説明

無線通信装置、無線通信方法

【課題】特別な制御信号を発生させることなく無線通信を制御して省電力化を図る。
【解決手段】無線通信装置30は、第1の機器との間でケーブルを介してコンテンツデータ(ビデオストリーム)と機器制御用データ(CEC信号)の通信を行う有線インタフェース部40と、第2の機器との間でコンテンツデータの無線通信を行う高周波無線部42と、第2の機器との間で機器制御用データの無線通信を行うものであって、高周波無線部42による無線通信時よりも消費電力が小さい低電力無線部44と、第1の機器がコンテンツデータの通信を実行しない状態にある時、高周波無線部42に対する電源供給をオフする電源制御部46とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シンク機器とソース機器との間の無線データ通信を実行するための無線通信装置及び無線転送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
映像データを伝送するためのインタフェースとして、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)などのインタフェース規格が用いられている。HDMIインタフェースは、デジタルテレビジョン信号のようなコンテンツデータを、パーソナルコンピュータ、DVD(Digital Versatile Disc)プレーヤ、セットトップボックス、及び他の各種ソース機器から、TV、プロジェクタ、及び他の各種シンク機器に送信するために使用される。ソース機器とシンク機器との間は一本のケーブルを介して接続される。ソース機器から出力されるコンテンツデータ(映像データ、オーディオデータ)は一本のケーブルを介してシンク機器に伝送される。
【0003】
さらに近年では、コンテンツデータを無線通信により送信するためのインタフェース規格として、WirelessHDが用いられている。WirelessHDは、機器間のケーブル接続を不要とし、高画質コンテンツを非圧縮で送信することができる。WirelessHDでは、60Hz帯のミリ波を使用してデータ伝送を行う。すなわち、WirelessHDによる無線通信は、高周波数の電磁波を発信させる必要があるために電力消費が大きい。
【0004】
特許文献1には、複数の無線通信部を設けて、省電力化を図る情報端末装置が記載されている。特許文献1に記載された情報端末装置(端末)は、低消費電力で無線通信が可能な第1無線通信部と、無線LANによるデータ通信を行う第2無線通信部とを備えている。端末同士でデータ通信を行う際に互いの存在を伝えるためのビーコン信号を定期的に発信し続けるアドホックモードでは、原則的に第2無線通信部をスリープ状態にする。実際のデータ通信が必要な時には第1無線通信部を用いて通信相手の端末に起動信号を送信して、第2無線通信部を起動させる。そして、データ通信が完了すると第1無線通信部を用いて相手側の端末に停止信号を送信して、送信側の第2無線通信部を休止させる。以上により、第2無線通信部によるビーコン信号の発信を抑制して省電力化を図る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−306201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように特許文献1に記載されたシステムでは、低消費電力で無線通信が可能な第1無線通信部と、データ通信を行う第2無線通信部とを備え、第1無線通信部と第2無線通信部とを使い分けることにより省電力化を図っている。しかしながら、特許文献1のシステムでは、第1無線通信部を用いて相手側端末との間で、第2無線通信部を起動させるための起動信号、及び第2無線通信部を停止させるための停止信号を送受信していた。つまり、第1無線通信部と第2無線通信部とを使い分けるために特別な制御信号の送受信を必要としていた。
【0007】
本発明は上述の事情を考慮してなされたものであり、特別な制御信号を発生させることなく無線通信を制御して省電力化を図ることが可能な無線通信装置、無線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するため、本発明は、第1の機器との間でケーブルを介してコンテンツデータと機器制御用データの通信を行うインタフェース手段と、第2の機器との間で前記コンテンツデータの無線通信を行う第1の無線手段と、前記第2の機器との間で前記機器制御用データの無線通信を行うものであって、前記第1の無線手段による無線通信時よりも消費電力が小さい第2の無線手段と、前記第1の機器が前記コンテンツデータの通信を実行しない状態にある時、前記第1の無線手段に対する電源供給をオフする電源制御手段とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、特別な制御信号を発生させることなく無線通信を制御して省電力化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態におけるソース機器とシンク機器とが接続されたシステム構成の一例を示す図。
【図2】第1実施形態における、ソース機器とシンク機器とを無線通信により接続するシステム構成の一例を示す図。
【図3】第1実施形態における無線通信装置の構成を示すブロック図。
【図4】第1実施形態における無線通信装置の動作について示すフローチャート。
【図5】第1実施形態におけるソース機器がデータ通信が可能な状態にある時の電源供給とデータ通信の経路を示す図。
【図6】第1実施形態におけるソース機器が電源オフされた動作状態にある時の電源供給とデータ通信の経路を示す図。
【図7】第2実施形態における無線通信部を搭載したパーソナルコンピュータの概略構成を示すブロック図。
【図8】第2実施形態における無線通信部を搭載したパーソナルコンピュータの詳細な構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
まず、図1を参照して、コンテンツデータを送信するソース機器10と、コンテンツデータを受信してコンテンツを出力するシンク機器と12の間がケーブルを介して直接接続される通常のシステム構成例について説明する。HDMIケーブルなどを用いて、例えばTVとDVDプレーヤをケーブル接続すると、高画質の映像を楽しむことが可能である。図1では、ソース機器10のHDMI出力ポートとシンク機器12のHDMI入力ポートとの間はケーブル(HDMIケーブル)を介して接続されている。
【0012】
シンク機器12は、1以上のHDMI入力ポートを有する受信機器である。例えば、TV、プロジェクタといったコンテンツを再生出力することができる機器をシンク機器12として使用することができる。ソース機器10は、HDMI出力ポートを有する送信機器であり、例えば、DVDプレーヤ、パーソナルコンピュータ、及び他の各種の映像出力機器をソース機器10として使用することができる。
【0013】
ソース機器10は、ケーブル経由でシンク機器12内のEDID(Enhanced Extended Display Identification Data)と呼ばれるデータを読み出すことで、シンク機器12の能力を判定することができる。EDIDは、シンク機器12の能力を示す識別情報である。EDIDの中には、シンク機器12のHDMI入力ポートに接続された機器に割り当てるための物理アドレスが含まれている。この物理アドレスをソース機器10が取得することで、物理アドレスがそれぞれ割り当てられた機器から構成されるHDMIネットワークを構築することができる。
【0014】
(第1実施形態)
図2は、第1実施形態における、ソース機器10とシンク機器12とを、無線通信装置20,22を介して無線通信により接続するシステム構成の例を示している。
図2において、ソース機器10のHDMI出力ポートとソース側無線通信装置20のHDMI入力ポートとの間にHDMIケーブルが接続されている。また、シンク機器12のHDMI入力ポートとシンク側無線通信装置22のHDMI出力ポートとの間にHDMIケーブルが接続されている。
【0015】
ソース機器10とソース側無線通信装置20との間では、HDMIケーブルを介して、HDMI規格により規定された信号が送受信される。この信号には、コンテンツデータ(映像データと音声データとを含むビデオストリームなど)の他、ソース機器10の動作状態(ソースレディ)を示す信号、EDID読出しのための信号などが含まれる。
【0016】
また、ソース機器10とソース側無線通信装置20との間では、HDMIケーブルを介して、HDMI規格のオプションとしてサポートされたCEC(Consumer Electronics Control)規格に従うCEC信号が送受信される。CEC信号は、機器間の相互制御のための機器制御用データを示す。CEC信号により送受信されるコマンドによって、例えばシンク機器12とするテレビのリモコン16を操作することにより、ソース機器10とするパーソナルコンピュータを制御したりすることができる。
【0017】
同様にして、シンク機器12とシンク側無線通信装置22との間では、HDMIケーブルを介して、HDMI規格により規定された信号が送受信される。この信号には、コンテンツデータ(映像データと音声データとを含むビデオストリームなど)の他、シンク機器12の動作状態(シンクレディ)を示す信号、EDID読出しのための信号などが含まれる。また、シンク機器12とシンク側無線通信装置22との間では、HDMIケーブルを介して、CEC信号が送受信される。
【0018】
ソース側無線通信装置20とシンク側無線通信装置22は、HDMIケーブルを介して受信した有線信号を無線信号に変換して送信する機能と、無線通信により受信した無線信号を有線信号に変換して送信する機能とを有している。
【0019】
また、ソース側無線通信装置20とシンク側無線通信装置22には、それぞれWirelessHDの規格に従う高周波無線通信を行う高周波無線部42(後述する)と、高周波無線部42よりも少ない消費電力で無線通信を実行する低電力無線部44(後述する)とが設けられている。ソース側無線通信装置20とシンク側無線通信装置22は、ビデオストリームを含むコンテンツデータを、高周波無線部42による高周波無線通信により送受信する。
【0020】
ソース機器10とシンク機器12がデータ通信可能な状態にある場合、すなわち電源オンされて動作中である場合には、ソース側無線通信装置20とシンク側無線通信装置22は、ビデオストリーム(コンテンツデータ)と共にCEC信号を、高周波無線部42による高周波無線通信により送受信する。
【0021】
また、ソース機器10とシンク機器12がデータ通信をしない状態にある場合、例えば電源オフされてスタンバイあるいは休止状態にある場合には、ソース側無線通信装置20とシンク側無線通信装置22は、低電力無線部44のみを動作させて、CEC信号を低電力無線通信により送受信する。
【0022】
ソース側無線通信装置20は、ソース機器10から送信されるコンテンツデータ及び他の各種制御データを受信し、受信したコンテンツデータ及び制御データをシンク側無線通信装置22にそのまま転送する。シンク側無線通信装置22は、ソース側無線通信装置20から無線送信されるコンテンツデータ及び他の各種制御データを受信し、受信したコンテンツデータ及び制御データをシンク機器12にそのまま転送する。
【0023】
また、シンク側無線通信装置22は、シンク機器12から受信した各種制御データを受信し、受信した制御データをソース側無線通信装置20にそのまま転送する。同様に、ソース側無線通信装置20は、シンク側無線通信装置22によって転送されるシンク機器12からの制御データを受信し、受信したデータをソース機器10にそのまま転送する。
【0024】
CEC信号は、ソース機器10とシンク機器12との間で相互制御をするための信号である。CEC信号を送受信することにより実現される機能(以下、CEC機能))には、例えばワンタッチプレイ機能、パススルー機能、スタンバイ機能などがある。
【0025】
ワンタッチプレイ機能では、例えば、ソース機器10(パーソナルコンピュータなど)においてDVD(Digital Versatile Disc)を再生すると、電源オフされていたシンク機器12(テレビなどのAV機器)が自動で電源オン(ウェイクアップ)され、ソース機器10からの信号を入力するように入力切り替えが行われる。
【0026】
第1実施形態では、ワンタッチプレイ機能を実現するためには、ソース機器10あるいはシンク機器12が電源オフされてデータ通信を実行しない状態であっても、CEC信号を送受信することができるように、ソース側無線通信装置20とシンク側無線通信装置22の低電力無線部44を動作状態にする。また、CEC信号を送受信するための通信経路を、高周波無線部42側から低電力無線部44側に切り替えて、消費電力の大きい高周波無線部42の動作を停止させることによって省電力を図る。
【0027】
また、パススルー機能では、シンク機器12に対するリモコン16を操作することにより、リモコン16からのリモコンコードがソース機器10に伝送され、メニュー表示、再生、停止などのソース機器10に対する制御をすることができる。
【0028】
また、システムスタンバイ機能では、ソース機器10あるいはシンク機器12の何れか一方に対して電源オフする指示によって、一括してソース機器10とシンク機器12とを電源オフ(シャットダウン)することができる。
【0029】
図3は、第1実施形態における無線通信装置30の構成を示すブロック図である。
図3に示す無線通信装置30は、図2に示すソース側無線通信装置20及びシンク側無線通信装置22に相当する。以下、ソース側無線通信装置20を対象にして説明する。
【0030】
無線通信装置30(ソース側無線通信装置20)は、有線インタフェース部40、高周波無線部42、低電力無線部44、電源制御部46、制御部47、通信経路設定部48、及びコマンド監視部49が含まれている。
【0031】
有線インタフェース部40は、HDMIケーブルを介して、ソース機器10との通信を実行する。有線インタフェース部40は、HDMIケーブルを介して受信したコンテンツデータ(ビデオストリーム)や制御用データを高周波無線部42に送出する。また、有線インタフェース部40は、機器間の相互制御のためのCEC信号を、通信経路設定部48を介して、高周波無線部42あるいは低電力無線部44との間で送受信する。
【0032】
高周波無線部42は、例えばWirelessHDの規格に従う高周波無線通信を実行する。高周波無線部42は、コンテンツデータ(ビデオストリーム)(S1)を送信するために使用される。高周波無線部42は、高周波数(例えば60GHz帯)の電磁波を発信させるために、データ通信時の消費電力が大きい。高周波無線部42は、ソース機器10が動作中でデータ通信が可能な状態にあるときには、電源制御部46からの電源供給(P1)がオンされる。
【0033】
低電力無線部44は、高周波無線部42よりも少ない消費電力で無線通信を実行する。低電力無線部44は、例えば赤外線通信モジュールや無線LAN(Local Area Network)(WiFi)モジュールなどにより実現される。低電力無線部44は、ソース機器10が電源オフされた状態にあるときに、CEC信号(S2)を送受信するために使用される。低電力無線部44は、ソース機器10が電源オフされた状態にあるときには、電源制御部46から電源供給(P2)がオンされる。ソース機器10が動作中であり、CEC信号を高周波無線部42によって送受信する場合には、低電力無線部44に対する電源供給がオフされる。
【0034】
電源制御部46は、無線通信装置30(ソース側無線通信装置20)を構成する各部に対する電源供給を制御する。電源制御部46は、コマンド監視部49によって判別されるコマンドのプロセスに応じて、高周波無線部42と低電力無線部44に対する電源供給を制御する。ソース機器10が動作中でデータ通信可能な状態にある場合には、高周波無線部42に対する電源供給をオンして、低電力無線部44への電源供給をオフする。一方、ソース機器10が電源オフされている場合には、高周波無線部42に対する電源供給をオフして、低電力無線部44への電源供給をオンする。これにより、ソース機器10が電源オフしている間にも、低電力無線部44のみを動作させてCEC信号を送受信できるようにすると共に、消費電力の大きい高周波無線部42の動作を停止させることにより省電力化を図る。
【0035】
制御部47は、コマンド監視部49の監視により判別された特定のコマンドに応じて、電源制御部46及び通信経路設定部48を制御する。すなわち、ソース機器10の動作を停止させる(電源オフ)コマンド、例えばシステムスタンバイのコマンドである場合には、電源制御部46により高周波無線部42への電源供給をオフさせ、低電力無線部44への電源供給をオンさせる。また、通信経路設定部48により、CEC信号の通信経路を低電力無線部44側にして、低電力無線部44によりCEC信号が送受信されるようにする。また、ソース機器10を動作させる(電源オン)コマンド、例えばウェイクアップのコマンドである場合には、電源制御部46により高周波無線部42への電源供給をオンさせ、低電力無線部44への電源供給をオフさせる。また、通信経路設定部48により、CEC信号の通信経路を高周波無線部42側にして、高周波無線部42によりコンテンツデータ(ビデオストリーム)と共にCEC信号が送受信されるようにする。
【0036】
通信経路設定部48は、コマンド監視部49の監視により判別されたコマンドに応じて、CEC信号の通信経路を、高周波無線部42側あるいは低電力無線部44側に設定する。
【0037】
コマンド監視部49は、CEC信号をもとに無線通信相手とする装置との間で送受信されるコマンドを監視する。コマンド監視部49は、有線インタフェース部40と、高周波無線部42あるいは低電力無線部44との間で送受信されるCEC信号を監視して、データ通信の実行/停止に関係するコマンドが送受信されたことを判別した場合に制御部47に通知する。データ通信の実行/停止に関係するコマンドには、例えばソース機器10の電源オン/オフを制御するコマンドが含まれる。電源オン/オフに関係するコマンドには、例えばソース機器10の動作を停止(電源オフ)を指示するシステムスタンバイ、電源オフされていたソース機器10を起動させるウェイクアップなどがある。
【0038】
なお、前述した説明では、図3に示す無線通信装置30をソース側無線通信装置20として説明しているが、シンク側無線通信装置22も同様に構成されているものとして説明を省略する。
【0039】
次に、第1実施形態における無線通信装置30の動作について、図4に示すフローチャートを参照しながら説明する。ここでは、ソース機器10と接続されたソース側無線通信装置20を対象にして説明する。
ソース機器10は、例えばリモコン14の操作によって電源オンされる。ソース機器10が電源オンされると、ソース側無線通信装置20の制御部47は、有線インタフェース部40を通じて、ソース機器10が動作状態にあることを表すソースレディ信号が入力される。
【0040】
制御部47は、ソース機器10が動作状態(電源オン)にあると判別される場合(ステップA1、Yes)、電源制御部46に対して、高周波無線部42への電源供給を指示する。電源制御部46は、制御部47の指示に応じて、高周波無線部42に対する電源供給をオンする(ステップA2)。
【0041】
また、制御部47は、通信経路設定部48に対して、CEC信号の通信経路を、高周波無線部42側となるように指示する。通信経路設定部48は、有線インタフェース部40と高周波無線部42との間で、CEC信号が伝送されるように通信経路を設定する(ステップA3)。
【0042】
すなわち、ソース側無線通信装置20は、有線インタフェース部40を介してソース機器10から入力されるビデオストリーム(コンテンツデータ)やその他の制御用信号と共に、CEC信号を高周波無線部42によってシンク側無線通信装置22との間で無線通信できるようにする。
【0043】
制御部47は、電源制御部46に対して、低電力無線部44への電源供給の停止を指示する。電源制御部46は、制御部47の指示に応じて、低電力無線部44に対する電源供給をオフする(ステップA4)。
【0044】
ソース機器10がデータ通信が可能な状態にある場合には、高周波無線部42を通じてシンク機器12(シンク側無線通信装置22)とのみ無線通信を行い、低電力無線部44の動作を停止させる。これにより、低電力無線部44による電力の消費を抑える。
【0045】
ソース機器10とシンク機器12との間でデータ通信が実行されている間、例えばリモコン14,16から機器を制御する指示が出力された場合、ソース機器10とシンク機器12との間で、ソース側無線通信装置20とシンク側無線通信装置22を介してCEC信号が送受信される。
【0046】
コマンド監視部49は、高周波無線部42による無線通信が実行されている間、ソース機器10とシンク機器12との間でCEC信号により送受信されるコマンドを監視している(ステップA5)。コマンド監視部49は、CEC信号の監視により、シンク機器12から受信されたコマンドが、ソース機器10によるデータ通信を停止させる関係の機器の制御コマンドであるかを判別する。例えばシステム全体の電源をオフするためのシステムスタンバイのコマンドが受信された場合、ソース機器10の電源がオフされてデータ通信が停止される。コマンド監視部49は、システムスタンバイのコマンドが受信されたことを検出すると(ステップA6、Yes)、制御部47に通知する。
【0047】
ソース機器10は、有線インタフェース部40を通じてシステムスタンバイのコマンドを受信すると、データ通信を終了して電源をオフする(スタンバイ状態)。
【0048】
図5には、ソース機器10が電源オンされた、データ通信が可能な状態にある時の電源供給とデータ通信の経路を示している。
図5に示すように、ソース機器10が電源オンされ、データ通信が可能な状態にある時には、電源制御部46は、高周波無線部42に対する電源供給P1をオンして、高周波無線部42を動作可能にする。また、電源制御部46は、低電力無線部44に対する電源供給P2をオフして、低電力無線部44によって電力が消費されないようにする。
【0049】
また、ソース機器10から送信されたコンテンツデータ(ビデオストリーム)は、有線インタフェース部40から高周波無線部42に送信される。CEC信号は、通信経路設定部48によって、有線インタフェース部40と高周波無線部42とを結ぶ通信経路に切り替えられているため、有線インタフェース部40から高周波無線部42に送信される。従って、高周波無線部42は、コンテンツデータ(ビデオストリーム)と共にCEC信号をシンク側無線通信装置22に送信する。
【0050】
一方、制御部47は、コマンド監視部49からデータ通信が停止されることが通知され、ソース機器10が動作停止(電源オフ)の状態になると、電源制御部46に対して、低電力無線部44への電源供給を指示する。電源制御部46は、制御部47の指示に応じて、低電力無線部44に対する電源供給をオンする(ステップA7)。
【0051】
また、制御部47は、通信経路設定部48に対して、CEC信号の通信経路を、低電力無線部44側となるように指示する。通信経路設定部48は、有線インタフェース部40と低電力無線部44との間で、CEC信号が伝送されるように通信経路を設定する(ステップA8)。
【0052】
すなわち、ソース側無線通信装置20は、ソース機器10とシンク機器12との間でコンテンツデータ(ビデオストリーム)のデータ通信をしていない間にも、CEC信号を低電力無線部44によってシンク側無線通信装置22との間で無線通信できるようにする。
【0053】
また、制御部47は、電源制御部46に対して、高周波無線部42への電源供給の停止を指示する。電源制御部46は、制御部47の指示に応じて、高周波無線部42に対する電源供給をオフする(ステップA9)。
【0054】
こうして、ソース機器10がデータ通信を実行しない状態にある場合には、データ通信時の消費電力の大きい高周波無線部42に対する電源供給をオフし、消費電力の小さい低電力無線部44のみを動作可能とすることで消費電力を抑える。ソース機器10が電源オフ(スタンバイなど)の状態において、低電力無線部44は、シンク側無線通信装置22を通じてシンク機器12との間でCEC信号の送受信を実行する。
【0055】
図6には、ソース機器10が電源オフされた動作状態(スタンバイ、休止状態など)にある時の電源供給とデータ通信の経路を示している。
図6に示すように、ソース機器10が電源オフされた状態にある時には、電源制御部46は、高周波無線部42に対する電源供給を停止して、高周波無線部42により電力が消費されないようにする。また、電源制御部46は、ソース機器10が電源オフされた状態においても、シンク機器12(シンク側無線通信装置22)との間でCEC信号を送受信することができるように、低電力無線部44に対する電源供給を行う。
【0056】
また、CEC信号は、通信経路設定部48によって、有線インタフェース部40と低電力無線部44とを結ぶ通信経路に切り替えられているため、有線インタフェース部40と低電力無線部44の間で伝送される。従って、低電力無線部44は、ソース機器10が電源オフされた状態にある間において、CEC信号をシンク側無線通信装置22との間で送受信することができる。
【0057】
コマンド監視部49は、ソース機器10が電源オフされた状態にある間、ソース機器10とシンク機器12との間でCEC信号により送受信されるコマンドを監視している(ステップA10)。コマンド監視部49は、CEC信号の監視により、シンク機器12から受信されたコマンドが、ソース機器10の電源をオンさせる制御コマンドであるかを判別する。例えばソース機器10の電源をオンするためのウェイクアップコマンドが受信された場合、ソース機器10の電源がオンされてデータ通信が可能な状態となる。コマンド監視部49は、ウェイクアップのコマンドが受信されたことを検出すると(ステップA11、Yes)、制御部47に通知する。
【0058】
制御部47は、前述したように、電源制御部46に対して、高周波無線部42への電源供給をオン、低電力無線部44への電源供給をオフするように指示する。また、制御部47は、通信経路設定部48に対して、CEC信号の通信経路を、高周波無線部42側となるように指示し、有線インタフェース部40と高周波無線部42との間で、CEC信号が伝送されるように通信経路を設定する(ステップA2〜A4)。これにより、コンテンツデータと共にCEC信号が高周波無線部42によって送信されるようになる。
【0059】
なお、前述した説明では、ソース側無線通信装置20において、シンク側無線通信装置22を通じてシンク機器12からコマンドを受信した場合を例にして説明しているが、ソース機器10からシンク機器12に対して送信されるコマンドに応じて、高周波無線部42と低電力無線部44に対する電源供給の制御をすることもできる。
【0060】
このようにして、第1実施形態における無線通信装置30(ソース側無線通信装置20、シンク側無線通信装置22)は、高周波無線部42と低電力無線部44とを設けて、通常動作時においては高周波無線部42によってコンテンツデータ(ビデオストリーム)を送受信し、ソース機器10あるいはシンク機器12が電源オフされた状態では、高周波無線部42への電源供給をオフして省電力化すると共にシンク側無線通信装置22への電源供給をオンしてCEC信号(コマンド)の送受信を継続することができる。
【0061】
なお、前述した説明では、ソース側無線通信装置20を対象として説明しているが、シンク側無線通信装置22においてもソース側無線通信装置20と同様の制御が実行される。シンク側無線通信装置22は、有線インタフェース部40を通じて受信されるシンク機器12のシンクレデイを示す信号に応じて、シンク機器12の動作状態(電源オン/オフ)を判別することができる。
【0062】
また、前述した説明では、ソース機器10とシンク機器12がデータ通信が可能な状態(電源オン時)には、ソース側無線通信装置20とシンク側無線通信装置22との間で、高周波無線部42によりCEC信号を送受信するものとしているが、CEC信号については、常時、低電力無線部44によって送受信される構成としても良い。この場合、高周波無線部42に対する電源供給のオン/オフに応じて、CEC信号を伝送する経路を切り替えるための構成及び制御が不要となる。
【0063】
また、低電力無線部44は、CEC信号を透過的に通しても良いし、受信したCEC信号に応じて別のコマンドに変換して送信するようにしても良い。
【0064】
また、前述した説明では、無線通信装置30(ソース側無線通信装置20、シンク側無線通信装置22)に高周波無線部42と低電力無線部44とが設けられた構成としているが、低電力無線部44の替わりとなる外部の無線通信装置、例えば無線LAN(WiFi)のような待機中にも通信可能な無線通信装置を設けても良い。
【0065】
(第2実施形態)
図7は、第2実施形態の一例を示すブロック図である。
第1実施形態の構成では、無線通信装置30(ソース側無線通信装置20、シンク側無線通信装置22)は、ソース機器10及びシンク機器12とは別の独立した装置として構成されているが、前述した無線通信装置30に相当する機能がソース機器10及びシンク機器12に内蔵された構成としても良い。
【0066】
図7は、無線通信装置30に相当する無線通信部64を搭載したパーソナルコンピュータ60の概略構成を示すブロック図である。図7に示すように、PCシステム62(第1実施形態におけるソース機器10あるるいはシンク機器12に相当する)と無線通信部64との間でコンテンツデータ(ビデオ信号)、CEC信号などが送受信される。無線通信部64は、第1実施形態と同様に機能する高周波無線部64aと低電力無線部64bが含まれている。
【0067】
図8は、無線通信部64を搭載したパーソナルコンピュータ60の詳細な構成を示すブロック図である。
図8に示すパーソナルコンピュータ60は、映像データ出力部111及び無線通信部64に加え、CPU211、ノースブリッジ212、主メモリ213、グラフィックコントローラ214、サウンドコントローラ215、サウスブリッジ219、BIOS−ROM220、ハードディスクドライブ(HDD)221、光ディスクドライブ(ODD)222、及びエンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)225等を備えている。
【0068】
CPU211はパーソナルコンピュータ60の動作を制御するプロセッサであり、ハードディスクドライブ(HDD)221から主メモリ213にロードされる、オペレーティングシステム(OS)及び各種アプリケーション/ユーティリティプログラムを実行する。アプリケーション/ユーティリティプログラムには、通信制御プログラム213aが含まれている。通信制御プログラム213aは、無線通信部64を制御するためのプログラムである。
【0069】
また、CPU211は、BIOS−ROM220に格納されたBIOS(Basic Input Output System)も実行する。BIOSはハードウェア制御のためのプログラムである。
【0070】
ノースブリッジ212は、CPU211のローカルバスとサウスブリッジ219との間を接続するブリッジデバイスである。またノースブリッジ212は、グラフィックコントローラ214との通信を実行する機能も有している。
【0071】
グラフィックコントローラ214は、パーソナルコンピュータ60のディスプレイモニタとして使用されるLCD(Liquid Crystal Display)117を制御する表示コントローラである。グラフィックコントローラ214によって生成される映像信号はLCD17に送られる。また、グラフィックコントローラ214は、映像データ出力部111にデジタル映像信号を送出することもできる。
【0072】
サウスブリッジ219は各種I/Oデバイスを制御するブリッジデバイスである。サウスブリッジ219には、映像データ出力部111及び無線通信部64がそれぞれ接続されている。エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)225は、電力管理のためのエンベデッドコントローラと、キーボード(KB)113及びタッチパッド116を制御するためのキーボードコントローラとが集積された1チップマイクロコンピュータである。
【0073】
映像データ出力部111は、グラフィックコントローラ214から出力される映像信号を所定フォーマットの送信データに変換し、その送信データを無線通信部64に送出する。送信データへの変換処理においては、必要に応じて、グラフィックコントローラ214から出力される映像信号を圧縮符号化する処理を行うことも出来る。また、映像データ出力部111は、サウンドコントローラ215から出力されるオーディオ信号を送信データとして無線通信部64に送出することもできる。
【0074】
電源回路141は、電源マイコン144の制御により、コンピュータ本体11に装着されたバッテリ142からの電力、またはコンピュータ本体11に外部電源として接続されるACアダプタ143からの電力を用いて各コンポーネントへの動作電源を生成し、電源供給を制御する。電源オンされた通常動作時(あるいは、無線通信部64によるコンテンツデータの通信時)には、電源回路141は、高周波無線部64aに対する電源供給をオンし、電源オフ(スタンバイ、スリープ等)時には、高周波無線部64aに対する電源供給をオフする。
【0075】
EC/KBC140は、ユーザによるパワーボタンスイッチ14の操作に応じてパーソナルコンピュータ10をパワーオン/パワーオフする機能を有している。パーソナルコンピュータ10のパワーオン/パワーオフの制御は、EC/KBC140と電源回路141との共同動作によって実行される。また、EC/KBC140は、電源オフ時に、無線通信部64の低電力無線部64bによって電源オンに関連するコマンドが受信された場合に、電源回路141から高周波無線部64aに対する電源供給をオンさせる。
【0076】
このようにして、無線通信装置30に相当する機能がソース機器10及びシンク機器12に内蔵された構成とした場合においても、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0077】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0078】
10…ソース機器、12…シンク機器、14,16…リモコン、20…ソース側無線通信装置、22…シンク側無線通信装置、40…有線インタフェース部、42…高周波無線部、44…低電力無線部、46…電源制御部、47…制御部、48…通信経路設定部、49…コマンド監視部、60…パーソナルコンピュータ、64…無線通信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の機器との間でケーブルを介してコンテンツデータと機器制御用データの通信を行うインタフェース手段と、
第2の機器との間で前記コンテンツデータの無線通信を行う第1の無線手段と、
前記第2の機器との間で前記機器制御用データの無線通信を行うものであって、前記第1の無線手段による無線通信時よりも消費電力が小さい第2の無線手段と、
前記第1の機器が前記コンテンツデータの通信を実行しない状態にある時、前記第1の無線手段に対する電源供給をオフする電源制御手段と
を具備したことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記機器制御用データを監視して、特定のコマンドの通信が実行されたことを判別するコマンド監視手段をさらに具備し、
前記電源制御手段は、前記コマンド監視手段により判別された前記特定のコマンドに応じて、前記第1の機器に対する電源供給のオン/オフを制御することを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記第1の機器が前記コンテンツデータの通信を実行する状態にある時、前記機器制御用データを前記第1の無線手段により無線通信させ、前記第1の機器が前記コンテンツデータの通信を実行しない状態にある時、前記機器制御用データを前記第2の無線手段により無線通信させるように通信経路を設定する設定手段をさらに具備したことを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記電源制御手段は、前記第1の機器が前記コンテンツデータの通信を実行しない状態にある時、前記第2の無線手段に対する電源供給をオフすることを特徴とする請求項3記載の無線通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−109536(P2011−109536A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−264228(P2009−264228)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】