説明

無線LANシステム

【課題】本発明は、製造された端末機の無線LAN通信の動作確認を簡単に行えることができる無線LANシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る無線LANシステム100は、無線LAN通信機能を有するPC10と、無線LAN通信機能を有する無線カメラ20と、SDカード30とを備えている。ここで、SDカード30には、PC10と無線カメラ20との間における無線LAN通信に備えた設定情報が格納されている。さらに、当該SDカード30は、無線カメラ20に対して着脱可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線LANシステムに係る発明であり、特に、工場での動作確認を簡単に行うことができる無線LANシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線LAN(Local Area Network)システムに関する従来技術は、多く存在する(たとえば、特許文献1,2)。特許文献1,2では、無線LANシステムにおける暗号等の設定に関する技術が開示されている。
【0003】
また、ドアホンシステムに無線LANシステムを適用した技術も存在する。当該技術では、特定のアクセスポイント(中継機)を介して、室内機と無線カメラとの間において無線LAN通信を行う。つまり、訪問者を無線カメラが撮像し、撮像された画像が中継機を介して、無線LAN通信により室内機に送信される。そして、当該室内機において画像が表示される。なお、一の家屋に隣接する家屋において他のドアホンシステムが導入されている場合、当該他のドアホンシステムと、一の家屋に導入されたドアホンシステムとの間において通信干渉を防止する必要がある。当該通信干渉を防止するために、各ドアホンシステムを構成する中継機、無線カメラ等に所定の登録情報も設定される。
【0004】
当該ドアホンシステムに係る無線カメラを製造し、工場において当該無線カメラの無線LAN通信動作確認を行う必要がある。この場合には、ドアホンシステムを構成する中継機を用意し、当該中継機との無線LAN通信を可能とするために、無線カメラに複雑な所定の設定登録を行う必要がある。
【0005】
【特許文献1】特開2004−215232号公報
【特許文献2】特開2006−100957号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
工場において、上記無線カメラを複数製造し、各々の無線カメラに対して無線LAN通信動作確認を行う必要がある。つまり、ドアホンシステムを構成する中継機を用意し、当該中継機との無線LAN通信を行うことができる所定の設定登録処理(通信セキュリティ設定等も含む)を、各無線カメラ毎に行う必要がある。そして、当該動作確認のために実施される無線カメラへの所定の設定登録処理は、非常に複雑なものである。したがって、製造された全ての無線カメラについて無線LAN通信の動作確認を行う場合には、上記所定の設定登録作業が非常に煩雑となる。
【0007】
また、当該動作確認のために、無線カメラと共に上記ドアホンシステムを構成する中継機を工場において用意し、使用する必要がある。したがって、中継機に設定されている物理アドレス情報、ソフト情報、設定情報(たとえば、他のドアホンシステムとの通信干渉を防ぐ設定およびその設定に関するソフト情報等)などが、工場において用意に入手されてしまう。つまり、中継機に設定されている各設定事項の秘匿性を保つことができないという問題が発生する。
【0008】
そこで、本発明は、端末機(無線カメラ)の無線LAN通信の動作確認を工場内において簡単に行えることができる無線LANシステムを提供することを目的とする。また、当該工場での動作確認の際に、中継機に設定されている設定事項の秘匿性を守ることができる無線LANシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載の無線LANシステムは、無線LAN通信機能を有する、電子計算機と、前記無線LAN通信機能を有する端末機と、前記電子計算機と前記端末機との間における無線LAN通信に備えた設定情報が格納されており、前記端末機に対して着脱可能な記憶媒体とを、備えている。
【0010】
また、本発明に係る請求項2に記載の無線LANシステムは、請求項1に記載の無線LANシステムであって、前記記録媒体には、前記設定情報として、前記端末機を識別するための識別子と、前記電子計算機との無線LAN通信の際に送信されるデータの暗号化処理で用いられるキーと、前記端末機のIPアドレスと、前記電子計算機との無線LAN通信の際に使用されるチャンネル情報とが、少なくとも格納されている。
【0011】
また、本発明に係る請求項3に記載の無線LANシステムは、請求項1または請求項2に記載の無線LANシステムであって、前記設定情報は、前記記録媒体の所定のディレクトリ内において、所定のファイル名で格納されており、前記記録媒体が装着された前記端末機は、前記記録媒体において、前記所定のディレクトリ内に存する前記所定のファイル名のデータが存在するか否かを判断し、前記判断の結果、存在すると判断した場合には、前記電子計算機との無線LAN通信を開始し、前記判断の結果、存在しないと判断した場合には、前記電子計算機との無線LAN通信を行わない。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1に記載の無線LANシステムは、無線LAN通信機能を有する、電子計算機と、無線LAN通信機能を有する端末機と、電子計算機と端末機との間における無線LAN通信に備えた設定情報が格納されており、端末機に対して着脱可能な記憶媒体とを、備えている。
【0013】
したがって、製造された端末機の無線LAN通信動作確認処理を行うに際して、各端末機毎に、無線LAN通信に必要な設定情報を設定する必要が無くなる。つまり、記録媒体を端末機に着脱するだけで、簡単に、製造された全ての端末機の無線LAN通信動作確認が行える。
【0014】
また、秘匿設定情報を有さない電子計算機を用いて、端末機の無線LAN通信動作確認が行える。したがって、秘匿性情報等を有する中継機(アクセスポイント)を工場に導入する必要も無い。つまり、中継機に設定されている設定事項の秘匿性を守ることができる。
【0015】
また、本発明の請求項2に記載の無線LANシステムでは、記録媒体には、設定情報として、端末機を識別するための識別子と、電子計算機との無線LAN通信の際に送信されるデータの暗号化処理で用いられるキーと、端末機のIPアドレスと、電子計算機との無線LAN通信の際に使用されるチャンネル情報とが、少なくとも格納されている。
【0016】
したがって、端末機の無線LAN通信動作確認を、当該端末機が実際に使用される状況と近い状況下で、実施できる。
【0017】
また、本発明の請求項3に記載の無線LANシステムでは、設定情報は、記録媒体の所定のディレクトリ内において、所定のファイル名で格納されており、記録媒体が装着された端末機は、記録媒体において、所定のディレクトリ内に存する所定のファイル名のデータが存在するか否かを判断し、判断の結果、存在すると判断した場合には、電子計算機との無線LAN通信を開始し、判断の結果、存在しないと判断した場合には、電子計算機との無線LAN通信を行わない。
【0018】
したがって、正規の記録媒体を有する試験者のみが、端末機の無線LAN通信動作確認を行うようにすることができる。換言すれば、偽造された記録媒体を用いては、端末機の無線LAN通信動作確認テストを実施できようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
【0020】
図1は、本実施の形態に係る無線LANシステムの構成を示す概略図である。
【0021】
図1に示すように、無線LANシステム100は、電子計算機(以下PCと称する)10、無線カメラ(端末機と把握できる)20、および記録媒体(以下、SDカードと称する)30から構成されている。
【0022】
PC10は、いわゆる情報処理装置(コンピュータ)であり、無線LAN通信を可能とする無線LANアダプタ10aを有している。無線カメラ20は、動画および/または静止画の撮像が可能なカメラ装置であり、無線LAN通信を可能とする無線LANアダプタ20aを有している。つまり、PC10および無線カメラ20は共に、無線LAN通信機能を有しており、両装置10,20間における無線LAN接続が実現される。
【0023】
また、SD(Secure Digital)カード30は、無線カメラ20に対して着脱可能な記録媒体である。当該SDカード30内には、PC10と無線カメラ20との間における無線LAN通信に備えた設定情報が格納されている。たとえば、図2に示すようなディレクトリ構造が、SDカード30内に設定されている。当該設定情報は、SDカード30の所定のディレクトリ内において、所定のファイル名で格納されている。図2の例では、たとえば、所定のディレクトリは、ディレクトリC(ディレクトリA内のディレクトリB内に、ディレクトリCが存在する)である。また、図1の例では、所定のファイル名は、たとえば「αεπ」である。
【0024】
図1に示すように、所定のファイル名「αεπ」であるファイル内には、設定情報として、SSID(Service Set IDentifier:無線カメラ20の識別子)、キー、無線カメラ20のIPアドレス、およびチャンネル情報が格納されている。なお、PC10には、無線カメラ20のIPアドレスと同じサブネットアドレスとなるIPアドレスを設定する。なお、無線カメラ20のSSIDは、SDカードに設定・記憶されるだけでなく、PC10にも無線カメラ20のSSIDが設定される。
【0025】
キーは、WEP(Wired Equizalent Privacy)キーなどであり、PC10と無線カメラ20との間における無線LAN通信の際に送信される、データの暗号化処理で使用される。暗号化されたデータを受信側が解読するためには、送信側に設定されているものと同じキーが必要となる。したがって、当該キーの設定を行うことにより、他のユーザーなどがアクセスしようとしても暗号化されたデータは解読できず、データを見ることができないようにすることが可能である。チャンネル情報とは、無線カメラ20が、PC10との間における無線LAN通信の際に使用される、周波数帯域のことである。
【0026】
図1の例では、無線カメラ20のSSIDは「adhoc」であり、PC10との通信の際に使用される暗号キーは「key」であり、PC10との無線LAN通信で使用される分割された周波数帯域のチャンネル情報は「6」であり、無線カメラ20のIPアドレスは「192.168.111.111」である。
【0027】
無線カメラ20にSDカード30が装着(挿入)され、無線カメラ20が備える所定のボタンを押圧する。そうすると、無線カメラ20内の制御部(図示せず)は、次の判断(SDカード認証判断処理)を行う。
【0028】
制御部には、ディレクトリ階層情報および、どのディレクトリ内のどのファイルに、上記設定情報が格納されているか、予め記憶されている。たとえば、図1,2の場合では、制御部には、図2に示すディレクトリ階層情報と、ディレクトリC内のファイル名「αεπ」に、上記設定情報が格納されていることが、予め記憶されている。ここで、上記のように、ディレクトリCは、ディレクトリA内のディレクトリB内に存在する。
【0029】
上記ボタンを押圧されると、制御部は、挿入されたSDカード30の所定のディレクトリ内(ディレクトリC)において、所定のファイル名(αεπ)のデータが存在するか否かを、予め記憶されいる上記ディレクトリ階層情報、ディレクトリ情報、ファイル名等を用いて判断する。
【0030】
当該判断の結果、挿入されたSDカード30内において、ディレクトリC内にファイル名「αεπ」のデータが存在すると判断したとする。この場合には、制御部の制御の下、無線カメラ20は、アドホックモード(つまり、アクセスポイント(中継機)を介さない無線LANモード)で、PC10との無線LAN通信を開始する。
【0031】
他方、上記判断の結果、挿入されたSDカード30内において、ディレクトリCが存在しない、またはディレクトリ階層情報が異なる、またはファイル名「αεπ」のデータが存在しないと判断したとする。つまり、挿入されたSDカード30が、たとえば偽装されたものであると判断したとする。この場合には、無線カメラ20は、PC10との無線LAN通信を行わない。つまり、無線カメラ20の無線LAN通信の動作確認作業が中止される。
【0032】
次に、本実施の形態に係る無線LANシステム100の動作について、図3のフローチャートを用いて説明する。
【0033】
工場において、無線カメラ20が3台(20S,20T,20W)製造されたとする。以下、当該3台の無線カメラ20S,20T,20Wの無線LAN通信の動作確認を、工場において行う場合について説明する。なお、正規のSDカード30には、図2のディレクトリ構造の、ディレクトリC内のファイル名「αεπ」に、上記無線LAN通信に必要な設定情報が格納されている。したがって、各無線カメラ20S,20T,20Wにおいて、SDカード認証判断処理(図3のステップS3)に備えて、図2のディレクトリ構造、および所定のディレクトリC内に所定ファイル名「αεπ」のデータが存することを示す情報が予め記憶されている。
【0034】
PC10を工場に用意する。ここで、当該PC10には、無線LAN通信に必要な設定(SSID、キー、チャンネル、IPアドレス等)が完了している。また、上記の通り、PC10には、無線LANアダプタ10aが設けられている。
【0035】
まず、無線カメラ20Sの無線LAN動作確認を行う。したがって、図4に示すように、無線カメラ20Sに上記SDカード30を装着(挿入)する(図3のステップS1)。そして、当該無線カメラ20Sが備える上記所定のボタンを押圧する(図3のステップS2)。すると、無線カメラ20S内に配設されている制御部は、上記SDカード認証判断処理を実施する(図3のステップS3)。
【0036】
上記挿入されたSDカード30が正規のものであるとする。つまり、上記制御部が、挿入されたSDカード30内において、図2のディレクトリ構造の所定のディレクトリC内に、ファイル名「αεπ」のデータが存在すると判断したとする(ステップS3で「整合可」)。このとき、当該制御部は、PC10との無線LAN通信を開始する(図3のステップS4)。つまり、PC10と無線カメラ20Sとの間におけるアドホックモードでの、無線カメラ20Sの無線LAN動作確認が開始される(図3のステップS4)。
【0037】
ここで、アドホックモードとは、中継機(アクセスポイント)を介さない、端末間(PC10−無線カメラ20)同士の無線通信モードのことである。
【0038】
これに対して、上記挿入されたSDカード30が偽装されたものであるとする。つまり、上記制御部が、挿入されたSDカード30内において、図2のディレクトリ構造を認識できない、または所定のディレクトリCの存在が確認できない、またはファイル名「αεπ」のデータのが存在が確認できないとする(ステップS3で「不整合可」)。このとき、当該制御部は、PC10との無線LAN通信を実施しない(図3のステップS5)。つまり、PC10と無線カメラ20Sとの間におけるアドホックモードでの、無線カメラ20Sの無線LAN動作確認は、中止される(図3のステップS5)。
【0039】
無線カメラ20Sの無線LAN動作確認処理が終了したら、SDカード30を無線カメラ20Sから取外す。そして、次に図5に示すように、無線カメラ20Tに上記SDカード30を装着(挿入)する(図3のステップS1)。そして、当該無線カメラ20Tが備える上記所定のボタンを押圧する(図3のステップS2)。すると、無線カメラ20T内に配設されている制御部は、上記SDカード認証判断処理を実施する(図3のステップS3)。
【0040】
上記挿入されたSDカード30が正規のものであるとする。つまり、上記制御部が、挿入されたSDカード30内において、図2のディレクトリ構造の所定のディレクトリC内に、ファイル名「αεπ」のデータが存在すると判断したとする(ステップS3で「整合可」)。このとき、当該制御部は、PC10との無線LAN通信を開始する(図3のステップS4)。つまり、PC10と無線カメラ20Tとの間におけるアドホックモードでの、無線カメラ20Tの無線LAN動作確認が開始される(図3のステップS4)。
【0041】
これに対して、上記挿入されたSDカード30が偽装されたものであるとする。つまり、上記制御部が、挿入されたSDカード30内において、図2のディレクトリ構造を認識できない、または所定のディレクトリCの存在が確認できない、またはファイル名「αεπ」のデータのが存在が確認できないとする(ステップS3で「不整合可」)。このとき、当該制御部は、PC10との無線LAN通信を実施しない(図3のステップS5)。つまり、PC10と無線カメラ20Tとの間におけるアドホックモードでの、無線カメラ20Tの無線LAN動作確認は、中止される(図3のステップS5)。
【0042】
無線カメラ20Tの無線LAN動作確認処理が終了したら、SDカード30を無線カメラ20Tから取外す。そして、次に図6に示すように、無線カメラ20Wに上記SDカード30を装着(挿入)する(図3のステップS1)。そして、当該無線カメラ20Wが備える上記所定のボタンを押圧する(図3のステップS2)。すると、無線カメラ20W内に配設されている制御部は、上記SDカード認証判断処理を実施する(図3のステップS3)。
【0043】
上記挿入されたSDカード30が正規のものであるとする。つまり、上記制御部が、挿入されたSDカード30内において、図2のディレクトリ構造の所定のディレクトリC内に、ファイル名「αεπ」のデータが存在すると判断したとする(ステップS3で「整合可」)。このとき、当該制御部は、PC10との無線LAN通信を開始する(図3のステップS4)。つまり、PC10と無線カメラ20Wとの間におけるアドホックモードでの、無線カメラ20Wの無線LAN動作確認が開始される(図3のステップS4)。
【0044】
これに対して、上記挿入されたSDカード30が偽装されたものであるとする。つまり、上記制御部が、挿入されたSDカード30内において、図2のディレクトリ構造を認識できない、または所定のディレクトリCの存在が確認できない、またはファイル名「αεπ」のデータのが存在が確認できないとする(ステップS3で「不整合可」)。このとき、当該制御部は、PC10との無線LAN通信を実施しない(図3のステップS5)。つまり、PC10と無線カメラ20Wとの間におけるアドホックモードでの、無線カメラ20Wの無線LAN動作確認は、中止される(図3のステップS5)。
【0045】
上記において、図3のステップS4,S5の終了後、無線カメラ20は、自動若しくは手動にて、電源が切られる。また、SDカード30に上記設定情報が格納されており、PC10にもIPアドレス等の所定の設定がなされている。したがって、ステップS4において動作確認が開始されると、上記SSIDに対して上記キーで自動的に、PC10と接続される。また、上記動作確認では、PC10における無線カメラ20で撮像された画像の閲覧、無線カメラ20およびPC10を用いたtelnetプロトコルの確認等を行う。
【0046】
なお、無線LAN動作確認を正常に終えた無線カメラ20は、家屋のドアホンシステムの構成要素として、所定の家屋外等に設置される。当該無線カメラ20は、家屋のセキュリティの観点から設けられる。たとえば、屋外に存する人物を当該無線カメラ20が撮像し、家屋内のユーザーが子機の表示部を介して、撮像画像を視認するため等である。また、上記ドアホンシステムでは、無線カメラ20は、特定の中継機(アクセスポイント)を介して、室内子機と無線LAN通信する。つまり、無線カメラ20は、インフラストラクチャモードでの無線LAN通信を行う。
【0047】
以上のように、本実施の形態に係る無線LANシステム100では、無線LAN通信機能を有するPC10を用意する。そして、製造された、無線LAN通信機能を有する無線カメラ20の無線LAN通信の動作確認を行うために、無線カメラ20にSDカード30を挿入する。そして、動作確認終了後、当該SDカード30を無線カメラ20から取外す。
【0048】
したがって、製造された無線カメラ20の無線LAN通信動作確認処理を行うに際して、各無線カメラ20毎に、無線LAN通信に必要な設定情報を設定する必要が無くなる。つまり、上記SDカードを無線カメラ20に着脱するだけで、簡単に、製造された全ての無線カメラ20の無線LAN通信動作確認が行える。
【0049】
また、本実施の形態では、秘匿設定情報を有さないPC10を用いて、無線カメラ20の無線LAN通信動作確認が行える。したがって、ドアホンシステムを構成する中継機を工場に導入する必要も無い。つまり、中継機に設定されている設定事項の秘匿性を守ることができる。
【0050】
また、本実施の形態に係る無線LANシステム100では、SDカード30には、設定情報として、上記SSID、キー、チャンネル情報、無線カメラ20のIPアドレスが、少なくとも格納されている。なお、PC10には、無線カメラ20に設定されたIPアドレスと同じサブネットアドレスとなるIPアドレスが設定される。
【0051】
したがって、無線カメラ20の上記動作確認を、当該無線カメラ20が実際に使用される状況と近い状況下で、実施できる。
【0052】
また、本実施の形態に係る無線LANシステム100では、上記設定情報は、SDカード30の所定のディレクトリC内において、所定のファイル名「αεπ」で格納されている。そして、SDカード30を挿入された無線カメラ20は、図3のステップS3のSDカード認証判断処理を行う。
【0053】
したがって、正規のSDカード30を有する試験者のみが、無線カメラ20の無線LAN通信動作確認を行うようにすることができる。換言すれば、偽造されたSDカード30を用いては、無線カメラ20の無線LAN通信動作確認テストを実施できようにすることができる。
【0054】
なお、上記では、PC10と無線カメラ20との間における無線LAN通信に備えた設定情報を格納する記憶媒体として、SDカード30を用いる場合に言及した。しかし、当該記録媒体は、その他の着脱可能なUSB(Universal Serial Bus)メモリ等であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る無線LANシステムの構成を示す概略図である。
【図2】SDカードに設定されたディレクトリ構造の一例を示す図である。
【図3】本発明に係る無線LANシステムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明に係る無線LANシステムの動作を説明するための図である。
【図5】本発明に係る無線LANシステムの動作を説明するための図である。
【図6】本発明に係る無線LANシステムの動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0056】
10 PC(電子計算機)
20 無線カメラ(端末機)
30 SDカード(記録媒体)
100 無線LANシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線LAN通信機能を有する、電子計算機と、
前記無線LAN通信機能を有する端末機と、
前記電子計算機と前記端末機との間における無線LAN通信に備えた設定情報が格納されており、前記端末機に対して着脱可能な記憶媒体とを、備えている、
ことを特徴とする無線LANシステム。
【請求項2】
前記記録媒体には、前記設定情報として、
前記端末機を識別するための識別子と、
前記電子計算機との無線LAN通信の際に送信されるデータの暗号化処理で用いられるキーと、
前記端末機のIPアドレスと、
前記電子計算機との無線LAN通信の際に使用されるチャンネル情報とが、
少なくとも格納されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線LANシステム。
【請求項3】
前記設定情報は、
前記記録媒体の所定のディレクトリ内において、所定のファイル名で格納されており、
前記記録媒体が装着された前記端末機は、
前記記録媒体において、前記所定のディレクトリ内に存する前記所定のファイル名のデータが存在するか否かを判断し、
前記判断の結果、存在すると判断した場合には、前記電子計算機との無線LAN通信を開始し、
前記判断の結果、存在しないと判断した場合には、前記電子計算機との無線LAN通信を行わない、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の無線LANシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−124302(P2009−124302A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−294187(P2007−294187)
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【出願人】(591128453)株式会社メガチップス (322)
【Fターム(参考)】