説明

無線通信装置

【課題】キャリアアグリゲーション中にプライマリセルを変更する際の基地局からのシグナリング量を低減可能な無線通信装置を提供すること。
【解決手段】キャリアアグリゲーションで通信可能な無線通信装置は、コンポーネントキャリアセットの設定を変更するためのシグナリングを受信する受信部と、コンポーネントキャリアセットの設定を変更するコンポーネントキャリア設定部とを備える。コンポーネントキャリア設定部は、シグナリングが、コンポーネントキャリアセットを構成する1つのプライマリセル及び複数のセカンダリセルの内、プライマリセルの変更の指示を含む場合、複数のセカンダリセルの各々に設定されるプライマリセルを示すスケジューリングセル識別パラメータが、プライマリセルに割り当てられた識別情報及び複数のセカンダリセルの各々に割り当てられた識別情報のいずれにも合致しなければ、変更後のプライマリセルに割り当てられた識別情報をスケジューリングセル識別パラメータの値とみなす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリアアグリゲーションによって、複数の通信セルの各コンポーネントキャリアを同時に使用して通信可能な無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
標準化団体3GPP(The 3rd Generation Partnership Project)は、W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)方式の次世代の通信規格として、LTE(Long Term Evolution)の標準化を進めている。
【0003】
LTEでは、1つの無線通信基地局(evolved NodeB:eNB、単に「基地局」ともいう)が複数の通信セル(以下、単に「セル」という)を管理しており、無線通信端末(User Equipment:UE、単に「端末」ともいう)はその内の1つのセルに属する。端末の状態(UE state)として、基地局との個別コネクションを持っていない状態を「アイドル状態(idle mode、「RRC_IDLE」ともいう)」といい、基地局との個別コネクションを持っている状態を「コネクテッド状態(connected mode、「RRC_CONNECTED」ともいう)」という。アイドル状態の端末は、基地局と個別データを送受信できず、着信又はセル内の全端末に共通して送られる報知情報等の受信のみを行う。端末と基地局の間で個別データの送受信を行う場合には、コネクションセットアップの手続きが行われ、端末と基地局の間に専用の無線ベアラ(radio bearer)を確立することで、端末がアイドル状態からコネクテッド状態に遷移する。
【0004】
標準化団体3GPPは、LTEと互換性のある次世代の無線通信規格として、LTE−Advanced(Long Term Evolution Advanced:LTE−A)の標準化を進めている。LTE−Aは、LTEから進化した次世代移動通信規格であり、より向上した移動通信サービスの提供を目標とする。
【0005】
LTE−Aでは、1つの基地局が管理する複数のキャリア周波数を端末が同時に使用する「キャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation、“Band Aggregation”ともいう)」の導入が考えられている。複数のキャリア周波数を同時に使用することによって、端末と基地局の間の通信のスループットの向上が期待される。
【0006】
図11は、端末がキャリアアグリゲーションで使用するコンポーネントキャリアのセットの一例を示す図である。図11の例では、端末はそれぞれ3つのダウンリンクコンポーネントキャリアとアップリンクコンポーネントキャリアを用いてキャリアアグリゲーションを行っている。各キャリア(キャリアA、キャリアB、キャリアC)のダウンリンクとアップリンクはそれぞれペアで運用されている。このダウンリンクコンポーネントキャリアとアップリンクコンポーネントキャリアのペアが「セル」である。図11の例では、キャリアAのセルがプライマリセル(Primary cell、「Pcell」ともいう)に設定され、キャリアB及びキャリアCの各セルがセカンダリセル(Secondary cell、「Scell」ともいう)に設定される。端末がキャリアアグリゲーションで使用するセルのセットは、1つのプライマリセルと複数のセカンダリセルから構成される。プライマリセルは、キャリアアグリゲーションにおいて、LTE Release 8と同様の機能を持つ。また、プライマリセルのみが持つ機能として、レイヤ1のアップリンク制御情報(Ack/Nack応答やCQI等)はプライマリセルのアップリンクのみで送信すること、RACHの送信はプライマリセルのみに限定されること等が標準化団体3GPPで合意されている。なお、基地局が、受信品質又はリソースの負荷状況を考慮して、最適なセルをプライマリセルとして選択する。
【0007】
なお、本明細書において、セルとは1つの基地局から地理的エリアに対して送られる識別子から、端末によってユニークに識別されることができる無線ネットワークオブジェクトである。セルとコンポーネントキャリアはほぼ同等の意味を持つが、1つのコンポーネントキャリアで1つのセルを構成する場合もあれば、複数のコンポーネントキャリアが1つのセルに属する場合もある。例えば、端末がキャリアアグリゲーションを行わず、1組のアップリンクとダウンリンクのペアによるコンポーネントキャリアによって基地局と通信を行う場合、コンポーネントキャリアはセルと同義である。
【0008】
キャリアアグリゲーションの指示は基地局主導で行われる。基地局は、端末のサポート可能な帯域幅及びコンポーネントキャリアの数等に基づいて、キャリアアグリゲーションに用いるコンポーネントキャリアのセットを選択し、端末に明示する。キャリアアグリゲーション開始の指示及びコンポーネントキャリアセットの指示は、基地局と端末の間の個別シグナリングによって通知される。当該通知のタイミングとしては、端末のコネクションセットアップ時に、RRC(Radio Resource Control)コネクションの設定を通知するために基地局から端末に個別に送られるメッセージである「RRC connection reconfiguration」と共に通知されることが考えられる。また、ハンドオーバ時に、ソース基地局から端末にハンドオーバを指示するために送られるメッセージである「HO command」と共に通知されることも考えられる。また、任意のタイミングで基地局から端末への個別シグナリングによって通知されることも考えられる。コンポーネントキャリアのセット及びプライマリセルは、キャリアアグリゲーション中に基地局の指示によって変更されることもある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】3GPP TSG RAN Technical Specification 36.331 v9.3.0, “E-UTRAN RRC Protocol specification (Release 9)”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
キャリアアグリゲーション中にプライマリセルを変更する際には、当該プライマリセルと共にコンポーネントキャリアセットを構成するセカンダリセルの設定変更を行う必要がある場合がある。このとき、セカンダリセルによっては、プライマリセルを示すscheduling-PDCCHを変更するためだけに基地局から端末への個別シグナリングが必要となる場合がある。但し、当該個別シグナリングを行う際のメッセージサイズは小さい方が望ましい。
【0011】
本発明の目的は、キャリアアグリゲーション中にプライマリセルを変更する際の基地局からのシグナリング量を低減可能な無線通信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、無線通信基地局が管理する複数の通信セルの各コンポーネントキャリアを同時に使用して前記無線通信基地局と通信可能な無線通信装置であって、前記無線通信基地局から送信された、前記複数の通信セルのコンポーネントキャリアから構成されるコンポーネントキャリアセットの設定を変更するためのシグナリングを受信する受信部と、前記受信部が受信した前記シグナリングに含まれるコンポーネントキャリアの設定情報に基づいて、前記コンポーネントキャリアセットの設定を変更するコンポーネントキャリア設定部と、を備え、前記コンポーネントキャリア設定部は、前記シグナリングが、前記コンポーネントキャリアセットを構成する1つのプライマリセル及び複数のセカンダリセルの内、少なくとも前記プライマリセルの変更の指示を含む場合、前記複数のセカンダリセルの各々に設定される前記プライマリセルを示すスケジューリングセル識別パラメータが、前記プライマリセルに割り当てられた識別情報及び前記複数のセカンダリセルの各々に割り当てられた識別情報のいずれにも合致しなければ、変更後のプライマリセルに割り当てられた識別情報を前記スケジューリングセル識別パラメータの値とみなす無線通信装置を提供する。
【0013】
上記無線通信装置では、前記コンポーネントキャリア設定部は、前記複数のセカンダリセルの各々に設定されるスケジューリングセル識別パラメータが、前記プライマリセルに割り当てられた識別情報及び前記複数のセカンダリセルの各々に割り当てられた識別情報のいずれにも合致しない識別情報の内、所定の識別情報に合致すれば、変更後のプライマリセルに割り当てられた識別情報を前記スケジューリングセル識別パラメータの値とみなす。
【0014】
本発明は、無線通信基地局が管理する複数の通信セルの各コンポーネントキャリアを同時に使用して前記無線通信基地局と通信可能な無線通信装置であって、前記無線通信基地局から送信された、前記複数の通信セルのコンポーネントキャリアから構成されるコンポーネントキャリアセットの設定を変更するためのシグナリングを受信する受信部と、前記受信部が受信した前記シグナリングに含まれるコンポーネントキャリアの設定情報に基づいて、前記コンポーネントキャリアセットの設定を変更するコンポーネントキャリア設定部と、を備え、前記コンポーネントキャリア設定部は、前記シグナリングが、前記コンポーネントキャリアセットを構成する1つのプライマリセル及び複数のセカンダリセルの内、少なくとも前記プライマリセルの変更の指示を含む場合、前記シグナリング受信前の複数のセカンダリセルの各々に設定される前記プライマリセルを示すスケジューリングセル識別パラメータが、変更前のプライマリセルに割り当てられた識別情報と同一であれば、前記スケジューリングセル識別パラメータの値を前記シグナリングに含まれる変更後のプライマリセルに割り当てられた識別情報に変更する無線通信装置を提供する。
【0015】
上記無線通信装置では、前記コンポーネントキャリアセットの設定に、他セルのデータ割り当てを行うクロスキャリアスケジューリングを行うか否かを示すスケジューリングパラメータが含まれる場合、前記コンポーネントキャリア設定部は、前記シグナリングに含まれる前記コンポーネントキャリアの設定情報を前記コンポーネントキャリアセットの設定に反映した後、前記プライマリセルに設定されるスケジューリングパラメータがクロスキャリアスケジューリングを行わないことを示す場合、前記複数のセカンダリセルの各々に設定されるスケジューリングセル識別パラメータの値を空値に変更する。
【0016】
上記無線通信装置では、前記同時に使用される前記複数の通信セルの各キャリア周波数が複数の周波数帯にわたる場合、前記コンポーネントキャリア設定部は、前記シグナリングが、前記コンポーネントキャリアセットを構成する1つのプライマリセル及び複数のセカンダリセルの内、少なくとも前記プライマリセルの変更の指示を含み、変更前と変更後とで当該プライマリセルのキャリア周波数が属する周波数帯が異なる場合、前記シグナリングに含まれる前記プライマリセルと前記セカンダリセルの連関を周波数帯毎に適用するか前記複数の通信セル全体に適用するかを指示する指示情報に応じて、前記複数のセカンダリセルの各々に設定されるスケジューリングセル識別パラメータの値を設定する。
【0017】
上記無線通信装置では、前記コンポーネントキャリア設定部は、前記指示情報が前記プライマリセルと前記セカンダリセルの連関を周波数帯毎に適用することを指示する場合、変更前のプライマリセルのキャリア周波数が属する周波数帯のセカンダリセルに設定されるスケジューリングセル識別パラメータの値を空値に変更し、前記指示情報が前記プライマリセルと前記セカンダリセルの連関を前記複数の通信セル全体に適用することを指示する場合、変更前のプライマリセルのキャリア周波数が属する周波数帯のセカンダリセルに設定されるスケジューリングセル識別パラメータの値を、変更後のプライマリセルに割り当てられた識別情報に変更する。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る無線通信装置によれば、キャリアアグリゲーション中にプライマリセルを変更する際の基地局からのシグナリング量を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】端末の内部構成を示すブロック図
【図2】プライマリセル変更前後の端末の設定(コンポーネントキャリアセットの設定)及び基地局からのシグナリングの一例を示す図
【図3】第1の実施形態におけるプライマリセル変更前後の端末の設定(コンポーネントキャリアセットの設定)及び基地局からのシグナリングの一例を示す図
【図4】キャリアアグリゲーション中に基地局からシグナリングを受信した際の第1の実施形態の端末の動作を示すフローチャート
【図5】第2の実施形態におけるプライマリセル変更前後の端末の設定(コンポーネントキャリアセットの設定)及び基地局からのシグナリングの一例を示す図
【図6】キャリアアグリゲーション中に基地局からシグナリングを受信した際の第2の実施形態の端末の動作を示すフローチャート
【図7】第3の実施形態におけるプライマリセル変更前後の端末の設定(コンポーネントキャリアセットの設定)及び基地局からのシグナリングの一例を示す図
【図8】キャリアアグリゲーション中に基地局からシグナリングを受信した際の第3の実施形態の端末の動作を示すフローチャート
【図9】第4の実施形態におけるプライマリセル変更前後のコンポーネントキャリアセット及び基地局からのシグナリングの一例を示す図
【図10】複数の異なる周波数帯(バンド)にわたるキャリアアグリゲーション中に基地局からシグナリングを受信した際の第4の実施形態の端末の動作を示すフローチャート
【図11】端末がキャリアアグリゲーションで使用するコンポーネントキャリアのセットの一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0021】
標準化団体3GPPでは、キャリアアグリゲーションとして、例えば5つのセルまで同時に使用できると想定している。この場合、最大で4つのセカンダリセルを設定可能である。各セルには、端末‐基地局間で共通の識別番号(セルインデックス(Cell index))が付与される。
【0022】
キャリアアグリゲーション中にプライマリセルを変更する際、基地局は、当該プライマリセルと共にコンポーネントキャリアセットを構成するセカンダリセルの設定変更を行うためのシグナリングを端末に送信する。当該シグナリングには、端末に設定されるコンポーネントキャリアのセットの情報の内、設定変更される情報のみが差分情報として含まれる。
【0023】
また、キャリアアグリゲーションでは、クロスキャリアスケジューリング(Cross Carrier Scheduling)が検討されている。クロスキャリアスケジューリングでは、あるセルのPDSCH(Physical Downlink Shared Channel(物理ダウンリンク共通チャネル))及びPUSCH(Physical Uplink Shared Channel(物理ダウンリンク共通チャネル))へのデータ割り当てを、別のセルのPDCCH(Physical Downlink Control Channel(物理ダウンリンク制御チャネル))で行う。
【0024】
また、自セルのPDCCHで他セルのクロスキャリアスケジューリングを行っているか否かを示すパラメータとして、CIF(Carrier Indictor Field)フラグ(「CIF-presence」ともいう)と呼ばれる1ビットのフラグの導入が検討されている。CIFフラグが「on(1)」であれば、そのセルのPDCCHでクロスキャリアスケジューリングを行っている。一方、CIFフラグが「off(0)」であれば、そのセルのPDCCHではクロスキャリアスケジューリングを行っていない。
【0025】
さらに、自セルがどのセルのPDCCHによってクロスキャリアスケジューリングされているかを示す、すなわち、スケジューリングしているセルの識別情報を示す「Scheduling-PDCCH」と呼ばれるパラメータの導入が検討されている。Scheduling-PDCCHは、自セルをスケジューリングしているセルを識別するIDであるCI(Cell Indicator)によって指示される。
【0026】
図1は、端末の内部構成を示すブロック図である。図1に示す端末は、受信部151と、シグナリング処理部153と、コンポーネントキャリア設定部155と、設定完了メッセージ生成部157と、送信部159とを備える。
【0027】
受信部151は、基地局から送信されたプライマリセルを変更するためのシグナリング等のデータを、アンテナ161を介して受信する。シグナリング処理部153は、受信部151が受信したシグナリングを処理して、その処理結果をコンポーネントキャリア設定部155に出力する。
【0028】
コンポーネントキャリア設定部155は、コンポーネントキャリア情報保持部171と、プライマリセル設定部173と、セカンダリセル設定部175とを有し、シグナリング処理部153から得られた情報に応じた動作を行う。例えば、コンポーネントキャリア設定部155は、シグナリングに記載された各セルの設定情報を、コンポーネントキャリア情報保持部171に保持されたコンポーネントキャリアセットの設定情報における該当箇所に上書きする。また、コンポーネントキャリア設定部155は、コンポーネントキャリア情報保持部171に記録されているコンポーネントキャリアセットの設定情報に応じた動作を行う。
【0029】
コンポーネントキャリア情報保持部171は、端末−基地局間でキャリアアグリゲーションを行う際のコンポーネントキャリアセットの設定情報を保持する。プライマリセル設定部173は、コンポーネントキャリア情報保持部171に保持されている設定情報を参照して、基地局から指示されたプライマリセルの設定を行う。セカンダリセル設定部175は、コンポーネントキャリア情報保持部171に保持されている設定情報を参照して、基地局から指示されたセカンダリセルの設定を行う。
【0030】
設定完了メッセージ生成部157は、コンポーネントキャリア設定部155のプライマリセル設定部173及びセカンダリセル設定部175による各設定が完了すると、設定完了メッセージを生成する。送信部159は、設定完了メッセージ等のデータを、アンテナ161を介して送信する。
【0031】
図2は、プライマリセル変更前後の端末の設定(コンポーネントキャリアセットの設定)及び基地局からのシグナリングの一例を示す図である。図2に示すように、プライマリセルの変更前は、図2の上段に示すように、「Cell Index=1」のセルがプライマリセル(Pcell)、「Cell Index=2」及び「Cell Index=3」のセルがセカンダリセル(Scell)として端末に設定されている。また、プライマリセルのCIFが「on」に設定され、セカンダリセルのCIFが「off」に設定されている。このため、プライマリセル(Cell Index=1)が2つのセカンダリセル(Cell Index=2,3)のクロスキャリアスケジューリングを行っている。さらに、各セカンダリセルのscheduling-PDCCHが「1」に設定されている。図2に示した例では、Scheduling-PDCCHが示すCIはCell Indexと同じ番号であるとの前提である。
【0032】
プライマリセルをCell index=1のセルからCell index=2のセルに変更する場合、基地局は、図2の中段に示したシグナリングを端末に送信する。このプライマリの変更に応じて、セカンダリセルもCell index=2,3のセルからCell index=1,3のセルに変更される。したがって、基地局が端末に送信するシグナリングには、プライマリセルの設定を示す箇所に「Cell index=2」が記載され、各セカンダリセル(Cell index=1,3)の設定を示す箇所に「scheduling-PDCCH:2」が記載されている。上述したように、当該シグナリングは、設定変更される情報のみが記載された差分情報である。差分は同じCell indexのセルの設定に対して行われ、空欄の箇所は、変更前の同一Cell indexのセルの設定がそのまま引き継がれる。また、プライマリセルを変更する際には、変更前のプライマリセルの設定をベースとして、新しいプライマリセルの設定との差分がシグナリングに記載される。このようなシグナリングを端末が受信すると、端末は、当該シグナリングに基づいて、キャリアコンポーネントセットの設定を図2の下段に示された設定に変更する。
【0033】
図2に示した例では、scheduling-PDCCHが示すCIがCell Indexの番号によって示されているため、プライマリセルの変更に伴って、各セカンダリセルに対応するscheduling-PDCCHを変更するための情報をシグナリングに記載する必要がある。このため、プライマリセル変更時に基地局が端末に送信するシグナリングには、セカンダリセル数と同数のscheduling-PDCCHを変更するための情報が記載されることとなる。
【0034】
以下、キャリアアグリゲーション中にプライマリセルを変更する際の基地局からのシグナリング量を、図2に示した例と比較して低減可能な実施形態について説明する。なお、以下説明する端末の構成は、図1に示した構成と同様である。
【0035】
(第1の実施形態)
第1の実施形態では、各セカンダリセルに設定するscheduling-PDCCHのCIとして、プライマリセルに割り当てられた実際のCell indexではなく、プライマリセルを示す「特別な番号」を用いる。なお、特別な番号とは、コンポーネントキャリアセットを構成するセルのCell indexとして利用されている値以外の番号である。例えば、Cell indexが3ビットで表されるとき、各セルのCell indexには、0〜7の中から1つの番号が割り当てられる。但し、キャリアアグリゲーションとして同時に5つのセルまで使用できると想定されている場合、Cell indexとして割り当てる番号が例えば1〜5であれば、0、6及び7の3つの番号は利用されない。すなわち、これら3つの番号は空き番号となる。本実施形態では、セカンダリセルに設定されるscheduling-PDCCHのCIとして、プライマリセルを示す特別な番号「0」が設定される。なお、空き番号のうちどの番号を特別な番号として使用するかについては、基地局と端末の間で事前に合意されていても良い。
【0036】
図3は、第1の実施形態におけるプライマリセル変更前後の端末の設定(コンポーネントキャリアセットの設定)及び基地局からのシグナリングの一例を示す図である。図3に示した例も、図2に示した例と同様に、プライマリセルをCell index=1のセルからCell index=2のセルに変更する場合を示す。第1の実施形態では、基地局は、図3の中段に示したシグナリングを端末に送信する。本実施形態では、各セカンダリセルの設定を示す箇所に「scheduling-PDCCH:0」が記載されるため、プライマリセルが変更されても、scheduling-PDCCHに設定される番号は「0」(=Pcell)のまま変わらない。図3に示した例では、プライマリセルが変更されても、Cell index=3のセカンダリセルの設定は変わらない。したがって、プライマリセルが変更されてもセカンダリセルのまま変わらないセルの設定については、基地局からのシグナリングに記載する必要はない。図3に示した例では、図3の中段に示したように、Cell index=3のセカンダリセルの設定についての記載を省略できる。端末は、当該シグナリングを受信すると、キャリアコンポーネントセットの設定を図3の下段にしめされた設定に変更する。
【0037】
図4は、キャリアアグリゲーション中に基地局からシグナリングを受信した際の第1の実施形態の端末の動作を示すフローチャートである。図4に示すように、端末の受信部151は、キャリアアグリゲーション中に基地局から送信されたシグナリングを受信する(ステップS101)。次に、コンポーネントキャリア設定部155は、当該シグナリングによってプライマリセル(Pcell)の変更が指示されているかを判定する(ステップS103)。
【0038】
当該シグナリングがプライマリセルの変更を指示していない場合はステップS105に進み、コンポーネントキャリア設定部155のセカンダリセル設定部175は、コンポーネントキャリア情報保持部171に保持されたコンポーネントキャリアセットの設定情報に含まれるセカンダリセルの設定情報(Scell Config)に基づいて、当該シグナリングに記載されたセカンダリセルに関する設定情報に従い、各セカンダリセルの設定を変更する。一方、当該シグナリングがプライマリセルの変更を指示している場合はステップS107に進み、コンポーネントキャリア設定部155のプライマリセル設定部173は、コンポーネントキャリア情報保持部171に保持されたコンポーネントキャリアセットの設定情報に含まれるプライマリセルの設定情報(Pcell Config)に基づいて、プライマリセルの設定を変更する。
【0039】
ステップS107を行った後、コンポーネントキャリア設定部155は、当該シグナリングに記載されたセカンダリセルに関する設定情報を、コンポーネントキャリア情報保持部171に保持されたコンポーネントキャリアセットの設定情報における該当箇所に上書きする(ステップS108)。次に、コンポーネントキャリア設定部155は、コンポーネントキャリア情報保持部171に保持されたコンポーネントキャリアセットの設定情報に含まれるセカンダリセルのscheduling-PDCCHのCIが「0(=Pcell)」であるか否かを判定する(ステップS109)。セカンダリセルのscheduling-PDCCHのCIが「0」である場合はステップS111に進み、「0」でない場合はステップS113に進む。
【0040】
ステップS111では、コンポーネントキャリア設定部155は、コンポーネントキャリアセットの設定情報に含まれるプライマリセルのCell Indexを参照し、その番号をscheduling-PDCCHのCIとみなす。また、ステップS113では、セカンダリセル設定部175は、コンポーネントキャリアセットの設定情報に含まれるセカンダリセルの設定情報(Scell Config)に基づいて、各セカンダリセルの設定を変更する。
【0041】
以上説明したように、本実施形態では、キャリアアグリゲーション中にプライマリセルを変更する際に、セカンダリセルのscheduling-PDCCHのCIを変更する必要がない。このため、図2の中段に示したシグナリングと図3の中段に示した本実施形態のシグナリングを比較すると明らかなように、プライマリセル変更時に基地局から端末に送信するシグナリングのデータ量(シグナリング量)を低減できる。
【0042】
なお、本実施形態では、クロスキャリアスケジューリングが行われているとき、各セカンダリセルに設定されるscheduling-PDCCHのCIとして、プライマリセルを示す特別な番号が「0」に設定された場合について説明した。しかし、当該特別な番号は「0」に限らず、コンポーネントキャリアセットを構成するセルに割り当てられていない空き番号であれば他の番号でも良い。この場合、図4に示したステップS109では、コンポーネントキャリア設定部155は、コンポーネントキャリア情報保持部171に保持されたコンポーネントキャリアセットの設定情報に含まれるセカンダリセルのscheduling-PDCCHがコンポーネントキャリアセットを構成するセルに割り当てられていない空き番号であるか否かを判定する。
【0043】
また、本実施形態では、CIFフラグまたはCIFフラグ相当のパラメータがコンポーネントキャリアセットの設定情報に含まれなくても良い。
【0044】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、プライマリセルが変更された場合、プライマリセルによってスケジューリングされていたセカンダリセルの内、プライマリセルの変更前後でセカンダリセルであり続けるセルについては、当該セルに設定されるscheduling-PDCCHのCIを変更後のプライマリセルのCell indexの番号に変更する。
【0045】
図5は、第2の実施形態におけるプライマリセル変更前後の端末の設定(コンポーネントキャリアセットの設定)及び基地局からのシグナリングの一例を示す図である。図5に示した例も、図2又は図3に示した例と同様に、プライマリセルをCell index=1のセルからCell index=2のセルに変更する場合を示す。第2の実施形態では、基地局は、図5の中段に示したシグナリングを端末に送信する。当該シグナリングは、プライマリセルの設定を示す箇所にCell index=2を指示する。また、Cell index=1のセルはプライマリセルからセカンダリセルに変更されるため、当該シグナリングは、セカンダリセルの設定の箇所にCell index=1を指示する。
【0046】
本実施形態では、Cell index=3のセルに対応するscheduling-PDCCHが変更される場合であっても、基地局から端末に送信されるシグナリングではこれを指示しない。このようなシグナリングを受信した端末は、プライマリセルをCell index=1のセルからCell index=2のセルに変更するため、プライマリセル変更前にscheduling-PDCCHのCIが「1」であったセカンダリセルに対応するscheduling-PDCCHのCIを「2」に変更する。
【0047】
図6は、キャリアアグリゲーション中に基地局からシグナリングを受信した際の第2の実施形態の端末の動作を示すフローチャートである。なお、図6において、図4に示した第1の実施形態のフローチャート中のステップと同一又は同等部分には同一符号又は相当符号を付して説明を簡略化又は省略する。
【0048】
ステップS101〜S108のステップは第1の実施形態と同様である。ステップS108の後、コンポーネントキャリア設定部155は、コンポーネントキャリア情報保持部171に保持されている各セカンダリセルのscheduling-PDCCHのCIが変更前のプライマリセルのCell indexが示す番号と同じであるか否かを判定する(ステップS209)。当該条件を満たす場合はステップS211に進み当該条件を満たさない場合はステップS113に進む。ステップS211では、コンポーネントキャリア設定部155のセカンダリセル設定部175は、コンポーネントキャリア情報保持部171に保持されている条件を満たしたセカンダリセルのscheduling-PDCCHのCIを、変更後のプライマリセルのCell indexの番号に変更する。
【0049】
以上説明したように、本実施形態では、プライマリセルが変更された場合、プライマリセルによってスケジューリングされていたセカンダリセルの内、プライマリセルの変更前後でセカンダリセルであり続けるセルについては、端末が、当該セルに設定されるscheduling-PDCCHのCIを変更後のプライマリセルのCell Indexの番号に変更する。したがって、キャリアアグリゲーション中にプライマリセルを変更する際に、基地局から送信するシグナリングによって、当該セカンダリセルのscheduling-PDCCHのCIを変更する必要がない。このため、図2の中段に示したシグナリングと図5の中段に示した本実施形態のシグナリングを比較すると明らかなように、プライマリセル変更時に基地局から端末に送信するシグナリングのデータ量(シグナリング量)を低減できる。
【0050】
なお、本実施形態では、CIFフラグまたはCIFフラグ相当のパラメータがコンポーネントキャリアセットの設定情報に含まれなくても良い。
【0051】
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、プライマリセル変更時のセカンダリセルのscheduling-PDCCHの切替えを、プライマリセルのCIFフラグによって判定する。すなわち、コンポーネントキャリア設定部155のコンポーネントキャリア情報保持部171に保持されたコンポーネントキャリアセットの設定情報に含まれるプライマリセルのCIFフラグが「on」のとき、端末は、第2の実施形態のときのように、セカンダリセルのscheduling-PDCCHのCIを変更前のプライマリセルのCell indexの番号から変更後のプライマリセルのCell indexの番号に切り替える。一方、プライマリセルのCIFフラグが「off」のとき、端末は、クロスキャリアスケジューリングを行わずに、各セルは自セルのPDCCHでスケジューリングを行う設定と判定する。このとき、各セカンダリセルのscheduling-PDCCHのCIには、どの番号も設定されない。
【0052】
図7は、第3の実施形態におけるプライマリセル変更前後の端末の設定(コンポーネントキャリアセットの設定)及び基地局からのシグナリングの一例を示す図である。図7に示した例も、図2、図3又は図5に示した例と同様に、プライマリセルをCell index=1のセルからCell index=2のセルに変更する場合を示す。但し、図7に示した例では、プライマリセルのCIFフラグが「off」(クロスキャリアスケジューリングを行わないモード)に変更される。
【0053】
図7に示したプライマリセル変更前の端末の設定では、プライマリセル(Cell index=1)のCIFフラグが「on」であり、セカンダリセル(Cell index=2,3)のscheduling-PDCCHのCIには「1」が設定されている。プライマリセルをCell index=1のセルからCell index=2のセルに変更し、かつ、クロスキャリアスケジューリングを行わない設定に変更する場合、基地局は、図7の中段に示したシグナリングを端末に送信する。当該シグナリングは、プライマリセルの設定を示す箇所にCell index=2を指示し、かつ、CIFフラグを「off」に設定する。また、Cell index=1のセルはプライマリセルからセカンダリセルに変更されるため、当該シグナリングは、セカンダリセルの設定の箇所にCell index=1を指示する。なお、Cell index=3のセルに関しては、当該シグナリングは何も指示しない。
【0054】
このように、プライマリセルからセカンダリセルに変更されるCell index=1のセルの、シグナリングに記載されるscheduling-PDCCHのCIは、変更後のプライマリセル(Cell index=2)のCIFフラグに応じて異なる。すなわち、変更後のプライマリセルのCIFフラグが「on」であれば、当該scheduling-PDCCHのCIには変更後のプライマリセルのCell indexの番号が設定され、変更後のプライマリセルのCIFフラグが「off」であれば、当該scheduling-PDCCHのCIにはどの番号も設定されない。
【0055】
このようなシグナリングを受信した端末は、プライマリセルをCell index=1のセルからCell index=2のセルに変更し、かつ、クロスキャリアスケジューリングを行わないと判定して、コンポーネントキャリアセットを構成する全てのセカンダリセルのscheduling-PDCCHのCIにはどの番号も設定しない。なお、シグナリングに記載される各セカンダリセルの設定を示す箇所には、scheduling-PDCCHのCIに自セルのCell indexの番号を設定しても良い。但し、この場合は、全てのセカンダリセルに対してscheduling-PDCCHのCIを変更する必要があるため、シグナリング量の低減効果は小さい。また、図7に示したように、プライマリセル(Pcell)がセカンダリセル(Scell)に変更された場合、当該セカンダリセルに対応するscheduling-PDCCHが基地局からシグナリングされなければ、端末は、当該セカンダリセルに、どの番号も示さない「scheduling-PDCCH:-」をデフォルト値とみなして設定する。但し、基地局からのシグナリングに、当該セカンダリセルに対する「scheduling-PDCCH:-」の設定を含めても良い。
【0056】
図8は、キャリアアグリゲーション中に基地局からシグナリングを受信した際の第3の実施形態の端末の動作を示すフローチャートである。なお、図8において、図6に示した第2の実施形態のフローチャート中のステップと同一又は同等部分には同一符号又は相当符号を付して説明を簡略化又は省略する。
【0057】
ステップS101〜S108は第2の実施形態と同様である。ステップS108の後、コンポーネントキャリア設定部155は、変更後のプライマリセルのCIFフラグが「off」か「on」かを判定する(ステップS301)。変更後のプライマリセルのCIFフラグが「off」の場合はステップS303に進み、「on」の場合はステップS209に進む。ステップS209に進んだ後の端末の動作は、第2の実施形態と同様である。
【0058】
ステップS303では、コンポーネントキャリア設定部155は、全てのセカンダリセルのCIFフラグが「off」か「on」かを判定する。全てのセカンダリセルのCIFフラグが「off」の場合はステップS305に進み、「on」の場合はステップS307に進む。ステップS305では、コンポーネントキャリア設定部155は、プライマリセル変更後はクロスキャリアスケジューリングを行わないと判定し、全てのセカンダリセルのscheduling-PDCCHのCIを「空値(−)」に設定する。一方、ステップS307では、セカンダリセル設定部175は、コンポーネントキャリア情報保持部171に保持されたコンポーネントキャリアセットの設定情報に含まれるセカンダリセルの設定情報(Scell Config)に基づいて、各セカンダリセルの設定を変更する。
【0059】
以上説明したように、本実施形態では、プライマリセルの変更と同時にクロスキャリアスケジューリングを行わない設定に変更する場合、端末がコンポーネントキャリアセットを構成する全てのセルのCIFフラグを参照して、全てのCIFフラグ「off」であれば、当該端末は、各セカンダリセルに設定されるscheduling-PDCCHのCIにどの番号も設定しない。すなわち、端末は、各セカンダリセルに設定されるscheduling-PDCCHのCIを「空値(−)」に設定する。したがって、キャリアアグリゲーション中にプライマリセルの変更と同時にクロスキャリアスケジューリングを行わない設定に変更する際、基地局から送信するシグナリングによって、セカンダリセルのscheduling-PDCCHのCIを変更する必要がない。このため、図2の中段に示したシグナリングと図7の中段に示した本実施形態のシグナリングを比較すると明らかなように、プライマリセルの変更と同時にクロスキャリアスケジューリングを行わない設定に変更するとき、基地局から端末に送信するシグナリングのデータ量(シグナリング量)を低減できる。
【0060】
なお、本実施形態では、キャリアアグリゲーション時の各セルに割り当てられたCell indexの番号はセルが削除するまで変更されないことを前提としている。しかし、プライマリセルのCell indexを固定値(例えば0)とする場合にも、プライマリセルのCIFフラグによる、クロスキャリアスケジューリングに関するCIFフラグの「on」/「off」が適用される。
【0061】
また、CIFフラグの代わりに、クロスキャリアスケジューリングを行うか否かを指示する別のフラグを用いても良い。この場合、当該別のフラグは、CIFフラグと同様に、プライマリセルの設定内で指示されるか、RRC connection reconfigurationメッセージ等の設定メッセージ内で指示される。
【0062】
(第4の実施形態)
第4の実施形態では、複数の異なる周波数帯(バンド)にわたってキャリアアグリゲーションを行っている場合に、バンド毎にクロスキャリアスケジューリングの変更が可能である。すなわち、本実施形態では、プライマリセルのCIFに連関したセカンダリセルのscheduling-PDCCHの切り替えを、バンド毎に適用するかコンポーネントキャリアセット全体に適用するかを指示するフラグ(例えば1ビットのバンド適用フラグ)を利用する。
【0063】
図9は、第4の実施形態におけるプライマリセル変更前後のコンポーネントキャリアセット及び基地局からのシグナリングの一例を示す図である。図9に示した例は、800MHz帯のセル(Cell index=1,2)と2GHz帯のセル(Cell index=3,4)を用いてキャリアアグリゲーションが行われている状態において、プライマリセルをCell index=1のセルからCell index=3のセルに変更し、かつ、Cell index=1のセルをコンポーネントキャリアセットから削除する場合を示す。なお、プライマリセル変更前は、800MHz帯と2GHz帯の各帯域でクロスキャリアスケジューリングが行われている。すなわち、プライマリセル変更前、Cell index=1のセルは自セル及びCell index=2のセルをスケジューリングし、Cell index=3のセルは自セル及びCell index=4のセルのスケジューリングしている。
【0064】
本実施形態の基地局から端末に送信されるシグナリングは、図9の中段に示したように、プライマリセルの設定を示す箇所にCell index=3を指示し、かつ、CIFフラグを「on」に設定し、さらにCell index=1のセルを削除(remove)するとの指示を行う。なお、図9に示したシグナリングでは、Cell index=1のセルの削除も指示しているが、セカンダリセルの設定でCell index=1が指示されていなければ、端末は、当該セルを削除するとみなしても良い。
【0065】
また、当該シグナリングには、クロスキャリアスケジューリングをバンド毎に適用するかコンポーネントキャリアセット全体に適用するかを指示するバンド適用フラグが記載される。なお、バンド適用フラグは、プライマリセルの設定を示す箇所に記載されても良い。また、バンド適用フラグは、RRC connection reconfigurationメッセージ等の設定メッセージに含まれていても良い。
【0066】
バンド適用フラグが「on」の場合は、クロスキャリアスケジューリングをバンド毎に適用することが指示されている。したがって、変更後のプライマリセル(Cell index=3)が含まれる2GHz帯で閉じたクロスキャリアスケジューリングが行われ、800MHz帯のセカンダリセル(Cell index=2)は、これまでプライマリセルであったCell index=1のセルが削除されたため、scheduling-PDCCHのCIを「空値(−)」に設定してクロスキャリアスケジューリングを中止し、自セルのPDCCHでスケジューリングを行う。
【0067】
バンド適用フラグが「off」の場合は、クロスキャリアスケジューリングをコンポーネントキャリアセット全体に適用することが指示されている。したがって、Cell index=1のセルにクロスキャリアスケジューリングされていたCell index=2のセルは、プライマリセルの変更に伴い、scheduling-PDCCHのCIが「3」に変更され、変更後のプライマリセル(Cell index=3)からクロスキャリアスケジューリングされる。
【0068】
図10は、複数の異なる周波数帯(バンド)にわたるキャリアアグリゲーション中に基地局からシグナリングを受信した際の第4の実施形態の端末の動作を示すフローチャートである。なお、図10において、図6に示した第2の実施形態のフローチャート中のステップと同一又は同等部分には同一符号又は相当符号を付して説明を簡略化又は省略する。
【0069】
ステップS101〜S108は第2の実施形態と同様である。ステップS108の後、コンポーネントキャリア設定部155は、バンド適用フラグに基づいて、クロスキャリアスケジューリングをバンド毎に適用するかコンポーネントキャリアセット全体に適用するかを判定する(ステップS401)。クロスキャリアスケジューリングをバンド毎に適用する場合はステップS403に進み、コンポーネントキャリアセット全体に適用する場合はステップS209に進む。ステップS209に進んだ後の端末の動作は、第2の実施形態と同様である。
【0070】
ステップS403では、コンポーネントキャリア設定部155は、変更後のプライマリセルが属するバンドのセルに関する設定であればステップS405に進み、そうでなければステップS209に進む。ステップS209に進んだ後の端末の動作は、第2の実施形態と同様である。
【0071】
ステップS405では、コンポーネントキャリア設定部155は、コンポーネントキャリア情報保持部171に保持されているセカンダリセルのscheduling-PDCCHのCIに変更前のプライマリセルのCell indexの番号が設定されていれば、当該CIを変更後のプライマリセルのCell indexの番号に変更する。変更後のプライマリセルが属するバンド以外のバンドのセルに関しては、各セカンダリセルの設定に従う。
【0072】
図10に示したフローチャートは、第2の実施形態の図6に示したフローチャートにステップS401〜S405を追加して、バンド適用フラグを利用した場合を説明した。しかし、本実施形態は、第2の実施形態に限らず、第1の実施形態又は第3の実施形態にも適用できる。
【0073】
以上説明したように、本実施形態によれば、複数の異なる周波数帯(バンド)にわたってキャリアアグリゲーションを行っている状態で、異なるバンドにプライマリセルを変更する場合であっても、セカンダリセルのscheduling-PDCCHの切り替えをバンド毎に分けて設定できる。
【0074】
なお、プライマリセルが別のバンドのセルに変更され、かつ、クロスキャリアスケジューリングをバンド毎に適用することが指示された場合、変更前のプライマリセルと同じバンドのセカンダリセルについては、変更前のプライマリセルがクロスキャリアスケジューリングを行っており、かつ、変更後にはセカンダリセルとして使用される場合、クロスキャリアスケジューリングの設定はそのまま引き継がれる。また、図9に示したように、変更前のプライマリセルが削除される場合は、クロスキャリアスケジューリングされていたセカンダリセルが自セルのPDCCHでスケジューリングするよう設定変更する。
【0075】
さらに、同期タイミングの異なる複数のグループが存在するmulti-TA(Timing Alignment)の場合にも、バンド適用フラグをTAグループ毎の適用かコンポーネントキャリアセット全体の適用かを指示するフラグとして使用しても良い。
【0076】
上記各実施形態では、本発明をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本発明はソフトウェアで実現することも可能である。
【0077】
また、上記各実施形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0078】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0079】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適応等が可能性としてありえる。
【0080】
なお、上記実施形態ではアンテナ161として説明したが、アンテナポートでも同様に適用できる。アンテナポート(Antenna port)とは、1本又は複数の物理アンテナから構成される論理的なアンテナを指す。すなわち、アンテナポートは必ずしも1本の物理アンテナを指すとは限らず、複数のアンテナから構成されるアレイアンテナ等を指すことがある。例えばLTE(Long Term Evolution)においては、アンテナポートが何本の物理アンテナから構成されるかは規定されず、基地局が異なる参照新号(Reference signal)を送信できる最小単位として規定されている。また、アンテナポートは、プリコーディング・ベクトル(Precoding vector)の重み付けを乗算する最小単位として規定されることもある。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明に係る無線通信装置は、キャリアアグリゲーションによって、複数の通信セルの各コンポーネントキャリアを同時に使用する通信装置等として有用である。
【符号の説明】
【0082】
151 受信部
153 シグナリング処理部
155 コンポーネントキャリア設定部
157 設定完了メッセージ生成部
159 送信部
161 アンテナ
171 コンポーネントキャリア情報保持部
173 プライマリセル設定部
175 セカンダリセル設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信基地局が管理する複数の通信セルの各コンポーネントキャリアを同時に使用して前記無線通信基地局と通信可能な無線通信装置であって、
前記無線通信基地局から送信された、前記複数の通信セルのコンポーネントキャリアから構成されるコンポーネントキャリアセットの設定を変更するためのシグナリングを受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記シグナリングに含まれるコンポーネントキャリアの設定情報に基づいて、前記コンポーネントキャリアセットの設定を変更するコンポーネントキャリア設定部と、を備え、
前記コンポーネントキャリア設定部は、
前記シグナリングが、前記コンポーネントキャリアセットを構成する1つのプライマリセル及び複数のセカンダリセルの内、少なくとも前記プライマリセルの変更の指示を含む場合、前記複数のセカンダリセルの各々に設定される前記プライマリセルを示すスケジューリングセル識別パラメータが、前記プライマリセルに割り当てられた識別情報及び前記複数のセカンダリセルの各々に割り当てられた識別情報のいずれにも合致しなければ、変更後のプライマリセルに割り当てられた識別情報を前記スケジューリングセル識別パラメータの値とみなすことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の無線通信装置であって、
前記コンポーネントキャリア設定部は、
前記複数のセカンダリセルの各々に設定されるスケジューリングセル識別パラメータが、前記プライマリセルに割り当てられた識別情報及び前記複数のセカンダリセルの各々に割り当てられた識別情報のいずれにも合致しない識別情報の内、所定の識別情報に合致すれば、変更後のプライマリセルに割り当てられた識別情報を前記スケジューリングセル識別パラメータの値とみなすことを特徴とする無線通信装置。
【請求項3】
無線通信基地局が管理する複数の通信セルの各コンポーネントキャリアを同時に使用して前記無線通信基地局と通信可能な無線通信装置であって、
前記無線通信基地局から送信された、前記複数の通信セルのコンポーネントキャリアから構成されるコンポーネントキャリアセットの設定を変更するためのシグナリングを受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記シグナリングに含まれるコンポーネントキャリアの設定情報に基づいて、前記コンポーネントキャリアセットの設定を変更するコンポーネントキャリア設定部と、を備え、
前記コンポーネントキャリア設定部は、
前記シグナリングが、前記コンポーネントキャリアセットを構成する1つのプライマリセル及び複数のセカンダリセルの内、少なくとも前記プライマリセルの変更の指示を含む場合、前記シグナリング受信前の複数のセカンダリセルの各々に設定される前記プライマリセルを示すスケジューリングセル識別パラメータが、変更前のプライマリセルに割り当てられた識別情報と同一であれば、前記スケジューリングセル識別パラメータの値を前記シグナリングに含まれる変更後のプライマリセルに割り当てられた識別情報に変更することを特徴とする無線通信装置。
【請求項4】
請求項3に記載の無線通信装置であって、
前記コンポーネントキャリアセットの設定に、他セルのデータ割り当てを行うクロスキャリアスケジューリングを行うか否かを示すスケジューリングパラメータが含まれる場合、
前記コンポーネントキャリア設定部は、
前記シグナリングに含まれる前記コンポーネントキャリアの設定情報を前記コンポーネントキャリアセットの設定に反映した後、前記プライマリセルに設定されるスケジューリングパラメータがクロスキャリアスケジューリングを行わないことを示す場合、前記複数のセカンダリセルの各々に設定されるスケジューリングセル識別パラメータの値を空値に変更することを特徴とする無線通信装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の無線通信装置であって、
前記同時に使用される前記複数の通信セルの各キャリア周波数が複数の周波数帯にわたる場合、
前記コンポーネントキャリア設定部は、
前記シグナリングが、前記コンポーネントキャリアセットを構成する1つのプライマリセル及び複数のセカンダリセルの内、少なくとも前記プライマリセルの変更の指示を含み、変更前と変更後とで当該プライマリセルのキャリア周波数が属する周波数帯が異なる場合、前記シグナリングに含まれる前記プライマリセルと前記セカンダリセルの連関を周波数帯毎に適用するか前記複数の通信セル全体に適用するかを指示する指示情報に応じて、前記複数のセカンダリセルの各々に設定されるスケジューリングセル識別パラメータの値を設定することを特徴とする無線通信装置。
【請求項6】
請求項5に記載の無線通信装置であって、
前記コンポーネントキャリア設定部は、
前記指示情報が前記プライマリセルと前記セカンダリセルの連関を周波数帯毎に適用することを指示する場合、変更前のプライマリセルのキャリア周波数が属する周波数帯のセカンダリセルに設定されるスケジューリングセル識別パラメータの値を空値に変更し、
前記指示情報が前記プライマリセルと前記セカンダリセルの連関を前記複数の通信セル全体に適用することを指示する場合、変更前のプライマリセルのキャリア周波数が属する周波数帯のセカンダリセルに設定されるスケジューリングセル識別パラメータの値を、変更後のプライマリセルに割り当てられた識別情報に変更することを特徴とする無線通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−39467(P2012−39467A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178829(P2010−178829)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】