無線通信装置
【課題】 AP50のSSIDが変更される場合に、プリンタ10とAP50との間に無線接続を適切に確立するための技術を提供すること。
【解決手段】
プリンタ10は、無線接続WC1が確立される場合に、AP50のBSSID「MAC50」をメモリに記憶する。プリンタ10は、AP50のSSID「ABC」がSSID「GHI」に変更されることに起因して、無線接続WC1が切断される場合に、2個のAP50,70から2個のProbe Responseを受信する。プリンタ10は、メモリ内のBSSID「MAC50」を用いて、2個のProbe Responseの中から、BSSID「MAC50」を含むProbe Responseを特定する。プリンタ10は、特定済みのProbe Responseに含まれるSSID「GHI」を用いて、無線接続WC2を確立する。
【解決手段】
プリンタ10は、無線接続WC1が確立される場合に、AP50のBSSID「MAC50」をメモリに記憶する。プリンタ10は、AP50のSSID「ABC」がSSID「GHI」に変更されることに起因して、無線接続WC1が切断される場合に、2個のAP50,70から2個のProbe Responseを受信する。プリンタ10は、メモリ内のBSSID「MAC50」を用いて、2個のProbe Responseの中から、BSSID「MAC50」を含むProbe Responseを特定する。プリンタ10は、特定済みのProbe Responseに含まれるSSID「GHI」を用いて、無線接続WC2を確立する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、アクセスポイントとの間に無線接続を確立する無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、無線LAN端末機が開示されている。無線LAN端末機は、SSID(Service Set Identifier)とBSSID(Basic Service Set Identifier)とを対応付けて記憶する。無線LAN端末機は、アクセスポイントからビーコン信号を受信すると、ビーコン信号に含まれるアクセスポイントのBSSIDに対応付けて記憶されているSSIDを特定し、当該SSIDを含むProbe Request信号を送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−94656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アクセスポイントを含む無線ネットワークを識別するためのネットワーク識別情報(例えばSSID)が変更される可能性がある。本明細書では、ネットワーク識別情報が変更される場合に、無線通信装置とアクセスポイントとの間に無線接続を適切に確立するための技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書によって開示される技術は、無線通信装置である。無線通信装置は、接続制御部と、記憶制御部と、受信制御部と、特定部と、を備える。接続制御部は、第1のアクセスポイントを含む無線ネットワークを識別するための識別情報である第1のネットワーク識別情報を用いて、無線通信装置と第1のアクセスポイントとの間に第1の無線接続を確立する。記憶制御部は、第1の無線接続が確立される場合に、第1のアクセスポイントを識別するための不変の識別情報である第1のAP識別情報を、メモリに記憶させる。受信制御部は、第1の無線接続が確立された後に、第1の無線接続が切断される場合に、M個(Mは1以上の整数)のアクセスポイントのそれぞれから所定信号を受信する。所定信号は、所定信号の送信元のアクセスポイントを含む無線ネットワークを識別するための識別情報であるネットワーク識別情報と、所定信号の送信元のアクセスポイントを識別するための不変の識別情報であるAP識別情報と、を含む。特定部は、メモリ内の第1のAP識別情報を用いて、M個のアクセスポイントから受信されるM個の所定信号の中から、第1のAP識別情報を含む第1の所定信号を特定する。接続制御部は、さらに、特定済みの第1の所定信号に含まれる第2のネットワーク識別情報であって、第1のネットワーク識別情報とは異なる第2のネットワーク識別情報を用いて、無線通信装置と第1のアクセスポイントとの間に第2の無線接続を確立する。
【0006】
上記の構成によると、無線通信装置は、第1の無線接続が確立される場合に、第1のアクセスポイントを識別するための不変の識別情報である第1のAP識別情報を、メモリに記憶させる。例えば、第1の無線接続が確立された後に、第1のアクセスポイントに設定されている第1のネットワーク識別情報が第2のネットワーク識別情報に変更される場合に、第1の無線接続が切断される。この場合、無線通信装置は、M個のアクセスポイントのそれぞれから所定信号を受信する。そして、無線通信装置は、メモリ内の第1のAP識別情報を用いて、M個の所定信号の中から、第1のAP識別情報を含む第1の所定信号(即ち、第1のアクセスポイントから受信される第1の所定信号)を特定して、第1の所定信号に含まれる第2のネットワーク識別情報を用いて、無線通信装置と第1のアクセスポイントとの間に第2の無線接続を確立することができる。即ち、無線通信装置は、第1のネットワーク識別情報が第2のネットワーク識別情報に変更される場合に、第1のアクセスポイントとの間に第2の無線接続を適切に確立することができる。
【0007】
なお、上記の無線通信装置のための制御方法、コンピュータプログラム、及び、当該コンピュータプログラムを格納するコンピュータ読取可能記録媒体も、新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】通信システムの構成の一例を示す。
【図2】無線接続処理のフローチャートを示す。
【図3】自動修復処理のフローチャートを示す。
【図4】ケースAのシーケンス図を示す。
【図5】ケースBのシーケンス図を示す。
【図6】ケースCのシーケンス図を示す。
【図7】ケースDのシーケンス図を示す。
【図8】第2実施例における自動修復処理のフローチャートを示す。
【図9】ケースEのシーケンス図を示す。
【図10】ケースFのシーケンス図を示す。
【図11】ケースGのシーケンス図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施例)
図1に示すように、無線通信システム2は、プリンタ10と、複数個のアクセスポイント50,70(以下では「アクセスポイント」のことを「AP」と呼ぶ)と、PC60と、を備える。プリンタ10及びPC60は、AP50,70のうちのいずれかのAPと無線接続を確立することができる。なお、図1に示される波線は、プリンタ10とAP50との間に無線接続が確立されていると共に、PC60とAP50との間に無線接続が確立されている状態を示す。この状態では、プリンタ10及びPC60は、AP50を含む無線ネットワークに接続されている。なお、以下では、プリンタ10とAPとの間に無線接続が確立されることを、「プリンタ10が当該APに無線接続される」と表現することがある。
【0010】
本実施例では、「無線接続」という用語を、以下の意味として使用する。即ち、プリンタ10がAPに無線接続されている状態では、プリンタ10は、当該APを介して、他のデバイス(例えばPC60)と通信を実行することが可能である。一方において、プリンタ10がAPに無線接続されていない状態では、プリンタ10は、当該APに無線接続するための無線通信(例えば、後述のProbe Request信号、Probe Response信号の無線通信(図2のS12,S14参照))を実行することが可能であるが、当該APを介して、他のデバイスと通信を実行することができない。
【0011】
(プリンタ10の構成)
プリンタ10は、操作部12と、表示部14と、無線インターフェイス16と、印刷実行部18と、制御部20と、を備える。上記の各部12〜20は、バス線(符号省略)に接続されている。操作部12は、複数のキーによって構成される。ユーザは、操作部12を操作することによって、様々な指示をプリンタ10に与えることができる。表示部14は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。無線インターフェイス16は、プリンタ10が無線通信を実行するためのインターフェイスである。印刷実行部18は、インクジェット方式、レーザ方式等の印刷機構を備え、制御部20からの指示に従って印刷を実行する。
【0012】
制御部20は、CPU22とメモリ24とを備える。CPU22は、メモリ24に格納されているプログラム26に従って、様々な処理を実行する。CPU22がプログラム26に従って処理を実行することによって、接続制御部30、記憶制御部34、受信制御部36、及び、特定部38の各機能が実現される。なお、接続制御部30は、第2の判断部32を備え、特定部38は、第1の判断部40を備える。
【0013】
メモリ24は、ROM、RAM、ハードディスク等によって構成される。メモリ24は、無線プロファイルを記憶するための無線プロファイル記憶領域28を備える。無線プロファイルは、SSID、BSSID、認証方式、暗号化方式、及び、パスワードを含む。無線プロファイルは、プリンタ10がAP(以下では「対象AP」と呼ぶ)に無線接続される場合に、無線プロファイル記憶領域28に記憶される(図2のS28等参照)。
【0014】
無線プロファイル記憶領域28に記憶されるSSIDは、対象APを含む無線ネットワークを識別するための識別情報である。無線プロファイル記憶領域28に記憶されるBSSIDは、対象APのMACアドレスである。また、プリンタ10は、複数個の認証方式(例えば、「WPA−PSK」、「WPA2−PSK」等)と、複数個の暗号化方式(例えば、「TKIP」、「AES」等)と、をサポートしている。無線プロファイル記憶領域28に記憶される認証方式及び暗号化方式の組合せは、プリンタ10によってサポートされている認証方式及び暗号化方式の複数個の組合せのうち、対象APによって利用されている1個の組合せ(例えば、「WPA−PSK」と「TKIP」との組合せ)である。また、無線プロファイル記憶領域28に記憶されるパスワードは、対象APによって利用されているパスワードである。
【0015】
(AP50,70の構成)
AP50は、一対のデバイスの間の無線通信を中継するためのデバイスである。AP50には、SSID「ABC」及びBSSID「MAC50」が設定されている。ユーザは、AP50のSSID「ABC」を、他のSSIDに変更することができる。BSSID「MAC50」は、AP50のMACアドレスである。MACアドレスは、AP50の出荷時からAP50に設定されている固有の識別情報である。即ち、SSIDは可変の情報であるが、BSSIDは不変の情報である。
【0016】
また、図1では図示省略しているが、AP50には、さらに、認証方式、暗号化方式、及び、パスワードが設定されている。ユーザは、AP50によって利用されるべき認証方式及び暗号化方式の組合せ(例えば、「WPA−PSK」と「TKIP」との組合せ)を、AP50に設定することができる。また、ユーザは、パスワードをAP50に設定することができる。なお、AP70には、SSID「DEF」、BSSID「MAC70」、認証方式等が設定されている。
【0017】
(無線接続処理;図2)
続いて、図2を参照して、プリンタ10の制御部20によって実行される無線接続処理について説明する。ユーザは、プリンタ10を無線ネットワークに接続させることを望む場合に、プリンタ10の操作部12を操作して、予め決められている無線接続操作を実行する。この場合、制御部20は、S10でYESと判断して、S12に進む。
【0018】
S12では、制御部20は、Probe Request信号(以下では「PReq信号」と呼ぶ)を無線で送信する。プリンタ10の周囲に存在する各AP50,70は、プリンタ10からPReq信号を受信すると、Probe Response信号(以下では「PRes信号」と呼ぶ)をプリンタ10に無線で送信する。この結果、S14において、受信制御部36(図1参照)は、AP50,70のそれぞれからPRes信号を受信する。なお、PRes信号は、当該PRes信号の送信元のAPに設定されているSSID及びBSSIDを含む。例えば、AP50から受信されるPRes信号は、SSID「ABC」及びBSSID「MAC50」を含む(図1参照)。
【0019】
S16では、特定部38(図1参照)は、S14で受信された各PRes信号に含まれる各SSIDのリスト(本実施例では、2個のSSID「ABC」,「DEF」)を、表示部14に表示させる。ユーザは、操作部12を操作して、リストから所望のAPのSSIDを指定する。この場合、特定部38は、S18でYESと判断して、S20に進む。
【0020】
S20では、特定部38は、ユーザによって指定されたSSID(例えば、AP50のSSID「ABC」)を特定する。なお、S20でSSIDを特定するということは、S14で受信された1個以上のPResの中から、当該SSIDを含む1個のPRes信号を特定することに等しいと共に、プリンタ10の周囲に存在する1個以上のAPの中から、1個のAPを特定することに等しい。この点は、後述の図3のS58、S70、及び、図8のS104でも、同様である。以下では、S20等の特定処理について、「SSIDを特定する」と表現することもあるし、「PRes信号を特定する」と表現することもあるし、「APを特定する」と表現することもある。なお、以下では、S20において、AP50のSSID「ABC」が特定された場合を例として、各処理の内容を説明する。
【0021】
次いで、S22において、制御部20は、パスワードの入力を促す画面を、表示部14に表示させる。ユーザは、操作部12を操作して、パスワードを入力する。この場合、制御部20は、S22でYESと判断して、S24に進む。
【0022】
S24では、接続制御部30(図1参照)は、S20で特定されたAP50とプリンタ10との間で無線接続を確立するためのオールチャレンジ処理を実行する。上述したように、プリンタ10は、認証方式及び暗号化方式の複数個の組合せをサポートしている。オールチャレンジ処理では、接続制御部30は、まず、上記の複数個の組合せの中から、1個の組合せを選択する。次いで、接続制御部30は、選択済みの1個の組合せを示す組合せ情報と、S20で特定されたAP50のSSID「ABC」と、を含む接続要求信号を、AP50に無線で送信する。
【0023】
接続要求信号は、AP50のSSID「ABC」を含む。従って、AP50は、接続要求信号の送信先が、AP50自身であることを知ることができる。この場合、AP50は、後述の第1及び第2の認証を実行する。なお、AP70は、接続要求信号を受信し得るが、接続要求信号に含まれるSSID「ABC」が、AP70のSSID「DEF」とは異なる。従って、AP70は、接続要求信号の送信先が、AP70自身でないことを知ることができ、後述の第1の認証等を実行しない。
【0024】
第1の認証では、AP50は、接続要求信号に含まれる組合せ情報が示す認証方式及び暗号化方式の組合せが、AP50に現在設定されているのか否かを判断する。AP50は、第1の認証に失敗した場合(即ち、上記の組合せ情報が示す組合せがAP50に設定されていない場合)には、認証方式及び暗号化方式の組合せのエラーを示す第1のエラー情報をプリンタ10に無線で送信する。一方において、AP50は、第1の認証に成功した場合(即ち、上記の組合せ情報が示す組合せがAP50に設定されている場合)には、第1の認証が成功したことを示す第1の成功情報をプリンタ10に無線で送信する。
【0025】
接続制御部30は、AP50から第1のエラー情報を受信する場合には、認証方式及び暗号化方式の複数個の組合せの中から、他の1個の組合せを選択する。次いで、接続制御部30は、上記と同様に、接続要求信号をAP50に送信して、AP50から第1のエラー情報又は第1の成功情報を受信する。接続制御部30は、AP50から第1の成功情報を受信するまで、上記の複数個の組合せの中から他の1個の組合せを選択して、接続要求信号を送信することを繰り返す。接続制御部30は、上記の複数個の組合せの全てを選択しても、第1の成功情報を受信しない場合には、S26でNOと判断して、無線接続処理を終了する。
【0026】
接続制御部30は、AP50から第1の成功情報を受信する場合には、S22で入力されたパスワードを用いて、元データを暗号化することによって、暗号化データを生成する。そして、接続制御部30は、暗号化データをAP50に無線で送信する。
【0027】
AP50は、プリンタ10から暗号化データを受信すると、第2の認証を実行する。第2の認証では、AP50は、AP50に現在設定されているパスワードを用いて、上記の元データを暗号化することによって、暗号化データを生成する。次いで、AP50は、AP50自身が生成した暗号化データと、プリンタ10から受信した暗号化データと、が一致するのか否かを判断する。AP50は、第2の認証に失敗した場合(即ち、2つの暗号化データが一致しない場合)には、パスワードのエラーを示す第2のエラー情報をプリンタ10に無線で送信する。一方において、AP50は、第2の認証に成功した場合(即ち、2つの暗号化データが一致する場合)には、第2の認証が成功したことを示す第2の成功情報をプリンタ10に無線で送信する。
【0028】
接続制御部30は、AP50から第2のエラー情報を受信する場合には、S26でNOと判断して、無線接続処理を終了する。なお、変形例では、制御部20は、AP50から第2のエラー情報を受信する場合に、S22に戻って、パスワードの再入力をユーザに促してもよい。また、AP50から第2の成功情報が受信される場合には、プリンタ10とAP50との間に無線接続が確立される。接続制御部30は、AP50から第2の成功情報を受信する場合には、S26でYESと判断して、S28に進む。
【0029】
S28では、記憶制御部34(図1参照)は、S20で特定されたPRes信号(即ち、AP50から受信されたPRes信号)に含まれるSSID「ABC」と、当該PRes信号に含まれるBSSID「MAC50」と、を無線プロファイル記憶領域28に記憶させる。S28では、さらに、記憶制御部34は、第1の認証が成功した認証方式及び暗号化方式の組合せと、第2の認証が成功したパスワードと、を無線プロファイル記憶領域28に記憶させる。S28を終えると、無線接続処理が終了する。
【0030】
図2の無線接続処理によってプリンタ10とAP50との間に無線接続が確立されると、例えば、PC60は、AP50を介して、印刷データをプリンタ10に送信することができる。この場合、プリンタ10は、印刷データを受信して、印刷データに従った印刷を実行することができる。
【0031】
(自動修復処理;図3)
続いて、図3を参照して、プリンタ10の制御部20によって実行される自動修復処理について説明する。自動修復処理は、プリンタ10がいずれかのAPに無線接続されている状態で実行される。以下では、プリンタ10がAP50に無線接続されている場合を例として、各処理の内容を説明する。
【0032】
S50において、制御部20は、プリンタ10とAP50との間の無線接続が切断されることを監視している。制御部20は、AP50のSSID「ABC」を含む信号(即ち、AP50の存在を確認するための信号)を定期的に送信して、当該信号に対する応答信号をAP50から受信することを監視している。
【0033】
例えば、ユーザによってAP50のSSID「ABC」が他のSSIDに変更された場合には、AP50は、SSID「ABC」を含む信号を受信しても、応答信号を送信しない。また、例えば、プリンタ10とAP50との間の電波状態が悪化した場合や、AP50の電源がOFFされた場合等には、AP50は、プリンタ10から信号を受信することができず、応答信号を送信しない。制御部20は、AP50から応答信号を受信しない場合に、S50でYESと判断して、S52に進む。なお、本実施例では、上記のように、プリンタ10の制御部20が定期的に信号を送信する構成であるが、変形例では、AP50が、プリンタ10の存在を確認するための信号を定期的に送信する構成であってもよい。この場合、プリンタ10の制御部20は、AP50から信号を受信すると、応答信号をAP50に送信する。なお、制御部20は、AP50から定期的に信号を受信しなくなった場合に、S50でYESと判断して、S52に進む。
【0034】
S52及びS54は、図2のS12及びS14と同様である。S54において、受信制御部36は、通常、1個以上のAP(例えば、AP50,70)から1個以上のPRes信号を受信する。
【0035】
S56では、第1の判断部40(図1参照)は、S54で受信された1個以上のSSIDの中に、無線プロファイル記憶領域28内のSSID「ABC」が含まれるのか否かを判断する。即ち、第1の判断部40は、S54で受信された1個以上のPRes信号の中に、SSID「ABC」を含むPRes信号が含まれるのか否かを判断する。S56でYESと判断される場合には、S58に進み、S56でNOと判断される判断される場合には、S68に進む。なお、S54で1個のPRes信号も受信されなかった場合には、S56でNOと判断される。
【0036】
S58では、特定部38は、S54で受信された1個以上のSSIDの中から、SSID「ABC」を特定する(即ち、S54で受信される1個以上のPRes信号の中から、SSID「ABC」を含むPRes信号を特定する)。S58では、図2のS20とは異なり、特定部38は、ユーザの指示(即ち図2のS18)がない状態で、SSID「ABC」を特定する。
【0037】
次いで、S60では、接続制御部30は、無線プロファイル記憶領域28内の認証方式及び暗号化方式の組合せを示す組合せ情報と、S58で特定されたSSID「ABC」と、を含む接続要求信号を送信する。さらに、S60では、接続制御部30は、上記の第1の成功情報を受信すると、図2のS24と同様に、暗号化データを送信する。接続制御部30は、第2の成功情報を受信する場合(即ち、無線接続が確立される場合)に、S62でYESと判断して、S64に進む。一方において、接続制御部30は、第1又は第2のエラー情報が受信される場合に、S62でNOと判断して、S52に進む。
【0038】
S64では、記憶制御部34は、S58で特定されたPres信号に含まれるBSSIDが、無線プロファイル記憶領域28内のBSSID「MAC50」に一致するのか否かを判断する。S64でYESと判断される場合には、S66を実行せずにS50に戻り、S64でNOと判断される場合には、S66に進む。
【0039】
S66では、記憶制御部34は、無線プロファイル記憶領域28内のBSSID「MAC50」を、S58で特定されたPres信号に含まれるBSSID(例えばAP70のBSSID「MAC70」)に更新する。S66を終えると、S50に戻る。
【0040】
一方において、S68では、特定部38は、S54で受信された1個以上のBSSIDの中に、無線プロファイル記憶領域28内のBSSID「MAC50」が含まれるのか否かを判断する。即ち、特定部38は、S54で受信された1個以上のPRes信号の中に、BSSID「MAC50」を含むPRes信号が含まれるのか否かを判断する。S68でYESと判断される場合には、S70に進み、S68でNOと判断される判断される場合には、S52に進む。なお、S54で1個のPRes信号も受信されなかった場合には、S68でNOと判断される。
【0041】
S70では、特定部38は、S54で受信された1個以上のSSIDの中から、BSSID「MAC50」と共に受信されたSSIDを特定する(即ち、S54で受信された1個以上のPres信号の中から、BSSID「MAC50」を含むPres信号を特定する)。なお、S70が実行される段階では、S56でNOと判断されている(即ちSSID「ABC」が受信されなかった)ために、S70では、SSID「ABC」とは異なるSSIDが特定される。S70では、図2のS20とは異なり、特定部38は、ユーザの指示(即ち図2のS18)がない状態で、SSIDを特定する。
【0042】
次いで、S72では、接続制御部30は、無線プロファイル記憶領域28内の認証方式及び暗号化方式の組合せを示す組合せ情報と、S70で特定されたSSIDと、を含む接続要求信号を送信する。S72で実行される他の処理は、S60と同様である。また、S74は、S62と同様である。S74でYESと判断される場合には、S76に進み、S74でNOと判断される場合には、S52に進む。
【0043】
S76では、記憶制御部34は、無線プロファイル記憶領域28内のSSID「ABC」を、S70で特定されたSSID(即ち、S70で特定されたPres信号に含まれるSSID)に更新する。S76を終えると、S50に戻る。
【0044】
(ケースA;図4)
続いて、図2及び図3のフローチャートによって実現される具体的なケースA〜Dを説明する。図4のケースAに示されるように、ユーザによって無線接続操作が実行されると(図2のS10でYES)、制御部20は、Preq信号を送信する(S12)。この結果、受信制御部36は、各AP50,70からPres信号を受信する(S14)。次いで、特定部38は、ユーザの指示に従って、AP50のSSID「ABC」を特定する(即ち、AP50から受信されたPres信号を特定する)(S20)。
【0045】
次いで、接続制御部30は、ユーザによってパスワードが入力されると(S22でYES)、特定済みのPres信号に含まれるSSID「ABC」を用いて、オールチャレンジ処理を実行する(S24)。この結果、接続制御部30は、プリンタ10とAP50との間に無線接続WC1を確立する(S26でYES)。記憶制御部34は、特定済みのPres信号に含まれるSSID「ABC」及びBSSID「MAC50」を、無線プロファイル記憶領域28に記憶させる(S28)。ここでは、記憶制御部34は、さらに、認証方式、暗号化方式、及び、パスワードを、無線プロファイル記憶領域28に記憶させる。
【0046】
(ケースB;図5)
図5のケースBに示されるように、無線接続WC1が確立された後に、ユーザによってAP50のSSID「ABC」がSSID「GHI」に変更された場合には、無線接続WC1が切断される(図3のS50でYES)。この場合、制御部20は、Preq信号を送信する(S52)。この結果、受信制御部36は、各AP50,70からPres信号を受信する(S54)。
【0047】
AP50のSSIDが「ABC」から「GHI」に変更されたために、AP50から受信されたPres信号は、SSID「GHI」及びBSSID「MAC50」を含む。この場合、第1の判断部40は、S56でNOと判断し、特定部38は、S68でYESと判断する。次いで、特定部38は、ユーザの指示がない状態で、無線プロファイル記憶領域28内のBSSID「MAC50」を用いて、AP50から受信されたPres信号に含まれるSSID「GHI」を特定する(即ち、AP50から受信されたPres信号を特定する)(S70)。
【0048】
次いで、接続制御部30は、特定済みのPres信号に含まれるSSID「GHI」を用いて、接続試行処理を実行する(S72)。ここでは、接続制御部30は、さらに、無線プロファイル記憶領域28内の認証方式、暗号化方式、及び、パスワードを用いて、接続試行処理を実行する。この結果、接続制御部30は、プリンタ10とAP50との間に無線接続WC2を確立する(S74でYES)。記憶制御部34は、無線プロファイル記憶領域28内のSSID「ABC」を、特定済みのPres信号に含まれるSSID「GHI」に更新する(S76)。
【0049】
ケースA及びBで説明したように、本実施例のプリンタ10は、無線接続WC1が確立された後に、AP50のSSID「ABC」が「GHI」に変更されたことに起因して、無線接続WC1が切断された場合に、ユーザの指示がない状態で、無線プロファイル記憶領域28内のBSSID「MAC50」を用いて、AP50から受信されるPres信号を特定する。そして、プリンタ10は、特定済みのPres信号に含まれるSSID「GHI」を用いて(さらには、無線プロファイル記憶領域28内の認証方式等を用いて)、無線接続WC2を確立する。即ち、プリンタ10は、プリンタ10とAP50との間の無線接続を自動的に修復することができる。
【0050】
(ケースC;図6)
図6のケースCに示されるように、無線接続WC1が確立された後に、プリンタ10とAP50との間の電波状態が悪化すると、無線接続WC1が切断される(図3のS50でYES)。この場合、制御部20は、Preq信号を送信する(S52)。上記の電波状態が回復すると、受信制御部36は、AP70のみならず、AP50からもPres信号を受信する(S54)。
【0051】
AP50から受信されたPres信号は、SSID「ABC」及びBSSID「MAC50」を含む。この場合、第1の判断部40は、S56でYESと判断し、特定部38は、ユーザの指示がない状態で、無線プロファイル記憶領域28内のSSID「ABC」を用いて、AP50から受信されたPres信号に含まれるSSID「ABC」を特定する(即ち、AP50から受信されたPres信号を特定する)(S58)。
【0052】
次いで、接続制御部30は、特定済みのPres信号に含まれるSSID「ABC」を用いて(さらには、無線プロファイル記憶領域28内の認証方式等を用いて)、接続試行処理を実行する(S60)。この結果、接続制御部30は、プリンタ10とAP50との間に無線接続WC3を確立する(S62でYES)。
【0053】
上述したように、特定済みのPres信号(即ち、AP50から受信されたPres信号)は、BSSID「MAC50」を含む。従って、記憶制御部34は、S64でYESと判断し、S66を実行しない。
【0054】
ケースCで説明したように、本実施例のプリンタ10は、無線接続WC1が確立された後に、プリンタ10とAP50との電波状態が一時的に悪化したことに起因して、無線接続WC1が切断された場合に、ユーザの指示がない状態で、無線プロファイル記憶領域28内のSSID「ABC」を用いて、AP50から受信されるPres信号を特定する。そして、プリンタ10は、特定済みのPres信号に含まれるSSID「ABC」を用いて(さらには、無線プロファイル記憶領域28内の認証方式等を用いて)、プリンタ10とAP50との間に無線接続WC3を確立することができる。
【0055】
(ケースD;図7)
図7のケースDに示されるように、無線接続WC1が確立された後に、AP50の電源がOFFされる場合に、無線接続WC1が切断される(図3のS50でYES)。しかも、ケースDでは、AP70のSSID「DEF」が、AP50に今まで設定されていた「ABC」に変更されている(以下では「特定の変更」と呼ぶ)。この場合、受信制御部36は、AP70のみから、Pres信号を受信する(S54)。
【0056】
AP70から受信されたPres信号は、SSID「ABC」及びBSSID「MAC70」を含む。この場合、第1の判断部40は、S56でYESと判断し、特定部38は、ユーザの指示がない状態で、無線プロファイル記憶領域28内のSSID「ABC」を用いて、AP70から受信されたPres信号に含まれるSSID「ABC」を特定する(即ち、AP70から受信されたPres信号を特定する)(S58)。
【0057】
次いで、接続制御部30は、特定済みのPres信号に含まれるSSID「ABC」を用いて(さらには、無線プロファイル記憶領域28内の認証方式等を用いて)、接続試行処理を実行する(S60)。無線プロファイル記憶領域28内の認証方式等が、AP70に設定されている認証方式等に一致する場合には、接続制御部30は、プリンタ10とAP70との間に無線接続WC4を確立する(S62でYES)。
【0058】
上述したように、特定済みのPres信号(即ち、AP70から受信されたPres信号)は、BSSID「MAC70」を含む。従って、記憶制御部34は、S64でNOと判断し、無線プロファイル記憶領域28内のBSSID「MAC50」を、BSSID「MAC70」に更新する(S66)。
【0059】
ケースDで説明したように、本実施例のプリンタ10は、無線接続WC1が確立された後に、上記の特定の変更が実行されたことに起因して、無線接続WC1が切断された場合に、ユーザの指示がない状態で、無線プロファイル記憶領域28内のSSID「ABC」を用いて、AP70から受信されるPres信号を特定する。そして、プリンタ10は、特定済みのPres信号に含まれるSSID「ABC」を用いて(さらには、無線プロファイル記憶領域28内の認証方式等を用いて)、プリンタ10とAP70との間に無線接続WC4を確立することができる。なお、例えば、無線ネットワークを構成していたAP50をAP70に置き換えることによって新たな無線ネットワークを形成する場合には、上記の特定の変更を実行して、AP50のSSID「ABC」をAP70に設定すれば、AP50に接続されていた各機器(例えばPC60)に設定されているSSIDを変更する必要がないために、AP50によって構成されていた無線ネットワークと同様の無線ネットワークを容易に再形成することができる。
【0060】
(対応関係)
プリンタ10、AP50、AP70が、それぞれ、「無線通信装置」、「第1のアクセスポイント」、「第2のアクセスポイント」の一例である。SSID「ABC」、SSID「GHI」が、それぞれ、「第1のネットワーク識別情報」、「第2のネットワーク識別情報」の一例である。BSSID「MC50」、BSSID「MAC70」が、それぞれ、「第1のAP識別情報」、「第2のAP識別情報」の一例である。また、プリンタ10がサポートしている認証方式及び暗号化方式の複数個の組合せが、「複数種類のセキュリティ方式」の一例であり、図2のS28で記憶される認証方式及び暗号化方式の組合せが、「特定種類のセキュリティ方式」の一例である。
【0061】
また、図5のケースBでAP50から受信されるPres信号、図4のケースAでAP50から受信されるPres信号、図6のケースCでAP50から受信されるPres信号、図7のケースDでAP70から受信されるPres信号が、それぞれ、「第1〜第4の所定信号」の一例である。図4〜図7の無線接続WC1〜WC4が、それぞれ、「第1〜第4の無線接続」の一例である。また、図3のS56でNOの場合、S56でYESの場合が、それぞれ、「第1の場合」、「第2の場合」の一例である。
【0062】
(第2実施例)
第1実施例と異なる点を説明する。第1実施例では、図3の自動修復処理において、S68でNOの場合に、S52に進むが、第2実施例では、図8のS100に進む。また、第1実施例では、図3のS74でNOの場合に、S52に進むが、第2実施例では、図8のS130に進む。
【0063】
S100では、制御部20は、プリンタ10をAP50とは異なる新たなAPに無線接続させるのか否かをユーザに問い合わせるための画面を、表示部14に表示させる。ユーザは、操作部12を操作して、プリンタ10を新たなAPに無線接続させるのか否かを選択する。制御部20は、プリンタ10を新たなAPに無線接続させることが選択される場合に、S100でYESと判断して、S102に進み、プリンタ10を新たなAPに無線接続させないことが選択される場合に、図3のS52に進む。
【0064】
S102では、特定部38は、図3のS54で受信された各PRes信号に含まれる各SSIDのリストを、表示部14に表示させる。その後の処理S102〜S112は、図2のS18〜S28と同様である。なお、S110でNOの場合には、図3のS52に進む。また、S112を終えると、図3のS50に進む。
【0065】
S130では、第2の判断部32(図1参照)は、図3のS72で実行された接続試行処理で無線接続を確立することができなかった原因が、プリンタ10と図3のS70で特定済みのAP(以下では「対象AP」と呼ぶ)との間のパスワードの不一致であるのか否かを判断する。具体的に言うと、第2の判断部32は、対象APから上記の第1のエラー情報(即ち、認証方式及び暗号化方式の組合せのエラーを示す情報)を受信する場合に、S130でNOと判断して、S132に進む。一方において、第2の判断部32は、対象APから上記の第2のエラー情報(即ち、パスワードのエラーを示す情報)を受信する場合に、S130でYESと判断して、S132〜S136をスキップして、S138に進む。
【0066】
S132では、接続制御部30は、図2のS24と同様に、オールチャレンジ処理を実行する。次いで、S134において、接続制御部30は、オールチャレンジ処理によって無線接続が確立されたのか否かを判断する。S134でYESと判断される場合には、S144に進み、S134でNOと判断される場合には、S136に進む。
【0067】
S136では、第2の判断部32は、S130と同様に、オールチャレンジ処理で無線接続を確立することができなかった原因が、パスワードの不一致であるのか否かを判断する。S136でYESと判断される場合には、S138に進み、S136でNOと判断される場合には、図3のS52に進む。
【0068】
S138では、制御部20は、パスワードの入力を促す画面を、表示部14に表示させる。ユーザは、操作部12を操作して、パスワードを入力する操作を実行する。この場合、制御部20は、S138でYESと判断して、S140に進む。
【0069】
上述したように、本実施例では、APは、まず、認証方式及び暗号化方式の組合せに関する第1の認証を実行し、それが成功すると、パスワードに関する第2の認証を実行する。S140が実行される段階では、対象APによって実行された第1の認証(図3のS72で実行された第1の認証、又は、S132で実行された第1の認証)が成功しており、対象APによって実行された第2の認証が失敗している。S140では、接続制御部30は、第1の認証が成功した認証方式及び暗号化方式の組合せを示す組合せ情報と、S138で入力されたパスワードと、を用いて、接続試行処理(図3のS72と同様の処理)を実行する。
【0070】
次いで、S142において、接続制御部30は、S140の接続試行処理によって無線接続が確立されたのか否かを判断する。S142でYESと判断される場合には、S144に進み、S142でNOと判断される場合には、S138に進む。
【0071】
S144では、記憶制御部34は、無線プロファイル記憶領域28内のSSID「ABC」を、S70で特定済みのPres信号に含まれるSSIDに更新する。なお、S132のオールチャレンジ処理が実行された場合には、S144では、さらに、記憶制御部34は、無線プロファイル記憶領域28内の認証方式及び暗号化方式の組合せを、S132のオールチャレンジ処理で成功した認証方式及び暗号化方式の組合せに更新する。また、S130又はS136でYESと判断された場合には、S144では、さらに、記憶制御部34は、無線プロファイル記憶領域28内のパスワードを、S138で入力されたパスワードに更新する。S144を終えると、図3のS50に進む。
【0072】
(ケースE;図9)
続いて、図3及び図8のフローチャートによって実現される具体的なケースE〜Gを説明する。図9のケースEに示されるように、無線接続WC1が確立された後に、AP50の電源がOFFされる場合に、無線接続WC1が切断される(図3のS50でYES)。ケースEでは、図7のケースDとは異なり、AP70のSSID「DEF」が、AP50に今まで設定されていた「ABC」に変更されない。この場合、受信制御部36は、AP70のみから、Pres信号を受信する(S54)。
【0073】
AP70から受信されたPres信号は、SSID「DEF」及びBSSID「MAC70」を含む。この場合、第1の判断部40は、S56でNOと判断し、特定部38は、S68でNOと判断する。この場合、図8のS100以降の処理が実行される。このために、特定部38は、ユーザの指示に従って、AP70から受信されたPres信号に含まれるSSID「DEF」を特定する(即ち、AP70から受信されたPres信号を特定する)(S104)。
【0074】
次いで、接続制御部30は、ユーザによってパスワードが入力されると(S106でYES)、特定済みのPres信号に含まれるSSID「DEF」を用いて、オールチャレンジ処理を実行する(S108)。この結果、接続制御部30は、プリンタ10とAP70との間に無線接続WC5を確立する(S110でYES)。記憶制御部34は、無線プロファイル記憶領域28内のSSID「ABC」及びBSSID「MAC50」を、特定済みのPres信号に含まれるSSID「DEF」及びBSSID「MAC70」に更新する(S144)。さらに、記憶制御部34は、無線プロファイル記憶領域28内の認証方式及び暗号化方式を、S108のオールチャレンジ処理が成功した認証方式及び暗号化方式に更新する。さらに、記憶制御部34は、無線プロファイル記憶領域28内のパスワードを、S106で入力されたパスワードに更新する。
【0075】
ケースEで説明したように、本実施例のプリンタ10は、無線接続WC1が確立された後に、AP50の電源がOFFされたことに起因して、無線接続WC1が切断された場合に、ユーザの指示に従って、AP70から受信されるPres信号を特定する。そして、プリンタは、特定済みのPres信号に含まれるSSID「DEF」を用いて、プリンタ10とAP70との間に無線接続WC5を確立することができる。
【0076】
(ケースF;図10)
図10のケースFに示されるように、無線接続WC1が確立された後に、ユーザによってAP50のSSID「ABC」がSSID「GHI」に変更され、さらに、ユーザによってAP50の認証方式及び暗号化方式の組合せが変更された場合には、無線接続WC1が切断される(図3のS50でYES)。この場合、SSID「GHI」を用いた接続試行処理(S72)が実行されるまでは、図5のケースBと同様である。ただし、ケースFでは、AP50の認証方式及び暗号化方式の組合せが変更されている。従って、接続試行処理(S72)によって無線接続が確立されず(S74でNO)、この結果、図8のS130以降の処理が実行される。
【0077】
第2の判断部32は、S130でNOと判断する。この場合、接続制御部30は、オールチャレンジ処理を実行する(S132)。この結果、接続制御部30は、プリンタ10とAP50との間に無線接続WC6を確立する(S134でYES)。記憶制御部34は、無線プロファイル記憶領域28内のSSID「ABC」を、特定済みのPres信号に含まれるSSID「GHI」に更新する(S144)。さらに、記憶制御部34は、無線プロファイル記憶領域28内の認証方式及び暗号化方式を、S132のオールチャレンジ処理が成功した認証方式及び暗号化方式(AP50の変更後の認証方式及び暗号化方式)に更新する。
【0078】
ケースFで説明したように、本実施例のプリンタ10は、無線接続WC1が確立された後に、AP50のSSIDのみならず、認証方式及び暗号化方式の組合せが変更されたことに起因して、無線接続WC1が切断された場合に、プリンタ10とAP50との間に無線接続WC6を確立することができる。
【0079】
(ケースG;図11)
図11のケースGに示されるように、無線接続WC1が確立された後に、ユーザによってAP50のSSID「ABC」がSSID「GHI」に変更され、さらに、ユーザによってAP50のパスワードが変更された場合には、無線接続WC1が切断される(図3のS50でYES)。この場合、SSID「GHI」を用いた接続試行処理(S72)が実行されるまでは、図5のケースBと同様である。ただし、ケースGでは、AP50のパスワードが変更されている。従って、接続試行処理(S72)によって無線接続が確立されず(S74でNO)、この結果、図8のS130以降の処理が実行される。
【0080】
第2の判断部32は、S130でYESと判断する。この場合、接続制御部30は、ユーザによって入力されるパスワードを用いて(S138でYES)、接続試行処理を実行する(S140)。この結果、接続制御部30は、プリンタ10とAP50との間に無線接続WC7を確立する(S142でYES)。記憶制御部34は、無線プロファイル記憶領域28内のSSID「ABC」を、特定済みのPres信号に含まれるSSID「GHI」に更新する(S144)。さらに、記憶制御部34は、無線プロファイル記憶領域28内のパスワードを、S138で入力されたパスワードに更新する。
【0081】
ケースGで説明したように、本実施例のプリンタ10は、無線接続WC1が確立された後に、AP50のSSIDのみならず、パスワードが変更されたことに起因して、無線接続WC1が切断された場合に、プリンタ10とAP50との間に無線接続WC7を確立することができる。ケースF及びGを比べると明らかなように、プリンタ10は、S72の接続試行処理で無線接続を確立することができない場合に、その原因に応じて、無線接続WC6又はWC7を適切に確立することができる。
【0082】
(対応関係)
AP70、SSID「DEF」、図9のケースEでAP70から受信されるPres信号が、それぞれ、「第3のアクセスポイント」、「第3のネットワーク識別情報」、「第5の所定信号」の一例である。また、図2のS28で記憶されるパスワード、図8のS138で入力されるパスワードが、それぞれ、「第1のパスワード」、「第2のパスワード」の一例である。図8のS132のオールチャレンジ処理が、「特定の接続処理」の一例である。また、図9〜図11の無線接続WC5〜WC7が、それぞれ、「第5〜第7の無線接続」の一例である。
【0083】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
【0084】
(変形例1)図2のS24において、接続制御部30は、オールチャレンジ処理を実行する代わりに、ユーザによって入力される認証方式及び暗号化方式の組合せを用いて、接続試行処理を実行してもよい。また、図2のS24において、接続制御部30は、AP50から、AP50に現在設定されている認証方式及び暗号化方式の組合せを取得し、当該組合せを用いて、接続試行処理を実行してもよい。一般的に言うと、「第1の無線接続」は、上記の様々な手法のいずれかを用いて確立されればよい。
【0085】
(変形例2)上記の各実施例では、プリンタ10の周囲に2個のAP50,70が存在するが、プリンタ10の周囲に1個のAPのみが存在してもよい。また、プリンタ10の周囲に3個以上のAPが存在してもよい。一般的に言うと、「M」は1以上の整数であればよいし、「N」は1以上の整数であってもよい。「M」と「N」は、同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
【0086】
(変形例3)「無線通信装置」は、プリンタ10に限られず、無線通信を実行可能な他の種類の装置(PC、サーバ、コピー機、FAX装置、スキャナ、多機能機、携帯端末、PDA等)であってもよい。
【0087】
(変形例4)上記の各実施例では、CPU22がソフトウェア(即ちプログラム26)に従って処理を実行することによって、各部30〜40の機能が実現される。これに代えて、各部30〜40の機能のうちの少なくとも一部は、論理回路等のハードウェアによって実現されてもよい。
【0088】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0089】
2:無線通信システム、10:プリンタ、50,70:AP、60:PC、WC1〜WC7:無線接続
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、アクセスポイントとの間に無線接続を確立する無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、無線LAN端末機が開示されている。無線LAN端末機は、SSID(Service Set Identifier)とBSSID(Basic Service Set Identifier)とを対応付けて記憶する。無線LAN端末機は、アクセスポイントからビーコン信号を受信すると、ビーコン信号に含まれるアクセスポイントのBSSIDに対応付けて記憶されているSSIDを特定し、当該SSIDを含むProbe Request信号を送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−94656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アクセスポイントを含む無線ネットワークを識別するためのネットワーク識別情報(例えばSSID)が変更される可能性がある。本明細書では、ネットワーク識別情報が変更される場合に、無線通信装置とアクセスポイントとの間に無線接続を適切に確立するための技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書によって開示される技術は、無線通信装置である。無線通信装置は、接続制御部と、記憶制御部と、受信制御部と、特定部と、を備える。接続制御部は、第1のアクセスポイントを含む無線ネットワークを識別するための識別情報である第1のネットワーク識別情報を用いて、無線通信装置と第1のアクセスポイントとの間に第1の無線接続を確立する。記憶制御部は、第1の無線接続が確立される場合に、第1のアクセスポイントを識別するための不変の識別情報である第1のAP識別情報を、メモリに記憶させる。受信制御部は、第1の無線接続が確立された後に、第1の無線接続が切断される場合に、M個(Mは1以上の整数)のアクセスポイントのそれぞれから所定信号を受信する。所定信号は、所定信号の送信元のアクセスポイントを含む無線ネットワークを識別するための識別情報であるネットワーク識別情報と、所定信号の送信元のアクセスポイントを識別するための不変の識別情報であるAP識別情報と、を含む。特定部は、メモリ内の第1のAP識別情報を用いて、M個のアクセスポイントから受信されるM個の所定信号の中から、第1のAP識別情報を含む第1の所定信号を特定する。接続制御部は、さらに、特定済みの第1の所定信号に含まれる第2のネットワーク識別情報であって、第1のネットワーク識別情報とは異なる第2のネットワーク識別情報を用いて、無線通信装置と第1のアクセスポイントとの間に第2の無線接続を確立する。
【0006】
上記の構成によると、無線通信装置は、第1の無線接続が確立される場合に、第1のアクセスポイントを識別するための不変の識別情報である第1のAP識別情報を、メモリに記憶させる。例えば、第1の無線接続が確立された後に、第1のアクセスポイントに設定されている第1のネットワーク識別情報が第2のネットワーク識別情報に変更される場合に、第1の無線接続が切断される。この場合、無線通信装置は、M個のアクセスポイントのそれぞれから所定信号を受信する。そして、無線通信装置は、メモリ内の第1のAP識別情報を用いて、M個の所定信号の中から、第1のAP識別情報を含む第1の所定信号(即ち、第1のアクセスポイントから受信される第1の所定信号)を特定して、第1の所定信号に含まれる第2のネットワーク識別情報を用いて、無線通信装置と第1のアクセスポイントとの間に第2の無線接続を確立することができる。即ち、無線通信装置は、第1のネットワーク識別情報が第2のネットワーク識別情報に変更される場合に、第1のアクセスポイントとの間に第2の無線接続を適切に確立することができる。
【0007】
なお、上記の無線通信装置のための制御方法、コンピュータプログラム、及び、当該コンピュータプログラムを格納するコンピュータ読取可能記録媒体も、新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】通信システムの構成の一例を示す。
【図2】無線接続処理のフローチャートを示す。
【図3】自動修復処理のフローチャートを示す。
【図4】ケースAのシーケンス図を示す。
【図5】ケースBのシーケンス図を示す。
【図6】ケースCのシーケンス図を示す。
【図7】ケースDのシーケンス図を示す。
【図8】第2実施例における自動修復処理のフローチャートを示す。
【図9】ケースEのシーケンス図を示す。
【図10】ケースFのシーケンス図を示す。
【図11】ケースGのシーケンス図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施例)
図1に示すように、無線通信システム2は、プリンタ10と、複数個のアクセスポイント50,70(以下では「アクセスポイント」のことを「AP」と呼ぶ)と、PC60と、を備える。プリンタ10及びPC60は、AP50,70のうちのいずれかのAPと無線接続を確立することができる。なお、図1に示される波線は、プリンタ10とAP50との間に無線接続が確立されていると共に、PC60とAP50との間に無線接続が確立されている状態を示す。この状態では、プリンタ10及びPC60は、AP50を含む無線ネットワークに接続されている。なお、以下では、プリンタ10とAPとの間に無線接続が確立されることを、「プリンタ10が当該APに無線接続される」と表現することがある。
【0010】
本実施例では、「無線接続」という用語を、以下の意味として使用する。即ち、プリンタ10がAPに無線接続されている状態では、プリンタ10は、当該APを介して、他のデバイス(例えばPC60)と通信を実行することが可能である。一方において、プリンタ10がAPに無線接続されていない状態では、プリンタ10は、当該APに無線接続するための無線通信(例えば、後述のProbe Request信号、Probe Response信号の無線通信(図2のS12,S14参照))を実行することが可能であるが、当該APを介して、他のデバイスと通信を実行することができない。
【0011】
(プリンタ10の構成)
プリンタ10は、操作部12と、表示部14と、無線インターフェイス16と、印刷実行部18と、制御部20と、を備える。上記の各部12〜20は、バス線(符号省略)に接続されている。操作部12は、複数のキーによって構成される。ユーザは、操作部12を操作することによって、様々な指示をプリンタ10に与えることができる。表示部14は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。無線インターフェイス16は、プリンタ10が無線通信を実行するためのインターフェイスである。印刷実行部18は、インクジェット方式、レーザ方式等の印刷機構を備え、制御部20からの指示に従って印刷を実行する。
【0012】
制御部20は、CPU22とメモリ24とを備える。CPU22は、メモリ24に格納されているプログラム26に従って、様々な処理を実行する。CPU22がプログラム26に従って処理を実行することによって、接続制御部30、記憶制御部34、受信制御部36、及び、特定部38の各機能が実現される。なお、接続制御部30は、第2の判断部32を備え、特定部38は、第1の判断部40を備える。
【0013】
メモリ24は、ROM、RAM、ハードディスク等によって構成される。メモリ24は、無線プロファイルを記憶するための無線プロファイル記憶領域28を備える。無線プロファイルは、SSID、BSSID、認証方式、暗号化方式、及び、パスワードを含む。無線プロファイルは、プリンタ10がAP(以下では「対象AP」と呼ぶ)に無線接続される場合に、無線プロファイル記憶領域28に記憶される(図2のS28等参照)。
【0014】
無線プロファイル記憶領域28に記憶されるSSIDは、対象APを含む無線ネットワークを識別するための識別情報である。無線プロファイル記憶領域28に記憶されるBSSIDは、対象APのMACアドレスである。また、プリンタ10は、複数個の認証方式(例えば、「WPA−PSK」、「WPA2−PSK」等)と、複数個の暗号化方式(例えば、「TKIP」、「AES」等)と、をサポートしている。無線プロファイル記憶領域28に記憶される認証方式及び暗号化方式の組合せは、プリンタ10によってサポートされている認証方式及び暗号化方式の複数個の組合せのうち、対象APによって利用されている1個の組合せ(例えば、「WPA−PSK」と「TKIP」との組合せ)である。また、無線プロファイル記憶領域28に記憶されるパスワードは、対象APによって利用されているパスワードである。
【0015】
(AP50,70の構成)
AP50は、一対のデバイスの間の無線通信を中継するためのデバイスである。AP50には、SSID「ABC」及びBSSID「MAC50」が設定されている。ユーザは、AP50のSSID「ABC」を、他のSSIDに変更することができる。BSSID「MAC50」は、AP50のMACアドレスである。MACアドレスは、AP50の出荷時からAP50に設定されている固有の識別情報である。即ち、SSIDは可変の情報であるが、BSSIDは不変の情報である。
【0016】
また、図1では図示省略しているが、AP50には、さらに、認証方式、暗号化方式、及び、パスワードが設定されている。ユーザは、AP50によって利用されるべき認証方式及び暗号化方式の組合せ(例えば、「WPA−PSK」と「TKIP」との組合せ)を、AP50に設定することができる。また、ユーザは、パスワードをAP50に設定することができる。なお、AP70には、SSID「DEF」、BSSID「MAC70」、認証方式等が設定されている。
【0017】
(無線接続処理;図2)
続いて、図2を参照して、プリンタ10の制御部20によって実行される無線接続処理について説明する。ユーザは、プリンタ10を無線ネットワークに接続させることを望む場合に、プリンタ10の操作部12を操作して、予め決められている無線接続操作を実行する。この場合、制御部20は、S10でYESと判断して、S12に進む。
【0018】
S12では、制御部20は、Probe Request信号(以下では「PReq信号」と呼ぶ)を無線で送信する。プリンタ10の周囲に存在する各AP50,70は、プリンタ10からPReq信号を受信すると、Probe Response信号(以下では「PRes信号」と呼ぶ)をプリンタ10に無線で送信する。この結果、S14において、受信制御部36(図1参照)は、AP50,70のそれぞれからPRes信号を受信する。なお、PRes信号は、当該PRes信号の送信元のAPに設定されているSSID及びBSSIDを含む。例えば、AP50から受信されるPRes信号は、SSID「ABC」及びBSSID「MAC50」を含む(図1参照)。
【0019】
S16では、特定部38(図1参照)は、S14で受信された各PRes信号に含まれる各SSIDのリスト(本実施例では、2個のSSID「ABC」,「DEF」)を、表示部14に表示させる。ユーザは、操作部12を操作して、リストから所望のAPのSSIDを指定する。この場合、特定部38は、S18でYESと判断して、S20に進む。
【0020】
S20では、特定部38は、ユーザによって指定されたSSID(例えば、AP50のSSID「ABC」)を特定する。なお、S20でSSIDを特定するということは、S14で受信された1個以上のPResの中から、当該SSIDを含む1個のPRes信号を特定することに等しいと共に、プリンタ10の周囲に存在する1個以上のAPの中から、1個のAPを特定することに等しい。この点は、後述の図3のS58、S70、及び、図8のS104でも、同様である。以下では、S20等の特定処理について、「SSIDを特定する」と表現することもあるし、「PRes信号を特定する」と表現することもあるし、「APを特定する」と表現することもある。なお、以下では、S20において、AP50のSSID「ABC」が特定された場合を例として、各処理の内容を説明する。
【0021】
次いで、S22において、制御部20は、パスワードの入力を促す画面を、表示部14に表示させる。ユーザは、操作部12を操作して、パスワードを入力する。この場合、制御部20は、S22でYESと判断して、S24に進む。
【0022】
S24では、接続制御部30(図1参照)は、S20で特定されたAP50とプリンタ10との間で無線接続を確立するためのオールチャレンジ処理を実行する。上述したように、プリンタ10は、認証方式及び暗号化方式の複数個の組合せをサポートしている。オールチャレンジ処理では、接続制御部30は、まず、上記の複数個の組合せの中から、1個の組合せを選択する。次いで、接続制御部30は、選択済みの1個の組合せを示す組合せ情報と、S20で特定されたAP50のSSID「ABC」と、を含む接続要求信号を、AP50に無線で送信する。
【0023】
接続要求信号は、AP50のSSID「ABC」を含む。従って、AP50は、接続要求信号の送信先が、AP50自身であることを知ることができる。この場合、AP50は、後述の第1及び第2の認証を実行する。なお、AP70は、接続要求信号を受信し得るが、接続要求信号に含まれるSSID「ABC」が、AP70のSSID「DEF」とは異なる。従って、AP70は、接続要求信号の送信先が、AP70自身でないことを知ることができ、後述の第1の認証等を実行しない。
【0024】
第1の認証では、AP50は、接続要求信号に含まれる組合せ情報が示す認証方式及び暗号化方式の組合せが、AP50に現在設定されているのか否かを判断する。AP50は、第1の認証に失敗した場合(即ち、上記の組合せ情報が示す組合せがAP50に設定されていない場合)には、認証方式及び暗号化方式の組合せのエラーを示す第1のエラー情報をプリンタ10に無線で送信する。一方において、AP50は、第1の認証に成功した場合(即ち、上記の組合せ情報が示す組合せがAP50に設定されている場合)には、第1の認証が成功したことを示す第1の成功情報をプリンタ10に無線で送信する。
【0025】
接続制御部30は、AP50から第1のエラー情報を受信する場合には、認証方式及び暗号化方式の複数個の組合せの中から、他の1個の組合せを選択する。次いで、接続制御部30は、上記と同様に、接続要求信号をAP50に送信して、AP50から第1のエラー情報又は第1の成功情報を受信する。接続制御部30は、AP50から第1の成功情報を受信するまで、上記の複数個の組合せの中から他の1個の組合せを選択して、接続要求信号を送信することを繰り返す。接続制御部30は、上記の複数個の組合せの全てを選択しても、第1の成功情報を受信しない場合には、S26でNOと判断して、無線接続処理を終了する。
【0026】
接続制御部30は、AP50から第1の成功情報を受信する場合には、S22で入力されたパスワードを用いて、元データを暗号化することによって、暗号化データを生成する。そして、接続制御部30は、暗号化データをAP50に無線で送信する。
【0027】
AP50は、プリンタ10から暗号化データを受信すると、第2の認証を実行する。第2の認証では、AP50は、AP50に現在設定されているパスワードを用いて、上記の元データを暗号化することによって、暗号化データを生成する。次いで、AP50は、AP50自身が生成した暗号化データと、プリンタ10から受信した暗号化データと、が一致するのか否かを判断する。AP50は、第2の認証に失敗した場合(即ち、2つの暗号化データが一致しない場合)には、パスワードのエラーを示す第2のエラー情報をプリンタ10に無線で送信する。一方において、AP50は、第2の認証に成功した場合(即ち、2つの暗号化データが一致する場合)には、第2の認証が成功したことを示す第2の成功情報をプリンタ10に無線で送信する。
【0028】
接続制御部30は、AP50から第2のエラー情報を受信する場合には、S26でNOと判断して、無線接続処理を終了する。なお、変形例では、制御部20は、AP50から第2のエラー情報を受信する場合に、S22に戻って、パスワードの再入力をユーザに促してもよい。また、AP50から第2の成功情報が受信される場合には、プリンタ10とAP50との間に無線接続が確立される。接続制御部30は、AP50から第2の成功情報を受信する場合には、S26でYESと判断して、S28に進む。
【0029】
S28では、記憶制御部34(図1参照)は、S20で特定されたPRes信号(即ち、AP50から受信されたPRes信号)に含まれるSSID「ABC」と、当該PRes信号に含まれるBSSID「MAC50」と、を無線プロファイル記憶領域28に記憶させる。S28では、さらに、記憶制御部34は、第1の認証が成功した認証方式及び暗号化方式の組合せと、第2の認証が成功したパスワードと、を無線プロファイル記憶領域28に記憶させる。S28を終えると、無線接続処理が終了する。
【0030】
図2の無線接続処理によってプリンタ10とAP50との間に無線接続が確立されると、例えば、PC60は、AP50を介して、印刷データをプリンタ10に送信することができる。この場合、プリンタ10は、印刷データを受信して、印刷データに従った印刷を実行することができる。
【0031】
(自動修復処理;図3)
続いて、図3を参照して、プリンタ10の制御部20によって実行される自動修復処理について説明する。自動修復処理は、プリンタ10がいずれかのAPに無線接続されている状態で実行される。以下では、プリンタ10がAP50に無線接続されている場合を例として、各処理の内容を説明する。
【0032】
S50において、制御部20は、プリンタ10とAP50との間の無線接続が切断されることを監視している。制御部20は、AP50のSSID「ABC」を含む信号(即ち、AP50の存在を確認するための信号)を定期的に送信して、当該信号に対する応答信号をAP50から受信することを監視している。
【0033】
例えば、ユーザによってAP50のSSID「ABC」が他のSSIDに変更された場合には、AP50は、SSID「ABC」を含む信号を受信しても、応答信号を送信しない。また、例えば、プリンタ10とAP50との間の電波状態が悪化した場合や、AP50の電源がOFFされた場合等には、AP50は、プリンタ10から信号を受信することができず、応答信号を送信しない。制御部20は、AP50から応答信号を受信しない場合に、S50でYESと判断して、S52に進む。なお、本実施例では、上記のように、プリンタ10の制御部20が定期的に信号を送信する構成であるが、変形例では、AP50が、プリンタ10の存在を確認するための信号を定期的に送信する構成であってもよい。この場合、プリンタ10の制御部20は、AP50から信号を受信すると、応答信号をAP50に送信する。なお、制御部20は、AP50から定期的に信号を受信しなくなった場合に、S50でYESと判断して、S52に進む。
【0034】
S52及びS54は、図2のS12及びS14と同様である。S54において、受信制御部36は、通常、1個以上のAP(例えば、AP50,70)から1個以上のPRes信号を受信する。
【0035】
S56では、第1の判断部40(図1参照)は、S54で受信された1個以上のSSIDの中に、無線プロファイル記憶領域28内のSSID「ABC」が含まれるのか否かを判断する。即ち、第1の判断部40は、S54で受信された1個以上のPRes信号の中に、SSID「ABC」を含むPRes信号が含まれるのか否かを判断する。S56でYESと判断される場合には、S58に進み、S56でNOと判断される判断される場合には、S68に進む。なお、S54で1個のPRes信号も受信されなかった場合には、S56でNOと判断される。
【0036】
S58では、特定部38は、S54で受信された1個以上のSSIDの中から、SSID「ABC」を特定する(即ち、S54で受信される1個以上のPRes信号の中から、SSID「ABC」を含むPRes信号を特定する)。S58では、図2のS20とは異なり、特定部38は、ユーザの指示(即ち図2のS18)がない状態で、SSID「ABC」を特定する。
【0037】
次いで、S60では、接続制御部30は、無線プロファイル記憶領域28内の認証方式及び暗号化方式の組合せを示す組合せ情報と、S58で特定されたSSID「ABC」と、を含む接続要求信号を送信する。さらに、S60では、接続制御部30は、上記の第1の成功情報を受信すると、図2のS24と同様に、暗号化データを送信する。接続制御部30は、第2の成功情報を受信する場合(即ち、無線接続が確立される場合)に、S62でYESと判断して、S64に進む。一方において、接続制御部30は、第1又は第2のエラー情報が受信される場合に、S62でNOと判断して、S52に進む。
【0038】
S64では、記憶制御部34は、S58で特定されたPres信号に含まれるBSSIDが、無線プロファイル記憶領域28内のBSSID「MAC50」に一致するのか否かを判断する。S64でYESと判断される場合には、S66を実行せずにS50に戻り、S64でNOと判断される場合には、S66に進む。
【0039】
S66では、記憶制御部34は、無線プロファイル記憶領域28内のBSSID「MAC50」を、S58で特定されたPres信号に含まれるBSSID(例えばAP70のBSSID「MAC70」)に更新する。S66を終えると、S50に戻る。
【0040】
一方において、S68では、特定部38は、S54で受信された1個以上のBSSIDの中に、無線プロファイル記憶領域28内のBSSID「MAC50」が含まれるのか否かを判断する。即ち、特定部38は、S54で受信された1個以上のPRes信号の中に、BSSID「MAC50」を含むPRes信号が含まれるのか否かを判断する。S68でYESと判断される場合には、S70に進み、S68でNOと判断される判断される場合には、S52に進む。なお、S54で1個のPRes信号も受信されなかった場合には、S68でNOと判断される。
【0041】
S70では、特定部38は、S54で受信された1個以上のSSIDの中から、BSSID「MAC50」と共に受信されたSSIDを特定する(即ち、S54で受信された1個以上のPres信号の中から、BSSID「MAC50」を含むPres信号を特定する)。なお、S70が実行される段階では、S56でNOと判断されている(即ちSSID「ABC」が受信されなかった)ために、S70では、SSID「ABC」とは異なるSSIDが特定される。S70では、図2のS20とは異なり、特定部38は、ユーザの指示(即ち図2のS18)がない状態で、SSIDを特定する。
【0042】
次いで、S72では、接続制御部30は、無線プロファイル記憶領域28内の認証方式及び暗号化方式の組合せを示す組合せ情報と、S70で特定されたSSIDと、を含む接続要求信号を送信する。S72で実行される他の処理は、S60と同様である。また、S74は、S62と同様である。S74でYESと判断される場合には、S76に進み、S74でNOと判断される場合には、S52に進む。
【0043】
S76では、記憶制御部34は、無線プロファイル記憶領域28内のSSID「ABC」を、S70で特定されたSSID(即ち、S70で特定されたPres信号に含まれるSSID)に更新する。S76を終えると、S50に戻る。
【0044】
(ケースA;図4)
続いて、図2及び図3のフローチャートによって実現される具体的なケースA〜Dを説明する。図4のケースAに示されるように、ユーザによって無線接続操作が実行されると(図2のS10でYES)、制御部20は、Preq信号を送信する(S12)。この結果、受信制御部36は、各AP50,70からPres信号を受信する(S14)。次いで、特定部38は、ユーザの指示に従って、AP50のSSID「ABC」を特定する(即ち、AP50から受信されたPres信号を特定する)(S20)。
【0045】
次いで、接続制御部30は、ユーザによってパスワードが入力されると(S22でYES)、特定済みのPres信号に含まれるSSID「ABC」を用いて、オールチャレンジ処理を実行する(S24)。この結果、接続制御部30は、プリンタ10とAP50との間に無線接続WC1を確立する(S26でYES)。記憶制御部34は、特定済みのPres信号に含まれるSSID「ABC」及びBSSID「MAC50」を、無線プロファイル記憶領域28に記憶させる(S28)。ここでは、記憶制御部34は、さらに、認証方式、暗号化方式、及び、パスワードを、無線プロファイル記憶領域28に記憶させる。
【0046】
(ケースB;図5)
図5のケースBに示されるように、無線接続WC1が確立された後に、ユーザによってAP50のSSID「ABC」がSSID「GHI」に変更された場合には、無線接続WC1が切断される(図3のS50でYES)。この場合、制御部20は、Preq信号を送信する(S52)。この結果、受信制御部36は、各AP50,70からPres信号を受信する(S54)。
【0047】
AP50のSSIDが「ABC」から「GHI」に変更されたために、AP50から受信されたPres信号は、SSID「GHI」及びBSSID「MAC50」を含む。この場合、第1の判断部40は、S56でNOと判断し、特定部38は、S68でYESと判断する。次いで、特定部38は、ユーザの指示がない状態で、無線プロファイル記憶領域28内のBSSID「MAC50」を用いて、AP50から受信されたPres信号に含まれるSSID「GHI」を特定する(即ち、AP50から受信されたPres信号を特定する)(S70)。
【0048】
次いで、接続制御部30は、特定済みのPres信号に含まれるSSID「GHI」を用いて、接続試行処理を実行する(S72)。ここでは、接続制御部30は、さらに、無線プロファイル記憶領域28内の認証方式、暗号化方式、及び、パスワードを用いて、接続試行処理を実行する。この結果、接続制御部30は、プリンタ10とAP50との間に無線接続WC2を確立する(S74でYES)。記憶制御部34は、無線プロファイル記憶領域28内のSSID「ABC」を、特定済みのPres信号に含まれるSSID「GHI」に更新する(S76)。
【0049】
ケースA及びBで説明したように、本実施例のプリンタ10は、無線接続WC1が確立された後に、AP50のSSID「ABC」が「GHI」に変更されたことに起因して、無線接続WC1が切断された場合に、ユーザの指示がない状態で、無線プロファイル記憶領域28内のBSSID「MAC50」を用いて、AP50から受信されるPres信号を特定する。そして、プリンタ10は、特定済みのPres信号に含まれるSSID「GHI」を用いて(さらには、無線プロファイル記憶領域28内の認証方式等を用いて)、無線接続WC2を確立する。即ち、プリンタ10は、プリンタ10とAP50との間の無線接続を自動的に修復することができる。
【0050】
(ケースC;図6)
図6のケースCに示されるように、無線接続WC1が確立された後に、プリンタ10とAP50との間の電波状態が悪化すると、無線接続WC1が切断される(図3のS50でYES)。この場合、制御部20は、Preq信号を送信する(S52)。上記の電波状態が回復すると、受信制御部36は、AP70のみならず、AP50からもPres信号を受信する(S54)。
【0051】
AP50から受信されたPres信号は、SSID「ABC」及びBSSID「MAC50」を含む。この場合、第1の判断部40は、S56でYESと判断し、特定部38は、ユーザの指示がない状態で、無線プロファイル記憶領域28内のSSID「ABC」を用いて、AP50から受信されたPres信号に含まれるSSID「ABC」を特定する(即ち、AP50から受信されたPres信号を特定する)(S58)。
【0052】
次いで、接続制御部30は、特定済みのPres信号に含まれるSSID「ABC」を用いて(さらには、無線プロファイル記憶領域28内の認証方式等を用いて)、接続試行処理を実行する(S60)。この結果、接続制御部30は、プリンタ10とAP50との間に無線接続WC3を確立する(S62でYES)。
【0053】
上述したように、特定済みのPres信号(即ち、AP50から受信されたPres信号)は、BSSID「MAC50」を含む。従って、記憶制御部34は、S64でYESと判断し、S66を実行しない。
【0054】
ケースCで説明したように、本実施例のプリンタ10は、無線接続WC1が確立された後に、プリンタ10とAP50との電波状態が一時的に悪化したことに起因して、無線接続WC1が切断された場合に、ユーザの指示がない状態で、無線プロファイル記憶領域28内のSSID「ABC」を用いて、AP50から受信されるPres信号を特定する。そして、プリンタ10は、特定済みのPres信号に含まれるSSID「ABC」を用いて(さらには、無線プロファイル記憶領域28内の認証方式等を用いて)、プリンタ10とAP50との間に無線接続WC3を確立することができる。
【0055】
(ケースD;図7)
図7のケースDに示されるように、無線接続WC1が確立された後に、AP50の電源がOFFされる場合に、無線接続WC1が切断される(図3のS50でYES)。しかも、ケースDでは、AP70のSSID「DEF」が、AP50に今まで設定されていた「ABC」に変更されている(以下では「特定の変更」と呼ぶ)。この場合、受信制御部36は、AP70のみから、Pres信号を受信する(S54)。
【0056】
AP70から受信されたPres信号は、SSID「ABC」及びBSSID「MAC70」を含む。この場合、第1の判断部40は、S56でYESと判断し、特定部38は、ユーザの指示がない状態で、無線プロファイル記憶領域28内のSSID「ABC」を用いて、AP70から受信されたPres信号に含まれるSSID「ABC」を特定する(即ち、AP70から受信されたPres信号を特定する)(S58)。
【0057】
次いで、接続制御部30は、特定済みのPres信号に含まれるSSID「ABC」を用いて(さらには、無線プロファイル記憶領域28内の認証方式等を用いて)、接続試行処理を実行する(S60)。無線プロファイル記憶領域28内の認証方式等が、AP70に設定されている認証方式等に一致する場合には、接続制御部30は、プリンタ10とAP70との間に無線接続WC4を確立する(S62でYES)。
【0058】
上述したように、特定済みのPres信号(即ち、AP70から受信されたPres信号)は、BSSID「MAC70」を含む。従って、記憶制御部34は、S64でNOと判断し、無線プロファイル記憶領域28内のBSSID「MAC50」を、BSSID「MAC70」に更新する(S66)。
【0059】
ケースDで説明したように、本実施例のプリンタ10は、無線接続WC1が確立された後に、上記の特定の変更が実行されたことに起因して、無線接続WC1が切断された場合に、ユーザの指示がない状態で、無線プロファイル記憶領域28内のSSID「ABC」を用いて、AP70から受信されるPres信号を特定する。そして、プリンタ10は、特定済みのPres信号に含まれるSSID「ABC」を用いて(さらには、無線プロファイル記憶領域28内の認証方式等を用いて)、プリンタ10とAP70との間に無線接続WC4を確立することができる。なお、例えば、無線ネットワークを構成していたAP50をAP70に置き換えることによって新たな無線ネットワークを形成する場合には、上記の特定の変更を実行して、AP50のSSID「ABC」をAP70に設定すれば、AP50に接続されていた各機器(例えばPC60)に設定されているSSIDを変更する必要がないために、AP50によって構成されていた無線ネットワークと同様の無線ネットワークを容易に再形成することができる。
【0060】
(対応関係)
プリンタ10、AP50、AP70が、それぞれ、「無線通信装置」、「第1のアクセスポイント」、「第2のアクセスポイント」の一例である。SSID「ABC」、SSID「GHI」が、それぞれ、「第1のネットワーク識別情報」、「第2のネットワーク識別情報」の一例である。BSSID「MC50」、BSSID「MAC70」が、それぞれ、「第1のAP識別情報」、「第2のAP識別情報」の一例である。また、プリンタ10がサポートしている認証方式及び暗号化方式の複数個の組合せが、「複数種類のセキュリティ方式」の一例であり、図2のS28で記憶される認証方式及び暗号化方式の組合せが、「特定種類のセキュリティ方式」の一例である。
【0061】
また、図5のケースBでAP50から受信されるPres信号、図4のケースAでAP50から受信されるPres信号、図6のケースCでAP50から受信されるPres信号、図7のケースDでAP70から受信されるPres信号が、それぞれ、「第1〜第4の所定信号」の一例である。図4〜図7の無線接続WC1〜WC4が、それぞれ、「第1〜第4の無線接続」の一例である。また、図3のS56でNOの場合、S56でYESの場合が、それぞれ、「第1の場合」、「第2の場合」の一例である。
【0062】
(第2実施例)
第1実施例と異なる点を説明する。第1実施例では、図3の自動修復処理において、S68でNOの場合に、S52に進むが、第2実施例では、図8のS100に進む。また、第1実施例では、図3のS74でNOの場合に、S52に進むが、第2実施例では、図8のS130に進む。
【0063】
S100では、制御部20は、プリンタ10をAP50とは異なる新たなAPに無線接続させるのか否かをユーザに問い合わせるための画面を、表示部14に表示させる。ユーザは、操作部12を操作して、プリンタ10を新たなAPに無線接続させるのか否かを選択する。制御部20は、プリンタ10を新たなAPに無線接続させることが選択される場合に、S100でYESと判断して、S102に進み、プリンタ10を新たなAPに無線接続させないことが選択される場合に、図3のS52に進む。
【0064】
S102では、特定部38は、図3のS54で受信された各PRes信号に含まれる各SSIDのリストを、表示部14に表示させる。その後の処理S102〜S112は、図2のS18〜S28と同様である。なお、S110でNOの場合には、図3のS52に進む。また、S112を終えると、図3のS50に進む。
【0065】
S130では、第2の判断部32(図1参照)は、図3のS72で実行された接続試行処理で無線接続を確立することができなかった原因が、プリンタ10と図3のS70で特定済みのAP(以下では「対象AP」と呼ぶ)との間のパスワードの不一致であるのか否かを判断する。具体的に言うと、第2の判断部32は、対象APから上記の第1のエラー情報(即ち、認証方式及び暗号化方式の組合せのエラーを示す情報)を受信する場合に、S130でNOと判断して、S132に進む。一方において、第2の判断部32は、対象APから上記の第2のエラー情報(即ち、パスワードのエラーを示す情報)を受信する場合に、S130でYESと判断して、S132〜S136をスキップして、S138に進む。
【0066】
S132では、接続制御部30は、図2のS24と同様に、オールチャレンジ処理を実行する。次いで、S134において、接続制御部30は、オールチャレンジ処理によって無線接続が確立されたのか否かを判断する。S134でYESと判断される場合には、S144に進み、S134でNOと判断される場合には、S136に進む。
【0067】
S136では、第2の判断部32は、S130と同様に、オールチャレンジ処理で無線接続を確立することができなかった原因が、パスワードの不一致であるのか否かを判断する。S136でYESと判断される場合には、S138に進み、S136でNOと判断される場合には、図3のS52に進む。
【0068】
S138では、制御部20は、パスワードの入力を促す画面を、表示部14に表示させる。ユーザは、操作部12を操作して、パスワードを入力する操作を実行する。この場合、制御部20は、S138でYESと判断して、S140に進む。
【0069】
上述したように、本実施例では、APは、まず、認証方式及び暗号化方式の組合せに関する第1の認証を実行し、それが成功すると、パスワードに関する第2の認証を実行する。S140が実行される段階では、対象APによって実行された第1の認証(図3のS72で実行された第1の認証、又は、S132で実行された第1の認証)が成功しており、対象APによって実行された第2の認証が失敗している。S140では、接続制御部30は、第1の認証が成功した認証方式及び暗号化方式の組合せを示す組合せ情報と、S138で入力されたパスワードと、を用いて、接続試行処理(図3のS72と同様の処理)を実行する。
【0070】
次いで、S142において、接続制御部30は、S140の接続試行処理によって無線接続が確立されたのか否かを判断する。S142でYESと判断される場合には、S144に進み、S142でNOと判断される場合には、S138に進む。
【0071】
S144では、記憶制御部34は、無線プロファイル記憶領域28内のSSID「ABC」を、S70で特定済みのPres信号に含まれるSSIDに更新する。なお、S132のオールチャレンジ処理が実行された場合には、S144では、さらに、記憶制御部34は、無線プロファイル記憶領域28内の認証方式及び暗号化方式の組合せを、S132のオールチャレンジ処理で成功した認証方式及び暗号化方式の組合せに更新する。また、S130又はS136でYESと判断された場合には、S144では、さらに、記憶制御部34は、無線プロファイル記憶領域28内のパスワードを、S138で入力されたパスワードに更新する。S144を終えると、図3のS50に進む。
【0072】
(ケースE;図9)
続いて、図3及び図8のフローチャートによって実現される具体的なケースE〜Gを説明する。図9のケースEに示されるように、無線接続WC1が確立された後に、AP50の電源がOFFされる場合に、無線接続WC1が切断される(図3のS50でYES)。ケースEでは、図7のケースDとは異なり、AP70のSSID「DEF」が、AP50に今まで設定されていた「ABC」に変更されない。この場合、受信制御部36は、AP70のみから、Pres信号を受信する(S54)。
【0073】
AP70から受信されたPres信号は、SSID「DEF」及びBSSID「MAC70」を含む。この場合、第1の判断部40は、S56でNOと判断し、特定部38は、S68でNOと判断する。この場合、図8のS100以降の処理が実行される。このために、特定部38は、ユーザの指示に従って、AP70から受信されたPres信号に含まれるSSID「DEF」を特定する(即ち、AP70から受信されたPres信号を特定する)(S104)。
【0074】
次いで、接続制御部30は、ユーザによってパスワードが入力されると(S106でYES)、特定済みのPres信号に含まれるSSID「DEF」を用いて、オールチャレンジ処理を実行する(S108)。この結果、接続制御部30は、プリンタ10とAP70との間に無線接続WC5を確立する(S110でYES)。記憶制御部34は、無線プロファイル記憶領域28内のSSID「ABC」及びBSSID「MAC50」を、特定済みのPres信号に含まれるSSID「DEF」及びBSSID「MAC70」に更新する(S144)。さらに、記憶制御部34は、無線プロファイル記憶領域28内の認証方式及び暗号化方式を、S108のオールチャレンジ処理が成功した認証方式及び暗号化方式に更新する。さらに、記憶制御部34は、無線プロファイル記憶領域28内のパスワードを、S106で入力されたパスワードに更新する。
【0075】
ケースEで説明したように、本実施例のプリンタ10は、無線接続WC1が確立された後に、AP50の電源がOFFされたことに起因して、無線接続WC1が切断された場合に、ユーザの指示に従って、AP70から受信されるPres信号を特定する。そして、プリンタは、特定済みのPres信号に含まれるSSID「DEF」を用いて、プリンタ10とAP70との間に無線接続WC5を確立することができる。
【0076】
(ケースF;図10)
図10のケースFに示されるように、無線接続WC1が確立された後に、ユーザによってAP50のSSID「ABC」がSSID「GHI」に変更され、さらに、ユーザによってAP50の認証方式及び暗号化方式の組合せが変更された場合には、無線接続WC1が切断される(図3のS50でYES)。この場合、SSID「GHI」を用いた接続試行処理(S72)が実行されるまでは、図5のケースBと同様である。ただし、ケースFでは、AP50の認証方式及び暗号化方式の組合せが変更されている。従って、接続試行処理(S72)によって無線接続が確立されず(S74でNO)、この結果、図8のS130以降の処理が実行される。
【0077】
第2の判断部32は、S130でNOと判断する。この場合、接続制御部30は、オールチャレンジ処理を実行する(S132)。この結果、接続制御部30は、プリンタ10とAP50との間に無線接続WC6を確立する(S134でYES)。記憶制御部34は、無線プロファイル記憶領域28内のSSID「ABC」を、特定済みのPres信号に含まれるSSID「GHI」に更新する(S144)。さらに、記憶制御部34は、無線プロファイル記憶領域28内の認証方式及び暗号化方式を、S132のオールチャレンジ処理が成功した認証方式及び暗号化方式(AP50の変更後の認証方式及び暗号化方式)に更新する。
【0078】
ケースFで説明したように、本実施例のプリンタ10は、無線接続WC1が確立された後に、AP50のSSIDのみならず、認証方式及び暗号化方式の組合せが変更されたことに起因して、無線接続WC1が切断された場合に、プリンタ10とAP50との間に無線接続WC6を確立することができる。
【0079】
(ケースG;図11)
図11のケースGに示されるように、無線接続WC1が確立された後に、ユーザによってAP50のSSID「ABC」がSSID「GHI」に変更され、さらに、ユーザによってAP50のパスワードが変更された場合には、無線接続WC1が切断される(図3のS50でYES)。この場合、SSID「GHI」を用いた接続試行処理(S72)が実行されるまでは、図5のケースBと同様である。ただし、ケースGでは、AP50のパスワードが変更されている。従って、接続試行処理(S72)によって無線接続が確立されず(S74でNO)、この結果、図8のS130以降の処理が実行される。
【0080】
第2の判断部32は、S130でYESと判断する。この場合、接続制御部30は、ユーザによって入力されるパスワードを用いて(S138でYES)、接続試行処理を実行する(S140)。この結果、接続制御部30は、プリンタ10とAP50との間に無線接続WC7を確立する(S142でYES)。記憶制御部34は、無線プロファイル記憶領域28内のSSID「ABC」を、特定済みのPres信号に含まれるSSID「GHI」に更新する(S144)。さらに、記憶制御部34は、無線プロファイル記憶領域28内のパスワードを、S138で入力されたパスワードに更新する。
【0081】
ケースGで説明したように、本実施例のプリンタ10は、無線接続WC1が確立された後に、AP50のSSIDのみならず、パスワードが変更されたことに起因して、無線接続WC1が切断された場合に、プリンタ10とAP50との間に無線接続WC7を確立することができる。ケースF及びGを比べると明らかなように、プリンタ10は、S72の接続試行処理で無線接続を確立することができない場合に、その原因に応じて、無線接続WC6又はWC7を適切に確立することができる。
【0082】
(対応関係)
AP70、SSID「DEF」、図9のケースEでAP70から受信されるPres信号が、それぞれ、「第3のアクセスポイント」、「第3のネットワーク識別情報」、「第5の所定信号」の一例である。また、図2のS28で記憶されるパスワード、図8のS138で入力されるパスワードが、それぞれ、「第1のパスワード」、「第2のパスワード」の一例である。図8のS132のオールチャレンジ処理が、「特定の接続処理」の一例である。また、図9〜図11の無線接続WC5〜WC7が、それぞれ、「第5〜第7の無線接続」の一例である。
【0083】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
【0084】
(変形例1)図2のS24において、接続制御部30は、オールチャレンジ処理を実行する代わりに、ユーザによって入力される認証方式及び暗号化方式の組合せを用いて、接続試行処理を実行してもよい。また、図2のS24において、接続制御部30は、AP50から、AP50に現在設定されている認証方式及び暗号化方式の組合せを取得し、当該組合せを用いて、接続試行処理を実行してもよい。一般的に言うと、「第1の無線接続」は、上記の様々な手法のいずれかを用いて確立されればよい。
【0085】
(変形例2)上記の各実施例では、プリンタ10の周囲に2個のAP50,70が存在するが、プリンタ10の周囲に1個のAPのみが存在してもよい。また、プリンタ10の周囲に3個以上のAPが存在してもよい。一般的に言うと、「M」は1以上の整数であればよいし、「N」は1以上の整数であってもよい。「M」と「N」は、同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
【0086】
(変形例3)「無線通信装置」は、プリンタ10に限られず、無線通信を実行可能な他の種類の装置(PC、サーバ、コピー機、FAX装置、スキャナ、多機能機、携帯端末、PDA等)であってもよい。
【0087】
(変形例4)上記の各実施例では、CPU22がソフトウェア(即ちプログラム26)に従って処理を実行することによって、各部30〜40の機能が実現される。これに代えて、各部30〜40の機能のうちの少なくとも一部は、論理回路等のハードウェアによって実現されてもよい。
【0088】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0089】
2:無線通信システム、10:プリンタ、50,70:AP、60:PC、WC1〜WC7:無線接続
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信装置であって、
第1のアクセスポイントを含む無線ネットワークを識別するための識別情報である第1のネットワーク識別情報を用いて、前記無線通信装置と前記第1のアクセスポイントとの間に第1の無線接続を確立する接続制御部と、
前記第1の無線接続が確立される場合に、前記第1のアクセスポイントを識別するための不変の識別情報である第1のAP識別情報を、メモリに記憶させる記憶制御部と、
前記第1の無線接続が確立された後に、前記第1の無線接続が切断される場合に、M個(前記Mは1以上の整数)のアクセスポイントのそれぞれから所定信号を受信する受信制御部であって、前記所定信号は、前記所定信号の送信元のアクセスポイントを含む無線ネットワークを識別するための識別情報であるネットワーク識別情報と、前記所定信号の送信元のアクセスポイントを識別するための不変の識別情報であるAP識別情報と、を含む、前記受信制御部と、
前記メモリ内の前記第1のAP識別情報を用いて、前記M個のアクセスポイントから受信されるM個の所定信号の中から、前記第1のAP識別情報を含む第1の所定信号を特定する特定部と、を備え、
前記接続制御部は、さらに、特定済みの前記第1の所定信号に含まれる第2のネットワーク識別情報であって、前記第1のネットワーク識別情報とは異なる前記第2のネットワーク識別情報を用いて、前記無線通信装置と前記第1のアクセスポイントとの間に第2の無線接続を確立する、無線通信装置。
【請求項2】
前記受信制御部は、さらに、前記第1の無線接続が確立される前に、N個(前記Nは1以上の整数)のアクセスポイントのそれぞれから前記所定信号を受信し、
前記特定部は、さらに、ユーザの指示に従って、前記N個のアクセスポイントから受信されるN個の所定信号の中から、前記第1のネットワーク識別情報と、前記第1のAP識別情報と、を含む第2の所定信号を特定し、
前記接続制御部は、特定済みの前記第2の所定信号に含まれる前記第1のネットワーク識別情報を用いて、前記第1の無線接続を確立し、
前記記憶制御部は、前記第1の無線接続が確立される場合に、特定済みの前記第2の所定信号に含まれる前記第1のAP識別情報を、前記メモリに記憶させ、
前記特定部は、前記ユーザの指示がない状態で、前記第1の所定信号を特定する、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記記憶制御部は、さらに、前記第1の無線接続が確立される場合に、前記第1のネットワーク識別情報を、前記メモリに記憶させ、
前記特定部は、
前記メモリ内の前記第1のネットワーク識別情報を用いて、前記M個の所定信号の中に、前記第1のネットワーク識別情報を含む特定の所定信号が含まれるのか否かを判断する第1の判断部を備え、
前記M個の所定信号の中に前記特定の所定信号が含まれないと判断される第1の場合に、
前記特定部は、前記第1の所定信号を特定し、
前記接続制御部は、特定済みの前記第1の所定信号に含まれる前記第2のネットワーク識別情報を用いて、前記第2の無線接続を確立し、
前記M個の所定信号の中に前記特定の所定信号が含まれると判断される第2の場合に、
前記特定部は、さらに、前記M個の所定信号の中から、前記特定の所定信号である第3の所定信号であって、前記第1のAP識別情報をさらに含む前記第3の所定信号を特定し、
前記接続制御部は、特定済みの前記第3の所定信号に含まれる前記第1のネットワーク識別情報を用いて、前記無線通信装置と前記第1のアクセスポイントとの間に第3の無線接続を確立する、請求項1又は2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記特定部は、
前記第2の場合において、前記M個の所定信号の中に、前記第3の所定信号が含まれる場合に、前記第3の所定信号を特定し、
前記第2の場合において、前記M個の所定信号の中に、前記特定の所定信号である第4の所定信号であって、前記第1のAP識別情報とは異なる第2のAP識別情報をさらに含む前記第4の所定信号が含まれる場合に、前記第4の所定信号を特定し、
前記第2のAP識別情報は、前記第1のアクセスポイントとは異なる第2のアクセスポイントを識別するための不変の識別情報であり、
前記接続制御部は、
前記第2の場合において、前記特定部が前記第3の所定信号を特定する場合に、特定済みの前記第3の所定信号に含まれる前記第1のネットワーク識別情報を用いて、前記第3の無線接続を確立し、
前記第2の場合において、前記特定部が前記第4の所定信号を特定する場合に、特定済みの前記第4の所定信号に含まれる前記第1のネットワーク識別情報を用いて、前記無線通信装置と前記第2のアクセスポイントとの間に第4の無線接続を確立する、請求項3に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記特定部は、
前記第1の場合において、前記M個の所定信号の中に、前記第1の所定信号が含まれる場合に、前記第1の所定信号を特定し、
前記第1の場合において、前記M個の所定信号の中に、前記第1の所定信号が含まれない場合に、ユーザの指示に従って、前記M個の所定信号の中から、第3のネットワーク識別情報を含む第5の所定信号を特定し、
前記第3のネットワーク識別情報は、前記第1のアクセスポイントとは異なる第3のアクセスポイントを含む無線ネットワークを識別するための識別情報であり、
前記接続制御部は、
前記第1の場合において、前記特定部が前記第1の所定信号を特定する場合に、特定済みの前記第1の所定信号に含まれる前記第2のネットワーク識別情報を用いて、前記第2の無線接続を確立し、
前記第1の場合において、前記特定部が前記第5の所定信号を特定する場合に、特定済みの前記第5の所定信号に含まれる前記第3のネットワーク識別情報を用いて、前記無線通信装置と前記第3のアクセスポイントとの間に第5の無線接続を確立する、請求項3又は4に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記記憶制御部は、さらに、前記第1の無線接続が確立される場合に、前記第1の無線接続を確立するための特定種類のセキュリティ方式を、前記メモリに記憶させ、
前記接続制御部は、特定済みの前記第1の所定信号に含まれる前記第2のネットワーク識別情報と、前記メモリ内の前記特定種類のセキュリティ方式と、を用いて、前記第2の無線接続を確立する、請求項1から5のいずれか一項に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記接続制御部は、さらに、前記第2の無線接続を確立することができない場合に、特定済みの前記第1の所定信号に含まれる前記第2のネットワーク識別情報を用いて、特定の接続処理を実行し、
前記特定の接続処理は、予め決められている複数種類のセキュリティ方式のそれぞれを順次用いて、前記無線通信装置と前記第1のアクセスポイントとの間に第6の無線接続を確立するための処理である、請求項6に記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記記憶制御部は、さらに、前記第1の無線接続が確立される場合に、前記第1の無線接続を確立するための第1のパスワードを、前記メモリに記憶させ、
前記接続制御部は、特定済みの前記第1の所定信号に含まれる前記第2のネットワーク識別情報と、前記メモリ内の前記特定種類のセキュリティ方式と、前記メモリ内の前記第1のパスワードと、を用いて、前記第2の無線接続を確立し、
前記接続制御部は、前記第2の無線接続を確立することができない場合に、前記第2の無線接続を確立することができない原因が前記第1のパスワードであるのか否かを判断する第2の判断部を備え、
前記接続制御部は、さらに、
前記原因が前記第1のパスワードであると判断される場合に、特定済みの前記第1の所定信号に含まれる前記第2のネットワーク識別情報と、前記特定種類のセキュリティ方式と、ユーザによって入力される第2のパスワードであって、前記第1のパスワードとは異なる前記第2のパスワードと、を用いて、前記無線通信装置と前記第1のアクセスポイントとの間に第7の無線接続を確立し、
前記原因が前記第1のパスワードでないと判断される場合に、前記特定の接続処理を実行する、請求項7に記載の無線通信装置。
【請求項9】
前記ネットワーク識別情報は、SSIDであり、
前記AP識別情報は、BSSIDである、請求項1から8のいずれか一項に記載の無線通信装置。
【請求項10】
無線通信装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記無線通信装置に搭載されるコンピュータに、以下の各処理、即ち、
第1のアクセスポイントを含む無線ネットワークを識別するための識別情報である第1のネットワーク識別情報を用いて、前記無線通信装置と前記第1のアクセスポイントとの間に第1の無線接続を確立する接続制御処理と、
前記第1の無線接続が確立される場合に、前記第1のアクセスポイントを識別するための不変の識別情報である第1のAP識別情報を、メモリに記憶させる記憶制御処理と、
前記第1の無線接続が確立された後に、前記第1の無線接続が切断される場合に、M個(前記Mは1以上の整数)のアクセスポイントのそれぞれから所定信号を受信する受信制御処理であって、前記所定信号は、前記所定信号の送信元のアクセスポイントを含む無線ネットワークを識別するための識別情報であるネットワーク識別情報と、前記所定信号の送信元のアクセスポイントを識別するための不変の識別情報であるAP識別情報と、を含む、前記受信制御処理と、
前記メモリ内の前記第1のAP識別情報を用いて、前記M個のアクセスポイントから受信されるM個の所定信号の中から、前記第1のAP識別情報を含む第1の所定信号を特定する特定処理と、を実行させ、
前記接続制御処理では、さらに、特定済みの前記第1の所定信号に含まれる第2のネットワーク識別情報であって、前記第1のネットワーク識別情報とは異なる前記第2のネットワーク識別情報を用いて、前記無線通信装置と前記第1のアクセスポイントとの間に第2の無線接続を確立する、コンピュータプログラム。
【請求項1】
無線通信装置であって、
第1のアクセスポイントを含む無線ネットワークを識別するための識別情報である第1のネットワーク識別情報を用いて、前記無線通信装置と前記第1のアクセスポイントとの間に第1の無線接続を確立する接続制御部と、
前記第1の無線接続が確立される場合に、前記第1のアクセスポイントを識別するための不変の識別情報である第1のAP識別情報を、メモリに記憶させる記憶制御部と、
前記第1の無線接続が確立された後に、前記第1の無線接続が切断される場合に、M個(前記Mは1以上の整数)のアクセスポイントのそれぞれから所定信号を受信する受信制御部であって、前記所定信号は、前記所定信号の送信元のアクセスポイントを含む無線ネットワークを識別するための識別情報であるネットワーク識別情報と、前記所定信号の送信元のアクセスポイントを識別するための不変の識別情報であるAP識別情報と、を含む、前記受信制御部と、
前記メモリ内の前記第1のAP識別情報を用いて、前記M個のアクセスポイントから受信されるM個の所定信号の中から、前記第1のAP識別情報を含む第1の所定信号を特定する特定部と、を備え、
前記接続制御部は、さらに、特定済みの前記第1の所定信号に含まれる第2のネットワーク識別情報であって、前記第1のネットワーク識別情報とは異なる前記第2のネットワーク識別情報を用いて、前記無線通信装置と前記第1のアクセスポイントとの間に第2の無線接続を確立する、無線通信装置。
【請求項2】
前記受信制御部は、さらに、前記第1の無線接続が確立される前に、N個(前記Nは1以上の整数)のアクセスポイントのそれぞれから前記所定信号を受信し、
前記特定部は、さらに、ユーザの指示に従って、前記N個のアクセスポイントから受信されるN個の所定信号の中から、前記第1のネットワーク識別情報と、前記第1のAP識別情報と、を含む第2の所定信号を特定し、
前記接続制御部は、特定済みの前記第2の所定信号に含まれる前記第1のネットワーク識別情報を用いて、前記第1の無線接続を確立し、
前記記憶制御部は、前記第1の無線接続が確立される場合に、特定済みの前記第2の所定信号に含まれる前記第1のAP識別情報を、前記メモリに記憶させ、
前記特定部は、前記ユーザの指示がない状態で、前記第1の所定信号を特定する、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記記憶制御部は、さらに、前記第1の無線接続が確立される場合に、前記第1のネットワーク識別情報を、前記メモリに記憶させ、
前記特定部は、
前記メモリ内の前記第1のネットワーク識別情報を用いて、前記M個の所定信号の中に、前記第1のネットワーク識別情報を含む特定の所定信号が含まれるのか否かを判断する第1の判断部を備え、
前記M個の所定信号の中に前記特定の所定信号が含まれないと判断される第1の場合に、
前記特定部は、前記第1の所定信号を特定し、
前記接続制御部は、特定済みの前記第1の所定信号に含まれる前記第2のネットワーク識別情報を用いて、前記第2の無線接続を確立し、
前記M個の所定信号の中に前記特定の所定信号が含まれると判断される第2の場合に、
前記特定部は、さらに、前記M個の所定信号の中から、前記特定の所定信号である第3の所定信号であって、前記第1のAP識別情報をさらに含む前記第3の所定信号を特定し、
前記接続制御部は、特定済みの前記第3の所定信号に含まれる前記第1のネットワーク識別情報を用いて、前記無線通信装置と前記第1のアクセスポイントとの間に第3の無線接続を確立する、請求項1又は2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記特定部は、
前記第2の場合において、前記M個の所定信号の中に、前記第3の所定信号が含まれる場合に、前記第3の所定信号を特定し、
前記第2の場合において、前記M個の所定信号の中に、前記特定の所定信号である第4の所定信号であって、前記第1のAP識別情報とは異なる第2のAP識別情報をさらに含む前記第4の所定信号が含まれる場合に、前記第4の所定信号を特定し、
前記第2のAP識別情報は、前記第1のアクセスポイントとは異なる第2のアクセスポイントを識別するための不変の識別情報であり、
前記接続制御部は、
前記第2の場合において、前記特定部が前記第3の所定信号を特定する場合に、特定済みの前記第3の所定信号に含まれる前記第1のネットワーク識別情報を用いて、前記第3の無線接続を確立し、
前記第2の場合において、前記特定部が前記第4の所定信号を特定する場合に、特定済みの前記第4の所定信号に含まれる前記第1のネットワーク識別情報を用いて、前記無線通信装置と前記第2のアクセスポイントとの間に第4の無線接続を確立する、請求項3に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記特定部は、
前記第1の場合において、前記M個の所定信号の中に、前記第1の所定信号が含まれる場合に、前記第1の所定信号を特定し、
前記第1の場合において、前記M個の所定信号の中に、前記第1の所定信号が含まれない場合に、ユーザの指示に従って、前記M個の所定信号の中から、第3のネットワーク識別情報を含む第5の所定信号を特定し、
前記第3のネットワーク識別情報は、前記第1のアクセスポイントとは異なる第3のアクセスポイントを含む無線ネットワークを識別するための識別情報であり、
前記接続制御部は、
前記第1の場合において、前記特定部が前記第1の所定信号を特定する場合に、特定済みの前記第1の所定信号に含まれる前記第2のネットワーク識別情報を用いて、前記第2の無線接続を確立し、
前記第1の場合において、前記特定部が前記第5の所定信号を特定する場合に、特定済みの前記第5の所定信号に含まれる前記第3のネットワーク識別情報を用いて、前記無線通信装置と前記第3のアクセスポイントとの間に第5の無線接続を確立する、請求項3又は4に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記記憶制御部は、さらに、前記第1の無線接続が確立される場合に、前記第1の無線接続を確立するための特定種類のセキュリティ方式を、前記メモリに記憶させ、
前記接続制御部は、特定済みの前記第1の所定信号に含まれる前記第2のネットワーク識別情報と、前記メモリ内の前記特定種類のセキュリティ方式と、を用いて、前記第2の無線接続を確立する、請求項1から5のいずれか一項に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記接続制御部は、さらに、前記第2の無線接続を確立することができない場合に、特定済みの前記第1の所定信号に含まれる前記第2のネットワーク識別情報を用いて、特定の接続処理を実行し、
前記特定の接続処理は、予め決められている複数種類のセキュリティ方式のそれぞれを順次用いて、前記無線通信装置と前記第1のアクセスポイントとの間に第6の無線接続を確立するための処理である、請求項6に記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記記憶制御部は、さらに、前記第1の無線接続が確立される場合に、前記第1の無線接続を確立するための第1のパスワードを、前記メモリに記憶させ、
前記接続制御部は、特定済みの前記第1の所定信号に含まれる前記第2のネットワーク識別情報と、前記メモリ内の前記特定種類のセキュリティ方式と、前記メモリ内の前記第1のパスワードと、を用いて、前記第2の無線接続を確立し、
前記接続制御部は、前記第2の無線接続を確立することができない場合に、前記第2の無線接続を確立することができない原因が前記第1のパスワードであるのか否かを判断する第2の判断部を備え、
前記接続制御部は、さらに、
前記原因が前記第1のパスワードであると判断される場合に、特定済みの前記第1の所定信号に含まれる前記第2のネットワーク識別情報と、前記特定種類のセキュリティ方式と、ユーザによって入力される第2のパスワードであって、前記第1のパスワードとは異なる前記第2のパスワードと、を用いて、前記無線通信装置と前記第1のアクセスポイントとの間に第7の無線接続を確立し、
前記原因が前記第1のパスワードでないと判断される場合に、前記特定の接続処理を実行する、請求項7に記載の無線通信装置。
【請求項9】
前記ネットワーク識別情報は、SSIDであり、
前記AP識別情報は、BSSIDである、請求項1から8のいずれか一項に記載の無線通信装置。
【請求項10】
無線通信装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記無線通信装置に搭載されるコンピュータに、以下の各処理、即ち、
第1のアクセスポイントを含む無線ネットワークを識別するための識別情報である第1のネットワーク識別情報を用いて、前記無線通信装置と前記第1のアクセスポイントとの間に第1の無線接続を確立する接続制御処理と、
前記第1の無線接続が確立される場合に、前記第1のアクセスポイントを識別するための不変の識別情報である第1のAP識別情報を、メモリに記憶させる記憶制御処理と、
前記第1の無線接続が確立された後に、前記第1の無線接続が切断される場合に、M個(前記Mは1以上の整数)のアクセスポイントのそれぞれから所定信号を受信する受信制御処理であって、前記所定信号は、前記所定信号の送信元のアクセスポイントを含む無線ネットワークを識別するための識別情報であるネットワーク識別情報と、前記所定信号の送信元のアクセスポイントを識別するための不変の識別情報であるAP識別情報と、を含む、前記受信制御処理と、
前記メモリ内の前記第1のAP識別情報を用いて、前記M個のアクセスポイントから受信されるM個の所定信号の中から、前記第1のAP識別情報を含む第1の所定信号を特定する特定処理と、を実行させ、
前記接続制御処理では、さらに、特定済みの前記第1の所定信号に含まれる第2のネットワーク識別情報であって、前記第1のネットワーク識別情報とは異なる前記第2のネットワーク識別情報を用いて、前記無線通信装置と前記第1のアクセスポイントとの間に第2の無線接続を確立する、コンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−74579(P2013−74579A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214019(P2011−214019)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]