説明

焼結鉱製造方法

【課題】焼結鉱を製造する際に破砕時の粉化を防止して、歩留りを向上させることができる、焼結鉱製造方法を提供すること。
【解決手段】高炉装入原料の中から選択される粒径10mm以上、20mm以下の粗粒の装入原料を焼結原料ベッド中に分散状態で装入し、他の焼結原料とともに焼結することを特徴とする焼結鉱製造方法を用いる。粗粒の装入原料が、鉄鉱石および/または製鋼スラグであること、平均間隔が40〜80mmとなるように粗粒の装入原料を焼結原料ベッド中に装入することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は下方吸引のドワイトロイド式焼結機を用いて焼結鉱を製造する際に使用する焼結鉱製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
粉鉄鉱石などから焼結鉱を製造する際には、粉鉄鉱石に燃料としての炭材である粉コークスおよび副原料として石灰石、などを配合し、これらを混合して造粒した後、焼結パレットに装入して焼結原料ベッドを形成し、焼結原料ベッドの表層に着火して焼結し、これを破砕・整粒して焼結鉱を得ている。破砕は、焼結機により焼結原料の焼結が完了した焼結鉱ケーキ(シンターケーキともいう。)に対して行われ、焼結機の排出端において焼結パレットより焼結鉱ケーキが離脱し、クラッシングガイド上に落下した段階で、これを破砕機により一次破砕してさらに焼結鉱冷却機に供給冷却して焼結鉱とされている。粒径100mm以上の粗大焼結鉱は、還元性遅延の観点や高炉内の充填制御が困難であることから高炉装入に適しないため、通常、ロールクラッシャなどで2次破砕されて、100mm以下の粒径に粒度調製される。また、粒径3〜5mm以下の細粒は高炉内で高密度に充填されて通気性を低減させて還元を阻害するので、高炉には装入されず、返鉱と呼ばれて再度焼結原料として利用される。
【0003】
従来係る焼結鉱の製造過程で、上記破砕機による破砕時に、焼結鉱の粉化が多量に発生し歩留りの低下をきたすという問題が発生している。
【0004】
そのため、従来、粉化防止の観点から、上記破砕時に、焼結鉱ケーキに破砕を補助する亀裂を発生させるべくさまざまな提案が成されてきた。
【0005】
例えば、特許文献1では、焼結原料ベッド表面にパレット進行方向に延びた溝を一定間隔で形成し、溝には他の原料を入れて通気性は一定に保ちつつ、焼き締りによる不規則な亀裂は,予め溝にして他の原料を載せた部分に集めて、漏風を抑え、ムラ焼けを抑えて溝を基点にして破砕を容易にして歩留りを向上させる提案が成されている。
【0006】
また、特許文献2では、凸のついたローラーで、焼結原料ベッド表面に一定間隔の溝を形成し、庄密をかける事で表面部での焼成時間を延長するともに、表面部に生じる亀裂を分散させて、破砕を容易にして歩留りを向上させる提案が成されている。
【0007】
さらに特許文献3では、焼結原料を焼結パレットに装入後、点火炉前までに、焼結原料ベッドの内部に垂直方向および/または水平方向に層状にスリットを形成し、そこに燃料を含まない無機原料を装入して、焼成後にそのスリットで破砕を容易にして粉の発生を抑える提案が成されている。
【0008】
一方で、焼結鉱ケーキに破砕を補助する亀裂を発生させるという観点とは異なるが、同様の効果を有する可能性のある方法として、焼結原料ベッド中に10〜20mmの粒径を持つ焼結鉱である床敷鉱を混合する技術が知られている(例えば、特許文献4参照。)。粒径の大きい床敷鉱を焼結原料ベッド中に2.5〜10質量%混合することで、焼結原料ベッドの通気性を改善して、焼結鉱を高い生産性の下で製造できるとされている。
【特許文献1】特開昭57−13128号公報
【特許文献2】特開平4−259335号公報
【特許文献3】特開昭61−195926号公報
【特許文献4】特開平10−72627号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1、2に記載の従来技術は、いずれも焼結原料ベッドの表面の限定された部分でしか破砕を容易にする効果がなく、焼結鉱ケーキの大部分の歩留には影響がない。さらに、実際には、焼結原料ベッドの表面に溝を形成すると、他の原料を溝部に供給した場合であっても、溝部に流入するガス速度の助長を抑えることは困難であり、溝の周辺部はムラ焼けになって歩留りは低下する。加えて、焼結鉱ケーキの表層は下部と比べ強度がおとり、かえって粉化を助長する問題も発生した。
【0010】
さらにまた、特許文献3に記載の従来技術は、数10cm単位の間隔で焼結原料ベッドを貫通し、焼結機の機長方向に連続した不均一層を形成することとなり、特許文献1、2に記載の従来技術よりも、さらに大きな通気性不均一を焼結原料ベッドにもたらし、スリット周辺部にムラ焼け領域を拡大させ、かえって歩留りを低下させる問題を発生させた。
【0011】
このように、特許文献1〜3に記載の技術では、焼結鉱ケーキに破砕を補助する亀裂を発生させて、破砕時の焼結鉱の粉化を防止して、歩留りの低下を防止することが困難であるという問題がある。
【0012】
一方で、焼結鉱の成品粒度域内である床敷鉱を多量に焼結原料ベッドに混合する手段は、焼結原料ベッドから焼成を経ていない生の新しい原料を排除するものであるから、床敷鉱を混合した量以上に生産速度を増大しなければ有効とならず、強度の維持が困難であるとともに、不経済である。また、粗大粒を多量に導入すれば、焼結成品の粗大塊が増大し、二次破砕工程で処理を行なう比率が増大して、過剰な破砕が必要となり、歩留が改善されないという問題がある。
【0013】
したがって本発明の目的は、このような従来技術の課題を解決し、焼結鉱を製造する際に破砕時の粉化を防止して、歩留りを向上させることができる、焼結鉱製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、前記問題解決にあたり、床敷鉱以外の粗粒を焼結原料ベッドに混合することに着目した。すなわち、高炉装入原料の中から選択される粒径10mm以上、20mm以下の粗粒の装入原料の使用である。本発明においては、粗粒の装入原料を焼結原料ベッド中に混在させることにより、この粗粒の装入原料の存在部を、破砕を容易にする亀裂発生基点とできることに着眼して、本発明を完成した。
【0015】
すなわち、本発明は、以下の特徴を有するものである。
(1)高炉装入原料の中から選択される粒径10mm以上、20mm以下の粗粒の装入原料を焼結原料ベッド中に分散状態で装入し、他の焼結原料とともに焼結することを特徴とする焼結鉱製造方法。
(2)粗粒の装入原料が、鉄鉱石および/または製鋼スラグであることを特徴とする(1)に記載の焼結鉱製造方法。
(3)平均間隔が40〜80mmとなるように粗粒の装入原料を焼結原料ベッド中に装入することを特徴とする(1)または(2)に記載の焼結鉱の製造方法。
(4)焼結原料ベッド下方75%層厚の領域で、粗粒の装入原料が40〜70mmの平均間隔となるように分散させて焼結することを特徴とする(1)ないし(3)のいずれかに記載の焼結鉱製造方法。
(5)粗粒の装入原料を含む焼結原料を焼結原料ベッドに装入するに際し、焼結機パレット進行方向に向かって角度50°以上70°未満の俯角で配置されたスローピングシュートを用いて装入することを特徴とする(1)ないし(4)のいずれかに記載の焼結鉱製造方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、焼結鉱ケーキ破砕後の粒径5mm未満(−5mm)の焼結鉱の発生量を増大させることなく、粒径100mm以上(+100mm)の粗大塊の焼結鉱を低減することができ、2次破砕が必要な粗大塊の焼結鉱量が大幅に低減し、2次破砕で発生する粒径5mm未満の焼結鉱の発生量を減らすことができるので、焼結鉱製造の歩留を大幅に向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
まず、図1を用いて焼結鉱の製造プロセスを説明する。粉鉄鉱石、炭材(粉コークス)、副原料(石灰石等)等を配合した焼結原料を混合して造粒した後、原料装入装置1を用いて、焼結機2の焼結パレットに装入して焼結原料ベッド3を形成し、着火装置4により焼結原料ベッド3の表層に着火して焼結し、焼結鉱ケーキ5とする。焼結機2の排出端において焼結パレットより焼結鉱ケーキ5が離脱し、破砕機6により一次破砕され、焼結鉱冷却機7に供給冷却されて焼結鉱となる。この焼結鉱を一次篩8により分級し、粒径100mm以上の粗大焼結鉱は、ロールクラッシャ等の2次破砕機9で2次破砕され、100mm以下の粒径に粒度調製される。100mm以下の粒径に粒度調製された焼結鉱は、スクリーン10で分級されて、粒径3〜5mm以上のものが製品焼結鉱として、高炉11に装入される。また、粒径3〜5mm以下の細粒は返鉱12として再度焼結原料として利用される。
【0018】
本発明は、上記の1次破砕における粉化発生量を大きく低減することができるものであり、焼結鉱の製造に際し、高炉装入原料から選択される装入原料を10mm以上、20mm以下の粒径として焼結原料ベッド中に粗粒物として分散状態で装入し、他の焼結原料と混在させ焼結することにより、焼結鉱ケーキ破砕時の破砕を容易にし、粗粒物を基点としては破砕時の亀裂を発生させることにより、破砕の際の粉化発生を抑止して、焼結鉱塊歩留り向上を図るものである。当該粗粒物は、高炉装入原料から選択される。その理由は、従来技術に記載されている床敷鉱のような装入を忌避される原料を焼結原料ベッドへの装入物として用いると、本来の焼結鉱生産量を減少させるためである。本発明においては、焼結鉱と共に高炉に装入されても問題のない、高炉装入原料を粗粒物として焼結原料ベッドへ装入する。
【0019】
高炉装入原料から選択される粗粒の装入原料としては、焼結温度で形状を維持できるものが好ましく、高炉装入原料の中から選ばれる1種または2種以上を用いるものとし、緻密鉄鉱石、予備処理および転炉精錬から発生するスラグ中の粒鉄、あるいは副原料として装入される製鋼スラグ(転炉スラグ)、石灰石を使用することが好ましい。鉄鉱石および/または製鋼スラグは、高炉で還元すべき酸化鉄分を多く含み、分級により目的とする粒径の粗粒を容易に得られるため、特に好適に使用できる。
【0020】
また、粗粒の装入原料としては、後述する理由から10mm以上、20mm以下の粒径として焼結原料ベッド中に粗粒物として装入して使用するものである。10mm以上の粒径を持つ原料は、焼結原料中では粗粒に該当するが、この粗粒を利用すると焼結においては下記現象を生じる。
【0021】
すなわち、粗粒を焼結原料ベッド内に分散させると、粗粒周辺は焼成状況が変化して、反応性が低い粗粒を用いた場合には粗粒下部に焼成時の融液が回り込まないため、粗粒下に空隙を残留させる。
【0022】
粗粒の周囲もしくは反応後の痕跡として残った大気孔が適度に分散した焼結鉱ケーキの場合、その空隙間を伝搬する様に亀裂が進行して破砕される確率が増大するため、粗粒の存在により焼結鉱ケーキ内に亀裂発生点を導入することで、焼結鉱ケーキの粉砕性を向上させて、粉化を抑制することが可能となる。このように成品焼結鉱の粒度分布が焼結鉱ケーキ内の空隙の分散状況に影響されることを、本発明者等は鋭意実験の結果から見出したものである。このように本発明において、焼結ケーキ破砕時の粉化(粉率)が低下する理由は、粗粒の存在により焼結鉱ケーキ内に亀裂発生点を導入することで、前記空隙間を伝搬する様に亀裂が進行して破砕されることである。
【0023】
本発明者等はさらに検討を重ねた結果、粗粒を、粗粒間の平均間隔40mm〜80mmとなる様に焼結原料ベッドに分散させると、分散の無い場合と比較して、焼結鉱ケーキの1次破砕後の粒度分布において、粒径5mm未満(−5mm)の粉の発生比率は変化せずに、粒径100mm以上(+100mm)の粗大粒が低減することを見出した。この粗粒間の平均間隔は粗粒を焼結原料ベッド内に想定した立方格子の格子点に配置した場合にとれる格子間隔のことを指し、対象となる装入容積と粗粒の個数から算出する。
【0024】
粗粒の分散状態は均一分散に近い状態であるほど好ましく、焼結原料ベッド層厚のどの領域、例えば層厚10cm幅ごとに分散状況を分析しても、各領域でこの平均間隔に相当する個数の粗粒が分散されているということであり、ベッド全体で見た場合に相当数の粗粒が含まれていることではない。
【0025】
先に説明したように、+100mmの粗大塊は2次破砕過程を経るため、その破砕で必然的に−5mmの返鉱も発生し、成品焼結鉱の歩留を低減する。しかし、本発明では1次破砕段階で−5mm発生量を変えずに+100mmを低減できるために、追加の破砕による返鉱の発生が無くなり、焼結成品歩留を大幅に改善することが可能となる。
【0026】
高炉装入原料から選択される粗粒の装入原料としては、反応性の低い原料を用いることが好ましく、緻密質の鉱石の粗粒分(粒径10〜15mm)や、製鉄所内でリサイクル原料として加えられる製鋼スラグ(いわゆる転炉スラグ)を粗粒化して用いることが好ましい。本発明で製造する焼結鉱は高炉装入用であるため、成分としては、酸化鉄(Fe23、Fe34、FeO)および金属鉄、CaO、SiO2、Al23、MgO、C以外の成分の含有量が10mass%以下である材料を用いることが望ましい。
【0027】
高炉装入原料から選択される粗粒の装入原料は、粒径として10〜20mm、特に好ましくは10〜15mmが適している。これは、粒径20mm超えの粗粒では粒子のもつ質量のために装入時に粗粒に掛かる慣性力が大きく、下方に偏析する傾向が抑制しきれず、分散状態を達成するのが困難であるためと、焼結原料ベッド内水平断面を想定したとき、通気を妨げる緻密粒子の断面の占有面積が増大してベッドの通気性を低下させるためである。また、粒径が10mmより小さい場合は、周囲で発生した融液との反応が進行して、未反応粒子として残留して粒子下に空隙を形成する機能が失われるためである。
【0028】
粗粒の分散間隔として、40〜80mmを適正とするのは、80mm超えでは実質的に粗粒部に生成した空隙間距離が長く、破砕時のクラック伝搬に影響を与えられない場合があるため効果が現れないためである。
【0029】
また、40mm未満の間隔に近接すると、焼成中の空隙形成時に隣接した空隙同志で合体して空隙数を減らして巨大な連続空隙を生成しやすくなる。そのため、巨大連続空隙間の相互距離が増大するとともに、巨大連続空隙間には、小空隙(例えば球相等径10mm以下)が低減した緻密で強固な組織を生成して、空隙間を伝搬するようにクラックが進展しなくなり、かえって1次破砕後に粗大塊を増大させる結果となる場合があるためである。
【0030】
粗粒は、焼結鉱の配合原料の混合、造粒前に他原料に加えても良いが、粗粒への付着粉は少ない方が良く、他原料の1次混合造粒過程の後、例えば2次ミキサーに投入される前時点で加えることが望ましい。また、ミキサー1機のみで造粒する場合はミキサーの内部に造粒の後半の過程で加えることも可能である。
【0031】
粗粒の装入原料を含む焼結原料を焼結原料ベッドに装入するに際し、焼結機パレット進行方向に向かって角度50°以上70°未満の俯角で配置されたスローピングシュートを用いて装入することが好ましい。
【0032】
焼結機の焼結原料装入部で、焼結原料をパレット進行方向と反対方向にすべり落としながら所定層厚に積上げる方式を用いている場合、堆積する原料斜面を原料が滑落する速度を低減しないと、原料中の粒度偏析が増大して粗大粒子がベッドの最下部に偏在する傾向があることが知られている。
【0033】
この偏析を低減する方法として、焼結原料をパレット進行方向に装入する方法を用いることができる。この方法では細粒が粒子間間隙を抜けて下方に落下し、粗粒は上方に偏析する作用を生じることから、下方偏析を相殺して粗粒を均一に分散して装入することができる。装入シュートの俯角は50〜70°とすることが望ましい。湿潤状態の原料では安息角が45°以上になるので連続的に安定装入するにはそれ以上の俯角が必要であるためである。また70°以下にするのは、垂直に近づくほど、原料装入時に原料が重力による圧密を受けてベッド内の空隙率を低下させ、通気性を悪化させるため、最低限の落下速度の加速抑制が望まれるからである。
【0034】
焼結原料ベッド下方75%層厚の領域で、粗粒の装入原料が40〜70mmの平均間隔となるように分散して焼結することが好ましい。粗粒の装入原料の分散間隔が、40〜80mmの範囲であれば、焼結原料ベッド下方部分に粗粒が多く分散していることが上層部からの焼成熱量の蓄積を受けて高温となり、緻密で高強度の組織を形成して100mm以上の粗大粒を生成させやすい下層部で有効に作用させられるため好ましく、特に焼結原料ベッド下方の領域で、粗粒の装入原料が40〜70mmの平均間隔となるように分散していることが好ましい。焼結原料ベッド下方75%層厚の領域で、粗粒の装入原料の平均間隔を40〜70mmとする理由は、上方25%層厚部分は、下方に比較して強度が低く、下方より粗大粒を生成しにくいので、粗粒の存在密度を下方より低減してよく、逆に過剰強度となりやすい下方75%層厚域で粗粒の存在密度を増大させることが、焼結層全体の返鉱を低減するのに有効だからである。しかし、下方でも粗粒間隔を35mm以下に低減すれば+100mmの粗大粒が増大するのは、先に記したとおりである。
【0035】
図2を用いて、上記の本発明の一実施形態を説明する。図2は粗粒の装入原料を焼結原料ベッド中に分散させて装入する方法を説明する図であり、装入原料として製鋼スラグの破砕物を用いる場合の例である。製鋼スラグ20は、篩い21により分級し、粒径10mm以上のものを粗粒スラグ槽22に、粒径10mm未満のものを鉱石・副原料槽23に装入する。24は石灰槽、25はコークス槽である。鉱石・副原料槽23、石灰槽24、コークス槽25から切り出して配合した焼結原料を、一次ミキサー26に投入して混合して造粒した後、粗粒スラグ槽22から粗粒の製鋼スラグを混合して、2次ミキサー27で2次造粒を行う。造粒物をサージホッパ28に装入し、ロールフィーダ29で切り出しながら、シュート30を用いて焼結機の焼結パレット31に装入して、焼結原料ベッド3を形成する。シュート30を焼結パレット31の進行方向に対して図2に示す向きに配置することで、粗粒の装入原料を焼結原料ベッド3中に分散状態で装入することができる。
【0036】
また、他の実施形態として、粗粒の装入原料をサージホッパ28内の焼結パレット31の進行方向下流側に装入したり、サージホッパ28の焼結パレット31の進行方向下流側に粗粒の装入原料用のホッパを設置する等したりすることで、焼結原料を焼結パレット31に装入する際に粗粒を装入斜面の下側に滑り込ませるように装入することでも、粗粒の装入原料を焼結原料ベッド3中に分散させることができる。
【実施例1】
【0037】
表1に示す化学組成を有する原料を用い、図1、図2に示すものと同様の設備を用いて焼結鉱製造試験A〜Cを行なった。原料の基本の配合比率を表2に示す。
【0038】
【表1】

【0039】
【表2】

【0040】
本実施例においては、粗粒の装入原料として転炉スラグを用いた。表1、表2において、転炉スラグは「LDスラグ」として示されている。転炉スラグを用いる際には、各試験の条件に合わせて粒度を調整した。また、分散させる粗粒分以外の転炉スラグは、−10mmとして使用した。ただし、焼結原料ベッド全体平均での粗粒平均間隔が40mm以下の条件の場合は、転炉スラグの配合率をあげ、他の副原料の操作により、組成を調整した。
【0041】
下方吸引のドワイトロイド式焼結機を用いて、焼結パレット幅4.0m、焼結原料ベッド層厚580mmとし、基準パレットスピード3.0m/minで焼成時間に応じて調整して焼結を行なった。
【0042】
(試験A)粗粒の平均間隔60mmの条件で、粗粒の粒径を表3に示すように変化させて、焼結原料ベッド内で分散させて、焼結鉱を焼成し、焼結鉱ケーキを一次破砕・冷却後の−5mmと+100mmの焼結鉱の発生量を測定した。結果を表3と、図3に示す。焼成時間も表3に併せて示す。
【0043】
【表3】

【0044】
粗粒として5〜10mmの転炉スラグを分散させた場合は、+100mmの量が多かった。粗粒として20〜25mmを分散させた場合は、+100mmの量が多く、焼結時間の延長が見られた。粗粒として10〜15、15〜20mmを分散させた場合は、−5mm分の量がほとんど変化しないまま、+100mm分が低減され、2次破砕量が大幅に低減された。
【0045】
(試験B)転炉スラグ粗粒の粒径を10〜15mmとし、表4に示すように、粗粒の平均間隔が30〜100mmとなるように変化させて粗粒の配合量を調整して焼成した。粗粒を分散させない場合についても「装入なし」として焼成した。また、全体としての粗粒の平均間隔は60mmであるが、焼結原料ベッドの層厚方向で下部75%では平均間隔が57mmであり、上部25%では平均間隔を70%とした、粗粒が下部に偏析した場合についても「60mm上部緩和」として焼成した。一次破砕・冷却後の−5mmと+100mmの焼結鉱の発生量を測定した。結果を表4と、図4に示す。
【0046】
【表4】

【0047】
粗粒の転炉スラグが40〜80mmの平均間隔で分散された場合は、−5mm分の量が変化しないまま、+100mm分が低減され、粗大塊焼結鉱が低減した。粗粒が平均間隔40〜80mmの範囲内で下部に偏析した場合は、均一分散の場合よりも−5mm分が減少する傾向が見られた。
【0048】
(試験C)焼結原料を焼結原料パレットに装入する際に、装入法を通常行なわれる焼結原料パレット進行方向と反対方向に滑り落として装入した場合(パレット反対方向)と、パレット進行方向と同じ方向に装入した場合(パレット方向)についての比較を行なった。焼結原料ベッド全体での粗粒の平均間隔は約40mmで同じであるが、図5に示すように、パレット反対方向の装入では焼結原料ベッドの下部に粗粒が偏析し、パレット方向の装入では焼結原料ベッドの高さ方向で粗粒がほぼ均一に分散した。なお、図5における層厚は、焼結原料パレットの床敷き面からの高さの、全焼結原料層厚に対する比率である。各装入条件で焼結原料を装入し、焼成して、一次破砕・冷却後の−5mmと+100mmの焼結鉱の発生量を測定した。結果を図6に示す。
【0049】
パレット反対方向での装入では、粗粒の焼結原料ベッド層下部への装入偏析が大きく、粗粒の平均間隔が40〜80mmの範囲外で偏析した部分が存在するため、−5mm分も、+100mmの粗大塊の生成も多いが、パレット方向の装入により焼結原料ベッドの層厚方向に粗粒が均一に分散して、+100mmの粗大塊の生成は低減した。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】焼結プロセスの説明図。
【図2】本発明の一実施形態の説明図。
【図3】試験Aの結果を示すグラフ。
【図4】試験Bの結果を示すグラフ。
【図5】焼結原料ベッド内高さ方向での粗粒の平均間隔の分布を示すグラフ(試験C)。
【図6】試験Cの結果を示すグラフ。
【符号の説明】
【0051】
1 原料装入装置
2 焼結機
3 焼結原料ベッド
4 着火装置
5 焼結鉱ケーキ
6 破砕機
7 焼結鉱冷却機
8 一次篩
9 2次破砕機
10 スクリーン
11 高炉
12 返鉱
20 製鋼スラグ
21 篩い
22 粗粒スラグ槽
23 鉱石・副原料槽
24 石灰槽
25 コークス槽
26 一次ミキサー
27 2次ミキサー
28 サージホッパ
29 ロールフィーダ
30 シュート
31 焼結パレット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高炉装入原料の中から選択される粒径10mm以上、20mm以下の粗粒の装入原料を焼結原料ベッド中に分散状態で装入し、他の焼結原料とともに焼結することを特徴とする焼結鉱製造方法。
【請求項2】
粗粒の装入原料が、鉄鉱石および/または製鋼スラグであることを特徴とする請求項1に記載の焼結鉱製造方法。
【請求項3】
平均間隔が40〜80mmとなるように粗粒の装入原料を焼結原料ベッド中に装入することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の焼結鉱の製造方法。
【請求項4】
焼結原料ベッド下方75%層厚の領域で、粗粒の装入原料が40〜70mmの平均間隔となるように分散させて焼結することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の焼結鉱製造方法。
【請求項5】
粗粒の装入原料を含む焼結原料を焼結原料ベッドに装入するに際し、焼結機パレット進行方向に向かって角度50°以上70°未満の俯角で配置されたスローピングシュートを用いて装入することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の焼結鉱製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−277594(P2007−277594A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−101712(P2006−101712)
【出願日】平成18年4月3日(2006.4.3)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】