説明

焼結機への原料装入装置

【課題】焼結機パレットの原料層内の粒度分布および成分分布の調節性向上を図り、高品質、高歩留、高生産性が得られるようにするための焼結機への原料装入装置を提供する。【解決手段】焼結用原料をパレットに供給するための原料供給機構と、その上端が前記原料供給機構の近傍に位置し、そして、その下端が前記パレットの上方に位置する、前記パレットの移動方向とは反対の方向に向けて傾斜しているシュートとからなり、前記シュートが、前記パレットの幅方向に、その上端から下端に向けて互いに所定間隔を空けて平行に配設された複数本のロッドからなり、前記シュートの上部において、落下してくる原料が衝突する区域における、前記複数本のロッド間の垂直方向への投影間隙がほぼ一定である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、焼結鉱を連続的に製造する焼結機に、焼結用原料を装入するための原料装入装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高炉用原料として使用される焼結鉱は、一般に、次の方法により製造される。
造粒された焼結用原料をホッパーより焼結機のパレット上に、連続的に所定の層厚、例えば500〜700mm程度の高さの層厚にして供給する。次いで点火炉にて表層部中の炭材に点火し、下方に向けて強制的に空気を吸引しながら炭材を燃焼させる。燃焼時に発生する燃焼熱によって焼結鉱原料を焼結し、塊成化する。こうして焼成された「焼結ケーキ」を破砕し、冷却する。冷却後整粒して3〜5mm以上の粒子の内、品質基準を満たすものを「成品焼結鉱」として高炉に装入する。品質不合格品及び破砕・整粒過程で発生した3〜5mm以下の粉焼結鉱は、返鉱として再度焼結用原料として使用される。
【0003】
こうして製造される高炉用原料として使用される焼結鉱の品質は、高炉操業時の荷下がり状態の安定性や通気・通液性、還元効率及び高温性状等に対して大きな影響を及ぼす。従って、焼結鉱に対して高品質が要求され、厳しい品質管理が行なわれると共に、またその製造コスト低減のために、焼結鉱の成品歩留向上が要請される。
【0004】
上記焼結鉱に対する高品質の維持、高成品歩留の維持、及び製造コスト低減、並びに、生産性の向上を図るための極めて重要な条件の一つは、焼結機パレットへ装入する焼結用原料の層内粒度分布と成分分布との両方を適切に調節することである。層内粒度分布と成分分布との両方を適切に調節することにより、500〜700mm程度の高さを有する原料層内の通気性を確保して炭材の燃焼を向上させると共に、その燃焼熱による焼結鉱原料の溶融・焼結反応を適切に制御することが可能となる。そこで、従来、パレットに装入された焼結用原料の層内粒度分布及び成分分布を調節するための多数の原料装入技術が提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、図1に示されるような原料装入装置が提案されている。焼結用原料3はホッパー1からロールフィーダー2で送り出されて落下する。落下した焼結用原料3は、ロールフィーダー2に対向して下方に傾斜する平板状シュート4を滑り降下する。その平板状シュート4の下方略延長線上に所定ピッチで複数本のロープ又はロッド5が、焼結機パレット6の幅方向に配設され、複数のスリット状隙間7が形成される。滑り降下した焼結用原料はその複数のスリット状隙間7から焼結機パレット6上に落下し、所定厚さの原料層8を形成する。上記複数本の所定ピッチで配設され、スリット状隙間7を形成した構造体である粒度偏析装入機構9の下方傾斜方向は、焼結機パレット6の移動方向(図1中の矢印x方向)に対向している。スリット状隙間7は上方の平板状シュート4側で狭く、下方の焼結機パレット6側で広い。かくして、パレット6に装入された原料層8内部の焼結用原料の粒度分布は、下層部に粗粒、上層部に細粒のものが堆積するように調節することができる(以下、先行技術1という)。
【0006】
また他の例として、特許文献2には、図2に示されるような原料装入装置が提案されている。焼結用原料3はホッパー1からロールフィーダー2で送り出されて落下する。落下した焼結用原料は、上記ロールフィーダー2の下方に設けられ且つ焼結用原料の落下方向に対向して回転するドラムフィーダー10により受けられる。このドラムフィーダー10の前面から下方に傾斜し、なだらかに下方に湾曲した曲面上に、所定ピッチで複数本のロッド又はロープ5が、焼結機パレット6の幅方向に配設され、複数のスリット状隙間7を形成している。上記ドラムフィーダー10により落下速度が減速された焼結用原料は、その複数のスリット状隙間7から焼結機パレット6上に落下し、所定厚さの原料層8を形成する。上記複数本の所定ピッチで配設され、スリット状隙間7を形成した構造体である粒度偏析装入機構9の下方傾斜方向は、焼結機パレット6の移動方向(図2中の矢印x方向)に対向している。そして、スリット状隙間7は上方のドラムフィーダー10側で狭く、下方の焼結機パレット6側で広い。かくして、パレット6に装入された原料層8内部の焼結用原料の粒度分布は、下層部に粗粒、上層部に細粒のものが堆積するように調節することができる(以下、先行技術2という)。
【0007】
上述したように、先行技術1及び2によればいずれも、焼結機パレット6に装入された原料層8内部の焼結用原料の粒度について、下層部に粗粒、上層部に細粒のものが堆積する粒度分布に形成することができる。しかし、原料層8内部の層内成分分布の調節については、上述した先行技術1及び先行技術2等の従来技術による焼結機パレット6への原料装入技術では、その焼結用原料の構成成分、例えば、固体燃料である粉コークス等炭材や、スラグ成分であるCaO等の層内分布を調節することはできない。
【0008】
また、特許文献2記載のシュートを連続的にカーブさせた原料供給装置にあっては、なだれ現象を防止できるが、粒子速度とロッド配置カーブの曲率のバランスを取るのが困難で、原料粒子の分級が不十分になるという問題とシュートの終端に到達する前に、全ての粒子がロッド間より落下してしまうという問題を生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実公平3−43599号公報
【特許文献2】特開平8−311568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この発明の目的は、焼結機パレットの原料層内の粒度分布に加えて、成分分布の調節性向上を図り、高品質、高歩留、高生産性が得られるようにするための焼結機への原料装入装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明は、焼結用原料をパレットに供給するための原料供給機構と、その上端が前記原料供給機構の近傍に位置し、その下端が前記パレットの上方に位置する、前記パレットの移動方向とは反対の方向に向けて傾斜しているシュートとからなる焼結機への原料装入装置を提供する。
【0012】
前記シュートは、前記パレットの幅方向に、その上端から下端に向けて互いに所定間隔を空けて平行に配設された複数本のロッドからなる。前記シュートの上部において、落下してくる原料が衝突する区域における、前記複数本のロッド間の垂直方向への投影間隙がほぼ一定である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1(a)】は、従来の焼結機への原料装入装置の一例を示す概略垂直断面図である。
【図1(b)】は、図1(a)の原料装入装置の偏析装入機構におけるスリット状隙間を模式的に示す図である。
【図2】は、従来の焼結機への原料装入装置の他の例を示す概略垂直断面図である。
【図3】は、第1の実施形態における原料装入装置を示す垂直断面図である。
【図4】は、第1の実施形態における原料装入装置におけるシュートを示す正面図である。
【図5】は、図4のA−A線断面図である。
【図6】は、第2の実施形態における原料装入装置を示す垂直断面図である。
【図7】は、第3の実施形態における原料供給装置を示す垂直断面図である。
【図8】は、本実施形態におけるシュートにおいて、隣接するロッド間の垂直投影間隙を示すグラフである。
【図9】は、本実施形態におけるシュートにおいて、隣接するロッド間のロッド中心間距離を示すグラフである。
【図10】は、本実施形態における実施例のシュートの形状曲線を示すグラフである。
【図11】は、本実施形態における比較例のシュートの形状曲線を示すグラフである。
【図12(a)】は、本実施形態における原料層中の平均粒径とCの割合を、実施例と比較例で比較したグラフである。
【図12(b)】は、本実施形態における原料層中のCaOの割合を、実施例と比較例で比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明者等は、落下してくる原料粒子がシュートに衝突する区域におけるロッド間隙の垂直方向への投影間隙が、原料粒子の分級効果に影響を与えることを知見し、ロッド間隙の垂直方向への投影間隙を一定にすることにより、原料粒子のうち、一定粒径以上の粗粒原料がロッドを突き抜けてしまうのを防止した。すなわち、本発明は、原料をパレットに供給するための原料供給機構と、その上端が前記原料供給機構の近傍に位置し、そして、その下端が前記パレットの上方に位置する、前記パレットの移動方向とは反対の方向に向けて傾斜しているシュートとを備える焼結機の原料装入装置において、前記シュートは、前記パレットの幅方向に、その上端から下端に向けて互いに所定間隔を空けて平行に配設された複数本のロッドからなり、前記シュートの上部において、落下してくる原料粒子が衝突する区域における前記複数本のロッド間の垂直方向への投影間隙が一定であることを特徴とする原料装入装置により、上述した課題を解決した。
【0015】
この発明によれば、パレット上の原料層において、シュートの上部から落下する粒子を選択的に細粒に限定できるので、大きな粒度偏析を得ることができ、ひいては焼結歩留、生産率を向上することができる。なお、ここで、シュートは直線状に形成されてもよいし、面状に形成されてもよい。また、ロッドにはワイヤ等の線状部材も含まれる。
【0016】
また、本発明は、前記シュートを、その上端からその下端に向けて凹面状に湾曲したことを特徴とする。
【0017】
従来のシュートを直線状に形成した原料装入装置には、以下のような問題があった。原料は、所定角度で傾斜した直線状のシュート上を滑降し、パレット内に供給される。このため、原料がパレットへ落下するときの衝撃、および原料の安息角が大になって、原料層になだれ現象が生じ、原料層に断層が生じる。この結果、原料の層方向の粒度偏析、およびそれに付随する原料層中のCおよびCaOの分布が不均一になる。しかも、なだれ現象によって発生した断層に通気ムラが生じて、成品歩留りが低下する。また、シュート上を滑降する粒子の滑降速度が速くなりすぎ、シュートにおける分級効果が低い。本発明によれば、複数本のロッドからなるシュートをなだらかな凹面状に湾曲形成することで、落下時の原料の落下衝撃を緩和して、なだれ現象を防止することができる。しかも、原料をより一層、粗粒と細粒とに分級して、パレット内に適確な粒度偏析を得ることができる。
【0018】
また、凹面のスクリーン状にロッドを配置する場合、隣接するロッドの中心間距離をシュート上端から下端に向けて一定にすると、ロッド間の垂直投影間隙がシュート上端から下端に向けて増大してしまう。このロッド間の垂直投影間隙は、ロッドの中心間距離を上端から下端に向う途中で短くしない限り、ロッドの中心間距離を一様に増大したときも同様に増大してしまう。ロッド間の垂直投影間隙が上部から下部に向かって長くなると、粒子の大部分が衝突する区域で粗粒原料も間隙を通過してしまい、粒径ごとの分級効果が失われる。本発明によれば、シュートを凹面状に湾曲して形成した場合であっても、落下してくる原料粒子が衝突する区域における複数本のロッド間の垂直方向への投影間隙を一定にすることで、一定粒径以上の粗粒原料がロッド間隙を通過して落下するのを防止する。
【0019】
また、本発明は、前記区域のロッド間隔(隣接するロッドの中心間距離)の少なくとも一部を、前記区域より下端側のロッド間隔よりも小さくしたことを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、垂直方向への投影間隔が一定になるように配置した区域より下端側では、ロッド間隔が上記区域のロッド間隔より大きくなる。シュートの下部で、粗粒原料がロッド間の隙間から落下するので、粒度偏析を大きくすることができる。
【0021】
さらに、本発明は、前記区域よりも下端側のロッド間隔は、下方に進むに連れて大きくなるように設定され、前記シュートの下端のロッド間隔は、前記区域のロッド間隔より大きくなるように設定されることを特徴とする。
【0022】
特に、凹面状に湾曲してロッドを配置した場合、ロッド間の垂直方向への投影間隙が一定になるように配置した区域では、ロッド間を結んだ直線距離が下に行くに連れて短くなる。しかし、本発明によれば、垂直方向への投影間隙が一定になるように配置した区域よりも下端側において、下方に進むに連れ、ロッドの中心間距離を大きくし、しかもシュート下端では上記区域のロッド間隔よりも大きくしたので、下方に進むに連れ、粒径の大きい粒子を落下することができ、分級効果をより一層増大することができる。
【0023】
ところで、垂直方向への投影間隙を、焼結機に投入される原料粒子の粗粒の径よりも小さく設定すれば、粗粒が落下するのを防止できる。粗粒の径は8mm前後だから、投影間隙を8mm以下に設定する。望ましくは、細粒のみを落下させるために、投影間隙を実質的には原料粒子の平均粒子径の4mm以下にする。また、原料の進入する俯角が大きい場合は、垂直方向に投影した際、上記区域における隣接するロッドの一部が重なり合い、投影像でロッド間の隙間が無くなるようにすることも可能である。
【0024】
以下、添付図面に基づいて、本発明の第1の実施形態における原料装入装置について説明する。図3は原料装入装置の概略垂直断面図を示すものである。この原料装入装置は、原料207をパレット205に供給するための原料供給機構と、シュート214とを備える。
【0025】
原料供給機構は、幅方向に均一に原料207を載せて、原料207を矢印の方向に移動するベルト式フィーダ203からなる。
【0026】
シュート214は、その上端がベルト式フィーダ203の排出端近傍に位置し、その下端がパレット205の上方に位置し、パレット205の移動方向とは反対の方向に向けて傾斜している。
【0027】
図4は、シュートの正面図を示し、図5は、図4のA−A線断面図を示す。シュート214は、パレット205の幅方向に、その上端から下端に向けて互いに所定間隔を空けて平行に配設された複数本のロッド215からなるスクリーン状に形成されている。このシュート214は、その上端から下端に向けてなだらかな凹面状に形成されている。この複数のロッドのうち、また、ベルト式フィーダ203から供給され、シュート214に進入してきた原料207が直接シュート214に衝突する区域のロッド215は、垂直方向への投影間隙を一定にしている。ここで、垂直方向への投影間隙とは、ロッド215を垂直上方から見た場合の隣接するロッド215間の隙間をいう。シュート214を凹面状に湾曲した場合、垂直方向への投影間隙を一定にすると、隣接するロッド215間を結んだ直線距離(以下ロッド間隔という)が下方に行くに連れて短くなる。区域内の短くなったロッド間隔は、区域より下端側のロッド間隔よりも小さく設定される。そして、区域よりも下端側のロッド間隔は、下方に進むに連れて大きくされ、シュート214下端のロッド間隔は、前記区域のロッド間隔より大きくなっている。なお、ロッド間の垂直方向への投影間隙およびロッド間隔については、後に実施例にて詳述する。
【0028】
連結部材216は、シュート214を構成する複数本のロッド215を、所定間隔を空けて、相互に連結する。この連結部材216は、ロッド215の幅方向に所定間隔を空けて例えば4個取り付けられる。
【0029】
図3に示す案内シュート217は、ベルト式フィーダ203の排出端と、シュート214の上端との間に位置する板状のシュートである。原料207がシュート214に適切な角度および速度で進入する場合には、案内シュート217は必ずしも必要でない。ただし、生産率の変化に応じて原料207の供給スピードが変わると、案内シュート217を経由させても原料粒子の進入方向は変化する。ベルト式フィーダ203から排出され、さらに、必要に応じて案内シュート217を介して排出された原料207は、シュート214の上部214aに衝突し、その一部がスクリーン状に形成されたシュート214を滑降するように進行方向を変える。また残りの一部は、シュート衝突部分のロッド間隙から落下する。この原料衝突する区域のロッドは、垂直方向への投影間隙が一定になるように配置されているので、原料粒子中のうち粗粒原料が落下せずに、細粒原料が落下する。
【0030】
原料粒子のうち、粗粒の一部は、複数本のロッド215からなるシュート214上を滑降し、シュート214下端から排出される。また、粗粒の残りの一部は、シュート214の下部214bを構成するロッド間の広い隙間から落下し、連続的に移動するパレット205内のグレートバー206上に供給される。一方、細粒の原料は、上述のようにシュート214上部を構成するロッド間の狭い隙間から落下して、連続的に移動するパレット205内のグレートバー206上に供給される。かくして、シュート214の上部214aの勾配よりも、原料207の進入角度の俯角が大きい場合にも、パレット205内に下層としての粗粒原料と、上部ほど細粒となる上層としての細粒原料とからなる、その粒度が偏析した原料層が形成される。
【0031】
図6は、本発明の第2の実施形態における原料装入装置を示すものである。この原料装入装置において、原料供給機構は、原料207が装入され、パレット205移動方向と反対側の側壁下部に切り出しゲート201aを有するホッパ201と、ホッパ201の下端開口に設けられたロールフィーダ202からなっている点が、上記の第1の実施形態と異なる。
【0032】
なお、上記実施形態では、シュートを凹面状に湾曲した場合について説明したが、シュートは凹面状に限られることなく、例えば直線状に形成してもよい。
【0033】
図7は、本発明の第3の実施形態における原料装入装置を示すものである。この原料装入装置において、原料供給機構は、原料207が装入され、パレット205の移動方向と反対側の側壁下部に切出しゲート201aを有するホッパ201と、ホッパ201の下端開口に設けられたロールフィーダ202を有し、さらに第2の実施形態とは異なり、ロールフィーダの斜め下に設けられたロールフィーダ218を有する。ロールフィーダ218の回転により、原料のシュートへの進入角度、速度を補助的に調整し、変動を緩和することが可能である。
【実施例】
【0034】
発明の実施例を比較例と対比しながら説明する。実施例および比較例ともに、シュートの形状曲線は、
y=−{√(0.456+0.12x)}/0.06+11.26で、x≧0の部分を用いた。ただしx,yはcm値
図8は、実施例と比較例を対比してロッド空隙位置とロッド間の垂直投影間隙の関係を示したグラフであり、図9は、実施例と比較例を対比してロッド空隙位置とロッド間隔(ロッド間の中心間距離)の関係を示したグラフである。ロッド空隙位置には、上端から1,2,3,4…21の番号を附している。実施例では、図8に示すように、原料が当たる1〜6までのロッド間隙を4mmに設定し、それより下側のロッドについてはロッドの中心間距離が直線的に増大するようにしている。このため、図9に示すように、ロッド間の中心間距離は一旦小さくなった後に、徐々に大きくなる。また、比較例では、図9に示すように、ロッド間の中心間距離をロッド215の上端から下端に向かうに連れて徐々に大きく設定している。図8では、この比較例のロッド間の垂直投影間隙を実施例と比較している。
【0035】
図10は、実施例の形状曲線を示したグラフであり、プロットされている点がロッドの中心位置を示す。図11は、比較例の形状曲線を示したグラフであり、プロットされている点がロッドの中心位置を示す。そして、実施例および比較例のシュートにおいて、原料の進入角の俯角をシュート上端の勾配よりも大きくし、シュート上端の勾配に対して原料粒子の進入角度を13度交差して原料粒子を進入させた。
【0036】
図12は、上述した実施例および比較例の装置を使用し、パレット内に原料を供給したときの、層方向の高さと、層中の平均粒径、C、CaOの割合との関係を示すグラフである。まず、平均粒径について説明する。実施例の平均粒径は、層上部から層下部に向けて次第に大きくなる。層上部の粒径と層下部の粒径の差は、4.6mm−2.7mm=1.9mm程度である。これに対し、比較例の粒径の差は、4.25mm−2.9mm=1.35mmである。したがって、実施例において、分級効果の大きい、すなわち、粒度偏析の大きい原料層が得られるのがわかる。
【0037】
次に、Cの割合について説明する。実施例のCの割合は、層下部から層上部に向けて次第に大きくなる。層下部の割合と層上部の割合との差は3.6wt.%−2.9wt.%=0.7wt.%程度になる。これに対し、比較例の割合の差は、3.55wt.%−3.2wt.%=0.35wt.%である。したがって、実施例では、C偏析の大きい原料層が得られるのがわかる。
【0038】
最後に、CaOの割合について説明する。実施例のCaOの割合は、層下部から層上部に向けて大きくなる。層下部の割合と層上部の割合との差は9.9wt.%−8wt.%=1.9wt.%程度になる。これに対し、比較例の割合の差は、9.5wt.%−8wt.%=1.5wt.%である。したがって、実施例では、CaO偏析の大きい原料層が得られるのがわかる。
【符号の説明】
【0039】
1 ホッパー
2 ロールフィーダー
3 焼結用原料
4 平板状シュート
5 ロープ又はロッド
6 焼結機パレット
7 スリット状隙間
8 原料層
9 粒度偏析装入機構
10 ドラムフィーダー
201 ホッパ
201a 切出しゲート
202 ロールフィーダ
203 ベルト式フィーダ
205 パレット
206 グレートバー
207 原料
214 シュート
214a シュート214の上端側
214b シュート214の下端側
215 ロッド
216 連結部材
217 案内シュート
218 ロールフィーダ
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼結機への原料装入装置は以下からなる:
焼結用原料をパレットに供給するための原料供給機構と、
その上端が前記原料供給機構の近傍に位置し、そして、その下端が前記パレットの上方に位置する、前記パレットの移動方向とは反対の方向に向けて傾斜しているシュートと、
前記シュートが、前記パレットの幅方向に、その上端から下端に向けて互いに所定間隔を空けて平行に配設された複数本のロッドからなり、
前記シュートの上部において、落下してくる原料が衝突する区域における、前記複数本のロッド間の垂直方向への投影間隙がほぼ一定である。
【請求項2】
前記シュートが、その上端からその下端に向けて湾曲した凹面を有する請求の範囲1記載の焼結機への原料装入装置。
【請求項3】
前記落下してくる原料が衝突する区域における、ロッド間隔の少なくとも一部が、前記原料粒子が衝突する区域より下端側のロッド間隔よりも小さい請求の範囲1記載の焼結機への原料装入装置。
【請求項4】
前記原料粒子が衝突する区域よりも下端側のロッド間隔を、下方に進むに連れて大きくし、
前記シュートの下端のロッド間隔を、前記原料粒子が衝突する区域のロッド間隔より大きくする請求の範囲3記載の焼結機への原料装入装置。
【請求項5】
前記投影間隙が8mm以下である請求の範囲1記載の焼結機への原料装入装置。
【請求項6】
前記原料供給機構が、ベルト式フィーダーからなる請求の範囲1記載の焼結機への原料装入装置。
【請求項7】
前記原料供給機構が、原料が装入され、下部に切り出しゲートを有するホッパと、ホッパ下端に設けられたロールフィーダからなる請求の範囲1記載の焼結機への原料装入装置。
【請求項8】
前記原料供給機構が、原料が装入され、下部に切出しゲートを有するホッパと、ホッパの下端に設けられたロールフィーダと、前記ロールフィーダの下に直線状に配置された複数個のローラーからなる請求の範囲1記載の焼結機への原料装入装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−163757(P2011−163757A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94565(P2011−94565)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【分割の表示】特願2001−565944(P2001−565944)の分割
【原出願日】平成13年3月7日(2001.3.7)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】