説明

無線通信端末

【課題】複数の無線通信帯域で無線通信を行う無線通信端末において、低消費電力で、かつ通信の安定性を確保することができる無線通信端末を提供する。
【解決手段】所定帯域の電波を用い、所定範囲の領域での通信が可能な第1無線通信手段10と、第1無線通信手段10とは異なる帯域の電波を用いて第1無線通信手段よりも狭い領域で通信が可能であり、受信した無線データを復調する復調手段22と、その復調処理により得られた信号から受信状態の値を算出する算出手段23と、を備えた第2無線通信手段20と、何れの無線通信手段を優先的に用いるかを選択する選択手段31と、算出手段23により算出された受信状態の値を、選択手段31による選択結果に基づく閾値と比較する受信状態比較手段30と、その比較結果に基づいて、何れの通信手段により通信をするかを判断する判断手段40と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信を行う無線通信端末に関し、特に無線LAN端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers:米国電気電子学会)802.11規格である無線LANは、端末を自由に移動させることができる利便性から、企業や一般家庭だけでなく、駅や空港、ホテル、カフェなどの飲食店にまで普及している。
近年では、理論上の最大伝送速度が600Mbpsに達する「IEEE802.11n(以下、11nと表記する)」が規格化・製品化され、さらなる大容量・高速伝送を可能とする無線通信へのニーズが高まってきている。
そこで、IEEE802委員会の作業部会では、IEEE802.11ac(以下、11acと表記する)や、IEEE802.11ad(以下、11adと表記する)といった次世代無線LANの規格化の検討を行っている。
【0003】
11acは11nとの互換性が確保され、理論上の最大伝送速度が3Gbps以上であり、通信に使用する周波数帯域は5GHz帯域である。
また、11adは、理論上の最大伝送速度が6Gbps以上であり、通信に使用する周波数帯域は60GHz帯域である。
5GHz帯を使用する11acは、見通し外での通信が可能であるが、11adは、電波の直進性が強いミリ波(60GHz)帯で通信を行うことから、部屋内など通信範囲が限定されてしまう。その一方で、11adにはデータ伝送速度の高速化が容易であるという利点がある。
そのため、伝送速度が高速な11adと、広範囲な接続性が確保できる11acを組み合わせて用いることで、無線通信の高速性と広範囲な接続性を両立させて確保することが期待される。
【0004】
図6は、11acと11adを組み合わせてBSS(Basic Service Set)/PBSS(Personal Basic Service Set)を形成する無線システムの一例を示す図である。
なお、BSSとは、無線LANのインフラストラクチャモードにおいて、一つのアクセスポイント(AP)と、そのアクセスポイントの電波内の、配下の無線LANクライアントによって構成されるネットワークである。
また、PBSSは、アクセスポイントを介さずに無線LANクライアント同士が直接通信を行う(アドホックモード)ネットワークである。
なお、図6において、セットトップボックス2、5、テレビ3、6及び無線通信端末4は、それぞれ無線LANクライアントとしての機能を有するものとする。
また、これらの装置は、11adを用いて、近接する装置とアドホックモードによる通信が可能であるとともに、アクセスポイント1との間でも11acを用いた通信が可能である。
【0005】
図6において、アクセスポイント1は、通信範囲1A内で、5GHz帯域を使用した11ac(インフラストラクチャモード)によりBSSを形成している。そのため、通信範囲1Aで示されるように家中のほとんどの場所で通信が可能であり、広範囲な接続性が確保できている。
そして、アクセスポイント1は、セットトップボックス2及びセットトップボックス5と、インフラストラクチャモードにより接続中である。
また、セットトップボックス2は通信範囲2A内で11adを用いてPBSSを形成しており、通信範囲2A内のテレビ3、無線通信端末4とアドホックモードでの通信を行うことが出来る。
すなわち、セットトップボックス2は、アクセスポイント1とは11acでインフラストラクチャモードでの通信を行いながら、テレビ3及び無線通信端末4とは60GHz帯域を使用して、11adを用いたアドホックモードの通信を行っている。
セットトップボックス2は、11adでは、通信範囲2Aで示されるように、部屋内にしか電波が届かない狭い通信範囲で通信を行っているが、11adを用いているために、セットトップボックス2と、テレビ3及び無線通信端末4間の通信は11acによる通信に比べ、大容量・高速伝送な通信をすることができる。
また、同様に、セットトップボックス5は、通信範囲5A内で11adを用いてPBSSを形成し、通信範囲5A内のテレビ6とアドホックモードでの通信を行うことが出来る。
【0006】
ところで、セットトップボックス2のような、11acを用いてアクセスポイント1に接続する端末(ステーション)として通信を行いながら11adを用いてアドホックネットワークを形成する端末(ステーション)の中でも中心的な役割を担い通信を行う無線通信端末のことを、現在検討中の11ad規格(IEEE P802.11ad/D0.1)では、PCP(PBSS Central Point)と呼んでいる。
セットトップボックス5も、セットトップボックス2と同様にPCPであり、アクセスポイント1とは11acによりインフラストラクチャモードの通信を行いながら、通信範囲5Aのテレビ6とは、60GHz帯域で11adを用いたアドホックモードの通信を行っている。
【0007】
図7は、図6における無線通信端末4が矢印の方向に移動した場合の図である。
無線通信端末4は、図7では通信範囲2Aで11adを用いてセットトップボックス2と通信を行っていたが、図7では通信範囲2A外へ移動したため、接続先をセットトップボックス2からアクセスポイント1へと切り替えた。すなわち無線通信端末4は、60GHz帯域で通信を行う11adから5GHz帯域で通信を行う11acへと通信帯域の変更を行った。
ところで、IEEE802委員会の11ad作業部会では、非圧縮のHD(High Definition:高精細度)映像を伝送する場合をユースケースとして、規格化の検討が行われている。
例えば、HD映像(1,080pで24ビット/ピクセル、60フレーム/秒)を無線通信で伝送するときには、速度が3Gビット/秒以上、遅延時間は10ミリ秒以内という非常に短い時間が条件になる。
【0008】
すなわち無線通信端末4がHD映像を伝送中に移動し、かつ60GHz帯域で通信を行う11adから5GHz帯域で通信を行う11acへと通信方式の変更を行う場合、通信方式の変更に10ミリ秒以上の時間をかけてしまうと、無線通信端末4で表示されているHD映像は途切れてしまうという問題がおこる。
そのため、60GHz帯域で通信を行う11adから、5GHz帯域で通信を行う11acへ通信方式を変更する時には、高速に切り替える必要がある。
一般的に、ミリ波である60GHz帯域の無線通信の通信範囲は、5GHz帯域の無線通信範囲に比べ、十分に狭い通信範囲である。よって、60GHz帯域の無線通信の通信範囲は、5GHz帯域の無線通信範囲の中に位置していることが多い。
そのため、60GHz帯域で通信を行う11adから、5GHz帯域で通信を行う11acへの切り替えは、60GHz帯域で通信を行う11adが通信範囲外になってしまうことで切断された後で行われる。
【0009】
しかし、通信範囲の境目、つまり60GHz帯域で通信を行う11adの通信が可能な領域と不可能な領域の境界線は、フェージングの影響や隣接チャネルの干渉波といった周囲の環境によって刻一刻と変化しており、一意に決めることが難しい。
通信範囲の境目を誤ってしまうと、60GHz帯域での通信から5GHz帯域での通信へ、さらに5GHz帯域での通信から60GHz帯域での通信へ、再び60GHz帯域での通信から5GHz帯域での通信へ、といったように、頻繁に通信帯域の切り替えを起こしてしまう。
通信帯域の切り替えには各通信帯域での再接続処理が必要なため、頻繁に通信帯域の切り替えを行うことは、データ通信の負荷になる。
特にHD映像の伝送中のように、高速に通信帯域を切り替える必要がある場合には、伝送を中断させてしまう可能性を高めてしまい、通信の安定性が損なわれるという問題が起きる。さらに、各通信帯域での再接続処理のための無線データの送受信を行うために、消費電力の増加という問題も引き起こす。
そのため、頻繁に通信帯域の切り替えが起こらないような最適な60GHz帯域の通信範囲で、通信の開始/切替を行うことが望ましい。
これは、11acだけの問題ではなく、IEEE802.11a/b/g/nのような、11acと同じく広範囲な通信が可能な通信方式を用いる場合も同様な問題が起こる。
【0010】
またアプリケーション(データ転送、HD映像伝送など)によって、通信が中断しても許される時間は異なる。例えば、HD映像(1,080pで24ビット/ピクセル、60フレーム/秒)は10ミリ秒通信が中断してしまうと、HD映像が途切れてしまうが、FTP(File Transfer Protocol)データ転送中ならば50ミリ程度通信が中断してしまっても、ユーザーは全く気がつかない。
さらに、11adは11acよりも大容量・高速伝送な通信が可能であるため、例えばFTPデータ転送中は、多少通信帯域の切り替えが起こっても、11adを優先的に用いて通信を行ってデータ転送を早く終わらせた方が、消費電力を低減させることが出来るため、好適である。
一方、HD映像の伝送中は、頻繁に通信帯域の切り替わりはあまり起こらない方がよいといえる。
このように、通信を開始/切り替えるための最適な60GHz帯域の通信範囲はアプリケーションによって異なる。
また、11adでは、通信範囲が狭いためビームフォーミング技術の必要性が増してくる。
ビームフォーミング技術においては、例えばセットトップボックス2から特定の方向に電波を飛ばすことでより遠くにある局(無線通信端末4、テレビ3等)と通信が出来るようになる。
【0011】
図8は、ビームフォーミングありの場合と、なしの場合の通信範囲を示した図である。
ビームフォーミング技術を用いると、より遠くまで電波が届くようになり、図8で示されるとおり、遠い位置にある無線通信端末4まで電波が届いている。
しかし、ビームフォーミング技術を用いるためには、送信機側はトレーニング信号と呼ぶ信号を送信し、受信機側で受信したトレーニング信号の振幅や位相といった伝送路に関する情報を算出、送信機側へフィードバックしなければならない。そのため、ビームフォーミング通信開始までには、時間がかかるという問題がある。
図9は、図8における無線通信端末4がビームフォーミングの通信範囲外へ移動した場合を示す図である。
図9のように、一度ビームフォーミングの通信範囲外へでてしまうと、再度、送信機側はトレーニング信号を送信し、伝送路に関する情報のフィードバックを受けなければならず、さらに時間がかかる。そのため、ビームフォーミング技術を用いている時に、頻繁に通信帯域の切り替えが起こると、ビームフォーミング技術を用いていない場合よりも、さらに多くの無線データの送受信を再接続のために行わなければならず、伝送を中断させてしまう可能性をより高めてしまい通信の安定性が損なわれ、かつ消費電力の増加という問題を引き起こす。
【0012】
以上のように、ビームフォーミング技術を用いている場合は特に、頻繁に通信帯域の切り替えが起こらない最適な60GHz帯域の通信範囲で、通信の開始/切替を行うことが望まれる。
異なる無線通信帯域あるいは通信方式(アドホックモード/インフラストラクチャモード)を切り替えて通信を行う無線通信装置において、適切に通信帯域、通信方式を切り替える判断を行うための技術として、特許文献1には、受信電界強度の変化によって、アドホックモード無線通信手段を起動又は停止することで、必要な時のみアドホックモード無線通信手段を稼動させることができる無線通信装置が開示されている。
また、異なるアクセスポイントを高速に切り替えて通信する技術として、特許文献2には、無線信号強度が最大の隣接アクセスポイントの無線信号強度にローミングを行う無線LANが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、特許文献1では、受信電界強度は、フェージングの影響や隣接チャネルの干渉波といった周囲の環境による影響が大きいため、適切に受信環境を把握できないという問題がある。また、アドホックモードとインフラストラクチャモードで、最大伝送速度や通信範囲が異なると、アドホックモード無線通信手段を起動又は停止する最適な時間が変化するということが考慮されていないという問題がある。
また、特許文献2では、無線信号強度は、フェージングの影響や隣接チャネルの干渉波といった周囲の環境による影響が大きいため、適切に受信環境を把握できないという問題がある。また、各隣接アクセスポイントの間で、最大伝送速度や通信範囲が異なると、接続すべき最適なアクセスポイントが変わるということが考慮されていないという問題がある。
以上のように、従来の無線通信端末においては、通信範囲の把握に受信電界強度を用いているために適切に受信環境が把握できず、かつ伝送速度や通信範囲の異なるアクセスポイントや無線通信端末が混在する無線システムの場合が考慮されていないために、頻繁に通信帯域の切り替えが起こり、通信の安定性が損なわれ、さらに無駄な消費電力がかるという問題があった。
本発明はかかる課題に鑑み、複数の無線通信帯域で無線通信を行う無線通信端末において、無線通信帯域の優先度と受信状態を示すパラメータにより、適切に無線通信帯域を切り替えることで、低消費電力で、かつ通信の安定性を確保することができる無線通信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1の発明は、複数の無線通信手段を備え、異なる無線通信帯域を使用した通信方式で無線データを送受信可能な無線通信端末であって、広範囲のインフラストラクチャモードで通信を行う第1無線通信手段と、前記第1無線通信手段よりも高帯域を使用して狭い範囲内での通信を行い、受信した無線データを復調して得られる信号から前記無線データの受信状態を算出する算出手段を備え、前記第1無線通信手段とは異なる無線通信帯域を使用した通信方式を用いて通信を行う第2無線通信手段と、前記第1無線通信手段と、前記第2無線通信手段と、の何れを優先的に用いるかを選択する選択手段と、前記算出手段により算出された前記無線データの受信状態と、前記選択手段によって選択された無線通信手段が用いる通信方式に対して設定した基準受信状態と、を比較する受信状態比較手段と、前記受信状態比較手段による比較結果に基づいて、前記第1無線通信手段と前記第2無線通信手段の何れを用いて無線データの送受信を行うかを判断する判断手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、受信状態を把握して適切に無線通信帯域を切り替えることで、低消費電力で、かつ通信の安定性を確保することができる。
【0015】
請求項2の発明は、前記判断手段は、前記算出手段により算出された前記無線データの受信状態が、前記選択手段によって選択された無線通信手段が用いる通信方式に対して設定した基準受信状態よりも良好な場合は、前記第2の無線通信手段による無線データの送受信を行い、前記算出手段により算出された前記無線データの受信状態が、前記選択手段によって選択された無線通信手段が用いる通信方式に対して設定した基準受信状態よりも低い場合は、前記第1の無線通信手段による無線データの送受信を行うと判断することを特徴とする。
本発明によれば、受信状態を把握して適切に無線通信帯域を切り替えることで、低消費電力で、かつ通信の安定性を確保することができる。
【0016】
請求項3の発明は、複数の無線通信手段を備え、異なる無線通信帯域を使用した通信方式で無線データを送受信可能な無線通信端末であって、広範囲のインフラストラクチャモードで通信を行う第1無線通信手段と、前記第1無線通信手段よりも高帯域を使用して狭い範囲内での通信を行い、受信した無線データを復調して得られた信号から前記無線データの受信状態を算出する算出手段と、前記無線データの受信強度を検出する検出手段と、を備え、前記第1無線通信手段とは異なる無線通信帯域を使用した通信方式を用いて通信を行う第2無線通信手段と、前記第1無線通信手段と、前記第2無線通信手段と、の何れを優先的に用いるかを選択する選択手段と、前記算出手段により算出された前記受信状態と、前記選択手段によって選択された無線通信手段が用いる通信方式に対して設定した基準受信状態と、を比較する受信状態比較手段と、前記算出手段により算出された前記受信強度と、前記選択手段によって選択された無線通信手段が用いる通信方式について予め設定した基準受信強度と、を比較する受信強度比較手段と、前記受信状態比較手段及び前記受信強度比較手段による比較結果に基づいて、前記第1無線通信手段と前記第2無線通信手段の何れを用いて無線データの送受信を行うかを判断する判断手段と、を備えることを特徴とする。
本発明により、受信状態に加え、受信強度を把握してより適切に無線通信帯域を切り替えることで、低消費電力で、かつ通信の安定性を確保することができる。
【0017】
請求項4の発明は、前記判断手段は、前記算出手段により算出された前記無線データの受信状態が、前記選択手段によって選択された無線通信手段が用いる通信方式に対して設定した基準受信状態よりも低く、前記検出手段により検出された前記無線データの受信強度が、前記選択手段によって選択された無線通信手段が用いる通信方式に対して設定した基準受信強度よりも高い場合に、前記第2の無線通信手段による無線データの送受信を行うと判断することを特徴とする。
本発明により、受信状態に加え、受信強度を把握してより適切に無線通信帯域を切り替えることで、低消費電力で、かつ通信の安定性を確保することができる。
請求項5の発明は、前記算出手段は、受信した無線データを復調して得られた信号における受信ベクトルと判定ベクトルとの差であるエラーベクトルから得られる変調精度値を、前記無線データの受信状態として算出することを特徴とする。
【0018】
請求項6の発明は、前記選択手段に対し、前記第1無線通信手段と前記第2無線通信手段の何れを選択するかを設定する設定手段を備えることを特徴とする。
本発明により、無線通信手段の優先度を任意に設定することができ、より適切に無線通信帯域を切り替えることで、低消費電力で、かつ通信の安定性を確保することができる。
請求項7の発明は、前記選択手段は前記第2無線通信手段を用いた無線データの送受信にビームフォーミングを用いているかどうかを検出し、該検出結果に基づいて、前記第1無線通信手段と前記第2無線通信手段の何れを優先させるかを決定することを特徴とする。
本発明により、無線手段の切り替えに時間がかかるビームフォーミングを用いる時にも、適切に無線通信帯域を切り替えることで、低消費電力で、かつ通信の安定性を確保することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、複数の無線通信帯域で無線通信を行う無線通信端末において、無線通信帯域の優先度と受信状態を示すパラメータにより、適切に無線通信帯域を切り替えることで、低消費電力で、かつ通信の安定性を確保することができる無線通信端末を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の無線通信端末の実施の形態に係る無線LAN端末の構成例を示す図。
【図2】QPSK変調方式における極座標を示す図。
【図3】図1に示す無線LAN端末において使用する無線通信手段の判断フローを示す図。
【図4】本発明の別の実施形態に係る無線LAN端末の構成を示す図。
【図5】図4に示す無線LAN端末において使用する無線通信手段の判断フローを示す図。
【図6】IEEE802.11acとIEEE802.11adを組み合わせてBSS/PBSSを形成する無線システムの一例を示す図。
【図7】図6における無線通信端末が矢印の方向に移動した場合の図。
【図8】ビームフォーミングありの場合と、なしの場合の通信範囲を示した図。
【図9】図8における無線通信端末がビームフォーミングの通信範囲外へ移動した場合を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の無線通信端末の実施の形態に係る無線LAN端末の構成例を示す図である。
なお、本無線LAN端末が使用される通信環境は図6で示したような環境であり、本無線LAN端末の一例として、図6の無線通信端末4を用いて説明する。
なお、図1においては本発明に関する機能部のみ示しており、他の機能部については省略してある。
この無線LAN端末は、第1の周波数帯域において、第1の無線通信方式により通信を行うための第1無線通信手段10と、第1の周波数帯域(無線通信帯域)とは異なる第2の周波数帯域(無線通信帯域)において、第1の無線通信方式とは異なる第2の無線通信方式により通信を行うための第2の無線通信手段20と、を備えている。
【0022】
ここで、第1無線通信手段10は、例えば5GHz帯の周波数帯域(第1の無線通信帯域)において、上述のIEEE802.11ac(11ac:第1の無線通信方式)により通信を行い、第2無線通信手段20は、例えば60GHz帯の周波数帯域(第2の無線通信帯域)において、上述のIEEE802.11ad(11ad:第2の無線通信方式)により通信を行う。
もちろん、両無線通信手段において用いられる周波数帯域/通信方式の組み合わせは、これらに限定されることはなく、例えば、第1の無線通信手段において、2.4GHz帯を使用したIEEE80.211b/gを使用する場合にも適用出来る。
図1において、第1無線通信手段10は、11acに基づいて変調された無線信号を受信するRF部11と、このRF部11により受信した無線信号の復調処理を行う復調手段12と、を備えている。
また、第2の無線通信手段20は、11adに基づいて変調された無線信号を受信するRF部21と、このRF部21により受信した無線信号の復調処理を行う復調手段22と、復調手段22による復調処理により得られた信号から無線伝搬特性を示す受信状態パラメータを算出する算出手段23を備えている。
【0023】
本願発明の無線LAN端末は、さらに、第1無線通信手段10と第2無線通信手段20のどちらを優先的に用いるかを選択する選択手段31と、算出手段23により算出した受信状態パラメータを、選択手段31による選択結果に基づく所定の閾値(基準受信状態)と比較する受信状態比較手段30と、受信状態比較手段30における比較結果とに基づいて、第1無線通信手段10と第2無線通信手段20のどちらの無線通信手段で無線データの送受信を行うかを判断する判断手段40と、を備えている。
なお、算出手段23は、例えば受信ベクトルと判定ベクトルとの差であるエラーベクトルから、受信状態パラメータの一例としての変調精度値を算出することが出来る(変調精度算出手段)。
なお、ここでは、受信状態比較手段30、選択手段31、判断手段40は、データリンク層とアプリケーション層を表す上位レイヤにあるが、もちろん物理層にあってもよい。
また、レイヤ1である物理層と上位レイヤの一部では、第1無線通信手段10と第2無線通信手段20とに別れているが、アンテナなど一部が共有されていても良い。
【0024】
図2は、11acや11ad等で用いられるQPSK変調方式における極座標を示す図である。
上記した、算出手段23における変調精度の算出に用いるエラーベクトルは、判定ベクトルである理想シンボルと受信ベクトルである測定シンボルとのベクトル差であり、振幅成分と位相成分を含む複素量である。
つまりエラーベクトルは、理想シンボルを取ったあとに残る残留ノイズと歪みであるといえる。
変調精度は次の式(1)で得られる。


・・・式(1)
ここで、
f:算出に用いるフレーム総数
i:フレームインデックス
k:キャリアインデックス
j:シンボルインデックス
STM:算出に用いるシンボル総数
ST:算出に用いるサブキャリア総数
0、Q0:理想シンボルのポイント
0:理想シンボルの平均パワー
となる。
変調精度は、受信信号に式(1)をそのまま使用して算出してもよいし、算出結果をデシベルに換算しても良いし、測定シンボルのDCオフセットや周波数オフセット等を補正した後の受信信号を用いて式(1)により算出しても良い。また、変調精度は、任意のフレーム数、シンボル数、キャリア数で平均を取って、用いてもよい。
また、図1の復調手段12、22はIチャネル、Qチャネルごとに信号成分を判定するデマップ処理を行う。
【0025】
図3は、図1に示す無線LAN端末において使用する無線通信手段の判断フローを示す図である。
現在、無線LAN端末は、第2無線通信手段20を用いて60GHz帯域で通信を行う11adによる通信を行っているとする。
無線通信端末は、選択手段31において第2無線通信手段20により60GHz帯域で通信を行う11adが優先されるように選択されているかどうかを確認する(ステップS101)。
60GHz帯域で通信を行う11adが優先されるように選択されている場合には(ステップS101でYes)、変調精度閾値(基準受信状態)Xを−7dBに設定する(ステップS102)。
第1無線通信手段10を用いて5GHz帯域で通信を行う11acが優先されるように選択されている場合には(ステップS101でNo)、変調精度閾値Xを−15dBに設定する(ステップS106)。
【0026】
ここで、選択手段31において60GHz帯域で通信を行う11adが優先されるように選択され、変調精度閾値Xが−7dBに設定されたとする。
算出手段23は、復調手段22による復調処理によって得られる信号から、変調精度値としてのエラーベクトル(受信ベクトルと判定ベクトルとの差)の算出を行う(ステップS103)。ここではエラーベクトルの算出結果が−8dBであったとする。この場合、受信状態比較手段30による比較の結果エラーベクトルの算出結果(−8dB)が変調精度閾値X(−7dB)以下である(ステップS104でYes)ため、判断手段40により、60GHz帯域で通信を行う11adで引き続き通信を行うと判定され(ステップS105)、無線通信帯域や通信方式の切り替えは行われない。
逆に、算出手段23によるエラーベクトルの算出結果が、変調精度閾値X以上であった場合は(ステップS104でNo)、判断手段40により、5GHz帯域で通信を行う11ac使用すると判断され(ステップS107)、帯域/無線通信方式の切り替えが行われる(ステップS108)。
以上のように構成することで、複数の無線通信帯域、通信方式で無線通信を行う無線LAN端末において、無線通信帯域の優先度と受信状態を示すパラメータにより、適切に無線通信帯域を切り替えることで、低消費電力で、かつ通信の安定性を確保することができる。
また、変調精度値を受信状態パラメータとすることができ、適切に無線通信帯域を切り替えることで、低消費電力で、かつ通信の安定性を確保することができる。
【0027】
図4は、本発明の別の実施形態に係る無線LAN端末の構成を示す図である。
図4について、図1と同様の構成については同じ符号を付して詳細な説明は省略している。
第1無線通信手段10は、例えば11acに基づいて変調された無線信号を受信するRF部11と、このRF部11により受信した無線信号の復調処理を行う復調手段12と、を備えている。
また、第2の無線通信手段20は、例えば11adに基づいて変調された無線信号を受信するRF部21と、このRF部21により受信した無線信号の復調処理を行う復調手段22、復調手段22による復調処理により得られた信号から無線伝搬特性を示す受信状態パラメータを算出する算出手段23と、復調手段22による復調処理により得られる受信レベルを検出する検出手段24と、を備えている。
【0028】
本願発明の無線LAN端末は、さらに、第1無線通信手段10と第2無線通信手段20のどちらの無線通信手段を優先的に用いるかを選択する選択手段31と、算出手段23により算出した受信状態パラメータを、選択手段31による選択結果に基づく所定の閾値と比較する受信状態比較手段30と、検出手段24により検出された受信強度を、選択手段31による選択結果に基づく所定の閾値と比較する受信強度比較手段32と、受信状態比較手段30による比較結果及び受信強度比較手段32による比較結果に基づいて、第1無線通信手段10と第2無線通信手段20のどちらで無線データの送受信を行うかを判断する判断手段40と、を備えている。
ここでは、受信強度比較手段32、受信状態比較手段30、選択手段31、判断手段40は、データリンク層とアプリケーション層を表す上位レイヤにあるが、もちろん物理層にあってもよい。
また、レイヤ1である物理層と上位レイヤの一部では、第1無線通信手段10と第2無線通信手段20とに別れている。
【0029】
図5は、図4に示す無線LAN端末において使用する無線通信手段の判断フローを示す図である。
現在、無線LAN端末は、第2無線通信手段20により60GHz帯域で通信を行う11adで通信を行っているとする。無線LAN端末は、選択手段31において第2無線通信手段20により60GHz帯域で通信を行う11adが優先されるように選択されているかどうかを確認する(ステップS201)。
60GHz帯域で通信を行う11adが優先されるように選択されていた場合(ステップS201でYes)には、変調精度閾値(基準受信状態)Xを−7dBに、受信レベル閾値(基準受信強度)Yを−60dBに設定する(ステップS202)。
逆に、第1無線通信手段10により5GHz帯域で通信を行う11acが優先されるように選択されていた場合には、変調精度閾値Xを−15dBに、受信レベル閾値Yを−50dBに設定する(ステップS207)。
【0030】
ここでは、60GHz帯域で通信を行う11adが優先されるように選択され、変調精度閾値Xが−7dBに、受信レベル閾値Yが−60dBに設定されたとする。
図1の場合と同様に、算出手段23により復調手段22による復調処理により得られる信号から、受信ベクトルと判定ベクトルとの差であるエラーベクトルの算出を行う。ここではエラーベクトルの算出結果が−8dBであったとする。
さらに、検出手段24により、受信強度検出レベルから受信レベルの算出を行う(ステップS203)。
なお、受信レベルの算出には、RSSI(Receive Signal Strength Indication)を用いても良いし、IチャネルとQチャネルから算出されるパワーを用いても良い。
ここでは受信レベルの算出結果が−62dBであったとする。
受信状態比較手段30による比較の結果、エラーベクトルの算出結果(−8dB)は変調精度閾値X(−7dB)以下であるが、受信強度比較手段32による比較の結果、受信レベルの算出結果(−62)dBが受信レベル閾値Y(−60dB)以上ではない(ステップS204でNo)ため、判断手段40により、5GHz帯域で通信を行う11acで通信を行うと判定され(ステップS207)、5GHz帯域で通信を行う11acへの切り替えが行われる(ステップS208)。
【0031】
逆に、エラーベクトルの算出結果が変調精度閾値X以下で、且つ受信レベルが受信レベル閾値Y以上であれば(ステップS204)、無線通信帯域/無線通信方式の切り替えは行われず、そのまま、60GHz帯無線通信帯域で通信を行う11adで通信が行われる。
本発明によれば、さらに受信状態に加え、受信強度をも詳細に把握することができ、より適切に無線通信帯域を切り替えて、低消費電力で、かつ通信の安定性を確保することができる。
なお、図1、図4に示す構成において、選択手段31は、無線LAN端末を利用するユーザーによって、第1無線通信手段10と第2無線通信手段20のどちらが選択されているかどうかを検出し、判断手段40が、選択手段31による選択結果に基づく閾値と、受信状態比較手段30による比較結果(図1の場合)あるいは受信状態比較手段30及び受信強度比較手段32による比較結果(図4の場合)と、の比較に基づいて、第1無線通信手段10と第2無線通信手段20のどちらの無線通信手段で無線データの送受信を行うかを判断するようにしても良い。
すなわち、無線LAN端末を利用しているユーザーが設定ツール(設定手段)を用いて優先する無線通信手段を設定する場合である。
例えば、頻繁に通信帯域の切り替えを行いたくないHD映像伝送を行うような場合には、第1無線通信手段10により5GHz帯域で通信を行う11acを優先するように設定する。
【0032】
また、頻繁に通信帯域が切り替わっても問題なく、高速性を優先させたいFTPデータ転送を行う時には、第2無線通信手段20により60GHz帯域で通信を行う11adを優先するように設定する。
ここでは、ユーザーが直接設定ツールを使って設定を行ったが、例えば、HD映像を表示させるアプリケーションが起動している時には、自動的に第1無線通信手段10が優先選択されるというように、アプリケーションが自動的に設定を行っても良い。
このように構成することにより、ユーザーによって無線通信手段の優先度が設定することができ、より適切に無線通信帯域を切り替えて、低消費電力で、かつ通信の安定性を確保することができる。
また、選択手段31が、第2無線通信手段20を用いた無線データの送受信にビームフォーミングを用いているかどうかを検出し、判断手段40が、選択手段31における選択結果と受信状態比較手段30における比較結果に基づいて、第1無線通信手段10と第2無線通信手段20のどちらの無線通信手段で無線データの送受信を行うかを判断するようにしても良い。
【0033】
無線通信端末4が、ビームフォーミング技術を用いて無線データの送受信を行っている場合、再接続のときに伝送路に関する情報の取得に時間がかかるため、頻繁に通信帯域の切り替えが行われないように、第1無線通信手段10により5GHz帯域で通信を行う11acを優先するように選択される。また、無線通信端末4が、ビームフォーミング技術を用いていない場合は、第2無線通信手段20により60GHz帯域で通信を行う11adを優先するように選択される。
このように構成することで、無線通信手段の切り替えに時間がかかるビームフォーミングを用いる時にも、適切に無線通信帯域を切り替えることで、低消費電力で、かつ通信の安定性を確保することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 アクセスポイント、1A 通信範囲、2 セットトップボックス、2A 通信範囲、3 テレビ、4 無線通信端末、5 セットトップボックス、5A 通信範囲、6 テレビ、10 無線通信手段、11 RF部、12 復調手段、20 無線通信手段、21 RF部、22 復調手段、23 算出手段、24 検出手段、30 受信状態比較手段、31 選択手段、32 受信強度比較手段、40 判断手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0035】
【特許文献1】特開2007−288722公報
【特許文献2】特開2001−094572公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線通信手段を備え、異なる無線通信帯域を使用した通信方式で無線データを送受信可能な無線通信端末であって、
広範囲のインフラストラクチャモードで通信を行う第1無線通信手段と、
前記第1無線通信手段よりも高帯域を使用して狭い範囲内での通信を行い、受信した無線データを復調して得られる信号から前記無線データの受信状態を算出する算出手段を備え、前記第1無線通信手段とは異なる無線通信帯域を使用した通信方式を用いて通信を行う第2無線通信手段と、
前記第1無線通信手段と、前記第2無線通信手段と、の何れを優先的に用いるかを選択する選択手段と、
前記算出手段により算出された前記無線データの受信状態と、前記選択手段によって選択された無線通信手段が用いる通信方式に対して設定した基準受信状態と、を比較する受信状態比較手段と、
前記受信状態比較手段による比較結果に基づいて、前記第1無線通信手段と前記第2無線通信手段の何れを用いて無線データの送受信を行うかを判断する判断手段と、
を備えることを特徴とする無線通信端末。
【請求項2】
前記判断手段は、
前記算出手段により算出された前記無線データの受信状態が、前記選択手段によって選択された無線通信手段が用いる通信方式に対して設定した基準受信状態よりも良好な場合は、前記第2の無線通信手段による無線データの送受信を行い、
前記算出手段により算出された前記無線データの受信状態が、前記選択手段によって選択された無線通信手段が用いる通信方式に対して設定した基準受信状態よりも低い場合は、前記第1の無線通信手段による無線データの送受信を行うと判断することを特徴とする無線通信端末。
【請求項3】
複数の無線通信手段を備え、異なる無線通信帯域を使用した通信方式で無線データを送受信可能な無線通信端末であって、
広範囲のインフラストラクチャモードで通信を行う第1無線通信手段と、
前記第1無線通信手段よりも高帯域を使用して狭い範囲内での通信を行い、受信した無線データを復調して得られた信号から前記無線データの受信状態を算出する算出手段と、前記無線データの受信強度を検出する検出手段と、を備え、前記第1無線通信手段とは異なる無線通信帯域を使用した通信方式を用いて通信を行う第2無線通信手段と、
前記第1無線通信手段と、前記第2無線通信手段と、の何れを優先的に用いるかを選択する選択手段と、
前記算出手段により算出された前記受信状態と、前記選択手段によって選択された無線通信手段が用いる通信方式に対して設定した基準受信状態と、を比較する受信状態比較手段と、
前記算出手段により算出された前記受信強度と、前記選択手段によって選択された無線通信手段が用いる通信方式について予め設定した基準受信強度と、を比較する受信強度比較手段と、
前記受信状態比較手段及び前記受信強度比較手段による比較結果に基づいて、前記第1無線通信手段と前記第2無線通信手段の何れを用いて無線データの送受信を行うかを判断する判断手段と、
を備えることを特徴とする無線通信端末。
【請求項4】
前記判断手段は、
前記算出手段により算出された前記無線データの受信状態が、前記選択手段によって選択された無線通信手段が用いる通信方式に対して設定した基準受信状態よりも低く、
前記検出手段により検出された前記無線データの受信強度が、前記選択手段によって選択された無線通信手段が用いる通信方式に対して設定した基準受信強度よりも高い場合に、前記第2の無線通信手段による無線データの送受信を行うと判断することを特徴とする無線通信端末。
【請求項5】
前記算出手段は、受信した無線データを復調して得られた信号における受信ベクトルと判定ベクトルとの差であるエラーベクトルから得られる変調精度値を、前記無線データの受信状態として算出することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の無線通信端末。
【請求項6】
前記選択手段に対し、前記第1無線通信手段と前記第2無線通信手段の何れを選択するかを設定する設定手段を備えることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記選択手段は前記第2無線通信手段を用いた無線データの送受信にビームフォーミングを用いているかどうかを検出し、該検出結果に基づいて、前記第1無線通信手段と前記第2無線通信手段の何れを優先させるかを決定することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の無線通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−186701(P2012−186701A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49087(P2011−49087)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】