説明

無線ICデバイスとその製造方法

【課題】製造コストを低減することができ、電気特性の劣化を防ぐことができる、無線ICデバイスとその製造方法を提供する。
【解決手段】(a)放射板14と、(b)無線ICチップ30と、(c)インダクタンス素子を含む共振回路及び/又は整合回路を有する給電回路を備え、給電回路が放射板14と電磁界結合する基板22とを備える。基板22は樹脂材料からなり、一方主面22a側に凹部21が形成されている。基板は、(i)凹部21の底面21s及び内周面21tと基板22の一方主面22aとに沿って形成され、給電回路に電気的に接続された配線電極24と、(ii)基板22とは異なる材料で形成され、配線電極24から離れて凹部21の底面21sと基板22の他方主面22bとの間に延在する、くさび部材とを備える。無線ICチップ30は、凹部21に搭載され、配線電極24に結合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線ICデバイスとその製造方法に関し、詳しくは、例えばRF−ID(Radio Frequency Identification)システムに用いられる非接触型無線ICメディアや非接触型無線ICタグ等の無線ICデバイスとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板に無線ICチップが実装されたモジュール部品と、放射板とを備えた無線ICデバイスが提案されている。このような無線ICデバイスにおいて、基板に凹部を形成し、この凹部に無線ICチップを実装することが考えられる。
【0003】
例えば特許文献1には、図12(a)の断面図に示すように、樹脂基板110の両面にプリプレグ120を介して銅バンプ116a,118aと配線パターン117,119が接合された配線基板を作製し、図12(b)の断面図に示すように、配線基板の所定箇所をザグリ加工することにより凹部122を形成し、凹部122の底面に露出した銅バンプ116bの端面Aに、図12(c)の断面図に示すように、半導体チップ130を電気的に接続して、凹部122内に半導体チップ130を搭載した後、凹部122に樹脂124を充填して、半導体チップ130を封止する半導体装置が開示されている。
【特許文献1】特開2004−319848号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、多層樹脂基板を形成した後に、機械加工であるザグリ加工を行うと、工程が増加し、また加工用の機器も必要になり、製造コストが増大する。
【0005】
また、凹部が形成された側の樹脂基板の一方主面と、半導体チップとを接続したい場合、ザグリ加工された凹部の内周面に配線を形成することは困難であるため、最短距離で配線を引き回すことは困難であり、配線を迂回せざるを得ない。例えば、銅バンプ116bを介して、凹部122の底面から多層樹脂基板の他方主面の配線パターン117に接続し、他方主面の配線パターン117から銅バンプ116a,118a等を介して、多層樹脂基板の一方主面まで配線する必要がある。
【0006】
このように迂回して配線を引き回すと、その配線部分において不要なインダクタ成分やキャパシタ成分が発生することにより電気特性が劣化したり、作製工程が長く、かつ複雑になり、良品率が低下するなどのため、製造コストが増加したりするという問題がある。
【0007】
本発明は、かかる実情に鑑み、製造コストを低減することができ、電気特性の劣化を防ぐことができる、無線ICデバイスとその製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、以下のように構成した無線ICデバイスを提供する。
【0009】
無線ICデバイスは、(a)放射板と、(b)無線ICチップと、(c)前記無線ICチップが実装され、インダクタンス素子を含む共振回路及び/又は整合回路を有する給電回路を備え、前記給電回路が前記放射板と電磁界結合する基板とを備える。前記基板は、樹脂材料からなり、前記基板の一方主面側に凹部が形成されている。前記基板は、(i)前記凹部の底面及び内周面と前記基板の前記一方主面とに沿って形成され、前記給電回路に電気的に接続された配線電極と、(ii)前記樹脂材料とは異なる材料で形成され、前記配線電極から離れて前記凹部の底面と前記基板の他方主面との間に延在する、くさび部材とを備える。前記無線ICチップは、前記凹部に搭載され、前記配線電極に結合されている。
【0010】
上記構成において、無線ICチップは配線電極を介して給電回路に電気的に接続される、もしくは、絶縁材料等を介して電磁界的に結合される。くさび部材は、基板とは変形挙動が異なり、基板の凹部付近の変形を阻止するように、基板と異なる材料で形成することができる。
【0011】
上記構成によれば、樹脂材料からなる基板は、基板の一方主面側から凹部となる部分を押圧することによって、凹部を容易に形成することができる。このとき、凹部の底面及び内周面となる部分に予め形成された配線電極を同時に押圧することにより、凹部の底面及び内周面に沿う配線電極を形成することができる。
【0012】
樹脂材料を押圧して加工した場合、加工変形した部分が元の形状に戻るように、すなわち加工により変形した方向とは逆方向に、変形する場合がある。このような場合に、凹部の底面と基板の他方主面との間に延在するくさび部材によって、凹部付近における基板の変形を防ぐことができる。
【0013】
くさび部材は、無線ICチップが電気的に接続される配線電極から離れて形成され、無線ICチップとは電気的に接続されない。そのため、くさび部材は、無線ICチップの電気特性を劣化させることはない。
【0014】
また、基板の一方主面と無線ICチップとの間は、配線電極により最短距離で接続されるので、配線の迂回部分おいて不要なインダクタ成分やキャパシタ成分が発生して電気特性が劣化することがない。
【0015】
好ましくは、前記くさび部材は、前記基板を貫通する貫通孔に導電材料が充填されてなる。
【0016】
この場合、くさび部材を簡単に形成することができる。例えば、基板を貫通する配線用のビア導体と同じ材料を用いて、ビア導体と同時に、くさび部材を形成することができる。
【0017】
好ましくは、前記基板の前記一方主面及び/又は前記他方主面に、前記給電回路が形成されている。
【0018】
この場合、基板の両主面に給電回路のパターンを形成し、ビア導体等で両主面のパターンを接続することで、給電回路を小型化しても放射板と十分に電磁界結合させることができる。
【0019】
好ましくは、前記無線ICチップの全体が、前記基板の前記一方主面に隣接して形成された前記凹部の開口よりも前記凹部の前記底面側に配置されている。
【0020】
この場合、無線ICチップは、凹部の内側に完全に収納され、基板からは突出しない。そのため、無線ICチップが基板から突出している場合と比べると、無線ICチップに外部からの衝撃等が直接作用しにくいので、無線ICデバイスの信頼性を向上させることができる。
【0021】
好ましくは、前記凹部の前記底面の法線方向から透視したとき大きさが異なる、複数の前記くさび部材を備える。前記凹部の前記底面の中心に相対的に近い領域に、前記凹部の前記底面の法線方向から透視したとき相対的に大きい前記くさび部材が配置される。前記凹部の前記底面の中心から相対的に遠い領域に、前記凹部の前記底面の法線方向から透視したとき相対的に小さい前記くさび部材が配置されている。
【0022】
この場合、加工変形量が相対的に大きく、戻り変形も相対的に大きい凹部の中心に相対的に近い領域に、相対的に大きいくさび部材を配置して戻り変形の抑止力を相対的に大きくする。これにより、より効果的に基板の凹部付近の変形を防止することができる。
【0023】
好ましくは、前記凹部に搭載された前記無線ICチップの周囲を覆う保護膜をさらに備える。
【0024】
この場合、無線ICチップは、外部からの湿気や有害ガスの侵入が保護膜により阻止され、保護されるので、無線ICデバイスの信頼性をさらに向上させることができる。
【0025】
また、本発明は、種々の無線ICデバイスの製造方法を提供する。
【0026】
無線ICデバイスの製造方法は、(a)放射板と、(b)無線ICチップと、(c)前記無線ICチップが実装され、インダクタンス素子を含む共振回路及び/又は整合回路を有する給電回路を備え、前記給電回路が前記放射板と電磁界結合する基板とを備えた無線ICデバイスの製造方法である。無線ICデバイスの製造方法は、(i)樹脂材料からなり、前記給電回路に接続された配線電極が前記基板の一方主面に予め形成されている前記基板の前記一方主面の一部及び前記配線電極の一部を押圧して、前記基板に凹部を形成するとともに、前記凹部の底面及び内周面に沿って前記配線電極を延在させる、凹部形成工程と、(ii)前記配線電極から離れて前記凹部の前記底面と前記基板の他方主面との間に延在するくさび部材を、前記樹脂材料と異なる材料で形成する、くさび部材形成工程と、(iii)前記凹部に前記無線ICチップを搭載して、前記無線ICチップを前記配線電極に結合する、実装工程とを含む。
【0027】
この方法によれば、基板を押圧して凹部を形成することにより、製造コストを低減することができる。また、凹部の底面及び内周面に沿って配線電極が形成されるので、凹部に実装された無線ICチップと基板の一方主面との間を接続する引き回し配線の距離をできるだけ短くして、引き回し配線による電気特性の劣化を防ぐことができる。
【0028】
他の無線ICデバイスの製造方法は、(a)放射板と、(b)無線ICチップと、(c)前記無線ICチップが実装され、インダクタンス素子を含む共振回路及び/又は整合回路を有する給電回路を備え、前記給電回路が前記放射板と電磁界結合する基板とを備えた無線ICデバイスの製造方法である。無線ICデバイスの製造方法は、(i)樹脂材料からなり、前記給電回路に接続された配線電極が前記基板の一方主面に予め形成されている前記基板の前記配線電極から離れて前記基板の前記一方主面と前記基板の他方主面との間に延在するくさび部材を、前記樹脂材料と異なる材料で形成する、くさび部材形成工程と、(ii)前記基板の前記一方主面の一部及び前記配線電極の一部と前記くさび部材とを押圧して、前記基板に凹部を形成するとともに、前記凹部の底面及び内周面に沿って前記配線電極を延在させ、前記くさび部材が前記凹部の底面と前記基板の前記他方主面との間に延在させる、凹部形成工程と、(iii)前記凹部に前記無線ICチップを搭載して、前記無線ICチップを前記配線電極に結合する、実装工程とを含む。
【0029】
この方法によれば、凹部形成と同時に、くさび部材の硬化を図ることができるので、凹部の高さが安定する。
【0030】
また、基板を押圧して凹部を形成することにより、製造コストを低減することができる。また、凹部の底面及び内周面に沿って配線電極が形成されるので、凹部に実装された無線ICチップと基板の一方主面との間を接続する引き回し配線の距離をできるだけ短くして、引き回し配線による電気特性の劣化を防ぐことができる。
【0031】
さらに別の無線ICデバイスの製造方法は、(a)放射板と、(b)無線ICチップと、(c)前記無線ICチップが実装され、インダクタンス素子を含む共振回路及び/又は整合回路を有する給電回路を備え、前記給電回路が前記放射板と電磁界結合する基板とを備えた無線ICデバイスの製造方法である。無線ICデバイスの製造方法は、(i)樹脂材料からなり、前記給電回路に接続された配線電極が前記基板の一方主面に予め形成されている前記基板の前記配線電極から離れて前記基板の前記一方主面と前記基板の他方主面との間に延在するくさび部材を、前記樹脂材料とは異なる材料で形成する、くさび部材形成工程と、(ii)前記基板の前記配線電極に対向するように前記無線ICチップを前記基板の一方主面に搭載した状態で、前記無線ICチップを前記基板の前記一方主面に向けて押圧して、前記基板に前記無線ICチップが埋め込まれる凹部を形成するとともに、前記凹部の底面及び内周面に沿って前記配線電極を延在させ、前記くさび部材を前記凹部の前記底面と前記基板の前記他方主面との間に延在させる、凹部形成及び実装工程とを含む。
【0032】
この方法によれば、凹部形成及び実装工程の一工程で、凹部の形成と無線ICチップの実装とを行うことができ、高さが安定した凹部を形成することができ、無線ICチップの搭載も安定させることができる。
【0033】
また、無線ICチップを介して基板を押圧して基板に凹部を形成することにより、製造コストを低減することができる。また、凹部の底面及び内周面に沿って配線電極が形成されるので、凹部に実装された無線ICチップと基板の一方主面との間を接続する引き回し配線の距離をできるだけ短くして、引き回し配線による電気特性の劣化を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、無線ICデバイスの製造コストを低減することができ、電気特性の劣化を防ぐことができる
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態として実施例を図1〜図11を参照しながら説明する。
【0036】
<実施例1> 実施例1の無線ICデバイス10について、図1〜図4を参照しながら説明する。
【0037】
図1の断面図に模式的に示すように、無線ICデバイス10は、基板22の凹部21内に無線ICチップ30が実装されているモジュール部品20が、絶縁性の粘着シート(市販シールの粘着面の粘着性薄膜)、接着材等の接合材16を介して、放射板14に接合されている。放射板14は、導電材料により所定の形状に形成されている。
【0038】
放射板14は、例えばシート状の基材に、Ag粒子含有樹脂の印刷、インクジェットやフォトリソグラフィによる微細配線などにより形成し、放射板14を形成した基材を物品に接着するようにしてもよい。
【0039】
放射板14は、絶縁性の接合材16を介して、基板22と電磁界によって結合されるが、直流的に導通しない。詳しくは、基板22は結合用電極を含み、放射板14と結合用電極とを、電磁波を介して電磁界結合させる。なお、電界だけ、磁界だけを利用して電磁界結合させてもよい。
【0040】
無線ICデバイス10をRF−IDシステムに用いる場合、物品に貼り付けられた無線ICデバイス10に対して、外部から不図示のリーダライタを用い、放射板14を介して無線ICチップ30と通信し、無線ICチップ30に格納されたデータを非接触で読み出す。
【0041】
基板22は、樹脂材料からなる。基板22の凹部21は、基板22を押圧することにより形成されている。基板22の一方主面である上面22aと凹部21の内周面21t及び底面21sに沿って配線パターン24が形成され、基板22の他方主面である下面22bに沿って配線パターン26が形成されている。
【0042】
図1では、凹部21の底面21sと基板22の下面22bとの間を貫通し、配線パターン24,26に接続された貫通導体28のみが図示されているが、詳しくは、凹部21を上から見た平面図である図3に示すように、凹部21の底面21sに形成されている4つの配線パターン24a〜24dのうち2つの配線パターン24b,24cに、それぞれ貫通導体28が接続されている。さらに、配線パターン24a〜24dから離れた位置にも、貫通導体28a,28bが形成されている。これらの貫通導体28a,28bは、くさび部材であり、配線パターン24b,24cに接続された貫通導体28と同様に、凹部21の底面21sと基板22の下面22bとの間に延在している。
【0043】
モジュール部品20は、図4の平面図に模式的に示すように、凹部21の底面21sに形成されている配線パターン24a〜24d上に無線ICチップ30が実装される。無線ICチップ30は、Auバンプ、Agバンプ、はんだバンプなどを利用するフリップチップ接合やAgナノ接合によって、バンプ12を介して実装されている。ダイボンディング、ワイヤボンディングによる接合を利用したり、これらの接合を組み合わせたりして実装してもよい。あるいは、無線ICチップの実装電極と配線パターンとの間に絶縁体材料を配置し、容量あるいは磁界などにより電磁界的に結合するようにしても構わない。
【0044】
貫通導体28が接続されている配線パターン24b,24cには無線ICチップ30の入出力端子が接続され、他の配線パターン24a,24dには無線ICチップ30のダミー端子が接続される。配線パターン24b,24cは、貫通導体28を介して、基板22の下面22bの配線パターン26により形成された給電回路26s,26tに電気的に接続されている。なお、図4には、配線パターン24のうち基板22の上面22aに形成されている部分(図1参照)は図示されていない。
【0045】
押圧により凹部21が形成された基板22は、凹部21付近が押圧後に変形することがある。凹部21の底面21sと基板22の下面22bとの間に延在する貫通導体28,28a,28bは、凹部21付近の基板22の押圧後の戻り変形を防止する。
【0046】
貫通導体28,28a,28bは、基板22の凹部21付近の変形を抑制するため、基板22とは異なる材料で形成する。配線パターン24a〜24dから離れて形成されている貫通導体28a,28bは、電気的な接続を目的とするものではないため、導電材料を用いずに形成することもできるが、電気的な接続を目的とする貫通導体28と同じ材料を用いれば、貫通導体28と同時に形成することができ、工程が簡略になり、製造コストを低減することができる。
【0047】
図3に示すように、貫通導体28,28a,28bは、凹部21の中心に近いものほど大きくし、凹部21の中心から遠いものほど小さくする。基板22は、凹部21の中心に近いほど押圧による加工変形量が大きく、凹部21の中心から遠いほど押圧による加工変形量が小さくなる。基板22は、加工変形量が大きい部分ほど、加工後の戻り変形が大きくなる傾向があるので、加工後の戻り変形が大きくなる部分ほど貫通導体を大きくして、戻り変形に対する抑止力を大きくする。これによって、同じ量の材料を用いて効率的に貫通導体を形成することができる。
【0048】
材料の種類や凹部の寸法・形状、加工条件などによっては、凹部21の内周面に近いほど基板22の加工後の戻り変形が大きく、凹部21の中心に近いほど加工後の戻り変形が小さくなる場合もあり得る。このような場合には、凹部21の内周面21tに近い貫通導体ほど大きくし、凹部21の中心に近い貫通導体ほど小さくすればよい。
【0049】
配線パターン24のうち基板22の上面22aに形成されている部分と、基板22の下面22bに形成されている配線パターン26とによって、インダクタンス素子を含む給電回路が構成されている。給電回路は、無線ICチップ30が動作する動作周波数に対応する共振周波数を有する共振回路を含む。給電回路は、放射板14と無線ICチップ30との特性インピーダンスを整合する整合回路を有していてもよい。
【0050】
次に、モジュール部品20の作製工程について、図2及び図3を参照しながら説明する。図2は、モジュール部品20の作製工程を模式的に示す断面図である。
【0051】
まず、図2(a)に示すように、金属箔付き樹脂シートを用意し、エッチング等により金属箔を所定のパターンに加工することにより、樹脂シートの基板22の両面又は片面に金属箔の配線パター24,26を形成する。基板22の上面22aに形成される配線パターン24は、後工程における押圧により凹部21の底面21s及び内周面21tとなる部分にも所定のパターンが形成されている。
【0052】
基板22に用いる樹脂シートには、加工が簡単であり、加工後の変形が少ない材料が適しており、例えば、液晶ポリマー(LCP)、ポリイミド、フッ素樹脂の樹脂シートを基板22に用いる。樹脂シートの金属箔には、配線パターンの加工が容易な材料、例えば銅を用いる。
【0053】
次いで、図2(a)において矢印18で示すように、樹脂シートの基板22の上面22a側を押圧することにより、図2(b)に示すように凹部21を形成する。このとき、配線パターン24のうち押圧により凹部21の底面21s及び内周面21tとなる部分に予め形成されている部分も同時に押圧され、凹部21の底面21s及び内周面21tに沿う形状に変形し、配線電極になる。
【0054】
例えば、凹部21の寸法・形状に対応する突起部を有する凸形状の金型等を樹脂シートの基板22の上面22aに押し当てて、凹部21を形成する。必要に応じて基板22を加熱し、軟化した状態で押圧して凹部を加工してもよい。例えば、ホットプレート上に樹脂シートを載置して300℃程度に加熱し、金型で凹部を形成する。
【0055】
次いで、図2(c)に示すように、レーザー加工や金型を用いた打ち抜き加工等により、凹部21の底面21sと樹脂シートの基板22の下面22bとの間を貫通する貫通孔28sを形成した後、この貫通孔28sにビアペースト等の導電性材料を充填することにより、貫通導体28を形成する。
【0056】
このとき、図3に示すように、配線パターン24b,24cに接続される貫通導体28と同時に、配線パターン24a〜24dから離れた位置に、貫通導体28a,28bを形成する。貫通導体28a,28bは、くさび部材である。
【0057】
なお、貫通導体28を形成するための貫通孔28sや貫通導体28a,28bを形成するための貫通孔は、凹部21の底面21s側から形成しても、樹脂シートの基板22の下面22b側から形成してもよい。
【0058】
次いで、図2(d)に示すように、無線ICチップ30を凹部21に実装する。すなわち、配線パターン24のうち凹部21の底面21sに形成されている部分の上に、はんだバンプ12等を介して、無線ICチップ30の端子を電気的に接続する。
【0059】
複数個分を同時に作成する場合には、樹脂シートの基板22を切断して、モジュール部品20の個片に分割する。
【0060】
以上の工程により、凹部21は樹脂シートの基板22を押圧することにより簡単に形成できるので、モジュール部品20の低コスト化を図ることができる。また、無線ICチップ30と略同程度の厚みのモジュール部品20を作製することができるので、低背化できる。
【0061】
さらに、樹脂シートの基板22の下面22bと凹部21の底面21sとの間に延在する貫通導体28,28a,28bは、樹脂シートの基板22の貫通導体28,28a,28bとの界面近傍部分の変形を拘束するため、基板22の凹部21付近の戻り変形を抑制することができる。
【0062】
<実施例2> 実施例2の無線ICデバイスについて、図5及び図6を参照しながら説明する。
【0063】
実施例2の無線ICデバイスは、実施例1の無線ICデバイスと同じ構成である。以下では、実施例1との相違点を中心に説明し、同じ構成部分には同じ符号を用いる。
【0064】
実施例2の無線ICデバイスは、モジュール部品の作製工程の順序が実施例1と異なる。以下、モジュール部品の作製工程について、図5の断面図及び図6の要部平面図を参照しながら説明する。
【0065】
まず、図5(a)に示すように、金属箔付き樹脂シートを用意し、エッチング等により金属箔を所定のパターンに加工することにより、樹脂シートの基板22の両面22a,22b又は片面に配線パター24,26を形成する。基板22の上面22aに形成される配線パターン24は、後工程における押圧により凹部21の底面21s及び内周面21tとなる部分にも所定のパターンが形成されている。
【0066】
基板22に用いる樹脂シートには、加工が簡単であり、加工後の変形が少ない材料が適しており、例えば、液晶ポリマー(LCP)、ポリイミド、フッ素樹脂の樹脂シートを基板22に用いる。樹脂シートの金属箔には、配線パターンの加工が容易な材料、例えば銅を用いる。
【0067】
次いで、図5(b)に示すように、レーザー加工や金型を用いた打ち抜き加工等により、樹脂シートの基板22の両面22a,22b間を貫通する貫通孔28tを形成し、この貫通孔28tにビアペースト等の導電性材料を充填することにより、貫通導体28xを形成する。
【0068】
このとき、図6に示すように、押圧により凹部21の底面21sになる領域21xに予め形成された配線パターン24a〜24dのうち、2つの配線パターン24b,24cにそれぞれ接続されるように貫通導体28xを形成し、同時に、配線パターン24a〜24dから離れた位置に貫通導体28p,28qを形成する。
【0069】
なお、貫通導体28xを形成するための貫通孔28tや貫通導体28p,28qを形成するための貫通孔は、樹脂シートの基板22の上面22a側から形成しても、下面22b側から形成してもよい。
【0070】
次いで、図5(c)において矢印18aで示すように、樹脂シートの基板22の上面22a側を押圧することにより、凹部21を形成する。このとき、配線パターン24は、押圧により凹部21の底面21s及び内周面21tとなる領域に予め形成されている部分が同時に押圧され、凹部21の底面21s及び内周面21tに沿った形状に形成され、配線電極になる。
【0071】
同時に、貫通導体28x,28p,28q(図6参照)も押圧され、変形し、凹部21の底面21sと基板22の下面22bとの間に延在する。貫通導体28p,28qは、くさび部材であり、配線パターン24(24a〜24d)から離れたままである。
【0072】
例えば、凹部21の寸法・形状に対応する突起部を有する凸形状の金型等を樹脂シートの基板22の上面22aに押し当てて、凹部21を形成する。樹脂シートを加熱し、軟化した状態で、押圧により凹部を加工してもよい。例えば、ホットプレート上に樹脂シートを載置し、金型を押し当てる。
【0073】
次いで、図5(d)に示すように、無線ICチップ30を凹部21に実装する。すなわち、配線パターン24のうち凹部21の底面21sに形成されている部分に、バンプ12等を介して、無線ICチップ30を電気的に接続する。
【0074】
複数個分を同時に作成する場合には、樹脂シートの基板22を切断して、モジュール部品20の個片に分割する。
【0075】
以上の工程により、凹部21の形成とともに、貫通導体28x,28p,28qの硬化が図れるので、凹部21の高さが安定する。
【0076】
また、実施例1と同様に、凹部21は樹脂シートの基板22を押圧することにより簡単に形成できるので、モジュール部品20の低コスト化を図ることができる。また、無線ICチップ30と略同程度の厚みのモジュール部品20を作製することができるので、低背化できる。
【0077】
また、凹部21の内周面21tや底面21sに簡単に配線パターン24を形成することができる。そのため、凹部21に実装された無線ICチップ30と、基板22の上面22aとの間の配線を最短距離で形成することができ、基板22の下面22bに迂回して配線を引き回す場合のような問題は発生しない。すなわち、配線部分において不要なインダクタ成分やキャパシタ成分が発生することにより電気特性が劣化したり、製造コストが増加したりすることはない。
【0078】
さらに、樹脂シートの基板22の下面22bと凹部21の底面21sとの間に延在する貫通導体28x,28p,28qは、樹脂シートの基板22の貫通導体28x,28p,28qとの界面近傍部分の変形を拘束するため、基板22の凹部21付近の戻り変形を抑制することができる。
【0079】
<実施例3> 実施例3の無線ICデバイスについて、図7及び図8を参照しながら説明する。
【0080】
実施例3の無線ICデバイスは、実施例1の無線ICデバイス10と同じ構成である。実施例3の無線ICデバイスは、モジュール部品20の作製工程の順序が実施例1と異なる。以下、モジュール部品20の作製工程について、図7の断面図及び図8の要部平面図を参照しながら説明する。
【0081】
まず、図7(a)に示すように、金属箔付き樹脂シートを用意し、エッチング等により金属箔を所定のパターンに加工することにより、樹脂シートの基板22の両面22a,22b又は片面に配線パター24,26を形成する。樹脂シートの基板22には、加工が簡単であり、加工後の変形が少ない材料が適しており、例えば、液晶ポリマー(LCP)、ポリイミド、フッ素樹脂の樹脂シートを用いる。樹脂シートの金属箔には、配線パターンの加工が容易な材料、例えば銅を用いる。
【0082】
次いで、図7(b)に示すように、レーザー加工や金型を用いた打ち抜き加工等により、樹脂シートの基板22の両面22a,22b間を貫通する貫通孔28tを形成し、この貫通孔28tにビアペースト等の導電性材料を充填することにより、貫通導体28xを形成する。
【0083】
このとき、図8に示すように、押圧により凹部21の底面21sになる領域21xに予め形成されている配線パターン24a〜24dのうち、2つの配線パターン24b,24cにそれぞれ接続されるように貫通導体28xを形成し、同時に、配線パターン24a〜24dから離れた位置に貫通導体28p,28qを形成する。
【0084】
なお、貫通導体28xを形成するための貫通孔28tや貫通導体28p,28qを形成するための貫通孔は、樹脂シートの基板22の上面22a側から形成しても、下面22b側から形成してもよい。
【0085】
次いで、図7(c)に示すように、無線ICチップ30を、押圧後に凹部21の底面21sとなる領域に配置する。すなわち、押圧後に凹部21の底面21sとなる領域の配線パターン24の上に、導電ペーストのバンプ12が接するように、無線ICチップ30を配置する。そして、図7(d)において矢印18bで示すように、樹脂シートの基板22の上面22a側に配置されている無線ICチップ30を平板で押圧することにより、樹脂シートの基板22に凹部21を形成しつつ、無線ICチップ30を凹部21内に埋め込む。
【0086】
このとき、配線パターンのうち押圧により凹部21の底面21s及び内周面21tとなる領域に予め形成されている部分が押圧され、凹部21の底面21s及び内周面21tに沿った形状になり、配線電極となる。
【0087】
また、貫通導体28x,28p,28q(図8参照)も押圧され、変形し、凹部21の底面21sと基板22の下面22bとの間に延在する。貫通導体28p,28qは、くさび部材であり、配線パターン24(24a〜24d)から離れたままである。
【0088】
押圧時には、樹脂シートの基板22をホットプレート上に載置するなどして温度を上げ、貫通導体28xを形成するビアペーストと、無線ICチップ30を実装するためのバンプ12(導電ペーストなど)を硬化させることで、一度に凹部21の形成から無線ICチップ30の搭載までが終了することができる。
【0089】
複数個分を同時に作成する場合には、樹脂シートの基板22を切断して、モジュール部品20の個片に分割する。
【0090】
以上の工程により、凹部21の形成とともに、無線ICチップ30のバンプ形成と、貫通孔28tに充填されたビアペーストの硬化ができ、一工程で、高さが安定した凹部21の形成と無線ICチップ30の搭載とができる。
【0091】
また、実施例1と同様に、凹部21は樹脂シートの基板22を押圧することにより簡単に形成できるので、モジュール部品20の低コスト化を図ることができる。また、無線ICチップ30と略同程度の厚みのモジュール部品20を作製することができるので、低背化できる。
【0092】
また、凹部21の内周面21tや底面21sに簡単に配線パターン24を形成することができる。そのため、凹部21に実装された無線ICチップ30と、基板22の上面22aとの間の配線を最短距離で形成することができ、基板22の下面22bに迂回して配線を引き回す場合のような問題は発生しない。すなわち、配線部分において不要なインダクタ成分やキャパシタ成分が発生することにより電気特性が劣化したり、製造コストが増加したりすることはない。
【0093】
さらに、樹脂シートの基板22の下面22bと凹部21の底面21sとの間に延在する貫通導体28x,28p,28qは、樹脂シートの基板22の貫通導体28,28p,28qとの界面近傍部分の変形を拘束するため、基板22の凹部21付近の戻り変形を抑制することができる。
【0094】
<実施例4> 実施例4の無線ICデバイスについて、図9及び図10を参照しながら説明する。
【0095】
実施例4の無線ICデバイスは、基板が多層樹脂基板である点が実施例1とは異なる。
【0096】
実施例4の無線ICデバイスの基板は、図10の分解平面図に示すように、4枚の樹脂基板35〜38が順に積層されている。
【0097】
最上層となる樹脂基板35の上面には、配線パターンとして、無線ICチップの実装用電極40,42,44,46と、一端が実装用電極40,42に接続された配線パターン41,43とが形成されている。さらに、樹脂基板35には、配線パターン41,43の他端に、貫通孔80,90が形成されている。
【0098】
上から2層目の樹脂基板36の上面には、略S字状の配線パターン50が形成されている。さらに、樹脂基板36には、配線パターン50の両端に貫通孔81,91が形成され、配線パターン50から離れて貫通孔82,92が形成されている。
【0099】
上から3層目の樹脂基板36の上面には、渦状の2つの配線パターン60,62が形成されている。さらに、樹脂基板36には、配線パターン60,62の一端に貫通孔83,93が形成され、配線パターン60,62から離れて貫通孔84,94が形成されている。
【0100】
最下層の樹脂基板38の上面には、渦状の2つの配線パターン70,72が形成されている。
【0101】
これらの樹脂基板35〜38は、貫通孔80〜84,90〜94にビアペーストが充填された後、積層され、貫通孔80〜84,90〜94に貫通導体が形成される。
【0102】
樹脂基板35〜38が積層されたとき、貫通孔80,82,84は連通し、貫通孔80,82,84に形成された貫通導体により、最上層の樹脂基板35の配線パターン41,43の他端と最下層の樹脂基板38の配線パターン70,72の一端70a,72aが電気的に接続される。
【0103】
最下層の樹脂基板38の配線パターン70,72の他端70b,72bは、上から3層目の樹脂基板37の貫通孔83,83に形成された貫通導体により、上から3層目の樹脂基板37に形成された配線パターン60,70の一端に接続される。
【0104】
上から3層目の樹脂基板37に形成された配線パターン60,70の他端60a,70aは、それぞれ、上から2層目の樹脂基板36の貫通孔81,91に形成された貫通導体により、上から2層目の樹脂基板36に形成された配線パターン50の両端に接続される。
【0105】
図11は、樹脂基板35〜38を積層することにより基板の内部に形成される電気回路の電気回路図である。実装用電極40,42に対応する端子P1,P2の間に、2つのインダクタンス素子L,Lが直列に接続されている。一方のインダクタンス素子Lは、図10において左側の配線パターン50,60,70により形成され、他方のインダクタンス素子Lは、図10において右側の配線パターン50,62,72により形成される。
【0106】
樹脂基板35〜38を積層することにより形成された基板は、図9において鎖線で示す実装用電極40,42,44,44を含む領域21yが押圧されて凹部が形成された後に、実装用電極40,42,44,44に無線ICチップが実装される。
【0107】
あるいは、樹脂基板35〜38を積層することにより形成された基板は、実装用電極40,42,44,44に無線ICチップが配置された状態で、無線ICチップが平板で押圧されて凹部が形成され、この凹部に無線ICチップが埋め込まれる。
【0108】
多層樹脂基板を押圧することにより凹部を形成することにより、製造コストを低減することができる。また、最上層となる樹脂基板35の上面に形成された配線パターン41,43によって、凹部に実装された無線ICチップと多層樹脂基板の上面との間を接続する引き回し配線の距離をできるだけ短くして、引き回し配線による電気特性の劣化を防ぐことができる。
【0109】
<変形例1> 変形例の無線ICデバイス11について、図11の断面図を参照しながら説明する。
【0110】
図11に示すように、実施例4の無線ICデバイス11は、実施例1の構成に、保護膜32が追加されている。すなわち、凹部21に樹脂を充填することにより、凹部21に実装された無線ICチップ30の周囲を囲む保護膜32が形成されている。
【0111】
無線ICチップ30は、保護膜32により外部からの湿気や有害ガス等から保護されるので、無線ICデバイス11の信頼性をさらに向上させることができる。
【0112】
<まとめ> 以上に説明したように、樹脂の基板を押圧することにより凹部を形成することにより、無線ICデバイスの製造コストを低減することができる。また、凹部に実装された無線ICチップと基板上面との間を接続する配線部分の距離をできるだけ短くして、電気特性の劣化を防ぐことができる。
【0113】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変更を加えて実施することが可能である。
【0114】
例えば、貫通導体(くさび部材)は、断面一様であっても、断面の大きさが変化してもよい。貫通導体(くさび部材)は、例えば、一端の断面が大きく、他端に至るにしたがって断面が減少するくさび形状であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】無線ICデバイスの断面図である。(実施例1)
【図2】モジュール部品の作製工程を示す断面図である。(実施例1)
【図3】凹部の底面の平面図である。(実施例1)
【図4】モジュール部品の平面図である。(実施例1)
【図5】モジュール部品の作製工程を示す断面図である。(実施例2)
【図6】凹部の底面になる領域の平面図である。(実施例2)
【図7】モジュール部品の作製工程を示す断面図である。(実施例3)
【図8】凹部の底面になる領域の平面図である。(実施例3)
【図9】基板の構成を示す構成図である。(実施例4)
【図10】基板内に構成される電気回路の電気回路図である。(実施例4)
【図11】無線ICデバイスの断面図である。(変形例)
【図12】半導体装置の作製工程を示す断面図である。(従来例)
【符号の説明】
【0116】
10,11 無線ICデバイス
14 放射板
20 モジュール部品
21 凹部
22 基板
24 配線パターン
26 配線パターン
28 貫通導体
28a,28b,28p,28q 貫通導体(くさび部材)
30 無線ICチップ
40 基材
42 放射板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射板と、
無線ICチップと、
前記無線ICチップが実装され、インダクタンス素子を含む共振回路及び/又は整合回路を有する給電回路を備え、前記給電回路が前記放射板と電磁界結合する基板と、
を備える無線ICデバイスであって、
前記基板は、
樹脂材料からなり、前記基板の一方主面側に凹部が形成され、
前記凹部の底面及び内周面と前記基板の前記一方主面とに沿って形成され、前記給電回路に電気的に接続された配線電極と、
前記樹脂材料とは異なる材料で形成され、前記配線電極から離れて前記凹部の底面と前記基板の他方主面との間に延在する、くさび部材と、
を備え、
前記無線ICチップは、前記凹部に搭載され、前記配線電極に結合されていることを特徴とする、無線ICデバイス。
【請求項2】
前記くさび部材は、前記基板を貫通する貫通孔に導電材料が充填されてなることを特徴とする、請求項1に記載の無線ICデバイス。
【請求項3】
前記基板の前記一方主面及び/又は前記他方主面に、前記給電回路が形成されたことを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の無線ICデバイス。
【請求項4】
前記無線ICチップの全体が、前記基板の前記一方主面に隣接して形成された前記凹部の開口よりも前記凹部の前記底面側に配置されていることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の無線ICデバイス。
【請求項5】
前記凹部の前記底面の法線方向から透視したとき大きさが異なる、複数の前記くさび部材を備え、
前記凹部の前記底面の中心に相対的に近い領域に、前記凹部の前記底面の法線方向から透視したとき相対的に大きい前記くさび部材が配置され、
前記凹部の前記底面の中心から相対的に遠い領域に、前記凹部の前記底面の法線方向から透視したとき相対的に小さい前記くさび部材が配置されていることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の無線ICデバイス。
【請求項6】
前記凹部に搭載された前記無線ICチップの周囲を覆う保護膜をさらに備えたことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一つに記載の無線ICデバイス。
【請求項7】
放射板と、無線ICチップと、前記無線ICチップが実装され、インダクタンス素子を含む共振回路及び/又は整合回路を有する給電回路を備え、前記給電回路が前記放射板と電磁界結合する基板とを備えた無線ICデバイスの製造方法において、
樹脂材料からなり、前記給電回路に接続された配線電極が前記基板の一方主面に予め形成されている前記基板の前記一方主面の一部及び前記配線電極の一部を押圧して、前記基板に凹部を形成するとともに、前記凹部の底面及び内周面に沿って前記配線電極を延在させる、凹部形成工程と、
前記配線電極から離れて前記凹部の前記底面と前記基板の他方主面との間に延在するくさび部材を、前記樹脂材料と異なる材料で形成する、くさび部材形成工程と、
前記凹部に前記無線ICチップを搭載して、前記無線ICチップを前記配線電極に結合する、実装工程と、
を含むことを特徴とする、無線ICデバイスの製造方法。
【請求項8】
放射板と、無線ICチップと、前記無線ICチップが実装され、インダクタンス素子を含む共振回路及び/又は整合回路を有する給電回路を備え、前記給電回路が前記放射板と電磁界結合する基板とを備えた無線ICデバイスの製造方法において、
樹脂材料からなり、前記給電回路に接続された配線電極が前記基板の一方主面に予め形成されている前記基板の前記配線電極から離れて前記基板の前記一方主面と前記基板の他方主面との間に延在するくさび部材を、前記樹脂材料と異なる材料で形成する、くさび部材形成工程と、
前記基板の前記一方主面の一部及び前記配線電極の一部と前記くさび部材とを押圧して、前記基板に凹部を形成するとともに、前記凹部の底面及び内周面に沿って前記配線電極を延在させ、前記くさび部材が前記凹部の底面と前記基板の前記他方主面との間に延在させる、凹部形成工程と、
前記凹部に前記無線ICチップを搭載して、前記無線ICチップを前記配線電極に結合する、実装工程と、
を含むことを特徴とする、無線ICデバイスの製造方法。
【請求項9】
放射板と、無線ICチップと、前記無線ICチップが実装され、インダクタンス素子を含む共振回路及び/又は整合回路を有する給電回路を備え、前記給電回路が前記放射板と電磁界結合する基板とを備えた無線ICデバイスの製造方法において、
樹脂材料からなり、前記給電回路に接続された配線電極が前記基板の一方主面に予め形成されている前記基板の前記配線電極から離れて前記基板の前記一方主面と前記基板の他方主面との間に延在するくさび部材を、前記樹脂材料とは異なる材料で形成する、くさび部材形成工程と、
前記基板の前記配線電極に対向するように前記無線ICチップを前記基板の一方主面に搭載した状態で、前記無線ICチップを前記基板の前記一方主面に向けて押圧して、前記基板に前記無線ICチップが埋め込まれる凹部を形成するとともに、前記凹部の底面及び内周面に沿って前記配線電極を延在させ、前記くさび部材を前記凹部の前記底面と前記基板の前記他方主面との間に延在させる、凹部形成及び実装工程と、
を含むことを特徴とする、無線ICデバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−9196(P2010−9196A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−165846(P2008−165846)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】