説明

無線通信装置及び送信信号校正方法

【課題】キャリブレーションデータの算出が完了していなくとも、環境条件の変化に適応したキャリブレーションデータを利用できるようにすること。
【解決手段】キャリブレーションデータを算出する算出部141と、算出部141により算出されるキャリブレーションデータと、該キャリブレーションデータが算出された際の環境を示す算出時環境条件と、を対応づけて記憶する記憶領域B152と、記憶領域B152に記憶される算出時環境条件と、現在の環境を示す現在環境条件と、に基づいて、記憶領域B152から、現在の環境に対応するキャリブレーションデータを取得するキャリブレーションデータ取得部142と、取得したキャリブレーションデータに基づき、送信信号を校正するモデム部130と、を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信装置及び送信信号校正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信装置には、自身の特性が無線信号に与える影響を除去するため、送信信号のキャリブレーション(校正)を行うようにしているものがある(例えば、特許文献1や特許文献2など。)。具体的には、無線通信装置は、当該無線通信装置の特性を示すキャリブレーションデータを算出し、このキャリブレーションデータに基づいて送信信号を校正する。
【0003】
無線通信装置の特性は周波数などの無線リソースによって異なるので、キャリブレーションデータの算出は無線リソースごとに行われる。また、気温などの環境条件によっても異なるので、環境条件が一定値以上変化した場合にキャリブレーションデータの算出が行われる。
【特許文献1】特開平10−336149号公報
【特許文献2】特開2004−153496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、キャリブレーションデータを算出するためには、無線リソースごとにキャリブレーション信号を送受信する必要があるので、全ての無線リソースについてキャリブレーションデータの算出が完了するまでには相当程度の時間がかかり、この間、環境条件の変化に適応したキャリブレーションデータが利用できないという問題があった。
【0005】
従って、本発明の課題の一つは、キャリブレーションデータの算出が完了していなくとも、環境条件の変化に適応したキャリブレーションデータを利用できる無線通信装置及び送信信号校正方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明にかかる無線通信装置は、キャリブレーションデータを算出する算出手段と、前記算出手段により算出されるキャリブレーションデータと、該キャリブレーションデータが算出された際の環境を示す算出時環境条件と、を対応づけて記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶される算出時環境条件と、現在の環境を示す現在環境条件と、に基づいて、前記記憶手段から、現在の環境に対応するキャリブレーションデータを取得するキャリブレーションデータ取得手段と、前記キャリブレーションデータ取得手段により取得したキャリブレーションデータに基づき、送信信号を校正する送信信号校正手段と、を含むことを特徴とする。
【0007】
これによれば、キャリブレーションデータの算出が完了していなくとも、過去に記憶しているキャリブレーションデータに基づいて、現在の環境に対応するキャリブレーションデータを取得することができるので、環境条件の変化に適応したキャリブレーションデータを利用することができる。
【0008】
また、上記無線通信装置において、前記キャリブレーションデータ取得手段は、複数の前記算出時環境条件のそれぞれに対応づけて前記記憶手段に記憶されるキャリブレーションデータから、現在の環境に対応するキャリブレーションデータを算出することにより、キャリブレーションデータを取得する、こととしてもよい。
【0009】
これによれば、例えば線形補完法などにより、過去に記憶しているキャリブレーションデータに基づいて、現在の環境に対応するキャリブレーションデータを取得することができる。
【0010】
さらに、上記各無線通信装置において、前記記憶手段は、2つの前記算出時環境条件について、前記キャリブレーションデータを記憶し、当該無線通信装置は、前記算出手段によりキャリブレーションデータが算出された際の環境条件が、前記記憶手段に記憶される2つの算出時環境条件の間にあるか否かに応じて、前記算出手段により算出されたキャリブレーションデータにより前記記憶手段を更新する更新手段、をさらに含む、こととしてもよい。
【0011】
これによれば、記憶手段に記憶されるキャリブレーションデータを更新していくことができるとともに、算出時環境条件の幅を広げていくことができる。
【0012】
また、本発明にかかる送信信号校正方法は、キャリブレーションデータを算出する算出ステップと、前記算出ステップにおいて算出されるキャリブレーションデータと、該キャリブレーションデータが算出された際の環境を示す算出時環境条件と、を対応づけて記憶する記憶手段に記憶されるキャリブレーションデータ及び算出時環境条件に基づいて、現在の環境に対応するキャリブレーションデータを取得するキャリブレーションデータ取得ステップと、前記キャリブレーションデータ取得ステップにおいて取得されたキャリブレーションデータに基づき、送信信号を校正する送信信号校正ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態にかかる基地局装置100のシステム構成を示す図である。なおここでは、アンテナ及び送受信処理系統を4つずつ備える基地局装置100を例に取って説明する。
【0015】
基地局装置100は、CPU及びメモリを備えるコンピュータである。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行するための処理ユニットであり、基地局装置100の各部を制御する処理を行うとともに、後述する各機能を実現する。メモリは本実施の形態を実施するためのプログラムやデータを記憶している。また、CPUのワークメモリとしても動作する。
【0016】
基地局装置100は無線通信装置として機能し、WiMAX(Worldwide interoperability for Microwave Access)などの移動体通信システムにおいて移動局装置(不図示)との間で無線通信を行う。また、交換機(不図示)との間では有線通信を行う。
【0017】
図1に示すように、基地局装置100は、アンテナ101乃至104、送受信切り替えスイッチ105、受信系モジュール110、送信系モジュール120、モデム部130、制御部140、記憶装置150、電源部160を含んで構成される。
【0018】
アンテナ101乃至104は、いずれも送受信切り替えスイッチ105に接続される。送受信切り替えスイッチ105は、受信系モジュール110及び送信系モジュール120に接続される。
【0019】
受信系モジュール110は、送受信切り替えスイッチ105を介して、アンテナ101乃至104に接続される。また、モデム部130にも接続されている。受信系モジュール110は、アンテナ101乃至104のそれぞれにつき、ローノイズ増幅器(LNA)111、ダウンコンバータ(D/C)112、A(Analog)/D(Digital)コンバータ(A/D)113を含んで構成される。
【0020】
送信系モジュール120も、送受信切り替えスイッチ105を介して、アンテナ101乃至104に接続される。また、モデム部130にも接続されている。送信系モジュール120は、アンテナ101乃至104のそれぞれにつき、D(Digital)/A(Analog)コンバータ(D/A)123、アップコンバータ(U/C)122、電力増幅器(PA)121を含んで構成される。
【0021】
モデム部130、制御部140、記憶装置150は、共通のバスに接続される。
【0022】
以下、基地局装置100を構成する各部の機能について説明する。
【0023】
アンテナ101乃至104は、それぞれ、到来する無線信号を受信して送受信切り替えスイッチ105に出力するとともに、送受信切り替えスイッチ105から入力される信号を無線区間に送出する。
【0024】
送受信切り替えスイッチ105は、時分割により送信と受信との切り替え制御を行い、時分割複信を実現する。送信時には、送信系モジュール120から入力される信号を、アンテナ101乃至104に出力する。受信時には、アンテナ101乃至104から入力される信号を、受信系モジュール110に出力する。
【0025】
ローノイズ増幅器111は、対応するアンテナから受信系モジュール110に入力された信号を低雑音増幅し、対応するダウンコンバータ112に出力する。ダウンコンバータ112は、対応するローノイズ増幅器111から入力された信号の周波数を変換し、対応するA/Dコンバータ113に出力する。A/Dコンバータ113は、対応するダウンコンバータ112から入力された信号をデジタル信号に変換し、モデム部130に出力する。
【0026】
D/Aコンバータ123は、モデム部130から入力されたデジタル信号をアナログ信号に変換し、対応するアップコンバータ122に出力する。アップコンバータ122は、対応するD/Aコンバータ123から入力された信号の周波数を、後述する制御部140から指示される送信周波数に変換し、対応する電力増幅器121に出力する。電力増幅器121は、対応するアップコンバータ122から入力された信号を増幅し、対応するアンテナに対し、送信系モジュール120を介して出力する。
【0027】
モデム部130は、複数の演算装置から構成されており、送受信データの変復調およびデジタル信号処理による位相制御を行なう。
【0028】
モデム部130の処理について、具体的に説明する。まず信号の受信時には、モデム部130は、各A/Dコンバータ113から入力されるデジタル信号を、例えばD(希望波)/U(妨害波)比が最大となるように合成し、さらに復調して受信データとし、制御部140に出力する。また、各A/Dコンバータ113から入力されるデジタル信号から、各アンテナでの受信強度及び位相を取得し、取得した受信強度及び位相に基づいて送信ウエイトを算出する。
【0029】
次に、信号の送信時には、モデム部130は、制御部140から送信データの入力を受け、変調してデジタル信号を得る。そして、送信ウエイト及びキャリブレーションデータ(後述)に基づいて、アンテナごとに、デジタル信号の振幅及び位相を制御する。すなわち、アンテナ101乃至104をアダプティブアレイアンテナとして使用し、ビームフォーミング及びヌルフォーミングを実現するとともに、ビームフォーミング及びヌルフォーミングを正確に行うために、キャリブレーションデータに基づいてデジタル信号を校正する。モデム部130は、こうして振幅及び位相を制御したデジタル信号を、各D/Aコンバータ123に出力する。
【0030】
制御部140は複数のCPUから構成され、基地局装置100全体の制御を行う。ここでは特に、モデム部130に対して必要なパラメータ(送信周波数を含む。)およびタイミングを指示するとともに、モデム部130から入力される受信データを処理する。また、送信データを取得し、モデム部130に対して出力する。さらに、後述するキャリブレーションデータ算出処理を実施し、キャリブレーションデータを算出するとともに、算出したキャリブレーションデータをモデム部130に対して出力する。
【0031】
制御部140は、また、公衆回線に接続されており、図示しない交換機との間で有線通信を行う。すなわち、交換機(不図示)から送信データの一部を受信し、モデム部130に出力するとともに、モデム部130から入力された受信データの一部を、交換機(不図示)に対して出力する。
【0032】
記憶装置150は、各種データを記憶する。ここでは特に、キャリブレーションデータ算出処理により算出されたキャリブレーションデータを記憶する。
【0033】
電源部160は、100Vなどの電源の供給を受け、基地局装置100の各部に電力を供給する。
【0034】
以下、制御部140により実施されるキャリブレーションデータ算出処理について、詳細に説明する。
【0035】
図1に示すように、制御部140は機能的に、算出部141、キャリブレーションデータ取得部142、及び更新部143を含んで構成される。さらに、記憶装置150は、記憶領域A151及び記憶領域B152を含んで構成される。
【0036】
算出部141は、キャリブレーションデータを算出する。具体的には、キャリブレーション信号生成用データを生成し、モデム部130に対して出力する。このとき、特定のキャリア(周波数)、位相、振幅で、特定のアンテナ(ここではアンテナ101とする。)からのみ送信するよう、モデム部130に対して指示する。モデム部130及び送信系モジュール120は、入力されたキャリブレーション信号生成用データに基づいて、上記特定の周波数、位相、振幅のキャリブレーション信号を生成し、アンテナ101から出力する。
【0037】
アンテナ101以外のアンテナは、こうして送信されたキャリブレーション信号を受信する。各アンテナで受信されたキャリブレーション信号は、モデム部130に伝達される。算出部141は、モデム部130に伝達されたキャリブレーション信号と、生成したキャリブレーション信号生成用データと、に基づいてキャリブレーションデータを算出する。
【0038】
算出部141は、キャリブレーション信号を送信する特定のアンテナをアンテナ101からアンテナ104まで変更しつつ、かつ特定のキャリアを変更しつつ、上述のようにしてキャリブレーションデータを算出する。こうして、算出部141は、アンテナ及びキャリアの組み合わせごとにキャリブレーションデータを算出し、記憶領域A151に記憶させる。
【0039】
図2は、記憶領域A151に記憶される現在キャリブレーションデータテーブルを示す図である。同図に示すように、現在キャリブレーションデータテーブルは、キャリアごとに、キャリブレーションデータ(同図では、アンテナごとのキャリブレーションデータを、まとめて「データ」と記載している。)を記憶している。
【0040】
なお、算出部141は、現在の環境を示す現在環境条件が、それまでのものと所定量以上変化した場合(ある一定レベル以上の温度変化が発生した場合や、送受信のデータがアンテナ間で著しく異なるなど、何らかの異状を検出した場合。)であって、かつ通信量が所定量より多くない場合に、上記キャリブレーションデータ算出処理を行う。算出部141は、キャリブレーションデータ算出処理を開始する際、現在キャリブレーションデータテーブルに記憶される全データを消去する。
【0041】
キャリブレーションデータ取得部142は、現在キャリブレーションデータテーブルにキャリブレーションデータが記憶されているか否かを判定する。判定の結果、記憶されているとされた場合には、送信データについて指示する送信周波数と対応付けて記憶されるキャリブレーションデータを読み出し、モデム部130に対して出力する。モデム部130は、該キャリブレーションデータにより、該送信データを校正する。判定の結果、記憶されていないとされた場合については後述する。
【0042】
ここで、記憶領域B152には、算出部141により算出されたキャリブレーションデータと、該キャリブレーションデータが算出された際の環境を示す算出時環境条件(ここでは温度とする。)と、を対応付けて記憶する過去キャリブレーションデータテーブルが記憶される。
【0043】
図3は、過去キャリブレーションデータテーブルを示す図である。同図に示すように、過去キャリブレーションデータテーブルは、2つの算出時環境条件について、キャリブレーションデータを記憶する。
【0044】
更新部143は、現在キャリブレーションデータテーブルに記憶されるキャリブレーションデータと、該キャリブレーションデータが算出されたときの環境条件と、を対応付けて過去キャリブレーションデータテーブルに記憶させる。具体的には、算出部141によりキャリブレーションデータが算出された際の環境条件が、過去キャリブレーションデータテーブルに記憶される2つの算出時環境条件の間にあるか否かに応じて、算出部141により算出されたキャリブレーションデータにより過去キャリブレーションデータテーブルを更新する。
【0045】
より具体的には、更新部143は、算出部141により新たなキャリブレーションデータが現在キャリブレーションテーブルに記憶されたことを契機として、該キャリブレーションデータが算出されたときの環境条件が、過去キャリブレーションデータテーブルに記憶される2つの算出時環境条件の間にあるか否かを判定する。そして、2つの算出時環境条件の間にある場合には過去キャリブレーションデータテーブルの更新を行わず、2つの算出時環境条件の間にない場合に、算出部141により算出されたキャリブレーションデータにより過去キャリブレーションデータテーブルの更新を行う。
【0046】
さらに具体的には、更新部143は、現在キャリブレーションデータテーブルに記憶されるキャリブレーションデータに書き込まれたキャリブレーションデータの算出時環境条件により示される温度が、過去キャリブレーションデータテーブルにより記憶される2つの算出時環境条件のそれぞれにより示される温度のうち低い方よりも低い場合に、該低い方の温度を示す算出時環境条件と対応付けて記憶されるキャリブレーションデータを、現在キャリブレーションデータテーブルに記憶されるキャリブレーションデータにより更新する。同様に、現在キャリブレーションデータテーブルに記憶されるキャリブレーションデータに書き込まれたキャリブレーションデータの算出時環境条件により示される温度が、過去キャリブレーションデータテーブルにより記憶される2つの算出時環境条件のそれぞれにより示される温度のうち高い方よりも高い場合に、該高い方の温度を示す算出時環境条件と対応付けて記憶されるキャリブレーションデータを、現在キャリブレーションデータテーブルに記憶されるキャリブレーションデータにより更新する。
【0047】
この更新部143によるキャリブレーションデータの更新について、処理フローを参照しながら、再度より詳細に説明する。
【0048】
図4は、基地局装置100の、あるキャリアに関する処理フローを示す図である。同図に示すように、基地局装置100は、キャリブレーション算出処理を行い、記憶領域A151に、算出したキャリブレーションデータを格納する(S1)。次に、現在の温度が、記憶領域B152に記憶される温度のうち低い方(Low)より低いか否かを判定する(S2)。低くなければ、さらに、現在の温度が、記憶領域Bに記憶される温度のうち高い方(High)より高いか否かを判定する(S3)。S2において低いと判定された場合及びS3において高いと判定された場合、基地局装置100は、記憶領域A151のキャリブレーションデータにより、記憶領域B152のキャリブレーションデータを更新する(S4)。一方、S3において高くないと判定された場合には、S4の処理を行わず、処理を終了する。
【0049】
以下、キャリブレーションデータ取得部142において、上記判定の結果、記憶されていないとされた場合について説明する。
【0050】
キャリブレーションデータ取得部142は、上記判定の結果、記憶されていないとされた場合、過去キャリブレーションデータテーブルに記憶される算出時環境条件と、現在の環境を示す現在環境条件と、に基づいて、過去キャリブレーションデータテーブルから、現在の環境に対応するキャリブレーションデータを取得する。
【0051】
具体的には、キャリブレーションデータ取得部142は、複数の算出時環境条件のそれぞれに対応づけて過去キャリブレーションデータテーブルに記憶されるキャリブレーションデータから、現在の環境に対応するキャリブレーションデータを算出することにより、キャリブレーションデータを取得する。
【0052】
より具体的には、キャリブレーションデータ取得部142は、2つの算出時環境条件のそれぞれに対応づけて過去キャリブレーションデータテーブルに記憶されるキャリブレーションデータから、2つの算出時環境条件の間の環境条件に対応するキャリブレーションデータを、線形補完(直線近似)により取得する。キャリブレーションデータ取得部142は、この線形補完により、現在の環境に対応するキャリブレーションデータを算出する。
【0053】
このキャリブレーションデータ取得部142によるキャリブレーションデータの算出について、処理フローを参照しながら、再度より詳細に説明する。
【0054】
図5は、基地局装置100の処理フローを示す図である。同図に示すように、基地局装置100は、データ通信を開始するにあたり、まず使用するキャリア(送信周波数)を決定する(S11)。次に、決定した送信周波数と対応付けて、キャリブレーションデータが記憶領域A151に記憶されているか否かを判定する(S12)。記憶されていない場合には、記憶領域B152に記憶されるキャリブレーションデータから、現在の環境に対応するキャリブレーションデータを推定する(S13)。基地局装置100は、記憶領域A151にキャリブレーションデータが記憶されていれば該キャリブレーションデータにより、記憶領域B152にキャリブレーションデータが記憶されていなければS13で推定したキャリブレーションデータにより、送信信号の校正を行いつつ、通信を行う(S14)。
【0055】
以上説明したように、基地局装置100によれば、キャリブレーションデータの算出が完了していなくとも、過去に記憶しているキャリブレーションデータに基づいて、現在の環境に対応するキャリブレーションデータを取得することができるので、環境条件の変化に適応したキャリブレーションデータを利用することができる。
【0056】
また、例えば線形補完法などにより、過去に記憶しているキャリブレーションデータに基づいて、現在の環境に対応するキャリブレーションデータを取得することができる。
【0057】
さらに、過去キャリブレーションデータテーブルに記憶されるキャリブレーションデータを更新していくことができるとともに、算出時環境条件の幅を広げていくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施の形態にかかる基地局装置のシステム構成及び機能ブロックを示す図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかる現在キャリブレーションテーブルを示す図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかる過去キャリブレーションテーブルを示す図である。
【図4】本発明の実施の形態にかかる基地局装置の処理フローを示す図である。
【図5】本発明の実施の形態にかかる基地局装置の処理フローを示す図である。
【符号の説明】
【0059】
101,102,103,104 アンテナ、100 基地局装置、105 送受信切り替えスイッチ、110 受信系モジュール、111 ローノイズ増幅器、112 ダウンコンバータ、113 A/Dコンバータ、120 送信系モジュール、121 電力増幅器、122 アップコンバータ、123 D/Aコンバータ、130 モデム部、140 制御部、141 算出部、142 キャリブレーションデータ取得部、143 更新部、150 記憶装置、151 記憶領域A、152 記憶領域B、160 電源部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリブレーションデータを算出する算出手段と、
前記算出手段により算出されるキャリブレーションデータと、該キャリブレーションデータが算出された際の環境を示す算出時環境条件と、を対応づけて記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶される算出時環境条件と、現在の環境を示す現在環境条件と、に基づいて、前記記憶手段から、現在の環境に対応するキャリブレーションデータを取得するキャリブレーションデータ取得手段と、
前記キャリブレーションデータ取得手段により取得したキャリブレーションデータに基づき、送信信号を校正する送信信号校正手段と、
を含むことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の無線通信装置において、
前記キャリブレーションデータ取得手段は、複数の前記算出時環境条件のそれぞれに対応づけて前記記憶手段に記憶されるキャリブレーションデータから、現在の環境に対応するキャリブレーションデータを算出することにより、キャリブレーションデータを取得する、
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の無線通信装置において、
前記記憶手段は、2つの前記算出時環境条件について、前記キャリブレーションデータを記憶し、
当該無線通信装置は、
前記算出手段によりキャリブレーションデータが算出された際の環境条件が、前記記憶手段に記憶される2つの算出時環境条件の間にあるか否かに応じて、前記算出手段により算出されたキャリブレーションデータにより前記記憶手段を更新する更新手段、
をさらに含む、
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項4】
キャリブレーションデータを算出する算出ステップと、
前記算出ステップにおいて算出されるキャリブレーションデータと、該キャリブレーションデータが算出された際の環境を示す算出時環境条件と、を対応づけて記憶する記憶手段に記憶されるキャリブレーションデータ及び算出時環境条件に基づいて、現在の環境に対応するキャリブレーションデータを取得するキャリブレーションデータ取得ステップと、
前記キャリブレーションデータ取得ステップにおいて取得されたキャリブレーションデータに基づき、送信信号を校正する送信信号校正ステップと、
を含むことを特徴とする送信信号校正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−295495(P2007−295495A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−123752(P2006−123752)
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】