説明

煙検出方法および装置並びに画像撮像装置

【課題】被観察部への光の照射によって撮像された画像に基づいて、被観察部において発生した煙を検出する煙検出装置において、煙の誤検出を抑制し、高精度な煙検出を行う。
【解決手段】第1の波長帯域を有する第1の光の被観察部への照射によってその被観察部から発せられた光に基づく第1の画像を時系列に取得し、第1の波長帯域よりも長波長の波長帯域を有する第2の光の被観察部への照射によって被観察部から発せられた光に基づく第2の画像を時系列に取得し、上記時系列に取得した第1の画像の経時変化量が所定量以上になった後、上記時系列に取得した第2の画像の経時変化量が所定量以上になった場合に、被観察部周辺において煙が発生したと判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被観察部への光の照射によって取得された画像に基づいて、その被観察部において発生した煙を検出する煙検出方法および装置並びに画像撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、体腔内の組織を観察する内視鏡システムが広く知られており、白色光の照射によって体腔内の被観察部を撮像して通常画像を得、この通常画像をモニタ画面上に表示する電子式内視鏡システムが広く実用化されている。
【0003】
また、上記のような内視鏡システムとして、たとえば、通常画像とともに、励起光の照射によって被観察部から発せられた自家蛍光像を撮像して自家蛍光画像を得、これらの画像をモニタ画面上に表示する蛍光内視鏡システムが提案されている。
【0004】
また、蛍光内視鏡システムとしては、たとえば、ICG(インドシアニングリーン)を予め体内に投入し、励起光を被観察部に照射して血管内のICGの蛍光を検出することによって血管の蛍光画像を取得するものも提案されている。
【0005】
ここで、上述したような内視鏡システムを用いた術中においては、体腔内の組織の一部を電気メスで搾取したり、止血のために焼灼処置を行ったりする場合がある。そして、このような処置を行う際、組織から煙やミストが発生し、表示されている通常画像や蛍光画像の視界が悪くなったり、内視鏡の先端のレンズに汚れを生じたりする。また、特に蛍光内視鏡システムにおいては、上述したように煙によって視界が悪くなった場合に、そのまま励起光を被観察部へ照射し続けるのは安全性の観点から好ましくない。
【0006】
したがって、上述したように煙等が発生した場合には、排煙装置を動作させて体腔内の排煙を行ったり、内視鏡の先端を洗浄したり、励起光を停止する必要があるが、内視鏡を体腔内に挿入して電気メスなどを用いて手術をしている状況において、排煙動作や内視鏡の洗浄動作や励起光の停止動作の操作を行うのは大変困難である。
【0007】
そこで、たとえば、特許文献1においては、内視鏡の先端に煙やミストの濃度を測定する濃度測定器を設け、その濃度測定器によって測定された煙やミストの濃度が所定の閾値よりも高くなった場合に、自動的に排煙装置を動作させることが提案されている。また、特許文献1においては、内視鏡によって撮像された画像信号に対してエッジ抽出処理やパターン処理を施した結果に基づいて煙やミストの濃度情報を取得することも提案されている。
【0008】
また、特許文献2においては、内視鏡によって撮像された画像内の動きや色を検出することによって煙を検出方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−309156号公報
【特許文献2】特開平11−318909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、たとえば、特許文献1のように濃度測定器を設けるようにした場合、コストアップとなり、また、内視鏡の先端の太径になってしまうため好ましくない。また、内視鏡によって撮像された画像のエッジなどによって煙を検出するようにしたのでは、煙によってエッジがボケているのか、もしくは撮影対象自体が平滑性の高いものなのか区別することができず、煙を誤検出してしまう可能性がある。
【0011】
また、特許文献2のように、内視鏡によって撮像された画像内の動きや色を検出して煙を検出する場合においても、煙の動きなのか、もしくは内臓などの撮影対象自体の動きなのか区別することができない場合があり、また、色検出についても撮影対象自体が白っぽいものである可能性もあり、やはり煙を誤検出してしまう可能性がある。
【0012】
本発明は、上記の問題に鑑み、内視鏡などによって撮像された画像に基づいて、被観察部において発生した煙を検出する煙検出方法および装置並びに画像撮像装置において、誤検出を抑制し、高精度な煙検出を行うことができる煙検出方法および装置並びに画像撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の煙検出装置は、第1の波長帯域を有する第1の光の被観察部への照射によってその被観察部から発せられた光に基づく第1の画像を取得する第1の画像取得部と、第1の波長帯域よりも長波長の波長帯域を有する第2の光の被観察部への照射によって被観察部から発せられた光に基づく第2の画像を取得する第2の画像取得部と、第1の画像取得部によって時系列に取得された第1の画像の経時変化量が所定量以上になった後、第2の画像取得部によって時系列に取得された第2の画像の経時変化量が所定量以上になった場合に、被観察部周辺において煙が発生したと判定する煙発生判定部とを備えたことを特徴とする。
【0014】
また、上記本発明の煙検出装置においては、煙発生判定部を、第1または第2の画像の色成分の経時変化量を取得するものとできる。
【0015】
また、煙発生判定部を、色成分の経時変化量として第1の波長成分とその第1の波長成分よりも短波長成分を含む第2の波長成分の経時変化量を取得するものとできる。
【0016】
また、上記第1の波長成分を赤成分とし、第2の波長成分を白成分とできる。
【0017】
また、煙発生判定部を、第1または第2の画像の周波数成分の経時変化量を取得するものとできる。
【0018】
また、煙発生判定部を、周波数成分の経時変化量として高周波側の周波数成分と低周波側の周波数成分との比率の経時変化量を取得するものとできる。
【0019】
また、第1の画像取得部を、第1の光としての可視光の照射によって被観察部から発せされた反射光に基づく可視画像を第1の画像として取得するものとできる。
【0020】
また、第2の画像取得部を、第2の光としての励起光の照射によって被観察部から発せられた蛍光に基づく蛍光画像を第2の画像として取得するものとできる。
【0021】
また、励起光として近赤外光を用いることができる。
【0022】
また、煙発生判定部を、第1および第2の光の照射または非照射に応じて煙の発生の検出または非検出を切り替えるものとできる。
【0023】
本発明の煙検出方法は、第1の波長帯域を有する第1の光の被観察部への照射によってその被観察部から発せられた光に基づく第1の画像を時系列に取得し、第1の波長帯域よりも長波長の波長帯域を有する第2の光の被観察部への照射によって被観察部から発せられた光に基づく第2の画像を時系列に取得し、上記時系列に取得した第1の画像の経時変化量が所定量以上になった後、上記時系列に取得した第2の画像の経時変化量が所定量以上になった場合に、被観察部周辺において煙が発生したと判定することを特徴とする。
【0024】
本発明の画像撮像装置は、上記煙検出装置と、第1および第2の光を被観察部に照射する光照射部と、第1の光の被観察部への照射によって被観察部から発せられた光に基づく第1の画像を撮像する第1の撮像部と、第2の光の被観察部への照射によって被観察部から発せられた光に基づく第2の画像を撮像する第2の撮像部とを備えたことを特徴とする。
【0025】
また、上記本発明の画像撮像装置においては、体内に挿入され、第1および第2の光の被観察部への照射によってその被観察部から発せられた光を導光する挿入部を備えたものとできる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の煙検出方法および装置並びに画像撮像装置によれば、第1の波長帯域を有する第1の光の被観察部への照射によって第1の画像を時系列に取得するとともに、第1の波長帯域よりも長波長の波長帯域を有する第2の光の被観察部への照射によって第2の画像を時系列に取得し、その時系列に取得された第1の画像の経時変化量が所定量以上になった後、上記時系列に取得された第2の画像の経時変化量が所定量以上になった場合に、被観察部周辺において煙が発生したと判定するようにしたので、互いに波長帯域の異なる光の照射による2つの画像の経時変化量に基づいて煙の発生を判定することができ、たとえば従来技術のように1つの画像の特徴のみに基づいて煙の発生を判定する場合と比較すると、誤検出を抑制することができ、高精度な煙検出を行うことができる。
【0027】
ここで、上述したように互いに波長帯域の異なる光の照射による2つの画像の経時変化量に基づいて煙の発生を判定するようにしたのは、相対的に波長の短い第1の光は、煙による散乱が第2の光よりも発生しやすく、すなわち第2の画像よりも第1の画像の方が煙の画像が現れやすいからである。すなわち、被観察部周辺において煙が発生した場合、第2の画像に煙の画像が現れるタイミングよりも第1の画像に煙の画像が現れるタイミングの方が遅くなる。本発明は、このようなタイミング差が生じることを利用して、互いに波長帯域の異なる光の照射による2つの画像の経時変化量に基づいて煙の発生を判定するようにしたものである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の煙検出装置の一実施形態を用いた硬性鏡システムの概略構成図
【図2】体腔挿入部の概略構成図
【図3】撮像ユニットの概略構成図
【図4】画像処理装置および光源装置の概略構成を示すブロック図
【図5】煙検出部の概略構成を示すブロック図
【図6】本発明の煙検出装置の一実施形態を用いた硬性鏡システムの作用を説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の煙検出装置の一実施形態を用いた硬性鏡システムについて詳細に説明する。本実施形態の硬性鏡システムは、被観察部を手術中に発生した煙の検出方法に特徴を有するものであるが、まずは硬性鏡システム全体の構成について説明する。図1は、本実施形態の硬性鏡システム1の概略構成を示す図である。
【0030】
本実施形態の硬性鏡システム1は、図1に示すように、白色光の通常光と近赤外光の励起光とを射出する光源装置2と、光源装置2から射出された通常光と励起光とを被観察部に照射するとともに、白色光の照射により被観察部から反射された反射光に基づく通常像と励起光の照射により被観察部から発せられた蛍光に基づく蛍光像を撮像する硬性鏡撮像装置10と、硬性鏡撮像装置10によって撮像された画像信号に所定の処理を施すとともに、光源装置2と後述する送気送水装置5とに制御信号を出力するプロセッサ3と、プロセッサ3において生成された表示制御信号に基づいて被観察部の蛍光画像および通常画像を表示するモニタ4と、プロセッサ3からの制御信号に応じて硬性鏡撮像装置10に生理食塩水および炭酸ガスを供給する送気送水装置5と、プロセッサ3から出力された制御信号に基づいて電気メス7の出力を制御する電気メス制御装置6とを備えている。
【0031】
硬性鏡撮像装置10は、図1に示すように、体腔内に挿入される体腔挿入部30と、体腔挿入部30によって導光された被観察部の通常像および蛍光像を撮像する撮像ユニット20とを備えている。
【0032】
また、硬性鏡撮像装置10は、図1および図2に示すように、体腔挿入部30と撮像ユニット20とが着脱可能に接続されている。そして、体腔挿入部30は接続部材30a、挿入部材30b、ケーブル接続口30c、照射窓30d、撮像窓30eおよび洗浄ノズル30fを備えている。
【0033】
接続部材30aは、体腔挿入部30(挿入部材30b)の一端側30Xに設けられており、たとえば撮像ユニット20側に形成された開口20aに嵌め合わされることにより、撮像ユニット20と体腔挿入部30とが着脱可能に接続される。
【0034】
挿入部材30bは、体腔内の撮影を行う際に体腔内に挿入されるものであって、硬質な材料から形成され、たとえば、直径略5mmの円柱形状を有している。挿入部材30bの内部には、被観察部の像を結像するためのレンズ群が収容されており、他端側30Yの撮像窓30eから入射された被観察部の通常像および蛍光像はレンズ群を介して一端側30Xの撮像ユニット20側に射出される。
【0035】
挿入部材30bの側面にはケーブル接続口30cが設けられており、このケーブル接続口30cに光ケーブルLCが機械的に接続される。これにより、光源装置2と挿入部材30bとが光ケーブルLCを介して光学的に接続されることになる。光ケーブルLCは、通常光および励起光を導光するバンドルファイバから形成されるものである。
【0036】
照射窓30dは、体腔挿入部30の他端側30Yに設けられており、光ケーブルLCによって導光された通常光および励起光を被観察部に対し照射するものである。なお、挿入部材30b内にはケーブル接続口30cから照射窓30dまで通常光および励起光を導光するバンドルファイバが収容されており(図示せず)、このバンドルファイバの先端が研磨されることによって照射窓30dが形成されている。
【0037】
挿入部材30bの先端に設けられた洗浄ノズル30fは、送気送水装置5から供給された生理食塩水や炭酸ガスを照射窓30dや撮像窓30eに吐出し、これらの洗浄するものである。なお、図2においては図示省略しているが、体腔挿入部30には、送気送水装置5から供給された生理食塩水や炭酸ガスを洗浄ノズル30fまで導くチューブなどが設けられているものとする。
【0038】
図3は、撮像ユニット20の概略構成を示す図である。撮像ユニット20は、体腔挿入部30内のレンズ群により結像された被観察部の蛍光像を撮像して被観察部の蛍光画像信号を生成する第1の撮像系と、体腔挿入部30内のレンズ群により結像された被観察部の通常像を撮像して通常画像信号を生成する第2の撮像系とを備えている。これらの撮像系は、通常像を反射するとともに、蛍光像を透過する分光特性を有するダイクロイックプリズム21によって、互いに直交する2つの光軸に分けられている。
【0039】
第1の撮像系は、被観察部において反射し、ダイクロイックプリズム21を透過した励起光の波長以下の光をカットするとともに、蛍光像L4を透過する励起光カットフィルタ22と、体腔挿入部30から射出され、ダイクロイックプリズム21および励起光カットフィルタ22を透過した蛍光像L4を結像する第1結像光学系23と、第1結像光学系23により結像された蛍光像L4を撮像する高感度撮像素子24とを備えている。
【0040】
第2の撮像系は、体腔挿入部30から射出され、ダイクロイックプリズム21を反射した通常像L3を結像する第2結像光学系25と、第2結像光学系25により結像された通常像L3を撮像する撮像素子26を備えている。
【0041】
高感度撮像素子24は、蛍光像L4の波長帯域の光を高感度に検出し、蛍光画像信号に変換して出力するものである。本実施形態においては、高感度撮像素子24としてモノクロ画像を撮像する撮像素子を用いるものとする。
【0042】
撮像素子26は、通常像の波長帯域の光を検出し、通常画像信号に変換して出力するものである。撮像素子26の撮像面には、3原色の赤(R)、緑(G)および青(B)、またはシアン(C)、マゼンダ(M)およびイエロー(Y)のカラーフィルタがベイヤー配列またはハニカム配列で設けられている。
【0043】
また、撮像ユニット20は、撮像制御ユニット27を備えている。撮像制御ユニット27は、高感度撮像素子24から出力された蛍光画像信号と撮像素子26から出力された通常画像信号とに対し、CDS/AGC(相関二重サンプリング/自動利得制御)処理やA/D変換処理を施し、ケーブルを介してプロセッサ3に出力するものである。
【0044】
プロセッサ3は、図4に示すように、通常画像入力コントローラ31、蛍光画像入力コントローラ32、画像処理部33、メモリ34、ビデオ出力部35、操作部36、TG(タイミングジェネレータ)37、CPU38および煙検出部39を備えている。
【0045】
通常画像入力コントローラ31および蛍光画像入力コントローラ32は、所定容量のラインバッファを備えており、通常画像入力コントローラ31は、撮像ユニット20の撮像制御ユニット27から出力された1フレーム毎の通常画像信号を一時的に記憶するものであり、蛍光画像入力コントローラ32は、蛍光画像信号をそれぞれ一時的に記憶するものである。そして、通常画像入力コントローラ31に記憶された通常画像信号および蛍光画像入力コントローラ32に記憶された蛍光画像信号はバスを介してメモリ34に格納される。
【0046】
画像処理部33は、メモリ34から読み出された1フレーム毎の通常画像信号および蛍光画像信号が入力され、これらの画像信号に所定の画像処理を施し、バスに出力するものである。
【0047】
ビデオ出力部35は、画像処理部33から出力された通常画像信号および蛍光画像信号がバスを介して入力され、所定の処理を施して表示制御信号を生成し、その表示制御信号をモニタ4に出力するものである。
【0048】
操作部36は、種々の操作指示や制御パラメータなどの操作者による入力を受け付けるものである。また、TG37は、撮像ユニット20の高感度撮像素子24、撮像素子26および後述する光源装置2のLDドライバ45を駆動するための駆動パルス信号を出力するものである。また、CPU38はシステム全体を制御するものである。
【0049】
煙検出部39は、硬性鏡撮像装置10によって撮像され、時系列に順次入力された通常画像信号と蛍光画像信号とに基づいて、体腔内の被観察部を電気メス7などで処置した際に発生した煙を検出するものである。
【0050】
図5は、煙検出部39の具体的な構成を示す図である。煙検出部39は、図5に示すように、色成分算出部50と、周波数成分算出部51と、基準情報記憶部52と、煙発生判定部53とを備えている。
【0051】
色成分算出部50は、時系列に入力された通常画像信号を分析し、通常画像信号に含まれる色成分の情報を順次算出するものであるが、本実施形態においては、具体的には、通常画像信号に含まれる赤色成分の情報と白色成分の情報とを算出し、その情報を基準情報記憶部52および煙発生判定部53に出力するものである。
【0052】
ここで、赤色成分の情報と白色成分の情報とを取得するようにしたのは、被観察部において煙が発生していない場合には、通常画像信号には内臓などの赤色の成分が相対的に多く含まれ、一方、被観察部において煙が発生している場合には、通常画像信号には赤色の成分よりも白色の成分が相対的に多く含まれることになるので、これらの色成分の通常画像信号に含まれる比率は煙の有無を判定するための一つの指標となるからである。なお、本実施形態においては、煙を表す白色成分の他に赤色成分を算出するようにしたが、これに限らずその他の色成分を算出するようにしてもよく、たとえば肌色成分を算出するようにしてもよい。もしくは、赤色の成分と白色の成分との比率以外にも、その他の第1の波長成分とその第1の波長成分よりも短波長の成分を含む第2の波長成分との比率を取得するようにしてもよい。
【0053】
周波数成分算出部51は、時系列に入力された通常画像信号および蛍光画像信号を分析し、通常画像信号および蛍光画像信号に含まれる周波数成分の情報を順次算出するものであるが、本実施形態においては、具体的には、通常画像信号および蛍光画像信号に対してフーリエ変換を施して空間周波数成分の分布をそれぞれ算出し、その情報を基準情報記憶部52および煙発生判定部53に出力するものである。
【0054】
ここで、通常画像信号および蛍光画像信号に含まれる周波数成分の情報を算出するようにしたのは、被観察部において煙が発生していない場合には、通常画像信号および蛍光画像信号には内臓の輪郭や血管などを表す高周波成分の画像信号が相対的に多く含まれ、一方、被観察部において煙が発生している場合には、煙によって内臓の輪郭や血管などがボケるため通常画像信号には低周波成分の画像信号が相対的に多く含まれることになるので、高周波側の周波数成分と低周波側の周波数成分との比率は煙の有無を判定するための一つの指標となるからである。
【0055】
基準情報記憶部52は、被観察部の通常画像と蛍光画像の撮像開始時において算出された通常画像信号の色成分情報と、通常画像信号および蛍光画像信号の周波数成分情報とを基準色成分情報と基準周波数成分情報として記憶するものである。この基準色成分情報と基準周波数成分情報とは、現在撮像されている通常画像信号と蛍光画像信号の色成分情報および周波数成分情報の経時変化量を算出するために基準となるものである。なお、本実施形態においては、撮像開始時において算出された色成分情報と周波数成分情報とを基準色成分情報と基準周波数成分情報として用いるようにしたが、これに限らず、撮像開始後の任意に時点において算出された色成分情報と周波数成分情報とを基準色成分情報と基準周波数成分情報として用いるようにしてもよい。
【0056】
煙発生判定部53は、時系列に入力される通常画像信号の色成分情報と周波数成分情報の経時変化量に基づいて通常画像内に煙が発生したと想定される第1の時刻を取得するとともに、時系列に入力される蛍光画像信号の周波数成分情報の経時変化量に基づいて蛍光画像内に煙が発生したと想定される第2の時刻とを取得し、この第1の時刻よりも第2の時刻が遅い場合に、被観察部周辺において煙が発生したと最終的に判定するものである。
【0057】
ここで、上述したように通常画像内に煙が発生したと想定される第1の時刻と蛍光画像内に煙が発生したと想定される第2の時刻との両方の時刻を用いて煙の有無の判定を行うようにしたのは、たとえば、通常画像の色成分や周波数成分の情報の経時変化量のみに基づいて煙の有無を判定するようにしたのでは、煙が発生したために通常画像信号の低周波成分の割合が増加したのではなく、単に平滑性の高い臓器などが撮影対象となったために低周波成分の割合が増加している場合もあり、また、煙が発生したために通常画像信号の白色成分が増加したのではなく、単に白っぽい臓器などが撮影対象となったために白色成分の割合が増加している場合もあり、このような場合、煙の誤検出となる可能性があるからである。
【0058】
さらに、通常画像を撮像する際に被観察部に照射される通常光(白色光)は、励起光よりも相対的に短い広域な波長帯域の光であるため、煙による散乱が励起光よりも発生しやすく、すなわち蛍光画像よりも通常画像の方が煙の画像が現れやすい。したがって、被観察部周辺において煙が発生した場合、通常画像に煙の画像が現れる時刻よりも蛍光画像に煙の画像が現れる時刻の方が遅くなる。本実施形態の煙検出部39は、この時間差が発生する現象を利用して、通常画像内に煙が発生したと想定される第1の時刻と蛍光画像内に煙が発生したと想定される第2の時刻とを取得し、第1の時刻よりも第2の時刻の方が遅い場合に、煙が発生したと最終的に判定を行うことによって、より高精度な煙検出を行うようにしたものである。
【0059】
そして、煙発生判定部53は、被観察部周辺に煙が存在すると判定すると、煙検出信号をプロセッサ3のCPU38に出力するものである。そして、CPU38は、入力された煙検出信号に応じて光源装置2、送気送水装置5および電気メス制御装置6に所定の制御信号を出力するものである。
【0060】
図4に戻り、光源装置2は、約400〜700nmの広帯域の波長からなる通常光(白色光)L1を射出する通常光源40と、通常光源40から射出された通常光L1を集光する集光レンズ42と、集光レンズ42によって集光された通常光L1を透過するとともに、後述する励起光L2を反射し、通常光L1および励起光L2とを光ケーブルLCの入射端に入射させるダイクロイックミラー43とを備えている。なお、通常光源40としては、たとえばキセノンランプが用いられる。また、通常光源40と集光レンズ42との間には、絞り41が設けられており、ALC(Automatic light control)48からの制御信号に基づいてその絞り量が制御される。
【0061】
また、光源装置2は、750〜830nmの近赤外光を励起光L2として射出する近赤外LD光源44と、近赤外LD光源44を駆動するLDドライバ45と、近赤外LD光源44から射出された励起光L2を集光する集光レンズ46と、集光レンズ46によって集光された励起光L2をダイクロイックミラー43に向けて反射するミラー47とを備えている。
【0062】
そして、本実施形態のLDドライバ45は、煙検出部39から出力された煙検出信号によってCPU38から出力された制御信号に応じて、近赤外LD光源44からの励起光L2の射出を停止させるものである。
【0063】
なお、励起光L2としては、広帯域の波長からなる通常光よりも狭帯域の波長が用いられる。そして、励起光L2としては上記波長域の光に限定されず、蛍光色素の種類もしくは自家蛍光させる生体組織の種類によって適宜決定される。
【0064】
送気送水装置5は、炭酸ガスが貯蔵されたCOボンベや、生理食塩水が貯蔵された液体貯蔵タンクや、炭酸ガスや生理食塩素の送気送水を制御する送気送水制御部などを備えている。そして、送気送水制御部は、たとえばプロセッサ3の操作部36において送気または送水の指示が受け付けられた場合に、送気送水を行って体腔挿入部30に炭酸ガスまたは生理食塩水を供給するものであるとともに、さらに煙検出部39から出力された煙検出信号によってCPU38から出力された制御信号に応じて送気または送水を行うものである。
【0065】
電気メス制御装置6は、使用者によって設定入力された電気メス7の出力に応じて電気メス7に制御信号を出力し、電気メス7の出力を制御するものであるとともに、さらに煙検出部39から出力された煙検出信号によってCPU38から出力された制御信号に応じて、現在設定されている電気メス7の出力を下げるように電気メス7に制御信号を出力するものである。
【0066】
また、本実施形態においては、上述したように煙検出部39において煙が検出された際、光源装置2からの励起光L2の射出を停止させたり、送気送水装置5によって送気送水を行って体腔挿入部30の洗浄ノズル30fから炭酸ガスまたは生理食塩水を吐出させるようにしたり、さらに電気メス制御装置6によって電気メス7の出力を下げるようにしたが、これに限らず、たとえば体腔内に炭酸ガスを注入するとともに、体腔内のガスを吸引する排煙装置を設け、煙検出部39において煙が検出された際にこの排煙装置を動作させるようにしてもよい。
【0067】
次に、本実施形態の硬性鏡システムの作用について、図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0068】
まず、操作者により体腔挿入部30が体腔内に挿入され、体腔挿入部30の先端が被観察部の近傍に設置される(S10)。
【0069】
そして、光源装置2の通常光源40から射出された通常光L1が、集光レンズ42、ダイクロイックミラー43および光ケーブルLCを介して体腔挿入部30に入射され、体腔挿入部30の照射窓30dから被観察部に照射される。一方、光源装置2の近赤外LD光源44から射出された励起光L2が、集光レンズ46、ミラー47および光ケーブルLCを介して体腔挿入部30に入射され、体腔挿入部30の照射窓30dから通常光L1と同時に被観察部に照射される。
【0070】
そして、通常光L1の照射によって被観察部から反射された反射光に基づく通常像が撮像されるとともに、励起光L2の照射によって被観察部から発せられた蛍光に基づく蛍光像が撮像される(S12)。なお、被観察部には、予めICGが投与されており、このICGから発せられる蛍光を撮像するものとする。
【0071】
具体的には、通常像の撮像の際には、通常光L1の照射によって被観察部から反射された反射光に基づく通常像L3が挿入部材30bの先端30Yから入射し、挿入部材30b内のレンズ群により導光されて撮像ユニット20に向けて射出される。
【0072】
撮像ユニット20に入射された通常像L3は、ダイクロイックプリズム21により撮像素子26に向けて直角方向に反射され、第2結像光学系25により撮像素子26の撮像面上に結像され、撮像素子26によって所定のフレームレートで順次撮像される。
【0073】
撮像素子26から順次出力された通常画像信号は、撮像制御ユニット27においてCDS/AGC(相関二重サンプリング/自動利得制御)処理やA/D変換処理が施された後、ケーブルを介してプロセッサ3に順次出力される。
【0074】
そして、プロセッサ3に入力された通常画像信号は、通常画像入力コントローラ31において一時的に記憶された後、メモリ34に格納される。そして、メモリ34から読み出された1フレーム毎の通常画像信号は、画像処理部33において階調補正処理およびシャープネス補正処理が施された後、ビデオ出力部35に順次出力されるとともに、煙検出部39に順次出力される。
【0075】
そして、ビデオ出力部35は、入力された通常画像信号に所定の処理を施して表示制御信号を生成し、1フレーム毎の表示制御信号をモニタ4に順次出力する。そして、モニタ4は、入力された表示制御信号に基づいて通常画像を表示する(S14)。
【0076】
また、煙検出部39に入力された通常画像信号は、色成分算出部50と周波数成分算出部51とに入力される。そして、色成分算出部50は、入力された通常画像信号を分析し、通常画像信号に含まれる赤色成分と白色成分とを算出し、撮像開始時に最初に撮像されたフレームの通常画像信号の赤色成分と白色成分を基準情報記憶部52に出力して記憶させ(S16)、それ以降のフレームの通常画像信号の赤色成分と白色成分とを煙発生判定部53に順次出力する。また、周波数成分算出部51は、入力された通常画像信号に対してフーリエ変換を施して空間周波数成分の分布を算出し、撮像開始時に最初に撮像されたフレームの通常画像信号の空間周波数成分の分布を基準情報記憶部52に出力して記憶させ(S16)、それ以降のフレームの通常画像信号の空間周波数成分の分布を煙発生判定部53に順次出力する。
【0077】
一方、蛍光像の撮像の際には、励起光の照射によって被観察部から発せられた蛍光に基づく蛍光像L4が挿入部材30bの先端30Yから入射し、挿入部材30b内のレンズ群により導光されて撮像ユニット20に向けて射出される。
【0078】
撮像ユニット20に入射された蛍光像L4は、ダイクロイックプリズム21および励起光カットフィルタ22を通過した後、第1結像光学系23により高感度撮像素子24の撮像面上に結像され、高感度撮像素子24によって所定のフレームレートで撮像される。
【0079】
高感度撮像素子24から順次出力された蛍光画像信号は、撮像制御ユニット27においてCDS/AGC(相関二重サンプリング/自動利得制御)処理やA/D変換処理が施された後、ケーブルを介してプロセッサ3に順次出力される。
【0080】
そして、プロセッサ3に入力された蛍光画像信号は、蛍光画像入力コントローラ32において一時的に記憶された後、メモリ34に格納される。そして、メモリ34から読み出された1フレーム毎の蛍光画像信号は、画像処理部33において所定の画像処理が施された後、ビデオ出力部35に順次出力されるとともに、煙検出部39に順次出力される。
【0081】
そして、ビデオ出力部35は、入力された蛍光画像信号に所定の処理を施して表示制御信号を生成し、1フレーム毎の表示制御信号をモニタ4に順次出力する。そして、モニタ4は、入力された表示制御信号に基づいて蛍光画像を表示する(S14)。
【0082】
また、煙検出部39に入力された蛍光画像信号は周波数成分算出部51に入力される。周波数成分算出部51は、入力された蛍光画像信号に対してフーリエ変換を施して空間周波数成分の分布を算出し、撮像開始時に最初に撮像されたフレームの蛍光画像信号の空間周波数成分の分布を基準情報記憶部52に出力して記憶させ(S16)、それ以降のフレームの蛍光画像信号の空間周波数成分の分布を煙発生判定部53に順次出力する。
【0083】
そして、上記のようにして通常画像および蛍光画像がモニタ4に表示されている状態において、煙検出部39は、順次入力される通常画像信号の色成分情報と周波数成分情報の経時変化量をモニタリングするとともに(S18)、順次入力される蛍光画像信号の周波数成分情報の経時変化量をモニタリングすることによって(S20)、被観察部周辺における煙の発生の有無を検出する。
【0084】
具体的には、まず、煙検出部39の煙発生判定部53は、基準情報記憶部52に記憶されている過去の通常画像の基準色成分情報と基準周波数成分情報とを読み出すとともに、蛍光画像の基準周波数成分情報とを読み出す。
【0085】
そして、煙発生判定部53は、現在撮像されている通常画像信号に基づいて算出された色成分情報と周波数成分情報の経時変化量を算出する。具体的には、煙発生判定部53は、現在撮像されている通常画像信号に含まれる赤色成分に対する白色成分の比率を算出するとともに、過去の通常画像の基準色成分情報に基づいて赤色成分に対する白色成分の比率を算出する。そして、現在撮像されている通常画像信号に基づいて算出された比率から基準色成分情報に基づいて算出された比率を減算することによって色成分情報の経時変化量を算出する。
【0086】
また、煙発生判定部53は、現在撮像されている通常画像信号の空間周波数成分の分布に基づいて、高周波側の空間周波数成分に対する低周波側の空間周波数成分の比率を算出するとともに、過去の通常画像の基準周波数成分情報に基づいて高周波側の空間周波数成分に対する低周波側の空間周波数成分の比率を算出する。そして、現在撮像されている通常画像信号に基づいて算出された比率から基準周波数成分情報に基づいて算出された比率を減算することによって通常画像の周波数成分情報の経時変化量を算出する。
【0087】
そして、煙発生判定部53は、上述したようにして算出した通常画像の色成分情報の経時変化量と周波数成分情報の経時変化量とがともに、それぞれについて予め設定された所定の閾値以上となったか否かをモニタリングする(S18)。
【0088】
一方、煙発生判定部53は、現在撮像されている蛍光画像信号の空間周波数成分の分布に基づいて、高周波側の空間周波数成分に対する低周波側の空間周波数成分の比率を算出するとともに、過去の蛍光画像の基準周波数成分情報に基づいて高周波側の空間周波数成分に対する低周波側の空間周波数成分の比率を算出する。そして、現在撮像されている蛍光画像信号に基づいて算出された比率から基準周波数成分情報に基づいて算出された比率を減算することによって蛍光画像の周波数成分情報の経時変化量を算出する。
【0089】
そして、煙発生判定部53は、上述したようにして算出した蛍光画像の周波数成分情報の経時変化量が、予め設定された所定の閾値以上となったか否かをモニタリングする(S20)。
【0090】
ここで、上述したように、被観察部によって煙が発生した場合、蛍光画像よりも通常画像の方が煙の画像が現れやすく、通常画像に煙の画像が現れる時刻よりも蛍光画像に煙の画像が現れる時刻の方が遅くなることになる。
【0091】
したがって、煙発生判定部53は、この性質を利用して、通常画像の色成分情報の経時変化量と周波数成分情報の経時変化量とがともに所定の閾値以上となった第1の時刻を取得するとともに(S22)、蛍光画像の周波数成分情報の経時変化量が所定の閾値以上になった第2の時刻を取得し(S24)、第1の時刻よりも第2の時刻の方が遅い場合に(S26,YES)、被観察部周辺において煙が発生したと判定する(S28)。
【0092】
そして、煙発生判定部53は、被観察部周辺において煙が発生したと判定すると煙検出信号をCPU38に出力する。CPU38は、入力された煙検出信号に応じて送気送水装置5に制御信号を出力し、送気送水装置5は、入力された制御信号に応じて送気または送水を行う(S30)。また、CPU38は、入力された煙検出信号に応じて電気メス制御装置6にも制御信号を出力し、電気メス制御装置6は、入力された制御信号に応じて、現在の設定されている電気メス7の出力を低下させるように電気メス7に対して制御信号を出力する。また、上述したようにこのとき排煙機能を動作させるようにしてもよい。
【0093】
なお、上記実施形態の硬性鏡システムにおいては、通常画像の経時変化量が所定の閾値以上となった第1の時刻と、蛍光画像の経時変化量が所定の閾値以上となった第2の時刻とを取得するようにしたが、必ずしもこれらの時刻を取得する必要はなく、要するに、通常画像の経時変化量が所定の閾値以上となった後に、蛍光画像の経時変化量が所定の閾値以上となったことを判定できるようにすればよい。たとえば、通常画像の経時変化量が所定の閾値以上となったときにフラグをたてるようにし、そのフラグがたった状態で蛍光画像の経時変化量が所定の閾値以上となった場合に煙が発生したと判定するようにしてもよい。
【0094】
また、上記実施形態の硬性鏡システムにおいては、蛍光画像の経時変化量として、色成分情報を算出することなく周波数成分情報のみを算出するようにしたが、これは本実施形態においては、蛍光画像をモノクロ画像として撮影しているからであり、たとえば蛍光画像をカラー画像として撮像する場合には、蛍光画像についても色成分情報を算出し、その色成分情報の経時変化量を通常画像と同様にモニタリングするようにしてもよい。
【0095】
また、上記実施形態の硬性鏡システムにおいては、画像における色成分情報と周波数成分情報の経時変化量をモニタリングするようにしたが、これに限らず、煙の発生よって画像上に変化が生じる情報であればその他の情報の経時変化量をモニタリングするようにしてもよい。
【0096】
また、上記実施形態の硬性鏡システムにおいては、通常光および励起光の被観察部への照射開始および照射終了と、煙検出部39における煙検出の動作開始と動作終了とを連動させるようにしてもよい。すなわち、通常光および励起光の被観察部への照射開始とともに煙検出の動作を開始し、通常光および励起光の被観察部への照射終了とともに煙検出の動作を終了させるようにしてもよい。
【0097】
なお、上記実施形態においては、通常光と励起光とを同時に被観察部に照射して通常画像と蛍光画像とを同時に撮像する構成としたが、これに限らず、たとえば、通常光と励起光とを交互に時分割に被観察部に照射し、通常画像と蛍光画像とを時分割に撮像する構成としてもよい。
【0098】
また、上記実施形態においては、第1の撮像系により蛍光画像を撮像するようにしたが、これに限らず、被観察部への特殊光の照射による被観察部の吸光特性に基づく画像を撮像するようにしてもよい。
【0099】
また、上記実施形態は、本発明の煙検出装置を硬性鏡システムに適用したものであるが、これに限らず、たとえば、軟性内視鏡装置を有するその他の内視鏡システムに適用してもよい。また、内視鏡システムに限らず、体内に挿入される挿入部を備えていない、いわゆるビデオカメラ型の医用画像撮像装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0100】
1 硬性鏡システム
2 光源装置
3 プロセッサ
4 モニタ
5 送気送水装置
6 電気メス制御装置
7 電気メス
10 硬性鏡撮像装置
20 撮像ユニット
24 高感度撮像素子
26 撮像素子
30 体腔挿入部
30d 照射窓
30e 撮像窓
30f 洗浄ノズル
39 煙検出部
40 通常光源
44 近赤外LD光源
50 色成分算出部
51 周波数成分算出部
52 基準情報記憶部
53 煙発生判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の波長帯域を有する第1の光の被観察部への照射によって該被観察部から発せられた光に基づく第1の画像を取得する第1の画像取得部と、
前記第1の波長帯域よりも長波長の波長帯域を有する第2の光の被観察部への照射によって該被観察部から発せられた光に基づく第2の画像を取得する第2の画像取得部と、
前記第1の画像取得部によって時系列に取得された第1の画像の経時変化量が所定量以上になった後、前記第2の画像取得部によって時系列に取得された第2の画像の経時変化量が所定量以上になった場合に、前記被観察部周辺において煙が発生したと判定する煙発生判定部とを備えたことを特徴とする煙検出装置。
【請求項2】
前記煙発生判定部が、前記第1または第2の画像の色成分の経時変化量を取得するものであることを特徴とする請求項1記載の煙検出装置。
【請求項3】
前記煙発生判定部が、前記色成分の経時変化量として第1の波長成分と該第1の波長成分よりも短波長成分を含む第2の波長成分の経時変化量を取得するものであることを特徴とする請求項2記載の煙検出装置。
【請求項4】
前記第1の波長成分が赤成分であり、前記第2の波長成分が白成分であることを特徴とする請求項3記載の煙検出装置。
【請求項5】
前記煙発生判定部が、前記第1または第2の画像の周波数成分の経時変化量を取得するものであることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の煙検出装置。
【請求項6】
前記煙発生判定部が、前記周波数成分の経時変化量として高周波側の周波数成分と低周波側の周波数成分との比率の経時変化量を取得するものであることを特徴とする請求項5記載の煙検出装置。
【請求項7】
前記第1の画像取得部が、前記第1の光としての可視光の照射によって前記被観察部から発せされた反射光に基づく可視画像を前記第1の画像として取得するものであることを特徴とする請求項1から6いずれか1項記載の煙検出装置。
【請求項8】
前記第2の画像取得部が、前記第2の光としての励起光の照射によって前記被観察部から発せられた蛍光に基づく蛍光画像を前記第2の画像として取得するものであることを特徴とする請求項1から7いずれか1項記載の煙検出装置。
【請求項9】
前記励起光が近赤外光であることを特徴とする請求項8記載の煙検出装置。
【請求項10】
前記煙発生判定部が、前記第1および第2の光の照射または非照射に応じて前記煙の発生の検出または非検出を切り替えるものであることを特徴とする請求項1から9いずれか1項記載の煙検出装置。
【請求項11】
第1の波長帯域を有する第1の光の被観察部への照射によって該被観察部から発せられた光に基づく第1の画像を時系列に取得し、
前記第1の波長帯域よりも長波長の波長帯域を有する第2の光の被観察部への照射によって該被観察部から発せられた光に基づく第2の画像を時系列に取得し、
前記時系列に取得した前記第1の画像の経時変化量が所定量以上になった後、前記時系列に取得した第2の画像の経時変化量が所定量以上になった場合に、前記被観察部周辺において煙が発生したと判定することを特徴とする煙検出方法。
【請求項12】
請求項1から10いずれか1項記載の煙検出装置と、
前記第1および第2の光を前記被観察部に照射する光照射部と、
前記第1の光の被観察部への照射によって該被観察部から発せられた光に基づく第1の画像を撮像する第1の撮像部と、
前記第2の光の被観察部への照射によって該被観察部から発せられた光に基づく第2の画像を撮像する第2の撮像部とを備えたことを特徴とする画像撮像装置。
【請求項13】
体内に挿入され、前記第1および第2の光の被観察部への照射によって該被観察部から発せられた光を導光する挿入部を備えたことを特徴とする請求項12記載の画像撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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