説明

焼酎の製造工程で発生する廃液の処理方法

【課題】焼酎の製造工程で発生する廃液と、ベントナイト粉末、または焼成ドロマイト粉末とを混合して造粒することにより、肥料や豚等の飼料として利用することができるようにする。
【解決手段】焼酎廃液100重量%に対して、ベントナイト粉末5〜10重量%、または焼成ドロマイト粉末5〜15重量%を添加して混合攪拌した後、加熱乾燥機により加熱して前記混合物中の含水量の調整を行い、然る後、造粒機により所定の粒径に造粒することにより焼酎の製造工程で発生する廃液を有効利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼酎の製造工程で発生する廃液の処理方法に関し、特に前記廃液と、ベントナイト粉末、または焼成ドロマイト粉末とを混合して造粒することにより、肥料や豚等の飼料として利用することができる焼酎の製造工程で発生する廃液の処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、焼酎の製造工程で発生する廃液は、有効利用することなく、海洋投棄等、廃棄処分としているのが現状である。そして、焼酎の製造工程で発生する廃液の処理方法に関する過去の特許文献を遡及検索すると、下記の特許文献1が公知である。
【0003】
【特許文献1】特開平5−194067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、海洋投棄は環境を破壊するという問題から近々法律で規制されることとなっており、また前記特許文献1に記載の処理方法は、濾過法などの方法によって焼酎廃液を濃縮し、ペースト状化させた焼酎に配合飼料、あるいは穀物末・米糠・フスマ・魚粉・蛹粉・油粕などを適宜混練し、ペレット状や顆粒状などの形状に造粒して乾燥させ、あるいは粉末状に乾燥させ、畜産や養鶏に必要な飼料、養魚や観賞魚などに必要な餌や園芸に必要な肥料とするものである。
【0005】
しかしながら、前記特許文献1で開示されたものは、有機物を多く含んでいるため、飼料や肥料とした場合、汚臭を発散させるという課題があった。
【0006】
本発明は前記課題を解決すべく発明をなしたもので、焼酎の製造工程で発生する廃液と、脱臭機能を有するベントナイト粉末、または焼成ドロマイト粉末とを混合して造粒することにより、肥料や豚等の飼料として利用することができる焼酎の製造工程で発生する廃液の処理方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、焼酎廃液100重量%に対して、ベントナイト粉末5〜10重量%、または焼成ドロマイト粉末5〜15重量%を添加して混合攪拌した後、加熱乾燥機により加熱して前記混合物中の含水量の調整を行い、然る後、造粒機により所定の粒径に造粒するという方法、または、
焼酎廃液100重量%に対して、ベントナイト粉末5〜10重量%、または焼成ドロマイト粉末5〜15重量%を添加して混合攪拌した後、造粒機により所定の粒径に造粒し、然る後、加熱乾燥機により加熱して前記造粒物中の含水量の調整を行うという方法、
を実現することにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0008】
本発明方法によれば、本発明の原材料であるベントナイト粉末、および焼成ドロマイト粉末は、いずれも消臭機能を保有しているため、前記焼酎廃液が有機物のために汚臭を発散するものがあっても、該汚臭が消臭され、汚臭の発散を防止することができると共に、前記焼酎廃液中には、リンやカリウム等の肥料となる有効成分を多く含んでいるので、肥料として使用することができ、更に、前記焼酎の廃液中にはビタミン、ミネラル等の栄養成分を多く含んでいるため、家畜や動物の飼料として使用することができ、従来廃棄処理をしていた焼酎廃液の有効利用を図ることができる。
【実施例】
【0009】
本発明焼酎の製造工程で発生する廃液の処理方法は、麦、そば、米やさつま芋等を原料として製造された焼酎の廃液に、粉末状に粉砕されたベントナイト粉末、または高温で焼成された焼成ドロマイト粉末を所定量添加混合して攪拌し、然る後、造粒機により粒状に造粒加工して、肥料または飼料とする焼酎の製造工程で発生する廃液の処理方法である。以下、本発明方法につき詳細に説明する。
【0010】
本発明方法における焼酎の廃液は、麦、そば、米やさつま芋等を原料として焼酎を製造する過程において発生する廃液である。前記廃液は、多量の水分を含んでいるが、該廃液中には多くの栄養価の高い成分が含まれている。すなわち、麦焼酎、そば焼酎および米焼酎の各廃液100g中には、表1〜表3に示すようなそれぞれの成分が含まれている。
【0011】
【表1】

【0012】
【表2】

【0013】
【表3】

【0014】
なお、芋焼酎の廃液中の成分については記載していないが、例えば、さつま芋中の「ベニアズマ」という品種の可食部100gの成分特性は、表4に示すようなものであるので、前記「ベニアズマ」を焼酎の原材料として使用した後の廃液中の含有成分は水分を除き、その割合は少なくなるものの、その成分はそのまま維持しているものと考えられる。
【0015】
【表4】

【0016】
前記のように、焼酎の製造工程において発生する麦、そば、米やさつま芋を原料とする各廃液中には、肥料成分として有効なカリウムやリンが多く含まれていると共に、家畜や動物の飼料として有効な栄養成分がそのまま多く含まれている。
【0017】
本発明は、前記有効成分が多く含まれている焼酎の製造工程で発生する廃液と、温泉、井戸、地質調査等のボーリング工事において造壁材として使用されたり、地中連続壁工法において泥壁材として使用されたり、あるいは、農薬の基剤、医薬品のパップ剤の基剤、飼料の賦形剤、ペット用猫砂として使用されているベントナイト粉末とを混合攪拌し、または、ドロマイトを高温で焼成して得られ、人体がカルシウム剤として摂取する健康食品として使用されている焼成ドロマイト粉末とを混合攪拌し、然る後、用途に応じた含水率を保有するよう造粒して、前記廃液中の有効成分を肥料、または飼料として再利用するようにしたものである。
【0018】
ベントナイトは、消臭機能を有するシリカやアルミナを含む岩石であって、本発明の一つの原材料としては、前記ベントナイトを粉末状に破砕したベントナイト粉末を使用する。ベントナイト粉末は、水中で膨潤する性質を有するものであるので、本発明においては、水分含有量が90g/100g程度の焼酎廃液100重量%に対して、特に限定する必要はないが、好ましくは、5〜10重量%、特に好ましくは7〜8重量%程度の、特に限定する必要はないが、好ましくは、200メッシュ程度に粉砕されたベントナイト粉末を添加して、該ベントナイト粉末が前記廃液中に充分分散するよう混合攪拌した後、肥料や飼料等の用途に応じて加熱乾燥機により加熱乾燥して含水量の調整をし、ペレットや顆粒状等の粒状に成型加工する。また、前記加熱乾燥機により加熱乾燥する含水量の調整は、造粒機による造粒工程後でもよい。なお、特に限定する必要はないが、肥料として使用する場合の含水率は、30〜50%程度が好ましい。また、飼料として使用する場合の含水率は、40〜60%程度が好ましい。
【0019】
また、ドロマイトは、850〜1100℃で焼成して得られた焼成ドロマイトは、極めて高い消臭機能をもつことが知られており、本発明の他の原材料としては、前記焼成ドロマイトを粉砕した焼成ドロマイト粉末を使用する。前記焼成ドロマイト粉末は、前記ベントナイト粉末と異なり水中で膨潤することがないので、本発明においては、水分含有量が90g/100g程度の焼酎廃液100重量%に対して、特に限定する必要はないが、好ましくは、5〜15重量%、特に好ましくは10〜12重量%程度の、特に限定する必要はないが、好ましくは、200メッシュ程度に粉砕された焼成ドロマイト粉末を添加して、該焼成ドロマイト粉末が前記廃液中に充分分散するよう混合攪拌した後、肥料や飼料等の用途に応じて加熱乾燥機により加熱乾燥して含水量の調整をし、ペレットや顆粒状等の粒状に成型加工する。また、前記加熱乾燥機により加熱乾燥する含水量の調整は、造粒機による造粒工程後でもよい。なお、特に限定する必要はないが、肥料として使用する場合の含水率は25〜35%程度が好ましい。
【0020】
前記本発明の原材料であるベントナイト粉末および焼成ドロマイト粉末は、いずれも消臭機能を保有しているため、前記焼酎廃液が有機物のために汚臭を発散するものがあっても、該汚臭が消臭され、汚臭の発散を防止することができると共に、前記焼酎廃液中には、リンやカリウム等の肥料となる有効成分を多量に含んでいるので、肥料として使用することができ、更に、前記焼酎の廃液中にはビタミン、ミネラル等の栄養成分を多量に含んでいるため、家畜や動物の飼料として使用することができる。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼酎廃液100重量%に対して、ベントナイト粉末5〜10重量%、または焼成ドロマイト粉末5〜15重量%を添加して混合攪拌した後、加熱乾燥機により加熱して前記混合物中の含水量の調整を行い、然る後、造粒機により所定の粒径に造粒することを特徴とする焼酎の製造工程で発生する廃液の処理方法。
【請求項2】
焼酎廃液100重量%に対して、ベントナイト粉末5〜10重量%、または焼成ドロマイト粉末5〜15重量%を添加して混合攪拌した後、造粒機により所定の粒径に造粒し、然る後、加熱乾燥機により加熱して前記造粒物中の含水量の調整を行うことを特徴とする焼酎の製造工程で発生する廃液の処理方法。

【公開番号】特開2007−175574(P2007−175574A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−374336(P2005−374336)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(592179159)ベントナイト産業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】