無線通信システム
【課題】所定の周期でスリープモードからアクティブモードに移行するデバイスに対して、構成デバイス間の同期をとることなく、必要に応じて遠隔からアクティブモードの状態を継続させることができるようにする。
【解決手段】無線操作端末3から機器情報の設定対象として所望の下位デバイス(例えば、下位デバイス2−1)を指定しての起床要求S3を上位デバイス1に送信する。上位デバイス1は、起床要求S3を受信し、下位デバイス2−1の通信アドレス0002を含む起床要求応答S4を無線操作端末3へ返送する。また、上位デバイス1は、起床要求S3の受信後、下位デバイス2−1からの計測データを受信した時点で、受信状態継続要求S7を付加したACKを下位デバイス2−1へ返送する。これにより、下位デバイス2−1の受信状態が継続され、無線操作端末3からの機器情報の設定が可能となる。
【解決手段】無線操作端末3から機器情報の設定対象として所望の下位デバイス(例えば、下位デバイス2−1)を指定しての起床要求S3を上位デバイス1に送信する。上位デバイス1は、起床要求S3を受信し、下位デバイス2−1の通信アドレス0002を含む起床要求応答S4を無線操作端末3へ返送する。また、上位デバイス1は、起床要求S3の受信後、下位デバイス2−1からの計測データを受信した時点で、受信状態継続要求S7を付加したACKを下位デバイス2−1へ返送する。これにより、下位デバイス2−1の受信状態が継続され、無線操作端末3からの機器情報の設定が可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、所定の周期でスリープモードからアクティブモードに移行するデバイスに対して機器情報設定端末から無線通信により機器情報を設定する無線通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、建築建物における空調制御システム等では、施工コストの削減やレイアウト変更の柔軟性を考慮し、センサとコントローラ間などの通信線のワイヤレス化が図られており、このワイヤレス化に伴って、電池駆動型のセンサが採用されている。この電池駆動型のセンサには、保守面から、数年程度の電池交換周期が要求される。
【0003】
このため、電池駆動型のセンサでは、所定の周期で短時間の間、CPUをウェイクアップさせ、その間に計測データをコントローラへ送るようにして、消費電力を抑えている。すなわち、所定の周期でスリープモードからアクティブモードに移行し、アクティブモードに移行している期間において、計測データをコントローラへ送るようにしている。
【0004】
また、この電池駆動型のセンサでは、通信アドレスやネットワーク識別子、送信周期などの機器情報の設定変更が必要な場合がある。しかし、電池駆動型のセンサは、上述したように、所定の周期で短時間の間でしかアクティブモードに移行せず、通常時はスリープモードとされている。このため、従来においては、電池駆動型のセンサにディップスイッチ等を設けて、強制的にアクティブモードの状態を継続させ、その間に所望の機器情報の設定変更を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−266254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電池駆動型のセンサにディップスイッチ等を設けて強制的にアクティブモードの状態を継続させる方法では、電池駆動型のセンサにディップスイッチ等の物理的設定手段を必要とし、コストアップとなる。また、作業性も悪い。
【0007】
なお、特許文献1には、複数の通信局と、複数の通信局との間のアクセスを制御する制御局とからなる無線通信システムにおいて、スリープ状態にある通信局は制御局から送信されるスリープ状態を解除させる起動指令信号を受信すると、自局を通常状態に設定するための通信局状態変更要求信号を制御局に返送し、制御局からの通信状態を通常状態に設定された通信局状態信号を受信した場合にスリープモードを解除する構成が開示されている。
【0008】
しかし、この特許文献1に示された構成において、通信局はスリープモードであっても所定のタイミングで起動指令信号の受信を継続する必要があり、この技術を電池駆動型のセンサに適用した場合、消費電力が大きくなり、電池寿命が短くなってしまう。さらに、起動指令信号を所定のタイミングで受信するためには制御局側との同期手段が必要となり、電池駆動型のセンサの構成が複雑となりコストアップとなる。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、所定の周期でスリープモードからアクティブモードに移行するデバイスに対して、構成デバイス間の同期をとることなく、必要に応じて遠隔からアクティブモードの状態を継続させることができる無線通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的を達成するために本発明は、常時アクティブモードとされる上位デバイスと、この上位デバイスと無線接続され所定の周期でスリープモードからアクティブモードに移行する下位デバイスと、この下位デバイスに対して無線通信によりそのデバイスで使用される情報を機器情報として設定する機器情報設定端末とを備えた無線通信システムにおいて、下位デバイスに、アクティブモードに移行する毎に、上位デバイスへデータを送信し、このデータの送信に対して返送されてくる上位デバイスからの応答を受信する送受信手段を設け、機器情報設定端末に、機器情報の設定対象として所望の下位デバイスを指定してのユーザからの起床要求を上位デバイスに送信する起床要求送信手段を設け、上位デバイスに、機器情報設定端末からの下位デバイスを指定しての起床要求に応えて、その指定された下位デバイスからのデータの送信に対して返送する応答に、その下位デバイスにおける受信状態の継続を指示する受信状態継続要求を含ませる受信状態継続要求手段を設けたものである。
【0011】
この発明において、上位デバイスは、機器情報設定端末からの下位デバイスを指定しての起床要求に応えて、その指定された下位デバイスからのデータの送信に対して返送する応答に、その下位デバイスにおける受信状態の継続を指示する受信状態継続要求を含ませるが、この上位デバイスからの受信状態継続要求を含む応答を受信した下位デバイスでは、機器情報設定端末からの機器情報の設定が終了するまで受信状態を継続させるようにしてもよいし、受信状態を所定時間継続させるようにしてもよい。受信状態を所定時間継続させる場合、その継続させる時間を上位デバイスからの受信状態継続要求に含ませるようにしてもよいし、下位デバイスに記憶させておいてもよい。また、受信状態を所定時間継続させる場合、機器情報設定端末よりその下位デバイスに対して、定期的に受信状態の継続を延長させる受信状態継続延長要求を送信するようにするとよい。
【0012】
また、本発明において、機器情報設定端末に、機器情報の設定対象として指定された下位デバイスに宛ててユーザからの設定情報を含む機器情報設定要求を送信する機器情報設定要求送信手段を設け、下位デバイスに、機器情報設定端末から送られてくる機器情報設定要求を受信し、その機器情報設定要求に含まれている設定情報を機器情報として設定する機器情報設定手段を設け、さらに、機器情報設定端末に、機器情報の設定対象として指定された下位デバイスに宛てて機器情報問合わせ要求を送信する機器情報問合せ手段と、この機器情報問合せ手段からの機器情報問合わせ要求に応じて下位デバイスから返送されてくる現在設定されている機器情報を受信する機器情報受信手段と、この機器情報受信手段によって受信された機器情報を表示する機器情報表示手段と、この機器情報表示手段により表示された機器情報をユーザ操作に応じて変更する機器情報変更手段とを設ける構成とすることも考えられる。このような構成とした場合、機器情報設定要求送信手段は、機器情報変更手段によって変更された機器情報を設定情報として含む機器情報設定要求を機器情報の設定対象として指定された下位デバイスに宛てて送信する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、機器情報設定端末に、機器情報の設定対象として所望の下位デバイスを指定してのユーザからの起床要求を上位デバイスに送信する起床要求送信手段を設け、上位デバイスに、機器情報設定端末からの下位デバイスを指定しての起床要求に応えて、その指定された下位デバイスからのデータの送信に対して返送する応答に、その下位デバイスにおける受信状態の継続を指示する受信状態継続要求を含ませる受信状態継続要求手段を設けるようにしたので、所定の周期でスリープモードからアクティブモードに移行するデバイス(下位デバイス)に対して、構成デバイス間の同期をとることなく、必要に応じて遠隔からアクティブモードの状態を継続させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る無線通信システムをジグビープロトコルを利用した無線通信システムへ適用した例を示す図である。
【図2】この無線通信システムにおいて無線操作端末から下位デバイスに対して機器情報の設定変更を行う際の動作を説明するためのシーケンス図である。
【図3】この無線通信システムにおける無線操作端末が実行する特有の処理動作を示すフローチャートである。
【図4】図3に続くフローチャートである。
【図5】この無線通信システムにおける上位デバイスが実行する特有の処理動作を示すフローチャートである。
【図6】この無線通信システムにおける下位デバイスが実行する特有の処理動作を示すフローチャートである。
【図7】図6に続くフローチャートである。
【図8】定周期でスリープモードからアクティブモードに移行する下位デバイスにおける通常の動作を示すタイムチャートである。
【図9】無線操作端末の画面上に表示される周辺に位置する下位デバイスの一覧を例示する図である。
【図10】この無線通信システムにおける無線操作端末の機能ブロック図である。
【図11】この無線通信システムにおける上位デバイスの機能ブロック図である。
【図12】この無線通信システムにおける下位デバイスの機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。図1に本発明に係る無線通信システムをジグビープロトコルを利用した無線通信システムへ適用した例を示す。
【0016】
この例では、常時アクティブモードとされるルータ1が上位デバイスとして設けられ、このルータ1に所定の周期でスリープモードからアクティブモードに移行する2台の電池駆動型のセンサ2(2−1,2−2)が下位デバイスとして無線接続されているものとする。3は携帯型の無線操作端末であり、ルータ1および電池駆動型のセンサ2−1,2−2との通信可能圏内に位置している。以下、ルータ1を上位デバイスと呼び、電池駆動型のセンサ2を下位デバイスと呼ぶ。
【0017】
また、この例において、上位デバイス1には固有の識別子#00と通信アドレス0001が設定され、下位デバイス2−1には固有の識別子#01と通信アドレス0002が設定され、下位デバイス2−2には固有の識別子#02と通信アドレス0003が設定されている。また、上位デバイス1の記憶部には、自己と無線接続された(親子の接続関係が結ばれた)下位デバイス2の識別子と通信アドレスとの対応関係を示すテーブルTB1が作成されている。
【0018】
以下、このような状態になっていることを前提として、上位デバイス1、下位デバイス2および無線操作端末3が有する特有の機能について、図2に示すシーケンス図および図3〜図7に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、この例では、ユーザ操作により無線操作端末3から下位デバイス2−1に対して、所望の機器情報の設定変更を行うものとする。
【0019】
〔機器情報の設定変更前〕
下位デバイス2−1は、通常の動作として、所定の周期でスリープモードからアクティブモードに移行し、アクティブモードに移行している期間において、計測データを上位デバイス1に送信する(図2:矢印(1),(3))。下位デバイス2−1からの計測データを受信した上位デバイス1は、計測データを受信した旨の応答(ACK)を下位デバイス2−1へ返す(図2:矢印(2),(4))。
【0020】
なお、図2において、tは下位デバイス2−1がウェイクアップしている時間(アクティブモードとされている時間(以下、定周期アクティブ時間と呼ぶ))、T1は下位デバイス2−1がスリープモードとされている時間である。
【0021】
図8にこの時の下位デバイス2−1のタイムチャートを示す。下位デバイス2−1は、(T1+t)時間の周期でt時間の間、スリープモードからアクティブモードに移行し、計測データを上位デバイス1に送信する。
【0022】
このようにして、下位デバイス2−1は、アクティブモードに移行する毎に、上位デバイス1への計測データの送信および上位デバイス1からのACKの受信を繰り返す。この下位デバイス2−1の動作は、図6に示すフローチャートにおけるステップS301〜S307の処理動作の繰り返しによって得られる。
【0023】
このステップS301〜S307の処理動作において、下位デバイス2−1は、スリープモードを所定時間T1維持した後(ステップS301,S302)、ウェイクアップモードに移行し(ステップS303)、計測データを上位デバイス1に送信する(ステップS304)。この計測データには自デバイスの識別子#01と通信アドレス0002を付加する。
【0024】
また、下位デバイス2−1は、計測データの送信に対し、上位デバイス1からのACKが所定時間経過しても受信されない場合(ステップS306のYES)、ステップS304へ戻って、計測データの再送信を行う。
【0025】
また、下位デバイス2−1は、上位デバイス1からのACKが受信される毎に、そのACKに受信状態継続要求(後述)が含まれているか否かを確認する(ステップS307)。この場合、上位デバイス1からのACKには受信状態継続要求が含まれていないので、ステップS301へ戻り、ステップS301〜S307の処理動作を繰り返す。
【0026】
〔周辺に位置する下位デバイスの探索〕
ユーザは、下位デバイス2−1に対する機器情報の設定変更を行うにあたって、無線操作端末3における探索ボタン(図示せず)をオンとする(図2:矢印(5))。
【0027】
無線操作端末3は、探索ボタンがオンとされると(図3:ステップS101のYES)、上位デバイス1に対して機器特定情報問合わせ要求S1を送信する(ステップS102、図2:矢印(6))。この機器特定情報問合わせ要求S1の送信はブロードキャストで行う。
【0028】
上位デバイス1は、無線操作端末3からの機器特定情報問合わせ要求S1を受信して(図5:ステップS201のYES)、自己と無線接続されている下位デバイス2の識別子と自己の通信アドレスを機器特定情報S2として無線操作端末3へ返送する(ステップS202、図2:矢印(7))。この例では、下位デバイス2−1,2−2の識別子#01,#02と自己の通信アドレス0001を機器特定情報S2として返送する。
【0029】
無線操作端末3は、上位デバイス1からの機器特定情報S2を受信すると(ステップS103のYES)、その機器特定情報S2に含まれている下位デバイス2の識別子を周辺に位置する下位デバイスの一覧として表示する(ステップS104)。この場合、機器特定情報S2には下位デバイス2−1,2−2の識別子#01,#02が含まれているので、この識別子#01,#02が図9に示すように一覧G1中に表示される。
【0030】
〔所望の下位デバイスを指定しての起床要求の送信〕
ユーザは、この下位デバイスの一覧G1から所望の下位デバイスとして、下位デバイス2−1の識別子#01を選択指定する(図2:矢印(8))。すると、無線操作端末3は、下位デバイス2−1が機器情報の設定対象として指定されたことを認識し(ステップS105のYES)、この指定された下位デバイス2−1に対する起床要求(#01の起床要求)S3を上位デバイス1に対して送信する(ステップS106、図2:矢印(9))。
【0031】
上位デバイス1は、無線操作端末3からの下位デバイス2−1に対する起床要求を受信すると(ステップS203のYES)、下位デバイス2−1の通信アドレス0002を含む起床要求応答S4を無線操作端末3に返送する(ステップS205、図2:矢印(10))。なお、下位デバイス2−1の通信アドレス0002は、識別子#01に対応する通信アドレスとしてテーブルTB1から取得する。また、下位デバイス2−1の通信アドレス0002を起床要求応答S4に含ませるのではなく、無線操作端末3から上位デバイス1に対して別途問合わせを行うことによって得るようにしてもよい。
【0032】
〔受信状態継続延長要求の定周期送信の開始〕
無線操作端末3は、上位デバイス1からの起床要求応答S4を受信すると(ステップS107のYES)、この起床要求応答S4に含まれている通信アドレス0002によって特定される下位デバイス2−1に対する、すなわちユーザが機器情報の設定対象として指定した下位デバイス2−1に対する、受信状態継続延長要求S5の定周期での送信を開始する(ステップS109、図2:矢印(11))。この受信状態継続延長要求S4には所定の延長時間tyを含める。
【0033】
なお、この時点では、下位デバイス2−1はスリープモードとなっているので、無線操作端末3からの受信状態継続延長要求S4を受信することができない。したがって、下位デバイス2−1は、受信状態継続延長応答S6(後述)を返送しない(図2:矢印(12))。
【0034】
〔起床要求応答返送後の計測データの受信(受信状態継続要求を付加したACKの返送)〕
上位デバイス1は、無線操作端末3への起床要求応答S4の返送後(ステップS205)、下位デバイス2−1から送られてくる最初の計測データを受信すると(ステップS206のYES、図2:矢印(13))、受信状態継続要求S7を付加したACKを下位デバイス2−1に対して返送する(ステップS208、図2:矢印(14))。この受信状態継続要求S7には所定の継続時間txを含める。
【0035】
下位デバイス2−1は、上位デバイス1からの受信状態継続要求S7が付加されたACKを受信すると(ステップS307のYES)、定周期アクティブ時間tに受信状態継続要求S7に含まれている継続時間txを加算し、この加算した時間t+txを受信状態継続時間とする(ステップS308)。すなわち、下位デバイス2−1は、定周期アクティブ時間tの経過後もtx時間、アクティモードの状態を継続する。なお、下位デバイス2−1は、アクティモードの状態を継続している場合にも、上位デバイス1への計測データの定周期での送信を続ける。
【0036】
下位デバイス2−1は、このt+txの受信状態を継続している間、無線操作端末3からの受信状態継続延長要求S5を受信すると(ステップS309(図7)のYES、図2:矢印(15))、その時の受信状態継続時間t+txに受信状態継続延長要求S5に含まれている延長時間tyを加算し、この加算した時間t+tx+tyを延長された新たな受信状態継続時間とし、受信状態継続延長応答S6を無線操作端末3に返送する(ステップS310、図2:矢印(16))。
【0037】
〔機器情報の問合わせ〕
ここで、一例として、t+tx+tyの受信状態継続時間中に、ユーザ操作により(図2:矢印(17))、無線操作端末3から下位デバイス2−1に宛てて機器情報問合わせ要求S8が送信されたとする(ステップS110(図4)、図2:矢印(18))。
【0038】
すると、下位デバイス2−1は、無線操作端末3からの機器情報問合わせ要求S8を受信して(ステップS311のYES)、現在設定されている機器情報を含む機器情報問合わせ応答S9を無線操作端末3へ返送する(ステップS312、図2:矢印(19))。
【0039】
無線操作端末3は、下位デバイス2−1からの機器情報問合わせ応答S9を受信し(ステップS111のYES)、その受信した機器情報問合わせ応答S9に含まれる機器情報を表示する(ステップS113)。すなわち、無線操作端末3は、下位デバイス2−1に現在設定されている通信アドレスやネットワーク識別子、送信周期などの機器情報を表示する。
【0040】
〔機器情報の設定変更〕
ユーザは、この表示された機器情報より、所望の機器情報を選択し、その機器情報の設定を変更する。例えば、ネットワーク識別子を変更したい場合、現在設定されているネットワーク識別子を確認し、その識別子の値を所望の値に変更する。そして、ユーザ操作により(図2:矢印(20))、その変更した機器情報を設定情報として含む機器情報設定要求S10を無線操作端末3から下位デバイス2−1へ送信する(ステップS114、図2:矢印(21))。
【0041】
下位デバイス2−1は、無線操作端末3からの機器情報設定要求S10を受信し(ステップS313のYES)、受信した機器情報設定要求S10に含まれている機器情報をメモリに記憶して、無線操作端末3へ機器情報設定応答S11を返送する(ステップS314、図2:矢印(22))。この場合、受信した機器情報設定要求S10に含まれている機器情報が例えばネットワーク識別子であれば、設定されている現在のネットワーク識別子が変更後のネットワーク識別子に書き替えられるものとなる。
【0042】
無線操作端末3は、下位デバイス2−1からの機器情報設定応答S11を受信すると(ステップS115のYES)、下位デバイス2−1での機器情報の設定変更の処理が終了したことを表示する(ステップS117)。
【0043】
〔受信状態継続延長要求の停止〕
ユーザは、他に機器情報の設定変更がなければ、機器情報の設定の終了を指示する(ステップS118のYES、図2:矢印(23))。すると、無線操作端末3は、それまで定周期で続けていた受信状態継続延長要求S5の送信を停止する(ステップS119)。
【0044】
これにより、下位デバイス2−1は、t+tx+tyの受信状態継続時間の経過後(ステップS315のYES)、アクティブモードを継続した状態(常時受信状態)を解除し、所定の周期でスリープモードからアクティブモードに移行する通常の状態に遷移する。すなわち、ステップS315のYESに応じてステップS301へ戻り、ステップS301〜S307の処理動作を繰り返すようになる。
【0045】
なお、上述した実施の形態では、下位デバイス2−1が上位デバイス1からの受信状態継続要求S7を受信した場合、t+txを受信状態継続時間とするようにしたが、受信状態継続要求S7を受信した時点からtx時間を受信状態継続時間とするようにしてもよい。同様に、下位デバイス2−1が無線操作端末3からの受信状態継続延長要求S5を受信した場合、この受信状態継続延長要求S5を受信した時点からty時間を延長された新たな受信状態継続時間とするようにしてもよい。
【0046】
また、上述した実施の形態では、無線操作端末3からの受信状態継続延長要求S5の送信の停止後(機器情報の設定の終了指示後)、t+tx+tyの受信状態継続時間が経過した時点で、下位デバイス2−1のアクティブモードを継続した状態(常時受信状態)が解除されるものとしたが、無線操作端末3からの受信状態継続延長要求S5の送信を停止(機器情報の設定の終了指示)すると同時に、下位デバイス2−1に対してアクティブモードを継続した状態(常時受信状態)を解除するメッセージを送信するようにし、t+tx+tyの受信状態継続時間の経過を待たずに即座に、所定の周期でスリープモードからアクティブモードに移行する通常の状態に遷移させるようにしてもよい。
【0047】
また、上述した実施の形態では、上位デバイス1からの下位デバイス2−1への受信状態継続要求S7に受信状態の継続時間txを含めるようにしたが、下位デバイス2−1に受信状態の継続時間txを記憶させるようにし、受信状態の継続を指示するだけとしてもよい。受信状態の延長時間tyについても、無線操作端末3から下位デバイス2−1への受信状態継続延長要求S5に含めるのではなく、下位デバイス2−1に記憶させるようにし、受信状態の継続延長を指示するだけとしてもよい。
【0048】
また、上述した実施の形態では、上位デバイス1から下位デバイス2−1へ受信状態継続要求S7を送った場合、下位デバイス2−1での受信状態をt+tx時間だけ継続させるようにしたが、下位デバイス2−1における受信状態を時間を限ることなく継続させるようにしてもよい。例えば、上位デバイス1から下位デバイス2−1へ受信状態の継続のみを指示する受信状態継続要求を送り、無線操作端末3からの機器情報の設定が終了した時点で、下位デバイス2−1における受信状態の継続を終了させるようにすることが考えられる。この場合、無線操作端末3からの受信状態継続延長要求S5の定期的な送信は不要となる。
【0049】
また、上述した実施の形態では、機器情報の設定変更を行う前に、現在設定されている機器情報の問合わせを行うようにしたが、機器情報の問合わせは必ずしも行わなくてもよい。すなわち、機器情報の問合わせを省略して、機器情報の設定変更を直ちに行うようにしてもよい。また、この例では、機器情報の設定変更を行うものとしたが、機器情報の初期設定を行う場合も同様にして行うことが可能であることは言うまでもない。
【0050】
また、上述した実施の形態では、一例として、t+tx+tyの受信状態継続時間中(1回目の受信状態継続延長要求S5の受け付け後)に機器情報の設定変更を行うものとしたが、t+txの受信状態継続時間中(1回目の受信状態継続延長要求S5の受け付け前)に機器情報の設定変更を行う場合もあり得る。また、2回目、3回目というように受信状態継続延長要求S5が多数回受け付けられた後に、機器情報の設定変更を行う場合もあり得る。この場合、受信状態継続時間が受信状態継続延長要求S5が受け付けられる毎に、延長されるものとなる。なお、電池の消耗を避けるため、受信状態継続延長要求S5の送信回数を所定回数で打ち切るようにすることも考えられる。
【0051】
〔機能ブロック図〕
この無線通信ネットワークにおいて、上位デバイス1、下位デバイス2および無線操作端末3は、プロセッサや記憶装置からなるハードウェアと、これらのハードウェアと協働して各種機能を実現させるプログラムとによって実現される。図10に無線操作端末3の機能ブロック図を示し、図11に上位デバイス1の機能ブロック図を示し、図12に下位デバイス2の機能ブロック図を示す。
【0052】
〔無線操作端末〕
無線操作端末3は、ユーザ操作入力設定表示部3Aと、ユーザ操作入力設定表示部3Aでのユーザ操作に応じて上位デバイスへの機器特定情報問合わせ要求S3を送信する機器特定情報問合わせ要求送信部3Bと、機器特定情報問合わせ要求送信部3Bからの機器特定情報問合わせ要求S3に応じて返送されてくる上位デバイスからの機器特定情報S2を受信してユーザ操作入力設定表示部3Aへ送る機器特定情報受信部3Cと、機器情報の設定対象として所望の下位デバイスを指定してのユーザからの起床要求S3を上位デバイスに送信する起床要求送信部3Dと、起床要求送信部3Dからの起床要求S3に応じて返送されてくる上位デバイスからの起床要求応答S4を受信してユーザ操作入力設定表示部3Aへ送る起床要求応答受信部3Eと、起床要求応答受信部3Eが受信した起床要求応答S4に含まれている通信アドレスを取得し、この通信アドレスによって特定される下位デバイスへ受信状態継続延長要求S5を定周期で送信する受信状態継続延長要求送信部3Fと、受信状態継続延長要求送信部3Fからの受信状態継続延長要求S5に応じて返送されてくる下位デバイスからの受信状態継続延長応答S6を受信してユーザ操作入力設定表示部3Aへ送る受信状態継続延長応答受信部3Gとを備えている。
【0053】
また、無線操作端末3は、ユーザ操作入力設定表示部3Aでのユーザ操作に応じ、起床要求応答受信部3Eが受信した起床要求応答S4に含まれる通信アドレスによって特定される下位デバイスへ、機器情報問合わせ要求S8を送信する機器情報問合わせ要求送信部3Hと、機器情報問合わせ要求送信部3Hからの機器情報問合わせ要求S8に応じて返送されてくる下位デバイスからの機器情報問合わせ応答S9を受信してユーザ操作入力設定表示部3Aへ送る機器情報問合わせ応答受信部3Iと、ユーザ操作入力設定表示部3Aでのユーザ操作に応じ、起床要求応答受信部3Eが受信した起床要求応答S4に含まれる通信アドレスによって特定される下位デバイスへ、機器情報設定要求S10を送信する機器情報設定要求送信部3Jと、機器情報設定要求送信部3Jからの機器情報設定要求S10に応じて返送されてくる下位デバイスからの機器情報設定応答S11を受信してユーザ操作入力設定表示部3Aへ送る機器情報設定応答受信部3Kとを備えている。
【0054】
この無線操作端末3の機能ブロック図において、起床要求送信手段3Dが本発明でいう起床要求送信手段に相当し、受信状態継続延長要求送信3Fが受信状態継続延長要求送信手段に相当し、機器情報設定要求送信部3Jが機器情報設定要求送信手段に相当し、機器情報問合わせ要求送信部3Hが機器情報問合わせ手段に相当し、情報問合わせ応答受信部3Iが機器情報受信手段に相当し、ユーザ操作入力設定表示部3Aが機器情報表示手段や機器情報変更手段に相当する。
【0055】
〔上位デバイス〕
上位デバイス1は、記憶部1Aと、下位デバイスからの計測データを受信する計測データ受信部1Bと、計測データ受信部1Bが受信した下位デバイスからの計測データを記憶部1Aに書き込む計測データ書込部1Cと、計測データ書込部1Cによる計測データの記憶部1Aへの書き込みが終了したことを示すACKを作成するACK作成部1Dと、ACK作成部1Dが作成したACKを計測データの送信元の下位デバイスへ返送するACK送信部1Eとを備えている。なお、記憶部1Aには、上位デバイス1の識別子や通信アドレス、ネットワーク識別子、上位デバイス1と無線接続されている下位デバイスの識別子と通信アドレスとの対応関係などが記憶されている。
【0056】
また、上位デバイス1は、無線操作端末からの機器特定情報問合わせ要求S1を受信する機器特定情報問合わせ要求受信部1Fと、機器特定情報問合わせ要求受信部1Fが受信した機器特定情報問合わせ要求S1に応じて上位デバイス1と無線接続されている下位デバイスの識別子を含む機器特定情報S2を生成する機器特定情報生成部1Gと、機器特定情報生成部1Fが生成した機器特定情報S2を無線操作端末に送信する機器特定情報送信部1Hとを備えている。
【0057】
また、上位デバイス1は、無線操作端末からの下位デバイスを指定しての起床要求S3を受信する起床要求受信部1Iと、起床要求受信部1Iが受信した下位デバイスを指定しての起床要求S3に応えてその下位デバイスの通信アドレスを含む起床要求応答S4を無線操作端末に返送する起床要求応答送信部1Jと、起床要求受信部1Iが受信した下位デバイスを指定しての起床要求S3に応えて、その指定された下位デバイスからの計測データの送信に対して返送するACKに、その下位デバイスにおける受信状態の継続を指示する受信状態継続要求S7を含ませる受信状態継続要求作成部1Kとを備えている。なお、受信状態継続要求作成部1Kは、受信状態継続要求S7に所定の延長時間txを含ませる。
【0058】
この上位デバイス1の機能ブロック図において、受信状態継続要求作成部1Kが本発明でいう受信状態継続要求手段に相当する。
【0059】
〔下位デバイス〕
下位デバイス2は、記憶部2Aと、温度や湿度などを計測しその計測したデータを記憶部2Aに書き込む計測部2Bと、記憶部2Aに書き込まれた計測データを上位デバイスへ送信する計測データ送信部2Cと、計測データ送信部2Cからの計測データに応じて返送されてくる上位デバイスからのACKを受信するACK受信部2Dと、自己の動作モードを所定の周期でスリープモードからアクティブモードに移行させるモード切替部2Eとを備え、下位デバイス1における計測部2Bや計測データ送信部2Cの動作は、モード切替部2Eによってアクティブモードに切り替えられている間に行われる。なお、記憶部2Aには、下位デバイス2の識別子や通信アドレス、ネットワーク識別子などが機器情報として設定されている。
【0060】
また、下位デバイス2は、ACK受信部2Dが受信した上位デバイスからのACKに受信状態継続要求S7が含まれているか否かを確認する受信状態継続要求確認部2Fと、無線操作端末からの受信状態継続延長要求S5を受信する受信状態態継続延長要求受信部2Gと、受信状態態継続延長要求受信部2Gでの受信状態継続延長要求S5の受信に応えて受信状態継続延長応答S6を無線操作端末へ返送する受信状態継続延長応答送信部2Hと、受信状態継続要求確認部2Fで確認された受信状態継続要求S7に含まれる継続時間txおよび受信状態態継続延長要求受信部2Gで受信された受信状態継続延長要求S5に含まれる延長時間tyに基づいてモード切替部2Eに対してアクティブモードの継続を指示(受信状態の継続を指示)する受信状態継続指示部2Iとを備えている。
【0061】
また、下位デバイス2は、無線操作端末からの機器情報問合わせ要求S8を受信する機器情報問合わせ要求受信部2Jと、機器情報問合わせ要求受信部2Jでの無線操作端末からの機器情報問合わせ要求S8の受信に応えて、要求された機器情報を記憶部2Aから読み出し、無線操作端末へ返送する機器情報問合わせ応答送信部2Kと、無線操作端末からの機器情報設定要求S10を受信する機器情報設定要求受信部2Lと、機器情報設定要求受信部2Lが受信した機器情報設定要求S10に設定情報として含まれている機器情報を記憶部2Aに書き込む機器情報書込部2Mと、機器情報書込部2Mによる機器情報の書き込みが終了したことを知らせる機器情報設定応答S11を無線操作端末へ返送する機器情報設定応答送信部2Nとを備えている。
【0062】
この下位デバイス2の機能ブロック図において、計測データ送信部2CおよびACK受信部2Dが本発明でいう送受信手段に相当し、受信状態継続要求確認部2Fおよび受信状態継続指示部2Iが受信状態継続手段に相当する。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の無線通信システムは、通信幹線を無線化したメッシュ構造の中規模、大規模の監視制御システムなど様々な分野で利用することが可能である。具体的には、VAV(可変風量調節)による居室内空調システムへの適用などが考えられる。
【符号の説明】
【0064】
1…上位デバイス(ルータ)、2(2−1,2−2)…下位デバイス(電池駆動型のセンサ)、3…無線操作端末、G1…一覧、1A…記憶部、1B…計測データ受信部、1C…計測データ書込部、1D…ACK作成部、1E…ACK送信部、1F…機器特定情報問合わせ要求受信部、1G…機器特定情報生成部、1H…機器特定情報送信部、1I…起床要求受信部、1J…起床要求応答送信部、1K…受信状態継続要求作成部、2A…記憶部、2B…計測部、2C…計測データ送信部、2D…ACK受信部、2E…モード切替部、2F…受信状態継続要求確認部、2G…受信状態態継続延長要求受信部、2H…受信状態継続延長応答送信部、2I…受信状態継続指示部、2J…機器情報問合わせ要求受信部、2K…機器情報問合わせ応答送信部、2L…機器情報設定要求受信部、2M…機器情報書込部、2N…機器情報設定応答送信部、3A…ユーザ操作入力設定表示部、3B…機器特定情報問合わせ要求送信部、3C…機器特定情報受信部、3D…起床要求送信部、3E…起床要求応答受信部、3F…受信状態継続延長要求送信部、3G…受信状態継続延長応答受信部、3H…機器情報問合わせ要求送信部、3I…機器情報問合わせ応答受信部、3J…機器情報設定要求送信部、3K…機器情報設定応答受信部。
【技術分野】
【0001】
この発明は、所定の周期でスリープモードからアクティブモードに移行するデバイスに対して機器情報設定端末から無線通信により機器情報を設定する無線通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、建築建物における空調制御システム等では、施工コストの削減やレイアウト変更の柔軟性を考慮し、センサとコントローラ間などの通信線のワイヤレス化が図られており、このワイヤレス化に伴って、電池駆動型のセンサが採用されている。この電池駆動型のセンサには、保守面から、数年程度の電池交換周期が要求される。
【0003】
このため、電池駆動型のセンサでは、所定の周期で短時間の間、CPUをウェイクアップさせ、その間に計測データをコントローラへ送るようにして、消費電力を抑えている。すなわち、所定の周期でスリープモードからアクティブモードに移行し、アクティブモードに移行している期間において、計測データをコントローラへ送るようにしている。
【0004】
また、この電池駆動型のセンサでは、通信アドレスやネットワーク識別子、送信周期などの機器情報の設定変更が必要な場合がある。しかし、電池駆動型のセンサは、上述したように、所定の周期で短時間の間でしかアクティブモードに移行せず、通常時はスリープモードとされている。このため、従来においては、電池駆動型のセンサにディップスイッチ等を設けて、強制的にアクティブモードの状態を継続させ、その間に所望の機器情報の設定変更を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−266254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電池駆動型のセンサにディップスイッチ等を設けて強制的にアクティブモードの状態を継続させる方法では、電池駆動型のセンサにディップスイッチ等の物理的設定手段を必要とし、コストアップとなる。また、作業性も悪い。
【0007】
なお、特許文献1には、複数の通信局と、複数の通信局との間のアクセスを制御する制御局とからなる無線通信システムにおいて、スリープ状態にある通信局は制御局から送信されるスリープ状態を解除させる起動指令信号を受信すると、自局を通常状態に設定するための通信局状態変更要求信号を制御局に返送し、制御局からの通信状態を通常状態に設定された通信局状態信号を受信した場合にスリープモードを解除する構成が開示されている。
【0008】
しかし、この特許文献1に示された構成において、通信局はスリープモードであっても所定のタイミングで起動指令信号の受信を継続する必要があり、この技術を電池駆動型のセンサに適用した場合、消費電力が大きくなり、電池寿命が短くなってしまう。さらに、起動指令信号を所定のタイミングで受信するためには制御局側との同期手段が必要となり、電池駆動型のセンサの構成が複雑となりコストアップとなる。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、所定の周期でスリープモードからアクティブモードに移行するデバイスに対して、構成デバイス間の同期をとることなく、必要に応じて遠隔からアクティブモードの状態を継続させることができる無線通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的を達成するために本発明は、常時アクティブモードとされる上位デバイスと、この上位デバイスと無線接続され所定の周期でスリープモードからアクティブモードに移行する下位デバイスと、この下位デバイスに対して無線通信によりそのデバイスで使用される情報を機器情報として設定する機器情報設定端末とを備えた無線通信システムにおいて、下位デバイスに、アクティブモードに移行する毎に、上位デバイスへデータを送信し、このデータの送信に対して返送されてくる上位デバイスからの応答を受信する送受信手段を設け、機器情報設定端末に、機器情報の設定対象として所望の下位デバイスを指定してのユーザからの起床要求を上位デバイスに送信する起床要求送信手段を設け、上位デバイスに、機器情報設定端末からの下位デバイスを指定しての起床要求に応えて、その指定された下位デバイスからのデータの送信に対して返送する応答に、その下位デバイスにおける受信状態の継続を指示する受信状態継続要求を含ませる受信状態継続要求手段を設けたものである。
【0011】
この発明において、上位デバイスは、機器情報設定端末からの下位デバイスを指定しての起床要求に応えて、その指定された下位デバイスからのデータの送信に対して返送する応答に、その下位デバイスにおける受信状態の継続を指示する受信状態継続要求を含ませるが、この上位デバイスからの受信状態継続要求を含む応答を受信した下位デバイスでは、機器情報設定端末からの機器情報の設定が終了するまで受信状態を継続させるようにしてもよいし、受信状態を所定時間継続させるようにしてもよい。受信状態を所定時間継続させる場合、その継続させる時間を上位デバイスからの受信状態継続要求に含ませるようにしてもよいし、下位デバイスに記憶させておいてもよい。また、受信状態を所定時間継続させる場合、機器情報設定端末よりその下位デバイスに対して、定期的に受信状態の継続を延長させる受信状態継続延長要求を送信するようにするとよい。
【0012】
また、本発明において、機器情報設定端末に、機器情報の設定対象として指定された下位デバイスに宛ててユーザからの設定情報を含む機器情報設定要求を送信する機器情報設定要求送信手段を設け、下位デバイスに、機器情報設定端末から送られてくる機器情報設定要求を受信し、その機器情報設定要求に含まれている設定情報を機器情報として設定する機器情報設定手段を設け、さらに、機器情報設定端末に、機器情報の設定対象として指定された下位デバイスに宛てて機器情報問合わせ要求を送信する機器情報問合せ手段と、この機器情報問合せ手段からの機器情報問合わせ要求に応じて下位デバイスから返送されてくる現在設定されている機器情報を受信する機器情報受信手段と、この機器情報受信手段によって受信された機器情報を表示する機器情報表示手段と、この機器情報表示手段により表示された機器情報をユーザ操作に応じて変更する機器情報変更手段とを設ける構成とすることも考えられる。このような構成とした場合、機器情報設定要求送信手段は、機器情報変更手段によって変更された機器情報を設定情報として含む機器情報設定要求を機器情報の設定対象として指定された下位デバイスに宛てて送信する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、機器情報設定端末に、機器情報の設定対象として所望の下位デバイスを指定してのユーザからの起床要求を上位デバイスに送信する起床要求送信手段を設け、上位デバイスに、機器情報設定端末からの下位デバイスを指定しての起床要求に応えて、その指定された下位デバイスからのデータの送信に対して返送する応答に、その下位デバイスにおける受信状態の継続を指示する受信状態継続要求を含ませる受信状態継続要求手段を設けるようにしたので、所定の周期でスリープモードからアクティブモードに移行するデバイス(下位デバイス)に対して、構成デバイス間の同期をとることなく、必要に応じて遠隔からアクティブモードの状態を継続させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る無線通信システムをジグビープロトコルを利用した無線通信システムへ適用した例を示す図である。
【図2】この無線通信システムにおいて無線操作端末から下位デバイスに対して機器情報の設定変更を行う際の動作を説明するためのシーケンス図である。
【図3】この無線通信システムにおける無線操作端末が実行する特有の処理動作を示すフローチャートである。
【図4】図3に続くフローチャートである。
【図5】この無線通信システムにおける上位デバイスが実行する特有の処理動作を示すフローチャートである。
【図6】この無線通信システムにおける下位デバイスが実行する特有の処理動作を示すフローチャートである。
【図7】図6に続くフローチャートである。
【図8】定周期でスリープモードからアクティブモードに移行する下位デバイスにおける通常の動作を示すタイムチャートである。
【図9】無線操作端末の画面上に表示される周辺に位置する下位デバイスの一覧を例示する図である。
【図10】この無線通信システムにおける無線操作端末の機能ブロック図である。
【図11】この無線通信システムにおける上位デバイスの機能ブロック図である。
【図12】この無線通信システムにおける下位デバイスの機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。図1に本発明に係る無線通信システムをジグビープロトコルを利用した無線通信システムへ適用した例を示す。
【0016】
この例では、常時アクティブモードとされるルータ1が上位デバイスとして設けられ、このルータ1に所定の周期でスリープモードからアクティブモードに移行する2台の電池駆動型のセンサ2(2−1,2−2)が下位デバイスとして無線接続されているものとする。3は携帯型の無線操作端末であり、ルータ1および電池駆動型のセンサ2−1,2−2との通信可能圏内に位置している。以下、ルータ1を上位デバイスと呼び、電池駆動型のセンサ2を下位デバイスと呼ぶ。
【0017】
また、この例において、上位デバイス1には固有の識別子#00と通信アドレス0001が設定され、下位デバイス2−1には固有の識別子#01と通信アドレス0002が設定され、下位デバイス2−2には固有の識別子#02と通信アドレス0003が設定されている。また、上位デバイス1の記憶部には、自己と無線接続された(親子の接続関係が結ばれた)下位デバイス2の識別子と通信アドレスとの対応関係を示すテーブルTB1が作成されている。
【0018】
以下、このような状態になっていることを前提として、上位デバイス1、下位デバイス2および無線操作端末3が有する特有の機能について、図2に示すシーケンス図および図3〜図7に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、この例では、ユーザ操作により無線操作端末3から下位デバイス2−1に対して、所望の機器情報の設定変更を行うものとする。
【0019】
〔機器情報の設定変更前〕
下位デバイス2−1は、通常の動作として、所定の周期でスリープモードからアクティブモードに移行し、アクティブモードに移行している期間において、計測データを上位デバイス1に送信する(図2:矢印(1),(3))。下位デバイス2−1からの計測データを受信した上位デバイス1は、計測データを受信した旨の応答(ACK)を下位デバイス2−1へ返す(図2:矢印(2),(4))。
【0020】
なお、図2において、tは下位デバイス2−1がウェイクアップしている時間(アクティブモードとされている時間(以下、定周期アクティブ時間と呼ぶ))、T1は下位デバイス2−1がスリープモードとされている時間である。
【0021】
図8にこの時の下位デバイス2−1のタイムチャートを示す。下位デバイス2−1は、(T1+t)時間の周期でt時間の間、スリープモードからアクティブモードに移行し、計測データを上位デバイス1に送信する。
【0022】
このようにして、下位デバイス2−1は、アクティブモードに移行する毎に、上位デバイス1への計測データの送信および上位デバイス1からのACKの受信を繰り返す。この下位デバイス2−1の動作は、図6に示すフローチャートにおけるステップS301〜S307の処理動作の繰り返しによって得られる。
【0023】
このステップS301〜S307の処理動作において、下位デバイス2−1は、スリープモードを所定時間T1維持した後(ステップS301,S302)、ウェイクアップモードに移行し(ステップS303)、計測データを上位デバイス1に送信する(ステップS304)。この計測データには自デバイスの識別子#01と通信アドレス0002を付加する。
【0024】
また、下位デバイス2−1は、計測データの送信に対し、上位デバイス1からのACKが所定時間経過しても受信されない場合(ステップS306のYES)、ステップS304へ戻って、計測データの再送信を行う。
【0025】
また、下位デバイス2−1は、上位デバイス1からのACKが受信される毎に、そのACKに受信状態継続要求(後述)が含まれているか否かを確認する(ステップS307)。この場合、上位デバイス1からのACKには受信状態継続要求が含まれていないので、ステップS301へ戻り、ステップS301〜S307の処理動作を繰り返す。
【0026】
〔周辺に位置する下位デバイスの探索〕
ユーザは、下位デバイス2−1に対する機器情報の設定変更を行うにあたって、無線操作端末3における探索ボタン(図示せず)をオンとする(図2:矢印(5))。
【0027】
無線操作端末3は、探索ボタンがオンとされると(図3:ステップS101のYES)、上位デバイス1に対して機器特定情報問合わせ要求S1を送信する(ステップS102、図2:矢印(6))。この機器特定情報問合わせ要求S1の送信はブロードキャストで行う。
【0028】
上位デバイス1は、無線操作端末3からの機器特定情報問合わせ要求S1を受信して(図5:ステップS201のYES)、自己と無線接続されている下位デバイス2の識別子と自己の通信アドレスを機器特定情報S2として無線操作端末3へ返送する(ステップS202、図2:矢印(7))。この例では、下位デバイス2−1,2−2の識別子#01,#02と自己の通信アドレス0001を機器特定情報S2として返送する。
【0029】
無線操作端末3は、上位デバイス1からの機器特定情報S2を受信すると(ステップS103のYES)、その機器特定情報S2に含まれている下位デバイス2の識別子を周辺に位置する下位デバイスの一覧として表示する(ステップS104)。この場合、機器特定情報S2には下位デバイス2−1,2−2の識別子#01,#02が含まれているので、この識別子#01,#02が図9に示すように一覧G1中に表示される。
【0030】
〔所望の下位デバイスを指定しての起床要求の送信〕
ユーザは、この下位デバイスの一覧G1から所望の下位デバイスとして、下位デバイス2−1の識別子#01を選択指定する(図2:矢印(8))。すると、無線操作端末3は、下位デバイス2−1が機器情報の設定対象として指定されたことを認識し(ステップS105のYES)、この指定された下位デバイス2−1に対する起床要求(#01の起床要求)S3を上位デバイス1に対して送信する(ステップS106、図2:矢印(9))。
【0031】
上位デバイス1は、無線操作端末3からの下位デバイス2−1に対する起床要求を受信すると(ステップS203のYES)、下位デバイス2−1の通信アドレス0002を含む起床要求応答S4を無線操作端末3に返送する(ステップS205、図2:矢印(10))。なお、下位デバイス2−1の通信アドレス0002は、識別子#01に対応する通信アドレスとしてテーブルTB1から取得する。また、下位デバイス2−1の通信アドレス0002を起床要求応答S4に含ませるのではなく、無線操作端末3から上位デバイス1に対して別途問合わせを行うことによって得るようにしてもよい。
【0032】
〔受信状態継続延長要求の定周期送信の開始〕
無線操作端末3は、上位デバイス1からの起床要求応答S4を受信すると(ステップS107のYES)、この起床要求応答S4に含まれている通信アドレス0002によって特定される下位デバイス2−1に対する、すなわちユーザが機器情報の設定対象として指定した下位デバイス2−1に対する、受信状態継続延長要求S5の定周期での送信を開始する(ステップS109、図2:矢印(11))。この受信状態継続延長要求S4には所定の延長時間tyを含める。
【0033】
なお、この時点では、下位デバイス2−1はスリープモードとなっているので、無線操作端末3からの受信状態継続延長要求S4を受信することができない。したがって、下位デバイス2−1は、受信状態継続延長応答S6(後述)を返送しない(図2:矢印(12))。
【0034】
〔起床要求応答返送後の計測データの受信(受信状態継続要求を付加したACKの返送)〕
上位デバイス1は、無線操作端末3への起床要求応答S4の返送後(ステップS205)、下位デバイス2−1から送られてくる最初の計測データを受信すると(ステップS206のYES、図2:矢印(13))、受信状態継続要求S7を付加したACKを下位デバイス2−1に対して返送する(ステップS208、図2:矢印(14))。この受信状態継続要求S7には所定の継続時間txを含める。
【0035】
下位デバイス2−1は、上位デバイス1からの受信状態継続要求S7が付加されたACKを受信すると(ステップS307のYES)、定周期アクティブ時間tに受信状態継続要求S7に含まれている継続時間txを加算し、この加算した時間t+txを受信状態継続時間とする(ステップS308)。すなわち、下位デバイス2−1は、定周期アクティブ時間tの経過後もtx時間、アクティモードの状態を継続する。なお、下位デバイス2−1は、アクティモードの状態を継続している場合にも、上位デバイス1への計測データの定周期での送信を続ける。
【0036】
下位デバイス2−1は、このt+txの受信状態を継続している間、無線操作端末3からの受信状態継続延長要求S5を受信すると(ステップS309(図7)のYES、図2:矢印(15))、その時の受信状態継続時間t+txに受信状態継続延長要求S5に含まれている延長時間tyを加算し、この加算した時間t+tx+tyを延長された新たな受信状態継続時間とし、受信状態継続延長応答S6を無線操作端末3に返送する(ステップS310、図2:矢印(16))。
【0037】
〔機器情報の問合わせ〕
ここで、一例として、t+tx+tyの受信状態継続時間中に、ユーザ操作により(図2:矢印(17))、無線操作端末3から下位デバイス2−1に宛てて機器情報問合わせ要求S8が送信されたとする(ステップS110(図4)、図2:矢印(18))。
【0038】
すると、下位デバイス2−1は、無線操作端末3からの機器情報問合わせ要求S8を受信して(ステップS311のYES)、現在設定されている機器情報を含む機器情報問合わせ応答S9を無線操作端末3へ返送する(ステップS312、図2:矢印(19))。
【0039】
無線操作端末3は、下位デバイス2−1からの機器情報問合わせ応答S9を受信し(ステップS111のYES)、その受信した機器情報問合わせ応答S9に含まれる機器情報を表示する(ステップS113)。すなわち、無線操作端末3は、下位デバイス2−1に現在設定されている通信アドレスやネットワーク識別子、送信周期などの機器情報を表示する。
【0040】
〔機器情報の設定変更〕
ユーザは、この表示された機器情報より、所望の機器情報を選択し、その機器情報の設定を変更する。例えば、ネットワーク識別子を変更したい場合、現在設定されているネットワーク識別子を確認し、その識別子の値を所望の値に変更する。そして、ユーザ操作により(図2:矢印(20))、その変更した機器情報を設定情報として含む機器情報設定要求S10を無線操作端末3から下位デバイス2−1へ送信する(ステップS114、図2:矢印(21))。
【0041】
下位デバイス2−1は、無線操作端末3からの機器情報設定要求S10を受信し(ステップS313のYES)、受信した機器情報設定要求S10に含まれている機器情報をメモリに記憶して、無線操作端末3へ機器情報設定応答S11を返送する(ステップS314、図2:矢印(22))。この場合、受信した機器情報設定要求S10に含まれている機器情報が例えばネットワーク識別子であれば、設定されている現在のネットワーク識別子が変更後のネットワーク識別子に書き替えられるものとなる。
【0042】
無線操作端末3は、下位デバイス2−1からの機器情報設定応答S11を受信すると(ステップS115のYES)、下位デバイス2−1での機器情報の設定変更の処理が終了したことを表示する(ステップS117)。
【0043】
〔受信状態継続延長要求の停止〕
ユーザは、他に機器情報の設定変更がなければ、機器情報の設定の終了を指示する(ステップS118のYES、図2:矢印(23))。すると、無線操作端末3は、それまで定周期で続けていた受信状態継続延長要求S5の送信を停止する(ステップS119)。
【0044】
これにより、下位デバイス2−1は、t+tx+tyの受信状態継続時間の経過後(ステップS315のYES)、アクティブモードを継続した状態(常時受信状態)を解除し、所定の周期でスリープモードからアクティブモードに移行する通常の状態に遷移する。すなわち、ステップS315のYESに応じてステップS301へ戻り、ステップS301〜S307の処理動作を繰り返すようになる。
【0045】
なお、上述した実施の形態では、下位デバイス2−1が上位デバイス1からの受信状態継続要求S7を受信した場合、t+txを受信状態継続時間とするようにしたが、受信状態継続要求S7を受信した時点からtx時間を受信状態継続時間とするようにしてもよい。同様に、下位デバイス2−1が無線操作端末3からの受信状態継続延長要求S5を受信した場合、この受信状態継続延長要求S5を受信した時点からty時間を延長された新たな受信状態継続時間とするようにしてもよい。
【0046】
また、上述した実施の形態では、無線操作端末3からの受信状態継続延長要求S5の送信の停止後(機器情報の設定の終了指示後)、t+tx+tyの受信状態継続時間が経過した時点で、下位デバイス2−1のアクティブモードを継続した状態(常時受信状態)が解除されるものとしたが、無線操作端末3からの受信状態継続延長要求S5の送信を停止(機器情報の設定の終了指示)すると同時に、下位デバイス2−1に対してアクティブモードを継続した状態(常時受信状態)を解除するメッセージを送信するようにし、t+tx+tyの受信状態継続時間の経過を待たずに即座に、所定の周期でスリープモードからアクティブモードに移行する通常の状態に遷移させるようにしてもよい。
【0047】
また、上述した実施の形態では、上位デバイス1からの下位デバイス2−1への受信状態継続要求S7に受信状態の継続時間txを含めるようにしたが、下位デバイス2−1に受信状態の継続時間txを記憶させるようにし、受信状態の継続を指示するだけとしてもよい。受信状態の延長時間tyについても、無線操作端末3から下位デバイス2−1への受信状態継続延長要求S5に含めるのではなく、下位デバイス2−1に記憶させるようにし、受信状態の継続延長を指示するだけとしてもよい。
【0048】
また、上述した実施の形態では、上位デバイス1から下位デバイス2−1へ受信状態継続要求S7を送った場合、下位デバイス2−1での受信状態をt+tx時間だけ継続させるようにしたが、下位デバイス2−1における受信状態を時間を限ることなく継続させるようにしてもよい。例えば、上位デバイス1から下位デバイス2−1へ受信状態の継続のみを指示する受信状態継続要求を送り、無線操作端末3からの機器情報の設定が終了した時点で、下位デバイス2−1における受信状態の継続を終了させるようにすることが考えられる。この場合、無線操作端末3からの受信状態継続延長要求S5の定期的な送信は不要となる。
【0049】
また、上述した実施の形態では、機器情報の設定変更を行う前に、現在設定されている機器情報の問合わせを行うようにしたが、機器情報の問合わせは必ずしも行わなくてもよい。すなわち、機器情報の問合わせを省略して、機器情報の設定変更を直ちに行うようにしてもよい。また、この例では、機器情報の設定変更を行うものとしたが、機器情報の初期設定を行う場合も同様にして行うことが可能であることは言うまでもない。
【0050】
また、上述した実施の形態では、一例として、t+tx+tyの受信状態継続時間中(1回目の受信状態継続延長要求S5の受け付け後)に機器情報の設定変更を行うものとしたが、t+txの受信状態継続時間中(1回目の受信状態継続延長要求S5の受け付け前)に機器情報の設定変更を行う場合もあり得る。また、2回目、3回目というように受信状態継続延長要求S5が多数回受け付けられた後に、機器情報の設定変更を行う場合もあり得る。この場合、受信状態継続時間が受信状態継続延長要求S5が受け付けられる毎に、延長されるものとなる。なお、電池の消耗を避けるため、受信状態継続延長要求S5の送信回数を所定回数で打ち切るようにすることも考えられる。
【0051】
〔機能ブロック図〕
この無線通信ネットワークにおいて、上位デバイス1、下位デバイス2および無線操作端末3は、プロセッサや記憶装置からなるハードウェアと、これらのハードウェアと協働して各種機能を実現させるプログラムとによって実現される。図10に無線操作端末3の機能ブロック図を示し、図11に上位デバイス1の機能ブロック図を示し、図12に下位デバイス2の機能ブロック図を示す。
【0052】
〔無線操作端末〕
無線操作端末3は、ユーザ操作入力設定表示部3Aと、ユーザ操作入力設定表示部3Aでのユーザ操作に応じて上位デバイスへの機器特定情報問合わせ要求S3を送信する機器特定情報問合わせ要求送信部3Bと、機器特定情報問合わせ要求送信部3Bからの機器特定情報問合わせ要求S3に応じて返送されてくる上位デバイスからの機器特定情報S2を受信してユーザ操作入力設定表示部3Aへ送る機器特定情報受信部3Cと、機器情報の設定対象として所望の下位デバイスを指定してのユーザからの起床要求S3を上位デバイスに送信する起床要求送信部3Dと、起床要求送信部3Dからの起床要求S3に応じて返送されてくる上位デバイスからの起床要求応答S4を受信してユーザ操作入力設定表示部3Aへ送る起床要求応答受信部3Eと、起床要求応答受信部3Eが受信した起床要求応答S4に含まれている通信アドレスを取得し、この通信アドレスによって特定される下位デバイスへ受信状態継続延長要求S5を定周期で送信する受信状態継続延長要求送信部3Fと、受信状態継続延長要求送信部3Fからの受信状態継続延長要求S5に応じて返送されてくる下位デバイスからの受信状態継続延長応答S6を受信してユーザ操作入力設定表示部3Aへ送る受信状態継続延長応答受信部3Gとを備えている。
【0053】
また、無線操作端末3は、ユーザ操作入力設定表示部3Aでのユーザ操作に応じ、起床要求応答受信部3Eが受信した起床要求応答S4に含まれる通信アドレスによって特定される下位デバイスへ、機器情報問合わせ要求S8を送信する機器情報問合わせ要求送信部3Hと、機器情報問合わせ要求送信部3Hからの機器情報問合わせ要求S8に応じて返送されてくる下位デバイスからの機器情報問合わせ応答S9を受信してユーザ操作入力設定表示部3Aへ送る機器情報問合わせ応答受信部3Iと、ユーザ操作入力設定表示部3Aでのユーザ操作に応じ、起床要求応答受信部3Eが受信した起床要求応答S4に含まれる通信アドレスによって特定される下位デバイスへ、機器情報設定要求S10を送信する機器情報設定要求送信部3Jと、機器情報設定要求送信部3Jからの機器情報設定要求S10に応じて返送されてくる下位デバイスからの機器情報設定応答S11を受信してユーザ操作入力設定表示部3Aへ送る機器情報設定応答受信部3Kとを備えている。
【0054】
この無線操作端末3の機能ブロック図において、起床要求送信手段3Dが本発明でいう起床要求送信手段に相当し、受信状態継続延長要求送信3Fが受信状態継続延長要求送信手段に相当し、機器情報設定要求送信部3Jが機器情報設定要求送信手段に相当し、機器情報問合わせ要求送信部3Hが機器情報問合わせ手段に相当し、情報問合わせ応答受信部3Iが機器情報受信手段に相当し、ユーザ操作入力設定表示部3Aが機器情報表示手段や機器情報変更手段に相当する。
【0055】
〔上位デバイス〕
上位デバイス1は、記憶部1Aと、下位デバイスからの計測データを受信する計測データ受信部1Bと、計測データ受信部1Bが受信した下位デバイスからの計測データを記憶部1Aに書き込む計測データ書込部1Cと、計測データ書込部1Cによる計測データの記憶部1Aへの書き込みが終了したことを示すACKを作成するACK作成部1Dと、ACK作成部1Dが作成したACKを計測データの送信元の下位デバイスへ返送するACK送信部1Eとを備えている。なお、記憶部1Aには、上位デバイス1の識別子や通信アドレス、ネットワーク識別子、上位デバイス1と無線接続されている下位デバイスの識別子と通信アドレスとの対応関係などが記憶されている。
【0056】
また、上位デバイス1は、無線操作端末からの機器特定情報問合わせ要求S1を受信する機器特定情報問合わせ要求受信部1Fと、機器特定情報問合わせ要求受信部1Fが受信した機器特定情報問合わせ要求S1に応じて上位デバイス1と無線接続されている下位デバイスの識別子を含む機器特定情報S2を生成する機器特定情報生成部1Gと、機器特定情報生成部1Fが生成した機器特定情報S2を無線操作端末に送信する機器特定情報送信部1Hとを備えている。
【0057】
また、上位デバイス1は、無線操作端末からの下位デバイスを指定しての起床要求S3を受信する起床要求受信部1Iと、起床要求受信部1Iが受信した下位デバイスを指定しての起床要求S3に応えてその下位デバイスの通信アドレスを含む起床要求応答S4を無線操作端末に返送する起床要求応答送信部1Jと、起床要求受信部1Iが受信した下位デバイスを指定しての起床要求S3に応えて、その指定された下位デバイスからの計測データの送信に対して返送するACKに、その下位デバイスにおける受信状態の継続を指示する受信状態継続要求S7を含ませる受信状態継続要求作成部1Kとを備えている。なお、受信状態継続要求作成部1Kは、受信状態継続要求S7に所定の延長時間txを含ませる。
【0058】
この上位デバイス1の機能ブロック図において、受信状態継続要求作成部1Kが本発明でいう受信状態継続要求手段に相当する。
【0059】
〔下位デバイス〕
下位デバイス2は、記憶部2Aと、温度や湿度などを計測しその計測したデータを記憶部2Aに書き込む計測部2Bと、記憶部2Aに書き込まれた計測データを上位デバイスへ送信する計測データ送信部2Cと、計測データ送信部2Cからの計測データに応じて返送されてくる上位デバイスからのACKを受信するACK受信部2Dと、自己の動作モードを所定の周期でスリープモードからアクティブモードに移行させるモード切替部2Eとを備え、下位デバイス1における計測部2Bや計測データ送信部2Cの動作は、モード切替部2Eによってアクティブモードに切り替えられている間に行われる。なお、記憶部2Aには、下位デバイス2の識別子や通信アドレス、ネットワーク識別子などが機器情報として設定されている。
【0060】
また、下位デバイス2は、ACK受信部2Dが受信した上位デバイスからのACKに受信状態継続要求S7が含まれているか否かを確認する受信状態継続要求確認部2Fと、無線操作端末からの受信状態継続延長要求S5を受信する受信状態態継続延長要求受信部2Gと、受信状態態継続延長要求受信部2Gでの受信状態継続延長要求S5の受信に応えて受信状態継続延長応答S6を無線操作端末へ返送する受信状態継続延長応答送信部2Hと、受信状態継続要求確認部2Fで確認された受信状態継続要求S7に含まれる継続時間txおよび受信状態態継続延長要求受信部2Gで受信された受信状態継続延長要求S5に含まれる延長時間tyに基づいてモード切替部2Eに対してアクティブモードの継続を指示(受信状態の継続を指示)する受信状態継続指示部2Iとを備えている。
【0061】
また、下位デバイス2は、無線操作端末からの機器情報問合わせ要求S8を受信する機器情報問合わせ要求受信部2Jと、機器情報問合わせ要求受信部2Jでの無線操作端末からの機器情報問合わせ要求S8の受信に応えて、要求された機器情報を記憶部2Aから読み出し、無線操作端末へ返送する機器情報問合わせ応答送信部2Kと、無線操作端末からの機器情報設定要求S10を受信する機器情報設定要求受信部2Lと、機器情報設定要求受信部2Lが受信した機器情報設定要求S10に設定情報として含まれている機器情報を記憶部2Aに書き込む機器情報書込部2Mと、機器情報書込部2Mによる機器情報の書き込みが終了したことを知らせる機器情報設定応答S11を無線操作端末へ返送する機器情報設定応答送信部2Nとを備えている。
【0062】
この下位デバイス2の機能ブロック図において、計測データ送信部2CおよびACK受信部2Dが本発明でいう送受信手段に相当し、受信状態継続要求確認部2Fおよび受信状態継続指示部2Iが受信状態継続手段に相当する。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の無線通信システムは、通信幹線を無線化したメッシュ構造の中規模、大規模の監視制御システムなど様々な分野で利用することが可能である。具体的には、VAV(可変風量調節)による居室内空調システムへの適用などが考えられる。
【符号の説明】
【0064】
1…上位デバイス(ルータ)、2(2−1,2−2)…下位デバイス(電池駆動型のセンサ)、3…無線操作端末、G1…一覧、1A…記憶部、1B…計測データ受信部、1C…計測データ書込部、1D…ACK作成部、1E…ACK送信部、1F…機器特定情報問合わせ要求受信部、1G…機器特定情報生成部、1H…機器特定情報送信部、1I…起床要求受信部、1J…起床要求応答送信部、1K…受信状態継続要求作成部、2A…記憶部、2B…計測部、2C…計測データ送信部、2D…ACK受信部、2E…モード切替部、2F…受信状態継続要求確認部、2G…受信状態態継続延長要求受信部、2H…受信状態継続延長応答送信部、2I…受信状態継続指示部、2J…機器情報問合わせ要求受信部、2K…機器情報問合わせ応答送信部、2L…機器情報設定要求受信部、2M…機器情報書込部、2N…機器情報設定応答送信部、3A…ユーザ操作入力設定表示部、3B…機器特定情報問合わせ要求送信部、3C…機器特定情報受信部、3D…起床要求送信部、3E…起床要求応答受信部、3F…受信状態継続延長要求送信部、3G…受信状態継続延長応答受信部、3H…機器情報問合わせ要求送信部、3I…機器情報問合わせ応答受信部、3J…機器情報設定要求送信部、3K…機器情報設定応答受信部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
常時アクティブモードとされる上位デバイスと、この上位デバイスと無線接続され所定の周期でスリープモードからアクティブモードに移行する下位デバイスと、この下位デバイスに対して無線通信によりそのデバイスで使用される情報を機器情報として設定する機器情報設定端末とを備えた無線通信システムにおいて、
前記下位デバイスは、
前記アクティブモードに移行する毎に、前記上位デバイスへデータを送信し、このデータの送信に対して返送されてくる前記上位デバイスからの応答を受信する送受信手段を備え、
前記機器情報設定端末は、
機器情報の設定対象として所望の前記下位デバイスを指定してのユーザからの起床要求を前記上位デバイスに送信する起床要求送信手段を備え、
前記上位デバイスは、
前記機器情報設定端末からの前記下位デバイスを指定しての起床要求に応えて、その指定された下位デバイスからのデータの送信に対して返送する応答に、その下位デバイスにおける受信状態の継続を指示する受信状態継続要求を含ませる受信状態継続要求手段
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載された無線通信システムにおいて、
前記下位デバイスは、
前記上位デバイスから前記受信状態継続要求を含む応答を受信した場合、その下位デバイスにおける受信状態を所定時間継続させる受信状態継続手段
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
請求項2に記載された無線通信システムにおいて、
前記機器情報設定端末は、
前記機器情報の設定対象として指定された前記下位デバイスに対して定期的に受信状態の継続を延長させる受信状態継続延長要求を送信する受信状態継続延長要求送信手段
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載された無線通信システムにおいて、
前記機器情報設定端末は、
前記機器情報の設定対象として指定された前記下位デバイスに宛ててユーザからの設定情報を含む機器情報設定要求を送信する機器情報設定要求送信手段を備え、
前記下位デバイスは、
前記機器情報設定端末から送られてくる前記機器情報設定要求を受信し、その機器情報設定要求に含まれている設定情報を機器情報として設定する機器情報設定手段
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項5】
請求項4に記載された無線通信システムにおいて、
前記機器情報設定端末は、
前記機器情報の設定対象として指定された前記下位デバイスに宛てて機器情報問合わせ要求を送信する機器情報問合せ手段と、
この機器情報問合せ手段からの機器情報問合わせ要求に応じて前記下位デバイスから返送されてくる現在設定されている機器情報を受信する機器情報受信手段と、
この機器情報受信手段によって受信された機器情報を表示する機器情報表示手段と、
この機器情報表示手段により表示された機器情報をユーザ操作に応じて変更する機器情報変更手段とを備え、
前記機器情報設定要求送信手段は、
前記機器情報変更手段によって変更された機器情報を前記設定情報として含む前記機器情報設定要求を前記機器情報の設定対象として指定された前記下位デバイスに宛てて送信する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項1】
常時アクティブモードとされる上位デバイスと、この上位デバイスと無線接続され所定の周期でスリープモードからアクティブモードに移行する下位デバイスと、この下位デバイスに対して無線通信によりそのデバイスで使用される情報を機器情報として設定する機器情報設定端末とを備えた無線通信システムにおいて、
前記下位デバイスは、
前記アクティブモードに移行する毎に、前記上位デバイスへデータを送信し、このデータの送信に対して返送されてくる前記上位デバイスからの応答を受信する送受信手段を備え、
前記機器情報設定端末は、
機器情報の設定対象として所望の前記下位デバイスを指定してのユーザからの起床要求を前記上位デバイスに送信する起床要求送信手段を備え、
前記上位デバイスは、
前記機器情報設定端末からの前記下位デバイスを指定しての起床要求に応えて、その指定された下位デバイスからのデータの送信に対して返送する応答に、その下位デバイスにおける受信状態の継続を指示する受信状態継続要求を含ませる受信状態継続要求手段
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載された無線通信システムにおいて、
前記下位デバイスは、
前記上位デバイスから前記受信状態継続要求を含む応答を受信した場合、その下位デバイスにおける受信状態を所定時間継続させる受信状態継続手段
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
請求項2に記載された無線通信システムにおいて、
前記機器情報設定端末は、
前記機器情報の設定対象として指定された前記下位デバイスに対して定期的に受信状態の継続を延長させる受信状態継続延長要求を送信する受信状態継続延長要求送信手段
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載された無線通信システムにおいて、
前記機器情報設定端末は、
前記機器情報の設定対象として指定された前記下位デバイスに宛ててユーザからの設定情報を含む機器情報設定要求を送信する機器情報設定要求送信手段を備え、
前記下位デバイスは、
前記機器情報設定端末から送られてくる前記機器情報設定要求を受信し、その機器情報設定要求に含まれている設定情報を機器情報として設定する機器情報設定手段
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項5】
請求項4に記載された無線通信システムにおいて、
前記機器情報設定端末は、
前記機器情報の設定対象として指定された前記下位デバイスに宛てて機器情報問合わせ要求を送信する機器情報問合せ手段と、
この機器情報問合せ手段からの機器情報問合わせ要求に応じて前記下位デバイスから返送されてくる現在設定されている機器情報を受信する機器情報受信手段と、
この機器情報受信手段によって受信された機器情報を表示する機器情報表示手段と、
この機器情報表示手段により表示された機器情報をユーザ操作に応じて変更する機器情報変更手段とを備え、
前記機器情報設定要求送信手段は、
前記機器情報変更手段によって変更された機器情報を前記設定情報として含む前記機器情報設定要求を前記機器情報の設定対象として指定された前記下位デバイスに宛てて送信する
ことを特徴とする無線通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−40925(P2011−40925A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−185531(P2009−185531)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】
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