説明

焼結鉱の製造方法、シンターケーキ支持スタンドの設計方法及び原料充填層の層厚決定方法

【課題】高生産率で焼結鉱を製造できる焼結鉱の製造方法を提供することである。
【解決手段】本発明に係る焼結鉱の製造方法は、原料充填層の層厚が650mm以上であり、(1)式で算出される被支持シンターケーキ体積Vsc(m3)が75m以上でかつ前記シンターケーキ支持スタンドの高さと原料充填層の層厚の比Hs/Hが0.8以下となるようにシンターケーキ支持スタンドの高さ及び/又は原料充填層の層厚を選択して焼結鉱を製造することを特徴とする:
Vsc(m3)=(2・H/1000−Hs/1000)/2・(Hs/H)・A…(1)
H(mm):原料充填層の層厚、Hs(mm): シンターケーキ支持スタンドの高さ、 A(m): 有効焼結面積。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高炉用原料となる焼結鉱の製造方法、シンターケーキ支持スタンドの設計方法及び原料充填層の層厚決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高炉用原料である焼結鉱を製造する下方吸引式焼結機では、図5に示すように、まず、床敷鉱ホッパー101から床敷鉱を、焼結パレット台車103の底面のグレートバー上に装入し、30mm程度の厚みの床敷層102を形成する。次いで、主原料の粉状鉄鉱石等の鉄含有原料、石灰石等の副原料、粉コークス等の燃料からなる焼結原料104をサージホッパー105に搬送して貯蔵した後、ドラムフィーダーから切り出し、シュート106を介して焼結パレット台車103の床敷鉱102の上に装入して原料充填層107を形成する。次いで、原料充填層107の上面表層中の粉コークスに点火炉108で点火したのち、吸引負圧をかけて空気を下方に吸引しながら焼結パレット台車103を排鉱部まで順次水平移動し、その間に原料充填層107中の粉コークスを燃焼させ、この燃焼熱で上層から下層にかけて順次原料を焼結して焼結鉱を製造する。
【0003】
原料充填層107の上層から下層に向かって焼結が進行する焼結過程において、先ず上層に焼結が完了した焼結完了層(以下、「シンターケーキ」という)が形成される。このシンターケーキの直下の原料充填層には燃焼・焼結進行中の燃焼溶融帯が形成され、その下層には未焼結の原料充填層が存在しているが、この燃焼溶融帯および原料充填層はシンターケーキの荷重を受けて圧縮され、高嵩密度化する。このため、シンターケーキの下方の燃焼溶融帯を含む原料充填層内の通気が低下し、また通気が不均一化する。そして、これは原料充填層中の炭材の燃焼速度の低下や燃焼むらにつながり、結果として焼結速度の低下、焼結成品歩留りの低下から、焼結鉱の生産率が低下してしまうという問題がある。
【0004】
ここで、生産率とは、5mm以上の成品焼結鉱を焼結機の有効面積および焼結時間で除した値を意味する。
すなわち、得られたシンターケーキは、排鉱部で排出され、1次クラッシャーで粗破砕した後、クーラーで冷却され、この冷却された焼結鉱は、複数の篩、2次クラッシャー等で構成される破砕・整粒篩分け処理を経て、5mm以上の塊成化物が成品焼結鉱として高炉へ供給され、5mm未満の焼結鉱は返鉱として焼結原料に配合し再度焼結機に装入されるが、5mm以上の塊成化物の質量すなわち、高炉へ供給される成品焼結鉱を焼結機の有効面積および焼結時間で除した値が生産率である。
【0005】
原料充填層の層厚の生産率への影響について説明する。
下方吸引式の焼結の原理は、点火炉で原料充填層の表層部分の炭材を着火し、下方吸引により炭材を順次燃焼させて熱伝達を下方に行うものである。
この原理上、原料充填層の上層部分はまだ燃料の燃焼による予熱効果が小さく、かつ通気抵抗の高い燃焼溶融帯の厚みが薄いために原料充填層全体の通気抵抗も小さい。そのため、原料充填層の上層部分は温度が低く、かつ炭材の燃焼が過剰に早く進んでしまう結果、燃焼溶融反応(焼結化反応)が不十分となり、焼結したシンターケーキの強度が低い脆弱層(以下「上層脆弱層」という)が形成される。シンターケーキにはこの上層脆弱層が必ず存在する。強度が低い上層脆弱層は破砕工程において5mm未満に破砕される量(返鉱として再度焼結機に装入される量)が多くなるので、上層脆弱層が厚いシンターケーキほど、生産率が下がることになる。低層厚の方が高層厚の場合より相対的に上層脆弱層の割合が大きくなるので、上層脆弱層の割合の観点からは、高層厚ほど生産率の向上において好ましい。
これに対して、上層脆弱層より下の層の通気抵抗の観点からは、高層厚になるほど通気抵抗が大きくなり、ガス流れと焼成が不均一化して歩留がむしろ低下する。
従って、上層脆弱層の割合の観点及び上層脆弱層より下の層の通気抵抗の観点から、生産率を最大にする最適な層厚が存在する。
【0006】
ところで、このようなシンターケーキの下方の燃焼溶融帯および原料充填層にかかるシンターケーキ荷重の軽減を図る方法として、図6に示すように、焼結パレット台車103上にシンターケーキを支持するスタンド109(以下、「シンターケーキ支持スタンド」という)を立設して焼結を行うスタンド支持焼結法が発明された(例えば、特許文献1、2)。
【0007】
このスタンド支持焼結法では、原料充填層の上層から焼結が進行してシンターケーキの厚みが増していき、シンターケーキがシンターケーキ支持スタンド頂部の高さ位置に達する厚みになると、シンターケーキはシンターケーキ支持スタンド頂部で支えられ、その下の層にかかるシンターケーキ荷重が軽減され、通気が改善されて、格段に生産率が向上する(以下、かかる効果を「スタンド支持効果」という)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平2−293586号公報
【特許文献2】特開平4−168234号公報
【特許文献3】特許第2715218号公報
【特許文献4】特許第3292791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このスタンド支持効果はシンターケーキ支持スタンドの高さ、頂部支持面の面積や形状等の要素によって決まるが、支持されるシンターケーキに亀裂や割れが入らない条件下では、「高さ」が最も生産率に影響する。シンターケーキ支持スタンドの高さの設定に関連してこれまでに多くの技術が報告されている。
【0010】
例えば、特許文献3には「焼結用パレットのグレート上に、高さをパレット内原料充填層厚さの50%以上75%以下としたシンターケーキ支持部材を、パレットの進行方向に平行に原料充填層に埋設するように垂設したことを特徴とする焼結用パレット」が開示されている。
【0011】
また、特許文献4には「下方吸引式焼結機の焼結パレット上に取付部を介して配置するシンターケーキ支持スタンドにおいて、高さが焼結原料層の厚さの30〜70%で、パレット進行方向断面の下辺に対する上辺長さが30〜70%である正台形状の板からなり、かつ、取付部の幅がスタンド高さの1/2から1/3であることを特徴とするシンターケーキ支持スタンド」が開示されている。
【0012】
特許文献3及び4に開示されたシンターケーキ支持スタンドの高さは、原料充填層の層厚との比で規定されており、その層厚は600mm程度と想定されている。しかしながら、シンターケーキ支持スタンドはシンターケーキの荷重を直接支持する作用を有するので、支持する荷重の大きさによってそのスタンド支持効果は異なると考えられる。
【0013】
図7を用いてこれについて説明する。
図7は、層厚が300mmのとき(図7(a))と層厚が800mmのとき(図7(b))に、それぞれスタンドと層厚の比が0.75となる高さのスタンドを設置した場合の、ストランド方向でのシンターケーキ支持スタンドによる荷重支持の状況を示す図である。右側に位置する図はスタンド位置での垂直断面図である。
符号101、111は被支持シンターケーキ(シンターケーキのうち、シンターケーキ支持スタンドによって支持されている部分)を、符号102、112は燃焼溶融帯を、符号103、113はシンターケーキ支持スタンドを示す。
シンターケーキ支持スタンドの位置は、ストランド方向においてシンターケーキ支持スタンドによってシンターケーキの支持が開始された位置を示している。
【0014】
図7から明らかなように、シンターケーキ支持スタンドがシンターケーキの支持を開始するストランド方向の位置は同一であるが、支持開始から排鉱までに支持される荷重の大きさは層厚800mmの方が大きい。
すなわち、同一のHs/H(シンターケーキ支持スタンドの高さ(Hs)と原料充填層の層厚(H)の比)であっても、シンターケーキ支持スタンドによって支持されるシンターケーキの形態や荷重が異なるので、生産率が最大となるシンターケーキ支持スタンド高さと原料充填層の層厚は、それらの高さ比だけでは決まらない。
ここで、シンターケーキ支持スタンドがない焼結機ではその荷重が全て燃焼溶融帯にかかるので、高層厚では低層厚のときに比べて中下層の通気悪化が大きく、通常操業で高層厚時に生産率が低下する要因になっている。
【0015】
生産率は燃焼溶融帯の通気性に大きく依存するが、この通気性は燃焼溶融帯にかかるシンターケーキの荷重に依存するので、結局、生産率はシンターケーキの荷重に大きく依存する。また、シンターケーキの荷重は原料充填層の層厚に依存する。さらにシンターケーキの荷重はシンターケーキ支持スタンドによって軽減され、その軽減の程度はシンターケーキ支持スタンドの高さに依存する。また、シンターケーキの荷重はその体積に比例する
生産率は、被支持シンターケーキ体積と、シンターケーキ支持スタンドの高さと、原料充填層の層厚とに大きく依存する。
また、シンターケーキの体積は焼結機のサイズにも依存する。
【0016】
しかしながら、従来、シンターケーキ支持スタンドに支持されるシンターケーキの荷重を考慮しつつ、様々なサイズの焼結機において、高い生産率を得るためのシンターケーキ支持スタンドの高さと原料充填層の層厚の条件を推定する方法はなかった。また、様々な高さのシンターケーキ支持スタンドについて、高い生産率を得るための原料充填層の層厚の条件を推定する方法はなかった。同様に、様々な層厚の原料充填層について、高い生産率を得るためのシンターケーキ支持スタンドの高さの条件を推定する方法はなかった。
従って、シンターケーキ荷重条件や原料充填層の層厚条件を変えて操業する場合に、シンターケーキ荷重条件や原料充填層の層厚条件に対して生産率を最大にするシンターケーキ支持スタンドの高さ条件や原料充填層の層厚条件を推定できなかった。
特に、近年、焼結機は増産に対応するために大型化、高層厚化が指向され、700mm超の高層厚操業も報告されているが、この大型化、高層厚化に伴う条件の変更に対して生産率を最大にするシンターケーキ支持スタンドの高さ条件や原料充填層の層厚条件を推定できなかった。
また、新しい焼結機を導入する際に、操業に用いる予定の原料充填層の層厚に最適なシンターケーキ支持スタンドの高さを推定することができなかった。
【0017】
また、シンターケーキ支持スタンドの高さは使用とともに熱負荷あるいは排鉱時の摩擦によって摩耗し、高さが減少するのが一般的である。
かかる場合に、シンターケーキの荷重を考慮しつつ、その焼結機のサイズにおいて、高い生産率を得るために、減少した高さのシンターケーキ支持スタンドに最適な原料充填層の層厚を推定する方法はなかった。
【0018】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、シンターケーキ支持スタンドに支持されるシンターケーキの荷重を考慮しつつ、様々なサイズの焼結機において、高い生産率を得るためのシンターケーキ支持スタンドの高さと原料充填層の層厚とを選択して、高生産率で焼結鉱を製造できる焼結鉱の製造方法を提供することを目的とする。
【0019】
また、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、シンターケーキ支持スタンドに支持されるシンターケーキの荷重を考慮しつつ、高層厚の原料充填層で焼結鉱を製造する際に、その層厚に対して高生産率で焼結鉱を製造するのに適したシンターケーキ支持スタンドの高さを採用することができるシンターケーキ支持スタンドの設計方法を提供することを目的とする。
【0020】
また、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、シンターケーキ支持スタンドに支持されるシンターケーキの荷重を考慮しつつ、所定の高さを有するシンターケーキ支持スタンドを備えた焼結機において、その高さのシンターケーキ支持スタンドに対して高生産率で焼結鉱を製造するのに適した原料充填層の層厚を決定することができる原料充填層の層厚決定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題を解決するための本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)焼結パレット台車上に、焼結パレット台車の幅方向に等間隔で、その進行方向に平行に立設されたシンターケーキ支持スタンドを複数備えた焼結機を用いる焼結鉱の製造方法において、原料充填層の層厚が650mm以上であり、(1)式で算出される被支持シンターケーキ体積Vsc(m3)が75m以上でかつ前記シンターケーキ支持スタンドの高さと原料充填層の層厚の比Hs/Hが0.8以下となるように前記シンターケーキ支持スタンドの高さ及び/又は前記原料充填層の層厚を選択して焼結鉱を製造することを特徴とする焼結鉱の製造方法:
Vsc(m3)=(2・H/1000−Hs/1000)/2・(Hs/H)・A
…(1)
H(mm): 原料充填層の層厚
Hs(mm): シンターケーキ支持スタンドの高さ
A(m): 有効焼結面積
(2)前記Hs/Hのシンターケーキ支持スタンドの高さ(Hs)が前記焼結パレット台車上の少なくとも二以上のシンターケーキ支持スタンドの高さの平均値であることを特徴とする前項(1)に記載の焼結鉱の製造方法。
(3)前記幅方向に隣接するシンターケーキ支持スタンド間距離が1m以下であり、かつシンターケーキ支持スタンドと焼結パレット台車の側壁との間の距離が1.5m以下であることを特徴とする前項(1)又は(2)に記載の焼結鉱の製造方法。
(4)前記シンターケーキ支持スタンドの形状が上辺50mm〜400mm、下辺400mm〜800mm、厚み30mm〜60mmの台形板であることを特徴とする前項(1)〜(3)のいずれか一項に記載の焼結鉱の製造方法。
(5)焼結パレット台車上に、焼結パレット台車の幅方向に等間隔で、その進行方向に平行に立設されたシンターケーキ支持スタンドを複数備えた焼結機において、650mm以上の原料充填層の層厚で焼結鉱を製造するのに用いるシンターケーキ支持スタンドの設計方法であって、(1)式で算出される被支持シンターケーキ体積Vsc(m3)が75m以上でかつシンターケーキ支持スタンドの高さと原料充填層の層厚の比Hs/Hが0.8以下となるようにシンターケーキ支持スタンドの高さを採用することを特徴とするシンターケーキ支持スタンドの設計方法:
Vsc(m3)=(2・H/1000−Hs/1000)/2・(Hs/H)・A
…(1)
H(mm): 原料充填層の層厚
Hs(mm): シンターケーキ支持スタンドの高さ
A(m): 有効焼結面積
(6)焼結パレット台車上に、焼結パレット台車の幅方向に等間隔で、その進行方向に平行に立設されたシンターケーキ支持スタンドを複数備えた焼結機の焼結パレット台車に装填する原料充填層の層厚決定方法であって、(1)式で算出される被支持シンターケーキ体積Vsc(m3)が75m以上かつ前記シンターケーキ支持スタンドの高さと前記原料充填層の層厚の比Hs/Hが0.8以下となるように、650mm以上の原料充填層の層厚を決定することを特徴とする原料充填層の層厚決定方法:
Vsc(m3)=(2・H/1000−Hs/1000)/2・(Hs/H)・A
…(1)
H(mm): 原料充填層の層厚
Hs(mm): シンターケーキ支持スタンドの高さ
【発明の効果】
【0022】
本発明の焼結鉱の製造方法によれば、原料充填層の層厚が650mm以上であり、所定の式から算出された被支持シンターケーキ体積Vsc(m3)が75m以上でかつ前記シンターケーキ支持スタンドの高さと原料充填層の層厚の比Hs/Hが0.8以下となるようにシンターケーキ支持スタンドの高さ及び/又は原料充填層の層厚を選択して焼結鉱を製造する構成を採用したので、焼成時の原料充填層の通気性を最適にできるので、シンターケーキ支持スタンドに支持されるシンターケーキの荷重を考慮しつつ、様々なサイズの焼結機において、高い生産率で焼結鉱を製造することができるという効果を奏する。
ここで、「シンターケーキ支持スタンドの高さ及び/又は原料充填層の層厚」であるから、所定のシンターケーキ支持スタンドの高さに対して、上記条件を満たすように原料充填層の層厚を決定してもよいし、また、所定の原料充填層の層厚に対して、上記条件を満たすようにシンターケーキ支持スタンドの高さを決定してもよいし、さらにまた、上記条件を満たすようにシンターケーキ支持スタンドの高さと原料充填層の層厚とを決定してもよい。
【0023】
本発明の焼結鉱の製造方法によれば、Hs/Hのシンターケーキ支持スタンドの高さ(Hs)を焼結パレット台車上の少なくとも二以上のシンターケーキ支持スタンドの高さの平均値とする構成を採用することにより、さらに、原料充填層内の通気性のバラツキが抑制され、品質のバラツキが抑制された焼結鉱を製造することができるという効果を奏する。
【0024】
本発明の焼結鉱の製造方法によれば、幅方向に隣接するシンターケーキ支持スタンド間距離が1m以下、かつシンターケーキ支持スタンドと焼結パレット台車の側壁との間の距離が1.5m以下である構成を採用することにより、さらに、シンターケーキの亀裂や割れを防止でき、高い生産率で焼結鉱を製造することができるという効果を奏する。
【0025】
本発明の焼結鉱の製造方法によれば、シンターケーキ支持スタンドの形状が上辺50mm〜400mm、下辺400mm〜800mm、厚み30mm〜60mmの台形板である構成を採用することにより、さらに、従来と比較してスタンド寿命が延長され、設備費が低減できると共に、焼結機のスタンド入替休止が削減できるため稼働率が向上するという効果を奏する。
【0026】
本発明のシンターケーキ支持スタンドの設計方法によれば、所定の式から算出される被支持シンターケーキ体積Vsc(m3)が75m以上でかつシンターケーキ支持スタンドの高さと原料充填層の層厚の比Hs/Hが0.8以下となるようにシンターケーキ支持スタンドの高さを採用する構成にしたので、焼成時の原料充填層の通気性を最適にでき、シンターケーキ支持スタンドに支持されるシンターケーキの荷重を考慮しつつ、様々なサイズの焼結機において、高い生産率で焼結鉱を製造することができるという効果を奏する。
【0027】
本発明の原料充填層の層厚決定方法によれば、所定の式から算出される被支持シンターケーキ体積Vsc(m3)が75m以上でかつシンターケーキ支持スタンドの高さと原料充填層の層厚の比Hs/Hが0.8以下となるように、650mm以上の原料充填層の層厚を決定する構成を採用したので、焼成時の原料充填層の通気性を最適にでき、シンターケーキ支持スタンドに支持されるシンターケーキの荷重を考慮しつつ、様々なサイズの焼結機において、高い生産率で焼結鉱を製造することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】焼結パレット台車上に設置されたシンターケーキ支持スタンドによるシンターケーキ荷重の支持範囲を摸式的に示した斜視図である。
【図2】式で算出されたシンターケーキ支持スタンドの高さと原料充填層の層厚の比に対する被支持シンターケーキ体積の変化を示すグラフである。
【図3】図2の各層厚の条件で焼結鉱を製造したときの生産率の増産効果を示すグラフである。
【図4】焼結パレット台車の模式図である。
【図5】下方吸引式焼結機の概略断面図である。
【図6】シンターケーキ支持スタンドを備えた焼結パレット台車の概略斜視図である。
【図7】ストランド方向でのシンターケーキ支持スタンドによる荷重支持の状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を適用した一実施形態である焼結鉱の製造方法、シンターケーキ支持スタンドの設計方法及び原料充填層の層厚決定方法について詳細に説明する。
【0030】
図1は、焼結パレット台車上に設置されたシンターケーキ支持スタンドによるシンターケーキ荷重の支持範囲を摸式的に示した図である。
焼結過程において、原料充填層は、上層に焼結が完了した焼結完了層(シンターケーキ)A、その下に燃焼進行中の燃焼溶融層B、その下に未だ燃焼が始まっていない層C及び床敷層Dからなる状態となっており、シンターケーキAはシンターケーキ支持スタンドEによって支持されている。
符号Lは機長、符号Wは機幅、符号Hは原料充填層の層厚、符号Hsはシンターケーキ支持スタンドの高さ、符号Xはスタンド支持開始位置、符号Aは有効焼結面積、符号Vscは被支持シンターケーキ体積を示す。
【0031】
シンターケーキAのうち、被支持シンターケーキ体積(Vsc)の部分がシンターケーキ支持スタンドによって実際に支持される部分である。支持されるシンターケーキの荷重は被支持シンターケーキ体積(Vsc)に比例する。従って、本発明に係る焼結鉱の製造方法において、被支持シンターケーキ体積(Vsc)は、シンターケーキ支持スタンドの高さと原料充填層の層厚の条件を決める上で、最も重要なパラメータである。なぜなら、Vscが大きいほど、スタンドに支持される荷重が大きいことを示すからである。被支持シンターケーキ体積Vsc(m3)は図1から(1)式によって算出される:
Vsc(m3)=(2・H/1000−Hs/1000)/2・(Hs/H)・A
…(1)
H(mm): 原料充填層の層厚
Hs(mm): シンターケーキ支持スタンドの高さ
A(m): 有効焼結面積
【0032】
なお、(1)式の導出に際しては以下の仮定をおいた。
(i)赤熱帯後面を1100℃とし、直線的に下方に進行する。
(ii)赤熱帯後面がスタンド頂部に到達後から効果を発揮する。
(iii)スタンドは支持開始後、それ以下で生成するシンターケーキも支持する。
(1)式から、被支持シンターケーキ体積Vsc(m3)はシンターケーキ支持スタンドの高さと原料充填層の層厚以外に、焼結機の大きさ(有効焼結面積)によっても変化することが分かる。
【0033】
本発明に係る焼結鉱の製造方法は、原料充填層の層厚を650mm以上とし、上記式(1)から得られた被支持シンターケーキ体積Vsc(m3)が75m以上でかつシンターケーキ支持スタンドの高さと原料充填層の層厚の比Hs/Hが0.8以下となるように、シンターケーキ支持スタンドの高さ及び/又は原料充填層の層厚を選択して焼結鉱を製造することによって実施することができる。
【0034】
また、本発明に係るシンターケーキ支持スタンドの設計方法は、上記式(1)から得られた被支持シンターケーキ体積Vsc(m3)が75m以上でかつシンターケーキ支持スタンドの高さと原料充填層の層厚の比Hs/Hが0.8以下となるように、シンターケーキ支持スタンドの高さを採用することによって実施することができる。
【0035】
さらに、本発明に係る原料充填層の層厚決定方法は、上記式(1)から得られた被支持シンターケーキ体積Vsc(m3)が75m以上でかつシンターケーキ支持スタンドの高さと原料充填層の層厚の比Hs/Hが0.8以下となるように、650mm以上の原料充填層の層厚を決定することによって実施することができる。
【0036】
図2に、有効焼結面積を450mの焼結機を用いた場合において、原料充填層の層厚が600mm、650mm、700mm、800mm、900mmのそれぞれのときの(1)式によって算出されたシンターケーキ支持スタンドの高さと原料充填層の層厚の比(以下「スタンド高さと層厚比」という)に対する被支持シンターケーキ体積Vsc(m)の変化を示す。
被支持シンターケーキ体積Vsc(m)は、スタンド高さと層厚比Hs/Hが高いほど、また、原料供給層の層厚が高いほど高いことがわかった。
【0037】
図2において、被支持シンターケーキ体積75mを点線で示したが、原料充填層の層厚のグラフと交差する点の横軸の値が被支持シンターケーキ体積75mのときのスタンド高さと層厚比Hs/Hの値である。
具体的には、600mm、650mm、700mm、800mm、900mmのそれぞれに対して、0.32、0.3、0.28、0.23、0.2である。
【実施例】
【0038】
図3は、図2の各層厚のグラフにおいて記号で示した各位置における条件で実際に焼結鉱を製造したときの生産率(t/d/m)の、シンターケーキ支持スタンドを用いない場合を基準にした増産効果を示すグラフである。
【0039】
焼結機としては有効焼結面積450mのものを用い、種々のスタンド高さ(Hs=180〜720mm)、種々の層厚(600〜900mm)での焼結鉱の製造を行い、その評価を行った。
【0040】
図4に、焼結パレット台車の模式図を示す。
焼結パレット台車3としては、機長Lが1500mm、機幅Wが5500mmのものを用いた。
また、焼結パレット台車3上には、パレット台車の進行方向に平行に配置する多数のグレートバー(3a)群に、パレット台車の幅方向にシンターケーキ支持スタンド4を4本づつ設置した。パレット台車の幅方向に隣接するシンターケーキ支持スタンド間距離dは、パレット台車の幅方向において第1−第2スタンド間、および、第3−第4スタンド間のそれぞれの距離を1000mmとし、第2−第3スタンド間の距離も1000mmとした。また、シンターケーキ支持スタンドと焼結パレット台車の側壁との間の距離dは、それぞれ1250mmとした。
【0041】
点火炉内フレームと原料充填層の表層の距離が250mmとなるように層厚の増減に合わせて点火炉高さを変更した。
なお、シンターケーキ支持スタンドを用いなかった場合の本焼結機の生産率は原料充填層の層厚が600mmのときに最も高く、その到達レベルは約30t/d/mであった。シンターケーキ支持スタンドを用いなかった場合、それ以上の層厚では生産率は低下した。これは通気抵抗が高くなり、むら焼けが発生したことによる、
また、焼結鉱成品の品質は冷間強度TI(ISO 3271)で測定し、管理基準である77%を下回った時は生産率を下げて調整した。すなわち、本試験結果の生産率は品質を維持した場合の生産率を示している。
【0042】
層厚600mmでは、Hs/Hが0.3のときはほとんど増産効果が見られなかった。Hs/Hをさらに大きくしていくと0.75程度までの範囲で増産効果が認められ、Hs/Hが0.70付近で最大となったが、その増産効果は3%以下と小さかった。
これは、原料充填層の層厚が十分高くなく、被支持シンターケーキ体積が小さいためである。
【0043】
一方、層厚が650mm以上の条件では、より広いHs/H範囲で増産効果が認められた。
具体的には、層厚650mmでは、Hs/Hが0.2のときはほとんど増産効果が見られなかったが、Hs/Hが0.3のとき(被支持シンターケーキ体積75mに対応)に1%程度、さらにHs/Hが0.6付近で最大の6%程度となり、Hs/Hが0.8のときまで増産効果が見られた。
層厚700mmでは、Hs/Hが0.2のときはほとんど増産効果が見られなかったが、Hs/Hが0.3のとき(被支持シンターケーキ体積75mに対応)に1.5%程度、さらにHs/Hが0.55付近で最大の8%程度となり、Hs/Hが0.8のときまで増産効果が見られた。
層厚800mmでは、Hs/Hが0.2のときはほとんど増産効果が見られなかったが、Hs/Hが0.3のとき(被支持シンターケーキ体積75mに対応)に2.5%程度、さらにHs/Hが0.5付近で最大の11%程度となり、Hs/Hが0.8のときまで増産効果が見られた。
層厚900mmでは、Hs/Hが0.2のときはほとんど増産効果が見られなかったが、Hs/Hが0.3のとき(被支持シンターケーキ体積75mに対応)に12%以上、さらにHs/Hが0.45付近で最大の13%程度となり、Hs/Hが0.8のときまで増産効果が見られた。
【0044】
低いHs/Hでも増産効果が認められたのは、図2から高層厚ほど同一のHs/Hの値に対して被支持シンターケーキ体積が大きくなるためである。
被支持シンターケーキ体積が75m以上あれば、低Hs/Hでも増産効果が得られることが分かった。
【0045】
さらに高いHs/Hでも増産効果が認められ、650mm以上の高層厚条件でのHs/Hの上限は0.8であった。
これは、高層厚化で上層部位が強固となり、亀裂発生が抑制されるとともに、そもそも上層部の脆弱層比率が相対的に小さくなったため、スタンドによる上層の通気過剰の悪影響が緩和されたためであると考えられる。
【0046】
以上から、650mm以上の高層厚条件では、被支持シンターケーキ体積が75m以上あり、かつ、Hs/Hが0.8以下のときに増産効果が表れ、しかもその効果は650mm以下の低層厚条件に比べて大きかった。
【0047】
生産率の決定因子を理論的に考察することにより、以上の結果を解釈することができる。生産率の決定因子としては、シンターケーキ支持スタンドを装着した焼結機を用いた焼結鉱の製造における生産率は実質的に以下の2つの要素が挙げられる。
【0048】
1つは被支持シンターケーキ体積Vscであり、被支持シンターケーキ体積Vscは(1)式のように層厚とスタンド高さと有効焼結面積とで決まる。Vscが大きいほど、シンターケーキのうちスタンド支持効果を受けて通気性が良好な状態で焼結が完了した部分が増加するので、生産率が向上すると考えられる。逆に、有効焼結面積が小さかったり、または原料充填層の層厚が低い等の理由で、Vscがある値以下の条件ではそもそも、シンターケーキ荷重による燃焼溶融帯の気孔閉塞の悪影響が小さいので、スタンド支持効果が最大限発揮されたとしても生産率向上は相対的に小さくなる。
【0049】
もう1つはシンターケーキ支持スタンドの高さと原料充填層の層厚の比Hs/Hであり、これはスタンド支持がどのタイミング(どの位置)で開始するかを示すものである。Hs/Hが低すぎると、シンターケーキ支持スタンドがシンターケーキ荷重を支持する領域が小さくなり、スタンド支持効果の発現がストランドの後半部分に限定される。
一方、Hs/Hが高いとより焼成の初期からシンターケーキの支持を開始することになり、シンターケーキ支持スタンドがシンターケーキ荷重を支持する領域は大きくなるが、極端にHs/Hが高すぎると、ストランドの前半部分の通気性までも過剰に改善してしまう。この場合、上層のシンターケーキは脆弱であり、スタンドによる線支持に耐えられず、シンターケーキに亀裂が発生することがある。亀裂が発生すると、亀裂部位に優先的にガス流れが起こるので、下層の焼成が不均一となる(いわゆるむら焼け)を助長してしまい、生産率が低下する。
【0050】
従って、図3で示したように、生産率向上の観点からは、Hs/Hに適正な範囲が存在し、低すぎても、高すぎても十分な増産効果を得ることはできない。
【0051】
以上から、被支持シンターケーキ体積VscとHs/Hとを所定の範囲とするように、シンターケーキ支持スタンドの高さ及び原料充填層の層厚を選択することにより最大の増産効果を得ることができると考えることができ、これは図3で得られた結果に合致するものである。
【0052】
スタンドの高さは使用とともに熱負荷あるいは排鉱時の摩擦によって摩耗し、高さが減少するのが一般的である。摩耗したスタンドは摩耗の激しい順に、定修時などに定期的に新しいスタンドと交換する。よって、シンターケーキ支持スタンドの高さ(全焼結パレット台車へ装着されたシンターケーキ支持スタンドの平均高さ)が初期値を維持している期間は比較的短い。そこで例えば、設備導入後1年以上経過し、使用による摩耗と交換周期が定常状態となった時点のスタンド高さ(一般的な製鉄所では初期値よりも30〜50mm程度低くなる)を用いて、本発明のような操業設計(層厚の設定)をすることが効果の推定精度が向上して望ましい。
【0053】
さらに、シンターケーキは完全な剛体ではないので、パレットへのスタンドの取り付け方法によっても、効果に影響する。
幅方向に隣接するシンターケーキ支持スタンド間距離、及び、シンターケーキ支持スタンドと焼結パレット台車の側壁との間の距離がそれぞれ1m以下、1.5m以下であるのが望ましい。それ以上の場合、表層に亀裂が発生したり、幅方向の焼成のばらつきが拡大しやすいので、十分な増産効果が得られない場合がある。なお、シンターケーキ支持スタンドと焼結パレット台車の側壁との望ましい距離がシンターケーキ支持スタンド間の望ましい距離よりも大きいのは、焼結パレット台車の側壁部分は幅方向のシンターケーキの収縮によって隙間があいているために、過剰な通気状態となっていることが一般的であり、それを調整するためである。
【0054】
また、シンターケーキ支持スタンドの形状は、本発明では特に限定するものでないが、シンターケーキ支持スタンド自体が、いずれの形状でも効果を発揮することができる。しかし、400mm以上の高いスタンドを使用する場合は、受ける熱負荷や排鉱部での衝撃が大きくなるので、摩耗が早く進み、実行スタンド高さが低くなってしまう。そこで、摩耗による高さの減少を抑制するために、シンターケーキ支持スタンドの形状は上辺50mm〜400mm、下辺400mm〜800mm、厚み30mm〜60mmの台形板であることが好ましい。
【0055】
表1に、本発明の焼結鉱の製造方法による焼結鉱の生産率及び増産効果を、比較例と共に示す。焼結機は図3と同じものを用いた。
【表1】

【0056】
[比較例]
比較例1はシンターケーキ支持スタンドなしのベース条件で焼結鉱を製造したものである。生産率は層厚600mmのときに32t/d/mであった。
比較例2は層厚600mmの条件でHs/H=0.3のシンターケーキ支持スタンドを設置した場合である。生産率は32.0t/d/mであった。被支持シンンターケーキ体積が75m以下であるため、その増産効果は認められなかった。
比較例3は層厚600mmの条件でHs/H=0.70のシンターケーキ支持スタンドを設置した場合である。被支持シンンターケーキ体積は75m以上ではあるものの、Hs/Hが高いため、層厚600mmの条件では表層に亀裂が発生し、その影響が現れはじめたため、生産率は33.0t/d/mであった。比較例1に対して増産効果は認められるものの、その効果は5%以下と小さかった。
【0057】
[実施例]
本発明1は層厚を700mmとし、Hs/H=0.50のシンターケーキ支持スタンドを設置した場合である。生産率は34.5t/d/mであった。被支持シンンターケーキ体積は75m以上あり、かつ、Hs/Hが適正な範囲であるので、比較例1に対して7.8%の増産効果があった。
本発明2は層厚を700mmとし、Hs/H=0.70のシンターケーキ支持スタンドを設置した場合である。生産率は34.0t/d/mであった。被支持シンンターケーキ体積は75m以上であり、かつ、Hs/Hが0.8以下であるため、6.3%の増産効果があった。
本発明3は層厚を900mmとし、Hs/H=0.30のシンターケーキ支持スタンドを設置した場合である。生産率は36.0t/d/mであった。被支持シンンターケーキ体積は75m以上であるため、Hs/Hが0.30と低い条件であるのもかかわらず、12.5%の増産効果があった。
本発明4は層厚を900mmとし、Hs/H=0.70のシンターケーキ支持スタンドを設置した場合である。生産率は35.2t/d/mであった。被支持シンンターケーキ体積は75m以上であり、かつ、Hs/Hが0.8以下であるため、表層部の焼成も適正に保たれたので10.0%の増産効果があった。
【0058】
本発明5は本発明4と同じく層厚を900mmとし、Hs/H=0.70のシンターケーキ支持スタンドを設置した場合である。被支持シンンターケーキ体積は75m以上であり、かつ、Hs/Hが0.8以下としたが、隣接するシンターケーキ支持スタンドの間隔が1.2mと大きかったため、生産率及び増産効果はそれぞれ、33.7t/d/m、5.5%と本発明4より低かった。この結果から、生産率及び増産効果を高めるためには、隣接するシンターケーキ支持スタンドの間隔は1.0m以下とするのが好ましいことがわかった。
【0059】
図3に基づくと、層厚が600mmの場合、生産率はHs/Hが0.70のとき、すなわち、比較例3のときに最大となる。かかる場合、生産率をさらに増大させるために必要な条件を推定する方法はこれまで知られていなかった。
【0060】
本発明1〜5に示したように、本発明に係る焼結鉱の製造方法、シンターケーキ支持スタンドの設計方法、又は原料充填層の層厚決定方法のいずれかを用いることにより、有効焼結面積450mの焼結機に対して、被支持シンターケーキ体積Vsc(m3)が75m以上かつシンターケーキ支持スタンドの高さと原料充填層の層厚の比Hs/Hが0.8以下となるように、シンターケーキ支持スタンドの高さと原料充填層の層厚との組み合わせを選択することにより、比較例3のときの生産率より高い生産率を実現できた。
【符号の説明】
【0061】
3 焼結パレット台車
4 シンターケーキ支持スタンド
Vsc 被支持シンターケーキ体積
H 原料充填層の層厚
Hs シンターケーキ支持スタンドの高さ
A 有効焼結面積

【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼結パレット台車上に、焼結パレット台車の幅方向に等間隔で、その進行方向に平行に立設されたシンターケーキ支持スタンドを複数備えた焼結機を用いる焼結鉱の製造方法において、原料充填層の層厚が650mm以上であり、(1)式で算出される被支持シンターケーキ体積Vsc(m3)が75m以上でかつ前記シンターケーキ支持スタンドの高さと原料充填層の層厚の比Hs/Hが0.8以下となるように前記シンターケーキ支持スタンドの高さ及び/又は前記原料充填層の層厚を選択して焼結鉱を製造することを特徴とする焼結鉱の製造方法:
Vsc(m3)=(2・H/1000−Hs/1000)/2・(Hs/H)・A
…(1)
H(mm): 原料充填層の層厚
Hs(mm): シンターケーキ支持スタンドの高さ
A(m): 有効焼結面積
【請求項2】
前記Hs/Hのシンターケーキ支持スタンドの高さ(Hs)が前記焼結パレット台車上の少なくとも二以上のシンターケーキ支持スタンドの高さの平均値であることを特徴とする請求項1に記載の焼結鉱の製造方法。
【請求項3】
前記幅方向に隣接するシンターケーキ支持スタンド間距離が1m以下であり、かつシンターケーキ支持スタンドと焼結パレット台車の側壁との間の距離が1.5m以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の焼結鉱の製造方法。
【請求項4】
前記シンターケーキ支持スタンドの形状が上辺50mm〜400mm、下辺400mm〜800mm、厚み30mm〜60mmの台形板であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の焼結鉱の製造方法。
【請求項5】
焼結パレット台車上に、焼結パレット台車の幅方向に等間隔で、その進行方向に平行に立設されたシンターケーキ支持スタンドを複数備えた焼結機において、650mm以上の原料充填層の層厚で焼結鉱を製造するのに用いるシンターケーキ支持スタンドの設計方法であって、(1)式で算出される被支持シンターケーキ体積Vsc(m3)が75m以上でかつ前記シンターケーキ支持スタンドの高さと原料充填層の層厚の比Hs/Hが0.8以下となるように前記シンターケーキ支持スタンドの高さを採用することを特徴とするシンターケーキ支持スタンドの設計方法:
Vsc(m3)=(2・H/1000−Hs/1000)/2・(Hs/H)・A
…(1)
H(mm): 原料充填層の層厚
Hs(mm): シンターケーキ支持スタンドの高さ
A(m): 有効焼結面積
【請求項6】
焼結パレット台車上に、焼結パレット台車の幅方向に等間隔で、その進行方向に平行に立設されたシンターケーキ支持スタンドを複数備えた焼結機の焼結パレット台車に装填する原料充填層の層厚決定方法であって、(1)式で算出される被支持シンターケーキ体積Vsc(m3)が75m以上かつ前記シンターケーキ支持スタンドの高さと前記原料充填層の層厚の比Hs/Hが0.8以下となるように、650mm以上の前記原料充填層の層厚を決定することを特徴とする原料充填層の層厚決定方法:
Vsc(m3)=(2・H/1000−Hs/1000)/2・(Hs/H)・A
…(1)
H(mm): 原料充填層の層厚
Hs(mm): シンターケーキ支持スタンドの高さ
A(m): 有効焼結面積

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−252203(P2011−252203A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126938(P2010−126938)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】