説明

無線通信モジュール

【課題】組み込み先の機器に応じて当該機器における他の無線通信への干渉を柔軟に抑制することが可能な無線通信モジュールを提供する。
【解決手段】無線通信機能を備える機器に組み込むための無線通信モジュール101は、無線信号を第1方式により送信するための無線送信部51と、前記機器が備えるアンテナに前記無線送信部51を接続するための複数のアンテナ端子T1,T2と、前記第1方式と異なる第2方式による無線送信が前記機器で用いられる場合に前記無線送信部51を接続しないアンテナ端子を示すアンテナ設定情報を取得するためのアンテナ設定取得部53と、前記アンテナ設定取得部53によって取得されたアンテナ設定情報に基づいて前記無線送信部51を接続する前記アンテナ端子を選択するためのアンテナ選択部52とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信モジュールに関し、特に、無線通信機能を提供可能な機器に組み込むための無線通信モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
IEEE802.16規格に従うWiMAX(登録商標)(たとえば非特許文献1参照)、およびIEEE802.11規格に従うWiFi(登録商標)(Wireless Fidelity)(たとえば非特許文献2参照)等による無線通信サービスが提供されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】“ウィキペディア”、[online]、[平成23年7月1日検索]、インターネット〈URL:http://ja.wikipedia.org/wiki/WiMAX〉
【非特許文献2】“ウィキペディア”、[online]、[平成23年7月1日検索]、インターネット〈URL:http://ja.wikipedia.org/wiki/Wi-Fi〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、WiMAX用のモジュールおよびWiFi用のモジュールの両方を搭載したノート型PC(パーソナルコンピュータ)のようなモバイル機器および通信機器が製品化されている。さらに、そのような機器にはBluetooth(登録商標)用のモジュールも搭載されることがある。WiMAXはWiFiおよびBluetoothと使用帯域が近いため、このような機器で2つ以上の通信方式を同時使用する場合には、モジュール間での無線信号の干渉が問題となる。
【0005】
筐体サイズの制約によって、各モジュールに接続されるアンテナを離して配置するのにも限界がある。また、他の通信方式に利用するアンテナに隣接するアンテナと、比較的離れたアンテナとがある場合でも、対象機器の設計によっては、隣接するアンテナにモジュールが接続されるかもしれない。
【0006】
さらに複数のアンテナを利用する送信選択ダイバーシティでは、受信の状況(被干渉)を見てアンテナが選択される。このため、与干渉を低減することができない。
【0007】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、組み込み先の機器に応じて当該機器における他の無線通信への干渉を柔軟に抑制することが可能な無線通信モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる無線通信モジュールは、無線通信機能を備える機器に組み込むための無線通信モジュールであって、無線信号を第1方式により送信するための無線送信部と、上記機器が備えるアンテナに上記無線送信部を接続するための複数のアンテナ端子と、上記第1方式と異なる第2方式による無線送信が上記機器で用いられる場合に上記無線送信部を接続しないアンテナ端子を示すアンテナ設定情報を取得するためのアンテナ設定取得部と、上記アンテナ設定取得部によって取得されたアンテナ設定情報に基づいて上記無線送信部を接続する上記アンテナ端子を選択するためのアンテナ選択部とを備える。
【0009】
このような構成により、組み込み先の機器の設計上、明らかに他の無線通信に干渉を与えるアンテナがある場合には、無線通信モジュール側で当該アンテナを使用しない設定にすることにより、当該機器側の設計変更を行うことなく、確実に干渉を低減することができる。また、アンテナを自動選択する構成と比べて、組み込み先の機器の設計に応じて確実に干渉を低減することができる。また、無線通信モジュールを複数種類の機器に組み込むことを想定した場合、無線通信モジュール側で予めアンテナを選択的に固定する構成により、組み込み先の機器ごとに無線通信モジュールを容易にカスタマイズすることができる。
【0010】
好ましくは、上記無線通信モジュールは、さらに、上記無線通信モジュールの外部から設定信号を受信するための設定信号受信部を備え、上記アンテナ設定取得部は、上記設定信号から上記アンテナ設定情報を取得する。
【0011】
このような構成により、無線通信モジュール側で使用アンテナを予め固定することなく、無線通信モジュールの組み込み先の機器の設計に応じて使用アンテナを柔軟に選択することが可能となる。
【0012】
好ましくは、上記無線通信モジュールは、さらに、上記アンテナ設定情報を記憶するための記憶部を備え、上記アンテナ設定取得部は、上記記憶部から上記アンテナ設定情報を取得する。
【0013】
このような構成により、無線通信モジュールの組み込み先の機器においてアンテナ設定用の回路等を設けることなく、無線通信モジュール側で使用アンテナを選択することが可能となる。
【0014】
好ましくは、上記第1方式は、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)方式である。
【0015】
このように、WiFi方式およびBluetooth方式等と無線周波数が近く、無線信号の干渉が生じやすいWiMAX方式に適用することにより、本発明の効果をより顕著に得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、組み込み先の機器に応じて当該機器における他の無線通信への干渉を柔軟に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る無線通信モジュールの構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る無線通信モジュールにおけるアンテナ設定取得部によるアンテナ設定の取得形態の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る無線通信モジュールにおけるアンテナ設定取得部によるアンテナ設定の取得形態の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る無線通信モジュールにおけるアンテナ設定取得部によるアンテナ設定の取得形態の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る無線通信モジュールにおけるアンテナ設定取得部によるアンテナ設定の取得形態の一例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るモバイル機器における各モジュールおよび各アンテナの配置の一例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るモバイル機器における各モジュールおよび各アンテナの配置の一例を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る無線通信モジュールの変形例の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。
【0020】
図1を参照して、無線通信システム301は、モバイル機器201と、WiFiエンドポイント202と、WiMAX基地局203とを備える。モバイル機器201は、WiMAXモジュール(無線通信モジュール)101と、ホスト111と、WiFiモジュール112と、アンテナ121,122,131とを備える。WiMAXモジュール101は、WiMAXチップ51と、アンテナ選択部52とを含む。
【0021】
モバイル機器201は、たとえばノートPCであり、本実施の形態において、WiMAX方式に従う無線通信機能およびWiFi方式に従う無線通信機能を提供する。
【0022】
WiMAXモジュール101は、モバイル機器201に組み込まれる。WiMAXモジュール101は、WiMAX方式に従って通信データの送信および受信を行なう。WiMAXモジュール101は、WiMAXシステムにおける端末局である。
【0023】
ここで、WiMAXでは、TDD(時分割複信:Time Division Duplex)方式が採用されている。より詳細には、WiMAXシステムでは、無線端末装置から無線基地局装置へ通信データを送信するための上り送信期間と、無線基地局装置から無線端末装置へ通信データを送信するための下り送信期間とが切り替えられ、交互に繰り返される。
【0024】
WiMAXモジュール101は、アンテナ121および122経由でWiMAX基地局203と無線信号を送受信することにより、WiMAX基地局203と通信を行なうWiMAX端末局として動作する。WiMAXモジュール101およびWiMAX基地局203により、WiMAXシステムが構成される。
【0025】
WiFiモジュール112は、本実施の形態においてモバイル機器201に組み込まれる。しかしながら、接続端子を介して着脱可能にモバイル機器201に装着されるものであってもよい。WiFiモジュール112は、WiFi方式に従って通信データの送信および受信を行なう。WiFiモジュール112は、WiFiシステムにおけるアクセスポイントである。WiFiでも、WiMAXと同様に、TDD方式が採用されている。
【0026】
WiFiモジュール112は、アンテナ131経由でWiFiエンドポイント202と無線信号を送受信することにより、WiFiエンドポイント202と通信を行なうWiFiアクセスポイントとして動作する。WiFiモジュール112およびWiFiエンドポイント202により、WiFiシステムが構成される。
【0027】
より詳細には、WiMAXモジュール101は、WiMAX基地局203から受信した無線信号から通信データを抽出してホスト111へ出力する。また、WiMAXモジュール101は、ホスト111から受けた通信データまたは自ら生成した通信データを無線信号に変換してWiMAX基地局203へ送信する。
【0028】
WiFiモジュール112は、WiFiエンドポイント202から受信した無線信号から通信データを抽出してホスト111へ出力する。また、WiFiモジュール112は、ホスト111から受けた通信データまたは自ら生成した通信データを無線信号に変換してWiFiエンドポイント202へ送信する。
【0029】
ホスト111は、WiMAXモジュール101およびWiFiモジュール112等、モバイル機器201における各部を制御する。また、ホスト111は、WiMAXモジュール101およびWiFiモジュール112から受けた通信データを用いて種々の情報処理を行い、また、種々の情報処理によって生成した通信データをWiMAXモジュール101およびWiFiモジュール112へ出力する。
【0030】
図2は、本発明の実施の形態に係る無線通信モジュールの構成を示す図である。
【0031】
図2を参照して、WiMAXモジュール101は、WiMAXチップ(無線送信部)51と、アンテナ選択部52と、アンテナ設定取得部53と、アンテナ端子T1,T2とを含む。アンテナ選択部52は、スイッチ回路61,62,63を含む。
【0032】
アンテナ端子T1,T2は、モバイル機器201が備えるアンテナ121,122にそれぞれ接続される。
【0033】
WiMAXチップ51は、WiMAX方式に従う通信処理を行なう半導体集積回路である。WiMAXチップ51は、アンテナ端子T1,T2を介して無線信号を送受信する。
【0034】
アンテナ設定取得部53は、アンテナ121,122のうち、使用しないアンテナを示すアンテナ設定情報を取得する。言い換えれば、アンテナ設定取得部53は、WiMAXモジュール101の組み込み先の機器が備える複数のアンテナのうち、使用すべき一部のアンテナを示すアンテナ設定情報を取得する。
【0035】
アンテナ選択部52は、アンテナ設定取得部53によって取得されたアンテナ設定情報に基づいて、WiMAXモジュール101が備える複数のアンテナ端子の一部を選択し、選択したアンテナ端子とWiMAXチップ51との間の無線信号の伝搬を許容する。具体的には、アンテナ選択部52は、アンテナ設定取得部53によって取得されたアンテナ設定情報に基づいてアンテナ端子T1またはT2を選択する。アンテナ選択部52は、選択したアンテナ端子とWiMAXチップ51とを接続する。
【0036】
アンテナ選択部52において、スイッチ回路62は、WiMAXチップ51から受けた制御信号に基づいて、スイッチ回路61とアンテナ端子T1とを接続するか、WiMAXチップ51の受信端子RX0とアンテナ端子T1とを接続するかを切り替える。
【0037】
スイッチ回路63は、WiMAXチップ51から受けた制御信号に基づいて、スイッチ回路61とアンテナ端子T2とを接続するか、WiMAXチップ51の受信端子RX1とアンテナ端子T2とを接続するかを切り替える。
【0038】
たとえば、WiMAXチップ51は、下り送信期間において、制御端子CNTからスイッチ回路62へ制御信号を出力することにより、WiMAXチップ51の受信端子RX0とアンテナ端子T1とを接続し、制御端子CNTからスイッチ回路63へ制御信号を出力することにより、WiMAXチップ51の受信端子RX1とアンテナ端子T2とを接続する。
【0039】
そして、WiMAXチップ51は、アンテナ121からアンテナ端子T1経由で受けた無線信号、およびアンテナ122からアンテナ端子T2経由で受けた無線信号に基づいて、各アンテナで受信された無線信号の合成、および/または各アンテナで受信された無線信号を空間多重して受信帯域を広げる等の受信処理を行う。
【0040】
このように、スイッチ回路62および63を設ける構成により、WiMAXチップ51の送信端子TXから受信端子RX0およびRX1への下り送信期間におけるノイズの回り込みを抑制することができる。
【0041】
一方、WiMAXチップ51は、上り送信期間において、制御端子CNTからスイッチ回路62へ制御信号を出力することにより、スイッチ回路61とアンテナ端子T1とを接続し、制御端子CNTからスイッチ回路63へ制御信号を出力することにより、スイッチ回路61とアンテナ端子T2とを接続する。
【0042】
また、スイッチ回路61は、アンテナ設定取得部53によって取得されたアンテナ設定情報に基づいて、WiMAXチップ51の送信端子TXとスイッチ回路62とを接続するか、送信端子TXとスイッチ回路63とを接続するかを切り替える。言い換えると、スイッチ回路61は、送信端子TXを接続しないアンテナ端子を切り替える。
【0043】
そして、WiMAXチップ51は、スイッチ回路61がスイッチ回路62または63を介して接続したアンテナ端子T1またはT2へ、送信端子TXから無線信号を出力する。
【0044】
なお、WiMAXモジュール101は、受信端子RX0およびRX1と送信端子TXとを分離するためのスイッチ回路62および63を含まない構成であってもよい。この場合、スイッチ回路61、受信端子RX0およびアンテナ端子T1が直接接続され、また、スイッチ回路61、受信端子RX1およびアンテナ端子T2が直接接続される。
【0045】
図3は、本発明の実施の形態に係る無線通信モジュールにおけるアンテナ設定取得部によるアンテナ設定の取得形態の一例を示す図である。
【0046】
図3を参照して、WiMAXモジュール101は、さらに、設定信号受信部54を含む。
【0047】
設定信号受信部54は、WiMAXモジュール51の外部から設定信号を受信する。アンテナ設定取得部53は、設定信号受信部54が受信した設定信号からアンテナ設定情報を取得する。アンテナ設定情報は、ここでは、WiFi方式による無線送信がモバイル機器201で用いられる場合にWiMAXチップ51の送信端子TXを接続しないアンテナ端子を示す情報である。図2の例のように送信端子TXを接続するアンテナ端子が2つから択一的に選択される場合、この情報は、送信端子TXを接続するアンテナ端子がいずれかを示すことにもなる。
【0048】
より詳細には、モバイル機器201におけるホスト111は、WiFiモジュール112がモバイル機器201に組み込まれているか否か、あるいはWiFiモジュール112による無線通信が行われないような設定がモバイル機器201に対してなされているか否かを示す情報を取得する。そして、ホスト111は、この情報に基づいて、WiMAXモジュール101が使用すべきアンテナを示す設定信号をWiMAXモジュール101へ出力する。
【0049】
WiMAXモジュール101における設定信号受信部54は、ホスト111から設定信号を受信して、アンテナ設定取得部53へ出力する。
【0050】
アンテナ設定取得部53は、設定信号受信部54から受けた設定信号からアンテナ設定情報を抽出する。そして、アンテナ選択部52は、アンテナ設定取得部53によって抽出されたアンテナ設定情報に基づいて、使用アンテナを選択する。
【0051】
具体的には、たとえば、アンテナ設定取得部53は、スイッチ回路61の制御端子C0へ論理ローレベルの信号を出力し、制御端子C1へ論理ハイレベルの信号を出力する。これにより、アンテナ選択部52は、送信端子TXとスイッチ回路62とを接続する。その結果、送信端子TXとアンテナ端子T1とが接続される。あるいは、アンテナ設定取得部53が、スイッチ回路61の制御端子C0へ論理ハイレベルの信号を出力し、制御端子C1へ論理ローレベルの信号を出力することにより、アンテナ選択部52は、送信端子TXとスイッチ回路63とを接続する。これにより、送信端子TXとアンテナ端子T2とが接続される。
【0052】
なお、スイッチ回路61は、2つの制御端子を有する構成に限らず、1つの制御端子、または3つ以上の制御端子を有する構成であってもよい。
【0053】
また、ホスト111が設定信号をWiMAXモジュール101へ出力する構成に限らず、たとえばWiMAXモジュール101の干渉相手となるWiFiモジュール112が、ホスト111を経由せずに設定信号をWiMAXモジュール101へ直接出力する構成であってもよい。
【0054】
図4は、本発明の実施の形態に係る無線通信モジュールにおけるアンテナ設定取得部によるアンテナ設定の取得形態の一例を示す図である。
【0055】
図4を参照して、WiMAXモジュール101は、さらに、設定信号受信部54を含む。設定信号受信部54は、設定端子T3,T4を含む。モバイル機器201は、抵抗R1,R2を備える。
【0056】
抵抗R1は、第1端が接地電圧の供給されるノードに接続され、第2端が設定端子T3に接続されている。抵抗R2は、第1端がたとえば3.3Vの電圧の供給されるノードに接続され、第2端が設定端子T4に接続されている。
【0057】
これにより、アンテナ設定取得部53は、設定端子T3を介して論理ローレベルの信号を受け、設定端子T4を介して論理ハイレベルの信号を受ける。
【0058】
この場合、たとえば、アンテナ設定取得部53は、スイッチ回路61の制御端子C0へ論理ローレベルの信号を出力し、制御端子C1へ論理ハイレベルの信号を出力する。これにより、アンテナ選択部52は、送信端子TXとスイッチ回路62とを接続する。
【0059】
なお、抵抗R1,R2を用いる構成に限らず、たとえばディップスイッチによって設定端子T3およびT4に論理信号が与えられる構成であってもよい。
【0060】
図5は、本発明の実施の形態に係る無線通信モジュールにおけるアンテナ設定取得部によるアンテナ設定の取得形態の一例を示す図である。
【0061】
図5を参照して、WiMAXモジュール101は、さらに、記憶部55を含む。記憶部55は、たとえばフラッシュメモリであり、アンテナ設定情報を不揮発的に記憶する。
【0062】
アンテナ設定取得部53は、記憶部55からアンテナ設定情報を読み出して取得する。そして、アンテナ選択部52は、アンテナ設定取得部53によって取得されたアンテナ設定に基づいて、使用アンテナを選択する。
【0063】
図6は、本発明の実施の形態に係る無線通信モジュールにおけるアンテナ設定取得部によるアンテナ設定の取得形態の一例を示す図である。
【0064】
図6を参照して、WiMAXモジュール101は、さらに、記憶部55を含む。記憶部55は、抵抗R1,R2を含む。
【0065】
抵抗R1は、第1端が接地電圧の供給されるノードに接続され、第2端がアンテナ設定取得部53に接続されている。抵抗R2は、第1端がたとえば3.3Vの電圧の供給されるノードに接続され、第2端がアンテナ設定取得部53に接続されている。
【0066】
抵抗R1,R2により、アンテナ設定取得部53は、たとえば、スイッチ回路61の制御端子C0へ論理ローレベルの信号を出力し、制御端子C1へ論理ハイレベルの信号を出力することにより、送信端子TXとスイッチ回路62とを接続する。
【0067】
なお、記憶部55として抵抗R1,R2を用いる構成に限らず、たとえば記憶部55としてディップスイッチを用い、アンテナ設定取得部53に各論理信号が与えられる構成であってもよい。
【0068】
図7は、本発明の実施の形態に係るモバイル機器における各モジュールおよび各アンテナの配置の一例を示す図である。図7は、モバイル機器201であるノート型PCのキーボード側の配置を概念的に示している。
【0069】
図7を参照して、モバイル機器201では、WiMAXモジュール101およびWiFiモジュール112が組み込まれ、WiMAXモジュール101用のアンテナ121が、WiFiモジュール112用のアンテナ131の近傍に配置されている。また、WiMAXモジュール101用のアンテナ122は、WiFiモジュール112用のアンテナ131から離れて配置されている。
【0070】
このように複数の無線通信モジュールが組み込まれる機器では、各無線通信モジュール間の干渉が少なくなるように設計するのが理想的である。しかしながら、現実には筐体内の空きスペースにアンテナが押し込まれることが想定され、図7に示す例のように、WiMAXモジュール101からの無線信号を送信するのに望ましいアンテナ122と望ましくないアンテナ121ができる可能性がある。
【0071】
その一方で、現状のWiMAX端末局では、無線信号の送信ポートが所定のポートに固定されている構成、あるいは送信選択ダイバーシティによって適応的に送信ポートを決定する構成の2通りしかない。
【0072】
前者では、干渉源となるアンテナに送信ポートが結線される可能性があり、その結果、組み込み先の機器あるいはWiMAXモジュールのハードウェア設計変更が必要となってしまう。
【0073】
また、後者では、たとえば無線信号の受信環境すなわち被干渉状態に基づいて送信ポートを決定し、与干渉状態を決定することになるため、与干渉を低減できない場合がある。
【0074】
これに対して、WiMAXモジュール101では、使用アンテナを固定的に決定するとともに、その固定的に使用するアンテナを選択することが可能である。
【0075】
図7に示す例では、WiMAXモジュール101が無線送信に用いるアンテナとして、少なくともWiFiモジュール112がONの状態(無線送信可能な状態)であるときには、アンテナ122が選択される。WiFiモジュール112がOFFの状態であるときにも、WiMAXモジュール101はアンテナ122を用いて無線送信する、すなわちアンテナ121を用いずに無線送信するようにしてもよい。さらにWiMAXモジュール101は、無線送信のためにアンテナ122を使用しているとき、すなわち無線送信のためにアンテナ121を使用していないときも、無線受信のためアンテナ121を使用してもよい。
【0076】
WiMAXモジュール101では、WiFiモジュール112を搭載する機器ではアンテナ122を使用し、WiFiモジュール112を搭載しない機器ではアンテナ121を使用する、というようなフレキシブルな設定も可能となる。また、WiFiモジュール112がモバイル機器201に搭載されていたり、そのWiFiモジュール112がONの状態であったりする場合のようにWiFiモジュール112による無線送信が行なわれる可能性があるときには、WiFiモジュール112が接続されたアンテナ131と近いアンテナ121をWiMAXモジュール101は無線送信に使用しない。したがって、送信選択ダイバーシティを採用する構成と比べて、与干渉を確実に低減することができる。WiFiモジュール112がモバイル機器201に搭載されなかったり、WiFiモジュール112がOFFの状態であったりする場合のようにWiFiモジュール112による無線通信が行なわれないときには、WiMAXモジュール101が、無線送信のためアンテナ121を使用することができる。
【0077】
また、たとえば図3に示す例のように使用アンテナをソフトウェアによって設定する場合には、WiMAXモジュール101の送信ポートを組み込み先の機器に初めから合わせる必要がなく、ソフトウェアによって後から接続を設定することができるため、ハードウェアによるカスタマイズが不要になる。
【0078】
なお、アンテナ設定取得部53は、WiMAXチップ51の外部に設けられる構成に限らず、WiMAXチップ51の内部に設けられてもよい。たとえば、図5に示す例において、アンテナ設定取得部53および記憶部55を、WiMAXチップ51の内部に設けることも可能である。
【0079】
図8は、本発明の実施の形態に係る無線通信モジュールの変形例の構成を示す図である。以下で説明する内容以外は図2に示すWiMAXモジュール101と同様である。
【0080】
図8を参照して、WiMAXモジュール101は、WiMAXチップ71と、アンテナ選択部72と、アンテナ設定取得部53と、アンテナ端子T1,T2とを含む。アンテナ選択部72は、スイッチ回路62,63,64,65を含む。
【0081】
スイッチ回路64は、アンテナ設定取得部53によって取得されたアンテナ設定情報に基づいて、WiMAXチップ71の送信端子TX0とスイッチ回路62とを接続するか否かを切り替える。
【0082】
スイッチ回路65は、アンテナ設定取得部53によって取得されたアンテナ設定情報に基づいて、WiMAXチップ71の送信端子TX1とスイッチ回路63とを接続するか否かを切り替える。
【0083】
上り送信期間において、スイッチ回路64が送信端子TX0とスイッチ回路62とを接続した場合には、送信端子TX0から出力された無線信号は、アンテナ端子T1へ出力される。また、上り送信期間において、スイッチ回路65が送信端子TX1とスイッチ回路63とを接続した場合には、送信端子TX1から出力された無線信号は、アンテナ端子T2へ出力される。
【0084】
ここで、アンテナ設定取得部53は、さらに、使用するアンテナを切り替える自動選択動作を示すアンテナ設定情報を取得する。
【0085】
アンテナ選択部72は、アンテナ設定取得部53によって自動選択動作を示すアンテナ設定情報が取得された場合には、WiMAXチップ71の制御に従ってアンテナ端子の選択を切り替える。
【0086】
たとえば、ホスト111は、WiFiモジュール112がモバイル機器201に組み込まれていない場合またはWiFiモジュール112がOFF状態の場合には、自動選択動作を示す設定信号をアンテナ設定取得部53へ出力し、WiFiモジュール112がモバイル機器201に組み込まれている場合またはWiFiモジュール112がON状態の場合には、WiMAXモジュール101が使用すべきアンテナを示す設定信号をアンテナ設定取得部53へ出力する。
【0087】
アンテナ設定取得部53によって自動選択動作を示すアンテナ設定情報が取得された場合、スイッチ回路64は、送信端子TX0とスイッチ回路62とを接続し、また、スイッチ回路65は、送信端子TX1とスイッチ回路63とを接続する。
【0088】
また、アンテナ設定取得部53によってアンテナ121を使用する設定が取得された場合、スイッチ回路64は、送信端子TX0とスイッチ回路62とを接続し、また、スイッチ回路65は、送信端子TX1とスイッチ回路63とを非接続とする。
【0089】
また、アンテナ設定取得部53によってアンテナ122を使用する設定が取得された場合、スイッチ回路64は、送信端子TX0とスイッチ回路62とを非接続とし、また、スイッチ回路65は、送信端子TX1とスイッチ回路63とを接続する。
【0090】
たとえば、WiMAXチップ71は、送信端子TX0およびTX1へ同じ無線信号を送信する場合には、アンテナ設定取得部53によるスイッチ回路64,65のオン設定に優先して、アンテナ121およびアンテナ122の一方を適応的に選択する。すなわち、WiMAXチップ71は、たとえば下り送信期間においてアンテナ121およびアンテナ122から受信した無線信号のうち、受信品質の良かった方に対応するアンテナを、次の上り送信期間において無線信号の送信に使用する。あるいは、WiMAXチップ71は、複数の下り送信期間にわたってアンテナ121およびアンテナ122の受信電波強度をそれぞれ平均し、比較することにより、アンテナを選択してもよい。
【0091】
具体的には、WiMAXチップ71は、アンテナ121を使用する場合には、スイッチ回路64を制御することにより、無線信号を送信端子TX0へ出力し、また、スイッチ回路65を制御することにより、無線信号の送信端子TX1への出力を停止する。
【0092】
また、WiMAXチップ71は、アンテナ122を使用する場合には、スイッチ回路64を制御することにより、無線信号の送信端子TX0への出力を停止し、また、スイッチ回路65を制御することにより、無線信号を送信端子TX1へ出力する。
【0093】
また、たとえば、WiMAXチップ71は、送信端子TX0およびTX1へ位相等が異なる無線信号を送信する場合には、アンテナ121およびアンテナ122の両方を選択する。具体的には、WiMAXチップ71は、送信端子TX0からスイッチ回路64へ無線信号を出力し、送信端子TX1からスイッチ回路65へ無線信号を出力する。
【0094】
モバイル機器201においてWiFiモジュール112が搭載されない場合には、機器内の他の無線通信への与干渉の可能性がなくなる。すなわち、WiMAXモジュール101では、アンテナの自動選択を可能とする構成により、通信環境に応じた適切なアンテナ選択が可能となる。
【0095】
図9は、本発明の実施の形態に係る無線通信モジュールの変形例の構成を示す図である。以下で説明する内容以外は図2に示すWiMAXモジュール101と同様である。
【0096】
図9を参照して、WiMAXモジュール101は、WiMAXチップ81と、アンテナ選択部82と、アンテナ設定取得部53と、アンテナ端子T1,T2とを含む。アンテナ選択部82は、スイッチ回路62,63,64,65を含む。スイッチ回路64,65は、WiMAXチップ81内に設けられる。
【0097】
スイッチ回路64は、アンテナ設定取得部53によって取得されたアンテナ設定情報に基づいて、WiMAXチップ81内で生成された無線信号を送信端子TX0へ出力するか否かを切り替える。
【0098】
スイッチ回路65は、アンテナ設定取得部53によって取得されたアンテナ設定情報に基づいて、WiMAXチップ81内で生成された無線信号を送信端子TX1へ出力するか否かを切り替える。
【0099】
そして、スイッチ回路64が無線信号を送信端子TX0へ出力した場合には、送信端子TX0から出力された無線信号は、スイッチ回路62を介してアンテナ端子T1へ出力される。また、スイッチ回路65が無線信号を送信端子TX1へ出力した場合には、送信端子TX1から出力された無線信号は、スイッチ回路63を介してアンテナ端子T2へ出力される。
【0100】
ここで、アンテナ設定取得部53は、さらに、使用するアンテナを切り替える自動選択動作を示すアンテナ設定情報を取得する。
【0101】
アンテナ選択部82は、アンテナ設定取得部53によって自動選択動作を示すアンテナ設定情報が取得された場合には、WiMAXチップ81の制御に従ってアンテナ端子の選択を切り替える。
【0102】
たとえば、ホスト111は、WiFiモジュール112がモバイル機器201に組み込まれていない場合には、自動選択動作を示す設定信号をアンテナ設定取得部53へ出力し、WiFiモジュール112がモバイル機器201に組み込まれている場合には、WiMAXモジュール101が使用すべきアンテナを示す設定信号をアンテナ設定取得部53へ出力する。
【0103】
アンテナ設定取得部53によって自動選択動作を示すアンテナ設定情報が取得された場合、スイッチ回路64は、WiMAXチップ81内で生成された無線信号を送信端子TX0へ出力し、また、スイッチ回路65は、WiMAXチップ81内で生成された無線信号を送信端子TX1へ出力する。
【0104】
また、アンテナ設定取得部53によってアンテナ121を使用する設定が取得された場合、スイッチ回路64は、WiMAXチップ81内で生成された無線信号を送信端子TX0へ出力し、また、スイッチ回路65は、WiMAXチップ81内で生成された無線信号の送信端子TX1への出力を停止する。
【0105】
また、アンテナ設定取得部53によってアンテナ122を使用する設定が取得された場合、スイッチ回路64は、WiMAXチップ81内で生成された無線信号を送信端子TX0への出力を停止し、また、スイッチ回路65は、WiMAXチップ81内で生成された無線信号を送信端子TX1へ出力する。
【0106】
たとえば、WiMAXチップ81は、送信端子TX0およびTX1へ同じ無線信号を送信する場合には、アンテナ設定取得部53によるスイッチ回路64,65のオン設定に優先して、アンテナ121およびアンテナ122の一方を適応的に選択する。すなわち、WiMAXチップ81は、たとえば下り送信期間においてアンテナ121およびアンテナ122から受信した無線信号のうち、受信品質の良かった方に対応するアンテナを、次の上り送信期間において無線信号の送信に使用する。
【0107】
具体的には、WiMAXチップ81は、アンテナ121を使用する場合には、スイッチ回路64を制御することにより、送信端子TX0とスイッチ回路62とを接続し、また、スイッチ回路65を制御することにより、送信端子TX0とスイッチ回路63とを非接続とする。あるいは、WiMAXチップ81は、アンテナ121を使用する場合には、スイッチ回路64へ無線信号を出力し、スイッチ回路65への無線信号の出力を停止する。
【0108】
また、WiMAXチップ81は、アンテナ122を使用する場合には、スイッチ回路64を制御することにより、送信端子TX0とスイッチ回路62とを非接続とし、また、スイッチ回路65を制御することにより、送信端子TX1とスイッチ回路63とを接続する。あるいは、WiMAXチップ81は、アンテナ121を使用する場合には、スイッチ回路64への無線信号の出力を停止し、スイッチ回路65へ無線信号を出力する。
【0109】
また、たとえば、WiMAXチップ81は、送信端子TX0およびTX1へ位相等が異なる無線信号を送信する場合には、アンテナ121およびアンテナ122の両方を選択する。
【0110】
具体的には、WiMAXチップ81は、スイッチ回路64を制御することにより、送信端子TX0とスイッチ回路62とを接続し、また、スイッチ回路65を制御することにより、送信端子TX1とスイッチ回路63とを接続する。そして、WiMAXチップ81は、スイッチ回路64および65へ無線信号を出力する。
【0111】
モバイル機器201においてWiFiモジュール112が搭載されない場合には、機器内の他の無線通信への与干渉の可能性がなくなる。すなわち、WiMAXモジュール101では、アンテナの自動選択を可能とする構成により、通信環境に応じた適切なアンテナ選択が可能となる。
【0112】
なお、図9に示すWiMAXモジュール101のようにスイッチ回路64,65をWiMAXチップ81内に設ける構成に限らず、たとえば、無線信号を出力するか否かを切り替える代わりに、WiMAXチップ81において、通信データをアナログ信号に変換するためのD/Aコンバータへ当該通信データを入力するか否かを切り替える構成であってもよい。
【0113】
ところで、WiMAX用のモジュールおよびWiFi用のモジュールの両方を搭載したノート型PC等のモバイル機器では、WiMAXおよびWiFiにおいて用いられる無線信号の周波数が近いことから、各モジュール間での無線信号の干渉が問題となる。ある通信方式の無線通信モジュールが、同じ機器に組み込まれる他の通信方式の無線通信モジュールへ与える干渉を抑制することが重要である。
【0114】
また、複数の送信アンテナの中から使用する送信アンテナを選択する方法としては、予めひとつのアンテナに固定する方法、および適切なアンテナを自動選択する方法が考えられる。送信アンテナを切り替え可能とし、送信アンテナを自動選択する機能を実装すれば、適応的なアンテナ選択が可能となる。このため、送信アンテナを切り替え可能な構成を実装した上で、送信アンテナをあえて固定化するという発想は無かったものと考えられる。また、アンテナの自動選択では、組み込み先の機器のアンテナ配置等によっては、不適切なアンテナが誤って選択されてしまう可能性もある。
【0115】
これに対して、本発明の実施の形態に係る無線通信モジュールでは、WiMAXチップ51は、無線信号をWiMAX方式により送信する。アンテナ設定取得部53は、WiMAX方式と異なる通信方式による無線送信が機器で用いられる場合にWiMAXチップ51を接続しないアンテナ端子を示すアンテナ設定情報を取得する。そして、アンテナ選択部52は、アンテナ設定取得部53によって取得されたアンテナ設定情報に基づいてWiMAXチップ51を接続するアンテナ端子を選択する。
【0116】
すなわち、無線通信モジュール用の複数のアンテナのどれを使用するかをソフトウェア設定またはハードウェア設定によって切り替えられるようにして、組み込み先の機器の設計上、与干渉が小さいことが既知のアンテナのみを使用して無線信号を送信する。
【0117】
このような構成により、組み込み先の機器の設計上、明らかに他の無線通信に干渉を与えるアンテナがある場合には、無線通信モジュール側で当該アンテナを使用しない設定にすることにより、当該機器側の設計変更を行うことなく、確実に干渉を低減することができる。また、アンテナを自動選択する構成と比べて、組み込み先の機器の設計に応じて確実に干渉を低減することができる。
【0118】
また、無線通信モジュールを複数種類の機器に組み込むことを想定した場合、無線通信モジュール側で予めアンテナを選択的に固定する構成により、組み込み先の機器ごとに無線通信モジュールを容易にカスタマイズすることができる。
【0119】
また、本発明の実施の形態に係る無線通信モジュールでは、アンテナ設定取得部53は、さらに、使用するアンテナを切り替える自動選択動作を示すアンテナ設定情報を取得する。そして、アンテナ選択部72は、アンテナ設定取得部53によって自動選択動作を示すアンテナ設定情報が取得された場合には、WiMAXチップ71の制御に従ってアンテナ端子の選択を切り替える。
【0120】
このような構成により、組み込み先の機器の使用条件、例えば無線LANおよびBluetooth等の他の無線通信モジュールとWiMAXモジュールとの併用の有無等によって使用アンテナを固定するか、使用アンテナを通信環境に応じて自動選択するかを切り替えることができる。すなわち、使用アンテナを固定する方が良い機器と固定しない方が良い機器の両方で、使用アンテナの選択を適切に行うことができる。
【0121】
また、本発明の実施の形態に係る無線通信モジュールでは、設定信号受信部54は、WiMAXモジュール51の外部から設定信号を受信する。そして、アンテナ設定取得部53は、設定信号受信部54が受信した設定信号からアンテナ設定情報を取得する。
【0122】
このような構成により、無線通信モジュール側で使用アンテナを予め固定することなく、無線通信モジュールの組み込み先の機器の設計に応じて使用アンテナを柔軟に選択することが可能となる。
【0123】
また、本発明の実施の形態に係る無線通信モジュールでは、記憶部55は、アンテナ設定情報を記憶する。そして、アンテナ設定取得部53は、記憶部55からアンテナ設定情報を取得する。
【0124】
このような構成により、無線通信モジュールの組み込み先の機器においてアンテナ設定用の回路等を設けることなく、無線通信モジュール側で使用アンテナを選択することが可能となる。
【0125】
また、本発明の実施の形態に係る無線通信モジュールでは、WiMAXチップ51は、WiMAX方式に従って無線信号を送受信する。
【0126】
このように、WiFi方式およびBluetooth方式等と無線周波数が近く、無線信号の干渉が生じやすいWiMAX方式に適用することにより、本発明の効果をより顕著に得ることができる。
【0127】
なお、本発明の実施の形態に係る無線通信モジュールでは、無線信号の送信において使用しないアンテナを示すアンテナ設定情報を取得し、使用アンテナの選択を行うことにより与干渉を低減する構成であるとしたが、これに限定するものではない。無線信号の受信において使用しないアンテナを示すアンテナ設定情報を取得し、使用アンテナの選択を行うことにより被干渉を低減する構成であってもよい。すなわち、アンテナ設定取得部53は、アンテナ121,122のうち、無線信号の送信、受信または送受信で使用しないアンテナを示すアンテナ設定情報を取得する構成であればよい。
【0128】
また、本発明の実施の形態に係る無線通信モジュールでは、2本のアンテナを選択候補とする構成であるとしたが、これに限定するものではない。3本以上のアンテナを選択候補とする構成であってもよい。この場合、アンテナ選択部52は、アンテナ設定取得部53によって取得されたアンテナ設定情報に基づいて、3つ以上のアンテナ端子のうち、1または複数のアンテナ端子を選択する。
【0129】
また、本発明の実施の形態に係る無線通信モジュールの通信方式として、WiMAXを例示したが、これに限定するものではない。このような通信方式に限らず、LTE(Long Term Evolution)等の他の通信方式に対応する無線通信モジュールであってもよい。
【0130】
また、本発明の実施の形態に係るモバイル機器は、WiMAX以外の通信方式に対応する無線通信モジュールとして、WiFiモジュールを例示したが、これに限定するものではない。このような通信方式に限らず、Bluetooth等、本発明の実施の形態に係る無線通信モジュールの無線信号によって干渉を受ける可能性のある通信方式であれば、どんなものでもよい。
【0131】
また、無線通信モジュール101の組み込み先の機器であるモバイル機器201は、2つの通信方式に従う無線通信機能を提供する構成であるとしたが、これに限定するものではない。無線通信モジュール101の組み込み先の機器は、3つ以上の通信方式に従う無線通信機能を提供する構成であってもよいし、無線通信モジュール101による無線通信機能のみを提供する構成であってもよい。
【0132】
また、本発明の実施の形態に係る無線通信モジュールの組み込み先の機器はモバイル機器であるとしたが、これに限定するものではない。WiFiルータとWiMAX端末局とを組み合わせた機器等、据え置き型の機器に組み込まれてもよい。
【0133】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0134】
51,71,81 WiMAXチップ(無線送信部)
52 アンテナ選択部
53 アンテナ設定取得部
54 設定信号受信部
55 記憶部
61,62,63,64,65 スイッチ回路
72 アンテナ選択部
82 アンテナ選択部
101 WiMAXモジュール(無線通信モジュール)
111 ホスト
112 WiFiモジュール
121,122,131 アンテナ
201 モバイル機器
202 WiFiエンドポイント
203 WiMAX基地局
301 無線通信システム
R1,R2 抵抗
T1,T2 アンテナ端子
T3,T4 設定端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信機能を備える機器に組み込むための無線通信モジュールであって、
無線信号を第1方式により送信するための無線送信部と、
前記機器が備えるアンテナに前記無線送信部を接続するための複数のアンテナ端子と、
前記第1方式と異なる第2方式による無線送信が前記機器で用いられる場合に前記無線送信部を接続しないアンテナ端子を示すアンテナ設定情報を取得するためのアンテナ設定取得部と、
前記アンテナ設定取得部によって取得されたアンテナ設定情報に基づいて前記無線送信部を接続する前記アンテナ端子を選択するためのアンテナ選択部とを備える、無線通信モジュール。
【請求項2】
前記無線通信モジュールは、さらに、
前記無線通信モジュールの外部から設定信号を受信するための設定信号受信部を備え、
前記アンテナ設定取得部は、前記設定信号から前記アンテナ設定情報を取得する、請求項1に記載の無線通信モジュール。
【請求項3】
前記無線通信モジュールは、さらに、
前記アンテナ設定情報を記憶するための記憶部を備え、
前記アンテナ設定取得部は、前記記憶部から前記アンテナ設定情報を取得する、請求項1または請求項2に記載の無線通信モジュール。
【請求項4】
前記第1方式は、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)方式である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の無線通信モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−42462(P2013−42462A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179804(P2011−179804)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(502312498)住友電工ネットワークス株式会社 (212)
【Fターム(参考)】