説明

無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法及びそこで使用される活性剤

【課題】銀ペーストを使用しないで無電解めっきによって太陽電池電極を製造する方法を提供する。
【解決手段】(A)シリコン基板を提供する;(B)シリコン基板を活性剤と接触させる、ここで活性剤は貴金属又は貴金属化合物、増粘剤及び水を含む;(C)シリコン基板を洗浄剤で洗浄する;及び(D)無電解系めっきを実施するために、シリコン基板を無電解ニッケルめっき溶液中に浸漬し、ニッケル層51および52を形成する;工程を含む。本発明の無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法は窒化ケイ素3及びシリコン23の間の高い選択性及び大きな運転条件範囲を有し、そして安定で制御され易いため、太陽電池基板の電極の製作において使用されるのに適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2011年1月26日に出願された「太陽電池電極用の無電解ニッケルめっき溶液及びそれを使用する方法」という名称の米国出願番号13/013,917の優先権を請求し、その主題が参照されることにより本明細書に取り込まれている。
【0002】
本出願は、35USC第119条(e)(1)項の下で2010年2月5日に出願された「太陽電池電極用の無電解ニッケルめっき溶液及びそれを使用した方法」という名称の米国仮出願番号61/282,420の出願日の優先権を請求する。
【0003】
本発明は、無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法及びそこで使用される活性剤に関し、さらに詳細には、銀ペーストを使用しないで無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法、及びそこで使用される活性剤に関する。
【背景技術】
【0004】
工業技術の発展に伴い、今日、全世界が直面する深刻な問題は、エネルギー危機及び環境汚染である。世界的なエネルギー危機を解決するために、そして環境汚染を低減するために、化石燃料源を代替するための、風力及び太陽エネルギー等のグリーンエネルギーに関する多くの努力が払われている。特に、太陽電池は、太陽エネルギーを電気に変換することができる効果的な手段の一つである。
【0005】
図1A〜1Cを参照すれば、従来の太陽電池の電極を提供するプロセスフローチャートが示されている。第一に、シリコン基板1の半製品が提供され、ここでシリコン基板1は、n−型シリコン層11及びp−型シリコン層12を含み、そして窒化ケイ素層13がn−型シリコン層11の上に形成される。さらに、凹部19が窒化ケイ素層13及びn−型シリコン層11の表面において形成され、ここで凹部19が窒化ケイ素層13を貫通する。次いで、図1Bに示されるように、印刷法によって、銀ペースト層15がn−型シリコン層11の凹部19において形成され、そしてアルミニウムペースト層14がp−型シリコン層12上に形成される。最後に、図1Cに示されるように、電気めっき法又は無電解めっき法によって、ニッケル層17及び16が各々銀ペースト層15及びアルミニウムペースト層14上に形成される。従来技術において、銀ペースト層15及びアルミニウムペースト層14を形成する二つの転写プリント工程、及び電気めっき工程又は無電解工程が通常、正/負電極の形成において含まれている。
【0006】
太陽電池の電極の作成に関して、特許文献1では、銀ペーストが使用される、太陽電池の負電極の製作方法が提案されている。また、特許文献2では、電気めっき法によって銀層が銀ペースト層上に形成され、従って負電極が形成される、電気めっき法による太陽電池電極の製作方法が使用されている。特許文献3では、太陽電池のパターン化された正電極構造が開示されている。
【0007】
特許文献4では、シリコン基板をナノ粒子でコーティングすることによる太陽電池の製作方法が提案されており、ここでは、電極がシリコン基板の表面上に無電解めっきを適用することによって作られる代わりに、銀ペーストで作られている。
【0008】
銀ペースト、アルミニウムペースト、又は銀−アルミニウムペーストが太陽電池の製造に適用することができることは良く知られている。例えば、特許文献5、特許文献6及び特許文献7では、銀ペースト、アルミニウムペースト、又は銀アルミニウムペーストの使用及び組成物が詳細に述べられている。しかしながら、銀ペーストのコストは高く、そして銀ペースト中に含まれるガラス粉末及びポリマーの抵抗が共に高い(その結果、太陽電池の電極の抵抗が高くなる)ため、太陽電池の効率が低下し、そしてその経済的効果が低下する。従って、ニッケルの低い抵抗のおかげで、太陽電池の抵抗を下げそして効率を上げるために、電極の形成において銀ペーストを代替するために、ニッケルが使用することができること提案されている。
【0009】
太陽電池の製造のためにニッケルを使用する考えが、特許文献8においてもっと早く見ることができ、ここでは640g/Lの塩化ニッケル及び40g/Lのフッ化アンモニウムが、電極を形成するために、窒化ケイ素を含まない太陽電池のシリコン基板の表面のためのニッケル電気めっきプロセスにおいて使用される。
【0010】
特許文献9では、シリコン基板の活性化工程及び塩基性無電解ニッケルめっき工程を含む、太陽電池の電極の製作方法が提案されている。
【0011】
特許文献10では、太陽電池の電極を形成するためのニッケル電気めっき用に使用される照明方法が提案されているが、これは光源において制限があり、従って無電解めっき法に比べて不便でかつ遅い。
【0012】
無電解ニッケルめっき溶液に対して窒化ケイ素及びシリコンの間の高い選択性を有することは、太陽電池の製作を通じて重要なことである。もし、無電解ニッケルめっき溶液の窒化ケイ素及びシリコンの間の選択性が低いと、窒化ケイ素層上にニッケルが形成されるであろうし、従って、活性領域の低減及び光電変換効率の低減という結果になる。
【0013】
従って、従来の無電解ニッケルめっき溶液は、窒化ケイ素及びシリコンの間の十分な選択性を満たすことができないため、従来の無電解ニッケルめっき溶液を使用することによって、シリコンの表面がニッケルで無電解めっきされながら、窒化ケイ素の表面上にはニッケルが全くめっきされないという、太陽電池の要求される構造を得ることは困難である。従って、従来技術においては、銀ペーストが低い操作性(すなわち、加工性)を有し、かつコスト高になるものの、太陽電池の製作において負電極を形成することが無差別に選択される。
【0014】
そこで、太陽電池の光電変換効率を増大させ、そしてかつ太陽電池の製作のための製造コストを低減させ、かつ製造工程を簡略化するため、太陽電池の電極を提供するための改善された方法を提供することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】US5,591,565
【特許文献2】US2008/035489
【特許文献3】TW2008/18526
【特許文献4】US2009/239330(WO2009/117007)
【特許文献5】JP2007/251609(TW2009/26210)
【特許文献6】US2009/0126797(TW200937451)
【特許文献7】US2007/0215202(TW200742098)
【特許文献8】US4321283
【特許文献9】US2004/0005468
【特許文献10】WO2009/070945
【発明の概要】
【0016】
本発明は、(A)シリコン及び窒化ケイ素を含むパターン化された表面を有するシリコン基板を提供する;(B)シリコン基板を活性剤と接触させる、ここで活性剤は、貴金属又は貴金属化合物、増粘剤及び水を含む;(C)シリコン基板を洗浄剤で洗浄する;及び(D)シリコン基板を無電解ニッケルめっき溶液中に浸漬して、無電解系めっきを実施し、かつシリコン基板の第一表面のシリコン層上に負のニッケル電極を形成する;工程を含む、無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法を提供する。
【0017】
本発明の無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法は、仕分け理論(sorting theory)に基づく活性剤に対する窒化ケイ素及びシリコンの間の吸収能力の違いを増大させ得る。従って、本発明の方法における活性化により、窒化ケイ素及びシリコンの間の高い選択性が提供され、そして本方法のプロセス工程に対する運転条件範囲は大きく、安定で、かつ、種々の条件を有する表面に対して調整可能である。従って、本発明の無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法は銀ペーストを使用することなしに電極を形成することを可能にする。
【0018】
具体的には、本発明の無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法によると、工程(A)において、すなわち、「第一表面及び第二表面を有するシリコン基板を提供し、ここで第一表面は、シリコン及び窒化ケイ素を含むパターン化された表面である」と言う表現において、パターン化された表面は、シリコン及び窒化ケイ素を含む平面、ミクロスケールにおいてシリコン及び窒化ケイ素を含む高度差を有する表面、又はシリコン及び窒化ケイ素を含む織地表面であり得る。好ましくは、パターン化された表面は、図2Aに示されるような、シリコン及び窒化ケイ素を含むものである。窒化ケイ素層3は第一表面21の上に位置し、そしてアルミニウム層6は第二表面22の上に位置する。凹部4は窒化ケイ素層3中及び第一表面21中に形成し、そして凹部4は窒化ケイ素層3を通って延びてシリコン層23のシリコン表面25を露出する。また、シリコン層23は、単結晶シリコン、多結晶シリコン、微結晶シリコン、非晶質シリコン、ナノサイズの単結晶シリコン、又はナノサイズの多結晶シリコンから成る層であり得る。
【0019】
図3Aに示されるように、本発明の無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法によると、工程(A)において、第二表面22は、その上にアルミニウム層が形成されないシリコン表面26であり得る。工程(A)〜(D)が完了した後、図3Bに示されるように、ニッケル層51がシリコン基板2の凹部4に(すなわち、シリコン表面25の上に)形成され、そしてニッケル層52がシリコン層24の第二表面22の上に(すなわち、シリコン表面26の上に)形成される。シリコン層24(すなわち、第二表面22)は、単結晶シリコン、多結晶シリコン、微結晶シリコン、非晶質シリコン、ナノサイズの単結晶シリコン、又はナノサイズの多結晶シリコンから成る層であり得る。
【0020】
本発明の無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法によると、工程(A)において、第二表面は、シリコン及び酸化シリコン、シリコン及び窒化ケイ素、シリコン及び酸窒化ケイ素、シリコン及び有機ポリマー、又はシリコン及びフォトレジスト層から成る、パターン化された表面である。図4Aに示されるように、凹部5を含む層31は第二表面22上に配置され、そして凹部5は層31を通って延びて凹部5からシリコン層24のシリコン表面26を露出する。シリコン層24(すなわち、シリコン表面26)は、単結晶シリコン、多結晶シリコン、微結晶シリコン、非晶質シリコン、ナノサイズの単結晶シリコン、又はナノサイズの多結晶シリコンから成る層であり得る。工程(A)〜(D)が完了した後、図4Bに示されるように、ニッケル層51が凹部4中(すなわち、シリコン表面25上)に形成され、そしてニッケル層52が凹部5中(すなわち、シリコン表面26上)に形成される。また、層31は酸化シリコン層、窒化ケイ素層、酸窒化ケイ素層、有機ポリマー層、フォトレジスト層又はそれらの組合せであってよい。本明細書において、有機ポリマー層は、例えば、ポリイミド層であってよい。
【0021】
本発明の無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法によると、工程(A)において、パターン化された表面は、第二表面上に更に位置し得て、ここでパターン化された表面は、アルミニウム層及び酸化シリコン層、アルミニウム層及び窒化ケイ素層、アルミニウム層及び酸窒化ケイ素層、アルミニウム層及び有機ポリマー層、又はアルミニウム層及びフォトレジスト層から成る。図5Aに示されるように、凹部5を有する層31、及び凹部5において形成されたアルミニウム層7が、第二表面22上に位置している。工程(A)〜(D)が完了した後、図5Bに示されるように、ニッケル層51が凹部4中(すなわち、シリコン表面25上)に形成され、そしてニッケル層52がアルミニウム層7上に形成される。また、層31は酸化シリコン層、窒化ケイ素層、酸窒化ケイ素層、有機ポリマー層、フォトレジスト層又はそれらの組合せであってよい。本明細書において、有機ポリマー層は、例えば、ポリイミド層であってよい。
【0022】
本発明の無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法によると、工程(A)において、もし、(図2Aに示されるように)アルミニウム層6上、又は(図3Aに示されるように)第二表面22上にNiをめっきすることが望まれないならば、酸化シリコン層、窒化ケイ素層、酸窒化ケイ素層、有機ポリマー層又はフォトレジスト層がアルミニウム層6上又は第二表面22上に配置される。図6Aに示されるように、アルミニウム層を有しないシリコン基板2の場合、層32は第二表面22上に配置され、ここで、層32は、酸化シリコン層、窒化ケイ素層、酸窒化ケイ素層、有機ポリマー層、フォトレジスト層又はそれらの組合せであり得る。工程(A)〜(D)が完了した後、図6Bに示されるように、ニッケル層51が凹部4において(すなわち、シリコン表面25上に)のみ形成される。次いで、層32が従来の半導体製造プロセスを通して除去される。例えば、図6Cに示されるように、層32は、有機溶媒、ストリッパー、エッチング溶液、イオンプラズマ、又は超臨界流体によって除去することができる。
【0023】
本発明の無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法によると、もし第二表面22上、及びシリコン及び窒化ケイ素から連続して成るパターン化された表面上にNiをめっきすることが望まれるならば、図7Bに示されるように、有機ポリマー層又はフォトレジスト層の層33が、シリコン及び窒化ケイ素から成るパターン化された表面上に最初に形成されることができる。次に、図7Cに示されるように、第二表面22がニッケルでめっきされる。次に、図7Dに示されるように、有機ポリマー層又はフォトレジスト層の層33が、有機溶媒又はストリッパーの使用によって除去され、そしてシリコン基板2の第二表面22上にニッケル層52が形成される。最後に、図7Eに示されるように、工程(B)〜(D)を通して、太陽電池上に負電極51が形成される。
【0024】
本発明の無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法によると、図8Aに示されるシリコン基板2を工程(A)において使用することができる。図8Aに示されるように、シリコン基板2が提供され、ここで窒化ケイ素層3及び第一表面21中に凹部4が形成され、そして凹部4は窒化ケイ素層3を通って延びてシリコン表面25を露出する。同様に、凹部5が酸化シリコン、窒化ケイ素及び酸窒化ケイ素及び第二表面22の層31中に形成され、そして凹部5が層31を突き通してシリコン層24の表面26を露出する。次いで、コーティングプロセス又はインクジェット印刷プロセスを通して、n−型ドーパントを含有するナノサイズのシリコン粒子が凹部4中に形成され、そしてp−型ドーパントを含有するナノサイズのシリコン粒子が凹部5中に形成される。図8Bに示されるように、焼結プロセスの後、n−型のナノサイズシリコン粒子層71及びp−型のナノサイズシリコン粒子層72が、凹部4及び凹部5中に各々形成される。最後に、無電解ニッケルめっきプロセスの(B)〜(D)が実施され、そしてニッケル層51、52が、n−型のナノサイズシリコン粒子層71及びp−型のナノサイズシリコン粒子層72の上に各々形成される。
【0025】
本発明の無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法によると、工程(B)において、活性剤は、貴金属又は貴金属化合物、増粘剤及び水を含み、ここで貴金属は、好ましくは、パラジウム、金、銀、白金、及びそれらの組合せから成る群から選ばれ、そして貴金属化合物は、好ましくは、パラジウム化合物、金化合物、銀化合物、白金化合物、及びそれらの組合せから成る群から選ばれる。より好ましくは、パラジウム化合物、金化合物、銀化合物、白金化合物、及びそれらの組合せである。最も好ましくは、白金化合物、金化合物、及びそれらの組合せである。例えば、貴金属化合物は塩化パラジウム、硫酸パラジウム、硝酸パラジウム、塩化パラジウムテトラミン、塩化金、又はそれらの組合せであり得る。貴金属の含有量は、好ましくは、1mg/L〜500mg/L、そしてより好ましくは、10mg/L〜300mg/Lであり得る。
【0026】
本発明において、活性剤の粘度を上げるために、工程(B)において増粘剤が使用され、そして工程(C)での洗浄によって仕分けプロセスが実施されることを可能とする。すなわち、増粘剤は、活性剤がシリコン表面上に留まることを可能とし、そして同時に窒化ケイ素上に位置する活性剤を除去する。従って、増粘剤は、シリコン及び窒化ケイ素への無電解めっきの能力の間の違いを増大させることができ、そして窒化ケイ素及びシリコンの間の無電解めっきの選択性を増大させ得る。
【0027】
本発明において、増粘剤は、それが粘度を増大させることができて、かつ貴金属又は貴金属化合物と均一に混合できる限り、特に制限がない。貴金属化合物の水に対する溶解性故に、増粘剤は、好ましくは、水溶性である。例えば、増粘剤は、ポリオール、糖類、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、セルロース、及びそれらの組合せから成る群から選ばれるものであり得る。ポリオールは、好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン(グリセロール)、マンニトール、ポリビニルアルコール、及びそれらの組合せから成る群から選ばれ得る。糖類は、好ましくは、グルコース、フルクトース、スクロース、マルトース、ラクトース、澱粉、及びそれらの組合せから成る群から選ばれ得る。セルロースは、好ましくは、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルセルロース(EC)、及びそれらの組合せから成る群から選ばれ得る。増粘剤の含有量、好ましくは、0.05g/L〜15g/Lであり、それは増粘剤の特性及び目標物に対する仕分け能力(sorting ability)に従って調整され得る。
【0028】
本発明において、工程(B)における水は、貴金属化合物及び増粘剤の溶媒として使用される。さらに、もし、水に対する増粘剤の溶解性が十分で無いならば、溶解性を増すために有機溶媒が添加され得る。本明細書において使用される有機溶媒は、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、ブタノン、アルコールエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル(EGME)、エチレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、プロパンジオールブチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、N−メチルピロリジノン(NMP)、又はそれらの組合せであり得る。
【0029】
本発明において、工程(B)において、シリコン基板が活性剤中に浸漬され、又は活性剤で噴霧されて活性剤と接触させ得る。シリコン基板が活性剤で噴霧されて活性剤と接触させる場合、シリコン基板の反対側の表面が、同一又は異なる濃度を有する活性剤で噴霧され得る;又はシリコン基板の反対側の表面が異なる活性剤(すなわち、活性剤は異なる含有量を有する)で噴霧され得る。例えば、パラジウムを有する活性剤がシリコン基板の一方の表面上に噴霧され得て、そして金を有する活性剤がシリコン基板の他方の表面上に噴霧され得る。あるいは、シリコン基板の反対側の表面が活性剤で同時に又は連続して噴霧され得る(すなわち、シリコン基板の一方の表面が最初に噴霧され、他方の表面が後ほど噴霧される)。
【0030】
本発明において、工程(C)において、シリコン基板を洗浄するために使用される洗浄剤は水又は有機溶媒であり得る。仕分け能力を向上させるために、洗浄剤は増粘剤に対する望まれる溶解度を有するべきである。増粘剤として水溶性溶媒が使用される場合、洗浄剤として水を使用することができる。もしも水に対する増粘剤の溶解度が低い場合は、洗浄プロセスを助けるために、有機溶媒を添加することができる。本明細書において有機溶媒は、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、ブタノン、アルコールエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル(EGME)、エチレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、プロパンジオールブチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、N−メチルピロリジノン(NMP)、又はそれらの組合せであり得る。
【0031】
本発明において、工程(C)において、洗浄工程は:シリコン基板を洗浄剤中に浸漬する;洗浄剤をシリコン基板上に噴霧する;シリコン基板を流れている洗浄剤中に浸漬する;又はシリコン基板の第一表面上に水を流し(又はシャワーし)、続いてシリコン基板の第二表面上に水を流す(又はシャワーする);ことであり得る。噴霧は二つの表面上に同時に又は連続して実施され得て、そして二つの表面に対する噴霧継続時間は異なってもよい。洗浄時間は、活性剤の組成、洗浄方法、シリコン基板のパターン、又はシリコン基板の表面条件に依存して調整され得る。
【0032】
本発明の無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法によると、工程(D)において、無電解ニッケルめっき溶液は、(a)4.5g/L〜10.0g/Lのニッケルイオン;(b)0.5g/L〜40g/Lの還元剤;(c)30g/L〜60g/Lの、クエン酸、クエン酸アンモニウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、及びその混合物から成る群から選ばれる第一キレート剤;(d)5g/L〜80g/Lの、アルキロールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、及びそれらの組合せから成る群から選ばれる第二キレート剤;(e)0.0005g/L〜0.002g/Lの安定剤;及び(f)水;を含み得る。
【0033】
本発明の無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法によると、無電解ニッケルめっき溶液中のニッケルイオン源は、好ましくは、塩化ニッケル、硫酸ニッケル、メタンスルホン酸ニッケル、アミノスルホン酸ニッケル、及びそれらの組合せから成る群から選ばれる。ニッケルイオンの含有量は、好ましくは、4.5g/L〜10.0g/L、又は硫酸ニッケル六水和物の形においては20〜45g/L、塩化ニッケル六水和物の形においては18〜40g/L、メタンスルホン酸ニッケルの形においては19〜42.5g/L、又はアミノスルホン酸ニッケル(四水和物)の形においては24.5〜55g/L相当である。
【0034】
本発明の無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法によると、無電解ニッケルめっき溶液中の還元剤は、好ましくは、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸アンモニウム、ホスフィン酸、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム(SBH)、ジメチルアミン・ボラン(DMAB)、ジエチルアミン・ボラン、モルホリン・ボラン、及びそれらの組合せから成る群から選ばれる。
【0035】
本発明の無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法によると、無電解ニッケルめっき溶液中の第二キレート剤は、好ましくは、アルキロールアミン(すなわち、アルコールアミン)、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、及びそれらの組合せから成る群から選ばれるものである。本明細書において、アルキロールアミン(すなわち、アルコールアミン)は、好ましくは、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、及びその混合物から成る群から選ばれる。
【0036】
本発明の無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法によると、安定剤は、好ましくは、チオ尿素;チオ尿素の誘導体;チオシアネート;Pb2+、Sb3+及びBi3+の酢酸化合物;Pb2+、Sb3+及びBi3+の硝酸化合物;並びに‐SH基を有する水溶性有機物質から成る群から選ばれ得る。
【0037】
本発明の無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法によると、工程(D)において、無電解ニッケルめっき溶液は更に、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、ホウ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、コハク酸、乳酸、グリコール酸、酒石酸、及びそれらの組合せから成る群から選ばれる緩衝剤を含み得る。好ましくは、緩衝剤の含有量は1g/L〜20g/Lである。緩衝剤は、運転中のpH値の偏差を平準化することができ、そのため溶液を安定した状態に保ち得る。
【0038】
本発明の無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法によると、工程(D)において、無電解ニッケルめっき溶液は更に促進剤を含み得て、それはフッ化水素酸(HF)、フッ化ナトリウム(NaF)、フッ化カリウム(KF)、フッ化アンモニウム(NH4F)及びその組み合わせから成る群から選ばれ得る。好ましくは、促進剤の含有量は2g/L〜12g/Lである。
【0039】
本発明の無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法によると、アルミニウム層がシリコン基板の第二表面上に配置される場合、アルミニウム層の腐食を避けるために、工程(D)において、無電解ニッケルめっき溶液中の塩素イオンの濃度は好ましくは1000ppm未満である。
【0040】
本発明の無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法によると、工程(D)において、無電解ニッケルめっき溶液は更に、二種類の還元剤(すなわち、第一還元剤及び第二還元剤)を含み得る。第一還元剤は、好ましくは次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸アンモニウム、ホスフィン酸、及びその組み合わせから成る群から選ばれ;そして第二還元剤はボランであり、それは、好ましくは、水素化ホウ素ナトリウム(SBH)、ジメチルアミン・ボラン(DMAB)、ジエチルアミン・ボラン、モルホリン・ボラン、及びそれらの組合せから成る群から選ばれる。例えば、無電解ニッケルめっき溶液は更に第一還元剤として次リン酸ナトリウムを、そして、第二還元剤としてボランを含み得る。例えば、無電解ニッケルめっき溶液は第一還元剤として5g/L〜30g/Lの次リン酸ナトリウムを、そして第二還元剤として0.5g/L〜20g/Lのジメチルアミン・ボラン(DMAB)を含み得る。
【0041】
本発明の無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法によると、工程(D)において、無電解ニッケルめっき溶液のpH値は、好ましくは、7.0〜10.0の範囲にある。アルミニウム層がシリコン基板上に形成される場合、無電解ニッケルめっき溶液のpH値は好ましくは7.0〜9.0である。もし、pH値が高すぎると、アルミニウム層が腐食され得る。本明細書にいて、pH調整剤は、アンモニア、水酸化ナトリウム(NaOH),水酸化カリウム(KOH)又はそれらの組合せから成る群から選ばれ得る。
【0042】
本発明において、無電解ニッケルめっき溶液は、好ましくは、40℃〜80℃の温度範囲で運転される。
【0043】
本発明の無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法によると、工程(A)及び(B)の間に、好ましくはシリコン基板上の酸化シリコンを除去する工程が含まれ得る。例えば、図2Aに示されるように、シリコン基板は0.1%〜5%のフッ化水素酸内に浸漬されて凹部4のシリコン表面25上の痕跡量の酸化物層が除去され、そして次いで、シリコン表面25は水で洗浄されてシリコン表面25上のフッ化水素酸を除去する。
【0044】
本発明はまた、シリコン及び窒化ケイ素を含む、パターン化された構造を有する太陽電池の電極を形成するための活性剤を提供し、ここで活性剤は、(a)貴金属又は貴金属化合物、(b)増粘剤、及び(c)水を含む。
【0045】
本発明の活性剤は、無電解ニッケルめっき溶液に対して窒化ケイ素及びシリコンの間の適切な選択性を提供するために、太陽電池の電極の形成において使用することができる。
【0046】
本発明の活性剤によると、貴金属又は貴金属化合物の含有量は、好ましくは、1mg/L〜500mg/Lであり、そして増粘剤の含有量は、好ましくは、0.05g/L〜15g/Lである。
【0047】
本発明の活性剤によると、貴金属は、好ましくは、パラジウム、金、銀、白金、及びそれらの組合せから成る群から選ばれ;そして貴金属化合物は、好ましくは、パラジウム化合物、金化合物、銀化合物、白金化合物、及びそれらの組合せから成る群から選ばれる。より好ましくはパラジウム化合物、金化合物、銀化合物、白金化合物、又はそれらの組合せが本明細書において使用される。最も好ましくは、白金化合物、金化合物、又はそれらの組合せが本明細書において使用される。
【0048】
本発明の活性剤によると、増粘剤は、ポリオール、糖類、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、セルロース、及びそれらの組合せから成る群から選ばれるものであり得る。
【0049】
本発明の活性剤によると、ポリオールは、好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン(グリセロール)、マンニトール、ポリビニルアルコール、及びそれらの組合せから成る群から選ばれる。
【0050】
本発明の活性剤によると、糖類は、好ましくは、グルコース、フルクトース、スクロース、マルトース、ラクトース、澱粉、及びそれらの組合せから成る群から選ばれ得る。
【0051】
本発明の活性剤によると、セルロース、好ましくは、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルセルロース(EC)、及びそれらの組合せから成る群から選ばれ得る。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1A〜1Cは、太陽電池の電極を形成するための従来のプロセスを説明している断面図である。
【図2】図2A〜2Bは、本発明の無電解ニッケルめっきプロセスによって太陽電池の電極を形成する方法を使用することによって、太陽電池の電極を形成するためのプロセスを説明している断面図である。
【図3】図3A〜3Bは、本発明の無電解ニッケルめっきプロセスによって太陽電池の電極を形成する方法を使用することによって、太陽電池の電極を形成するためのプロセスを説明している断面図である。
【図4】図4A〜4Bは、本発明の無電解ニッケルめっきプロセスによって太陽電池の電極を形成する方法を使用することによって、太陽電池の電極を形成するためのプロセスを説明している断面図である。
【図5】図5A〜5B本発明の無電解ニッケルめっきプロセスによって太陽電池の電極を形成する方法を使用することによって、太陽電池の電極を形成するためのプロセスを説明している断面図である。
【図6】図6A〜6Cは、本発明の無電解ニッケルめっきプロセスによって太陽電池の電極を形成する方法を使用することによって、太陽電池の電極を形成するためのプロセスを説明している断面図である。
【図7】図7A〜7Eは、本発明の無電解ニッケルめっきプロセスによって太陽電池の電極を形成する方法を使用することによって、太陽電池の電極を形成するためのプロセスを説明している断面図である。
【図8】図8A〜8Cは、本発明の無電解ニッケルめっきプロセスによって太陽電池の電極を形成する方法を使用することによって、太陽電池の電極を形成するためのプロセスを説明している断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明の実践を説明している具体的な実施態様のおかげで、当業者は、本明細書に開示された内容を通して、本発明の他の利点及び効率を容易に理解することができる。本発明はまた、他の種々の実施態様によって実践され又は適用することができる。異なる見地及び適用に基づく、本明細書における如何なる詳細事項もの多くの他の可能な修正及び変更が、本発明の精神から逸脱することなくできる。
【0054】
実施例1−1 活性剤の調製
活性剤A〜Dが以下に示す組成及び方法として調製された。
【0055】
活性剤A:100mg/Lの塩化パラジウム及び1g/Lのエチレングリコールを水に溶解し、1Lの活性剤Aを得た。
【0056】
活性剤B:50mg/Lの塩化パラジウム及び0.5g/Lのグリセリンを水に溶解し、1Lの活性剤Bを得た。
【0057】
活性剤C:250mg/Lの塩化パラジウム及び1g/Lのポリビニルピロリドン(K30)を水に溶解し、1Lの活性剤Cを得た。
【0058】
活性剤D:10mg/Lの塩化パラジウム及び1g/Lのポリエチレングリコール(PEG4000)を水に溶解し、1Lの活性剤Dを得た。
【0059】
実施例1−2 無電解ニッケルめっき溶液の調製
無電解ニッケルめっき溶液A〜Eが以下に示す組成及び方法として調製された。
【0060】
<無電解ニッケルめっき溶液A>
34g/Lの硫酸ニッケル、18g/Lの次リン酸ナトリウム、50g/Lのクエン酸アンモニウム、8g/Lの塩化アンモニウム、10g/Lのトリエタノールアミン、4g/Lのフッ化ナトリウム、0.0009g/Lのチオ尿素を水に溶解し、1Lの溶液を得た。次いで、溶液のpH値を7.5〜8.2に調整して無電解ニッケルめっき溶液Aを得た。
【0061】
<無電解ニッケルめっき溶液B>
34g/Lの塩化ニッケル、7g/LのDMAB(ジメチルアミン・ボラン)、50g/Lのクエン酸アンモニウム、8g/Lの塩化アンモニウム、60g/Lのトリエタノールアミン、8g/Lのフッ化ナトリウム、0.001g/Lのチオ尿素、1g/Lのサッカリンを水に溶解し、1Lの溶液を得た。次いで、溶液のpH値を8.0〜9.0に調整して無電解ニッケルめっき溶液Bを得た。
【0062】
<無電解ニッケルめっき溶液C>
35g/Lの硫酸ニッケル、15g/Lの次亜リン酸ナトリウム、5g/LのDMAB(ジメチルアミン・ボラン)、40g/Lのクエン酸アンモニウム、5g/Lの硫酸アンモニウム、20g/Lのトリエタノールアミン、6g/Lのフッ化ナトリウム、0.001g/LのPb2+を水に溶解し、1Lの溶液を得た。次いで、溶液のpH値を8.0〜8.5に調整して無電解ニッケルめっき溶液Cを得た。
【0063】
<無電解ニッケルめっき溶液D>
34g/Lの塩化ニッケル;18g/Lの次リン酸ナトリウム、50g/Lのクエン酸アンモニウム、8g/Lの塩化アンモニウム、30g/Lのトリエタノールアミン、7g/Lのフッ化ナトリウム、0.001g/Lのチオ尿素及び1g/Lのサッカリンを水に溶解し、1Lの溶液を得た。次いで、溶液のpH値を8.0〜9.0に調整して無電解ニッケルめっき溶液Dを得た。
【0064】
<無電解ニッケルめっき溶液E>
35g/Lの硫酸ニッケル、25g/Lの次亜リン酸ナトリウム、1.25g/LのDMAB(ジメチルアミン・ボラン)、55g/Lのクエン酸アンモニウム、13g/Lの硫酸アンモニウム、40g/Lのトリエタノールアミン、5g/Lのフッ化ナトリウム、0.001g/LのPb2+を水に溶解し、1Lの溶液を得た。次いで、溶液のpH値を8.5〜9.3に調整して無電解ニッケルめっき溶液Eを得た。
【0065】
実施例1−3 無電解めっきによる太陽電池の電極の調製
最初に、図2Aに示されるように、第一表面21及び第二表面22を有するシリコン基板2が提供された。第一表面21はn−型シリコン層23を有し、そして第二表面22はp−型シリコン層24を有する。窒化ケイ素層3は第一表面21上に位置し、そしてアルミニウム層6は第二表面22上に位置する。凹部4は窒化ケイ素層3において及び第一表面21において形成され、そして凹部4は窒化ケイ素層3を通して延びる。
【0066】
次いで、窒化ケイ素層3及びアルミニウム層6を有するシリコン基板2が、実施例1−1によって提供された活性剤A中に浸漬される。活性剤Aから取り出された後、シリコン基板2は次いで流水中に浸漬されることによって4分間洗浄される。
【0067】
次いで、図2Bに示されるように、シリコン基板2は実施例1−2から提供された無電解ニッケルめっき溶液A中に浸漬されて(50℃の温度で)、無電解めっきプロセスを10分間実施して、シリコン基板2の凹部4中(すなわち、シリコン表面25上)及びアルミニウム層6の表面上に、負電極51及び正電極52を各々形成する。このようにして、無電解ニッケルめっき法によってなされた太陽電池の電極が得られる。
【0068】
実施例2 無電解めっきによる太陽電池の電極の調製
最初に、図3Aに示されるように、第一表面21及び第二表面22を有するシリコン基板2が提供される。第一表面21はn−型シリコン層23を有し、そして第二表面22はp−型シリコン層24を有する。窒化ケイ素層3は第一表面21上に位置する。凹部4は窒化ケイ素層3において及び第一表面21において形成され、そして凹部4は窒化ケイ素層3を通して延びてシリコン表面25を露出させる。
【0069】
次いで、窒化ケイ素層3を有するシリコン基板2を、1重量%のフッ化水素酸中に20秒間、浸漬し、酸化シリコンの除去プロセスを実施し、続いて水により洗浄する。
【0070】
次に、シリコン基板2がフッ化水素酸によって洗浄され、そしてシリコン基板2が実施例1−1によって提供された活性剤A中に浸漬される。活性剤Aから取り出された後、シリコン基板2は次いで流水中に浸漬されることによって5分間洗浄される。
【0071】
次に、図3Bに示されるように、シリコン基板2を実施例1−2から提供された無電解ニッケルめっき溶液C中に浸漬し(60℃〜65℃の温度で)、無電解めっきプロセスを10分間実施して、シリコン基板2の凹部4中及び第二表面22上に、負電極51及び正電極52を各々形成する。このようにして、無電解ニッケルめっき法によって作成された太陽電池の電極が得られる。
【0072】
実施例3 無電解めっきによる太陽電池の電極の調製
最初に、図2Aに示されるように、第一表面21及び第二表面22を有するシリコン基板2が提供される。第一表面21はn−型シリコン層23を有し、そして第二表面22はp−型シリコン層24を有する。窒化ケイ素層3は第一表面21上に位置し、そしてアルミニウム層6は第二表面22上に位置する。凹部4は窒化ケイ素層3において及び第一表面21において形成され、そして凹部4は窒化ケイ素層3を通して延びる。
【0073】
次いで、窒化ケイ素層3を有するシリコン基板2が、実施例1−1によって提供された活性剤B中に浸漬される。活性剤Bから取り出された後、シリコン基板2は次いで流水中に浸漬されることによって10分間洗浄される。
【0074】
次いで、図2Bに示されるように、シリコン基板2を実施例1−2において調製された無電解ニッケルめっき溶液B中に浸漬し(57℃の温度で)、無電解めっきプロセスを3分間実施し、シリコン基板2の凹部4中(すなわち、シリコン表面25上)及びアルミニウム層6の表面上に、負電極51及び正電極52を各々形成する。次いでシリコン基板2を水で洗浄する。
【0075】
次いで、シリコン基板2を実施例1−2において調製された無電解ニッケルめっき溶液A中に浸漬し(57℃の温度で)、第二の無電解めっきプロセスを7分間実施し、シリコン基板2の負電極51及び正電極52を厚くする。このようにして、無電解ニッケルめっき法によってなされた太陽電池の電極が得られる。
【0076】
本発明が、その好ましい実施態様に関して説明されてきたが、多くの他の可能な修正及び変更が、以後に請求される通りの本発明の精神及び範囲から逸脱することなくすることができると理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法であって、
(A)シリコン及び窒化ケイ素を含むパターン化された表面を有するシリコン基板を提供する;
(B)シリコン基板を活性剤と接触させる、ここで活性剤は貴金属又は貴金属化合物、増粘剤及び水を含む;
(C)シリコン基板を洗浄剤で洗浄する;及び
(D)シリコン基板を無電解ニッケルめっき溶液中に浸漬して無電解系めっきを実施し、かつシリコン基板の第一表面のシリコン層上に負のニッケル電極を形成する;
工程を含む太陽電池電極を提供する方法。
【請求項2】
貴金属が、パラジウム、金、銀、白金、及びそれらの組合せから成る群から選ばれ、そして貴金属化合物が、パラジウム化合物、金化合物、銀化合物、白金化合物、及びそれらの組合せから成る群から選ばれる、請求項1に記載の無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法。
【請求項3】
貴金属又は貴金属化合物の含有量が1mg/L〜500mg/Lである、請求項1に記載の無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法。
【請求項4】
増粘剤が、ポリオール、糖類、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、セルロース、及びそれらの組合せから成る群から選ばれる、請求項1に記載の無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法。
【請求項5】
ポリオールが、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、マンニトール、ポリビニルアルコール、及びそれらの組合せから成る群から選ばれる、請求項4に記載の無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法。
【請求項6】
セルロースが、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、及びそれらの組合せから成る群から選ばれる、請求項4に記載の無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法。
【請求項7】
糖類が、グルコース、フルクトース、スクロース、マルトース、ラクトース、澱粉、及びそれらの組合せから成る群から選ばれる、請求項4に記載の無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法。
【請求項8】
増粘剤の含有量が0.05g/L〜15g/Lである、請求項1に記載の無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法。
【請求項9】
工程(B)において、シリコン基板が活性剤中に浸漬され、または活性剤で噴霧されて活性剤と接触させる、請求項1に記載の無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法。
【請求項10】
工程(C)において、シリコン基板が洗浄剤中に浸漬される、洗浄剤で噴霧される、又は洗浄剤でシャワーされることによって洗浄される、請求項1に記載の無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法。
【請求項11】
無電解ニッケルめっき溶液が、(a)4.5g/L〜10.0g/Lのニッケルイオン;(b)0.5g/L〜40g/Lの還元剤;(c)30g/L〜60g/Lの、クエン酸、クエン酸アンモニウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、及びその混合物から成る群から選ばれる第一キレート剤;(d)5g/L〜80g/Lの、アルキロールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、及びそれらの組合せから成る群から選ばれる第二キレート剤;(e)0.0005g/L〜0.002g/Lの安定剤;及び(f)水;を含む、請求項1に記載の無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法。
【請求項12】
アルキロールアミンが、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、及びその混合物から成る群から選ばれる、請求項11に記載の無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法。
【請求項13】
工程(D)において、無電解ニッケルめっき溶液中の塩素イオンの含有量が1000ppm未満である、請求項1に記載の無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法。
【請求項14】
工程(D)において、無電解ニッケルめっき溶液が更に、次リン酸ナトリウム、次亜リン酸アンモニウム、ホスフィン酸、及びその混合物から成る群から選ばれる第一還元剤;及びボランである第二還元剤を含む、請求項1に記載の無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法。
【請求項15】
工程(D)において、無電解ニッケルめっき溶液のpH値が7.0〜10.0の範囲にある、請求項1に記載の無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法。
【請求項16】
工程(D)において、無電解ニッケルめっきが40℃〜80℃で実施される、請求項1に記載の無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法。
【請求項17】
無電解ニッケルめっき溶液の還元剤が、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸アンモニウム、ホスフィン酸、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミン・ボラン、ジエチルアミン・ボラン、モルホリン・ボラン、及びそれらの組合せから成る群から選ばれる、請求項11に記載の無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法。
【請求項18】
無電解ニッケルめっき溶液が、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、ホウ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、コハク酸、乳酸、グリコール酸、酒石酸、及びそれらの組合せから成る群から選ばれる緩衝剤を更に含み、そして緩衝剤の含有量が1g/L〜20g/Lである、請求項11に記載の無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法。
【請求項19】
無電解ニッケルめっき溶液が更に、フッ化水素酸、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アンモニウム、及びそれらの組合せから成る群から選ばれる促進剤を含み、そして促進剤の含有量が2〜12g/Lである、請求項11に記載の無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法。
【請求項20】
安定剤が、チオ尿素;チオ尿素の誘導体;チオシアネート;Pb2+、Sb3+及びBi3+の酢酸化合物;Pb2+、Sb3+及びBi3+の硝酸化合物;並びに‐SH基を有する水溶性有機物質から成る群から選ばれる、請求項11に記載の無電解めっきによって太陽電池電極を提供する方法。
【請求項21】
シリコン及び窒化ケイ素を含むパターン化された構造を有する太陽電池の電極を形成するための活性剤であって、(a)貴金属又は貴金属化合物、(b)増粘剤、及び(c)水を含む活性剤。
【請求項22】
貴金属又は貴金属化合物の含有量が1mg/L〜500mg/Lであり;そして増粘剤の含有量が0.05g/L〜15g/Lである、請求項21に記載の活性剤。
【請求項23】
貴金属が、パラジウム、金、銀、白金、及びそれらの組合せから成る群から選ばれ、そして貴金属化合物が、パラジウム化合物、金化合物、銀化合物、白金化合物、及びそれらの組合せから成る群から選ばれる、請求項21に記載の活性剤。
【請求項24】
増粘剤が、ポリオール、糖類、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、セルロース、及びそれらの組合せから成る群から選ばれる、請求項21に記載の活性剤。
【請求項25】
ポリオールが、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、マンニトール、ポリビニルアルコール、及びそれらの組合せから成る群から選ばれる、請求項24に記載の活性剤。
【請求項26】
糖類が、グルコース、フルクトース、スクロース、マルトース、ラクトース、澱粉、及びそれらの組合せから成る群から選ばれる、請求項24に記載の活性剤。
【請求項27】
セルロースが、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、及びそれらの組合せから成る群から選ばれる、請求項24に記載の活性剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−168889(P2011−168889A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−22041(P2011−22041)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(511030921)イーケム エンタープライズ コーポレイション (2)
【Fターム(参考)】