説明

無線通信装置および無線通信システムならびにその通信制御方法

【課題】PDC方式の無線通信装置などのように、音声通信とパケット通信との一方を選択して行うことができる無線通信装置において、パケット通信中に音声通信の着信を許可しても、パケット通信先との通信が終了されないようにする。
【解決手段】携帯電話端末1が、パケット交換通信網4によってアプリケーション処理装置5とのパケット通信中に、回線交換通信網2による第三者の電話端末3からの音声通信の着信を許可すると、パケット交換通信網4を介して、前記アプリケーション処理装置5に、パケット通信に関する処理を中断させる保留信号を出力し、音声通信が終了すると、前記保留信号を解除する。したがって、パケット通信は終了されず、一時停止のままで保持され、終了までの時間を短縮することができる。また、再開後には通信未了のデータだけを転送すればよく、通信料金および不要なトラヒックを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置および無線通信システムならびにその通信制御方法に関し、特に無線通信装置が、PDC(Personal Digital Cellular)方式の携帯電話端末などのように、回線交換通信網を介する音声通信と、パケット交換通信網を介するパケット通信との一方を選択して行うことができる(両方を同時に行うことができない)ものにおいて、パケット通信中に音声着信を許可したときの対応に関する。
【背景技術】
【0002】
上述のように、PDC方式の携帯電話端末は、回線交換方式およびパケット交換方式による通信網を介して、第三者の電話端末およびパーソナルコンピュータなどのアプリケーション処理装置とそれぞれ接続され、音声通信およびパケット通信が可能となっている。前記パケット通信には、インターネット通信プロトコルが用いられる。このような音声通話機能とパケット通信によるデータ通信機能とを兼ね備えた携帯電話端末では、特許文献1で示すように、パケット交換通信網と携帯電話端末との間でデータ通信状態を保存し、音声通話の終了後に保存状態に復帰させるように携帯電話端末からパケット交換通信網に通知することで、データ通信中に第三者からの音声着信を優先的に受付けて音声通話を開始し、音声通話が終了次第、パケット交換通信網の通信回線を再び復帰させることが可能となっている。
【特許文献1】特表2002−520962号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述のように携帯電話端末が携帯電話通信網を介して、インターネット通信プロトコルを利用してアプリケーション処理装置とデータ通信を行う場合、アプリケーション処理装置は、携帯電話端末がデータ通信中から音声通話へ切替わったことを検出する手段がない。このため、アプリケーション処理装置では、通信端末へ送信したデータの無応答による通信タイムアウトとして通信エラー処理を行い、アプリケーションは通信終了状態へと移行する。
【0004】
これによって、携帯電話端末のアプリケーション処理との状態不一致が発生し、音声通話終了後に、せっかくパケット交換通信網の通信回線が再開しても、携帯電話端末とアプリケーション処理装置との間は、処理停止状態になっており、再度、初期状態から接続処理を開始しなければならないという問題がある。このため、パケット通信の終了までの時間が長く掛かるとともに、1度送信したデータでも再度送信しなければならないデータが発生することもあり、通信料金および不要なトラヒックが増大するという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、パケット通信中に音声通信の着信を許可しても、パケット通信の終了までの時間を短縮することができるとともに、通信料金および不要なトラヒックを抑制することができる無線通信装置および無線通信システムならびにその通信制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の無線通信装置は、回線交換通信網を介する音声通信と、パケット交換通信網を介するパケット通信とを選択的に行えるようにした無線通信装置において、前記回線交換通信網およびパケット交換通信網と通信を行う無線通信部と、前記無線通信部を介して前記音声通信を実現する通話処理部と、前記無線通信部を介して前記パケット通信を実現する情報処理部と、前記無線通信部での通信方式を前記音声通信とパケット通信との間で切換えるアプリケーション制御部とを含み、前記アプリケーション制御部は、前記無線通信部でパケット通信中に音声通信の着信を許可したときには、前記無線通信部からパケット交換通信網を介して、前記情報処理部によるパケット通信先に、パケット通信に関する処理を中断させる保留信号を出力し、音声通信が終了すると、前記保留信号を解除することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の通信制御方法は、回線交換通信網を介する音声通信と、パケット交換通信網を介するパケット通信とを選択的に行うための通信制御方法において、パケット通信中に音声通信の着信を許可したときには、パケット通信先に、パケット通信に関する処理を中断させる保留信号を出力し、音声通信が終了すると、前記保留信号を解除することを特徴とする。
【0008】
上記の構成によれば、PDC方式の無線通信装置などのように、回線交換通信網を介する音声通信と、パケット交換通信網を介するパケット通信との一方を選択して行うことができる(両方を同時に行うことができない)無線通信装置において、前記回線交換通信網およびパケット交換通信網と通信を行う無線通信部に対して、マイクロホンやスピーカなどを含み、音声通信を実現する通話処理部と、パーソナルコンピュータやマイクロコンピュータなどのパケット通信を実現する情報処理部とを接続し、アプリケーション制御部が、前記無線通信部におけるそれらの通信方式を切換える。さらに、前記アプリケーション制御部は、パケット通信中に音声通信を着信し、それを受けたときには、前記無線通信部からパケット交換通信網を介して、前記情報処理部によるパケット通信先に、パケット通信に関する処理を中断させる保留信号を出力し、音声通信が終了すると、前記保留信号を解除する。
【0009】
したがって、パケット通信中に音声通信の着信を許可しても、情報処理部とパケット通信先とのパケット通信は終了されず、パケット交換通信網の回線は保持されるとともに、通信先の通信状態は一時停止のままで保持され、音声通信が終了すると、回線接続処理等をやり直すことなくパケット通信を再開することができるので、パケット通信の終了までの時間を短縮することができる。また、再開後には通信未了のデータだけを転送すればよく、通信料金および不要なトラヒックを抑制することができる。
【0010】
さらにまた、本発明の無線通信システムは、無線通信装置が、回線交換通信網を介する音声通信と、パケット交換通信網を介するパケット通信とを選択的に行えるようにした無線通信システムにおいて、前記無線通信装置が前記パケット通信を行うにあたって、通信相手先の情報処理装置との間で、中継してデータ転送を行う呼制御装置を設け、当該呼制御装置は、前記回線交換通信網およびパケット交換通信網から、予め登録されている無線通信装置の呼接続状態を取得する通信状況取得部と、前記通信状況取得部の取得結果から、前記無線通信装置がパケット通信中に音声通信の着信を許可したときには、前記情報処理装置にパケット通信に関する処理を中断させる保留信号を出力し、音声通信が終了すると、前記保留信号を解除する接続状況管理部とを含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の通信制御方法は、無線通信装置が、回線交換通信網を介する音声通信と、パケット交換通信網を介するパケット通信とを選択的に行うための通信制御方法において、前記無線通信装置と、その通信相手先の情報処理装置との間に、中継してデータ転送を行う呼制御装置を設け、当該呼制御装置は、前記回線交換通信網およびパケット交換通信網から、予め登録されている無線通信装置の呼接続状態を取得し、前記無線通信装置がパケット通信中に音声通信の着信を許可したときには、前記情報処理装置にパケット通信に関する処理を中断させる保留信号を出力し、音声通信が終了すると、前記保留信号を解除することを特徴とする。
【0012】
上記の構成によれば、無線通信装置が、PDC方式の無線通信装置などのように、回線交換通信網を介する音声通信と、パケット交換通信網を介するパケット通信との一方を選択して行うことができる(両方を同時に行うことができない)無線通信システムにおいて、前記無線通信装置が前記パケット通信を行うにあたって、通信相手先の情報処理装置との間で、中継してデータ転送を行う呼制御装置を設ける。そしてこの呼制御装置は、通信状況取得部で前記回線交換通信網およびパケット交換通信網から、端末IDや電話番号などが予め登録されている無線通信装置の呼接続状態を取得し、その取得結果から、接続状況管理部が、前記無線通信装置がパケット通信中に音声通信の着信を許可したときには、前記情報処理装置にパケット通信に関する処理を中断させる保留信号を出力し、音声通信が終了すると、前記保留信号を解除する。すなわち、無線通信装置がパケット通信中に音声通信の着信を許可したときには、呼制御装置は、無線通信装置に代わって、保留信号を出力して、前記情報処理装置にパケット通信に関する処理を中断させる。
【0013】
したがって、パケット通信中に音声通信の着信を許可しても、無線通信装置と情報処理装置との間のパケット通信は終了されず、パケット交換網の回線は保持されるとともに、情報処理装置の通信状態は一時停止のままで保持され、音声通信が終了すると、回線接続処理等をやり直すことなくパケット通信を再開することができるので、パケット通信の終了までの時間を短縮することができる。また、再開後には通信未了のデータだけを転送すればよく、通信料金および不要なトラヒックを抑制することができる。
【0014】
さらにまた、無線通信装置および情報処理装置の構成は、無線通信装置では、パケット通信中に音声通信の着信を許可すると、パケット交換網の回線が切断されてしまうとともに、情報処理装置では、パケット通信のタイムアウト処理によってパケット通信を終了してしまう従来の構成のままで何らの変更も必要とならず、それぞれパケット通信の相手先を呼制御装置に変更するだけでよく、既に多くの無線通信装置を使用している場合に好適である。
【0015】
さらにまた、本発明の無線通信システムでは、前記呼制御装置は、情報処理装置から無線通信装置へ転送されるデータを記憶する記憶部を備え、前記接続状況管理部は、前記無線通信装置が音声着信を許可してから、該接続状況管理部が情報処理装置へ前記保留信号を送信し、情報処理装置から該保留信号を受付けたことを表す応答信号が受信されるまでの間に、情報処理装置から無線通信装置へ転送されたデータを前記記憶部に記憶させ、無線通信装置が音声通信を終了し、パケット通信へ復帰した後に、前記記憶部に記憶しておいたデータを無線通信装置へ送信させ、送信完了後に前記保留信号を解除することを特徴とする。
【0016】
上記の構成によれば、前述のように、呼制御装置の接続状況管理部は、通信状況取得部で無線通信装置がパケット通信から音声通信の着信を許可したことを検出してから、情報処理装置へ保留信号を出力してパケット通信に関する処理を中断させるけれども、接続状況管理部が保留信号を出力してから情報処理装置がそれを受付け、実際にデータ転送を中止するまでに、高速で転送されるデータに対して応答遅れを生じる。そこで、このデータを一時記憶する記憶部を呼制御装置に設け、前記接続状況管理部は、無線通信装置が音声着信を許可してから、情報処理装置から保留信号を受付けたことを表す応答信号が受信されるまでの間に、情報処理装置から無線通信装置へ転送されたデータを前記記憶部に記憶させ、無線通信装置が音声通信を終了し、パケット通信へ復帰した後に、前記記憶部に記憶しておいたデータを無線通信装置へ送信させ、送信完了後に前記保留信号を解除する。
【0017】
したがって、前記応答遅れによるデータの消失を確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の無線通信装置およびその通信制御方法は、以上のように、PDC方式の無線通信装置などのように、回線交換通信網を介する音声通信と、パケット交換通信網を介するパケット通信との一方を選択して行うことができる(両方を同時に行うことができない)無線通信装置において、前記回線交換通信網およびパケット交換通信網と通信を行う無線通信部に対して、マイクロホンやスピーカなどを含み、音声通信を実現する通話処理部と、パーソナルコンピュータやマイクロコンピュータなどのパケット通信を実現する情報処理部とを接続し、アプリケーション制御部が、前記無線通信部におけるそれらの通信方式を切換え、さらに前記アプリケーション制御部は、パケット通信中に音声通信を着信し、それを受けたときには、前記無線通信部からパケット交換通信網を介して、前記情報処理部によるパケット通信先に、パケット通信に関する処理を中断させる保留信号を出力し、音声通信が終了すると、前記保留信号を解除する。
【0019】
それゆえ、パケット通信中に音声通信の着信を許可しても、情報処理部とパケット通信先とのパケット通信は終了されず、パケット交換通信網の回線は保持されるとともに、通信先の通信状態は一時停止のままで保持され、音声通信が終了すると、回線接続処理等をやり直すことなくパケット通信を再開することができるので、パケット通信の終了までの時間を短縮することができる。また、再開後には通信未了のデータだけを転送すればよく、通信料金および不要なトラヒックを抑制することができる。
【0020】
さらにまた、本発明の無線通信システムおよびその通信制御方法は、以上のように、無線通信装置が、PDC方式の無線通信装置などのように、回線交換通信網を介する音声通信と、パケット交換通信網を介するパケット通信との一方を選択して行うことができる(両方を同時に行うことができない)無線通信システムにおいて、前記無線通信装置が前記パケット通信を行うにあたって、通信相手先の情報処理装置との間で、中継してデータ転送を行う呼制御装置を設け、この呼制御装置が、通信状況取得部で前記回線交換通信網およびパケット交換通信網から、端末IDや電話番号などが予め登録されている無線通信装置の呼接続状態を取得し、その取得結果から、接続状況管理部が、前記無線通信装置がパケット通信中に音声通信の着信を許可したときには、前記情報処理装置にパケット通信に関する処理を中断させる保留信号を出力し、音声通信が終了すると、前記保留信号を解除する。
【0021】
それゆえ、パケット通信中に音声通信の着信を許可しても、無線通信装置と情報処理装置との間のパケット通信は終了されず、パケット交換網の回線は保持されるとともに、情報処理装置の通信状態は一時停止のままで保持され、音声通信が終了すると、回線接続処理等をやり直すことなくパケット通信を再開することができるので、パケット通信の終了までの時間を短縮することができる。また、再開後には通信未了のデータだけを転送すればよく、通信料金および不要なトラヒックを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の一形態に係る無線通信装置である携帯電話端末1を用いる無線通信システムの構成を示す図である。この携帯電話端末1は、PDC方式の音声通話機能付きデータ通信端末であり、回線交換通信網2を介して第三者の電話端末3と音声通信可能であるとともに、パケット交換通信網4を介して、インターネット回線6上のパーソナルコンピュータなどのアプリケーション処理装置5とパケット通信可能であり、それらを選択的に行える(同時に行うことができない)ようになっている。
【0023】
またこの携帯電話端末1は、GPS(Global Positioning System)受信機を内蔵しており、予め定める時間毎、予め定めるエリアから外へ出たとき、使用者の操作に応答して、またはアプリケーション処理装置5からの位置検索要求に応答して、現在位置を測位し、測位結果を、アプリケーションメッセージフォーマットとして、管理センターなどに設置される前記アプリケーション処理装置5へ通知する位置情報端末としての機能を有する。
【0024】
図2は、前記携帯電話端末1の機能的構成を示すブロック図である。携帯電話端末1は、無線通信部11と、通話処理部12と、発信・着信操作部13と、アプリケーション制御部14と、表示部15と、GPS制御部16と、データベース17とを備えて構成される。
【0025】
前記無線通信部11は、前述のように携帯電話の回線交換通信網2およびパケット交換通信網4を介して無線通信可能であり、無線チャネル制御部18と、PDC無線通信制御部19とを備えて構成される。PDC無線通信制御部19は、該携帯電話端末1が待受けしている基地局に使用可能な無線チャネルの内、どのチャネルを使用するかを選択し、選択した無線チャネルにおいて、無線チャネル制御部18に送受信を行わせる。
【0026】
通話処理部12は、マイクロホンおよびスピーカなどを備えて成り、マイクロホンからのアナログの音声信号をPDCの回線交換通信網2に適したデジタル信号に変換して前記無線チャネル制御部18から送信させるとともに、無線チャネル制御部18で受信された音声のデジタル信号をアナログの音声信号に復元し、スピーカから出力する。
【0027】
前記発信・着信操作部13は、テンキーや各種の機能釦などから成り、音声通信の発信・着信のための操作が行われる。前記アプリケーション制御部14は、パケット交換通信網4を介して、アプリケーション処理装置5との間でデータ通信を行う。
【0028】
GPS制御部16は、前記GPS受信機を備えて成り、測位結果を、データベース17に記憶させるとともに、アプリケーション制御部14から無線チャネル制御部18を介してアプリケーション処理装置5に送信させる。また、測位に必要となるアプリケーション処理装置5からの衛星軌道情報などを、前記無線チャネル制御部18からアプリケーション制御部14を介して受信し、データベース17に記憶させる。
【0029】
図3は、前記アプリケーション処理装置5の機能的構成を示すブロック図である。このアプリケーション処理装置5は、通信制御部21と、アプリケーション制御部22と、ロケーション処理部23と、データベース24と、マンマシン制御部25と、表示部26および操作部27とを備えて構成される。
【0030】
前記通信制御部21は、前記インターネット回線6を介して前記携帯電話端末1と通信を行う。前記ロケーション処理部23は、前述のような携帯電話端末1への位置検索要求や、測定された現在位置をデータベース24に記憶するとともに、前記データベース24から読出した地図画面上に描画して、前記携帯電話端末1を所持するユーザの保護者などからの照会に応じたり、前記衛星軌道情報をGPS衛星からの信号から取得して前記データベース24に蓄積するなどの位置情報端末のロケーション処理を行う。
【0031】
前記マンマシン制御部25は、前記表示部26および操作部27を使用して、携帯電話端末1への位置検索要求を発信したり、現在位置を地図画面上に表示したりして、オペレータとのインタフェイスとなる。前記アプリケーション制御部22は、アプリケーション処理装置5内の前記の各種のアプリケーションを制御する。
【0032】
図4は、本実施の形態の無線通信システムにおける位置検索通信シーケンスを説明するための図である。アプリケーション処理装置5が携帯電話端末1の位置を検索する検索サービスを開始すると、アプリケーション制御部22には、宛先となる携帯電話端末1のIPアドレスまたは移動機識別番号と、位置検索要求を示すメッセージ識別子と、検索タイムアウト時間(秒単位)とが設定される。
【0033】
サービス開始後、アプリケーション制御部22は、PDCのパケット交換通信網4に対して、対象携帯電話端末1を前記IPアドレスまたは移動機識別番号により呼出すとともに、検索タイムアウト監視タイマーを開始する。PDC網は、該当する携帯電話端末1に対して、パケット着信があったことを通知する。パケット着信を受けた携帯電話端末1は、PDC無線通信制御部19を利用して、パケット接続およびPPP接続を完了し、それに引き続き、アプリケーション処理装置5から受信したメッセージが位置検索メッセージであることをアプリケーション制御部14で認識するととともに、GPS制御部16にGPS測位を開始させる。
【0034】
そのGPS測位中に、別の第三者から携帯電話端末1に対して、音声通話呼出しが行われると、PDC網から携帯電話端末1に対して、音声着信が通知される。これに対応して、ユーザが発信・着信操作部13を操作して、音声着信が許可されると、注目すべきは、本実施の形態では、アプリケーション制御部14は、無線チャネル制御部18からアプリケーション処理装置5に対して、位置検索処理の休止を告げるメッセージを送信するとともに、前記無線チャネル制御部18にパケット交換通信網4の通信チャネルを一旦保留状態とさせることである。送信後、アプリケーション制御部14は、無線チャネル制御部18に対して着信許可通知を行い、該無線チャネル制御部18は、パケット通信を保留状態に移行した後、回線交換通信網2による音声通話へと無線チャネルを切替える。一方、アプリケーション処理装置5は、携帯電話端末からの位置検索処理の休止メッセージを受信した後、当該処理を休止状態へと移行させ、アプリケーション通信制御に関わるタイムアウト監視タイマーを停止する。
【0035】
端末利用者の音声通話が終了すると、無線チャネル制御部18が保留中のパケット通信を再開するとともに、アプリケーション制御部14に対して、音声通話が終了し、保留中のパケット通信が再開可能になったことを通知する。これを受けてアプリケーション制御部14では、アプリケーション処理装置5に対して、位置検索処理の再開通知メッセージを送信するとともに、GPS制御部16による測位処理も再開する。アプリケーション処理装置5は、携帯電話端末1からの再開通知メッセージを受信した後、当該処理を休止状態から稼動状態へと変更し、携帯電話端末1からの検索結果の受信待ち状態へと移行する。
【0036】
携帯電話端末1は、内蔵されたGPS受信機の測位が成功して、位置情報を取得すると、前記検索応答メッセージに当該位置情報を設定し、アプリケーション処理装置5へ送信する。そして、他に処理すべきサービスが残っていないと、通信終了要求メッセージをアプリケーション処理装置5へ送信する。アプリケーション処理装置5は、携帯電話端末1からの検索結果メッセージを受信し、当該メッセージから端末の位置情報を取得して、地図データを参照し、端末の位置を地図上に表示する。さらに、通信終了要求メッセージに対して、通信終了応答メッセージを返信する。携帯電話端末1では、この通信終了応答メッセージを受信すると、アプリケーション制御部14は、無線チャネル制御部18に、パケット交換通信網4の回線を切断させた後、待機状態へと移行する。
【0037】
図5は携帯電話端末1における処理フローであり、図6はアプリケーション処理装置5における処理フローである。サービスを開始すると、アプリケーション処理装置5のアプリケーション制御部22は、ステップS1で、位置検索要求が発生するまで待機し、発生するとステップS2で、対象携帯電話端末1を呼出すとともに、ステップS3で検索タイムアウト監視タイマーのカウントを開始させる。
【0038】
携帯電話端末1は、ステップP1でパケット交換通信網4から前記位置検索要求のメッセージを受信するまで待機し、受信されるとステップP2に移り、GPS受信機をONしてGPS測位を開始するとともに、ステップP3で検索タイムアウト監視タイマーのカウントを開始する。
【0039】
ステップP4で何らかの事象が発生し、それが音声着信であるときにはステップP5に移り、前記発信・着信操作部13の操作によって音声着信が許可されると、ステップP6で、一旦GPS受信機がOFFされるとともに、ステップP7で前記検索タイムアウト監視タイマーのカウントを停止する。
【0040】
ステップP8では、音声通話が終了したか否か、すなわちパケット通信を再開すべきであるか否かが判断され、音声通話が継続されているときにはこのステップP8を繰返し、パケット通信を再開するときにはステップP9に移る。ステップP9では、GPS受信機が再びONされ、ステップP10では検索タイムアウト監視タイマーのカウントが再開されて前記ステップP4に戻る。
【0041】
このとき、アプリケーション処理装置5では、ステップS4で何らかの事象が発生し、それが携帯電話端末1側の音声着信による位置検索処理の休止メッセージの受信であるときにはステップS5に移り、検索タイムアウト監視タイマーのカウントが一旦停止され、ステップS6では音声通話終了による位置検索処理の再開通知メッセージが受信されるまで待機し、受信されるとステップS7で検索タイムアウト監視タイマーのカウントを再開して前記ステップS4に戻る。
【0042】
携帯電話端末1において、前記ステップP4で発生した事象が、GPS測位の成功であるときにはステップP11に移り、GPS受信機をOFFしてGPS測位を終了するとともに、ステップP12で検索タイムアウト監視タイマーのカウントを停止する。ステップP13では、位置情報を含む前記検索結果メッセージを送信する。
【0043】
これによって、アプリケーション処理装置5において、前記ステップS4で発生した事象が検索結果メッセージの受信であるときにはステップS10に移り、前記検索タイムアウト監視タイマーのカウントを停止し、ステップS11で位置情報を取得してステップS12で表示部26の地図画面上に表示すると、ステップS13でパケット通信の通信終了要求を送信する終了処理を行って処理を終了する。前記ステップS4で発生した事象が検索タイムアウト監視タイマーのタイムアウトであるときには、ステップS13で通信終了処理を行った後、処理を終了する。
【0044】
また、携帯電話端末1では、ステップP14で通信終了要求を受信すると通信終了処理を行い、ステップP15で回線を切断して処理を終了する。前記ステップP4で発生した事象が検索タイムアウト監視タイマーのタイムアウトであるときには、ステップP21に移り、GPS受信機をOFFしてGPS測位を終了するとともに、ステップP22で検索タイムアウト監視タイマーのカウントを停止する。ステップP23では、測位できなかったことを表す情報を含む前記検索結果メッセージを送信する。そして、ステップP24で通信終了要求を受信すると通信終了処理を行い、前記ステップP15で回線を切断して処理を終了する。
【0045】
このように構成することで、パケット通信中に音声通信の着信を許可しても、アプリケーション制御部14とアプリケーション処理装置5とのパケット通信は終了されず、パケット交換通信網4の回線は保持されるとともに、アプリケーション処理装置5の通信状態は一時停止のままで保持され、音声通信が終了すると、回線接続処理等をやり直すことなくパケット通信を再開することができるので、パケット通信の終了までの時間を短縮することができる。また、再開後には通信未了のデータだけを転送すればよく、通信料金および不要なトラヒックを抑制することができる。
【0046】
[実施の形態2]
図7は、本発明の実施の他の形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。この無線通信システムは、前述の無線通信システムに類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して示し、その説明を省略する。本実施の形態で用いる回線交換通信網2およびパケット交換通信網4ならびにアプリケーション処理装置5は、前述の実施の形態と同一であり、その説明を省略する。注目すべきは、本実施の形態では、携帯電話端末1aがアプリケーション処理装置5とパケット通信を行うにあたって、それらの間で、中継してデータ転送を行うとともに、携帯電話端末1aに代わって、該携帯電話端末1aの呼接続状態を監視し、状態変化をアプリケーション処理装置5へ通知する呼制御装置31が設けられていることである。このため、携帯電話端末1aおよびアプリケーション処理装置5は、呼制御装置31とパケット通信を行う。
【0047】
携帯電話端末1aは、前述の携帯電話端末1と同様に、PDC方式の音声通話機能付きデータ通信端末であり、回線交換通信網2を介して第三者の電話端末3と音声通信可能であるとともに、パケット交換通信網4を介して、呼制御装置31とパケット通信可能であり、それらを選択的に行える(同時に行うことができない)ようになっている。またこの携帯電話端末1aは、GPS受信機を内蔵した位置情報端末であるけれども、前述の携帯電話端末1と異なる点は、測位結果をアプリケーションメッセージフォーマットとして通知することはできるけれども、前記アプリケーション制御部14に、位置検索処理の休止および再開を告げるメッセージの送信機能を備えていない、すなわち既存の位置情報端末であることである。
【0048】
図8は、前記呼制御装置31の機能的構成を示すブロック図である。呼制御装置31は、PDC網通信制御部32と、データベース33,34と、端末呼接続状態管理部35と、アプリケーション通信制御部36と、通信経路制御部37と、LAN通信制御部38とを備えて構成される。
【0049】
前記PDC網通信制御部32は、監視対象の携帯電話端末1aの電話会社との契約によって、PDC網2,4から該携帯電話端末1aの呼接続状態を取得する。その取得されたデータは、通信経路制御部37からアプリケーション通信制御部36を介して端末呼接続状態管理部35に与えられ、データベース33に記憶される。一方、データベース34には、携帯電話端末1aに代わってアプリケーション処理装置5に送信するメッセージデータが蓄積されており、前記端末呼接続状態管理部35は、携帯電話端末1aの呼接続状態が変化した時に、前記データベース34から対応するメッセージデータを読出し、アプリケーション処理装置5へ通知し、通信経路制御部37からLAN通信制御部38を介して、インターネット回線6でアプリケーション処理装置5へ送信する。
【0050】
また、後述するように携帯電話端末1aが音声着信に切換わってから、そのことがアプリケーション処理装置5へのメッセージで通知され、該アプリケーション処理装置が休止状態となるまでの間に、該アプリケーション処理装置5から携帯電話端末1aに送信されたメッセージデータも、前記データベース36に一時的に蓄積され、パケット通信再開後に転送される。
【0051】
図9は、本実施の形態の無線通信システムにおける位置検索通信シーケンスを説明するための図である。この図9の動作は、前述の図4の動作に類似している。アプリケーション処理装置5が携帯電話端末1aに定期測位要求を送信すると、アプリケーション制御部22には、宛先となる携帯電話端末1aのIPアドレスまたは移動機識別番号と、位置検索要求を示すメッセージ識別子と、監視タイムアウト時間(秒単位)とが設定される。
【0052】
サービス開始後、アプリケーション制御部22は、インターネット回線6を介して呼制御装置31に対して、対象携帯電話端末1を前記IPアドレスまたは移動機識別番号により呼出すとともに、監視タイムアウト監視タイマーを開始する。その呼出し要求は、該呼制御装置31からPDCのパケット交換通信網4を介して、対象携帯電話端末1aに送信される。パケット着信を受けた携帯電話端末1aは、PDC無線通信制御部19を利用して、パケット接続およびPPP接続を完了し、それに引き続き、呼制御装置31で中継されたアプリケーション処理装置5からの位置検索メッセージを受信すると、GPS測位を開始する。
【0053】
定期測位要求メッセージを受信した携帯電話端末1aでは、GPS受信機をONにして、GPS測位を開始するとともに、測位時間タイマーのカウントを開始する。内蔵のGPS受信機からは、予め指定した間隔で測位結果(位置情報)が通知されているので、データベース17内の最新位置情報バッファに上書き保存する。測位時間タイマーがタイムアウトした時点での先ほどの最新位置情報バッファに保存されている位置情報が、定期測位応答メッセージに設定されて、アプリケーション処理装置5に送信される。
【0054】
この測位時間タイマー稼動中に、別の第三者から携帯電話端末1aに対して、音声通話呼出しが行われると、PDC通信網2,4から該携帯電話端末1aに対して音声着信が通知される。アプリケーション制御部14aは、無線チャネル制御部18からの音声着信発生通知を受けた時点で、GPS測位を停止(GPS受信機をOFFし、測位時間タイマーも中断する)するとともに、無線チャネル制御部18に対して着信許可指示を行う。無線チャネル制御部18では、これを受けてパケット通信を保留状態に移行した後、音声通信へと無線チャネルを切換える。
【0055】
このとき、呼制御装置31は、携帯電話端末1aがパケット通信中に音声着信を受付けたことを、PDC網2,4からPDC通信網制御部32で、音声着信受付通知メッセージによって受信する。これを受けて、呼制御装置31は、LAN通信制御部38からアプリケーション処理装置5に対して、現在処理中のサービス処理を中断すべき通知メッセージを送信する。アプリケーション処理装置5では、このメッセージを受けて、定期測位アプリケーションを休止状態に移行する。
【0056】
端末利用者の音声通話終了後、無線チャネル制御部18が保留中のパケット通信を再開するとともに、アプリケーション制御部14aに対して、パケット通信が再開可能になったことを通知する。これを受けてアプリケーション制御部14aでは、GPS受信機をONし、測位時間タイマーを再開し、定期測位アプリケーションを再開する。
【0057】
呼制御装置31は、PDC網2,4から携帯電話端末1aの音声通話終了に伴いパケット通信が再開したことを受信すると、携帯電話端末1aへ状態確認要求を送信するとともに、アプリケーション処理装置5に対して、通信再開通知メッセージを送信する。これを受けて、アプリケーション処理装置5では、定期測位アプリケーションを再開する。また、携帯電話端末1aは、呼制御装置31に前記状態確認要求に対する応答を返信する。
【0058】
携帯電話端末1aの測位時間タイマーが満了した時点で、最新の位置情報が定期測位応答メッセージに設定され、呼制御装置31に送信される。さらに、他に処理すべきサービスが残っていないと、通信終了要求メッセージを呼制御装置31へ送信する。呼制御装置31では、定期測位応答メッセージを受信すると、当該メッセージをアプリケーション処理装置5へ転送する。
【0059】
アプリケーション処理装置5では、受信した定期測位応答メッセージから携帯電話端末1aの位置情報を取得し、地図データを参照し、携帯電話端末1aの位置を地図上に表示する。さらに、呼制御装置31から転送された通信終了要求メッセージに対して、通信終了応答メッセージを携帯電話端末1aに送信する。携帯電話端末1aでは、この通信終了応答メッセージを受信後、パケット回線を切断し、待機状態へと移行する。
【0060】
さらにまた、本実施形態では、携帯電話端末1aがパケット通信を保留状態にしたことがアプリケーション処理装置5に通知されるまでの切換え時間内に、アプリケーション処理装置5から携帯電話端末1aの状態確認メッセージ等の何らかのメッセージが送信された場合、呼制御装置31では、当該メッセージの送信失敗を受けて、前述のように未送信メッセージとしてデータベース34に蓄積される。携帯電話端末1aの音声通話が終了し、パケット通信が再開されたことを検出した時点で、呼制御装置31は、未送信の状態確認メッセージ等を携帯電話端末1aに送信する。携帯電話端末1aでは、アプリケーション制御部14が本メッセージを受信後、該携帯電話端末1aの各種状態情報(処理状態=定期測位中/電池残量値)を設定した状態応答メッセージを、呼制御装置31を介してアプリケーション処理装置5に送信する。
【0061】
図10は携帯電話端末1aにおける処理フローであり、図11はアプリケーション処理装置5における処理フローである。アプリケーション処理装置5の動作は、前述の図6で示す動作に類似しており、タイマーの名称が検索タイムアウト監視タイマーから前記監視タイムアウト監視タイマーに代わり、また任意の位置検索要求から定期測位の指示に代わっただけであり、同じステップ番号に添字aを付して示し、その説明を省略する。
【0062】
また、携帯電話端末1aの動作は、前述の図5で示す動作に類似しており、タイマーの名称が検索タイムアウト監視タイマーから測位時間タイマーに代わっている。すなわち、前述の本実施の形態では、ステップP4で測位が成功した時点でステップP11以降の終了処理に移っているのに対して、本実施の形態では、予め定める測位時間に亘り測位を行い、その測位時間内で得られた最新の値を現在位置の情報とすることである。
【0063】
したがって、ステップP4aで前記測位時間タイマーが満了するとステップP21aに移り、GPS受信機をOFFしてGPS測位を終了する。ステップP23aでは、測位できた場合は最新の位置情報を、できなかった場合は測位不能であったことを表す情報を含む応答メッセージを送信する。その後、ステップP24aで通信終了要求を受信すると通信終了処理を行い、ステップP15aで回線を切断して処理を終了する。
【0064】
これに対して、前記ステップP4aにおいて、測位時間タイマーが満了する前に呼制御装置31から通信終了要求を受信するとステップP31aでGPS受信機をOFFしてGPS測位を終了するとともに、ステップP32aで測位時間タイマーのカウントを停止する。その後、ステップP34aで通信終了応答を送信して、ステップP15aで回線を切断して処理を終了する。
【0065】
このようにして、パケット通信の中断/再開の通知機能を携帯電話端末1aのアプリケーション制御部14aから切離し、呼制御装置31に行わせることで、既存の携帯電話端末1aを用いて、該携帯電話端末1aがパケット通信中に音声通信の着信を許可しても、パケット通信の終了までの時間を短縮することができる。また、再開後には通信未了のデータだけを転送すればよく、通信料金および不要なトラヒックを抑制することができる。さらにまた、不審者の出現などで、特定地域の携帯電話端末1aに一斉に測位要求を発生しても、その返信がアプリケーション処理装置5へ集中せず、各携帯電話端末1aの位置情報を確実に取得することができる。
【0066】
さらにまた、前記呼制御装置31は、携帯電話端末1aがパケット通信を保留状態にしたことがアプリケーション処理装置5に通知されるまでの切換え時間内に、アプリケーション処理装置5から携帯電話端末1aの状態確認メッセージ等の何らかのメッセージが送信された場合、当該メッセージの送信失敗を受けて、未送信メッセージとしてデータベース34に蓄積し、携帯電話端末1aの音声通話が終了し、パケット通信が再開されてから送信するので、前記切換え時間に送信されたデータの消失を確実に防止することができる。
【0067】
なお、携帯電話端末1aがパケット通信中(定期測位サービス実行中)に、第三者からの通話呼出しによる音声着信が発生した場合、該携帯電話端末1aは上述のようにパケット通信を保留状態とし、音声通話を開始した時点で、PDC通信網2,4から呼制御装置31に通知される音声着信受付通知をアプリケーション処理装置5に転送するけれども、それを受けたアプリケーション処理装置5のアプリケーション通信制御部36が、現在実行中の定期測位サービスを強制終了するために、携帯電話端末1aに、通信終了要求を送信するようにしてもよい。
【0068】
この場合、音声通話チャネルが有効であるため携帯電話端末1aに当該メッセージを届けることはできないので、呼制御装置31が携帯電話端末1aの代理として、アプリケーション処理装置5からの通信終了要求に対して、応答メッセージを生成し、アプリケーション処理装置5に返信しておく。これを受信したアプリケーション処理装置5は、図12や図13のステップS4aからステップS20で示すように、待機状態へと移行する。
【0069】
一方、携帯電話端末1aが、音声通話終了後、保留状態のパケット通信を再開したことは、PDC通信網2,4から呼制御装置31に対して通知され、通知受信後、呼制御装置31は、携帯電話端末1aに対して、定期測位アプリケーションの通信終了要求を送信する。それを受信した携帯電話端末1aは、定期測位処理を中止するためにGPS受信機の電源をオフし、測位時間タイマーを停止し、通信終了応答メッセージを送信し、パケット回線を切断し、アプリケーション処理を待機状態へ移行する。
【0070】
このように構成することで、携帯電話端末1aが音声通話中のためパケット通信ができない状況でアプリケーション処理装置5から終了要求が発生しても、呼制御装置31が携帯電話端末1aの代理として処理終了メッセージを応答し、携帯電話端末1aのパケット通信再開時に、アプリケーション終了メッセージの送信を行うことで、携帯電話端末1a側の終了処理を正常に完了させることが可能となる。これにより、音声通話によるパケット通信不能状態によるシステム動作への影響を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施の一形態に係る無線通信装置である携帯電話端末を用いる無線通信システムの構成を示す図である。
【図2】前記携帯電話端末の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】前記無線通信システムにおけるアプリケーション処理装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の一形態の無線通信システムにおける位置検索通信シーケンスを説明するための図である。
【図5】図4で示す動作を実現する携帯電話端末における処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】図4で示す動作を実現するアプリケーション処理装置における処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の実施の他の形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。
【図8】呼制御装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施の他の形態の無線通信システムにおける位置検索通信シーケンスを説明するための図である。
【図10】図9で示す動作を実現する携帯電話端末における処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】図9で示す動作を実現するアプリケーション処理装置における処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】本発明の実施の他の形態の無線通信システムにおける他の位置検索通信シーケンスを説明するための図である。
【図13】図12で示す動作を実現するアプリケーション処理装置における処理動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0072】
1,1a 携帯電話端末
2 回線交換通信網
3 電話端末
4 パケット交換通信網
5 アプリケーション処理装置
6 インターネット回線
11 無線通信部
12 通話処理部
13 発信・着信操作部
14 アプリケーション制御部
15 表示部
16 GPS制御部
17 データベース
18 無線チャネル制御部
19 PDC無線通信制御部
21 通信制御部
22 アプリケーション制御部
23 ロケーション処理部
24 データベース
25 マンマシン制御部
26 表示部
27 操作部
31 呼制御装置
32 PDC網通信制御部
33,34 データベース
35 端末呼接続状態管理部
36 アプリケーション通信制御部
37 通信経路制御部
38 LAN通信制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回線交換通信網を介する音声通信と、パケット交換通信網を介するパケット通信とを選択的に行えるようにした無線通信装置において、
前記回線交換通信網およびパケット交換通信網と通信を行う無線通信部と、
前記無線通信部を介して前記音声通信を実現する通話処理部と、
前記無線通信部を介して前記パケット通信を実現する情報処理部と、
前記無線通信部での通信方式を前記音声通信とパケット通信との間で切換えるアプリケーション制御部とを含み、
前記アプリケーション制御部は、前記無線通信部でパケット通信中に音声通信の着信を許可したときには、前記無線通信部からパケット交換通信網を介して、前記情報処理部によるパケット通信先に、パケット通信に関する処理を中断させる保留信号を出力し、音声通信が終了すると、前記保留信号を解除することを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
無線通信装置が、回線交換通信網を介する音声通信と、パケット交換通信網を介するパケット通信とを選択的に行えるようにした無線通信システムにおいて、
前記無線通信装置が前記パケット通信を行うにあたって、通信相手先の情報処理装置との間で、中継してデータ転送を行う呼制御装置を設け、当該呼制御装置は、
前記回線交換通信網およびパケット交換通信網から、予め登録されている無線通信装置の呼接続状態を取得する通信状況取得部と、
前記通信状況取得部の取得結果から、前記無線通信装置がパケット通信中に音声通信の着信を許可したときには、前記情報処理装置にパケット通信に関する処理を中断させる保留信号を出力し、音声通信が終了すると、前記保留信号を解除する接続状況管理部とを含むことを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
前記呼制御装置は、情報処理装置から無線通信装置へ転送されるデータを記憶する記憶部を備え、前記接続状況管理部は、前記無線通信装置が音声着信を許可してから、該接続状況管理部が情報処理装置へ前記保留信号を送信し、情報処理装置から該保留信号を受付けたことを表す応答信号が受信されるまでの間に、情報処理装置から無線通信装置へ転送されたデータを前記記憶部に記憶させ、無線通信装置が音声通信を終了し、パケット通信へ復帰した後に、前記記憶部に記憶しておいたデータを無線通信装置へ送信させ、送信完了後に前記保留信号を解除することを特徴とする請求項2記載の無線通信システム。
【請求項4】
回線交換通信網を介する音声通信と、パケット交換通信網を介するパケット通信とを選択的に行うための通信制御方法において、
パケット通信中に音声通信の着信を許可したときには、パケット通信先に、パケット通信に関する処理を中断させる保留信号を出力し、音声通信が終了すると、前記保留信号を解除することを特徴とする通信制御方法。
【請求項5】
無線通信装置が、回線交換通信網を介する音声通信と、パケット交換通信網を介するパケット通信とを選択的に行うための通信制御方法において、
前記無線通信装置と、その通信相手先の情報処理装置との間に、中継してデータ転送を行う呼制御装置を設け、当該呼制御装置は、前記回線交換通信網およびパケット交換通信網から、予め登録されている無線通信装置の呼接続状態を取得し、前記無線通信装置がパケット通信中に音声通信の着信を許可したときには、前記情報処理装置にパケット通信に関する処理を中断させる保留信号を出力し、音声通信が終了すると、前記保留信号を解除することを特徴とする通信制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−150424(P2007−150424A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−338564(P2005−338564)
【出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】