説明

無電極バルブ

【課題】本発明の目的は、改良された無電極バルブを提供するものである。
【解決手段】無電極バルブ1は、中空の石英管2を有し、石英管2が一端から延びる強固なステム部3と、他端から延びる短くて中空の先端部4とを有している。石英管2の中空内部5は、石英管2と同径で先端部4に延びており、つまり、先端部4の壁厚6は、石英管2の壁厚7から減少している。また、無電極バルブ1は、キセノンガスを充填し、臭化インジウム量8と微量の金属ハロゲン化物とを光スペクトルを調節するために充填する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無電極バルブに関するものである。
【0002】
2005年12月23日に国際出願された国際特許出願PCT/GB05/005080で、現在国際公開WO2006/070190で、無電極電球の作成方法を詳細に説明しクレーム化を行った。この無電極バルブの作成方法は、石英ガラス製のバルブ囲繞体を準備するステップと、バルブ囲繞体の横断内側寸法より小さな穴を有する近接ネック部を、バルブ囲繞体と一体的に又はバルブ囲繞体内に通じる分岐チューブに形成するステップと、少なくとも一つの励起性物質のペレットを、バルブ囲繞体内に近接ネック部を通して挿入するステップと、近接ネック部を通してバルブ囲繞体を減圧排気するステップと、そしてバルブを密封するステップと、からなる。
【0003】
通常、バルブは、不活性ガスで満たされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、改良された無電極バルブを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る無電極バルブは、両端が密封され、励起物質の電荷を有している中空の管からなり、本体と、断面寸法を短縮した発光端部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
通常、前記本体及び前記断面寸法を短縮した発光端部のいずれも、円形の断面を有しており、前記断面の寸法が直径であることを特徴とする。
【0007】
前記断面寸法を短縮した発光端部の直径は、前記本体の直径から徐々に小さくし得る一方で、好ましくは、前記本体の直径より小さくすることを特徴とする。
【0008】
また、前記断面寸法を短縮した発光端部は、円錐形など様々な形状にし得る一方で、好ましくは、例えば平行側部などの断面が一定なものであることを特徴とする。
【0009】
実際の先端部は、平坦又はドーム形状にすることができ、先端部の形状は、先端部からの所望の配光パターンにより選択されることを特徴とする。
【0010】
また、前記断面寸法を短縮した発光端部は、例えば楕円形状又は放物面形状など、立体的に湾曲した形状にし得ることを特徴とする。
【0011】
前記断面寸法を短縮した発光端部の直径は、前記本体の直径の50%〜90%の間にし得る一方で、好ましくは、段差付きの端部の直径が、前記本体の直径の4/6〜5/6の間であることを特徴とする。
【0012】
前記断面寸法を短縮した発光端部は、断面寸法が最大の端部と同一の壁厚を有しており、好ましい実施形態において、無電極バルブの内径は、全長に渡り一定であることを特徴とする。
【0013】
好ましくは、前記無電極バルブは、断面寸法が最大の端部から延びる位置決め脚部又は位置決めステム部を有することを特徴とする。
【0014】
前記無電極バルブは、当社の現行の無電極バルブように石英製とし得る一方で、アルミナ、窒化アルミニウム、イットリウム・アルミニウム・ガーネット、及び人工サファイアなどのセラミック材料製とし得ることを特徴とする。
【0015】
好ましくは、前記電荷は、金属ハロゲン化物及び希ガスから取り出したものであり、通常、これらは、金属ハロゲン化物が臭化インジウムで、希ガスがキセノン又はクリプトンであることを特徴とする。しかしながら、プラズマとして、励起したときに発光することが周知である他の揮発性物質を使用可能である。
【0016】
前記無電極バルブは、焦点を有する光反射鏡と組み合わせて、前記断面寸法を短縮した発光端部の範囲内における前記無電極バルブのほぼ中心軸に収まる前記焦点に位置合わせされることを特徴とする。好ましくは、セラミック製導波管には、前記無電極バルブが取り付けられ、前記光反射鏡が配置され、前記セラミック製導波管内部にマイクロ波照射装置が取り付けられ、前記セラミック製導波管からは、使用の際に発光励起させるために、マイクロ波エネルギーが、前記セラミック製導波管を介して前記無電極バルブに転送され、前記光反射鏡と組み合わされた前記無電極バルブが、ランプとして前記セラミック製導波管と組合わされることを特徴とする。
【0017】
本発明の理解を促進するために、その実施態様を実施例により、添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る無電極バルブの断面図である。
【図2】反射鏡を有する導波管に取り付けられたバルブの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面を参照すると、無電極バルブ1は、中空の石英管2を有し、石英管2が一端から延びる強固なステム部3と、他端から延びる短くて中空の先端部4とを有している。石英管2の中空内部5は、石英管2と同径で先端部4に延びており、つまり、先端部4の壁厚6は、石英管2の壁厚7から減少している。また、無電極バルブ1は、キセノンガスを充填し、臭化インジウム量8と微量の金属ハロゲン化物とを光スペクトルを調節するために充填する。
【0020】
使用時には、マイクロ波照射装置14を有するセラミック製の導波管12の孔11に、無電極バルブ1が取り付けられる。ステム3は、金属製の裏当て板16に設けられた孔15に取り付けられる。無電極バルブ1のマイクロ波励起する際にプラズマがキセノン雰囲気中で生じることで、無電極バルブ1では、臭化インジウムが蒸発して光を発光する。
【0021】
通常、本発明の無電極バルブのようなプラズマ放電ランプは、励起物質を余分に用いることで、動作中に気相の物質が最大限に存在し、それにより、発光が最大化される。この結果、この気相の物質が無電極バルブ1の最も冷えている部分で凝結する傾向がある。この凝結により、この気相の物質は蓄積される。光が発光されている点で凝結が起こると、無電極バルブ1にとっては、不都合な状態となり得る。横方向に発光された光を利用できるようにするために、セラミック製の導波管12から僅かに延びた無電極バルブ1を動作させることにより、こちらの端に冷たい点が形成される傾向が生じ、これにより、発光効率が阻害されることを見いだしていた。
【0022】
今回、無電極バルブ1の先端部4の直径を減少することで、無電極バルブ1は、温度が高めの状態で動作し、冷たい点の形成が緩和されることを見いだした。先端部4の直径を減少させることは、先端部4への熱伝導が低下することにより、先端部4がより冷えた状態で動作する傾向があると考えられたかもしれない。これに関しては、発光プラズマが先端部4の内部空間に延びることも要因だと思われるが、先端部4の表面積を減少させることにより、先端部4は、放熱が抑えられ、より高い温度で動作すると考えられる。
【0023】
標準的な無電極バルブ1の寸法は、石英管2の直径が6.0mm、先端部4の直径が5.0mm、石英管2の長さが10.0mm、先端部4の長さが5.0mm、ステム部3の直径が2.0mm、ステム部3の長さが10.0mmとなっている。
【0024】
図3には、パラボラ反射鏡17が示されており、パラボラ反射鏡17の焦点には、先端部4を有している。それにより、先端部4からの光は、パラボラ反射鏡17で反射され、パラボラ反射鏡17からほぼ平行な平行ビーム18になる。
【0025】
上述した好適な無電極バルブ1は、無電極バルブ1の外形状を削り、壁厚を薄くして形成されており、例えば、本体の内部を拡げ、段差付きの端で本体の内部を狭くするなど、無電極バルブ1の本体の壁厚7を先端部4の壁厚6まで減少させることで、無電極バルブ1の熱性能が向上し得ると確信する。さらに、生産では、無電極バルブ1がブロー成形されると思われる。
【符号の説明】
【0026】
1 無電極バルブ
2 石英管(管)
3 ステム部(位置決め脚又は位置決めステム部)
4 先端部(断面寸法を短縮した発光端部)
6,7 壁厚
12 導波管(セラミック製導波管)
14 マイクロ波照射装置
17 パラボラ反射鏡(光反射鏡)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端が密封され、励起物質の電荷を有している中空の管からなり、
本体と、断面寸法を短縮した発光端部と、を備える
ことを特徴とする無電極バルブ。
【請求項2】
前記本体及び前記断面寸法を短縮した発光端部は、円形の断面を有しており、前記断面の寸法が直径であることを特徴とする請求項1記載の無電極バルブ。
【請求項3】
前記断面寸法を短縮した発光端部の直径は、前記本体の直径より小さくすることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の無電極バルブ。
【請求項4】
前記断面寸法を短縮した発光端部の直径は、前記本体の直径から徐々に小さくすることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の無電極バルブ。
【請求項5】
前記断面寸法を短縮した発光端部は、平行側部であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つ記載の無電極バルブ。
【請求項6】
前記断面寸法を短縮した発光端部は、平行側部であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つ記載の無電極バルブ。
【請求項7】
前記断面寸法を短縮した発光端部は、円錐形であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つ記載の無電極バルブ。
【請求項8】
前記断面寸法を短縮した発光端部は、立体的に湾曲していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つ記載の無電極バルブ。
【請求項9】
前記断面寸法を短縮した発光端部は、平坦端を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つ記載の無電極バルブ。
【請求項10】
前記断面寸法を短縮した発光端部は、ドーム端を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つ記載の無電極バルブ。
【請求項11】
前記断面寸法を短縮した発光端部の直径は、前記本体の直径の50%〜90%の間であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つ記載の無電極バルブ。
【請求項12】
前記断面寸法を短縮した発光端部の直径は、前記本体の直径の4/6〜5/6の間であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つ記載の無電極バルブ。
【請求項13】
前記管の壁厚は、前記本体と前記断面寸法を短縮した発光端部との間でほぼ一定であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つ記載の無電極バルブ。
【請求項14】
前記管の内径は、前記本体と前記断面寸法を短縮した発光端部との間でほぼ一定であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つ記載の無電極バルブ。
【請求項15】
前記無電極バルブは、前記本体の一端から延びる位置決め脚部又は位置決めステム部を有することを特徴とする請求項1〜14のいずれか1つ記載の無電極バルブ。
【請求項16】
前記無電極バルブは、石英製であること特徴とする請求項1〜15のいずれか1つ記載の無電極バルブ。
【請求項17】
前記無電極バルブは、セラミック材料製であること特徴とする請求項1〜15のいずれか1つ記載の無電極バルブ。
【請求項18】
前記電荷は、金属ハロゲン化物及び希ガスから取り出したものであること特徴とする請求項1〜17のいずれか1つ記載の無電極バルブ。
【請求項19】
前記金属ハロゲン化物は、臭化インジウムであり、前記希ガスは、キセノン又はクリプトンであること特徴とする請求項18記載の無電極バルブ。
【請求項20】
前記無電極バルブは、焦点を有する光反射鏡と組み合わせて、前記断面寸法を短縮した発光端部の範囲内における前記無電極バルブのほぼ中心軸に収まる前記焦点に位置合わせされること特徴とする請求項1〜19のいずれか1つ記載の無電極バルブ。
【請求項21】
セラミック製導波管には、前記無電極バルブが取り付けられ、前記光反射鏡が配置され、
前記セラミック製導波管内部にマイクロ波照射装置が取り付けられ、
前記セラミック製導波管からは、使用の際に発光励起させるために、マイクロ波エネルギーが、前記セラミック製導波管を介して前記無電極バルブに転送され、
前記光反射鏡と組み合わされた前記無電極バルブが、ランプとして前記セラミック製導波管と組合わされること特徴とする請求項20記載の無電極バルブ。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−527129(P2010−527129A)
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507970(P2010−507970)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【国際出願番号】PCT/GB2008/001657
【国際公開番号】WO2008/139189
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(507212067)セラビジョン・リミテッド (14)
【Fターム(参考)】