説明

無針注射器

ピストル形の無針注射器は、注射器を使用して投与される投与量の調節を容易にする、その前端部にある容易に交換可能な筒(36)を含む。筒(36)の前方放出端部から外向きに延在する、ホルダ(97)上に取付け可能な使い捨てノズル(98)は、ノズル(98)が使用されており廃棄すべきであることの指示を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無針注射器に関する。
【背景技術】
【0002】
特に、本発明は、2008年4月15日付で発行された本願発明者の米国特許第7,357,781号に記載されているタイプの無針注射器に関し、該特許を参照により本明細書に組み込む。本明細書に開示する発明の基本構造は、特許付与された注射器に多くの点で類似しているが、本明細書に記載する新たな注射器は、特許付与された注射器を越えるいくつかの重要な改善点を含む。
【0003】
本明細書に記載するタイプの注射器は、一般に、多数のヒト、または豚および鶏などの動物に注射するのに使用される。注射される成分の性質および/または動物のサイズに応じて、複数の異なる注射器を有するのではなく、単一の注射器の投与量を容易に変更できることが有利である。さらに、多量注射中の相互汚染を回避するため、注射器のノズルは容易に交換可能であるべきであり、好ましくはこれまで使用されてこなかった何らかの形の注射器を含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
したがって、本発明の1つの態様は、
注射可能な液体をその供給源から受け入れる筒と、
前記筒の一端から外向きに延在するホルダと、
前記ホルダに取外し可能に取り付けられる、前記ホルダおよび前記筒から液体を放出するための使い捨てノズルと、
前記ホルダ(と前記プランジャ)との間で前記筒に液体が吸い込まれる後退位置と、前記ホルダおよび前記使い捨てノズルを通して液体が放出される伸長位置との間で移動するように前記筒内で滑動可能なプランジャと、
前記プランジャを伸長された液体放出位置へと移動させるため、液圧下で移動可能な前記筒内で滑動可能なピストンと、
前記筒内で前記ピストンに接続される、前記ピストンが後退されると前記プランジャを前記後退位置へと移動させるためのレトラクタと、
前記レトラクタを前記プランジャに接続して、前記ピストンが前記プランジャに接して前記筒内で滑動して前記プランジャを前記伸長位置へと移動させることを可能にするとともに、前記ピストンおよび前記レトラクタが前記ホルダおよび前記ノズルから離れる方向で前記後退位置へと移動すると、前記プランジャを前記後退位置へと引っ張るためのカプラーと、
前記ピストンの一方の側では、前記ピストンおよび前記プランジャを前記後退位置から前記伸長位置へと移動させて、前記ホルダおよび前記ノズルを通して液体を放出することと、前記ピストンの第2の側では、前記ピストンおよび前記プランジャを、注射可能な液体が前記ホルダと前記プランジャとの間で前記筒に吸い込まれる後退位置に戻すことを交互に行う、圧力下で流体を前記筒に導入するための第1の弁と、
前記第1の弁を作動させるためのトリガーであって、操作されるごとに、前記プランジャを前記後退位置から前記伸長位置へと移動させ、次いで前記後退位置に戻すトリガーと、
前記一端から離れた前記筒の第2の端部にある、前記プランジャおよび前記ピストンが前記後退位置へと移動するときの前記ピストンの移動を制限する停止具とを備える、無針注射器である。
【0005】
第2の態様によれば、本発明は、上述の注射器とともに使用される、細長い管状本体を備える使い捨てノズルであって、該管状本体が、
先細状の前方放出端部と、
前記本体を通って延在する、前記ホルダから受け入れた液体を放出するための通路と、
前記本体の後端部にある、前記スリーブを受け入れるための環状陥凹部と、
前記ノズルが前記ホルダに取り付けられると前記スリーブの前端にある切欠き内まで延在する、前記陥凹部の内壁から外向きに延在する弾性の移動止めとを有し、
それにより、前記ノズルを回転させて前記ホルダから取り外すと、前記移動止めが折れて、前記ノズルが使用されていることを示す、使い捨てノズルである。
【0006】
本発明者の特許付与された注射器と同様に、本発明の注射器は比較的単純であり、複数の連続した注射を迅速に実施するのに使用することができる。さらに、容易に交換可能な筒状構造を組み込むことによって、本発明の注射器は、注射器の投与量を迅速かつ簡単に調節する機構を提供する。
【0007】
本発明はまた、無針注射器の放出端部への取付けおよびそこからの取外しが簡単であるとともに、ノズルが既に使用されていることの指示を提供する、交換可能なノズルを提供する。
【0008】
本発明の上述の特徴および他の新規な特徴を、添付図面を参照して以下により詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明による無針注射器の側面図である。
【図2】一部を省略した図1の注射器の縦断面図である。
【図3】図1および2の注射器の分解組立等角図である。
【図4】図1〜3の注射器の主要要素の大部分の分解組立部分断面図である。
【図5】図1〜4の注射器に使用される弁の等角図である。
【図6】図5の弁の縦断面図である。
【図7】図5の弁の縦断面図である。
【図8】図1および2の注射器の放出端部の分解組立図である。
【図9】図1および2の注射器の放出端部の縦断面図である。
【図10】図1および2の注射器に使用されるノズルホルダの等角図である。
【図11】図10のノズルホルダの使い捨てノズルの等角図である。
【図12】図11の使い捨てノズルおよびホルダの側面図である。
【図13】図11および12のノズルの正面図である。
【図14】図10〜13のノズルホルダおよび使い捨てノズルの部分断面等角図である。
【図15】図14のノズルホルダおよび使い捨てノズルの部分断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1および2を参照すると、本発明の注射器はピストル形であり、全体が1で示されるプラスチック製本体と、そこから外向きに延在するハンドル2とを含む。本体は、注射器の残りの要素のほとんどをそれぞれ収容する上側シリンダ3および下側シリンダ4を含む。
【0011】
真鍮製ピストン6は、上側シリンダ3内に滑動可能に取り付けられる。Oリング8は、ピストン6をシリンダ3内で封止する。ピストン6は全体的にカップ状であって、円筒状の永久磁石10を収容する後側陥凹部9(図4)を含む。ピストン6および磁石10は、休止位置または開始位置では、頭部14が磁石10に当接する鋼製ボルト13を収容する、プラスチック製プラグ11によってシリンダ3内で保定される。プラグ11は、Oリング15によってシリンダ3内で封止される(図2)。
【0012】
プラグ11のねじ付き後端部16は、プラグ11の後方移動を制限するとともに結果としてシリンダ3内でのピストン6の後方移動を制限する、シリンダ3内の肩部19に当接するスペーサリング18を保持する。プラグ11を回転させることによって、スペーサリング18と肩部19との間のギャップが変化し、それによってピストン6のストロークが変化する。プラグ11は、シリンダ3の後端部に回転可能に取り付けられた、全体的にカップ状のノブ20を使用して回転される。ボルト22はノブ20をプラグ11上に固定する。したがって、プラグ11は、ピストン6の停止具として作用し、注射器のストローク調節機構の一部を形成する。
【0013】
プラスチック製スリーブ25の雄ねじ付き後端部24は、シリンダ3の雌ねじ付き前端部と噛合する。スリーブ25は、全体が26で示されるトリガーアセンブリ(図1および2)を保持する。スリーブ25のフランジ27(図4)は、シリンダ3の前端部に対してトリガーアセンブリを保定する。トリガーアセンブリ26は、スリーブ25の周りのカラー28と、カラー28と一体であってカラー28からハンドル2の前部にある陥凹部30(図3)内まで下向きに延在する全体的にC字形の指ガード29と、トリガー31とによって規定される。スリーブ25の前端部にある凹溝32(図1および4)は、スリーブを把持してシリンダ3にねじ込むのを、またそれをシリンダから取り外すのを容易にする。
【0014】
Oリング34は、スリーブ25をシリンダ3内で封止する。スリーブ25の後端部は、筒36のねじ付き後端部35をスリーブに接続するため、雌ねじ山が切られている。筒36は、筒の雄ねじ山38(図4)にねじ留めされる雌ねじ付き環状カップ37によって、スリーブ25内で心出しされる。図示される構造によって、投与される投与量に応じて筒36をより小さなまたはより大きな筒と容易に交換することができる。筒36を本体1の上側シリンダ3の前端部から取り外すためには、単に筒を回転させて、ねじ付き後端部35を雌ねじ付きスリーブ25から係脱すればよい。その後、筒36をスリーブ25から引き抜くことができる。極低投与量用の筒36は穴39(図2)を含むが、その目的については後述する。レトラクタ41(図4)の前端部にある頭部40は、筒36の後端部にあるカプラー42の後端部にスナップ嵌めされる。レトラクタ41の後端部43は、ピストン6の直径が狭い前端部44上に滑らせられる。レトラクタ41の前端部は、直径を減少させた首部47(図4)と、首部よりも直径が大きい頭部40とを含む。頭部40および首部47は、レトラクタ41の前端部を管状のカプラー42内で固定する。
【0015】
図4に最も良く示されるように、カプラー42は、その後端部および前端部それぞれに、内向きに延在する環状フランジ51および52を含む。レトラクタ41の前端部は、ピストン6およびレトラクタ41の移動に対応してカプラー42が移動するように、カプラー42の後部フランジ51によって保持される。組立て中、レトラクタ41の頭部40は、フランジ51が頭部40後方の首部47の適所にスナップ嵌めされるまで、カプラー42の可撓性後端部に押し込まれる。やはり組立て中、プランジャ53の後端部は、プランジャの環状フランジ54がカプラーに入るのに十分な距離、カプラー42の前端部に挿入される。カプラー42が後方に移動する間に、フランジ52はプランジャ53の後端部にあるフランジ54を係合する。カプラー42の前端部にある等距離の間隔を空けた3つの長手方向に延在するスロット56により、前端部が可撓性になって、プランジャをカプラーに対して滑動させるとともに、カプラーを筒36内で滑動させるのが容易になる。レトラクタ41が前方に移動すると、カプラー42を筒36内で前方に押しやるので、レトラクタ41の前端部がプランジャ53の後端部を係合して、プランジャを前方に推進して注射が達成される。レトラクタ41およびカプラー42の前方移動は、筒36を通る通路内の肩部60によって制限される。レトラクタ41が前方に移動すると、プランジャ53のフランジ61が肩部60と接触するようになり、それによってプランジャ53のストロークが制限される。ピストン6およびレトラクタ41を後方に移動させると、レトラクタ41がカプラー42およびプランジャ53を開始位置または休止位置へと後退させる。プランジャ53の前端部付近のシール63は、プランジャ53の頭部64を筒36の直径がより狭い前端部内で封止する。
【0016】
プランジャ53の頭部64は、筒36の直径が減少した前端部のチャンバ66(図2)に滑り込む。筒36内でのプランジャ53の後方移動によって、チャンバ66内に部分真空が作られて、薬剤がシリンジ67からチャンバに吸い込まれる。シリンジ67の雌ねじ付き首部68は、図1および2において全体が71で示される一方向弁の本体70の雄ねじ付き外側端部69に接続される。シリンジ67は、筒72と、その一端では滑動可能であって、その他端にある直径の狭いノズル73(図3)を通して液体を放出するためのプランジャ74とを含む、従来のプラスチック製注射器である。シリンジ筒72は、注射器が操作されるごとに注射される投与量を示す目盛り(図示なし)を含む。シリンジ67は、薬剤瓶または薬剤バッグと交換できることが理解されるであろう。
【0017】
シリンジノズル73を通して放出された液体は一方向弁71を通過する。図5〜7に最も良く示されるように、弁71は、管状本体70と、本体内で滑動可能な弁ピストンまたは弁軸82とを含む。弁本体70のねじ付き外側端部77は、シリンジ67の雌ねじ付き首部68に接続され、本体の他方のねじ付き端部78は、筒36と一体の雌ねじ付きで後方に傾いた入口79内に取り付けられる。弁本体70の中間部80は、レンチを使用して弁を入口79内に取り付けるのを容易にするため、断面が六角形である。弁本体70は、Oリング81によって入口79内で封止される。
【0018】
半球状の上端部83を備えた円筒状の弁軸82は、本体を通る通路85内の先細状の弁座84に接して位置するように、本体75内で滑動可能である。軸82は、軸の直径が狭い下端部にあるコイルばね87によって閉止位置(図6)へと付勢される。ばね87は、軸82の肩部88と、入口79を通る通路92内の肩部91に位置する円形プレート89との間で圧縮される。
【0019】
シリンジプランジャが筒72に押し込まれると、流体がシリンジから弁本体70に流れ込んで、軸82を弁座84から離れる方向で開放位置(図7)へと押しやる。流体は、軸82の対角線上にある穴93(一方が図示される)を通って、閉じた上端部と開いた下端部とを備えた中央通路(図示なし)に流れ込む。流体は、軸を出て、入口通路92を通って注射器筒36の前端部にあるチャンバ86に流れ込む。
【0020】
プランジャ53が前方に駆動されると、流体は、弁96、ノズルホルダ97、および使い捨てのプラスチック製ノズル98を介して筒36から放出される。弁96は、管状のノズルホルダ97を通る通路101内へと延在する中空の弁軸100と、管状の軸100の内側端部を閉じる円筒状の頭部102とによって規定される。円形のステンレス鋼製スペーサワッシャー103は、弁頭部102とチャンバ66の前端部にある肩部105(図4)との間に挟まれる。ノズルホルダ97は、雌ねじ付きキャップ106によって、筒36の雄ねじ付き前端部104内で保持される。
【0021】
図8〜10を参照すると、ホルダ97は、管状本体110と、そこを通る中央の長手方向に延在する通路101とを含む。ホルダ97を筒36に滑り込ませると、本体110の中央近傍にある環状フランジ111が筒36の端部に当接して、筒内へのホルダの移動を制限する。筒36の放出端部にある指部112は、フランジ111の切欠き113と噛合して、ホルダが筒内で回転するのを防ぐ。Oリング114は、ホルダ97を筒36内で封止する。弁96を通過する流体は、対角線上にある穴115を介してホルダ97内の通路101に入り、本体110の放出端部で、円筒状ノズル119の先細状の外側端部118(図8)にある小さなオリフィス116を通して放出される。ねじ山120はノズル119の外側端部付近に設けられる。円筒状スリーブ122は、ノズル119の内側端部の周りで外向きに延在する。対角線上にある切欠き123は、スリーブ122の外側自由端部に設けられる。各切欠き123は、1つの事実上半径方向に延在する直線状の面124と、ナイフエッジ125を規定する1つの斜角が付けられた面とを含む。
【0022】
使い捨てノズル98は、円筒状の後端部128を備えた細長い管状本体127によって規定される。本体127は、円筒状の後端部128から小径の射出端部129まで前方へと先細状になっている。本体127の3つの深い凹溝130が長手方向に延在する隆起132と交互になっていることによって、ノズル98を手動で操作するのが容易になっている。
【0023】
本体127の後端部128にある環状の陥凹部133(図9)は、ホルダ97のスリーブ122を受け入れる。移動止めまたは指部135は、陥凹部133の内壁136から鋭角で外向きに延在する。壁136の長手方向に延在する溝137によって、移動止め135が屈曲することができる。ノズル98が(図13および14の時計方向にノズルを回転させることによって)ホルダ97上にねじ留めされていくと、移動止め135は切欠き123のうち1つに入る。ノズル98を半回転させるごとに、移動止め135は切欠き123の縁部124を係合し、屈曲して溝137に入る。図14および15に最も良く示されるように、ノズル98が完全にホルダ97上にあるとき、移動止め135は切欠き123のうち1つの中に延在する。ノズル98は、Oリング138によってホルダ97上で封止される(図8および9)。
【0024】
ホルダ97から射出された流体は、先細状の通路140を通過し、狭い射出オリフィス141を通して放出される。ノズル本体127の放出端部の交互に半径方向に延在する隆起および溝142は、注射部位の周囲の領域を把持する。1回の注射が完了すると、ノズル98を親指と人差し指との間で把持し、反時計方向に急回転させる。切欠き123のうち1つの中に延在する移動止め135が、ナイフエッジ125を係合する。ノズル98を同じ方向で回転させ続けることによって、移動止め135がその薄い端部で、即ちノズル本体127の残りの部分に付着された端部で壊れる。移動止め135は切欠き123内に残り、ノズル98が取り外されると、移動止めは切欠きから落ちる。したがって、移動止め135は、ノズルが使用されていないことを音で示す。ノズルをホルダ97上に取り付ける間、移動止め135が屈曲して溝137に入るごとにクリック音が生じて、移動止めがノズル上にあることを示す。移動止め135がなければ、ホルダ97上でのノズル95の回転に対する抵抗がなくなり、移動止め135が壊れていないことを示す音がなくなる。
【0025】
再び図2を参照すると、注射は、トリガー31が圧搾されると、圧縮ガス源(図示なし)からの圧縮ガスを使用して達成される。ガスは、ホース145と、雄ねじ付き端部147がシリンダ4の雌ねじ付き後端部148にねじ込まれたコネクタ146とを介して、下側シリンダ4に供給される。トリガー31の圧搾によって、全体が150および151でそれぞれ示される前方弁および後方弁が開く。前方弁150は、下側シリンダ4のスリーブ153内で滑動可能な軸152を含む。軸152は、Oリング154によってスリーブ153内で封止される。軸152の半球状の外側端部156は、スリーブ153の外に延在してトリガー31と噛合する。軸152の円錐状の内側端部157は、後方弁151の軸158の前端部に当接する。軸152は、軸152の環状フランジ161と後方弁軸158の前端部との間に挟まれたコイルばね160によって前方に付勢される。トリガー31が圧搾されると軸152が後方に移動し、それによって、対角線方向に延在する通路162が、下側シリンダ4を通ってピストン6の前端部とスリーブ25の後端部との間の空間165に至る通路163と一直線に並び、それによってピストン6の前方にある空気を、弁150と注射器のハンドル2内にある通路167とを通して放出することができる。
【0026】
同時に、軸152は後方弁151の軸158を押す。軸158の前端部は、Oリング168によってスリーブ153の後端部内で、かつOリング169によって下側シリンダ4内で封止される。軸158の後端部は、Oリング171によってシリンダ4の後端部内で封止される。軸158は、軸の後端部にある環状フランジ173と圧縮空気ホース145の出口端部にあるコネクタ146のねじ付き出口端部147との間に挟まれたコイルばね172によって、図2に示される閉止位置へと前方に付勢される。軸158が後方に移動してばね172を圧縮すると、後方弁151が開いて、空気がフランジ173の周りを、かつ弁151および通路175を通って、ピストン6後方のチャンバ176に流れ込むことができる。チャンバ176内に十分な圧力が蓄積されていると、ピストン6が前方に駆動され、その時にピストンの前方にあるチャンバ165から通路160、162、および167を介して空気が放出され、プランジャ53が前方に移動して、弁96、ホルダ97、および使い捨てノズル98を通してチャンバ66から流体を放出する。注射が完了すると、ノズル98は取り外され、新しいノズルと交換される。
【0027】
トリガー31が解放されると、ばね160および172は弁軸152および158を休止位置または閉止位置に戻す。ピストン6後方の空気は通路175を介して放出され、後方弁軸158の周囲を通過して、ハンドル2内の第2の通路178を通して通気される。
【0028】
極低投与量を注射する場合、筒36は、より小さな筒と、即ち小さな穴39を有する内径がより小さい筒と交換される。穴39によって、プランジャ53のフランジ61の前方にある筒36から空気を脱気することができる。穴39がない場合、注射中の背圧によって、小さな筒を使用した場合の投与量を正確に制御できなくなる。上述したように、筒36は、ねじ付き後端部35がスリーブ25から係脱するようにして筒を回転させることによって、本体1の上側シリンダ3から取り外される。筒36が取り外されていれば、スロット56があることによって自由に拡張できるカプラー42の前端部から、プランジャ53を引き抜くことができる。プランジャ53は、より小さな筒の内径と一致するより小さな直径を有するプランジャと交換される。当然ながら、小径の筒がより大径の筒と交換されている場合、プランジャ53はより大径のプランジャと交換される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射可能な液体をその供給源から受け入れる筒と、
前記筒の一端から外向きに延在するホルダと、
前記ホルダに取外し可能に取り付けられる、前記ホルダおよび前記筒から液体を放出するための使い捨てノズルと、
前記ホルダ(と前記プランジャ)との間で前記筒に液体が吸い込まれる後退位置と、前記ホルダおよび前記使い捨てノズルを通して液体が放出される伸長位置との間で移動するように前記筒内で滑動可能なプランジャと、
前記プランジャを伸長された液体放出位置へと移動させるため、液圧下で移動可能な前記筒内で滑動可能なピストンと、
前記筒内で前記ピストンに接続される、前記ピストンが後退されると前記プランジャを前記後退位置へと移動させるためのレトラクタと、
前記レトラクタを前記プランジャに接続して、前記ピストンが前記プランジャに接して前記筒内で滑動して前記プランジャを前記伸長位置へと移動させることを可能にするとともに、前記ピストンおよび前記レトラクタが前記ホルダおよび前記ノズルから離れる方向で前記後退位置へと移動すると、前記プランジャを前記後退位置へと引っ張るためのカプラーと、
前記ピストンの一方の側では、前記ピストンおよび前記プランジャを前記後退位置から前記伸長位置へと移動させて、前記ホルダおよび前記ノズルを通して液体を放出することと、前記ピストンの第2の側では、前記ピストンおよび前記プランジャを、注射可能な液体が前記ホルダと前記プランジャとの間で前記筒に吸い込まれる後退位置に戻すことを交互に行う、圧力下で流体を前記筒に導入するための第1の弁と、
前記第1の弁を作動させるためのトリガーであって、操作されるごとに、前記プランジャを前記後退位置から前記伸長位置へと移動させ、次いで前記後退位置に戻すトリガーと、
前記一端から離れた前記筒の第2の端部にある、前記プランジャおよび前記ピストンが前記後退位置へと移動するときの前記ピストンの移動を制限する停止具とを備える、無針注射器。
【請求項2】
前記トリガーが操作されるまで、前記ピストンおよび前記プランジャを前記後退位置で解放可能に保定する、前記ピストン内の磁石を含む、請求項1に記載の無針注射器。
【請求項3】
前記ピストンのストロークと、その結果として前記筒から放出される液体の投与量とを変更するストローク調整装置を含む、請求項1に記載の無針注射器。
【請求項4】
前記ストローク調整装置が、前記ピストンを係合するための、前記筒の前記第2の端部内のねじ付きプラグと、前記筒の前記第2の端部内の肩部と、前記プラグと前記肩部との間のスペーサリングであって、前記筒内での前記プラグの回転によって前記肩部と前記プラグとの間のギャップを変化させ、その結果として前記ピストンのストローク長さを変化させるスペーサリングとを含む、請求項3に記載の無針注射器。
【請求項5】
前記ストローク調整装置が、前記筒の前記第2の端部に回転可能に取り付けられ、前記プラグを回転させるために前記プラグに接続されたノブと、前記注射器の投与量設定を示す、前記ノブの移動によって露出する前記筒上の目盛りとを含む、請求項4に記載の無針注射器。
【請求項6】
前記ホルダを前記筒内で保定するための、前記筒の前記一端上の取外し可能なキャップを含む、請求項1に記載の無針注射器。
【請求項7】
注射可能な液体の供給部を保持するための前記筒上のシリンジと、前記注射器を使用して注射が行われるごとに注射された液体の投与量を示す、前記シリンジ上の目盛りとを含む、請求項1に記載の無針注射器。
【請求項8】
前記シリンジを前記筒に接続する、前記プランジャが後退されると注射可能な液体を前記筒に入れるようにするための一方向弁を含む、請求項7に記載の無針注射器。
【請求項9】
前記ホルダが、液体を前記使い捨てノズルに運ぶための中央通路と、外向きに延在する円筒状スリーブとを含み、前記使い捨てノズルが細長い管状本体を含み、該管状本体が、
先細状の前方放出端部と、
前記本体を通って延在する、前記ホルダから受け入れた液体を放出するための通路と、
前記本体の後端部にある、前記スリーブを受け入れるための環状陥凹部と、
前記ノズルが前記ホルダに取り付けられると前記スリーブの前端にある切欠き内まで延在する、前記陥凹部の内壁から外向きに延在する弾性の移動止めとを有し、
それにより、前記ノズルを回転させて前記ホルダから取り外すと、前記移動止めが折れて、前記ノズルが使用されていることを示す、請求項6に記載の無針注射器。
【請求項10】
前記本体が、前記ホルダ上の対応するねじ山を係合する雌ねじ山を含む、請求項9に記載の使い捨てノズル。
【請求項11】
前記移動止めが、前記陥凹部の前記内壁から鋭角で外向きに延在し、それによって、前記ノズルが前記ホルダ上で取付け方向に回転されると、前記移動止めが屈曲して前記ホルダの切欠きに入り、かつそこから外れ、前記ノズルが前記ホルダに完全に取り付けられると、前記移動止めが前記切欠き内へと延在し、それによって、前記ノズルを逆方向に回転させることにより、前記移動止めが前記切欠きの一方の面を係合するとともに、前記ノズルの残りの部分から外れる、請求項10に記載の使い捨てノズル。
【請求項12】
前記切欠きの前記一方の面が斜角を付けられて、前記移動止めを切断するナイフエッジを規定する、請求項11に記載の使い捨てノズル。
【請求項13】
前記陥凹部の内壁が溝を含んで、前記ノズルを前記ホルダ上に取り付ける間、前記移動止めが屈曲して前記溝に入ることができる、請求項12に記載の使い捨てノズル。
【請求項14】
前記移動止めが、前記移動止めの残りの部分よりも薄い内側端部を含んで、前記移動止めを前記ノズル本体の残りの部分に接続して、前記内側端部で前記移動止めが壊れることを容易にする、請求項13に記載の使い捨てノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2013−516250(P2013−516250A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547444(P2012−547444)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【国際出願番号】PCT/CN2011/070092
【国際公開番号】WO2011/082685
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(512177780)メディカル インターナショナル テクノロジーズ (エムアイティー カナダ) インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】