説明

無鉛はんだ除去の組紐

束を形成するために束ねられた複数の固体金属のより糸から形成され、複数の束が組紐を形成するために互いに編まれた無鉛はんだを有するプリント基板又は電気部品をはんだ除去するための組紐。組紐は単層を有するように形成されると共に摂氏183度(華氏約361度)を超える融点温度を有する無鉛はんだを備えた前記プリント基板又は電気部品のはんだ除去をするように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はんだ除去部材に関する。特に本発明は、例えば、プリント基板や電子機器から、これらの電気部品の再加工及び修理中にはんだを除去するように構成された組紐に関する。
【背景技術】
【0002】
公知のはんだ除去の組紐は、有効性が摂氏200度(華氏392度)より高い融点を有するはんだに限定されていた。現在、米国の電子機器製造は、摂氏183度(華氏361度)の融点を有するすず/亜鉛の共晶はんだを用いている。ヨーロッパにおける規制基準、すなわち、廃電気電子機器指令(WEEE)、及び2006年7月1日以後にヨーロッパで販売される新しい電気製品において、有鉛はんだの使用を禁止する特定有害物質使用制限指令(欧州連合指令 2002/95/EC)によって、現在、多くの製造業者が、期限前に製造プロセスを無鉛はんだに変更する計画を有し、摂氏200度よりも高い融点を有する無鉛はんだの評価を行っている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
公知の組紐は、これら評価されたはんだの温度(融点)で効果的に機能することができない。これらの組紐は、組紐を形成するために織られ略平らにされた中空のチューブから製造される。その結果、層を形成するチューブの対向する壁面で以て2層構造となる。これら組紐がより低温のはんだにとって有効であるのに対して、その伝熱率は、より高い融点を有する部品を効果的にはんだ除去するためには非常に低い。
【0004】
従って、より高い融点のはんだで有効なはんだ除去部材のニーズが存在する。このようなはんだ除去部材は、はんだ除去の組紐のような公知の部材と同じように形成されることが望ましい。このような組紐は、熱源から、除去すべきはんだへの伝熱率を効果的に増大させることによって、はんだ除去操作を容易にすることがより望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
プリント基板又は電気部品をはんだ除去する組紐が開示される。組紐は、無鉛はんだを有する部品(及び基板)をはんだ除去するように構成される。組紐は、束を形成するため、束ねられた複数の固体金属のより糸から形成される。複数の束は、組紐を形成するため互いに編まれている。
【0006】
組紐は、単層を有するように形成され、摂氏183度(華氏約361度)より大きい融点を有する無鉛はんだを備えたプリント基板又は電気部品をはんだ除去するように構成されている。
【0007】
本発明の組紐は、固体の銅のより線から形成される。必要に応じて、組紐は、組紐上にコーティングするフラックスを有してもよい。フラックスは、ノークリーンフラックス、ロジンフラックス等を含む。
【0008】
現在、考慮している組紐において、束は約4本から約12本、好ましくは7本の導線のより糸を有し、より糸は、約40から約44、好ましくは42のゲージを有する。組紐は、約9から約17、好ましくは13の2オーバー2構造に編まれたより糸の束を有する。なお、組紐は1オーバー1構造で形成されてもよい。
【0009】
本発明のこれら及び他の特徴及び利点は、添付の特許請求の範囲と共に、以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の利益及び利点は、以下の詳細な説明及び添付図面を見直した後、当業者にとってより容易に明らかとなるであろう。
【0011】
本発明は様々な形の実施形態が可能である一方、本開示は本発明の例示と考えるべきであり、本発明を記載された特定の実施形態に限定することを意図していないということを念頭に置いて、本発明の好適な実施形態を図面に示し以下に説明する。
【0012】
なお、本明細書の本節のタイトル、すなわち「発明を実施するための最良の形態」は、米国特許庁の要求に関連しており、ここで開示された主題を限定することを暗示するのでもほのめかすものでもない。
【0013】
図1を参照すると、本発明の原理を具体化するはんだ除去の組紐10を示している。組紐10は単層の部材又は要素として形成される。複数の固体のより糸12(例えば12a、12b、12c、・・・12g)は、より糸12の束14を形成するためにグループ化される。そして、複数の束14(例えば、14a、14b、14c、・・・14m)は、組紐10を形成するために編み込まれる。組紐10は、別々の要素のそれぞれ、又は本実施例においてはより糸12及び束14のそれぞれが単層である、編んだ又は織り込んだ単層として形成される。はんだ除去の組紐10の現在の材料は銅である。本発明の組紐10の構造は、編んだ要素(すわなち、チューブ)が平らにされて結果として2層構造になる公知の組紐と対照的である。
【0014】
本組紐10において、各束14には7本のより糸12と、組紐10を形成するために編み込まれた13の束14とがある。組紐10において、より糸12が42ゲージのワイヤである。これは13−7−42の組紐を製造する。組紐10は、編んだ組紐10を形成するために、束14aが、その隣の隣接する2つの束14b、14cの上を通される(又は下を通される)、(符号18で概して示される)2オーバー2構造に形成される(又は編まれる)。このような組紐10は、約2.11mm(±0.25mm)の幅w10であって、約0.36mm(±0.08mm)の厚さt10である。しかし、他のワイヤのゲージ、(各束14における)他のより糸12の数、(組紐10における)他の束14の数、及び編んでいる他の構造18は、本発明の組紐10を形成し付加的なサイズ及び面積を達成するために使用可能であると考えられる。例えば、適当な組紐が、13−7−42(42ゲージのワイヤの7本のより糸の13の束)の組紐、13−5−42(42ゲージのワイヤの5本のより糸の13の束)の組紐、及び13−7−40(40ゲージのワイヤの7本のより糸の13の束)の組紐、さらに他のサイズ、他の数、及び他の構造として形成されてもよいと考えられる。より糸12の数は、束14あたり約4から12のより糸に変更可能であり、ワイヤ(より糸12)のゲージは約40から約44に変更可能であり、組紐10あたりの束14の数は約9から約17に変更可能である。
【0015】
本発明の編んだ構造は、1インチあたり約20ピックから24ピックを有し、約2.11mmの幅で、約0.36mmの厚さである。ピックは、交差する(ワイヤの)束間の距離である。前述のように、本発明の単一の厚さ又は単層の(リボンのような)組紐10は、公知の組紐が平らにされたチューブ状の構造から製造されるという点において、2層構造を有する公知のはんだ除去の組紐と異なる。単層の組紐がはんだ除去に用いられた場合、かなり早い熱伝達(より大きい熱伝達率)が、無鉛はんだを溶融するために生じることが観察された。これによって再加工プロセスのスピード及び効率が増大し、プリント基板(PCB)及び部品への熱損傷が最小限になる。本発明の組紐が、摂氏約183度(華氏約361度)よりも大きい融点を有するはんだを効果的に除去する働きをすることが分かった。
【0016】
図4に別の組紐110を示す。この組紐は、束114aが隣接する束114b、114cの上下をそれぞれ互い違いになっている1オーバー1構造に形成される。
【0017】
組紐10、110は、高温のノークリーンフラックスのような(符号20で概して示される)フラックスを含んでもよい。一つの適当なフラックス20は、ノークリーンフラックスであり、様々なものが市販され、ニュージャージー州ジャージーシティーのアルファメタルから適当に選択可能である。これによって、最大摂氏400度(華氏752度)といったより高温を扱う用途をはんだ除去が可能となる。このようなフラックスを用いてはんだ除去をすると、フラックスを早期に損失させることなく、より高温でフラックスの気化又は劣化に対して、最適化することが可能となる。はんだ除去が完了したとき、PCB表面上に残る残余物は、PCB上に残されているならば非腐食性である。はんだ除去の残余物は、必要に応じて、洗浄用溶剤を用いて除去可能である。別の考えられるフラックスはロジンフラックスである。
【0018】
はんだごて(図示せず)を熱源として使用した場合、本発明の組紐10、110を使用すると、無鉛はんだを溶融させるために必要とされる時間を減少させることができることが分かった。はんだ除去の組紐10、110をはんだの表面に付け、はんだごてをはんだ除去の組紐10、110に接触させることによって、熱が、はんだの融点に達するようにはんだ除去の組紐10、110を通してはんだに効率的に伝達される。はんだは、このようにして、PCB上のはんだ付けされた部品の置き換えのための再加工及び修理中に、PCB上の様々な場所から除去することができる。また、この技術は、はんだペーストの塗布のための表面を準備するため表面実装部品への熱風を除去した後、置き換え部品を熱風で再フローする前に、PCBのパッドから余分なはんだをクリーニングするためにも使用可能である。
【0019】
組紐10、110が形成される方法は、当業者によって明らかであろう。例えば、組紐10、110は、フラットブレイジング技術、或いは、メイポールブレイジング技術を用いて形成可能である。このような全てのブレイジング技術は本発明の範囲内である。
【0020】
ここで参照したすべての特許は、本開示の文章内に特にそのようにしたか否かに関わらず、引用することによって本明細書の記載に替えることとする。
【0021】
本開示において、「一つの」という語は、単数及び複数の両方を含むように解釈されるべきである。反対に、複数の事項への言及は、適当な場合には単数を含む。
【0022】
前述のように、多数の改良及びバリエーションは、本発明の新概念の真の精神及び範囲から逸脱することなく達成可能であることは明らかである。記載した特定の実施形態に関して限定することは意図されておらず、又は暗示もしていないことは明らかである。本開示は、添付した特許請求の範囲によって、特許請求の範囲に含まれるようなこのようなすべての改良を対象とすることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の原理を具体化する無鉛はんだ除去の組紐の平面図である。
【図2】2オーバー2構造で示される組紐の拡大した接近図である。
【図3】図3の組紐の端面図である。
【図4】1オーバー1構造で形成された大体の組紐を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無鉛はんだを有するプリント基板又は電気部品をはんだ除去する組紐であって、束を形成するために束ねられた複数の固体金属のより糸と、組紐を形成するために互いに編まれた複数の束とを具備し、前記組紐が単層を有するように形成されると共に摂氏183度(華氏約361度)を超える融点温度を有する無鉛はんだを備えた前記プリント基板又は電気部品のはんだ除去をするように構成された組紐。
【請求項2】
前記固体金属のより糸が銅である請求項1に記載の組紐。
【請求項3】
前記組紐にコーティングするフラックスを有する請求項1に記載の組紐。
【請求項4】
前記フラックスがノークリーンフラックスである請求項3に記載の組紐。
【請求項5】
前記フラックスがロジンフラックスである請求項3に記載の組紐。
【請求項6】
前記束が約4本から約12本の銅線のより糸を有する請求項1に記載の組紐。
【請求項7】
前記銅線が約40から約44のゲージである請求項6に記載の組紐。
【請求項8】
当該組紐が約9から約17のより糸の束を有する請求項1に記載の組紐。
【請求項9】
当該組紐が2オーバー2構造に編まれている請求項1に記載の組紐。
【請求項10】
当該組紐が1オーバー1構造に編まれている請求項1に記載の組紐。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−529802(P2008−529802A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555735(P2007−555735)
【出願日】平成18年2月4日(2006.2.4)
【国際出願番号】PCT/IB2006/050372
【国際公開番号】WO2006/087648
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(591203428)イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド (309)
【Fターム(参考)】