる漏洩電波の電界強度が電界強度曲線601で示されるように次第に減少し、遂に、閾値Eth以下に減少する。この情報は、アナログA方式受信部413から制御部403に供給される。更に、移動局106が進行すると、遂には、アナログA方式受信部413では、基地局A102−mの信号を受信できなくなる。勿論、アナログA方式受信部413は、通信方式の異なるアナログB方式の基地局B103−1との通信はできない。
【0048】
従って、本発明では、アナログA方式の通信方式からアナログB方式の通信方式に切替えるタイミングを表3に示す条件に設定している。
【0049】
【表3】

即ち、表3に示すようにアナログA方式受信部413で受信できる漏洩電波の電界強度E(図6の電界強度曲線601で示される電界強度)が次第に減少し、閾値Eth以下(E≦Eth)となった場合、制御部403は、記憶部432に記憶されているゾーン渡りカウンタNo.を参照し、その時点で、ゾーン渡りカウンタNo.が“19”であれば、制御部403は、I/F部416をOFFし、I/F部426をONする。これによってアナログB方式送受信部402が回線接続装置404に接続される。その結果、移動局106のアナログB方式送受信部402のアナログA方式受信部423には、基地局B103−1のLCXケーブル105−1(図6のLCX2に相当する。)からの信号が受信され始め、移動局106の進行に従って、アナログB方式受信部423で受信できる漏洩電波の電界強度が電界強度曲線602で示されるように次第に増加する。これによって移動局106のアナログB方式送受信部402は、アナログB方式の基地局B103−1と通信を行うことができる。
【0050】
上記実施例では、基地局および移動局のゾーン切替について説明したが、統制局101−A、統制局101−Bあるいは統制局101−Cも相互に情報の交換が行われるので、当然、通信方式が異なる場合、相互に通信が可能なように方式等を共通化するための変換が必要である。従って、相互に必要なインターフェースを有することは言うまでもないが、図1の実施例では、省略してある。以下の実施例でも同様である。
【0051】
以上、詳細に説明したが、上記実施例では、アナログA方式の通信方式からアナログB方式の通信方式に切替えるタイミングをアナログA方式の通信方式の場合の電界強度が所定の電界強度の閾値Eth以下になる時点として説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、移動局106が統制局101−Aのゾーンから統制局101−Bのゾーンに進入した時点からの距離を計測することによりI/F部416、I/F部426を切替えるようにすることもできる。この場合、記憶部432には、前もって統制局101−Aのゾーンと統制局101−Bのゾーンとの境界から基地局A102−mのゾーンと基地局B103−1のゾーンとの境界までの距離を記憶し、移動局106に取り付けられた距離計と比較し、基地局A102−mのゾーンと基地局B103−1のゾーンとの境界を超えた時点で制御部403がI/F部416、I/F部426を切替えるようにすることもできる。また、このように統制局101−Aのゾーンと統制局101−Bのゾーンとの境界から基地局A102−mのゾーンと基地局B103−1のゾーンとの境界までの距離に基づいてI/F部416、I/F部426を切替えるようにすることにより、移動局の始発から長い距離を計測する必要がなく、また、計測距離が短いので、切替のタイミングの精度が向上する利点がある。勿論、電界強度が所定の電界強度の閾値Eth以下になる時点を切替のタイミングとする上記の実施例は、最も精度が信頼できる特徴がある。
【0052】
図7は、本発明の他の一実施例の概略構成のブロック図を示す。図7に示す実施例では、全てデジタル方式であるが、デジタルA方式とデジタルB方式が混在する場合を示している。図7において、701−Aは、デジタルA方式の統制局を表す。701−Bは、デジタルA方式とデジタルB方式の混在する統制局を表す。また、701−Cは、デジタルB方式の統制局を表す。なお、デジタル統制局を代表する場合は、デジタル統制局701と称する。702−1(図示せず。)、・・・702−(m−4)、702−(m−3)、702−(m−2)、702−(m−1)、702−mは、それぞれデジタル基地局A1(図示せず。)、・・・デジタル基地局A(m−4)、デジタル基地局A(m−3)、デジタル基地局A(m−2)、デジタル基地局A(m−1)、デジタル基地局Amを表す。なお、デジタルA方式の基地局を代表する場合は、デジタル基地局A702と称する。703−1、703−2、703−3、703−4、・・・703−n(図示せず。)は、それぞれデジタル基地局B1、デジタル基地局B2、デジタル基地局B3、デジタル基地局B4、・・・デジタル基地局Bn(図示せず。)を表す。なお、デジタルB方式の基地局を代表する場合は、デジタル基地局B703と称する。704−1(図示せず。)、・・・704−(m−4)、704−(m−3)、704−(m−2)、704−(m−1)、704−mは、それぞれ漏洩同軸ケーブルLCX1(図示せず。)(以下漏洩同軸ケーブルをLCXと略称する。)、・・・LCX(m−4)、LCX(m−3)、LCX(m−2)、LCX(m−1)、LCXmを表す。なお、LCXを代表する場合は、LCX704と称する。705−1、705−2、705−3、705−4、・・・705−n(図示せず。)は、それぞれLCX1、LCX2、LCX3、LCX4、・・・LCXnを表す。なお、LCXを代表する場合は、LCX705と称する。706は、列車等の移動局を表している。
【0053】
さて、上述したデジタル統制局701、デジタル基地局A702、デジタル基地局B703、LCX704およびLCX705は、それぞれ図7に示すように伝送路で接続され、また、通信ゾーン1(図示せず。)、・・・(m−2)、(m−1)、m、1、2、・・・n(図示せず。)毎に分かれて配置されている。LCX704、705は、例えば、鉄道の線路に沿って敷設され、これらLCX704、705を介して移動局706とデジタル基地局A702およびデジタル基地局B703との間の通信が行われる。
【0054】
さて、図7に示されるデジタル方式の無線通信システムは、図1に示されるアナログ方式の無線通信システムとほぼ同じである。即ち、デジタル方式の無線通信システムは、回路構成が全てデジタル回路で構成され、伝送される信号もデジタル信号である点を除けば、アナログ方式の無線通信システムと同じである。また、移動局706も全てデジタル回路で構成され、図4に示されるアナログ方式の移動局と実質的に同じである。即ち、アナログA方式送受信部がデジタルA方式送受信部に、また、アナログB方式送受信部がデジタルB方式送受信部に変更になる程度であるので、デジタル方式の移動局の構成については、説明を省略する。また、デジタル方式の無線通信システムの動作についてのアナログ方式と類似しているので、説明は省略する。
【0055】
図8は、本発明の更に他の一実施例の概略構成のブロック図を示す。図8に示す実施例では、デジタル方式とアナログ方式が混在する場合を示している。図8において、801−Aは、デジタルA方式の統制局を表し、図7に示すデジタルA方式の統制局701−Aと同じである。801−Bは、デジタルA方式とアナログB方式の混在する統制局を表す。これについては後述する。また、801−Cは、アナログB方式の統制局を表し、図1に示すアナログB方式の統制局101−Cと同じである。802−(m−4)、802−(m−3)、802−(m−2)、802−(m−1)、802−mは、デジタルA方式の基地局を表し、図7に示すデジタル基地局A702−(m−4)、デジタル基地局A702−(m−3)、デジタル基地局A702−(m−2)、デジタル基地局A702−(m−1)、デジタル基地局A702−mに対応する。なお、デジタル基地局を代表する場合は、デジタル基地局A802と称する。また、803−1、803−2、803−3、803−4、は、それぞれアナログ基地局Bを表し、図1に示すアナログ基地局B103−1、アナログ基地局B103−2、アナログ基地局B103−3、アナログ基地局B103−4に対応する。なお、アナログ基地局を代表する場合は、アナログ基地局B803と称する。
【0056】
また、804−(m−4)、804−(m−3)、804−(m−2)、804−(m−1)、804−mは、それぞれ漏洩同軸ケーブルLCX(m−4)、LCX(m−3)、LCX(m−2)、LCX(m−1)、LCXmを表し、図7に示す漏洩同軸ケーブルLCX704―(m−4)、LCX704―(m−3)、LCX704―(m−2)、LCX704―(m−1)、LCX704―mに対応する。805−1、805−2、805−3、805−4は、それぞれLCX1、LCX2、LCX3、LCX4を表し、図1に示すLCX105−1、LCX105−2、LCX105−3、LCX105−4に対応する。806は、移動局である。
【0057】
さて、上述したデジタル統制局801―A、統制局801−B、アナログ統制局801−C、デジタル基地局A802、アナログ基地局B803、LCX804およびLCX805は、それぞれ図8に示すように伝送路で接続され、また、通信ゾーン毎に分かれて配置されている。LCX804、805は、例えば、鉄道の線路に沿って敷設され、これらLCX804、805を介して移動局806とデジタル基地局A802およびアナログ基地局B803との間の通信が行われる。
【0058】
図9は、統制局801−Bの一部分と、デジタル基地局A802−mおよびアナログ基地局B803−1の概略構成のブロック図を示す。なお、デジタル基地局A802−mとアナログ基地局B803−1とは、デジタルA方式のゾーンからアナログB方式のゾーンに切替わるゾーンに位置している。図9において、デジタル基地局A802−mは、LCX804−mに接続され、LCXゾーンmを構成するデジタル基地局A802−mである。このデジタル基地局A802−mは、アンテナ共用器901、デジタルA方式受信機ARx902、デジタルA方式送信機ATx903、基地局識別信号ASm、例えば、mを20とすると、デジタル信号“10100”(アナログ番号20に相当するデジタル信号)を発生する基地局識別信号発生器904で構成されている。905は、DAC(デジタル/アナログ変換器)であり、デジタルA方式受信機ARx902のデジタル信号をアナログ信号に変換し、統制局801−Bに供給する。906は、ADC(アナログ/デジタル変換器)であり、統制局801−Bのアナログ出力信号をデジタル信号に変換し、デジタルA方式送信機ATx903に供給する。
【0059】
また、アナログ基地局B803−1は、LCX805−1に接続され、LCX805−1のLCXゾーン1を構成するアナログ基地局B803−1である。このアナログ基地局803−1は、アンテナ共用器910、アナログB方式受信機BRx911、アナログB方式送信機BTx912、基地局識別信号BS1、例えば、No.21を発生する基地局識別信号発生器913をもって無線基地局を構成する。
【0060】
907は、デジタル基地局A802−mを介して後述する移動局806から送られてくる基地局指定信号を検出する基地局指定信号検出部である。908は、インターフェース部(I/F部)であり、このI/F部908を介してデジタル基地局A802−mは、回線制御装置924と接続される。また、914は、アナログ基地局B803−1を介して後述する移動局806から送られてくる基地局指定信号を検出する基地局指定信号検出部である。915は、インターフェース部(I/F部)であり、このI/F部915を介してアナログ基地局B803−1は、回線接続装置924と接続される。921は、制御部であり、基地局指定信号検出部907および914からの基地局指定信号が入力され、この基地局指定信号に基づいてI/F部908および915が制御される。922は、カウンタ、923は、記憶部である。また、925、926は、電話等の端末装置である。
【0061】
図10は、移動局806の概略構成のブロック図を示す。図10において、1001は、デジタルA方式送受信部、1002は、アナログB方式送受信部、1003は、制御部、1004は、回線接続装置、1005、1006は、電話等の端末装置である。デジタルA方式送受信部1001は、アンテナ1011、アンテナ共用器1012、デジタルA方式受信部1013、デジタルA方式送信部1014、デジタルA方式受信部1013からのデジタル信号をアナログ信号に変換するDAC(デジタル/アナログ変換器)1015、基地局識別信号を検出する基地局識別信号検出器1016、I/F部1018、I/F部1018のアナログ信号出力をデジタル信号出力に変換し、デジタルA方式送信部1014に供給するADC(アナログ/デジタル変換器)1017で構成されている。
【0062】
また、アナログB方式送受信部1002は、アンテナ1021、アンテナ共用器1022、アナログB方式受信部1023、アナログB方式送信部1024、基地局識別信号を検出する基地局識別信号検出器1025、I/F部1026で構成されている。また、制御部1003は、カウンタ1031および記憶部1032を有し、基地局識別信号検出器1016および1025からの検出信号に基づいてI/F部1018および1026を制御する。
【0063】
而して、上述した図9に示す統制局801−B、デジタル基地局802−mおよびアナログ基地局B803−1の構成は、図3に示す構成とほぼ同じであり、異なる点は、デジタル基地局802−mの入出力がデジタル信号であり、そのためデジタル基地局802−mがDAC905およびADC906を介して統制局801−Bに結合されることである。従って、図9に示すシステムの動作は、図3に示すシステムの動作とほぼ類似するので、その動作説明は省略する。また、上述した図10に示すデジタルA方式送受信部1001、アナログB方式送受信部1002、制御部1003、回線制御装置1004の構成は、図4に示す構成とほぼ同じであり、異なる点は、デジタルA方式送受信部1001の入出力がデジタル信号であり、そのためデジタルA方式受信部ARx1013のデジタル出力信号がDAC1015でアナログ信号に変換されI/F部1018に入力され、また、I/F部1018からのアナログ出力信号がADC1017でデジタル信号に変換され、デジタルA方式送信部ATx1014に供給されることである。従って、図10に示す移動局806の動作も図4に示す移動局106とほぼ同じであるので詳細な動作説明は省略する。
【0064】
なお、図9においては、統制局801−Bは、アナログ方式とし、デジタル基地局A802−mをデジタル方式とし、デジタル基地局A802−mの入出力信号をDAC905およびADC906でアナログ信号に変換する方式について説明したが、この方式に限定られるものではなく、例えば、統制局801−Bをデジタル方式の統制局とし、アナログ基地局B803−1のアナログ入出力信号をA/D変換器およびD/A変換器でデジタル信号に変換し、アナログ基地局B803−1をデジタル方式の統制局801−Bと接続するようにすることもできる。
【0065】
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は、ここに記載された無線通信システムの実施例に限定されるものではなく、上記以外の無線通信システムのような方式の異なるシステムが混在する場合のシステムであっても容易に適応することが出来ることは、いうまでも無い。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施例の概略構成のブロック図を示す。
【図2】図1に示す本発明の一実施例の統制局および基地局の概略構成のブロック図を示す。
【図3】図1に示す本発明の一実施例の統制局および他の基地局の概略構成のブロック図を示す。
【図4】図1に示す本発明の一実施例の移動局の概略構成のブロック図を示す。
【図5】従来の無線通信システムの一例の概略構成のブロック図を示す。
【図6】本発明の動作を説明するための電界強度分布を示す図である。
【図7】本発明の他の一実施例の概略構成のブロック図を示す。
【図8】本発明の更に他の一実施例の概略構成のブロック図を示す。
【図9】図8に示す本発明の更に他の一実施例の統制局および基地局の概略構成のブロック図を示す。
【図10】図8に示す本発明の更に他の一実施例の移動局の概略構成のブロック図を示す。
【符号の説明】
【0067】
101:統制局、102、103:基地局、104、105、501、502、704、705、804、805:漏洩同軸ケーブル、106、530、706、806:移動局、201、210、301、310、412、422、505、509、532、901、910、1012、1022:共用器、202、302、413:アナログA方式受信部、203、303、414:アナログA方式送信部、204、213、304、313、508、512、535、913:基地局識別信号発生器、211、311、423、911、1023:アナログB方式受信部、212、312、424、912、1024:アナログB方式送信部、221、222、305、314、521、522、907、914:基地局指定信号検出器、223、224、523、524:切替器、225、324、404、525、536、924、1004:回線接続装置、226、227、325、326、405、406、526、527、925、926、1005、1006:端末装置、306、315、416、908、915、1018、1026:I/F部、220、321、403、921、1003:制御部、322、431、922、1031:カウンタ、323、432、923、1032:記憶部、401:アナログA方式送受信部、402、1002:アナログB方式送受信部、411、421、531、1011、1021:アンテナ、415、425、1016、1025:基地局識別信号検出器、503:基地局A、504:基地局B、506、510、533:受信機、507、511、534:送信機、701、801−A:デジタル統制局、702、802:デジタル基地局A、703:デジタル基地局B、801−C:アナログ統制局、803:アナログ基地局B、902、1013:デジタルA方式受信部、903、1014:デジタルA方式送信部、904:デジタル識別信号発生器、905、1015:DAC、906、1017:ADC、1001:デジタルA方式送受信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
統制局と、上記統制局に接続される第1の通信方式を有する少なくとも第1の基地局と、上記統制局に接続され、上記第1の通信方式とは異なる第2の通信方式を有する少なくとも第2の基地局と、上記第1、第2の基地局と無線回線で接続される移動局を有し、上記第1と第2の基地局は、異なる基地局識別信号を送信し、上記移動局は、上記第1の通信方式を有する第1の基地局からの識別信号を受信する第1の送受信部と、上記第2の通信方式の第2の基地局からの識別信号を受信する第2の送受信部と、上記第1の送受信部および上記第2の送受信部を制御する第1の制御部を有し、上記第1の制御部は、少なくとも上記第1の基地局からの識別信号または上記第2の基地局からの識別信号のいずれかの識別信号に基づいて上記第1の通信方式と上記第2の通信方式の境界を検出し、上記検出結果に基づいて上記第1の送受信部と上記第2の送受信部を切替えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
請求項1記載の無線通信システムにおいて、更に、上記移動局の第1の送受信部および上記第2の送受信部は、それぞれ上記第1および第2の基地局から送信される信号の電界強度を検出する機能を有し、上記第1の送受信部または上記第2の送受信部のいづれか一方が所定の電界強度以下の電界強度を検出した場合、上記第1の制御部は、上記第1の送受信部と上記第2の送受信部を切替えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
請求項1記載の無線通信システムにおいて、上記統制局は、上記第1の基地局と上記第2の基地局を切替接続する第2の制御部を有し、上記移動局は、上記第1の基地局または上記第2の基地局に基地局指定信号を送信する機能を有し、上記第2の制御部は、上記基地局指定信号に基づいて上記第1の基地局と上記第2の基地局を切替えることを特徴とする無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−288305(P2007−288305A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−110612(P2006−110612)
【出願日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】